説明

ドレン排出異常の検出装置および圧縮空気除湿装置

【課題】安価であるとともに、ドレン水の排出異常を迅速に検出できるドレン排出異常の検出装置および圧縮空気除湿装置を提供する。
【解決手段】ドレン受け23に溜まるドレン水を電磁弁24を開いて排出する。この電磁弁24の出力側に取り付けられたチーズ25に配設された温度センサ26と、電磁弁24を開閉制御する制御部4と、制御部4が電磁弁24を開閉制御する前後で温度センサ26の検知した温度の温度差が所定の温度差よりも小さいときに制御部4が異常判定する。この場合、温度センサ26をチーズの枝管に配設することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溜まったドレン水を電磁弁の開閉で排出するドレン排出異常の検出装置およびこの検出装置を備えた圧縮空気除湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場や研究所などでは圧縮空気を動力源とする機器が設置されている。これらの機器と空気圧縮機(エアーコンプレッサ)との間には、圧縮空気の水分を除去する除湿装置が設けられ、乾燥した圧縮空気が供給されている。
【0003】
圧縮空気除湿装置では、空気中の水分を分離することでドレン水が発生する。冷却式の圧縮空気除湿装置では、熱交換器内で圧縮空気を冷却することで水分が結露して分離される。分離されたドレン水は、熱交換器内のドレン受けに一時的に溜められる。熱交換器内には高圧の圧縮空気があるため、ドレン水は常時排出できず、例えば一定時間経過した時や一定量溜まった時に外部に排出される。
【0004】
ドレン水の排出は、ドレン受けとドレン排出流路との間に、電磁弁を配して一時的に開いて圧縮空気と共にドレン水を排出したり、一定量のドレン水が溜まると自動的にドレン水が排出される機構のドレントラップを配して排出したりすることで行われている。
【0005】
電磁弁やドレントラップの故障あるいはドレン水の凍結により、ドレン水が排出されなくなると、除湿性能の低下によって圧縮空気を動力源とする機器を損傷させる原因となる。
【0006】
ドレン水の排出の確認は、電磁弁の作動音の有無や、目視によるドレン水の排出の有無によって行っていたが、作業員が常時確認を行うことは難しい。
【0007】
そのため、一対の電極をドレン受け上部に配置して、ドレン水の水位が上昇して電極に達したときに排出異常とすることが行われていた。
【0008】
また、他の異常検出装置として、特許文献1には、ドレントラップのドレン水の排出流路に一対の電極を設け、ドレントラップから自動的に排出されるドレン水を検知して、ドレン水の排出されている時間(期間)や排出時間間隔が設定した範囲から外れる場合にドレントラップが異常であると判定するドレントラップの異常検出装置が示されている。
【0009】
【特許文献1】特開2003−343794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のドレン排出異常の検出装置には、高価な電極を配置していることにより、装置の価格が高額になるという問題がある。また、特許文献1の検知された排出時間や排出間隔に基づいて異常を判定している装置では、ドレントラップは一定量のドレンが溜まると作動するために作動する間隔が不明であり、異常と判定する範囲に余裕度をもたせる必要がある。このため、異常と判定するまでに時間が掛かるという問題がある。例えば、凍結によってドレン水が排出されなくなった場合には、迅速に圧縮空気除湿装置を停止しないとドレン水の凍結が進んでしまう。圧縮空気除湿装置は、凍結したドレン水がすべて溶けなければ再度運転を再開させることができないため、凍結を一刻も早く検出する必要がある。
