説明

ドキュメントフィーダ

【課題】 給紙スタッカから排紙スタッカに原稿を給送する装置を軽量でかつ堅牢に構成することが出来、プラテンを開放する際の装置の開閉動作で原稿を搬送する機能部品にガタつき、位置ズレを生ずることのないドキュメントフィーダを提供する。
【解決手段】 複写機、スキャナ装置などの画像読み取りプラテンの上方に排紙スタッカと給紙スタッカとをこの順に配置し、この給紙スタッカから上記プラテンを介して排紙スタッカに至る搬送経路を備えた構成において、上記プラテンを覆う扁平形状で周側縁にフランジ部を有する略箱型形状の下部フレームと、この下部フレームのフランジ部と係合するフランジ部を側縁に有する略箱型形状の上部フレームとを設ける。そして上記下部フレームには上記プラテンを覆う原稿押圧部材と上記搬送経路の一部を構成する読取部搬送ガイドとを設け、この読取部搬送ガイドには読取開口を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複写機、スキャナ装置などの原稿を載置するプラテンにスタッカ上の原稿を1枚ずつ分離して給送し、読取り処理後の原稿を排紙スタッカに収納するドキュメントフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に複写機、スキャナ装置などの画像読取装置はガラスプラテン上にセットした原稿をプラテンに沿って移動するキャリッジで走査して読取っている。このような装置のプラテン上に給紙スタッカと排紙スタッカを据付け、給紙スタッカから排紙スタッカに原稿を順次給送する過程に於いて静止したキャリッジで原稿を読取るフィーダ装置が広く知られている。
【0003】
かかるフィーダ装置はプラテンの上方に給紙スタッカと排紙スタッカを上下に並設し、給紙スタッカからプラテンの一部(露光スリット)を介して排紙スタッカに至る原稿の搬送経路を備えたユニットを読取装置に開閉自在に取付けている。つまりフィーダ装置は読取装置のプラテン上に据付けられると同時にヒンジ部材で開閉可能に取付けられ、使用者がプラテン上のフィーダ装置に原稿をセットして連続して一連の原稿を読取る場合と、フィーダ装置をプラテン上方に開放してプラテン上に原稿をセットし、この原稿をフィーダ装置で押圧して読取ることが可能となっている。
【0004】
そこでフィーダ装置としてはプラテン上部に出来るだけ軽量でコンパクトに据付けられることがその操作性から要求される。一方給紙スタッカから排紙スタッカに至る原稿の搬送経路は装置が繰り返し開閉される過程で歪み或いはガタつきを生ずることが無く、常に安定した原稿の搬送が要求され、最近特に広汎な原稿を種々の用途で給送することが求められ正確で安定した搬送が要求されている。このように搬送経路を構成するガイド部材、搬送ローラ、駆動機材などの機能部品を確実に保持し、同時に装置全体を軽量に構成する為には装置のフレーム構造が重要であり、従来この装置フレームを合成樹脂などのモールド成形で外装カバーと一体に形成し、これに機能部品を組込むモノコック構造が広く用いられている。
【0005】
例えば特許文献1(特開平10−142851号公報図6)にはプラテンガラスを覆う原稿押え部材と排紙スタッカを一体化した排紙部ユニットと、この排紙部ユニットに取付けられ原稿をU字状に搬送する搬送部ユニットと、この搬送部ユニットの原稿挿入口に取付けられ原稿を載置する原稿台ユニットとをそれぞれ個別のユニットに構成している。そしてこれ等分離した3つのユニットを連結固定して一体化している。このような従来の構造で合成樹脂などのモノコック構造を採用するとそれぞれのユニットをそれぞれ外筐ケースに構成部品を組込み、搬送部、排紙部、原稿台の各ユニットを連結し、この連結した状態の装置をプラテンに対して開閉自在に取付けることとなる。
【特許文献1】特開平10−142851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようにプラテン上方にプラテンガラスを覆う排紙部ユニットと搬送部ユニットと原稿台ユニットとを個別に製作して連結する装置構成にあっては金属ステーなどの補強フレームを多用しなければ装置を堅牢にすることが出来ず、装置の重量が増大し部品点数も多く製造コストが高くなる問題が避けられなかった。そこで本発明はプラテン上方に配置した給紙スタッカから排紙スタッカに原稿を給送する装置を軽量でかつ堅牢に構成することが出来、プラテンを開放する際の装置の開閉動作で原稿を搬送する機能部品にガタつき、位置ズレを生ずることのないドキュメントフィーダの提供をその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため以下の手段を採用したものである。
