ナノスケール触媒
方法は、触媒を含む前駆体部分上でポリマーを折り畳んで、ポリマーおよび前駆体部分を有する複合体を形成する工程;ならびに該複合体からナノ粒子を形成する工程を含む。本発明は、触媒、触媒の製造方法、および触媒の使用方法に関する。本発明は、1種または複数種のポリマーによって被包された光触媒を形成するナノメートルスケールの前駆体部分を含む触媒系を取り上げる。また、本発明は、光触媒を形成するための、ポリマーで被包された前駆体部分の製造方法を取り上げる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2008年12月29日に出願された米国仮特許出願第61/141,095号への優先権を主張し、この米国仮特許出願の全ての内容は、本明細書で参照することにより援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、触媒、触媒の製造方法、および触媒の使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
触媒は、化学反応を加速できる材料である。触媒の一例が、光触媒性である半導体であり、実際に、該触媒は、十分なエネルギーの光で照らされると種々の種類の反応を触媒することができる。該触媒は、支持体上に固定化され、大きな有効表面積を備えたナノメートルの大きさの材料(「ナノ粒子」と呼ばれることもある)の形態で存在することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、触媒、触媒の製造方法、および触媒の使用方法に関する。
【0005】
一態様において、本発明は、1種または複数種のポリマーによって被包された光触媒を形成するナノメートルスケールの前駆体部分を含む触媒系を取り上げる。一部の実施形態において、ナノ触媒は、機能化されていても、機能化されていなくてもよい固体支持体によって担持される。触媒系は、数あるものの中でも、大きな比表面積、活性成分の高い分散度、高い転換率、および/または高い選択性を提供することができる。該触媒系は、容易に取り扱い、容易に分離し、かつ容易に再使用することができ、それによって、使用コストを低下させ、かつそれらの環境への影響を低下させることができる。
【0006】
別の態様において、本発明は、光触媒を形成するための、ポリマーで被包された前駆体部分の製造方法を取り上げる。一部の実施形態において、ポリマーは、1種または複数種の高分子電解質を含むことができる。高分子電解質(群)は、大きな分子量(ほぼ100,000ダルトンを超える)または小さな分子量(例えば、ほぼ100,000ダルトン以下)を有することができる。
【0007】
別の態様において、本発明は、触媒を含む前駆体上でポリマーを折り畳んでポリマーおよび前駆体部分を有する複合体を形成すること;および該複合体からナノ粒子を形成することを含む方法を取り上げる。
【0008】
該実施形態は、次の特徴の1つまたは複数を含むことができる。ポリマーは、高分子電解質を含む。高分子電解質は、ポリ(アリルアミン塩酸塩)(PAAH)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDDA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(スチレンスルホネート)(PSS)、および/またはポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)(PAMCS)を含む。該ポリマーは、ほぼ100,000Dを超える分子量を有する。
【0009】
触媒としては、金属、金属錯体、金属酸化物、金属セレン化物、金属テルル化物、または金属硫化物が挙げられる。金属の具体例には、限定はされないが、Au、Ag、Cu、Ru、Pt、Ni、Pd、Ti、Bi、Zn、これらの組合せ、またはこれらの合金が含まれる。その他の例には、限定はされないが、酸化チタン(例えば、TiO2)、酸化ビスマス(例えば、Bi2O3)、酸化セリウム(例えば、CeO2)、酸化タングステン(例えば、WO3)、硫化ビスマス(例えば、Bi2S3)、酸化亜鉛(例えば、ZnO)、酸化鉛(例えば、PbO)、酸化鉄(Fe2O3、Fe3O4)、硫化亜鉛(例えば、ZnS)、硫化鉛(例えば、PbS)、硫化カドミウム(例えば、CdS)、セレン化カドミウム(例えば、CdSe)、およびテルル化カドミウム(例えば、CdTe)が含まれる。触媒は、1種または複数種のドーパントを含むことができる。触媒は、金属酸化物、金属水酸化物、または金属オキシ水酸化物であることができる。ドーパントとしては、窒素、ヨウ素、フッ素、鉄、コバルト、銅、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タングステン、セリウム、ランタン、金、銀、パラジウム、白金、酸化アルミニウム、および/または酸化セリウムを挙げることができる。
【0010】
該方法は、複合体を架橋すること、複合体を加熱すること、ナノ粒子を支持体と会合させること、または複合体を照射することをさらに含むことができる。
【0011】
該複合体は、1種を超えるポリマー分子を含むことができる。
【0012】
該方法は、溶媒、および該溶媒に溶解したポリマーを含む溶液を形成することをさらに含むことができる。該方法は、前駆体部分を溶液に接触させることをさらに含むことができる。前駆体部分は、金属含有塩または有機金属化合物を含むことができる。
【0013】
該ナノ粒子は、ほぼ1nm〜ほぼ50nmの平均粒子径を有することができる。
【0014】
該方法は、該ナノ粒子を用いて反応を触媒することをさらに含むことができる。該反応は、光触媒されることができる。該反応は、可視光で光触媒されることができる。
【0015】
別の態様において、本発明は、ドープされた半導体ナノ粒子およびポリマーを含む組成物を取り上げる。
【0016】
該実施形態は、次の特徴の1つまたは複数を含むことができる。ポリマーは高分子電解質である。ナノ粒子は、酸化チタンを含む。ナノ粒子は、酸化ビスマスを含む。ナノ粒子は10nm未満の直径を有する。
【0017】
別の態様において、本発明は、ナノ粒子およびポリマー支持体を含む組成物を取り上げる。
【0018】
該実施形態は、次の特徴の1つまたは複数を含むことができる。ポリマーは、カチオン性高分子電解質を含む。ポリマーは、アニオン性高分子電解質を含む。ポリマーは、カチオン性高分子電解質およびアニオン性高分子電解質の両方を含む。ナノ粒子は、半導体を含む。ナノ粒子は、ドープされた半導体を含む。
【0019】
別の態様において、本発明は、高分子電解質で安定化されたナノ粒子複合体を含む溶液に凝集剤を添加することを含む方法を取り上げる。
【0020】
該実施形態は、次の特徴の1つまたは複数を含むことができる。複合体は、半導体ナノ粒子を含む。複合体は、ドープされた半導体ナノ粒子を含む。凝集剤は、複合体中の高分子電解質の反対に帯電しているポリマーを含む。凝集剤は、複合体中の高分子電解質の反対に帯電している対イオンを含む。凝集剤は、高分子電解質で安定化されたナノ粒子複合体を含む。
【0021】
該実施形態は、次の特徴または利点の1つまたは複数を含む。
【0022】
触媒系は、大きな活性表面積を備えた小さな触媒を提供することができる。一部の実施形態において、とりわけ触媒を固体支持体上に固定化する場合、触媒系は、高められた選択性、効率、回収性、および/またはリサイクル性を提供することができる。
【0023】
触媒系(例えば、ドープされた半導体ナノ粒子を含む)は、可視波長および紫外波長の存在下で高められた光触媒活性を提供することができる。例えば、該触媒系を、屋外または屋内汚染物質のモデルである有機分子を分解するのに使用することができる。
【0024】
触媒系は、有害な結果(焼結など)を伴わないで高温度での応用(触媒転化)に耐えることができる。
【0025】
その他の態様、特徴、および利点は、実施形態に関する以下の説明から、および特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、触媒系に関する実施形態の図解である。
【図2】図2は、触媒系の製造方法に関する実施形態の流れ図である。
【図3】図3は、窒素ドープ酸化チタンナノ粒子のX線光電子分光法(XPS)スペクトルである。
【図4】図4は、未ドープのおよびドープされた酸化チタンナノ粒子における45分経過後のメチレンブルーの吸収スペクトルである。
【図5】図5は、炭酸カルシウム支持体上の金ナノ粒子の走査型電子顕微鏡法(SEM)写真である。
【図6】図6は、酸化チタンナノ粒子の粉末X線回折パターンである。
【図7】図7は、酸化チタン/PAAナノ粒子の透過型電子顕微鏡法写真である。
【図8】図8は、酸化ビスマス/PSSナノ粒子の透過型電子顕微鏡法写真である。
【図9】図9は、金/PDDAナノ粒子の透過型電子顕微鏡法写真である。
【図10】図10は、可視光下でのドープされた酸化ビスマスによるメチレンブルーの脱色を示す、吸光度対波長のプロットである。
【図11】図11は、60分間にわたる煤煙の分解を示す写真であり、支持体単独(左)、未ドープの光触媒(中央)、およびドープされた光触媒(右)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<組成>
図1は、固体支持体(24)によって担持された触媒ナノ粒子(22)を含む触媒系(20)を示す。示したように、各触媒ナノ粒子(22)は、ナノ触媒(26)、および該ナノ触媒を被包している折り畳まれたポリマー(28)を含む。ナノ粒子(22)は、ほぼ1nm〜ほぼ50nmの平均幅または直径を有することができる。後で説明するように、触媒系(20)は、ポリマーがナノ粒子前駆体と密に会合することを可能にする配置で存在するようにポリマー(28)を含む希薄溶液を形成すること;該ナノ粒子前駆体を該溶液に、ナノ粒子前駆体および/またはポリマーが互いに会合して、ナノ粒子前駆体およびポリマーを含む複合前駆体部分の形成を生じる条件下で添加すること;複合前駆体部分のポリマーの少なくとも一部を架橋すること;ならびに該複合前駆体部分の少なくとも一部を改質してポリマーで安定化されたナノ粒子(22)を形成すること;によって形成することができる。一部の実施形態において、ポリマーで安定化されたナノ粒子(22)は、支持体(24)と会合している。
【0028】
本明細書中で使用する場合、用語「前駆体部分」は、その少なくとも一部が、形成される最後のナノ粒子の構成要素である化合物または存在物を指し、ナノ粒子前駆体を包含する。
【0029】
ナノ粒子(26)は、触媒系(20)が適用される反応において触媒活性(限定はされないが、例えば、光触媒活性)を有する能力のある任意の材料を含む(例えば、その材料だけで構成される)ことができる。ナノ触媒(26)は、金属系伝導体および/または半導体を含むことができる。ナノ触媒(26)中に含めることのできる材料の例には、元素状(すなわち、形式的にはゼロ価の)金属、金属合金、および/または金属含有化合物(例えば、金属錯体、金属酸化物、金属硫化物)が含まれる。材料の具体例には、限定はされないが、Au、Ag、Cu、Ru、Pt、Ni、Pd、Ti、Bi、Zn、これらの組合せ、またはこれらの合金が含まれる。その他の例には、限定はされないが、酸化チタン(例えば、TiO2)、酸化ビスマス(例えば、Bi2O3)、酸化セリウム(例えば、CeO2)、酸化タングステン(例えば、WO3)、硫化ビスマス(例えば、Bi2S3)、酸化亜鉛(例えば、ZnO)、酸化鉛(例えば、PbO)、酸化鉄(Fe2O3、Fe3O4)、硫化亜鉛(例えば、ZnS)、硫化鉛(例えば、PbS)、硫化カドミウム(例えば、CdS)、セレン化カドミウム(例えば、CdSe)、およびテルル化カドミウム(例えば、CdTe)が含まれる。触媒の結晶構造の同定は、粉末X線回折を使用して行うことができる。
【0030】
一部の実施形態において、ナノ触媒(26)中に含められる材料(群)には、1種または複数種のドーパントが含まれる。ドーパントは、例えば、ナノ触媒(26)の電子的特性を改質するのに使用することができる。例えば、半伝導性酸化チタンは、紫外光の存在下で有機系汚染物質を光触媒的に十分に解離させることができるが、半導体を特定の元素またはイオンでドープすると、該半導体は可視光下で光触媒性となり、より用途が広がる。ドーパントの例には、非金属化合物、金属化合物、非金属原子、金属原子、非金属イオン、金属イオン、およびこれらの組合せが含まれる。ドーパントの具体例には、限定はされないが、窒素、ヨウ素、フッ素、鉄、コバルト、銅、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タングステン、ランタン、金、銀、パラジウム、白金、酸化アルミニウム、および酸化セリウムが含まれる。ドープされた材料の例には、ドープされたビスマス材料(例えば、窒素、ヨウ素、フッ素、亜鉛、ガリウム、インジウム、ランタン、および/または酸化アルミニウムでドープされた酸化ビスマス)、ドープされたチタン材料(例えば、窒素、ヨウ素、フッ素、金属イオン、ゼロ化金属、および/または金属酸化物(例えば、酸化亜鉛)、酸化アルミニウム、および酸化ケイ素などの酸化物でドープされた酸化チタン)が含まれる。ドーパントは、ほぼ1〜10モル%、ほぼ0.1〜1モル%、またはほぼ0.01〜0.1モル%の範囲で存在することができる。
【0031】
触媒系(20)は、同一組成または異なる組成のナノ触媒(26)を含むことができる。1つの触媒系(20)内で、ナノ触媒(26)は、すべて、同一組成を有することができ、あるいは、一部のナノ触媒は第1組成を有し、残りのナノ触媒は、第1組成と異なる第2組成を有することができる。ナノ触媒(26)は、2種以上の異なる触媒組成物、例えば、酸化チタンおよび酸化亜鉛を含むことができる。
【0032】
ポリマー(28)としては、天然ポリマーおよび/または合成ポリマーを挙げることができる。ポリマー(28)は、ホモポリマー、または2種以上のモノマーからなるコポリマー、例えばブロックコポリマーおよびグラフトコポリマーでよい。ポリマー(28)の例には、スチレン、ビニルナフタレン、スチレンスルホネート、ビニルナフタレンスルホネート、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリレート、メタクリレート、アクリロニトリル、およびN−低級アルキルアクリルアミドなどのモノマーから誘導される材料が含まれる。
【0033】
一部の実施形態において、ポリマー(28)には、高分子電解質が含まれる。「高分子電解質」は、イオン化されたまたはイオン化可能な基を含むポリマーを指す。イオン化されたまたはイオン化可能な基は、カチオンまたはアニオン性でよい、カチオン基の例には、アミノおよび第4級アンモニウム基が含まれ、アニオン基の例には、カルボン酸、スルホン酸、およびホスフェートが含まれる。高分子電解質は、ホモポリマー、ランダムポリマー、交互ポリマー、グラフトポリマー、またはブロックコポリマーでよい。高分子電解質は、合成または天然に存在するものでよい。高分子電解質は、直線、分枝、超分枝、またはデンドリマー性でよい。カチオン性ポリマーの例には、限定はされないが、
ポリ(アリルアミン塩酸塩)(PAAH)およびポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDDA)が含まれる。アニオン性ポリマーの例には、限定はされないが、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)(PAMCS)が含まれる。一部の実施形態において、ポリマー(28)には、カルボキシメチルセルロース、キトサン、およびポリ(乳酸)などのバイオポリマーが含まれる。例えば、その両方の全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7501180号および7534490号を参照されたい。
【0034】
一部の実施形態において、ポリマー(例えば、高分子電解質)は、大きな分子量を有する。例えば、分子量は、ほぼ50,000D以上、ほぼ100,000D以上、またはほぼ200,000D以上でよい。
【0035】
選択性およびリサイクル性を備えた触媒系(20)を提供することに加え、支持体(24)上にナノ触媒を準備することの特徴は、支持体を所望の形状に形づくる能力である。支持体(24)を、個々の応用に合致させて形づくることができる。支持体(24)の構築材料も、個々の応用に合致させて選択することができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、触媒系(20)は、触媒ナノ粒子(22)を担持する支持体を実質的に含まない。
【0037】
<合成>
図2は、触媒系(20)の製造方法(100)を示す。簡潔には、方法(100)は、(a)ポリマー(高分子電解質など)を含む溶液を、該ポリマーがナノ粒子前駆体と密に会合することを可能にする配置で存在するように形成すること(ステップ102)、(b)該溶液にナノ粒子前駆体を、ナノ粒子前駆体および/またはポリマーが互いに会合して、ナノ粒子前駆体およびポリマーを含む複合前駆体を形成する条件下で添加すること(ステップ104)、(c)任意選択で、該複合前駆体部分のポリマーの少なくとも一部を架橋すること(ステップ106)、および(d)該複合前駆体部分の少なくとも一部を改質して、ポリマーで被包されたナノ粒子を形成すること(ステップ108)、を含む。一部の実施形態において、ポリマーで被包されたナノ粒子は、また、支持体と会合(例えば、結合)することができる(ステップ110)。一部の実施形態において、1種を超えるポリマー分子が、ステップ(b)でナノ粒子前駆体と会合する。一部の実施形態において、ステップ(c)は、UV、γ線、またはその他の化学作用をもつ放射線などの高エネルギー放射線を使用する照射ステップで代替される。この照射ステップは、複合前駆体部分のポリマーの切断を引き起こすことができ、複合前駆体部分が複数のポリマー分子を含む原因となる。
【0038】
ポリマーを含む溶液は、1種または複数種の選択されたポリマー(28)(例えば、高分子電解質)を溶媒に溶解することによって形成される(ステップ102)。溶媒としては、ポリマー(群)を溶解する能力を有する任意の組成物を挙げることができる。溶媒としては、有機溶媒(例えば、アルカノール、ケトン、アミン、およびジメチルスルホキシド)および/または無機溶媒(例えば、水)を挙げることができる。溶媒は、2種以上の異なる組成物を含むことができる。例として、NH2、RNH、およびCOOHなどのイオン化可能な基を備えたポリマーが、適切な溶液条件下でのそれらの水溶性、および例えば無機塩の添加を介して溶液中の特定濃度のイオンに暴露された場合に、折り畳みの変化(後で説明される)を受けるそれらの能力のため、選択され得る。
【0039】
前に指摘したように、溶液中のポリマーは、該ポリマーがナノ粒子前駆体と密に会合することを可能にする立体配置で存在する、簡潔には、溶液中でのポリマーの立体配座は、その溶媒との相互作用、その濃度、および存在する可能性のある他の種の濃度を含む、種々の溶液条件によって規定される。該ポリマーは、pH、イオン強度、温度、および濃度に依存する立体配座の変化を受けることがある。高分子電解質の場合、高い電荷密度で、例えば、ポリマーの「モノマー」単位が完全に帯電している場合、同様に帯電したモノマー単位間の静電反発のため、伸展された立体配座が採用される。塩の添加および/またはpHの変化を介してポリマーの電荷密度を低下させると、伸展されたポリマー鎖から堅く詰められた球状の折り畳まれた立体配座への変化をもたらすことができる。この折り畳みの変化は、十分に小さい電荷密度での静電反発に優越するポリマー部分間の引力相互作用によって駆動される。類似の変化は、ポリマーの溶媒環境を変えることによって誘導することができる。この折り畳まれたポリマーは、一般には長球のようなほぼ球形状を有するナノメートル尺度の寸法を有するナノ粒子であるが、折り畳まれたポリマーは、また、ナノメートル尺度の寸法を有する伸張したまたは多葉の立体配座を有することができる。
【0040】
次に、ナノ粒子前駆体を前記のポリマー溶液に、ナノ粒子前駆体および/またはポリマーの互いの会合が生じる条件下で添加し、ナノ粒子前駆体およびポリマーを含む複合前駆体部分形成する(ステップ104)。詳細には、会合中に、ポリマーの少なくとも一部は、ナノ粒子前駆体の周辺で折り畳まれ、前駆体部分として役立つ。「前駆体部分」は、その少なくとも一部が、形成される最後のナノ粒子の構成要素である化合物または存在物を指す。ナノ粒子前駆体の例には、金属錯体、(例えば、有機金属化合物)、金属塩、有機イオン、無機イオン、またはこれらの組合せが含まれる。例えば、前駆体部分は、式MxAy(ここで、Mは、+yの電荷を所持するI〜IV族の金属カチオン、AはMに対する−xの電荷を有する対イオンである)を有するような塩、またはこれらの組合せなどの、有機塩または無機塩のイオンを含むことができる。具体例には、硝酸ビスマス、チタン(IV)ビス(アンモニウムラクタト)ジヒドロキシド、クロロ金酸(HAuCl4)、および硝酸亜鉛が含まれる。複数の前駆体部分を使用することができる。
【0041】
触媒ナノ粒子(22)がドープされる実施形態では、選択したドーパント(群)を含む1種または複数種の選択したドーパント供給源も、ポリマー溶液に添加される。ドーパント供給源の例には、限定はされないが、ヨウ素酸(ヨウ素供給源)、フッ化アンモニウム(フッ素供給源)、硝酸アルミニウム(アルミニウム供給源)、硝酸亜鉛(亜鉛供給源)、金酸(金供給源)、尿素(窒素供給源)、硝酸ガリウム(ガリウム供給源)、硝酸インジウム(インジウム供給源)、および/または硝酸ランタン(ランタン供給源)が含まれる。
【0042】
