説明

ドーパミン−D2受容体に関する親和力およびセロトニン再吸収部位の組み合わせを有するテトラヒドロピリジン−4−イルインドール類

【化1】


本発明は二重活性方式であるセロトニン再吸収阻害性およびドーパミン−D受容体に関する親和力を有する新規なテトラヒドロピリジン−4−イルインドール類の群、これらの化合物の製造方法並びに該テトラヒドロピリジン−4−イルインドール類の合成に有用な新規な中間体に関する。本発明はまた有利な効果を与える薬品の製造のためのここに開示された化合物の使用にも関する。本発明は式(I)の新規なテトラヒドロピリジン−4−イルインドール類並びにそれらの互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、N−オキシド、薬理学的に許容可能な塩、水和物および溶媒和物に関し、ここで−Rは水素、ハロゲン、アルキル(C1−3)もしくはアルコキシ(C1−3)、CNまたはCFであり、−Rは水素またはアルキル(C1−3)であり、−Rは水素またはアルキル(C1−3)であり、−Zは水素またはアルキル(C1−3)、アルコキシ(C1−3)もしくはアルキルチオ(C1−3)であり、−Aは水素またはアルキル(C1−3)であり、或いは−AおよびZは一緒になってハロゲン、アルキル(C1−3)またはフェニルで置換されていてもよい飽和もしくは(部分的)不飽和の5−もしくは6−員環を形成し、ここで環Zは炭素、硫黄または窒素を表わす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重活性方式であるセロトニン再吸収阻害性およびドーパミン−D受容体に関する親和力を有する新規なテトラヒドロピリジン−4−イルインドール類の群、これらの化合物の製造方法並びに該テトラヒドロピリジン−4−イルインドール類の合成に有用な新規な中間体に関する。本発明はまた有利な効果を与える薬品の製造のためのここに開示された化合物の使用にも関する。有利な効果はここに開示されるかまたは明細書および当該技術の一般的知識から当業者に明らかである。本発明はまた疾病または障害を処置または予防するための薬品の製造のための本発明の化合物の使用にも関する。より特に、本発明はここに開示されるかまたは明細書および当該技術の一般的知識から当業者に明らかな疾病または症状の処置のための新規な使用に関する。本発明の態様では、ここに開示されている具体的な化合物がドーパミン−D受容体およびセロトニン再吸収部位が関係する障害またはこれらの標的の操作により処置できるものの処置において有用な薬品の製造のために使用される。
【背景技術】
【0002】
ドーパミン−D拮抗物質およびセロトニン再吸収阻害剤としての二重活性を有するテトラヒドロピリジン−4−イルインドール誘導体は特許文献1および特許文献2から知られており、そしてこれらの特許出願に開示された見込みのある臨床候補はさらに非特許文献1に開示されている。非特許文献2による文献には、セロトニン5−HT1D拮抗物質およびセロトニン再吸収阻害剤としての二重活性を有するテトラヒドロピリジン−4−イルインドール誘導体が記載されており、そしてこの群の化合物の中である種のものはドーパミン−D拮抗活性を有することが示された。特許文献3には、1種の特定化合物であるS−(+)−3−{1−[2−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−3−イル)エチル]−3,6ジヒドロ−2H−ピリジン−4−イル}−6−クロロ−1H−インドールがドーパミン−D拮抗物質およびセロトニン再吸収阻害剤として記載されている。この化合物に関しては、ドーパミン−D親和力、c.q.活性は開示されていなかった。
【特許文献1】国際公開第00/023441号パンフレット
【特許文献2】国際公開第00/069424号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2004/020437号パンフレット
【非特許文献1】Van Hes et al.,Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,13(3),405−408,2003
【非特許文献2】Timms et al.,Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,14(10),2469−2472,2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、ドーパミン−D拮抗物質およびセロトニン再吸収阻害剤としての二重活性を有する別の化合物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことに、有効なセロトニン再吸収阻害活性と組み合わされた有効なドーパミン−D拮抗活性が、式(I):
【0005】
【化1】

【0006】
[式中、
