説明

ドアハンドルストローク切替構造

【課題】本発明は、非常時における操作部材の操作方法失念による車内閉じ込め防止等を可能とするドアハンドルストローク切替構造を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明のドアハンドルストローク切替構造は、ラッチ機構と、電気式ラッチ駆動機構と、機械式ラッチ駆動機構と、電気式ラッチ駆動機構と機械式ラッチ機構とを操作する操作部材を有し、操作部材は、閉鎖位置と、電気式ラッチ駆動機構を操作する第1位置と、機械式ラッチ駆動機構を操作する第2位置と、に移動可能であり、操作部材40の閉鎖位置から第1位置まで移動させる動作と、操作部材40を閉鎖位置から第2位置まで移動させる動作とを共通にするとともに、動作による操作部材の閉鎖位置から第1位置までの移動量よりも、閉鎖位置から第2位置までの移動量が大きくなるように形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアハンドルストローク切替構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のドア開口部を開閉するドアは、ドアロックストライカーに係合して、ドアがドア開口部の閉塞している状態を保持するとともに、ドアハンドル(操作部材)の開操作により、ドアロックストライカーとの係合を解除(以下、「開動作」という。)するラッチ機構を備える。
【0003】
また、下記特許文献1によれば、通常時と非常時に分けて、一つのラッチ機構に開動作させる二つのラッチ駆動機構と、その二つのラッチ駆動機構のそれぞれを操作する二つの操作部材とを備えるドアが開示されている。
具体的に、特許文献1のドアは、通常時において、モータ等の動力源によりラッチ機構に開動作させる電気式ラッチ駆動機構と、その電気式ラッチ駆動機構を起動させるスイッチとを備えている。
また一方で、特許文献1のドアは、配線の断線やバッテリ上がりなどによって電気的にラッチ開動作機構を起動させることができない非常時に備え、機械的にラッチ機構に開動作させる機械的ラッチ駆動機構と、その機械的ラッチ駆動機構を駆動させる操作部材とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−169903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示される発明によれば、通常時用である電気式ラッチ駆動機構を操作する操作部材の操作方法と、非常時用である機械的ラッチ駆動機構を操作する操作部材の操作方法とが異なっていた。よって、利用者は、二つの操作部材の異なる操作方法を理解して覚える必要があり、利用者に多大な負担を強いるものであった。
特に、非常時のドア開操作においては、普段から非常用の操作部材を使用しないため、一度その操作方法を理解したとしても、使用時において操作方法を失念している可能性があった。
したがって、乗員が車内にいる状態で、通常時用の電気式ラッチ駆動機構が作動しないため、乗員がパニックになり、非常用ドア開放操作を行えず、車室内に閉じ込められるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、前記問題に鑑みて創案された発明であって、通常時の電気式ラッチ駆動機構と非常時の機械式ラッチ駆動機構を操作する操作部材を共通にすることにより、利用者の負担軽減と、非常時の操作方法失念による車内閉じ込め防止とを可能とするドアハンドルストローク切替構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に係るドアハンドルストローク切替構造は、車両のドア開口部を開閉するドアと、前記ドアを前記車両に係合させるラッチ機構と、前記ラッチ機構を電気的に開動作させる電気式ラッチ駆動機構と、前記ラッチ機構を機械的に開動作させる機械式ラッチ駆動機構と、を備え、前記ドアに、前記電気式ラッチ駆動機構と前記機械式ラッチ機構とを操作する操作部材を設け、前記操作部材は、前記ラッチ機構を開動作させない閉鎖位置と、前記電気式ラッチ駆動機構により前記ラッチ機構を開動作させる第1位置と、前記機械式ラッチ駆動機構により前記ラッチ機構を開動作させる第2位置と、に移動可能であり、使用者が前記操作部材の前記閉鎖位置から第1位置まで移動させる動作と、前記操作部材を前記閉鎖位置から第2位置まで移動させる動作とを共通にするとともに、前記動作による操作部材の前記閉鎖位置から第1位置までの移動量よりも、前記閉鎖位置から前記第2位置までの移動量が大きくなるように形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載のドアハンドルストローク切替構造によれば、共通する操作部材を操作することによって、電気式ラッチ駆動機構と機械式ラッチ機構とを操作することが可能となる。
そして、操作部材を、ラッチ機構を開動作させない閉鎖位置から、電気式ラッチ駆動機構によりラッチ機構を開動作させる第1位置に移動させる操作方法と、機械式ラッチ駆動機構によりラッチ機構を開動作させる第2位置に移動させる操作方法とが共通である。
よって、電気式ラッチ駆動機構と機械式ラッチ駆動機構を操作する操作部材の移動量、つまり、操作部材のストロークを切り替えることによって、一つの操作部材であって共通する操作方法により、電気式ラッチ駆動機構と機械式ラッチ駆動機構とを操作することができる。そのため、利用者が操作部材の操作方法を理解し覚えるのが容易となるとともに、使用時において操作方法を失念する可能性を低減させることができる。
【0009】
