説明

ドアチェック装置

【課題】組み付けが容易なドアチェック装置を提供することにある。
【解決手段】ケーシング本体63及びキャップ65からなるケーシング60,シャフト69,シャフト69の周面に設けられ、ケーシング60内を第1室、第2室に分けるフラップ67,ケーシング本体63の内周面に押接するシール部を有するパッキン71,第1室、第2室間の液体の流れを遮断/許可するバルブ手段を有し、シャフト69、パッキン71が取り付けられたフラップ67からなる組立体が、ケーシング本体63の開放面から挿入されるドアチェック装置において、ケーシング本体63の内周面に、開放面から底部に向かって延び、組立体をケーシング本体63の開放面から挿入する際に、パッキン71のシール部を嵌入させるくぼみ101が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアチェック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体が充填され、底部を有し前記底部と対向する面が開放面である中空のケーシングと、前記開放面を塞ぐキャップと、該ケーシング内に配置され、前記ケーシングの対向する前記底部、前記キャップに回転可能に支持されたシャフトと、該シャフトの周面に設けられ、前記ケーシング内を第1室、第2室に分けるフラップと、前記ケーシングの前記第1室側に設けられる第1液体吐出口と、前記ケーシングの前記第2室側に設けられる第2液体吐出口とを有し、前記シャフトの回転方向に応じて、液体を前記第1液体吐出口または第2液体吐出口から吐出するポンプが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
又、ポンプのフラップに、ケーシング本体の内周面に押接するシール部を設けることも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−286128公報(図10、図11、図14)
【特許文献2】特開2003−214368公報(図5、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された構成のポンプを組み付ける際には、シャフトと、シール部が設けられたフラップとが組み付けられた組立体をケーシングの開放面からケーシング内に挿入する工程がある。
【0005】
一方、特許文献2に記載されているように、シール部は、ケーシングの内周面に押接するようにフラップに設けられている。
よって、シール部を弾性変形させた状態で、前記組立体をケーシングの開放面からケーシング内に挿入しなければならず、組み付けが難しい問題点がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、組み付けが容易なドアチェック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、液体が充填され、底部を有し前記底部と対向する面が開放面である中空のケーシング本体及び前記開放面を塞ぐキャップからなるケーシング,該ケーシング内に配置され、前記ケーシングの対向する前記底部、前記キャップに回転可能に支持されたシャフト,該シャフトの周面に設けられ、前記ケーシング内を第1室、第2室に分けるフラップ,前記ケーシング本体の内周面に押接するシール部を有するパッキン,前記第1室の液体圧力と、前記第2室の液体圧力との差が設定値以下であれば、前記第1室、前記第2室間の液体の流れを遮断し、前記第1室の液体圧力と第2室の液体圧力との差が設定値を超えると、第1室、第2室間の液体の流れを許可するバルブ手段,を有し、前記シャフト、前記パッキンが取り付けられたフラップからなる組立体が、前記ケーシング本体の開放面から挿入され、前記ケーシングが車体側、ドア側のうちのいずれか一方の側に設けられ、前記シャフトが前記車体側、前記ドア側のうちの他方の側に設けられたドアチェック装置において、前記ケーシング本体の内周面に、前記開放面から前記底部に向かって延び、前記組立体を前記ケーシング本体の開放面から挿入する際に、前記パッキンのシール部を嵌入させるくぼみが形成されていることを特徴とするドアチェック装置である。
【0008】
ドアが停止していると、前記第1室の液体圧力と、前記第2室の液体圧力との差が設定値以下であり、バルブ手段より前記第1室、前記第2室間の液体の流れが遮断される。