折り畳み剤として作用することができる、溶液へのナノ粒子前駆体または前駆体部分の添加は、ポリマーの折り畳みを誘発して、添加された前駆体部分の少なくとも一部を実質的に包囲し、かつ閉じ込める。「閉じ込められる」は、ナノ粒子が、実質的に、折り畳まれたポリマーの寸法の限界内に存在し、かつ限定はされないが、ポリマーの一部が、ポリマーの寸法内でナノ粒子と強力に相互作用することができる状況が含まれる。ポリマーの折り畳みの結果として、被包しているポリマーおよび閉じ込められたナノ粒子前駆体を含む複合前駆体が形成される。代わりにまたは付加的に、その他の技術を使用して、ナノ粒子前駆体の周囲のポリマーを折り畳むことができる。例えば、異なる溶媒、イオン種(例えば、塩)、またはこれらの組合せなどの折り畳み剤を添加して、ポリマーの折り畳みを誘発することができる。複数の折り畳み剤を使用できる。
【0043】
ポリマーの折り畳みは、粘度測定法を利用して監視することができる。典型的には、ポリマー溶液は、該ポリマーが溶解する溶媒のそれに比べてより大きな粘度を示す。とりわけ高分子電解質の場合、該ポリマー溶液は、シロップの粘稠度のような極めて大きな粘度を有することができる。ポリマーを折り畳んで複合前駆体部分を形成した後、十分に分散された複合前駆体部分のサンプルは、ポリマーを折り畳む前に比べてはるかに小さい粘度を示すことがある。この低下した粘度は、折り畳みの後および折り畳み中でさえ、振動粘度計またはオストワルド粘度計を用いて適切な条件下で測定することができる。
【0044】
ナノ粒子の形成は、動的光散乱(DLS)または透過型電子顕微鏡法(TEM)を使用して立証することができる。DLSにおいて、ナノ粒子の形成は、ナノスケールでの単一モードまたはマルチモード供給源の検出によって立証される。TEMでは、ナノ粒子を直接的に可視化することができる。
【0045】
一部の実施形態において、複合前駆体部分は、ほぼ1nm〜ほぼ100nmの平均直径を有する。
【0046】
ポリマーが折り畳まれ、複合前駆体部分が形成された後、任意選択で、ポリマーを分子内架橋すること、または分子内結合を形成することによって、折り畳まれたポリマーの立体配座を保持、および/または永続的にすることができる(ステップ106)。架橋は、複合前駆体部分に、好都合な溶解性および非凝集特性を提供することができる。架橋は、水素結合、新たな結合を形成するための化学反応、および/または多価イオンとの配位を含むことができる。架橋は、表面で、折り畳まれたナノ粒子内の特定の場所で、および/または複合前駆体部分の全域で起こることができる。架橋は、化学物質および/または放射線を使用して実施することができる。例えば、ポリマーを、紫外(UV)線(UVランプまたはUVレーザーなど)に暴露することができる。放射線を使用するなら、該放射線は、付加的にポリマーの切断を引き起こし、単一のポリマー分子から複数のポリマー分子を作り出すことがある。代わりにまたは付加的に、分子内架橋は、例えば、ホモ二官能性架橋剤を用いるカルボジイミ化学を使用して化学的に引き起こすことができる。
【0047】
一部の実施形態において、折り畳まれた分子内架橋ポリマーは、複合ナノ粒子を形成するために折り畳まれた構造内に閉じ込められた無機塩から由来する若干のイオンを有する。閉じ込められたイオンは、例えば、還元、酸化、および/または反応され(例えば、外部薬剤との沈殿によって)て、折り畳まれた分子内架橋ポリマー系材料内に閉じ込められた内部ナノ粒子を有する複合ナノ粒子の形成をもたらす。未反応のイオン化可能な基は、さらなる化学修飾のための将来の部位として役立ち、様々な媒体への粒子の溶解性、または両方を規定する。
【0048】
ポリマーの少なくとも一部を架橋した後、複合前駆体部分の前駆体部分の少なくとも一部を改質して、ナノ粒子(22)を形成する(ステップ108)。改質は、複合前駆体部分を、前駆体の改質を引き起こすほど十分に高いが、ポリマー安定剤の完全分解を引き起こすほどには高くない温度まで加熱することを含むことができる。改質ステップが、例えば、加水分解であるなら、系は、前駆体の加水分解を引き起こすのに十分な高い温度まで加熱される。別法として、前駆体の分解が必要とされるなら、系は、分解を引き起こすのに十分な高い温度まで加熱される。系は、前駆体の大部分が改質されることを可能にするため、十分に長い時間加熱される。一部の実施形態では、ポリマーの分解速度を減速するために、加熱工程は、不活性雰囲気中で、または高められた圧力で行われる。他の実施形態において、改質は、溶液のpHを変えて、例えば前駆体の加水分解を引き起こすことを含むことができる。pH変化は、ポリマー安定剤を破壊することなしに、前駆体の分解または改質をもたらしてナノ粒子を形成するように選択される。
【0049】
一部の実施形態において、ナノ粒子(22)は、ほぼ1nm〜ほぼ100nmの範囲の平均直径を有する。ここで示される平均直径は、複合ナノ粒子の任意の種類の対称性(例えば、球状、楕円状など)を暗示することを意味しない。むしろ、ナノ粒子は、高度の不規則性および非対称性を有することができる。
【0050】
触媒系(20)が支持体(24)を含む実施形態において、触媒ナノ粒子(22)は、支持体(24)に結合される(ステップ110)。例えば、ナノ粒子(22)を、溶媒中で支持体(24)と、支持体がナノ粒子を担持するのに十分な時間混合することができる。生じる生成物を、ナノ粒子(22)が支持体(24)に付着するのを助けるように処理することができる。一部の実施形態では、ナノ粒子(22)を、ポリマーまたは支持体の1種または複数種の官能基を介して支持体(24)上に化学的に付着させることができる。
【0051】
他の実施形態において、支持体(24)は、ナノ粒子(22)自体を含む。例えば、少なくとも1種の負に帯電した高分子電解質を含む溶液を、少なくとも1種の正に帯電した高分子電解質を含む溶液と混合することができ、ここで、2つの溶液の少なくとも一方は、また、前以て形成されたナノ粒子(22)を含む。生じるポリマー被包ナノ粒子(22)は、固体支持体上のナノ粒子を含み、乾燥され得る凝集物(floc)を形成することができる。より具体的には、負に帯電した高分子電解質(ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)、またはポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)(PAMCS)など)で被包されたナノ触媒を、正に帯電した高分子電解質(ポリ(アリルアミン塩酸塩)(PAAH)またはポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDDA))で被包されたナノ触媒と反応させて、凝集物を形成することができる。ポリマーは、また、キトサン、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ポリ(乳酸)などのバイオポリマーを含むことができる。ナノ粒子凝集物を製造するための他の方法は、ナノ粒子(22)を含む溶液に大量の対イオンを添加すること、あるいはそうでなければ、非溶媒を添加することによって、または塩を形成することによって、溶液からナノ粒子(22)を沈殿させることを含む。
【0052】
<応用>
触媒系(20)は、該系が1種または複数種の選択された反応を触媒することができる任意の応用において使用することができる。例えば、触媒系(20)は、触媒ナノ粒子(22)が、気相および/または液相の分子と相互作用することができる、不均一系触媒反応のために使用することができる。触媒系(20)を使用できる反応には、例えば、有機反応、各種有機材料の分解、各種無機材料の分解、生理学的反応、微生物を用いる反応、酸化還元反応(例えば、金属を含む)、選択的酸化反応、選択的還元反応、酸−塩基で触媒される反応、炭素−炭素結合を含む各種カップリング反応、および種々の媒体中での有機および/または無機汚染物質の転換が含まれる。例えば、金属酸化物支持体上の金ナノ触媒は、芳香族ニトロ化合物の選択的(例えば、ほぼ80%を超える)水素化を効率的に仲介することができる。さらなる例は、以下で与えられる。
【0053】
触媒系(20)は、紫外および/または可視光を使用する光触媒反応に応用することができる。本明細書中で、「光触媒反応」は、無機半導体などの無機種(「光触媒」)によって仲介される、光の存在を必要とする化学反応を意味すると解される。一部の実施形態において、有機物の分解が望まれる場合、光触媒反応は、光触媒の存在によって加速され、可能になり、または増強される、有機物の光分解のすべての形態を包含すると解される。一部の実施形態において、光触媒は、光への暴露によって引き起こされるそれらの表面化学の改質によって、表面から汚染物質を除去する。例えば、光触媒は、空気の浄化、水の浄化、有機汚染物質の分解、および/または産業廃棄物(有機色素を含むものなど)の浄化のために使用することができる。しかし、多くの光触媒は、可視光下で有効ではない。可視光(λ>350nm)、弱い照明(室内灯など)および紫外光の下で有効またはより活性である可能性のある光触媒を提供することによって、光触媒の有用性を増大させることができる。
【0054】
半伝導性光触媒の光触媒活性を増大させるための1つの取組みは、1種または複数種のドーパントを含めることによって光触媒の電子的特性を変えることである。例えば、有機色素(例えば、メチレンブルー)の分解における高分子電解質で被包された窒素ドープ酸化チタンナノ粒子の活性を増強することができる。後に実施例5A中に示すように、高分子電解質で被包され、窒素でドープされたおよび未ドープの酸化チタンナノ粒子を、両方とも、2mMメチレンブルー溶液に添加し、次いで可視光にさらした。30分以内に、ドープされたナノ粒子を含む溶液は無色になり、メチレンブルーの光分解を示したが、未ドープのナノ粒子を含む溶液は、メチレンブルーに特徴的な青色のままであった。実施例5Bにおいて、可視光下でのシュウ酸の光分解が、高分子電解質で被包され、ドープされたおよび未ドープの酸化チタンナノ粒子の両方を使用して立証された。分解/漂白の速度は、未ドープのナノ粒子に比べて、高分子電解質で被包された窒素ドープ酸化チタンの場合により大きかった。これらの実験は、窒素ドープ酸化チタンナノ粒子が、未ドープの酸化チタンナノ粒子に比べて、可視光下でより効率的に光触媒性であり得ることを示す。
【0055】
高分子電解質で被包された半導体ナノ粒子は、また、可視光の存在下で有機系煤煙(汚染物質)を分解するのに使用することができる。高分子電解質で被包され、ドープされたおよび未ドープの酸化チタンナノ粒子は、両方とも、セラミック煉瓦タイルの種々の領域に応用された。次いで、タイルを、ナノ粒子の表面上に黒色の有機系煤煙を沈積させる有機系煤煙流にさらした。煤煙およびナノ粒子で覆われたタイルを、次いで、日光および水分にほぼ30分間さらした。水で洗浄した後、ドープされた酸化チタンナノ粒子で覆われた表面はきれいになったが、未ドープの酸化チタンナノ粒子で覆われた表面は、ほとんど変化を示さなかった。
【0056】
他の実施例で、ドープされたおよび未ドープの酸化ビスマスナノ粒子を、可視光下でメチレンブルーおよびシュウ酸を分解するのに使用した。より具体的には、高分子電解質で被包された酸化ビスマスナノ粒子、および高分子電解質で被包され、ヨウ素、窒素およびアルミニウムでドープされ酸化ビスマスナノ粒子を、2mMメチレンブルー溶液に添加し、次いで、可視光にさらした。30分以内に、ドープされたナノ粒子を含む溶液は無色になり、メチレンブルーの光分解の存在を示したが、未ドープのナノ粒子を含む溶液は、メチレンブルーに特徴的な青色のままであった。上記実験は、高分子電解質で被包され、ヨウ素、窒素およびアルミニウムでドープされた酸化ビスマスナノ粒子は、未ドープの酸化ビスマスナノ粒子に比較して、可視光下でより効率的な光触媒であったことを示す。
【0057】
光触媒反応に加えて、触媒系(20)は、自動車の応用分野におけるような接触転換に応用することができる。例えば、特定の揮発性有機化合物および炭素酸化物を酸化し、窒素酸化物を還元することができる一部の貴金属と同様に、特定の触媒系(20)は、種々の揮発性有機化合物(例えば、汚染物質)を分解するのに、および/または窒素酸化物を還元するのに使用することができる。さらに、触媒系(20)(ポリマーで被包され、酸化セリウム上に支持された金ナノ粒子など)は、高温で(例えば、焼結などの有害作用を低減して)、および低温で有効な触媒コンバーターである可能性がある。触媒系(20)(ポリマーで被包され、酸化セリウム上に支持されたパラジウムナノ粒子など)は、架橋反応において使用することができる。
【0058】
以下の実施例は、例示であり、それに限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0059】
1.負に帯電した高分子電解質を用いるナノ触媒の折り畳み
1A.高分子量のポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)を使用して被包された酸化ビスマスナノ粒子の調製:
この実施例は、ポリマーで被包された酸化ビスマス(半導体)ナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)ポリマー(例えば、高分子電解質)を水溶液中に、該ポリマーを該ポリマーがナノ粒子前駆体(例えば、ビスマス含有前駆体)と密に会合することを可能にする立体配置にする溶液条件下で溶解すること、(b)該溶液にナノ粒子前駆体を、該ナノ粒子前駆体とポリマーとの会合が生じる条件下で添加すること、および(c)該ナノ粒子前駆体を改質して、ポリマーによって安定化されたナノ粒子(例えば、高分子電解質で安定化された酸化ビスマスナノ粒子)を形成することを含む。
【0060】
最初のビーカー中で、0.0724g(0.149ミリモル)の硝酸ビスマスを2mLの70%濃硝酸(15.6M)に溶解し、この溶液を脱イオン水で100mLに希釈する。この硝酸ビスマス溶液を200mLの2mg/mL PSS(Mw=1,000,000)溶液を入れた第2のビーカーに、絶えず撹拌しながら徐々に添加した。次いで、生じた溶液に、波長254nmのUVランプからの紫外(UV)光を2時間照射すると、その間に色は無色から黄色に変化した。
【0061】
UVで処理した溶液に10M水酸化ナトリウム溶液を添加し、pHを10.8にすると、その時点で、溶液の色は深橙色に変化した。この溶液を、温水(70℃)上で2時間さらに撹拌した。次に、溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物の色は橙−褐色であった。沈殿物を、70%エタノールで2回洗浄し、次いで空気中で乾燥した。透過型電子顕微鏡法画像を図8に示す。
【0062】
1B.高分子量ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)を使用して被包された硫化ビスマスナノ粒子の調製:
この実施例は、上記実施例1Aに類似し、ポリマーが硫黄含有基を含む(ポリ(スチレンスルホネート)など)場合、ナノ粒子複合体を適切な条件下で加熱して、硫化物ナノ粒子(例えば、硫化ビスマスナノ粒子)を形成できることを示す。
【0063】
最初のビーカー中で、0.0724g(0.149ミリモル)の硝酸ビスマスを2mLの70%濃硝酸(15.6M)に溶解し、この溶液を脱イオン水で100mLに希釈する。この硝酸ビスマス溶液を200mLの2mg/mL PSS(Mw=1,000,000)溶液を入れた第2のビーカーに、絶えず撹拌しながら徐々に添加した。次いで、生じた溶液に、波長254nmのUVランプからの紫外(UV)光を2時間照射すると、その間に色は無色から黄色に変化した。
【0064】
UVで処理した溶液に10M水酸化ナトリウム溶液を添加し、pHを10.8にすると、その時点で、溶液の色は深橙色に変化した。この溶液を、温水(70℃)上で2時間さらに撹拌した。次に、溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物の色は橙−褐色であった。沈殿物を、70%エタノールで2回洗浄し、次いで空気中で乾燥した。乾燥した沈殿物を、次いで、ガラス溶融炉中、真空下で400℃で2時間加熱した。沈殿物の最終色は暗褐色であった。
【0065】
1C.高分子量ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包された酸化チタンナノ粒子の調製:
この実施例は、ポリマーで被包された触媒性酸化チタンナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)ポリマーを水溶液中に、該ポリマーを該ポリマーがナノ粒子前駆体(例えば、チタン含有錯体)と密に会合することを可能にする立体配置にする溶液条件下で溶解すること、(b)該溶液にナノ粒子前駆体を、該ナノ粒子前駆体とポリマーとの会合が生じる条件下で添加すること、および(c)該ナノ粒子前駆体を改質して、ナノ粒子を形成すること、を含む。
【0066】
5重量%のポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)を含む100mLの2mg/mL PAA(Mw=1,250,000)溶液を、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH6.8に中和した。この溶液に、100mLの水で希釈された360μLの市販50wt%チタン(IV)ビス(アンモニウムラクタト)ジヒドロキシド水溶液を、激しく撹拌しながら滴加した。添加を完結した後、溶液に、波長254nmのUVランプからのUVを2時間照射し、次いで、0.5M水酸化ナトリウム溶液を添加してpHを10にした。溶液をさらに1時間撹拌した。次いで、溶液を、70mLまで濃縮し、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物を、70%アルコールで3回洗浄し、次いで乾燥した。乾燥した沈殿物の色は微淡黄色であった。粉末X線回折パターンを図6に示し、透過型電子顕微鏡法画像を図7に示す。
【0067】
1D.高分子量ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包された金ナノ粒子の調製:
この実施例は、ポリマーで被包された触媒性金ナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)ポリマーを水溶液中に、該ポリマーを該ポリマーがナノ粒子前駆体(例えば、金含有化合物)と密に会合することを可能にする立体配置にする溶液条件下で溶解すること、(b)該溶液にナノ粒子前駆体を、該ナノ粒子前駆体とポリマーとの会合が生じる条件下で添加すること、および(c)該ナノ粒子前駆体を改質して、ナノ粒子を形成すること、を含む。
【0068】
5重量%のポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)を含む250mLの1mg/mL PAA(Mw=1,250,000)溶液を、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH6.8に中和した。この溶液に、脱イオン水(125mL)中の39.5mgのクロロ金酸(HAuCl4)を、激しく撹拌しながら2mL/分の速度で添加した。添加を完結した後、40.6mgの水素化ホウ素ナトリウムを一度に添加し、溶液をさらに1時間撹拌した。この時点で、溶液の色は赤色であった。次いで、溶液に、波長254nmのUVランプからのUV光を2時間照射した。次いで、溶液を、70mLまで濃縮し、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物を、70%アルコールで3回洗浄し、次いで乾燥した。生じた生成物は赤色粉末であった。
【0069】
1E.低分子量ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包された酸化亜鉛ナノ粒子の調製:
この実施例は、触媒性酸化亜鉛ナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)低分子量ポリマーを水溶液中に、該ポリマーを該ポリマーがナノ粒子前駆体と密に会合することを可能にする立体配置にする溶液条件下で溶解すること、(b)該溶液にナノ粒子前駆体を、ナノ粒子前駆体とポリマーとの会合を生じる条件下で添加すること、および(c)ナノ粒子前駆体を改質して、ポリマーで安定化されたナノ触媒を形成すること、を含む。
【0070】
最初のビーカー中で、0.3245g(5ミリモル)の硝酸亜鉛を100mLの脱イオン水に溶解した。この硝酸亜鉛溶液を200mLの2mg/mL PAA(Mw=1,800)溶液を入れた第2のビーカーに、絶えず撹拌しながら徐々に添加し、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH6.8に中和した。撹拌された溶液に10M水酸化ナトリウム溶液を添加してpH10.8とし、生じた溶液を、温水(80℃)上でさらに2時間撹拌した。次に、溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物は白色であった。次いで、沈殿物を、70%エタノールで2回洗浄し、空気中で乾燥した。乾燥した沈殿物は、灰白色であった。
【0071】
1F.高分子量ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包されたパラジウムナノ粒子の調製:
この実施例は、ポリマーで被包された触媒性パラジウムナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)ポリマーを水溶液中に、該ポリマーを該ポリマーがナノ粒子前駆体(例えば、パラジウム含有化合物)と密に会合することを可能にする立体配置にする溶液条件下で溶解すること、(b)該溶液にナノ粒子前駆体を、該ナノ粒子前駆体とポリマーとの会合が生じる条件下で添加すること、および(c)該ナノ粒子前駆体を改質して、ナノ触媒を形成すること、を含む。
