説明

ナチュラルキラー細胞を賦活化する作用を有する組成物及びその製造方法、及び前記組成物を使用して賦活化したナチュラルキラー細胞を含有する組成物及びその製造方法

大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分をイオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記イオン交換樹脂に非吸着の画分(a)を分取するか若しくは前記液体分を合成吸着剤を使用する吸着分離処理に付して前記合成吸着剤に非吸着の画分(b)を分取し、この両分(b)をイオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記画分(a)を分取し、分取した前記画分(a)を限外濾過膜を使用する限外濾過による濃縮処理に付して濃縮液を得、該濃縮液に有機溶媒を添加することにより分取した、ウロン酸を実質的に含有せず、キシロース、アラビノース及びグルコースからなる多糖類を含有する前記有機溶媒に不溶の画分からなる、ナチュラルキラー細胞を賦活化する作用を有する組成物。前記組成物を使用して賦活化したナチュラルキラー細胞を含有する組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、大麦を原料とする焼酎製造において副生する大麦焼酎蒸留残液(以下、“大麦焼酎蒸留残液”と略称する)を固液分離して液体分を取得し、前記液体分をその侭か、或いは前記液体分を合成吸着剤を使用する吸着分離処理に付すことにより分取した前記合成吸着剤に非吸着の画分を、イオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取し、分取した前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を限外濾過膜を使用する限外濾過による濃縮処理に付して濃縮液を得、該濃縮液に有機溶媒を添加することにより分取した、ナチュラルキラー細胞を賦活化する作用を有する前記有機溶媒に不溶の画分からなる組成物及びその製造方法に関する。本発明は、また、ナチュラルキラー細胞と前記有機溶媒に不溶の画分からなる組成物を使用して賦活化したナチュラルキラー細胞を含有する組成物及びその製造方法を包含する。
【背景技術】
ナチュラルキラー細胞(以下、“NK細胞”と呼称する)は、動物(ヒト、マウス、ハムスター、ラット、ニワトリ、ブタなど)のリンパ組織中に見出されている。そうしたNK細胞は、形態学的には、細胞質内にアズール顆粒を含有するやや大型のリンパ球(LGL)で、リンパ球中の数%を占めており、免疫的記憶なしに、ある種の腫瘍細胞(主として造血器系腫瘍)を非特異的に破壊することができることから、腫瘍発生に対する生体の防御機構の一翼を担っていると考えられている。更に、B細胞やT細胞が抗原特異的な獲得免疫を司るのに対して、NK細胞は免疫反応の極く初期に働く抗原非特異的な自然免疫に重要な役割を果たし、B細胞レセプターやT細胞レセプターを有さないにもかかわらず、自己と非自己を正確に識別し、事前の抗原の感作なしにウイルス感染細胞や腫瘍細胞を壊死に至らしめることが知られている。
ところで、近年、がん・糖尿病をはじめとする難病(生活習慣病)の治療などにおいて、合成医薬に依存する治療方法では、克服し難い副作用の問題が往々にしてあることから、そうした合成医薬による副作用のない治療方法として、人間に本来備わっている免疫力(自己治癒力)を天然素材を原料とする薬効食品などを使って増強させる所謂代替医療による治療方法が注目されている。そうした代替医療は患者主体の治療方法であり、副作用の心配が少ないことから、特にアメリカでは、全体の60%の医師が患者に代替医療をすすめ、がん患者の約半数以上が代替医療を行っていることが報告されている。日本国内でも、1998年2月に初めての「代替医療」に関する学術合議が日本国内で開催されたこともあって、代替医療への関心が高まっている。こうしたことから、各種の天然物に由来するNK細胞を賦活化する物質が、免疫力増強物質の一つとして医薬品や薬効食品として徐々に使用されるようになっており、将来的には、その使用は一般に普及するものと思われる。
そうした天然物に由来するNK細胞を賦活化する物質としては、以下に述べるように幾つか知られている。例えば、日本国特許公報第2532899号(以下、“特許文献1”と呼称する)には、米糠、ふすま、稲わら又はバガスの植物組織原料をアスペルギルス属またはバシディオマイセトス属である糸状菌の培養液中で資化することを特徴とする免疫賦活作用を有するヘミセルロースの製造方法が記載されている。そして、該製造方法を介して得られる免疫賦活作用を有するヘミセルロースは、主たる構成要素がキシロース及びアラビノースであり、平均分子量が55万又は60万である旨記載されている。尚、特許文献1に於ける前記米糠、ふすま、稲わら又はバガスは、大麦穀粒の外皮を除去する精白を行った精白粒をアルコール発酵に付した後蒸留を行って焼酎を製造する際に副生する蒸留残渣である大麦焼酎蒸留残液とは全く異なるものである。
特開平9−23895号公報(以下、“特許文献 2”とする)には、イネ科植物、特に米糠などの植物組織水溶性多糖を調製して水溶性多糖体を取得し、これとは別に糸状菌の細胞外酵素を調製して酵素複合体を取得し、前記水溶性多糖体と前記酵素複合体とを混合し、所定pHで所定時間反応させることにより得られる免疫力増強物質が、NK細胞を賦活化する作用を有することが記載されている。また、該免疫力増強物質は、平均分子量が60万または65万であり、主たる構成要素がキシロース及びアラビノースであることが記載されている。尚、特許文献2に於ける前記米糠は、脱穀した玄米を精白する際に生ずる副産物であり、大麦穀粒の外皮を除去する精白を行った精白粒をアルコール発酵に付した後蒸留を行って焼酎を製造する際に副生する蒸留残渣である大麦焼酎蒸留残液とは全く異なるものである。
特開平10−146166号公報(以下、“特許文献 3”とする)には、米をアルコール発酵に付して清酒を製造する際に副生する酒粕の水抽出液がNK細胞活性化作用を有することが記載されている。尚、特許文献3に於ける酒粕は、米をアルコール発酵に付した後搾りに掛けて得られる液体分を清酒製品として分取した後の残渣である固体分である。従って、特許文献3に於ける酒粕は、大麦穀粒の外皮を除去する精白を行った精白粒をアルコール発酵に付した後蒸留を行って焼酎を製造する際に副生する蒸留残渣である大麦焼酎蒸留残液とは全く異なるものである。
特開2002−255843号公報(以下、“特許文献 4”と呼称する)には、米糠の水抽出物であって、分子量30000乃至40000程度の画分からなる抽出物を含有してなる免疫賦活用組成物が記載されている。また、特許文献4には、前記組成物はマイトジェン活性及び優れたNK細胞の活性化作用を有する旨記載されている。特許文献4に於ける米糠は、脱穀した玄米を精白する際に生ずる副産物であり、大麦穀粒の外皮を除去する精白を行った精白粒をアルコール発酵に付した後蒸留を行って焼酎を製造する際に副生する蒸留残渣である大麦焼酎蒸留残液とは全く異なるものである。
特開2002−338475号公報(以下、“特許文献 5”と呼称する)には、「セルエース」の商品名で市販されている、トウモロコシ外皮から得られたヘミセルロースの部分分解物を有効成分として含有する抗腫瘍組成物が記載されている。特許文献5には、前記ヘミセルロースの部分分解物は、平均分子量が2万乃至20万であり、該部分分解物を投与したcolon26担癌マウスにおいては、NK細胞活性が有意に上昇し、更にサイトカイン(IL−2及びINF−γ)産生能も有意に上昇することが記載されている。
平成3年3月(社)菓子総合技術センター発行 「農林水産省食品流通局委託事業No.8飲食料品用作用性素材有効利用技術シリーズ 水溶性コーンファイバー(アラビノキシラン)」3頁(以下、“非特許文献 1”と呼称する)には、特許文献5に記載の「セルエース」の商品名で市販されているトウモロコシ外皮から得られたヘミセルロースの部分分解物が、アラビノース及びキシロースからなるアラビノキシランを主成分とし、キシロース40.32%、アラビノース27.76%、ウロン酸11.86%、ガラクトース5.91%、及びグルコース2.30%の組成を有するものであることが記載されている。
ところで、特許文献5に記載の“トウモロコシ外皮から得られたヘミセルロースの部分分解物”の取得源であるトウモロコシ外皮は、要するに、トウモロコシ穀粒を精白する際に除かれるトウモロコシ穀粒の外皮であり、これは、大麦穀粒の外皮を除去する精白を行った精白粒をアルコール発酵に付した後蒸留を行って焼酎を製造する際に副生する蒸留残渣である大麦焼酎蒸留残液とは全く異なるものである。
以上とは別に、特開2001−145472号公報(以下、“特許文献6”と呼称する)には、大麦焼酎蒸留残液(即ち、大麦穀粒の外皮を除去する精白を行った精白粒をアルコール発酵に付した後蒸留を行って焼酎を製造する際に副生する蒸留残渣)から取得した、NK細胞に対する賦活化作用とは異なる脂肪肝抑制作用を有する組成物が記載されている。即ち、特許文献6には、前記大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を取得し、得られた前記液体分にアルカリを添加してアルカリ可溶性画分を分取し、分取した前記アルカリ可溶性画分を酸で中和して中性可溶性画分を取得し、前記中性可溶性画分にエタノールを添加することにより得られた脂肪肝抑制作用を有する組成物が記載されている。また、特許文献6には、前記組成物は、分子量3000以下を主たる成分として含有し、該組成物が含有するヘミセルロースの主たる構成要素はキシロースであることが記載されている。
してみるに、上述した何れの公知文献にも、大麦焼酎蒸留残液がNK細胞に対する賦活化作用を有する成分を含有するか否かについては示唆すらもないことは明白である。
発明の要約
本発明は、上述した従来技術の状況に鑑みて、大麦焼酎を製造する際に副生される大麦焼酎蒸留残液(以下、これを単に“大麦焼酎蒸留残液”と呼称する)の更なる有効利用を図るべく鋭意検討の結果完成に至ったものである。
本発明の目的は、大麦焼酎蒸留残液より分取した、ナチュラルキラー細胞(以下、“NK細胞”と略称する)に対し顕著な賦活化作用を有する組成物及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記NK細胞に対し顕著な賦活化作用を有する組成物を用いて賦活化したNK細胞を含有する組成物及びその製造方法を提供することにある。
本発明のNK細胞に対し顕著な賦活化作用を有する組成物は、以下に述べる二つの態様を包含する。
第一の態様のNK細胞に対し顕著な賦活化作用を有する組成物は、大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分をイオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取し、分取した前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を限外濾過膜を使用する限外濾過による濃縮処理に付して濃縮液を得、該濃縮液に有機溶媒を添加することにより分取した前記有機溶媒に不溶の画分からなり、該有機溶媒に不溶の画分は、ウロン酸を実質的に含有せず、キシロース、アラビノース及びグルコースからなる多糖類を含有し、分子量分布が10万以上が5%、3万乃至10万が18%、1万乃至3万が23%、3,000乃至1万が31%、1,000乃至3,000が11%、500乃至1,000が3%、500以下が9%であり、NK細胞に対し顕著な賦活化作用を有する。前記有機溶媒に不溶の画分は、多糖類が約84.1重量%、多糖類由来のアラビノーズ及びキシロースの合計含量が約54.4重量%、粗タンパクが約4.2重量%、有機酸が約0.3重量%、及び遊離糖類が約1.2重量%からなる成分組成を有する。
第二の態様のNK細胞に対し顕著な賦活化作用を有する組成物は、大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分を合成吸着剤を使用する吸着分離処理に付して前記合成吸着剤に非吸着の画分を分取し、分取した前記合成吸着剤に非吸着の画分をイオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取し、分取した前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を限外濾過膜を使用する限外濾過による濃縮処理に付して濃縮液を得、該濃縮液に有機溶媒を添加することにより分取した前記有機溶媒に不溶の画分からなり、前記有機溶媒に不溶の画分は、ウロン酸を実質的に含有せず、キシロース、アラビノース及びグルコースからなる多糖類を含有し、分子量分布が100,000以上が11%、30,000乃至100,000が29%、10,000乃至30,000が24%、3,000乃至10,000が21%、1,000乃至3,000が6%、500乃至1,000が2%、500以下が7%であるものであり、NK細胞に対し顕著な賦活化作用を有する。前記有機溶媒に不溶の画分は、多糖類が約78.5重量%、多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量が約58.6重量%、粗タンパクが約3.3重量%、有機酸が約0.2重量%、及び遊離糖類が約1.5重量%からなる成分組成を有する。