ドアが回転すると、前記第1室の液体圧力と第2室の液体圧力との差が設定値を超え、バルブ手段により第1室、第2室間の液体の流れが許可される。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記パッキンは、フラップシール部と、前記フラップシール部の一方の端部側に接続され、前記シャフトの周面で、前記シャフトの周方向に設けられ、前記ケーシングの前記キャップの内周面に押接する環状の第1シャフトシール部と、前記フラップシール部の他方の端部側に接続され、前記シャフトの周面で、前記シャフトの周方向に設けられ、前記ケーシングの前記底部の内周面に押接する環状の第2シャフトシール部と、一端部が前記第1シャフトシール部に接続され、他端部が前記第2シャフトシール部に接続され、中間部が前記シャフトの周面で、前記シャフトの軸方向に沿って設けられ、前記ケーシング本体の内周面に押接する第3シャフトシール部とを有し、前記ケーシング本体の内周面に、前記開放面から前記底部に向かって延び、前記フラップシール部が嵌入する第1のくぼみ、前記第3シャフトシール部が嵌入する第2のくぼみのうち、少なくとも一方のくぼみが形成されていることを特徴とする請求項1記載のドアチェック装置である。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記第1くぼみ、第2くぼみのうち少なくとも一方のくぼみは、前記ドアが全閉している時のパッキンのフラップシール部、第3シャフトシール部のうちの一方のシール部と対向する位置に形成されていることを特徴とする請求項2記載のドアチェック装置である。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記第1くぼみ、第2くぼみのうち少なくとも一方のくぼみは、前記ドアが開くに従って、くぼみの周方向の深さが漸次的に浅くなることを特徴とする請求項2又は3記載のドアチェック装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1−4に係る発明によれば、前記ケーシング本体の内周面に、前記開放面から前記底部に向かって延び、前記組立体を前記ケーシング本体の開放面から挿入する際に、前記パッキンのシール部を嵌入させるくぼみが形成されていることにより、シャフトと、パッキンが取り付けられたフラップとが組み付けられた組立体をケーシング本体の開放面からケーシング内に挿入する際に、パッキンのシール部をくぼみに嵌入させることで、くぼみに案内されて、前記組立体がケーシングに組み付けられる。よって、組み付けが容易となる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、前記パッキンは、フラップシール部と、前記フラップシール部の一方の端部側に接続され、前記シャフトの周面で、前記シャフトの周方向に設けられ、前記ケーシングの前記キャップの内周面に押接する環状の第1シャフトシール部と、前記フラップシール部の他方の端部側に接続され、前記シャフトの周面で、前記シャフトの周方向に設けられ、前記ケーシングの前記底部の内周面に押接する環状の第2シャフトシール部と、一端部が前記第1シャフトシール部に接続され、他端部が前記第2シャフトシール部に接続され、中間部が前記シャフトの周面で、前記シャフトの軸方向に沿って設けられ、前記ケーシング本体の内周面に押接する第3シャフトシール部とを有することにより、パッキンが一体ものとなり、シール性がよい。また、前記ケーシング本体の内周面に、前記開放面から前記底部に向かって延び、前記フラップシールが嵌入する第1のくぼみ、前記第3シャフトシール部が嵌入する第2のくぼみのうち、少なくとも一方のくぼみが形成されていることにより、シャフトと、パッキンが取り付けられたフラップとが組み付けられた組立体をケーシング本体の開放面からケーシング内に挿入する際に、パッキンのフラップシール部、第3シャフトシール部のうち少なくともどちらか一方のシール部を第1のくぼみ、第2のくぼみのうち少なくとも一方のくぼみに嵌入させることで、くぼみに案内されて、前記組立体がケーシングに組み付けられる。よって、組み付けが容易となる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、前記第1くぼみ、第2くぼみのうち少なくとも一方のくぼみは、前記ドアが全閉している時のパッキンのフラップシール部、第3シャフトシール部のうちの一方のシール部と対向する位置に形成されていることにより、全閉状態では、第1室と第2室との間のシールが抜けた状態である。