説明

ナビゲーション装置、及びナビゲーションプログラム

【課題】災害発生時などの緊急時において、ユーザに対してより有用な情報を提供できるようにする。
【解決手段】表示装置の表示画面における地図上に移動体の現在位置を表示して移動体を目的地まで誘導するナビゲーション装置100が、地図上における移動体の非通行道路を特定し、特定した非通行道路以外を移動して目的地に到達するための推奨移動経路を示す第1種推奨移動経路を探索し、目的地までの第1種推奨移動経路(例えば、車両の現在位置と目的地とを結ぶ経路)の探索が不能であるか判定し、目的地までの第1種推奨移動経路の探索が不能であると判定したことに応じて、所定の検索条件(例えば、「第1目的地に近い安全な駐車場」や「第1目的地に近い大型施設)」)を満たす代替目的地を検索し、代替目的地を検索したことに応じて、代替目的地を目的地とする第1種推奨移動経路を探索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の移動経路を案内するナビゲーション装置、およびナビゲーション装置に動作制御させるためのナビゲーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両や人間などの移動体の目的地への到達を支援するための装置として、ナビゲーション装置が知られている。このナビゲーション装置は、例えば、GPS(Global Positioning System)によって移動体の現在位置を導出し、この移動体の現在位置情報と道路地図情報とを基に経路探索処理によって推奨移動経路を求め、この推奨移動経路に基づいて移動経路の自動案内(以下、「経路誘導」という。)を行う。
【0003】
このようなナビゲーション装置には、大規模災害の発生など、緊急事態が生じた場合にナビゲーション装置が搭載された移動体の乗員の安全を確保しようとするものも多く提供されている。緊急事態への対応を支援するナビゲーション装置としては、例えば、放送局から送出されるディジタル放送中に含まれている緊急状態が発生したことを通知する情報が通知された場合に、緊急情報に含まれる避難場所を示す情報に基づいて、現在位置から避難場所までの誘導経路を探索して出力する構成としたものなどがある(特許文献1)。
【0004】
また、避難場所などへ移動するための誘導経路を探索する場合に、自車両位置とデータベースに記憶された予測危険箇所のデータとに基づいて自車両の周辺での予測危険箇所を特定し、自車両位置と予測危険箇所の位置とに基づいて予測危険箇所を回避できる安全誘導ルートを探索するように構成されたものも開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−111707号公報
【特許文献2】特開2005−321323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなナビゲーション装置では、大規模災害などにより経路誘導の対象とする移動体が移動可能な道路が制限される場合に、目的地までの推奨移動経路が道路の現状に対して不適切となってしまう場合があるといった問題があった。
【0007】
すなわち、従来のナビゲーション装置には、災害発生時に移動体の現在位置から目的地まで移動可能な推奨可能経路を導出できない場合について十分に考慮したものが無かった。
【0008】
本発明は、上述した問題を解決すべく、災害発生時などの緊急時において、ユーザに対してより有用な情報を提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のナビゲーション装置は、表示装置の表示画面における地図上に移動体の現在位置を表示して前記移動体を目的地まで誘導するナビゲーション装置であって、前記地図上における前記移動体の非通行道路を特定する非通行道路特定手段と、該非通行道路特定手段により特定された非通行道路以外を移動して目的地に到達するための推奨移動経路を示す第1種推奨移動経路を探索する第1種推奨移動経路探索手段と、該第1種推奨移動経路探索手段により目的地までの第1種推奨移動経路の探索が不能であるか判定する経路探索不能判定手段と、該経路探索不能判定手段により目的地までの前記第1種推奨移動経路の探索が不能であると判定されたことに応じて、所定の検索条件を満たす代替目的地を検索する代替目的地検索手段とを含み、前記第1種推奨移動経路探索手段は、前記代替目的地検索手段により代替目的地が検索されたことに応じて、該代替目的地を目的地とする第1種推奨移動経路を探索することを特徴とする。
【0010】
上記の構成としたことで、災害発生時などの緊急時において、ユーザに対してより有用な情報を提供できるようになる。
【0011】
前記移動体が車両であり、前記地図上における徒歩での移動が可能な道路を示す徒歩移動可能経路を特定する徒歩移動可能経路特定手段と、前記代替目的地から前記徒歩移動可能経路特定手段により特定された徒歩移動可能経路上を移動して前記目的地に到達するための推奨移動経路を示す第2種推奨移動経路を探索する第2種推奨移動経路探索手段とを含む構成とされていてもよい。
【0012】
交通規制などを示す道路情報と地図上の建物などの位置を示す地図情報とを対応付けした道路地図情報を記憶する道路地図情報記憶手段と、災害の発生や災害による被害状況などを示す災害情報を取得する災害情報取得手段と、該災害情報取得手段により取得した災害情報と道路地図情報とに基づいて、前記地図上に災害の種類に応じた注目地点を識別可能に表示する注目地点表示手段とを含み、前記非通行道路特定手段は、前記道路地図情報に基づいて前記移動体の非通行道路を特定し、前記徒歩移動可能経路特定手段は、前記道路地図情報に基づいて前記徒歩移動可能経路を特定し、特定された非通行道路に基づいて前記第1種推奨移動経路探索手段により探索された第1種推奨移動経路と、前記徒歩移動可能経路に基づいて前記第2種推奨移動経路探索手段により探索された第2種推奨移動経路とを、前記注目地点が表示された地図上に識別可能に表示する推奨移動経路表示手段とを含む構成とされていてもよい。
【0013】
前記移動体の現在位置を特定する現在位置特定手段と、前記災害情報取得手段により取得された災害情報と前記現在位置特定手段により特定された現在位置とに基づいて、前記災害情報が示す災害が移動体に影響を及ぼすか否かを判定する災害影響度判定手段とを含み、前記注目地点表示手段は、前記災害影響度判定手段により前記災害情報が示す災害が前記移動体に影響を及ぼすと判定された場合に前記注目地点を識別可能に表示する構成とされていてもよい。
