説明

ドアフォンシステムおよびその制御方法

【課題】いずれかの親機が玄関子機からの呼び出しに応答しても、来客者の確認を可能とすることで、高い利便性を図ることが可能なドアフォンシステムおよびその制御方法を提供する。
【解決手段】来訪者が玄関子機100の呼び出しボタンを押すことで、呼び出し検知部103が検知して居室親機200へ通知する。居室親機200は、玄関子機100からの呼び出しに居室親機200もしくは増設親機300で着信応答する場合、どの親機が応答したかを全ての親機に一斉に報知し、居室親機200もしくは増設親機300でその情報を受信し、来客者の画像情報を表示し続け、着信応答した親機情報を表示し、来客者と対応者の音声を受信し音声出力を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関子機と、複数の親機とを備えたドアフォンシステムおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドアフォンや防犯カメラ等の映像機器は、設置の容易さから、無線通信を用いたものが開発されている。従来のテレビドアフォンシステムは、カメラ付き玄関子機、モニタ付き居室親機で構成されている。このテレビドアフォンシステムに親機を増設する場合、既設の親機と増設親機との間を接続する必要がある。従って、この間の配線工事が親機を増設する場合の課題であり、それを解決するために、既設の親機と増設親機との間を無線で接続するテレビドアフォンシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この特許文献1に記載のテレビドアフォンシステムでは、カメラ付き玄関子機とモニタ付き居室親機とは有線で接続される。カメラ付き玄関子機の呼出しボタンが押されると、モニタ付き居室親機で呼出し音がなると共に、カメラ付き玄関子機のカメラで撮影された画像がモニタ付き居室親機に写しだされる。このときモニタ付き居室親機は、呼出し信号とカメラ付き玄関子機から送られてきた画像とを増設親機に無線信号で送ることで、増設親機側でも呼出し音がなりモニタ付き居室親機と同じ画像を表示することができる。
【0004】
またカメラとモニタとで構成される防犯カメラの場合も、カメラとモニタとの間の接続が有線であると配線工事が必要となることから、設置を容易とするためにカメラとモニタとの間を無線で通信する無線防犯カメラの開発が行われている。
【特許文献1】特開2003−198737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テレビドアフォンシステムにおいて、カメラ付き玄関子機から呼出しがあった場合、既設の親機は複数の増設親機に呼出し信号と画像情報を一斉に送信し、増設親機はその信号を受信すると呼出し音を鳴らし、送信されてきた画像情報を表示する。
【0006】
このとき、玄関子機からの信号に1つの増設親機が応答した場合、応答した増設親機のみが居室親機を経由してカメラ付き玄関子機と双方向の音声通話をする方法がとられている。このため、応答した親機以外の親機は、いずれかの親機が応答した時点でモニタ付き居室親機からの着信情報が消失し来客画像が消えてしまい、着信が終了したのか、他の親機で応答したのか判断できず、利便性が損なわれているという問題点を有している。
【0007】
そこで本発明は、いずれかの親機が玄関子機からの呼出しに応答しても、来客者の確認を可能とすることで、高い利便性を図ることが可能なドアフォンシステムおよびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、カメラ付き玄関子機から呼出しがあった場合、1台の親機が呼出しに応答したあとに、応答した以外の親機にも来客者の画像を一定時間表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のドアフォンシステムは、1台の親機が応答したあとでも、他の親機は、モニタ
付き居室親機からの着信情報を継続して受信し画像を一定時間表示するか、もしくは、着信中に画像を表示しながら記憶し、いずれかの親機が応答したあと保存していた画像を一定時間表示することにより、他の親機が応答したあとも来客者を確認できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、いずれかの親機が応答したあとも来客者を確認可能とするという目的を、着信中に画像情報を保存し、着信がいずれかの親機の応答により消失したあとに、保存していた画像情報を一定時間表示する、もしくは、無線で複数の親機に一斉に着信状態を報知していずれかの親機が着信応答した場合に、それ以外の親機は画像情報の通信状態を維持することにより、着信が消失したあとも画像情報を表示することにより実現した。
【0011】
また、本発明は、いずれかの親機が応答したあとも来客者との対応状況を確認可能とするという目的を、応答した親機は、応答したことを報知し、他の親機はその報知された情報を受信して一定時間画像情報と共に表示する、もしくは、一定時間画像情報と共に来客者と応答者の通話情報を受信して音声出力することにより実現した。
【0012】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、玄関子機と複数の親機からなるドアフォンシステムであって、玄関子機は、音声信号入出力を行う通話部と、来訪者が呼出し操作をしたことを検知する呼出し検知部と、来訪者の画像を撮影し、親機へ出力する画像入力部とを備え、親機は、玄関子機の呼出し検知部にて呼出しが検知されたことを報知する報知部と、玄関子機からの呼出しに応答するための操作部と、音声信号入出力を行う通話部と、玄関子機で撮影された画像情報を表示する表示部と、玄関子機からの呼出しを受信したときに、玄関子機の通話部より入力された音声信号を自機の通話部より出力すると共に、画像情報を表示部に表示し、自機の通話部より入力された音声信号を玄関子機へ出力すると共に、玄関子機の通話部より入力された音声信号および自機の通話部より入力された音声信号を、他の親機へ送信し、他の親機のいずれかが玄関子機からの呼出しに応答したときに、表示部による画像情報の表示を、所定時間継続させるよう制御する制御部とを備えたことを特徴としたものである。
【0013】
応答しなかった親機は着信消失後に来客者との対応状況を確認できるという効果を有するものである。また、応答しなかった親機は、いずれかの親機が応答したあとも来客者を確認できるという効果を有するものである。
【0014】
上記課題を解決するためになされた第2の発明は、親機は、画像情報を保存する画像保存部を備え、制御部は、玄関子機からの呼出し操作が検知されると、画像入力部から出力された画像情報を画像保存部に保存し、他の親機のいずれかが玄関子機からの呼出しに応答した場合、画像保存部に保存された画像情報の表示部に、所定時間表示させる機能を備えたことを特徴としたものである。
【0015】
応答しなかった親機はいずれかの親機が応答したあとも来客者を確認できるという効果を有するものである。
【0016】
上記課題を解決するためになされた第3の発明は、親機の制御部は、玄関子機からの呼出しに応答したことを他の親機に報知し、報知された呼出しに対する応答を受信すると、報知元の他の親機を識別する情報を表示する機能を備えたことを特徴としたものである。
