説明

ナノスケール粒子の標的送達による治療

【解決手段】 バイオプローブ(標的特異的リガンドに付着したエネルギー感受物質)を有する標的温熱療法の施行を含む対象物の体、体部分、組織、体液細胞、病原体またはその他の望ましくない物体を治療するための組成物、装置および方法を開示する。このような標的療法の方法は少なくとも1つの他の療法手技と併用することができる。他の療法にはハイパーサーミア(温熱療法)、直接的抗体療法、放射線、化学または薬学的療法、光線力学療法、手術またはインターベンショナル療法、骨髄、または幹細胞移植およびMRI、PET、SPECTおよびバイオインピーダンスのような医学画像法が含まれる。前記の開示される療法は、骨髄、肺、血管、神経、結腸、卵巣、乳房および前立腺の癌、類上皮細胞肉腫、エイズ、不都合な脈管形成、再狭窄、アミロイド症、結核、心血管斑、血管斑、肥満症、マラリア、およびHIVのようなウイルスに起因する疾患などを含み、またこれらに限らない多様な適応症の治療において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般的に標的治療組成物、装置および方法に関するものである。特に、本発明は温熱療法を用いた脈管切除に関する組成物、装置および方法に関する。さらに、本発明は少なくとも1つの他の治療と温熱療法の組合せに関するものであって、標的温熱療法は標的特異的リガンドに付着したエネルギー感受性物質を対象物の体、体の一部、組織または体液に投与する工程と、標的を破壊或いは不活性化するようにエネルギー源からエネルギーを投与する工程とを含むものである。
【背景技術】
【0002】
患者における病気の発現と治療経過が成功であるという結論との間には、しばしば受け入れ難いほど長い時間の経過がある。多くの病気は無症候性であり、かなり進行した段階及び多くの場合終末段階へと進行する間、発見されない。さらに、この期間は、当に正しく定められた治療における不快な副作用による、患者の著しい心理的及び身体的なトラウマ(心的外傷)によって特徴付けられる。たとえ早期に発見された病気でさえ、健康な組織の正常な機能を破壊するような治療法、若しくは他の望んでいない副作用をもたらすような治療方法によってのみ最も効果的に治療されるものである。
【0003】
そのような病気の一つに癌がある。多くの研究努力といくつもの成功にも関わらず、癌はいまだアメリカでは第2位の死因であり、American Cancer Societyの推定によると毎年500,000人以上の命を奪っている。従来の治療は浸襲的であり及び/若しくは有害な副作用(例えば、健康な細胞への毒性)を伴い、しばしば外傷性治療経過を辿りわずかな成功のみである。より良い診断診療及び診断技術の結果による早期発見は、多くの患者の予後を改善してきた。しかしながら、多くの患者が耐えなくてはならない苦痛のため、よりストレスの多い治療経過となり、患者が定められた治療に従うことを困難にする。さらに、病気の発見が改善されてきたにも関わらず、いくつかの癌は現在利用可能な治療選択肢を受けつけない。未だ医学への挑戦を突きつける癌の中で、前立腺、乳房、肺、及び肝臓の癌は、毎年非常に多くの命を奪っている。また、結腸直腸癌、卵巣癌、胃癌、白血病、リンパ腫、メラノーマ、及びそれらの転移癌も、生命を脅かすものである。
【0004】
乳癌に対する従来の治療は、例えば、手術後の放射線療法及び/若しくは化学療法を一般的に含む。これらの技術は、常に効果的であるわけではなく、例え効果的であっても、いくらかの不全に苦しむ。外科的処置の範囲は、腫瘍のみの除去(乳腺腫瘍摘出)から乳房の完全な除去まである。初期段階の癌における乳房の完全な除去は、再発防止に対する或る保証を提供するが、乳房の外観を損なうので、患者に非常に難しい選択を要求することになる。乳腺腫瘍摘出では、外観を損なうことはより少なくて済むが、癌再発のより高いリスクを伴う。放射線療法及び化学療法は、非常にきつく辛いもので、再発防止に対して完全に効果的ではない。
【0005】
病原体ベースの病気の治療も厄介な問題が伴う。全身性感染の症状を呈する患者は、多くの場合最初のステップとして、広範囲抗生物質を使って誤って治療される。この一連の措置は、侵入している生物体がウイルスである場合、全く効果がない。たとえ細菌(例えば、大腸菌)が原因となるものでも、抗生物質治療は、原因細菌だけでなく、食物の適切な消化に必要な腸の良性腸管内菌叢も除去する。従って、この方法で治療された患者は、良性細菌が再び生存するまで、多くの場合胃腸障害を経験する。他の場合において、抗生物質耐性細菌は、抗生物質治療には反応しない。ウイルス病に対する治療方法では、多くの場合侵入しているウイルス自体のみを標的とする。ただし、ウイルスが侵入し、ウイルスの追加コピーの生成に用いるために"乗っ取られた"細胞は、生存可能である。従って、この病気の進行は、止まるというよりも遅延される。
【0006】
これらの理由により、病気を治療するための改善された代替技術の提供が望まれている。そのような技術は、現在の技術と比べて、患者に対して侵襲性が少なく外傷性も少ないものであるべきであり、標的部位、例えば患部組織、病原体、若しくは体内のほかの望ましくない物体などでのみ局所的に効果的であるべきである。好ましくは、この技術は、一回若しくは非常に少ない治療セッション(患者服薬不履行を最小限にする)で、患者への毒性が最少な状態で行うことが可能であることが望ましい。加えて、望ましくない物質は、重大な操作技能や入力を必要とせずに治療によって標的とされるべきである。
【0007】
免疫療法は、例えば癌などを含む様々なヒトの病気を治療するために使用される、急速に発展している治療法のタイプである。FDAは、多くの抗体ベースの癌治療を承認してきた。抗体、抗体断片、及び改変特性(例えば、抗原結合親和性、分子構造、特異性、原子値など)を有するペプチドを設計する能力は、治療方法においてそれらの使用を促進してきた。癌免疫療法は、マウス抗体のキメラ化とヒト化という先端技術を用いることにより、ヒトにおける免疫反応を軽減してきた。高親和性ヒト抗体も、多くのヒト免疫グロブリン遺伝子を含むトランスジェニック動物から得てきた。加えて、ファージディスプレイ技術、リボゾームディスプレイ、及びDNAシャッフリングは、標的になるリガンドとして使用するための、高親和性で低免疫原性を有する抗体断片やペプチドの発見を可能にしてきた。これらの先端技術の全ては、望ましい抗原結合親和性と特異性を有し、最少免疫反応を有する免疫療法を設計することを可能にしてきた。
【0008】
癌免疫療法の領域は、癌細胞による(正常細胞との比較での)過剰発現、若しくは癌細胞のみで発現しているマーカーを使用する。そのようなマーカーの同定は現在進行中であり、リガンド/マーカー組み合わせの選択は、全ての免疫療法の成功にとって重要である。免疫療法は少なくとも3つのクラス:(1)抗体自体が、成長受容体を標的にする、サイトカイン経路を破壊する、または補体若しくは抗体依存性細胞傷害を誘導する、配置(deployment)抗体、(2)毒素、放射性核種、若しくはサイトカインを直接的武装(arming)抗体、(3)毒素を運搬するために用いられる免疫リポソームに抗体を付着することによって、若しくは免疫細胞エフェクター(作動体)に抗体を付着すること(二重特異性抗体)によって、間接的武装(arming)抗体、に分類される。武装抗体は、臨床試験で強力な腫瘍活性を示したが、それらは、患者にとって受け入れ難いほどの高レベルの毒性も示した。
【0009】
免疫毒性若しくは放射性核種(すなわち、直接的及び間接的武装)の運搬に依存した治療法の不利な点は、一度患者に投与されると、これらの因子が常に活性であることであった。これらの治療法は多くの場合、非腫瘍細胞への損傷を引き起こし、毒性問題や運搬課題を提起する。例えば、癌細胞は共通して、(免疫療法によって標的となる)表面発現抗原を血流へ放出する。免疫複合体は、免疫療法抗体と放出された抗体との間に形成され得る。結果として、多くの抗原ベースの治療は、癌細胞との相互作用というよりも、これらの放出された抗原との抗体の相互作用が原因で希薄化され、それによって正確に運搬される用量を減少する。従って、有害な副作用を最小化し且つ有効性を改善する、"要望に応じた治療(セラピー・オン・デマンド)"アプローチが好ましい。
【0010】
温度範囲が約40℃〜約46℃(発熱療法)である温熱療法は、病気の細胞に不可逆的損傷を引き起こす。ただし、健康な細胞は、約46.5℃までの温度にさらしても生存することが可能である。患部組織における個々の細胞の温度を致死レベルまで上昇すること(細胞性温熱療法)は、優れた治療選択肢を提供する。病気に関連した病原体、及び体の他の望ましくない物体も、局所的な高温にさらすことによって破壊され得る。
【0011】
発熱療法は、瞬時のネクローシス(一般的に"熱アブレーション"と呼ばれる)、及び/若しくは細胞における熱ショック反応(古典的な発熱療法)を誘導し、細胞内の一連の生化学変化を介して細胞死を導くので、癌や他の病気に対する治療法として期待できる。マイクロ波若しくは環状位相アレイシステム(APAS)などの高周波(RF)発熱療法を用いた最先端技術のシステムは、深在性腫瘍の局所的な加熱のためのエネルギーの調整を試みている。そのような技術は、組織の不均一性と、高度に分散した組織によって制限されている。これは、望ましい領域において付随して起こる不十分な用量とともに、標的でない組織における"ホットスポット"現象のいまだ解決されていない問題を導く。これらの要素は、そのようなシステムを有する特異的な領域の選択的な加熱を非常に困難にする。
【0012】
RF発熱療法に使用する別の戦略は、マイクロ波或いはRFベースアンテナ、若しくは自己調節熱種(シード)の外科的移植を必要とする。その侵襲性に加えて、このアプローチは、原発腫瘍の正確な位置を知ることを必要とするので、転移の治療に対して(たとえあるとしても)少ない選択肢しか提供しない。従って、シード移植片戦略は、検出されていない個々の癌細胞、若しくは原発腫瘍部位には直接隣接していない細胞クラスターを標的とすることはできない。この戦略の臨床的成功は、目的の腫瘍組織における標的の熱の発生に伴う問題によって阻まれる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
体の外にあるエネルギー源を用いた、病気の治療のための発熱療法は、数十年の間で認識されてきた。しかしながら、主要な問題は、目的の細胞或いは病原体へ致死量の熱を選択的に運搬する能力がないことであった。
【0014】
前記を考慮すると、疾患組織、病原体、または他の望ましくない物体を治療するために対象物の体内の標的に対して、特に脈管切除のためにエネルギーを選択的に送達することを組み込んだ温熱治療の方法が必要である。また、標的温熱療法を含む、疾患組織、病原体または他の望ましくない物体
を治療するための併用療法も必要である。
【0015】
したがって、本発明の観点は、標的特異的リガンドに付着されたエネルギー感受性材料を対象物の体、体の一部、組織または体液へ投与すること、及び腫瘍の血管分布を抑制または破壊(脈管切除)するためにエネルギー源を投与することを含む治療方法を提供する。
【0016】
本発明の観点ではまた、標的特異的リガンドに付着されたエネルギー感受性材料の対象物の体、体の一部、組織または体液への投与、及び標的を破壊、破裂、または不活性化するためにエネルギー源の投与(標的温熱療法)を含む、他の治療と併用して使用できる治療方法を提供する。
【0017】
本発明の他の観点ではまた、選択された細胞または組織へ、対象物の全身へ、または対象物の体、臓器または体液へ体外的に前記エネルギーを投与する。
【0018】
本発明はバイオプローブ(標的特異的リガンドに付着されたエネルギー感受性粒子)の対象物への投与と、前記バイオプローブが、マーカーされた標的を発見し結合するために処方された時間後に前記標的を破壊または不活性化し、あるいは、腫瘍の血管分布を抑制または破壊するようにエネルギー源を前記バイオプローブへ投与することを含む温熱療法に関する。本発明はまた、標的温熱療法と少なくとも1つの他の治療の併用を用いた温熱療法に関する。エネルギーは対象物の体、体部分、組織または体液(血液、血漿、血清、または骨髄のような)に直接投与するか、または対象物の体、臓器または体液に体外的に投与し得る。
【0019】
本発明の併用療法は前記の温熱療法方法と米国特許出願第US2003/0032995号、第US2003/0028071号、第10/360,578号、および第10/360,561号(各々、この参照により組み込まれる)に一般に所有されている開示の装置を少なくとも1つの他の治療とともに含むものである。前記他の治療は、例えば、直接的抗体療法;ハイパーサーミア(温熱療法)加温(渦電流、RF、およびマイクロ波放射、直接交流または直流、熱シード、温熱浴、非標的粒子加温、および電離放射線による加温);放射線治療(外部ビーム放射免疫療法、内部放射線治療、標的同位元素、および放射線活性化療法);化学療法および薬学的療法、全身性または局所性送達、局所的移植送達、抗体標的化、および光活性化薬剤;光線力学療法(PDT);手術およびインターベンション技術;骨髄および幹細胞移植;および医学画像法が含まれる。
【0020】
本発明は患者の疾患物質を治療するための標的温熱療法装置に関する。前記装置はバイオプローブまたは、感受体を有するバイオプローブシステム、感受体にエネルギーを与えるための交番磁場(AMF)を作る、AM誘導性誘導子)、および前記AMF誘導性誘導子に電源を与えるために誘導子に接続された発生器を含む。
【0021】
本発明はまた対象物の体、体部、組織、細胞または体液を治療するための治療方法に関する。前記方法はバイオプローブを標的に供給して、標的に標的温熱療法を施行することと、前記バイオプローブを交番磁場に暴露することと、前記標的に少なくとも1つの他の療法を施行することとを有する。前記の少なくとも1つの他の療法は、標的温熱療法の施行前、施行中、施行後、またはそれらの組合せで施行する。
【0022】
本発明はまた、腫瘍を有する対象物の体、体部分、または組織への標的温熱療法を前記体、体部分、または組織へ供給し、バイオプローブを交番磁場(AMF)に暴露し、前記AMFへの暴露に応答して前記体、体部分、または組織の血管系を破壊または抑制することからなる治療方法に関する。
【0023】
さらに、本発明は対象物の体、体部分、または組織、細胞または体液を治療するための治療方法に関する。前記方法は体、体部分、または組織、細胞または体液を医学画像化すること;およびバイオプローブを前記対象物の体、体部分、または組織、細胞または体液に導入することによる標的温熱療法を施行し、前記バイオプローブを交番磁場(AMF)に暴露することからなる。標的温熱療法は医学画像化の施行前、施行中、施行後、またはその併用で行う。
【0024】
本発明はまた、磁性材料組成物に関する。前記組成物は、磁気特性を有し、単一磁区を形成する粒子、粒子の生体適合性被覆材、および、疾患物質に結合する少なくとも1つの疾患物質マーカーに選択的であるリガンドを含むものである。前記リガンドはi)前記粒子の非被覆部分に結合するii)粒子の被覆部分に結合する、iii)前記粒子、および一部被覆された粒子に結合する、またiv)被覆材の間に挿入することができる。
【0025】
さらに、本発明はまた、磁性材料組成物に関するものである。前記組成物はバイオプローブを有し、前記バイオプローブは第1の療法と関連する磁気特性を有する粒子と、疾患物質と結合する少なくとも1つの疾患物質マーカーに選択的なリガンドを有し、前記リガンドは前記粒子と結合している。前記の組成物はまた、第2の療法と関連する薬剤を有し、前記薬剤はバイオプローブと結合する。
【0026】
本発明の上述の要約は、示した各実施形態若しくは本発明のすべての実施を説明することを意図したものではない。以下に続く図面及び詳細な説明は、これら実施形態を特に例示的に示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は磁性材料組成物とともに使用するための、疾患、病原または望ましくない組織または物体を治療するための装置および前記装置を利用して前記組織または物体を治療または除去するための方法に関するものである。本明細書に開示する治療方法は、目的の、または目標の物体にナノメートルの大きさの磁性粒子の標的送達を含むものである。
【0028】
1.定義
ここで用いられる「バイオプローブ」という用語は、感受体と少なくとも1つのリガンドとを有する組成物を意味している。前記リガンドは、前記バイオプローブを標的へと導くように作用する。
【0029】
ここで用いられる「感受体(susceptor)」という用語は、エネルギー源にさらされたとき、熱くなる若しくは物理的に動く物質の(選択的に被覆剤を有している)粒子を意味している。同様に"磁気感受体(magnetic susceptor)"という用語は、粒子が反応するエネルギー源が交番磁場(alternating magnetic field:AMF)であるような粒子を意味している。
【0030】
ここで用いられる「リガンド」という用語は、感受体(若しくは前記感受体上の被覆剤)に付着し、生物学的マーカーを標的にし接着する、分子若しくは化合物を意味している。Her−2(上皮成長因子受容体タンパク質)に特異的なモノクローナル抗体は、例示的なリガンドである。
【0031】
ここで用いられる「標的」という用語は、例えば病気の細胞、病原体、若しくは他の望ましくない物体などの、非活性化、破裂、破壊、若しくは破壊が望ましい物体を意味している。マーカーは前記標的に付着される。乳癌細胞は例示的な標的である。
【0032】
ここで用いられる「疾患物質」という用語は、対象物の体又は体の一部において、病的な、病気が引き起こした、又は望ましくない物質を指す。
【0033】
ここで用いられる「マーカー」という用語は、前記バイオプローブリガンドが特異的である、抗原若しくは他の物質を意味している。Her−2タンパク質は例示的なマーカーである。
【0034】
ここで用いられる「バイオプローブシステム」という用語は、マーカーを介して選択的に同定される標的に特異的なバイオプローブを意味している。
【0035】
ここで用いられる「適応(indication)」という用語は、病気などの医学的症状を意味している。乳癌は例示的な適応である。
【0036】
ここで用いられる「エネルギー源」という用語は、バイオプローブの感受体にエネルギーを運搬できる装置を意味している。
【0037】
ここで用いられる「AMF」(交番磁場の略称)という用語は、例えば正弦曲線、三角形、又は長方形といった形で、磁場ベクターの方向が定期的に変化する磁場を意味している。また、AMFは静磁場へも加えることができ、それにより結果として生じる磁場ベクターのAMF構成要素のみが方向を変える。当然のことながら、交番磁場は、交流電場を伴い、自然の電磁気である。
【0038】
ここで用いられる「RF」(高周波の略称)という用語は、約0.1Hz〜約900MHzの範囲での高周波を意味している。
【0039】
ここで用いられる「負荷サイクル(デューティサイクル)」という用語は、エネルギー源が1回のオン−オフサイクルにおいて稼動したり停止したりする全時間に対するエネルギー源の稼動時間の割合を意味している。
【0040】
ここで用いられる「ハイパーサーミア(温熱療法)」という用語は40℃〜45℃の間の温度に組織を加温することを指す。
【0041】
ここで用いられる「光線」という用語は紫外線(UV)、赤外線(IR)、または他のすべての波長の光線、またはレーザー形態の光線を指す。
【0042】