【0072】
5重量%のポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)を含む32mLの2mg/mL PAA(Mw=1,250,000)溶液および18.75mLの脱イオン水を、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH6.8に中和した。この溶液に、HCl(1M)(0.5mL)+水(10mL)中の22.5mgの塩化パラジウム(PdCl2)を、1M NaOHを用いてpHを5に徐々に調整しながら、激しく撹拌しながら2mL/分の速度で添加した。添加を完結した後、40mgの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を一度に添加し、溶液をさらに1時間撹拌した。この時点で、溶液の色は黒色であった。次いで、溶液に、波長254nmのUVランプからのUV光を2時間照射した。次いで、溶液を、70mLまで濃縮し、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物を、70%アルコールで3回洗浄し、次いで乾燥した。生じた生成物は黒色粉末であった。
【0073】
1G.高分子量ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包された白金ナノ粒子の調製:
この実施例は、ポリマーで被包された触媒性白金ナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)分子量ポリマーを水溶液中に、該ポリマーを該ポリマーがナノ粒子前駆体(例えば、白金含有化合物)と密に会合することを可能にする立体配置にする溶液条件下で溶解すること、(b)該溶液にナノ粒子前駆体を、該ナノ粒子前駆体とポリマーとの会合が生じる条件下で添加すること、および(c)該ナノ粒子前駆体を改質して、ナノ触媒を形成すること、を含む。
【0074】
5重量%のポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)を含む25mLの2mg/mL PAA(Mw=1,250,000)溶液および25mLの脱イオン水を、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH6.8に中和した。この溶液に、25mLの脱イオン水に溶解した66mgのヘキサクロロ白金酸(H2PtCl6)を、激しく撹拌しながら2mL/分の速度で添加した。添加を完結した後、20mgの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を一度に添加し、溶液をさらに1時間撹拌した。この時点で、溶液の色は黒色であった。次いで、溶液に、波長254nmのUVランプからのUV光を2時間照射した。次いで、溶液を、70mLまで濃縮し、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物を、70%アルコールで3回洗浄し、次いで乾燥した。生じた生成物は黒色粉末であった。
【0075】
2.正に帯電した高分子電解質を用いるナノ粒子の折り畳み
これらの実施例は、それらが酸化チタンおよび金ナノ粒子の調製を示すことにおいて上記の実施例1Cおよび1Dに類似するが、各事例中の高分子電解質種は、正に帯電している。
【0076】
2A.ポリ(アリルアミン塩酸塩)(PAAH)を使用して被包された酸化チタンナノ粒子の調製:
200mLの2mg/mL PAAH(Mw=60,000)溶液に、200mLの脱イオン水で希釈した160μLの市販50重量%チタン(IV)ビス(アンモニウムラクタト)ジヒドロキシドを、激しく撹拌しながら滴加した。添加を完結した後、溶液に、波長254nmのUVランプからのUV光を2時間照射し、次いで、0.5M水酸化ナトリウム溶液を添加してpHを8にした。溶液をさらに1時間撹拌した。次いで、溶液を、70mLまで濃縮し、1M硫酸ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物を、70%アルコールで3回洗浄し、次いで乾燥した。
【0077】
2B.ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDDA)を使用して被包された金ナノ粒子の調製:
266mLの1mg/mL PDDA(Mw=450,000)溶液に、20mgのクロロ金酸(HAuCl4)を、激しく撹拌しながら10mL/分の速度で添加した。添加を完結した後、20mgの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を一度に添加し、溶液をさらに1時間撹拌した。この時点で、溶液の色は深橙色であった。次いで、溶液に、波長254nmのUVランプからのUV光を2時間照射した。次いで、溶液を、70mLまで濃縮し、1M硫酸ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物を、70%アルコールで3回洗浄し、次いで乾燥した。最終生成物は赤色粉末であった。透過型電子顕微鏡法画像を図9に示す。
【0078】
3.高分子電解質で被包されたナノ触媒のドーピング
3A.ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)を使用して被包されたガリウムドープ酸化ビスマスナノ粒子の調製
ナノ触媒をドープして(例えば、1種または複数種のカチオン、アニオン、および/または金属酸化物で)、それらの電子的特性を改質することができる。この実施例は、ドープされた半導体ナノ粒子(例えば、ドープされた半伝導性酸化ビスマスナノ粒子)の製造方法を示す。該方法は、(a)ポリマー(例えば、高分子電解質)を水溶液中に、該ポリマーを、該ポリマーがナノ粒子前駆体と密に会合することを可能にする立体配置にする溶液条件下で溶解すること、(b)該溶液にナノ粒子前駆体および1種または複数種のドーパント供給源を、該前駆体および該ドーパント供給源(群)とポリマーとの会合が生じて複合前駆体部分を形成する条件下で添加すること、および(c)該前駆体を改質して、ポリマーで安定化されたナノ粒子(例えば、高分子電解質で安定化された酸化ビスマスナノ粒子)を形成すること、を含む。特定の実施形態において、ナノ粒子は加熱される。
【0079】
最初のビーカー中で、0.0724g(0.149ミリモル)の硝酸ビスマスを2mLの70%濃硝酸(15.6M)に溶解し、脱イオン水で100mLに希釈する。この硝酸ビスマス溶液、および脱イオン水(5mL)中の0.0165mgの硝酸ガリウムを、200mLの2mg/mL PSS(Mw=1,000,000)溶液を含む第2ビーカーへ絶えず撹拌しながら同時に添加した。次いで、生じた溶液に、波長254nmのUVランプからの紫外(UV)光を2時間照射すると、その間に色は無色から黄色に変化した。
【0080】
UVで処理した溶液に10M水酸化ナトリウム溶液を添加して、pHを10.8にすると、この時点で、溶液の色は深橙色に変化した。溶液を、温水(70℃)上で2時間撹拌した。次に、溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物の色は橙−褐色であった。沈殿物を、70%エタノールで2回洗浄し、次いで空気中で乾燥した。ガリウムドーパントの存在は、精製した固体の誘導結合高周波プラズマ(ICP)分析で判定した。
【0081】
3B.ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)を使用して被包されたガリウムドープ硫化ビスマスナノ粒子の調製:
この実施例は、ガリウムドープ硫化ビスマスナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)PSSポリマーの水溶液を準備すること、(b)ポリマー材料の少なくとも一部をビスマス前駆体およびドーパント前駆体(すなわち、硝酸ガリウム)の周辺で折り畳むこと、(c)複合前駆体部分のポリマー材料をUV放射線に暴露すること、(d)該複合前駆体部分の前駆体部分の少なくとも一部を改質して、硫化ビスマスナノ粒子を形成すること、および(e)複合ナノ材料を加熱すること(例えば、真空中で400℃まで)、を含む。
【0082】
最初のビーカー中で、0.0724g(0.149ミリモル)の硝酸ビスマスを2mLの70%濃硝酸(15.6M)に溶解し、脱イオン水で100mLに希釈する。この硝酸ビスマス溶液、および脱イオン水(5mL)中の0.0165gの硝酸ガリウムを、200mLの2mg/mL PSS(Mw=1,000,000)溶液を含む第2ビーカーへ絶えず撹拌しながら同時に添加した。次いで、生じた溶液に、波長254nmのUVランプからの紫外(UV)光を2時間照射すると、その間に色は無色から黄色に変化した。
【0083】
UVで処理した溶液に10M水酸化ナトリウム溶液を添加して、pHを10.8にした。溶液の色は深橙色に変化した。溶液を、温水(70℃)上で2時間撹拌した。次に、溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物の色は橙−褐色であった。沈殿物を、70%エタノールで2回洗浄し、次いで空気中で乾燥した。乾燥したサンプルを、次いで、ガラス溶融炉中、真空下で400℃で2時間加熱した。最終生成物は暗褐色であった。ガリウムドーパントの存在は、精製した固体の誘導結合高周波プラズマ(ICP)分析で判定した。
【0084】
3C.ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)を使用して被包されたヨウ素ドープ酸化ビスマスナノ粒子の調製:
この実施例は、ヨウ素ドープ酸化ビスマスナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、PSSポリマーの水溶液を準備すること、(b)ポリマー材料の少なくとも一部をビスマス前駆体およびドーパント前駆体(すなわち、ヨウ素酸)の周辺で折り畳むこと、(c)複合前駆体部分のポリマー材料をUV放射線に暴露すること、(d)該複合前駆体部分の前駆体部分の少なくとも一部を改質して、酸化ビスマスナノ粒子を形成すること、および(e)複合ナノ材料を加熱すること(例えば、真空中で400℃まで)、を含む。
【0085】
最初のビーカー中で、0.0724g(0.149ミリモル)の硝酸ビスマスを2mLの70%濃硝酸(15.6M)に溶解し、脱イオン水で100mLに希釈する。この硝酸ビスマス溶液、および脱イオン水(5mL)中の0.002627gのヨウ素酸を、200mLの2mg/mL PSS(Mw=1,000,000)溶液を含む第2ビーカーへ絶えず撹拌しながら同時に添加した。生じた溶液に、波長254nmのUVランプからの紫外(UV)光を2時間照射すると、その間に色は無色から黄色に変化した。
【0086】
UVで処理した溶液に10M水酸化ナトリウム溶液を添加して、pHを10.8にした。溶液の色は深橙色に変化した。溶液を、温水(70℃)上で2時間撹拌した。次に、溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物の色は橙−褐色であった。沈殿物を、70%エタノールで2回洗浄し、次いで空気中で乾燥した。乾燥したサンプルを、次いで、ガラス溶融炉中、真空下で400℃で2時間加熱した。ドーパントの存在は、加熱された生成物のICP分析で判定した。
【0087】
3D.ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)を使用して被包されたヨウ素ドープ硫化ビスマスナノ粒子の調製:
この実施例は、ヨウ素ドープ硫化ビスマスナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)PSSポリマーの水溶液を準備すること、(b)ポリマー材料の少なくとも一部をビスマス前駆体およびドーパント前駆体(すなわち、ヨウ素酸、ビスマスのほぼ10モル%)の周辺で折り畳んで、複合前駆体を形成すること、(c)該複合前駆体部分のポリマー材料をUV放射線に暴露すること、(d)該複合前駆体部分の前駆体部分の少なくとも一部を改質して、硫化ビスマスナノ粒子を形成すること、および(e)該複合ナノ材料を加熱すること(例えば、真空中で400℃まで)、を含む。
【0088】
より詳細には、最初のビーカー中で、0.0724g(0.149ミリモル)の硝酸ビスマスを2mLの70%濃硝酸(15.6M)に溶解し、脱イオン水で100mLに希釈する。この硝酸ビスマス溶液、および脱イオン水(5mL)中の0.002627gのヨウ素酸を、200mLの2mg/mL PSS(Mw=1,000,000)溶液を含む第2ビーカーへ絶えず撹拌しながら同時に添加した。次いで、生じた溶液に、波長254nmのUVランプからの紫外(UV)光を2時間照射すると、その間に色は無色から黄色に変化した。
【0089】
UVで処理した溶液に10M水酸化ナトリウム溶液を添加して、pHを10.8にした。溶液の色は深橙色に変化した。溶液を、温水(70℃)上で2時間撹拌した。次に、溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物の色は橙−褐色であった。沈殿物を、70%エタノールで2回洗浄し、次いで空気中で乾燥した。乾燥したサンプルを、次いで、ガラス溶融炉中、真空下で400℃で2時間加熱した。最終生成物は暗褐色であった。ヨウ素ドーパントの存在は、精製した固体の誘導結合高周波プラズマ(ICP)分析で判定した。最終生成物のXRD分析は、Bi2S3の存在を示した。
【0090】
3E.ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)を使用して被包されたヨウ素、窒素、アルミニウム複合体でドープされた酸化ビスマスナノ粒子の調製:
この実施例は、ヨウ素、窒素およびアルミニウムでドープされた酸化ビスマスナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)PSSポリマーの水溶液を準備すること、(b)PSSポリマー材料の少なくとも一部をビスマス前駆体およびドーパント前駆体(すなわち、ヨウ素酸、尿素および硝酸アルミニウム、それぞれビスマスのほぼ10モル%)の周辺で折り畳んで、複合前駆体部分を形成すること、(c)該複合前駆体部分のポリマー材料をUV放射線に暴露すること、(d)該複合前駆体部分の前駆体部分の少なくとも一部を改質して、酸化ビスマスナノ粒子を形成すること、および(e)複合ナノ材料を加熱すること(例えば、真空中で400℃まで)、を含む。
【0091】
より詳細には、最初のビーカー中で、0.0724g(0.149ミリモル)の硝酸ビスマスを2mLの70%濃硝酸(15.6M)に溶解し、脱イオン水で100mLに希釈する。この硝酸ビスマス溶液、脱イオン水(5mL)中の0.002627gのヨウ素酸、脱イオン水(5mL)中の0.005601gの硝酸アルミニウム、および脱イオン水(5mL)中の0.000896gの尿素を、200mLの2mg/mL PSS(Mw=1,000,000)溶液を含む第2ビーカーへ絶えず撹拌しながら同時に添加した。次いで、生じた溶液に、波長254nmのUVランプからの紫外(UV)光を2時間照射すると、その間に色は無色から黄色に変化した。
【0092】
UVで処理した溶液に10M水酸化ナトリウム溶液を添加して、pHを10.8にした。溶液の色は深橙色に変化した。次に、溶液を、温水(70℃)上で2時間撹拌した。溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物の色は橙−褐色であった。沈殿物を、70%エタノールで2回洗浄し、次いで空気中で乾燥した。乾燥したサンプルを、次いで、ガラス溶融炉中、真空下で400℃で2時間加熱した。窒素ドーパントの存在は、加熱された固体の炭素−水素−窒素(「CHN」)分析で判定し、ヨウ素およびアルミニウムドーパントの存在は、精製されたサンプルのICP分析から判定した。加熱された固体のXRD分析は、Bi2S3の存在を示した。
【0093】
3F.ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包され、ヨウ素、窒素、アルミニウム複合体でドープされた酸化チタンナノ粒子の調製:
この実施例は、ヨウ素、窒素およびアルミニウムでドープされた酸化チタンナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)PSSポリマーの水溶液を準備すること、(b)PSSポリマー材料の少なくとも一部をチタン前駆体およびドーパント前駆体(すなわち、ヨウ素酸、尿素および硝酸アルミニウム)の周辺で折り畳んで、複合前駆体部分を形成すること、(c)該複合前駆体部分のポリマー材料をUV放射線に暴露すること、(d)該複合前駆体部分の前駆体部分の少なくとも一部を改質して、酸化チタンナノ粒子を形成すること、および(e)複合ナノ材料を加熱すること(例えば、真空中で225℃まで)、を含む。
【0094】
5重量%のポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)を含む100mLの2mg/mL PAA(Mw=1,250,000)溶液を、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH6.8に中和して調製した。調製した溶液に、チタンビス(ジメチルラクテート)ジヒドロキシドの50重量%水溶液の360μLを100mLの脱イオン水で希釈したもの、脱イオン水(10mL)中の0.005gの尿素、脱イオン水(10mL)中の0.013gのヨウ素酸、および脱イオン水(10mL)中の0.028gの硝酸アルミニウムを、激しく撹拌しながら同時に滴加した。添加を完結した後、溶液に、波長254nmのUVランプからのUV光を照射し、次いで、0.5M水酸化ナトリウム溶液を添加してpHを10にした。溶液をさらに1時間撹拌した。次いで、溶液を、70mLまで濃縮し、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物を、70%アルコールで3回洗浄し、次いで乾燥した。次いで、乾燥した沈殿物を、ガラス溶融炉中に入れ、窒素下で225℃で3時間加熱した。最終生成物は淡黄色であった。窒素ドーパントの存在は、精製した生成物のCHN分析で判定し、ヨウ素およびアルミニウムドーパントの存在は、精製したサンプルのICP分析から判定した。
【0095】
3G.ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包された窒素ドープ酸化チタンナノ粒子の調製:
この実施例は、ポリマーで被包された窒素ドープ酸化チタンの製造方法を示し、ここで、窒素供給源としては尿素が使用される。該方法は、(a)ポリマー(例えば、高分子電解質)を水溶液に、該ポリマーをナノ粒子前駆体と密に会合することを可能にする立体配置する溶液条件下で溶解すること、(b)該溶液にナノ粒子前駆体および窒素供給源を、該ナノ粒子前駆体とポリマーとの会合が生じる条件下で添加すること、(c)該ナノ粒子前駆体を改質して、ナノ触媒を形成すること、および(d)乾燥した組成物を窒素下で200〜500℃の温度で加熱すること、を含む。ステップ(c)が250℃の低温で行われる場合でも、窒素でのドーピングが、X線光電子分光法によって観察された。また、添加される窒素供給源の量は、極めて広い範囲内、ナノ粒子前駆体の量の10モル%〜100モル%で作用することが見出された。
【0096】
5重量%のポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)を含む100mLの2mg/mL PAA(Mw=1,250,000)溶液を、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH6.8に中和して調製した。調製した溶液に、100mLの脱イオン水で希釈した360μLの50重量%チタンビス(ジメチルラクテート)ジヒドロキシド水溶液、および脱イオン水(10mL)中の0.005gの尿素を、激しく撹拌しながら同時に滴加した。添加を完結した後、溶液に、波長254nmのUVランプからのUV光を照射し、次いで、0.5M水酸化ナトリウム溶液を添加してpHを10にした。溶液をさらに1時間撹拌した。次いで、溶液を、70mLまで濃縮し、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物を、70%アルコールで3回洗浄し、次いで乾燥した。乾燥した沈殿物を、ガラス溶融炉中に入れ、窒素下で225℃で3時間加熱した。最終生成物は淡黄色であった。
【0097】
窒素ドープ酸化チタンの結晶格子の特徴は、X線光電子分光法(XPS)で調べることができる。結晶格子中のドープされた窒素に結合された酸化チタンの結合エネルギーは、400eV以下、より詳細には396〜400eVの範囲に存在する。図3を参照すると、上記で生じた窒素ドープ酸化チタンのXPS研究は、窒素原子の1s殻の結合エネルギーが398.33eVであることを示す。別の実施例のように、ポリマーで被包されたフッ素ドープ酸化チタンを、フッ素供給源としてのフッ化アンモニウム、および窒素ドーピングに関する上記方法を使用して製造することができる。
【0098】
3H.ポリ(スチレンスルホン酸)(PSS)を使用して被包されたタングステンドープ酸化ビスマスナノ粒子の調製:
この実施例は、タングステンでドープされた酸化ビスマスナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)PSSポリマーの水溶液を準備すること、(b)PSSポリマー材料の少なくとも一部をビスマス前駆体およびドーパント前駆体(すなわち、タングステン酸ナトリウム)の周辺で折り畳んで、複合前駆体部分を形成すること、(c)該複合前駆体部分のポリマー材料をUV放射線に暴露すること、(d)該複合前駆体部分の前駆体部分の少なくとも一部を改質して、酸化ビスマスナノ粒子を形成すること、および(e)複合ナノ材料を加熱すること(例えば、真空中で400℃まで)、を含む。