よって、全閉状態のドアの開ける際に、バルブ手段を開く力が不要となり、ドアの開け始めを軽くすることができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、前記第1くぼみ、第2くぼみのうち少なくとも一方のくぼみは、前記ドアが開くに従って、くぼみの周方向の深さが漸次的に浅くなることにより、ケーシング本体の内周面とくぼみとの境は鈍角の角部となる。よって、シール部がくぼみから離脱する際に、角部によるシール部の損傷を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<全体構成>
最初に、図3を用いて、全体構成を説明する。図において、51がポンプである。このポンプ51に、シャフト69が設けられている。このシャフト69は、図示しないドアの回転軸(ヒンジピン)に接続され、ドアが回転すると、ドアと共に回転するようになっている。ポンプ51の内部には、液体(本形態例ではオイル)が充填されている。また、ポンプ51には、 第1液体吐出口57、第2液体吐出口59が設けられ、ドアの回転方向に応じて、液体が第1液体吐出口57または第2液体吐出口59から吐出するようになっている。
【0017】
201は、バルブ手段としての定圧力作動2ウェイバルブである。定圧力作動2ウェイバルブ201には、 第1液体導入口203c、第2液体導入口205cが設けられている。
【0018】
そして、ポンプ51の第1液体吐出口57と定圧力作動2ウェイバルブ201の第1液体導入口203cとは、パイプ41を用いて接続され、ポンプ51の第2液体吐出口59と定圧力作動2ウェイバルブ201の第2液体導入口205cとは、パイプ43を用いて接続されている。
<ポンプ51>
次に、図4−図7を用いてポンプ51を説明する。図4は図3のポンプの分解斜視図、図5は図3のポンプの側面図、図6は図5の切断線A−Aでの断面図、図7は図6の切断線B−Bでの断面図である。
【0019】
図4−図7に示すように、ポンプ51は、底部の形状が略扇形で、上面が開放面63bとされた中空の有底筒状のケーシング本体63と、このケーシング本体63の開放面63bを塞ぐように設けられる平板状のケーシングキャップ(キャップ)65とを有している。ケーシング本体63とケーシングキャップ65とでケーシング60が構成されている。
【0020】
ケーシング本体63内には、ケーシング本体63内を第1室81、第2室83に分けるフラップ67が設けられている。このフラップ67はシャフト69と一体的に形成されている。そして、シャフト69の一方の端部側は、ケーシング本体63の底部63eに形成された第2穴63aに嵌合し、シャフト69の他方の端部側は、ケーシングキャップ65に形成された第1穴65aに嵌合し、シャフト69は回転可能に支持されている。また、ケーシング60内には液体が充填されている。
【0021】
そして、ケーシング60は、ボデー側に固定されている。よって、ドアが開閉すると、シャフト69とケーシング60とが相対回転するようになっている。
尚、ケーシング60をドア側に設け、シャフト69が接続されるドアの回転軸をドアの開閉により回転しない構成とし、ドアを開閉すると、シャフト69とケーシング60とが相対回転するようにしてもよい。
【0022】
フラップ67、シャフト69には、ケーシング本体63,ケーシングキャップ65の内周面とフラップ67,シャフト69とのシールを行うパッキン71が設けられている。
本形態例のパッキン71は、ゴム等の弾性体で構成された一体成形品で、図4に示すように、以下のような部位を有している。
【0023】
(1)フラップ67の第1室81、第2室83に対向する面以外の面で、ケーシング60の内周面と対向する面に沿って設けられ、ケーシング60の内周面に押接するフラップシール部73。
【0024】
(2)フラップシール部73の一方の端部側に接続され、シャフト69の周面で、シャフト69の周方向に設けられ、ケーシングキャップ65の内周面に押接する環状の第1シャフトシール部75。
【0025】
該フラップシール部73の他方の端部側に接続され、シャフト69の周面で、シャフト69の周方向に設けられ、ケーシング本体63の底部に押接する環状の第2シャフトシール部77。
【0026】
(3)一端部が第1シャフトシール部75に接続され、他端部が第2シャフトシール部77に接続され、中間部がシャフト69の周面で、シャフト69の軸方向に沿って設けられ、ケーシング60の内周面に押接する第3シャフトシール部79。
