説明

ドアトリム用プルハンドルの取付構造

【課題】ドアトリムのアームレスト内に収容固定されるプルハンドルの取付構造であって、部品点数を削減でき、コスト低減を図るとともに、取付強度を高め、かつ衝撃吸収性能をも向上させる。
【解決手段】プルハンドル30は、ボックス状に形成したプルハンドル本体部32の上縁左右両側にパネル固定用取付片34,35を設け、プルハンドル30をドアトリム本体20の表面適宜所定位置に位置決めした後、上記パネル固定用取付片34,35をドアパネル40にビス止め固定することで、従来のホルダブラケットを廃止してコスト低減を図るとともに、衝撃吸収性能を高める。また、プルハンドル30をドアトリム本体20にモジュール化した後、ドアパネル40にプルハンドル30を直接ビス止め固定することにより、作業性を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車用ドアトリムのアームレストに設けられるドアトリム用プルハンドルの取付構造に係り、特に、側突時における乗員に加わる反力を低減することができるとともに、外観見栄えも向上し、かつ廉価に実施できるドアトリム用プルハンドルの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、車両の側壁パネルの室内面側には、種々の内装部品が装着されており、室内美観の向上と乗員に対する安全保護に貢献している。図9,図10はドアパネル1に取り付けられるドアトリム2を示すもので、このドアトリム2は、保形性とドアパネル1への取付剛性を備えた樹脂芯材2aの表面にソフト感、表面風合いを高めるために表皮2bを積層した構成であり、ドアトリム2のほぼ中央部に乗員が肘を掛けて休めるアームレスト3が設置されている。このアームレスト3の上面開口3aにプルハンドル4が収容され、このプルハンドル4内に乗員が手を差し入れてドアの開閉を行なっている。
【0003】
上記プルハンドル4の従来の取付構造については、ケース状に成形されたプルハンドル4をアームレスト3の開口3a内に収容し、プルハンドル4の底面にビス4aをアームレスト3内部のブラケット3bに締着固定することでプルハンドル4をドアトリム2に固定している。そして、プルハンドル4内に手を差し入れて、プルハンドル4の内側面とアームレスト3の表面側とを手で持って、ドアの開閉操作をした際、プルハンドル4がドアパネル1から離間するのを防止するために、プルハンドル4の外側面を包持するホルダブラケット5が設けられており、このホルダブラケット5は、両側の取付片6をビス6aを介してドアパネル1に強固に取り付けられている。尚、プルハンドル4を使用してドアを開閉操作する際、低級音を防止するために、プルハンドル4とホルダブラケット5との間に不織布マット7が介装されている。上記プルハンドル4の従来の取付構造については、特許文献1に詳細に記載されている。
【0004】
【特許文献1】実開平1−165726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来のプルハンドル4の取付構造は、ドアトリム2のアームレスト3内にプルハンドル4を収容した後、プルハンドル4の底面をドアトリム2に対してビス止め固定するとともに、ドアパネル1に対してプルハンドル4を堅固に保持するために、ホルダブラケット5を付設するという構成である。従って、例えば、側突等、車両の外側から衝撃を受けた際、このホルダブラケット5がストッパーとして機能し、アームレスト3が撓み変形するのを阻害するため、衝撃荷重を吸収する際の障害となっていた。更に、プルハンドル4使用時の強度を確保するホルダブラケット5や低級音防止用の不織布マット7を必要とするため、部品点数が多く、取付工数も嵩み、コスト高を招くとともに、プルハンドル4の底面に取付用のビス4aのヘッドが外部に目立ち、体裁も好ましいものではなかった。
【0006】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ドアトリムのアームレスト内部に収容されるプルハンドルの取付構造であって、従来のホルダブラケットや低級音防止用の不織布マット等の備品を廃止しても、強固な取付強度が確保でき、しかも、側突時における乗員に加わる反力を低減することで、衝撃吸収性能にも優れるとともに、外観上も好ましいドアトリム用プルハンドルの取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明者は、鋭意研究の結果、従来のホルダブラケットを廃止しても、プルハンドルの強固な取り付けを確保できるように、プルハンドルを直接ドアパネルに固定するとともに、特に、プルハンドルの使用時における力の分布状況を考慮して、最適ポイントに固定点を設定することで、部品点数を削減でき、衝撃吸収性能にも優れ、かつ取付強度を強化できる理想的な取付構造が得られることに着目して、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、ドアパネルの室内面側に取り付けられる自動車用ドアトリムにおいて、上記ドアトリムは、ドアトリム本体の表面に室内側に膨出するようにアームレストが形成され、このアームレスト内部にプルハンドルを収容固定するドアトリム用プルハンドルの取付構造であって、前記プルハンドルは、ケース状に成形されたプルハンドル本体部の両側にパネル固定用取付片が設けられており、このパネル固定用取付片をドアパネルに固定することにより、プルハンドルが直接ドアパネルに支持されていることを特徴とする。
