説明

ナンナビノイド受容体リガンドとしてのイミダゾピリジン誘導体

本発明は、新規イミダゾピリジン誘導体、これらの化合物を含有する医薬組成物およびカンナビノイド受容体の活性における増加または減少により直接的または間接的に引き起こされる疾患、特に疼痛の治療におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イミダゾピリジン誘導体、これらの化合物を含有する医薬組成物およびカンナビノイド受容体の活性の増加または減少により直接的または間接的に引き起こされる疾患、特に疼痛の治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カンナビノイドは、約60の異なる分子を含む、大麻(Indian cannabis)(Cannabis sativa)において存在する精神活性化合物の特定の種類であり、最も代表的なものは、カンナビノール、カンナビジオールおよびテトラヒドロカンナビノールのいくつかの異性体である。大麻の治療活性の知見は、古代中国王朝までさかのぼり、この時代では、5000年前であるが、大麻は喘息、片頭痛およびある婦人科疾患の治療に用いられていた。これらの使用は、後に確立されるようになり、1850年ごろ、大麻抽出物は米国薬局方に掲載され、1947年まで掲載されていた。
【0003】
カンナビノイドは、様々な系および/または臓器に対して異なる効果をもたらすことが知られ、最も重要なのは、中枢神経系および心臓血管系に対するものである。これらの効果は、記憶力および認識、絶頂感、および鎮静状態における変化を包含する。カンナビノイドはさらに、心拍数を増加させ、全身動脈圧を変化させる。気管支狭窄、免疫修飾、および炎症に関する末梢効果も観察されている。カンナビノイドが眼内圧を低下させ、呼吸器系および内分泌系に影響を及ぼす可能性も文書で十分に立証されている。例えば、L.E. Hollister、Health Aspects of Cannabis、Pharmacological Reviews、第38巻、pp.1−20、(1986)参照。最近になって、カンナビノイドは、細胞性および液性免疫反応を抑制し、抗炎症性を示すことが判明した。Wirthら、Anti−inflammatory properties of Cannabichrome、Life Science、第26巻、pp.1991−1995(1980)。
【0004】
前記利点にもかかわらず、大麻の治療上の使用は、その関連する精神活性効果(依存症および中毒を引き起こす)のため、および未だ完全に解明されていない種々の副作用のために、賛否両論がある。この分野における研究は1940年代から継続しているが、カンナビノイドの末梢効果が直接媒介され、CNS効果に伴うものでないことを示す証拠は、受容体キャラクタライゼーションがないこと、内因性カンナビノイドリガンドに関する情報がないこと、および最近まで受容体サブタイプ選択性化合物が無いことにより限定されていた。
【0005】
第一のカンナビノイド受容体は主に脳、神経細胞株において、およびそれほどではないにせよ、末梢レベルにおいて見出された。その位置を考慮して、これは中心受容体(CB1)と呼ばれる。Matsudaら、“Structure of a Cannabinoic Receptor and Functional Expression of the Cloned cDNA,“ Nature、第346巻、pp.561−564 (1990)参照。第二のカンナビノイド受容体(CB2)は脾臓において同定され、カンナビノイドの非精神活性効果を調節すると推測された。Munroら、“Molecular Characterization of a PeripheralReceptor for Cannabinoids,“ Nature、第365巻、pp. 61−65 (1993)参照。
【0006】
免疫系におけるCB2受容体の前記兆候および選択的局在は、様々な原因の刺激に対する免疫および抗炎症反応の調節におけるCB2の特異的役割を裏付ける。
疼痛に罹っている患者集団の総数は膨大(ほぼ3億人)であり、背痛、骨関節炎疼痛および術後疼痛を患っている者が多数派を占める。神経因性疼痛(神経病変、例えば、糖尿病、HIV、ヘルペス感染、または卒中により誘発されるものと関連する)は、低頻度であるが、癌性疼痛と同様に依然としてかなりの有病率である。
【0007】
疼痛症状を引き起こす発症のメカニズムは、大きく二つに分類できる:
−炎症組織応答の成分であるもの(炎症性痛覚);
−ある形態の神経病変の結果生じるもの(神経因性疼痛)。
慢性炎症性痛覚は主に変形性関節炎、慢性腰痛および関節リウマチからなる。疼痛は、急性および持続性傷害および/または炎症の結果生じる。これらは自発性および誘発性疼痛の両方であり得る。