【0027】
ケーシング60のケーシングキャップ65側のシャフト69の周面には、フラップ67のフラップシール部73の一方の端部側が設けられる面と面一の面を有し、シャフト69の径より大きな径の第1つば部69aが形成されている。また、ケーシング60のケーシング本体63の底部側のシャフト69の周面には、フラップ67のフラップシール部73の他方の端部側が設けられる面と面一の面を有し、第1つば部69aと同じ径を有し、シャフト69の径より大きな径の第2つば部69bが形成されている。更に、シャフト69の軸方向に沿って、第1つば部69aから、第2つば部69bまで、軸方向突部69fが形成され、該軸方向突部69fは、第1つば部69aの周面、第2つば部69bの周面と面一に延びている。
【0028】
そして、第1つば部69aにパッキンの第1シャフトシール部75が設けられ、第2つば部69bにパッキンの第2シャフトシール部77が設けられ、軸方向突部69fにパッキンの第3シャフトシール部79が設けられる。
【0029】
第1つば部69aのケーシング60のケーシングキャップ65と対向する面には、ケーシングキャップ65に向かって延出し、第1つば部69aと同軸で、第1つば部69aより径が小さく、シャフト69の径よりも径が大きな円柱状の第1段部69dが形成されている。
【0030】
第2つば部69bのケーシング60のケーシング本体63の底部と対向する面には、ケーシング本体63の底部に向かって延出し、第2つば部69bと同軸で、第2つば部69bより径が小さく、シャフト69の径よりも径が大きな円柱状の第2段部69eが形成されている。
【0031】
そして、ケーシング60のケーシングキャップ65の第1穴65aは、第1つば部69aより径が小さく、第1段部69dより径が大きな第1大径部65bと、第1段部69dより径が小さく、シャフト69の径より径が大きな第1小径部65cとからなっている。一方、ケーシング60のケーシング本体63の底部の第2穴63aは、第2つば部69bより径が小さく、第2段部69eより径が大きな第2大径部63cと、第2段部69eより径が小さく、シャフト69の径より径が大きな第2小径部63dとからなっている。
【0032】
フラップ67には、第1室81、第2室83に対向する面以外の面には、パッキン71のフラップシール部73が嵌合する溝67aが形成されている。シャフト69の第1つば部69aには、フラップ67の溝67aに接続され、パッキン71の第1シャフトシール部75が嵌合する溝69cが形成されている。シャフト69の第2つば部69bには、フラップ67の溝67aに接続され、パッキン71の第2シャフトシール部77が嵌合する溝69hが形成されている。更に、シャフト69の軸方向突部69fには、一端部が溝69cに接続され、他端部が溝69hに接続され、中間部がシャフト69の周面で、シャフト69の軸方向に沿って設けられ、パッキン71の第3シャフトシール部79が嵌合する溝69iが形成されている。
【0033】
次に、図1、図2、図4に示すように、ケーシング本体63の内周面には、開放面63aから底部63eに向かって延び、パッキン71のフラップシール部73が嵌入する第1くぼみ101が形成されている。この第1くぼみ101は、ドアが全閉している時のパッキン71のフラップシール部73と対向する位置に形成されている。第1くぼみ101は、図2に示すように、底部に向かう程、深さ(d)が漸次的に浅くなるように設定されている。更に、図1に示すように、第1くぼみ101は、全閉状態のドアが開くに従って、周方向の深さ(d)が漸次的に浅くなるように設定されている。
【0034】
又、図4に示すように、ケーシング本体63の内周面には、開放面63aから底部63eに向かって延び、パッキン71のフラップシール部73が嵌入する第2くぼみ103も形成されている。第2のくぼみ103は、ドアが全閉している時のパッキン71の第3シャフトシール部79と対向する位置に形成されている。そして、第1くぼみ101と同様に、第2くぼみ103は、底部に向かう程、深さが漸次的に浅くなるように設定されている。更に、第2くぼみ103は、全閉状態のドアが開くに従って、周方向の深さが漸次的に浅くなるように設定されている。
【0035】
このような構成のポンプ51は、シャフト69とパッキン71が取り付けられたフラップ67とからなる組立体がケーシング本体63の開放面63aから挿入される。