【0011】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、安価であるとともに、ドレン水の排出異常を迅速に検出できるドレン排出異常の検出装置および圧縮空気除湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載されたドレン排出異常の検出装置は、ドレン水を排出する電磁弁の下流のドレン排出流路に配設された温度を検知する温度センサと、該電磁弁を開閉制御する制御部と、該制御部が電磁弁を開閉制御する前後で該温度センサの検知した温度の温度差が所定の温度差よりも小さいときに異常判定する判定部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載されたドレン排出異常の検出装置は、請求項1に記載されたものであって、該電磁弁に該ドレン排出流路の一部を構成するチーズの母管を接続し、該温度センサを該チーズの枝管に配設したことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載されたドレン排出異常の検出装置は、請求項2に記載されたものであって、該温度センサの先端が該チーズの枝管入口に母管内壁面の面とほぼ同一の位置に配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載された圧縮空気除湿装置は、請求項3に記載されたドレン排出異常の検出装置を備えた圧縮空気除湿装置であって、圧縮空気の除湿動作を行っている状態のときに該ドレン排出異常の検出装置の該判定部が異常判定したときはドレン排出異常の判定をすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載のドレン排出異常の検出装置によれば、電極に比較して安価な温度センサをドレン排出流路に配し、制御部によって電磁弁が開閉制御される前後で、温度センサの検知したドレン排出流路の温度の温度差が所定の温度差よりも小さいときに判定部が異常判定する。このため、電磁弁の開閉制御を行ってから迅速に異常を検出することができる。また、安価なドレン排出異常の検出装置を提供することができる。
【0017】
請求項2記載のドレン排出異常の検出装置によれば、電磁弁にドレン排出流路の一部を構成するチーズの母管を接続し、温度センサをチーズの枝管に配設したことで、電磁弁から温度センサまでの距離が短いため、排出されるドレン水が即座に温度センサに掛かる。このため、ドレン水が排出流路を通過していくに従ってドレン水の温度が排出流路の温度に近づくよりも前に、ドレン水が温度センサに掛かるため、ドレン水の排出による排出流路内の温度変化を迅速かつ安定して検知することができる。また、チーズは汎用部品であって安価なため、安価なドレン排出異常の検出装置を提供することができる。
【0018】
請求項3記載のドレン排出異常の検出装置によれば、チーズの枝管の入口に母管内壁面の面とほぼ同一の位置に温度センサの先端を配置したことにより、圧縮空気除湿装置のドレン排出装置に本発明を適用した場合、電磁弁が開いた際に高圧の圧縮空気と共に勢いよく排出されるドレン水の水圧を温度センサが直接受けることなく排出流路内の温度を測定することができる。したがって、水圧による温度センサの繰り返し疲労破壊を防止することができる。
【0019】
請求項4記載の圧縮空気除湿装置によれば、圧縮空気の除湿動作を行っている状態のときにドレン排出異常の検出装置の判定部が異常判定したときはドレン排出異常の判定をする。このため、除湿の負荷に応じた判定が行われ、ドレン排出異常を正確に検出することができる。
【発明を実施するための好ましい形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】
図1は本発明を適用するドレン排出異常の検出装置を備えた圧縮空気除湿装置のブロック図である。圧縮空気除湿装置1は、同図に示すように、冷凍サイクル部2、警告部3、および制御部4を備える。
【0022】
冷凍サイクル部2には、インバータ式の圧縮機11、凝縮器12、インバータ式の凝縮器ファン13、冷媒ストレーナ14、電子膨張弁15、キャピラリチューブ16、および蒸発器17が配置された熱交換器18が備えられている。配管接続された圧縮機11、凝縮器12、冷媒ストレーナ14、電子膨張弁15、キャピラリチューブ16、蒸発器17を冷媒が通過して、圧縮機11に循環することで、蒸発器17が冷却される。
【0023】
