ドア
【課題】遮音性を向上させることができるドアを提供する。
【解決手段】ドア1のドア本体10は、構造物2の開口部20を開閉可能であり、第1ドア表面14、第2ドア表面15、ドア上面11およびドア下面12をもつ。ドア本体10のドア上面11側には、ドア本体10の閉鎖時にドア上面11よりも上方の隙間91を低減または閉鎖させる上側隙間閉鎖手段4が設けられている。ドア本体10のドア下面12側には、ドア本体10の閉鎖時にドア下面12よりも下方の隙間92を低減または閉鎖させる下側隙間閉鎖手段5が設けられている。
【解決手段】ドア1のドア本体10は、構造物2の開口部20を開閉可能であり、第1ドア表面14、第2ドア表面15、ドア上面11およびドア下面12をもつ。ドア本体10のドア上面11側には、ドア本体10の閉鎖時にドア上面11よりも上方の隙間91を低減または閉鎖させる上側隙間閉鎖手段4が設けられている。ドア本体10のドア下面12側には、ドア本体10の閉鎖時にドア下面12よりも下方の隙間92を低減または閉鎖させる下側隙間閉鎖手段5が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遮音性を高めたドアに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、床段差のない出入口に好適に用いられるものであって、ドアのドア下面と床面との間の隙間を無くすべく、可動式の遮音部材をドアのドア下面側に取り付けたドアが記載されている。このものによれば、ドア閉鎖時には、可動式の遮音部材を下降させてドアのドア下面と床面との間の隙間を閉鎖することにしている。
【0003】
また、ホルムアルデヒド等の有害物質による室内におけるシックハウス症候群に対応するため建築基準法(2003年7月)が改正され、換気設備による室内の換気性を確保すること、あるいは、ドアにおいて所定の有効開口面積を確保すること(非特許文献1参照)が要請されている。
【特許文献1】特開平8−284546号公報
【非特許文献1】国土交通省住宅局建築指導課、国土交通省住宅局住宅生産課、国土交通省国土技術政策総合研究所、独立行政法人建築研究所、日本建築行政会議、シックハウス対策マニュアル編集委員会、「改正建築基準法に対応した建築物のシックハウス対策マニュアル−建築基準法・住宅性能表示制度の解説及び設計施工マニュアル−」、第1版、工学図書株式会社、平成15年5月1日、p.211
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に係るドアによれば、ドア下面側に可動式の遮音部材を取り付けており、ドア閉鎖時に、可動式の遮音部材を下降させ、ドア下面と床面との間の隙間を閉鎖する。このためドア閉鎖時において、ドア下面と床面との間における遮音性を高めることができる。更に、ドア下面と床面との間における遮光性を高めることができる。産業界では、更に遮音性を高めることが要請されている。
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、遮音性を向上させることができるドアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)様相1に係るドアは、構造物の開口部を開閉可能であり、第1ドア表面、前記第1ドア表面に背向する第2ドア表面、ドア上面およびドア下面をもつドア本体と、前記ドア本体の前記ドア上面側に設けられ、前記ドア本体の閉鎖時に前記ドア上面よりも上方の隙間を低減または閉鎖させる上側隙間閉鎖手段と、前記ドア本体の前記ドア下面側に設けられ、前記ドア本体の閉鎖時に前記ドア下面よりも下方の隙間を低減または閉鎖させる下側隙間閉鎖手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
上側隙間閉鎖手段は、ドア本体の閉鎖時において、ドア上面よりも上方の隙間を低減または閉鎖させる。下側隙間閉鎖手段は、ドア本体の閉鎖時において、ドア下面よりも下方の隙間を低減または閉鎖させる。これによりドアの閉鎖時において遮音性が向上する。
【0008】
更に、ドア上面側に上側隙間閉鎖手段を設けることで、ドア本体の上部の強度が高められ、ドア本体上部の反りが低減される。ドア下面側に下側隙間閉鎖手段を設けることで、ドア本体の下部の強度が高められ、ドア本体下部の反りが低減される。
【0009】
(2)様相2に係るドアは、様相1において、前記ドア本体の厚み方向に沿った断面で、前記ドア上面において前記上側隙間閉鎖手段よりも前記第1ドア表面側に形成された第1上面開口と、前記ドア上面において前記上側隙間閉鎖手段よりも前記第2ドア表面側に形成された第2上面開口と、前記第1上面開口および前記第2上面開口を連通させることにより、前記第1ドア表面が対面する第1空間と前記第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる上側連通路とをもつことを特徴とする。
【0010】
ドアの閉鎖時において遮音性が向上する。更に、ドアの閉鎖時においても、第1上面開口、第2上面開口および上側連通路により第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保される。
【0011】
(3)様相3に係るドアは、様相1において、前記ドア本体の厚み方向に沿った断面で、前記第1ドア表面および前記第2ドア表面のうちのいずれか一方において形成された表面開口と、前記ドア上面において前記上側隙間閉鎖手段よりも前記第1ドア表面側または前記第2ドア表面側に形成された上面開口と、前記表面開口および前記上面開口を連通させることにより、前記第1ドア表面が対面する第1空間と前記第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる上側連通路とをもつことを特徴とする。
【0012】
ドアの閉鎖時において遮音性が向上する。更に、ドアの閉鎖時においても、上面開口、表面開口および上側連通路により第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保される。
【0013】
(4)様相4に係るドアは、様相1において、前記ドア本体の厚み方向に沿った断面で、前記ドア下面において前記下側隙間閉鎖手段よりも前記第1ドア表面側に形成された第1下面開口と、前記ドア下面において前記下側隙間閉鎖手段よりも前記第2ドア表面側に形成された第2下面開口と、前記第1下面開口および前記第2下面開口を連通させることにより、前記第1ドア表面が対面する第1空間と前記第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる下側連通路とをもつことを特徴とする。
【0014】
ドアの閉鎖時において遮音性が向上する。更に、ドアの閉鎖時においても、第1下面開口、第2下面開口および下側連通路により第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保される。
【0015】
(5)様相5に係るドアは、様相1において、前記ドア本体の厚み方向に沿った断面で、前記第1ドア表面および前記第2ドア表面のうちのいずれか一方において形成された表面開口と、前記ドア下面において前記下側隙間閉鎖手段よりも前記第1ドア表面側または前記第2ドア表面側に形成された下面開口と、前記表面開口および前記下面開口を連通させることにより、前記第1ドア表面が対面する第1空間と前記第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる下側連通路とをもつことを特徴とする。
【0016】
ドアの閉鎖時において遮音性が向上する。更に、ドアの閉鎖時においても、下面開口、表面開口および下側連通路により第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保される。
【発明の効果】
【0017】
各様相によれば、ドア本体の閉鎖時において、ドア上面よりも上方の隙間と、ドア下面よりも下方の隙間との双方を低減または閉鎖させる。このためドア本体の閉鎖時において遮音性が向上する。更に、ドア本体のドア上面側に上側隙間閉鎖手段を設けることで、ドア本体の上部の強度が高められ、ドア本体上部の反りが低減される。また、ドア本体のドア下面側に下側隙間閉鎖手段を設けることで、ドア本体の下部の強度が高められ、ドア本体下部の反りが低減される。よって、ドアを開放または閉鎖するにあたり、ドア本体の下部のガタを抑制できる他に、ドア本体の上部のガタツキを抑制できる。
【0018】
更に様相2〜様相5によれば、ドア本体の閉鎖時において、遮音性を向上させつつ、第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
構造物としては、家屋やビル等の建築物、車両等の移動体を例示できる。開口部は、人が出入りする開口部(出入口)が挙げられるが、人が出入りしない換気用の開口部でも良い。
【0020】
上側隙間閉鎖手段としては、ドア上面よりも上方に移動可能に設けられた上側遮音部材と、上側遮音部材をドア上面よりも上方に移動させる上側作動部とをもつ形態が例示される。この場合、上側遮音部材を上側作動部によって上方に移動させれば、ドア本体のドア上面よりも上方の隙間を低減または閉鎖させることができる。
【0021】
本発明によれば、ドア本体の厚み方向に沿った断面で、ドア上面において上側遮音部材よりも第1ドア表面側に形成された第1上面開口と、ドア上面において上側遮音部材よりも第2ドア表面側に形成された第2上面開口と、第1上面開口および第2上面開口を連通させることにより、第1ドア表面が対面する第1空間と第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる上側連通路とをもつ形態が例示される。この場合、ドアが閉鎖されるとき、ドアは第1空間と第2空間とを仕切る。この場合、ドア上面において第1上面開口および第2上面開口が形成されているため、通常の状態では、使用者は、第1上面開口および第2上面開口の存在を視認することができない。故に、使用者に通気孔の存在を認識させずとも、第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保される。
【0022】
また、ドア本体の厚み方向に沿った断面で、第1ドア表面および第2ドア表面のうちのいずれか一方において形成された表面開口と、ドア上面において上側遮音部材よりも第1ドア表面側または第2ドア表面側に形成された上面開口と、表面開口および上面開口を連通させることにより、第1ドア表面が対面する第1空間と第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる上側連通路とをもつ形態が例示される。ドアが閉鎖されるとき、ドアは第1空間と第2空間とを仕切る。この場合、表面開口、上面開口および上側連通路により、第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保される。
【0023】
下側隙間閉鎖手段としては、ドア下面よりも下方に移動可能に設けられた下側遮音部材と、下側遮音部材をドア下面よりも下方に移動させる下側作動部とをもつ形態が例示される。この場合、下側遮音部材を下側作動部によって下方に移動させれば、ドア本体のドア下面よりも下方の隙間を低減または閉鎖させることができる。
【0024】
本発明によれば、ドア本体の厚み方向に沿った断面で、ドア下面において下側遮音部材よりも第1ドア表面側に形成された第1下面開口と、ドア下面において下側遮音部材よりも第2ドア表面側に形成された第2下面開口と、第1下面開口および第2下面開口を連通させることにより、第1ドア表面が対面する第1空間と第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる下側連通路とをもつ形態が例示される。この場合、ドア下面において第1下面開口および第2下面開口が形成されているため、通常の状態では、使用者は、第1下面開口および第2下面開口の存在を視認することができない。故に、使用者に通気孔の存在を認識させずとも、第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保される。
【0025】
また、ドア本体の厚み方向に沿った断面で、第1ドア表面および第2ドア表面のうちのいずれか一方において形成された表面開口と、ドア下面において下側遮音部材よりも第1ドア表面側または第2ドア表面側に形成された下面開口と、表面開口および下面開口を連通させることにより、第1ドア表面が対面する第1空間と第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる下側連通路とをもつ形態が例示される。この場合、ドアが閉鎖されるとき、ドアは第1空間と第2空間とを仕切る。この場合、表面開口、下面開口および下側連通路により、第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保される。
【0026】
下側連通路および上側連通路をドア本体の内部において互いに連通させる内部連通路がドア本体の内部に設けられている形態が例示される。この場合、第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保され易い。更に、第1空間と第2空間との間に大きな温度差または湿度差がかなり存在するときには、第1ドア表面および第2ドア表面における温度差または湿度差に起因して、ドア本体に反りが発生するおそれがある。このような場合であっても、内部連通路の雰囲気は、つまり、ドア本体の内部の雰囲気は、第1空間と第2空間との中間雰囲気となり易く、ドア本体の反りが低減される利点が得られる。