まず、本発明のドキュメントフィーダは、複写機、スキャナ装置などの画像読取プラテンの上方に排紙スタッカと給紙スタッカとをこの順に配置し、この給紙スタッカから上記プラテンを介して排紙スタッカに至る搬送経路を備えた構成において、上記プラテンを覆う扁平形状で周側縁にフランジ部を有する略箱型形状の下部フレームと、この下部フレームのフランジ部と係合するフランジ部を側縁に有する略箱型形状の上部フレームとを設ける。そして上記下部フレームには上記プラテンを覆う原稿押圧部材と上記搬送経路の一部を構成する読取部搬送ガイドとを設け、この読取部搬送ガイドには読取開口を設ける。また、上記上部フレームには原稿を積載収納する排紙スタッカを一体形成し、この排紙スタッカの上方に給紙スタッカを取付け、給紙スタッカから上記読取部搬送ガイドに原稿を案内する給紙ガイドと、上記読取部搬送ガイドから原稿を上記排紙スタッカに案内する排紙ガイドとを設ける。上記給紙ガイドと排紙ガイドにはそれぞれに搬送ローラを配置し、この搬送ローラを駆動する駆動モータを上記上部フレームに取付ける。これによって装置フレームは上下に半裁された上部フレームと下部フレームとが結合されて略箱型形状で堅牢に構成される。
【0008】
また、上記上部フレームと下部フレームとをそれぞれのフランジ部を係合することによって結合し、この上部フレームに取付けた少なくとも1つのヒンジ部材で前記プラテンが備えられた装置に開閉自在に取付ける。これによって装置は上部フレームを主体に開閉され下部フレームの読取部搬送ガイドなどが開閉時に変形したり、位置ズレを招く恐れがない。更に、前記上部フレームには、前記排紙スタッカを構成する底面と、この底面に連なり前記給紙ガイドを構成する湾曲ガイド板と、このガイド板の両側部に上方に突出した断面逆U字状の膨出側壁と、この両側部の側壁膨出部と連なる給紙方向前方の膨出側壁とをそれぞれ一体成形によって形成する。
【0009】
上記給紙スタッカはこの上部フレームの給紙ガイドの給紙方向後方側に取付ける。そして上記給紙ガイドの両側部に位置する側壁膨出部は少なくとも一方には断面逆U字状の中空部を形成し、この中空部に前記駆動モータの伝動機構を配置することによって装置フレームを堅牢で小型に構成することが出来る。また、上記上部フレームには前記給紙スタッカ上の原稿を1枚ずつ分離して給送する分離ローラを組込んだ開閉カバーを開閉自在に設ける。これによって搬送経路を開放して原稿詰まりなどの処置が可能となる。
【0010】
次に本発明の画像形成装置は、原稿を載置するプラテンと、このプラテン上の原稿を読取る光電変換手段とを例えば、プラテン上の原稿を光電変換素子を搭載したキャリッジで走査して読取るようにする。そして上記プラテンの上方に排紙スタッカと給紙スタッカとをこの順に配置し、この給紙スタッカから上記プラテンを介して排紙スタッカに至る搬送経路を備えた構成において、上記プラテンを覆う扁平形状で周側縁にフランジ部を有する略箱型形状の下部フレームと、この下部フレームのフランジ部と係合するフランジ部を側縁に有する略箱型形状の上部フレームとを設ける。
【0011】
そして上記下部フレームには上記プラテンを覆う原稿押圧部材と上記搬送経路の一部を構成する読取部搬送ガイドとを設け、この読取部搬送ガイドには読取開口を設ける。また、上記上部フレームには原稿を積載収納する排紙スタッカを一体形成し、この排紙スタッカの上方に給紙スタッカを取付け、給紙スタッカから上記読取部搬送ガイドに原稿を案内する給紙ガイドと、上記読取部搬送ガイドから原稿を上記排紙スタッカに案内する排紙ガイドとを設ける。上記給紙ガイドと排紙ガイドにはそれぞれに搬送ローラを配置し、この搬送ローラを駆動する駆動モータを上記上部フレームに取付ける。
【発明の効果】
【0012】
本発明はプラテンを覆う下部フレームに原稿押圧部材と原稿案内ガイドとプラテンガラスを露出する読取開口とを一体に設け、この下部フレームに連結する上部フレームに排紙スタッカと給紙ガイドと排紙ガイドとを一体に設け、この給紙ガイドに連なるように給紙スタッカを取付けたものであり、この上部フレームと下部フレームとを扁平箱型形状の周側縁に設けたフランジ部品を互いに係合して合体したものを備えたものであるから略々プラテンを覆う原稿押え部材を備えた下部フレームと排紙スタッカを備えた上部フレームとは扁平形状で周側縁のフランジ部を合体した箱型形状に構成され合成樹脂等のモノコック構造を採用した場合、特別な補強フレームを多用することなく堅牢となる。