−Rは水素、ハロゲン、アルキル(C1−3)もしくはアルコキシ(C1−3)、CNまたはCFであり、
−Rは水素またはアルキル(C1−3)であり、
−Rは水素またはアルキル(C1−3)であり、
−Zは水素またはアルキル(C1−3)、アルコキシ(C1−3)もしくはアルキルチオ(C1−3)であり、
−Aは水素またはアルキル(C1−3)であり、或いは
−AおよびZは一緒になってハロゲン、アルキル(C1−3)またはフェニルで置換されていてもよい飽和もしくは(部分的)不飽和の5−もしくは6−員環を形成し、ここで環Zは炭素、硫黄または窒素を表わす]
の新規な1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イルインドール類、並びにそれらの互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、N−オキシド、薬理学的に許容可能な塩、水和物および溶媒和物の群で見出された。
【0007】
置換基の記述において、略語アルキル(C1−3)はメチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルを意味する。
【0008】
上記化合物のプロドラッグは本発明の範囲内である。プロドラッグは、それ自体では不活性であるが1種もしくはそれ以上の活性な代謝産物に転換される治療剤である。プロドラッグは、親薬品分子の有用性に対する何らかの妨げを克服するために使用される薬品分子の生可逆的誘導体である。これらの妨げは可溶性、透過性、安定性、前全身的代謝性および目標設定の制限を包含するが、それらに限定されない(Medicinal Chemistry:Principles and Practice,1994,ISBN
0−85186−494−5,Ed.:F.D.King,p.215;J.Stella,“Prodrugs as therapeutics”,Expert Opin.Ther.Patents14(3),277−280,2004;P.Ettmayer et al.,“Lessons learned from marketed and investigational prodrugs”,J.Med.Chem.,47,2393−2404,2004)。プロドラッグ、すなわち人間に何らかの経路により投与される時に代謝されて式(I)を有する化合物になる化合物は本発明に属する。特にこれは第一級もしくは第二級アミノまたはヒドロキシ基を有する化合物に関する。そのような化合物は有機酸と反応して、例えばアミジン、エナミン、マンニッヒ塩基、ヒドロキシル−メチレン誘導体、O−(アシルオキシメチレンカルバメート)誘導体、カルバメート、エステル、アミドまたはエナミノンを包含するがそれらに限定されない投与後に容易に除去される追加の基が存在する式(I)を有する化合物を生成することができる。
【0009】
上記化合物のN−オキシドは本発明の範囲内である。第三級アミン類はN−オキシド代謝産物を与えることもまたは与えないこともありうる。N−酸化が起きる程度は痕跡量か
ら定量的転化近くまで変動する。N−オキシドはそれらの対応する第三級アミン類より活性が大きいかまたは活性が小さくなりうる。N−オキシドは化学的手段によりそれらの対応する第三級アミン類に容易に還元されるが、人間の体内ではこれは種々の程度で起きる。ある種のN−オキシドは対応する第三級アミン類へのほぼ定量的な還元的転化を受け、他の場合には転化はわずかだけの反応であるかまたは全く存在しない(M.H.Bickel:“The pharmacology and Biochemistry of N−oxides”,Pharmaco−logical Reviews21(4),325−355,1969)。
【0010】
本発明の好ましい化合物は、Rが水素またはハロゲンであり、Rが水素であり、RがCHであり、ZがSCHでありそしてAがCHであり、或いはZ+AがCH、Cまたはi−Cで置換されていてもよい(部分的)不飽和の6−員環を形成する式(I)を有する化合物である。
【0011】
=R=Hであり、RがCHでありそしてZ+Aが一緒になってC(CH)=CH−CH=CH−を表わす式(I)を有する化合物、およびそれらの塩が特に好ましい。
【0012】
本発明に従う化合物はドーパミンD受容体およびセロトニン再吸収部位の両方に関する高い親和力を示すことが見出された。この組み合わせは統合失調症および他の精神障害の処置に有用であり、それは全ての疾病徴候(例えば正の徴候および負の徴候)のさらに完全な処置を可能にする。
【0013】
式(I)を有する化合物のあるものはドーパミン受容体において部分的な作用物質活性を示すため、それらはパーキンソン病の処置に特に適する。
【0014】
化合物はマウスにおけるアポモルフィン−誘発性登攀行動を拮抗可能にするため、それらはドーパミンD受容体における拮抗物質としての活性を示す。化合物はマウスにおいて5−HTP誘発性行動を可能にするため、それらはセロトニン再吸収の阻害剤としての活性も示す。