【0027】
本発明によれば、上側隙間閉鎖手段および下側隙間閉鎖手段のうちの少なくとも一方は、ドア本体の閉鎖時にドア上面の上方またはドア下面の下方の隙間を低減または閉鎖させ得る遮音部材と、ドア本体の閉鎖時に前記隙間を低減または閉鎖させる方向に遮音部材を移動させる作動部とをもち、作動部は、ドアが開放されるに伴い前記隙間を形成する方向に遮音部材を付勢するバネ部材と、ドアが閉鎖されるに伴い前記隙間を低減または閉鎖させる方向に遮音部材を作動させる作動体とを備えている形態が例示される。遮音部材としては例えばゴムや樹脂等の有機高分子系材料を基材として形成できる。
【0028】
本発明によれば、構造物の開口部に配置されるドア枠が設けられている形態が例示される。ドア枠は、ドア上面に対向するドア上枠と、ドア下面に対向するドア下枠と、ドア側面に対向するドア側枠とを備えている形態が例示される。ドア側枠にシール材料を基材とするシール部材が設けられており、ドア上枠およびドア下枠にはシール部材が設けられていない形態が例示される。この場合、ドアの閉鎖時においてシール部材からドア本体へ作用する反力が軽減される。故にドア本体の反りが低減される。
【実施例1】
【0029】
以下、本発明を具体化した実施例1について図1〜図6を参照して具体的に説明する。本実施例は、回動して開閉させる方式のドア1に適用したものである。図1は、ドア1の厚み方向に沿って切断した断面図を模式的に示す。図2(A)はドア1をドア枠3に取り付けた状態を模式的に示す。図2(B)はドア1を外した状態のドア枠3を模式的に示す。なお、各図は概念図であり、細部構造の寸法などまで規定するものではない。
【0030】
図2(A)(B)に示すように、家屋や集合住宅等の構造物2において人が出入りする開口部20には、ドア枠3が設けられている。ドア枠3は、構造物2の開口部20の上側において横方向に延設されたドア上枠31と、開口部20の下側において横方向に延設されたドア下枠32と、ドア上枠31およびドア下枠32を繋ぐ縦方向に延設された互いに対向する2個のドア側枠33とを有する。
【0031】
図2(A)に示すように、ドア1はドア枠3に取り付けられている。ドア本体10は正面視で縦長の四角形状をなしている。ドア1の主体をなすドア本体10は、ドア枠3のドア上枠31に対面するドア上面11と、ドア枠3のドア下枠32に対面するドア下面12と、互いに対向する2個のドア側面13とをもつ。ドア1はヒンジ部36によりドア枠3のドア側枠33に回動開閉可能に取り付けられている。ヒンジ部36がドア1の回動中心となる。ドア側枠33には、軟質のシール材料を基材とする縦長のシール部材35(ハッチングで示す部分)が接着等により設けられている。シール部材35はドア1に密着して遮音性および遮光性を高める。
【0032】
ドア上枠31およびドア下枠32にはシール部材35が設けられていない。その理由としては、後述するように、ドア本体10のうち、ドア上枠31に対面するドア上面11側のシール性を高める上側隙間閉鎖手段4が設けられ、ドア下枠32に対面するドア下面12側のシール性を高める下側隙間閉鎖手段5が設けられているためである。
【0033】
図1に示すようにドア1の主体をなすドア本体10は、ドア上面11およびドア下面12の他に、第1空間14xに対面する第1ドア表面14と、第2空間15xに対面する第2ドア表面15とをもつ。図1に示すように、ドア1のドア上面11とドア枠3のドア上枠31との間には、隙間量ΔE1をもつ上側隙間91が形成されている。ドア1のドア下面12とドア枠3のドア下枠32との間には、隙間量ΔE2をもつ下側隙間92が形成されている。上側隙間91および下側隙間92が形成されているため、ドア1を開閉させるときの抵抗が低減されている。
【0034】
図1に示すように、上側隙間閉鎖手段4は、ドア本体10のドア上面11側(ドア本体10における仮想線Waで示す上部側)に設けられている。上側隙間閉鎖手段4は、ドア上面11よりも上方(矢印U1方向)に向けて移動可能に設けられた上側遮音部材40と、上側遮音部材40をドア上面11よりも上方(矢印U1方向)に向けて移動させる上側作動部45とをもつ。ドア本体10の厚み方向(図1に示す矢印T方向)において、上側隙間閉鎖手段4はドア本体10の中央域に配置されている。つまり、上側隙間閉鎖手段4の中心線MUは、ドア本体10の厚み方向の中心線に合致または実質的に合致している。
【0035】
図4に示すように、上側作動部45は、ドア上面11側に配置され、上側収容室41rをもつ上側ケース41と、ドア1が開放されるに伴い上側隙間91を形成する方向に上側遮音部材40を付勢する上側バネ部材42と、ドア1が閉鎖されるに伴い上側隙間91を低減または閉鎖させる方向(矢印U1方向)に上側遮音部材40を作動させる上側作動体43とを備えている。上側ケース41は金属または硬質樹脂等の硬質材料で形成されており、ドア本体10のドア上面11側に沿って配置されており、ドア上面11側を補強できる。図5に示すように、上側遮音部材40は、上側ケース41の収容室41rに保持された金属または硬質樹脂等の硬質材料で形成された上側硬質部材401と、上側ケース41の収容室41rに上側硬質部材401に上向きに保持されたゴムまたは樹脂等の軟質材料で形成された上側軟質部材402とで形成されている。なお、上側軟質部材402は、ドア枠3のドア上枠31への弾性変形性、密着シール性を高めるべく、中空室403を有する。
【0036】
図4に示すように、上側バネ部材42は、複数の曲成部42mを並設状態に有するように蛇行状に曲成された板バネで形成されており、上側ケース41の収容室41rの延設方向に沿って、つまりドア上面11に沿って延設されている。曲成部42mには付設部42kが複数個取り付けられている。上側作動体43は、上側ケース41の収容室41rの端部において矢印S1,S2方向(ドア本体10のドア上面11に沿った方向)に移動可能に設けられている。ここで、上側バネ部材42の先端部42aと上側作動体43とが接触係合していると共に、上側作動体43の突起状の上側操作子46がドア本体10のドア側面13よりも外方に突出するように設けられている。
【0037】
ドア1が開放されているときには、図3および図4に示すように、上側作動体43の上側操作子46が上側バネ部材42の付勢力によりドア本体10のドア側面13よりも外方に向けて、つまり露出方向(矢印P2方向)に突出している。これに対して、ドア1が閉鎖されるときには、ドア枠3のドア側枠33により上側作動体43の上側操作子46が退避方向(矢印P1方向)に押圧されて退避される。すると、上側作動体43が退避方向(矢印S1方向)に移動し、ひいては上側バネ部材42の曲成部42mが直状となるように弾性変形される。この結果、図5に一点鎖線で示すように、上側バネ部材42は上側硬質部材401および上側軟質部材402を上方(矢印U1方向)に移動させる。これにより上側軟質部材402がドア枠3のドア上枠31に圧接し、ドア上面11における上側隙間91が閉鎖し、ドア上面11における遮音性および遮光性が確保される。なお、上側隙間閉鎖手段4を構成する上側軟質部材402の上方への変位可能量K1は、上側隙間91の隙間量ΔE1よりも大きく設定されている。
【0038】
ドア1の開放初期においては、図3に示すように、ドア枠3のドア側枠33から上側作動体43の上側操作子46が露出方向(矢印P2方向)に突出する。このため、上側作動体43が上側バネ部材42を拘束する程度が低減され、上側バネ部材42の付勢力により上側操作子46がドア本体10のドア側面13よりも外方に突出する。つまり、上側操作子46は露出方向(矢印P2方向)に突出する。更に、上記したように上側バネ部材42の曲成部42mが元の形状に復元されるため、上側バネ部材42は上側硬質部材401および上側軟質部材402を下方(矢印U2方向)に移動させ、上側軟質部材402はドア上枠31から離間する。これによりドア上面11とドア枠3のドア上枠31との間に上側隙間91が形成される。このためドア1を開放させる抵抗が低減される。
【0039】
本実施例によれば、図1に示すように、下側隙間閉鎖手段5は、ドア本体10のドア下面12側に設けられている。下側隙間閉鎖手段5は、上側隙間閉鎖手段4と同一の機構を備えており、上下を逆にしたものである。下側隙間閉鎖手段5はドア本体10の厚み方向の中央域に配置されている。従って下側隙間閉鎖手段5の中心線MDは、ドア本体10の厚み方向の中心線に合致または実質的に合致している。下側隙間閉鎖手段5は、ドア下面12よりも下方(矢印D1方向)に向けて移動可能に設けられた下側遮音部材50と、下側遮音部材50をドア下面12よりも下方(矢印D1方向)に向けて移動させる下側作動部55とをもつ。
【0040】
図4に示すように、下側作動部55は、ドア下面12側に配置され下側収容室51rをもつ下側ケース51と、ドア1が開放されるに伴い下側隙間92を形成する方向に下側遮音部材50を付勢する下側バネ部材52と、ドア1が閉鎖されるに伴い下側隙間92を閉鎖させる方向(矢印D1方向)に下側遮音部材50を作動させる下側作動体53とを備えている。下側ケース51は金属または硬質樹脂等の硬質材料で形成されており、ドア本体10のドア下面12側に沿って配置されており、ドア下面12側を補強できる。図6に示すように、下側遮音部材50は、下側ケース51の収容室51rに保持された金属または硬質樹脂等の硬質材料で形成された下側硬質部材501と、下側ケース51の収容室51rに下側硬質部材501に下向きに保持されたゴムまたは樹脂等の軟質材料で形成された下側軟質部材502とで形成されている。なお、下側軟質部材502は、ドア枠3のドア下枠32への弾性変形性、密着シール性を高めるべく、中空室503を有する。
【0041】
図4に示すように、下側バネ部材52は、複数の曲成部52mを並設状態に有するように蛇行状に曲成された板バネで形成されており、下側ケース51の収容室51rの延設方向に沿って、つまりドア下面12に沿って延設されている。曲成部52mには付設部52kが取り付けられている。
【0042】
下側作動体53は、下側ケース51の収容室51rの端部において矢印S1方向(退避方向),矢印S2方向(露出方向)に移動可能に設けられている。ここで、下側バネ部材52の先端部52aと下側作動体53とが接触係合していると共に、下側作動体53の突起状の操作子56がドア本体10のドア側面13よりも外方に突出するように設けられている。
【0043】
ドア1の開放初期においては、図3および図4に示すように、下側作動体53の下側操作子56が下側バネ部材52の付勢力によりドア本体10のドア側面13よりも外方(矢印P2方向)に突出している。これに対してドア1が閉鎖されるときには、ドア枠3のドア側枠33により下側作動体53の下側操作子56が退避方向(矢印P1方向)に押圧される。すると、下側作動体53が退避方向(矢印S1方向)に移動し、ひいては下側バネ部材52の曲成部52mが直状となるように弾性変形される。この結果、図6に一点鎖線で示すように、下側バネ部材52は下側硬質部材501および下側軟質部材502を下方(隙間閉鎖方向、矢印D1方向)に移動させる。これにより下側軟質部材502がドア枠3のドア下枠32に圧接し、下側隙間92が閉鎖する。これによりドア下面12における遮音性が確保される。なお、下側隙間閉鎖手段5を構成する下側軟質部材502の下方への変位可能量K2は、下側隙間92の隙間量ΔE2よりも大きく設定されている。
【0044】
ドア1が開放されるときには、下側バネ部材52の曲成部52mが元の形状に復元しようとする。このため、図3に示すように、下側作動体53の下側操作子56が下側バネ部材52の付勢力によりドア本体10のドア側面13よりも外方に突出する。つまり、下側操作子56はドア側面13よりも矢印P2方向に露出する。更に、下側バネ部材52の曲成部52mが元の形状に復元されるため、下側バネ部材52は下側硬質部材501および下側軟質部材502を上方(矢印D2方向)に移動させる。これにより下側軟質部材502がドア下枠32から離れ、ドア下面12とドア枠3のドア下枠32との間に下側隙間92が形成される。このためドア1を開放させる抵抗が低減される。
【0045】
更に本実施例によれば、図1(ドア本体10の厚み方向に沿った断面)に示すように、ドア上面11においては、上側遮音部材40よりも第1ドア表面14側に第1上面開口61が上向きに形成されていると共に、上側遮音部材40よりも第2ドア表面15側に第2上面開口62が上向きに形成されている。更に、第1上面開口61および第2上面開口62を連通させる上側連通路63がドア本体10の内部に形成されている。上側連通路63により、第1空間14xと第2空間15xとを連通させる。なお、図1に示すように、第1上面開口61、第2上面開口62および上側連通路63は、断面でほぼ凹形状をなしている。
【0046】
ドア1が閉鎖されているとき、ドア1は第1空間14xと第2空間15xとを仕切る。ここで、ドア上面11において第1上面開口61および第2上面開口62が形成されているため、通常の状態では、使用者は、第1上面開口61および第2上面開口62の存在を視認することができない。故に、ドア1が閉鎖されているときであっても、使用者に通気孔の存在を認識させずとも、第1空間14xと第2空間15xとを連通させる通気性(図1において矢印X1方向の通気性)が確保される。更に通気性を確保しつつ遮光性も確保される。