熱交換器18には、湿った圧縮空気を導入する導入口21、乾燥した圧縮空気を排出する排出口22、ドレン受け23、電磁弁24、チーズ25、温度センサ26、およびボールバルブ27,28が備えられている。ドレン受け23は、熱交換器18の底部に配され、ドレン水が一時的に溜められる。また、ドレン受け23は、二つに分岐する分岐管を介してボールバルブ27およびボールバルブ28の各々の一端に配管接続されている。ボールバルブ27,28は、手動で開閉する弁であって、ボールバルブ27の他端には配管29を介して電磁弁24の入力部が接続されている。
【0024】
電磁弁24の出力部には、汎用品として販売されているチーズ25の母管の一端が接続されている。チーズ25の他端には、ドレン排出管30が接続されている。チーズ25の分岐管には温度センサ26が備えられている。
【0025】
ボールバルブ28の他端には、ドレン排出管31が接続されている。なお、ボールバルブ27,28は、電磁弁24が故障したときなどに、ドレン受け23からドレン水を強制的に排出するときに操作される。
【0026】
さらに、冷凍サイクル部2には、センサとして、周囲温度を検知する周囲温度センサ51、凝縮器12を通った冷媒の温度を検知する冷媒凝縮温度センサ52、圧縮機11が吐出する冷媒の温度を検知する冷媒吐出温度センサ53、蒸発器17に入る冷媒の温度を検知する蒸発器冷媒温度センサ54、熱交換器18内の除湿された圧縮空気の露点温度を検知する露点温度センサ55、熱交換器18内の圧縮空気の圧力を検知する空気圧力センサ56、および圧縮機11が吸入する冷媒の温度を検知する冷媒吸入温度センサ57が備えられている。これらの各センサは、図示しないが制御部4に接続されている。
【0027】
警告部3には、警告の内容を表示する表示回路35および警告音を報音する報音回路36が備えられている。
【0028】
制御部4は、本発明に係る制御部および判定部に相当し、冷凍サイクル部2および警告部3を含む圧縮空気除湿装置1の各部の温度を検知して、この検知結果に基づいて各部の動作を制御して圧縮空気除湿装置1を作動させる。制御部4には、中央処理装置、動作プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)、動作状態などを記憶するRAM(Random Access Memory)などが備えられている。
【0029】
制御部4は、電磁弁24と接続されて電磁弁24の開閉制御を行う。また、制御部4には、温度センサ26が接続されてドレン排出流路(チーズ25内)の温度を検知する。
【0030】
また、制御部4は、冷凍サイクル部2の各部に配されたセンサ51〜57の出力に基づいて、エアーコンプレッサから圧送される圧縮空気の量(圧力)や乾燥状態(露点温度)を検知するとともに、圧縮空気が適正な露点温度の乾燥空気に除湿されるように、冷媒の温度・圧力が適正な動作範囲になるように圧縮機11や凝縮器ファン13をインバータ制御する。
【0031】
また、制御部4は、警告部3の表示回路35および報音回路36に接続されている。
【0032】
図2は本発明を適用するドレン排出異常の検出装置に配する温度センサ26を示す構成図である。温度センサ26は、温度検知部26a、基台部26b、およびケーブル26cを備えている。温度検知部26aは、細長いカバーで覆われて防水構造に形成され、その先端部の内部にサーミスタ(非図示)が内蔵されている。このサーミスタは、ケーブル26cに接続されている。基台部26bは、温度検知部26aに防水構造に固定されている。また、基台部26bには、温度検知部26aとの接合側にネジ込み固定可能なネジ山が形成されている。
【0033】
図3は本発明を適用するドレン排出異常の検出装置の機械的要部を示す機構図である。
【0034】
電磁弁24の入力部には、配管29が固定部材29aを用いて接続されている。電磁弁24の出力部には、チーズ25の母管25aの一端が直接ねじ込まれて接続されている。チーズ25の母管25aの他端には、固定部材30aが締め込まれてドレン排出管30が接続されている。このチーズ25の母管25aおよびドレン排出管30が本発明のドレン排出流路に相当し、これらを通ってドレン水が排出される。電磁弁24は、ケーブル47で制御部4に接続されている。
