説明

ナビゲーション装置およびプログラム

【課題】 交差点を同じような方向に退出する道路の一方が誘導経路の退出道路である場合に、運転者が誤って誘導経路以外の道路に進入してしまうおそれを低減する。
【解決手段】 車両用ナビゲーション装置1が、目的地までの誘導経路中の非案内交差点を順次選択し(ステップ110、120)、その選択交差点への進入道路の、進入レーン別の退出可能な方向を示すレーン別退出方向データがあるか否かを判定する(ステップ130)。そして、進入レーン別退出方向データがある場合、退出道路と大まかに同じ方向に退出できるA進入レーンが複数あり(ステップ140)、かつそれらのA進入レーンから退出できる道路が複数ある場合(ステップ150)、選択交差点をレーン案内交差点とし、そのレーン案内のための処理を行う(ステップ180)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーン案内を行うナビゲーション装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、設定された目的地までの誘導経路を案内するナビゲーション装置において、誘導経路に沿った交差点手前の進入道路について走行レーンの案内を行うものがある(例えば特許文献1〜4参照)。
【特許文献1】特開2000−137894号公報
【特許文献1】特開2000−251197号公報
【特許文献1】特開2002−257571号公報
【特許文献1】特開2003−240581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の走行レーンの案内を行うナビゲーション装置を用いた場合、運転者にとっては必要であるにも関わらず走行レーンの案内を行わないような状況が発生する。以下、そのような状況について例示する。
【0004】
図1に、交差点51および交差点51に接続する道路52〜56の俯瞰図を示す。ここで、車両に搭載されたナビゲーション装置の誘導経路は、交差点51について、交差点51への進入側が5車線の道路(以下進入道路と記す)52から進入し、退出側のみ2車線の一般道路55に退出するような経路であるとする。また、一般道路55と大体同じ方向に交差点51を退出する道路として、退出側のみ2車線の、高速道路の入り口に繋がる高速道路進入路56がある。
【0005】
進入道路52の各レーンには、路上ペイント61〜65が記されている。この路上ペイント61〜65は、進入道路52の進入レーン別の、交差点51を退出することができる方向を示す標識である。そして、進入道路52中の最も右の進入レーンを除く進入レーンには、直進で交差点51を退出できる旨の路上ペイントが記されている。
【0006】
上記の誘導経路は、交差点51を道なりに直進走行することになるので、従来のナビゲーション装置では、地図の拡大や音声による案内を通常行わない。しかし、一般道路55、高速道路進入路56は、この路上ペイントの直進方向に対応する道路であり、進入道路52の進入レーンのうち、最も左の2レーンから進入して直進した場合は一般道路55に抜け、左から3番目と4番目のレーンから進入して直進した場合は高速道路進入路56に抜けるようになっている。したがって、このような状況において、走行レーン案内が行われないと、運転者が誤って左から3番目と4番目のレーンから道路53に進入する操作をしてしまうことによって、意図しない高速道路に車両が入ってしまうおそれがある。
【0007】
図2に、交差点の一種である分岐点71および分岐点71に接続する進入道路72、地上道路73、地下道74の俯瞰図を示す。ここで、車両に搭載されたナビゲーション装置の誘導経路は、分岐点71において、矢印75のように、片側のみ2車線の進入道路72から進入し、片側のみ1車線の地上道路73に退出するような経路であるとする。また、地上道路73と大体同じ方向に分岐点71を退出する道路として、片側のみ2車線の、地下道74がある。
【0008】
上記の誘導経路は、分岐点71を道なりに直進走行することになるので、従来のナビゲーション装置では、地図の拡大や音声による案内を通常行わない。しかし、このような状況において走行レーン案内が行われないと、運転者が誤って右端のレーンを走行して分岐点71に進入する操作をしてしまうことによって、意図しない地下道74に車両が入ってしまうおそれがある。
【0009】
以上例示したように、交差点を同じような方向に退出する道路の一方が誘導経路の退出道路である場合に、レーン案内がないと、進入道路の進入レーンを誤ってしまし、その結果間違った道路に車両が進入してしまうおそれがある。
【0010】