【0014】
緊急時の連絡先を示す緊急連絡先情報を記憶する緊急連絡先情報記憶手段と、所定の操作を受け付けたことに応じて前記移動体の現在位置を示す2次元コードを作成する2次元コード作成手段と、該2次元コード作成手段により作成された2次元コードを前記緊急連絡先情報が示す緊急連絡先に送信する2次元コード送信手段とを含む構成とされていてもよい。
【0015】
前記2次元コード作成手段は、前記代替目的地を示す2次元コードを作成し、前記2次元コード送信手段は、前記現在位置を示す2次元コードと前記代替目的地を示す2次元コードのどちらか一方、または両方とを前記緊急連絡先情報が示す緊急連絡先に送信する構成とされていてもよい。
【0016】
また、本発明のナビゲーションプログラムは、表示装置の表示画面における地図上に移動体の現在位置を表示して前記移動体を目的地まで誘導するようにナビゲーション装置に動作制御させるためのナビゲーションプログラムであって、前記ナビゲーション装置に、前記地図上における前記移動体の非通行道路を特定する非通行道路特定処理と、該非通行道路特定処理にて特定された非通行道路以外を移動して目的地に到達するための推奨移動経路を示す第1種推奨移動経路を探索する第1種推奨移動経路探索処理と、該第1種推奨移動経路探索処理にて目的地までの第1種推奨移動経路の探索が不能であるか判定する経路探索不能判定処理と、該経路探索不能判定処理にて目的地までの前記第1種推奨移動経路の探索が不能であると判定されたことに応じて、所定の検索条件を満たす代替目的地を検索する代替目的地検索処理とを実行させ、前記第1種推奨移動経路探索処理において、前記代替目的地検索処理にて代替目的地が検索されたことに応じて、該代替目的地を目的地とする第1種推奨移動経路を探索させるためのものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、災害発生時などの緊急時において、ユーザに対してより有用な情報を提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ナビゲーション装置の構成の例を示すブロック図である。
【図2】制御部と記憶部の構成の例を説明するための説明図である。
【図3】緊急連絡先情報の格納状態の例を示す説明図である。
【図4】ナビゲーション装置が実行する災害時帰宅支援処理の例を示すフローチャートである。
【図5】ナビゲーション装置が実行する災害時帰宅支援処理の例を示すフローチャートである。
【図6】道路地図表示画面の例を示す説明図である。
【図7】推奨移動経路表示画面の例を示す説明図である。
【図8】2次元コード表示画面の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置100の構成の例を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、例えば、モバイルタイプのパーソナルコンピュータ、PND(Portable
Navigation Device)や専用デバイスなどの情報処理装置によって構成されるものである。本例においては、図1に示すように、ナビゲーション装置100は、制御部10と、記憶部20と、メモリ30と、表示部40と、センサ部50と、通信部60と、入力部70とを含む。以下、ナビゲーション装置100が移動体である車両に搭載されている場合について説明する。
【0021】
なお、図示しないが、ナビゲーション装置100は、CPU(中央処理装置)、プログラム記憶部、OS(オペレーティング・システム)等を有する。
【0022】
制御部10は、例えばCPU(中央処理装置)により構成され、記憶部20に記憶されたコンピュータプログラム(ナビゲーション装置100に動作制御させるためのコンピュータプログラムであり、ナビゲーションプログラムを含む。)に従い、ナビゲーション装置100を構成する各要素を統括制御し、経路探索機能、経路誘導機能、サービス情報(ガソリンスタンドやコンビニエンスストア、ラーメン店、ホテル・旅館といった店舗情報や、有名な施設情報、行楽地情報といったPOI(Point Of Interest)情報)を検索する情報検索機能を含む各種の処理を実行するための各種の機能を有する。なお、これらの各種の機能は、一般のナビゲーション装置が備える公知の技術によって実現される。制御部10の構成については、後で詳しく説明する(図2参照)。
【0023】
記憶部20は、ROMやRAMなどで構成され、ナビゲーション装置100が使用する各種コンピュータプログラムや、地図情報などナビゲーション装置として必要な各種情報を記憶する記憶媒体である。記憶部20の構成については、後で詳しく説明する(図2参照)。
【0024】
メモリ30は、制御部10が処理する各種情報を一時的に保持する記憶媒体であり、RAMなどの半導体記憶装置により構成される。
【0025】
出力部40は、経路誘導に関する情報を出力する装置であり、例えば画像情報を表示する画像表示装置(ディスプレイ装置、モニタ)と、音声情報を音声出力する音声出力装置(スピーカ装置)とを含む。画像表示装置は、道路地図情報と車両の現在位置情報とを表示画面上に表示するとともに、目的地までの推奨移動経路を表示画面上に併せて表示することで、視覚によって道順などを報知する。
【0026】
また、音声出力装置は、各種音声情報に基づいて各種音声を出力することで、聴覚によって移動経路の道順(例えば、「100m先を右折」など)や、移動経路に関連する情報(例えば、道路名称や交通規制情報、付近のお奨め施設の紹介など)などを報知する。なお、音声出力装置を含む出力部40は、制御部10または経路誘導部13からの通知を受けて音声案内などを行う。
【0027】
センサ部50は、ナビゲーション装置100の現在位置(すなわち、ユーザの現在位置)を測位する機能を備えており、例えば、GPS衛星から送られてくるGPS信号を受信し、このGPS信号に基づいて位置を測定するGPSセンサや、初期位置から移動量(距離)を計測する速度センサ、進行(移動)方位を計測するジャイロセンサ等からなる。
【0028】
GPSセンサは、いわゆるGPS受信機と称されるものであり、GPS衛星から放射されるGPS信号を受信してGPS衛星とGPS受信機自身との距離(疑似距離)を測定し、複数の衛星からのGPS信号を同時に受信することによりGPS受信機自身の現在位置(GPS測位解)を算出する。
【0029】