【0017】
応答しなかった親機は着信消失後も応対中の親機を確認できるという効果を有するものである。
【0018】
上記課題を解決するためになされた第4の発明は、親機の制御部は、玄関子機との通話を終了したときに、通話終了を他の親機に報知し、通話終了を受信すると、音声出力、画像表示、または報知元の他の親機を識別する情報の表示を停止する機能を備えたことを特徴としたものである。
【0019】
応答しなかった親機は来客者との対応が終了したことを確認できるという効果を有するものである。
【0020】
上記課題を解決するためになされた第5の発明は、複数の親機は、玄関子機に接続された居室親機と、居室親機と無線通信で接続され、居室親機を経由して玄関子機と接続される1台以上の増設親機からなり、居室親機は、玄関子機からの入力した画像情報を一方向の同報通信によって増設親機に送信する無線部を備え、増設親機は、居室親機より同報通信によって送信された画像情報を受信して、表示部により表示する無線部を備えたことを特徴としたものである。
【0021】
来客者を画像で確認できるという効果を有するものである。
【0022】
上記課題を解決するためになされた第6の発明は、増設親機は、自機が居室親機を介して受信した玄関子機からの呼出しに応答した応答親機であるときに、居室親機と音声信号用の双方向の無線通信を行い、玄関子機からの音声信号を、居室親機を介して入力して自機の通話部から出力すると共に、自機の通話部から音声を入力して音声信号として居室親機を介して玄関子機へ送信し、応答親機が他の増設親機であるときに、居室親機から応答親機への無線通信による音声信号と、応答親機から親機への無線通信による音声信号とを受信して音声として出力する機能を備えたことを特徴としたものである。
【0023】
応答しなかった親機は着信消失後に来客者との対応状況を確認できるという効果を有するものである。
【0024】
上記課題を解決するためになされた第7の発明は、居室親機は、玄関子機からの呼出しに応答したときに、玄関子機の通話部より入力された音声信号を自機の通話部より出力し、自機の通話部より入力された音声信号を玄関子機へ出力すると共に、玄関子機の通話部より入力された音声信号と自機の通話部より入力された音声信号を自機の無線部より送信する機能を備え、増設親機は、居室親機から送信された音声信号を受信し、玄関子機の通話部より入力された音声信号及び居室親機の通話部より入力された音声信号を自機の通話部より出力する機能を備えたことを特徴としたものである。
【0025】
応答しなかった親機は着信消失後に来客者との対応状況を確認できるという効果を有するものである。
【0026】
上記課題を解決するためになされた第8の発明は、玄関子機と複数の親機からなるドアフォンシステムの制御方法であって、玄関子機が来客者の呼出しを複数の親機に一斉に着信状態を報知すると共に来訪者の画像情報を送信し、玄関子機からの報知をいずれかの親機が着信応答したら、着信応答した親機が、玄関子機の通話を開始すると共に、着信応答した親機と玄関子機とに入力された音声信号を着信応答した親機以外の他の親機へ出力し、着信応答した親機以外の他の親機が、玄関子機からの画像情報を一定時間表示し続けることを特徴としたものである。
【0027】
応答しなかった親機は着信消失後に来客者との対応状況を確認できるという効果を有するものである。また、応答しなかった親機はいずれかの親機が応答したあとも来客者を確認できるという効果を有するものである。
【0028】
上記課題を解決するためになされた第9の発明は、親機が、着信中に画像情報を画像保存部に保存し、いずれかの親機が着信応答したときに、着信応答した親機以外の他の親機が、保存していた画像情報を一定時間表示することを特徴としたものである。
【0029】
応答しなかった親機はいずれかの親機が応答したあとも来客者を確認できるという効果を有するものである。
【0030】
上記課題を解決するためになされた第10の発明は、玄関子機が、無線で複数の親機に一斉に着信状態を報知するときに、いずれかの親機が着信応答すると、着信応答した親機以外の他の親機は、画像情報の通信状態を維持することにより、着信が消失したあとも画像情報を表示することが可能なことを特徴としたものである。
【0031】
上記課題を解決するためになされた第11の発明は、玄関子機からの呼出しにいずれかの親機が着信応答したときに、着信応答した親機が着信したことを他の親機に報知し、他の親機が、着信応答した親機からの報知を受信し、報知元の他の親機を識別する情報を一定時間画像情報と共に表示することを特徴としたものである。
【0032】
応答しなかった親機は着信消失後も応対中の親機を確認できるという効果を有するものである。
【0033】
上記課題を解決するためになされた第12の発明は、玄関子機からの呼出しにいずれかの親機が着信応答したときに、着信応答した親機以外の他の親機が、画像情報と共に来客者と応答者の通話情報を一定時間受信することを特徴としたものである。
【0034】
応答しなかった親機は着信消失後に来客者との対応状況を確認できるという効果を有するものである。
【0035】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態に係るドアフォンシステムについて、図面に基づいて説明する。
【0036】
まずは、本実施の形態のドアフォンシステムの構成を図1から図5に基づいて説明を行う。図1は、本発明の実施の形態のドアフォンを説明するブロック図である。図2は、玄関子機を説明する外観図である。図3は、居室親機を説明する外観図である。図4は、増設親機を説明する外観図である。図5は、ドアフォンシステムの構成を説明する図である。
【0037】
図1において、本実施の形態のドアフォンは、玄関子機100と、居室親機200と、居室に設けられた増設親機300とを備えている。図1においては増設親機300を1台のみ図示しているが複数備えていてもよい。
【0038】
まず玄関子機100について説明する。101は、画像を撮影し映像信号を出力するカメラ部である。102は、マイク,スピーカ,アンプ等から構成され、入力した音声信号をスピーカから出力したり、マイクからの入力信号を増幅し来訪者の音声信号を出力したりする通話部である。103は、来訪者が来訪を通知するための呼出しボタンと、呼出しボタンが押されたときに通知信号を発生する回路とで構成された呼出し検知部である。104は、映像信号、音声信号、通知信号を合成し、居室親機200に出力したり、居室親機200からの音声信号を分離し、通話部102へ出力したりする多重分離回路である。
【0039】