本発明の第一の態様及び第二の態様のNK細胞に対し賦活化作用を有する組成物は、公知のNK細胞賦活化剤であるIL−2に匹敵する極めて顕著な、NK細胞に対する賦活化作用を有し、医薬用として白血病をはじめとするガンの治療に極めて好適に使用することができる。
本発明の賦活化したNK細胞を含有する組成物は、以下に述べる二つの態様を包含する。
第一の態様の賦活化したNK細胞を含有する組成物は、上記第一の態様のNK細胞に対し顕著な賦活化作用を有する組成物を用いて賦活化したNK細胞を含有する賦活化NK細胞含有組成物である。
第二の態様の賦活化したNK細胞を含有する組成物は、上記第二の態様のNK細胞に対し顕著な賦活化作用を有する組成物を用いて賦活化したNK細胞を含有する賦活化NK細胞含有組成物である。
本発明の第一の態様及び第二の態様の賦活化したNK細胞を含有する賦活化NK細胞含有組成物は、医薬用として白血病をはじめとするガンの治療に極めて好適に使用することができる。
本発明は、本発明者らが実験を介して得た事実に基づいて完成せしめたものである。以下に本発明らが行った実験について述べる。
本発明者らは、大麦を原料とする焼酎製造において副生する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分に有機溶媒(好ましくはエタノール)を添加することにより分取した前記有機溶媒に不溶の画分には、その主たる成分の1つとして多糖類が含まれていることに鑑み、前記有機溶媒に不溶の画分に含まれる多糖類がNK細胞の賦活化に関与しているか否かを明らかにするために実験を介して鋭意検討を行った。即ち、前記有機溶媒に不溶の画分に含まれる多糖類以外の成分、即ち、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、有機酸、或いは大麦由来のポリフェノール等を除去することを目的として、種々のイオン交換樹脂を用意し、大麦焼酎蒸留残液を固液分離することにより得た液体分をそれらイオン交換樹脂を個々に使用するイオン交換処理に付すことにより、それぞれのイオン交換樹脂に非吸着の画分を取得し、得られた複数のイオン交換樹脂に非吸着の画分のそれぞれについて、有機溶媒を添加することによる分画処理により分取した前記有機溶媒に不溶の画分を得、得られた有機溶媒に不溶の画分のそれぞれがNK細胞賦活化作用を有するか否か、またNK細胞賦活化作用を有する場合、そのNK細胞賦活化作用はどの程度のものであるかを明らかにするために以下の実験を行った。
以下の実験1乃至実験14に供する目的で大麦焼酎の製造を行った。原料としては、大麦(70%精白)を用いた。
[麹の製造]
大麦を40重量%吸水させ、40分間蒸した後、40℃まで放冷し、大麦トンあたり1kgの種麹(白麹菌)を接種し、38℃、RH95%で24時間、32℃、RH92%で20時間保持することにより、大麦麹を製造した。
[蒸麦の製造]
大麦を40重量%吸水させ、40分間蒸した後、40℃まで放冷することにより、蒸麦を製造した。
[大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造]
1次仕込みでは前述の方法で製造した大麦麹(大麦として3トン)に、水3.6キロリットル及び酵母として焼酎酵母の培養菌体1kg(湿重量)を加えて1次もろみを得、得られた1次もろみを5日間の発酵(1段目の発酵)に付した。次いで、2次仕込みでは、上記1段目の発酵を終えた1次もろみに、水11.4キロリットル、前述の方法で製造した蒸麦(大麦として7トン)を加えて11日間の発酵(2段目の発酵)に付した。発酵温度は1次仕込み、2次仕込みとも25℃とした。上記2段目の発酵を終えた2次もろみを常法により単式蒸留に付し、大麦焼酎10キロリットルと大麦焼酎蒸留残液15キロリットルを得た。得られた大麦焼酎蒸留残液を以下の実験1乃至実験14に用いた。
実験1
上記「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」において得た大麦焼酎蒸留残液から以下に示す方法により有機溶媒に不溶の画分を分取した。即ち、前記大麦焼酎蒸留残液を8000rpm、10minの条件で遠心分離して液体分を得、得られた液体分のBrixを10に調整し、このBrix10に調整した液体分1Lに、終濃度が75容量%になるようにエタノールを加え、8000rpm、10minの条件で遠心分離して有機溶媒(エタノール)に不溶の画分を分取し、得られた画分を凍結乾燥に付すことにより凍結乾燥物11.8gを得た。
実験2
上記「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」において得た大麦焼酎蒸留残液から以下に示す方法により有機溶媒に不溶の画分を分画した。即ち、前記大麦焼酎蒸留残液を8000rpm、10minの条件で遠心分離して液体分を得、得られた液体分をBrix10に調整後、このBrix10に調整した液体分1Lを、500ml容量のオルガノ(株)製アンバーライトIRC76(弱酸性陽イオン交換樹脂)を充填したカラムに通して、前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取し、得られた画分をBrix60に調整後、終濃度75容量%になるようにエタノールを加え、8000rpm、10minの条件で遠心分離して前記有機溶媒(エタノール)に不溶の画分を分取し、得られた画分を凍結乾燥に付すことにより凍結乾燥物7.1gを得た。
実験3
上記「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」において得た大麦焼酎蒸留残液から以下に示す方法により有機溶媒に不溶の画分を分取した。即ち、前記大麦焼酎蒸留残液を8000rpm、10minの条件で遠心分離して液体分を得、得られた液体分をBrix10に調整後、このBrix10に調整した液体分1Lを、500ml容量のオルガノ(株)製アンバーライトIRA67(弱酸性陰イオン交換樹脂)を充填したカラムに通して、前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取し、得られた画分をBrix60に調整後、終濃度75容量%になるようにエタノールを加え、8000rpm、10minの条件で遠心分離して前記有機溶媒(エタノール)に不溶の画分を分取し、得られた画分を凍結乾燥に付すことにより凍結乾燥物8.2gを得た。
実験4
上記「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」において得た大麦焼酎蒸留残液から以下に示す方法により有機溶媒に不溶の画分を分取した。即ち、前記大麦焼酎蒸留残液を8000rpm、10minの条件で遠心分離して液体分を得、得られた液体分をBrix10に調整後、このBrix10に調整した液体分1Lを、500ml容量のオルガノ(株)製アンバーライトIR120B(強酸性陽イオン交換樹脂)を充填したカラムに通して、前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取し、得られた画分をBrix60に調整後、終濃度75容量%になるようにエタノールを加え、8000rpm、10minの条件で遠心分離して前記有機溶媒(エタノール)に不溶の画分を分取し、得られた画分を凍結乾燥に付すことにより凍結乾燥物7.6gを得た。
実験5
上記「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」において得た大麦焼酎蒸留残液から以下に示す方法により有機溶媒に不溶の画分を分取した。即ち、前記大麦焼酎蒸留残液を8000rpm、10minの条件で遠心分離して液体分を得、得られた液体分をBrix10に調整後、このBrix10に調整した液体分1Lを、500ml容量のオルガノ(株)製アンバーライト200CT(強酸性陽イオン交換樹脂)を充填したカラムに通して、前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取し、得られた画分をBrix60に調整後、終濃度75容量%になるようにエタノールを加え、8000rpm、10minの条件で遠心分離して前記有機溶媒(エタノール)に不溶の画分を分取し、得られた画分を凍結乾燥に付すことにより凍結乾燥物5.5gを得た。
実験6
上記「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」において得た大麦焼酎蒸留残液から以下に示す方法により有機溶媒に不溶の画分を分取した。即ち、前記大麦焼酎蒸留残液を8000rpm、10minの条件で遠心分離して液体分を得、得られた液体分をBrix10に調整後、このBrix10に調整した液体分1Lを、500ml容量のオルガノ(株)製アンバーライトIRA402BL(最強塩基性陰イオン交換樹脂)を充填したカラムに通して、前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取し、得られた画分をBrix60に調整後、終濃度75容量%になるようにエタノールを加え、8000rpm、10minの条件で遠心分離して前記有機溶媒(エタノール)に不溶の画分を分取し、得られた画分を凍結乾燥に付すことにより凍結乾燥物3.2gを得た。
実験7
上記「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」において得た大麦焼酎蒸留残液から以下に示す方法により有機溶媒に不溶の画分を分取した。即ち、前記大麦焼酎蒸留残液を8000rpm、10minの条件で遠心分離して液体分を得、得られた液体分をBrix10に調整後、このBrix10に調整した液体分1Lを、350ml容量のオルガノ(株)製アンバーライトIRC76(弱酸性陽イオン交換樹脂)と150ml容量のオルガノ(株)製アンバーライトIRA67(弱塩基性陰イオン交換樹脂)を混合することにより得た混床イオン交換樹脂を充填したカラムに通して、前記混床イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取し、得られた画分をBrix60に調整後、終濃度75容量%になるようにエタノールを加え、8000rpm、10minの条件で遠心分離して前記有機溶媒(エタノール)に不溶の画分を分取し、得られた画分を凍結乾燥に付すことにより凍結乾燥物2.5gを得た。
[NK細胞活性の測定]
実験1乃至実験7で得たそれぞれの有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)について、後述の実施例において記載したのと同一の方法によりNK細胞活性(即ち、NK細胞に対する賦活化作用)を測定した。
実験1乃至実験7で得たそれぞれの有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)を添加して培養したNK細胞が示すNK細胞活性の測定結果から以下の事実が判明した。即ち、有機溶媒に不溶の画分を添加しない対照と比較して、実験1乃至実験7で得た有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)のそれぞれを別々に添加して培養した全てのNK細胞のNK細胞活性が上昇し、K562細胞に対する細胞傷害活性が上昇した。この中で、前記実験5で得た有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)を添加して培養したNK細胞が示すNK細胞活性が最も高い値を示した。一方、実験1で得た有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)を添加して培養したNK細胞が示すNK細胞活性が最も低い値を示した。