また、センサ部50は、GPS信号を受信するGPS受信機(アンテナ)の他、受信したGPS信号のデコード等の処理を行い、制御部10に通知する機能を有する。
【0030】
通信部60は、インターネットなどの通信ネットワークに無線あるいは有線によって接続し、通信ネットワークに接続された管理サーバなどの外部の装置と情報の送受信を行うための機能を有する。
【0031】
入力部70は、制御部10に対する各種指示をユーザから受け付ける機能を備える。本例では、入力部70は、例えば、表示部40の表示画面上に表示される操作ボタンなどによって構成される。
【0032】
図2は、本例における制御部10と記憶部20の構成の例を説明するための説明図である。図2に示すように、制御部10は、経路探索部11と、自車位置特定部12と、経路誘導部13と、非通行道路特定部14と、徒歩移動可能経路特定部15と、代替目的地検索部16と、災害情報取得部17と、注目地点表示部18と、2次元コード作成部19とを含む。
【0033】
経路探索部11は、出発位置(例えば、車両の現在位置やユーザにより入力された位置)から目的地(例えば、ユーザにより入力された住所が示す位置)までの推奨移動経路を導出する経路探索処理を行う。経路探索処理では、例えば、入力部70を介して出発地(または、現在位置)と目的地とを示す情報の入力を受け付けて、受け付けた情報に基づいて、道路情報を参照して出発地から目的地までの推奨移動経路を導出するとともに、導出した推奨移動経路を含む道路地図からなる移動経路周辺地図を生成する処理を行う。なお、経路探索処理については公知の技術を用いるので、ここでの詳細な説明は省略する。また、経路探索処理に必要な情報、例えば現在位置の特定や移動経路周辺地図を生成するためなどに用いられる地図情報は、予め記憶部20に記憶されている構成としてもよいし、通信部60により外部の管理サーバなどから取得する構成としてもよい。
【0034】
また、図2に示すように、本例における経路探索部11は、第1種推奨移動経路探索部11Aと、第2種推奨移動経路探索部11Bと、経路探索不能判定部11Cとを含む。
【0035】
ここで、第1種推奨移動経路探索部11Aと、第2種推奨移動経路探索部11Bとは、それぞれ予め設定された条件に基づく推奨移動経路を導出する経路探索処理を行う。具体的には、第1種推奨移動経路探索部11Aは、後述する非通行道路特定部14により特定された非通行道路以外を移動して目的地に到達する推奨移動経路を「第1種推奨移動経路」として探索する。また、第2種推奨移動経路探索部11Bは、後述する代替目的地検索部16により検索された代替目的地から、後述する徒歩移動可能経路特定部15により特定された徒歩移動可能経路上を移動して目的地(代替目的地を目的とする前の目的地、以下、「第1目的地」と呼ぶ。)に到達するための推奨移動経路を「第2種推奨移動経路」として探索する。
【0036】
また、経路探索不能判定部11Cは、第1種推奨移動経路探索部11Aにより、第1目的地までの第1種推奨移動経路の探索が不能であるか否かを判定する処理を行う機能を有する。本例においては、経路探索不能判定部11Cは、例えば所定時間経過しても第1種推奨移動経路が探索できない場合や、所定の条件(例えば、走行距離や走行予定時間の許容範囲など)を満たす移動経路が探索できない場合に、第1種推奨移動経路の探索が不能であると判定する。
【0037】
なお、本例においては、後述する災害情報取得部17が車両に影響を与える災害が発生したと判定したことに応じて、経路探索部11が、予め記憶部20に登録された目的地である地点(例えば、自宅など。以下、適宜「ホーム」と呼ぶ。)を第1目的地として推奨移動経路の探索を行う場合を例に説明を行なう。これは、緊急時であることを考慮して目的地の入力を簡素化するためである。なお、第1目的地は自宅などに限定されない。すなわち、ユーザによる住所や座標の入力を受け付ける構成としてもよい。
【0038】
自車位置特定部12は、車両の現在位置情報を特定する処理を行う。ここで、現在位置は、例えば緯度と経度により示される。自車位置特定部12は、例えば、センサ部50から通知される情報に基づいて現在位置を示す現在位置情報を特定する。
【0039】
経路誘導部13は、経路探索部11により探索された推奨移動経路を用いた一般的な経路誘導(ユーザの現在位置に応じた推奨移動経路を含む地図の表示や、音声案内など)を行うための処理を行う機能を有する。
【0040】
非通行道路特定部14は、表示装置の表示画面に表示可能な地図上において、推奨移動経路に含めない道路(非通行道路)として、災害の影響により車両の通行が不能となった道路(通行不能道路)と、災害の影響により車両の通行が禁止された道路(通行禁止道路)とを特定する処理を行う機能を有する。本例においては、非通行道路特定部14は、後述する道路地図情報(特に、道路に関する規制情報)に基づいて車両の通行不能道路と通行禁止道路とを特定する。
【0041】
徒歩移動可能経路特定部15は、表示装置の表示画面に表示可能な地図上における徒歩での移動が可能な経路を示す徒歩移動可能経路を特定する処理を行う機能を有する。本例においては、徒歩移動可能経路特定部15は、後述する道路地図情報に基づいて車両を降りたユーザが徒歩で移動可能な経路を特定する。なお、徒歩での移動が可能な経路として、例えば建物内の出入り口情報など、車両では移動できない経路が含まれる構成とされることが好ましい。そのため、例えば建物の入口と出口の情報などが記憶部20に記憶されていることが好ましい。「車両では移動不能な経路であり、徒歩であれば移動可能な経路」を多く記憶部20に記憶しておくことにより、車両での推奨移動経路の探索が不能である目的地に対し、より良い(例えば、移動距離の短い)第2種推奨移動経路を探索することができるようになる。
【0042】
代替目的地検索部16は、経路探索不能判定部11Cにより第1目的地までの第1種推奨移動経路の探索が不能であると判定されたことに応じて、所定の検索条件を満たす代替目的地を検索する処理を行う機能を有する。本例においては、所定の検索条件として、例えば、「第1目的地に近い安全な駐車場」や「第1目的地に近い大型施設(例えば、大学病院など)」が予め記憶部20に記憶されているものとする。なお、検索条件をユーザが選択(または入力)可能な構成としてもよい。
【0043】