【0013】
従って装置は軽量で構成する部品点数も少なく安価である。特に下部フレームにはプラテンに向けて原稿を案内する原稿案内ガイドと読取開口を一体に形成しているからプラテンを開放する際にこれ等の開閉動作によって読取開口部の案内ガイドに位置ズレが生ずる恐れが少なく、常に安定した原稿の読取りが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を詳述する。
図1はスキャナ装置のプラテン上に据付けたドキュメントフィーダの要部断面図であり、図2はそのドキュメントフィーダのフレーム構造を示す分解斜視図、図3は装置の外観を示す斜視図である。
【0015】
一般にスキャナ装置、複写機、ファクシミリなどの画像読取装置は原稿をセットするプラテン10と、このプラテン10上の原稿に光を照射する光源11と、原稿からの反射光を結像する結像レンズ12と、この結像レンズで結像された光を光電変換する光電変換素子13(光電変換手段)とで構成される。そしてプラテン10上の原稿を順次移動しながら走査して原稿画像を電気信号として読取る。このような一般的な画像読取装置では原稿を載置セットするプラテン(ガラス)10上にドキュメントフィーダ(以下フィーダと云う)を備え、このフィーダ装置で自動的に原稿を上記プラテン10に給送して読取り、フィーダ装置を使用できない原稿のときは使用者がフィーダ装置をプラテン上方に持ち上げてプラテン上に原稿をセットした後このフィーダ装置で原稿を押えて読取る方法が広く用いられている。
【0016】
従って、このフィーダ装置は原稿を載置する給紙スタッカ14と、この給紙スタッカ14上の原稿を1枚ずつ分離する分離手段16と、この分離手段16からの原稿を上記プラテン10に案内する給紙ガイド17と、プラテンの読取位置(読取位置)Hで原稿を案内する読取部搬送ガイド18と、読取後の原稿を搬出する排紙ガイド27と、この排紙ガイド27からの原稿を収納する排紙スタッカ15とが必要となり、これらの機能部品がプラテン上方にユニットAとして据付けられる。
【0017】
図1に示すように給紙スタッカ14と排紙スタッカ15とはプラテン10の上方に排紙スタッカ15、その上方に給紙スタッカ14の順に上下に並設される。そして排紙スタッカ15の下部にはプラテン10上の原稿を押圧支持する原稿押圧部材43が設けられる。つまりプラテン10上方に原稿押圧部材43、排紙スタッカ15、給紙スタッカ14の順に配置され、給紙スタッカ14と排紙スタッカ15との間は略断面U字状の搬送経路(給紙ガイド17、読取部搬送ガイド18、排紙ガイド27で構成される)が設けられる。
【0018】
順次これ等の構成について説明すると、給紙スタッカ14は樹脂で原稿を載置するトレイ状に形成され、装置仕様に応じて原稿側縁を規制するサイドガイド21、原稿の有無を検出するエンプティセンサS1、原稿のサイズを検出するサイズセンサ(図示せず)を装備する。給紙スタッカ14、排紙スタッカ15の先端部には載置した原稿の最上紙と接してこれを繰り出すピックアップローラ22が設けられる。このピックアップローラ22はローラ、ギアなどで構成され給紙スタッカ14上方の退避位置から原稿と接する作動位置との間で昇降自在に設けられる。
【0019】
図示のものは分離ローラ16aの駆動軸16bに揺動自在のブラケット23を設け、このブラケット23の先端にローラを回転自在に支持してピックアップローラ22を構成している。ピックアップローラ22の下流側には分離手段16を設ける。図示の分離手段16は分離ローラ16aとこれに圧接した分離パッド24で構成されている。その構造は良く知られているので省略するが、分離手段16としてはローラ或いはベルトで分離ローラ16aを構成して給紙スタッカ14上の原稿を給送し、これと圧接する摩擦パッド、リタードローラ、或いはベルトで原稿の重送を阻止する構造を採用する。
【0020】
分離手段16で1枚に分離された原稿はプラテン10上の読取位置Hに給紙ガイド17に沿って導かれるが、この給紙ガイド17中に原稿の曲り(スキュー)を修正するレジストローラ25と読取位置に定速度で原稿を搬送する給送ローラ26を配置する。給紙ガイド17は給紙スタッカ14から原稿をプラテン10の読取位置Hに導くよう湾曲したペーパーガイドで構成され、原稿経路を形成する一対のガイド面を備えている。レジストローラ25は互いに圧接した一対のローラ25aと25bで構成され、図示25aが駆動ローラ、25bが従動ローラであり、分離手段16で繰り出された原稿を静止状態のレジストローラ25に突き当ててループ状に湾曲することによって原稿先端の曲り(スキュー)を修正する。同時にこのレジストローラ25は先の原稿がプラテンで読取処理されている間に次の原稿を分離手段16で分離給送し、このローラ位置で待機させるように制御される。