次に居室親機200について説明する。220は、玄関子機100からの映像信号、音声信号、通知信号を分離し各部に出力したり、居室親機200からの音声信号を玄関子機100に出力したりする多重分離回路である。201は、多重分離回路220で分離出力された玄関子機100からの映像信号をモニタ202に出力したり、映像信号をデジタル変換し画像情報として出力したりするモニタ回路である。202は、映像信号を表示するモニタである。203は、モニタ回路201から出力されるデジタル変換された映像信号を画像情報として記憶する画像情報記憶部である。204は、多重分離回路220で分離出力された玄関子機100からの通知信号を検知して制御部214に通知すると共に、報知部205を起動する呼出し検知部である。205は、来訪者を通知する通知音を鳴らす報知部である。206は、多重分離回路220で分離出力された玄関子機100からの音声信号を通話部207に出力したり、通話部207からの音声信号を多重分離回路220に出力したり、玄関子機100からの音声信号をデジタル変換して音声情報として出力したり、増設親機300から送られてきた音声情報をアナログ変換して多重分離回路220に出力したりする音声回路である。207は、マイク,スピーカ,アンプ等から構成され音声信号をスピーカから出力したり、マイクからの入力信号を増幅し音声信号を出力したりする通話部である。208は、居室親機200で来訪者に応答するときに応答動作を起動する応答ボタンである。209は、音声情報,画像情報,制御信号等に、時分割多重(以下、TDMAと称す。)通信に必要な同期信号とエラー検知用のエラー検出符号とを付加し、TDMAのフレーム、タイムスロットに合わせて送信データ列を生成したり、受信した受信データ列から、TDMAのフレーム、タイムスロットに合わせてエラー検知の処理を行い、エラーのなかったタイムスロットで受信された音声情報,制御信号を出力したりするフレーム処理部である。210は、入力されたデータ列を変調、増幅したり、受信した無線信号を増幅復調したり、受信データを出力するTDMAの無線の送受信を行ったりする無線部である。213はアンテナである。214は、画像情報記憶部203に記憶された画像情報を予め決められた長さに分割する分割手段と、分割された各々の画像情報に順序番号を付与する順序番号付与手段と、玄関子機100からの呼出しを一斉に増設親機300に報知、または玄関子機100からの呼出しに対し呼出し音や来訪者の画像を表示し着信応答するなどの着信の制御を行う着信処理手段と、居室親機200もしくは増設親機300で応答する場合、どの親機が応答したかを他の親機に報知する応答親機報知手段とを備え、増設親機300に画像情報を伝送するための各部の制御等、居室親機200の全体の制御を行う制御部である。
【0040】
そして増設親機300について説明する。301は、来訪者を通知する通知音を鳴らす報知部である。302は、居室親機200からの音声情報をアナログ変換して通話部207に出力したり、通話部207から送られてきた音声信号をデジタル変換してフレーム処理部306に出力したりする音声回路である。303は、マイク、スピーカ、アンプ等から構成され、音声信号をスピーカから出力したり、マイクからの入力信号を増幅し音声信号を出力したりする通話部である。304は、居室親機200からの画像情報およびエラー情報を元に映像信号を生成し出力するモニタ回路である。305は、映像信号を表示するモニタである。306は、音声情報、制御信号等に、TDMA通信に必要な同期信号とエラー検知用のエラー検出符号とを付加し、TDMAのフレーム、タイムスロットに合わせて送信データ列を生成したり、受信した受信データ列から、TDMAのフレーム、タイムスロットに合わせてエラー検知の処理を行い、エラーの無かったタイムスロットで受信された画像情報、音声情報、制御信号を出力したりするフレーム処理部である。307は、入力されたデータ列を変調、増幅したり、受信した無線信号を増幅復調し受信データを出力したりして、周波数ホッピングを用いたTDMAの無線の送受信を行う無線部である。310は、増設親機300で来訪者に応答するときに応答動作を起動したり、通話終了を通知したりする応答ボタンである。311は、居室親機200からの着信情報を受信して、呼出し音や来訪者の画像を表示し、着信応答するなどの着信の制御を行う着信処理手段と、居室親機200もしくは他の増設親機300で応答する際、どの親機が着信応答し
たかの情報を表示する応答親機表示手段とを備え、受信した画像情報の順序番号を基に重複して受信した画像情報を破棄して受信した画像情報を表示するように制御を行うと共に、増設親機300全体を制御する制御部である。
【0041】
玄関子機100の外観図を図2に示す。玄関子機100の前面には、来訪者を撮像するためのカメラレンズ1201(カメラ部101)と、来訪者と通話を行うマイク1202およびスピーカ1203(通話部102)と、来訪者が居室親機200および増設親機300に来訪を伝える呼出しボタン1204(呼出し検知部103)が配置されている。
【0042】
次に居室親機200の外観図を図3に示す。居室親機200の前面には、玄関子機100の来訪者の画像を映すLCDパネル1020(モニタ202)と、応答ボタン208が配置されている。また、玄関子機100の来訪者と通話するためのマイク1015と、スピーカ1016(通話部207)およびLCDパネル1020を有している。
【0043】
そして増設親機300の外観図を図4に示す。増設親機300の前面には、玄関子機100の来訪者の画像を映すLCDパネル1107(モニタ305)と、応答ボタン310がある。また、玄関子機100の来訪者と通話するためのマイク1110と、増設親機300の背面にスピーカ1111を有している。
【0044】
この構成により、来訪者は、玄関子機100を用いて室内の使用者と会話ができる。ここで、玄関子機100の画像は、居室親機200を経由して増設親機300へ送られ、室内の使用者が携帯する増設親機300のLCDパネル1107上にも玄関子機100からの画像が映し出され、来訪者の姿を見ながら会話ができる。また室内での使用者は、増設親機300を持ち移動しながら会話できる。
【0045】
図5は、居室親機200に複数の増設親機300をコードレス子機として登録して使用する状態を示す。このようにコードレス子機とした増設親機300a,300b,300cを居室親機200に従属する従属子機として居室親機200に登録すると、玄関子機100から送られる来訪者の画像を各増設親機300(300a〜300c)で見ることができ、何れの増設親機300からでも応答し、来訪者の姿を見ながら会話することができる。
【0046】
以上のように構成される本実施の形態に係るドアフォンシステムの動作を図1から図5と、更に図6から図10を参照しながら説明する。図6は、フレームおよびスロット構成と周波数ホッピングのタイミングを示す図である。図7は、画像情報通信装置で通信するデータ列のフォーマットの例を示す図である。図8は、画像情報を分割して送信する動作を説明する図である。図9は、着信から着信応答を行うドアフォンシステムの動作を説明する図である。図10は、着信状態から切断処理を行うドアフォンシステムの動作を説明する説明図である。
【0047】
来訪者が、玄関子機100の呼出し検知部103に設けられた呼出しボタン1204を押すと、呼出し検知部103より通知信号が出力され、多重分離回路104を介して、居室親機200へ出力される。
【0048】
居室親機200では、玄関子機100からの通知信号は、多重分離回路220より呼出し検知部204へ出力される。そして、呼出し検知部204は、報知部205を起動し、報知部205より来訪者を通知する通知音が出力される。また呼出し検知部204は、通知信号を受け取ると玄関子機100の呼出し検知部103の呼出しボタン1204が押されたことを制御部214に通知する。そして、制御部214では、増設親機300へ、呼出し起動と画像情報の送信開始を通知する報知情報を送信する制御が開始される。
【0049】
