説明

ドアミラー用灯具

【課題】外部から導光部材を通してミラーハウジング内部が見えることがないドアミラー用灯具を提供する。
【解決手段】ミラーハウジング500の外側面510に設けられた開口部520に取り付けられるドアミラー用灯具10であって、入射側端面、出射側端面、および略対向するように形成された一対の側面121を有し、前記出射側端面および一対の前記側面121の一方が前記開口部520から露出するように前記ミラーハウジング500に取り付けられる導光部材と、前記入射側端面近傍に配され、前記入射側端面から前記導光部材内部へ光を入射させる半導体発光素子と、を備え、一対の前記側面121の他方には、外側から前記側面を通じて前記ミラーハウジング500の内部構成が視認されるのを防ぐための視認防止手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドターンシグナルランプに代表される自動車のドアミラー用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のサイドミラーに内蔵一体化されるとともに、自動車の方向転回時などにサイドミラーの外側面に沿って設けられた発光面から発光するサイドターンシグナルランプが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
従来のサイドターンシグナルランプは、光を透過しない材料で形成されたランプボディと、半透明あるいは透明な材料で形成され、所定の入射面から入射する光を導光しつつ発光面から出射する導光部材と、当該導光部材に光を入射させる光源と当該光源に電力を供給する電源回路等から構成される光源ユニットなどで構成されており、ミラーハウジングの外側壁に設けられた開口に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−114309号公報参照
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ミラーハウジングの内部は、ドアミラー本体やその駆動のための駆動ユニットなどを配置するために多くのスペースを必要とする。したがって、これらの部品とともにミラーハウジングの内部に配されるサイドターンシグナルランプは、より小型かつ薄型であることが要求される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、ミラーハウジングの外側面に設けられた開口部に取り付けられるドアミラー用灯具であって、入射側端面、出射側端面、および略対向するように形成された一対の側面を有し、前記出射側端面および一対の前記側面の一方が前記開口部から露出するように前記ミラーハウジングに取り付けられる導光部材と、前記入射側端面近傍に配され、前記入射側端面から前記導光部材内部へ光を入射させる半導体発光素子と、を備え、一対の前記側面の他方には、外側から前記側面を通じて前記ミラーハウジングの内部構成が視認されるのを防ぐための視認防止手段が設けられていることを特徴とするドアミラー用灯具を提供する。
このようなドアミラー用灯具によれば、導光部材の内側(ミラーハウジング内部)に灯具ボディが存在しないので、灯具自体を小型化かつ薄型化できるとともに、部品点数も削減することができる。また、導光部材の側面に視認防止手段が設けられているので、外部から導光部材を通してミラーハウジング内部が見えることがない。
【0007】
また、上記ドアミラー用灯具において、前記視認防止手段は、他方の前記側面に形成されたプリズムステップを含んでもよい。
これにより、導光部材の側面形状のみで外側からミラーハウジング内部を見えにくくすることができるので、視認防止手段のために部品点数が増えることがない。
【0008】
また、上記ドアミラー用灯具において、前記視認防止手段は、他方の前記側面上に形成されて、当該側面から前記導光部材内部への光の透過を防止する光透過防止膜を含んでもよい。
これにより、外側からミラーハウジング内部をより確実に見えにくくすることができるとともに、光透過防止膜を例えば蒸着などの方法で形成することにより、視認防止手段のために部品点数が増えることがない。
【0009】
また、上記光透過防止膜を設ける場合において、前記光透過防止膜は、前記導光部材内部からの光を反射する反射膜であることが好ましい。
これにより、導光部材からミラー内部への光の漏出を防ぐことにより光源光の利用効率が向上する。
【0010】
また、上記ドアミラー用灯具において、少なくとも他方の前記側面上には、親水膜が形成されていることが好ましい。