ここで用いられる「標的温熱治療装置」、「療法装置」、「標的療法」、「温熱療法」、および「療法源」という用語は米国特許出願第US2003/0032995号,第US2003/0028071号、第10/360,578号、および第10/360561号に開示されたこれらを含む、適応症の治療のためにバイオプローブの標的送達を含む方法と装置を指す。
【0043】
本明細書および追加の請求項で用いられる「a」と「an」と「the」の単数形は、文脈が明確に指示しないかぎり、複数例を含むものである。
【0044】
2.標的温熱療法装置
図1に示す実施態様である標的温熱療法装置は、例えば、交番磁場を生じるための交番磁場(AMF)発生器101などのエネルギー源を含み、この交番磁場は磁気回路102によって患者105内の特定部位に誘導される。本発明の治療方法は前記患者の1若しくはそれ以上の部位に疾患物質が存在することが決められた後に実施される。例えば、前記疾患物質は癌および癌性組織、病原性感染症(ウイルス、細菌、または多細胞性寄生等)、毒素またはあらゆる病原体様物体(例えばプリオン)の何れか1つか、またはそれらの組合せである。診断する方法は本発明には含まれず、あらゆる標準の方法を用いて実施される。しかし、本発明またはその態様は、診断機能単独でも、または他の方法や装置を併用しても応用できる。このような診断機能は、バイオプローブの磁気特性を調べてそれらの患者内の濃度や位置を評価するために、適切な技術または手技を用いて実施されても良い。バイオプローブの前記の位置や濃度は、各々、磁気共鳴映像法のような既存の手技を用いて決定するか、または、他の診断手技を超伝導量子干渉素子(SQUID)のような適切な磁気計を用いて確立し実施することができる。このような取調べから得られる情報は治療のパラメータ、すなわち、交番磁場の位置、時間および強度を定義するために用いられ得る。患者をX−Yの水平および垂直軸位置決めベッド106の上に横たわらせることができる。ベッド106はベッド調節装置108を用いて水平および垂直の両方に位置を合わせることができる。本発明の一実施形態において、AMF発生器は、1つの極面104で前記磁気回路を放射する磁気回路102においてAMFを発生し、このAMFは、空隙および前記の患者の目的の治療部位を通過して、そして反対の極面104を通ってこの回路に再び入り、前記回路を完了する。操者または医療技術者はコントロールパネル(制御盤)120を介してAMFの特性とベッドの位置を調節し、監視することができる。
【0045】
図2は本発明の実施形態に従った疾患物質を治療するための装置における患者の治療を図示する。患者の治療部位205は位置合わせ可能なベッド206を用いて磁極204間の領域に局在化される。この領域は胸部、腹部、頭、頚、背中、脚、腕、皮膚のすべての部位を含む患者のあらゆる部位であり得る。AMFは前記患者の治療部位205に適用されても良い。磁束線212が示すように磁場は限局化された部位で健常および疾患物質の両方と相互作用する。疾患物質の特定のタイプに選択的な少なくとも1つの適切なリガンドを含むバイオプローブ210は、疾患物質214または、少なくとも前記疾患物質付近と結合する。図の症例では、バイオプローブ210は乳癌に選択的である。バイオプローブ210は適用されたAMFによって励磁され、前記疾患物質を殺すか、または無効にするのに十分な温度まで誘導的に加熱される。例えば、バイオプローブ210において発生した熱は細胞に伝わり、これによって細胞を死に至らしめる。
【0046】
さらに、極204は体の他の部分を治療できるように隙間を調節できる部品から形成され得る。極204間の隙間は、疾患物質を含んだ体の一部が前記隙間に入ることができるほど十分に大きいものであるが、磁野の強度が減少されるほど大きくないものに設定することが有利である。また、二次コイル208および選択的なコア209も示される。一次コイル208’および極204間のコアによって作られる磁束の分布を変えるために、これらの二次コイルと選択的なコアの数をいくら追加しても良い。二次コイル208は一次コイル208’と直列式に、または並列式につなぐか、またはこれらは別々のAMF発生器によって駆動することができる。これらのコイルによって作られるAMFの位相、パルス幅および振幅は、前記の隙間で磁場の強度を最大にするか、AMFに感度が高い部位における磁場強度を最小限にするか、または望ましい方法で磁場強度を均一に分布させるように調節されても良い。
【0047】
標的温熱療法装置は対象物の体内(患者の内部)、体外(患者の外部)、又はそれらの組み合わせに対して治療を実施するために使用されても良い。体外治療において、バイオプローブは、血液を体の外に循環し、AMFに暴露し、さらに前記体に戻ることによって目的標的物を溶解、変性、或いは破壊するために使用されても良い。バイオプローブ/標的複合体が主に血清または血漿中で運搬される場合、血清または血漿は他の血液構成成分から体外的に分離され、AMFに暴露されて標的が破壊され、さらに、血液が体に戻る前に他の血液構成成分と再び混合される。前記のバイオプローブはまた、体の外側を循環する血液または、血清または血漿が流れる血管またはカラムに入れてもよい。血液が体内に戻る前に標的を破壊するために、前記脈管またはカラムはAMFに暴露されても良い。この液が体外で治療される場合、液を患者から抜き出した後または抜き出す前にバイオプローブは前記液に導入されてもよい。
【0048】
2.1.標的温熱療法装置のバイオプローブ
図3は本発明の実施形態に従ったバイオプローブの構成を開示するものである。バイオプローブ390は磁気エネルギー感受性粒子342を有する。感受体とも呼ばれるこの磁性粒子342には被覆材344が含まれても良い。被覆材344は完全にまたは、部分的に感受体342を被覆しても良い。抗体には限らないが、抗体のような少なくとも1つの標的リガンド340をバイオプローブ390の外部に配置する。前記標的リガンド340は特定のタイプの細胞または疾患物質のような標的を捜しだして、結合するように選択する。感受体342がAMFのようなエネルギー源に暴露されると感受体342において熱が生成される。被覆材344は、特に被覆材344の粘度の高いもの、例えば、高分子材料である場合、バイオプローブ390の加熱特性が強化される。
【0049】
一般的な意味では、この材料の磁気特性が適用された交番磁場に応じて振動を余儀なくされるので、この熱はエネルギー喪失を表すものである。磁場の1サイクル当たりに生成される熱量とエネルギー喪失の原因であるメカニズムは感受体342と磁場の両方の特質に依存する。感受体342はAMFを受けるとキュリー温度として知られる固有の温度に加熱する。前記キュリー温度は磁性材料の強磁性から常磁性への可逆的な転移の温度である。この温度以下で、磁性材料は印加されたAMFで加熱する。しかし、キュリー温度以上で、磁性材料は常磁性になり、その磁区はAMFに感受性が鈍くなる。したがって、前記磁性材料はキュリー温度以上でAMFに暴露された場合は、熱を生成しない。前記磁性材料がキュリー温度以下の温度に冷却されると、その磁気特性を回復し、AMFが存在する限り加熱を開始する。このサイクルはAMFに暴露されている間、持続的に繰り返される。したがって、磁性材料は加熱の温度を自己調節することができる。感受体342が加熱する温度は、なかんずく、磁性材料の磁気特性、磁場の特質、および標的部位の冷却能に依存性である。磁性材料とAMF特質の選択は特定の組織または標的のタイプの治療効果を最適化できるように調整され得る。本発明の実施態様において、前記磁性材料は約40℃〜約150℃の間のキュリー温度を有するように選択され得る。
【0050】
材料組成物、サイズ、および形態のような感受体342の多くの性状が加熱特性に直接影響する。これらの特性の多くは組織タイプ内に存在する特定の条件に加熱特性を合わせるように同時に設計され得る。例えば、感受体342に最も望ましいサイズ範囲は特定の用途と感受体342を有する材料に依存する。
【0051】
感受体342のサイズによって、バイオプローブ390の全体のサイズが決定される。注入されるバイオプローブ390は球形で、血流中での長期の滞留時間を有する必要があり、すなわち、肝臓および他の非標的の臓器による腐骨化を避ける必要がある。バイオプローブ390はその直径が約30nm未満である場合、腐骨化を避ける上で効を奏するものであってもよい。バイオプローブ390がマグネタイト(Fe)粒子342を含む場合、感受体342の直径は約8nm〜約20nmの間であっても良い。この場合、バイオプローブ390は肝臓を回避できるほど十分小さいが、磁性粒子342はなお十分な磁気モーメントを保持しており、適用AMFで加熱される。約8nmより大きいマグネタイト粒子は一般にフェリ磁性になる傾向があり、したがって、疾患の治療に適切となる。コバルトのような他の元素をマグネタイトに付加した場合、このサイズの範囲はより小さくできる。これは、コバルトが一般にマグネタイトより大きい磁気モーメントを有し、これがコバルト含有の感受体342の全体の磁気モーメントをもたらすという事実から直接生じる。一般に、バイオプローブ390のサイズは約0.1nm〜約250nmであるが、適応する疾患およびバイオプローブ組成物によって異なる。
【0052】
本明細書において使用する感受体の実施例は、酸化鉄粒子およびFeCo/SiO粒子を含む。いくつかの感受体は1,300エルステッド粒子束密度および150kHz周波数で、粒子1グラム当たり約310ワットの特定吸収率(SAR)を有し、シリーズEMG700およびEMG1111の直径約110nmの酸化鉄粒子などがFerrotec Corp.(Nashua,NH)から入手可能である。FeCo/SiO粒子(Inframat社(Willington,Connecticut)から入手可能)のような他の粒子は、同じ磁場条件下で粒子1グラム当たり約400ワットのSARを有する。
【0053】
感受体342のサイズを決めると同時に、その材料組成物が特定の標的に基づいて決定され得る。磁性材料の自己制限温度またはキュリー温度が、送達される全熱量となる前記材料組成物に直接関連しているために、磁性粒子組成物は異なった組織または標的のタイプに合わせる。これは、その組成物および体内での位置を考慮すると、各々の標的タイプは固有の加熱および冷却能力を所有するため必要である。例えば、血液供給の悪い部位で、比較的保護されている部位内にある腫瘍は、主要血管の近くにある腫瘍より低いキュリー温度材料を必要とする。同様に、血流中にある標的は異なったキュリー温度の材料を必要とする。このように、マグネタイトに加えて、粒子組成物はコバルト、鉄、希土類金属などのような元素を含み得る。
【0054】
被覆材344の存在と被覆材料の組成物によってエネルギー喪失の不可欠な部分が形成され、したがって、バイオプローブ390によって熱が産生される。さらに、被覆材344はさらなる目的を果たす。前記被覆材344はバイオプローブコア342の全体を覆う必要はなく、前記コア342を部分的に覆うこともできる。前記被覆材344は患者の免疫原性防衛機構から磁性材料を分離する生体適合性層を提供し、それによって、血液中または組織液内の粒子の滞留時間を調節できる。
【0055】
このように滞留時間を調節することによって、特定の組織タイプに最も適したターゲティングリガンド340を選択することが可能になる。さらに、被覆材344は、感受体342内の毒性の可能性がある要素から患者を保護するために役に立つ。バイオプローブ390は液中に懸濁されるため、被覆材料の二次的機能は粒子の凝集を防ぐことである。また、生体分解性または吸収性である生体適合性被覆材でバイオプローブ390を被覆することは有利である。このような使用において、被覆材344および感受体342は共に前記体によって消化され吸収される。
【0056】
被覆材344に適切な材料は合成ポリマ―および生物学的コポリマーおよびポリマー混合物並びに無機材料が含まれる。ポリマー材にはアクリレート類、シロキサン類、スチレン類、アセテート類、アルキレングリコール類、アルキレン類、アルキレンオキシド類、パリレン類、乳酸、グリコール酸およびそれらの混合物が含まれる。さらに、適切な被覆材には、ヒドロゲルポリマー、ヒスチジン含有ポリマーおよびヒドロゲルポリマーとヒスチジン含有ポリマーの混合物が含まれる。
【0057】
被覆材には多糖類、ポリアミノ酸類、蛋白質類、脂質類、グリセロール類、脂肪酸類、およびそれらの混合物のような生体物質が含まれる。被覆材として使用するための他の生体物質には、ヘパリン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、キチン、キトサン、セルロース、デキストラン、アルギン酸塩、澱粉、炭水化物、およびグリコサミノグリカンが含まれる。蛋白質には細胞外基質蛋白質、プロテオグリカン、糖蛋白質、アルブミン、ペプチドおよびゼラチンが含まれてもよい。これらの材料はまたすべての適切な合成ポリマー材料と組み合わせて用いられてもよい。
【0058】
無機被覆材料は、金属、合金およびセラミックのあらゆる組合せが含まれてもよい。セラミック材料の実施例はヒドロキシアパタイト、炭化珪素、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、フェライト、ホスホン酸塩、および元素周期表の第IV族元素の酸化物類が含まれる。これらの材料によって、生物的ポリマーまたは合成ポリマーを含む混成被覆材が形成されてもよい。感受体342は生体適合性である磁性材料から形成される場合、その粒子の表面自体が生体適合性被覆材として機能する。
【0059】
被覆材344はまた、バイオプローブ390の細胞内への輸送を促進する(トランスフェクションとして知られる過程)ように働いても良い。トランスフェクション物質として知られるこのような被覆材料には、ベクター類、プリオン類、ポリアミノ酸類、陽イオンリポソーム類、両親媒性物質類、非リポソーム脂質類、またはそれらの混合物が含まれてもよい。適切なベクターはプラスミド、ウイルス、ファージ、バイロン、またはウィルス被膜であってもよい。バイオプローブ被覆材は、特定の混合物を特定のタイプの異常細胞および患者の体内の特定部位に合うようにトランスフェクション物質と有機、無機材料と混合した複合材料であり得る。
【0060】
バイオプローブ390が標的に選択的に付着、または結合(会合)することを確実にするために、適切なリガンド340をバイオプローブ390に組み合わせてもよい。バイオプローブ390に結合(会合)したリガンド(1つまたは複数)によって、細胞上の癌または疾患マーカーを標的にすることが可能になる。これはまた、患者内の生体物体を標的にすることを可能にする。用語リガンドは、例えば、蛋白質類、ペプチド類、抗体類、抗体断片類、糖類、炭水化物類、グリカン類、サイトカイン類、ケモカイン類、ヌクレオチド類、レクチン類、脂質類、受容体類、ステロイド類、神経伝達物質類、クラスター標識(designation)/分化(CD)マーカー類、刷り込みポリマー、および類似の物を含む分子を標的にする化合物に関連する。蛋白質リガンドの実施例は、細胞表面蛋白質、膜蛋白質、プロテオグリカン類、糖タンパク質類、ペプチド類および類似の物が含まれる。ヌクレオチドリガンドの実施例は、完全なヌクレオチド類、相補性ヌクレオチド類、およびヌクレオチド断片類が含まれる。脂質リガンドの実施例は、リン脂質類、糖脂質類および類似の物が含まれる。リガンド340は、感受体342または、被覆材344と共有結合するか、または物理的に相互作用し得る。リガンド340は感受体342の被覆されていない部分と共有結合するか、または物理的に相互作用し得る。リガンド340は342の被覆されていない部分および被覆材344によって部分的に覆われている部分と共有結合するか、または物理的に相互作用し得る。リガンド340はバイオプローブ390の被覆された部分と共有結合するか、または物理的に相互作用し得る。リガンド340はバイオプローブ390の被覆された部分に挿入され得る。
【0061】
共有結合はリンカー分子で達成され得る。本明細書で用いられる用語「リンカー分子」はリガンド340上、および感受体342上、または被覆材344上の特定の官能基を標的とし、従って、リガンド340と感受体342または被覆材344の間で共有結合を形成する。結鎖反応に用いられる官能基の実施例は、アミン、スルフヒドリル基、炭水化物類、カルボキシル類、ヒドロキシル類および類似の物を含む。連結剤は、例えば、カルボジイミド類、スルフォーNHSエステルリンカー類、および類似の物などのホモ二官能性またはヘテロ二官能性架橋剤であってもよい。前記連結剤はまた、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド架橋剤であってもよい。前記連結剤はリガンド340と感受体342または被覆材344を好ましい方向で、特に標的に対して利用可能なリガンド340の活性部位で連結するために選ばれる。物理的相互作用では、結合分子及びリガンド340が、例えば吸収、吸着、または挿入などの非共有結合的な方法によって、直接感受体342または被覆材344に結合する必要はない。
【0062】
図4は本発明の実施形態において用いられるリガンドの実施例を図式で示すものである。前記リガンドは断片結晶化(Fc)領域460と断片抗原結合領域472を有する抗体であってもよい。Fab領域472は抗体の抗原結合領域であり、これには軽鎖可変領域464と軽鎖定常領域466が、重鎖可変領域468と重鎖定常領域470とともに含まれていてもよい。抗体の生物活性は大部分が抗体分子のFc領域470によって決定されてもよい。Fc領域460には補体活性定常重鎖482とマクロファージ結合定常重鎖484が含まれてもよい。Fc領域460とFab領域472はいくつかのジスルフィド結合462によって結合されていてもよい。Fc領域460を含まないリガンドが免疫原性応答を避けるために好ましいものであってもよい。これらのリガンドの実施例は、抗体断片、断片抗原結合断片(Fabs)472、ジスルフィド安定化可変領域断片(dsFVs)474,一本鎖可変領域断片(scFVs)480、組み換え型一本鎖抗体断片およびペプチドが含まれてもよい。
【0063】
抗原結合断片(Fab)472は抗体の単一Fab領域472を含むものであってもよい。単一Fab領域472には、重鎖可変領域468と重鎖定常領域470にジスルフィド結合によって結合した軽鎖可変領域464と軽鎖定常領域466が含まれてもよい。ジスルフィド安定化可変領域断片(dsFV)474は、ジスルフィド結合によって結合された抗体の重鎖可変領域468と軽鎖可変領域464を含んでいてもよい。ペプチドであるリーダー配列476は軽鎖可変領域464と重鎖可変領域468に結合されていてもよい。一本鎖可変領域断片(scFV)480にはリンカーペプチド478によって結合された抗体の重鎖可変領域468と軽鎖可変領域464が含まれていてもよい。リーダ配列476は重鎖可変領域468に結合されていてもよい。
【0064】
本発明のリガンドの実施形態の実施例は、例えば、ポリクローナル抗体類、モノクローナル抗体類、キメラ抗体類、ヒト化抗体類、ヒト抗体類、遺伝子組み換え抗体類、二重特異性抗体類、抗体断片類、scFVs480、Fabs472、dsFVs474,組み換え型単一鎖抗体断片類、ペプチド類および類似の物が含まれてもよい。二重特異性抗体は、通常2つの異なる抗原上で選択される2つの異なるエピトープを結合する非天然性抗体である。二重特異性抗体は通常、2つの異なる断片抗原結合領域(Fabs)472から構成される。二重特異性抗体はジスルフィド結合462をFc領域で分割して抗体を二つの半分に分割することによって形成されてもよい。次に、異なったFab領域472を有する2つの抗体の半分は結合して典型的な「Y」構造を有する二重特異性抗体が形成される。1若しくはそれ以上のリガンドがバイオプローブ構造内に存在しても良い。ヒト抗体、キメラ抗体、およびヒト化抗体は患者の免疫原性応答の回避を補助し得るが、抗体が標的と結合するとすれば、異なった起源の抗体がこのような実施形態にしたがって使われ得る。