また、電気式ラッチ駆動機構と機械式ラッチ駆動機構とを操作する操作部材を共通化できるため、部品点数の削減を図ることができる。
また、非常時の操作部材の操作方法は、通常時における閉鎖位置から第1位置に移動させる移動量よりも移動量が大きい、閉鎖位置から第2位置までの移動である。
よって、通常時においては、操作部材の小さい移動量によって、ラッチ機構に開動作させているため、利用者は小さい力でドアを開放することができる。一方で、非常時は、パニック等により操作部材を強く操作する可能性が高く、その強く操作したことにより操作部材が第2位置に移動し、ラッチ機構を開動作させることができ、車室内に閉じ込められる可能性を低減させることが可能である。
【0010】
また、請求項2に記載のドアハンドルストローク切替構造は、前記操作部材の前記第1位置から前記第2位置までの移動を規制する規制機構を設け、前記規制機構は、前記操作部材の前記第1位置から前記第2位置までの移動の規制を解除する解除機構を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載のドアハンドルストローク切替構造によれば、第1位置から第2位置までの移動を規制する規制機構を備えるため、通常時において、利用者は誤って操作部材を第2位置に移動することを防止できる。一方で、規制機構を解除する解除機構を設けることによって、非常時にのみ、操作者は操作部材を第2位置まで移動させることができ、利用者はドアを緊急開放することができる。
【0012】
また、請求項3に記載のドアハンドルストローク切替構造は、前記操作部材の前記第1位置から前記第2位置までの移動を規制する規制部材を設け、前記操作部材は、ドアに設けられた回転軸を中心として回動するハンドルであり、前記規制機構は、前記規制部材に設けられた係止部と、前記ハンドルに設けられるとともに前記ハンドルの回動方向で、前記規制部材に設けられた係止部に係止する被係止部と、から構成され、前記解除機構は、前記係止部を備えるとともに前記回転軸に挿通される長孔部を備えた前記規制部材から構成され、前記規制部材は、前記長孔部の長手方向の一端側に前記回転軸が位置する時に前記ハンドルの被係止部に係止され、前記長孔部の長手方向の他端側に前記回転軸が位置する時に前記ハンドルの被係止部の係止が解除されることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載のドアストローク切替構造によれば、規制部材が、その規制部材に形成された長孔部を介して、ハンドルの回転軸をガイドとして利用してスライドしているため、規制機構と解除機構の簡略化、及び、部品点数の削減が図れる。
【0014】
また、請求項4に記載のドアハンドルストローク切替構造は、前記ハンドルは、付勢部材によって前記閉鎖位置に復帰するように付勢されており、前記規制部材は、前記付勢部材によって前記規制部材の係止部が、前記ハンドルの被係止部に係止される位置に復帰するように付勢されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載のドアハンドルストローク切替構造によれば、ハンドルが閉鎖位置に復帰するように付勢する付勢部材を利用して、規制部材の係止部をハンドルの被係止部に係止される位置に復帰させているため、別個に付勢部材を設けた場合に比べて、部品点数の削減を図れる。
【0016】
また、請求項5に記載のドアハンドルストローク切替構造は、前記操作部材を前記第2位置で固定可能な開状態維持機構を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載のドアハンドルストローク切替構造によれば、利用者が操作部材を第2位置に固定しなくとも、開状態維持機構により操作部材を第2位置に固定できるため、利用者が、誤ってドアを閉めた場合であっても、操作部材を第2位置に移動させることなくドアを開放することができる。
【0018】
特に、請求項5のドアハンドルストローク切替構造が、ドアのインナハンドルにのみ適用され、乗員が一旦車外に出た後に、ドアを閉める場合がある。このような場合に、乗員は、上記ドアハンドルストローク切替構造とは別の車外側の非常用ドア解放機構を使用してドアを開けなければならず、非常に手間がかかる。よって、この様な場合、開状態維持機構により、操作部材をドアの開放状態に維持することができ、車外から非常用ドア解放機構を使用するという手間を回避することができる。
【0019】
また、請求項6に記載のドアハンドルストローク切替構造は、前記ハンドルは、前記回転軸の径方向に突出する突起部を備え、前記突起部の前記ハンドルの回転軸方向の一端側に前記被係止部が設けられるとともに、前記突起部の前記ハンドルの回転軸方向の他端側に、前記規制部材の係止部が係止可能な第2の被係止部を備え、前記第2位置の時に、前記規制部材の係止部が前記第2の被係止部に係止することを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載のドアハンドルストローク切替構造によれば、ハンドルに設けられた第2の被係止部に、規制部材の係止部が係止するため、ハンドルを第2位置に固定することができる。
【0021】
また、請求項6のドアハンドルストローク切替構造が、ドアのインナハンドルにのみ適用され、乗員が一旦車外に出た後に、ドアを閉める場合がある。このような場合に、乗員は、非常用ドア解放機構を使用してドアを開けなければならず、非常に手間がかかる。よって、この様な場合、開状態維持機構により、操作部材をドアの開放状態に維持することができ、車外から非常用ドア解放機構を使用するという手間を回避することができる。