【0015】
化合物は臨床関連抗精神病薬(例えば、回避条件づけ応答;Van der Heyden & Bradford,Behav.Brain Res.,1988,31:61−67)および抗鬱剤または抗不安症剤(例えばストレス−誘発性発声;van der Poel et al.,Psycho−pharmacology,1989,97:147−148)に敏感な治療モデルにおいて活性である。
【0016】
臨床関連ドーパミンD受容体拮抗物質とは対照的に、記載された化合物はげっ歯動物におけるカタレプシーを誘発する低い傾向を示しそしてそのままで現存する抗精神病剤より少ない錐体外路副作用を誘発するようである。
【0017】
これらの化合物に固有のセロトニン再吸収の阻害活性は抗鬱剤または抗不安症剤のいずれかに敏感な行動モデルにおいて観察される治療効果の原因となりうる。
【0018】
化合物はドーパミンまたはセロトニン系統のいずれかにおける混乱により引き起こされる中枢神経系の障害または疾病、例えば、攻撃性、不安障害、自閉症、眩暈、鬱病、認識または記憶の混乱、パーキンソン病、および特に統合失調症並びに他の精神障害、の処置のために使用することができる。
【0019】
合成の一般的局面
式(I)を有する化合物は、式
【0020】
【化2】

【0021】
の化合物と式
【0022】
【化3】

【0023】
[式中、記号R、R、R、ZおよびAは上記の意味を有し、そしてLはいわゆる脱離基、例えばハロゲンまたはメシル基、である]
の化合物との反応により製造することができる。
【0024】
この反応は好ましくは有機溶媒、例えばアセトニトリル中でトリエチルアミンまたはKCOおよびKIの存在下で還流温度において行われる。
【0025】
式(II)のこの合成用の出発化合物はそれ自体既知の方法で場合により置換されていてもよいインドール誘導体を4−ピペリドンと反応させることにより得られうる。
【0026】
式(III)を有する出発化合物は同様な化合物の合成に関する既知の方法に従い得られうる。
【0027】
特定の合成工程の選択は当業者に既知である因子、例えば官能基と使用される試薬との相容性、保護基、触媒、活性化およびカップリング試薬を使用する可能性、並びに製造される最終化合物内に存在する最終的な構造特徴に依存する。
【0028】
製薬学的に許容可能な塩は当該技術で既知である標準工程を用いて、例えば本発明の化合物を適当な酸、例えば無機酸、例えば塩酸、または有機酸と混合することにより得ることができる。
【0029】
製薬学的調合物
本発明の化合物は、補助物質、例えば液体または固体の担体物質を用いる一般的な方法により投与に適する形態にすることができる。本発明の製薬学的組成物は、腸内に、経口的に、非経口的に(筋肉内もしくは静脈内)、直腸にまたは局部的に(局所的に)投与することができる。それらは、液剤、散剤、錠剤、カプセル剤(マイクロカプセル剤を包含する)、軟膏剤(クリーム剤もしくはゲル剤)または坐剤の形態で投与することができる。そのような調合物に適する賦形剤は、製薬学的に普遍的な液体または固体の充填剤および延展剤、溶媒、乳化剤、潤滑剤、香味剤、着色剤および/または緩衝物質である。挙げられうるしばしば使用される補助物質は、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、マンニトールおよび他の糖類、タルク、乳汁蛋白質、ゼラチン、澱粉、セルロースおよびその誘導体、動物および植物油、例えば魚肝油、ヒマワリ、塊茎またはゴマ油、ポリエチレングリコール、並びに溶媒、例えば、殺菌水および一価もしくは多価アルコール類、例えばグリセロールである。
【0030】
本発明の化合物は一般的には、化合物、より特にここに開示された特定化合物の存在のために本発明の重要で且つ新規な態様である製薬学的組成物として投与される。使用できる製薬学的組成物のタイプは、錠剤、噛むことができる錠剤、カプセル剤、液剤、非経口液剤、坐剤、懸濁剤、およびここに開示されるかまたは明細書および当該技術の一般的知識から当業者に明らかである他のタイプを包含するが、それらに限定されない。本発明の態様では、本発明の製薬学的組成物の1種もしくはそれ以上の成分が充填されている1個もしくはそれ以上の容器を含んでなる製薬学的パックまたはキットが提供される。そのような1個もしくは複数の容器は種々の文書資料、例えば使用に関する仕様書、または製薬学的製品の製造、使用もしくは販売を規制する政府機関により規定された形式の注意書に関連づけられており、その注意書は人間または動物投与のための製造、使用、または販売機関による認可を反映している。
【0031】
薬理学的方法
ドーパミン−D受容体に関するインビトロ親和力