【0009】
ここで、プルハンドルは、ドアパネルの室内面側に装着されるドアトリムに取り付けられる。このドアトリムは、ドアトリム本体のほぼ中央に室内側に膨出状にアームレストが形成され、このアームレスト内部にプルハンドルが収容固定される。上記ドアトリム本体は、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等の熱可塑性樹脂をモールドプレス成形、コールドプレス成形、射出成形等の工法により、所望の曲面形状に成形された樹脂成形体単体から構成しても良く、また、樹脂成形体を芯材としてその表面に表皮を積層してなる積層構造体から構成することもできる。上記プルハンドルを収容固定するためのアームレストは、ドアトリム本体と一体に成形することもでき、また、ドアトリム本体の表面に別体のアームレストを装着しても良い。本発明では、プルハンドルを直接ドアパネルに固定した後、この取付部を隠すために後工程でアームレストにより被包するため、少なくともアームレストアッパーは、プルハンドルをドアパネルに取り付けた後にドアトリムの表面側に取り付けられるのが良い。
【0010】
次いで、プルハンドルは、熱可塑性樹脂の射出成形体から構成されており、ケース状に成形されたプルハンドル本体部の左右両側にドアパネルに直接固定するためのパネル固定用取付片が形成され、このパネル固定用取付片には、ドアパネルにビス止めするビスを挿通させる取付孔が開設されている。そして、プルハンドルをドアトリム、ドアパネルに取り付けるには、例えば、アームレストがアームレストアッパーとアームレストロアに分割された構成である場合には、ドアトリム本体と一体、あるいは別体のアームレストロアにプルハンドルの下半部分が隠れるように、プルハンドルをドアトリム本体の表面所定位置に位置決めし、プルハンドル本体部の両側のパネル固定用取付片をドアパネルに直接ビス止め固定する。この時には、ドアトリムはドアパネルに組み付けられている。その後、パネル固定用取付片やビスを隠すように、アームレストアッパーをアームレストロア上に取付固定することで、取り付けが完了する。
【0011】
また、アームレストがアームレストアッパーとアームレストロアに分割されていない一体型構造の場合には、予めドアパネルに組み付けられているドアトリム本体の表面所定位置にプルハンドルを位置決めし、プルハンドル本体部の両側のパネル固定用取付片をドアパネルに対して直接ビス止め固定した後、アームレストをドアトリム本体の表面所定位置に装着し、プルハンドルの開口のみを室内側に露出するように取り付ければ良い。
【0012】
以上の構成から明らかなように、プルハンドルはプルハンドル本体部の両側に設けたパネル固定用取付片を直接ドアパネルに取り付けるという構成を採用することで、従来のホルダブラケットを廃止することができ、両者に介装される低級音防止用の不織布マットも不要となり、部品点数を削減できるとともに、側突時における乗員に衝撃荷重が加わった際、ホルダブラケットを廃止したため、ストッパーとして突っ張ることがなく、アームレストが有効に撓み変形し、アームレストの衝撃吸収性能を良好に維持できる。更に、取付部がアームレストアッパーにより被覆され、ビス等のヘッドが外部に目立たないため、外観見栄えが向上する。
【0013】
次いで、本発明の好ましい実施の形態においては、前記プルハンドルは、プルハンドル本体部の下側ほぼ中央に更にパネル固定用取付片を付設することにより、プルハンドルは、ドアパネルに対して3点の固定ポイントで支持固定されていることを特徴とする。そして、この実施の形態によれば、プルハンドルをドアパネルに対してプルハンドル本体部の上縁両側とプルハンドル本体部の下側の3点でドアパネルに直接固定するという構成を採用すれば、プルハンドルをより強固にドアパネルに支持固定することができる。
【0014】
次いで、本発明の更に好ましい実施の形態においては、前記プルハンドルは、プルハンドル本体部にトリム固定用取付片を付設し、このトリム固定用取付片により、プルハンドルをドアトリム本体に仮保持した状態で、プルハンドル本体部の両側に位置するパネル固定用取付片をドアパネルに固定したことを特徴とする。そして、この実施の形態によれば、プルハンドルにおけるプルハンドル本体部にトリム固定用取付片を設定してドアトリム本体に仮止めすることで、ドアトリム本体とプルハンドルとをモジュール化することができ、ドアパネルへの取付作業効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明した通り、本発明に係るドアトリム用プルハンドルの取付構造によれば、プルハンドル自体にパネル固定用取付片を設定することにより、従来のホルダブラケット並びに低級音防止用不織布マットを廃止することができ、廉価に製作できるとともに、側突時等、衝撃吸収性能の障害となっていたホルダブラケットを廃止することで、衝撃吸収性能を高めることができる。