【0047】
さらに図1において、ドア下面12において、下側遮音部材50よりも第1ドア表面14側には第1下面開口71が下向きに形成されていると共に、下側遮音部材50よりも第2ドア表面15側に第2下面開口72が下向きに形成されている。更に第1下面開口71および第2下面開口72を連通させる下側連通路73がドア本体10の内部に形成されている。これにより第1空間14xと第2空間15xとを連通させる。なお、図1に示すように、第1下面開口71、第2下面開口72および下側連通路73は、断面で上下を逆にしたほぼ凹形状をなしている。
【0048】
この場合、ドア本体10のドア下面12において第1下面開口71および第2下面開口72が形成されているため、通常の状態では、使用者は、第1下面開口71および第2下面開口72の存在を視認することができない。故に、使用者に通気孔の存在を認識させずとも、第1空間14xと第2空間15xとを連通させる通気性(図1において矢印X2方向の通気性)が確保される。更に通気性を確保しつつ遮光性も確保される。
【0049】
更に、図1に示すように、上側連通路63は、貫通孔65aをもつ上側仕切部材65で仕切られている。下側連通路73は、貫通孔75aをもつ下側仕切部材75で仕切られている。内部連通路64がドア本体10の内部に設けられている。内部連通路64は貫通孔65a、75aを介して上側連通路63および下側連通路73をドア本体10の内部において互いに連通させている。この場合、第1空間14xと第2空間15xとを連通させる通気性が一層確保され易い。
【0050】
ところで、使用条件によっては、第1空間14xと第2空間15xとの間に大きな温度差または湿度差がかなり存在するときがある。この場合、第1ドア表面14および第2ドア表面15における温度差または湿度差に起因して、ドア本体10に反りが発生するおそれがある。このような場合であっても、内部連通路64には第1空間14xおよび第2空間15xの雰囲気が進入する。故に、内部連通路64の内部は、第1空間14xと第2空間15xとの中間の温度または湿度となり易い。この場合、ドア本体10における急激な温度差または湿度差が軽減されるので、ドア本体10の反りが低減される利点が得られる。
【0051】
以上説明したように本実施例によれば、ドア本体10のドア上面11側には、ドア本体10の閉鎖時にドア上面11よりも上方の上側隙間91を閉鎖させる上側隙間閉鎖手段4が設けられている。更に、ドア本体10のドア下面12側には、ドア本体10の閉鎖時にドア下面12よりも下方の下側隙間92を閉鎖させる下側隙間閉鎖手段5が設けられている。この結果、ドア1の閉鎖時には、上側隙間閉鎖手段4を構成する上側軟質部材402がドア枠3のドア上枠31に圧接し、上側隙間91が閉鎖され、ドア上面11における遮音性および遮光性が確保される。同時に、下側隙間閉鎖手段5を構成する下側軟質部材502がドア枠3のドア下枠32に圧接し、下側隙間92が閉鎖され、ドア下面12における遮音性および遮光性が確保される。この結果、ドア1の閉鎖時において、第1空間14xと第2空間15xとの間における音の伝播および光の伝播が抑えられ、遮音性および遮光性の高いドア1を提供することができる。
【0052】
このようにドア1の閉鎖時において、ドア1の遮音性を高めつつも、ドア1で仕切られた第1空間14xと第2空間15xとの間における通気性が確保される。すなわち、第1上面開口61、第2上面開口62および上側連通路63により、ドア本体10のドア上面11側の通気性が確保される。更に、第1下面開口71、第2下面開口72および下側連通路73により、ドア本体10のドア下面12側の通気性が確保される。
【0053】
しかも第1上面開口61、第2上面開口62、第1下面開口71、第2下面開口72は使用者から視認できないため、使用者に通気孔の存在を認識させない。更に図1に示すように、第1ドア表面14および第2ドア表面15に通気孔の開口が形成されていなため、第1ドア表面14および第2ドア表面15における意匠を選択する自由度を拡大させることができる。
【0054】
更に、ドア本体10のドア上面11側に上側隙間閉鎖手段4を設けることで、ドア本体10の上部の強度が高められ、ドア本体10の上部の反りが低減される。また、ドア本体10のドア下面12側に下側隙間閉鎖手段5を設けることで、ドア本体10の下部の強度が高められ、ドア本体10の下部の反りが低減される。これによりドア本体10全体の反りが抑制される。このため、後述する図13(A)(B)に示す比較例とは異なり、ドアを開放または閉鎖するにあたり、ドア本体10の下部のガタを抑制できる他に、ドア本体10の上部のガタツキを抑制できる。その結果、ドア開閉頻度が高いときであっても、ドア本体10のヒンジ部36に作用する負荷を軽減させることができ、ヒンジ部36の耐久性の向上を図り得る。
【0055】
ところで、室内のリフォームなどのときには、ドア1をドア枠3から外したり、交換したりすることがある。この場合、ドア1を構造物2に取り付けるとき、ドア本体10の上側隙間91の隙間幅ΔE1の大きさが変動したり、下側隙間92の隙間幅ΔE2の大きさが変動したりするおそれがある。この点本実施例によれば、ドア本体10のドア上面11側に上側隙間閉鎖手段4が設けられていると共に、ドア本体10のドア下面12側に下側隙間閉鎖手段5が設けられている。ここで、上側隙間閉鎖手段4による変位可能量K1は上側隙間91よりも大きく設定されており、且つ、下側隙間閉鎖手段5による変位可能量K2は下側隙間92よりも大きく設定されている。このため、ドア枠3に対するドア1の位置が高さ方向において多少変動したとしても、上側隙間91および下側隙間92に対する閉鎖性が確保され、上側隙間閉鎖手段4および下側隙間閉鎖手段5による遮音性および遮光性が良好に確保される。このように本実施例のドア1はリフォームに適する。
【0056】
図13(A)(B)は比較例を示す。この比較例では、ドア本体10のドア下面12側には下側隙間閉鎖手段5が設けられているものの、ドア本体10のドア上面11側には上側隙間閉鎖手段4が設けられていない。このため比較例では、図13(B)に示すようにドア枠3のドア側枠33にシール部材35sが接着等により設けられているほかに、ドア上枠31についてもシール部材35uが接着等により設けられている。シール部材35uにより上側隙間91の遮音性および遮光性を確保するためである。この場合、ドア1の閉鎖時において、ドア1は、シール部材35sおよびシール部材35uをドア1の厚み方向へ圧縮させつつ弾性変形させ、シール部材35sおよびシール部材35uに密着する。この場合、シール部材35sおよびシール部材35uの交差部分35xからドア1へ作用する反力が増加し易い。場合によっては、反力に起因してドア1に反りを発生させる要因となることがある。
【0057】
この点本実施例によれば、上側隙間閉鎖手段4の上側遮音部材40がドア1の面方向に沿って上方に移動することで、ドア上面11側の遮音性および遮光性が確保されると共に、下側隙間閉鎖手段5の下側遮音部材50がドア1の面方向に沿って下方に移動することで、ドア下面12側の遮音性および遮光性が確保される。このため、図2(B)に示すように、ドア枠3の2つのドア側枠33には、軟質のシール材料を基材とする縦長のシール部材35が接着等により設けられているものの、ドア上枠31についてはシール部材35が廃止されている。この結果、前記した比較例とは異なり、シール部材35sおよびシール部材35uの交差部分35xを廃止でき、シール部材35からドア1へ作用する反力をできるだけ小さくできる利点が得られ、故に、ドア1の反りを抑制することができる。このためドア開閉頻度が高いときであっても、ドア本体10のヒンジ部36に作用する負荷を軽減させることができ、ヒンジ部36の耐久性の向上を図り得る。
【0058】
なお、本実施例によれば、構造物2にドア枠3が設けられているが、ドア枠3が設けられていない形態に適用しても良い。この場合、ドア枠3は構造物2の壁部に相当する。従って、前記したドア上枠31は構造物2の開口部20の天井面に相当する。前記したドア下枠32は構造物2の開口部20の床面に相当する。
【実施例2】
【0059】
図7は本発明を具体化した実施例2を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。共通する部位に共通の符号を付する。図7に示すように、上側遮音部材40においては、ゴムまたは樹脂等の軟質材料で形成された上側軟質部材402の内部には、多孔質体404が埋設されている。これにより上側軟質部材402の反力および耐へたり性が高められると共に、遮音性も高められる。図示しないものの、下側遮音部材50も同様な構造とされている。
【実施例3】
【0060】
図8は本発明を具体化した実施例3を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。共通する部位に共通の符号を付する。図8に示すように、下側遮音部材50においては、下側軟質部材502は中実体とされている。これにより下側軟質部材502の反力および耐へたり性が高められている。図示しないものの、上側遮音部材40も同様な構造とされている。
【実施例4】
【0061】
図9は本発明を具体化した実施例4を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。共通する部位に共通の符号を付する。以下、異なる部分を中心として説明する。ドア本体10のドア上面11側には、ドア本体10の閉鎖時にドア上面11よりも上方の上側隙間91を閉鎖させる上側隙間閉鎖手段4が設けられている。更に、ドア本体10のドア下面12側には、ドア本体10の閉鎖時にドア下面12よりも下方の下側隙間92を閉鎖させる下側隙間閉鎖手段5が設けられている。この結果、ドア1の閉鎖時には、上側隙間91および下側隙間92が閉鎖し、ドア上面11およびドア下面12側における遮音性が確保される。この結果、第1空間14xと第2空間15xとの間における音の伝播が抑えられ、遮音性および遮光性の高いドア1を提供することができる。
【0062】
図9は、ドア本体10の厚み方向に沿った断面を示す。ドア本体10のドア上面11側において、ドア本体10の第1ドア表面14において形成された第1表面開口16uと、ドア上面11において上側遮音部材40よりも第2ドア表面15側に形成された第2上面開口62と、第1表面開口16uおよび第2上面開口62を連通させる上側連通路63とが形成されている。
【0063】
ドア本体10のドア下面12側においても、ドア本体10の第1ドア表面14において形成された第1表面開口16dと、ドア下面12において下側遮音部材50よりも第2ドア表面15側に形成された第2下面開口72と、第1表面開口16dおよび第2下面開口72を連通させる下側連通路73とが形成されている。この結果、ドア1が閉鎖されるときにおいても、第1ドア表面14が対面する第1空間14xと、第2ドア表面15が対面する第2空間15xとを連通させて通気性が確保されている。なお図9に示すように、第1表面開口16uおよび第1表面開口16dには、意匠性を高めるための意匠体18が取り付けられている。第1表面開口16uおよび第1表面開口16dは第1ドア表面14に形成されているものの、第2ドア表面15には形成されていない。従ってドア本体10の第2ドア表面15の意匠を設定するにあたり、意匠選択の自由度を拡大することができる。
【0064】
本実施例によれば、図9に示すように、上側隙間閉鎖手段4の中心線MUは、ドア本体10の厚み方向の中心線MCよりも第1ドア表面14側に偏芯している。このため第2ドア表面15側に寄せて第2上面開口62を形成することができる。同様に下側隙間閉鎖手段5の中心線MDは、ドア本体10の厚み方向の中心線MCよりも第1ドア表面14側に偏芯している。このため第2ドア表面15側に寄せて第2下面開口72を形成することができる。
【0065】
なお、下側連通路73および上側連通路63はドア本体10の内装部10pにより直接的には連通していない構造とされているが、これに限らず、図示しないものの内部連通路をドア本体10の内部に形成し、下側連通路73および上側連通路63を直接的に連通させても良い。
【実施例5】
【0066】
図10は本発明を具体化した実施例5を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。共通する部位に共通の符号を付する。以下、異なる部分を中心として説明する。ドア本体10のドア上面11側には、ドア本体10の閉鎖時にドア上面11よりも上方の上側隙間91を閉鎖させる上側隙間閉鎖手段4が設けられている。更に、ドア本体10のドア下面12側には、ドア本体10の閉鎖時にドア下面12よりも下方の下側隙間92を閉鎖させる下側隙間閉鎖手段5が設けられている。この結果、ドア1の閉鎖時には、ドア本体10の上側隙間91および下側隙間92が閉鎖し、ドア上面11およびドア下面12側における遮音性が確保される。この結果、第1空間14xと第2空間15xとの間における音の伝播が抑えられ、遮音性および遮光性の高いドア1を提供することができる。
【0067】