【0099】
最初のビーカー中で、0.0724g(0.149)の硝酸ビスマスを2mLの70%濃硝酸(15.6M)に溶解し、脱イオン水で100mLに希釈する。脱イオン水(5mL)中の0.01752gのタングステン酸ナトリウム、および硝酸ビスマス溶液を、200mLの2mg/mL PSS(Mw=1,000,000)溶液を含むビーカーへ絶えず撹拌しながら同時に添加した。次いで、生じた溶液に、(4)波長254nmのUVランプからの紫外(UV)光を2時間照射すると、その間に色は無色から黄色に変化した。
【0100】
溶液を温水(70℃)上で2時間撹拌した。次に、溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して、50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウムおよび95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物の色は橙褐色であった。沈殿物を、70%エタノールで2回洗浄し、次いで空気中で乾燥した。次いで、乾燥したサンプルを、ガラス溶融炉中に配置し、窒素下で225℃で3時間加熱した。最終生成物は褐色であった。生じた固体のXRD分析は、酸化タングステン、酸化ビスマスおよびタングステン酸ビスマスの混合物の形成を示した。
【0101】
3I.ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包されたタングステンドープ二酸化チタンナノ粒子の調製:
この実施例は、ポリマーで被包されたタングステンドープ酸化チタンの製造方法を示し、ここでは、タングステン供給源としてタングステン酸ナトリウムが使用される。該方法は、(a)ポリマー(例えば、高分子電解質)を水溶液に、該ポリマーをナノ粒子前駆体と密に会合することを可能にする立体配置する溶液条件下で溶解させること、(b)該溶液にナノ粒子前駆体およびタングステン供給源を、該ナノ粒子前駆体とポリマーとの会合が生じる条件下で添加すること、(c)該ナノ粒子前駆体を改質して、ナノ触媒を形成すること、および(d)乾燥した組成物を窒素下で200〜500℃の範囲の温度で加熱すること、を含む。添加されるタングステン供給源の量は、極めて広い範囲内、ナノ粒子前駆体の量の10モル%〜100モル%で作用することが見出された。
【0102】
5重量%のポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)を含む100mLの2mg/mL PAA(Mw=1,250,000)溶液を、0.5N NaOH水溶液を使用してpH6.8に中和して調製した。この溶液に、チタンビス(ジメチルラクテート)ジヒドロキシドの50重量%水溶液の360μLを100mLの脱イオン水で希釈したもの、および0.01752gのタングステン酸ナトリウム/5mL脱イオン水溶液を、絶えず撹拌しながら同時に添加した。次いで、生じた溶液に、波長254nmのUVランプからのUV光を2時間照射すると、その間に、色は、無色から黄色に変化した。
【0103】
次いで、UVで処理された溶液に1M水酸化ナトリウム溶液を添加して、pHを10.8にした。溶液の色は深橙色に変化した。溶液を、温水(70℃)上で2時間撹拌した。次に、溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウムおよび95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物の色は黄褐色であった。沈殿物を、70%アルコールで2回洗浄し、次いで空気中で乾燥した。次いで、乾燥した沈殿物を、ガラス溶融炉中に入れ、窒素下で225℃で3時間加熱した。タングステンドーパントの存在は、最終粉末のICP分析によって判定した。
【0104】
4.被包されたナノ触媒の固体支持体上への固定
4A.ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包された酸化チタンナノ粒子のアルミナ支持体上での調製:
PAAで被包された酸化チタン0.5gを50mLの脱イオン水に分散させた。この澄明液にアルミナ支持体を添加し、生じたスラリーをシェーカー中に4時間配置した。固形物を、濾過し、蒸留水で数回洗浄し、乾燥した。
【0105】
4B.ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包された酸化チタンナノ粒子のシリカアルミナ触媒支持体上での調製:
PAAで被包された酸化チタン0.5gを50mLの脱イオン水に分散させた。この澄明液にシリカアルミナ支持体を添加し、生じたスラリーをシェーカー中に4時間配置した。固形物を、濾過し、蒸留水で数回洗浄し、乾燥した。
【0106】
4C.正または負の高分子電解質を使用する酸化チタン凝集物の調製:
ポリアクリル酸上のTiO2とポリ(アリルアミン塩酸塩)との等量を、一緒に混合し、生じたスラリーをシェーカー中に4時間配置した。固形物を、濾過し、蒸留水で数回洗浄し、乾燥した。
【0107】
4D.ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包された金ナノ粒子のアルミナ支持体上での調製:
PAAで被包された金ナノ粒子0.5gを50mLの脱イオン水に分散させた。この澄明液にアルミナ支持体を添加し、生じたスラリーをシェーカー中に4時間配置した。固形物を、濾過し、蒸留水で数回洗浄し、乾燥した。
【0108】
5.高分子電解質で被包され、ドープされた半導体の光触媒活性
5A.PAAで被包された窒素ドープTiO2の光触媒活性に関する有機色素としてメチレンブルーを使用する評価:
PAAで被包された窒素ドープ酸化チタンの光触媒活性を、メチレンブルーの分解速度を測定することによって評価した。20mgのナノ触媒(実施例3Gからの)を50mLの脱イオン水に分散させ、この分散液を、100mLの1.0×10−5Mメチレンブルー溶液に添加した。生じた液を、UV遮断フィルターを通した30Wのキセノン光源を使用して、絶えず撹拌しながら室温で60分間照射した。上記実験を、窒素ドーピングのない酸化チタンを使用する同様の実験と比較した。PAAで被包された窒素ドープ酸化チタンは、図4で認められるように、より高い光触媒活性を示した。
【0109】
5B.PSSで被包され、窒素、ヨウ素、アルミニウムでドープされたBi2O3の光触媒活性に関する有機色素としてメチレンブルーを使用する評価:
PSSで被包され、ドープされた酸化ビスマスの光触媒活性を、メチレンブルーの分解速度を測定することによって評価した。20mgのナノ触媒を50mLの脱イオン水に分散させ、この分散液を、100mLの1.0×10−5Mメチレンブルー溶液に添加した。生じた液を、UV遮断フィルター(>420nm)を通した30Wのキセノン光源を使用して、絶えず撹拌しながら室温で60分間照射した。メチレンブルーの分解を、60分間にわたって監視した。PSSで被包されドープされた酸化ビスマスは、メチレンブルーのような有機分子を分解するための光化学活性を示した(図10)。
【0110】
5C.PAAで被包された窒素ドープTiO2の光触媒活性に関するシュウ酸分解による評価:
シュウ酸の分解を密封容器中で実施した。PAAで被包された窒素ドープ酸化チタンの光触媒活性を、シュウ酸(有機化合物)の分解速度を測定することによって評価した。20mgのナノ触媒を50mLの脱イオン水に分散させ、この分散液を、100mLの1.0×10−5Mシュウ酸溶液に添加した。次いで、液を、UV遮断フィルターを通した30Wのキセノン光源を使用して、絶えず撹拌しながら室温で60分間照射した。その後、容器内部の気体の小部分を採取し、発生した二酸化炭素を、ガスクロマトグラフィーを使用して測定した。また、液を規定の塩基で滴定して、触媒反応で消費された酸の量を計算した。上記実験を、同一の実験セットを使用して未ドープの酸化チタンナノ粒子と比較した。窒素ドープ酸化チタンは、未ドープの酸化チタンと比較して、可視光下でシュウ酸を分解するためのより高い触媒活性を示した。
【0111】
5D.PAAで被包された窒素ドープTiO2の光触媒活性に関する煤煙の分解による評価:
煤煙の分解を、固体支持体上で実施した。20mgのナノ触媒を20mLの脱イオン水に分散させ、4×4インチのタイルに塗布し、乾燥した。煤煙の被覆を、ナノ触媒の表面に塗布し、サンプル全体を、UV遮断フィルターを通した30Wのキセノン光源を使用して、絶えず動かしながら室温で60分間照射した。照射後、サンプルを水で濡らした。煤煙は、PAAで被包されドープされたチタニアによってほとんど完全に破壊された(図11)。対照実験も、未ドープのTiO2および支持体のみで実施した。
【0112】
等価形態
前記は、本発明のいくつかの非限定的実施形態の説明であった。当業者は、定型的を超えない実験を利用して、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの等価形態を認識するか、または定型的を超えない実験を利用して確かめることができるであろう。当業者は、後記の特許請求の範囲中で規定されるような本発明の精神または範囲から逸脱しないで、本説明に種々の変更および修正をなし得ることを認識するであろう。
【0113】
特許請求の範囲中で、「a」、「an」および「the」などの冠詞は、そうでないことを指摘するか、さもなければ文脈から明白でない限り、1つまたは1つを超えることを意味することがある。群の1つまたは複数のメンバー間に「または」を含む特許請求の範囲または説明は、そうでないことを指摘しないか、さもなければ文脈から明白でない限り、1つ、1を超える、またはすべての群メンバーが、所与の生成物または方法中に存在する、それら生成物または方法中で採用される、あるいはそうでなければそれら生成物また方法に関連するなら、満たされると見なされる。本発明は、群の厳密に1つのメンバーが、所与の生成物または方法中に存在する、それら生成物または方法中で採用される、あるいはそうでなければそれら生成物また方法に関連する実施形態を包含する。本発明は、また、1つを超えるまたはすべての群メンバーが、所与の生成物または方法中に存在する、それら生成物または方法中で採用される、あるいはそうでなければそれら生成物または方法に関連する実施形態を包含する。さらに、本発明は、1つまたは複数の請求項から、または関連説明部分から、1つまたは複数の限定、構成要素、条項、記述用語などが別の請求項中に導入される、すべての変形形態、組合せ形態、および並べ替え形態を包含すると理解されたい。例えば、別の請求項に従属する任意の請求項は、同一の基本請求項に従属する任意の他のクレーム中に見出される1つまたは複数の限定を含むように修正され得る。さらに、請求項が組成物を列挙する場合、そうでないことを指摘しない限り、または矛盾もしくは不一致が発生しないことが当業者にとって明白である限り、本明細書中で開示される任意の目的のための組成物の使用方法が包含され、かつ本明細書中で開示される任意の製造方法または当技術分野で公知の他の方法による組成物の製造方法が包含されることを理解されたい。加えて、本発明は、本明細書中に開示の組成物を調製するための任意の方法により製造される組成物を包含する。
【0114】
構成要素が、リストとして、例えばマーカッシュ群の形式で表される場合、構成要素の各下位群も開示されており、かつ任意の構成要素(群)を群から除去できることを理解されたい。また、用語「含んでいる」は、限定ではないと解釈され、さらなる構成要素またはステップの包含を許容することに留意されたい。一般に、本発明、または本発明の態様が、特定の構成要素、特徴、ステップなどを含むとして言及される場合、本発明の特定の実施形態または本発明の態様は、このような構成要素、特徴、ステップなどからなるか、あるいは本質的になることを理解すべきである。単純化のために、これらの実施形態は、本明細書中で具体的にそのようには示さなかった。したがって、1つまたは複数の構成要素、特徴、ステップなどを含む本発明の各実施形態に関して、本発明は、また、それらの構成要素、特徴、ステップなどからなる、または本質的になる実施形態を提供する。
【0115】
範囲が付与される場合、終点が包含される、さらに、そうでないことを指摘しない限り、またはさもなければ文脈からおよび/または当業者の理解から明白でない限り、範囲として表現される値は、本発明の種々の実施形態中で指定された範囲内の任意の具体的値を、文脈がそうでないことを明白に規定しない限り、範囲の下限の単位の10分の1まで想定できると理解されたい。また、そうでないことを指摘しない限り、またはさもなければ文脈および/または当業者の理解から明白でない限り、範囲として表現された値は、付与された範囲内の任意の下位範囲を想定することができ、ここで、下位範囲の終点は、範囲の下限界の単位の10分の1と同様の正確度まで表現される。
【0116】
さらに、本発明の任意の特定の実施形態は、任意の1つまたは複数の請求項から明白に排除され得る。任意の実施形態、構成要素、特徴、応用、または本発明の組成物および/または方法の態様は、任意の1つまたは複数の請求項から排除され得る。簡潔さの目的で、1つまたは複数の構成要素、特徴、目的、または態様が排除される実施形態のすべては、本明細書中に明白には示されない。
【0117】
<参考文献の組み込み>
前に参照された特許、特許出願、および刊行物などのすべての参考文献は、参照によりその全体で組み込まれる。さらに他の実施形も、後記の特許請求の範囲の範囲内に包含される。
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2008年12月29日に出願された米国仮特許出願第61/141,095号への優先権を主張し、この米国仮特許出願の全ての内容は、本明細書で参照することにより援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、触媒、触媒の製造方法、および触媒の使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
触媒は、化学反応を加速できる材料である。触媒の一例が、光触媒性である半導体であり、実際に、該触媒は、十分なエネルギーの光で照らされると種々の種類の反応を触媒することができる。該触媒は、支持体上に固定化され、大きな有効表面積を備えたナノメートルの大きさの材料(「ナノ粒子」と呼ばれることもある)の形態で存在することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、触媒、触媒の製造方法、および触媒の使用方法に関する。
【0005】
一態様において、本発明は、1種または複数種のポリマーによって被包された光触媒を形成するナノメートルスケールの前駆体部分を含む触媒系を取り上げる。一部の実施形態において、ナノ触媒は、機能化されていても、機能化されていなくてもよい固体支持体によって担持される。触媒系は、数あるものの中でも、大きな比表面積、活性成分の高い分散度、高い転換率、および/または高い選択性を提供することができる。該触媒系は、容易に取り扱い、容易に分離し、かつ容易に再使用することができ、それによって、使用コストを低下させ、かつそれらの環境への影響を低下させることができる。
【0006】
別の態様において、本発明は、光触媒を形成するための、ポリマーで被包された前駆体部分の製造方法を取り上げる。一部の実施形態において、ポリマーは、1種または複数種の高分子電解質を含むことができる。高分子電解質(群)は、大きな分子量(ほぼ100,000ダルトンを超える)または小さな分子量(例えば、ほぼ100,000ダルトン以下)を有することができる。
【0007】
別の態様において、本発明は、触媒を含む前駆体上でポリマーを折り畳んでポリマーおよび前駆体部分を有する複合体を形成すること;および該複合体からナノ粒子を形成することを含む方法を取り上げる。
【0008】
該実施形態は、次の特徴の1つまたは複数を含むことができる。ポリマーは、高分子電解質を含む。高分子電解質は、ポリ(アリルアミン塩酸塩)(PAAH)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDDA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(スチレンスルホネート)(PSS)、および/またはポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)(PAMCS)を含む。該ポリマーは、ほぼ100,000Dを超える分子量を有する。
【0009】
触媒としては、金属、金属錯体、金属酸化物、金属セレン化物、金属テルル化物、または金属硫化物が挙げられる。金属の具体例には、限定はされないが、Au、Ag、Cu、Ru、Pt、Ni、Pd、Ti、Bi、Zn、これらの組合せ、またはこれらの合金が含まれる。その他の例には、限定はされないが、酸化チタン(例えば、TiO2)、酸化ビスマス(例えば、Bi2O3)、酸化セリウム(例えば、CeO2)、酸化タングステン(例えば、WO3)、硫化ビスマス(例えば、Bi2S3)、酸化亜鉛(例えば、ZnO)、酸化鉛(例えば、PbO)、酸化鉄(Fe2O3、Fe3O4)、硫化亜鉛(例えば、ZnS)、硫化鉛(例えば、PbS)、硫化カドミウム(例えば、CdS)、セレン化カドミウム(例えば、CdSe)、およびテルル化カドミウム(例えば、CdTe)が含まれる。触媒は、1種または複数種のドーパントを含むことができる。触媒は、金属酸化物、金属水酸化物、または金属オキシ水酸化物であることができる。ドーパントとしては、窒素、ヨウ素、フッ素、鉄、コバルト、銅、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タングステン、セリウム、ランタン、金、銀、パラジウム、白金、酸化アルミニウム、および/または酸化セリウムを挙げることができる。
【0010】
該方法は、複合体を架橋すること、複合体を加熱すること、ナノ粒子を支持体と会合させること、または複合体を照射することをさらに含むことができる。
【0011】
該複合体は、1種を超えるポリマー分子を含むことができる。
【0012】
該方法は、溶媒、および該溶媒に溶解したポリマーを含む溶液を形成することをさらに含むことができる。該方法は、前駆体部分を溶液に接触させることをさらに含むことができる。前駆体部分は、金属含有塩または有機金属化合物を含むことができる。
【0013】
該ナノ粒子は、ほぼ1nm〜ほぼ50nmの平均粒子径を有することができる。
【0014】
該方法は、該ナノ粒子を用いて反応を触媒することをさらに含むことができる。該反応は、光触媒されることができる。該反応は、可視光で光触媒されることができる。
【0015】
別の態様において、本発明は、ドープされた半導体ナノ粒子およびポリマーを含む組成物を取り上げる。
【0016】
該実施形態は、次の特徴の1つまたは複数を含むことができる。ポリマーは高分子電解質である。ナノ粒子は、酸化チタンを含む。ナノ粒子は、酸化ビスマスを含む。ナノ粒子は10nm未満の直径を有する。
【0017】
別の態様において、本発明は、ナノ粒子およびポリマー支持体を含む組成物を取り上げる。
【0018】
該実施形態は、次の特徴の1つまたは複数を含むことができる。ポリマーは、カチオン性高分子電解質を含む。ポリマーは、アニオン性高分子電解質を含む。ポリマーは、カチオン性高分子電解質およびアニオン性高分子電解質の両方を含む。ナノ粒子は、半導体を含む。ナノ粒子は、ドープされた半導体を含む。
【0019】
別の態様において、本発明は、高分子電解質で安定化されたナノ粒子複合体を含む溶液に凝集剤を添加することを含む方法を取り上げる。
【0020】
該実施形態は、次の特徴の1つまたは複数を含むことができる。複合体は、半導体ナノ粒子を含む。複合体は、ドープされた半導体ナノ粒子を含む。凝集剤は、複合体中の高分子電解質の反対に帯電しているポリマーを含む。凝集剤は、複合体中の高分子電解質の反対に帯電している対イオンを含む。凝集剤は、高分子電解質で安定化されたナノ粒子複合体を含む。
【0021】
該実施形態は、次の特徴または利点の1つまたは複数を含む。
【0022】
触媒系は、大きな活性表面積を備えた小さな触媒を提供することができる。一部の実施形態において、とりわけ触媒を固体支持体上に固定化する場合、触媒系は、高められた選択性、効率、回収性、および/またはリサイクル性を提供することができる。
【0023】
触媒系(例えば、ドープされた半導体ナノ粒子を含む)は、可視波長および紫外波長の存在下で高められた光触媒活性を提供することができる。例えば、該触媒系を、屋外または屋内汚染物質のモデルである有機分子を分解するのに使用することができる。
【0024】
触媒系は、有害な結果(焼結など)を伴わないで高温度での応用(触媒転化)に耐えることができる。
【0025】
その他の態様、特徴、および利点は、実施形態に関する以下の説明から、および特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、触媒系に関する実施形態の図解である。
【図2】図2は、触媒系の製造方法に関する実施形態の流れ図である。
【図3】図3は、窒素ドープ酸化チタンナノ粒子のX線光電子分光法(XPS)スペクトルである。
【図4】図4は、未ドープのおよびドープされた酸化チタンナノ粒子における45分経過後のメチレンブルーの吸収スペクトルである。
【図5】図5は、炭酸カルシウム支持体上の金ナノ粒子の走査型電子顕微鏡法(SEM)写真である。
【図6】図6は、酸化チタンナノ粒子の粉末X線回折パターンである。
【図7】図7は、酸化チタン/PAAナノ粒子の透過型電子顕微鏡法写真である。