生理的過剰興奮性およびこの過剰興奮性をさらに促進する、炎症性メディエータの放出の結果としての病的過敏性が根底にある。CB2受容体は、炎症細胞(T細胞、B細胞、マクロファージ、肥満細胞)上で発現され、細胞間相互作用/炎症性メディエータ放出の抑制により免疫抑制に介在する。CB2受容体はまた、感覚神経末端上で発現され、従って、痛覚過敏症を直接抑制することができる。
【0008】
最近になって、データは、CNSにおけるCB2受容体活性化についての役割を示唆している。最近まで、CB2受容体は周辺に限定されると考えられていたが、新たなデータは、ラット脊髄におけるCB2受容体の誘発が介在する炎症性痛覚する誘発を示唆し、これは活性化小膠細胞の出現と同時に起こる(Zhangら、2003)。さらに、CB2受容体作動薬は、炎症性痛覚の動物モデルにおける機械的に誘発された応答および脊髄後角におけるワイドダイナミックレンジニューロンのワインドアップを減少させる(Zhangら、2003、Eur J.Neurosci.17:2750−2754、Nackleyら、2004、J.Neurophys.92:3562−3574、Elmesら、2004、Eur.J.Neurosci.20:2311−2320)。
【0009】
免疫修飾、炎症、骨粗鬆症、心臓血管、腎臓および他の病状におけるCB2の役割を調べる。
前記事項に基づいて、CB2受容体に対する活性を有する化合物が必要とされる。従って、CB2モジュレータは、免疫障害、炎症、骨粗鬆症、腎臓虚血および他の病態生理学的状態の薬物療法に対する独自の手法を提供すると考えられる。
WO04/018433、WO04/018434、WO04/029027およびWO04/029026(全て、Glaxo Group Limited名義)は、カンナビノイド受容体の活性における増加または減少により直接的または間接的に引き起こされる疾患の治療において有用なピリミジンおよびピリジン誘導体を記載する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、式(I)の新規イミダゾピリジン誘導体およびその医薬上許容される誘導体、これらの化合物または誘導体を含有する医薬組成物、および様々な障害の治療において有用なCB2受容体モジュレータとしてのその使用を提供する。
本発明はさらに、ヒトを包含する動物において、CB2受容体が介在する疾患を治療する方法であって、これを必要とする動物に、有効で非毒性量の式(I)またはその医薬上許容される誘導体を投与することを含む方法を含む。
【0011】
カンナビノイドが、異なる機能的効果を調節できる受容体に作用するという事実に照らして、またCB2およびCB1間の低い相同性を考慮して、特異的受容体サブタイプに対して選択的な薬剤の種類が望ましい。現在入手可能な天然または合成カンナビノイドは、両受容体に対して活性であるので、この機能を果たさない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1つの実施形態において、本発明は、カンナビノイドの受容体、従って、かかる受容体に関連する病状を選択的に調節できる化合物を包含する。
【0013】
本発明は、式(I):
【化1】

[式中:
はNRまたはOであり;
は、水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキルおよびハロ置換C1−6アルキルから選択され;
は、水素または(CHであるか(ここで、mは0または1である);
あるいはRおよびRは、これらが結合しているNと一緒になって、任意に置換されていてもよい4ないし8員非芳香族ヘテロサイクリル環を形成し;
は、4ないし8員非芳香族ヘテロサイクリル基、C3−8シクロアルキル基、直鎖または分岐鎖C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C3−8シクロアルケニル、C2−10アルキニル、C3−8シクロアルキニルまたはフェニル基(そのいずれかは置換されていなくても、されていてもよい)、またはRであり;
は、水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、ハロ置換C1−6アルキル、COCH、およびSOMeから選択され;
【0014】

【化2】

(式中、pは0、1または2であり、XはCH、O、S、またはSOである)であり;
は、非置換または置換フェニル、非置換または置換C3−6シクロアルキルあるいは非置換または置換4ないし8員非芳香族ヘテロサイクリル環であり;
は、OH、C1−6アルコキシ、NR8a8b、NHCOR、NHSOまたはSOqRであり;
8aは、HまたはC1−6アルキルであり;
8bは、HまたはC1−6アルキルであり;