【0065】
マーカー(抗原)の選択はバイオプローブを利用する療法において有用である。乳癌およびその転移の場合、1つの特定のマーカーまたは複数のマーカーが、例えば、MUC型ムチンファミリーのメンバー、上皮成長因子(EGFR)受容体、癌胎児性抗原(CEA)、ヒト癌抗原、血管内皮成長因子(VEGF)抗原、黒色腫抗原(MAGE)遺伝子、家族抗原、T/Tn抗原、ホルモン受容体、成長因子受容体、クラスター標識(designation)/分化(CD)抗原、癌抑制遺伝子、細胞周期調節因子、癌遺伝子、癌遺伝子受容体、増殖マーカー、接着分子、細胞外基質の分解に関与するプロテイナーゼ、悪性転換関連因子、アポトーシス関連因子、ヒト癌抗原、糖蛋白質抗原、DF3、4F2、MGFM抗原、乳房腫瘍抗原CA15−3、カルポニン、カテプシン、CD31抗原、増殖型細胞核抗原10(PC10)およびpS2のような細胞表面マーカーから選択されてもよい。
【0066】
他の形態の癌およびその転移の場合、1つの特定のマーカー又は複数のマーカーは、例えば、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)ファミリー、癌胎児性抗原(CEA)ファミリーのメンバー、抗イディオタイプmABの一種、ガングリオシド擬態の一種、クラスター標識(designation)/分化抗原のメンバー、上皮成長因子受容体(EGFR)ファミリーのメンバー、細胞接着分子の一種、MUC型ムチンファミリーのメンバー、癌抗原の一種(CA)、マトリックスメタロプロテイナーゼの一種、黒色腫結合抗原(MAA)の一種、蛋白質分解酵素、カルモジュシン、腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリーのメンバー、血管新生因子マーカー、T細胞(MART)抗原によって認識された黒色腫抗原、黒色腫抗原コード化遺伝子(MAGE)ファミリーのメンバー、前立腺膜特異的抗原(PMSA)、小細胞肺癌抗原(SCLCA)、T/Tn抗原、ホルモン受容体、癌抑制遺伝子抗原、細胞周期調節因子抗原、癌遺伝子抗原、癌遺伝子受容体抗原、増殖マーカー、細胞外基質の分解に関与するプロテイナーゼ、悪性転換関連因子、アポトーシス関連因子、およびヒト癌抗原の一種のような細胞表面マーカーから選択されてもよい。
【0067】
本発明の一実施形態において、バイオプローブはガン細胞に付着または会合し、AMFに暴露される。生成される熱はガン細胞を直ちに、またはやがて(例えばアポトーシス)破壊または不活性化し、このガン細胞は吸収されるか、または体から除去される。さらに、アポトーシスによって死亡した細胞はHSP70のような熱ショック蛋白質を発現し、放出し、このHSP70の存在によって残存するガン細胞に対する免疫反応が刺激される。このような刺激された免疫応答は癌の将来の発症から個人を守るように働き得る。
【0068】
他の実施形態において、リガンド340(図3)は患者の免疫系疾患に関連する事前決定の標的を目的物としてもよい。特定の標的とリガンド340は、免疫疾患の種類に特異的であり得るが、これらに限定されない。リガンド340は細胞マーカーまたは目的のマーカーに親和性を有するものであってもよい。前記マーカー或いは前記複数のマーカーは患者の免疫系のT細胞またはB細胞上において生存能力のある標的を示すように選択されてもよい。前記リガンド340は、例えば、蛋白質、サイトカイン、ケモカイン、感染性生物および類似の物のような患者の免疫系の疾患に関連する標的に親和性を有するものであってもよい。
【0069】
他の実施形態において、リガンド340は病原体媒介性状態に関連する事前決定の標的を対象としてもよい。この特定の標的とリガンド340は、病原体媒介性状態のタイプに特異的であるが、これに限らない。病原体とは、例えば、細菌、ウイルス、微生物、菌および寄生虫のような疾患産生物質として定義される。リガンド340は前記病原体または病原関連物質に親和性を有してもよい。リガンド340は細胞マーカーまたは病原体性病状に関連するマーカーに親和性を有してもよい。前記1つのマーカー或いは前記複数のマーカーは、それらが感染細胞上の生存できる標的を示すように選択されてもよい。
【0070】
病原体媒介性状態に対して、リガンド340は前記病原体自体を標的とするように選択され得る。細菌性状態の場合、事前決定の標的は、例えば大腸菌または炭疽菌などの細菌自体であってもよい。ウイルス性状態の場合は事前決定の標的は、ウイルス自体、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタインーバーウイルス(EBV)、B型肝炎ウイルスのような肝炎ウイルス、HIVまたはHIV−1あるいはHIV−2などのヒト免疫不全ウイルス(エイズ・ウイルス)、またはヘルペスウイルス6などのヘルペスウイルスである。寄生虫病状の場合、事前決定の標的は寄生虫自体、例えば、クルーズトリパノソーマ、キネトプラスト(Kinetoplastid)、マンソン住血吸虫、日本住血吸虫、またはSchistosoma bruceiである。真菌病状の場合は、事前決定の標的は真菌自体、例えば、アスペルギルス属、クリプトコッカス・ネオフォルマンスまたはリゾムコール属である。
【0071】
他の実施形態において、リガンド340は望ましくない標的と関連する事前決定の標的を目的物としてもよい。この特定の標的とリガンド340は、これに限定されないが、望ましくない標的のタイプに特異的あってもよい。望ましくない標的は、疾患または望ましくない状態に関連し得るが、正常状態にも存在する標的であってもよい。例えば、標的は高い濃度で存在するか、または、疾患または望ましくない状態において変えられていてもよい。リガンド340は望ましくない標的または望ましくない標的に関連する生物分子経路に対して親和性を有するものであってもよい。リガンド340は細胞マーカーまたは望ましくない標的に関連するマーカーに対して親和性を有するものであってもよい。
【0072】
望ましくない標的の場合、事前決定の標的の選択は、バイオプローブを使用する療法において重要である得る。リガンド340は疾患または望ましくない状態に関連する生物的物体を標的とするように選択され得る。動脈硬化症の場合、事前決定の標的は、例えば、低比重リポ蛋白質(LDL)上のアポリポ蛋白質Bである。肥満症の場合、事前決定の1つのマーカー若しくは複数のマーカーは、例えば、胃抑制ポリペプチド受容体の1つおよびCD36抗原のような細胞表面マーカーから選択され得る。他の望ましくない事前決定の標的は凝固した血液であてもよい。
【0073】
他の実施形態において、リガンド340は患者に移植された臓器への反応と関連する事前決定の標的を目的物としてもよい。この特定の標的とリガンド340は、これに限定されないが、臓器移植のタイプに特異的であってもよい。リガンド340は臓器移植反応に関連する生物分子に親和性を有するものであってもよい。リガンド340は臓器移植反応に関連する1つの細胞マーカー若しくは複数の細胞マーカーに親和性を有するものであってもよい。前記1つのマーカー若しくは複数のマーカーは、患者の免疫系のT細胞またはB細胞上において、生存能力のある標的を示すように選択されてもよい。
【0074】
他の実施形態において、リガンド340は患者内の毒素と関連する事前決定の標的を目的物としてもよい。毒素は、これらに限定されないが、細菌性毒素、植物毒素、昆虫毒素、動物毒素、および人工的毒素を含む生物によって産生されるあらゆる毒素として定義される。この特定の標的とリガンド340は、これらに限定されないが、前記毒素のタイプに特異的であってもよい。リガンド340は前記毒素または前記毒素への反応と関連する生物分子に対して親和性を有するものであってもよい。リガンド340は毒素への反応と関連する1つの細胞マーカー若しくは複数の細胞マーカーに親和性を有するものであってもよい。
【0075】
他の実施形態において、リガンド340はホルモン関連疾患と関連する事前決定の標的を目的物としてもよい。この特定の標的とリガンド340は特定のホルモン疾患に(限定されず)特異的である得る。リガンド340はホルモンまたはホルモン経路と関連する生物分子に親和性を有するものであってもよい。リガンド340はホルモン疾患と関連する1つの細胞マーカー若しくは複数の細胞マーカーに親和性を有するものであってもよい。
【0076】
他の実施形態においてリガンド340は非癌性疾患組織に関連する事前決定の標的を目的物としてもよい。この特定の標的とリガンド340は、これらに限定されないが、非癌性疾患沈着物および前駆体沈着物のような特定の非癌性疾患組織に特異的であってもよい。リガンド340は非癌性疾患組織に関連する生物分子に親和性を有するものであてもよい。リガンド340は非癌性疾患組織に関連する1つの細胞マーカー若しくは複数の細胞マーカーに親和性を有するものであってもよい。
【0077】
他の実施態様において、リガンド340は蛋白質性病原体を目的物としてもよい。この特定の標的とリガンド340は、これらに限定されないが、特定の蛋白質性病原体に特異的である得る。リガンド340は蛋白質性病原体と関連する1つの細胞マーカー若しくは複数の細胞マーカーに親和性を有するものであってもよい。伝染性海綿状脳症としても知られているプリオン病の場合は、事前決定の標的は、例えば、プリオン蛋白質3F4であり得る。
【0078】
バイオプローブシステムのいくつかの典型的な実施例を使用される関連適応症とともに表1に上げる。
【0079】
【表1−1】

【0080】
【表1−2】

【0081】
【表1−3】

【0082】
【表1−4】

【0083】
【表1−5】

【0084】
【表1−6】

【0085】
図5は被覆材544を有する感受体542を有するバイオプローブ590が1若しくはそれ以上のターゲティングリガンド540によって、標的(細胞のような)に付着または関連している本発明の一実施形態を図示する。細胞546はいくつかのタイプのマーカー548および550を発現し得る。バイオプローブ590の特異性は、細胞546上の多くの他のマーカーまたは分子548のうちの目標としたマーカー550に付着することによって示される。1若しくはそれ以上のバイオプローブ590はリガンド540を用いて細胞546に付着または関連し得る。リガンド540は適合されてもよく、さらにバイオプローブ590は細胞546上においてバイオプローブ590がの外部に維持されるように設計されるか、または、細胞546の中に取り込まれてもよい。細胞546に一旦結合すると、前記感受体542は、吸収されたエネルギーに応答して活性化される。例えば、前記感受体542は吸収されたエネルギーに応答して昇温し得る。この熱は、例えば、対流、伝導、放射またはこれらの熱伝達メカニズムの組合せによって被覆材544を通って、または隙間部分を通って細胞546へ伝わり得る。この加熱された細胞546は好ましくは回復できない損傷を生じるような様式で損傷を受ける。バイオプローブ590が細胞546内に取り込まれた場合、バイオプローブ590は対流、伝導、放射またはこれらの熱伝達メカニズムの組合せによって細胞546を内部的に加熱し得る。十分なエネルギー量がバイオプローブ590から細胞546に伝達されると、細胞546は壊死、アポトーシス、または他の機序によって死亡する。
【0086】
治療のために目的領域にバイオプローブ590を投与する方法、および投与量は、これらに限定されないが疾患物質のタイプおよび部位に依存し得る。バイオプローブ590のサイズの範囲によって、精密濾過滅菌が可能になる。投与方法は、例えば、洗浄、スポンジまたはペリサージカル(perisurgical)投与手技としての他の手術用布を用いたすすぎとしての洗浄などである。他の投与方法は、血管内注入、静脈注射、腹膜内注入、皮下注射、および筋肉注射を含む。バイオプローブ590は例えば、水、食塩水、リンゲル液、デキストロース、アルブミン溶液、または油のような媒体に入れた注射可能な形式(懸濁剤、乳剤)に処方してもよい。バイオプローブ590はまた、軟膏またはローションを介したパッチにより経皮的に局所適用を通じて患者に投与されてもよく、錠剤、カプセルまたは液体に懸濁して経口的に摂取されるか、または座薬剤型で直腸から挿入されてもよい。バイオプローブ590はまた、口または鼻を介して吸入に適切な噴霧剤またはプレエアゾール剤形中に懸濁されてもよい。一旦患者に投与されると、バイオプローブ590の標的部位への輸送は前記バイオプローブの磁性性質のために、適用された静磁場によって補助され得る。輸送の補助は標的の位置に依存し得る。
【0087】
2.2.単一磁区粒子
磁性体はその静磁場エネルギーを最小限にするために磁壁(Bloch壁)によって区分された均一磁化領域(磁区)に分割されることは周知である。このタイプの磁性構造は多磁区構造と呼ばれる。最小限にされるエネルギーは静磁場エネルギー、交換エネルギー、および異方性エネルギー並びに磁壁自体のエネルギーの合計である総エネルギーである。従って、磁区構造と形態は、エネルギーの最終的バランスによって決まる。
【0088】
磁性体すなわち、結晶のサイズを小さくすると、磁区のサイズもまた減少し、その構造は磁壁の幅および構造と同様に変化する。エネルギー壁形成の損失により、静磁場エネルギーとのバランスを維持するために、磁区内の区画分は特定の最適な磁区サイズに制限される。実に、磁壁の形成によって増加するエネルギーは、1つの磁区をより小さい磁区に分割して減少するエネルギーより大きいので、結晶サイズの対応する下限があり、それ以下では単一磁区構造のみが存在できる。
【0089】
標準的な磁性体の場合、前記サイズの限界は約20〜800nmの範囲であり、自然発生的磁化および異方性エネルギーおよび交換エネルギーに依存する。多磁区から単一磁区構造への変化には保磁場(coercive field)の強力な増加が伴う。サイズの限界の変動は材料組成物、材料形態および異方性エネルギーや交換エネルギーのような結晶特性によって生じ、また支配される。言い換えると、材料の形態と結晶特性は材料の処理と環境条件すなわち、サンプルの履歴によって決定されるので、材料組成物でさえも単一磁区のサイズを断定的に述べることはできない。このように、各々のサンプルは平均の磁区構造を決定するために個々に特徴づける必要がある。
【0090】
超常磁性粒子:単一磁区粒子の異方性エネルギーは最初に得られる近似の結果で、体積Vに対して比例する。一軸異方性の場合、関連エネルギー障壁、容易磁化の分割、結晶の方向(すなわち、磁化ベクターの低エネルギー方向、またはスピンシステム)はE=KVである。このように、粒子のサイズを減少すると、異方性エネルギーは減少し、また、固有値より低い粒子サイズの場合、このエネルギーは極めて低くなり、熱エネルギーkT に相当するか、またはそれより低くなる。これは磁化反転のためのエネルギー障壁が克服されて、次に粒子の全磁気モーメントが常磁性体内で単一スピンのように熱的に変動することができることを意味する。このように、全体のスピンシステムが回転され、単一磁区粒子内のスピンは磁気的に結合されたままになる(強磁的にまたは反強磁的に)。このような超微細の、独立した磁性粒子の集まりの磁気的挙動は超常磁性と呼ばれる[また、超常磁性に関する説明はJ.L.Dormann,"Magnetic Relaxation in Fine−Particle Systems",Advances in ChemicalPhysics,Vol.XCVIII,ISBN 0−471−16285−X,1997,Wiley & Sons,Inc.283〜494頁をも参照されたい]。
【0091】
超常磁性挙動は指定された範囲のサイズを有する粒子によって示される。これらは小さすぎると、ほとんどすべての原子が表面に並び、バルク特性に関して強く変えられた電子特性および磁気特性を生じ、超常磁性モデルは使用することができない。このことは、磁気モーメントの緩和が生じないことではなく、それを支配する法則が異なっていると予測される。超常磁性挙動は、いくつかのパラメータによって異なるので、そのサイズの下限を正確に述べることは困難である。多くの場合において、そのサイズは約2nmであると考えられる。上限に関しては、単一磁区状態と構造が有効(いくつかの特定の場合には、不確実である)である限り、原則として単一磁区粒子の特徴的サイズによって決まる。実際に超常磁性緩和のための磁性材料の特徴的粒子サイズは異方性定数と磁気飽和値に依存する。例えば、一軸異方性でK=5(10 erg/cmの場合、球形粒子では、これは特徴的粒径φ(20 nmに一致する。
【0092】
微細磁性粒子の場合、実際の磁性反応は前記粒子の材料特性と物理的特性に依存するだけでなく、克服するエネルギー障壁に関連する相関時間(τ)に関する特定の実験手技の測定時間(τ)の値にも依存する。特徴的緩和時間τはE/kT比と指数関数的に変動する。τ>>τの場合、緩和時間は極めて速いと思われるので、磁化方向の時間平均が実験的時間枠内で観察され、また、粒子のアセンブリは常磁性システム様に挙動し、すなわち、超常磁性挙動が観察され、またサンプルは超常磁性状態となると思われる。反対に、τ<<τの場合、緩和時間は極めて遅くなると思われ、粒子の表面構造によって強く影響されるが、磁気により規定配列された結晶のように準静的特性が観察される(ブロック化状態)。
【0093】
2つの状態を分けるブロッキング温度Tはτ=τの温度として定義される。したがって、Tはφと同様固有に定義されないが、実験手技の時間の長さに関連する。1つの例として、290KでのFe(K=4.4(10 erg/cm)の場合、それより下で超常磁性緩和が観察され、それより上で準静的特性が観察される超常磁性の特徴的粒径は、直流磁化率測定で
【0094】
【数1】

であり、他方、はるかに短い測定時間を有するMossbauerスペクトロスコピー実験では
【0095】
【数2】

である。
【0096】
磁性粒子のブロック化温度Tはサイズが大きくなるにつれて増加し、所定のサイズの場合、測定時間が減少すると増加し、しかも、ブロック化状態の超常磁性の観察は実験手技に依存する。Tの最高値はキュリー(或いはニール)温度によって示され、この温度で、超常磁性から常磁性状態への転移が起こる。マグネタイトの場合、これは約858Kである。現在超常磁性緩和の研究に用いられている手技は直流磁化率法、交流磁化率法、Mossbauerスペクトロスコピー、強磁性共振および中性子回折である。表IIは各々測定手法と関連する時間枠を示す。
【0097】
【表2】

【0098】
微細粒子システムとヒステリシス加熱の複雑さ:上記の説明は超微細(ナノメートルサイズの)磁性粒子の理想化された例に制限される。あいにく、微細粒子から成る材料における実状は極めて複雑であり、異なった要因が同時に存在することをしばしば説明する必要がある。
【0099】
先ず、実際のシステムにおいて常に粒子サイズの分布がある。さらに、異なった条件は、例えば、磁気結晶化度、静磁場、形態、圧力、および表面など単一磁区粒子の総異方性エネルギーに寄与し得る。表面および粒子境界の詳細な化学的性質に密接に関連する表面は、約10nmより小さい粒子の異方性エネルギーに対する主要な要因となり得る。
【0100】