更に、最適位置に固定ポイントを設定したため、ドア開閉時における引っ張り荷重に対して有効な強度を確保でき、しかも、取付ポイントをアームレストにより被覆したことで外観性能を高めることができる等種々の作用効果を備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係るドアトリム用プルハンドルの取付構造の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、念のため付言すれば、本発明の要旨は特許請求の範囲に記載した通りであり、以下に説明する実施例1、実施例2は、本発明の一例を示すものに過ぎない。
【実施例1】
【0017】
図1乃至図5は本発明の第1実施例を示すもので、図1は本発明に係るドアトリム用プルハンドルの取付構造を適用したドアトリムを示す外観図、図2は同ドアトリムを構成するドアトリム本体並びにプルハンドル、アームレスト等を分解して示す分解斜視図、図3乃至図5は同ドアトリムにおけるプルハンドルの取付部分の構造を示す各断面図である。
【0018】
図1,図2において、本発明に係る自動車用ドアトリム10は、所望の曲面形状に成形されたドアトリム本体20と、このドアトリム本体20の表面適宜箇所に装着される機能部品であるアームレストロア21、アームレストアッパー22、ドアポケット23、プルハンドル30とから大略構成されている。そして、この自動車用ドアトリム10は、図示しないクリップ等の固着手段を介してドアパネル40の室内面側に装着される。更に詳しくは、ドアトリム本体20は、この実施例では、ポリプロピレン(PP)系樹脂をモールドプレス成形することにより所要形状に成形してなる合成樹脂成形体単体から構成したが、合成樹脂成形体の表面にサーモプラスチックオレフィン(TPO)シートや、TPOシート裏面にポリエチレンフォーム等のクッション層を裏打ちした積層シート材料等の表皮を表面側に積層一体化した積層構造を採用することもできる。また、ドアトリム本体20を構成する樹脂材料としては、ポリプロピレン系樹脂の他にポリエチレン系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等、汎用の合成樹脂を使用することもできる。
【0019】
次いで、乗員が肘を掛けて休めるように、ドアトリム本体20の表面ほぼ中央に、アームレストが取り付けられているが、この第1実施例では上下二分割構成のアームレストロア21とアームレストアッパー22がドアトリム本体20とは別体に形成され、それぞれ個別にドアトリム本体20に装着される。尚、アームレストロア21は、ドアトリム本体20と一体に成形することも可能である。この実施例では、ポリプロピレン系樹脂を射出成形することで、アームレストロア21、アームレストアッパー22がそれぞれ別個に成形されている。更に、その下方には、備品を収容できるドアポケット23がこれもポリプロピレン系樹脂を射出成形することにより所要形状に成形され、ドアトリム本体20の表面下側に図示しない取付手段を介して装着されている。
【0020】
ところで、本発明は、プルハンドル30の取付構造に特徴があり、このプルハンドル30は、図1に示す組付完了後の状態ではアームレストロア21とアームレストアッパー22とで構成されるアームレスト21,22の内面に収容されており、プルハンドル30の開口31だけがアームレストアッパー22の開口22aから室内側に臨んでいる。このプルハンドル30の構成としては、上面に開口31を備えるケース状に成形されたプルハンドル本体部32を備えており、このプルハンドル本体部32の上縁は、アームレストアッパー22をアームレストロア21上に取り付ける際、アームレストアッパー22の一部を支持できるように、所定幅の上縁フランジ33が形成されているとともに、特に、このプルハンドル30は、プルハンドル本体部32の左右両側にパネル固定用取付片34,35が外方に向けて矩形状に突設形成されているとともに、プルハンドル本体部32の下側ほぼ中央にもパネル固定用取付片36が付設されている。尚、この実施例では、プルハンドル30をドアパネル40に対して3点で固定する構成であるが、左右側のパネル固定用取付片34,35の2箇所のみで固定する2点支持方式を採用することもできる。
【0021】
従って、プルハンドル30をドアパネル40の室内面側にビス50を介して取り付けるため、ドアトリム本体20の適宜箇所には、プルハンドル30の各パネル固定用取付片34,35,36の各取付孔34a,35a,36aと合致する貫通孔24a,24b,24cが開設されており、これら貫通孔24a,24b,24cを通じてビス50a,50b,50cをドアパネル40の取付孔41a,41b,41cにビス止め固定することにより、プルハンドル30は、図3乃至図5に示すように、3箇所の固定ポイントでドアパネル40に強固に支持固定されている。