増設親機300(300a,300b,300c)は、居室親機200の従属局として動作しており、通常、居室親機200の制御信号を受信するように動作している。無線部307により居室親機200からの報知情報を受信し、制御部311に通知されると、制御部311は、報知部301を起動し、報知部301より来訪者を通知する通知音が出力される。また制御部214により報知部205が、また制御部311により報知部301が、通知音が鳴るよう制御されると同時に、玄関子機100のカメラ部101で撮影された映像信号が居室親機200、増設親機300に送られ、それぞれのモニタ202、モニタ305に表示されるよう制御部214および制御部311により制御が行われる。
【0050】
玄関子機100のカメラ部101で撮影された映像信号は、多重分離回路104に送られ、居室親機200に出力される。玄関子機100より送られてきた映像信号は、多重分離回路220よりモニタ回路201に出力される。モニタ回路201は、映像信号をモニタ202に出力することで、モニタ202で玄関子機100のカメラ部101で撮影されている映像が映し出される。また居室親機200の制御部214は、増設親機300への報知情報を送信する制御を行うのと並行して、映像信号を画像情報として画像情報記憶部203に蓄積開始の要求を行う。
【0051】
画像情報記憶部203は、画像情報の蓄積開始の要求を受け付けると、モニタ回路201に画像情報の出力要求を行い、モニタ回路201より出力された画像情報を記憶する。モニタ回路201は、画像情報の出力要求に応じて、玄関子機100から送られてきた映像信号の1画面分の信号をデジタル変換して画像情報として画像情報記憶部203に出力する。画像情報記憶部203は、モニタ回路201より出力された1画面分の画像情報を記憶し終えると、蓄積終了の通知を制御部214に出力する。
【0052】
制御部214は、蓄積終了の通知を受けると、画像情報記憶部203に記憶された画像情報を1スロットで送信可能なデータ長に分割して順次読み込み、読み込んだ1スロット分の分割された画像情報をそれぞれ予め決められた回数、予め決められたタイムスロットで送信するように制御を行う。一方、増設親機300の制御部311は、報知情報を受信すると、予め決められたタイムスロットの受信を行うよう無線部307およびフレーム処理部306を制御し、居室親機200から送られて来る画像情報を受信する。そして、制御部311は、居室親機200からの画像情報を受信すると、重複して受信された分割された画像情報を除いて、受信した画像情報をモニタ回路304に出力する。モニタ回路304で画像情報をアナログ変換し、モニタ305に出力することで、居室親機200から送られてきた画像情報がモニタ305に表示される。
【0053】
居室親機200の制御部214は、画像情報記憶部203に記憶された1画面分の画像情報を増設親機300へ送信し終えると、画像情報の蓄積開始の要求を行い、それに応じて画像情報が更新され、新たな画像情報を増設親機300に送信する動作を繰り返すように制御を行う。このとき、制御部214は、新しい1画面分の画像情報の送信開始毎に、画像情報の送信開始を通知する報知情報の送信を行う方法も可能である。
【0054】
次に、応答動作について図1に基づいて説明を行う。居室親機200の応答ボタン208が押され、制御部214で検知すると、制御部214は、音声回路206を起動し、玄関子機100と居室親機200の音声通話が可能な状態になるよう制御を行う。すなわち、玄関子機100の通話部102のマイクから入力された音声は、居室親機200の通話部207のスピーカから出力される。また居室親機200の通話部207のマイクから入力された音声は、玄関子機100の通話部102のスピーカから出力されるよう制御が行われる。
【0055】
増設親機300の応答ボタン310が押され、制御部311で検知されると制御部311は、音声回路302を起動し、玄関子機100と増設親機300の音声通話が可能な状態になるよう制御が行われる。
【0056】
すなわち、制御部311は、最初に双方向の無線リンクを起動し、居室親機200との双方向の通信を開始し、居室親機200の音声パスの設定を行う。そして増設親機300の通話部303のマイクから入力された音声を音声回路302でデジタル変換してフレーム処理部306に出力して無線で居室親機200に送信を行う。フレーム処理部306から出力された音声情報は、音声回路302に出力されアナログ変換し、通話部303のスピーカから出力する。一方、居室親機200の制御部214は、増設親機300との双方向の無線リンクが起動され、増設親機300との双方向の通信を開始すると、玄関子機100より送られてきた音声信号を音声回路206でデジタル変換して、フレーム処理部209に出力し、無線で増設親機300に送信を行う。フレーム処理部209から出力された音声情報は、音声回路206に出力され、アナログ変換し、多重分離回路220を介して玄関子機100に送り、玄関子機100の通話部102のスピーカから出力される。
【0057】
次に、居室親機200と増設親機300との間の無線通信制御について説明を行う。ここではTDMAの制御として1つのフレームを8つのタイムスロットに分割し、制御局として動作する居室親機200と従属局として動作する増設親機300との双方向の無線通信を行う場合、居室親機200から増設親機300への送信をフレームの前半(タイムスロットの1〜4)、増設親機300から居室親機200への送信をフレームの後半(タイムスロットの5〜8)で通信を行う例を説明する。
【0058】
更に、画像通信状態において、居室親機200が制御信号を送信するタイムスロット1と、制御信号を送信するタイムスロットに対して予め決められた位置関係である、すなわち制御信号を送信するタイムスロットと4つ離れたタイムスロットである受信タイムスロット5を送信タイムスロットとした2つの送信タイムスロットを用いて、画像情報の送信を行う例を説明する。
【0059】
制御局として動作する居室親機200と、従属局として動作する増設親機300との状態は、居室親機200から増設親機300に画像情報を送信している画像通信状態と、居室親機200と増設親機300とが双方向の無線通信を行い音声信号の送受信をしている音声通信状態とそれ以外のアイドル状態の3つの状態がある。
【0060】
最初に本実施の形態のドアフォンシステムのアイドル状態の動作について説明を行う。
【0061】
アイドル状態では、居室親機200は、フレーム内の特定のタイムスロットで制御信号の送信を行う。図6に、本実施の形態の無線通信でのタイムスロットの構成の例を示す。本実施の形態の無線通信では、タイムスロット1毎にフレーム制御信号を送信する例を示している。居室親機200は、スロット1で制御信号を送信し、スロット6,7,8で増設親機300からの信号を受信する。また基本的に同一装置との通信は、送信スロット1に対して受信スロット5を用いて通信する。また、送信スロット2に対して受信スロット6が、送信スロット3に対して受信スロット7が、送信スロット4に対して受信スロット8が対応する構成となっている。
【0062】
図7は、各タイムスロットで送信されるデータ列のフォーマットの例を示し、(A)に制御信号を送信するタイムスロットで使用されるフォーマットの例を示している。すなわち居室親機200は、各フレームのスロット1で制御信号の送信を、図7(A)に示される制御データフィールドに載せて送信を行う。ここで送信される制御信号は、親機(居室親機200,増設親機300a〜300c)の識別情報、制御信号の送信に使用している