図10はドア本体10の厚み方向に沿った断面を示す。ドア本体10のドア上面11側において、ドア本体10の第2ドア表面15において形成された第2表面開口17uと、ドア上面11において上側遮音部材40よりも第1ドア表面14側に形成された第1上面開口61と、第2表面開口17uおよび第1上面開口61を連通させる上側連通路63とが形成されている。
【0068】
図10に示すように、ドア本体10のドア下面12側においても、ドア本体10の第2ドア表面15において形成された第2表面開口17dと、ドア下面12において下側遮音部材50よりも第1ドア表面14側に形成された第1下面開口71と、第2表面開口17dおよび第1下面開口71を連通させる下側連通路73とが形成されている。この結果、ドア1が閉鎖されているときにおいても、第1ドア表面14が対面する第1空間14xと、第2ドア表面15が対面する第2空間15xとを連通させて、通気性が確保されている。図10に示すように、第2表面開口17uおよび第2表面開口17dには、意匠性を高めるための意匠体18が取り付けられている。第2表面開口17uおよび第2表面開口17dは第2ドア表面15に形成されているものの、第1ドア表面14には形成されていない。従ってドア本体10の第1ドア表面14の意匠を設定するにあたり、意匠選択の自由度を拡大することができる。
【0069】
本実施例によれば、図10に示すように、上側隙間閉鎖手段4の中心線MUは、ドア本体10の厚み方向においてドア本体10の中心線MCよりも第2ドア表面15側に偏芯している。このため第1ドア表面14側に寄せて第1上面開口61を形成することができる。同様に、下側隙間閉鎖手段5の中心線MDは、ドア本体10の厚み方向の中心線MCよりも第2ドア表面15側に偏芯している。このため第1ドア表面14側に寄せて第1下面開口71を形成することができる。
【0070】
なお、下側連通路73および上側連通路63は内装部10pにより直接的には連通していない構造とされているが、これに限らず、内部連通路64をドア本体10の内部に形成し、下側連通路73および上側連通路63を直接的に連通させても良い。
【実施例6】
【0071】
図11(A)は実施例6を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。共通する部位には共通の符号を付する。以下、異なる部分を中心として説明する。図11(A)に示すように、上側隙間閉鎖手段4はドア本体10の厚み方向の中心域に配置されている。同様に、下側隙間閉鎖手段5はドア本体10の厚み方向の中心域に配置されている。図11(A)に示すように、内部連通路64は下側連通路73および上側連通路63をドア本体10の内部において互いに連通させている。この場合、ドア1が閉鎖されているときにおいても、第1空間14xと第2空間15xとを連通させる通気性が確保され易い。更に、第1空間14xと第2空間15xとの間に大きな温度差または湿度差がかなり存在するときであっても、ドア本体10の反りが低減される利点が得られる。更に、図11(A)に示すように、ドア本体10の第2ドア表面15のうち上部側には、通気孔面積を増加させて通気性を更に高めるために第2表面開口17uが形成されている。第2表面開口17uには意匠体18が取り付けられている。
【実施例7】
【0072】
図11(B)は実施例7を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。共通する部位には共通の符号を付する。以下、異なる部分を中心として説明する。図11(B)に示すように、上側隙間閉鎖手段4はドア本体10の厚み方向の中心域に配置されている。同様に下側隙間閉鎖手段5はドア本体10の厚み方向の中心域に配置されている。図11(B)に示すように、内部連通路64は下側連通路73および上側連通路63をドア本体10の内部において互いに連通させている。この場合、第1空間14xと第2空間15xとを連通させる通気性が確保され易い。ドア本体10の第1ドア表面14のうち下部側には、通気孔面積を増加させて通気性を更に高めるために、第1表面開口16dが形成されている。第1表面開口16dには意匠体18が取り付けられている。
【実施例8】
【0073】
図12は実施例8を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。共通する部位には共通の符号を付する。以下、異なる部分を中心として説明する。下側隙間閉鎖手段5Eは、ドア本体10のドア下面12側に設けられている。下側隙間閉鎖手段5Eは、ドア下面12よりも下方(隙間閉鎖方向、矢印D1方向)に向けて移動可能に設けられた下側遮音部材50Eと、下側遮音部材50Eをドア下面12よりも下方(矢印D1方向)に向けて移動させる下側作動部55Eとをもつ。
【0074】
図12に示すように、下側遮音部材50Eは、金属または硬質樹脂等の硬質材料で形成された下側硬質部材501Eと、下側硬質部材501Eに下向きに保持されたゴムまたは樹脂等の軟質材料で形成された下側軟質部材502Eと、下側硬質部材501Eに設けられた軸部505と、下側硬質部材501Eに設けられた受圧部506とを備えている。
【0075】
下側作動部55Eは、軸部505に保持されたコイル状の下側バネ部材52Eと、下側隙間92を閉鎖させる方向に下側遮音部材50Eを下方(矢印D1方向)に作動させる下側作動体53Eと、下側作動体53Eの傾斜面507と受圧部506との間に設けられた球状の係合体509とを備えている。下側バネ部材52Eは、下側隙間92を形成する方向に下側遮音部材50Eを上方(矢印D2方向)に持ち上げる。
【0076】
ドア1が閉鎖されると、下側作動体53Eが図略のドア枠に押圧されて退避方向(矢印P1方向)に移動するため、係合体509を介して受圧部506が下方(矢印D1方向)に移動し、下側軟質部材502Eをドア枠3のドア下枠32に圧接させ、下側隙間92を閉鎖する。これによりドア下面12側における遮音性および遮光性を確保する。ドア1が開放すると、下側作動体53Eがこれに付設されているバネ510Eの付勢力により露出方向(矢印P2方向)に移動する。このため下側バネ部材52Eは、下側遮音部材50Eを上方(矢印D2方向)に持ち上げる。
【0077】
なお、図示はしないものの、上側隙間閉鎖手段も下側隙間閉鎖手段5Eと同様の構成とされている。そのほか、本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明はトイレ室、勉強部屋、寝室、客室、居間、業務室、オーディオ室、コンピュータ室等といった遮音性が特に要請される室に取り付けられるドアに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】実施例1に係り、ドアの厚み方向に沿って切断して状態を模式的に示す断面図である。
【図2】実施例1に係り、(A)はドア枠にドアを取り付けた状態を模式的に示す正面図であり、(B)はドア枠にシール部材が設けられている状態を模式的に示す正面図である。
【図3】実施例1に係り、ドアの開放初期状態を模式的に示し、ドアの上側(下側)付近をドア肉厚方向に沿って切断した断面図である。
【図4】実施例1に係り、ドア本体に上側隙間閉鎖手段および下側隙間閉鎖手段を搭載した状態を模式的に示す構成図である。
【図5】実施例1に係り、ドア本体のドア上面側に設けた上側隙間閉鎖手段の内部を模式的に示す断面図である。
【図6】実施例1に係り、ドア本体のドア下面側に設けた下側隙間閉鎖手段の内部を模式的に示す断面図である。
【図7】実施例2に係り、ドア本体のドア上面側に設けた上側隙間閉鎖手段の内部を模式的に示す断面図である。
【図8】実施例3に係り、ドア本体のドア下面側に設けた下側隙間閉鎖手段の内部を模式的に示す断面図である。
【図9】実施例4に係り、ドアの厚み方向に沿って切断して状態を模式的に示す断面図である。
【図10】実施例5に係り、ドアの厚み方向に沿って切断して状態を模式的に示す断面図である。
【図11】(A)は実施例6に係り、ドアの厚み方向に沿って切断して状態を模式的に示す断面図であり、(B)は実施例7に係り、ドアの厚み方向に沿って切断した状態を模式的に示す断面図である。
【図12】実施例8に係り、ドア本体のドア下面側に設けた下側隙間閉鎖手段を模式的に示す断面図である。
【図13】比較例に係り、(A)はドア枠にドアを取り付けた状態を示す正面図であり、(B)はシール部材が設けられたドア枠を示す正面図である。
【符号の説明】
【0080】
1はドア、10はドア本体、11はドア上面、12はドア下面、13はドア側面、14は第1ドア表面、14xは第1空間、15xは第2空間、15は第2ドア表面、16は第1表面開口、17は第2表面開口、2は構造物、20は開口部、3はドア枠、31はドア上枠、32はドア下枠、33はドア側枠、35はシール部材、4は上側隙間閉鎖手段、40は上側遮音部材、42は上側バネ部材、43は上側作動体、45は上側作動部、5は下側隙間閉鎖手段、50は下側遮音部材、52は下側バネ部材、53は下側作動体、55は下側作動部、61は第1上面開口、62は第2上面開口、63は上側連通路、71は第1下面開口、72は第2下面開口、73は下側連通路、91は上側隙間、92は下側隙間を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は遮音性を高めたドアに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、床段差のない出入口に好適に用いられるものであって、ドアのドア下面と床面との間の隙間を無くすべく、可動式の遮音部材をドアのドア下面側に取り付けたドアが記載されている。このものによれば、ドア閉鎖時には、可動式の遮音部材を下降させてドアのドア下面と床面との間の隙間を閉鎖することにしている。
【0003】
また、ホルムアルデヒド等の有害物質による室内におけるシックハウス症候群に対応するため建築基準法(2003年7月)が改正され、換気設備による室内の換気性を確保すること、あるいは、ドアにおいて所定の有効開口面積を確保すること(非特許文献1参照)が要請されている。
【特許文献1】特開平8−284546号公報
【非特許文献1】国土交通省住宅局建築指導課、国土交通省住宅局住宅生産課、国土交通省国土技術政策総合研究所、独立行政法人建築研究所、日本建築行政会議、シックハウス対策マニュアル編集委員会、「改正建築基準法に対応した建築物のシックハウス対策マニュアル−建築基準法・住宅性能表示制度の解説及び設計施工マニュアル−」、第1版、工学図書株式会社、平成15年5月1日、p.211
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に係るドアによれば、ドア下面側に可動式の遮音部材を取り付けており、ドア閉鎖時に、可動式の遮音部材を下降させ、ドア下面と床面との間の隙間を閉鎖する。このためドア閉鎖時において、ドア下面と床面との間における遮音性を高めることができる。更に、ドア下面と床面との間における遮光性を高めることができる。産業界では、更に遮音性を高めることが要請されている。
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、遮音性を向上させることができるドアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)様相1に係るドアは、構造物の開口部を開閉可能であり、第1ドア表面、前記第1ドア表面に背向する第2ドア表面、ドア上面およびドア下面をもつドア本体と、前記ドア本体の前記ドア上面側に設けられ、前記ドア本体の閉鎖時に前記ドア上面よりも上方の隙間を低減または閉鎖させる上側隙間閉鎖手段と、前記ドア本体の前記ドア下面側に設けられ、前記ドア本体の閉鎖時に前記ドア下面よりも下方の隙間を低減または閉鎖させる下側隙間閉鎖手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
上側隙間閉鎖手段は、ドア本体の閉鎖時において、ドア上面よりも上方の隙間を低減または閉鎖させる。下側隙間閉鎖手段は、ドア本体の閉鎖時において、ドア下面よりも下方の隙間を低減または閉鎖させる。これによりドアの閉鎖時において遮音性が向上する。
【0008】
更に、ドア上面側に上側隙間閉鎖手段を設けることで、ドア本体の上部の強度が高められ、ドア本体上部の反りが低減される。ドア下面側に下側隙間閉鎖手段を設けることで、ドア本体の下部の強度が高められ、ドア本体下部の反りが低減される。
【0009】
(2)様相2に係るドアは、様相1において、前記ドア本体の厚み方向に沿った断面で、前記ドア上面において前記上側隙間閉鎖手段よりも前記第1ドア表面側に形成された第1上面開口と、前記ドア上面において前記上側隙間閉鎖手段よりも前記第2ドア表面側に形成された第2上面開口と、前記第1上面開口および前記第2上面開口を連通させることにより、前記第1ドア表面が対面する第1空間と前記第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる上側連通路とをもつことを特徴とする。
【0010】
ドアの閉鎖時において遮音性が向上する。更に、ドアの閉鎖時においても、第1上面開口、第2上面開口および上側連通路により第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保される。
【0011】