【0035】
温度センサ26は、同図に示すように、その温度検知部26aの先端部が、チーズ25の枝管25bの入口に母管25aの内壁面の面とほぼ同一の位置に配置されている。言い換えると、温度検知部26aの先端部が、枝管25bから母管25aに突出しすぎず、枝管25b内に引っ込みすぎず配置されている。このような位置に温度検知部26aの先端部が配置されるように、枝管25bにブッシング42、バレルニップル43、およびソケット44を接続して長さを調整し、ソケット44に温度センサ26の基台部26bがねじ込まれて固定されている。ソケット44にねじ込まれた基台部26bによって枝管25bで分岐した管路は閉塞されている。これらのブッシング42、バレルニップル43、およびソケット44は、市販の汎用品を用いることができる。温度センサ26のケーブル26cは制御部4に接続されている。
【0036】
次に、圧縮空気除湿装置1の動作について説明する。ボールバルブ27は開に固定され、ボールバルブ28は閉に固定されている。
【0037】
圧縮空気除湿装置1の運転を開始すると、制御部4の制御によって冷凍サイクル部2が作動を開始して、蒸発器17が冷却される。なお、冷凍サイクルによる蒸発器17の冷却については従来技術であるので詳細な説明を省略する。図外のエアーコンプレッサによって空気の圧送が開始されると、圧縮空気が熱交換器18の導入口21から導入される。この圧縮空気は、蒸発器17で冷却されて結露することで水分が除去される。乾燥した圧縮空気は、熱交換器18の排出口22から排出される。結露した結露水は、蒸発器17や熱交換器18の内面を伝ってドレン受け23に集まる。
【0038】
制御部4は、通常、電磁弁24を閉に制御している。ドレン受け23に集まったドレン水(結露水)は、電磁弁24が閉じられていることから、電磁弁24で塞き止められて、配管29やボールバルブ27を満たしてドレン受け23に溜まる。
【0039】
制御部4は、電磁弁24を所定の時間が経過する毎に(所定の時間毎に)わずかな時間だけ開に制御する。また、制御部4は、電磁弁24を開に制御する直前に、温度センサ26が検知した温度をRAMに記憶しておく。
【0040】
制御部4の制御によって電磁弁24が開くと、塞き止められていたドレン水は、熱交換器18内の圧縮空気の圧力によって勢いよくチーズ25の母管25aおよびドレン排出管30を通って排出される。この圧縮空気の圧力があるために、わずかな時間電磁弁24を開くだけで、ドレン水の排出が直ちに完了する。電磁弁24は、制御部4の制御によって直ちに閉制御される。
【0041】
ドレン水がチーズ25の母管25aを通って排出される際に、枝管25bの入口に配置された温度センサ26の温度検知部26aの先端部にもドレン水が掛かる。このため、ドレン水の温度によって、温度検知部26aの温度が変動し、温度センサ26の検知する温度が変動する。ドレン水は、冷却結露して発生するため、通常、周囲温度よりも低温である。
【0042】
制御部4は、開閉制御してから、温度検知部26aの熱抵抗を考慮して予め定めた時間が経過した後に、温度センサ26の検知した温度を入力する。次に、制御部4は、この温度センサ26の検知した温度と、RAMに記憶しておいた開制御する前の温度センサ26の検知した温度との温度差を演算する。
【0043】
ドレン水が正常に排出されていれば、ドレン水の温度によって温度差が所定の温度差以上になり、ドレン水が排出されていなければ、ドレン水が温度センサ26の温度検知部26aに掛からないため、温度差が所定の温度差よりも小さくなる。
【0044】
制御部4は、この温度差が所定の温度差以上の場合には、ドレン水の排出は正常と判定して、圧縮空気除湿装置1の運転を継続する。
【0045】
制御部4は、電磁弁24の開閉制御を行ってから所定の時間が経過するたびに電磁弁24の開閉制御を行う。この都度、制御部4は、上記したように、電磁弁24の開制御の直前に温度センサ26の検知した温度をRAMに記憶し、開閉制御の後に検知された温度との温度差が所定の温度差よりも小さいか否か判別する。この温度差が、所定の温度差以上の場合には、圧縮空気除湿装置1の運転を継続する。