本発明は上記点に鑑み、交差点を同じような方向に退出する道路の一方が誘導経路の退出道路である場合に、運転者が誤って誘導経路以外の道路に進入してしまうおそれを、従来よりも低減するようなナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明の特徴は、ナビゲーション装置が、目的地までの誘導経路中の交差点を選択し、その選択した選択交差点への誘導経路に沿った進入道路が、(1)その選択交差点の退出方向が類似で、(2)その選択交差点の退出先の道路が異なり、(3)かつその退出先の道路の1つは誘導経路に沿ったその選択交差点の退出道路であるような、複数の進入レーンを有することを判定し、その判定に基づいて、その選択交差点における走行の強調案内のための処理を行うことである。
【0012】
ここで、1つの道路に含まれる、退出方向が類似で退出先の道路が異なるような複数のレーンは、運転者の立場からすれば、その複数のレーンのうちどれか1つを走行すれば、その異なる退出先の道路のいずれにも退出できると誤解してしまうおそれの高い走行レーンである。このような複数の進入レーンについての退出先の道路の1つが、誘導経路に沿った選択交差点の退出道路であった場合には、運転者が誘導経路に退出できない進入レーンを走行して選択交差点に入ってしまうおそれがある。
【0013】
本発明に係るナビゲーション装置は、選択交差点への進入道路がそのような複数の進入レーンを有していることを判定し、その判定に基づいてその選択交差点における走行の強調案内のための処理を行うので、運転者はその選択交差点に対して特段の注意を払うことができる。したがって、交差点を同じような方向に退出する道路の一方が誘導経路の退出道路である場合に、運転者が誤って誘導経路以外の道路に進入してしまうおそれを、従来よりも低減することができる。
【0014】
また、ナビゲーション装置が、目的地までの誘導経路中の交差点を選択し、その選択交差点について、誘導経路に沿った退出道路の方向と大まかに同じ方向に退出可能な進入レーンが複数あることを判定し、さらに、その複数の進入レーンから進入した場合に選択交差点から退出することができる道路が複数あることを判定し、これらの判定に基づいて、選択交差点における走行の強調案内のための処理を行ってもよい。
【0015】
このようになっていれば、ナビゲーション装置は、誘導経路に沿った退出道路の方向と大まかに同じ方向に退出可能な進入レーンが複数あり、その複数の進入レーンから進入した場合に選択交差点から退出することができる道路が複数あるような交差点について、走行の強調案内を行うようになる。したがって、交差点を同じような方向に退出する道路の一方が誘導経路の退出道路である場合に、運転者が誤って誘導経路以外の道路に進入してしまうおそれを、従来よりも低減することができる。
【0016】
また、ナビゲーション装置は、各交差点への進入道路の進入レーン別の、その交差点を退出することができる方向を示すレーン別退出方向データを記憶する記憶媒体を有し、上記の各判定は、この記憶媒体に記憶されたレーン別退出方向データに基づいて行うようになっていてもよい。
【0017】
また、ナビゲーション装置は、目的地までの誘導経路中の交差点を選択し、その選択交差点への誘導経路に沿った進入道路が進入レーンを複数有していることを判定し、さらに、選択交差点が狭角分岐交差点であることを判定し、これらの判定に基づいて、選択交差点における走行の強調案内のための処理を行うようになっていてもよい。
【0018】
このようになっていれば、ナビゲーション装置は、進入道路が進入レーンを複数有している狭角分岐交差点について、走行の強調案内を行うようになる。したがって、交差点を同じような方向に退出する道路の一方が誘導経路の退出道路である場合に、運転者が誤って誘導経路以外の道路に進入してしまうおそれを、従来よりも低減することができる。
【0019】
また、進入道路が進入レーンを複数有しているという判定は、より詳しくは、狭角分岐交差点と判定した選択交差点についての狭角分岐道路が有する総レーン数と、その選択交差点への前記誘導経路に沿った進入道路のレーン数とが等しいことを判定するようになっていてもよい。このようになっていることで、強調案内が必要な交差点の検出をより精度よく行うことができる。
【0020】
また、強調案内としては、選択交差点における走行レーン案内および退出道路を特定する案内のすくなくともいずれか1つのための処理を行うようになっていてもよい。このようになっていることで、運転者が誤って誘導経路以外の道路に進入してしまうおそれを、さらに低減することができる。
【0021】
また、本発明は、上記の各機能をコンピュータに実現させるプログラムとしても実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図3に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す。
【0023】