上記構成のポンプ51の作動を説明する。図示しないドアが回転すると、シャフト69,フラップ67も回転し、ドアの回転方向に応じて、液体が第1液体吐出口57または第2液体吐出口59から吐出する。
<定圧力作動2ウェイバルブ201>
次に、図8を用いて、定圧力作動2ウェイバルブ201を説明する。図8は定圧力作動2ウェイバルブの断面図で、(a)図は第1室内の液体圧力と第2室内の液体圧力との差が設定値以下の状態を示す図、(b)図は第1室内の液体圧力が第2室内の液体圧力より高く、その差が設定値を超えた状態を示す図、(c)図は第2室内の液体圧力が第1室内の液体圧力より高く、その差が設定値を超えた状態を示す図である。
【0036】
図8(a)に示すように、定圧力作動2ウェイバルブ201の内部には、液体が充填される第1室203と、液体が充填される第2室205と、第1室203と、第2室205との間に設けられた接続部207とが形成されている。
【0037】
第1室203、第2室205、接続部207の断面形状は、中心が同一直線上に位置する円形であり、更に、接続部207の断面形状は、第1室203、第2室205の断面形状より小さく設定されている。
【0038】
そして、第1室203の接続部207側と反対側の面203b、第2室205の接続部207側と反対側の面205bには、ガイド穴203a、ガイド穴205aが形成されている。これらのガイド穴203a、ガイド穴205aは、同一直線上に沿うように形成されている。
【0039】
そして、シャフト211の一端部側がガイド穴203aに遊嵌し、他端部側がガイド穴205aに遊嵌している。シャフト211の長さ(l)は、ガイド穴203aの底部からガイド穴205aの底部までの長さ(L)より短くなるように設定されている。従って、シャフト211はその軸方向に移動可能となっている。
【0040】
また、シャフト211には、弁体213が取り付けられている。この弁体213は、シャフト211がその軸方向に移動することにより、接続部207を介して第1室203と第2室205との間で移動可能となるように設けられている。更に、弁体213の周面には、Oリング215が設けられ、弁体213が接続部207に位置する際には、Oリング215が接続部207の周面に押接し、第1室203と第2室205との間を封止し、第1室203と第2室205との間の液体の行き来を遮断するようになっている。
【0041】
第1室203には、シャフト211を巻回し、一端部が面203bに当接し、他端部が弁体213に当接し、弁体213を第2室205方向へ付勢するスプリング221が設けられている。 第2室205には、シャフト211を巻回し、一端部が面205bに当接し、他端部が弁体213に当接し、弁体213を第1室203方向へ付勢するスプリング223が設けられている。
【0042】
そして、第1室203内の液体圧力と第2室205内の液体圧力との差が設定値以下ならば、弁体213を接続部207に位置させ、第1室203内の液体圧力と第2室205内の液体圧力との差が設定値を超えると、液体圧力が小さい方の室へ向かって弁体213を移動させ、液体圧力が大きい室から液体圧力が小さい室に向かって液体が流れるように、スプリング221、スプリング223の付勢力が設定されている。
【0043】
上記構成の定圧力作動2ウェイバルブ201の作動を説明する。
第1室203内の液体圧力と第2室205内の液体圧力との差が設定値以下ならば、図8(a)に示すように、弁体213が接続部207に位置する。
【0044】
第1室203内の液体圧力と第2室205内の液体圧力との差が設定値を超えると、図8(b)または図8(c)に示すように、液体圧力が低い方の室に設けられたスプリングの付勢力に抗して弁体213が液体圧力の小さい室へ向かって移動し、液体圧力が大きい室から液体圧力が小さい方の室に向かって液体が流れる。
<ドアチェック装置の作動>
ドアが回転すると、ドアの回転方向により、ポンプ51の第1液体吐出口57、第2液体吐出口59のうちのどちらか一方の吐出口から液体が吐出される。ポンプ51の第1液体吐出口57から液体が吐出された場合は、パイプ41を液体が通り、定圧力作動2ウェイバルブ201の第1室203内の液体圧力が上がる。ポンプ51の第2液体吐出口59から液体が吐出された場合は、パイプ43を液体が通り、定圧力作動2ウェイバルブ201の第2室205内の液体圧力が上がる。
【0045】
定圧力作動2ウェイバルブ201の第1室203内の液体圧力と第2室205内の液体圧力との差が設定値以下ならば、弁体213が接続部207に位置する。