本開示において考慮される適用に対しては、ナノメートルサイズ(単一磁区)の磁性粒子のサスペンション(suspension)はポリマーで取り囲まれてバイオプローブを形成する。このサスペンションが周波数fとマグニチュードHの外部的に適用された交番磁場に暴露されると、各々の粒子内の磁気モーメントは課せられた外部磁場と一直線に並ぶ方向に向きを変えて応答する。磁場方向が逆になると、前記粒子の磁気モーメントは変化する磁場ベクターとともに方向を変えて応答しようとする。前記粒子がこれを実行できる限度、および前記粒子がその内部エネルギー(上述した)を克服しなければならない限度が熱をもたらし得る。粒子による放出熱量は、結晶中のその容易軸に対する粒子磁気モーメントの方向と、外部磁場の両方、形態、異方性定数などを支配するいくつかの因子によって変わる。このように、ヒステレシス熱のための磁場の応用は、それが磁性特徴化実験において必要な時間の尺度と温度の関連する条件を有するため、磁性サンプリング実験として見なされる(表1参照)。概してナノ粒子のサスペンションの磁気特性は、ヒステレシス熱に実際に使用する条件に一致しない時間枠(および温度)を用いた手法によって特徴付けられる。この矛盾によって、超常磁性であるものとして粒子を誤って特徴付けをしてしまうことが生じ得る、これは超常磁性は磁気特徴付けの際に観察される挙動であるからである。しかし、この特徴付けは、使用時の条件(温度、時間の長さ)がブロック化(強磁性)挙動を示す粒子では非常に異なっているため一定ではない可能性がある。このように、ヒステレシス加熱に実際に用いた条件に一致しない測定条件に基づいて粒子サイズ、形態、磁性結晶エネルギーなど本来異なっているもので実際のサンプルを特徴付けることは誤りであり得る。
【0101】
2.3.生体鉱物化作用と磁性ナノ粒子
2つの根本的に異なる様式の生体鉱物化作用によって磁性ナノメートルサイズの粒子を生成できる。1つは生物学的に誘発される鉱物化(BIM)と呼ばれ、生物はその局部的微小環境を細胞外無機相の化学的沈着に適切な条件を作るように変える。二番目の様式は境界組織化生体鉱物化作用(BOB)と呼ばれ、生物が産生するいくつかの有機基質内または有機基質上に無機粒子が増殖する。
【0102】
BIMによって無機相を産生する細菌は結晶化過程を厳密に調節せず、結果として、固有の形態を持たない多様なサイズの粒子をもたらす。非走磁性異化型鉄還元細菌および硫酸塩還元細菌はBIM過程によってマグネタイト、シデライト、藍鉄鋼、および硫化鉄を産生する。例えば、鉄還元細菌Geobacter metallireducens(以前はGS−15)は非走磁性嫌気性菌であり、有機物を酸化することによって第二鉄を還元して副産物として微粒子のマグネタイトの細胞外沈着を生もたらす。
【0103】
BIMとは反対に、BOBによって無機相を産生する細菌は粒子のサイズ、形態、組成、位置および結晶方向を厳密に調節する。鉄生体鉱物を産生するBOB過程を用いた微生物の一例は、走磁性細菌である。これらの細菌はマグネトソーム(manetosomes)と呼ばれる細胞内膜境界のあるFe(マグネタイト)、Fe(多分Fe)およびFeS粒子を合成する。細胞内でマグネトソームの種々の配置によって、細胞に永久的磁気双極子モーメントを与え、これによって、各々の細胞は効果的に自走式生体磁気羅針盤となる。
【0104】
マグネトソームの顕著な特徴はそのサイズ特異性と顕著な結晶形態である。多くのマグネトソームはその長軸に沿って測定すると約35〜120nmの範囲内の大きさになる。このサイズの範囲内で粒子は均一に磁化され、永久的一磁区となるため、マグネトソームのこのサイズ特異性は重要である。
【0105】
定められた細胞タイプに対して、マグネトソームは均一のサイズ、形態、結晶形態および細胞内配列を有する。マグネトソームは透過型電子顕微鏡を用いて決定される少なくとも3つの異なった結晶形態を生じる。Magnetospirillum走磁性で見られる最も単純な形態は立体8面体であり、マグネタイトの立方体結晶対称を維持する。二番目のタイプは球状株およびバイブリオイド(vibrioid)株において見出され、<111>結晶方向に平行に伸びた軸と細長い6角形プリズムである。三番目のタイプはいくつかの未培養細胞に観察され、細長いクボー8角形であり、固有の弾丸形態、涙状形および矢じり状粒子を生じる。
【0106】
精密な形状の、単一磁区磁性粒子を産生するこれらの細菌の能力はバイオプローブの作成に有益であり得る。これらの細胞は細胞培養で増殖させて多量の磁性粒子を製造し、収穫し、さらに生体適合性被覆材料とリガンドで修飾してバイオプローブを作成することができる。その上、分子生物学、遺伝子配列解明技術およびクローニング技術を用いて細菌株をさらに修飾して、自然状態で見られるものとは異なる、すべて同じサイズと同じ特性の十分調節された単一磁区粒子を生産し得る。
【0107】
2.4.標的温熱療法装置のエネルギー源
本発明で使用するエネルギー源は、エネルギーを例えば熱或いは機械的運動へ変換できる前記感受体に、前記エネルギーを提供することができるあらゆる装置を含む。次に、前記バイオプローブは、前記標的細胞及び前記標的細胞の周囲の細胞若しくは組織へ、前記熱或いは機械的運動を伝達する。例えば、AMF、マイクロ波、音、若しくはそれらの組み合わせなどのエネルギーの様々な形態は、様々なメカニズムを用いることによって生成される。
【0108】
誘導加熱は一般に多くの市販のRF発生器の何れか1つを用いて実施される。これらの発生器は共鳴ネットワークを備えた改造された直流または真空管、または増幅段階を有する、または増幅段階を有しない、および、インピーダンス・マッチングまたは変換段階を備えた、または備えていないソリッドステート発振器を含む。
【0109】
図6は本発明の実施形態にしたがってAMFを生じる回路を図示する。AMF発生器618は導管616を介して交流(AC)電源を供給される。循環液体供給もまた、導管616内に提供される。AMF発生器618は操作時に熱くなり、そして循環液体の供給で冷却されてもよい。前記液体は水であってもよいが、適切な熱特性および電気特性を有するシリコン油または他の無機または有機液体が発生器の効率性を増加する上で好ましいものであり得る。発生器618によって生成されたエネルギーは、発生器のインピーダンスがソレノイドコイル622のインピーダンスに整合するAMF整合ネットワーク620を通って導かれる。AMF整合ネットワーク620のインピーダンスは発生器618に反射して戻るエネルギーを最小限に調節できる。他の実施形態において発生器の周波数は自動的に調節されて反射エネルギーを最小にする。修正されたエネルギーは磁気回路602に導かれる。電流がソレノイドコイル622を通過した結果として、AMFが磁気回路602に誘導される。磁力線612は磁気回路602内の極604間の隙間633に生成される。液体冷却送出631と帰還632によって冷却過程が促進される。
【0110】
フィードバックループ624は極604間の隙間633における磁場のプロフィールを監視するために提供し得る。プローブ654はモニター652にデータを提供してもよく、モニターは該当するデータバス624を介して調節器656に情報を中継する。調節器656からの情報は該当するデータバス658を介して発生器618に中継される。磁場プロフィールの監視は、磁性粒子の存在を検出し、組織のインダクタンスを監視し、および隙間633に存在する組織の温度を監視する上で有用であり得る。
【0111】
交番磁場を直接測定することは極めて困難である。AMFはソレノイドコイル622内の電流に比例するためAMFの特徴はコイル電流によって定義され、これは使用できる検査機器で容易に測定することができる。例えば、コイル電流は校正されたRogowskiコイルおよび適切な帯域幅のオシロスコープで表示され、測定される。基本的な波形はコイル電流の大きさと方向の直接測定として観察される。基本的な波形の多くの異なったタイプがAMF用に使用され得る。基本的波形の形状はまた、正方形、鋸波状、または台形であってもよい。
【0112】
大部分の実用的発生器はおおよそのこれらの波形をいくらかの歪みとともに産生する。大抵の応用において、この波形は0の付近でほとんど対称的である。しかし、波形に重畳した直流オフセットとして知られている静(DC)電流がある。直流オフセットを有するAMFは体内でバイオプローブの移動を操作するために用いることが出来る。AC構成成分の適切な傾斜と「振動様」効果でバイオプローブは一般に磁界強度の最も高い領域に向かって引っ張られる。基本周期は1サイクルの完了に要する時間として定義され得る。基本周波数は基本周期の逆数として定義されても良い。基本周波数は1kHzと1GHzの間であり、好ましくは50kHZと15MHzの間であり、より好ましくは100kHZと500kHzの間であり得る。基本周波数は意図的に調節され、しばしば、RF発生器の設計の不完全さの結果として僅かに変動し得る。
【0113】
波形の振幅もまた調節される。振幅変調エンベロープの形は通常正弦、四角形、三角形、台形、鋸歯状である。しかし、あらゆる変動またはその組合せがあり、または、他の形状の場合もある。
【0114】
発生器によって発生されるAMFもまた、パルスであってもよい。パルス幅は従来、2乗結晶検波器の出力の3dBcポイント間の時間として定義されている。この測定方法はこの応用では扱いにくいため、パルス幅の他の定義を使用する。本発明の目的のために、パルス幅はパルスエンベロープの前縁の50%振幅ポイントとパルスエンベロープ後縁の50%振幅ポイント間の時間間隔として定義されてもよい。パルス幅もまた調節される。
【0115】
パルス反復周波数(PRF)は一秒間に振幅調節エンベロープが繰り返される回数として定義される。前記PRFは一般に0.0017Hz〜1000MHzの間にある。前記PRFもまた、調節され得る。負荷サイクルは前記パルス幅と前記PRFの生成物として定義されてもよく、したがって無限である。パルスされるとして定義するためには、発生器618の負荷は100%未満でなければならない。
【0116】
例えば、健常な組織に対して致死的である46.5℃の温度から約3℃の誤差を見込んで組織の温度を約43℃に設定することによって、健常組織が致死温度まで加熱されないようにAMFを抑制し得る。このことは様々な方法において達成され得る。
・前記AMFのピーク振幅を調節してもよい。
・前記PRFを調節してもよい。
・前記パルス幅を調整してもよい。
・前記基本周波数を調節してもよい。
・治療期間を調節してもよい。
【0117】
これらの特徴はバイオプローブの加熱速度を最大にし、同時に治療量の範囲内で局所の健常組織を加熱する速度を最小にするように調節されてもよい。これらの条件は治療される組織のタイプによって異なり得るものであり、したがって、操作者は有効な操作レベルを決めることが可能である。一実施形態において、1若しくはそれ以上のこれらの特徴は、例えば温度またはインピーダンスなどのプローブ654によって治療容量内において持続的に監視される組織の1若しくはそれ以上の物理的特徴に基づいて治療時に調節され得る。その後この情報は、フィードバックループを構成するモニター652、データバス624、調節器656、および出力を調節するデータバス658を介して発生器618への入力として供給され得る。他の実施形態において、バイオプローブ(磁気特性など)の1若しくはそれ以上の物理的特性は、適切な装置を用いて治療時に監視され得る。この場合、磁気モーメントのような1若しくはそれ以上の磁気特性は、磁性材料の温度に直接関連する。このように、前記バイオプローブの磁気特性のいくつかの組合せをモニターすることによって、前記バイオプローブ温度を間接的にモニターすることができる。この情報はまた、フィードバックループの一部となるモニター652、データバス624、調節器656、および出力を調節するデータバス658を介して発生器618への入力として供給される。この発生器の出力はAMFの最高強度が約10〜約10,000エルステッド(Oe)の間になるように調節され得る。好ましくは、前記AMFの最高強度は約20〜約3000エルステッドであり、より好ましくは約100〜約2000エルステッドである。
【0118】
本発明の一実施形態において、健常組織の加熱に比べてバイオプローブの異なる加熱は最大化され得る。バイオプローブ210(図2)はAMFの各々のサイクルに応答して加熱する。基本周波数、PRFおよびパルス幅は一定であると仮定して、バイオプローブ210の熱出力は、バイオプローブの磁性材料が飽和に達するまでAMFのピーク振幅が増加するとともにバイオプローブ210の加熱出力は増加し続ける。この飽和を超えると、AMF振幅がさらに増加してもほとんど加熱は増加しない。しかし、飽和以下のAMF振幅では、バイオプローブ加熱はAMF振幅の関数であると言える。バイオプローブとは異なり、健常組織の加熱は渦電流の結果であり、AMFの変化率の関数の結果である。
【0119】
本発明の一実施形態において、左右対称の三角形波はAMFの基本波形である。類洞がX軸を横切る時に発生する高い変化率を避けて、三角形波形に伴う一定の低い変化率と置き換えることによって、バイオプローブの加熱をほとんどまたは全く損なわずに組織の加熱を減少できる。三角形波は線形増幅器に基づく発生器のような適切な発生器を使うことによって達成され得る。
【0120】
組織およびバイオプローブの加熱は共に、AMF振幅が増加するにつれて増加する。AMFの低振幅では、増加が小さいと磁性加熱の増加が大きくなる。しかし、バイオプローブが飽和に接近すると、AMF振幅との関係は収穫逓減の1つとなる。この関係は「低」または「飽和」のAMF振幅を構成する値であるため特定の磁性材料に固有である。バイオプローブの加熱は、最初は1より大の指数によってAMF振幅と関連しているが、次第に減り飽和に接近すると指数は1未満になる。典型的なパルス幅と負荷サイクルでは、渦電流加熱は直接負荷サイクルに関連する。発生器出力をパルス化する機能によって、AMFの高振幅で作動する利点が得られ、一方、定数の維持によって負荷サイクルが減少されて組織加熱が減少する。
【0121】
対象物の治療域205にAMFを適用することは望ましい。広範囲な領域に高いピーク振幅のAMFを発生することは、極めて大きいAMF発生器を必要とし、多くの健常組織を不必要な渦電流加熱に暴露する。有用な部位に磁場を誘導するなんらかの方法がない場合は、患者を大きいソレノイドコイル内に配置することによって胸部または胴体の疾患のみが実際に治療される。これは主要臓器の大部分を渦電流加熱に暴露し、そしてモニターし、多様な組織タイプのどの部分をも過熱しないようにAMFを調整しなければならない。これらの組織タイプの各々は渦電流過熱の異なる速度を有する。最も極度の渦電流過熱を受けるこれらの組織タイプを保護するためにAMFのピーク強度を減少しなければならないであろう。暴露される組織の種類を最小にすると、AMF強度は増加することができ、それによって、治療時間を減少し、また効力を増加できると思われる。治療領域205へのAMF高ピーク振幅を制限する1つの方法は、高透過性磁性体で磁束の最も低い磁気抵抗のパスを指定することである。この経路は磁性回路(102と602)と呼ばれる。前記磁性回路はソレノイドコイル622(図6)が生成する磁束のすべてまたは大部分が治療領域205に導かれるように提供される。磁性回路602の1つの利点は、治療領域205を越えて伸びる磁束量が最小限になるので、必要な量の磁束が減少されることである。必要な磁束を減らすことによって、AMF発生器の必要なサイズや出力を減少でき、治療領域205以外の組織の高ピーク振幅のAMFへの暴露が最小になる。さらに、AMF暴露の領域が減少したことにより、外科的または歯科インプラントの意図しない過熱を避け、治療前にインプラントを除去する必要性を少なくし、それによって、侵襲性医療処置を避けられる。磁場の集中によって、携帯可能なサイズの装置で胸部や胴体内の大量の治療が可能になる。
【0122】
磁気回路602を構築するために使われる材料はAMFのピーク振幅と周波数に適切なものであってもよい。前記材料は、これらに限定されないが、鉄、粉末状鉄、固体または積層構成の組合せの磁性合金およびフェライトであってもよい。極面104,204および604はさらに治療域で生じる磁束を集中させる形やサイズであってもよい。異なるサイズや形を有する異なる極部品は、治療域と治療量が調節されるように用いてもよい。一つの材料から他へ通過する時に磁束線612は境界面の面に垂直な方向で進む。したがって、面604は隙間633を通る磁束経路を促進するような形にされてもよい。極面604は取り外し可能であってもよく、患者の治療部分を受け入れるために十分な空間を残しながら、隙間633を小さくするようにできるだけ磁気回路602を伸ばすように選択されても良い。二次コイルを追加すると磁場の集積を補助し、敏感な領域での磁場強度を減少することが可能である。
【0123】
磁場はコイル622に近い部分で最も強度が高く、コイルからの距離が長くなると指数関数的に減る。この特徴によって深部組織の暴露を最小限にしながら、表面に近い組織での磁場強度を高くできる。
【0124】
図8の実施態様に描写するように、AMFを発生する他の装置は、磁気抵抗の低いリターンパスを生じる磁気材料またはマグネット850を有する円形状ローターを特徴としている。マグネット850はローター851に接続するか、または取り付けられてもよい。マグネット850とローター851は標的治療領域852の周りで回転する。マグネット850の形は一つのマグネット850の極間のリターンパスが、隙間853とローター851からなるリターンパスより高い磁気抵抗となるような形状とする。ローター851が回転すると、隙間853の総磁場は、ロータ―851の回転速度に等しい角速度を有する一定の振幅となる。隙間853内にある静止した強磁性またはフェリ磁性の標的はヒステリシス加熱および渦電流加熱を体験するであろう。標的治療領域852の渦電流加熱は従来の固定軸のAMFによる加熱とは異なり、標的領域852の形状、標的領域852を有する体のローター852に対する方位、および標的領域における標的体内の抵抗力の分布に依存するであろう。
【0125】
別の他の装置は図7に図示するようにパルスレーダー送信器に使われるものに似た一組または複数組のパルス変調器753を有する。線型または高真空管のどちらかが使用される。変調器753は反対の極性(753‘と753’’)を2つ一組にして誘導子754に接続し、ダイオードで保護する。このタイプの高出力変調器は数キロヘルツで作動するように設計されている。これらは、交互に発射し、誘導子を通って陽性および陰性電流の両方を生じる。各々のパルス形成エレメントの最大周波数はエネルギー蓄積装置(例えば、蓄積容量、またはパルス形成回路網(PEN))の充電時間、または切替器の回復時間(例えば、IGBT、水素サイラトロン、SCR、MOSFET、またはスパーク・ギャップ)によって制限される。高周波数の場合、複数の組を使用して、連続的に発射する。
【0126】
2.5.標的温熱療法装置用誘導子
誘導子はバイオプローブを誘導的に加熱するために使われる。誘導子はC形状またはM形状の高磁束材料であり得る。誘導子は一回巻コイルまたは複数回巻コイルであり得る。前記コイルは患者の皮膚に直接置くため適切な絶縁材で被覆されてもよい。
【0127】
図9は標的温熱療法装置の一実施形態を図示するブロック図である。対象物の治療部分は、対象物のインターフェース925(例えば、ベッドまたは椅子であり得る)を介して誘導子920内にベッドまたは椅子を置くことによってAMFに暴露するように用意する。前記装置は発生器922と誘導子920の間にインピーダンスに一致するタンク回路921を有する。操作者はコンソール924を使って調節ユニット923を介して処置を調節する。
