説明

ドットインパクトプリンタ装置及びドットインパクトプリンタ装置の印字方法

【課題】濃淡ムラを発生させずに、インクリボンを経済的に使用することを目的とする。
【解決手段】インクリボン12の位置を検出するための複数のマーク22を設け、マーク22をセンサ24で検出してマーク22間の領域をレコードとする。印字が行われた場合にリボン12の各レコードにおける各印字桁(行の各1文字分に相当)に対応する桁の印字をカウンタ26でカウントし、インクリボン12の各位置に対して印字が行われた回数情報を基に各桁が印字可能か否かを印字可能レジスタ28にセットする。また、各桁の次の印刷データがあるか否かを次印刷データレジスタ30にセットすると共に、各桁について印刷済みか否かを印字済みレジスタ32にセットする。そして、印刷フィルタロジック部34が、印刷可能レジスタ28、次印刷データレジスタ30、及び印刷済みレジスタ30の各レジスタの値を基に、印字ヘッド10を制御して印字を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドットインパクトプリンタ装置及びドットインパクトプリンタ装置の印字方法にかかり、特に、インクリボンを移動させつつ印字するドットインパクトプリンタ装置及び印字方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のドットインパクトプリンタ装置は、インクリボンをヘッドと用紙間に無条件に繰り出して、インクリボンの任意の位置で印字していた。ドットインパクトプリンタ装置の印刷濃度の濃淡の判断は、装置の操作者による目視によって判断したり、装置に組み込まれた印刷行数等を示すカウンタの値等を目安に判断していた。
【0003】
実際には、印刷の際にインクリボンは度重なる印字でインク枯れを起こした部分も、まだインクが残っている部分も区別することなく印字する場合がある。このためシート内の印刷結果に濃淡ムラが発生しやくなっていた。実際の業務では、濃淡ムラが発生しないようにするために、インクリボンがまだ印字可能な部分があるにも拘わらず、操作者の経験値による判断、あるいは濃淡ムラがでないと予想される上述のカウンタ値でインクリボンを交換していた。また、実際の印刷する内容は印刷可能幅(例えば漢字90文字)に対し、全幅印字することは稀であり左側に偏っている場合が多い。このため、インクリボンに印字を重ねるに従って印字に濃淡が見られるようになり、印刷の結果に見劣りが発生する。特に、バーコード、OCR(Optical Character Reader)、QR(Quick Response)コードなどの読取り機と関連した印刷の場合には影響が大きく、読取り機にかけたりした際に、エラーが発生したり、印刷内容が不良のまま印刷結果が外部のお客様等に納入されたりすることがあった。
【0004】
このようなドットインパクトプリンタ装置の印刷における濃淡ムラを抑制する技術としては、例えば、特許文献1〜4記載の技術等が提案されている。
【0005】
特許文献1や特許文献2に記載の技術では、インクリボンの濃度を検出するセンサを設けて、センサで検出した濃度から寿命か否かを判定して、濃淡ムラを防止することが提案されている。
【0006】
また、特許文献3に記載の技術では、リボンカセットのピンチローラの駆動源の回転数を増速させることによって、熱転写リボンの濃淡ムラを改善することが提案されている。
【0007】
さらに、特許文献4に記載の技術では、インクリボンにインクを供給する構成を設けて、一定の濃度の印刷を維持することで濃淡ムラを防止することが提案されている。
【特許文献1】特開平9−109527号公報
【特許文献2】特開平2−185487号公報
【特許文献3】特開2001−121728号公報
【特許文献4】特開平8−039910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1〜3の技術において、濃淡ムラを抑制するためにインクリボンを交換した場合に、交換したインクリボンにまだ多くの使える領域が残っている場合があり、無駄が多く経済的ではない、という問題がある。
【0009】
また、特許文献4に記載の技術では、インクリボンにインクを供給する構成が必要であり、構成が複雑となってしまう、という問題がある。
【0010】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、濃淡ムラを発生させずに、インクリボンを経済的に使用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために請求項1に記載のドットインパクトプリンタ装置は、インクリボンを送りながら印刷するドットインパクトプリンタ装置であって、印刷幅に対応する間隔で前記インクリボンに予め設けた前記インクリボンの位置を検出するための識別子を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、インクリボンの前記識別子間の領域をレコードとし、各前記レコードの各印字桁に対応する位置の印字数を計数する計数手段と、前記計数手段の計数結果に基づいて各前記レコードの各印字桁に対応する位置の印字可否を判断して、判断結果に応じて印字可能な印字桁に対応する位置、または印字可能な前記レコードで印字するように印刷を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、インクリボンには、印刷幅(例えば、記録紙幅等)に対応する間隔でインクリボンの位置を検出するための識別子が設けられており、検出手段では、この識別子が検出される。