(3)様相3に係るドアは、様相1において、前記ドア本体の厚み方向に沿った断面で、前記第1ドア表面および前記第2ドア表面のうちのいずれか一方において形成された表面開口と、前記ドア上面において前記上側隙間閉鎖手段よりも前記第1ドア表面側または前記第2ドア表面側に形成された上面開口と、前記表面開口および前記上面開口を連通させることにより、前記第1ドア表面が対面する第1空間と前記第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる上側連通路とをもつことを特徴とする。
【0012】
ドアの閉鎖時において遮音性が向上する。更に、ドアの閉鎖時においても、上面開口、表面開口および上側連通路により第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保される。
【0013】
(4)様相4に係るドアは、様相1において、前記ドア本体の厚み方向に沿った断面で、前記ドア下面において前記下側隙間閉鎖手段よりも前記第1ドア表面側に形成された第1下面開口と、前記ドア下面において前記下側隙間閉鎖手段よりも前記第2ドア表面側に形成された第2下面開口と、前記第1下面開口および前記第2下面開口を連通させることにより、前記第1ドア表面が対面する第1空間と前記第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる下側連通路とをもつことを特徴とする。
【0014】
ドアの閉鎖時において遮音性が向上する。更に、ドアの閉鎖時においても、第1下面開口、第2下面開口および下側連通路により第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保される。
【0015】
(5)様相5に係るドアは、様相1において、前記ドア本体の厚み方向に沿った断面で、前記第1ドア表面および前記第2ドア表面のうちのいずれか一方において形成された表面開口と、前記ドア下面において前記下側隙間閉鎖手段よりも前記第1ドア表面側または前記第2ドア表面側に形成された下面開口と、前記表面開口および前記下面開口を連通させることにより、前記第1ドア表面が対面する第1空間と前記第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる下側連通路とをもつことを特徴とする。
【0016】
ドアの閉鎖時において遮音性が向上する。更に、ドアの閉鎖時においても、下面開口、表面開口および下側連通路により第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保される。
【発明の効果】
【0017】
各様相によれば、ドア本体の閉鎖時において、ドア上面よりも上方の隙間と、ドア下面よりも下方の隙間との双方を低減または閉鎖させる。このためドア本体の閉鎖時において遮音性が向上する。更に、ドア本体のドア上面側に上側隙間閉鎖手段を設けることで、ドア本体の上部の強度が高められ、ドア本体上部の反りが低減される。また、ドア本体のドア下面側に下側隙間閉鎖手段を設けることで、ドア本体の下部の強度が高められ、ドア本体下部の反りが低減される。よって、ドアを開放または閉鎖するにあたり、ドア本体の下部のガタを抑制できる他に、ドア本体の上部のガタツキを抑制できる。
【0018】
更に様相2〜様相5によれば、ドア本体の閉鎖時において、遮音性を向上させつつ、第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
構造物としては、家屋やビル等の建築物、車両等の移動体を例示できる。開口部は、人が出入りする開口部(出入口)が挙げられるが、人が出入りしない換気用の開口部でも良い。
【0020】
上側隙間閉鎖手段としては、ドア上面よりも上方に移動可能に設けられた上側遮音部材と、上側遮音部材をドア上面よりも上方に移動させる上側作動部とをもつ形態が例示される。この場合、上側遮音部材を上側作動部によって上方に移動させれば、ドア本体のドア上面よりも上方の隙間を低減または閉鎖させることができる。
【0021】
本発明によれば、ドア本体の厚み方向に沿った断面で、ドア上面において上側遮音部材よりも第1ドア表面側に形成された第1上面開口と、ドア上面において上側遮音部材よりも第2ドア表面側に形成された第2上面開口と、第1上面開口および第2上面開口を連通させることにより、第1ドア表面が対面する第1空間と第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる上側連通路とをもつ形態が例示される。この場合、ドアが閉鎖されるとき、ドアは第1空間と第2空間とを仕切る。この場合、ドア上面において第1上面開口および第2上面開口が形成されているため、通常の状態では、使用者は、第1上面開口および第2上面開口の存在を視認することができない。故に、使用者に通気孔の存在を認識させずとも、第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保される。
【0022】
また、ドア本体の厚み方向に沿った断面で、第1ドア表面および第2ドア表面のうちのいずれか一方において形成された表面開口と、ドア上面において上側遮音部材よりも第1ドア表面側または第2ドア表面側に形成された上面開口と、表面開口および上面開口を連通させることにより、第1ドア表面が対面する第1空間と第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる上側連通路とをもつ形態が例示される。ドアが閉鎖されるとき、ドアは第1空間と第2空間とを仕切る。この場合、表面開口、上面開口および上側連通路により、第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保される。
【0023】
下側隙間閉鎖手段としては、ドア下面よりも下方に移動可能に設けられた下側遮音部材と、下側遮音部材をドア下面よりも下方に移動させる下側作動部とをもつ形態が例示される。この場合、下側遮音部材を下側作動部によって下方に移動させれば、ドア本体のドア下面よりも下方の隙間を低減または閉鎖させることができる。
【0024】
本発明によれば、ドア本体の厚み方向に沿った断面で、ドア下面において下側遮音部材よりも第1ドア表面側に形成された第1下面開口と、ドア下面において下側遮音部材よりも第2ドア表面側に形成された第2下面開口と、第1下面開口および第2下面開口を連通させることにより、第1ドア表面が対面する第1空間と第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる下側連通路とをもつ形態が例示される。この場合、ドア下面において第1下面開口および第2下面開口が形成されているため、通常の状態では、使用者は、第1下面開口および第2下面開口の存在を視認することができない。故に、使用者に通気孔の存在を認識させずとも、第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保される。
【0025】
また、ドア本体の厚み方向に沿った断面で、第1ドア表面および第2ドア表面のうちのいずれか一方において形成された表面開口と、ドア下面において下側遮音部材よりも第1ドア表面側または第2ドア表面側に形成された下面開口と、表面開口および下面開口を連通させることにより、第1ドア表面が対面する第1空間と第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる下側連通路とをもつ形態が例示される。この場合、ドアが閉鎖されるとき、ドアは第1空間と第2空間とを仕切る。この場合、表面開口、下面開口および下側連通路により、第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保される。
【0026】
下側連通路および上側連通路をドア本体の内部において互いに連通させる内部連通路がドア本体の内部に設けられている形態が例示される。この場合、第1空間と第2空間とを連通させる通気性が確保され易い。更に、第1空間と第2空間との間に大きな温度差または湿度差がかなり存在するときには、第1ドア表面および第2ドア表面における温度差または湿度差に起因して、ドア本体に反りが発生するおそれがある。このような場合であっても、内部連通路の雰囲気は、つまり、ドア本体の内部の雰囲気は、第1空間と第2空間との中間雰囲気となり易く、ドア本体の反りが低減される利点が得られる。
【0027】
本発明によれば、上側隙間閉鎖手段および下側隙間閉鎖手段のうちの少なくとも一方は、ドア本体の閉鎖時にドア上面の上方またはドア下面の下方の隙間を低減または閉鎖させ得る遮音部材と、ドア本体の閉鎖時に前記隙間を低減または閉鎖させる方向に遮音部材を移動させる作動部とをもち、作動部は、ドアが開放されるに伴い前記隙間を形成する方向に遮音部材を付勢するバネ部材と、ドアが閉鎖されるに伴い前記隙間を低減または閉鎖させる方向に遮音部材を作動させる作動体とを備えている形態が例示される。遮音部材としては例えばゴムや樹脂等の有機高分子系材料を基材として形成できる。
【0028】
本発明によれば、構造物の開口部に配置されるドア枠が設けられている形態が例示される。ドア枠は、ドア上面に対向するドア上枠と、ドア下面に対向するドア下枠と、ドア側面に対向するドア側枠とを備えている形態が例示される。ドア側枠にシール材料を基材とするシール部材が設けられており、ドア上枠およびドア下枠にはシール部材が設けられていない形態が例示される。この場合、ドアの閉鎖時においてシール部材からドア本体へ作用する反力が軽減される。故にドア本体の反りが低減される。
【実施例1】
【0029】
以下、本発明を具体化した実施例1について図1〜図6を参照して具体的に説明する。本実施例は、回動して開閉させる方式のドア1に適用したものである。図1は、ドア1の厚み方向に沿って切断した断面図を模式的に示す。図2(A)はドア1をドア枠3に取り付けた状態を模式的に示す。図2(B)はドア1を外した状態のドア枠3を模式的に示す。なお、各図は概念図であり、細部構造の寸法などまで規定するものではない。
【0030】
図2(A)(B)に示すように、家屋や集合住宅等の構造物2において人が出入りする開口部20には、ドア枠3が設けられている。ドア枠3は、構造物2の開口部20の上側において横方向に延設されたドア上枠31と、開口部20の下側において横方向に延設されたドア下枠32と、ドア上枠31およびドア下枠32を繋ぐ縦方向に延設された互いに対向する2個のドア側枠33とを有する。
【0031】
図2(A)に示すように、ドア1はドア枠3に取り付けられている。ドア本体10は正面視で縦長の四角形状をなしている。ドア1の主体をなすドア本体10は、ドア枠3のドア上枠31に対面するドア上面11と、ドア枠3のドア下枠32に対面するドア下面12と、互いに対向する2個のドア側面13とをもつ。ドア1はヒンジ部36によりドア枠3のドア側枠33に回動開閉可能に取り付けられている。ヒンジ部36がドア1の回動中心となる。ドア側枠33には、軟質のシール材料を基材とする縦長のシール部材35(ハッチングで示す部分)が接着等により設けられている。シール部材35はドア1に密着して遮音性および遮光性を高める。
【0032】
ドア上枠31およびドア下枠32にはシール部材35が設けられていない。その理由としては、後述するように、ドア本体10のうち、ドア上枠31に対面するドア上面11側のシール性を高める上側隙間閉鎖手段4が設けられ、ドア下枠32に対面するドア下面12側のシール性を高める下側隙間閉鎖手段5が設けられているためである。
【0033】
図1に示すようにドア1の主体をなすドア本体10は、ドア上面11およびドア下面12の他に、第1空間14xに対面する第1ドア表面14と、第2空間15xに対面する第2ドア表面15とをもつ。図1に示すように、ドア1のドア上面11とドア枠3のドア上枠31との間には、隙間量ΔE1をもつ上側隙間91が形成されている。ドア1のドア下面12とドア枠3のドア下枠32との間には、隙間量ΔE2をもつ下側隙間92が形成されている。上側隙間91および下側隙間92が形成されているため、ドア1を開閉させるときの抵抗が低減されている。
【0034】
図1に示すように、上側隙間閉鎖手段4は、ドア本体10のドア上面11側(ドア本体10における仮想線Waで示す上部側)に設けられている。上側隙間閉鎖手段4は、ドア上面11よりも上方(矢印U1方向)に向けて移動可能に設けられた上側遮音部材40と、上側遮音部材40をドア上面11よりも上方(矢印U1方向)に向けて移動させる上側作動部45とをもつ。ドア本体10の厚み方向(図1に示す矢印T方向)において、上側隙間閉鎖手段4はドア本体10の中央域に配置されている。つまり、上側隙間閉鎖手段4の中心線MUは、ドア本体10の厚み方向の中心線に合致または実質的に合致している。
【0035】
図4に示すように、上側作動部45は、ドア上面11側に配置され、上側収容室41rをもつ上側ケース41と、ドア1が開放されるに伴い上側隙間91を形成する方向に上側遮音部材40を付勢する上側バネ部材42と、ドア1が閉鎖されるに伴い上側隙間91を低減または閉鎖させる方向(矢印U1方向)に上側遮音部材40を作動させる上側作動体43とを備えている。上側ケース41は金属または硬質樹脂等の硬質材料で形成されており、ドア本体10のドア上面11側に沿って配置されており、ドア上面11側を補強できる。図5に示すように、上側遮音部材40は、上側ケース41の収容室41rに保持された金属または硬質樹脂等の硬質材料で形成された上側硬質部材401と、上側ケース41の収容室41rに上側硬質部材401に上向きに保持されたゴムまたは樹脂等の軟質材料で形成された上側軟質部材402とで形成されている。なお、上側軟質部材402は、ドア枠3のドア上枠31への弾性変形性、密着シール性を高めるべく、中空室403を有する。