【0021】
給送ローラ26は読取位置Hの上流側に配置され一対のローラ26aと26bで構成される。図示ローラ26aが駆動ローラ、ローラ26bが従動ローラである。この給送ローラ26は読取位置Hに原稿を所定の速度で給送し、その速度は読取解像度、カラー、モノクロ、グレースケールなどの読取条件によって設定される。給送ローラ26の下流側にはプラテン10の読取位置Hに原稿を案内する読取部搬送ガイド18を構成する搬入ガイド18aが設けられる。この搬入ガイド18aは給送ローラ26で繰り出した原稿先端がスムーズに読取位置Hに進入し、原稿後端が読取位置Hでバタつかないように湾曲した先鋭状のガイド部材で形成され、場合によってはその先端にポリエステルフィルムなどの樹脂フィルムの弾性片を設ける。
【0022】
またプラテン10の読取位置Hには読取開口18bが設けられ、その下流側にはプラテン10から原稿を掬い上げる搬出ガイド18cが設けられている。従ってプラテン10の読取位置Hには読取部搬送ガイド18が搬入されることとなる。上記搬出ガイド18cと対向して排紙ガイド27が設けられ、この両ガイドで排紙経路28が構成される。この排紙経路28は排紙スタッカ15の入口端にプラテンの読取位置Hから掬い上げた原稿を搬出する。そしてこの排紙経路28には排紙ローラ29が駆動ローラ29aと従動ローラ29bで配置され、原稿を順次排紙スタッカ15に放出する。図示30は排紙センサで原稿後端がスタッカ内に搬出されたか否かを検出する。
【0023】
以上説明したピックアップローラ22、分離ローラ16a、レジストローラ25、給送ローラ26、排紙ローラ29の駆動は駆動モータから伝達され、設計仕様によって1つのモータ或いは複数のモータで構成される。駆動モータを単一のモータで構成する場合には正逆転モータを用い、その一方向回転でピックアップローラ22と分離ローラ16aを回転し、逆方向回転でレジストローラ25と給送ローラ26と排紙ローラ29を回転駆動する。そしてピックアップローラ22はこれを支持しているブラケット23を分離ローラ16aの回転軸16bにバネクラッチ(図示せず)を介して軸承し、同時に回転軸16bの回転をベルトなどでピックアップローラ22に伝達する。
【0024】
このバネクラッチはモータの一方向回転でピックアップローラ22と分離ローラ16aとが図1時計方向に回転し、ブラケット23はバネクラッチが弛んで自重で図1下側に降下するように設定する。またモータの逆方向回転はワンウェイクラッチでピックアップローラ22と分離ローラ16aには回転が伝達されず、ブラケット23はバネクラッチが緊張して図1反時計方向に回転してピックアップローラ22を上昇させるようにそれぞれ構成する。
【0025】
従ってモータの一方向回転でピックアップローラ22と分離ローラ16aは原稿を給送する方向に回転し、この回転と同時にピックアップローラ22は上昇した退避位置から給紙スタッカ14上の原稿と接する位置に降下する。一方モータの逆回転ではピックアップローラ22と分離ローラ16aは停止状態でピックアップローラ22は給紙スタッカ14上の原稿と接する位置から上方に退避することとなる。上記モータの逆方向回転はレジストローラ25、給送ローラ26、排紙ローラ29にそれぞれ原稿を下流側に搬送するように伝達する。
【0026】
上記構成で給紙スタッカ14上の原稿は分離ローラ16aで1枚ずつ分離され給紙ガイド17に沿ってレジストローラ25に到達する。次いで駆動モータを逆転するとレジストローラ25から原稿はプラテン10の読取位置Hに向かって給送され、給送ローラ26で読取位置Hに進入する。この時、給紙ガイド17に配置されたセンサ(図示せず)で原稿先端を検知し、原稿先端が読取位置Hに到達する見込み時間で画像読取装置Bは読取を開始し、順次読取位置Hを通過する原稿を読取る。プラテン10を通過した原稿は排紙経路28に導かれ排紙スタッカ15上に積載収納される。
【0027】
そこで本発明は上述の各機能部品を外装ケーシング内に特別なシャーシなどのフレーム枠組を設けることなく、例えば合成樹脂のモールド成形で外装ケーシングと一体にフレーム構造を形成する。そしてこの外装ケーシングに搬送経路、搬送ローラなどのフィーダ機能部品を組付ける所謂モノコック構造を以下のように構成する。
【0028】