送信スロットの番号が含まれている。居室親機200の制御部214は、制御信号の送信スロットのタイミングに合わせて制御信号をフレーム処理部209に出力する。そしてフレーム処理部209は、制御信号に同期信号とエラー検知用の信号を付加して無線部210に出力する。なお、エラー検知用の信号は、図7(A)に示されるCRC1のフィールドに記述され、制御データフィールドで送信する制御信号より生成されたエラー検出用の符号列(例えば、CRC符号)が用いられる。制御部214は、制御信号の送信タイミングに合わせて、無線部210の送信周波数の設定を行う。
【0063】
次に、アイドル状態の居室親機200の受信制御について説明を行う。居室親機200は、フレームの後半の制御信号を送信するタイムスロット以外のタイムスロットで、増設親機300からの呼出しを受信する。制御部214は、受信するタイムスロットのタイミングに合わせて、無線部210の受信周波数を設定する。増設親機300からの呼出しを受信し、受信データがフレーム処理部209に出力されると、フレーム処理部209で同期信号を元に、制御データフィールドの中の制御信号とエラー検出用の信号とが分離され、受信したエラー検出用の信号を元に制御信号のエラー判定が行われる。エラー判定の結果、正常受信と判断された場合は、受信した制御信号が制御部214に通知される。図6では、各フレームのタイムスロット6〜8で受信を行う例を示している。
【0064】
次に、アイドル状態の増設親機300の制御について説明を行う。増設親機300は、居室親機200の制御信号の受信を行うため、居室親機200が制御信号を送信している周波数を連続して受信を行い、居室親機200の補足動作を行う。連続受信にて居室親機200の制御信号を受信すると、それ以降順次フレーム毎に受信を行い、連続して居室親機200の制御信号の受信を行う。そして、居室親機200の制御信号に含まれる制御信号の送信に使用している送信スロットの番号情報を受信し、居室親機200とのフレーム、タイムスロットの同期を確立する。すなわち制御部311は、無線部307を居室親機200が送信する制御信号の送信周波数で連続受信するよう制御を行う。無線部307で受信復調された受信データ列は、フレーム処理部306に出力される。フレーム処理部306では、受信データ列に含まれる同期信号の検出を行い、同期信号が検出されると、同期信号を元に制御データフィールドの中の制御信号と、エラー検出用の信号とを分離し、受信したエラー検出用の信号を元に制御信号のエラー判定を行う。エラー判定の結果、正常受信と判断した場合は、受信した制御信号を、制御部311に通知する。制御部311では制御信号に含まれる増設親機300の識別情報を元に、待ち受けようとする増設親機300か否かを判断する。待ち受けようとする増設親機300であった場合、フレーム毎の間欠受信動作に移行するよう制御を行う。すなわち制御部311は、先に増設親機300の制御信号を受信したタイムスロットのタイミングに合わせて受信を行うよう無線部307を制御する。そして、居室親機200の送信する制御信号に含まれる制御信号の送信に使用している送信スロットの番号を受信すると、増設親機300とタイムスロットの同期を確立する。
【0065】
次に、本実施の形態のドアフォンシステムの画像通信状態の動作について説明を行う。居室親機200の制御部214は、呼出し検知部204より、玄関子機100の呼出し検知部103の呼出しボタンが押されたことが通知されると、アイドル状態から、画像通信状態へ動作を移行するよう制御を開始する。制御部214は、制御信号を送信するタイムスロットのタイミングに合わせて、呼出しと画像情報送信開始を通知する制御信号を報知情報としてフレーム処理部209に出力する。そして報知情報を送信した次のフレームより画像情報の送信を開始する。画像情報の送信は、制御信号を送信したタイムスロットと制御信号を送信するタイムスロットに対応したタイムスロットで送信する。例えば図6に示すようにタイムスロット1で制御信号を送信している場合、画像情報は、タイムスロット1とタイムスロット5とで送信される。このときタイムスロット1では制御信号と画像情報とが同時に送信されるよう、送信データ列のフォーマットが変更される。図7(B)
に、画像情報を送信する際のフォーマットの例を示す。図7(B)に示すように画像情報は、情報データフィールドで送信される。画像情報を送信する情報データフィールドのエラー検知用のデータとして新たなエラー検知用の符号が付け加えられる(図7(B)では、CRC2と記す。)。また制御信号を送信するタイムスロット(タイムスロット1)に対応するタイムスロット(タイムスロット5)の通信に使用される送信データ列のフォーマットも同様に図7(B)に示されるフォーマットが用いられ、画像情報は情報データフィールドで送信される。
【0066】
制御部214は、画像情報記憶部203に記憶された画像情報を、1つのタイムスロットで送信可能なデータ長に分割しながら読み込み、分割された画像情報を予め決まった回数と同一の順序番号を付して再送を行うよう制御を行う。順序番号と分割された画像情報とは、それぞれ制御信号を送信するタイムスロットと制御信号を送信するタイムスロットに対応したタイムスロットの情報データフィールドで送信するよう、送信タイミングに合わせて、フレーム処理部209に出力される。フレーム処理部209は、情報データフィールドのデータ列に基づいたエラー検知用の符号(CRC2)を付加して、図7(B)のフォーマットのデータ列を生成し、無線部210に出力する。そして無線部210より制御部214からの制御に従い、タイムスロット毎に分割された画像情報等の送信を行う。
【0067】
一方、増設親機300の制御部311は、居室親機200から送信される玄関子機100の呼出し検知部103の呼出しボタン1204が押されたことを通知し、画像情報の送信開始を通知する報知情報を受信すると、アイドル状態から画像通信状態へ動作を移行するよう制御を開始する。
【0068】
増設親機300は、アイドル状態では居室親機200と同期した受信状態にあり、居室親機200が制御信号を送信するタイムスロットの受信を行っており、居室親機200が、制御信号を送信するタイムスロットで報知情報を送信すると報知情報を含むデータ列が無線部307で受信復調され、フレーム処理部306に出力される。フレーム処理部306は、受信データ列に含まれる同期信号を元に制御データフィールドを分離し、制御部311に通知する。制御部311は、通知された制御データフィールドのデータ列を解析し、報知情報であった場合には、次フレームより居室親機200から送信されてくる画像情報を受信するため、すでに受信中の制御信号を受信しているタイムスロットに加え、制御信号を受信しているタイムスロットと対応するタイムスロットの受信を開始するよう無線部307の制御を開始する。
【0069】