【0036】
図4に示すように、上側バネ部材42は、複数の曲成部42mを並設状態に有するように蛇行状に曲成された板バネで形成されており、上側ケース41の収容室41rの延設方向に沿って、つまりドア上面11に沿って延設されている。曲成部42mには付設部42kが複数個取り付けられている。上側作動体43は、上側ケース41の収容室41rの端部において矢印S1,S2方向(ドア本体10のドア上面11に沿った方向)に移動可能に設けられている。ここで、上側バネ部材42の先端部42aと上側作動体43とが接触係合していると共に、上側作動体43の突起状の上側操作子46がドア本体10のドア側面13よりも外方に突出するように設けられている。
【0037】
ドア1が開放されているときには、図3および図4に示すように、上側作動体43の上側操作子46が上側バネ部材42の付勢力によりドア本体10のドア側面13よりも外方に向けて、つまり露出方向(矢印P2方向)に突出している。これに対して、ドア1が閉鎖されるときには、ドア枠3のドア側枠33により上側作動体43の上側操作子46が退避方向(矢印P1方向)に押圧されて退避される。すると、上側作動体43が退避方向(矢印S1方向)に移動し、ひいては上側バネ部材42の曲成部42mが直状となるように弾性変形される。この結果、図5に一点鎖線で示すように、上側バネ部材42は上側硬質部材401および上側軟質部材402を上方(矢印U1方向)に移動させる。これにより上側軟質部材402がドア枠3のドア上枠31に圧接し、ドア上面11における上側隙間91が閉鎖し、ドア上面11における遮音性および遮光性が確保される。なお、上側隙間閉鎖手段4を構成する上側軟質部材402の上方への変位可能量K1は、上側隙間91の隙間量ΔE1よりも大きく設定されている。
【0038】
ドア1の開放初期においては、図3に示すように、ドア枠3のドア側枠33から上側作動体43の上側操作子46が露出方向(矢印P2方向)に突出する。このため、上側作動体43が上側バネ部材42を拘束する程度が低減され、上側バネ部材42の付勢力により上側操作子46がドア本体10のドア側面13よりも外方に突出する。つまり、上側操作子46は露出方向(矢印P2方向)に突出する。更に、上記したように上側バネ部材42の曲成部42mが元の形状に復元されるため、上側バネ部材42は上側硬質部材401および上側軟質部材402を下方(矢印U2方向)に移動させ、上側軟質部材402はドア上枠31から離間する。これによりドア上面11とドア枠3のドア上枠31との間に上側隙間91が形成される。このためドア1を開放させる抵抗が低減される。
【0039】
本実施例によれば、図1に示すように、下側隙間閉鎖手段5は、ドア本体10のドア下面12側に設けられている。下側隙間閉鎖手段5は、上側隙間閉鎖手段4と同一の機構を備えており、上下を逆にしたものである。下側隙間閉鎖手段5はドア本体10の厚み方向の中央域に配置されている。従って下側隙間閉鎖手段5の中心線MDは、ドア本体10の厚み方向の中心線に合致または実質的に合致している。下側隙間閉鎖手段5は、ドア下面12よりも下方(矢印D1方向)に向けて移動可能に設けられた下側遮音部材50と、下側遮音部材50をドア下面12よりも下方(矢印D1方向)に向けて移動させる下側作動部55とをもつ。
【0040】
図4に示すように、下側作動部55は、ドア下面12側に配置され下側収容室51rをもつ下側ケース51と、ドア1が開放されるに伴い下側隙間92を形成する方向に下側遮音部材50を付勢する下側バネ部材52と、ドア1が閉鎖されるに伴い下側隙間92を閉鎖させる方向(矢印D1方向)に下側遮音部材50を作動させる下側作動体53とを備えている。下側ケース51は金属または硬質樹脂等の硬質材料で形成されており、ドア本体10のドア下面12側に沿って配置されており、ドア下面12側を補強できる。図6に示すように、下側遮音部材50は、下側ケース51の収容室51rに保持された金属または硬質樹脂等の硬質材料で形成された下側硬質部材501と、下側ケース51の収容室51rに下側硬質部材501に下向きに保持されたゴムまたは樹脂等の軟質材料で形成された下側軟質部材502とで形成されている。なお、下側軟質部材502は、ドア枠3のドア下枠32への弾性変形性、密着シール性を高めるべく、中空室503を有する。
【0041】
図4に示すように、下側バネ部材52は、複数の曲成部52mを並設状態に有するように蛇行状に曲成された板バネで形成されており、下側ケース51の収容室51rの延設方向に沿って、つまりドア下面12に沿って延設されている。曲成部52mには付設部52kが取り付けられている。
【0042】
下側作動体53は、下側ケース51の収容室51rの端部において矢印S1方向(退避方向),矢印S2方向(露出方向)に移動可能に設けられている。ここで、下側バネ部材52の先端部52aと下側作動体53とが接触係合していると共に、下側作動体53の突起状の操作子56がドア本体10のドア側面13よりも外方に突出するように設けられている。
【0043】
ドア1の開放初期においては、図3および図4に示すように、下側作動体53の下側操作子56が下側バネ部材52の付勢力によりドア本体10のドア側面13よりも外方(矢印P2方向)に突出している。これに対してドア1が閉鎖されるときには、ドア枠3のドア側枠33により下側作動体53の下側操作子56が退避方向(矢印P1方向)に押圧される。すると、下側作動体53が退避方向(矢印S1方向)に移動し、ひいては下側バネ部材52の曲成部52mが直状となるように弾性変形される。この結果、図6に一点鎖線で示すように、下側バネ部材52は下側硬質部材501および下側軟質部材502を下方(隙間閉鎖方向、矢印D1方向)に移動させる。これにより下側軟質部材502がドア枠3のドア下枠32に圧接し、下側隙間92が閉鎖する。これによりドア下面12における遮音性が確保される。なお、下側隙間閉鎖手段5を構成する下側軟質部材502の下方への変位可能量K2は、下側隙間92の隙間量ΔE2よりも大きく設定されている。
【0044】
ドア1が開放されるときには、下側バネ部材52の曲成部52mが元の形状に復元しようとする。このため、図3に示すように、下側作動体53の下側操作子56が下側バネ部材52の付勢力によりドア本体10のドア側面13よりも外方に突出する。つまり、下側操作子56はドア側面13よりも矢印P2方向に露出する。更に、下側バネ部材52の曲成部52mが元の形状に復元されるため、下側バネ部材52は下側硬質部材501および下側軟質部材502を上方(矢印D2方向)に移動させる。これにより下側軟質部材502がドア下枠32から離れ、ドア下面12とドア枠3のドア下枠32との間に下側隙間92が形成される。このためドア1を開放させる抵抗が低減される。
【0045】
更に本実施例によれば、図1(ドア本体10の厚み方向に沿った断面)に示すように、ドア上面11においては、上側遮音部材40よりも第1ドア表面14側に第1上面開口61が上向きに形成されていると共に、上側遮音部材40よりも第2ドア表面15側に第2上面開口62が上向きに形成されている。更に、第1上面開口61および第2上面開口62を連通させる上側連通路63がドア本体10の内部に形成されている。上側連通路63により、第1空間14xと第2空間15xとを連通させる。なお、図1に示すように、第1上面開口61、第2上面開口62および上側連通路63は、断面でほぼ凹形状をなしている。
【0046】
ドア1が閉鎖されているとき、ドア1は第1空間14xと第2空間15xとを仕切る。ここで、ドア上面11において第1上面開口61および第2上面開口62が形成されているため、通常の状態では、使用者は、第1上面開口61および第2上面開口62の存在を視認することができない。故に、ドア1が閉鎖されているときであっても、使用者に通気孔の存在を認識させずとも、第1空間14xと第2空間15xとを連通させる通気性(図1において矢印X1方向の通気性)が確保される。更に通気性を確保しつつ遮光性も確保される。
【0047】
さらに図1において、ドア下面12において、下側遮音部材50よりも第1ドア表面14側には第1下面開口71が下向きに形成されていると共に、下側遮音部材50よりも第2ドア表面15側に第2下面開口72が下向きに形成されている。更に第1下面開口71および第2下面開口72を連通させる下側連通路73がドア本体10の内部に形成されている。これにより第1空間14xと第2空間15xとを連通させる。なお、図1に示すように、第1下面開口71、第2下面開口72および下側連通路73は、断面で上下を逆にしたほぼ凹形状をなしている。
【0048】
この場合、ドア本体10のドア下面12において第1下面開口71および第2下面開口72が形成されているため、通常の状態では、使用者は、第1下面開口71および第2下面開口72の存在を視認することができない。故に、使用者に通気孔の存在を認識させずとも、第1空間14xと第2空間15xとを連通させる通気性(図1において矢印X2方向の通気性)が確保される。更に通気性を確保しつつ遮光性も確保される。
【0049】
更に、図1に示すように、上側連通路63は、貫通孔65aをもつ上側仕切部材65で仕切られている。下側連通路73は、貫通孔75aをもつ下側仕切部材75で仕切られている。内部連通路64がドア本体10の内部に設けられている。内部連通路64は貫通孔65a、75aを介して上側連通路63および下側連通路73をドア本体10の内部において互いに連通させている。この場合、第1空間14xと第2空間15xとを連通させる通気性が一層確保され易い。
【0050】
ところで、使用条件によっては、第1空間14xと第2空間15xとの間に大きな温度差または湿度差がかなり存在するときがある。この場合、第1ドア表面14および第2ドア表面15における温度差または湿度差に起因して、ドア本体10に反りが発生するおそれがある。このような場合であっても、内部連通路64には第1空間14xおよび第2空間15xの雰囲気が進入する。故に、内部連通路64の内部は、第1空間14xと第2空間15xとの中間の温度または湿度となり易い。この場合、ドア本体10における急激な温度差または湿度差が軽減されるので、ドア本体10の反りが低減される利点が得られる。
【0051】
以上説明したように本実施例によれば、ドア本体10のドア上面11側には、ドア本体10の閉鎖時にドア上面11よりも上方の上側隙間91を閉鎖させる上側隙間閉鎖手段4が設けられている。更に、ドア本体10のドア下面12側には、ドア本体10の閉鎖時にドア下面12よりも下方の下側隙間92を閉鎖させる下側隙間閉鎖手段5が設けられている。この結果、ドア1の閉鎖時には、上側隙間閉鎖手段4を構成する上側軟質部材402がドア枠3のドア上枠31に圧接し、上側隙間91が閉鎖され、ドア上面11における遮音性および遮光性が確保される。同時に、下側隙間閉鎖手段5を構成する下側軟質部材502がドア枠3のドア下枠32に圧接し、下側隙間92が閉鎖され、ドア下面12における遮音性および遮光性が確保される。この結果、ドア1の閉鎖時において、第1空間14xと第2空間15xとの間における音の伝播および光の伝播が抑えられ、遮音性および遮光性の高いドア1を提供することができる。
【0052】
このようにドア1の閉鎖時において、ドア1の遮音性を高めつつも、ドア1で仕切られた第1空間14xと第2空間15xとの間における通気性が確保される。すなわち、第1上面開口61、第2上面開口62および上側連通路63により、ドア本体10のドア上面11側の通気性が確保される。更に、第1下面開口71、第2下面開口72および下側連通路73により、ドア本体10のドア下面12側の通気性が確保される。
【0053】
しかも第1上面開口61、第2上面開口62、第1下面開口71、第2下面開口72は使用者から視認できないため、使用者に通気孔の存在を認識させない。更に図1に示すように、第1ドア表面14および第2ドア表面15に通気孔の開口が形成されていなため、第1ドア表面14および第2ドア表面15における意匠を選択する自由度を拡大させることができる。
【0054】
更に、ドア本体10のドア上面11側に上側隙間閉鎖手段4を設けることで、ドア本体10の上部の強度が高められ、ドア本体10の上部の反りが低減される。また、ドア本体10のドア下面12側に下側隙間閉鎖手段5を設けることで、ドア本体10の下部の強度が高められ、ドア本体10の下部の反りが低減される。これによりドア本体10全体の反りが抑制される。このため、後述する図13(A)(B)に示す比較例とは異なり、ドアを開放または閉鎖するにあたり、ドア本体10の下部のガタを抑制できる他に、ドア本体10の上部のガタツキを抑制できる。その結果、ドア開閉頻度が高いときであっても、ドア本体10のヒンジ部36に作用する負荷を軽減させることができ、ヒンジ部36の耐久性の向上を図り得る。
【0055】