次に、本発明者らは、大麦を原料とする焼酎製造において副生する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分に有機溶媒(好ましくはエタノール)を添加することにより分取した前記有機溶媒に不溶の画分の主たる成分の1つとして多糖類が含まれていることに鑑み、該有機溶媒に不溶の画分に含まれる多糖類がNK細胞の賦活化に関与しているか否かを明らかにするために実験を介して更に検討を行った。即ち、前記有機溶媒に不溶の画分に含まれる多糖類以外の成分である、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、有機酸、或いは大麦由来のポリフェノール等を除去することを目的として以下の実験を行った。具体的には、大麦焼酎蒸留残液の液体分に含まれる大麦由来のポリフェノール等を除去することを目的として、大麦焼酎蒸留残液を固液分離することにより得た液体分を合成吸着剤を使用した吸着分離処理に付して前記合成吸着剤に非吸着の画分を分取し、次に、分取したこの合成吸着剤に非吸着の画分に含まれるアミノ酸、ペプチド、タンパク質及び有機酸を除去することを目的として、前記合成吸着剤に非吸着の画分を種々のイオン交換樹脂を使用したイオン交換処理に付すことによってそれらのイオン交換樹脂に非吸着の画分を個々に分取し、得られたイオン交換樹脂に非吸着の画分のそれぞれについて、有機溶媒を添加することにより前記有機溶媒に不溶の画分を分取し、得られた有機溶媒に不溶の画分がNK細胞に対してどのような賦活化作用を有するかを明らかにするために以下の実験を行った。
実験8
上記「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」において得た大麦焼酎蒸留残液から以下に示す方法により有機溶媒に不溶な画分を分取した。即ち、前記大麦焼酎蒸留残液を8000rpm、10minの条件で遠心分離して液体分を得、得られた液体分のBrixを10に調整し、このBrix10に調整した液体分1Lに、終濃度が75容量%になるようにエタノールを加え、8000rpm、10minの条件で遠心分離して前記有機溶媒(エタノール)に不溶の画分を分取し、得られた画分を凍結乾燥に付すことにより凍結乾燥物11.8gを得た。
実験9
上記「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」において得た大麦焼酎蒸留残液から以下に示す方法により有機溶媒に不溶の画分を分取した。即ち、前記大麦焼酎蒸留残液を8000rpm、10minの条件で遠心分離して液体分を得、得られた液体分をオルガノ(株)製の合成吸着剤アンバーライトXAD−16を充填したカラムに通して吸着分離処理に付すことにより、該カラムの合成吸着剤に対して非吸着性を示す素通り液からなる前記合成吸着剤に非吸着の画分を分取した。得られた画分をBrix10に調整し、このBrix10に調整した前記画分1Lを、500ml容量のオルガノ(株)製アンバーライトIRC76(弱酸性陽イオン交換樹脂)を充填したカラムに通し、前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取し、得られた画分をBrix60に調整後、終濃度75容量%になるようにエタノールを加え、8000rpm、10minの条件で遠心分離して前記有機溶媒(エタノール)に不溶の画分を分取し、得られた画分を凍結乾燥に付すことにより凍結乾燥物5.3gを得た
実験10
上記「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」において得た大麦焼酎蒸留残液から以下に示す方法により有機溶媒に不溶の画分を分取した。即ち、前記大麦焼酎蒸留残液を8000rpm、10minの条件で遠心分離して液体分を得、得られた液体分をオルガノ(株)製の合成吸着剤アンバーライトXAD−16を充填したカラムに通して吸着分離処理に付すことにより、該カラムの合成吸着剤に対して非吸着性を示す素通り液からなる前記合成吸着剤に非吸着の画分を分取した。得られた画分をBrix10に調整し、このBrix10に調整した画分1Lを、500ml容量のオルガノ(株)製アンバーライトIRA67(弱酸性陰イオン交換樹脂)を充填したカラムに通し、前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取し、得られた画分をBrix60に調整後、終濃度75容量%になるようにエタノールを加え、8000rpm、10minの条件で遠心分離して前記有機溶媒(エタノール)に不溶の画分を分取し、得られた画分を凍結乾燥に付すことにより凍結乾燥物5.9gを得た。
実験11
上記「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」において得た大麦焼酎蒸留残液から以下に示す方法により有機溶媒に不溶の画分を分取した。即ち、前記大麦焼酎蒸留残液を8000rpm、10minの条件で遠心分離して液体分を得、得られた液体分をオルガノ(株)製の合成吸着剤アンバーライトXAD−16を充填したカラムに通して吸着分離処理に付すことにより、該カラムの合成吸着剤に対して非吸着性を示す素通り液からなる前記合成吸着剤に非吸着の画分を分取した。得られた画分をBrix10に調整し、このBrix10に調整した画分1Lを、500ml容量のオルガノ(株)製アンバーライトIR120B(強酸性陽イオン交換樹脂)を充填したカラムに通し、前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取し、得られた画分をBrix60に調整後、終濃度75容量%になるようにエタノールを加え、8000rpm、10minの条件で遠心分離して前記有機溶媒(エタノール)に不溶の画分を分取し、得られた画分を凍結乾燥に付すことにより凍結乾燥物5.6gを得た。
実験12
上記「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」において得た大麦焼酎蒸留残液から以下に示す方法により有機溶媒に不溶の画分を分取した。即ち、前記大麦焼酎蒸留残液を8000rpm、10minの条件で遠心分離して液体分を得、得られた液体分をオルガノ(株)製の合成吸着剤アンバーライトXAD−16を充填したカラムに通して吸着分離処理に付すことにより、該カラムの合成吸着剤に対して非吸着性を示す素通り液からなる前記合成吸着剤に非吸着の画分を分取した。得られた画分をBrix10に調整し、このBrix10に調整した画分1Lを、500ml容量のオルガノ(株)製アンバーライト200CT(強酸性陽イオン交換樹脂)を充填したカラムに通し、前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取し、得られた画分をBrix60に調整後、終濃度75容量%になるようにエタノールを加え、8000rpm、10minの条件で遠心分離して前記有機溶媒(エタノール)に不溶の画分を分取し、得られた画分を凍結乾燥に付すことにより凍結乾燥物4.1gを得た。
実験13
上記「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」において得た大麦焼酎蒸留残液から以下に示す方法により有機溶媒に不溶の画分を分取した。即ち、前記大麦焼酎蒸留残液を8000rpm、10minの条件で遠心分離して液体分を得、得られた液体分をオルガノ(株)製の合成吸着剤アンバーライトXAD−16を充填したカラムに通して吸着分離処理に付すことにより、該カラムの合成吸着剤に対して非吸着性を示す素通り液からなる前記合成吸着剤に非吸着の画分を分取した。得られた画分をBrix10に調整し、このBrix10に調整した画分1Lを、500ml容量のオルガノ(株)製アンバーライトIRA402BL(最強塩基性陰イオン交換樹脂)を充填したカラムに通し、前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取し、得られた画分をBrix60に調整後、終濃度75容量%になるようにエタノールを加え、8000rpm、10minの条件で遠心分離して前記有機溶媒(エタノール)に不溶の画分を分取し、得られた画分を凍結乾燥に付すことにより凍結乾燥物2.3gを得た。
実験14
上記「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」において得た大麦焼酎蒸留残液から以下に示す方法により有機溶媒に不溶の画分を分取した。即ち、前記大麦焼酎蒸留残液を8000rpm、10minの条件で遠心分離して液体分を得、得られた液体分をオルガノ(株)製の合成吸着剤アンバーライトXAD−16を充填したカラムに通して吸着分離処理に付すことにより、該カラムの合成吸着剤に対して非吸着性を示す素通り液からなる前記合成吸着剤に非吸着の画分を分取した。得られた画分をBrix10に調整し、このBrix10に調整した画分1Lを、350ml容量のオルガノ(株)製アンバーライトIRC76(弱酸性陽イオン交換樹脂)と150ml容量のオルガノ(株)製アンバーライトIRA67(弱塩基性陰イオン交換樹脂)を混合することにより得た混床イオン交換樹脂を充填したカラムに通し、前記混床イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取し、得られた画分をBrix60に調整後、終濃度75容量%になるようにエタノールを加え、8000rpm、10minの条件で遠心分離して前記有機溶媒(エタノール)に不溶の画分を分取し、得られた画分を凍結乾燥に付すことにより凍結乾燥物1.9gを得た。
[NK細胞活性の測定]
実験8乃至実験14で得た有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)のそれぞれについて、後述の実施例において記載したのと同一の方法によりNK細胞活性(即ち、NK細胞に対する賦活作用)を測定した。
実験8乃至実験14で得たそれぞれの有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)を添加して培養したNK細胞が示すNK細胞活性の測定結果から以下の事実が判明した。即ち、いずれの有機溶媒に不溶の画分も添加しない対照と比較して、実験8乃至実験14で得た有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)のそれぞれを個々に添加して培養した全てのNK細胞のNK細胞活性が上昇し、K562細胞に対する細胞傷害活性が上昇した。この中で、実験12で得た有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)を添加して培養したNK細胞が示すNK細胞活性が最も高い値を示した。一方、実験8で得た有機溶媒に不溶な画分(凍結乾燥物)を添加して培養したNK細胞が示すNK細胞活性が最も低い値を示した。
[多糖類含量の測定]
(多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量の測定)
実験1乃至実験14で得たそれぞれの有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)について、多糖類含量、及び多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量を以下の方法により測定した。
即ち、実験1乃至実験14で得たそれぞれの有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)0.05gにイオン交換水1mlを加えて溶解し、これに濃塩酸200μlを加えて、95℃、4時間の条件で加水分解を行い、0.80μmのメンブランフィルターで濾過して濾液を得、得られた濾液を高速液体クロマトグラフに注入して、実験1乃至実験14で得たそれぞれの有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)に含まれる多糖類の含量、及び多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量を求めた。高速液体クロマトグラフ分析は、Waters製Waters600を用い、検出器に昭和電工株式会社製示差屈折計RI−71を使用し、カラムはBioRad社製Aminex HPX−87H(300mm×7.8mm)を使用した。カラム温度は60℃とし、移動相には5mM硫酸を用い、流量は0.5ml/min、試料注入量は20μlとした。
実験1乃至実験14で得たそれぞれの有機溶媒に不溶の画分の多糖類含量の測定結果、並びに、該多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量の測定結果から以下の事実が判明した。即ち、前記実験5及び前記実験12で得た有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)の多糖類含量並びに該多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量が特に高い値を示した。一方、実験1及び実験8で得た有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)の多糖類含量並びに該多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量がそれぞれ最も低い値を示した。