車載用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13、オーディオアンプ14、スピーカ15、外部記憶媒体18、および制御回路19を有している。
【0024】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基いた、車両の現在位置や向きを特定するための情報を制御回路19に出力する。
【0025】
操作スイッチ群12は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置13の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、運転者によるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基いた信号を制御回路19に出力する。
【0026】
画像表示装置13は、制御回路19から出力された映像信号に基いた映像を運転者に表示する。表示映像としては、例えば現在地を中心とする地図等がある。
【0027】
オーディオアンプ14は、制御回路19から出力された音声信号を増幅してスピーカ15に出力する。
【0028】
外部記憶媒体18は、HDD等の不揮発性の記憶媒体であり、制御回路19が読み出して実行するプログラム、経路案内用の地図データ等を記憶している。
【0029】
地図データは、道路(リンク)および交差点(ノード)の位置情報、交差点と道路との接続関係情報、各道路の形状情報、各道路の保有レーン数情報、各道路のレーン別退出方向データ等を有している。
【0030】
レーン別退出方向データは、その道路が接続する交差点への進入レーン毎に1つのエントリを有するテーブルであり、各進入レーンのエントリは、当該交差点について、その進入レーンから進入したときに、どの方向に退出できるかを示す方向フラグを有している。方向フラグは、例えば直進、右斜め前曲折、右折、右斜め後ろ曲折、Uターン、左斜め後ろ曲折、左折、左斜め前曲折の8方向毎のオン、オフの値を有し、オンとなっている方向の道路に退出可能であることを示すデータである。このように、レーン別退出方向データは、その道路が接続する交差点への進入レーン別の、その交差点を退出することができる方向を示すデータである。
【0031】
なお、このレーン別退出方向データは、道路上の路上ペイント、道路脇のレーン表示等、道路付近に示されたレーン別の交差点退出方向を示す表示に基づいたデータである。したがって、交差点へ進入する道路付近にそのような表示がない場合には、その道路に対応する道路のレーン別退出方向データは、例えばその交差点に進入する全てのレーンについて全てがオフの方向フラグを有している等、無効なデータから成るようになっている。
【0032】
制御回路19は、図示しないRAM、ROM、CPUを有している。このCPUは、ROMおよび外部記憶媒体18から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際には上記ROM、RAM、外部記憶媒体18から情報を読み出し、RAM、外部記憶媒体18に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13およびオーディオアンプ14と信号の授受を行う。
【0033】
制御回路19のCPUがプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、誘導経路検索処理、経路案内処理等がある。
【0034】
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基いて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。
【0035】
誘導経路検索処理は、入力装置から運転者による目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な誘導経路を算出する処理である。
【0036】
経路案内処理は、外部記憶媒体18から地図データを読み出し、算出された誘導経路や現在位置等をこの地図上に重ねた画像を画像表示装置13に出力する処理である。また、経路案内処理は、誘導経路中の案内交差点毎に、画像及び音声による案内用データを作成し、これを外部記憶媒体18に記憶させておく。なお、案内交差点とは、誘導経路中、右折、左折をする交差点等の、道なりに通過しない交差点をいう。
【0037】
また、本実施形態における経路案内処理は、誘導経路中の案内交差点でない交差点(以下非案内交差点と記す)のそれぞれについて、レーン案内を行うか否かを判定し、レーン案内を行うと判定した非案内交差点については、その非案内交差点毎に、画像及び音声によるレーン案内用データを作成し、これを外部記憶媒体18に記憶させておく。
【0038】