【図8】図8は、酸化ビスマス/PSSナノ粒子の透過型電子顕微鏡法写真である。
【図9】図9は、金/PDDAナノ粒子の透過型電子顕微鏡法写真である。
【図10】図10は、可視光下でのドープされた酸化ビスマスによるメチレンブルーの脱色を示す、吸光度対波長のプロットである。
【図11】図11は、60分間にわたる煤煙の分解を示す写真であり、支持体単独(左)、未ドープの光触媒(中央)、およびドープされた光触媒(右)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<組成>
図1は、固体支持体(24)によって担持された触媒ナノ粒子(22)を含む触媒系(20)を示す。示したように、各触媒ナノ粒子(22)は、ナノ触媒(26)、および該ナノ触媒を被包している折り畳まれたポリマー(28)を含む。ナノ粒子(22)は、ほぼ1nm〜ほぼ50nmの平均幅または直径を有することができる。後で説明するように、触媒系(20)は、ポリマーがナノ粒子前駆体と密に会合することを可能にする配置で存在するようにポリマー(28)を含む希薄溶液を形成すること;該ナノ粒子前駆体を該溶液に、ナノ粒子前駆体および/またはポリマーが互いに会合して、ナノ粒子前駆体およびポリマーを含む複合前駆体部分の形成を生じる条件下で添加すること;複合前駆体部分のポリマーの少なくとも一部を架橋すること;ならびに該複合前駆体部分の少なくとも一部を改質してポリマーで安定化されたナノ粒子(22)を形成すること;によって形成することができる。一部の実施形態において、ポリマーで安定化されたナノ粒子(22)は、支持体(24)と会合している。
【0028】
本明細書中で使用する場合、用語「前駆体部分」は、その少なくとも一部が、形成される最後のナノ粒子の構成要素である化合物または存在物を指し、ナノ粒子前駆体を包含する。
【0029】
ナノ粒子(26)は、触媒系(20)が適用される反応において触媒活性(限定はされないが、例えば、光触媒活性)を有する能力のある任意の材料を含む(例えば、その材料だけで構成される)ことができる。ナノ触媒(26)は、金属系伝導体および/または半導体を含むことができる。ナノ触媒(26)中に含めることのできる材料の例には、元素状(すなわち、形式的にはゼロ価の)金属、金属合金、および/または金属含有化合物(例えば、金属錯体、金属酸化物、金属硫化物)が含まれる。材料の具体例には、限定はされないが、Au、Ag、Cu、Ru、Pt、Ni、Pd、Ti、Bi、Zn、これらの組合せ、またはこれらの合金が含まれる。その他の例には、限定はされないが、酸化チタン(例えば、TiO2)、酸化ビスマス(例えば、Bi2O3)、酸化セリウム(例えば、CeO2)、酸化タングステン(例えば、WO3)、硫化ビスマス(例えば、Bi2S3)、酸化亜鉛(例えば、ZnO)、酸化鉛(例えば、PbO)、酸化鉄(Fe2O3、Fe3O4)、硫化亜鉛(例えば、ZnS)、硫化鉛(例えば、PbS)、硫化カドミウム(例えば、CdS)、セレン化カドミウム(例えば、CdSe)、およびテルル化カドミウム(例えば、CdTe)が含まれる。触媒の結晶構造の同定は、粉末X線回折を使用して行うことができる。
【0030】
一部の実施形態において、ナノ触媒(26)中に含められる材料(群)には、1種または複数種のドーパントが含まれる。ドーパントは、例えば、ナノ触媒(26)の電子的特性を改質するのに使用することができる。例えば、半伝導性酸化チタンは、紫外光の存在下で有機系汚染物質を光触媒的に十分に解離させることができるが、半導体を特定の元素またはイオンでドープすると、該半導体は可視光下で光触媒性となり、より用途が広がる。ドーパントの例には、非金属化合物、金属化合物、非金属原子、金属原子、非金属イオン、金属イオン、およびこれらの組合せが含まれる。ドーパントの具体例には、限定はされないが、窒素、ヨウ素、フッ素、鉄、コバルト、銅、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タングステン、ランタン、金、銀、パラジウム、白金、酸化アルミニウム、および酸化セリウムが含まれる。ドープされた材料の例には、ドープされたビスマス材料(例えば、窒素、ヨウ素、フッ素、亜鉛、ガリウム、インジウム、ランタン、および/または酸化アルミニウムでドープされた酸化ビスマス)、ドープされたチタン材料(例えば、窒素、ヨウ素、フッ素、金属イオン、ゼロ化金属、および/または金属酸化物(例えば、酸化亜鉛)、酸化アルミニウム、および酸化ケイ素などの酸化物でドープされた酸化チタン)が含まれる。ドーパントは、ほぼ1〜10モル%、ほぼ0.1〜1モル%、またはほぼ0.01〜0.1モル%の範囲で存在することができる。
【0031】
触媒系(20)は、同一組成または異なる組成のナノ触媒(26)を含むことができる。1つの触媒系(20)内で、ナノ触媒(26)は、すべて、同一組成を有することができ、あるいは、一部のナノ触媒は第1組成を有し、残りのナノ触媒は、第1組成と異なる第2組成を有することができる。ナノ触媒(26)は、2種以上の異なる触媒組成物、例えば、酸化チタンおよび酸化亜鉛を含むことができる。
【0032】
ポリマー(28)としては、天然ポリマーおよび/または合成ポリマーを挙げることができる。ポリマー(28)は、ホモポリマー、または2種以上のモノマーからなるコポリマー、例えばブロックコポリマーおよびグラフトコポリマーでよい。ポリマー(28)の例には、スチレン、ビニルナフタレン、スチレンスルホネート、ビニルナフタレンスルホネート、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリレート、メタクリレート、アクリロニトリル、およびN−低級アルキルアクリルアミドなどのモノマーから誘導される材料が含まれる。
【0033】
一部の実施形態において、ポリマー(28)には、高分子電解質が含まれる。「高分子電解質」は、イオン化されたまたはイオン化可能な基を含むポリマーを指す。イオン化されたまたはイオン化可能な基は、カチオンまたはアニオン性でよい、カチオン基の例には、アミノおよび第4級アンモニウム基が含まれ、アニオン基の例には、カルボン酸、スルホン酸、およびホスフェートが含まれる。高分子電解質は、ホモポリマー、ランダムポリマー、交互ポリマー、グラフトポリマー、またはブロックコポリマーでよい。高分子電解質は、合成または天然に存在するものでよい。高分子電解質は、直線、分枝、超分枝、またはデンドリマー性でよい。カチオン性ポリマーの例には、限定はされないが、
ポリ(アリルアミン塩酸塩)(PAAH)およびポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDDA)が含まれる。アニオン性ポリマーの例には、限定はされないが、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)(PAMCS)が含まれる。一部の実施形態において、ポリマー(28)には、カルボキシメチルセルロース、キトサン、およびポリ(乳酸)などのバイオポリマーが含まれる。例えば、その両方の全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7501180号および7534490号を参照されたい。
【0034】
一部の実施形態において、ポリマー(例えば、高分子電解質)は、大きな分子量を有する。例えば、分子量は、ほぼ50,000D以上、ほぼ100,000D以上、またはほぼ200,000D以上でよい。
【0035】
選択性およびリサイクル性を備えた触媒系(20)を提供することに加え、支持体(24)上にナノ触媒を準備することの特徴は、支持体を所望の形状に形づくる能力である。支持体(24)を、個々の応用に合致させて形づくることができる。支持体(24)の構築材料も、個々の応用に合致させて選択することができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、触媒系(20)は、触媒ナノ粒子(22)を担持する支持体を実質的に含まない。
【0037】
<合成>
図2は、触媒系(20)の製造方法(100)を示す。簡潔には、方法(100)は、(a)ポリマー(高分子電解質など)を含む溶液を、該ポリマーがナノ粒子前駆体と密に会合することを可能にする配置で存在するように形成すること(ステップ102)、(b)該溶液にナノ粒子前駆体を、ナノ粒子前駆体および/またはポリマーが互いに会合して、ナノ粒子前駆体およびポリマーを含む複合前駆体を形成する条件下で添加すること(ステップ104)、(c)任意選択で、該複合前駆体部分のポリマーの少なくとも一部を架橋すること(ステップ106)、および(d)該複合前駆体部分の少なくとも一部を改質して、ポリマーで被包されたナノ粒子を形成すること(ステップ108)、を含む。一部の実施形態において、ポリマーで被包されたナノ粒子は、また、支持体と会合(例えば、結合)することができる(ステップ110)。一部の実施形態において、1種を超えるポリマー分子が、ステップ(b)でナノ粒子前駆体と会合する。一部の実施形態において、ステップ(c)は、UV、γ線、またはその他の化学作用をもつ放射線などの高エネルギー放射線を使用する照射ステップで代替される。この照射ステップは、複合前駆体部分のポリマーの切断を引き起こすことができ、複合前駆体部分が複数のポリマー分子を含む原因となる。
【0038】
ポリマーを含む溶液は、1種または複数種の選択されたポリマー(28)(例えば、高分子電解質)を溶媒に溶解することによって形成される(ステップ102)。溶媒としては、ポリマー(群)を溶解する能力を有する任意の組成物を挙げることができる。溶媒としては、有機溶媒(例えば、アルカノール、ケトン、アミン、およびジメチルスルホキシド)および/または無機溶媒(例えば、水)を挙げることができる。溶媒は、2種以上の異なる組成物を含むことができる。例として、NH2、RNH、およびCOOHなどのイオン化可能な基を備えたポリマーが、適切な溶液条件下でのそれらの水溶性、および例えば無機塩の添加を介して溶液中の特定濃度のイオンに暴露された場合に、折り畳みの変化(後で説明される)を受けるそれらの能力のため、選択され得る。
【0039】
前に指摘したように、溶液中のポリマーは、該ポリマーがナノ粒子前駆体と密に会合することを可能にする立体配置で存在する、簡潔には、溶液中でのポリマーの立体配座は、その溶媒との相互作用、その濃度、および存在する可能性のある他の種の濃度を含む、種々の溶液条件によって規定される。該ポリマーは、pH、イオン強度、温度、および濃度に依存する立体配座の変化を受けることがある。高分子電解質の場合、高い電荷密度で、例えば、ポリマーの「モノマー」単位が完全に帯電している場合、同様に帯電したモノマー単位間の静電反発のため、伸展された立体配座が採用される。塩の添加および/またはpHの変化を介してポリマーの電荷密度を低下させると、伸展されたポリマー鎖から堅く詰められた球状の折り畳まれた立体配座への変化をもたらすことができる。この折り畳みの変化は、十分に小さい電荷密度での静電反発に優越するポリマー部分間の引力相互作用によって駆動される。類似の変化は、ポリマーの溶媒環境を変えることによって誘導することができる。この折り畳まれたポリマーは、一般には長球のようなほぼ球形状を有するナノメートル尺度の寸法を有するナノ粒子であるが、折り畳まれたポリマーは、また、ナノメートル尺度の寸法を有する伸張したまたは多葉の立体配座を有することができる。
【0040】
次に、ナノ粒子前駆体を前記のポリマー溶液に、ナノ粒子前駆体および/またはポリマーの互いの会合が生じる条件下で添加し、ナノ粒子前駆体およびポリマーを含む複合前駆体部分形成する(ステップ104)。詳細には、会合中に、ポリマーの少なくとも一部は、ナノ粒子前駆体の周辺で折り畳まれ、前駆体部分として役立つ。「前駆体部分」は、その少なくとも一部が、形成される最後のナノ粒子の構成要素である化合物または存在物を指す。ナノ粒子前駆体の例には、金属錯体、(例えば、有機金属化合物)、金属塩、有機イオン、無機イオン、またはこれらの組合せが含まれる。例えば、前駆体部分は、式MxAy(ここで、Mは、+yの電荷を所持するI〜IV族の金属カチオン、AはMに対する−xの電荷を有する対イオンである)を有するような塩、またはこれらの組合せなどの、有機塩または無機塩のイオンを含むことができる。具体例には、硝酸ビスマス、チタン(IV)ビス(アンモニウムラクタト)ジヒドロキシド、クロロ金酸(HAuCl4)、および硝酸亜鉛が含まれる。複数の前駆体部分を使用することができる。
【0041】
触媒ナノ粒子(22)がドープされる実施形態では、選択したドーパント(群)を含む1種または複数種の選択したドーパント供給源も、ポリマー溶液に添加される。ドーパント供給源の例には、限定はされないが、ヨウ素酸(ヨウ素供給源)、フッ化アンモニウム(フッ素供給源)、硝酸アルミニウム(アルミニウム供給源)、硝酸亜鉛(亜鉛供給源)、金酸(金供給源)、尿素(窒素供給源)、硝酸ガリウム(ガリウム供給源)、硝酸インジウム(インジウム供給源)、および/または硝酸ランタン(ランタン供給源)が含まれる。
【0042】
折り畳み剤として作用することができる、溶液へのナノ粒子前駆体または前駆体部分の添加は、ポリマーの折り畳みを誘発して、添加された前駆体部分の少なくとも一部を実質的に包囲し、かつ閉じ込める。「閉じ込められる」は、ナノ粒子が、実質的に、折り畳まれたポリマーの寸法の限界内に存在し、かつ限定はされないが、ポリマーの一部が、ポリマーの寸法内でナノ粒子と強力に相互作用することができる状況が含まれる。ポリマーの折り畳みの結果として、被包しているポリマーおよび閉じ込められたナノ粒子前駆体を含む複合前駆体が形成される。代わりにまたは付加的に、その他の技術を使用して、ナノ粒子前駆体の周囲のポリマーを折り畳むことができる。例えば、異なる溶媒、イオン種(例えば、塩)、またはこれらの組合せなどの折り畳み剤を添加して、ポリマーの折り畳みを誘発することができる。複数の折り畳み剤を使用できる。
【0043】
ポリマーの折り畳みは、粘度測定法を利用して監視することができる。典型的には、ポリマー溶液は、該ポリマーが溶解する溶媒のそれに比べてより大きな粘度を示す。とりわけ高分子電解質の場合、該ポリマー溶液は、シロップの粘稠度のような極めて大きな粘度を有することができる。ポリマーを折り畳んで複合前駆体部分を形成した後、十分に分散された複合前駆体部分のサンプルは、ポリマーを折り畳む前に比べてはるかに小さい粘度を示すことがある。この低下した粘度は、折り畳みの後および折り畳み中でさえ、振動粘度計またはオストワルド粘度計を用いて適切な条件下で測定することができる。
【0044】
ナノ粒子の形成は、動的光散乱(DLS)または透過型電子顕微鏡法(TEM)を使用して立証することができる。DLSにおいて、ナノ粒子の形成は、ナノスケールでの単一モードまたはマルチモード供給源の検出によって立証される。TEMでは、ナノ粒子を直接的に可視化することができる。
【0045】
一部の実施形態において、複合前駆体部分は、ほぼ1nm〜ほぼ100nmの平均直径を有する。
【0046】
ポリマーが折り畳まれ、複合前駆体部分が形成された後、任意選択で、ポリマーを分子内架橋すること、または分子内結合を形成することによって、折り畳まれたポリマーの立体配座を保持、および/または永続的にすることができる(ステップ106)。架橋は、複合前駆体部分に、好都合な溶解性および非凝集特性を提供することができる。架橋は、水素結合、新たな結合を形成するための化学反応、および/または多価イオンとの配位を含むことができる。架橋は、表面で、折り畳まれたナノ粒子内の特定の場所で、および/または複合前駆体部分の全域で起こることができる。架橋は、化学物質および/または放射線を使用して実施することができる。例えば、ポリマーを、紫外(UV)線(UVランプまたはUVレーザーなど)に暴露することができる。放射線を使用するなら、該放射線は、付加的にポリマーの切断を引き起こし、単一のポリマー分子から複数のポリマー分子を作り出すことがある。代わりにまたは付加的に、分子内架橋は、例えば、ホモ二官能性架橋剤を用いるカルボジイミ化学を使用して化学的に引き起こすことができる。
【0047】
一部の実施形態において、折り畳まれた分子内架橋ポリマーは、複合ナノ粒子を形成するために折り畳まれた構造内に閉じ込められた無機塩から由来する若干のイオンを有する。閉じ込められたイオンは、例えば、還元、酸化、および/または反応され(例えば、外部薬剤との沈殿によって)て、折り畳まれた分子内架橋ポリマー系材料内に閉じ込められた内部ナノ粒子を有する複合ナノ粒子の形成をもたらす。未反応のイオン化可能な基は、さらなる化学修飾のための将来の部位として役立ち、様々な媒体への粒子の溶解性、または両方を規定する。
【0048】
ポリマーの少なくとも一部を架橋した後、複合前駆体部分の前駆体部分の少なくとも一部を改質して、ナノ粒子(22)を形成する(ステップ108)。改質は、複合前駆体部分を、前駆体の改質を引き起こすほど十分に高いが、ポリマー安定剤の完全分解を引き起こすほどには高くない温度まで加熱することを含むことができる。改質ステップが、例えば、加水分解であるなら、系は、前駆体の加水分解を引き起こすのに十分な高い温度まで加熱される。別法として、前駆体の分解が必要とされるなら、系は、分解を引き起こすのに十分な高い温度まで加熱される。系は、前駆体の大部分が改質されることを可能にするため、十分に長い時間加熱される。一部の実施形態では、ポリマーの分解速度を減速するために、加熱工程は、不活性雰囲気中で、または高められた圧力で行われる。他の実施形態において、改質は、溶液のpHを変えて、例えば前駆体の加水分解を引き起こすことを含むことができる。pH変化は、ポリマー安定剤を破壊することなしに、前駆体の分解または改質をもたらしてナノ粒子を形成するように選択される。
【0049】
一部の実施形態において、ナノ粒子(22)は、ほぼ1nm〜ほぼ100nmの範囲の平均直径を有する。ここで示される平均直径は、複合ナノ粒子の任意の種類の対称性(例えば、球状、楕円状など)を暗示することを意味しない。むしろ、ナノ粒子は、高度の不規則性および非対称性を有することができる。
【0050】
触媒系(20)が支持体(24)を含む実施形態において、触媒ナノ粒子(22)は、支持体(24)に結合される(ステップ110)。例えば、ナノ粒子(22)を、溶媒中で支持体(24)と、支持体がナノ粒子を担持するのに十分な時間混合することができる。生じる生成物を、ナノ粒子(22)が支持体(24)に付着するのを助けるように処理することができる。一部の実施形態では、ナノ粒子(22)を、ポリマーまたは支持体の1種または複数種の官能基を介して支持体(24)上に化学的に付着させることができる。
【0051】
他の実施形態において、支持体(24)は、ナノ粒子(22)自体を含む。例えば、少なくとも1種の負に帯電した高分子電解質を含む溶液を、少なくとも1種の正に帯電した高分子電解質を含む溶液と混合することができ、ここで、2つの溶液の少なくとも一方は、また、前以て形成されたナノ粒子(22)を含む。生じるポリマー被包ナノ粒子(22)は、固体支持体上のナノ粒子を含み、乾燥され得る凝集物(floc)を形成することができる。より具体的には、負に帯電した高分子電解質(ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)、またはポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)(PAMCS)など)で被包されたナノ触媒を、正に帯電した高分子電解質(ポリ(アリルアミン塩酸塩)(PAAH)またはポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDDA))で被包されたナノ触媒と反応させて、凝集物を形成することができる。ポリマーは、また、キトサン、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ポリ(乳酸)などのバイオポリマーを含むことができる。ナノ粒子凝集物を製造するための他の方法は、ナノ粒子(22)を含む溶液に大量の対イオンを添加すること、あるいはそうでなければ、非溶媒を添加することによって、または塩を形成することによって、溶液からナノ粒子(22)を沈殿させることを含む。
【0052】
<応用>
触媒系(20)は、該系が1種または複数種の選択された反応を触媒することができる任意の応用において使用することができる。例えば、触媒系(20)は、触媒ナノ粒子(22)が、気相および/または液相の分子と相互作用することができる、不均一系触媒反応のために使用することができる。触媒系(20)を使用できる反応には、例えば、有機反応、各種有機材料の分解、各種無機材料の分解、生理学的反応、微生物を用いる反応、酸化還元反応(例えば、金属を含む)、選択的酸化反応、選択的還元反応、酸−塩基で触媒される反応、炭素−炭素結合を含む各種カップリング反応、および種々の媒体中での有機および/または無機汚染物質の転換が含まれる。例えば、金属酸化物支持体上の金ナノ触媒は、芳香族ニトロ化合物の選択的(例えば、ほぼ80%を超える)水素化を効率的に仲介することができる。さらなる例は、以下で与えられる。
【0053】
触媒系(20)は、紫外および/または可視光を使用する光触媒反応に応用することができる。本明細書中で、「光触媒反応」は、無機半導体などの無機種(「光触媒」)によって仲介される、光の存在を必要とする化学反応を意味すると解される。一部の実施形態において、有機物の分解が望まれる場合、光触媒反応は、光触媒の存在によって加速され、可能になり、または増強される、有機物の光分解のすべての形態を包含すると解される。一部の実施形態において、光触媒は、光への暴露によって引き起こされるそれらの表面化学の改質によって、表面から汚染物質を除去する。例えば、光触媒は、空気の浄化、水の浄化、有機汚染物質の分解、および/または産業廃棄物(有機色素を含むものなど)の浄化のために使用することができる。しかし、多くの光触媒は、可視光下で有効ではない。可視光(λ>350nm)、弱い照明(室内灯など)および紫外光の下で有効またはより活性である可能性のある光触媒を提供することによって、光触媒の有用性を増大させることができる。