更に、実験1乃至実験14で得た有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)のそれぞれを別々に添加して培養したNK細胞が示すNK細胞活性は、該有機溶媒に不溶の画分に含まれる多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量に比例して高くなっていることが明らかになった。そして、NK細胞活性と多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量との相関係数は0.961であることが判明した。
以上の結果から、実験1乃至実験14で得たそれぞれの有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)が有するNK細胞賦活化作用は、該有機溶媒に不溶の画分に含まれる、アラビノース及びキシロースを主たる構成要素とする多糖類に由来している可能性が極めて高いことが明らかになった。
[分子量分布の測定]
実験1乃至実験14で得たそれぞれの有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)に含まれる、アラビノース及びキシロースを主たる構成要素とする多糖類の分子量を明らかにするために、それぞれの有機溶媒に不溶の画分が有する分子量分布を測定した。
即ち、昭和電工株式会社製のShodex standard P−82(分子量1300乃至1660000)、及びマルトトリオース(分子量504)から成る分子量標準品をそれぞれ別々に0.1mol/L硝酸ナトリウム溶液に溶解して0.05W/V%濃度の標準液を得、該標準液を高速液体クロマトグラフに注入して検量線を作成した。次に、前記実験1乃至実験14で得たそれぞれの有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)0.02gを用意し、これに0.1mol/L硝酸ナトリウム溶液10mlを加え、室温で一晩放置した後、孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過してろ液を得、該ろ液を高速液体クロマトグラフに注入して、システムインスツルメンツ株式会社製480データステーションGPCプログラムを用いて分子量分布を求めた。高速液体クロマトグラフ分析は、昭和電工株式会社製Shodex GPC SYSTEM−21を用い、検出器に昭和電工株式会社製示差屈折計RI−71Sを使用し、カラムは東ソー株式会社製TSKgel GMPWXL(φ7.8mm×300mm)を2本連結して使用した。カラム温度は40℃とし、移動相には0.1mol/L硝酸ナトリウム溶液を用い、流量は1.0ml/min、試料注入量は100μlとした。
上記方法により実験1乃至実験14で得たそれぞれの有機溶媒に不溶の画分についてそれぞれの分子量分布を測定した結果、有機溶媒に不溶の画分に含まれる、多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量が高いほど、分子量3000乃至10万の範囲に分子量分布を有する画分の割合が高まることが判明した。
こうしたことから、本発明者らは、大麦焼酎蒸留残液から上述した方法で分取した有機溶媒に不溶の画分に含まれる、アラビノース及びキシロースを主たる構成要素とするNK細胞活性化能を有した多糖類は、主として3000乃至10万の範囲の分子量分布を有しているのではないかと推測し、限外濾過を用いた濃縮精製を検討した。
[限外濾過による濃縮精製]
実験1乃至実験14で得たそれぞれの有機溶媒に不溶の画分について、上記方法により分子量分布を測定した結果、実験5及び実験12で得たそれぞれの有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)が、分子量3000乃至10万の範囲に分子量分布を有する画分の割合が非常に高く、しかも多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量も非常に高いことが判明した。そこで、以下に示す手順により、限外濾過処理を介した濃縮精製を行った。
即ち、第一に、上記「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」において得られた大麦焼酎蒸留残液を、8000rpm、10minの条件で遠心分離して液体分を得、得られた液体分をBrix10に調整後、このBrix10に調整した液体分1Lを、500ml容量のオルガノ(株)製アンバーライト200CT(強酸性陽イオン交換樹脂)を充填したカラムに通して、前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を得、得られた画分をA/Gテクノロジー社製の限外濾過膜UFP−30−E−4MA(分画分子量3万)による濃縮処理に付して濃縮液を得、得られた濃縮液をBrix20に調整後、終濃度75容量%になるようにエタノールを加え、8000rpm、10minの条件で遠心分離して前記有機溶媒(エタノール)に不溶の画分を分取し、得られた画分を凍結乾燥に付すことにより凍結乾燥物2.5gを得た。
得られた有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)について、上記「多糖類含量の測定」に記載の方法により、多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量を測定した。その結果、多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量は約54.4重量%にまで高まっていることが判明した。また、前記有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)について、上記「分子量分布の測定」に記載の方法により分子量分布の測定を行ったところ、該有機溶媒に不溶の画分の分子量分布は、10万以上が5%、3万乃至10万が18%、1万乃至3万が23%、3,000乃至1万が31%、1,000乃至3,000が11%、500乃至1,000が3%、500以下が9%であることが判明した。そして、得られたクロマトグラムの結果から、該有機溶媒に不溶の画分のクロマトグラムは分子量3,000乃至10,000の範囲に最も高いピークを有することが明らかになった。
そこで、後述の実施例に記載の方法により、該有機溶媒に不溶の画分を添加して培養したNK細胞のNK細胞活性を測定した。その結果、該有機溶媒に不溶の画分が有するNK細胞賦活化作用は極めて強力なものであり、しかも、ポジティブコントロールのIL−2に匹敵する程度のものであった。
以上の実験結果から、大麦焼酎蒸留残液の液体分から分取した有機溶媒に不溶の画分が有するNK細胞賦活化作用は、該有機溶媒に不溶の画分に含まれる、アラビノース及びキシロースを主たる構成要素とする多糖類に由来し、こうしたアラビノース及びキシロースを主たる構成要素とする多糖類を著量含有する組成物は、大麦を原料とする焼酎製造において副生する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分をイオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取し、得られたイオン交換樹脂に非吸着の画分を限外濾過膜を使用する限外濾過による濃縮処理に付して濃縮液を得、該濃縮液に有機溶媒を添加することにより前記有機溶媒に不溶の画分として分取できることが判明した。そして、該有機溶媒に不溶の画分は、成分分析の結果、多糖類を約84.1重量%、粗タンパクを約4.2重量%、有機酸を約0.3重量%、遊離糖類を約1.2重量%含有し、該画分は多糖類を主たる成分として含有することが判った。
次に、上記「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」において得られた大麦焼酎蒸留残液を、8000rpm、10minの条件で遠心分離して液体分を得、得られた液体分をオルガノ(株)製の合成吸着剤アンバーライトXAD−16を充填したカラムに通して吸着分離処理に付すことにより、該カラムの合成吸着剤に対して非吸着性を示す素通り液からなる前記合成吸着剤に非吸着の画分を分取した。得られた画分をBrix10に調整した後、このBrix10に調整した画分1Lを、500ml容量のオルガノ(株)製アンバーライト200CT(強酸性陽イオン交換樹脂)を充填したカラムに通し、前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取し、得られた画分をA/Gテクノロジー社製の限外濾過膜UFP−30−E−4MA(分画分子量3万)による濃縮処理に付して濃縮液を得、得られた濃縮液をBrix20に調整後、終濃度75容量%になるようにエタノールを加え、8000rpm、10minの条件で遠心分離して前記有機溶媒(エタノール)に不溶の画分を分取し、得られた画分を凍結乾燥に付すことにより凍結乾燥物1.3gを得た。
得られた有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)について、上記「多糖類含量の測定」に記載の方法により、多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量を測定した。その結果、多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量は約58.6重量%にまで高まっていることが判明した。また、得られた有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)について、上記「分子量分布の測定」に記載の方法により分子量分布の測定を行ったところ、該有機溶媒に不溶の画分の分子量分布は、100,000以上が11%、30,000乃至100,000が29%、10,000乃至30,000が24%、3,000乃至10,000が21%、1,000乃至3,000が6%、500乃至1,000が2%、500以下が7%であることが判明した。そして、得られたクロマトグラムの結果から、該有機溶媒に不溶の画分のクロマトグラムは、分子量30,000乃至100,000の範囲に最も高いピークを有することが明らかになった。そこで、後述の実施例に記載の方法により、該有機溶媒に不溶の画分を添加して培養したNK細胞のNK細胞活性を測定した。その結果、該有機溶媒に不溶の画分が有するNK細胞賦活化作用は極めて顕著であり、しかも、ポジティブコントロールのIL−2に匹敵する程度のものであった。
以上の実験結果から、大麦焼酎蒸留残液の液体分から上述した方法で分取した有機溶媒に不溶の画分が有するNK細胞賦活化作用は、該有機溶媒に不溶の画分に含まれる、アラビノース及びキシロースを主たる構成要素とする多糖類に由来することが判明した。また、このようにアラビノース及びキシロースを主たる構成要素とする多糖類を著量含有する組成物は、大麦を原料とする焼酎製造において副生する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分を合成吸着剤を使用する吸着分離処理に付して前記合成吸着剤に非吸着の画分を得、得られた画分をイオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を得、得られたイオン交換樹脂に非吸着の画分を限外濾過膜を使用する限外濾過による濃縮処理に付して濃縮液を得、該濃縮液に有機溶媒を添加することにより前記有機溶媒に不溶の画分として分取できることが判明した。そして、該有機溶媒に不溶の画分は、成分分析の結果、多糖類を約78.5重量%、粗タンパクを約3.3重量%、有機酸を約0.2重量%、遊離糖類を約1.5重量%含有し、該画分は多糖類を主たる成分として含有することが判った。
ところで、特許文献1に記載のヘミセルロースは、主たる構成要素がキシロース及びアラビノースである点において、本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物に類似するところはあるものの、前記ヘミセルロースは平均分子量が55万又は60万であることから本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物とは明らかに別異のものである。