ハンドルに簡易な構成である突起部を設けることにより、操作部材の移動量を第1位置に規制するとともに、操作部材を第2位置に固定させるという2つの機能を持たせることができるため、構造の簡略化及び、部品点数の削減を図ることができる。
【0022】
請求項7に記載のドアハンドルストローク切替構造は、前記規制部材は、前記操作部材を第1位置から第2位置まで移動させる動作によって、操作部材に所定の力が加わったときに破断可能な脆部を備えることを特徴とする。
【0023】
請求項7に記載の規制部材ドアハンドルストローク切替構造によれば、通常よりも強い力である所定の力により、破断する脆部が設けられている。よって、非常時において、利用者は、パニック等により操作部材に強い力で操作する可能性が高く、その強い力により規制部材が破断して、操作部材を第2位置に移動して、ドアを緊急開放することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上、本発明によれば、通常時の電気式ラッチ駆動機構と非常時の機械式ラッチ駆動機構を操作する操作部材が共通し、かつ、その操作部材のストロークを切り替えることにより、通常時の電気式ラッチ駆動機構と非常時の機械式ラッチ駆動機構を操作することができる。よって、利用者の負担軽減と、非常時の操作方法失念による車内閉じ込め防止とを可能とするドアハンドルストローク切替構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態のドアを車内上部側から見た場合の斜視図である。
【図2】実施形態のドアに設けられた操作部を示す図である。
【図3】図2に示す操作部を分解した場合を車内上部側から見た分解斜視図である。
【図4】図2に示す操作部を分解した場合を車外側面の下部側から見た分解斜視図である。
【図5】図2に示す操作部を上部側から見た場合の平面図である。
【図6】ドア本体部に格納されたラッチ機構と、ラッチ駆動機構の一部断面を示す側面図である。
【図7】通常時における操作部の使用方法を説明するための平面図である。
【図8】通常時におけるラッチ機構とラッチ駆動機構の動作を説明するための側面図である。
【図9】非常時における操作部の使用方法を説明するための平面図である。
【図10】非常時におけるラッチ機構とラッチ駆動機構の動作を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態によるハンドルストローク切替構造について、図面を参照しながら説明をする。なお、実施形態の説明において、同一の要素には同一の符号を付している。
図1に示すドア1は、車両の左側フロントドアである。ドア1は、車室内に乗員が乗降可能に形成されたドア開口を開閉する部材であり、そのドア開口を開閉自在となるように車体に取り付けられる部材である。
ドア1は、図1に示すように、ドア開口部に対応する形状に形成されたドア本体部3と、そのドア本体部3内に格納されるドアロック装置10を備えてなる。
ドア本体部3は、本発明において特に限定されるものでないため、詳細な説明を省略するが、後記するドアロック装置10の構成を格納するための図示しない格納スペースが形成されている。
【0027】
(ドアロック装置10)
ドアロック装置10は、図1に示すように、ドア本体部3に格納されるとともに、ドア開口部の端面から突出する平面視U字状に形成されたドアロックストライカー2に係脱する装置である。
ドアロック装置10は、図1に示すように、操作部20と、ラッチ機構70と、ラッチ駆動機構80(図6参照)とを備えて構成されている。
以下、ドアロック装置10を構成する操作部20と、ラッチ機構70、ラッチ駆動機構80の詳細について説明する。なお、本実施形態において、車両のドア開放部を閉塞した状態における左側フロントドアであるドア1を基準として、車両前方を前方、車両後方を後方、車両側面側の車外側を左側、車両の車内側を右側、車両のルーフ側を上部側、車両の底面側を下部側、に置き換えて、説明する。
【0028】
(操作部20)
操作部20は、図1に示すように、ドア本体部3内に格納された状態で、ドア本体部3の車室側である右側側面に露出するように配置されており、車室の乗員に操作可能に設けられている。操作部20は、図2に示すように、ケース30と、トリガーボタン40と、ハンドル50と、スプリング60とを備えてなる。
【0029】
(ケース30)
ケース30は、図2に示すように、トリガーボタン40、ハンドル50、スプリング60を収容する筐体である。ケース30は、図3と図4に示すように、その筐体の底面をなすケース下部部材31と、そのケース下部部材31と同形状の上部面33と側壁面34が一体的に形成されてなるケース上部部材32とを組み合わせて構成されている。
【0030】
ケース下部部材31は、図3と図4に示すように、ドア本体部3に形成された操作部20を収納するスペース(図示しない)に対応するように形成される板状部材である。ケース下部部材31は、平面視で、左側端辺の前方側が、略直線状であり、左側端辺の後方側が、右側に向って凹む凹部31aを有している。
また、ケース下部部材31には、図3に示すように、後方側であって凹部31a近傍に、後記するケース上部部材32の軸部35が嵌合可能な穴部31bが形成されている。
【0031】
ケース上部部材32は、図3と図4に示すように、ケース下部部材31と同形状に形成されてなる上部面33と、その上部面33の端辺から下部側に延出してなる側壁面34と、その上部面33に形成された軸部35とケース突起部36とが一体的に形成されてなる部材である。
上部面33は、ケース下部部材31と同形状に形成してなる板状部分であり、かつ、左側端辺の前方側が、ほぼ直線状であって、左側端辺の後方側が、右側に向って凹む凹部33aを有している。