【0013】
また、計数手段では、検出手段の検出結果に基づいて、インクリボンの識別子間の領域をレコードとして、各レコードの各印字桁(例えば、1文字に対応する部分)に対応する位置の印字数が計数される。
【0014】
そして、制御手段では、計数手段の計数結果に基づいて各レコードの各印字桁に対応する位置の印字可否が判断され、判断結果に応じて印字可能な印字桁に対応する位置、または印字可能なレコードで印字するように印刷が制御される。
【0015】
すなわち、インクリボンをレコードという概念で区切って各レコードの印字桁の印字数を管理して、印字可能な領域で印字するように制御するので、濃淡ムラを発生させずに、インクリボンを経済的に使用することができる。
【0016】
例えば、制御手段は、請求項2に記載の発明のように、レコードの各印字桁の計数手段の計数結果の差に基づいて印字可否を判断するようにしてもよい。すなわち、レコードの各印字桁における印字数が所定数以上差がある場合には、印字不可と判断したり、印字数の少ない印字桁の部分を用いて印字することができ、これによって濃淡ムラを発生することなく、経済的にインクリボンを使用することが可能となる。
【0017】
また、制御手段は、請求項3に記載の発明のように、PCS濃度(=(白色部分の反射率%−測定点の反射率%)/白色部分の反射率%)の予め定めた値に対応する印字数に基づいて印字可否を判断するようにしてもよい。すなわち、予め定めた印字数以上の印字桁について印字不可と判断して、他の印字桁やレコードを使用して印字することができ、これによって濃淡ムラを発生することなく、経済的にインクリボンを使用することが可能となる。
【0018】
更に、制御手段は、請求項4に記載の発明のように、レコード全てに対して印字不可と判断した場合に、インクリボンの寿命と判断するようにしてもよい。例えば、インクリボン寿命と判断した場合には、その旨を報知するようにしてもよいし、印刷続行か否かを求めるようにしてもよい。
【0019】
請求項5に記載のドットインパクトプリンタ装置の印字方法は、インクリボンを送りながら印刷するドットインパクトプリンタ装置の印字方法であって、印刷幅に対応する間隔で前記インクリボンに予め設けた前記インクリボンの位置を検出するための識別子を検出する検出ステップと、前記検出ステップの検出結果に基づいて、インクリボンの前記識別子間の領域をレコードとし、前記各レコードの各印字桁に対応する位置の印字数を計数する計数ステップと、前記計数ステップの計数結果に基づいて各前記レコードの各印字桁に対応する位置の印字可否を判断して、判断結果に応じて印字可能な印字桁に対応する位置、または印字可能な前記レコードで印字するように印刷を制御する制御ステップと、を含むことを特徴としている。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、インクリボンには、印刷幅(例えば、記録紙幅等)に対応する間隔でインクリボンの位置を検出するための識別子が設けられており、検出ステップでは、この識別子を検出する。
【0021】
また、計数ステップでは、検出ステップの検出結果に基づいて、インクリボンの識別子間の領域をレコードとして、各レコードの各印字桁(例えば、1文字に対応する部分)に対応する位置の印字数を計数する。
【0022】
そして、制御ステップでは、計数ステップの計数結果に基づいて各レコードの各印字桁に対応する位置の印字可否を判断し、判断結果に応じて印字可能な印字桁に対応する位置、または印字可能なレコードで印字するように印刷を制御する。
【0023】
すなわち、インクリボンをレコードという概念で区切って各レコードの印字桁の印字数を管理して、印字可能な領域で印字するように制御するので、濃淡ムラを発生させずに、インクリボンを経済的に使用することができる。
【0024】
例えば、制御ステップは、請求項6に記載の発明のように、レコードの各印字桁の計数ステップの計数結果の差に基づいて印字可否を判断するようにしてもよい。すなわち、レコードの各印字桁における印字数が所定数以上差がある場合には、印字不可と判断したり、印字数の少ない印字桁の部分を用いて印字することができ、これによって濃淡ムラを発生することなく、経済的にインクリボンを使用することが可能となる。
【0025】