これにより、例えば他方の側面上に付着した水によって水滴ができるのを防いで当該側面における光の屈折状態を安定させることにより、ミラーハウジング内部をより確実に見えにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るサイドターンシグナルランプ10の正面図である。
【図2】サイドターンシグナルランプ10の図1に示すII−II線に沿った断面図である。
【図3】サイドターンシグナルランプ10の図2に示すIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図2におけるLED320近傍を拡大した図である。
【図5】サイドターンシグナルランプ10の分解斜視図である。
【図6】本発明の実施形態の他の例に係るサイドターンシグナルランプ11の図2に対応する断面図である。
【図7】サイドターンシグナルランプ11の図6に示すIV−IV線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係るサイドターンシグナルランプ10の正面図である。また、図2は、サイドターンシグナルランプ10の図1に示すII−II線に沿った断面図である。また、図3は、サイドターンシグナルランプ10の図2に示すIII−III線に沿った断面図である。また、図4は、図2におけるLED320近傍を拡大した図である。また、図5は、サイドターンシグナルランプ10の分解斜視図である。
【0014】
本実施形態に係るサイドターンシグナルランプ10は、本発明における自動車のドアミラーに設置されるドアミラー用灯具の一例であって、図5に示すように、大別して導光部材100と、プロテクタ200と、LEDユニットアッシー300とで構成され、図1および図2に示すように、自動車のサイドミラーにおけるミラー本体400を支持するミラーハウジング500の湾曲する外側壁510(外側面)に設けられた開口部520に取り付けられる。なお、以下の説明において、「先端側」とは、サイドターンシグナルランプ10における導光部材100の先端側(例えば図1における左側)を示し、「後端側」サイドターンシグナルランプ10におけるLEDユニットアッシー300側(例えば図1における右側)を示すものとする。
【0015】
導光部材100は、例えば透明あるいは半透明の樹脂を一体成型することにより製造される樹脂製部品であって、入射側端面111、LED320から導光部材100へ入射した出射側端面112、および略対向するように形成された一対の側面(前面部121、背面部122)を有する。そして、サイドターンシグナルランプ10が開口部520に取り付けられた際には、出射側端面112および前面部121が開口部520から露出する。なお、本例では、導光部材100の前面部121は、サイドターンシグナルランプ10が開口部520に取り付けられた際に隣接するミラーハウジング500の外側壁510と略連続する曲面を構成する。
【0016】
導光部材100の入射側端面111は、サイドターンシグナルランプ10の光源である後述の4つのLED320の各々に対応して形成されており、対応するLED320の発光部と近接対向している。また、出射側端面112は、導光部材100の先端側に設けられており、入射側端面111から導光部材100内部へ入射した光源光のうち、導光部材100の前面部121および背面部122などで内面反射しながら導光部材100の先端部に達した光がこの面から外部へ出射する。
【0017】
導光部材100の入射側端面111近傍には、LED320が収容される略円筒形の光源収容部130が導光部材100の他の部分と一体に設けられている。この光源収容部130は、後端側が開放されており、また、周壁の外側には、後述のキャップ370に設けられたフック372と係合する係合爪132が複数設けられている。また、光源収容部130を構成する周壁からは2本のブラケット134が延びており、それぞれのブラケット134の先端部には、ミラーハウジング500にサイドターンシグナルランプ10を締結ネジ150によって固定するためのネジ挿通孔135が設けられている。なお、図1には、締結ネジ150によってブラケット134と締結されるミラーハウジング500側のパーツについては図示を省略している。
【0018】
また、導光部材100には、前面部121および背面部122で構成される中央部を囲むようにフランジ部140が設けられている。このフランジ部140は、サイドターンシグナルランプ10がミラーハウジング500の開口部520に取り付けられた際に、開口部520周辺の外側壁510と後述のプロテクタ200を介して係合する。また、導光部材100の背面部122には、図3に示すように、複数のプリズムステップ125が形成されている。