それぞれ外装ケーシングを構成する下部フレーム40と上部フレーム70を設ける。下部フレーム40は、プラテン10を覆う略々半裁箱型形状に構成する。この箱型形状の下部フレーム40は略々プラテン10全体を覆う底壁部41と周縁にフランジ40aを有する側壁部42を合成樹脂のモールド成形で一体に形成する。そして底壁部41に原稿押圧部材43と、プラテン10の読取位置Hに原稿を案内する読取部搬送ガイド18を設ける。この読取部搬送ガイド18は搬入ガイド18aと読取開口18bと搬出ガイド18cとを備え、搬入ガイド18aには前述の給送ローラ26の従動ローラ26bが取付けてあり、搬出ガイド18cには前述の排紙ローラ29の従動ローラ29bが取付けてある(図7参照)。
【0029】
搬入ガイド18aと搬出ガイド18cに図示のような搬送方向のリブを形成することが原稿のスムーズな搬送の為には好ましい。尚排紙ローラ29の従動ローラ29bは排紙経路28の距離関係から下部フレーム40に設けたが、これは排紙経路28の構成によっては後述する上部フレーム70に設けても良い。原稿押圧部材43は下部フレーム40の底面壁がプラテン10上に原稿を押圧するように下部フレーム40の一部がこれを形成するようにしても良いが、この原稿押圧部材43は白色で柔軟な板材で構成することが好ましい。図示のものは下部フレーム40の底面壁に開口(図7の付号43部位)を形成し、この開口にスポンジなどの多孔質板部材を取付けて原稿押圧部材43を構成してある。
【0030】
次に上部フレーム70について説明すると、上部フレーム70は排紙スタッカ15と給紙スタッカ14と開閉カバー73で構成される。そしてこの上部フレーム70は下部フレーム40と同様に略々半裁箱型形状に合成樹脂の一体成形で形成される。またその周側縁部には前記下部フレーム40のフランジ40aと互いに係合するフランジ70aが設けられている。そこで排紙スタッカ15は上部フレーム70と一体に樹脂のモールド成形で構成され、外装ケーシングの一部を形成する。また上記給紙スタッカ14は排紙スタッカ15とは別に樹脂のモールド成形で形成され、図2に示すようにサイドガイド21と後端補助トレイ14aを備えている。この給紙スタッカ14には先端部(図2左側)の左右側部に図示しないが固定用のフックが設けてあり、このフックを上部フレーム70の掛止穴74に嵌合することによって着脱自在に取付けられる。
【0031】
つまり上部フレーム70は排紙スタッカ15を構成する底面部とこの底面に連なり前記給紙ガイド17を構成する湾曲ガイド部76と、この湾曲ガイド部76の両側部に上方に突出した断面逆U字状の膨出側壁75a、75bが形成され、この左右の膨出側壁75a、75bを連通する給紙方向前方に位置する膨出側壁77が一体成形されている。つまり上部フレーム70は排紙スタッカ15を一体に有し、この排紙スタッカ15の上方に給紙スタッカ14が着脱自在に取付けられ、この給紙スタッカ14から排紙スタッカ15に至る湾曲ガイド部76と、この湾曲ガイド部76の両側に膨出側壁75a、75bと給紙方向前方側に位置する膨出側壁77が一体に形成されている。
【0032】
従って、上部フレーム70はその周側縁のフランジ71と左右側部及び給紙前方側の膨出側壁75a、75b及び77で強靱な外装部材に構成される。更に上部フレーム70には開閉カバー73が開閉自在に設けられその構造及び機能は後述する。そこで上部フレーム70には搬送経路を構成する給紙ガイド17と排紙ガイド27が組込まれ、この搬送経路に配置されるレジストローラ25、給送ローラ26、排紙ローラ29をユニット化した搬送ユニット81が組込まれる。図7に示すように給紙ガイド17は湾曲したペーパーガイドで構成され、給紙スタッカ14から延長した湾曲ガイド部76にビスなどで固定して取付けられ原稿を給紙スタッカ14からプラテン10に案内ガイドする。同様に排紙ガイド27も樹脂のモールド成形で湾曲したペーパーガイドを形成し、上述の湾曲ガイド部76にビスなどで固定する。
【0033】
特にこの排紙ガイド27には読取位置Hで原稿をバックアップするバックアッププレート31が一体に設けてあり、このバックアッププレート31は白色のフィルム材で構成してある。従って、下部フレーム40に形成した搬送ガイド18a、読取開口18b及び搬出ガイド18cと対向する位置に排紙ガイド27が配置され、読取開口18b位置で原稿を裏側からバックアップしてガイドすると同時にプラテン10から掬い上げられた原稿を排紙スタッカ15に案内する。上記搬送ユニット81は金属などの比較的堅牢な左右一対の側板フレーム78a、78bに駆動モータMとレジストローラ25の回転軸25cと、給送ローラ26の回転軸26cと排紙ローラ29の回転軸29cとを一体にユニット化する。