ドーパミン−D受容体に関する化合物の親和力は、I.Creese,R.Schneider and S.H.Snyder:“[H]−Spiroperidol labels dopamine receptors in rat pituitary and brain”,Eur.J.Pharmacol.,46,377−381,1977により記載された受容体結合検定法を用いて測定された。
【0032】
セロトニン再吸収部位に関するインビトロ親和力
セロトニン再吸収部位に関する化合物の親和力は、E.Habert et al.,:“Characterisation of [H]−paroxetine binding to rat cortical membranes”,Eur.J.Pharmacol.,118,107−114,1985により記載された受容体結合検定法を用いて測定された。
【0033】
薬用量
ドーパミン−D受容体およびセロトニン再吸収部位に関する本発明の化合物の親和力を以上で記載された通りにして測定した。式(I)の特定化合物に関して測定された結合親和力から、理論的に最少の有効服用量を推定することができる。測定されたK−値の2倍に相当する化合物の濃度では、受容体の100%が化合物により占められるようである。この濃度を1kgの患者当たりの化合物のmgに変換して、理想的なバイオアベイラビリティーと仮定して、理論的に最少の有効服用量を生ずる。薬物動力学的、薬力学的、およびその他の考察が実際に投与される服用量をより高いまたはより低い値に変えうる。便宜的に投与される薬用量は0.001〜1000mg/kg、好ましくは0.1〜100mg/kgの患者体重である。
【0034】
処置
ここで使用される用語「処置」は哺乳動物、好ましくは人間の症状または疾病のいずれかの処置をさし、そして(1)疾病に罹りやすいがそれに罹っているとまだ診断されていない患者における疾病もしくは症状の発生の予防、(2)疾病もしくは症状の抑制、すなわちその進行の阻止、(3)疾病もしくは症状の緩和、すなわち症状の退行の発生、また
は(4)疾病により引き起こされる症状の緩和、すなわち疾病の徴候の停止を包含する。
【0035】
式(I)を有する化合物の製造を次にさらに詳細に以下の実施例に記載する。
【実施例】
【0036】
実施例1:物質および方法
Hおよび13C NMRスペクトルはブルーカー・アバンス(Bruker Avance)DRX600機器(600MHz)、バリアン(Varian)UN400機器(400MHz)またはバリアンVXR200機器(200MHz)上で溶媒としてのDMSO−DまたはCDClを内部標準としてのテトラメチルシランと共に用いて記録された。化学シフトはテトラメチルシランからのppm(δ目盛り)ダウンフィールドで示される。カップリング定数(J)はHzで表示される。フラッシュクロマトグラフィーはシリカゲル60(0.040−0.063mm、メルク(Merck))を用いて行われた。カラムクロマトグラフィーはシリカゲル60(0.063−0.200mm、メルク)を用いて行われた。融点はビュッチ(Buechi)B−545融点装置上で記録された。質量スペクトルはデータの取得および再構成用のマスリンクス(Masslynx)応用ソフトウエアの付いたマイクロマス(Micromass)QTOF−2機器上で記録された。擬分子イオン[M+H]の正確な質量測定が行われた。
【0037】
実施例2:特定化合物の合成
化合物番号26
【0038】
a)5−フルオロ−3−(1,2,3,6、−テトラヒドロピリジン−4−イル)インドールの製造。
ナトリウム(60g、2.6モル)の1000mlのメタノール中溶液に5−フルオロインドール(49g、0.36モル)および4−ピペリドン.HO.HCl(170g、1.11モル)を加えた。混合物を還流下で18時間にわたり加熱し、次に濃縮し、水を加えそして酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥しそして次に濃縮した。生じた固体をメタノール(約200ml)中に溶解させそして次に水(約1000−1500ml)で希釈した。沈殿を集め、水および石油エーテルで洗浄しそして次に真空オーブン中で60℃において乾燥した。収量74g(95%)の黄色固体。
【0039】
b)3−(2−クロロエチル)−2,9−ジメチル−4H−ピリド[1,2−a]−ピリミジン−4−オンの製造。
2−アミノ−3−ピコリン(3.3g、30ミリモル)のオキシ塩化燐(11ml)中溶液に2−アセチルブチロラクトン(3.25ml、30ミリモル)を加えた。混合物を18時間にわたり100℃に加熱し、冷却し、氷上に注ぎ、2N水酸化ナトリウム溶液で塩基性にしそして酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、乾燥し、濃縮しそしてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=95/5)により精製した。収量2.5g(35%)の白色固体。
【0040】