ところで、室内のリフォームなどのときには、ドア1をドア枠3から外したり、交換したりすることがある。この場合、ドア1を構造物2に取り付けるとき、ドア本体10の上側隙間91の隙間幅ΔE1の大きさが変動したり、下側隙間92の隙間幅ΔE2の大きさが変動したりするおそれがある。この点本実施例によれば、ドア本体10のドア上面11側に上側隙間閉鎖手段4が設けられていると共に、ドア本体10のドア下面12側に下側隙間閉鎖手段5が設けられている。ここで、上側隙間閉鎖手段4による変位可能量K1は上側隙間91よりも大きく設定されており、且つ、下側隙間閉鎖手段5による変位可能量K2は下側隙間92よりも大きく設定されている。このため、ドア枠3に対するドア1の位置が高さ方向において多少変動したとしても、上側隙間91および下側隙間92に対する閉鎖性が確保され、上側隙間閉鎖手段4および下側隙間閉鎖手段5による遮音性および遮光性が良好に確保される。このように本実施例のドア1はリフォームに適する。
【0056】
図13(A)(B)は比較例を示す。この比較例では、ドア本体10のドア下面12側には下側隙間閉鎖手段5が設けられているものの、ドア本体10のドア上面11側には上側隙間閉鎖手段4が設けられていない。このため比較例では、図13(B)に示すようにドア枠3のドア側枠33にシール部材35sが接着等により設けられているほかに、ドア上枠31についてもシール部材35uが接着等により設けられている。シール部材35uにより上側隙間91の遮音性および遮光性を確保するためである。この場合、ドア1の閉鎖時において、ドア1は、シール部材35sおよびシール部材35uをドア1の厚み方向へ圧縮させつつ弾性変形させ、シール部材35sおよびシール部材35uに密着する。この場合、シール部材35sおよびシール部材35uの交差部分35xからドア1へ作用する反力が増加し易い。場合によっては、反力に起因してドア1に反りを発生させる要因となることがある。
【0057】
この点本実施例によれば、上側隙間閉鎖手段4の上側遮音部材40がドア1の面方向に沿って上方に移動することで、ドア上面11側の遮音性および遮光性が確保されると共に、下側隙間閉鎖手段5の下側遮音部材50がドア1の面方向に沿って下方に移動することで、ドア下面12側の遮音性および遮光性が確保される。このため、図2(B)に示すように、ドア枠3の2つのドア側枠33には、軟質のシール材料を基材とする縦長のシール部材35が接着等により設けられているものの、ドア上枠31についてはシール部材35が廃止されている。この結果、前記した比較例とは異なり、シール部材35sおよびシール部材35uの交差部分35xを廃止でき、シール部材35からドア1へ作用する反力をできるだけ小さくできる利点が得られ、故に、ドア1の反りを抑制することができる。このためドア開閉頻度が高いときであっても、ドア本体10のヒンジ部36に作用する負荷を軽減させることができ、ヒンジ部36の耐久性の向上を図り得る。
【0058】
なお、本実施例によれば、構造物2にドア枠3が設けられているが、ドア枠3が設けられていない形態に適用しても良い。この場合、ドア枠3は構造物2の壁部に相当する。従って、前記したドア上枠31は構造物2の開口部20の天井面に相当する。前記したドア下枠32は構造物2の開口部20の床面に相当する。
【実施例2】
【0059】
図7は本発明を具体化した実施例2を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。共通する部位に共通の符号を付する。図7に示すように、上側遮音部材40においては、ゴムまたは樹脂等の軟質材料で形成された上側軟質部材402の内部には、多孔質体404が埋設されている。これにより上側軟質部材402の反力および耐へたり性が高められると共に、遮音性も高められる。図示しないものの、下側遮音部材50も同様な構造とされている。
【実施例3】
【0060】
図8は本発明を具体化した実施例3を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。共通する部位に共通の符号を付する。図8に示すように、下側遮音部材50においては、下側軟質部材502は中実体とされている。これにより下側軟質部材502の反力および耐へたり性が高められている。図示しないものの、上側遮音部材40も同様な構造とされている。
【実施例4】
【0061】
図9は本発明を具体化した実施例4を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。共通する部位に共通の符号を付する。以下、異なる部分を中心として説明する。ドア本体10のドア上面11側には、ドア本体10の閉鎖時にドア上面11よりも上方の上側隙間91を閉鎖させる上側隙間閉鎖手段4が設けられている。更に、ドア本体10のドア下面12側には、ドア本体10の閉鎖時にドア下面12よりも下方の下側隙間92を閉鎖させる下側隙間閉鎖手段5が設けられている。この結果、ドア1の閉鎖時には、上側隙間91および下側隙間92が閉鎖し、ドア上面11およびドア下面12側における遮音性が確保される。この結果、第1空間14xと第2空間15xとの間における音の伝播が抑えられ、遮音性および遮光性の高いドア1を提供することができる。
【0062】
図9は、ドア本体10の厚み方向に沿った断面を示す。ドア本体10のドア上面11側において、ドア本体10の第1ドア表面14において形成された第1表面開口16uと、ドア上面11において上側遮音部材40よりも第2ドア表面15側に形成された第2上面開口62と、第1表面開口16uおよび第2上面開口62を連通させる上側連通路63とが形成されている。
【0063】
ドア本体10のドア下面12側においても、ドア本体10の第1ドア表面14において形成された第1表面開口16dと、ドア下面12において下側遮音部材50よりも第2ドア表面15側に形成された第2下面開口72と、第1表面開口16dおよび第2下面開口72を連通させる下側連通路73とが形成されている。この結果、ドア1が閉鎖されるときにおいても、第1ドア表面14が対面する第1空間14xと、第2ドア表面15が対面する第2空間15xとを連通させて通気性が確保されている。なお図9に示すように、第1表面開口16uおよび第1表面開口16dには、意匠性を高めるための意匠体18が取り付けられている。第1表面開口16uおよび第1表面開口16dは第1ドア表面14に形成されているものの、第2ドア表面15には形成されていない。従ってドア本体10の第2ドア表面15の意匠を設定するにあたり、意匠選択の自由度を拡大することができる。
【0064】
本実施例によれば、図9に示すように、上側隙間閉鎖手段4の中心線MUは、ドア本体10の厚み方向の中心線MCよりも第1ドア表面14側に偏芯している。このため第2ドア表面15側に寄せて第2上面開口62を形成することができる。同様に下側隙間閉鎖手段5の中心線MDは、ドア本体10の厚み方向の中心線MCよりも第1ドア表面14側に偏芯している。このため第2ドア表面15側に寄せて第2下面開口72を形成することができる。
【0065】
なお、下側連通路73および上側連通路63はドア本体10の内装部10pにより直接的には連通していない構造とされているが、これに限らず、図示しないものの内部連通路をドア本体10の内部に形成し、下側連通路73および上側連通路63を直接的に連通させても良い。
【実施例5】
【0066】
図10は本発明を具体化した実施例5を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。共通する部位に共通の符号を付する。以下、異なる部分を中心として説明する。ドア本体10のドア上面11側には、ドア本体10の閉鎖時にドア上面11よりも上方の上側隙間91を閉鎖させる上側隙間閉鎖手段4が設けられている。更に、ドア本体10のドア下面12側には、ドア本体10の閉鎖時にドア下面12よりも下方の下側隙間92を閉鎖させる下側隙間閉鎖手段5が設けられている。この結果、ドア1の閉鎖時には、ドア本体10の上側隙間91および下側隙間92が閉鎖し、ドア上面11およびドア下面12側における遮音性が確保される。この結果、第1空間14xと第2空間15xとの間における音の伝播が抑えられ、遮音性および遮光性の高いドア1を提供することができる。
【0067】
図10はドア本体10の厚み方向に沿った断面を示す。ドア本体10のドア上面11側において、ドア本体10の第2ドア表面15において形成された第2表面開口17uと、ドア上面11において上側遮音部材40よりも第1ドア表面14側に形成された第1上面開口61と、第2表面開口17uおよび第1上面開口61を連通させる上側連通路63とが形成されている。
【0068】
図10に示すように、ドア本体10のドア下面12側においても、ドア本体10の第2ドア表面15において形成された第2表面開口17dと、ドア下面12において下側遮音部材50よりも第1ドア表面14側に形成された第1下面開口71と、第2表面開口17dおよび第1下面開口71を連通させる下側連通路73とが形成されている。この結果、ドア1が閉鎖されているときにおいても、第1ドア表面14が対面する第1空間14xと、第2ドア表面15が対面する第2空間15xとを連通させて、通気性が確保されている。図10に示すように、第2表面開口17uおよび第2表面開口17dには、意匠性を高めるための意匠体18が取り付けられている。第2表面開口17uおよび第2表面開口17dは第2ドア表面15に形成されているものの、第1ドア表面14には形成されていない。従ってドア本体10の第1ドア表面14の意匠を設定するにあたり、意匠選択の自由度を拡大することができる。
【0069】
本実施例によれば、図10に示すように、上側隙間閉鎖手段4の中心線MUは、ドア本体10の厚み方向においてドア本体10の中心線MCよりも第2ドア表面15側に偏芯している。このため第1ドア表面14側に寄せて第1上面開口61を形成することができる。同様に、下側隙間閉鎖手段5の中心線MDは、ドア本体10の厚み方向の中心線MCよりも第2ドア表面15側に偏芯している。このため第1ドア表面14側に寄せて第1下面開口71を形成することができる。
【0070】
なお、下側連通路73および上側連通路63は内装部10pにより直接的には連通していない構造とされているが、これに限らず、内部連通路64をドア本体10の内部に形成し、下側連通路73および上側連通路63を直接的に連通させても良い。
【実施例6】
【0071】
図11(A)は実施例6を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。共通する部位には共通の符号を付する。以下、異なる部分を中心として説明する。図11(A)に示すように、上側隙間閉鎖手段4はドア本体10の厚み方向の中心域に配置されている。同様に、下側隙間閉鎖手段5はドア本体10の厚み方向の中心域に配置されている。図11(A)に示すように、内部連通路64は下側連通路73および上側連通路63をドア本体10の内部において互いに連通させている。この場合、ドア1が閉鎖されているときにおいても、第1空間14xと第2空間15xとを連通させる通気性が確保され易い。更に、第1空間14xと第2空間15xとの間に大きな温度差または湿度差がかなり存在するときであっても、ドア本体10の反りが低減される利点が得られる。更に、図11(A)に示すように、ドア本体10の第2ドア表面15のうち上部側には、通気孔面積を増加させて通気性を更に高めるために第2表面開口17uが形成されている。第2表面開口17uには意匠体18が取り付けられている。
【実施例7】
【0072】
図11(B)は実施例7を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。共通する部位には共通の符号を付する。以下、異なる部分を中心として説明する。図11(B)に示すように、上側隙間閉鎖手段4はドア本体10の厚み方向の中心域に配置されている。同様に下側隙間閉鎖手段5はドア本体10の厚み方向の中心域に配置されている。図11(B)に示すように、内部連通路64は下側連通路73および上側連通路63をドア本体10の内部において互いに連通させている。この場合、第1空間14xと第2空間15xとを連通させる通気性が確保され易い。ドア本体10の第1ドア表面14のうち下部側には、通気孔面積を増加させて通気性を更に高めるために、第1表面開口16dが形成されている。第1表面開口16dには意匠体18が取り付けられている。
【実施例8】
【0073】
図12は実施例8を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。共通する部位には共通の符号を付する。以下、異なる部分を中心として説明する。下側隙間閉鎖手段5Eは、ドア本体10のドア下面12側に設けられている。下側隙間閉鎖手段5Eは、ドア下面12よりも下方(隙間閉鎖方向、矢印D1方向)に向けて移動可能に設けられた下側遮音部材50Eと、下側遮音部材50Eをドア下面12よりも下方(矢印D1方向)に向けて移動させる下側作動部55Eとをもつ。
【0074】
図12に示すように、下側遮音部材50Eは、金属または硬質樹脂等の硬質材料で形成された下側硬質部材501Eと、下側硬質部材501Eに下向きに保持されたゴムまたは樹脂等の軟質材料で形成された下側軟質部材502Eと、下側硬質部材501Eに設けられた軸部505と、下側硬質部材501Eに設けられた受圧部506とを備えている。
【0075】
下側作動部55Eは、軸部505に保持されたコイル状の下側バネ部材52Eと、下側隙間92を閉鎖させる方向に下側遮音部材50Eを下方(矢印D1方向)に作動させる下側作動体53Eと、下側作動体53Eの傾斜面507と受圧部506との間に設けられた球状の係合体509とを備えている。下側バネ部材52Eは、下側隙間92を形成する方向に下側遮音部材50Eを上方(矢印D2方向)に持ち上げる。
【0076】