【0128】
誘導工程は約50Hz〜約2MHzの範囲の周波数、好ましくは約100kHz〜約500kHzの範囲の周波数、またより好ましくは、約150kHzの周波数で行われる。
【0129】
本発明の一実施形態において、誘導子は一回巻コイルである。RF電場の電気コンポーネントを除いたコイル配置の二例は図10aと図10bに図示する。図10aは誘導子コイル1011内に対象物が位置する図であり、誘導子コイル1011は対象物を取り囲む。図10bは誘導子コイル1012を図示しており、前記コイルは例えば、対象物の背部または前部に配置される。前記対象物は図10bに示すように遮蔽金属板1018の曲がる配置のその側に近位に位置する。これらの遮蔽板は、それ自体が組織を加熱するかもしれない、RF放射線の電気コンポーネントから対象物の体を遮蔽する。誘導子1011および1012は誘導子コイルを冷却するために水が流れるチューブから構築されている。前記チューブ材は熱伝導をより良くするように銅のような任意の適切な材料であり得る。
【0130】
金属板1017および1018は縞になっており、磁性RFコンポーネントの磁力線に平行になり、電気コンポーネントの磁力線に垂直になるようにコイル内に配置する。この配置によって磁力線の通路およびRF電場の電場線の障害物をもたらす。これらの金属板はより良い熱伝導のために銅のような任意の適切な材料から加工され得る。冷却管1015はまたは1016は金属板1017または1018に取り付けられる。前記コイルは電気絶縁カバー1013または1014で覆われ、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエステル(PE)、ポリプロピレン(PP)またはポリウレタン(PU)のような任意の適切なプラスチックから加工され得る。
【0131】
金属板1017または1018は一般に幅約1mm〜約4mmおよび厚さ約0.2mm〜約0.5mmである。前記水は誘導子コイル1011または1012を通して好ましくは1バールから10バールで約4リットル/分〜約20リットル/分の速度で流す。
【0132】
放射線学において最も重要かつ常に発展している画像診断療法は、磁気共鳴映像法(MRI)である。空間のコード化と画像再構成のために、傾斜磁場は主要静磁場(B)に重畳される。傾斜コイルは3つの独立した空間方向(x、y、z)に適用され得る。MRI装置の技術は3テスラ(30,000エルステッド)の磁束密度を有するが、8テスラの技術へとまだ開発されている。40ミリテスラ/1メートル(400エルステッド/メートル)傾斜磁場を有する3テスラ装置は市販されている。250ミリテスラ/メートル(2,500エルステッド/メートル)傾斜磁場は開発段階にある。本発明の実施態様において、対象物内のバイオプローブはMRIの傾斜磁場コイルの切替を用いて加熱される。
【0133】
MRIの反復時間TによってAMFを誘発する傾斜磁場コイルの周波数が決まる。現在、T=100μ秒(fAMF=10kHz)が上限であると思われる。しかし、独立した3つの特別な傾斜x、y、およびzを連続的に切り替えて三倍高い周波数を作ることができるであろう。さらなるこの技術の利点は回転磁界の発生であろう。
【0134】
将来のMRI技術はより高度の勾配磁場強度とより速い傾斜磁場コイルのスイッチングを使用することであると考えられる。
【0135】
3.腫瘍の血管系の抑制または破壊(脈管切除)
標的療法アプローチを用いて生成された熱によって、腫瘍組織部分全体の血栓や壊死を誘発し、腫瘍の脈管構造を破壊する。理論によって限定されないが、標的療法アプローチの治療効果は、抗体標的細胞の壊死やアポトーシスによる殺細胞と、腫瘍への血液供給を阻止する血管系の不活性化との組合せにより、表III(下記)に表記するこれらの療法より良いと考えられる。
【0136】
この併用効果は腫瘍組織の血管系を標的とする療法と組み合わすことができる。固形癌の血管系を不活性化するアプローチの様々な標的および非標的腫瘍細胞がある(例えば、米国特許第5,855,866号、第6,051,230号、第6,093,399号、第6,004,555号、および米国特許出願第US2003/0129193号等を参照)。これらの療法は感作物質を利用して血管系の凝固状態を高め、および/または腫瘍の血管系の凝固の誘発に効果的な腫瘍標的凝固剤を使用する。
【0137】
前記感作物質は内毒素、または、解毒された内毒素誘導体であってもよい。前記感作物質はモノホスホリル脂質A(MPL)、単球ケモアトラクタント蛋白1(MCP−1)、血小板由来増殖因子BB(PDGF−BB)、C反応性蛋白(CRP)、腫瘍壊死因子α(TNF−α)またはTNF−αの誘発剤、Rac1拮抗薬、DMXAA,CM101または、サリドマイド、ムラミールジペプチド(MDP)、トレオニル−MDPまたはMTPPE、抗血管新生剤、vasculostatin、カンスタチン(canstatin)またはマスピン(maspin)、VEGF阻害剤、抗VEGF遮断抗体、VEGF受容体コンストラクト(sVEGF−R)、チロシンキナーゼ阻害剤、アンチセンスVEGFコンストラクト、抗VEGFRNAアプタマー、抗VEGFリボザイム、細胞表面活性化抗原CD40に結合する抗体、sCD40−リガンド(sCD153)、コンブレタスタチンA−1、A−2、A−3、A−4、A−5、A−6、B−1、B−2、B−3、B−4、D−1またはD−2、サリドマイド、またはそのあらゆる組合せであってもよい。
【0138】
腫瘍標的凝固剤の結合領域は抗体、抗原結合領域、モノクローナル、組み換え体、ヒト抗体または一部ヒト抗体またはヒト化抗体、キメラ抗体、scFv、Fv、Fab’、Fab、diabody、F(ab’)、リガンド、VEGF受容体、FGF受容体、TGF−β受容体、TIE、VCAM−1、ICAM−1、P−セレクチン、E−セレクチン、PSMA、プレイオトロピン(pleiotropin)、エンドシアリン(endosialin)、エンドグリン(endoglin)、フィブロネクチン、散乱因子/肝細胞成長因子(HGF)、血小板因子第4因子(PF4)、PDGFまたはTIMPであってもよい。
【0139】
本発明の一実施形態において、標的療法は腫瘍の凝固状態を感作する薬剤と併用し、この感作物質は標的療法の施行前、施行中、または施行後に投与されてもよい。
【0140】
本発明の他の実施形態において、腫瘍標的凝固剤に特異的である化学マーカーの存在によってバイオプローブは腫瘍血管系と個々の腫瘍細胞壁内の両方に保持される。前記バイオプローブは次にAMFに暴露される。前記バイオプローブによって発生される熱は個々の細胞壁に加えた腫瘍血管系を破壊または崩壊する役目を果たす。
【0141】
本発明の他の実施形態において、標的療法は、腫瘍の血管系で凝固を誘発するのに有効な腫瘍標的凝固薬を併用し、凝固薬は標的療法の実施前、実施中、実施後またはそれらの組合せで投与されてもよい。腫瘍の凝固状態を感作させる薬剤と腫瘍標的凝固剤の併用もまた、標的療法とともに用いられてもよい。
【0142】
腫瘍を増大させる血管を攻撃することによって(抗血管新生)癌と闘う薬剤の開発を行っている企業にとって、過去数年間は困難であった。これらの抗血管新生薬は初期の臨床治験においていくらかの僅かの利益をもたらしたが、このような利益は好ましくない副作用の代価として得られた。現在開発中の抗血管新生に関連する薬物は表IIIに示す。本発明の一実施形態においては、標的療法の装置はこれらの薬剤または、将来開発される類似の薬剤の少なくとも1つと併用して使用される。
【0143】
【表3】

【0144】
4.併用療法
標的温熱療法は治療効果を向上するために他の療法と併用されてもよい。例えば、標的温熱療法は加温療法、直接的抗体療法、放射線療法、化学または薬剤療法、手術またはインターベンショナル手技、骨髄および幹細胞移植またはそれらのあらゆる組合せと併用されてもよい。
【0145】
4.1.加温療法と併用する標的温熱療法
エネルギーは異なったメカニズムによってヒトの体内で熱を発生することができる。局所的加温療法は好ましくは約38℃から約48℃、より好ましくは約42℃から約45℃の範囲の温度で標的療法による治療期間またはさらに長い期間、標的治療法を向上するために有用である。本発明の一実施形態において、加温療法は、標的療法の施行前、施行中、または施行終了後少なくとも一度、あるいはそのいずれかの組合せにおいて実施される。通常、前記加温療法治療は約30秒から約30分間、好ましくは約30秒から3分間実施される。
【0146】
渦電流は、伝導性組織部分あるいは、腸や胃のような伝導性物体を含む体部分をAMF内に配置するとその部分内または周囲に誘発される。渦電流は標的温熱療法の治療効果を向上するための標的バイオプローブと組み合わせて組織内で高熱を生成するために使うことが出来る。本発明の一実施態形態において、前記渦電流は食塩水のような伝導性物質の局所注入によって局所的に強化される。他の実施形態において、胃腸体部分内での渦電流は標的療法の施行前に患者に伝導性栄養物を投与すると増加する。胃腸体部分内での渦電流は標的療法の施行前に浣腸すると減少する。
【0147】
光を標的温熱療法と組み合わせて高熱のエネルギー源として使うことができる。光エネルギー源は小さい領域へ局所的に、または大きい体部分へ放射的に使用することができる。光エネルギー源はまた、標的療法の施行中に使われるプラスチック製内視鏡、カテーテルまたは、プラスチックまたはセラミック製針を通して非磁性および非伝導性ガラス繊維によって、あるいは、プラスチック製内視鏡、カテーテルまたは、プラスチックまたはセラミック製針を通して非磁性および非伝導性ガラス棒によって適用されてもよい。
【0148】
RFおよびマイクロ波放射線は標的温熱療法と組み合わせて高熱を生成するために使うことができる。さらに治療するためのRFまたはマイクロ波の周波数は標的温熱療法用周波数とは異なる。900kHz以上の範囲の電磁放射線は組織から直接吸収される。900kHz以下の周波数は渦電流加熱を引き起こす。
【0149】
体内を流れる交流または直流は標的温熱療法と併用して高熱を生成するために使うことができる。これらの電流は主要標的温熱療法のAMF領域外の反対側で、加熱しょうとする組織の近くに2個の電極を配置して局所的に適用することができ、双極電流とも呼ばれる。これらの電流はまた、AMFから遠く離れた位置に1つの電極を置き、標的治療部位の近くに可変の電極を1つ置くことによって印加することができ、これは単極電流とも呼ばれる。
【0150】
熱シードは、加熱または誘導的に加熱される組織に一時的にまたは永久的に配置される金属製インプラントである。これらの熱シードは標的ナノ療法と組み合わせて使用することができる。これらの熱シードを加熱するのに同じAMFが使われるが、異なった磁界強度および/または周波数の異なった重畳AMFもまた使用できる。熱シードはPdCo、FeNi、ステンレススチールまたはチタン合金のような金属合金を含むことができる。これらのシードは、前記シードの外層に誘発される渦電流を増強するようなPdCo、FeNi、ステンレススチールまたはチタン合金より電気的により伝導性である金のような導体材料で被覆することができる。さらに熱シードは生体適合性被覆材、熱伝導性被覆材、またはそれらの組合せを有するものであってもよい。
【0151】
本発明の一実施形態において、熱湯、温水、油または他の溶液の熱浴が高熱の生成のために使われる。
【0152】
本発明の他の実施形態において、非標的粒子の加熱が標的温熱療法と併用される。抗体を有する、または抗体を有しないバイオプローブは治療を目的とする組織に直接注入され、AMFで加熱される。
【0153】
本発明の他の実施形態において、非標的バイオプローブの導入によって高熱が生成される。
【0154】
なお、本発明の他の実施形態において、電離放射線を用いて高熱を発生させて、これを標的温熱療法と併用する。前記電離放射線源はアルファ粒子、ベータ粒子、ガンマ粒子またはあらゆるその他のエネルギー粒子、あるいは、X線又はガンマ放射線にであってもよい。
【0155】
4.2.標的温熱療法と直接抗体療法との併用
モノクローナル抗体(MAB’s)は自然発生の抗体と同じように作用し、標的細胞を見つけて結合してガン細胞のような疾患細胞に作用する。次に、これらはガン細胞の存在を免疫系の他の細胞に警告する。モノクローナル抗体は特定の抗原に特異的である。モノクローナル抗体は生物反応修飾物質として分類される。モノクローナル抗体は免疫系に影響するため、これの使用はガン細胞の増殖を阻害する薬剤を使用する化学療法ではなく免疫療法と呼ばれる。モノクローナル抗体はそれ自体、癌に対する患者の免疫応答を高める。B細胞イディオタイプ、悪性B細胞上のCD20、白血病芽細胞および乳癌上のHER2/neuのような腫瘍細胞表面抗原を標的とする抗体を使用する臨床治験において効力が見られている。(例えば、Weiner LM.,Monoclonal Antibody Therapy of Cancer,Semin.Oncol.1999 Oct;26(5 Suppl 14):43〜51を参照。)本発明の一実施形態において、MAB療法は、標的療法の実施前に少なくとも1回、または実施中少なくとも部分的に、または実施後に少なくとも1回、またはそのあらゆる組合せで実施される。
【0156】
4.3.標的温熱療法と放射線療法の併用
放射線療法とも呼ばれる放射線治療は電離放射線を使用した癌または他の疾患の治療である。電離放射線は、治療される(「標的組織」)領域の細胞をその遺伝物質を破損し、これらの細胞が増殖し続けることを不可能にして、傷害し、破壊するエネルギーを沈積する。放射線はガン細胞も正常細胞も共に損傷するが、正常細胞はそれ自体修復し正しく機能することができる。放射線療法は皮膚、舌、咽頭、脳、乳房または子宮頸部のような限局性固形癌を治療するために使われてもよい。これは、また、白血病およびリンパ腫(各々、血液構成細胞およびリンパ系の癌)の治療に使うこともできる。本発明の一実施形態において、放射線療法または放射線治療は標的温熱療法と組み合わせて使われる。放射線療法は、標的療法の実施前に少なくとも1回、または実施中少なくとも部分的に、または実施後に少なくとも1回、またはそのあらゆる組合せで適用される。
【0157】
一般に使用される放射線療法の1つのタイプはX線またはガンマ線を含む。X線は癌の治療に用いられたフォトン(光量子)放射線の最初の形態であった。これらが所有するエネルギー量によって、前記放射線は体表面または体内深部の癌細胞を破壊するために使うことができる。X線ビームのエネルギーが高ければ高いほど、X線の標的組織への貫通は深くなる。線形加速装置とベータトロン(磁気誘導加速器)はだんだんと大きくなるエネルギーのX線を出す機械である。放射線(X線のような)を癌部位に集中するための機械の使用は外部ビーム放射線療法と呼ばれる。これらのビームは外部から遮断され、特別な遮蔽を用いて、これらのビームを指定の体部分に「集中させる」ために使用される。本発明の一実施形態において、外部ビーム放射線療法は標的温熱療法と組み合わして用いられる。標的温熱療法と放射線療法の両方が同時に使われる場合は、AMF装置はビームが侵入するための別な開口部を有するものであってもよい。あるいは、前記ビームは患者の開口部(患者のガントリー)を通って誘導される。術中照射は、大量投与の外部照射が手術中に腫瘍および周囲組織に誘導される手技である。
【0158】
ガンマ線は特定の元素(ラジウム、ウラニウムおよびコバルト60等)が分解または崩壊するにつれて放射線を放出するように自然に産生される。各元素は比速度で分解し、ガンマ線および他の粒子の形態でエネルギーを放出する。X線とガンマ線はガン細胞に対して同じ効果を有する。
【0159】
他の調査中のアプローチは粒子ビーム放射線療法である。このタイプの療法は高速の素粒子を用いて限局性癌を治療するフォトン放射線療法とは異なる。粒子加速器はこの処置のために必要な粒子を産生し、加速するために用いられる。いくつかの粒子(ニュートロン、パイオン、および重粒子イオン)は、それらが組織を通過する経路に沿ってX線またはガンマ線より多いエネルギーを沈積し、したがって、それらが接触する細胞にさらに多くの損傷を与える。このタイプの放射線は高線エネルギー付与(高LET)放射線としばしば呼ばれる。本発明の一実施形態において、高LET療法は標的温熱療法と組み合わせて用いられる。
【0160】
放射線のガン細胞への送達の他の技術は、腫瘍または体腔に直接放射性インプラントを配置することである。これは内部照射法と呼ばれる(近接照射療法、組織内照射、および腔内照射は内部照射法である)。この治療中に放射線量は小さい領域に集中され、この処置は患者に二三日の入院を必要とし得る。本発明の一実施形態において、体内放射線療法は標的温熱療法と組み合わせて用いられる。前記のインプラントは標的温熱療法の実施時に渦電流またはヒステレシス加熱によって加熱する物質を含み、または、プラスチック、セラミック、ガラス、または移植されたヒト組織のようなAMF暴露で加熱しない物質を有する。
【0161】
本発明の一実施形態において、放射性標識抗体は標的温熱療法と組み合わせて癌部位(放射免疫治療)に直接放射線の投与量を送達する。図11は少なくとも1つの放射性同位元素1105を結合したバイオプローブ1101を図示する。このようなバイオプローブは二重療法バイオプローブにすることができる。一旦体内に注入されると、抗体は能動的にガン細胞を見つけ出し、ガン細胞は放射線の殺細胞(細胞毒性)作用によって破壊される。
【0162】
ここで使用に適切な放射性同位元素の例を上げる。
・モリブデン−99:発生器内で「親」として使用されてテクネチウム−99m(核医学で最も広く使われている同位元素)を産生する。
・テクネチウム−99m:特に、骨格および心筋の画像診断、および脳、甲状腺、肺(灌流および換気)、肝臓、脾臓、腎臓(構造および濾過率)、胆嚢、骨髄、唾液腺および涙腺、心臓血液プール、感染症、の画像診断および多数の専門医学研究に使われる。
・クロミウム−51:赤血球の標識および胃腸蛋白質喪失の定量に使われる。
・コバルト−60:外部ビーム放射線療法に使われる。
・銅−64:ウィルソン病やメンケズ病のような銅代謝に影響する遺伝病の研究に用いられる。
・イッテルビウム−169:脳の脳脊髄液研究に使われる。
・ヨウ素−125:癌近接照射療法(前立腺および脳)に使われ、腎濾過速度の診断評価、および脚の深部静脈血栓症の診断にも使われる。また、少量のホルモンの存在を示すラジオイムノアッセイにも広く用いられる。
・ヨウ素−131:甲状腺癌の治療および甲状腺画像診断にも広く用いられる。また、肝機能以上、腎血流および尿路閉塞症の診断にも用いられる。これは強力なガンマエミッタであるが、ベータ療法に使われる。
・イリジウム−192:癌治療の内部照射法として使用するためにワイヤー形態で供給される。
・鉄−59:脾臓の鉄代謝の研究に使用される。
・リン−32:真性赤血球増加〔症〕(赤血球過剰)の治療に使われる。これはベータエミッタである。
・カリウム−42:冠血流量の交換可能なカリウムの測定に使われる。
・レニウム−188(タングステンー188由来):血管形成術用バルーンからの冠状動脈をベータ照射するために使われる。
・サマリウム−153:骨にできた二次性癌の痛みの緩和に極めて有効。Quadramet(商標)として市販されている。また、前立腺癌および乳癌にも非常に有効である。ベータエミッタである。
・セレン−75:消化酵素の産生の研究にセレノ−メチオニンの形態で使用される。
・ナトリウム−24:体内の電解質の研究に使用される。
・ストロンチウム−89:前立腺癌の痛みの緩和に極めて有効。ベータエミッタ。