は、C1−6アルキルであり;
10は、水素、置換または非置換(C1−6)アルキルまたはクロロであり;
12は、水素またはC1−6アルキルであり;
13は、水素またはC1−6アルキルであり;
qは、0、1または2である]
の化合物、あるいはその医薬上許容される誘導体を提供する。
【0015】
1つの実施形態において、Rは水素である。
1つの実施形態において、Rは(CHであり、ここで、mは0または1である。
1つの実施形態において、XはNRである。
1つの実施形態において、XはOである。
【0016】
またはRが独立して、非芳香族ヘテロサイクリル基から選択される場合、環は1、2、3、または4個のヘテロ原子を含有し得る。1つの実施形態において、ヘテロ原子は、酸素、窒素または硫黄から選択される。4員基の例は、2−または3−アゼチジニル、オキセタニル、チオキセタニル、チオキセタニル−s−オキシドおよびチオキセタニル−s,s−ジオキシドである。この場合における5員ヘテロサイクリル基の例は、ジオキソラニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオフェニル−s,s−ジオキシドおよびテトラヒドロチオフェニル−s−オキシドを包含する。6員ヘテロサイクリル基の例は、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオピラニル−s,s−ジオキシド、チオモルホリニル、チオモルホリニル−s,s−ジオキシド、テトラヒドロピリジニル、ジオキサニル、テトラヒドロチオピラン−1,1−ジオキシドおよびテトラヒドロチオピラン−1−オキシドである。7員ヘテロサイクリル環の例は、アザピンまたはオキサピンである。8員基の例は、アザシクロオクタニル、アザオキサシクロオクタニルまたはアザチアシクロオクタニル、オキサシクロオクタニル、チアシクロオクタニルおよびアザチアシクロオクタニル−s−オキシド、アザチアシクロオクタニル−s,s−ジオキシド、チアシクロオクタニル−s,s−ジオキシド、およびチアシクロオクタニル−s−オキシドである。
【0017】
1つの実施形態において、Rは非置換または置換C1−6アルキル基である。
1つの実施形態において、RはC1−6アルキルまたは水素、例えば、メチルまたは水素である。
1つの実施形態において、Rは水素である。
【0018】
およびRは、これらが結合しているNと一緒になって任意に置換されていてもよい非芳香族ヘテロサイクリル環を形成する場合、この環は、任意に、1、2、3または4個のさらなるヘテロ原子を含有してもよい。環は飽和であっても、不飽和であってもよい。1つの実施形態において、さらなるヘテロ原子は、酸素、窒素または硫黄から選択される。4員ヘテロサイクリル環の例は、アゼチジニルである。5員ヘテロサイクリル環の例は、ピロリジニルおよびピラゾリジニルである。6員ヘテロサイクリル環の例は、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピリジニル、チオモルホリン−s,s−ジオキシド、チオモルホリニルおよびチオモルホリニル−s−オキシドである。7員ヘテロサイクリル環の例は、アザピンまたはオキサピンである。8員ヘテロサイクリル環の例は、アザシクロオクタニル、アザオキサシクロオクタニルまたはアザチアシクロオクタニルである。
【0019】
1つの実施形態において、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、モルホリニル、ピロリジニルまたはピペリジニル環を形成する。もう一つ別の実施形態において、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、モルホリニル環を形成する。
1つの実施形態において、Rは非置換または置換フェニルである。
1つの実施形態において、RはOHである。
【0020】
1つの実施形態において、R10は水素である。
1つの実施形態において、R12はメチルまたは水素である。もう一つ別の実施形態において、R12はメチルである。
1つの実施形態において、R13はメチルまたは水素である。もう一つ別の実施形態において、R13は水素である。
【0021】
が置換されている場合、1、2または3個の置換基で置換されていてもよく、置換基は:C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、例えば、トリフルオロメチル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロ、C1−6アルキルスルホニル基、−CONH、−NHCOCH、−COOH、ハロ置換C1−6アルコキシ、例えば、トリフルオロメチルオキシおよびSONR8a8b(ここで、R8aおよびR8bは前記定義のとおりである)から選択される。