また、制御ステップは、請求項7に記載の発明のように、PCS濃度(=(白色部分の反射率%−測定点の反射率%)/白色部分の反射率%)の予め定めた値に対応する印字数に基づいて印字可否を判断するようにしてもよい。すなわち、予め定めた印字数以上の印字桁について印字不可と判断して、他の印字桁やレコードを使用して印字することができ、これによって濃淡ムラを発生することなく、経済的にインクリボンを使用することが可能となる。
【0026】
更に、制御ステップは、請求項8に記載の発明のように、レコード全てに対して印字不可と判断した場合に、インクリボンの寿命と判断するようにしてもよい。例えば、インク寿命と判断した場合には、その旨を報知するようにしてもよいし、印刷続行か否かを求めるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明によれば、インクリボンをレコードという概念で区切って各レコードの印字桁の印字数を管理して、印字可能な領域で印字するように制御するので、濃淡ムラを発生させずに、インクリボンを経済的に使用することができる、という効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係わるドットインパクトプリンタ装置の印字部の概略構成を示す図である。
【0029】
本発明の実施の形態に係わるドットインパクトプリンタ装置は、印字ヘッド10と記録紙P間にインクリボンを配置して、印字ヘッド10によってインクリボン12に所定の圧力を加えることで記録紙に印字を行う。この時、インクリボン12は等速で移動させながら、印字ヘッド10による印字を行う。
【0030】
印字ヘッド10は、複数のピンを有しており、複数のピンによってインクリボン12を介して叩くことで記録紙Pに印字を行う。また印字の打撃力はプラテンPLで受け止める。
【0031】
インクリボン12は、リボンカートリッジ14に収納され、リボンカートリッジ14はリボンコンテナ16に収納されている。リボンカートリッジ14に収納されたインクリボン12は、無端形状とされ、一部がリボンカートリッジ14に収納され、一部がリボンカートリッジ14から露出しており、リボンカートリッジ14に収納されたインクリボン12が印字ヘッド10と記録紙P間に送り出されて、再びリボンカートリッジ14に収納されるようになっている。インクリボン12の送り出しは、一対のリボン送りローラ18によって行われ、リボン送りローラ18によって送り出されたインクリボン12は、リボンガイド20によってヘッド10と記録紙P間に送り出されて、図1の矢印で示すように、再びリボンカートリッジ14に収納される。
【0032】
また、本発明の実施の形態に係わるドットインパクトプリンタ装置に適用するインクリボン12には、図2に示すように、インクリボン12の位置を検出するための複数のマーク22が設けられており、複数のマーク22間は、本実施の形態では、記録紙Pの幅に対応する長さとされている。マーク22は、例えば、図2に示すようにインクリボン12の端面等に設けられている。
【0033】
図2は、本実施の形態に係わるドットインパクトプリンタ装置の構成を示すブロック図である。
【0034】
本実施の形態に係わるドットインパクトプリンタ装置は、インクリボン12に設けられたマーク22を検出するセンサ24が設けられており、センサ24によってマークが検出される。本実施の形態に係わるドットインパクトプリンタ装置は、インクリボン12のマーク22を読み取って、マーク22間の領域をレコードとする。すなわち、マーク22間の長さが記録紙P幅に対応するので、各レコードは印字が行われる際の行に対応する。なお、レコードは、複数のレコードを有するが、レコード番号を特定するために、リボン12に設けられた複数のマーク22のうち何れかに、基準マークであることを特定するためのインデックスマークが設けられており、インデックスマークを基準にレコード番号を特定する。
【0035】
また、本実施の形態に係わるドットインパクトプリンタ装置は、印字が行われた場合に、リボン12の各レコードにおける各印字桁(行の各1文字分に相当する位置)に対応する桁の印字をカウントするカウンタ26を備えており、カウンタ26によって各レコードの各桁の印字をカウントする。具体的には、カウンタ26は、各桁の印字した文字数をカウントする。
【0036】
また、本実施の形態に係わるドットインパクトプリンタ装置は、カウンタ26によってインクリボン12の各位置に対して印字が行われた回数の情報を基に、各桁が印字可能か否かを判定するための印字可能レジスタ28、各桁の次の印刷データがあるか否かを判定するための次印刷データレジスタ30と、各桁について印字済みか否かを判定するための印刷済みレジスタ32と、を備えた印刷フィルタロジック部34を備えている。
【0037】