また、側壁面34は、上部面33の前方側端辺と、左側端辺の前方側端辺と、右側端辺と後方側端辺とからなる右後角部近傍の端辺とから下部側に延出してなる部分である。
これにより、ケース下部部材31をケース上部部材32に組み合わせた場合、図5に示すように、トリガーボタン40、スプリング60、ハンドル50を収容できる空間が形成される。
また、ケース30は、右側側面に車室側開口部30aが形成されるとともに、左側の後方側面の後方寄りの一部にドア本体側開口部30bが形成されている。
これにより、図5に示すように、ケース30内に収容されたハンドル50を車室から引くことが可能となるとともに、ハンドル50を後記するラッチ駆動機構80に連結するケーブルKと接続することができる。
【0032】
また、ケース上部部材32の軸部35は、図3と図4に示すように、上部面33の底面側から下部方向に向って延在する円柱体である。
軸部35は、ケース下部部材31とケース上部部材32と組み合わせた場合、ケース下部部材31に形成された穴部31bに嵌合するように形成されている。
【0033】
ケース突起部36は、図3と図4に示すように、上部面33の底面側から下部方向に向って突起してなる部分である。また、ケース突起部36は、軸部35周辺から左側端辺に向って延びるように突起している。
【0034】
(トリガーボタン40)
トリガーボタン40は、後記するハンドル50の回動量を規制する規制部材であって、図2に示すように、ハンドル50の支持部51の上側に設置されている。トリガーボタン40は、図3と図4に示すように、ケース上部部材32の軸部35に軸支される押圧部41と、その押圧部41から突起してなる係止部42とから構成される。
【0035】
押圧部41は、非常時に乗員によって押圧される部分である。トリガーボタン40は、図3に示すように、乗員が押圧し易いように、右部41aが前方側に突出して車室側から押圧される面積が大きくなるように形成されている。
また、押圧部41は、図3と図4に示すように、押圧部41の上部面と下部面を貫く長孔部44と、押圧部41の上部面に形成された溝部45と、押圧部41の左側側面から延出する延出部46とを構成として備えている。
【0036】
また、長孔部44は、図3と図4に示すように、ケース上部部材32の軸部35が貫孔可能な大きさに形成された孔であって、押圧部41の左右方向に延びるように形成されている。
【0037】
溝部45は、図3に示すように、左右方向に向かって延びるように、押圧部41の上部面に形成された溝である。また、溝部45は、押圧部41の長孔部44にケース上部部材32の軸部35が挿通して軸支された場合に、ケース上部部材32の軸部35周辺に形成されたケース突起部36に対応するように形成されている。
そして、溝部45は、ケース突起部36に沿って左右方向にトリガーボタン40が移動可能なように、ケース突起部36よりも長く形成されている。
【0038】
延出部46は、押圧部41の左側側面から延出する部分であり、後記する係止部42を支持している。
【0039】
係止部42は、図4に示すように、延出部46の底面側から下部側に向って延出してなる円柱部分である。また、係止部42は、後記するスプリング60のトリガーボタン係止部63とハンドル50の突起部53に当接可能な程度、下部側に延出してなる。
【0040】
トリガーボタン40は、長孔部44にケース上部部材32の軸部35が挿通して支持されている。また、トリガーボタン40は、図5に示すように、溝部45にケース上部部材32のケース突起部36が挿入しており、ケース突起部36に沿って左右方向に移動可能に支持されている。
【0041】
(ハンドル50)
ハンドル50は、乗員が後記するラッチ駆動機構80を操作するための操作部材である。また、ハンドル50は、ラッチ駆動機構80に、ケーブルKを介して連結されている。ハンドル50は、図3と図4に示すように、ケース上部部材32の軸部35に軸支される孔部54を有する支持部51と、その支持部51の右側に形成された把持部52と、支持部51の左側に形成された突起部53とが一体的に形成されてなる部材である。
【0042】
支持部51は、左側端辺51aが半円形状に形成されてなるとともに、中央部に孔部54と、内部にスプリング60をスプリング収納部55と、ケーブルKが掛止する掛止部56とを備えている。
孔部54は、ケース上部部材32の軸部35が挿通する孔である。また、孔部54は、支持部51の中央部であって左側端辺51aがなす半円形の中心となる位置に形成されている。
そして、左側端辺51aから孔部54までの半径は、図5に示すように、左右方向に移動可能なトリガーボタン40が最も右側に位置している場合に、支持部51の左側端辺51aがトリガーボタン40の係止部42に当接しない程度に形成されている。
これにより、支持部51の孔部54にケース上部部材32の軸部35が挿通した場合、図5に示すように、ハンドル50が回動したとしても、支持部51の左側端辺51aが、トリガーボタン40の係止部42に干渉することがない。
【0043】
スプリング収納部55は、支持部51内部に形成されたスペースであって、スプリング60が収納可能な大きさに形成されている。
掛止部56は、ケース30のドア本体側開口部30b近傍である、支持部51の後端側に形成された孔であり、後記するラッチ駆動機構80に連結するケーブルKが掛止している。
【0044】
把持部52は、ドア1を解放するために乗員が把持する分であり、図3と図4に示すように、支持部51の右側側壁が前方側に延出してなる部分である。
【0045】
突起部53は、図3と図4に示すように、支持部51の半円形をなす左側端辺51aから左側に向って突起するように形成されてなる部分である。