報知情報を受信した増設親機300は、制御信号を受信するタイムスロットと制御信号を受信するタイムスロットとに対応するタイムスロットで、居室親機200から送られてくる画像情報を受信可能な状態とする。そして、居室親機200から送られてきた画像情報を含む信号が無線部307で受信復調され、フレーム処理部306に出力されると、フレーム処理部306は、受信データ列に含まれる同期信号を元に情報データフィールドのデータと情報データフィールドのエラー検知用の符号(CRC2)を分離し、エラー検知用の符号(CRC2)を元に情報データフィールドの受信エラーの有無を解析する。解析した結果、受信エラーが無かった場合、情報データフィールドのデータを制御部311に出力する。制御部311は、情報データフィールドのデータ、すなわち順序番号と分割された画像情報を受け取ると、順序番号を元に重複して受信された画像情報か否かの解析を行い、新規の画像情報であった場合、画像情報をモニタ回路304に出力し、モニタ305に画像が表示される。
【0070】
また制御部311は、受信した分割された画像情報に付された順序番号の連続性が無くなった場合、再送されている同一の分割された画像情報を含む受信データがすべて受信エラーによって破棄され、画像情報が欠落したものとしてモニタ回路304にエラー情報を
出力し、モニタ回路304は欠落した画像情報を補完してモニタ305の表示を行う。例えば、居室親機200から送信されてくる画像情報が、よく知られたビットマップデータであった場合、制御部311は、受信した順序番号を元に欠落したタイムスロット数を計算し、欠落したタイムスロット数と通信フォーマットとを元に、失われた画像情報のデータ数を算出し、エラー情報と共に失われた画像情報のデータ数をモニタ回路304に通知する。モニタ回路304では、失われた画像情報のデータ数分の画素情報を黒色で表示するように補正を行い、モニタ305に表示される画像が、画像情報の欠落によってずれが生じないよう制御を行う。
【0071】
次に、図8を用いて、画像情報が分割して送信される様子を説明する。
【0072】
居室親機200は、制御信号の送信のみを行うアイドル状態から画像通信状態に遷移すると、先ず制御信号を送信していたタイムスロットで報知情報の送信を行う。図8では、フレーム1のタイムスロット1で報知情報の送信が行われる。そしてフレーム2より、画像情報の送信が開始される。図8では、1面分の画像情報が、D1,D2,D3の3つに分割され、それぞれに1〜3の順序番号を付して、3回の送信を行う例を示している。すなわち分割された1つ目の画像情報D1は順序番号1が付されて、フレーム2のタイムスロット1とフレーム2のタイムスロット5とフレーム3のタイムスロット1の3つのタイムスロットで送信される。同様に、分割された2つ目の画像情報D2は順序番号2が付されて、フレーム3のタイムスロット5とフレーム4のタイムスロット1とフレーム4のタイムスロット5との3つのタイムスロットで送信される。また分割された3つ目の画像情報D3は順序番号3が付されて、フレーム5のタイムスロット1とフレーム5のタイムスロット5とフレーム6のタイムスロット1との3つのタイムスロットでそれぞれ送信される。
【0073】
次に、本実施の形態のドアフォンシステムの音声通信状態の動作について説明を行う。増設親機300の制御部311は、画像通信状態であるときに、応答ボタン310が押されると音声通信状態に遷移する制御を開始する。増設親機300の制御部311は、応答ボタン310が押されたことを検知すると、画像情報受信中のタイムスロット以外のタイムスロットを選択し、居室親機200との双方向の無線通信を開始するよう制御を開始する。例えば、増設親機300がタイムスロット6を選択した場合は、増設親機300から居室親機200への送信はタイムスロット6が使用され、居室親機200から増設親機300への送信はタイムスロット2が使用される。制御部311は、無線部307の送信周波数を設定し、フレーム処理部306に無線リンク起動要求の制御信号を出力する。フレーム処理部306は、図7(B)のフォーマットの制御データフィールドに無線リンク起動要求の制御信号を載せた送信データ列を生成し、無線部307に出力することで無線リンク起動要求の制御信号が送信される。以後、制御部311は、居室親機200との通信を行うため無線リンク起動要求の制御信号を送信したタイムスロットと無線リンク起動要求の制御信号とを送信したタイムスロットに対応する受信のタイムスロットの双方の送受信を行うよう制御する。
【0074】
一方、居室親機200は、常時、未使用の制御信号を送信するタイムスロットに対応する受信のタイムスロット以外の受信のタイムスロットの受信を行っている。増設親機300からの無線リンク起動要求の制御信号を含むデータ列が送信されると、無線部210で受信復調され、フレーム処理部209に出力される。フレーム処理部209は、受信データ列に含まれる同期信号を元に制御データフィールドを分離し、制御部214に通知する。制御部214は、通知された制御データフィールドのデータ列を解析し、無線リンク起動要求の制御信号であった場合、次フレームより、増設親機300との双方向の通信を行うために、無線リンク起動要求の制御信号を受信したタイムスロットと対応するタイムスロットでの送受信を開始するよう無線部210の制御を開始する。そして、制御部214
は、増設親機300との双方向の無線通信を行うタイムスロットの送信用のタイムスロットのタイミングに合わせて、無線リンク起動要求に対する応答の制御信号をフレーム処理部209に出力する。
【0075】
フレーム処理部209では、図7(B)に示されるフォーマットの制御データフィールドに無線リンク起動要求に対する応答の制御信号を載せた送信データ列を生成し、無線部210に出力することで無線リンク起動要求に対する応答の制御信号が送信される。制御部214は、増設親機300との双方向の通信の接続を行うと同時に、音声回路206を制御し、玄関子機100からの音声信号をデジタル変換してフレーム処理部209に出力し、フレーム処理部209から出力された音声信号をアナログ変換して多重分離回路220を介して玄関子機100に出力するように制御を行う。
【0076】
一方、増設親機300では、居室親機200からの無線リンク起動要求に対する応答の制御信号を受信すると、同様に音声パスの設定を行い、音声回路302を制御し、通話部303からの音声信号をデジタル変換してフレーム処理部306に出力し、フレーム処理部306から出力された音声信号をアナログ変換して通話部303に出力するように制御を行う。なお、このとき送受信されるデジタル変換された音声信号は、図7(B)に示されるフォーマットの情報データフィールドで送受信される。音声通信状態に移行し、双方向の無線通信が確立すると、居室親機200の制御部214は、フレーム処理部209に双方向の無線通信を行うタイムスロットを通知する。フレーム処理部209は、通知されたタイムスロットの情報データフィールドのデータ列を音声情報として処理し、同様に、増設親機300の制御部311は、フレーム処理部306に双方向の無線通信を行うタイムスロットを通知する。フレーム処理部306は、通知されたタイムスロットの情報データフィールドのデータ列を音声情報として処理するように動作する。
【0077】
次に、着信中の画像通信状態から着信応答して音声通信状態に移行する動作に付いて図9に基づいて説明を行う。図9は、居室親機200がスロット1とスロット5で分割した画像情報を片方向の無線通信で増設親機300に一斉に送信している状態で、ある一つの増設親機300、例えば増設親機300aが応答し、スロット1とスロット5で送受信される分割された画像情報の片方向の無線通信を維持しながらスロット2とスロット6で居室親機200と増設親機300aが双方向の音声通信のための無線通信を行う例を示している。