【0054】
半伝導性光触媒の光触媒活性を増大させるための1つの取組みは、1種または複数種のドーパントを含めることによって光触媒の電子的特性を変えることである。例えば、有機色素(例えば、メチレンブルー)の分解における高分子電解質で被包された窒素ドープ酸化チタンナノ粒子の活性を増強することができる。後に実施例5A中に示すように、高分子電解質で被包され、窒素でドープされたおよび未ドープの酸化チタンナノ粒子を、両方とも、2mMメチレンブルー溶液に添加し、次いで可視光にさらした。30分以内に、ドープされたナノ粒子を含む溶液は無色になり、メチレンブルーの光分解を示したが、未ドープのナノ粒子を含む溶液は、メチレンブルーに特徴的な青色のままであった。実施例5Bにおいて、可視光下でのシュウ酸の光分解が、高分子電解質で被包され、ドープされたおよび未ドープの酸化チタンナノ粒子の両方を使用して立証された。分解/漂白の速度は、未ドープのナノ粒子に比べて、高分子電解質で被包された窒素ドープ酸化チタンの場合により大きかった。これらの実験は、窒素ドープ酸化チタンナノ粒子が、未ドープの酸化チタンナノ粒子に比べて、可視光下でより効率的に光触媒性であり得ることを示す。
【0055】
高分子電解質で被包された半導体ナノ粒子は、また、可視光の存在下で有機系煤煙(汚染物質)を分解するのに使用することができる。高分子電解質で被包され、ドープされたおよび未ドープの酸化チタンナノ粒子は、両方とも、セラミック煉瓦タイルの種々の領域に応用された。次いで、タイルを、ナノ粒子の表面上に黒色の有機系煤煙を沈積させる有機系煤煙流にさらした。煤煙およびナノ粒子で覆われたタイルを、次いで、日光および水分にほぼ30分間さらした。水で洗浄した後、ドープされた酸化チタンナノ粒子で覆われた表面はきれいになったが、未ドープの酸化チタンナノ粒子で覆われた表面は、ほとんど変化を示さなかった。
【0056】
他の実施例で、ドープされたおよび未ドープの酸化ビスマスナノ粒子を、可視光下でメチレンブルーおよびシュウ酸を分解するのに使用した。より具体的には、高分子電解質で被包された酸化ビスマスナノ粒子、および高分子電解質で被包され、ヨウ素、窒素およびアルミニウムでドープされ酸化ビスマスナノ粒子を、2mMメチレンブルー溶液に添加し、次いで、可視光にさらした。30分以内に、ドープされたナノ粒子を含む溶液は無色になり、メチレンブルーの光分解の存在を示したが、未ドープのナノ粒子を含む溶液は、メチレンブルーに特徴的な青色のままであった。上記実験は、高分子電解質で被包され、ヨウ素、窒素およびアルミニウムでドープされた酸化ビスマスナノ粒子は、未ドープの酸化ビスマスナノ粒子に比較して、可視光下でより効率的な光触媒であったことを示す。
【0057】
光触媒反応に加えて、触媒系(20)は、自動車の応用分野におけるような接触転換に応用することができる。例えば、特定の揮発性有機化合物および炭素酸化物を酸化し、窒素酸化物を還元することができる一部の貴金属と同様に、特定の触媒系(20)は、種々の揮発性有機化合物(例えば、汚染物質)を分解するのに、および/または窒素酸化物を還元するのに使用することができる。さらに、触媒系(20)(ポリマーで被包され、酸化セリウム上に支持された金ナノ粒子など)は、高温で(例えば、焼結などの有害作用を低減して)、および低温で有効な触媒コンバーターである可能性がある。触媒系(20)(ポリマーで被包され、酸化セリウム上に支持されたパラジウムナノ粒子など)は、架橋反応において使用することができる。
【0058】
以下の実施例は、例示であり、それに限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0059】
1.負に帯電した高分子電解質を用いるナノ触媒の折り畳み
1A.高分子量のポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)を使用して被包された酸化ビスマスナノ粒子の調製:
この実施例は、ポリマーで被包された酸化ビスマス(半導体)ナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)ポリマー(例えば、高分子電解質)を水溶液中に、該ポリマーを該ポリマーがナノ粒子前駆体(例えば、ビスマス含有前駆体)と密に会合することを可能にする立体配置にする溶液条件下で溶解すること、(b)該溶液にナノ粒子前駆体を、該ナノ粒子前駆体とポリマーとの会合が生じる条件下で添加すること、および(c)該ナノ粒子前駆体を改質して、ポリマーによって安定化されたナノ粒子(例えば、高分子電解質で安定化された酸化ビスマスナノ粒子)を形成することを含む。
【0060】
最初のビーカー中で、0.0724g(0.149ミリモル)の硝酸ビスマスを2mLの70%濃硝酸(15.6M)に溶解し、この溶液を脱イオン水で100mLに希釈する。この硝酸ビスマス溶液を200mLの2mg/mL PSS(Mw=1,000,000)溶液を入れた第2のビーカーに、絶えず撹拌しながら徐々に添加した。次いで、生じた溶液に、波長254nmのUVランプからの紫外(UV)光を2時間照射すると、その間に色は無色から黄色に変化した。
【0061】
UVで処理した溶液に10M水酸化ナトリウム溶液を添加し、pHを10.8にすると、その時点で、溶液の色は深橙色に変化した。この溶液を、温水(70℃)上で2時間さらに撹拌した。次に、溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物の色は橙−褐色であった。沈殿物を、70%エタノールで2回洗浄し、次いで空気中で乾燥した。透過型電子顕微鏡法画像を図8に示す。
【0062】
1B.高分子量ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)を使用して被包された硫化ビスマスナノ粒子の調製:
この実施例は、上記実施例1Aに類似し、ポリマーが硫黄含有基を含む(ポリ(スチレンスルホネート)など)場合、ナノ粒子複合体を適切な条件下で加熱して、硫化物ナノ粒子(例えば、硫化ビスマスナノ粒子)を形成できることを示す。
【0063】
最初のビーカー中で、0.0724g(0.149ミリモル)の硝酸ビスマスを2mLの70%濃硝酸(15.6M)に溶解し、この溶液を脱イオン水で100mLに希釈する。この硝酸ビスマス溶液を200mLの2mg/mL PSS(Mw=1,000,000)溶液を入れた第2のビーカーに、絶えず撹拌しながら徐々に添加した。次いで、生じた溶液に、波長254nmのUVランプからの紫外(UV)光を2時間照射すると、その間に色は無色から黄色に変化した。
【0064】
UVで処理した溶液に10M水酸化ナトリウム溶液を添加し、pHを10.8にすると、その時点で、溶液の色は深橙色に変化した。この溶液を、温水(70℃)上で2時間さらに撹拌した。次に、溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物の色は橙−褐色であった。沈殿物を、70%エタノールで2回洗浄し、次いで空気中で乾燥した。乾燥した沈殿物を、次いで、ガラス溶融炉中、真空下で400℃で2時間加熱した。沈殿物の最終色は暗褐色であった。
【0065】
1C.高分子量ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包された酸化チタンナノ粒子の調製:
この実施例は、ポリマーで被包された触媒性酸化チタンナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)ポリマーを水溶液中に、該ポリマーを該ポリマーがナノ粒子前駆体(例えば、チタン含有錯体)と密に会合することを可能にする立体配置にする溶液条件下で溶解すること、(b)該溶液にナノ粒子前駆体を、該ナノ粒子前駆体とポリマーとの会合が生じる条件下で添加すること、および(c)該ナノ粒子前駆体を改質して、ナノ粒子を形成すること、を含む。
【0066】
5重量%のポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)を含む100mLの2mg/mL PAA(Mw=1,250,000)溶液を、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH6.8に中和した。この溶液に、100mLの水で希釈された360μLの市販50wt%チタン(IV)ビス(アンモニウムラクタト)ジヒドロキシド水溶液を、激しく撹拌しながら滴加した。添加を完結した後、溶液に、波長254nmのUVランプからのUVを2時間照射し、次いで、0.5M水酸化ナトリウム溶液を添加してpHを10にした。溶液をさらに1時間撹拌した。次いで、溶液を、70mLまで濃縮し、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物を、70%アルコールで3回洗浄し、次いで乾燥した。乾燥した沈殿物の色は微淡黄色であった。粉末X線回折パターンを図6に示し、透過型電子顕微鏡法画像を図7に示す。
【0067】
1D.高分子量ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包された金ナノ粒子の調製:
この実施例は、ポリマーで被包された触媒性金ナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)ポリマーを水溶液中に、該ポリマーを該ポリマーがナノ粒子前駆体(例えば、金含有化合物)と密に会合することを可能にする立体配置にする溶液条件下で溶解すること、(b)該溶液にナノ粒子前駆体を、該ナノ粒子前駆体とポリマーとの会合が生じる条件下で添加すること、および(c)該ナノ粒子前駆体を改質して、ナノ粒子を形成すること、を含む。
【0068】
5重量%のポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)を含む250mLの1mg/mL PAA(Mw=1,250,000)溶液を、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH6.8に中和した。この溶液に、脱イオン水(125mL)中の39.5mgのクロロ金酸(HAuCl4)を、激しく撹拌しながら2mL/分の速度で添加した。添加を完結した後、40.6mgの水素化ホウ素ナトリウムを一度に添加し、溶液をさらに1時間撹拌した。この時点で、溶液の色は赤色であった。次いで、溶液に、波長254nmのUVランプからのUV光を2時間照射した。次いで、溶液を、70mLまで濃縮し、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物を、70%アルコールで3回洗浄し、次いで乾燥した。生じた生成物は赤色粉末であった。
【0069】
1E.低分子量ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包された酸化亜鉛ナノ粒子の調製:
この実施例は、触媒性酸化亜鉛ナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)低分子量ポリマーを水溶液中に、該ポリマーを該ポリマーがナノ粒子前駆体と密に会合することを可能にする立体配置にする溶液条件下で溶解すること、(b)該溶液にナノ粒子前駆体を、ナノ粒子前駆体とポリマーとの会合を生じる条件下で添加すること、および(c)ナノ粒子前駆体を改質して、ポリマーで安定化されたナノ触媒を形成すること、を含む。
【0070】
最初のビーカー中で、0.3245g(5ミリモル)の硝酸亜鉛を100mLの脱イオン水に溶解した。この硝酸亜鉛溶液を200mLの2mg/mL PAA(Mw=1,800)溶液を入れた第2のビーカーに、絶えず撹拌しながら徐々に添加し、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH6.8に中和した。撹拌された溶液に10M水酸化ナトリウム溶液を添加してpH10.8とし、生じた溶液を、温水(80℃)上でさらに2時間撹拌した。次に、溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物は白色であった。次いで、沈殿物を、70%エタノールで2回洗浄し、空気中で乾燥した。乾燥した沈殿物は、灰白色であった。
【0071】
1F.高分子量ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包されたパラジウムナノ粒子の調製:
この実施例は、ポリマーで被包された触媒性パラジウムナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)ポリマーを水溶液中に、該ポリマーを該ポリマーがナノ粒子前駆体(例えば、パラジウム含有化合物)と密に会合することを可能にする立体配置にする溶液条件下で溶解すること、(b)該溶液にナノ粒子前駆体を、該ナノ粒子前駆体とポリマーとの会合が生じる条件下で添加すること、および(c)該ナノ粒子前駆体を改質して、ナノ触媒を形成すること、を含む。
【0072】
5重量%のポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)を含む32mLの2mg/mL PAA(Mw=1,250,000)溶液および18.75mLの脱イオン水を、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH6.8に中和した。この溶液に、HCl(1M)(0.5mL)+水(10mL)中の22.5mgの塩化パラジウム(PdCl2)を、1M NaOHを用いてpHを5に徐々に調整しながら、激しく撹拌しながら2mL/分の速度で添加した。添加を完結した後、40mgの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を一度に添加し、溶液をさらに1時間撹拌した。この時点で、溶液の色は黒色であった。次いで、溶液に、波長254nmのUVランプからのUV光を2時間照射した。次いで、溶液を、70mLまで濃縮し、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物を、70%アルコールで3回洗浄し、次いで乾燥した。生じた生成物は黒色粉末であった。
【0073】
1G.高分子量ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包された白金ナノ粒子の調製:
この実施例は、ポリマーで被包された触媒性白金ナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)分子量ポリマーを水溶液中に、該ポリマーを該ポリマーがナノ粒子前駆体(例えば、白金含有化合物)と密に会合することを可能にする立体配置にする溶液条件下で溶解すること、(b)該溶液にナノ粒子前駆体を、該ナノ粒子前駆体とポリマーとの会合が生じる条件下で添加すること、および(c)該ナノ粒子前駆体を改質して、ナノ触媒を形成すること、を含む。
【0074】
5重量%のポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)を含む25mLの2mg/mL PAA(Mw=1,250,000)溶液および25mLの脱イオン水を、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH6.8に中和した。この溶液に、25mLの脱イオン水に溶解した66mgのヘキサクロロ白金酸(H2PtCl6)を、激しく撹拌しながら2mL/分の速度で添加した。添加を完結した後、20mgの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を一度に添加し、溶液をさらに1時間撹拌した。この時点で、溶液の色は黒色であった。次いで、溶液に、波長254nmのUVランプからのUV光を2時間照射した。次いで、溶液を、70mLまで濃縮し、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物を、70%アルコールで3回洗浄し、次いで乾燥した。生じた生成物は黒色粉末であった。
【0075】
2.正に帯電した高分子電解質を用いるナノ粒子の折り畳み
これらの実施例は、それらが酸化チタンおよび金ナノ粒子の調製を示すことにおいて上記の実施例1Cおよび1Dに類似するが、各事例中の高分子電解質種は、正に帯電している。
【0076】
2A.ポリ(アリルアミン塩酸塩)(PAAH)を使用して被包された酸化チタンナノ粒子の調製:
200mLの2mg/mL PAAH(Mw=60,000)溶液に、200mLの脱イオン水で希釈した160μLの市販50重量%チタン(IV)ビス(アンモニウムラクタト)ジヒドロキシドを、激しく撹拌しながら滴加した。添加を完結した後、溶液に、波長254nmのUVランプからのUV光を2時間照射し、次いで、0.5M水酸化ナトリウム溶液を添加してpHを8にした。溶液をさらに1時間撹拌した。次いで、溶液を、70mLまで濃縮し、1M硫酸ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物を、70%アルコールで3回洗浄し、次いで乾燥した。
【0077】
2B.ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDDA)を使用して被包された金ナノ粒子の調製:
266mLの1mg/mL PDDA(Mw=450,000)溶液に、20mgのクロロ金酸(HAuCl4)を、激しく撹拌しながら10mL/分の速度で添加した。添加を完結した後、20mgの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を一度に添加し、溶液をさらに1時間撹拌した。この時点で、溶液の色は深橙色であった。次いで、溶液に、波長254nmのUVランプからのUV光を2時間照射した。次いで、溶液を、70mLまで濃縮し、1M硫酸ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物を、70%アルコールで3回洗浄し、次いで乾燥した。最終生成物は赤色粉末であった。透過型電子顕微鏡法画像を図9に示す。
【0078】
3.高分子電解質で被包されたナノ触媒のドーピング
3A.ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)を使用して被包されたガリウムドープ酸化ビスマスナノ粒子の調製
ナノ触媒をドープして(例えば、1種または複数種のカチオン、アニオン、および/または金属酸化物で)、それらの電子的特性を改質することができる。この実施例は、ドープされた半導体ナノ粒子(例えば、ドープされた半伝導性酸化ビスマスナノ粒子)の製造方法を示す。該方法は、(a)ポリマー(例えば、高分子電解質)を水溶液中に、該ポリマーを、該ポリマーがナノ粒子前駆体と密に会合することを可能にする立体配置にする溶液条件下で溶解すること、(b)該溶液にナノ粒子前駆体および1種または複数種のドーパント供給源を、該前駆体および該ドーパント供給源(群)とポリマーとの会合が生じて複合前駆体部分を形成する条件下で添加すること、および(c)該前駆体を改質して、ポリマーで安定化されたナノ粒子(例えば、高分子電解質で安定化された酸化ビスマスナノ粒子)を形成すること、を含む。特定の実施形態において、ナノ粒子は加熱される。
【0079】
最初のビーカー中で、0.0724g(0.149ミリモル)の硝酸ビスマスを2mLの70%濃硝酸(15.6M)に溶解し、脱イオン水で100mLに希釈する。この硝酸ビスマス溶液、および脱イオン水(5mL)中の0.0165mgの硝酸ガリウムを、200mLの2mg/mL PSS(Mw=1,000,000)溶液を含む第2ビーカーへ絶えず撹拌しながら同時に添加した。次いで、生じた溶液に、波長254nmのUVランプからの紫外(UV)光を2時間照射すると、その間に色は無色から黄色に変化した。
【0080】
UVで処理した溶液に10M水酸化ナトリウム溶液を添加して、pHを10.8にすると、この時点で、溶液の色は深橙色に変化した。溶液を、温水(70℃)上で2時間撹拌した。次に、溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物の色は橙−褐色であった。沈殿物を、70%エタノールで2回洗浄し、次いで空気中で乾燥した。ガリウムドーパントの存在は、精製した固体の誘導結合高周波プラズマ(ICP)分析で判定した。
【0081】
3B.ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)を使用して被包されたガリウムドープ硫化ビスマスナノ粒子の調製:
この実施例は、ガリウムドープ硫化ビスマスナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)PSSポリマーの水溶液を準備すること、(b)ポリマー材料の少なくとも一部をビスマス前駆体およびドーパント前駆体(すなわち、硝酸ガリウム)の周辺で折り畳むこと、(c)複合前駆体部分のポリマー材料をUV放射線に暴露すること、(d)該複合前駆体部分の前駆体部分の少なくとも一部を改質して、硫化ビスマスナノ粒子を形成すること、および(e)複合ナノ材料を加熱すること(例えば、真空中で400℃まで)、を含む。
【0082】
最初のビーカー中で、0.0724g(0.149ミリモル)の硝酸ビスマスを2mLの70%濃硝酸(15.6M)に溶解し、脱イオン水で100mLに希釈する。この硝酸ビスマス溶液、および脱イオン水(5mL)中の0.0165gの硝酸ガリウムを、200mLの2mg/mL PSS(Mw=1,000,000)溶液を含む第2ビーカーへ絶えず撹拌しながら同時に添加した。次いで、生じた溶液に、波長254nmのUVランプからの紫外(UV)光を2時間照射すると、その間に色は無色から黄色に変化した。