c)3−[2−[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イル]エチル]−2,9−ジメチル−4H−ピリド[1,2−a]−ピリミジン−4−オンの製造。
5−フルオロ−3−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)インドール(5.5g、0.025モル)、3−(2−クロロエチル)−2,9−ジメチル−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン(7.2g、0.030モル)、ジイソプロピルアミン(5ml)およびヨウ化カリウム(1g)のアセトニトリル(100ml)中溶液を還流下で24時間にわたり加熱した。冷却後に沈殿を集めそしてそれぞれアセトニトリル(20ml)、イソプロピルアルコール(3×20ml)および石油エーテル(2
5ml)で洗浄した。収量7.13g(67%)の薄黄色固体。融点:229−230℃。
【0041】
化合物番号22の遊離塩基
a)3−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)インドールの製造。
ナトリウムメトキシド(450ml、メタノール中30%、2.5モル)の1000mlのメタノール中溶液にインドール(50g、0.427モル)および4−ピペリドン.HO.HCl(162g、1.05モル)を加えた。混合物を還流下で18時間にわたり加熱して黄色沈殿を生成した。混合物を濃縮しそして水(1000ml)を加えた。沈殿を集め、水および石油エーテルで洗浄しそして次に真空オーブン中で50℃において乾燥した。収量77g(91%)の薄黄色固体。
【0042】
b)3−[2−[4−(1H−インドール−3−イル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イル]エチル]−2,9−ジメチル−4H−ピリド[1,2−a]−ピリミジン−4−オンの製造。
3−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)インドール(25g、0.126モル)、3−(2−クロロエチル)−2,9−ジメチル−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン(33g、0.139モル)および炭酸カリウム(17.5g、0.127モル)のアセトニトリル(500ml)および水(100ml)中溶液を還流下で18時間にわたり加熱した。冷却後に沈殿を集めそしてそれぞれ水、イソプロピルアルコールおよび石油エーテルで洗浄した。収量38g(76%)の薄黄色固体。融点:210−212℃。
【0043】
化合物番号12
a)2−チオ−5−(2−ヒドロキシエチル)−6−メチルウラシルの製造。
ナトリウム(55.6g、2.4モル)のエタノール(1000ml)中溶液に2−アセチルブチロラクトン(155g、1.2モル)をゆっくり加え、その後にチオウレア(128g、1.65モル)を小部分ずつ加えた。混合物を還流下で16時間にわたり加熱し、次に濃縮し、水(800ml)を加えそして濃塩酸(200ml)でゆっくり酸性化した。沈殿を集めそして水、イソプロピルアルコールおよび石油エーテルで洗浄した。収量125g(56%)の白色固体。
【0044】
b)2−メチルチオ−5−(2−ヒドロキシエチル)−6−メチル−3H−ピリミジン−4−オンの製造。
2−チオ−5−(2−ヒドロキシエチル)−6−メチルウラシル(50g、0.26モル)のDMF(320ml)中懸濁液に1当量の水素化ナトリウムをゆっくり加えた。次に1当量のヨウ化メチル(16.6ml)をゆっくり加えた。混合物を2時間にわたり30℃において撹拌し、その後に水(800ml)を加えた。沈殿を集めそして水、イソプロピルアルコールおよび石油エーテルで洗浄した。収量34.4g(64%)。
【0045】
c)2−メチルチオ−5−(2−ヒドロキシエチル)−3,6−ジメチル−3H−ピリミジン−4−オンの製造。
2−メチルチオ−5−(2−ヒドロキシエチル)−6−メチル−3H−ピリミジン−4−オン(34g、0.17モル)のDMF(300ml)中懸濁液に1当量の水素化ナトリウム(55%、7.4モル)をゆっくり加えた。次に1当量のヨウ化メチル(10.5ml)をゆっくり加えた。混合物を2時間にわたり50℃において撹拌し、その後にDMFのほとんどを真空中で除去した。水を加えそして混合物を酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥しそして濃縮しそしてフラッシュクロマトグラフィー(溶離剤:エーテル、引き続きエーテル/メタノール=9/1)により精製した。収量20.3g(56%)、融点117−118℃。
【0046】
d)2−メチルチオ−5−(2−クロロエチル)−3,6−ジメチル−3H−ピリミジン−4−オンの製造。