定圧力作動2ウェイバルブ201の第1室203内の液体圧力と第2室205内の液体圧力との差が設定値を超えると、液体圧力が低い方の室に設けられたスプリングの付勢力に抗して弁体213が液体圧力の小さい室へ向かって移動し、液体圧力が大きい室から液体圧力が小さい方の室に向かって液体が流れる。小さい方の室に向かって流れた液体は、ポンプ51に返却される。
【0046】
定圧力作動2ウェイバルブ201の第1室203内の液体圧力と第2室205内の液体圧力との差が設定値以下ならば、弁体213が接続部207に位置するので、ドアの回転に対して大きな抵抗となる。すなわち、ドアは、大きな力が作用しない限り、任意の位置でその状態を保持している。
【0047】
しかし、ドアが回転を始めて、定圧力作動2ウェイバルブ201の第1室203内の液体圧力と第2室205内の液体圧力との差が設定値を超えると、液体圧力が小さい方の室へ向かって弁体213が移動し、液体圧力が大きい室から液体圧力が小さい方の室に向かって液体が流れるので、ドアの回転に対する抵抗は小さくなる。すなわち、一旦ドアが開閉し出すと、小さな力で開閉可能となる。
【0048】
このような構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ケーシング本体63の内周面に形成された第1くぼみ101、第2くぼみ103は、底部に向かう程、深さ(d)が漸次的に浅くなるように設定されている。
【0049】
シャフト69と、フラップシール部73、第3シャフトシール部79を有するパッキン71が取り付けられたフラップ67とが組み付けられた組立体をケーシング本体63の開放面63aからケーシング本体63内に挿入する際に、第1くぼみ101に沿ってパッキン71のフラップシール部73を嵌入させることで、第1くぼみ101に案内されてフラップシール部73が、徐々に弾性変形しながら、組立体がケーシング本体63に組み付けられる。又、第2くぼみ103に沿ってパッキン71の第3シャフトシール部79を嵌入させることで、第2くぼみ103に案内されて第3シャフトシール部79が、徐々に弾性変形しながら、組立体がケーシング本体63に組み付けられる。よって、組み付けが容易となる。
【0050】
(2)第1くぼみ101、第2くぼみ103は、ドアが全閉している時のパッキン71のフラップシール部73、第3シャフトシール部79と対向する位置に形成されていることにより、全閉状態では、第1室81と第2室83との間のシールが抜けた状態である。よって、全閉状態のドアの開ける際に、シールが抜けた部分がバイパスとなってバルブ手段である定圧力作動2ウェイバルブ201の弁体213を開く力(移動させる力)が不要又は大幅に軽減され、ドアの開け始めを軽くすることができる。
【0051】
(3)第1くぼみ101、第2くぼみ103は、ドアが開くに従って、くぼみの周方向の深さが漸次的に浅くなるように設定されていることにより、ケーシング本体63の内周面と第1、第2くぼみ101,103との境は鈍角の角部となる。よって、フラップシール部73、第3シャフトシール部79が第1くぼみ101、第2くぼみ103から離脱する際に、角部による各シール部の損傷を低減することができる。尚、ドア全閉位置以外では、フラップシール部73、第3シャフトシール部79は、常時ケーシング本体63の内周面に押接されている。
【0052】
(4)パッキン71は、フラップ67の第1室81、第2室83に対向する面以外の面で、ケーシング60の内周面と対向する面に沿って設けられ、ケーシング60の内周面に押接するフラップシール部73と、フラップシール部73の一方の端部側に接続され、シャフト69の周面で、シャフト69の周方向に設けられ、ケーシング60のケーシングキャップ65の内周面に押接する環状の第1シャフトシール部75と、該フラップシール部73の他方の端部側に接続され、シャフト69の周面で、シャフト69の周方向に設けられ、ケーシング本体63の底部に押接する環状の第2シャフトシール部77と、一端部が第1シャフトシール部75に接続され、他端部が第2シャフトシール部77に接続され、中間部がシャフト69の周面で、シャフト69の軸方向に沿って設けられ、ケーシング60の内周面に押接する第3シャフトシール部79とでなることにより、パッキン71が一体ものであり、シール性がよい。
【0053】