・キセノン−133、キセノン−127:肺換気量の研究に使われる。
・イットリウム−90:癌療法に使われ、また大きい関節の関節炎の治療にケイ酸塩コロイドとして使われる。これはベータエミッタである。
【0163】
標的温熱療法と組み合わせた放射線療法は、単独で、または化学療法、手術、またはその両方と組み合わせて使用されても良い。
【0164】
4.4.標的温熱療法と化学または薬学的療法との併用
化学療法は薬学的療法を用いた癌等の疾患の治療である。ほとんどのタイプの癌の場合、化学療法はしばしば多数の異なった薬物または物質の使用を必要とし、これは併用化学療法と呼ばれる。化学療法は静脈内(IV;最も一般的に静脈内)、筋肉内(IM;筋肉内注射)、経口的(口から)、皮下(SC;皮下注射)、ニトラレジオナリル(nitralesionally)(IL;直接癌性の領域に)、髄腔内(IT;脊椎の液内へ)または局所的(皮膚への使用)などの多様な方法で投与され得る。種々の化学療法剤への腫瘍細胞の抵抗力は臨床腫瘍学における主要な問題である。したがって、過去30年間腫瘍性疾患の化学療法に多くの進歩があったにもかかわらず、ヒト癌の最も一般的な形態の多くはまだ効果的な化学療法的介入に抵抗力を有する。
【0165】
細胞周期には細胞が有子分裂の準備をして、有子分裂するまでの4期がある。再分裂が決定された細胞はG期に入る。細胞の合成準備過程では、細胞がDNA合成(S)期に入る準備をする。特異的蛋白質シグナルによって細胞周期は調節され、DNA内容物が4倍体になるゲノムの複製が可能になる。S期の完了後、細胞は有子分裂する前の第2の休止期Gに入る。前記細胞は有子分裂(M)期に進み、ここで染色体は凝集し、分かれて細胞は分裂し、2つの娘細胞を作る。標的温熱療法と併用される化学療法剤は細胞が活性である細胞の周期にしたがって分類することができる。
・S期依存性薬剤:代謝拮抗薬(Capercitabine、シタラビン、ドキソルビシン、Fludarabine、フロクスウリジン、フルオロウラシル、Gemcitabine、ヒドロキシウレア、メルカトプリン、メトトレキサート、プレドニゾン、プロカルバジンおよびチオグアニン)
・M期依存性薬剤:ビンカアルカロイド類(ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびVinorelbine)、ポドフィロトキシン類(エトポシド(Etoposide)およびテニポシド(Teniposide))、タキサン類(Doxetaxel)およびPaxlitaxel。
・G期依存性薬剤:(ブレオマイシン、Irinotecan、MitoxantroneおよびTopotecan)
・G期依存性薬剤:(アスパラギナーゼおよびコルチコステロイド類)。
【0166】
標的温熱療法と併用できる化学療法剤(作用機序による分類):
・アルキル化剤(細胞機能を阻害する)
・ナイトロジェン・マスタード(強力な局所性発疱薬)(メクロレタミン(Mustargen)、シクロホスファミド、ifosfamide(Ifex)およびchlorambucil(Leukeran)など)。
・ニトロソウレア(脂質溶解性が高く、化学的不安定性で2つの高反応性中間体に迅速かつ自然分解する):chloroethyl diazohydroxideおよびイソシアネート。ニトロソウレアの脂肪親和性は自由な膜通過を可能にする。したがって、これらは迅速に血液脳関門を通過し、中枢神経系での有効濃度になる。したがって、これらの薬剤は種々の脳腫瘍の治療に使われる。
・プラチナム剤にはCisplatin(Platinol)、Carboplatin(Paraplatin)が含まれる。
・代謝拮抗剤はDNAおよびRNA合成に関与する天然の代謝産物の構造類縁物質である。これらの代謝経路の構成要素は解明されているので、ヌクレオチド合成の重要な経変える多数の構造的類似薬物が開発された。代謝拮抗剤は主要酵素の触媒または調節部位を正常代謝産物と競合するか、または通常はDNAとRNAに組み込まれる代謝産物を置き換えてその細胞毒性作用を発揮する。この作用機序のため代謝拮抗剤は細胞がS期にある場合に最も有効であり、G0期の細胞にはほとんど効果がない。結果的に、これらの薬剤は高度の増殖分画のある腫瘍に最も有効である。
・天然産物は植物、菌類および細菌のような天然物質から単離された抗腫瘍活性のある化合物である。
・抗腫瘍抗生物質、特にブレオマイシン(Blenoxane)はDNAのグアニン−シトシンとグアニン−チミン配列部位で優先的に挿入されて、自然酸化し、遊離酸素基を形成して鎖の切断を生じる。
・アントラサイクリン類
・エピポドフィロトキシン類(Epipodophyllotoxins)、特にエトポシド(VP−16[VePesidとその他])は、Podophyllum peltatum(マンドレーク)の根から抽出された半合成のエピポドフィロトキシンである。エピポドフィロトキシンはDNA−トポイソメラーゼII複合体を安定化することによってトポイソメラーゼII活性を阻害し、最終的にDNA合成を不可能にし、細胞周期はG期で停止する。
・ビンカアルカロイド類はツルニチソウ植物、ツルニチニチソウから由来する。ビンカアルカロイド類は細胞に侵入後、迅速にチューブリンと結合する。paclitaxelおよびコルヒチンと結合する部位とは異なる部位でS期に結合が生じる。このように、微小管のポリメライゼーションはブロックされ、その結果、M期の紡錘体形成が損なわれる。
・タキサン類、特にPaclitaxel(タキソール)およびdocetaxel (Taxotere)はイチイの木の針から抽出された前駆体の半合成誘導体である。これらの薬物は新規の14−メンバー環、タキサンを有する。微小管を分離するビンカアルカロイド類とは異なり、タキサン類は微小管の集合および安定化を促進し、したがって、有子分裂の細胞周期をブロックする。Docetaxelは微小管の集合促進がより強力であり、またアポトーシスを誘発する。
・カンプトテシン類縁物質はアルカロイドのカンプトテシン(中国の装飾木、Camptotheca acuminata由来)の半合成類縁物質であり、トポイソメラーゼIを阻害し、DNA複製の伸長期を阻害する。
【0167】
本発明の一実施形態において、標的温熱療法装置は化学療法と組み合わせて使用される。化学療法は、標的温熱療法の実施前に少なくとも一度、実施中に少なくとも一部、または実施後少なくとも一度、またはそのあらゆる組合せで実施することができる。
【0168】
化学療法薬はまたバイオプローブに付着され得る。図12は化学療法薬または薬剤に付着されたバイオプローブ1201を有する構成を図示している。このようなバイオプローブは二重療法バイオプローブを構成するであろう。前記薬剤又は物質は、S期依存性代謝拮抗薬(capercitabine、シタラビン、ドキソルビシン、fludarabine、フロクスウリジン、フルオロウラシル、Gemcitabine、ヒドロキシウレア、メルカトプリン、メトトレキサート、プレドニゾン、プロカルバジンおよびチオグアニン)、M期依存性ビンカアルカロイド系(ビンブラスチン、ビンクリスチン、Vinorelbine、ポドフィロトキシン類、エトポシド、テニポシド、タキサン類、doxetaxel、paxlitaxel、G期依存性薬剤(ブレオマイシン、irinotecan、mitoxantrone、topotecan)、G期依存性薬剤(アスパラギナーゼおよびコルチコステロイド類、アルキル化剤、ナイトロジェンマスタード類、メクロレタミン、mustargen、シクロホスファミド、ifosfamide(Ifex)およびchlorambucil、leukeran、ニトロソウレア類、プラチナム剤、cisplatin、platinol、carboplatin、paraplatin、代謝拮抗剤、天然物治療製品、抗腫瘍抗生物質、ブレオマイシン、アントラサイクリン系、エピポドフィロトキシン類、ビンカアルカロイド系、タキサン系、camptothecin)またはそのあらゆる組合せであり得る。
【0169】
モノクローナル抗体(MAB’s)は化学療法剤に結合することができる。この組合せは、1)化学療法からの化学物質と、2)モノクローナル抗体からの免疫応答との2つの作用機序による細胞攻撃を可能にする。化学療法は細胞が前記モノクローナル抗体によって弱められた時により効果的となる。
【0170】
本発明の一実施形態において、標的温熱療法はモノクローナル抗体に結合した化学療法薬剤或いは物質と組み合わされる。これらの薬剤は標的療法を実施する前、実施中、または実施後に投与することができる。他の実施形態において、化学療法薬剤或いは物質は、誘導的加熱によりバイオプローブから放出されるので、AMF暴露中に活性化される。前記薬剤又は物質は、AMFが発生された時に破壊され得る。他の実施形態おいて、前記薬剤又は物質は被覆材1203に組み込まれ、AMFが発生された時に放出される。被覆材1203は1若しくはそれ以上の層を有し、前記層は同じまたは異なる材料であり、また、前記薬剤又は物質は前記被覆層の1若しくはそれ以上に組み込まれる。
【0171】
癌療法に対する従来のアプローチの多くは、個々のガン細胞を破壊しようと試みる。ガン細胞を標的とする薬物は、有効であるためには腫瘍内の多くの構造的障害を克服しなければならない。これらは、先ず、腫瘍血管を出て、血管の下にある支持構造を過ぎて移動して、最終的にガン細胞に到達する。これらの構造的障害の結果として、患者の血流に注入されたほんのわずかの薬物がガン細胞に到達して、破壊することができる。この問題を解決する可能性の1つは腫瘍内の血管の透過性を増加し、これによって、より多くの治療薬がより多くのガン細胞に到達し、事実上より多くのガン細胞を殺すことができることである。血管透過性増強剤(VEA’s)は癌治療薬および造影剤の腫瘍部位での吸収を増加し、潜在的に効果が大きくなるように設計された新しい種類の薬剤である。VEA’sはモノクローナル抗体または他の生物活性ターゲティング薬剤の使用によって、既知の血管作用化合物(すなわち、組織がより透過的になるようにする分子)を選択的に固形癌に送達するように作用する。一旦、腫瘍部位に局在化されると、VEA’sは腫瘍に供給する血管および毛細血管の生理機能と透過性を変える。前臨床試験において、治療薬での治療の数時間前にVEA’sを投与すると、薬物の吸収は固形癌において最高400%まで増加した。VEA’sは大部分の既存の癌療法および造影剤の前処理としての使用を対象とするものである。VEA’sは複数の癌タイプにわたって有効であり得る。VEA’sの実施例は市販のCotara(商標)およびOncolym(登録商標)(Peregrine Pharmaceuticals社、Tustin,California)を含む。VEA’sは血流量を高め、したがって、腫瘍細胞でのバイオプローブの吸収を増加するために標的温熱療法と共に使用されてもよい。
【0172】
4.5.標的温熱療法と手術またはインターベンショナル手技の併用
本発明の実施形態において、標的温熱療法は観血療法または最小侵襲性手術あるいは他のインターベンショナル手技と併用される。手術またはインターベンションの際にバイオプローブはAMFにより加熱されることができる。前記AMFのエネルギー源は作動空間の一部であってもよく、したがって、滅菌材料で覆われていても良い。このような場合に、すべての手術器具はプラスチック、セラミック、ガラスまたは非磁気性金属または合金(チタン)製である。前記AMFエネルギー源は滅菌手術場所の隣に置かれて、患者を手動または自動的にAMFエネルギー領域に出したり入れたり移動され得る。
【0173】
本発明の実施形態において、臓器は、患者の体の外部に持ち上げられ外科的に準備されて、解剖的及び生理的に前記体につながったまま、体外でAMF照射される。治療される前記臓器は、その後、前記患者の体に戻す。このような手技によって、AMFにおける標的臓器のみへの選択性が向上し、一方、体の他の部分はAMFに暴露されない。
【0174】
標的療法は手術または他のインターベンショナル手技の実施前に少なくとも一度、実施中に一部、実施後に少なくとも一度与える
ことができる。
【0175】
4.6.標的ナノ療法と骨髄および幹細胞移植の併用
骨髄は血液細胞を産生する幹細胞と呼ばれる未熟細胞を含む。ほとんどの幹細胞は骨髄に存在するが、末梢血幹細胞(PBS’s)と呼ばれるいくつかの幹細胞は血流に存在することができる。幹細胞は分裂してより多くの幹細胞になるか、または成熟して白血球、赤血球または血小板になることができる。
【0176】
骨髄移植(BMT)および末梢血幹細胞移植(PBSCT)は大量の化学療法および/または放射線療法によって破壊された幹細胞を回復させる処置である。
【0177】
BMTとPBSCTの癌治療における主な目的は患者が極めて大量の化学療法および/または放射線療法を受けることができるようにすることである。健常な骨髄がなくては、患者の血液細胞が酸素運搬、感染への防衛、および出血の防御をできなくなる。治療によって破壊された幹細胞はBMTおよびPBSCTを用いて置き換えられる。
【0178】
BMTおよびPBSCTは白血病およびリンパ腫の治療に最も一般的に用いられる。BMTおよびPBSCTはしばしば緩解期(癌の徴候や症状が消えた期間)の白血病や、他の治療に反応しない癌か、または再発した癌を治療するために使われる。
【0179】
本発明の一実施形態においては、標的温熱療法は骨髄または幹細胞の移植前、移植時、または移植後、あるいはそのあらゆる組合せで実施される。
【0180】
標的温熱療法はまた、移植された骨髄または幹細胞に体外的に移植前に実施されることも可能である。
【0181】
4.7.標的温熱療法と光線力学療法の併用
光線力学療法のための薬物担体としてセラミック製ナノ粒子を用いた新技術が開発されている。光線力学療法は腫瘍組織に集中する傾向のある光感作性分子、光線感作物質(「PS’s」)に基づいている。適切な波長の光で照射すると、光線感作物質は光を吸収し、励起し、そのエネルギーを近接の分子酸素に転送し、反応性酸素種(ROS’s)を形成し、次にこれが近隣の腫瘍細胞の生命に必要な成分を酸化し、損傷する。抗体で標識された磁性ナノ粒子は感光性薬剤で被覆されても良い。
【0182】
あいにく、大部分の光線感作物質は疎水性で、注射可能な形態で調製することは困難である。この問題を解決するために、光線感作物質は脂質および他の疎水性運搬媒体に包まれる。しかし、これらの媒体には不利な点(例えば、弱装填、副作用)があり、それらの全てに皮膚や目の組織における薬物蓄積による光毒性の副作用を生じる傾向がある。光線感作物質を腫瘍細胞に選択的に送達し、腫瘍細胞を損傷することができるセラミック製ナノ粒子は、種々の仕様に容易に調製でき、全く安定で、極度のpHまたは温度による変性から分子を保護する。このようなナノ粒子はまた、生体適合性であり、特定の組織を標的にするために使う抗体または他のリガンドをその表面に結合するように改変することができる。このような改変をしない場合でも、腫瘍の漏れやすい欠陥構造によって巨大分子の吸収が増加されるため、ナノ粒子は腫瘍によって選択的に吸収される。シリカ製ナノ粒子は合成され、2−デビニル−2−(1−ヘキシルオキシエチル)ピロフェオフォルバイド(2−devinyl−2−(1−hexyloxyethyl)pyropheophorbide)(HPPH)でドーピングされる。ナノ粒子は650nmレーザーで活性化されると、かなりの細胞死(すなわち、細胞融解)を生じる。
【0183】
本発明の一実施形態において、シリカ製または他の光学活性化されたナノ粒子は磁気コアで作られる。これらのナノ粒子を有するバイオプローブもまた薬物を含む。これらのバイオプローブは次に光線で照射されて薬物を活性化し、後にさらに熱によって標的を破壊する標的温熱療法装置のAMFで照射される。前記バイオプローブはまた、光およびAMFで同時に照射される。
【0184】
本発明の他の実施形態において、光力学的粒子とバイオプローブは別々に注入され、互いに同時または個別に活性化される。
【0185】
標的温熱療法と組み合わされた光線力学療法は単独または化学療法、手術または両方との併用で使用することができる。
【0186】
4.8.多重併用療法
本明細書の前記4.1から4.7までに開示した療法および併用療法はさらに、患者に適切と考えられるあらゆる組合せで併用することができる。2(二重療法)若しくはそれ以上の療法とともに治療され得る疾患がある場合がある。他の療法と組み合わせたナノサイズの粒子を用いた標的温熱療法は2若しくはそれ以上の疾患を治療できる。
【0187】
5.標的温熱療法と医学画像法(MRI、PET、SPECT、バイオインピーダンス)
フェライト(酸化鉄FeまたはFe)の常磁性または超常磁性小粒子を磁気共鳴映像法(MRI)の常磁性造影剤として用いることができる。これらの造影剤は強いT1緩和特性を示し、また、その周囲組織との磁化率の差によって、強く異なる限局性の磁場を生じ、これがT2緩和を強化して造影剤含有構造部を暗くする。300ナノメートル未満の極めて小さい粒子はまた血管内に長時間留まる。これらの物質はまたSPIO’s(「小粒子酸化鉄」または「超常磁性酸化鉄」)および、USPIO’s(「超小粒子酸化鉄」または「超小の超常磁性酸化鉄」)と呼ばれる。本発明の一実施態様において、標的温熱療法はMRIと併用される。ガドリニウム標識抗フィブリンナノ粒子のような傷つきやすいプラークを標的とするMRI造影剤同位元素が用いられる。これらのナノ粒子が一旦プラークに吸収されると、AMFがプラークの破壊に使われる。
【0188】
ポジトロンエミッショントモグラフィ(PET)は患者の生体組織内のポジトロンエミッティングラジオアイソトープの濃度を測定する技術である。PETとともに広範囲の化合物を用いることができる。これらのポジトロンエミッティング放射性核種は半減期が短く、放射エネルギーが高い。PETで使われる主なポジトロンエミッティング放射性核種には、炭素−11、窒素−13、酸素−15、およびフッ素−18があり、その半減期はそれぞれ、20分、10分、2分および110分である。これらの化合物はトレーサー化合物としてPETにおいて一般に知られている。
【0189】
単一フォトン放出コンピュータ断層撮影(SPECT)はテクネチウム−99mおよびタリウムー201のような放射性核種と呼ばれる放射活性原子から単独で放射されるガンマ線の検出に関連する。放射性医薬品はそれに結合する放射性核種を有する蛋白質または有機分子である。前記蛋白質および有機分子はヒト体内での使用または吸収特性に基づいて選択される。SPECTは、癌、卒中、肝疾患、肺疾患、および他の生理的(機能的)異常の宿主の診断、進行段階の判断に通常使用される。
【0190】
例えばモリブデン−99、テクネチウム−99m、クロミウム−51、銅−64、ジスプロシウム−165、イッテルビウム−169、インジウム−111、ヨウ素−125、ヨウ素−131,イリジウム−192,鉄−59,リン−32,カリウム−42、ロジウム−186、レニウム−188、サマリウム−153、セレニウム−75、ナトリウム−24、ストロンチウム−89、キセノン−133、キセノン−127、イットリウム−90等またはその他など、放射性免疫画像診断用放射性核種は特異的抗原標的に結合する抗体に結合される(標識化、トレーシング、またはタグ付けと呼ばれる場合もある)。本発明の一実施形態において、放射性免疫画像診断は放射性核種を直接バイオプローブに結合することによって標的温熱療法と併用している。このような構成において、バイオプローブの吸収過程は直接画像にすることが出来る。
【0191】