そして、突起部53は、軸部35を中心としてハンドル50を閉鎖位置から第1位置に回動して移動させた場合(図7(b)参照)に、トリガーボタン40の係止部42に係止することが可能な位置に形成されている。なお、ハンドル50の閉鎖位置と第1位置については後記する。
また、突起部53は、図5に示すように、ハンドル50の回動方向の一端側が、被係止部53aを構成し、他端側が第2の被係止部53bを構成している。
【0046】
そして、ハンドル50は、図5に示すように、スプリング60をスプリング収納部55に収納した状態で、孔部54にケース上部部材32の軸部35が挿通されて、回動自在にケース30に取り付けられている
なお、図5に示すハンドル50の位置を閉鎖位置といい、乗員によって、操作されていない状態を示すものであって、ドア1がドアロック装置10によりロックされている場合である。
また、トリガーボタン40が右側に位置している場合であって、ケース30に支持されるハンドル50が回動すると、突起部53の被係止部53aが、トリガーボタン40の係止部42に当接し、ハンドル50の回動が規制される。
なお、突起部53の被係止部53aがトリガーボタン40の係止部42に当接する場合のハンドル50の位置が第1位置である。
また、トリガーボタン40が左側に移動した場合(図9(a)参照)、ハンドル50の突起部53がトリガーボタン40の係止部42に干渉することなく、閉鎖位置から第1位置を超えて、さらにハンドル50を回動することができる(図9(b)参照)。この第1位置を超えてハンドル50を回動した位置が第2位置である。
【0047】
(スプリング60)
スプリング60は、図3と図4に示すように、ケース上部部材32の軸部35に取り付けられて、トリガーボタン40とハンドル50を所定方向に付勢するための部材である。
スプリング60は、図3と図4に示すように、コイル状の中央部61と、そのコイルの一端側から延出してなるハンドル係止部62と、コイルの他端側から延出してなるトリガーボタン係止部63とからなっている。
【0048】
中央部61は、コイル状の径は、ケース上部部材32の軸部35が挿通可能な大きさとなっている。
また、ハンドル係止部62は、図5に示すように、スプリング60の中央部61にケース上部部材32の軸部35が挿通した場合、ハンドル50の支持部51に係止している。トリガーボタン係止部63は、図5に示すように、スプリング60の中央部61にケース上部部材32の軸部35が挿通した場合に、トリガーボタン40の係止部42に係止している。
【0049】
そして、スプリング60は、図3と図4に示すように、ハンドル50のスプリング収納部55に収納した状態で、ハンドル50の孔部54にケース上部部材32の軸部35が挿通することにより、ケース30に取り付けられている。
また、スプリング60は、図5に示すように、トリガーボタン係止部63がトリガーボタン40を右側に向って移動するように付勢しており、ハンドル係止部62がハンドル50を閉鎖位置に移動するように付勢している。
【0050】
以上、操作部材20の構成について説明した。なお、操作部材20の構成において、回動するハンドル50に設けられた突起部53と、その突起部53に係止するトリガーボタン40の係止部42とが、特許請求の範囲に記載される「規制機構」に相当する。また、トリガーボタン40を左側に移動させて、ハンドル50の突起部53とトリガーボタン40の係止部42との係止を解除する、トリガーボタン40の長孔部44が、特許請求の範囲に記載される「解除機構」に相当する。
【0051】
(ラッチ機構70)
ラッチ機構70は、図6に示すように、ドア本体部3内であって、図示しないセンターピラー側近傍に配置されて、センターピラーに設けられたドアロックストライカー2と係脱する機構である。
また、ラッチ機構70は、図6に示すように、ドアロックストライカー2を収納する収納部71と、その収納部71内を上下方向に移動可能に設けられるとともに、収納部71の下部面側に傾倒可能な係合部72と、係合部72を常時ドアロックストライカー2と係合させるように付勢するラッチ本体部74とから構成されている。
そして、ラッチ本体部74は、押圧されると係合部72を下げて、ドアロックストライカー2を外すことが可能となるスイッチ部73を備えている。
【0052】
(ラッチ駆動機構80)
ラッチ駆動機構80は、図6に示すように、ドア本体部3内であって、ラッチ機構70近傍に配置されており、ラッチ機構70のスイッチ部73を押圧するための機構である。また、ラッチ駆動機構80は、図6に示すように、第1回動レバー90と、板バネ101を備えたスイッチ装置100と、第2回動レバー111を備えたモータ110と、連結レバー120と、カバー部材130とから構成されてなる。
【0053】
(第1回動レバー90)
第1回動レバー90は、ハンドル50に取り付けられたケーブルに連結しており、ハンドル50の回動に合わせて回動する部材である。第1回動レバー90は、中央部にカバー部材130の軸部131が挿通する図示しない孔部が形成されて、車両の進行方向側に向って(図6に示す矢印方向)傾倒するように回転自在に軸支されている。
また、第1回動レバー90は、本体部91と、スイッチ押圧部92と、連結レバー押圧部93とが、第1回動レバー90の回動軸を中心として、それぞれ異なる径方向に延出している。
【0054】
本体部91は、先端側に、ケーブルKが取り付けられる溝部95が形成されている。
スイッチ押圧部92は、ハンドル50が閉鎖位置から第1位置まで移動した移動量に伴って、車両の進行方向側に向って第1回動レバー90が傾倒した場合、後記する板バネ101の他端側を押圧する部分である。