尚、本発明は、ドアチェック装置に限定するものではない。液体が充填され、底部を有し前記底部と対向する面が開放面である中空のケーシング本体及び前記開放面を塞ぐキャップからなるケーシング,該ケーシング内に配置され、前記ケーシングの対向する前記底部、前記キャップに回転可能に支持されたシャフト,該シャフトの周面に設けられ、前記ケーシング内を第1室、第2室に分けるフラップ,前記ケーシング本体の内周面に押接するシール部を有するパッキン,を有し、前記シャフト、前記パッキンが取り付けられたフラップからなる組立体が、前記ケーシング本体の開放面から挿入されるポンプにも適用可能である。
【0054】
また、第1くぼみ101、第2くぼみ103を形成する位置は、ドアが全閉している時のパッキン71のフラップシール部73、第3シャフトシール部79と対向する位置以外でもよい。
【0055】
更に、第1くぼみ101と、第2くぼみ103との両方のくぼみを設ける場合、第1くぼみ101と、第2くぼみ103とを結ぶ直線上にシャフト69が位置するような関係が好ましい。
【0056】
また、上記形態例では、ケーシング本体63の底部の形状は略扇形であったが、底部の断面形状が円形のケーシング本体にも適用できる。
また更に、上記形態例では、ケーシング本体63の開放面63bを塞ぐように設けられるケーシングキャップ65は平板状であったが、図9に示すように、有底筒状のケーシングキャップ65’であってもよい。図において、有底筒状のケーシング本体63’の開放面63b’側の端面には、凹部63c’が形成され、ケーシングキャップ65’の開放面65b’側の端面には、凹部63cに嵌合可能な凸部65c’が形成されている。更に、ケーシングキャップ65’の内周面には、ケーシング本体63’の第1くぼみ101’と接続する第1’くぼみ102’が形成されている。
【0057】
第1くぼみ101’の形状は、上記形態例の第1くぼみ101と同様に、ケーシング本体63’の底部に向かう程、深さが漸次的に浅くなるように設定されている。更に、全閉状態のドアが開くに従って、周方向の深さが漸次的に浅くなるように設定されている。第1’くぼみ102の形状は、、ケーシングキャップ65’の底部に向かう程、深さが漸次的に浅くなるように設定されている。更に、全閉状態のドアが開くに従って、周方向の深さが漸次的に浅くなるように設定されている。
【0058】
本形態例の組み付けは、シャフトと、パッキンが取り付けられたフラップとが組み付けられた上記形態例と同じ構成の組立体を開放面63b’からケーシング本体63’内に挿入した後、ケーシングキャップ65’を組み付ける。
【0059】
このような構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ケーシングキャップ65’をケーシング本体63’に組み付ける際に、パッキンのフラップシール部がケーシングキャップ65’の第1’のくぼみ102’に嵌入することで、パッキンのフラップシール部の損傷を低減することができる。
【0060】
(2)第1くぼみ101’、第1’くぼみ102は、ドアが全閉している時のパッキンのフラップシール部と対向する位置に形成されていることにより、全閉状態では、第1室と第2室との間のシールが抜けた状態である。よって、全閉状態のドアの開ける際に、シールが抜けた部分がバイパスとなってバルブ手段である定圧力作動2ウェイバルブの弁体を開く力(移動させる力)が不要又は大幅に軽減され、ドアの開け始めを軽くすることができる。
【0061】
(3)第1くぼみ101’、第1’くぼみ102は、ドアが開くに従って、くぼみの周方向の深さが漸次的に浅くなるように設定されていることにより、ケーシング本体63’の内周面と第1くぼみ101’、第1’くぼみ102との境は鈍角の角部となる。よって、パッキンのフラップシール部が第1くぼみ101’、第1’くぼみ102から離脱する際に、角部によるフラップシール部の損傷を低減することができる。
【0062】
尚、本形態例では、ケーシング本体63’とケーシングキャップ65’を上下逆に見れば、ケーシング本体63’がキャップ、ケーシングキャップ65’がケーシング本体として見ることが可能である。よって、シャフトと、パッキンが取り付けられたフラップ67とが組み付けられた組立体を開放面65b’からケーシングキャップ65’内に挿入した後、ケーシング本体63’を組み付けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施の形態例の発明部分を説明する斜視図である。