バイオインピーダンスは、体が電流の流れをどれだけ妨げられるかの尺度である。脂肪は抵抗率が高く、血液は抵抗率が低い。インピーダンスは例えば、2つの電極を用いて小電流をかけて、その結果生じた小さい電圧を別の一組の電極で測定することによって測定する。与えられた電流に対して、電圧が低ければ、低いほど、組織のインピーダンスは低くなる。組織は細胞と膜からなり、膜は薄いが、抵抗力が高く、電気で小さいコンデンサーとして働く。高周波数では、その結果は細胞膜の能力とは無関係になる。しかし、低周波数では膜は電流を妨げ、その結果、細胞外の液に依存する。
【0192】
本発明の一実施形態において、1若しくはそれ以上のこれらの画像技術は、標的療法の実施の前、実施中、または実施後にバイオプローブの吸収を画像化するために使用される。
【0193】
本発明の方法は、これらに限らないが、例えば骨髄、肺、血管、神経、結腸、卵巣、腸、直腸、乳房、胃、膵臓および前立腺の癌などの任意の種類の癌、黒色腫、類上皮細胞肉腫、エイズ、自己免疫症状、不都合な血管新生、アミロイドーシス、心血管斑、血管斑、石灰化斑、脆弱性斑、再狭窄、血管病状、結核、肥満症、マラリア、およびHIVなどのウィルスによる疾患などを含む多様な適応症の治療に用いられる。
【0194】
本発明の上記記述がヒト(患者)を対象とした観点である一方、本発明は、哺乳類、死体などの他の対象を治療するのにも適用可能であることが理解されるであろう。
【0195】
前述のように、本発明は疾患組織、病原体、または他の望ましくない物質を治療するための標的温熱療法組成物、装置および方法に適用でき、標的特異的リガンドに結合されたエネルギー感作物質の患者の体、体部分、組織または体液への投与を含む、およびエネルギー感作物質へのエネルギー源の投与を含む。この標的方法は少なくとも1つの他の治療方法と併用することができる。本発明は、上記の特定の実施形態に限定されると見なされるべきではなく、むしろ請求の範囲で適正に説明された本発明の全ての観点を包含することは理解されるべきである。様々な修正、同等な方法、及び本発明が適用可能な多数の構造は、この明細書の再検討により本発明から導かれる当業者にとっては明らかである。請求の範囲は、そのような修正や装置を包含することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0196】
本発明は、添付の図面と関連して本発明の様々な実施形態の付随の詳細な説明を考慮することにより完全に理解されるであろう。
【図1】図1は、本発明の実施形態に従った温熱療法治療装置を図式的に説明したものである。
【図2】図2は、本発明の実施形態に従った温熱療法治療を図式的に説明したものである。
【図3】図3は、本発明の実施形態に従ったバイオプローブ構造を図式的に説明したものである。
【図4】図4は、本発明の実施形態に従ったバイオプローブの疾患特異的標的リガンド構成要素を図式的に説明したものである。
【図5】図5は、本発明の実施形態に従った、疾患細胞表面に結合した疾患特異的バイオプローブを図式的に説明したものである。
【図6】図6は、本発明の実施形態に従った温熱治療交番磁場を生じる回路を図式的に説明したものである。
【図7】図7は、本発明の実施形態に従ったAMFを発生するための手段を図式的に説明したものである。
【図8】図8は、本発明の実施形態に従った誘導子の構成の断面図を示す。
【図9】図9は、本発明の実施形態に従った標的治療装置の実施態様を図示するブロック図である。
【図10a】図10aおよび10bは、本発明の実施形態に従った誘導子を遮蔽する2種のタイプの電場を図式的に説明するものである。
【図10b】図10aおよび10bは、本発明の実施形態に従った誘導子を遮蔽する2種のタイプの電場を図式的に説明するものである。
【図11】図11は、本発明の実施形態に従ったラジオタグを含むバイオプローブの構成を図式的に説明するものである。
【図12】図12は、本発明の実施形態に従った化学療法剤を有するバイオプローブの構成を図式的に説明するものである。 本発明は様々な修正や代替形態が可能であるが、その詳細は図面の実施例を通じで示され、詳細に記載されている。しかしながら、本発明を記載された特定の実施形態に限定する意図がないことは理解されるべきである。一方、添付された請求の範囲によって定義されている本発明の要旨と範囲を逸脱しない全ての修正、同等物、及び代替物を権利範囲の対象とすることを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の疾患物質を治療するための標的温熱療法装置であって、
a)感受体を有するバイオプローブまたはバイオプローブシステムと、
b)感受体にエネルギーを与えるAMFを発生する交番磁場(AMF)誘導性誘導子と、
c)AMF誘導性誘導子に電源を与える誘導子に接続された発生器と
を有する装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記誘導子は、少なくとも部分的な磁気回路を定義するコアを有するAMF誘導性誘導子と、2つの極を有する前記コアと、それらの間の隙間を定義するコアの2つの極と、2つの極間を通り抜ける磁場とを有するものである。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記誘導子は、患者を取り囲み、少なくとも一回巻のコイルを有するものである。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、前記誘導子は、患者の背部又は前部に配置されたコイルを有するものである。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、前記誘導子は、核磁気共鳴映像(MRI)装置の少なくとも1つの傾斜磁場コイルを有するものである。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、前記誘導子は、連続的に切り替えられてAMFを発生するMRI装置の複数の傾斜磁場コイルを有するものである。
【請求項7】
請求項5に記載の装置において、前記誘導子は、MRI装置の複数の傾斜磁場コイルを有し、前記複数の傾斜磁場コイルは連続的に切り替えられて回転AMFを発生するものである。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、さらに、少なくとも一対のパルス変調器を有し、ここで、前記少なくとも一対のパルス変調器は、反対の極性の誘導子に連結され、誘導子内に交流を生じるものである。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、磁気誘導子は、
a)円形ローター(回転子)と、
b)磁束を生じるために円形ローターに接続、または取付けられた、少なくとも二個のマグネットと、を有し、
ここで、前記マグネット間には隙間があり、前記円形ローターは前記隙間内に配置された標的の周りを回転するものである。
【請求項10】
請求項9に記載の装置において、前記円形ローターは、前記マグネットの磁束の返還経路を作るものである。
【請求項11】
請求項9に記載の装置において、前記円形ローターは、磁気抵抗の低い材料から作られるものである。
【請求項12】
請求項1に記載の装置において、前記バイオプローブは、1若しくはそれ以上のリガンドを有するものである。
【請求項13】
請求項1に記載の装置において、前記バイオプローブは、1若しくはそれ以上の抗体を有するものである。
【請求項14】
請求項13に記載の装置において、前記抗体は、AC10、HeFi1、AC10およびHeFi1の誘導体、19D9D6モノクローナル抗体、MV833、HuMV833、抗サイトケラチンAE1/3、抗CAM5.2、M170、キメラM170、Votumumab、Mab88BV59、ABX−EGF、HuMax−EGFr、h−R3、4B5−H、ABX−MA1、MDX−010、Mab−1A7、ACA−125、R1549、Pemtumomab、MuHMFg1、HuHMFg1、Mab−B42.13、Ov、VB2−011、H−11ScFv、Novo Mab−G2ScFv、Bevacizumab、rhuMAb−VEGF、SGN−15、cBR96、Pertuzumab、rhuMAb 2C4、Mab AR20.5、R1550、huHMFG1、ING−1、huLM609、Mab−MEDI−522、huLM609またはそれらの組合せを有するものである。
【請求項15】
請求項1に記載の装置において、前記バイオプローブは抗フィブリンを有するものである。
【請求項16】
請求項1に記載の装置において、前記バイオプローブの感受体は酸化鉄を有するものである。
【請求項17】
請求項1に記載の装置であって、さらに1若しくはそれ以上のバイオプローブを有するものである。
【請求項18】
請求項17に記載の装置において、前記バイオプローブは互いに異なるものである。
【請求項19】
対象物の体、体の一部、組織、細胞、または体液を治療するための治療方法であって、
a)標的にバイオプローブを供給し、かつ、前記バイオプローブを交番磁場(AMF)に暴露することによって、標的に標的温熱療法を施行する工程と、
b)前記標的に少なくとも1つの他の療法を施行する工程とを有し、
ここで、前記少なくとも1つの他の療法は、前記標的温熱療法の施行前、施行中、施行後、あるいはそれらの組合せで施行する治療方法。
【請求項20】
請求項19に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの他の療法の施行は、腫瘍の血管系において凝固を誘発する感作薬剤を投与する工程を有するものである。
【請求項21】
請求項20に記載の治療方法において、前記感作薬剤は、モノホスホリル脂質A(MPL)、単球ケモアトラクタント蛋白質−1(MCP−1)、血小板由来成長因子−BB(PDGF−BB)、C反応性蛋白(CRP)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)またはTNF−αの誘発剤、Rac1アンタゴニスト、DMXAA、CM101またはサリドマイド、ムラミールジペプチド(MDP)、トレオニル−MDPまたはMTPPE、抗血管新生薬、ヴァスキュロスタチン(vasculostatin)、カンスタチン(canstatin)またはマスピン、VEGF阻害剤、抗VEGF遮断抗体、VEGF受容体コンストラクト(sVEGF−R)、チロシンキナーゼ阻害剤、アンチセンスVEGFコンストラクト、抗VEGFRNAアプタマー、抗VEGFリボザイム、細胞表面活性化抗原CD40に結合する抗体、sCD40−リガンド(sCD153)、コンブレタスタチンA−1、A−2、A−3、A−4、A−5、A−6、B−1、B−2、B−3、B−4、D−1またはD−2、サリドマイド、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項22】
請求項20に記載の治療方法において、前記感作薬剤は、抗体、抗原結合領域、モノクローナル、組み換え体、ヒト抗体または一部ヒト抗体またはヒト化抗体、キメラ抗体、または、抗原結合領域、scFv、Fv、Fab’、Fab、ダイアボディー(diabody)、リニア抗体、またはF(ab’)、リガンド、成長因子、または受容体、VEGF受容体、FGF受容体、TGF−β受容体、TIE、VCAM−1、ICAM−1、P−セレクチン、E−セレクチン、PSMA、プレイオトロピン(pleiotropin)、エンドシアリン(endosialin)、エンドグリン(endoglin)、フィブロネクチン、散乱因子/肝細胞成長因子(HGF)、血小板因子第4因子(PF4)、PDGFまたはそれらの組合せを含むものである。
【請求項23】
請求項19に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの他の療法は温熱療法を含むものである。
【請求項24】
請求項23に記載の治療方法において、前記温熱療法はRF渦電流、光線、直接的RF照射又はマイクロ波照射、交流または直流、温熱シードの誘導、熱湯または温水の温熱浴、油または他の溶液、非標的粒子の誘導、電離放射線、またはそれらのあらゆる組合せを含むものである。
【請求項25】
請求項19に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの他の療法は、モノクローナル抗体療法を含むものである。
【請求項26】
請求項19に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの他の療法は放射線治療を含むものである。
【請求項27】
請求項26に記載の治療方法において、前記の放射線治療は放射線免疫療法を有し、ここで、前記放射線免疫療法は、モリブデン−99、テクネチウム−99m、クロミウム−51、銅−64、ジスプロシウム−165、イッテルビウム−169、インジウム−111、ヨウ素−125、ヨウ素−131、イリジウム−192、鉄−59、リン−32、カリウム−42、ロジウム−186、レニウム−188、サマリウム−153、セレニウム−75、ナトリウム−24、ストロンチウム−89、キセノン−133、キセノン−127、およびイットリウム−90またはそれらの組合せを含む放射性核種の使用を含むものである。
【請求項28】
請求項26に記載の治療方法において、前記の放射線治療は放射線免疫療法であり、ここで前記免疫療法はモノクローナル抗体または標的温熱療法装置のバイオプローブに結合関連した放射性核種の使用を含むものである。
【請求項29】
請求項19に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの他の療法は化学療法を含むものである。
【請求項30】
請求項29に記載の治療方法において、前記化学療法は薬物または薬剤の投与を有し、ここで、前記薬剤または物質は、S期依存性代謝拮抗薬、カペシタビン(capercitabine)、シタラビン、ドキソルビシン、フルダラビン、フロクスウリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メルカトプリン、メトトレキサート、プレドニゾン、プロカルバジン、チオグアニン(、M期依存性ビンカアルカロイド類、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ポドフィロトキシン類、エトポシド、テニポシド、タキサン類、ドセタキセル(doxetaxel)、パクリタキセル(paxlitaxel)、G期依存性薬剤、ブレオマイシン、イリノテカン、ミトキサントロン、トポテカン、G期依存性薬剤、アスパラギナーゼ、コルチコステロイド類、アルキル化剤、ナイトロジェンマスタード類、メクロレタミン、ムスタルゲン(mustargen)、シクロホスファミド、イホスファミド(Ifex)およびクロラムブシル、リューケラン、ニトロソウレア類 、プラチナ製剤、シスプラチン、プラチノール、カルボプラチン、パラプラチン、代謝拮抗剤、天然物治療製品、抗腫瘍抗生物質、ブレオマイシン、アントラサイクリン類、エピポドフィロトキシン類、ビンカアルカロイド類、タキサン類、カンプトテシン、またはそれらの組合せが含むものである。
【請求項31】
請求項29に記載の治療方法において、前記化学療法は、薬物または薬剤を投与する工程を有し、ここで、前記薬物または薬剤はモノクローナル抗体、またはバイオプローブに関連しているものである。
【請求項32】
請求項29に記載の治療方法において、前記の化学療法はバイオプローブに関連した薬物または薬剤の投与工程を有しており、ここで、前記薬物または薬剤はAMF暴露時に前記バイオプローブから遊離することによって活性化されるものである。
【請求項33】
請求項29に記載の治療方法において、前記化学療法は薬物または薬剤を投与する工程を有しており、ここで、前記薬物または薬剤はAMFに暴露されると破壊されるものである。
【請求項34】
請求項29に記載の治療方法において、前記バイオプローブは被覆材料を有し、ここにおいて、前記化学療法はバイオプローブの被覆材料の中に挿入される薬物または薬剤を投与することを有するものである。
【請求項35】
請求項19に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの他の療法は、1若しくはそれ以上の薬学的療法を含むものである。
【請求項36】
請求項35に記載の治療方法において、前記薬学的療法は1若しくはそれ以上の血管透過性増進剤を有するものである。
【請求項37】
請求項19に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの他の療法は、手術、最小侵襲性手術、またはインターベンショナル技術を含むものである。
【請求項38】
請求項37に記載の治療方法であって、さらに臓器を解剖的かつ生理的に体に接続したまま、前記臓器を前記体の外に持ち上げられるように外科的に用意する工程と、前記臓器をAMFで体外的に照射する工程とを有するものである。
【請求項39】
請求項19に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの他の療法は、骨髄移植または幹細胞移植を含むものである。
【請求項40】
請求項19に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの他の療法は、ベバシズマブ、rhuMAb−VEGF、BMS−275291、セレコキシブ、EMD121974、rhEndostatin、セツキシマブ、インターフェロン−α、LY317615、AE−941、PTK787、SU6668、SU11248、サリドマイド、ZD1839、ZD6474またはそれらの組合せを投与する工程を含むものである。
【請求項41】
請求項19に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの他の療法は光線力学療法を含むものである。
【請求項42】
請求項41に記載の治療方法において、前記光線力学療法は、シリカベースか、または他の磁気コアを伴った光学活性ナノ粒子を有する少なくとも1つの光力学的粒子と、薬物とを投与する工程を有し、ここで、前記少なくとも1つの光力学的粒子は光線で照射されて前記薬物を活性化するものである。
【請求項43】
請求項42に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの光力学的粒子とバイオプローブは別々に患者に注入され、同時に活性化されるものである。
【請求項44】
請求項42に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの光力学的粒子とバイオプローブは別々に患者に注入され、別々に活性化されるものである。
【請求項45】
治療方法であって、
a.腫瘍を含む対象物の体、体の一部、又は組織にバイオプローブを供給し、さらに前記バイオプローブを交番磁場(AMF)に暴露することによって標的温熱療法を前記体、体部分、組織に施行する工程と、
b.前記AMFへの暴露に応答して前記体、体の一部、又は組織の血管系を破壊または抑制する工程と
を有する治療方法。
【請求項46】
請求項45に記載の治療方法であって、さらに少なくとも1つの他の療法を前記体、体の一部、又は組織に投与することを有するものである。
【請求項47】
請求項46に記載の治療方法であって、さらに薬剤を投与する工程を有し、前記薬剤は腫瘍血管系の凝固を誘発する感作物質を含むものである。
【請求項48】