【0083】
UVで処理した溶液に10M水酸化ナトリウム溶液を添加して、pHを10.8にした。溶液の色は深橙色に変化した。溶液を、温水(70℃)上で2時間撹拌した。次に、溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物の色は橙−褐色であった。沈殿物を、70%エタノールで2回洗浄し、次いで空気中で乾燥した。乾燥したサンプルを、次いで、ガラス溶融炉中、真空下で400℃で2時間加熱した。最終生成物は暗褐色であった。ガリウムドーパントの存在は、精製した固体の誘導結合高周波プラズマ(ICP)分析で判定した。
【0084】
3C.ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)を使用して被包されたヨウ素ドープ酸化ビスマスナノ粒子の調製:
この実施例は、ヨウ素ドープ酸化ビスマスナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、PSSポリマーの水溶液を準備すること、(b)ポリマー材料の少なくとも一部をビスマス前駆体およびドーパント前駆体(すなわち、ヨウ素酸)の周辺で折り畳むこと、(c)複合前駆体部分のポリマー材料をUV放射線に暴露すること、(d)該複合前駆体部分の前駆体部分の少なくとも一部を改質して、酸化ビスマスナノ粒子を形成すること、および(e)複合ナノ材料を加熱すること(例えば、真空中で400℃まで)、を含む。
【0085】
最初のビーカー中で、0.0724g(0.149ミリモル)の硝酸ビスマスを2mLの70%濃硝酸(15.6M)に溶解し、脱イオン水で100mLに希釈する。この硝酸ビスマス溶液、および脱イオン水(5mL)中の0.002627gのヨウ素酸を、200mLの2mg/mL PSS(Mw=1,000,000)溶液を含む第2ビーカーへ絶えず撹拌しながら同時に添加した。生じた溶液に、波長254nmのUVランプからの紫外(UV)光を2時間照射すると、その間に色は無色から黄色に変化した。
【0086】
UVで処理した溶液に10M水酸化ナトリウム溶液を添加して、pHを10.8にした。溶液の色は深橙色に変化した。溶液を、温水(70℃)上で2時間撹拌した。次に、溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物の色は橙−褐色であった。沈殿物を、70%エタノールで2回洗浄し、次いで空気中で乾燥した。乾燥したサンプルを、次いで、ガラス溶融炉中、真空下で400℃で2時間加熱した。ドーパントの存在は、加熱された生成物のICP分析で判定した。
【0087】
3D.ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)を使用して被包されたヨウ素ドープ硫化ビスマスナノ粒子の調製:
この実施例は、ヨウ素ドープ硫化ビスマスナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)PSSポリマーの水溶液を準備すること、(b)ポリマー材料の少なくとも一部をビスマス前駆体およびドーパント前駆体(すなわち、ヨウ素酸、ビスマスのほぼ10モル%)の周辺で折り畳んで、複合前駆体を形成すること、(c)該複合前駆体部分のポリマー材料をUV放射線に暴露すること、(d)該複合前駆体部分の前駆体部分の少なくとも一部を改質して、硫化ビスマスナノ粒子を形成すること、および(e)該複合ナノ材料を加熱すること(例えば、真空中で400℃まで)、を含む。
【0088】
より詳細には、最初のビーカー中で、0.0724g(0.149ミリモル)の硝酸ビスマスを2mLの70%濃硝酸(15.6M)に溶解し、脱イオン水で100mLに希釈する。この硝酸ビスマス溶液、および脱イオン水(5mL)中の0.002627gのヨウ素酸を、200mLの2mg/mL PSS(Mw=1,000,000)溶液を含む第2ビーカーへ絶えず撹拌しながら同時に添加した。次いで、生じた溶液に、波長254nmのUVランプからの紫外(UV)光を2時間照射すると、その間に色は無色から黄色に変化した。
【0089】
UVで処理した溶液に10M水酸化ナトリウム溶液を添加して、pHを10.8にした。溶液の色は深橙色に変化した。溶液を、温水(70℃)上で2時間撹拌した。次に、溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物の色は橙−褐色であった。沈殿物を、70%エタノールで2回洗浄し、次いで空気中で乾燥した。乾燥したサンプルを、次いで、ガラス溶融炉中、真空下で400℃で2時間加熱した。最終生成物は暗褐色であった。ヨウ素ドーパントの存在は、精製した固体の誘導結合高周波プラズマ(ICP)分析で判定した。最終生成物のXRD分析は、Bi2S3の存在を示した。
【0090】
3E.ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)を使用して被包されたヨウ素、窒素、アルミニウム複合体でドープされた酸化ビスマスナノ粒子の調製:
この実施例は、ヨウ素、窒素およびアルミニウムでドープされた酸化ビスマスナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)PSSポリマーの水溶液を準備すること、(b)PSSポリマー材料の少なくとも一部をビスマス前駆体およびドーパント前駆体(すなわち、ヨウ素酸、尿素および硝酸アルミニウム、それぞれビスマスのほぼ10モル%)の周辺で折り畳んで、複合前駆体部分を形成すること、(c)該複合前駆体部分のポリマー材料をUV放射線に暴露すること、(d)該複合前駆体部分の前駆体部分の少なくとも一部を改質して、酸化ビスマスナノ粒子を形成すること、および(e)複合ナノ材料を加熱すること(例えば、真空中で400℃まで)、を含む。
【0091】
より詳細には、最初のビーカー中で、0.0724g(0.149ミリモル)の硝酸ビスマスを2mLの70%濃硝酸(15.6M)に溶解し、脱イオン水で100mLに希釈する。この硝酸ビスマス溶液、脱イオン水(5mL)中の0.002627gのヨウ素酸、脱イオン水(5mL)中の0.005601gの硝酸アルミニウム、および脱イオン水(5mL)中の0.000896gの尿素を、200mLの2mg/mL PSS(Mw=1,000,000)溶液を含む第2ビーカーへ絶えず撹拌しながら同時に添加した。次いで、生じた溶液に、波長254nmのUVランプからの紫外(UV)光を2時間照射すると、その間に色は無色から黄色に変化した。
【0092】
UVで処理した溶液に10M水酸化ナトリウム溶液を添加して、pHを10.8にした。溶液の色は深橙色に変化した。次に、溶液を、温水(70℃)上で2時間撹拌した。溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物の色は橙−褐色であった。沈殿物を、70%エタノールで2回洗浄し、次いで空気中で乾燥した。乾燥したサンプルを、次いで、ガラス溶融炉中、真空下で400℃で2時間加熱した。窒素ドーパントの存在は、加熱された固体の炭素−水素−窒素(「CHN」)分析で判定し、ヨウ素およびアルミニウムドーパントの存在は、精製されたサンプルのICP分析から判定した。加熱された固体のXRD分析は、Bi2S3の存在を示した。
【0093】
3F.ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包され、ヨウ素、窒素、アルミニウム複合体でドープされた酸化チタンナノ粒子の調製:
この実施例は、ヨウ素、窒素およびアルミニウムでドープされた酸化チタンナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)PSSポリマーの水溶液を準備すること、(b)PSSポリマー材料の少なくとも一部をチタン前駆体およびドーパント前駆体(すなわち、ヨウ素酸、尿素および硝酸アルミニウム)の周辺で折り畳んで、複合前駆体部分を形成すること、(c)該複合前駆体部分のポリマー材料をUV放射線に暴露すること、(d)該複合前駆体部分の前駆体部分の少なくとも一部を改質して、酸化チタンナノ粒子を形成すること、および(e)複合ナノ材料を加熱すること(例えば、真空中で225℃まで)、を含む。
【0094】
5重量%のポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)を含む100mLの2mg/mL PAA(Mw=1,250,000)溶液を、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH6.8に中和して調製した。調製した溶液に、チタンビス(ジメチルラクテート)ジヒドロキシドの50重量%水溶液の360μLを100mLの脱イオン水で希釈したもの、脱イオン水(10mL)中の0.005gの尿素、脱イオン水(10mL)中の0.013gのヨウ素酸、および脱イオン水(10mL)中の0.028gの硝酸アルミニウムを、激しく撹拌しながら同時に滴加した。添加を完結した後、溶液に、波長254nmのUVランプからのUV光を照射し、次いで、0.5M水酸化ナトリウム溶液を添加してpHを10にした。溶液をさらに1時間撹拌した。次いで、溶液を、70mLまで濃縮し、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物を、70%アルコールで3回洗浄し、次いで乾燥した。次いで、乾燥した沈殿物を、ガラス溶融炉中に入れ、窒素下で225℃で3時間加熱した。最終生成物は淡黄色であった。窒素ドーパントの存在は、精製した生成物のCHN分析で判定し、ヨウ素およびアルミニウムドーパントの存在は、精製したサンプルのICP分析から判定した。
【0095】
3G.ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包された窒素ドープ酸化チタンナノ粒子の調製:
この実施例は、ポリマーで被包された窒素ドープ酸化チタンの製造方法を示し、ここで、窒素供給源としては尿素が使用される。該方法は、(a)ポリマー(例えば、高分子電解質)を水溶液に、該ポリマーをナノ粒子前駆体と密に会合することを可能にする立体配置する溶液条件下で溶解すること、(b)該溶液にナノ粒子前駆体および窒素供給源を、該ナノ粒子前駆体とポリマーとの会合が生じる条件下で添加すること、(c)該ナノ粒子前駆体を改質して、ナノ触媒を形成すること、および(d)乾燥した組成物を窒素下で200〜500℃の温度で加熱すること、を含む。ステップ(c)が250℃の低温で行われる場合でも、窒素でのドーピングが、X線光電子分光法によって観察された。また、添加される窒素供給源の量は、極めて広い範囲内、ナノ粒子前駆体の量の10モル%〜100モル%で作用することが見出された。
【0096】
5重量%のポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)を含む100mLの2mg/mL PAA(Mw=1,250,000)溶液を、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH6.8に中和して調製した。調製した溶液に、100mLの脱イオン水で希釈した360μLの50重量%チタンビス(ジメチルラクテート)ジヒドロキシド水溶液、および脱イオン水(10mL)中の0.005gの尿素を、激しく撹拌しながら同時に滴加した。添加を完結した後、溶液に、波長254nmのUVランプからのUV光を照射し、次いで、0.5M水酸化ナトリウム溶液を添加してpHを10にした。溶液をさらに1時間撹拌した。次いで、溶液を、70mLまで濃縮し、3M塩化ナトリウム溶液および95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物を、70%アルコールで3回洗浄し、次いで乾燥した。乾燥した沈殿物を、ガラス溶融炉中に入れ、窒素下で225℃で3時間加熱した。最終生成物は淡黄色であった。
【0097】
窒素ドープ酸化チタンの結晶格子の特徴は、X線光電子分光法(XPS)で調べることができる。結晶格子中のドープされた窒素に結合された酸化チタンの結合エネルギーは、400eV以下、より詳細には396〜400eVの範囲に存在する。図3を参照すると、上記で生じた窒素ドープ酸化チタンのXPS研究は、窒素原子の1s殻の結合エネルギーが398.33eVであることを示す。別の実施例のように、ポリマーで被包されたフッ素ドープ酸化チタンを、フッ素供給源としてのフッ化アンモニウム、および窒素ドーピングに関する上記方法を使用して製造することができる。
【0098】
3H.ポリ(スチレンスルホン酸)(PSS)を使用して被包されたタングステンドープ酸化ビスマスナノ粒子の調製:
この実施例は、タングステンでドープされた酸化ビスマスナノ粒子の製造方法を示す。該方法は、(a)PSSポリマーの水溶液を準備すること、(b)PSSポリマー材料の少なくとも一部をビスマス前駆体およびドーパント前駆体(すなわち、タングステン酸ナトリウム)の周辺で折り畳んで、複合前駆体部分を形成すること、(c)該複合前駆体部分のポリマー材料をUV放射線に暴露すること、(d)該複合前駆体部分の前駆体部分の少なくとも一部を改質して、酸化ビスマスナノ粒子を形成すること、および(e)複合ナノ材料を加熱すること(例えば、真空中で400℃まで)、を含む。
【0099】
最初のビーカー中で、0.0724g(0.149)の硝酸ビスマスを2mLの70%濃硝酸(15.6M)に溶解し、脱イオン水で100mLに希釈する。脱イオン水(5mL)中の0.01752gのタングステン酸ナトリウム、および硝酸ビスマス溶液を、200mLの2mg/mL PSS(Mw=1,000,000)溶液を含むビーカーへ絶えず撹拌しながら同時に添加した。次いで、生じた溶液に、(4)波長254nmのUVランプからの紫外(UV)光を2時間照射すると、その間に色は無色から黄色に変化した。
【0100】
溶液を温水(70℃)上で2時間撹拌した。次に、溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して、50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウムおよび95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物の色は橙褐色であった。沈殿物を、70%エタノールで2回洗浄し、次いで空気中で乾燥した。次いで、乾燥したサンプルを、ガラス溶融炉中に配置し、窒素下で225℃で3時間加熱した。最終生成物は褐色であった。生じた固体のXRD分析は、酸化タングステン、酸化ビスマスおよびタングステン酸ビスマスの混合物の形成を示した。
【0101】
3I.ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包されたタングステンドープ二酸化チタンナノ粒子の調製:
この実施例は、ポリマーで被包されたタングステンドープ酸化チタンの製造方法を示し、ここでは、タングステン供給源としてタングステン酸ナトリウムが使用される。該方法は、(a)ポリマー(例えば、高分子電解質)を水溶液に、該ポリマーをナノ粒子前駆体と密に会合することを可能にする立体配置する溶液条件下で溶解させること、(b)該溶液にナノ粒子前駆体およびタングステン供給源を、該ナノ粒子前駆体とポリマーとの会合が生じる条件下で添加すること、(c)該ナノ粒子前駆体を改質して、ナノ触媒を形成すること、および(d)乾燥した組成物を窒素下で200〜500℃の範囲の温度で加熱すること、を含む。添加されるタングステン供給源の量は、極めて広い範囲内、ナノ粒子前駆体の量の10モル%〜100モル%で作用することが見出された。
【0102】
5重量%のポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)を含む100mLの2mg/mL PAA(Mw=1,250,000)溶液を、0.5N NaOH水溶液を使用してpH6.8に中和して調製した。この溶液に、チタンビス(ジメチルラクテート)ジヒドロキシドの50重量%水溶液の360μLを100mLの脱イオン水で希釈したもの、および0.01752gのタングステン酸ナトリウム/5mL脱イオン水溶液を、絶えず撹拌しながら同時に添加した。次いで、生じた溶液に、波長254nmのUVランプからのUV光を2時間照射すると、その間に、色は、無色から黄色に変化した。
【0103】
次いで、UVで処理された溶液に1M水酸化ナトリウム溶液を添加して、pHを10.8にした。溶液の色は深橙色に変化した。溶液を、温水(70℃)上で2時間撹拌した。次に、溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して50mLまで濃縮した。次いで、溶液を、3M塩化ナトリウムおよび95%エタノールを使用して沈殿させた。沈殿物の色は黄褐色であった。沈殿物を、70%アルコールで2回洗浄し、次いで空気中で乾燥した。次いで、乾燥した沈殿物を、ガラス溶融炉中に入れ、窒素下で225℃で3時間加熱した。タングステンドーパントの存在は、最終粉末のICP分析によって判定した。
【0104】
4.被包されたナノ触媒の固体支持体上への固定
4A.ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包された酸化チタンナノ粒子のアルミナ支持体上での調製:
PAAで被包された酸化チタン0.5gを50mLの脱イオン水に分散させた。この澄明液にアルミナ支持体を添加し、生じたスラリーをシェーカー中に4時間配置した。固形物を、濾過し、蒸留水で数回洗浄し、乾燥した。
【0105】
4B.ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包された酸化チタンナノ粒子のシリカアルミナ触媒支持体上での調製:
PAAで被包された酸化チタン0.5gを50mLの脱イオン水に分散させた。この澄明液にシリカアルミナ支持体を添加し、生じたスラリーをシェーカー中に4時間配置した。固形物を、濾過し、蒸留水で数回洗浄し、乾燥した。
【0106】
4C.正または負の高分子電解質を使用する酸化チタン凝集物の調製:
ポリアクリル酸上のTiO2とポリ(アリルアミン塩酸塩)との等量を、一緒に混合し、生じたスラリーをシェーカー中に4時間配置した。固形物を、濾過し、蒸留水で数回洗浄し、乾燥した。
【0107】
4D.ポリアクリル酸(PAA)を使用して被包された金ナノ粒子のアルミナ支持体上での調製:
PAAで被包された金ナノ粒子0.5gを50mLの脱イオン水に分散させた。この澄明液にアルミナ支持体を添加し、生じたスラリーをシェーカー中に4時間配置した。固形物を、濾過し、蒸留水で数回洗浄し、乾燥した。
【0108】
5.高分子電解質で被包され、ドープされた半導体の光触媒活性
5A.PAAで被包された窒素ドープTiO2の光触媒活性に関する有機色素としてメチレンブルーを使用する評価:
PAAで被包された窒素ドープ酸化チタンの光触媒活性を、メチレンブルーの分解速度を測定することによって評価した。20mgのナノ触媒(実施例3Gからの)を50mLの脱イオン水に分散させ、この分散液を、100mLの1.0×10−5Mメチレンブルー溶液に添加した。生じた液を、UV遮断フィルターを通した30Wのキセノン光源を使用して、絶えず撹拌しながら室温で60分間照射した。上記実験を、窒素ドーピングのない酸化チタンを使用する同様の実験と比較した。PAAで被包された窒素ドープ酸化チタンは、図4で認められるように、より高い光触媒活性を示した。
【0109】
5B.PSSで被包され、窒素、ヨウ素、アルミニウムでドープされたBi2O3の光触媒活性に関する有機色素としてメチレンブルーを使用する評価:
PSSで被包され、ドープされた酸化ビスマスの光触媒活性を、メチレンブルーの分解速度を測定することによって評価した。20mgのナノ触媒を50mLの脱イオン水に分散させ、この分散液を、100mLの1.0×10−5Mメチレンブルー溶液に添加した。生じた液を、UV遮断フィルター(>420nm)を通した30Wのキセノン光源を使用して、絶えず撹拌しながら室温で60分間照射した。メチレンブルーの分解を、60分間にわたって監視した。PSSで被包されドープされた酸化ビスマスは、メチレンブルーのような有機分子を分解するための光化学活性を示した(図10)。
【0110】
5C.PAAで被包された窒素ドープTiO2の光触媒活性に関するシュウ酸分解による評価:
シュウ酸の分解を密封容器中で実施した。PAAで被包された窒素ドープ酸化チタンの光触媒活性を、シュウ酸(有機化合物)の分解速度を測定することによって評価した。20mgのナノ触媒を50mLの脱イオン水に分散させ、この分散液を、100mLの1.0×10−5Mシュウ酸溶液に添加した。次いで、液を、UV遮断フィルターを通した30Wのキセノン光源を使用して、絶えず撹拌しながら室温で60分間照射した。その後、容器内部の気体の小部分を採取し、発生した二酸化炭素を、ガスクロマトグラフィーを使用して測定した。また、液を規定の塩基で滴定して、触媒反応で消費された酸の量を計算した。上記実験を、同一の実験セットを使用して未ドープの酸化チタンナノ粒子と比較した。窒素ドープ酸化チタンは、未ドープの酸化チタンと比較して、可視光下でシュウ酸を分解するためのより高い触媒活性を示した。
【0111】
5D.PAAで被包された窒素ドープTiO2の光触媒活性に関する煤煙の分解による評価:
煤煙の分解を、固体支持体上で実施した。20mgのナノ触媒を20mLの脱イオン水に分散させ、4×4インチのタイルに塗布し、乾燥した。煤煙の被覆を、ナノ触媒の表面に塗布し、サンプル全体を、UV遮断フィルターを通した30Wのキセノン光源を使用して、絶えず動かしながら室温で60分間照射した。照射後、サンプルを水で濡らした。煤煙は、PAAで被包されドープされたチタニアによってほとんど完全に破壊された(図11)。対照実験も、未ドープのTiO2および支持体のみで実施した。