【0022】
そして、この取付構造によれば、プルハンドル30を直接ドアパネル40に取り付けるという構成を採用しているため、ホルダブラケットにより支持する必要がなく、ホルダブラケットや低級音を防止するための不織布マットを廃止することができ、部品点数の低減により、コストダウンを招来することができる。また、ホルダブラケットを廃止することができるため、例えば、側突等、車両の側方から衝撃が加わった際、障害となるストッパーがないため、アームレスト21,22における有効な撓み変形が期待でき、衝撃吸収性能にも優れている。そして、図3乃至図5に示すように、プルハンドル30の固定ポイントは、プルハンドル30の上部側の左右両側の2箇所か、あるいは左右両側の2箇所に下側中央を付設した3箇所で強固にドアパネル40に取り付けることができるため、ドアの開閉操作時、プルハンドル30内部に指を差し入れて、プルハンドル30の内面とアームレストアッパー22外面との間を掴んで開閉操作を行なえば、引っ張り荷重を左右両側のパネル固定用取付片34,35で有効に受けることができ、ドア開閉操作時に荷重が作用する部位に固定ポイントを適切に設定することができるため、取付強度的にも好ましいとともに、図5に示すように、アームレストアッパー22により、プルハンドル30の開口31を除いた各部分を覆い隠すことにより、外観見栄えにおいても優れている。
【実施例2】
【0023】
図6はドアトリム及びプルハンドルを示す分解斜視図、図7はプルハンドルをドアトリム本体にモジュール化した状態を示す断面図、図8はドアパネルへのプルハンドルをモジュール化したドアトリムをドアパネルに取り付けた状態を示す断面図である。
【0024】
この第2実施例においては、ドアトリム本体20に対してプルハンドル30をモジュール化する構成が採用されている。すなわち、図6に示す分解斜視図においては、第1実施例と同様に所要形状に成形されているドアトリム本体20に対してアームレストロア21、アームレストアッパー22、ドアポケット23がそれぞれ表面所定位置に取り付けられるとともに、プルハンドル30については、プルハンドル本体部32の下側に下方に向いて延びるトリム固定用取付片37が設定されている。
【0025】
そして、図7に示すように、ドアトリム本体20には、アームレストロア21とドアポケット23が装着されており、アームレストロア21にプルハンドル30の下半部分が隠れるようにプルハンドル30を位置決めし、プルハンドル30下側のトリム固定用取付片37のクリップ部37aを撓み変形させてドアトリム本体20の取付孔25に係着固定することで、プルハンドル30をドアトリム本体20の所定位置にモジュール化することができる。尚、クリップタイプのトリム固定用取付片37の構成をビス止めタイプに代替することも可能である。
【0026】
次いで、プルハンドル30を所定位置にモジュール化したドアトリム本体20については、図示しないクリップ等の固着手段を介してドアパネル40の室内面に取り付けるが、その際、プルハンドル30のプルハンドル本体部32の上部両側に設けられているパネル固定用取付片34,35の各取付孔34a,35aに車体固定用ビス50a,50bを挿通させ、この車体固定用ビス50a,50bは、ドアトリム本体20に開設されている貫通孔24a,24bを通ってドアパネル40の取付孔41a,41bに締め付け固定されることでプルハンドル30が強固に取付固定される。この車体固定用ビス50a,50bのビス止め工程は第1実施例と同一である。そして、図8に示すように、プルハンドル30をドアパネル40の取付孔にビス止め固定した後、アームレストアッパー22により、プルハンドル30の開口31を除いた箇所を覆うようにアームレストロア21に取り付けてプルハンドル30の組み付けが完了する。
【0027】
従って、この第2実施例においても、プルハンドル30を直接ドアパネル40にビス止め固定する構成を採用しているため、従来使用していたホルダブラケットや低級音を防止するための不織布マットを廃止することができ、部品点数を削減することで大幅なコストダウンを招来できるとともに、特に、アームレスト部分の衝撃吸収性能の障害となっていたホルダブラケットを廃止することで、アームレスト部における衝撃吸収性能を高めることができる。また、プルハンドル30の左右両側に位置するパネル固定用取付片34,35という最適位置に固定ポイントを設定したため、ドア開閉時にプルハンドル30に加わる引っ張り荷重を有効に受けることができ、取付強度を長期に亘り良好に保持することができる。更に、この第2実施例においては、第1実施例に加えて、特に、プルハンドル30をドアトリム10にモジュール化したため、ドアトリム本体20とプルハンドル30とを一括してドアパネル40の室内面に取り付けることができ、トータル面の取付作業を簡素化できるという有利さがある。
【産業上の利用可能性】
【0028】