【0034】
この駆動モータMと各回転軸との間には伝動機構(図示せず)が歯車ベルト等で構成され、側板フレーム78a側に取付けてある。そこで搬送ユニット81は上部フレーム70に次のように組込まれる。まず駆動モータMは膨出側壁77のモータ収容部77aに配置され、側板フレーム78aは膨出側壁75bの伝動機構収容部75cに配置され、他方の側板フレーム78bは膨出側壁75aの側板収容部75dに配置され、左右の側板フレーム78a、78bが上部フレーム70にビスなどで固定される。また側板フレーム78aにはヒンジ79が取付けられ、このヒンジ79は画像読取装置Bのプラテン10の側部に配置されるフレームに取付けられる。
【0035】
同様に上部フレーム70にはもう1つのヒンジ80が取付けられ、このヒンジ80の他方は画像読取装置Bのフレームに取付けられる。このように駆動モータMと伝動機構と各搬送ローラの回転軸を左右一対の側板フレーム78a、78bに取付けこの側板フレーム78aをこれに設けたヒンジ79で画像読取装置Bに開閉自在に取付けてある。これは比較的重量が大きい駆動モータと伝動機構を直接画像読取装置Bのフレームに取付けることによって上部フレーム70をより軽量に構成するためである。尚上部フレーム70に直接取付けたヒンジ80は上述のヒンジ79の補助ヒンジとして軽量かつ簡素なヒンジ機構で小型に構成してある。これは開閉時にヒンジに及ぶ負荷が小さい為である。
【0036】
つまりヒンジ79は駆動モータM、伝動機構、各搬送ローラの回転軸(25c、26c、29c)などを支持する側板フレーム78aに一端を固定し、その他端を画像読取装置Bのフレームに固定することによって大きな荷重を支える構造にし、これ等の荷重を軽減するスプリングを設ける。一方の補助ヒンジ80は上部フレーム70の排紙スタッカ15側にその一端を固定し、他端は画像読取装置Bのフレームに固定し、その支える荷重は小さく、その負荷を軽減する緩衝スプリングは弱いバネで構成するか或いは緩衝スプリングを設けない。
【0037】
次に前述のピックアップローラ22、分離ローラ16a及び従動側レジストローラ25bは上部フレーム70に組込まれるが、その構造について説明する。
図示実施例に示すようにプラテン10上方に排紙スタッカ15と給紙スタッカ14を並べて配置し、給紙スタッカ14から排紙スタッカ15に略断面U字状の搬送経路で原稿を搬送する場合には、この搬送経路で用紙詰り(ジャム)が発生したり、搬送経路に配置したローラに塵埃が付着したり、経路に配置したセンサが故障することがある。このような用紙ジャムが発生したときの処置及びローラ、センサなどのメンテナンスの処置の為、搬送経路の少なくとも一部を開閉する必要がある。そこで図示のものは上部フレーム70の一部を開閉カバー73で構成してある。この開閉カバー73は給紙スタッカ14からプラテン10の読取位置Hに至る給紙ガイド17を開放するように上部フレーム70に開閉自在のカバー部材を回動自在に取付けて構成する。
【0038】
そしてこの開閉カバー73にピックアップローラ22と分離ローラ16aとレジストローラ25の従動ローラ25bを取付ける。まず開閉カバー73は外装カバー部85と給紙機構収納部86と回動固定アーム87とを樹脂のモールド成形で一体に設けてある(図6参照)。そして回動固定アーム87は左右に一対設けられ、軸支ピン87a及び軸受孔87bが設けられている。この軸支ピン87aが上部フレーム70の設けた軸受孔に嵌合し、軸受孔87bに上部フレーム70に設けた軸支ピン(図示せず)が嵌合し、この嵌合部を中心に開閉カバー73は上部フレーム70の湾曲ガイド部76に開閉自在に取付けられる。
また給紙機構収納部86には分離ローラ16aがその回転軸16cが回動自在となるように組込まれ、この分離ローラ16aの回転軸16cとブラケット23が図示しないバネクラッチを介して連結されている。このブラケット23の先端にピックアップローラ22が軸承されている。
【0039】
従って回転軸16cの正逆転によってブラケット23は内蔵されたバネクラッチの作用で回転軸16cと一体に揺動し、或いは回転軸16cから遊離して自らの自重で揺動する。また回転軸16cの一方向の回転はワンウェイクラッチを介してベルト、歯車などの伝動機構でピックアップローラ22を回転する。このピックアップローラ22の回転方向は給紙スタッカ14上の原稿を給紙方向に繰出すように設定されている。上記開閉カバー73にはレジストローラ25を構成する従動ローラ25bが回動自在に軸受支持されている。これ等のピックアップローラ22、分離ローラ16a、従動レジストローラ25bはほぼ直線上で給紙スタッカ14上の原稿の中央(センター基準)に位置するように配置され、分離ローラ16aには摩擦パッド16bが、従動レジストローラ25bにはレジストローラを構成する駆動ローラ25aがそれぞれ対向するように上部フレーム70側に取付けてある。