【0046】
制御部4は、電磁弁24の開閉制御の前後における温度センサ26の検知した温度の温度差が所定の温度差よりも小さいときには、異常判定する。
【0047】
ただし、エアーコンプレッサが停止して導入口21に圧縮空気の圧送が停止したときや、すでに圧縮空気が乾燥しているときには、ドレン水はほとんど発生しない。つまり、圧縮空気除湿装置1が除湿をする必要のないとき(無負荷のとき)には、電磁弁24を開制御してもドレン水はほとんど排出されない。このため、電磁弁24が正常に作動していても、温度センサ26の検出する温度は電磁弁24の開閉の前後で温度差が生じない。したがって、制御部4は、各部のセンサ51〜57から圧縮空気除湿装置1が無負荷であることを検知した際には、ドレンの排出が正常であるか否かは判定しない。つまり、圧縮空気除湿装置1が圧縮空気の除湿動作を行っている状態のときに(負荷があるときに)、電磁弁24を開閉制御する前と後とで温度センサ26の検知した温度の温度差が所定の温度差よりも小さいときにはドレン排出異常の判定をする。
【0048】
制御部4は、ドレン排出異常の判定をしたときに、冷凍サイクル部2の作動を即座に停止させる。これと同時に、制御部4は、警告部3の表示回路35にドレン排出異常の文字を表示させるとともに、報音回路36から大音量の警告音を出力させる。作業員は、この表示や音により、ドレン排出異常が発生したことを直ちに知ることができる。
【0049】
ドレン排出異常を知った作業員は、圧縮空気を動力源とする機器の使用を直ちに中止させて損傷を防止する。
【0050】
作業員は、ボールバルブ27を閉じて電磁弁24側にドレン水が溜まらないようにするとともに、ボールバルブ28を開いて、ドレン受け23に溜まったドレン水を手動で排出させる。電磁弁24が故障している場合には修理する。ドレン水が凍結したために排出異常になった場合には、ドレン排出異常が迅速に検出されて冷凍サイクル部2が即座に停止したことによってドレン水の凍結の進行が防止される。このため、凍結が早くに溶けて、速やかに圧縮空気除湿装置1(特に冷凍サイクル部2)の運転を再開することができる。
【0051】
このように、この圧縮空気除湿装置1に適用したドレン排出異常の検出装置(制御部4、チーズ25、温度センサ26)によれば、電極に比較して安価な温度センサ26をチーズ25に配し、制御部4によって電磁弁24が開閉制御される前後で、温度センサ26の検知した温度の温度差が所定の温度差よりも小さいときに制御部4が異常判定する。このため、電磁弁24の開閉制御を行ってから迅速に異常を検出することができる。また、安価なドレン排出異常の検出装置を提供することができる。
【0052】
また、このドレン排出異常の検出装置によれば、電磁弁24にドレン排出流路の一部を構成するチーズ25の母管25aを接続し、温度センサ26をチーズ25の枝管25bに配設したことで、電磁弁24から温度センサ26までの距離が短いため、排出されるドレン水が即座に温度センサ26に掛かる。このため、ドレン水が排出流路を通過していくに従ってドレン水の温度が排出流路の温度に近づくよりも前に、ドレン水が温度センサ26に掛かるため、ドレン水の排出による排出流路内の温度変化を迅速かつ安定して検知することができる。また、チーズ25は汎用部品であって安価なため、安価なドレン排出異常の検出装置を提供することができる。
【0053】
さらに、このドレン排出異常の検出装置によれば、チーズ25の枝管25bの入口に母管25aの内壁面の面とほぼ同一に温度センサ26の先端(温度検知部26aの先端)を配置したことにより、圧縮空気除湿装置1に本発明を適用した場合、電磁弁24が開いた際に高圧の圧縮空気と共に勢いよく排出されるドレン水の水圧を温度センサ26が直接受けることなく排出流路(チーズ25)内の温度を測定することができる。したがって、水圧による温度センサ26の繰り返し疲労破壊を防止することができる。
【0054】