連結レバー押圧部93は、スイッチ押圧部92の背面側に形成されており、ハンドル50が閉鎖位置から第2位置まで移動した移動量に伴って、車両の進行方向側に向って第1回動レバー90が傾倒した場合、後記する連結レバー120の延出部124を上部側に向って押圧する部分である。また、連結レバー押圧部93と延出部124との間隔は、スイッチ押圧部92と板バネ101の間隔よりも大きい。
【0055】
(スイッチ装置100)
スイッチ装置100は、後記するモータ110を駆動するための図示しない駆動ボタンと、板バネ101とを有している。
駆動ボタンは、押圧された場合に、図示しないバッテリからモータ110に電圧が印加されて、モータ110が駆動することとなる。
板バネ101は、図6に示すように、略V状に形成されてなる。板バネ101は、略V状の一端側が、略V状の中央部の頂点が駆動ボタンに当接するようにスイッチ装置100に取り付けられている。
また、板バネ101は、略V状の他端側が第1回動レバー90のスイッチ押圧部92の回動する軌道上まで延出しているとともに、その他端側端部に、回動するスイッチ押圧部92に押圧される湾曲部102が形成されている。
湾曲部102は、スイッチ押圧部92に向かって凸状となるように湾曲している。なお、湾曲部102の凸状の頂点を湾曲部頂点103という。
上記構成により、第1回動レバー90が回動した場合、スイッチ押圧部92が板バネ101の湾曲部102を押圧し、板バネ101の中央部が100の起動ボタンを押圧することとなる。
【0056】
(モータ110)
モータ110は、図示しないバッテリから電圧が印加されて回動する駆動部材であり、その回動軸に、第2回動レバー111が取り付けられている。
第2回動レバー111は、モータ110の回転軸の駆動力を連結レバー120に伝達する略V字状の部材であり、一端側がモータ110の回動軸に取り付けられ、他端側が後記する連結レバー120の係止部122に当接している。
【0057】
(連結レバー120)
連結レバー120は、略J状に形成されたなる部材である。連結レバー120は、中央部に上下方向に沿って形成された長孔部121と、一端側に第2回動レバー111が当接する係止部122と、他端側にラッチ機構70のスイッチ部73を押圧する突起部123と、突起部123の下部側に第1回動レバー90が当接する延出部124とを構成として有している。
連結レバー120は、長孔部121にカバー部材130の左右方向に延びる軸部132が挿通して、上下方向に移動可能に取り付けられている。
連結レバー120は、第1回動レバー90と第2回動レバー111とが当接可能な位置に設けられて、第1回動レバー90と第2回動レバー111の回動により、上部側に移動して突起部123がラッチ機構70のスイッチ部73を押圧する位置に設けられている。
なお、連結レバー120は、スイッチ部73の押圧を解除するために、第1回動レバー90と第2回動レバー111に押圧されていない場合に、連結レバー120が下部側に移動する図示しない付勢部材を備えている。
【0058】
(カバー部材130)
カバー部材130は、モータ110以外のラッチ駆動機構80を格納する部材であり、第1回動レバー90を軸支する軸部131と、連結レバー120を軸支するための軸部132とを備えている。
【0059】
以上、ラッチ駆動機構80の構成について説明した。なお、ラッチ駆動機構80の構成において、第1回動レバー90と、スイッチ装置100と、第2回動レバー111を備えたモータ120と、連結レバー130とが、特許請求の範囲に記載される「電気式ラッチ駆動機構」に相当する。また、第1回動レバー90と、連結レバー130とが、特許請求の範囲に記載される「機械式ラッチ駆動機構」に相当する。
【0060】
(使用方法)
つぎに、実施形態のハンドルストローク切替構造の使用方法について、閉鎖時と通常時と非常時に分けて説明する。また、併せて、非常時における開状態維持機構について説明する。
【0061】
(閉鎖時)
操作前において、図7(a)に示すように、ハンドル50は閉鎖位置にある。つまり、スプリング60のハンドル係止部62が、ハンドル50の支持部51に係止して、閉鎖位置に移動させるように付勢している。
また、他端側であるスプリング60のトリガーボタン係止部63が、トリガーボタン40の係止部42に係止して、トリガーボタン40を右側に移動するように付勢している。
【0062】
(通常時)
通常時の開操作は、図7(b)に示すように、操作部材であるハンドル50の把持部52を車室側に向って引く。
これによって、ケース30に回動自在に軸支されるハンドル50は、車室側方向に回動する。また、回動するハンドル50は、突起部53の被係止部53aがトリガーボタン40の係止部42に当接して、ハンドル50の回動が規制され、ハンドル50は第1位置で停止する。
【0063】
そして、ケーブルKを介して、ハンドル50に連結する第1回動レバー90は、図8に示すように、ハンドル50の閉鎖位置から第1位置のストローク量に併せて回動する。
第1回動レバー90のスイッチ押圧部92は、板バネ101の湾曲部102を押圧して、板バネ101の中央部が、スイッチ装置100の図示しない起動ボタンを押圧する。そして、スイッチ装置100は、モータ110には図示しないバッテリから所定電圧を印加し、モータ110の回転軸が回動する。なお、このとき、第1回動レバー90の連結レバー押圧部93は、連結レバー124に当接しない。
【0064】
モータ110の回転軸に取り付けられた第2回動レバー111は、連結レバー120の係止部122を上部側に持ち上げるように回動する。そして、連結レバー120が上に上がることにより、突起部123が、ラッチ機構70のスイッチ部73を押圧する。