2−メチルチオ−5−(2−ヒドロキシエチル)−3,6−ジメチル−3H−ピリミジン−4−オン(20.3g、0.095モル)のクロロホルム(200ml)中溶液に1当量のピリジン(7.6ml)を加え、引き続き3当量の塩化チオニル(21ml)をゆっくり加えた。15分間にわたり撹拌した後に、混合物を濃縮しそして水(300ml)を加えた。沈殿を集めそして水、イソプロピルアルコールおよび石油エーテルで洗浄した。収量34.4g(64%)。収量20.3g(92%)。融点135−137℃。
【0047】
e)5−[2−[4−(1H−インドール−3−イル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イル]エチル]−2−メチルチオ−3,6−ジメチル−3H−ピリミジン−4−オンの製造。
3−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)インドール(1.0g、5ミリモル)のアセトニトリル(30ml)中溶液に2−メチルチオ−5−(2−クロロエチル)−3,6−ジメチル−3H−ピリミジン−4−オン(1.42g、6.1ミリモル)、ヨウ化カリウム(0.84g、5ミリモル)およびトリエチルアミン(1.4ml、10ミリモル)を加えた。混合物を8時間にわたり80℃に加熱し、冷却し、濃縮しそしてフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール/アンモニア=95/4.5/0.5)により精製した。収量1.83g(92%)の黄色化合物。融点245−246℃。
【0048】
化合物番号18
a)2−メトキシ−5−(2−ヒドロキシエチル)−6−メチル−3H−ピリミジン−4−オンの製造。
O−メチルイソウレア硫酸水素塩(17.2g、0.1モル)の水(90ml)中溶液に水酸化カルシウム(8.14g、0.11モル)を加え、引き続き2−アセチルブチロラクトン(10.7ml、0.1モル)のエタノール(70ml)中溶液を加えた。混合物を室温において2日間にわたり撹拌し、濾過しそしてエタノールで洗浄した。濾液を真空中で濃縮しそしてフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=95/5)により精製した。収量2.6g(14%)の白色固体。
【0049】
b)2−メトキシ−5−(2−ヒドロキシエチル)−3,6−ジメチル−3H−ピリミジン−4−オンの製造。
2−メトキシ−5−(2−ヒドロキシエチル)−6−メチル−3H−ピリミジン−4−オン(2.6g、0.014モル)のDMF(25ml)中懸濁液に1当量の水素化ナトリウム(55%、0.6g)を加えた。0.5時間にわたり撹拌した後に、ヨウ化メチル(0.81ml、0.014モル)を加えそして混合物を5時間にわたり50℃に加熱した。冷却後に、DMFのほとんどを真空中で除去した。水を加えそして混合物を酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥しそして次に濃縮した。収量2.0g(71%)の黄色油。
【0050】
c)2−メトキシ−5−(2−メシルオキシエチル)−3,6−ジメチル−3H−ピリミジン−4−オンの製造。
2−メトキシ−5−(2−ヒドロキシエチル)−3,6−ジメチル−3H−ピリミジン−4−オン(2.0g、0.01モル)の乾燥酢酸エチル(100ml)中溶液にトリエチルアミン(2.7ml)を加えた。氷水中で冷却した後に、塩化メシル(0.9ml、0.011モル)をゆっくり加えた。16時間にわたり室温において撹拌した後に、沈澱を濾別しそして濾液(70ml)をさらなる精製なしに使用した。
【0051】
d)5−[2−[4−(1H−インドール−3−イル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イル]エチル]−2−メトキシ−3,6−ジメチル−3H−ピリミジン−4−オンの製造。
上記の濾液(35ml、約5ミリモル)に3−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)インドール(1.0g、5ミリモル)、トリエチルアミン(2ml)、ヨウ化カリウム(0.84g、5ミリモル)およびアセトニトリル(50ml)を加えた。混合物を16時間にわたり80℃に加熱しそして次に濃縮しそしてフラッシュクロマトグラフィー(溶離剤:ジクロロメタン/メタノール/アンモニア=95/4.5/0.5)により精製した。収量0.5g(26%)。融点:209−211℃。
【0052】
以下の表に挙げられた式(I)を有する化合物は実施例1〜4の方法に従い製造された。
【0053】
【化4】

【0054】
【表1】

【0055】
実施例3:動物試験における化合物22の調合物
経口(p.o.)投与用:ガラス管内の所望する量(0.5−5mg)の固体化合物22に、幾つかのガラスビーズを加えそして固体を2分間にわたり撹拌することにより粉砕した。1mlの1%のメチルセルロースおよび2%(v/v)のポロキサマー(Poloxamer)188(ルトロール(Lutrol)F68)の水中溶液の添加後に、化合物を10分間にわたり撹拌することにより懸濁させた。数滴の水性NaOH(0.1N)を用いてpHを7に調節した。超音波浴を使用することにより懸濁液中の残存粒子をさらに懸濁させた。