災害情報取得部17は、災害の発生や災害による被害状況などを示す災害情報を取得する処理を行う機能を有する。本例においては、災害情報取得部17は、通信部40を介して災害情報を取得する。なお、災害情報の取得の経路は特に限定されず、例えば臨時災害放送局による放送信号を受信する構成としてもよいし、ユーザによる災害情報の入力(例えば、台風により倒された木により通行不能となっている道路の位置などの入力)を受け付ける構成としてもよい。また、本例における災害情報取得部17は、取得した災害情報と車両の現在位置とに基づいて、災害が車両に影響を与えるか否かを判定する処理を行う機能を有する災害影響度判定部17Aを備える。
【0044】
災害影響度判定部17Aは、災害情報が示す災害が発生したエリア(災害発生エリア)と車両の現在位置を比較して、車両が災害発生エリア内に位置する場合に「影響有り」と判定する。また、災害影響度判定部17Aは、所定の基準情報に基づいて、災害による被害が大きいエリアに車両が位置している程災害により車両が受ける影響が高いことをユーザに報知可能な構成とされることが好ましい。なお、災害影響度判定部17Aは、災害情報がユーザ(本例においては、車両の乗員)に関係するか否かを判定可能なものであればよく、例えば、ユーザの自宅など所定の登録地点が災害発生エリアに位置しているか否かを判定し、登録地点が災害発生エリア内に位置していると判定した場合に、「影響有り」と判定する構成としてもよい。
【0045】
注目地点表示部18は、災害情報取得部17により取得した災害情報と、後述する道路地図情報とに基づいて、出力部40の表示画面に表示する地図上に災害の種類に応じた注目地点を識別可能に表示する処理を行う機能を有する。本例においては、注目地点表示部18は、災害情報が示す災害の種類に対応する注目地点として予め設定されたジャンルの建物などを強調して表示するものとする(例えば、災害の種類に応じた建物の位置を示すアイコンを通常時よりも拡大して表示する)。
【0046】
2次元コード作成部19は、ユーザによる所定の操作を受け付けたことに応じて車両の現在位置を示す2次元コードを作成する処理を行う機能を有する。なお、2次元コード作成部19が作成する2次元コードの形式は特に制限されず、水平方向と垂直方向に情報をもつ表示方式のコードであればよい。なお、2次元コードの作成方法については、公知の技術を用いるのでここでの詳細な説明は省略する。
【0047】
また、本例において、記憶部20は、図2に示すように、道路地図情報記憶部21と、緊急連絡先情報記憶部22と、2次元コード情報記憶部23とを含む。
【0048】
道路地図情報記憶部21は、一定の緯度幅と緯度幅で区切られた矩形状の範囲(以下、「メッシュ」という。)に分割して地図情報を記憶する記憶媒体である。この地図情報は、道路地図情報記憶部21に記憶されるほか、例えばSDメモリカードと呼ばれるリムーバルメディアとしての補助記憶装置や、CD−ROMやDVD−ROM等に保存することができる。また、インターネット等の通信ネットワークを介して地図情報をダウンロードするようにしてもよい。また、道路地図情報記憶部21は、交通規制や道路の構成などを示す道路情報として、道路をノードとリンクで表して管理し、各ノードとリンクに関して経路構成ノード情報と経路構成リンク情報とを記憶する記憶媒体である。すなわち、経路探索部11は、経路探索処理において必要な情報を道路地図情報記憶部21から取得することとなる。以下、適宜地図情報と道路情報とを対応付けした情報を「道路地図情報」と呼ぶ。
【0049】
なお、道路情報は、時期や車両の進行方向によって異なる内容となる場合がある。ここで、本例における道路情報には、各リンクの長さや通過時間を経路コストとして格納されている。また、道路情報は、複数の階層を持っており、本例においては近傍用(全ての道路を格納)、近距離用(細街路以外の道路を格納)、中距離用(県道以上の道路を格納)、遠距離用(高速道、国道を格納)が設定されている。この場合、例えば道路情報を構成するノードとリンクに階層情報を設定するようにすればよい。これにより、経路探索の条件によって経路探索の対象となる道路情報を使い分けることができる。すなわち、例えば現在位置から目的地までの距離が長距離である場合には、間に存在する道路情報の量が膨大になるため、遠距離用が設定された道路情報を用いて経路探索処理を行うことにより、経路探索部11の処理負荷を軽減させることができる。
【0050】
緊急連絡先情報記憶部22は、緊急時の連絡先を示す緊急連絡先情報を記憶する記憶媒体である。
【0051】
図3は、緊急連絡先情報記憶部22における緊急連絡先情報の格納状態の例を示す説明図である。図3に示すように、本例における緊急連絡先情報は、緊急連絡先名称と、送信先アドレスと、付加情報とを含む。
【0052】
ここで、「付加情報」とは、緊急連絡先に送信する情報として予め設定された基礎情報(例えば、ユーザ名称など)に付加する情報を示す。本例においては、付加情報は連絡先毎にユーザが設定可能であることとする。また、付加情報として、「現在位置及び代替目的地」、「現在位置」、または「代替目的地」の何れか1つが含まれるものとする。すなわち、例えば、緊急連絡先「家」に対しては、基礎情報の他、現在位置と代替目的地とを示す情報(例えば、現在位置と代替目的地の住所など)を送信することとなる。
【0053】
2次元コード情報記憶部23は、後述する災害時帰宅支援処理(図4,5参照)にて作成された2次元コードを保存するための記憶領域を有する記憶媒体である。本例においては、災害時帰宅支援処理にて作成された2次元コードが2次元コード情報記憶部23に保存される場合を例にして説明を行なう。ただし、例えば、2次元コード情報記憶部23に、予め所定の建物など(例えば、緊急避難場所など)の位置を示す2次元コードが利用可能に(例えば、ユーザ操作に応じて表示画面に表示可能に)記憶されている構成としてもよい。
【0054】
次に、本例におけるナビゲーション装置100の動作について図を参照して説明する。なお、本発明に特に係わらない処理については、その詳細な説明を省略している場合がある。
【0055】
図4と図5は、ナビゲーション装置100が実行する災害時帰宅支援処理の例を示すフローチャートである。災害時帰宅支援処理では、災害発生時にユーザが安全に目的地まで移動することを支援するための処理が行われる。
【0056】
本例における災害時帰宅支援処理は、例えば、ナビゲーション装置100の電源が入り、車両が移動を開始したことに応じて開始される。
【0057】
災害時帰宅支援処理において、先ず、制御部10は、災害情報取得部17により、災害情報を取得したか否かを判定する(ステップS101)。