【0112】
等価形態
前記は、本発明のいくつかの非限定的実施形態の説明であった。当業者は、定型的を超えない実験を利用して、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの等価形態を認識するか、または定型的を超えない実験を利用して確かめることができるであろう。当業者は、後記の特許請求の範囲中で規定されるような本発明の精神または範囲から逸脱しないで、本説明に種々の変更および修正をなし得ることを認識するであろう。
【0113】
特許請求の範囲中で、「a」、「an」および「the」などの冠詞は、そうでないことを指摘するか、さもなければ文脈から明白でない限り、1つまたは1つを超えることを意味することがある。群の1つまたは複数のメンバー間に「または」を含む特許請求の範囲または説明は、そうでないことを指摘しないか、さもなければ文脈から明白でない限り、1つ、1を超える、またはすべての群メンバーが、所与の生成物または方法中に存在する、それら生成物または方法中で採用される、あるいはそうでなければそれら生成物また方法に関連するなら、満たされると見なされる。本発明は、群の厳密に1つのメンバーが、所与の生成物または方法中に存在する、それら生成物または方法中で採用される、あるいはそうでなければそれら生成物また方法に関連する実施形態を包含する。本発明は、また、1つを超えるまたはすべての群メンバーが、所与の生成物または方法中に存在する、それら生成物または方法中で採用される、あるいはそうでなければそれら生成物または方法に関連する実施形態を包含する。さらに、本発明は、1つまたは複数の請求項から、または関連説明部分から、1つまたは複数の限定、構成要素、条項、記述用語などが別の請求項中に導入される、すべての変形形態、組合せ形態、および並べ替え形態を包含すると理解されたい。例えば、別の請求項に従属する任意の請求項は、同一の基本請求項に従属する任意の他のクレーム中に見出される1つまたは複数の限定を含むように修正され得る。さらに、請求項が組成物を列挙する場合、そうでないことを指摘しない限り、または矛盾もしくは不一致が発生しないことが当業者にとって明白である限り、本明細書中で開示される任意の目的のための組成物の使用方法が包含され、かつ本明細書中で開示される任意の製造方法または当技術分野で公知の他の方法による組成物の製造方法が包含されることを理解されたい。加えて、本発明は、本明細書中に開示の組成物を調製するための任意の方法により製造される組成物を包含する。
【0114】
構成要素が、リストとして、例えばマーカッシュ群の形式で表される場合、構成要素の各下位群も開示されており、かつ任意の構成要素(群)を群から除去できることを理解されたい。また、用語「含んでいる」は、限定ではないと解釈され、さらなる構成要素またはステップの包含を許容することに留意されたい。一般に、本発明、または本発明の態様が、特定の構成要素、特徴、ステップなどを含むとして言及される場合、本発明の特定の実施形態または本発明の態様は、このような構成要素、特徴、ステップなどからなるか、あるいは本質的になることを理解すべきである。単純化のために、これらの実施形態は、本明細書中で具体的にそのようには示さなかった。したがって、1つまたは複数の構成要素、特徴、ステップなどを含む本発明の各実施形態に関して、本発明は、また、それらの構成要素、特徴、ステップなどからなる、または本質的になる実施形態を提供する。
【0115】
範囲が付与される場合、終点が包含される、さらに、そうでないことを指摘しない限り、またはさもなければ文脈からおよび/または当業者の理解から明白でない限り、範囲として表現される値は、本発明の種々の実施形態中で指定された範囲内の任意の具体的値を、文脈がそうでないことを明白に規定しない限り、範囲の下限の単位の10分の1まで想定できると理解されたい。また、そうでないことを指摘しない限り、またはさもなければ文脈および/または当業者の理解から明白でない限り、範囲として表現された値は、付与された範囲内の任意の下位範囲を想定することができ、ここで、下位範囲の終点は、範囲の下限界の単位の10分の1と同様の正確度まで表現される。
【0116】
さらに、本発明の任意の特定の実施形態は、任意の1つまたは複数の請求項から明白に排除され得る。任意の実施形態、構成要素、特徴、応用、または本発明の組成物および/または方法の態様は、任意の1つまたは複数の請求項から排除され得る。簡潔さの目的で、1つまたは複数の構成要素、特徴、目的、または態様が排除される実施形態のすべては、本明細書中に明白には示されない。
【0117】
<参考文献の組み込み>
前に参照された特許、特許出願、および刊行物などのすべての参考文献は、参照によりその全体で組み込まれる。さらに他の実施形も、後記の特許請求の範囲の範囲内に包含される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーおよび前駆体部分を含む複合体を形成するために該前駆体部分上で該ポリマーを折り畳む工程;ならびに
該複合体から光触媒ナノ粒子を形成する工程
を含む方法。
【請求項2】
前記ポリマーが、高分子電解質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高分子電解質が、ポリ(アリルアミン塩酸塩)(PAAH)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDDA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(スチレンスルホネート)(PSS)、およびポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)(PAMCS)からなる群から選択される材料を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマーが、ほぼ100,000Dを超える分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒が、金属、金属錯体、金属酸化物、金属硝酸塩、金属セレン化物、金属テルル化物、または金属硫化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記触媒が、Au、Ag、Pt、Pd、Ti、Bi、Zn、これらの組合せ、これらの合金、酸化チタン、酸化ビスマス、酸化セリウム、酸化タングステン、硫化ビスマス、酸化亜鉛、酸化鉛、硫化亜鉛、硫化鉛、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、およびテルル化カドミウムからなる群から選択される材料を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記触媒が、1種または複数種のドーパントを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ドーパントが、窒素、ヨウ素、フッ素、鉄、コバルト、銅、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、セリウム、ランタン、金、銀、パラジウム、白金、酸化アルミニウム、および酸化セリウムからなる群から選択される材料を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複合体を架橋する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複合体を加熱する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ナノ粒子を支持体と会合させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記複合体を照射する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記複合体が、ポリマー分子を1個より多く含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記支持体が官能化されている、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記支持体が、酸化物、炭酸塩、ガラス、煉瓦、コンクリート、粘土、合金、金属、塩、および炭素をベースにした材料からなる群から選択される材料を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記支持体がポリマーを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
溶媒および該溶媒中に溶解したポリマーを含む溶液を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記前駆体部分を前記溶液に接触させる工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記前駆体部分が、金属含有塩または有機金属化合物を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ナノ粒子が、ほぼ1nm〜ほぼ50nmの平均粒子径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記ナノ粒子を用いて反応を触媒する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記反応が、光触媒される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記反応が、可視光で光触媒される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ドープされた半導体ナノ粒子および少なくとも1種の高分子電解質を含む組成物。
【請求項25】
前記ナノ粒子が、酸化チタンを含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記ナノ粒子が、酸化ビスマスまたは硫化ビスマスを含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
前記ナノ粒子が、10nm未満の直径を有する、請求項24に記載の組成物。
【請求項28】
複数のポリマー分子を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項29】
前記高分子電解質が架橋される、請求項24に記載の組成物。
【請求項30】
前記ナノ粒子が光触媒である、請求項24に記載の組成物。
【請求項31】
ナノ粒子および高分子電解質を含むポリマー支持体を含む、組成物。
【請求項32】
前記ポリマー支持体が、カチオン性高分子電解質を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記ポリマー支持体が、アニオン性高分子電解質を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
前記ポリマー支持体が、カチオン性高分子電解質およびアニオン性高分子電解質の両方を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項35】
前記ナノ粒子が半導体を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項36】
前記ナノ粒子が、ドープされた半導体を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項37】
前記ナノ粒子が、10nm未満の直径を有する、請求項31に記載の組成物。
【請求項38】
高分子電解質で安定化されたナノ粒子複合体を含む溶液に凝集剤を添加する工程を含む方法。
【請求項39】
前記複合体が、半導体ナノ粒子を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記複合体が、ドープされた半導体ナノ粒子を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記凝集剤が、前記複合体中の前記高分子電解質と反対に帯電しているポリマーを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記凝集剤が、前記複合体中の前記高分子電解質と反対に帯電している対イオンを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記凝集剤が、高分子電解質で安定化されたナノ粒子複合体を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項1】
ポリマーおよび前駆体部分を含む複合体を形成するために該前駆体部分上で該ポリマーを折り畳む工程;ならびに
該複合体から光触媒ナノ粒子を形成する工程
を含む方法。
【請求項2】
前記ポリマーが、高分子電解質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高分子電解質が、ポリ(アリルアミン塩酸塩)(PAAH)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDDA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(スチレンスルホネート)(PSS)、およびポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)(PAMCS)からなる群から選択される材料を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマーが、ほぼ100,000Dを超える分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒が、金属、金属錯体、金属酸化物、金属硝酸塩、金属セレン化物、金属テルル化物、または金属硫化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記触媒が、Au、Ag、Pt、Pd、Ti、Bi、Zn、これらの組合せ、これらの合金、酸化チタン、酸化ビスマス、酸化セリウム、酸化タングステン、硫化ビスマス、酸化亜鉛、酸化鉛、硫化亜鉛、硫化鉛、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、およびテルル化カドミウムからなる群から選択される材料を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記触媒が、1種または複数種のドーパントを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ドーパントが、窒素、ヨウ素、フッ素、鉄、コバルト、銅、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、セリウム、ランタン、金、銀、パラジウム、白金、酸化アルミニウム、および酸化セリウムからなる群から選択される材料を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複合体を架橋する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複合体を加熱する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ナノ粒子を支持体と会合させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記複合体を照射する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記複合体が、ポリマー分子を1個より多く含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記支持体が官能化されている、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記支持体が、酸化物、炭酸塩、ガラス、煉瓦、コンクリート、粘土、合金、金属、塩、および炭素をベースにした材料からなる群から選択される材料を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記支持体がポリマーを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
溶媒および該溶媒中に溶解したポリマーを含む溶液を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記前駆体部分を前記溶液に接触させる工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記前駆体部分が、金属含有塩または有機金属化合物を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ナノ粒子が、ほぼ1nm〜ほぼ50nmの平均粒子径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記ナノ粒子を用いて反応を触媒する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記反応が、光触媒される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記反応が、可視光で光触媒される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ドープされた半導体ナノ粒子および少なくとも1種の高分子電解質を含む組成物。
【請求項25】
前記ナノ粒子が、酸化チタンを含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記ナノ粒子が、酸化ビスマスまたは硫化ビスマスを含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
前記ナノ粒子が、10nm未満の直径を有する、請求項24に記載の組成物。
【請求項28】
複数のポリマー分子を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項29】
前記高分子電解質が架橋される、請求項24に記載の組成物。
【請求項30】
前記ナノ粒子が光触媒である、請求項24に記載の組成物。
【請求項31】
ナノ粒子および高分子電解質を含むポリマー支持体を含む、組成物。
【請求項32】
前記ポリマー支持体が、カチオン性高分子電解質を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記ポリマー支持体が、アニオン性高分子電解質を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
前記ポリマー支持体が、カチオン性高分子電解質およびアニオン性高分子電解質の両方を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項35】
前記ナノ粒子が半導体を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項36】
前記ナノ粒子が、ドープされた半導体を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項37】
前記ナノ粒子が、10nm未満の直径を有する、請求項31に記載の組成物。
【請求項38】
高分子電解質で安定化されたナノ粒子複合体を含む溶液に凝集剤を添加する工程を含む方法。
【請求項39】
前記複合体が、半導体ナノ粒子を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記複合体が、ドープされた半導体ナノ粒子を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記凝集剤が、前記複合体中の前記高分子電解質と反対に帯電しているポリマーを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記凝集剤が、前記複合体中の前記高分子電解質と反対に帯電している対イオンを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記凝集剤が、高分子電解質で安定化されたナノ粒子複合体を含む、請求項38に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−513887(P2012−513887A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542915(P2011−542915)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007870
【国際公開番号】WO2010/076632
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(509227322)バイブ ナノ, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007870
【国際公開番号】WO2010/076632
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(509227322)バイブ ナノ, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
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