印刷可能レジスタ28は、カウンタの出力に対して重み付けして、印字できる桁に対して、印刷可能レジスタ28に”1”をセットし、印字できない桁に対して”0”のデータをセットする。詳細には、濃淡ムラが発生するのは印字桁の打撃数に大きな差がなければ発生しないので、印字桁毎のカウンタ差が予め定めた一定の差以内であれば印字可能と判断する。例えば、ある桁のカウンタ値がNであるとし、濃淡ムラが発生するカウンタ差がSで有るとするとNと他の印字桁のカウンタ差がS以内であるか否かを判断し、同様に次ぎの桁も他のカウンタ値との差がS以内であるか否かを判断し、全ての印字桁について同様の判断を行う。そして、判断結果で印字可能と判断した場合には、印字可能レジスタ28に情報をセットする。なお、絶対的な濃度、例えばドットインパクトプリンタ装置などで一般的に定義するPCS(Print Contrast Signal)濃度(PCS=(白色部分の反射率%−測定点の反射率%)/白色部分の反射率%)という印刷の濃さを表す指標(測定点の反射率とその周囲の白色部分(用紙地色等)の反射率との相対的な差を表したもの)があるが、PCS濃度の予め定めた値に対応するカウンタ値を記憶して、PCS濃度の予め定めた値に対応するカウンタ値に対する差で各印字桁のカウンタ値をスキャンすれば濃度差なく一定の濃度を確保した印刷が可能となる。
【0038】
次印刷データレジスタ30は、印刷データから各桁について次の印刷データがある場合には、”1”をセットし、印刷データがない場合には”0”をセットする。
【0039】
印刷済みレジスタ32は、各桁について印字が終了した場合に”1”をセットし、印字が終了していない場合には”0”をセットする。
【0040】
また、印刷フィルタロジック部34は、印刷可能レジスタ28、次印刷データレジスタ30、及び印刷済みレジスタ30の各レジスタの値を基に、印字ヘッド10を制御して印字を行う。この時、リボン送りモータ36から得られるインクリボン12の送り量を考慮して印字を行う。
【0041】
すなわち、本実施形態に係わるドットインパクトプリンタ装置は、例えば、マーク1に対応するレコードの印字桁1〜7で印字が行われた場合には、それに対応するレコード1のそれぞれの桁で印字をカウンタ26でカウントする。同様にして、マーク2に対応するレコードで印字が行われた場合にはそれぞれの桁の印字数をカウントする。
【0042】
このように、インクリボン12の各位置に対して印字が行われた回数の情報を得ると、次にこのカウンタ26の出力に対して印刷フィルタロジック部34により重み付けを行って、印字可能か否かを印字可能レジスタ28にデータをセットする。この印刷フィルタロジック部34は、各マーク22の位置の桁毎のカウンタをスキャンして判断する。例えば、よく使われる桁1〜7が5万カウント±1000カウントの値を示している場合に他の8〜136桁のカウンタが1万カウント±1000カウントを示していたとすると、そのまま印字を続行すると1〜7桁のグループと8〜136桁のグループとで印字濃度に差が出る可能性がある。そこで、1〜7桁に対して先ほどの印字可能レジスタに”0”をセットして、レコード1のインクリボン12の各印字位置に対して印字ができない桁の区別をつける。次に印字されるデータが1〜136桁だとすると、先にセットされた印刷可能レジスタ28の印刷可能なデータ”1”がセットされた位置が次行の印刷データがある位置にきた時に印字が行われ、対応する印刷済みレジスタ32の対応する部分に印字済みの目印である”0”がセットされる。当該レコードは7桁分の位置が印刷不可能な状態であるため次行の印刷データは7桁分の印刷ができない。このため印刷済みレジスタ32はレコード1が通過した後、全て”0”にならず、その行の印刷は完成しない。
【0043】
次にマーク2がセンサ24により読み取られると、レコード2が印刷フィルタロジック部34により判断され、上記と同様に印刷可能レジスタ28にレコード2で印刷可能な印字桁に”1”が書き込まれ、印刷の準備が行われる。次にレコード2の印字可能桁が先ほどの、次行の印刷データの印字が行われていない部分に到達すると印字が行われ、印刷済みレジスタ32が更新される。このようにして印刷済みレジスタ32が全て”0”で満たされると次行の印刷データの印刷は完了する。一方、レコード2の印字された桁のカウントは、上述と同様に行われる。
【0044】
このように、インクリボン12のマーク22の順番で識別されるレコードの印字された数を管理することで、インクリボン12の各位置における印字を管理することができ、印字の濃淡を防止することが可能となる。
【0045】
続いて、上述のように構成された本発明の実施の形態に係わるドットインパクトプリンタ装置で行われる動作の一例について説明する。図3は、本発明の実施の形態に係わるドットインパクトプリンタ装置で行われる動作の一例を示すフローチャートである。
【0046】
印刷指示が行われ、印字ヘッド10による印字を開始する際に、まず、ステップ100では、印刷データから次印刷データレジスタ30に情報をセットしてステップ102へ移行する。すなわち、印刷データから次印刷データレジスタ30の印字する桁に対して”1”がセットされ、印字しない桁に対しては”0”がセットされる。
【0047】
ステップ102では、インクリボン12の等速送りを開始してステップ104へ移行する。すなわち、リボン送りモータ36が駆動されて、インクリボン12が等速で印字ヘッド10と記録紙P間に送られる。
【0048】