実施例1、実施例2に示すプルハンドル30の周囲の構成としては、ドアトリム本体20と別体にアームレストロア21、アームレストアッパー22を形成し、ドアトリム本体20にまずアームレストロア21を取り付けた後、ドアトリム本体20、及びプルハンドル30をドアパネル40に固定し、最終段階でアームレストアッパー22を組み付けて構成したが、アームレストロア21は、ドアトリム本体20と一体構成としても良く、また、アームレストロア21とアームレストアッパー22とを一体化した一体化構造のアームレストの場合には、ドアパネル40にドアトリム本体20を組み付けた後、プルハンドル30をドアパネル40に固定し、次いで、アームレストをドアトリム本体20に取り付ける工程順序を採用することもできる。このように、本発明においては、プルハンドル30を直接ドアパネル40にビス止め固定する方式を採用するならば、アームレストがドアトリム本体20と一体、あるいは別体のいずれでも良く、また、アームレストがアッパーとロアの上下二分割構造でも、また、一体化構造のいずれでも構わない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係るドアトリム用プルハンドルの取付構造の第1実施例を採用したドアトリムを示す外観図である。
【図2】本発明に係るドアトリム用プルハンドルの第1実施例を示す分解斜視図である。
【図3】図2に示すドアトリム用プルハンドルの取付構造におけるプルハンドルをドアパネルにビス止め固定した状態を示す横断面図である。
【図4】図2に示すドアトリム用プルハンドルの取付構造におけるプルハンドルをドアパネルにビス止め固定した状態を示す縦断面図である。
【図5】図2に示すドアトリム用プルハンドルの取付構造におけるプルハンドルをドアパネルにビス止め固定した状態を示す縦断面図である。
【図6】本発明に係るドアトリム用プルハンドルの取付構造の第2実施例を示す分解斜視図である。
【図7】図6に示すドアトリム用プルハンドルの取付構造の第2実施例において、プルハンドルをモジュール化したドアトリムをドアパネルに取り付ける状態を示す断面図である。
【図8】図6に示す第2実施例におけるプルハンドルをモジュール化したドアトリムをドアパネルに取り付けた状態を示す断面図である。
【図9】プルハンドルを備えた従来のドアトリムをドアパネルに取り付ける状態を示す説明図である。
【図10】従来のプルハンドルの取付構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0030】
10 自動車用ドアトリム
20 ドアトリム本体
21 アームレストロア
22 アームレストアッパー
23 ドアポケット
24a,24b,24c 貫通孔
30 プルハンドル
31 プルハンドル開口
32 プルハンドル本体部
33 上縁フランジ
34,35 パネル固定用取付片
34a,35a 取付孔
36 パネル固定用取付片
36a 取付孔
37 トリム固定用取付片
40 ドアパネル
41a,41b,41c 取付孔
50a,50b,50c 車体固定用ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアパネル(40)の室内面側に取り付けられる自動車用ドアトリム(10)において、上記ドアトリム(10)は、ドアトリム本体(20)の表面に室内側に膨出するようにアームレスト(21,22)が形成され、このアームレスト(21,22)内部にプルハンドル(30)を収容固定するドアトリム用プルハンドルの取付構造であって、
前記プルハンドル(30)は、ケース状に成形されたプルハンドル本体部(32)の両側にパネル固定用取付片(34,35)が設けられており、このパネル固定用取付片(34,35)をドアパネル(40)に固定することにより、プルハンドル(30)が直接ドアパネル(40)に支持されていることを特徴とするドアトリム用プルハンドルの取付構造。
【請求項2】
前記プルハンドル(30)は、プルハンドル本体部(32)の下側ほぼ中央に更にパネル固定用取付片(36)を付設することにより、プルハンドル(30)は、ドアパネル(40)に対して3点の固定ポイントで支持固定されていることを特徴とする請求項1に記載のドアトリム用プルハンドルの取付構造。
【請求項3】
前記プルハンドル(30)は、プルハンドル本体部(32)にトリム固定用取付片(37)を付設し、このトリム固定用取付片(37)により、プルハンドル(30)をドアトリム本体(20)に仮保持した状態で、プルハンドル本体部(32)の両側に位置するパネル固定用取付片(34,35)をドアパネル(40)に固定したことを特徴とする請求項1に記載のドアトリム用プルハンドルの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−44423(P2008−44423A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219532(P2006−219532)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000124454)河西工業株式会社 (593)
【Fターム(参考)】