【図2】図1の切断線C−Cでの断面図である。
【図3】第1の形態例のドアチェック装置の全体構成を説明する図である。
【図4】図3のポンプの分解斜視図である。
【図5】図3のポンプの側面図である。
【図6】図5の切断線A−Aでの断面図である。
【図7】図6の切断線B−Bでの断面図である。
【図8】形態例の定圧力作動2ウェイバルブの断面図で、(a)図は第1室内の液体圧力と第2室内の液体圧力との差が設定値以下の状態を示す図、(b)図は第1室内の液体圧力が第2室内の液体圧力より高く、その差が設定値を超えた状態を示す図、(c)図は第2室内の液体圧力が第1室内の液体圧力より高く、その差が設定値を超えた状態を示す図である。
【図9】他の形態例を説明する図であって、ケーシングのシャフトの軸を含む平面上での断面図である。
【符号の説明】
【0064】
60 ケーシング
67 フラップ
69 シャフト
71 パッキン
73 フラップシール部
101 第1くぼみ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が充填され、底部を有し前記底部と対向する面が開放面である中空のケーシング本体及び前記開放面を塞ぐキャップからなるケーシング,該ケーシング内に配置され、前記ケーシングの対向する前記底部、前記キャップに回転可能に支持されたシャフト,該シャフトの周面に設けられ、前記ケーシング内を第1室、第2室に分けるフラップ,前記ケーシング本体の内周面に押接するシール部を有するパッキン,前記第1室の液体圧力と、前記第2室の液体圧力との差が設定値以下であれば、前記第1室、前記第2室間の液体の流れを遮断し、前記第1室の液体圧力と第2室の液体圧力との差が設定値を超えると、第1室、第2室間の液体の流れを許可するバルブ手段,を有し、前記シャフト、前記パッキンが取り付けられたフラップからなる組立体が、前記ケーシング本体の開放面から挿入され、
前記ケーシングが車体側、ドア側のうちのいずれか一方の側に設けられ、前記シャフトが前記車体側、前記ドア側のうちの他方の側に設けられたドアチェック装置において、
前記ケーシング本体の内周面に、
前記開放面から前記底部に向かって延び、前記組立体を前記ケーシング本体の開放面から挿入する際に、前記パッキンのシール部を嵌入させるくぼみが形成されていることを特徴とするドアチェック装置。
【請求項2】
前記パッキンは、
フラップシール部と、
前記フラップシール部の一方の端部側に接続され、前記シャフトの周面で、前記シャフトの周方向に設けられ、前記ケーシングの前記キャップの内周面に押接する環状の第1シャフトシール部と、
前記フラップシール部の他方の端部側に接続され、前記シャフトの周面で、前記シャフトの周方向に設けられ、前記ケーシングの前記底部の内周面に押接する環状の第2シャフトシール部と、
一端部が前記第1シャフトシール部に接続され、他端部が前記第2シャフトシール部に接続され、中間部が前記シャフトの周面で、前記シャフトの軸方向に沿って設けられ、前記ケーシング本体の内周面に押接する第3シャフトシール部とを有し、
前記ケーシング本体の内周面に、
前記開放面から前記底部に向かって延び、前記フラップシール部が嵌入する第1のくぼみ、前記第3シャフトシール部が嵌入する第2のくぼみのうち、少なくとも一方のくぼみが形成されていることを特徴とする請求項1記載のドアチェック装置。
【請求項3】
前記第1くぼみ、第2くぼみのうち少なくとも一方のくぼみは、
前記ドアが全閉している時のパッキンのフラップシール部、第3シャフトシール部のうちの一方のシール部と対向する位置に形成されていることを特徴とする請求項2記載のドアチェック装置。
【請求項4】
前記第1くぼみ、第2くぼみのうち少なくとも一方のくぼみは、
前記ドアが開くに従って、くぼみの周方向の深さが漸次的に浅くなることを特徴とする請求項2又は3記載のドアチェック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−102860(P2009−102860A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274658(P2007−274658)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(590001164)シロキ工業株式会社 (610)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】