そして、経路案内処理は、自車両が次に通過する案内交差点またはレーン案内を行う交差点の手前に来たとき、その交差点の案内用データに基づいた音声データをオーディオアンプ14に出力し、また、その交差点の案内用データに基づいた画像データを画像表示装置13に出力する。
【0039】
以下、この経路案内処理のうち、各非案内交差点についてレーン案内を行うか否かを判定し、レーン案内を行うと判定した非案内交差点のレーン案内用データを作成する、レーン案内判定・作成部分について説明する。このレーン案内判定・作成部分を実現するために、制御回路19は、図4に示すプログラム100を、誘導経路中の各交差点毎に実行するようになっている。
【0040】
このプログラム100を実行する制御回路19は、まずステップ110で、誘導経路に沿った交差点を1つ選択する。この選択した交差点を以下選択交差点と記す。
【0041】
続いてステップ120で、選択交差点が非案内交差点か否かを判定し、非案内交差点の場合は続いてステップ130を実行し、案内交差点であればプログラム100の実行を終了する。
【0042】
ステップ130では、選択交差点の手前にレーン表示があるか否かを判定する。これは、具体的には、誘導経路に沿って選択交差点へ進入する道路のレーン別退出方向データが無効なデータから成っている場合、選択交差点の手前にレーン表示がないと判定し、続いてステップ160を実行する。また、誘導経路に沿って選択交差点へ進入する道路のレーン別退出方向データが無効なデータでないデータ(すなわち有効なデータ)から成っている場合、選択交差点の手前にレーン表示があると判定し、続いてステップ140を実行する。
【0043】
例えば、図1においては、誘導経路が進入道路52から交差点51に入るようになっているので、この交差点51を選択交差点とした場合、その選択交差点の手前には路上ペイント61〜65があると判定される。また、図2においては、分岐点71を選択交差点とした場合、その選択交差点の手前にはレーン表示はないと判定される。
【0044】
なお、以降では、誘導経路に沿って選択交差点へ進入する道路を進入道路と記し、進入道路が有する、その進入道路へ入るレーンを進入レーンと記す。また、誘導経路に沿って選択交差点を退出するときに通る道路を退出道路と記す。
【0045】
ステップ140では、退出道路と大まかに同じ方向の道路に退出することができる進入レーン(以下A進入レーンと記す)が複数あるか否かを判定する。この判定は、進入道路および退出道路の形状情報、およびその進入道路のレーン別退出方向データに基づいて行う。ある進入レーンがA進入レーンであるか否かについては、進入道路から選択交差点に入る方向を進入方向とし、選択交差点から退出道路に出る方向を退出方向としたとき、進入方向に対する退出方向の相対方向と、当該進入レーンのエントリ中の方向フラグに示された、その進入レーンから選択交差点に入った場合の退出可能な方向との角度ずれを算出し、その角度ずれが所定の基準角度(例えば22.5°)以下であれば、その進入レーンは、A進入レーンであるとする。
【0046】
例えば、図1においては、交差点51に対する一般道路55の相対方向は、ほぼ直進方向となっているので、直進できる路上ペイント62〜65に対応する進入レーンはA進入レーンであり、右折しかできない路上ペイント65に対応する進入レーンはA進入レーンではない。
【0047】
なお、左折と直進の両方が可能な進入レーン等、その方向フラグ中で複数の方向がオンとなっている進入レーンについては、それらのうちのいずれか1つの方向の、上記の相対方向からの角度ずれが基準角度以下となっていれば、その進入レーンはA進入レーンであるとする。
【0048】
したがって、図1の例においては、直進および左折ができる路上ペイント61に対応する進入レーンは、A進入レーンである。
【0049】
以降、この相対方向からの角度ずれが基準角度以下となっていると判定された方向を、判定方向と記す。図1の例においては、直進方向が判定方向となる。
【0050】
A進入レーンが複数ある場合、続いてステップ150を実行し、1つ以下である場合、プログラム100の実行を終了する。
【0051】
ステップ150では、ステップ140で特定した複数のA進入レーンのいずれかから選択交差点に入って概ね判定方向に退出する場合、その退出するときに通ることのできる道路(以下A道路と記す)が複数あるか否か、すなわち、A道路が、退出道路以外にもあるかを判定する。ある道路がA道路であるか否かは、上記の判定方向と、進入道路に対するその道路の相対方向との角度ずれが所定の基準角度(たとえば22.5°)以下であるか否かで判定する。
【0052】
例えば図1の例においては、判定方向と大まかに同じ方向となっている一般道路55および高速道路進入路56が、A道路となる。A道路が複数ある場合、続いてステップ180を実行し、1つ以下の場合、プログラム100の実行を終了する。