【0040】
そして上記分離ローラ16aの回転軸16cには開閉カバー73に回動自在に設けた中間伝動軸88と歯車で連結され、この中間伝動軸88は歯車89が前述の駆動ユニット81に設けた歯車82(図2参照)と連結してある。この歯車82は駆動モータMの正逆転両方向の回転を中間伝動軸88に伝達する。
【0041】
以上説明したように下部フレーム40には原稿押圧部材43と読取部搬送ガイド18a、18cと読取開口18bが設けられ、略箱型形状で周側縁にフランジ部40a(図8参照)が形成されている。一方上部フレーム70には給紙スタッカ14と排紙スタッカ15が設けられ、給紙ガイド17と排紙ガイド27で略U字状の搬送経路が形成され、この搬送経路にピックアップローラ22、分離ローラ16a、給紙ローラ26、排紙ローラ29が組込まれている。そこで上部フレーム70と下部フレーム40とは周側縁のフランジ部40aと70aとが嵌め合いによって結合され、両者を一体化している。この両者の結合は図8に示す凹凸嵌合に限らず、ビスなどで固定しても良く、またこの両者の結合は周側縁全域で係合することなく、周側縁の適宜個所に結合部を設け、この結合部をビス、蟻ボソ結合などで固定しても良い。つまり上部フレーム70と下部フレーム40とは両者が一体的に結合されればその結合個所及び結合方法は種々の構造が採用可能である。
【0042】
斯様に上述の各機能部品を組込んで結合された上部フレーム70と下部フレーム40とはそれぞれにプラテン10を覆う面、つまり上部フレーム70の排紙スタッカ15及び給紙部と下部フレーム40の原稿押圧部材43及び読取部搬送ガイド18(搬入ガイド18a、読取開口18b、搬出ガイド18c)が上下に重なって合体する為、フレーム構造が堅牢となる。特に読取部は搬入ガイド18aと搬出ガイド18cと原稿押圧部材43が一体に形成されている為、プラテン10上で装置を開閉しても読取部の各原稿ガイドが位置ズレ或いは変形する恐れが少なく、またこれ等を個別に形成して組込む場合に生ずる組立時の位置誤差の問題が解消される。
【0043】
更に上部フレーム70には給紙スタッカ14からプラテン10の読取位置Hに原稿を案内する経路を除きその両側部と給紙方向前に逆U字状の膨出側壁が形成されているから、この膨出側壁の作用で一体化された上部フレーム70と下部フレーム40とは更に堅牢となる。またこの膨出側壁には駆動モータMと伝動機構とが組込まれる為、装置は堅牢にして小型となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】(a)本発明に係わるドキュメントフィーダの縦断面図であり、同図(b)は読取部搬送ガイドの拡大説明図である。
【図2】図1の装置のフレーム構造の組立分解斜視図である。
【図3】図1の装置の外装カバーを示す斜視図である。
【図4】上部フレームへの構造部品の組込状態の説明図である。
【図5】図1の装置の上部フレームを示す平面図である。
【図6】上部フレームの開閉カバーを示す斜視図である。
【図7】図1の装置の下部フレームを示す斜視図である。
【図8】上部フレームと下部フレームの結合状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0045】
10 プラテン
13 光電変換素子(光電変換手段)
14 給紙スタッカ
15 排紙スタッカ
16 分離手段
17 給紙ガイド
18 読取部搬送ガイド(18a搬入ガイド、18b読取開口、18c搬出ガイド)
25 レジストローラ
25c、26c、29c 回転軸
26 給送ローラ
27 排紙ガイド
29 排紙ローラ
40 下部フレーム
42 側壁部
43 原稿押圧部材
70 上部フレーム
71 フランジ
73 開閉カバー
77 膨出側壁
78a、78b 側板フレーム
79、80 ヒンジ
81 搬送ユニット
87 回動固定アーム
H 読取位置
M 駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取るプラテンの上方に据付けられ、
該プラテン上方に排紙スタッカと給紙スタッカとがこの順に配置され、
この給紙スタッカから上記プラテンを介して排紙スタッカに至る搬送経路を備えたドキュメントフィーダであって、
上記プラテンを覆う扁平形状で周側縁にフランジ部を有する略箱型形状の下部フレームと、