ステップ104では、現在のレコードに対応するカウンタ26を読み出して、ステップ106へ移行し、読み出したカウンタ26から印刷可能レジスタ28に情報をセットする。すなわち、センサ24によってインデックスマークを含むマーク22の検出結果から現在のインクリボン12の位置に対応するレコードのカウンタ26が読み出され、カウンタ26の値から印刷可能レジスタ28に値がセットされる。
【0049】
次にステップ108では、印字不能桁があるか否かを印刷フィルタロジック部34が判定する。該判定は、次印刷データレジスタ30と印刷可能レジスタ28を比較することで、印字する桁が全て印字可能であるか否かを判定し、判定が肯定された場合にはステップ110へ移行し、否定された場合にはステップ120へ移行する。
【0050】
ステップ110では、印字可能桁にインクリボン12を送ってステップ112へ移行する。本実施の形態では、インクリボン12が等速で送られているので、印字可能桁になるまで印字を待機する。印字可能桁までの待機は、例えば、印字可能桁までの時間を待機するようにしてもよいし、リボン送りモータ36の駆動量を監視して待機するようにしてもよい。
【0051】
ステップ112では、センサ24によってマーク22を検出したか否かを判定する。該判定は、印字待機してインクリボン12が送られている際に、センサ24によってマーク22を検出した場合には、次レコードへインクリボン12が移動し、カウンタ26及び印刷可能レジスタ28が異なるため、マーク22の検出か否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ114へ移行し、否定された場合には、そのままステップ112をループする。
【0052】
ステップ114では、次のレコードに対応するカウンタ26を読出して、印刷可能レジスタ28をセットしてからステップ116へ移行する。
【0053】
ステップ116では、印字可能桁がないか否かを判定する。すなわち、印字可能レジスタ28に”1”がセットされた印字桁がない場合には、判定が肯定されてステップ122へ移行し、判定が否定され場合にはステップ118へ移行する。
【0054】
ステップ118では、印刷フィルタロジック部34が印字ヘッド10を制御して印字可能桁に対する印字を行ってステップ126へ移行する。
【0055】
一方、ステップ108の判定が否定されてステップ120へ移行すると、印字不能桁がないので、印刷フィルタロジック部34が印字ヘッド10を制御して印字を行った後、ステップ121でマークが検出される迄待機しマークを検出した後ステップ126へ移行する。
【0056】
また、ステップ116の判定が肯定されてステップ122へ移行すると、全レコード印字不能か否かを判定する。該判定は、全レコードについて印字可能レジスタ28をスキャンして印字可能な印字桁がない場合に、判定が肯定されてステップ124へ移行し、否定された場合にはステップ110に戻って上述の処理が繰り返される。
【0057】
ステップ124では、全レコードにわたって印字可能な印字桁がないため、インクリボンが寿命であることを報知して一連の処理を終了し他の処理等を行う。なお、インクリボンが寿命であることの報知は、例えば、ブザーを鳴らすようにしてもよいし、表示装置等にインクリボンの寿命であることを表す表示等を行うようにしてもよい。また、本実施の形態では、インクリボンが寿命であることを報知して印刷を中止するようにしたが、これに限るものではなく、ユーザに印刷を続行するか否かを求めるようにしてもよい。
【0058】
一方、ステップ126では、印字桁に対してカウンタ26をカウントアップし、印字可能レジスタ28及び印字済みレジスタ32を更新してステップ128へ移行する。
【0059】
ステップ128では、現在の行の印字を完了したか否かを印刷フィルタロジック部34が判定する。すなわち、印刷済みレジスタ32の各桁が全て”0”になったか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ108へ戻って上述の処理が繰り返されて、ステップ128の判定が肯定された場合にステップ130へ移行する。
【0060】
ステップ130では、印刷終了か否か印刷フィルタロジック部34が判定する。すなわち、印刷データの印刷を全て終了したか否かを判定し、該判定が否定された場合には、上述のステップ104へ戻って上述の処理が繰り返され、ステップ130の判定が肯定されたところで一連の処理を終了して他の処理等を行う。
【0061】
以上説明したように本実施の形態に係わるドットインパクトプリンタ装置は、インクリボン12にマーク22を設けてマーク22に対応するレコードの各印字桁の打撃数(印字数)をカウントする、すなわち、インクリボン12の位置を管理すると共に各位置に対する打撃数を管理して印刷制御することで、濃淡ムラが発生しないように印字を行うことができる。これによって、インクリボン12を無駄なく経済的に使用することができると共に、濃淡ムラを防止して印刷を行うことができる。
【0062】