【0078】
なお図9では、画像情報を送信する片方向の無線通信のスロットを黒で示し、音声信号の送受信を行う双方向の無線通信のスロットを斜線で示している。
【0079】
図9において、増設親機300aで応答操作が行われると(S10)、増設親機300aは、スロット6で無線リンク起動要求の制御信号を送信する(S11)。一方、居室親機200は、無線リンク起動要求の制御信号を受信すると(S12)、無線リンク起動要求を受信したスロットに対応する送信スロットであるスロット2で無線リンク起動要求に対する応答の制御信号を送信し、玄関子機100と増設親機300間の音声パスの設定を行う(S13)。そして、増設親機300aは、無線リンク起動要求に対する応答の制御信号を受信すると音声パスの設定を行う(S14)。以後、スロット2とスロット6とで音声信号の送受信が行われる。
【0080】
居室親機200と増設親機300aとが無線確立し音声通信状態となったら、居室親機200が画像情報を送信しているスロット1とスロット5との制御データフィールドに、どの増設親機300が着信応答したかの情報と、居室親機200の送話と増設親機300の送話との音声信号のスロット番号情報を付加して送信する(S15)。
【0081】
着信応答した以外の増設親機300(300b,300c)は、スロット1もしくはスロット5で画像情報と共に、着信応答した親機情報を受信すると、画像表示を継続しつつ、応答中の親機情報も併せて表示を行う(S16)。またこれら増設親機300b,300cは、居室親機200からの送話音声情報が送信されるスロットの番号と、応答した増設親機300aからの送話音声情報が送信されるスロットの番号をスロット1とスロット5の制御データフィールドから読み出し、音声回路302にて、居室親機200の送話と受話の音声信号をミキシングおよびアナログ変換して、通話部303にてスピーカへ出力する(S17)。
【0082】
次に、居室親機200と増設親機300との間が通話状態から通話切断によりアイドル状態へ移行し、着信応答した以外の増設親機300が、着信後一定時間、来訪者の画像を表示する方法について、図10に基づいて説明する。なお図10では、画像情報を送信する片方向の無線通信のスロットを黒で示し、音声信号の送受信を行う双方向の無線通信のスロットを斜線で示し、待機状態で送信される制御データフィールド(図7(A))のみの無線通信スロットをAで示している。
【0083】
通話中の増設親機300aにおいて使用者が応答ボタン310を再度操作すると、通話切断の処理に移る。すなわち応答ボタン310で通話切断の操作が行われる(S21)。制御部311で通話切断の操作が検知されると、音声通話の切断処理が開始される。制御部311は、音声通信の送信を行っているスロットのタイミングに合わせて、切断の制御信号をフレーム処理部306に出力する。切断の制御信号は、無線リンクの確立要求の制御信号の送信時と同様にして増設親機300から居室親機200に送信される(S22)。そして、居室親機200から切断確認の制御信号を増設親機300が受信すると(S25)、音声通信を行っていたスロットの送受信、および画像情報の受信を行っていたスロットのうち制御スロットと予め決められた位置関係にあるスロットの受信を停止して、制御スロットのみの受信に移行し、アイドル状態へ遷移する。
【0084】
一方、居室親機200は、増設親機300からの切断の制御信号を受信すると(S23)、音声信号を送信していたスロットで、無線リンクの確立要求に対する応答信号を送信したときと同様に、切断確認の制御信号を送信し(S24)、音声通信を行っていたスロットの送受信、および画像情報の送信を行っていたスロットのうち制御スロットと予め決められた位置関係にあるスロットの送信を停止し、制御スロットでの画像情報の送信を停止して、アイドル状態へ遷移する。
【0085】
また居室親機200は、画像通信状態で一定時間内に増設親機300からの無線リンクの確立要求を受信しなかった場合、制御スロットと予め決められた位置関係にあるスロットの送信を停止し、制御スロットでの画像情報の送信を停止して、アイドル状態へ遷移する。
【0086】
また着信応答しなかった増設親機300は、居室親機200と他の増設親機300が通話状態になった後、一定時間経過すると、居室親機200から送られてくるスロット1、スロット5の画像情報の表示を停止する。また音声情報が送信されてくるスロット2、スロット6の受信を停止し、音声パスを閉じる処理を行い待機状態に戻る(S20)。
【0087】
次に、居室親機200で玄関子機100に応答し音声通信状態に遷移した場合の動作に付いて説明する。玄関居室親機200の制御部214は、画像通信状態にあるときに、応答ボタン208が押されると音声通信状態に遷移する制御を開始する。居室親機200の制御部214は、応答ボタン208が押されたことを検知すると、玄関子機100と居室親機200の音声通話が可能な状態になるよう制御を行うと同時に、音声信号を増設親機300に送信する動作を開始する。すなわち居室親機200の制御部214は、画像情報
送信中のタイムスロット以外のタイムスロットを選択し、居室親機200の通話部207のマイクから入力された音声信号と、玄関子機100の通話部102のマイクから入力された音声信号との送信を開始する。この時、それぞれの音声信号が居室親機200の音声回路206で合成し、1つのタイムスロットで送信しても良く、それぞれの音声信号を別のタイムスロットで送信し、受信した増設親機300の音声回路302で合成するようにしてもよい。居室親機200の制御部214は、音声信号の送信を開始すると、居室親機200が画像情報を送信しているスロットの制御データフィールドに、居室親機200が着信応答したことを通知する情報と、居室親機200が音声信号を送信するスロット番号情報とを付加して送信する。一方、増設親機300は、画像情報を受信しているスロットで、居室親機200が着信応答したことを通知する情報と、居室親機200が音声信号を送信するスロット番号情報とを受信すると、画像表示を継続しつつ、応答中の親機情報として居室親機200が応答中であることをあわせて表示を行い、通知された音声信号のタイムスロットの受信を開始し、受信した音声信号を通話部303のスピーカより出力するように動作する。
【産業上の利用可能性】
【0088】
いずれかの親機が玄関子機からの呼出しに応答しても、来客者の確認を可能とすることで、高い利便性を図ることが可能なので、玄関子機と、複数の親機とを備えたドアフォンシステムおよびその制御方法に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態に係るドアフォンを説明するブロック図
【図2】玄関子機を説明する外観図
【図3】居室親機を説明する外観図
【図4】増設親機を説明する外観図
【図5】ドアフォンシステムの構成を説明する図
【図6】フレームおよびスロット構成と周波数ホッピングのタイミングを示す図
【図7】画像情報通信装置で通信するデータ列のフォーマットの例を示す図
【図8】画像情報を分割して送信する動作を説明する図
【図9】着信から着信応答を行うドアフォンシステムの動作を説明する図