請求項47に記載の治療方法において、前記感作物質は、モノホスホリル脂質A(MPL)、単球走化性蛋白−1(MCP−1)、血小板由来成長因子−BB(PDGF−BB)、C反応性蛋白(CRP)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)またはTNF−α誘発剤、Rac1アンタゴニスト、DMXAA、CM101またはサリドマイド、ムラミールジペプチド(MDP)、トレオニル−MDPまたはMTPPE、抗血管新生薬、ヴァスキュロスタチン(vasculostatin)、カンスタチン(canstatin)またはマスピン(maspin)、VEGF阻害剤、抗VEGF遮断抗体、VEGF受容体コンストラクト(sVEGF−R)、チロシンキナーゼ阻害剤、アンチセンスVEGFコンストラクト、抗VEGFRNAアプタマー、抗VEGFリボザイム、細胞表面活性化抗原CD40に結合する抗体、sCD40−リガンド(sCD153)、コンブレタスタチンA−1、A−2、A−3、A−4、A−5、A−6、B−1、B−2、B−3、B−4、D−1またはD−2、サリドマイド、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項49】
請求項47に記載の治療方法において、前記感作物質は、抗体、抗原結合領域、モノクローナル、組み換え、ヒト、一部ヒト、ヒト化、またはキメラ抗体、または、抗原結合領域、scFv、Fv、Fab’、Fab、diabody、リニア抗体、またはF(ab’)、リガンド、成長因子、または受容体、VEGF受容体、FGF受容体、TGF−β受容体、TIE、VCAM−1、ICAM−1、P−セレクチン、E−セレクチン、PSMA、プレイオトロピン(pleiotropin)、エンドシアリン(endosialin)またはエンドグリン(endoglin)、フィブロネクチン、散乱因子/肝細胞成長因子(HGF)、血小板第4因子(PF4)、PDGFまたはそれらの組合せを含むものである。
【請求項50】
請求項46に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの他の療法は温熱療法(ハイパーサーミア)を含むものである。
【請求項51】
請求項50に記載の治療方法において、前記温熱療法はRF渦電流、光線、直接のRF又はマイクロ波照射、交流または直流、温熱シードの誘導、熱湯または温水の温熱浴、油、または他の溶液、非標的粒子の誘導、電離放射線、またはそれらのあらゆる組合せを含む。
【請求項52】
請求項46に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの他の療法はモノクローナル抗体療法を有するものである。
【請求項53】
請求項52に記載の治療方法において、前記のモノクローナル抗体療法は、抗体を投与する工程を含み、ここで前記抗体はAC10、HeFi1、AC10およびHeFi1の誘導体、19D9D6モノクローナル抗体、MV833、HuMV833、抗サイトケラチンAE1/3、抗CAM5.2、M170、キメラM170、Votumumab、Mab88BV59、ABX−EGF、HuMax−EGFr、h−R3、4B5−H、ABX−MA1、MDX−010、Mab−1A7、ACA−125、R1549、Pemtumomab、MuHMFg1、HuHMFg1、Mab−B42.13、Ov、VB2−011、H−11ScFv、NovoMab−G2ScFv、Bevacizumab、rhuMAb−VEGF、SGN−15、cBR96、Pertuzumab、rhuMAb2C4、MabAR20.5、R1550、huHMFG1、ING−1、huLM609、Mab−MEDI−522、huLM609またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項54】
請求項46に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの他の療法は放射線治療を含むものである。
【請求項55】
請求項54に記載の治療方法において、前記放射線治療は放射線免疫療法を有し、前記放射線免疫療法は、モリブデン−99、テクネチウム−99m、クロミウム−51、銅−64、ジスプロシウム−165、イッテルビウム−169、インジウム−111、ヨウ素−125、ヨウ素−131、イリジウム−192、鉄−59、リン−32、カリウム−42、ロジウム−186、レニウム−188、サマリウム−153、セレニウム−75、ナトリウム−24、ストロンチウム−89、キセノン−133、キセノン−127、およびイットリウム−90またはそれらの組合せを含む放射性核種の使用を含むものである。
【請求項56】
請求項54に記載の治療方法において、前記放射線治療は放射線免疫療法を有し、前記放射線免疫療法は、モノクローナル抗体またはバイオプローブに結合した放射性核種を投与することを含むものである。
【請求項57】
請求項46に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの他の療法は化学療法を含むものである。
【請求項58】
請求項57に記載の治療方法において、前記の化学療法は薬物または薬剤の投与を有し、前記薬物または薬剤にはS期依存性代謝拮抗薬、カペシタビン(capercitabine)、シタラビン、ドキソルビシン、フルダラビン、フロクスウリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メルカプトプリン、メトトレキサート、プレドニゾン、プロカルバジン、チオグアニン、M期依存性ビンカアルカロイド類、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ポドフィロトキシン類、エトポシド、テニポシド、タキサン類、ドセタキセル(doxetaxel)、パクリタキセル(paxlitaxel)、G期依存性薬剤、ブレオマイシン、イリノテカン、ミトキサントロン、トポテカン、G期依存性薬剤、アスパラギナーゼ、コルチコステロイド類、アルキル化剤、ナイトロジェンマスタード類、メクロレタミン、ムスタルゲン(mustargen)、シクロホスファミド、イホスファミド(Ifex)およびクロラムブシル、リューケラン、ニトロソウレア類、プラチナ製剤、シスプラチン、プラチノール、カルボプラチン、パラプラチン、代謝拮抗剤、天然物治療製品、抗腫瘍抗生物質、ブレオマイシン、アントラサイクリン類、エピポドフィロトキシン類、ビンカアルカロイド類、タキサン類、カンプトテシン、またはそれらの組合せが含むものである。
【請求項59】
請求項57に記載の治療方法において、前記化学療法は薬物または薬剤の投与を有し、ここで、前記薬物または薬剤はモノクローナル抗体またはバイオプローブに結合されるものである。
【請求項60】
請求項57に記載の治療方法において、前記化学療法は薬物または薬剤を投与する工程を有し、ここで、前記薬物または薬剤はAMF暴露時にバイオプローブから遊離して活性化されるものである。
【請求項61】
請求項57に記載の治療方法において、前記化学療法は薬物または薬剤の投与を有し、ここで、前記薬物または薬剤はAMFに暴露されると破壊されるものである。
【請求項62】
請求項57に記載の治療方法において、前記化学療法は薬物または薬剤を投与する工程を有し、ここで、前記薬物または薬剤はバイオプローブの被覆材の中に挿入されるものである。
【請求項63】
請求項46に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの他の療法は薬学的療法を有するものである。
【請求項64】
請求項63に記載の治療方法において、前記薬学的療法は1若しくはそれ以上の血管透過性増強薬を投与することを有するものである。
【請求項65】
請求項46に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの他の療法は手術、最小侵襲性手術、または介入技術を有するものである。
【請求項66】
請求項65に記載の治療法であって、さらに臓器を解剖的に及び生理的に体に接続したまま、前記臓器を前記体外に持ち上げられるように外科的に用意して、前記臓器をAMFで体外的に照射することを有するものである。
【請求項67】
請求項46に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの他の療法は骨髄、または幹細胞移植を有するものである。
【請求項68】
請求項46に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの他の療法は、ベバシズマブ、BMS−275291、セロコキシブ、EMD121974、rhEndostatin、セツキシマブ、インターフェロン−αLY317615、AE−941、PTK787、SU6668、SU11248、サリドマイド、ZD1839、ZD6474またはそれらの組合せを有するものである。
【請求項69】
請求項46に記載の治療方法において、前記少なくとも1つの他の療法は光線力学療法を含むものである。
【請求項70】
請求項69に記載の治療方法において、前記光線力学療法は、シリカベースの、または他の光学的に活性な、磁気コアを有するナノ粒子を有する少なくとも1つの光力学的粒子と薬物とを投与する工程と、少なくとも1つの光力学的粒子を光線で照射して前記薬物を活性化させる工程とを有するものである。
【請求項71】
請求項70に記載の治療方法であって、さらに、前記少なくとも1つの光力学的粒子およびバイオプローブを前記体、体の一部または組織へ別々に導入する工程と、前記少なくとも1つの光力学的粒子およびバイオプローブを同時または別々に活性化させる工程とを有するものである。
【請求項72】
対象物の体、体の一部、組織、細胞または体液を治療するための治療方法であって、
a)前記体、体の一部、組織、細胞または体液を医学的画像化する工程と、
b)前記対象物の体、体の一部、組織、細胞または体液にバイオプローブを導入し、さらに前記バイオプローブを交番磁場(AMF)に暴露することによって、標的温熱療法を実施する工程とを有し、
ここで、前記標的温熱療法の実施は、前記医学的画像化前、前記医学的画像化時、または前記医学的画像化後、あるいはそれらの組合せで行う治療方法。
【請求項73】
請求項72に記載の治療方法において、前記体、体の一部、組織、細胞または体液の医学的画像化は、磁気共鳴映像法、X線画像、陽電子放出断層撮影、単光子放出コンピュータ断層撮影、生体インピーダンス測定、放射性免疫画像またはそれらの組合せの使用を含むものである。
【請求項74】
請求項73に記載の治療方法において、前記放射性免疫画像は前記患者に少なくとも1つの放射性核種を投与する工程を含み、ここで、前記放射性核種はモリブデン−99、テクネチウム−99m、クロミウム−51、銅−64、ジスプロシウム−165、イッテルビウム−169、インジウム−111、ヨウ素−125、ヨウ素−131、イリジウム−192、鉄−59、リン−32、カリウム−42、ロジウム−186、レニウム−188、サマリウム−153、セレニウム−75、ナトリウム−24、ストロンチウム−89、キセノン−133、キセノン−127、およびイットリウム−90またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項75】
請求項74に記載の治療方法において、前記医学的画像化は前記患者に少なくとも1つの放射性核種を投与する工程を有し、前記少なくとも1つの放射性核種は前記バイオプローブに付着されているものである。
【請求項76】
請求項73に記載の治療方法において、前記医学的画像化は磁気共鳴映像(MRI)を有し、前記バイオプローブはアンチフィブリンを有し、かつ、ガドリニウム標識化されているものである。
【請求項77】
請求項72に記載の治療方法であって、さらに、少なくとも1つの他の療法を実施する工程を含み、ここで、前記少なくとも1つの他の療法は、温熱療法、直接抗体療法、放射線治療、化学療法、薬学的療法、光線力学療法、外科療法(手術)、インターベンション療法、骨髄移植または幹細胞移植またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項78】
磁性材料組成物であって、
a.磁気特性を有し、さらに1磁区を形成する粒子と、
b.前記粒子に対する生体適合性被覆材料と、
c.疾患物質に結合した少なくとも1つの疾患物質マーカーに選択的なリガンドであって、前記リガンドは、i)前記粒子の被覆されていない部分に結合したリガンド、ii)前記粒子の被覆部分に結合したリガンド、iii)前記粒子に結合し、さらに一部被覆材で覆われたリガンド、または、iv)被覆材の中に挿入されているリガンドと
を有する磁性材料組成物。
【請求項79】
請求項78の磁性粒子組成物において、前記生体適合性被覆材は生体分解性である。
【請求項80】
請求項78の磁性粒子組成物において、前記粒子は少なくとも1つの寸法において約250nm以下のサイズを有するものである。
【請求項81】
請求項78の磁性材料組成物において、前記粒子、前記被覆材料および前記リガンドは生体適合性の液体中で懸濁されるものである。
【請求項82】
請求項78の磁性材料組成物において、前記磁性粒子は強磁性、反強磁性、フェリ磁性、反フェリ磁性または超常磁性である。
【請求項83】
請求項78の磁性材料組成物において、前記磁性粒子は合成工程、自然工程、または、それらの組合せによって調製された酸化鉄を含むものである。
【請求項84】
請求項83の磁性材料組成物において、前記酸化鉄は生物的に誘導されるミネラル化、境界組織化されたバイオミネラル化またはそれらの組合せによって調製されるものである。
【請求項85】
請求項84の磁性材料組成物において、前記境界組織化されたバイオミネラル化の工程は、走磁性細菌の一種において生じるものである。
【請求項86】
請求項78の磁性材料組成物において、前記磁性粒子は約40℃〜約150℃の範囲のキュリー温度を有するものである。
【請求項87】
請求項78の磁性材料組成物において、前記磁性粒子は生体適合材料の形状をなしており、ここで、前記磁性粒子の表面は生体適合性被覆を形成するものである。
【請求項88】
請求項78の磁性材料組成物において、前記生体適合被覆材は有機材料、無機材料、またはそれらの組合せである。
【請求項89】
請求項88の磁性材料組成物において、前記有機材料は合成材料、生体物質、またはそれらの組合せである。
【請求項90】
請求項89の磁性材料組成物において、前記合成材料はポリマー、コポリマー、またはそれらの組合せである。
【請求項91】
請求項89の磁性材料組成物において、前記合成材料は少なくとも1つのポリマー、コポリマー、またはアクリレート類、シロキサン類、スチレン類、アセテート類、アルキレングリコール類、アルキレン類、アルキレンオキシド類、パリレン、乳酸、およびグリコール酸の中の少なくとも1つに基づいたポリマーから形成されるポリマー混合物、を含むものである。
【請求項92】
請求項89の磁性材料組成物において、前記合成材料はヒドロゲルポリマー、ヒスチジン含有ポリマー、界面活性剤、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項93】
請求項89の磁性材料組成物において、前記生体物質は多糖類、ポリアミノ酸、蛋白質、脂質、グリセロール、脂肪酸、およびそれらの組合せの少なくとも1つを含むものである。
【請求項94】
請求項93の磁性材料組成物において、前記多糖類は、ヘパリン、硫酸ヘパリン、コンドロイチン硫酸、キチン、キトサン、セルロース、デキストラン、アルギン酸塩、澱粉、糖類、炭水化物、グリコサミノグリカン、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項95】
請求項93の磁性材料組成物において、前記蛋白質は細胞外基質蛋白質、プロテオグリカン、糖蛋白質、アルブミン、ペプチド、ゼラチン、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項96】
請求項88の磁性材料組成物において、前記無機材料は金属、合金、セラミック、第IV族元素の酸化物、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項97】
請求項96の磁性材料組成物において、前記セラミックはヒドロキシアパタイト、炭化珪素、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、フェライト、ホスホン酸塩、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項98】
請求項89の磁性材料組成物において、前記生体物質はガン細胞による取り込みを増強するトランスフェクション剤である。
【請求項99】
請求項98の磁性材料組成物において、前記トランスフェクション剤はベクター、プリオン、ポリアミノ酸、陽性リポソーム、両親媒性物質、非リポソーム脂質(non−liposomal lipid)またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項100】
請求項99の磁性材料組成物において、前記ベクターはプラスミド、ウイルス、ファージ、バイロン、ウイルス被膜、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項101】
請求項19に記載の治療方法において、前記標的温熱療法は複数の異なるバイオプローブまたはバイオプローブシステムと、磁気発生器と、誘導子とを有する標的温熱療法を用いて実施されるものである。
【請求項102】
請求項19に記載の治療方法において、前記方法は癌、エイズ、有害な血管新生、心血管斑、血管斑、石灰化斑、脆弱性斑、再狭窄、アミロイドーシス、結核、肥満症、マラリアおよびウィルスによる疾患の治療に使用されるものである。
【請求項103】
磁性材料組成物であって、この組成物は、
a.第一の療法と関連する磁気特性を有する粒子と、疾患物質と結合する少なくとも1つの疾患物質マーカーに選択的であって前記粒子と関連されるリガンドとを有するバイオプローブと、
b.第二の療法と関連する物質であって、前記物質はバイオプローブと関連しているものと
を有する磁性材料組成物。
【請求項104】
請求項103の組成物において、前記物質は放射線療法剤を含むものである。
【請求項105】
請求項104の組成物において、前記放射線療法薬は放射性核種を含むものである。
【請求項106】
請求項103の組成物において、前記物質は化学療法剤を含むものである。
【請求項107】
請求項103の組成物において、前記物質は薬学的物質を含むものである。
【請求項108】
請求項103の組成物において、前記物質は光力学的物質を含むものである。
【請求項109】
請求項103の組成物において、前記のバイオプローブはさらに被覆材を含むものである。
【請求項110】
請求項103の組成物において、前記のバイオプローブは単一ドメイン(単一磁区)を形成するものである。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−521109(P2007−521109A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537998(P2006−537998)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/031382
【国際公開番号】WO2005/044365
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(503461995)トリトン バイオシステムズ、インク. (5)
【Fターム(参考)】