さらに、圧縮空気除湿装置1によれば、圧縮空気の除湿動作を行っている状態のときに、電磁弁24の開閉制御の前後の温度差から制御部4が異常判定したときはドレン排出異常の判定をする。このため、除湿の負荷に応じた判定が行われ、ドレン排出異常を正確に検出することができる。
【0055】
なお、本発明を適用するドレン排出異常の検出装置を圧縮空気除湿装置に適用して説明したが、これに限定されず、エアコンディショナや冷蔵庫などのドレン受けや、圧縮空気のエアータンクなど、ドレン水を排出する各種機器に適用することができる。
【0056】
また、サーミスタで構成される温度センサについて説明したが、温度センサは、熱伝対、赤外線センサなどで構成してもよい。また、ブッシング42、バレルニップル43、およびソケット44を介して温度センサ26をチーズ25に接続した例について説明したが、ブッシング42、バレルニップル43、およびソケット44は温度検知部26aの位置合わせ、および温度センサ26の固定のために用いたものであり、使用せずに温度センサ26の位置合わせおよび固定できれば不要であるし、例えばブッシングだけ用いたり、他のものを用いて位置合わせや固定をしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明を適用するドレン排出異常の検出装置を備えた圧縮空気除湿装置のブロック図である。
【図2】本発明を適用するドレン排出異常の検出装置に配する温度センサを示す構成図である。
【図3】本発明を適用するドレン排出異常の検出装置の機械的要部を示す機構図である。
【符号の説明】
【0058】
1は圧縮空気除湿装置、2は冷凍サイクル部、3は警告部、4は制御部、11は圧縮機、12は凝縮器、13は凝縮器ファン、14は冷媒ストレーナ、15は電子膨張弁、16はキャピラリチューブ、17は蒸発器、18は熱交換器、21は導入口、22は排出口、23はドレン受け、24は電磁弁、25はチーズ、25aは母管、25bは枝管、26は温度センサ、26aは温度検知部、26bは基台部、26c、47はケーブル、27,28はボールバルブ、29は配管、29a,30aは固定部材、30,31はドレン排出管、35は表示回路、36は報音回路、42はブッシング、43はバレルニップル、44はソケット、51は周囲温度センサ、52は冷媒凝縮温度センサ、53は冷媒吐出温度センサ、54は蒸発器冷媒温度センサ、55は露点温度センサ、56は空気圧力センサ、57は冷媒吸入温度センサである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレン水を排出する電磁弁の下流のドレン排出流路に配設された温度を検知する温度センサと、該電磁弁を開閉制御する制御部と、該制御部が電磁弁を開閉制御する前後で該温度センサの検知した温度の温度差が所定の温度差よりも小さいときに異常判定する判定部とを備えたことを特徴とするドレン排出異常の検出装置。
【請求項2】
該電磁弁に該ドレン排出流路の一部を構成するチーズの母管を接続し、該温度センサを該チーズの枝管に配設したことを特徴とする請求項1に記載のドレン排出異常の検出装置。
【請求項3】
該温度センサの先端が該チーズの枝管入口に母管内壁面の面とほぼ同一の位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のドレン排出異常の検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載されたドレン排出異常の検出装置を備えた圧縮空気除湿装置であって、圧縮空気の除湿動作を行っている状態のときに該ドレン排出異常の検出装置の該判定部が異常判定したときはドレン排出異常の判定をすることを特徴とする圧縮空気除湿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−8045(P2009−8045A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171928(P2007−171928)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】