特許文献2に記載の免疫力増強物質は、主たる構成要素がキシロース及びアラビノースである点において、本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物に類似するところはあるものの、前記免疫力増強物質は平均分子量が60万又は65万であることから本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物とは明らかに別異のものである。
特許文献3には、米を原料とし発酵のみを介して製造される清酒製造において副生する酒粕の水抽出液がNK細胞活性化作用を有することが記載されている。しかしながら、特許文献3には、前記水抽出液の成分組成については全く記載されておらず、また前記NK細胞活性化作用に関与する成分についても具体的記載はない。
特許文献4には、米糠の水抽出物であって、分子量3万乃至4万程度の画分からなる抽出物を含有してなる免疫賦活用組成物が、マイトジェン活性及び優れたNK細胞の活性化作用を有することが記載されている。しかしながら、特許文献4には、前記免疫賦活用組成物の成分組成については全く記載されておらず、またその免疫賦活作用に関与する成分についても具体的に記載するところはない。
特許文献5には、「セルエース」の商品名で市販されている、トウモロコシ外皮から澱粉質及び蛋白質を除去した残部をアルカリ抽出することにより得られるヘミセルロースをキシラナーゼで処理することにより得られるヘミセルロースの部分分解物が記載され、該ヘミセルロースの部分分解物を投与したcolon26担癌マウスにおいて、NK細胞活性が有意に上昇し、更にサイトカイン(IL−2及びINF−γ)産生能も有意に上昇することが記載されている。非特許文献1には、特許文献5に記載の「セルエース」(トウモロコシ外皮から得られたヘミセルロースの部分分解物)が、キシロース、アラビノース、ウロン酸、ガラクトース、及びグルコースを含有するものであることが記載されている。よって、特許文献5と非特許文献1は、同じ「トウモロコシ外皮から得られたヘミセルロースの部分分解物」、即ち市販の「セルエース」に係るものである。一方、本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物は、大麦を原料として大麦麹及び蒸麦を製造し、得られた大麦麹及び蒸麦中に含まれるでんぷんを前記大麦麹の麹により糖化し、次いで酵母によるアルコール発酵に付して焼酎熟成もろみを得、得られた焼酎熟成もろみを蒸留に付して焼酎を製造する際に副生する蒸留残渣、即ち、大麦焼酎蒸留残液から得られるものである。即ち、本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物の取得源は、大麦焼酎蒸留残液である。一方、特許文献5に記載のヘミセルロースの部分分解物「セルエース」の取得源は、トウモロコシ外皮、即ち、トウモロコシ穀粒を精白する際に除かれるトウモロコシ穀粒の外皮である。このように、両者の取得源は全く異なる。しかも、本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物は、特許文献5に記載のヘミセルロースの部分分解物の製造方法とは全く異なる製造方法で得られるものである。そして、本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物は、アラビノース、キシロース及びグルコースを含有するもののウロン酸を実質的に含有しない。一方、特許文献5に記載のヘミセルロースの部分分解物は比較的多量のウロン酸を含有する。この点でも両者は、全く異なる。よって、本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物は、特許文献5に記載のトウモロコシ外皮から得られたヘミセルロースの部分分解物(商品名セルエース)から明確に区別される別異のものであることは明白である。
尚、特許文献5には、ヘミセルロースの部分分解物の平均分子量が2万乃至20万であることが好ましく、2万乃至10万であることがより好ましく、2万乃至4万であることが最も好ましい旨記載されているが、当該平均分子量を決定づけるに至った実験データは全く記載されておらず、しかも、こうした平均分子量を有するヘミセルロースの部分分解物を取得した具体例は全く記載されていない。
そこで、本発明者らは、特許文献5において、ヘミセルロースの部分分解物が商品名「セルエース」(日本食品化工株式会社製)として市販されていることが記載されていることから、当該「セルエース」を入手し、先に述べた「分子量分布の測定」に記載の方法により該セルエースの分子量分布を測定した。その結果、該セルエースの分子量分布は、100万以上が1%、30万乃至100万が9%、10万乃至30万が30%、3万乃至10万が30%、1万乃至3万が11%、3000乃至1万が4%、1000乃至3000が2%、1000以下が13%であり、そのクロマトグラムにおいて認められる最も高いピークは分子量10万乃至30万の範囲に存在し、その重量平均分子量(Mw)は15万であることが判明した。従って、特許文献5に記載のトウモロコシ外皮から得られたヘミセルロースの部分分解物は、特許文献5に記載されているように、市販の「セルエース」に該当するものであると理解される。
一方、上述したように、本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物の分子量分布は、10万以上が僅か5%又は11%にすぎず、分子量3,000乃至10万の範囲に分子量分布を有する成分が全体の72%又は74%を占めている。しかも、クロマトグラムにおいて認められる最も高いピークは、それぞれ分子量3,000乃至10,000又は分子量30,000乃至100,000の範囲に存在している。
従って、本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物が有する分子量分布は、「セルエース」、即ち、トウモロコシ外皮から得られたヘミセルロースの部分分解物からなる組成物が有する分子量分布とは全く異なる。よって、本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物は、特許文献5に記載のヘミセルロースの部分分解物から明確に区別される別異のものであることは明白である。
特許文献6には、大麦焼酎蒸留残液から分取した脂肪肝抑制作用を有する組成物が記載されている。この脂肪肝抑制作用を有する組成物の取得源は、本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物と同様に大麦焼酎蒸留残液であるが、脂肪肝抑制作用とNK細胞を賦活化する作用とは別異のものである。また、特許文献6に記載の前記組成物の主たる成分は分子量3000以下のものであり、当該組成物に含まれるヘミセルロースはキシロースを主たる構成要素とすることから、本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物とは明確に区別される別異のものである。
本発明及びその好ましい態様の説明
本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物は以下のようにして製造される。即ち、大麦を使用する蒸留酒の製造において副成する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得る工程A、得られた前記液体分をイオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を得る工程B1、得られた前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を限外濾過膜を使用する限外濾過による濃縮処理に付して濃縮液を得る工程C、及び得られた前記濃縮液に有機溶媒を添加することにより前記有機溶媒に不溶の画分を分取する工程Dを順次行うことにより製造される。
この他、本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物は以下のようにして製造される。即ち、大麦を使用する蒸留酒の製造において副成する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得る工程A、得られた前記液体分を合成吸着剤を使用する吸着分離処理に付して前記合成吸着剤に非吸着の画分を得る工程E、得られた前記合成吸着剤に非吸着の画分をイオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を得る工程B2、得られた前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を限外濾過膜を使用する限外濾過による濃縮処理に付して濃縮液を得る工程C、及び得られた前記濃縮液に有機溶媒を添加することにより前記有機溶媒に不溶の画分を分取する工程Dを順次行うことにより製造される。
以下に、本発明の該製造方法を実施する際に使用する、大麦を原料とする焼酎の製造において副成する大麦焼酎蒸留残液、及び各工程について詳述する。
本発明において使用する大麦焼酎蒸留残液は、代表的には、大麦又は精白大麦を原料として大麦麹及び蒸麦を製造し、得られた大麦麹及び蒸麦中に含まれるでんぷんを該大麦麹の麹により糖化し、それらを酵母によるアルコール発酵に付して焼酎熟成もろみを得、得られた焼酎熟成もろみを減圧蒸留または常圧蒸留等の単式蒸留装置を用いて蒸留する際に蒸留残渣として副生するもの、即ち、大麦焼酎の蒸留残液を意味する。
本発明において、大麦焼酎蒸留残液を得るに際して、大麦焼酎の製造に用いる大麦麹は、通常の大麦焼酎製造において行われている製麹条件で製造すればよく、用いる麹菌株としては、一般的に大麦焼酎製造で使用する白麹菌(Aspergillus kawachii)が好ましい。或いは泡盛製造で使用する黒麹菌(Aspergillus awamori)及び清酒製造等で使用する黄麹(Aspergillus oryzae)などのAspergillus属の菌株を用いることもできる。また大麦焼酎の製造に用いる酵母は、一般的に焼酎製造の際に使用する各種の焼酎醸造用酵母を使用することができる。
本発明において、大麦焼酎の製造における蒸留工程で得られた大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得る工程Aは、大麦焼酎蒸留残液から原料大麦、あるいは大麦麹由来の水不溶性の発酵残渣等のSS分を除去することを目的として行うものである。この工程Aにおける当該固液分離は、スクリュープレス方式やローラープレス方式の固液分離方法によるか、或いはろ過圧搾式の固液分離機を用いて予備分離を行い、次いで遠心分離機、ケイソウ土ろ過装置、セラミックろ過装置、或いはろ過圧搾機等を用いて本発明により実施できる本固液分離処理を行う。
前記工程Aで得られた大麦焼酎蒸留残液の液体分を合成吸着剤を使用する吸着分離処理に付すことにより前記合成吸着剤に非吸着の画分を得る工程Eは、大麦焼酎蒸留残液の液体分に含まれているポリフェノール等の成分を除去することを目的として行うものである。工程Eで使用する合成吸着剤としては、芳香族系、芳香族系修飾型、或いはメタクリル系の合成吸着剤を用いることができる。当該工程Eで使用する合成吸着剤の好適な具体例としては、オルガノ(株)製のアンバーライトXAD−4、アンバーライトXAD−16、アンバーライトXAD−1180及びアンバーライトXAD−2000、三菱化学(株)製のセパビーズSP850及びダイヤイオンHP20等の芳香族系(又はスチレン系とも言う)合成吸着剤、オルガノ(株)製のアンバーライトXAD−7及び三菱化学(株)製のダイヤイオンHP2MG等のメタクリル系(又はアクリル系とも言う)合成吸着剤を挙げることができる。これらの他、場合によっては三菱化学(株)製のセパピーズSP207等の芳香族系修飾型合成吸着剤を用いることができる。