【0019】
このプリズムステップ125は、導光部材100の入射側端面111から導光部材100内部に入射したLED320の光や導光部材100の前面部121から導光部材100内部に入射した外光などを内面反射することでこれらの光が背面部122からミラーハウジング500の内側に漏れるのを防ぐことにより、ミラーハウジング500の外側壁510の外側から導光部材100を通してミラー本体400の駆動ユニットなどのミラーハウジング500の内部構成が視認されるのを防ぐための視認防止手段として機能する。
【0020】
プロテクタ200は、例えばスポンジやゴム等の弾性を有する材料を一体成型することにより製造される略T字型のシート状の部材であり、導光部材100の前面部121の外形に沿った環状部210と、環状部210よりも後端側に設けられた幅広部220とで構成されている。このプロテクタ200の環状部210は、サイドターンシグナルランプ10が開口部520に取り付けられた際に導光部材100とミラーハウジング500の外側壁510との間の隙間を埋めることにより、ドアミラーに振動により導光部材100とミラーハウジング500の外側壁510とが直接衝突することにより騒音が発生するのを防ぐ役割を担う。また、プロテクタ200の幅広部220は、導光部材100の光源収容部130の周囲に巻回されることにより、LED320からの光が光源収容部130の周囲に漏れるのを防ぐ役割を担う。
【0021】
LEDユニットアッシー300は、基板310、LED320、端子330、係止部材340、Oリング360、およびキャップ370で構成されている。基板310の先端側の面には、4つのLED320が略等間隔で設けられている。また、基板310の後端側の面には、係止部材340に係止された2本の端子330の一端と電気的に接続するための導電パターンあるいは接触端子が設けられている。
【0022】
キャップ370には、後端側に突出する筒状の呼吸孔374およびコネクタハウジング376が形成されている。これらのうち、呼吸孔374は、光源収容部130とキャップ370とにより形成される光源収容空間と外部とを通気させる役割を担い、その内部には、図4に示すように、外気に含まれる塵や埃などをトラップするためのフィルター375が設けられている。
【0023】
コネクタハウジング376は、2本の端子330とともにコネクタを構成する。すなわち、2本の端子330の後端側の先端部は、コネクタハウジング376の内部において後端側に突出しており、コネクタハウジング376の内側にサイドターンシグナルランプ10へ電力を供給するためのプラグが挿入された際に、当該プラグの端子と電気的に接続する。
【0024】
また、キャップ370には、複数のフック穴372が形成されており、導光部材100の光源収容部130に設けられた係合爪132がこれらのフック穴372にランス係合することで、LEDユニットアッシー300が導光部材100に固定される。また、このとき、キャップ370と光源収容部130との間にはゴムなどの弾性材料により形成されたOリング360が挿入される。したがって、4つのLED320が収容される光源収容空間は、図4などに示すように、呼吸孔374のみによって外部空間と通気可能な空間となる。
【0025】
以上のように、本例のサイドターンシグナルランプ10は、導光部材100の内側に灯具ボディなどがないので、灯具自体を非常に小型化かつ薄型化できるとともに、部品点数も削減することができる。また、その一方で、導光部材100の背面部122に上記のようにプリズムステップ125を形成したことにより、外部からのミラーハウジング500の内部構成が見えることがない。
【0026】
図6は、本発明の実施形態の他の例に係るサイドターンシグナルランプ11の図2に対応する断面図である。また、図7は、サイドターンシグナルランプ11の図6に示すIV−IV線に沿った断面図である。本例のサイドターンシグナルランプ11の説明に際して、上記サイドターンシグナルランプ10と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。本例のサイドターンシグナルランプ11では、導光部材100の背面部122に、上記サイドターンシグナルランプ10におけるプリズムステップ125に替えて光反射膜126が設けられている。
【0027】
この光反射膜126は、例えば導光部材100の背面部122にアルミ蒸着などの方法によって形成され、導光部材100の入射側端面111から導光部材100内部に入射したLED320の光や導光部材100の前面部121から導光部材100内部に入射した外光などを反射することでこれらの光が背面部122からミラーハウジング500の内側に漏れるのを防ぐ。すなわち、光反射膜126は、プリズムステップ125同様、ミラーハウジング500の外側壁510の外側から導光部材100を通してミラーハウジング500の内部構成が視認されるのを防ぐための視認防止手段として機能する。