【0058】
ここで、災害情報を取得したと判定すると(ステップS101のY)、制御部10は、取得した災害情報が示す災害の種類を特定する(ステップS102)。災害の種類の特定方法は特に限定されず、例えば、災害情報が災害の種類を示す場合にのみ災害の種類を特定する構成としてもよい。この場合、制御部10は、災害情報が災害の種類を示すか否かを判定し、災害の種類を示さないと判定した場合には、「種類不明」と判定して以下の処理を行う構成とすればよい。
【0059】
災害の種類を特定すると、制御部10は、災害影響度判定部17Aにより、災害情報が示す災害が車両に影響を与えるか否かを判定する(ステップS103)。ここで、災害情報が示す災害が車両に影響を与えないと判定すると(ステップS103のN)、制御部10は、後述するステップS116の処理に移行する。
【0060】
一方、災害情報が示す災害が車両に影響を与えると判定すると(ステップS103のY)、制御部10は、災害の種類に応じて道路地図情報を更新する(ステップS104)。本例においては、制御部10は、災害情報が示す災害発生エリアや、避難エリア、車両通行不能道路、および車両通行禁止道路などを道路地図情報に付加し、災害の種類に応じて予め設定された注目地点が地図上に強調して表示されるように道路地図情報を更新する。なお、本例においては以下で説明する処理を行い(ステップS105〜S114)、制御部10が推奨移動経路表示画面を表示するときに(ステップS115)、更新した道路地図情報に基づく道路地図を表示する場合について説明を行う。ただし、災害情報に基づいて更新した道路地図の表示時機はこれに限定されず、例えば更新終了と同時に更新後の道路地図情報に基づく道路地図を表示する構成としてもよい。
【0061】
図6は、このとき出力部40の表示画面に表示される道路地図表示画面の例を示す説明図である。図6に示すように、制御部10は、いわゆるメニュー画面の表示要求を受け付けるメニューボタンM(なお、本例においては、車両が属するエリアの名称の表示領域を兼ねる。)と、車両の現在位置を示す現在位置アイコンPを備える道路地図表示画面上に、災害情報を受信したことを報知するメッセージ(災害情報受信メッセージ)101を表示する。なお、制御部10は、道路地図情報の更新を開始する前に災害情報受信メッセージ101を表示し、災害情報受信メッセージ101の表示位置が押下されたことに応じて道路地図情報の更新を開始する構成としてもよい。
【0062】
道路地図情報を更新すると、制御部10は、非通行道路特定部14により、道路地図情報に基づいて、車両の位置から所定範囲内の非通行道路(例えば、通行不能道路と通行禁止道路)を特定する(ステップS105)。なお、非通行道路を特定する範囲は特に限定されず、本例においては、現在位置とホームとを含む所定領域(例えば、現在位置とホームとを結ぶ直線上に位置するメッシュ群により構成される領域など)を用いることとする。
【0063】
非通行道路などを特定すると、制御部10は、第1種推奨移動経路探索部11Aにより、車両の現在位置からホームを目的地とした第1種推奨移動経路の探索を開始する(ステップS106)。なお、本例ではホームが1つである場合について説明しているが、ホームが複数ある場合は、制御部10が、全てのホームに対する第1種推奨移動経路を探索する構成としてもよいし、第1目的地とするホームの選択をユーザから受け付ける構成としてもよい。
【0064】
第1種推奨移動経路の探索を開始すると、制御部10は、経路探索不能判定部11Cにより、第1種推奨移動経路の探索が不能であるか否かを判定する(ステップS107)。ここで、第1種推奨移動経路の探索が不能でないと判定すると(ステップS107のN)、制御部10は、探索した第1種推奨移動経路を記憶部20に保存して、後述するステップS115の処理に移行する。
【0065】
一方、第1種推奨移動経路の探索が不能であると判定すると(ステップS107のY)、制御部10は、変数「n(nは2以上の整数)」に「2」を代入し(ステップS108)、代替目的地検索部16により、第n目的地(第1目的地の代わりに目的地とする位置。代替目的地。なお、「第n目的地」という場合には、nは2以上の整数であるため、「第1目的地」は含まれない。)を検索する(ステップS109)。なお、本例においては、予め記憶部20に第n目的地毎の検索条件が記憶されており、制御部10は、変数「n」に対応する検索条件を満たす地点を検索するものとする。ここで、検索条件として、必ず目的地が検索される条件を最後の検索条件に記憶しておくこととする。なお、代替目的地の検索条件を満たす地点が複数ある場合には、特定の優先条件(例えば、現在位置からの距離など)により1つの代替目的地を特定する構成としてもよいし、ユーザによる選択を受け付ける構成としてもよい。
【0066】
代替目的地を検索すると、制御部10は、第1種推奨移動経路探索部11Aにより、検索した代替目的地(第n目的地)を目的地とする第1種推奨移動経路を探索する(ステップS110)。
【0067】
代替目的地を目的地とする第1種推奨移動経路を探索すると、制御部10は、経路探索不能判定部11Cにより、第1種推奨移動経路の探索が不能であるか否かを判定する(ステップS111)。ここで、第1種推奨移動経路の探索が不能であると判定すると(ステップS111のY)、制御部10は、変数「n」に「n+1」を代入し(すなわち、例えばn=2の状態で第1種推奨移動経路の探索が不能であると判定した場合、n=3を代入する。)(ステップS112)、ステップS109の処理に移行する。
【0068】
なお、同じ検索条件を満たす複数の地点のうちの1つに対する第1種推奨移動経路の探索が不能であると判定した場合には、制御部10が、第1種推奨移動経路の探索が不能であると判定した地点と検索条件を同一とする他の地点への第1種推奨移動経路の探索を開始する構成としてもよい。
【0069】
一方、第1種推奨移動経路の探索が不能でないと判定すると(ステップS111のN)、制御部10は、徒歩移動可能経路特定部15により、第n目的地とホーム(第1目的地としたホーム)とを含む領域内における徒歩移動可能経路を特定する(ステップS113)。なお、このとき徒歩移動可能経路の特定対象とする領域の特定方法は特に限定されず、本例においては、第n目的地とホームとが位置する地点を焦点とする楕円形状の領域を特定することとする。
【0070】
徒歩移動可能経路を特定すると、制御部10は、第2種推奨移動経路探索部11Bにより、第n目的地からホームまでの第2種推奨移動経路を探索する(ステップS114)。