前記工程Aで得られた大麦焼酎蒸留残液の液体分をイオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を得る工程B1、或は前記工程Eで得られた合成吸着剤に非吸着の画分をイオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を得る工程B2においては、上記液体分又は前記合成吸着剤に非吸着の画分に含まれる上述した多糖類以外の成分、即ち、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、有機酸、或いは大麦由来のポリフェノール等を、イオン交換樹脂を用いて除去することを目的として行うものである。当該工程B1及び工程B2で使用するイオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、或いは両者を混合した混床イオン交換樹脂を使用することができる。陽イオン交換樹脂の場合、強酸性陽イオン交換樹脂及び弱酸性陽イオン交換樹脂のいずれであっても使用することができ、陰イオン交換樹脂の場合、強塩基性陰イオン交換樹脂及び弱塩基性陰イオン交換樹脂のいずれであっても使用することができる。また混床イオン交換樹脂の場合には、上述した陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を自由に組み合わせて所定の割合で混合して使用することができる。こうしたイオン交換樹脂の好適な具体例としては、オルガノ(株)製のアンバーライト200CT及びアンバーライトIR120B等の強酸性陽イオン交換樹脂、アンバーライトIRC76等の弱酸性陽イオン交換樹脂、アンバーライトIRA402BL等の最強塩基性陰イオン交換樹脂、アンバーライトIRA67等の弱塩基性陰イオン交換樹脂、或いは、前記弱酸性陽イオン交換樹脂と前記弱塩基性陰イオン交換樹脂の両者を所定の割合で混合することにより得られる混床型イオン交換樹脂等を用いることができる。これらのうち、上記液体分又は上記合成吸着剤に非吸着の画分に含まれているアミノ酸やペプチド等を除去する観点においては、前記弱酸性陽イオン交換樹脂アンバーライトIRC76と前記弱塩基性陰イオン交換樹脂アンバーライトIRA67の両者を所定の割合で混合することにより得られる混床型イオン交換樹脂、或いは、強酸性陽イオン交換樹脂アンバーライト200CTを使用することが特に好ましい。
前記工程B1及び前記工程B2で得られた上記イオン交換樹脂に非吸着の画分を限外濾過膜を使用する限外濾過による濃縮処理に付して濃縮液を得る工程Cにおいては、NK細胞に対する賦活化作用に関与する成分である、アラビノース及びキシロースを主たる構成要素とする多糖類を限外濾過膜を用いて濃縮することを目的として行うものである。当該工程Cで使用する限外濾過膜としては、いかなる膜材質及び膜モジュール型式のものであっても使用することができ、分画分子量は、好ましくは3000以上、特に好ましくは1万乃至5万のものを使用することができる。更に、限外ろ過の濃縮倍率を、好ましくは2倍以上、特に好ましくは5倍以上にすることによって、アラビノース及びキシロースからなる多糖類を著量含有する本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物を得ることができる。
前記工程Cで得られた濃縮液に有機溶媒を添加することにより前記有機溶媒に不溶の画分を分取する工程Dにおいては、適宜の有機溶媒を所定の終濃度になるまで添加する。この場合、有機溶媒はエタノールが至適であるが、これに限定されるものではない。有機溶媒の終濃度は成分の生産効率に影響し、該有機溶媒の最適終濃度は、好ましくは5容量%以上、より好ましくは、30乃至75容量%である。
このようにして得られる、本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物は後述の実施例における試験例の結果から明らかなように、そのまま経口的に投与する場合は勿論のこと、該組成物を生理的食塩水等の適当な担体に分散せしめ、静脈注射により患者に投与することによっても所望のNK細胞賦活効果を得ることができる。また、本発明は、前記NK細胞を賦活化する作用を有する組成物で賦活化したNK細胞を含有する組成物(以下、賦活化したNK細胞含有組成物と呼称する)を提供する。該賦活化したNK細胞含有組成物は、白血病等の罹患者から血液を採血し、得られた血液をNK細胞等の免疫細胞からなるリンパ球と血清に分離し、該リンパ球に前記NK細胞を賦活化する作用を有する組成物を混合して所定期間の培養に付すことにより得られるものであって、このようにして得られる賦活化したNK細胞含有組成物は、洗浄後、点滴用生理食塩水に浮遊させ、点滴により静脈から投与することができる。こうした賦活化したNK細胞含有組成物はK562細胞を壊死する作用を有する。従って、該賦活化したNK細胞含有組成物は、(骨髄性)白血病の治療薬剤として使用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
上記「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」において得た大麦焼酎蒸留残液を8000rpm、10minの条件で遠心分離して液体分を得、得られた液体分をBrix10に調整後、このBrix10に調整した液体分1Lを、500ml容量のオルガノ(株)製アンバーライト200CT(強酸性陽イオン交換樹脂)を充填したカラムに通して、前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を得、得られたイオン交換樹脂に非吸着の画分をA/Gテクノロジー社製の限外濾過膜UFP−30−E−4MA(分画分子量3万)による濃縮処理に付して濃縮液を得、得られた濃縮液をBrix20に調整後、終濃度75容量%になるようにエタノールを加え、8000rpm、10minの条件で遠心分離して前記有機溶媒(エタノール)に不溶の画分を分取し、得られた画分を凍結乾燥に付すことにより凍結乾燥物2.5gを得た。該凍結乾燥物を粉砕し灰白色で無味無臭の組成物を得た。
【実施例2】
上記「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」において得た大麦焼酎蒸留残液を8000rpm、10minの条件で遠心分離して大麦焼酎蒸留残液の液体分を得、得られた液体分をオルガノ(株)製の合成吸着剤アンバーライトXAD−16を充填したカラムに通して吸着分離処理に付すことにより、該カラムの合成吸着剤に対して非吸着性を示す素通り液からなる前記合成吸着剤に非吸着の画分を分取した。得られた合成吸着剤に非吸着の画分をBrix10に調整し、このBrix10に調整した画分1Lを、500ml容量のオルガノ(株)製アンバーライト200CT(強酸性陽イオン交換樹脂)を充填したカラムに通し、前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を得、得られた画分をA/Gテクノロジー社製の限外濾過膜UFP−30−E−4MA(分画分子量3万)による濃縮処理に付して濃縮液を得、得られた濃縮液をBrix20に調整後、終濃度75容量%になるようにエタノールを加え、8000rpm、10minの条件で遠心分離して前記有機溶媒(エタノール)に不溶の画分を分取し、得られた画分を凍結乾燥に付すことにより凍結乾燥物1.3gを得た。該凍結乾燥物を粉砕し灰白色で無味無臭の組成物を得た。
比較例1
上記「大麦焼酎及び大麦焼酎蒸留残液の製造」において得た大麦焼酎蒸留残液を8000rpm、10minの条件で遠心分離して液体分を得、該液体分1Lに終濃度が75容量%になるようにエタノールを加え、8000rpm、10minの条件で遠心分離して前記有機溶媒(エタノール)に不溶の画分を分取し、得られた画分を真空凍結乾燥機を用いて凍結乾燥に付し、凍結乾燥物11.8gを得た。該凍結乾燥物を粉砕し灰白色で無味無臭の組成物を得た。
試験例1
実施例1、実施例2及び比較例1で得た組成物がNK細胞に対する賦活化作用を有するものであるか否かを明らかにするために以下の試験例1を行った。
即ち、ヒト健常人からヘパリン加末梢血を採取して生理食塩液を用いて2倍に希釈し、希釈した血液をリンホセパールI((株)免疫生物研究所製)に重層し、室温で、1500rpm、30分間の遠心分離に付した後、ピペットを用いて血漿を除去することにより末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cells:PBMC)画分を得た。次に、得られたPBMC画分をStemSep(ベリタス社製)に付すことによりNK細胞画分を得、得られたNK細胞画分を5%CO雰囲気下、37℃で培養し、NK細胞培養液を得た。得られたNK細胞培養液を1000rpm、5分間の遠心分離に付しNK細胞を捕集した。それぞれの捕集したNK細胞の細胞数を10%FCS添加RPMI−1640培地を用いて1×10個/mlに調整してNK細胞懸濁液を得た。一方、継代培養に付すことにより得たK562細胞(慢性骨髄性白血病細胞)の培養液を遠心分離に付してK562細胞を分取し、PBS(Phosphate−buffered saline)で2回洗浄し、次いで10%FCS添加RPMI−1640培地で更に洗浄してK562細胞からなる標的細胞を得た。
次に、3つの前記NK細胞懸濁液100μlのそれぞれに対して、実施例1、実施例2及び比較例1で得たそれぞれの有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)の濃度を前記10%FCS添加RPMI−1640培地を用いて1mg/mlに調製した溶液をそれぞれ11μlずつ添加し、5%CO雰囲気下、37℃で72時間培養してNK細胞培養液を得た。また、コントロールとして別のNK細胞懸濁液100μlに対して、前記10%FCS添加RPMI−1640培地11μlを添加したものについても同様の処理に付した。更に、ポジティブコントロールとして更に別のNK細胞懸濁液100μlに対して、IL−2の濃度を前記10%FCS添加RPMI−1640培地を用いて1mg/mlに調製した溶液をそれぞれ11μl添加したものについても同様の処理に付した。
このようにして得たそれぞれのNK細胞培養液を、1000rpm、5分間の遠心分離に付しNK細胞を捕集した。それぞれの捕集したNK細胞の細胞数を10%FCS添加RPMI−1640培地を用いて1×10個/mlに調整して効果細胞を得た。
次に、至適濃度に調整した前記標的細胞を96穴V底プレートに100μlづつ分注し、これに前記効果細胞を100μlづつ別々に混合した。前記効果細胞と前記標的細胞を混合したプレートは、800rpm、2分間の遠心分離に付し、5%CO雰囲気下、37℃で4時間培養後、各培養液100μlをそれぞれ採取し、CellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assayキット(プロメガ社製)を用いてATP量を測定し、下記の計算式によりK562細胞の生存率を調べ、各サンプルのNK細胞活性化能の指標とした。
K562細胞生存率(%)={([各サンプルで処理したNK細胞+K562細胞]の発光量)−(NK細胞のみの発光量)}/(PBSで処理したK562細胞の発光量)×100
[評価1]
K562細胞に対するNK細胞活性の測定結果を表1に示す。表1に示す結果から以下の事実が判明した。即ち、比較例1で得た組成物の所定量を添加して培養に付すことにより得たNK細胞は、該所定量のIL−2を添加して培養に付すことにより得たNK細胞よりもやや低いNK細胞活性を示した。一方、実施例1及び実施例2で得た組成物の所定量を添加して培養に付すことにより得たNK細胞は、該所定量のIL−2を添加して培養に付すことにより得たNK細胞に匹敵する極めて顕著なNK細胞活性化能を示すことが判明した。
試験例2
ところで、悪性腫瘍等の罹患者においては、NK細胞の活性が低下しているため、該NK細胞によってもたらされる腫瘍細胞に対する細胞傷害活性も著しく低い。そこで、上記有機溶媒に不溶の画分によるNK細胞賦活化と、それによってもたらされる腫瘍細胞に対する細胞傷害活性をより実際的に評価する目的で以下の試験を行った。
即ち、ヒト健常人からヘパリン加末梢血を採取して生理食塩液を用いて2倍に希釈し、希釈した血液をリンホセパールI((株)免疫生物研究所製)に重層し、室温で、1500rpm、30分間の遠心分離に付した後、ピペットを用いて血漿を除去することにより末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cells:PBMC)画分を得た。次に、得られたPBMC画分をStemSep(ベリタス社製)に付すことによりNK細胞画分を得、得られたNK細胞画分を5%CO雰囲気下、37℃で培養し、NK細胞培養液を得た。得られたNK細胞培養液を1000rpm、5分間の遠心分離に付しNK細胞を捕集した。それぞれの捕集したNK細胞の細胞数を10%FCS添加RPMI−1640培地を用いて1×10個/mlに調整してNK細胞懸濁液を得た。一方、継代培養に付すことにより得たK562細胞(慢性骨髄性白血病細胞)の培養液を遠心分離に付してK562細胞を分取し、PBS(Phosphate−buffered saline)で2回洗浄し、次いで10%FCS添加RPMI−1640培地で更に洗浄してK562細胞からなる標的細胞を得た。