【0053】
ステップ160では、選択交差点が狭角分岐交差点であり、その狭角分岐交差点の退出道路が、狭角分岐道路の一方であるか否かを判定する。選択交差点が狭角分岐交差点であるか否かは、選択交差点に接続する(進入道路を除いた)2つの道路の、選択交差点からそれぞれの道路に沿って距離がL(例えば100m)である2つの位置間の直線距離が、閾値距離R(例えば20m)以内であるか否かで判定する。そして、この基準を満たす2つの道路が、狭角分岐道路である。
【0054】
図2の例においては、誘導経路が矢印75に示すようになっているので、地上道路73および地下道74が狭角分岐道路であり、分岐点71は狭角分岐交差点である。
【0055】
選択交差点の退出道路が、狭角分岐道路の一方である場合、続いてステップ170を実行し、そうでない場合、続いてプログラム100の実行を終了する。
【0056】
ステップ170では、選択交差点への進入レーン数と、狭角分岐道路の退出向き側の総レーン数の合計が同じであるか否かを判定する。図2の例においては、狭角分岐道路73、74の総レーン数は2であり、進入道路72のレーン数は2であるから、ここでは同じであると判定刺される。同じである場合、続いてステップ180を実行し、同じでない場合、続いてプログラム100の実行を終了する。
【0057】
ステップ180では、選択交差点に車両が近づいたときに走行レーン案内を行うための処理として、その選択交差点をレーン案内交差点とし、その走行レーン案内を行うための音声データおよび画像データを作成して外部記憶媒体18に記憶させる。
【0058】
なお、レーン案内においては、音声または映像によって、進入レーンのいずれを走行するかについての案内を行うが、どの進入レーンを走行するように案内するかは、以下の(A)および(B)のように決定する
(A)ステップ150に続いてステップ180を実行する場合:
A道路中の退出道路の位置、各A退出道路のレーン数、進入レーン数等に基づいて決定する。例えば、図1に示した進入道路53から一般道路55に退出する誘導経路のように、退出道路55がA道路55、56のうち左側にあり、Aレーン61〜64が4レーン有しており、退出道路55が2レーン有している場合、レーン案内は、一般道路55と同じ側にあり、かつ一般道路55と同じレーン数となる左側の2レーン61、62を走行して選択交差点51に入るよう促す案内を行うようにする。なおこのとき、最左端のレーンを走行するよう促す案内を行うようにしてもよい。
【0059】
(B)ステップ170に続いてステップ180を実行する場合:
狭角分岐路片のうち、退出道路が左右どちら側にあるか、および、退出道路が片側何レーン有しているか等に基づいて決定する。例えば、図2の誘導経路75のように、退出道路73が2つの狭角分岐道路73、74のうち左側であり、また、退出道路73が退出側に1レーン有している場合、レーン案内は、地上道路73と同じ側にあり、かつ地上道路73と同じレーン数となる左側の1レーン75を走行して選択交差点71に進入するよう促す案内を行うようにする。
【0060】
ステップ180の実行の後、プログラム100の実行を終了する。
【0061】
そして、制御回路19は、経路案内処理の実行において、後に車両がそのレーン案内交差点の手前に至ったときに、レーン案内を行う。オーディオアンプ14を介してスピーカ15に出力させる走行レーン案内音声としては、例えば、「まもなく直進方向です、左側のレーンを走行してください」等の表現を用いる。また音声案内と共に、進入レーンの並びを示すためのレーン案内交差点の拡大図形、イラスト等を画像表示装置13に表示させてもよい。
【0062】
以上のようなプログラム100等を制御回路19が実行することで、車両用ナビゲーション装置1は、目的地までの誘導経路中の案内交差点を順次選択し(ステップ110参照)、その選択交差点が非案内交差点である場合(ステップ120参照)、その選択交差点への進入道路の、進入レーン別の退出可能な方向を示すレーン別退出方向データがあるか否かを判定する(ステップ130参照)。
【0063】
そして、進入レーン別退出方向データがある場合、退出道路と大まかに同じ方向に退出できるA進入レーンが複数あり(ステップ140参照)、かつそれらのA進入レーンから退出できる道路が複数ある場合(ステップ150参照)、選択交差点をレーン案内交差点とし、そのレーン案内のための処理を行う(ステップ180参照)。
【0064】
このようになっているので、車両用ナビゲーション装置1は、誘導経路に沿った退出道路の方向に退出可能な進入レーンが複数あり、その複数の進入レーンから進入した場合に選択交差点から退出することができる道路が複数あるような交差点について、走行レーン案内を行うようになる。したがって、交差点を同じような方向に退出する道路の一方が誘導経路の退出道路である場合に、運転者が誤って誘導経路以外の道路に進入してしまうおそれを、従来よりも低減することができる。