この下部フレームのフランジ部と係合するフランジ部を側縁に有する略箱型形状の上部フレームと、
上記下部フレームに設けられ上記プラテンを覆う原稿押圧部材と、
上記下部フレームに一体形成され上記搬送経路の一部を構成する読取部搬送ガイドと、
上記読取部搬送ガイドに設けられた読取開口と、
上記上部フレームに一体形成され原稿を積載収納する排紙スタッカと、
上記排紙スタッカの上方に位置するように上記上部フレームに設けられた給紙スタッカと、
上記上部フレームに設けられ給紙スタッカから上記読取部搬送ガイドに原稿を案内する給紙ガイドと、
上記上部フレームに設けられ上記読取部搬送ガイドから原稿を上記排紙スタッカに案内する排紙ガイドと、
上記給紙ガイドと排紙ガイドそれぞれに取付けられた搬送ローラと、
上記上部フレームに配置され上記搬送ローラを駆動する駆動モータとを備えたドキュメントフィーダ。
【請求項2】
前記上部フレームと下部フレームはそれぞれのフランジ部を係合して結合され、
前記上部フレームに取付けられた少なくとも1つのヒンジ部材で前記プラテンを有する装置に開閉自在に取付けられることを特徴とする請求項1に記載のドキュメントフィーダ。
【請求項3】
前記上部フレームは、前記排紙スタッカを構成する底面と、
この底面に連なり前記給紙ガイドを構成する湾曲ガイド板と、
このガイド板の両側部に上方に突出した断面逆U字状の膨出側壁と、
この両側部の側壁膨出部と連なる給紙方向前方の膨出側壁とがそれぞれ一体成形によって構成され、
前記給紙スタッカはこの上部フレームの給紙ガイドの給紙方向後方側に取付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のドキュメントフィーダ。
【請求項4】
前記給紙ガイドの両側部に位置する側壁膨出部は少なくとも一方には断面逆U字状の中空部が形成され、
この中空部に前記駆動モータの伝動機構が配置されていることを特徴とする請求項3に記載のドキュメントフィーダ。
【請求項5】
前記上部フレームには前記給紙スタッカ上の原稿を1枚ずつ分離して給送する分離ローラが組込まれ、
この分離ローラは上部フレームに開閉自在に取付けられた開閉カバーに取付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のドキュメントフィーダ。
【請求項6】
前記給紙ガイドと排紙ガイドの搬送ローラはそれぞれの駆動回転軸を一対の対向する側板間に取付けられ、
この側板に前記駆動モータと前記ヒンジ部材とがそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のドキュメントフィーダ。
【請求項7】
前記下部フレームには前記プラテンに載置した原稿を該プラテン表面に押圧する押圧部
材が取付けられていることを特徴とする請求項1乃至4に記載のドキュメントフィーダ。
【請求項8】
原稿を載置するプラテンと、このプラテン上の原稿を読み取る光電変換手段と、
上記プラテンの上方に排紙スタッカと給紙スタッカとがこの順に配置され、
この給紙スタッカから上記プラテンを介して排紙スタッカに至る搬送経路とを備え、
上記プラテンを覆う扁平形状で周側縁にフランジ部を有する略箱型形状の下部フレームと、
この下部フレームのフランジ部と係合するフランジ部を側縁に有する略箱型形状の上部フレームと、
上記下部フレームに設けられ上記プラテンを覆う原稿押圧部材と、
上記下部フレームに一体形成され上記搬送経路の一部を構成する読取部搬送ガイドと、
上記読取部搬送ガイドに設けられた読取開口と、
上記上部フレームに一体形成され原稿を積載収納する排紙スタッカと、
上記排紙スタッカの上方に位置するように上記上部フレームに設けられた給紙スタッカと、
上記上部フレームに設けられ給紙スタッカから上記読取部搬送ガイドに原稿を案内する給紙ガイドと、
上記上部フレームに設けられ上記読取部搬送ガイドから原稿を上記排紙スタッカに案内する排紙ガイドと、
上記給紙ガイドと排紙ガイドそれぞれに取付けられた搬送ローラと、
上記上部フレームに配置され上記搬送ローラを駆動する駆動モータとを備えた画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−36505(P2006−36505A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221504(P2004−221504)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】