これにより、スイッチ部73を押圧されたラッチ機構70は、係合部72を下部側に移動してドアロックストライカー2に係合しなくなる。そして、ドア1を車外側に押すことによって、ドア開口部を開放することができる。
【0065】
(非常時)
例えば、バッテリ上がりなどの非常時においては、スプリング60のトリガーボタン係止部63により、右側に付勢されているトリガーボタン40を、乗員が左側に押す。これにより、図9(a)に示すように、トリガーボタン40がスプリング60の付勢力に抗して左側に移動するため、トリガーボタン40の係止部42は、ハンドル50の突起部53の回動する軌道上に位置せず、当接しない。よって、乗員は、ハンドル50を第2位置まで移動させることができる。
【0066】
そして、乗員は、トリガーボタン40を左側に押した状態を維持して、図9(b)に示すように、ハンドル50を閉鎖位置から第2位置に移動するまで引く。そうすると、ケーブルKを介してハンドル50に連結する第1回動レバー90は、図10に示すように、ハンドル50の閉鎖位置から第2位置の回動量に併せて回動する。
【0067】
このハンドル50の閉鎖位置から第2位置の回動量は、ハンドル50の閉鎖位置から第1位置の回動量に比べて大きい。よって、図10に示すように、第1回動レバー90は、通常時よりも大きく回動することとなる。
そして、第1回動レバー90の連結レバー押圧部93が、連結レバー120の延出部124の下部側に当接して、連結レバー120を上部側に向って持ち上げる。連結レバー120が上部側に移動することにより、突起部123がラッチ機構70のスイッチ部73を押圧する。
【0068】
これにより、スイッチ部73を押圧されたラッチ機構70は、係合部72を下部側に移動させてドアロックストライカー2と係合しなくなる。そして、ドア1を車外側に押すことによって、ドア開口部を開放することができる。
【0069】
その他、緊急時において、図10に示すように、第1回動レバー90が通常時よりも大きく回動しており、スイッチ押圧部92も通常時より大きく変位している。
ここで、スイッチ押圧部92に押圧される板バネ101の湾曲部102は凸状となるように湾曲している。
つまり、スイッチ押圧部92が通常時よりも大きく変位したとしても、スイッチ押圧部92は、湾曲部頂点103を乗り越えて、板バネ101の他端側端部に向かって摺動するように湾曲部102に当接するため、湾曲部102に過度な力が加わることがない。
よって、非常時における第1回動レバー90の回動により、スイッチ押圧部92が通常時より大きく変位したとしても、板バネ101は過度に押圧されることないため、スイッチ装置100の破損を防止できる。
【0070】
(開状態維持機構)
また、ドア1を開放した状態を維持したい場合においては、図9(b)に示すように、ハンドル50を第2位置に保持した状態で、トリガーボタン40の押圧を解除する。
この場合、図9(c)に示すように、トリガーボタン40はスプリング60のトリガーボタン係止部63によって付勢されて、右側に移動することとなる。
これにより、スプリング60のハンドル係止部62によって第2位置からハンドル50が閉鎖位置に回動して復帰しようとする場合、突起部53の第2の被係止部53bが、トリガーボタン40の係止部42に当接し係止されるため、閉鎖位置に復帰することなく、第2位置に配置される状態を保持することができる。
よって、図10に示すように、第2位置にあるハンドル50に併せて第1回動レバー90も回動し他状態を維持し、ラッチ機構70のスイッチ部73を押圧し続けることとなり、ラッチ機構70は解除状態が維持される。
【0071】
以上、実施形態のドアストローク切替機構によれば、通常時の開操作で操作する操作部材と、非常時の開操作で操作する操作する操作部材は、ハンドル50であって、共通する操作部材である。
また、通常時と非常時のハンドル50の操作方法は、第1位置と第2位置と回動量が異なるものの、車内側に向ってハンドル50の把持部52を引くという共通する動作である。
よって、通常時及び非常時における操作部材は、共通動作であるハンドル50であるため、利用者は、通常時及び非常時における操作方法を覚える負担を軽減できる。
また、その操作方法も共通しているため、非常時のドア開操作を失念する可能性が少なくなり、車内に閉じ込められるおそれが低減する。
【0072】
また、ケース30上部材のハンドル50を回動可能に軸支するケース30の軸部35は、ハンドル50を回動自在に軸支する既存の構成である。そして、実施形態のトリガーボタン40は、このケース30の軸部35に軸支されているため、別個にトリガーボタン40を軸支する軸部35を設けた場合に比べて、部品点数の削減が図れる。
【0073】
また、回動したハンドル50を閉鎖位置に復帰させるためにスプリング60の一端側であるハンドル係止部62が係止しているが、実施形態においては、このスプリング60の他端側のトリガーボタン係止部63がトリガーボタン40に係止しているため、特に部品点数が増加することがない。
【0074】
また、トリガーボタン40に形成された係止部42は、ハンドル50の回動量を閉鎖位置から第1位置までに規制するとともに、第2位置まで回動したハンドル50が閉鎖位置まで復帰することを規制している。よって、実施形態のトリガーボタン40によれば、一つの突起部53に二つの規制部材的な機能(第1被係止部53aと第2の被係止部53b)を有しているため、構造の簡略化及び部品点数の削減が図れる。
【0075】
以上、実施形態におけるドアストローク切替機構について説明したが、発明はこれに限るものではない。