【0071】
第2種推奨移動経路を探索すると、制御部10は、探索した推奨移動経路を含む道路地図を出力部40の表示画面に表示する(すなわち、推奨移動経路表示画面を表示する)(ステップS114)。このとき、本例においては、制御部10は、車両が停止状態にあると判定したことに応じて、道路地図表示画面(図6参照)に代えて推奨移動経路表示画面を表示する。
【0072】
図7は、推奨移動経路表示画面の例を示す説明図である。図7に示すように、推奨移動経路表示画面は、車両の現在位置Pと第n目的地Cとを結ぶ第1種推奨移動経路201と、第n目的地Cと第1目的地であるホームGとを結ぶ第2種推奨移動経路202と、道路地図表示画面の表示要求を受け付ける戻るボタン203と、推奨移動経路(第1種推奨移動経路201と第2種推奨移動経路202)に基づく経路誘導の開始要求を受け付ける誘導開始ボタン204と、車両の現在位置を示す2次元コードの表示要求を受け付ける今いる場所ボタン205と、災害の種類を示す災害種類表示領域206とを含む。
【0073】
また、本例においては、制御部10は、注目地点表示部18により、推奨移動経路表示画面に、災害の種類に応じた注目地点を示す注目地点アイコンFを表示する。なお、注目地点アイコンFは、選択可能に表示され、ユーザによる注目地点アイコンFの選択を受け付けたことに応じて、制御部10が、選択された注目地点アイコンFに対応する建物などの詳細情報と現在位置Pから注目地点アイコンFが示す位置までの推奨移動経路戸を表示画面に表示する構成とされていてもよい。
【0074】
推奨移動経路表示画面を表示すると、制御部10は、2次元コードの作成要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS116)。ここで、ユーザによる今いる場所ボタン205の押下を受け付けたことにより2次元コードの作成要求を受け付けたと判定すると(ステップS116のY)、制御部10は、2次元コード作成部19により、車両の現在位置を示す2次元コードを作成する(ステップS117)。
【0075】
2次元コードを作成すると、制御部10は、出力部40の表示画面に、2次元コード表示画面を表示する(ステップS118)。
【0076】
図8は、2次元コード表示画面の例を示す説明図である。図8に示すように、本例における2次元コード表示画面は、作成した2次元コードを表示する2次元コード表示領域301と、2次元コードの送信要求を受け付ける送信ボタン302と、2次元コード表示領域301の消去要求を受け付ける消去ボタン303とを含む。
【0077】
2次元コード表示画面を表示すると、制御部10は、2次元コードの送信要求を受け付ける(ステップS119)。ここで、例えば消去ボタン303の押下を受け付けることにより2次元コードの送信要求を受け付けないと判定すると(ステップS119のN)、制御部10は、後述するステップS122の処理に移行する。
【0078】
一方、例えば送信ボタン302の押下を受け付けることにより2次元コードの送信要求を受け付けたと判定すると(ステップS119のY)、制御部10は、緊急連絡先情報に基づいて2次元コードを送信する(ステップS120)。
【0079】
なお、制御部10は、2次元コードの内容(例えば、2次元コードが示す位置情報(現在位置、第1目的地、及び第n目的地)など)と送信先とを選択可能に表示して、ユーザによる選択を受け付ける構成としてもよい。
【0080】
2次元コードを送信すると、制御部10は、送信した2次元コードを2次元コード記憶部23に保存する(ステップS121)。
【0081】
2次元コードを保存すると、制御部10は、2次元コード表示画面を消去して(ステップS122)、ステップS115の処理に移行する。
【0082】
一方、災害時帰宅支援処理におけるステップS116の処理において、2次元コードの作成要求を受け付けていないと判定すると(ステップS116のN)、制御部10は、誘導開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS123)。ここで、誘導開始要求を受け付けない場合(ステップS123のN)、制御部10は、後述するステップS125の処理に移行する。
【0083】
一方、例えば推奨移動経路表示画面(図7参照)における誘導開始ボタン204の押下を受け付けたことにより誘導開始要求を受け付けたと判定すると(ステップS123のY)、制御部10は、経路誘導部13により、探索した推奨移動経路に基づく経路誘導を開始する(ステップS124)。
【0084】
経路誘導を開始すると、制御部10は、ユーザに対する帰宅支援が終了したか否かを判定する(ステップS125)。本例においては、制御部10は、予め記憶部20に記憶された帰宅支援終了条件に基づいて帰宅支援の終了判定を行うものとする。
【0085】
ここで、帰宅支援が終了していないと判定すると(ステップS125のN)、制御部10は、経路誘導を継続して、ステップS116の処理に移行する。すなわち、本例においては、経路誘導中であっても、新たに車両の現在位置などを示す2次元コードを作成して、緊急連絡先に送信することができる。
【0086】
一方、例えば車両が第n目的地に到着したことにより帰宅支援が終了したと判定すると(ステップS125のY)、制御部10は、ここでの処理を終了する。
【0087】
なお、帰宅支援処理において導出された第2推奨移動経路を含む推奨移動経路表示画面(図7参照)は、制御部10により、適当な時機(例えば、車両が第n目的地から所定距離以内に接近したときなど)に、例えばユーザの携帯電話に対して携帯電話の表示画面に表示可能な状態で送信される構成とされることが好ましい。
【0088】
以上に説明したように、上述した実施の形態では、表示装置(例えば、出力部40)の表示画面における地図上に移動体(例えば、車両)の現在位置を表示して移動体を目的地まで誘導するナビゲーション装置100が、地図上における移動体の非通行道路(例えば、通行不能道路と通行禁止道路)を特定し、特定した非通行道路以外を移動して目的地に到達するための推奨移動経路を示す第1種推奨移動経路を探索し、目的地までの第1種推奨移動経路(例えば、車両の現在位置と目的地とを結ぶ経路)の探索が不能であるか判定し、目的地までの第1種推奨移動経路の探索が不能であると判定したことに応じて、所定の検索条件(例えば、「第1目的地に近い安全な駐車場」や「第1目的地に近い大型施設)」)を満たす代替目的地(例えば、第n目的地)を検索し、代替目的地を検索したことに応じて、代替目的地を目的地とする第1種推奨移動経路を探索する構成としているので、災害発生時などの緊急時において、ユーザに対してより有用な情報を提供できるようになる。