【0065】
なお、ステップ140の、退出道路と大まかに同じ方向に退出できるA進入レーンが複数あるという判定は、選択交差点における退出方向が互いに類似である進入レーンが複数あり、かつその退出方向は選択交差点から退出道路への方向と大まかに同じであるという判定でもある。また、ステップ150の、A進入レーンから退出できる道路が複数あるという判定は、これら退出方向が類似であるA進入レーンの退出先の道路が異なるという判定でもある。
【0066】
また、複数の進入レーンの退出方向が退出道路の方向と大まかに同じであるということは、これら進入レーンの退出先の道路の1つは退出道路である可能性が高い、というアイディアに基づけば、ステップ140の、それら進入レーンの退出方向は退出道路の方向と大まかに同じであるという判定は、それら進入レーンの退出先の道路の1つは退出道路であることの判定に相当する。
【0067】
また、進入レーン別退出方向データがない場合、選択交差点が狭角分岐となっており(ステップ160参照)、かつ進入レーン数と狭角分岐道路の総レーン数が同じである場合(ステップ170参照)、選択交差点をレーン案内交差点とし、そのレーン案内のための処理を行う(ステップ180参照)。
【0068】
このようになっているので、車両用ナビゲーション装置1は、狭角分岐交差点と判定した選択交差点についての各狭角分岐道路が有する総レーン数と、その選択交差点への誘導経路に沿った進入道路のレーン数とが等しいことに基づいて、走行の強調案内を行うようになる。したがって、交差点を同じような方向に退出する道路の一方が誘導経路の退出道路である場合に、運転者が誤って誘導経路以外の道路に進入してしまうおそれを、従来よりも低減することができる。
【0069】
なお、選択交差点が狭角分岐道路であり、選択交差点への進入レーンが複数あるということは、選択交差点の退出方向が類似である複数の進入レーンがあることに相当する。また、選択交差点への進入レーン数と狭角分岐道路の各進入レーン数の合計レーン数が同じであれば、進入レーンから、どの狭角分岐道路の各レーンに退出できるかは、それらの位置関係によって1対1に対応する可能性が高いというアイディアに基づけば、選択交差点への進入レーン数と狭角分岐道路の各進入レーン数の合計レーン数が同じであるということは、それら進入レーンからの退出先の道路が異なることに相当する。また、退出道路が分岐道路であるということは、それら複数の進入レーンの1つは退出道路であるということに相当する。
【0070】
なお、上記の実施形態において、制御回路19が、プログラム100のステップ110および120を実行することで、選択手段として機能する。
【0071】
また、上記の実施形態において、制御回路19が、プログラム100のステップ130、140、150、160、および170を実行することで、判定手段として機能する。
【0072】
また、上記の実施形態において、制御回路19が、プログラム100のステップ140を実行することで、第1判定手段として機能する。
【0073】
また、上記の実施形態において、制御回路19が、プログラム100のステップ150を実行することで、第2判定手段として機能する。
【0074】
また、上記の実施形態において、制御回路19が、プログラム100のステップ170を実行することで、第3判定手段として機能する。
【0075】
また、上記の実施形態において、制御回路19が、プログラム100のステップ160を実行することで、第4判定手段として機能する。
【0076】
また、上記の実施形態において、制御回路19が、プログラム100のステップ180を実行することで、処理手段として機能する。
【0077】
また、上記の実施形態においては、車両用ナビゲーション装置1は、プログラム100のステップ130および140において、レーン別退出方向データ、および選択交差点に接続している退出道路等の道路の方向の情報に基づいて、その選択交差点をレーン案内交差点とするようになっているが、必ずしもこのようになっている必要はない。
【0078】
例えば、車両用ナビゲーション装置1は、ある道路から交差点に進入し、その交差点に接続している他の道路へと退出する場合についての情報であって、進入道路の各レーンと、そのレーンからその交差点に入って退出することが許されている退出先の道路との対応関係を示すレーン−退出先道路対応データを有し、これを用いてステップ140および150に代わる処理を行ってもよい。具体的には、選択交差点が非案内交差点であった場合に、(1)その選択交差点への進入道路についてのレーン−退出先道路対応データに基づいて、選択交差点から退出道路に退出できる進入レーンを特定し、(2)レーン別退出方向データの方向フラグにおいてその特定した進入レーンと同じ方向についてオンとなっており、かつレーン−退出先道路対応データにおいて、退出道路に退出できないとなっている進入レーンを、その進入道路が有しているか否か判定し、(3)有していれば、ステップ180を実行するようになっていてもよい。