なお、上記の実施の形態では、各桁の打撃数を文字単位でカウントするようにしたが、印字ヘッド10に設けられたピン単位で打撃数をカウントするようにしてもよいし、複数桁分を1ブロックとして、ブロック単位で打撃数をカウントするようにしてもよい。
【0063】
また、上記の実施の形態では、各レジスタ(印刷可能レジスタ28、次印刷データレジスタ30、印刷済みレジスタ32等)は、1つのみを備えた場合を示したが、これに限るものではなく、複数行に対応する分の複数のレジスタを備えて、データの先取りを行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態に係わるドットインパクトプリンタ装置の印字部の概略構成を示す図である。
【図2】本実施の形態に係わるドットインパクトプリンタ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係わるドットインパクトプリンタ装置で行われる動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
10 印字ヘッド
12 インクリボン
22 マーク
24 センサ
26 カウンタ
28 印刷可能レジスタ
30 次印刷データレジスタ
32 印刷済みレジスタ
34 印刷フィルタロジック部
36 リボン送りモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクリボンを送りながら印刷するドットインパクトプリンタ装置であって、
印刷幅に対応する間隔で前記インクリボンに予め設けた前記インクリボンの位置を検出するための識別子を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、インクリボンの前記識別子間の領域をレコードとし、各前記レコードの各印字桁に対応する位置の印字数を計数する計数手段と、
前記計数手段の計数結果に基づいて各前記レコードの各印字桁に対応する位置の印字可否を判断して、判断結果に応じて印字可能な印字桁に対応する位置、または印字可能な前記レコードで印字するように印刷を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするドットインパクトプリンタ装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記レコードの各印字桁の前記計数手段による計数結果の差に基づいて印字可否を判断することを特徴とする請求項1に記載のドットインパクトプリンタ装置。
【請求項3】
前記制御手段は、PCS濃度(=(白色部分の反射率%−測定点の反射率%)/白色部分の反射率%)の予め定めた値に対応する印字数に基づいて印字可否を判断することを特徴とする請求項1に記載のドットインパクトプリンタ装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記レコード全てに対して印字不可と判断した場合に、インクリボンの寿命と判断することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のドットインパクトプリンタ装置。
【請求項5】
インクリボンを送りながら印刷するドットインパクトプリンタ装置の印字方法であって、
印刷幅に対応する間隔で前記インクリボンに予め設けた前記インクリボンの位置を検出するための識別子を検出する検出ステップと、
前記検出ステップの検出結果に基づいて、インクリボンの前記識別子間の領域をレコードとし、前記各レコードの各印字桁に対応する位置の印字数を計数する計数ステップと、
前記計数ステップの計数結果に基づいて各前記レコードの各印字桁に対応する位置の印字可否を判断して、判断結果に応じて印字可能な印字桁に対応する位置、または印字可能な前記レコードで印字するように印刷を制御する制御ステップと、
を含むことを特徴とするドットインパクトプリンタ装置の印字方法。
【請求項6】
前記制御ステップは、前記レコードの各印字桁の前記計数ステップの計数結果の差に基づいて印字可否を判断することを特徴とする請求項5に記載のドットインパクトプリンタ装置の印字方法。
【請求項7】
前記制御ステップは、PCS濃度(=(白色部分の反射率%−測定点の反射率%)/白色部分の反射率%)の予め定めた値に対応する印字数に基づいて印字可否を判断することを特徴とする請求項5に記載のドットインパクトプリンタ装置の印字方法。
【請求項8】
前記制御ステップは、前記レコード全てに対して印字不可と判断した場合に、インクリボンの寿命と判断することを特徴とする請求項5乃至請求項7の何れか1項に記載のドットインパクトプリンタ装置の印字方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−112060(P2007−112060A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307401(P2005−307401)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】