次に、前記NK細胞懸濁液を96穴V底プレートに100μlづつ分注し、これに至適濃度に調整した前記標的細胞を100μlづつ添加し、次いで、実施例1、実施例2及び比較例1で得たそれぞれの有機溶媒に不溶の画分(凍結乾燥物)の濃度を前記10%FCS添加RPMI−1640培地を用いて1mg/mlに調製した溶液をそれぞれ22μlずつ添加し、5%CO雰囲気下、37℃で4時間培養した。これとは別に、コントロールとして、別のNK細胞懸濁液100μlに対して、至適濃度に調整した前記標的細胞100μlを添加し、次いで、前記10%FCS添加RPMI−1640培地22μlを添加したものについても同様の処理に付した。更に、ポジティブコントロールとして、更に別のNK細胞懸濁液100μlに対して、至適濃度に調整した前記標的細胞100μlを添加し、次いで、前記10%FCS添加RPMI−1640培地を用いて1mg/mlの濃度に調製したIL−2水溶液を22μl添加したものについても同様の処理に付した。次に各培養液100μlをそれぞれ採取し、CellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assayキット(プロメガ社製)を用いてATP量を測定し、下記の計算式によりK562細胞の生存率を調べ、各サンプルのNK細胞活性化能の指標とした。
K562細胞生存率(%)={([各サンプルで処理したNK細胞+K562細胞]の発光量)−(NK細胞のみの発光量)}/(PBSで処理したK562細胞の発光量)×100
[評価2]
NK細胞とK562細胞の混合物に比較例1で得た凍結乾燥物を添加した場合の細胞傷害活性の測定結果を表2に示す。表2に示す結果から以下の事実が判明した。即ち、NK細胞とK562細胞の混合物に比較例1で得た凍結乾燥物を前記所定量にて添加した場合には、該混合物に前記所定量のIL−2を添加した場合よりも明らかに低い細胞傷害活性を示した。一方、NK細胞とK562細胞の混合物に実施例1及び実施例2で得た凍結乾燥物の前記所定量を添加した場合には、該混合物に前記所定量のIL−2を添加した場合に匹敵する極めて強力な細胞傷害活性を示すことが判明した。
即ち、実施例1及び実施例2の凍結乾燥物をNK細胞とK562細胞の混合物に添加した場合には、NK細胞を著しく賦活化するだけでなく、該K562細胞の増殖をも抑制することから、優れた白血病治療効果を奏することが明らかになった。
試験例3
実施例1及び実施例2で得た有機溶媒に不溶の画分の凍結乾燥物が有するin vivoにおけるNK細胞賦活化作用を明らかにするために以下の試験を行った。即ち、C57BL/6マウス(♂、3週齢、1群10匹)に、本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物を含まない食餌(対照群)と、実施例1で得た有機溶媒に不溶の画分の凍結乾燥物を0.5%及び1.0%含む食餌(試験群1)、並びに、実施例2で得た有機溶媒に不溶の画分の凍結乾燥物を0.5%及び1.0%含む食餌(試験群2)を摂取させ、5週間後に両群のマウスから脾臓を摘出し、細胞数を計測すると共にNK細胞活性を以下のように測定した。
即ち、脾細胞をC−RPMI培地に浮遊させ、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合抗マウスIL−2β受容体抗体とフィコエリトリン(PE)結合抗マウスCD3抗体にて細胞標識し、フローサイトメーターにてNK細胞分画を測定し、CD3−IL−2β+分画をNK細胞と同定した。
マウスリンパ腫細胞株YAC−1を51CrOを用いて標識して標的細胞とし、脾細胞:標的細胞=100:1の割合で6時間混合浮遊させ、その上澄み液中の51Crの放射活性をγ−シンチレーションカウンターで測定し、NK細胞活性(%)を以下の式から算出した。
NK細胞活性(%)=[(実験遊離−自然遊離)/(最大遊離−自然遊離)]×100
[評価3]
脾細胞数、NK細胞分画及び脾細胞由来NK細胞活性の測定結果を表3に示す。表3に示す結果から以下の事実が判明した。即ち、実施例1で得たNK細胞を賦活化する作用を有する組成物を0.5%及び1.0%含む食餌を摂取した試験群1、並びに、上記実施例2で得た有機溶媒に不溶の画分の凍結乾燥物を0.5%及び1.0%含む食餌を摂取した試験群2の脾細胞由来NK細胞活性は、対照群と比較して、それぞれ有意に増加していることが判明した。一方、脾細胞数、及びNK細胞分画に関しては、試験群1、試験群2及び対照群からなる3つの群間で相互に有意差は認めなかった。これらの結果から、本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物は、in vivoにおいてもNK細胞を賦活化することが明白となった。
以上の試験例1乃至試験例3の結果から明らかなように、大麦焼酎蒸留残液から得られる、アラビノース及びキシロースからなる多糖類を主たる成分とする本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物は、極めて優れたNK細胞に対する賦活化作用を有することが判明した。
本発明のNK細胞を賦活化する作用を有する組成物は、公知のNK細胞賦活化剤であるIL−2に匹敵する極めて顕著なNK細胞賦活化作用を有するので、白血病をはじめとするガンの治療に極めて好適である。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
大麦を原料とする焼酎製造において副生する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分をイオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取し、分取した前記画分を限外濾過膜を使用する限外濾過による濃縮処理に付して濃縮液を得、該濃縮液に有機溶媒を添加することにより分取した、ウロン酸を実質的に含有せず、キシロース、アラビノース及びグルコースからなる多糖類を含有する前記有機溶媒に不溶の画分からなる、ナチュラルキラー細胞を賦活化する作用を有する組成物。
【請求項2】
前記有機溶媒に不溶の画分は、下記の分子量分布を有するものである請求項1に記載の組成物。
分子量分布:
100,000以上 5%
30,000乃至100,000 18%
10,000乃至 30,000 23%
3,000乃至 10,000 31%
1,000乃至 3,000 11%
500乃至 1,000 3%
500以下 9%
【請求項3】
前記有機溶媒に不溶の画分は、多糖類が約84.1重量%、多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量が約54.4重量%、粗タンパクが約4.2重量%、有機酸が約0.3重量%、及び遊離糖類が約1.2重量%からなる成分組成を有するものである請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
大麦を原料とする焼酎製造において副生する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分を合成吸着剤を使用する吸着分離処理に付して前記合成吸着剤に非吸着の第一の画分を分取し、前記第一の画分をイオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記イオン交換樹脂に非吸着の第二の画分を分取し、前記第二の画分を限外濾過膜を使用する限外濾過による濃縮処理に付して濃縮液を得、該濃縮液に有機溶媒を添加することにより分取した、ウロン酸を実質的に含有せず、キシロース、アラビノース及びグルコースからなる多糖類を含有する前記有機溶媒に不溶の画分からなる、ナチュラルキラー細胞を賦活化する作用を有する組成物。
【請求項5】
前記有機溶媒に不溶の画分は、下記の分子量分布を有するものである請求項4に記載の組成物。
分子量分布:
100,000以上 11%
30,000乃至100,000 29%
10,000乃至 30,000 24%
3,000乃至 10,000 21%
1,000乃至 3,000 6%
500乃至 1,000 2%
500以下 7%
【請求項6】
前記有機溶媒に不溶の画分は、多糖類が約78.5重量%、多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量が約58.6重量%、粗タンパクが約3.3重量%、有機酸が約0.2重量%、及び遊離糖類が約1.5重量%からなる成分組成を有するものである請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記有機溶媒に不溶の画分は、粉末形態のものである請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
医薬品として使用する請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記合成吸着剤は、芳香族系合成吸着剤又はメタクリル系合成吸着剤である請求項4に記載の組成物。
【請求項10】
大麦を原料とする焼酎製造において副生する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得る工程、該液体分をイオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取する工程、分取した前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を限外濾過膜を使用する限外濾過による濃縮処理に付して濃縮液を得る工程、該濃縮液に有機溶媒を添加することにより、ウロン酸を実質的に含有せず、キシロース、アラビノース及びグルコースからなる多糖類を含有する前記有機溶媒に不溶の画分を分取する工程を含むことを特徴とする、ナチュラルキラー細胞を賦活化する作用を有する前記有機溶媒に不溶の画分からなる組成物の製造方法。
【請求項11】
前記有機溶媒に不溶の画分は、下記の分子量分布を有するものである請求項10に記載の組成物の製造方法。
分子量分布:
100,000以上 5%
30,000乃至100,000 18%
10,000乃至 30,000 23%
3,000乃至 10,000 31%
1,000乃至 3,000 11%
500乃至 1,000 3%
500以下 9%
【請求項12】
前記有機溶媒に不溶の画分は、多糖類が約84.1重量%、多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量が約54.4重量%、粗タンパクが約4.2重量%、有機酸が約0.3重量%、及び遊離糖類が約1.2重量%からなる成分組成を有するものである請求項10に記載の組成物の製造方法。
【請求項13】
大麦を原料とする焼酎製造において副生する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得る工程、前記液体分を合成吸着剤を使用する吸着分離処理に付して前記合成吸着剤に非吸着の画分を分取する工程、分取した前記合成吸着剤に非吸着の画分をイオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取する工程、分取した前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を限外濾過膜を使用する限外濾過による濃縮処理に付して濃縮液を得る工程、前記濃縮液に有機溶媒を添加することにより、ウロン酸を実質的に含有せず、キシロース、アラビノース及びグルコースからなる多糖類を含有する前記有機溶媒に不溶の画分を分取する工程を含むことを特徴とする、ナチュラルキラー細胞を賦活化する作用を有する前記有機溶媒に不溶の画分からなる組成物の製造方法。
【請求項14】
前記有機溶媒に不溶の画分は、下記の分子量分布を有するものである請求項13に記載の組成物の製造方法。
分子量分布:
100,000以上 11%
30,000乃至100,000 29%
10,000乃至 30,000 24%
3,000乃至 10,000 21%
1,000乃至 3,000 6%
500乃至 1,000 2%
500以下 7%
【請求項15】
前記有機溶媒に不溶の画分は、多糖類が約78.5重量%、多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量が約58.6重量%、粗タンパクが約3.3重量%、有機酸が約0.2重量%、及び遊離糖類が約1.5重量%からなる成分組成を有するものである請求項13に記載の組成物の製造方法。
【請求項16】
前記有機溶媒に不溶の画分を凍結乾燥する工程を更に有する請求項10乃至請求項15のいずれかに記載の組成物の製造方法。
【請求項17】