【0022】
1つの実施形態において、Rは1または2個の置換基により置換されている。
1つの実施形態において、Rは、ハロ、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、メトキシおよびトリフルオロメトキシから選択される置換基により置換されている。
1つの実施形態において、Rは、ハロ、例えば、クロロにより置換されている。もう一つ別の実施形態において、Rは3−クロロフェニルである。
【0023】
およびRが、これらが結合しているNと一緒になって、置換された、4ないし8員非芳香族ヘテロサイクリル環を形成する場合、あるいは、Rが置換されている場合、置換基は:C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ基、ハロ置換C1−6アルキル、例えば、トリフルオロメチル、ハロ置換C1−6アルコキシ、例えば、トリフルオロメチルオキシ、シアノ基、ハロまたはスルホニル基、メチルスルホニル、NR8a8b、CONH、NHCOCH、(=O)、COOH、CONHCH、CON(CHおよびNHSOCH(ここで、R8aおよびR8bは前記の通りである)から選択される。
【0024】
およびR2が、これらが結合しているNと一緒になって、置換された4ないし8員非芳香族ヘテロサイクリル環を形成する場合、あるいはRが置換されている場合、置換基は1、2または3個の置換基であり得る。
10が置換されている場合、置換基はハロゲンから選択される。
【0025】
1つの実施形態において、本発明は式(Ia):
【化3】

【0026】
[式中:
はNRであり;
は水素であり;
は(CH(ここで、mは0または1)であるか;
あるいはRおよびRは、これらが結合しているNと一緒になって、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル環(そのいずれかは置換されていなくても、置換されていてもよい)を形成し;
は非置換または置換直鎖または分岐鎖C1−6アルキルであり;
は水素またはメチルであり、
は非置換または置換フェニルであり;
12は水素またはメチルである]
の化合物およびその医薬上許容される誘導体である。
【0027】
ある実施形態において、式(I)の化合物は、CB1よりもCB2に対して選択性を示す。
1つの実施形態において、式(I)の化合物は、クローンされたヒトカンナビノイドCB2受容体で、クローンされたヒトカンナビノイドCB1受容体の少なくとも50倍のEC50値、および/またはCB1受容体で10%未満の有効性を有する。
【0028】
1つの実施形態において、式(I)の化合物は、クローンされたヒトカンナビノイドCB2受容体で、クローンされたヒトカンナビノイドCB1受容体でのEMRの少なくとも5倍のEMR値を有する。もう一つ別の実施形態において、式(I)の化合物はローンされたヒトカンナビノイドCB2受容体で、クローンされたヒトカンナビノイドCB1受容体のEMR値の少なくとも10倍のEMR値を有する。EMRは等しく有効なモル比を有し、値は、以下に記載される式から計算することができる。
【0029】
式(I)の化合物は、化合物が哺乳動物に経口投与された場合に、CB2の作動薬である先に公開された化合物よりも、さらに有効である、および/またはさらに可溶性である、および/またはさらに生物学的利用可能性である、および/または暴露においてより直線的な増加をもたらす。
【0030】
本発明は、特に記載しない限り、以下の定義を用いて記載される。
「医薬上許容される誘導体」なる用語は、式(I)の化合物の任意の医薬上許容される塩、エステル、かかるエステルまたは溶媒和物の塩(塩の溶媒和物、エステル、またはエステルの塩を包含する)、あるいは受容者に投与されると式(I)の化合物またはその活性代謝産物または残基を(直接的または間接的に)提供できる任意の他の化合物を意味する。1つの実施形態において、医薬上許容される誘導体は、式(I)の化合物の塩または溶媒和物である。
【0031】
式(I)の化合物は、化合物中の官能基のいずれかで、その医薬上許容される誘導体を提供するために修飾することができ、式(I)の化合物は1より多くの位置で誘導化できることは当業者には理解されるであろう。
【0032】