【0079】
この場合、レーン別退出方向データの方向フラグにおいてその特定した進入レーンと同じ方向についてオンなっている他の進入レーンがあるということは、選択交差点の退出方向が類似である複数の進入レーンがあり、かつその退出先の道路の1つは退出道路であることに相当する。また、当該他の進入レーンが、退出道路に退出できないということが、それら複数の親友レーンについて、選択交差点の退出先の道路が異なっていることに相当する。
【0080】
このように、車両用ナビゲーション装置1は、選択交差点への進入道路が、その選択交差点の退出方向が類似でその選択交差点の退出先の道路が異なり、かつその退出先の道路の1つは前記誘導経路に沿った前記選択交差点の退出道路であるような、複数の進入レーンを有することを判定し、その判定に基づいて、選択交差点の強調案内を行うようになっていれば足りる。
【0081】
また、上記の実施形態においては、車両用ナビゲーション装置1は、プログラム100のステップ180で、当該選択交差点において走行方向案内およびレーン案内のための処理を行うようになっているが、必ずしもこのようになっている必要はない。例えば、「まもなく直進方向です、左側のレーンに入って一般道に抜けてください」といった音声案内等、走行方向案内、レーン案内、および退出道路案内を行うようになっていてもよい。また、「まもなく直進方向です、一般道に抜けてください」といった音声案内等、走行方向案内および退出道路案内を行うようになっていてもよい。このように、レーン案内を行わなくとも、運転者は退出道路の案内を受けることで、誤って誘導経路以外の道路に進入してしまうおそれが低減する。また、「まもなく直進方向です」といった音声案内等、走行方向案内のみを行うようになっていてもよい。このように、レーン案内も退出道路案内も行わなくとも、運転者は、その選択交差点について、音声案内、交差点拡大図表示等の通常よりも強調された案内を受けることで、その交差点についてより注意する。したがって、車両用ナビゲーション装置1からの情報だけではどの進入レーンに入ればいいのかが明確にわからなくとも、誤って誘導経路以外の道路に進入してしまうおそれが低減する。すなわち、ステップ180では、その選択交差点の強調案内のための処理を行えば足りる。
【0082】
また、上記の実施形態においては、車両用ナビゲーション装置1は、プログラム100のステップ170の判定によって、選択交差点への進入レーン数と、狭角分岐道路の各レーン数の合計が同じである場合に、その選択交差点の強調案内のための処理を行うようになっているが、必ずしもこのようになっておらずともよい、例えば、ステップ170で、選択交差点への進入レーン数が複数あれば、ステップ180でその選択交差点の強調案内のための処理を行うようになっていれば足りる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】交差点51およびその交差点に接続する道路52〜56の俯瞰図である。
【図2】分岐点71および分岐点71に接続する道路72〜74の俯瞰図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成図である。
【図4】制御回路19が実行するプログラム100のフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
1…車両用ナビゲーション装置、11…位置検出器、12…操作スイッチ群、
13…画像表示装置、14…オーディオアンプ、15…スピーカ、
18…外部記憶媒体、19…制御回路、51…交差点、52…進入道路、
53、54…道路、55…一般道路、56…高速道路進入路、
61〜65…路上ペイント、71…分岐点、72…進入道路、73…地上道路、
74…地下道、75…誘導経路、100…プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの誘導経路中の交差点を選択する選択手段と、