【0089】
すなわち、例えば災害の影響で道路情報が変更されたことによりユーザの目的地までの推奨移動経路を探索できない場合に、ユーザが目的地周辺の情報、特に、災害の影響に関する情報を有していなくても、当初の目的地の代わりとなる代替目的地を提案することができるようになるため、ユーザに対して有用な情報を提供できるようになるといえる。
【0090】
また、上述した実施の形態では、移動体が車両であり、ナビゲーション装置100が、地図上における徒歩での移動が可能な道路を示す徒歩移動可能経路を特定し、代替目的地(例えば、第n目的地)から特定した徒歩移動可能経路上を移動して目的地(例えば、第1目的地)に到達するための推奨移動経路を示す第2種推奨移動経路を探索する構成としているので、例えば災害の影響によりユーザの現在位置から車両では自宅など予め登録された地点まで移動できない場合に、車両が走行可能な地点から予め登録された地点までの推奨徒歩経路を案内することができるようになる。
【0091】
また、上述した実施の形態では、ナビゲーション装置100が、交通規制などを示す道路情報と地図上の建物などの位置を示す地図情報とを対応付けした道路地図情報を記憶する道路地図情報記憶部21を備え、災害の発生や災害による被害状況などを示す災害情報を取得し、取得した災害情報と道路地図情報とに基づいて、地図上に災害の種類に応じた注目地点を識別可能に表示し、道路地図情報に基づいて移動体(例えば、車両)の非通行道路(例えば、通行不能道路と通行禁止道路)を特定し、道路地図情報に基づいて徒歩移動可能経路を特定し、特定した非通行道路に基づいて探索された第1種推奨移動経路と、徒歩移動可能経路に基づいて探索された第2種推奨移動経路とを、注目地点が表示された地図上に識別可能に表示する(例えば、推奨移動経路表示画面を表示する)構成としているので、災害の種類に応じてより有用であると考えられる情報をユーザに提供できるようになる。
【0092】
すなわち、例えば震災時には、帰宅ステーション、広域避難場所、避難所、経路案内板設置場所、水場、公衆トイレ、緊急指定病院、災害拠点病院、及び安全な駐車場の位置を地図上に強調して表示し、水害時には、市などが提供している予測水害ハザード地域、避難所、及び安全な駐車場の位置を地図上に強調して表示するというように、災害の種類に応じて提供する情報を取捨選択することにより、表示画面に表示する地図の有用性を向上させることができるようになる。
【0093】
また、上述した実施の形態では、ナビゲーション装置100が、移動体(例えば、車両)の現在位置を特定し、取得した災害情報と特定した現在位置とに基づいて、災害情報が示す災害が移動体に影響を及ぼすか否かを判定し、災害情報が示す災害が移動体(移動体の操作者であるユーザを含む。)に影響を及ぼすと判定した場合に注目地点を識別可能に表示する(例えば、推奨移動経路表示画面を表示する)構成としているので、災害が移動体自体や移動体の乗員であるナビゲーション装置のユーザなどに影響を与える場合にのみ必要な処理を行うようにすることができ、不要な処理を行うことを回避することができるようになる。
【0094】
なお、上述した実施の形態においては特に言及していないが、ナビゲーション装置100が、例えば、災害情報取得時に既に特定の目的地に向かう経路誘導が実行されている場合に、経路誘導の対象となっている推奨移動経路上に災害情報が示す災害エリアなどが存在するか否かを判定し、推奨移動経路上に災害エリアが含まれていると判定した場合に、災害情報が示す災害が移動体に影響を及ぼすと判定する構成としてもよい。
【0095】
また、上述した実施の形態では、ナビゲーション装置100が、緊急時の連絡先を示す緊急連絡先情報を記憶する緊急連絡先情報記憶部22を備え、所定の操作を受け付けたことに応じて移動体(例えば、車両)の現在位置を示す2次元コードを作成し、作成した2次元コードを緊急連絡先情報が示す緊急連絡先に送信する構成としているので、緊急連絡先に対して、ユーザ自身の安否をユーザの現状に関係する地点を示す位置情報と共に連絡することができるようになる。また、インターネット上の仮想伝言板サービスなどに対して緊急連絡を行う場合であっても、2次元コードを送信するため、地図画像を送信する場合と比べて通信負荷を軽減させることができる。
【0096】
なお、上述した実施の形態においては、ナビゲーション装置100が、ユーザによる2次元コードの送信要求を待って2次元コードを送信する場合について説明を行なったが、ナビゲーション装置100が、2次元コードの作成後、所定の操作による2次元コードの送信要求を受け付けること待たずに、作成した2次元コードを送信する構成としてもよい。また、緊急時であることを考慮して、2次元コードの作成要求を待たずに、緊急連絡先情報に基づいて2次元コードの作成を開始する構成としてもよい。
【0097】
また、上述した実施の形態では、ナビゲーション装置100が、代替目的地(例えば、第n目的地)を示す2次元コードを作成し、現在位置を示す2次元コードと代替目的地を示す2次元コードのどちらか一方、または両方とを緊急連絡先情報が示す緊急連絡先に送信する構成としているので、例えば、緊急連絡先の相手と代替目的地にて集合するという連絡などを容易に行うことができるようになる。この場合、緊急連絡先情報に、代替目的地の名称や住所などを挿入可能な定型文が記憶されている構成としてもよい。
【0098】
なお、本発明は、特に、緊急時の自動車による移動と徒歩による移動との組み合わせを考慮して目的地までの推奨移動経路を導出する場合に有用であるが、移動手段の組み合わせはこれに限定されない。すなわち、例えば本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置が、自動車による移動と自転車による移動との組み合わせを考慮して目的地までの推奨移動経路を導出する構成としてもよい。この場合、自転車による移動が可能であると判定する条件(例えば、道路幅など)を予めナビゲーション装置が備える記憶装置に記憶しておく構成とすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、車両の進路案内を実現するデバイスを扱う業種において産業上有用であり、緊急時に自動車による帰宅支援を行うカーナビゲーション装置等の電化製品市場においても有用である。