製薬学的用途に関して、前記の塩、エステル、エステルの塩および溶媒和物は生理学的に許容される塩、エステル、エステルの塩および溶媒和物であるが、他の塩、エステル、エステルの塩および溶媒和物を式(I)の化合物および生理的に許容される塩、エステル、エステルの塩およびその溶媒和物の調製において利用できることは理解されるであろう。医薬上許容される塩は、BighleyおよびMonkhouse、J.Pharm.Sci.、1977、66、1−19により記載されているものを包含する。「医薬上許容される塩」なる用語は、無機塩基および有機塩基を包含する医薬上許容される非毒性塩基から調製される塩を包含する。無機塩基由来の塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを包含する。医薬上許容される有機非毒性塩基から誘導される塩は、第一、第二、および第三アミンの塩、置換アミン、例えば、天然に存在する置換アミン、環状アミン、および塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリスヒドロキシルメチルアミノメタン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどを包含する。本発明の化合物が塩基性である場合、塩は、無機および有機酸を包含する医薬上許容される非毒性酸から調製することができる。かかる酸は、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などを包含する。
【0033】
医薬上許容される塩の例は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、およびナトリウム塩、およびマレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、パモン酸、コハク酸、塩酸、硫酸、ビスメチレンサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、リン酸および硝酸から形成されるものを包含する。
【0034】
「ハロゲンまたはハロ」なる用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表すために用いられる。
基または基の一部としての「アルキル」なる用語は、直鎖または分岐鎖アルキル基またはその組み合わせ、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、1,1−ジメチルエチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルまたはその組み合わせを意味する。
【0035】
基または基の一部としての「アルコキシ」なる用語は、鎖に結合した酸素原子を有する直鎖、分岐または環状鎖アルキル基、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ基、i−ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ基、シクロペントキシまたはシクロヘキシルオキシ基を意味する。
【0036】
「シクロアルキル」なる用語は、飽和閉環、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチル、またはシクロオクチルを意味する。
基または基の一部としての「アルケニル」なる用語は、1以上の二重結合を含有する直線状または分岐炭素鎖またはその組み合わせ、例えば、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルまたはヘプテニル、またはオクテニルを意味する。
【0037】
「シクロアルケニル」なる用語は、1以上の二重結合を含有する閉鎖非芳香族炭素環、例えば、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルまたはシクロヘプテニル、またはシクロオクテニルを意味する。
基または基の一部としての「アルキニル」なる用語は、1以上の三重炭素結合を含有する直線状または分岐炭素鎖またはその組み合わせ、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはその組み合わせを意味する。
【0038】
「シクロアルキニル」なる用語は、1以上の三重炭素結合を含有する閉鎖非芳香族炭素環、例えば、シクロプロピニル、シクロブチニル、シクロペンチニル、シクロヘキシニルまたはその組み合わせを意味する。
「アリール」なる用語は、5または6員芳香族環、例えば、フェニル、または7から12員二環式環系であって、環の少なくとも1つが芳香族であるもの、例えば、ナフチルを意味する。
【0039】
本発明はさらに、本発明の化合物の調製法ならびにここで用いられる中間体(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)および(VII)も提供する。
【0040】
式(I)の化合物はスキーム1:
スキーム1:
【化4】

【0041】
(式中、LGおよびLGは脱離基、例えば、ハロ、たとえば、塩素であり、LGは脱離基、例えば、C1−6アルキル、たとえば、メチルまたはエチルであり、PGは水素またはアルカリ金属イオン、たとえば、Naであり、X、R、R、R、R12およびR13は式(I)の化合物について定義した通りである)