例えば、トリガーボタン40の係止部42が脆部を有していてもよい。この脆部は、強い力が加わった場合に、係止部42の破断可能とする構成であって、例えば、係止部42の回動方向に沿った切り欠きなどが挙げられる。これによれば、通常時の操作方法により、ドア1を開放できなかった乗員が、ハンドル50を強く車内側に引いた場合に、ハンドル50の突起部53が、トリガーボタン40の係止部42に接触して破断することができる。そして、ハンドル50を第2位置まで移動させることができ、ドア1の開操作をすることが可能となる。
【符号の説明】
【0076】
1 ドア
2 ドアロックストライカー
3 ドア本体部
10 ドアロック装置
20 操作部
30 ケース
31 ケース下部部材
32 ケース上部部材
33 上部面
34 側壁面
35 軸部
36 ケース突起部
40 トリガーボタン
41 押圧部
42 係止部
44 長孔部
45 溝部
46 延出部
50 ハンドル
51 支持部
52 把持部
53 突起部
54 孔部
55 側壁部
60 スプリング
61 中央部
62 ハンドル係止部
63 トリガーボタン係止部
70 ラッチ機構
70 機械式ラッチ機構
71 収納部
72 係合部
73 スイッチ部
74 ラッチ本体部
80 ラッチ駆動機構
90 第1回動レバー
91 本体部
92 スイッチ押圧部
93 連結レバー押圧部
95 溝部
100 スイッチ装置
101 板バネ
102 湾曲部
103 湾曲部頂点
110 モータ
111 第2回動レバー
120 連結レバー
121 長孔部
122 係止部
123 突起部
124 延出部
130 カバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドア開口部を開閉するドアと、
前記ドアを前記車両に係合させるラッチ機構と、
前記ラッチ機構を電気的に開動作させる電気式ラッチ駆動機構と、
前記ラッチ機構を機械的に開動作させる機械式ラッチ駆動機構と、を備え、
前記ドアに、前記電気式ラッチ駆動機構と前記機械式ラッチ機構とを操作する操作部材を設け、
前記操作部材は、前記ラッチ機構を開動作させない閉鎖位置と、前記電気式ラッチ駆動機構により前記ラッチ機構を開動作させる第1位置と、前記機械式ラッチ駆動機構により前記ラッチ機構を開動作させる第2位置と、に移動可能であり、
使用者が前記操作部材を前記閉鎖位置から第1位置まで移動させる動作と、前記操作部材を前記閉鎖位置から第2位置まで移動させる動作とを共通にするとともに、
前記動作による操作部材の前記閉鎖位置から第1位置までの移動量よりも、前記閉鎖位置から前記第2位置までの移動量が大きくなるように形成されていることを特徴とするドアハンドルストローク切替構造。
【請求項2】
前記操作部材の前記第1位置から前記第2位置までの移動を規制する規制機構を設け、前記規制機構は、前記操作部材の前記第1位置から前記第2位置までの移動の規制を解除する解除機構を備えることを特徴とする請求項1に記載のドアハンドルストローク切替構造。
【請求項3】
前記操作部材の前記第1位置から前記第2位置までの移動を規制する規制部材を設け、
前記操作部材は、ドアに設けられた回転軸を中心として回動するハンドルであり、
前記規制機構は、前記規制部材に設けられた係止部と、前記ハンドルに設けられるとともに前記ハンドルの回動方向で、前記規制部材に設けられた係止部に係止する被係止部と、から構成され、
前記解除機構は、前記係止部を備えるとともに前記回転軸に挿通される長孔部を備えた前記規制部材から構成され、
前記規制部材は、前記長孔部の長手方向の一端側に前記回転軸が位置する時に前記ハンドルの被係止部に係止され、前記長孔部の長手方向の他端側に前記回転軸が位置する時に前記ハンドルの被係止部の係止が解除されることを特徴とする請求項2に記載のドアハンドルストローク切替構造。
【請求項4】
前記ハンドルは、付勢部材によって前記閉鎖位置に復帰するように付勢されており、
前記規制部材は、前記付勢部材によって前記規制部材の係止部が、前記ハンドルの被係止部に係止される位置に復帰するように付勢されていることを特徴とする請求項3に記載のドアハンドルストローク切替構造。
【請求項5】
前記操作部材を前記第2位置で固定可能な開状態維持機構を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載のドアハンドルストローク切替構造。
【請求項6】
前記ハンドルは、前記回転軸の径方向に突出する突起部を備え、
前記突起部の前記ハンドルの回転軸方向の一端側に前記被係止部が設けられるとともに、前記突起部の前記ハンドルの回転軸方向の他端側に、前記規制部材の係止部が係止可能な第2の被係止部を備え、
前記第2位置の時に、前記規制部材の係止部が前記第2の被係止部に係止することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のドアハンドルストローク切替構造。
【請求項7】
前記規制部材は、前記操作部材を第1位置から第2位置まで移動させる動作によって、操作部材に所定の力が加わったときに破断可能な脆部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載のドアハンドルストローク切替構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−94436(P2011−94436A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251621(P2009−251621)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】