前記選択手段が選択した選択交差点への前記誘導経路に沿った進入道路が、(1)その選択交差点の退出方向が類似で、(2)その選択交差点の退出先の道路が異なり、(3)かつその退出先の道路の1つは前記誘導経路に沿った前記選択交差点の退出道路であるような、複数の進入レーンを有することを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定に基づいて、前記選択交差点における走行の強調案内のための処理を行う処理手段と、を備えたナビゲーション装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記選択手段が選択した選択交差点について、前記誘導経路に沿った退出道路の方向と大まかに同じ方向に退出可能な、前記誘導経路に沿った進入レーンが複数あることを判定する第1判定手段と、前記第1判定手段が複数あると判定した対象の進入レーンから進入した場合に前記選択交差点から退出することができる道路が複数あることを判定する第2判定手段と、を有し、
前記処理手段は、前記第1判定手段および前記第2判定手段の判定に基づいて、前記選択交差点における走行の強調案内のための処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
各交差点への進入道路の進入レーン別の、その交差点を退出することができる方向を示すレーン別退出方向データを記憶する記憶媒体を有し、
前記第1判定手段は、前記記憶媒体に記憶された前記レーン別退出方向データに基づいて、前記選択手段が選択した選択交差点について、前記誘導経路に沿った退出道路の方向と大まかに同じ方向に退出可能な、前記誘導経路に沿った進入レーンが複数あることを判定し、
前記第2判定手段は、前記記憶媒体に記憶された前記レーン別退出方向データに基づいて、前記第1判定手段が複数あると判定した対象の進入レーンから進入するときに、前記対象交差点から退出することができる道路が複数あることを判定することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記選択手段が選択した選択交差点への前記誘導経路に沿った進入道路が進入レーンを複数有していることを判定する第3判定手段と、前記選択交差点が狭角分岐交差点であることを判定する第4判定手段と、を有し、
前記処理手段は、前記第3判定手段および前記第4判定手段の判定に基づいて、前記選択交差点における走行の強調案内のための処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記第3判定手段は、前記第4判定手段が狭角分岐交差点と判定した選択交差点についての狭角分岐道路が有する総レーン数と、その選択交差点への前記誘導経路に沿った進入道路のレーン数とが等しいことを判定することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記処理手段は、前記判定手段の判定に基づいて、前記選択交差点における走行レーン案内および前記退出道路を特定する案内のすくなくともいずれか1つのための処理を行うことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
目的地までの誘導経路中の交差点を選択する選択手段、
前記選択手段が選択した選択交差点への前記誘導経路に沿った進入道路が、その選択交差点の退出方向が類似でその選択交差点の退出先の道路が異なり、かつその退出先の道路の1つは前記誘導経路に沿った前記選択交差点の退出道路であるような、複数の進入レーンを有することを判定する判定手段、および
前記判定手段の判定に基づいて、前記選択交差点における走行の強調案内のための処理を行う処理手段として、コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項8】
目的地までの誘導経路中の交差点を選択する選択手段、
前記選択交差点への前記誘導経路に沿った進入道路が進入レーンを複数有していることを判定する第1判定手段、
前記選択手段が選択した選択交差点が狭角分岐交差点であることを判定する第2判定手段、および
前記第1判定手段および前記第2判定手段の判定に基づいて、前記選択交差点における走行レーン案内のための処理を行う処理手段として、コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項9】
目的地までの誘導経路中の交差点を選択する選択手段、
前記選択交差点への前記誘導経路に沿った進入道路が進入レーンを複数有していることを判定する第3判定手段、
前記選択手段が選択した選択交差点が狭角分岐交差点であることを判定する第4判定手段、および
前記第3判定手段および前記第4判定手段の判定に基づいて、前記選択交差点における走行レーン案内のための処理を行う処理手段として、コンピュータを機能させるプログラム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−58079(P2006−58079A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238641(P2004−238641)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】