【符号の説明】
【0100】
10 制御部
11 経路探索部
11A 第1種推奨移動経路探索部
11B 第2種推奨移動経路探索部
11C 経路探索不能判定部
12 自車位置特定部
13 経路誘導部
14 非通行道路特定部
15 徒歩移動可能経路特定部
16 代替目的地検索部
17 災害情報取得部
17A 災害影響度判定部
18 注目地点表示部
19 2次元コード作成部
20 記憶部
21 道路地図情報記憶部
22 緊急連絡先情報記憶部
23 2次元コード情報記憶部
30 メモリ
40 出力部
50 センサ部
60 通信部
70 入力部
100 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示画面における地図上に移動体の現在位置を表示して前記移動体を目的地まで誘導するナビゲーション装置であって、
前記地図上における前記移動体の非通行道路を特定する非通行道路特定手段と、
該非通行道路特定手段により特定された非通行道路以外を移動して目的地に到達するための推奨移動経路を示す第1種推奨移動経路を探索する第1種推奨移動経路探索手段と、
該第1種推奨移動経路探索手段により目的地までの第1種推奨移動経路の探索が不能であるか判定する経路探索不能判定手段と、
該経路探索不能判定手段により目的地までの前記第1種推奨移動経路の探索が不能であると判定されたことに応じて、所定の検索条件を満たす代替目的地を検索する代替目的地検索手段とを含み、
前記第1種推奨移動経路探索手段は、前記代替目的地検索手段により代替目的地が検索されたことに応じて、該代替目的地を目的地とする第1種推奨移動経路を探索する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記移動体が車両であり、
前記地図上における徒歩での移動が可能な道路を示す徒歩移動可能経路を特定する徒歩移動可能経路特定手段と、
前記代替目的地から前記徒歩移動可能経路特定手段により特定された徒歩移動可能経路上を移動して前記目的地に到達するための推奨移動経路を示す第2種推奨移動経路を探索する第2種推奨移動経路探索手段とを含む
請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
交通規制などを示す道路情報と地図上の建物などの位置を示す地図情報とを対応付けした道路地図情報を記憶する道路地図情報記憶手段と、
災害の発生や災害による被害状況などを示す災害情報を取得する災害情報取得手段と、
該災害情報取得手段により取得した災害情報と道路地図情報とに基づいて、前記地図上に災害の種類に応じた注目地点を識別可能に表示する注目地点表示手段とを含み、
前記非通行道路特定手段は、前記道路地図情報に基づいて前記移動体の非通行道路を特定し、
前記徒歩移動可能経路特定手段は、前記道路地図情報に基づいて前記徒歩移動可能経路を特定し、
特定された非通行道路に基づいて前記第1種推奨移動経路探索手段により探索された第1種推奨移動経路と、前記徒歩移動可能経路に基づいて前記第2種推奨移動経路探索手段により探索された第2種推奨移動経路とを、前記注目地点が表示された地図上に識別可能に表示する推奨移動経路表示手段とを含む
請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記移動体の現在位置を特定する現在位置特定手段と、
前記災害情報取得手段により取得された災害情報と前記現在位置特定手段により特定された現在位置とに基づいて、前記災害情報が示す災害が移動体に影響を及ぼすか否かを判定する災害影響度判定手段とを含み、
前記注目地点表示手段は、前記災害影響度判定手段により前記災害情報が示す災害が前記移動体に影響を及ぼすと判定された場合に前記注目地点を識別可能に表示する
請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
緊急時の連絡先を示す緊急連絡先情報を記憶する緊急連絡先情報記憶手段と、
所定の操作を受け付けたことに応じて前記移動体の現在位置を示す2次元コードを作成する2次元コード作成手段と、
該2次元コード作成手段により作成された2次元コードを前記緊急連絡先情報が示す緊急連絡先に送信する2次元コード送信手段とを含む
請求項1から請求項4のうち何れかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記2次元コード作成手段は、前記代替目的地を示す2次元コードを作成し、
前記2次元コード送信手段は、前記現在位置を示す2次元コードと前記代替目的地を示す2次元コードのどちらか一方、または両方とを前記緊急連絡先情報が示す緊急連絡先に送信する
請求項5記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
表示装置の表示画面における地図上に移動体の現在位置を表示して前記移動体を目的地まで誘導するようにナビゲーション装置に動作制御させるためのナビゲーションプログラムであって、
前記ナビゲーション装置に、
前記地図上における前記移動体の非通行道路を特定する非通行道路特定処理と、
該非通行道路特定処理にて特定された非通行道路以外を移動して目的地に到達するための推奨移動経路を示す第1種推奨移動経路を探索する第1種推奨移動経路探索処理と、
該第1種推奨移動経路探索処理にて目的地までの第1種推奨移動経路の探索が不能であるか判定する経路探索不能判定処理と、
該経路探索不能判定処理にて目的地までの前記第1種推奨移動経路の探索が不能であると判定されたことに応じて、所定の検索条件を満たす代替目的地を検索する代替目的地検索処理とを実行させ、
前記第1種推奨移動経路探索処理にて、前記代替目的地検索処理にて代替目的地が検索されたことに応じて、該代替目的地を目的地とする第1種推奨移動経路を探索する処理を
実行させるためのナビゲーションプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−83180(P2012−83180A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229026(P2010−229026)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(507052430)キャンバスマップル株式会社 (77)
【Fターム(参考)】