【0028】
なお、光反射膜126は、アルミ蒸着膜などに限られず、少なくとも導光部材100を通してミラーハウジング500の内部構成が視認されるのを防ぐ役割を果たす光透過防止機能を有していればよい。本例のサイドターンシグナルランプ11においても、導光部材100の内側に灯具ボディなどがなく、灯具自体を非常に小型化かつ薄型化できるとともに、部品点数も削減することができる。また、導光部材100の背面部122に上記のように光反射膜126を形成したことにより、外部からのミラーハウジング500の内部構成が見えることがない。
【0029】
なお、導光部材100の背面部122にサイドターンシグナルランプ10におけるプリズムステップ125を設けるとともに本例の光反射膜126をその表面に形成してもよい。これにより、上記の視認防止手段として機能がさらに向上する。また、上記サイドターンシグナルランプ10,11における導光部材100の背面部122に設けられた視認防止手段(プリズムステップ125,光反射膜126)の表面を少なくとも含む導光部材100の表面には、親水膜が形成されている(図示は省略)。したがって、導光部材100の背面部122上などに水が付着した場合でも、親水膜の効果によって水滴ができることがない。ゆえに、サイドターンシグナルランプ10,11における導光部材100の背面部122における屈折状態が水の付着に依らず安定するので、導光部材100の背面部122における上記視認防止手段上に水が付着した場合でも、外部からのミラーハウジング500の内部構成が見えることがない。
【符号の説明】
【0030】
10,11…サイドターンシグナルランプ
100…導光部材
111…入射側端面
112…出射側端面
121…前面部
122…背面部
125…プリズムステップ
126…光反射膜(光透過防止膜)
130…光源収容部
132…係合爪
134…ブラケット
135…ネジ挿通孔
140…フランジ部
150…締結ネジ
200…プロテクタ
210…環状部
220…幅広部
300…LEDユニットアッシー
310…基板
320…LED(半導体発光素子)
330…端子
340…係止部材
360…Oリング
370…キャップ
372…フック穴
374…呼吸孔
375…フィルター
376…コネクタハウジング
400…ミラー本体
500…ミラーハウジング
510…外側壁
520…開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーハウジングの外側面に設けられた開口部に取り付けられるドアミラー用灯具であって、
入射側端面、出射側端面、および略対向するように形成された一対の側面を有し、前記出射側端面および一対の前記側面の一方が前記開口部から露出するように前記ミラーハウジングに取り付けられる導光部材と、
前記入射側端面近傍に配され、前記入射側端面から前記導光部材内部へ光を入射させる半導体発光素子と、
を備え、
一対の前記側面の他方には、外側から前記側面を通じて前記ミラーハウジングの内部構成が視認されるのを防ぐための視認防止手段が設けられていることを特徴とするドアミラー用灯具。
【請求項2】
前記視認防止手段は、他方の前記側面に形成されたプリズムステップを含むことを特徴とする請求項1に記載のドアミラー用灯具。
【請求項3】
前記視認防止手段は、他方の前記側面上に形成されて、当該側面から前記導光部材内部への光の透過を防止する光透過防止膜を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のドアミラー用灯具。
【請求項4】
前記光透過防止膜は、前記導光部材内部からの光を反射する反射膜であることを特徴とする請求項3に記載のドアミラー用灯具。
【請求項5】
少なくとも他方の前記側面上には、親水膜が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のドアミラー用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−104275(P2012−104275A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249945(P2010−249945)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】