大麦を原料とする焼酎製造において副生する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分をイオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取し、分取した前記画分を限外濾過膜を使用する限外濾過による濃縮処理に付して濃縮液を得、該濃縮液に有機溶媒を添加することにより分取した、ウロン酸を実質的に含有せず、キシロース、アラビノース及びグルコースからなる多糖類を含有し、ナチュラルキラー細胞を賦活化する作用を有する前記有機溶媒に不溶の画分を用いて賦活化したナチュラルキラー細胞を含有することを特徴とする賦活化したナチュラルキラー細胞含有組成物。
【請求項18】
前記有機溶媒に不溶の画分は、下記の分子量分布を有するものである請求項17に記載の賦活化したナチュラルキラー細胞含有組成物。
分子量分布:
100,000以上 5%
30,000乃至100,000 18%
10,000乃至 30,000 23%
3,000乃至 10,000 31%
1,000乃至 3,000 11%
500乃至 1,000 3%
500以下 9%
【請求項19】
前記有機溶媒に不溶の画分は、多糖類が約84.1重量%、多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量が約54.4重量%、粗タンパクが約4.2重量%、有機酸が約0.3重量%、及び遊離糖類が約1.2重量%からなる成分組成を有するものである請求項17に記載の賦活化したナチュラルキラー細胞含有組成物。
【請求項20】
大麦を原料とする焼酎製造において副生する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得、該液体分を合成吸着剤を使用する吸着分離処理に付して前記合成吸着剤に非吸着の画分を分取し、分取した前記画分を限外濾過膜を使用する限外濾過による濃縮処理に付して濃縮液を得、該濃縮液に有機溶媒を添加することにより分取した、ウロン酸を実質的に含有せず、キシロース、アラビノース及びグルコースからなる多糖類を含有し、ナチュラルキラー細胞を賦活化する作用を有する前記有機溶媒に不溶の画分を用いて賦活化したナチュラルキラー細胞を含有することを特徴とする賦活化したナチュラルキラー細胞含有組成物。
【請求項21】
前記有機溶媒に不溶の画分は、下記の分子量分布を有するものである請求項20に記載の賦活化したナチュラルキラー細胞含有組成物。
分子量分布:
100,000以上 11%
30,000乃至100,000 29%
10,000乃至 30,000 24%
3,000乃至 10,000 21%
1,000乃至 3,000 6%
500乃至 1,000 2%
500以下 7%
【請求項22】
前記有機溶媒に不溶の画分は、多糖類が約78.5重量%、多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量が約58.6重量%、粗タンパクが約3.3重量%、有機酸が約0.2重量%、及び遊離糖類が約1.5重量%からなる成分組成を有するものである請求項20に記載の賦活化したナチュラルキラー細胞含有組成物。
【請求項23】
骨髄性白血病の治療薬剤として使用する請求項17乃至請求項22のいずれかに記載の賦活化したナチュラルキラー細胞含有組成物。
【請求項24】
大麦を原料とする焼酎製造において副生する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得る工程、前記液体分をイオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取する工程、分取した前記画分を限外濾過膜を使用する限外濾過による濃縮処理に付して濃縮液を得る工程、前記濃縮液に有機溶媒を添加することにより、ウロン酸を実質的に含有せず、キシロース、アラビノース及びグルコースからなる多糖類を含有し、ナチュラルキラー細胞を賦活化する作用を有する前記有機溶媒に不溶の画分を分取する工程、分取した該有機溶媒に不溶の画分とナチュラルキラー細胞を混合して培養することにより前記ナチュラルキラー細胞を賦活化する工程を含むことを特徴とする賦活化したナチュラルキラー細胞含有組成物の製造方法。
【請求項25】
前記有機溶媒に不溶の画分は、下記の分子量分布を有するものである請求項24に記載の賦活化したナチュラルキラー細胞含有組成物の製造方法。
分子量分布:
100,000以上 5%
30,000乃至100,000 18%
10,000乃至 30,000 23%
3,000乃至 10,000 31%
1,000乃至 3,000 11%
500乃至 1,000 3%
500以下 9%
【請求項26】
前記有機溶媒に不溶の画分は、多糖類が約84.1重量%、多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量が約54.4重量%、粗タンパクが約4.2重量%、有機酸が約0.3重量%、及び遊離糖類が約1.2重量%からなる成分組成を有するものである請求項24に記載の賦活化したナチュラルキラー細胞含有組成物の製造方法。
【請求項27】
大麦を原料とする焼酎製造において副生する大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得る工程、前記液体分を合成吸着剤を使用する吸着分離処理に付して前記合成吸着剤に非吸着の画分を分取する工程、分取した前記合成吸着剤に非吸着の画分をイオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取する工程、分取した前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を限外濾過膜を使用する限外濾過による濃縮処理に付して濃縮液を得る工程、前記濃縮液に有機溶媒を添加することにより、ウロン酸を実質的に含有せず、キシロース、アラビノース及びグルコースからなる多糖類を含有し、ナチュラルキラー細胞を賦活化する作用を有する前記有機溶媒に不溶の画分を分取する工程、分取した該有機溶媒に不溶の画分とナチュラルキラー細胞を混合して培養することにより前記ナチュラルキラー細胞を賦活化する工程を含むことを特徴とする賦活化したナチュラルキラー細胞含有組成物の製造方法。
【請求項28】
前記有機溶媒に不溶の画分は、下記の分子量分布を有するものである請求項27に記載の賦活化したナチュラルキラー細胞含有組成物の製造方法。
分子量分布:
100,000以上 11%
30,000乃至100,000 29%
10,000乃至 30,000 24%
3,000乃至 10,000 21%
1,000乃至 3,000 6%
500乃至 1,000 2%
500以下 7%
【請求項29】
前記有機溶媒に不溶の画分は、多糖類が約78.5重量%、多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量が約58.6重量%、粗タンパクが約3.3重量%、有機酸が約0.2重量%、及び遊離糖類が約1.5重量%からなる成分組成を有するものである請求項27に記載の賦活化したナチュラルキラー細胞含有組成物の製造方法。
【請求項30】
玄麦大麦又は精白大麦を原料にして製造した大麦麹と焼酎用酵母とを発酵に付して熟成もろみを作製し、該熟成もろみを蒸留に付して大麦焼酎を製造する工程(A)、及び前記工程(A)において前記大麦焼酎を製造する際に蒸留残渣として副成する大麦焼酎蒸留残液を処理する工程(B)からなり、前記工程(B)においては、大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得る工程、前記液体分をイオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取する工程、分取した前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を限外濾過膜を使用する限外濾過による濃縮処理に付して濃縮液を得る工程、及び前記濃縮液に有機溶媒を添加することにより、ウロン酸を実質的に含有せず、キシロース、アラビノース及びグルコースからなる多糖類を含有し、ナチュラルキラー細胞を賦活化する作用を有する前記有機溶媒に不溶の画分を分取する工程を順次行うことにより前記ナチュラルキラー細胞を賦活化する作用を有する画分からなる組成物を製造し、前記工程(A)及び前記工程(B)を連続して行うことを特徴とする前記大麦焼酎及び前記ナチュラルキラー細胞を賦活化する作用を有する画分からなる組成物を連続して製造する方法。
【請求項31】
前記有機溶媒に不溶の画分は、下記の分子量分布を有するものである請求項30に記載の方法。
分子量分布:
100,000以上 5%
30,000乃至100,000 18%
10,000乃至 30,000 23%
3,000乃至 10,000 31%
1,000乃至 3,000 11%
500乃至 1,000 3%
500以下 9%
【請求項32】
前記有機溶媒に不溶の画分は、多糖類が約84.1重量%、多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量が約54.4重量%、粗タンパクが約4.2重量%、有機酸が約0.3重量%、及び遊離糖類が約1.2重量%からなる成分組成を有するものである請求項30に記載の方法。
【請求項33】
玄麦大麦又は精白大麦を原料にして製造した大麦麹と焼酎用酵母とを発酵に付して熟成もろみを作製し、該熟成もろみを蒸留に付して大麦焼酎を製造する工程(A)、及び前記工程(A)において前記大麦焼酎を製造する際に蒸留残渣として副成する大麦焼酎蒸留残液を処理する工程(B)からなり、前記工程(B)においては、前記大麦焼酎蒸留残液を固液分離して液体分を得る工程、前記液体分を合成吸着剤を使用する吸着分離処理に付して前記合成吸着剤に非吸着の画分を分取する工程、分取した前記合成吸着剤に非吸着の画分をイオン交換樹脂を使用するイオン交換処理に付して前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を分取する工程、分取した前記イオン交換樹脂に非吸着の画分を限外濾過膜を使用する限外濾過による濃縮処理に付して濃縮液を得る工程、及び前記濃縮液に有機溶媒を添加することにより、ウロン酸を実質的に含有せず、キシロース、アラビノース及びグルコースからなる多糖類を含有し、ナチュラルキラー細胞を賦活化する作用を有する前記有機溶媒に不溶の画分を分取する工程を順次行うことにより前記ナチュラルキラー細胞を賦活化する作用を有する画分からなる組成物を製造し、前記工程(A)及び前記工程(B)を連続して行うことを特徴とする前記大麦焼酎及び前記ナチュラルキラー細胞を賦活化する作用を有する画分からなる組成物を連続して製造する方法。
【請求項34】
前記有機溶媒に不溶の画分は、下記の分子量分布を有するものである請求項33に記載の方法。
分子量分布:
100,000以上 11%
30,000乃至100,000 29%
10,000乃至 30,000 24%
3,000乃至 10,000 21%
1,000乃至 3,000 6%
500乃至 1,000 2%
500以下 7%
【請求項35】
前記有機溶媒に不溶の画分は、多糖類が約78.5重量%、多糖類由来のアラビノース及びキシロースの合計含量が約58.6重量%、粗タンパクが約3.3重量%、有機酸が約0.2重量%、及び遊離糖類が約1.5重量%からなる成分組成を有するものである請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記工程(A)において、前記熟成もろみを得る際に、別に用意した玄麦大麦又は精白大麦を前記大麦麹及び前記焼酎用酵母と共に発酵に付すことを特徴とする請求項30又は請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記合成吸着剤が、芳香族系合成吸着剤又はメタクリル系合成吸着剤である請求項33に記載の方法。

【国際公開番号】WO2004/061090
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【発行日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507954(P2005−507954)
【国際出願番号】PCT/JP2004/000003
【国際出願日】平成16年1月5日(2004.1.5)
【出願人】(000177508)三和酒類株式会社 (11)
【出願人】(301016595)株式会社大麦発酵研究所 (4)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】