【0056】
腹腔内(i.p.)投与用:ガラス管内の所望する量(0.5−15mg)の固体化合物22に、幾つかのガラスビーズを加えそして固体を2分間にわたり撹拌することにより粉砕した。1mlの1%のメチルセルロースおよび5%のマンニトールの水中溶液の添加後に、化合物を10分間にわたり撹拌することにより懸濁させた。最後にpHを7に調節した。
【0057】
実施例4:薬理学的試験結果
以上で示された処方に従い得られたドーパミン−Dおよびセロトニン再吸収受容体親和力データは以下の表に示される。
【0058】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
−Rは水素、ハロゲン、アルキル(C1−3)もしくはアルコキシ(C1−3)、CNまたはCFであり、
−Rは水素またはアルキル(C1−3)であり、
−Rは水素またはアルキル(C1−3)であり、
−Zは水素またはアルキル(C1−3)、アルコキシ(C1−3)もしくはアルキルチオ(C1−3)であり、
−Aは水素またはアルキル(C1−3)であり、或いは
−AおよびZは一緒になってハロゲン、アルキル(C1−3)またはフェニルで置換されていてもよい飽和もしくは(部分的)不飽和の5−もしくは6−員環を形成し、ここで環Zは炭素、硫黄または窒素を表わす]
のテトラヒドロピリジン−4−イルインドール誘導体、並びにそれらの互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、N−オキシド、薬理学的に許容可能な塩、水和物および溶媒和物。
【請求項2】
が水素またはハロゲンであり、Rが水素であり、RがCHであり、ZがSCHでありそしてAがCHであり、或いはZ+AがCH、Cまたはi−Cで置換されていてもよい(部分的)不飽和の6−員環を形成する請求項1に記載の化合物、並びにその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、N−オキシド、薬理学的に許容可能な塩、水和物および溶媒和物。
【請求項3】
=R=Hであり、RがCHでありそしてZ+Aが一緒になって−C(CH)=CH−CH=CH−を表わす請求項1に記載の化合物、並びにその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、N−オキシド、薬理学的に許容可能な塩、水和物および溶媒和物。
【請求項4】
群:
【表1】

から選択される請求項1に記載の化合物、並びにその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、N−オキシド、薬理学的に許容可能な塩、水和物および溶媒和物。
【請求項5】
式(II)
【化2】

を有する化合物を塩基性条件下で式(III)
【化3】

[式中、記号は請求項1に示された意味を有し、そしてLはいわゆる脱離基である]
を有する化合物と反応させることを特徴とする、請求項1に記載の化合物の製造方法。
【請求項6】
製薬学的に許容可能な担体および/または少なくとも1種の製薬学的に許容可能な補助物質に加えて、活性成分として、薬理学的に活性な量の少なくとも1種の請求項1に記載の化合物、またはその塩を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項7】
請求項1の化合物を投与に適する形態にすることを特徴とする、請求項6に記載の組成物の製造方法。
【請求項8】
薬品としての使用のための、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物、またはその塩。
【請求項9】
CNS障害の処置のための製薬学的組成物の製造のための請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項10】
該CNS障害が攻撃性、不安障害、自閉症、眩暈、鬱病、認識または記憶の混乱、統合失調症および他の精神障害であることを特徴とする、請求項9に記載された使用。

【公表番号】特表2008−523027(P2008−523027A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544893(P2007−544893)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056501
【国際公開番号】WO2006/061373
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(501439149)ソルベイ・フアーマシユーチカルズ・ベー・ブイ (71)
【Fターム(参考)】