【図10】着信状態から切断処理を行うドアフォンシステムの動作をする説明図
【符号の説明】
【0090】
100 玄関子機
101 カメラ部
102 通話部
103 呼出し検知部
104 多重分離回路
200 親機
220 多重分離回路
201 モニタ回路
202 モニタ
203 画像情報記憶部
204 呼出し検知部
205 報知部
206 音声回路
207 通話部
208 応答ボタン
209 フレーム処理部
210 無線部
213 アンテナ
214 制御部
300,300a,300b,300c 増設親機
301 報知部
302 音声回路
303 通話部
304 モニタ回路
305 モニタ
306 フレーム処理部
307 無線部
308 アンテナ
310 応答ボタン
311 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関子機と複数の親機からなるドアフォンシステムであって、
前記玄関子機は、音声信号入出力を行う通話部と、
来訪者が呼び出し操作をしたことを検知する呼び出し検知部と、
来訪者の画像を撮影し、前記親機へ出力する画像入力部とを備え、
前記親機は、前記玄関子機の呼び出し検知部にて呼び出しが検知されたことを報知する報知部と、
前記玄関子機からの呼び出しに応答するための操作部と、
音声信号入出力を行う通話部と、
前記玄関子機で撮影された画像情報を表示する表示部と、
前記玄関子機からの呼び出しを受信したときに、前記玄関子機の通話部より入力された音声信号を自機の通話部より出力すると共に、前記玄関子機で撮影された画像情報を前記表示部に表示し、
前記自機の通話部より入力された音声信号を前記玄関子機へ出力すると共に、前記玄関子機の通話部より入力された音声信号および自機の通話部より入力された音声信号を、他の親機へ送信し、前記他の親機のいずれかが前記玄関子機からの呼び出しに応答したときに、前記表示部による画像情報の表示を、所定時間継続させるよう制御する制御部とを備えたことを特徴とするドアフォンシステム。
【請求項2】
前記親機は、画像情報を保存する画像保存部を備え、
前記制御部は、前記玄関子機からの呼び出し操作が検知されると、前記画像入力部から出力された画像情報を前記画像保存部に保存し、他の親機のいずれかが前記玄関子機からの呼び出しに応答した場合、前記画像保存部に保存された画像情報を前記表示部に、所定時間表示させる機能を備えたことを特徴とする請求項1記載のドアフォンシステム。
【請求項3】
前記親機の制御部は、前記玄関子機からの呼び出しに応答したことを他の親機に報知し、報知された呼び出しに対する応答を受信すると、報知元の他の親機を識別する情報を表示する機能を備えたことを特徴とする請求項1または2記載のドアフォンシステム。
【請求項4】
前記親機の制御部は、前記玄関子機との通話を終了したときに、通話終了を他の親機に報知し、前記通話終了を受信すると、音声出力、画像表示、または報知元の他の親機を識別する情報の表示を停止する機能を備えたことを特徴とする請求項3記載のドアフォンシステム。
【請求項5】
前記複数の親機は、玄関子機に接続された居室親機と、前記居室親機と無線通信で接続され、前記居室親機を経由して前記玄関子機と接続される1台以上の増設親機からなり、
前記居室親機は、前記玄関子機からの入力した画像情報を一方向の同報通信によって前記増設親機に送信する無線部を備え、
前記増設親機は、前記居室親機より同報通信によって送信された画像情報を受信して、前記表示部により表示する無線部を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれかの項に記載のドアフォンシステム。
【請求項6】
前記増設親機は、自機が前記居室親機を介して受信した前記玄関子機からの呼び出しに応答した応答親機であるときに、前記居室親機と音声信号用の双方向の無線通信を行い、前記玄関子機からの音声信号を、前記居室親機を介して入力して自機の通話部から出力すると共に、自機の通話部から音声を入力して音声信号として前記居室親機を介して前記玄関子機へ送信し、
前記応答親機が他の増設親機であるときに、前記居室親機から前記応答親機への無線通信による音声信号と、前記応答親機から前記親機への無線通信による音声信号とを受信して
音声として出力する機能を備えたことを特徴とする請求項5記載のドアフォンシステム。
【請求項7】
前記居室親機は、前記玄関子機からの呼び出しに応答したときに、前記玄関子機の通話部より入力された音声信号を自機の通話部より出力し、自機の通話部より入力された音声信号を前記玄関子機へ出力すると共に、前記玄関子機の通話部より入力された音声信号と自機の通話部より入力された音声信号を自機の無線部より送信する機能を備え、
前記増設親機は、前記居室親機から送信された音声信号を受信し、前記玄関子機の通話部より入力された音声信号及び前記居室親機の通話部より入力された音声信号を自機の通話部より出力する機能を備えたことを特徴とする請求項5または6記載のドアフォンシステム。
【請求項8】
玄関子機と複数の親機からなるドアフォンシステムの制御方法であって、
前記玄関子機が来客者の呼び出しを前記複数の親機に一斉に着信状態を報知すると共に前記来訪者の画像情報を送信し、
前記玄関子機からの報知をいずれかの親機が着信応答したら、着信応答した親機が、前記玄関子機の通話を開始すると共に、前記着信応答した親機と玄関子機とに入力された音声信号を前記着信応答した親機以外の他の親機へ出力し、着信応答した親機以外の他の親機が、前記玄関子機からの画像情報を一定時間表示し続けることを特徴とするドアフォンシステムの制御方法。
【請求項9】
前記親機が、着信中に画像情報を画像保存部に保存し、
いずれかの親機が着信応答したときに、着信応答した親機以外の他の親機が、保存していた画像情報を一定時間表示することを特徴とする請求項8記載のドアフォンシステムの制御方法。
【請求項10】
前記玄関子機が、無線で前記複数の親機に一斉に着信状態を報知するときに、いずれかの親機が着信応答すると、着信応答した親機以外の他の親機は、画像情報の通信状態を維持することにより、着信が消失したあとも画像情報を表示することが可能なことを特徴とする請求項8記載のドアフォンシステムの制御方法。
【請求項11】
前記玄関子機からの呼び出しにいずれかの親機が着信応答したときに、着信応答した親機が着信したことを他の親機に報知し、
前記他の親機が、前記着信応答した親機からの報知を受信し、報知元の他の親機を識別する情報を一定時間画像情報と共に表示することを特徴とする請求項8から10のいずれかの項に記載のドアフォンシステムの制御方法。
【請求項12】
前記玄関子機からの呼び出しにいずれかの親機が着信応答したときに、着信応答した親機以外の他の親機が、画像情報と共に来客者と応答者の通話情報を一定時間受信することを特徴とする請求項8から11のいずれかの項に記載のドアフォンシステムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−208608(P2007−208608A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−24378(P2006−24378)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】