ドア1が閉鎖されると、下側作動体53Eが図略のドア枠に押圧されて退避方向(矢印P1方向)に移動するため、係合体509を介して受圧部506が下方(矢印D1方向)に移動し、下側軟質部材502Eをドア枠3のドア下枠32に圧接させ、下側隙間92を閉鎖する。これによりドア下面12側における遮音性および遮光性を確保する。ドア1が開放すると、下側作動体53Eがこれに付設されているバネ510Eの付勢力により露出方向(矢印P2方向)に移動する。このため下側バネ部材52Eは、下側遮音部材50Eを上方(矢印D2方向)に持ち上げる。
【0077】
なお、図示はしないものの、上側隙間閉鎖手段も下側隙間閉鎖手段5Eと同様の構成とされている。そのほか、本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明はトイレ室、勉強部屋、寝室、客室、居間、業務室、オーディオ室、コンピュータ室等といった遮音性が特に要請される室に取り付けられるドアに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】実施例1に係り、ドアの厚み方向に沿って切断して状態を模式的に示す断面図である。
【図2】実施例1に係り、(A)はドア枠にドアを取り付けた状態を模式的に示す正面図であり、(B)はドア枠にシール部材が設けられている状態を模式的に示す正面図である。
【図3】実施例1に係り、ドアの開放初期状態を模式的に示し、ドアの上側(下側)付近をドア肉厚方向に沿って切断した断面図である。
【図4】実施例1に係り、ドア本体に上側隙間閉鎖手段および下側隙間閉鎖手段を搭載した状態を模式的に示す構成図である。
【図5】実施例1に係り、ドア本体のドア上面側に設けた上側隙間閉鎖手段の内部を模式的に示す断面図である。
【図6】実施例1に係り、ドア本体のドア下面側に設けた下側隙間閉鎖手段の内部を模式的に示す断面図である。
【図7】実施例2に係り、ドア本体のドア上面側に設けた上側隙間閉鎖手段の内部を模式的に示す断面図である。
【図8】実施例3に係り、ドア本体のドア下面側に設けた下側隙間閉鎖手段の内部を模式的に示す断面図である。
【図9】実施例4に係り、ドアの厚み方向に沿って切断して状態を模式的に示す断面図である。
【図10】実施例5に係り、ドアの厚み方向に沿って切断して状態を模式的に示す断面図である。
【図11】(A)は実施例6に係り、ドアの厚み方向に沿って切断して状態を模式的に示す断面図であり、(B)は実施例7に係り、ドアの厚み方向に沿って切断した状態を模式的に示す断面図である。
【図12】実施例8に係り、ドア本体のドア下面側に設けた下側隙間閉鎖手段を模式的に示す断面図である。
【図13】比較例に係り、(A)はドア枠にドアを取り付けた状態を示す正面図であり、(B)はシール部材が設けられたドア枠を示す正面図である。
【符号の説明】
【0080】
1はドア、10はドア本体、11はドア上面、12はドア下面、13はドア側面、14は第1ドア表面、14xは第1空間、15xは第2空間、15は第2ドア表面、16は第1表面開口、17は第2表面開口、2は構造物、20は開口部、3はドア枠、31はドア上枠、32はドア下枠、33はドア側枠、35はシール部材、4は上側隙間閉鎖手段、40は上側遮音部材、42は上側バネ部材、43は上側作動体、45は上側作動部、5は下側隙間閉鎖手段、50は下側遮音部材、52は下側バネ部材、53は下側作動体、55は下側作動部、61は第1上面開口、62は第2上面開口、63は上側連通路、71は第1下面開口、72は第2下面開口、73は下側連通路、91は上側隙間、92は下側隙間を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の開口部を開閉可能であり、第1ドア表面、前記第1ドア表面に背向する第2ドア表面、ドア上面およびドア下面をもつドア本体と、
前記ドア本体の前記ドア上面側に設けられ、前記ドア本体の閉鎖時に前記ドア上面よりも上方の隙間を低減または閉鎖させる上側隙間閉鎖手段と、
前記ドア本体の前記ドア下面側に設けられ、前記ドア本体の閉鎖時に前記ドア下面よりも下方の隙間を低減または閉鎖させる下側隙間閉鎖手段とを具備することを特徴とするドア。
【請求項2】
請求項1において、前記上側隙間閉鎖手段は、前記ドア上面よりも上方に移動可能に設けられた上側遮音部材と、前記上側遮音部材を前記ドア上面よりも上方に移動させる上側作動部とをもつことを特徴とするドア。
【請求項3】
請求項2において、前記ドア本体の厚み方向に沿った断面で、前記ドア上面において前記上側遮音部材よりも前記第1ドア表面側に形成された第1上面開口と、前記ドア上面において前記上側遮音部材よりも前記第2ドア表面側に形成された第2上面開口と、前記第1上面開口および前記第2上面開口を連通させることにより、前記第1ドア表面が対面する第1空間と前記第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる上側連通路とをもつことを特徴とするドア。
【請求項4】
請求項2において、前記ドア本体の厚み方向に沿った断面で、前記第1ドア表面および前記第2ドア表面のうちのいずれか一方において形成された表面開口と、前記ドア上面において前記上側遮音部材よりも前記第1ドア表面側または前記第2ドア表面側に形成された上面開口と、前記表面開口および前記上面開口を連通させることにより、前記第1ドア表面が対面する第1空間と前記第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる上側連通路とをもつことを特徴とするドア。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか一項において、前記下側隙間閉鎖手段は、前記ドア下面よりも下方に移動可能に設けられた下側遮音部材と、前記下側遮音部材を前記ドア下面よりも下方に移動させる下側作動部とをもつことを特徴とするドア。
【請求項6】
請求項5において、前記ドア本体の厚み方向に沿った断面で、前記ドア下面において前記下側遮音部材よりも前記第1ドア表面側に形成された第1下面開口と、前記ドア下面において前記下側遮音部材よりも前記第2ドア表面側に形成された第2下面開口と、前記第1下面開口および前記第2下面開口を連通させることにより、前記第1ドア表面が対面する第1空間と前記第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる下側連通路とをもつことを特徴とするドア。
【請求項7】
請求項5において、前記ドア本体の厚み方向に沿った断面で、前記第1ドア表面および前記第2ドア表面のうちのいずれか一方において形成された表面開口と、前記ドア下面において前記下側遮音部材よりも前記第1ドア表面側または前記第2ドア表面側に形成された下面開口と、前記表面開口および前記下面開口を連通させることにより、前記第1ドア表面が対面する第1空間と前記第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる下側連通路とをもつことを特徴とするドア。
【請求項8】
請求項6または7において、前記下側連通路および前記上側連通路を前記ドア本体の内部において互いに連通させる内部連通路が前記ドア本体の内部に設けられていることを特徴とするドア。
【請求項9】
請求項1において、前記上側隙間閉鎖手段および前記下側隙間閉鎖手段のうちの少なくとも一方は、前記ドア本体の閉鎖時に前記ドア上面の上方または前記ドア下面の下方の隙間を低減または閉鎖させ得る遮音部材と、前記ドア本体の閉鎖時に前記隙間を低減または閉鎖させる方向に前記遮音部材を移動させる作動部とをもち、
前記作動部は、前記ドアが開放されるに伴い前記隙間を形成する方向に前記遮音部材を付勢するバネ部材と、前記ドアが閉鎖されるに伴い前記隙間を低減または閉鎖させる方向に前記遮音部材を作動させる作動体とを備えていることを特徴とするドア。
【請求項10】
請求項1〜9のうちのいずれか一項において、構造物の開口部に配置されるドア枠が設けられており、前記ドア枠は、前記ドア上面に対向するドア上枠と、前記ドア下面に対向するドア下枠と、前記ドア側面に対向するドア側枠とを備えており、前記ドア側枠にシール材料を基材とするシール部材が設けられており、前記ドア上枠および前記ドア下枠にシール部材が設けられていないことを特徴とするドア。
【請求項1】
構造物の開口部を開閉可能であり、第1ドア表面、前記第1ドア表面に背向する第2ドア表面、ドア上面およびドア下面をもつドア本体と、
前記ドア本体の前記ドア上面側に設けられ、前記ドア本体の閉鎖時に前記ドア上面よりも上方の隙間を低減または閉鎖させる上側隙間閉鎖手段と、
前記ドア本体の前記ドア下面側に設けられ、前記ドア本体の閉鎖時に前記ドア下面よりも下方の隙間を低減または閉鎖させる下側隙間閉鎖手段とを具備することを特徴とするドア。
【請求項2】
請求項1において、前記上側隙間閉鎖手段は、前記ドア上面よりも上方に移動可能に設けられた上側遮音部材と、前記上側遮音部材を前記ドア上面よりも上方に移動させる上側作動部とをもつことを特徴とするドア。
【請求項3】
請求項2において、前記ドア本体の厚み方向に沿った断面で、前記ドア上面において前記上側遮音部材よりも前記第1ドア表面側に形成された第1上面開口と、前記ドア上面において前記上側遮音部材よりも前記第2ドア表面側に形成された第2上面開口と、前記第1上面開口および前記第2上面開口を連通させることにより、前記第1ドア表面が対面する第1空間と前記第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる上側連通路とをもつことを特徴とするドア。
【請求項4】
請求項2において、前記ドア本体の厚み方向に沿った断面で、前記第1ドア表面および前記第2ドア表面のうちのいずれか一方において形成された表面開口と、前記ドア上面において前記上側遮音部材よりも前記第1ドア表面側または前記第2ドア表面側に形成された上面開口と、前記表面開口および前記上面開口を連通させることにより、前記第1ドア表面が対面する第1空間と前記第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる上側連通路とをもつことを特徴とするドア。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか一項において、前記下側隙間閉鎖手段は、前記ドア下面よりも下方に移動可能に設けられた下側遮音部材と、前記下側遮音部材を前記ドア下面よりも下方に移動させる下側作動部とをもつことを特徴とするドア。
【請求項6】
請求項5において、前記ドア本体の厚み方向に沿った断面で、前記ドア下面において前記下側遮音部材よりも前記第1ドア表面側に形成された第1下面開口と、前記ドア下面において前記下側遮音部材よりも前記第2ドア表面側に形成された第2下面開口と、前記第1下面開口および前記第2下面開口を連通させることにより、前記第1ドア表面が対面する第1空間と前記第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる下側連通路とをもつことを特徴とするドア。
【請求項7】
請求項5において、前記ドア本体の厚み方向に沿った断面で、前記第1ドア表面および前記第2ドア表面のうちのいずれか一方において形成された表面開口と、前記ドア下面において前記下側遮音部材よりも前記第1ドア表面側または前記第2ドア表面側に形成された下面開口と、前記表面開口および前記下面開口を連通させることにより、前記第1ドア表面が対面する第1空間と前記第2ドア表面が対面する第2空間とを連通させる下側連通路とをもつことを特徴とするドア。
【請求項8】
請求項6または7において、前記下側連通路および前記上側連通路を前記ドア本体の内部において互いに連通させる内部連通路が前記ドア本体の内部に設けられていることを特徴とするドア。
【請求項9】
請求項1において、前記上側隙間閉鎖手段および前記下側隙間閉鎖手段のうちの少なくとも一方は、前記ドア本体の閉鎖時に前記ドア上面の上方または前記ドア下面の下方の隙間を低減または閉鎖させ得る遮音部材と、前記ドア本体の閉鎖時に前記隙間を低減または閉鎖させる方向に前記遮音部材を移動させる作動部とをもち、
前記作動部は、前記ドアが開放されるに伴い前記隙間を形成する方向に前記遮音部材を付勢するバネ部材と、前記ドアが閉鎖されるに伴い前記隙間を低減または閉鎖させる方向に前記遮音部材を作動させる作動体とを備えていることを特徴とするドア。
【請求項10】
請求項1〜9のうちのいずれか一項において、構造物の開口部に配置されるドア枠が設けられており、前記ドア枠は、前記ドア上面に対向するドア上枠と、前記ドア下面に対向するドア下枠と、前記ドア側面に対向するドア側枠とを備えており、前記ドア側枠にシール材料を基材とするシール部材が設けられており、前記ドア上枠および前記ドア下枠にシール部材が設けられていないことを特徴とするドア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−314993(P2007−314993A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−144205(P2006−144205)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【Fターム(参考)】
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