に記載されたようにして調製できる。
【0042】
本発明は、全ての幾何異性体、互変異性体および光学形態、ならびにその混合物(例えば、ラセミ混合物)を包含する式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体の全ての異性体を包含すると理解される。追加のキラル中心が式(I)の化合物中に存在する場合、本発明は、その範囲内に、その混合物を包含する全ての可能なジアステレオ異性体を含む。異なる異性体形態を慣用法により互いに分離または分割することができるか、または任意の所定の異性体を通常の合成法あるいは立体特異的または不斉合成により得ることができる。
【0043】
本発明はさらに、同位体で標識された化合物であって、1以上の原子が、天然において通常見られる原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有するもので置換されているという事実以外は、式(I)とそれに続くものにおいて記載されたものと同じものを包含する。本発明の化合物中に組み入れることができる同位元素の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、ヨウ素、および塩素、例えば、H、11C、14C、18F、123Iおよび125Iの同位元素を包含する。
【0044】
本発明の化合物および前記同位元素および/または他の原子の他の同位元素を含有する前記化合物の医薬上許容される塩は、本発明の範囲内に含まれる。同位体で標識された本発明の化合物、例えば、放射性同位元素、例えば、H、14Cが組み入れられたものは、薬物および/または基質組織分布分析において有用である。トリチウム化、すなわち、H、および炭素−14、すなわち、14C、同位元素は、調製の容易性および検出能のために特に好ましい。11CおよびF同位元素はPET(陽電子放出断層撮影法)において特に有用であり、125I同位元素は、SPECT(単光子放射型コンピュータ断層撮影法)において特に有用であり、全て、脳撮像において有用である。さらに、より重い同位元素、例えば、重水素、すなわち、Hでの置換は、より高い代謝安定性、例えば、インビボ半減期の増加または必要な用量の減少の結果生じる、ある治療上の利点をもたらすことができ、従って、いくつかの状況において好ましい。同位元素で標識された本発明の式(I)およびそれに続く化合物は、容易に入手可能な同位元素により標識された試薬を同位元素で標識されていない試薬と置換することにより、スキームおよび/または以下の実施例において開示された手順を行うことにより一般に調製することができる。
【0045】
式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体は、結晶または非結晶形態において調製することができ、結晶であるならば、任意に溶媒和することができる。本明細書における溶媒和物の言及は、水和物を包含する。本発明はその範囲内に、化学量論的溶媒和物(水和物を包含する)ならびに様々な量の水および/または溶媒を含有する化合物を含む。
【0046】
CB2受容体と結合するその能力を考慮して、本発明の化合物は、下記の障害の治療において有用であると考えられる。従って、式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体は鎮痛剤として有用である。例えば、これらは、疾患変容の特性および関節構造維持;筋骨格系疼痛;腰痛および頸痛;ねんざおよび挫傷;神経因性疼痛;交感神経依存性疼痛;筋炎;癌および線維筋痛に関連する疼痛;片頭痛に関連する疼痛;インフルエンザまたは他の感染症、例えば、風邪に関連する疼痛;リウマチ熱;機能性腸疾患、例えば、非潰瘍性消化不良、非心臓性胸痛および過敏性腸症候群と関連する疼痛;心筋虚血と関連する疼痛;術後疼痛;頭痛;歯痛;および月経困難症を包含する慢性炎症性痛覚(例えば、関節リウマチ、変形性関節炎、リウマチ様脊椎炎、通風性関節炎および若年性関節炎と関連する疼痛)の治療において有用である。
【0047】
本発明の化合物はさらに、多発性硬化症、関節リウマチ、変形性関節症、リウマチ様脊椎炎、通風性関節炎および若年性関節炎において疾患修飾または関節構造維持特性を有する。
【0048】
本発明の化合物は、神経因性疼痛の治療において特に有用である。神経因性疼痛症候群は、ニューロン損傷後に発現し、結果としての疼痛は数ヶ月または数年、さらにははじめの損傷が治癒した後でさえも持続し得る。ニューロン損傷は、末梢神経、後根、脊髄または脳のある領域において起こり得る。神経因性疼痛症候群は伝統的には、疾患またはこれに関与する事象に従って分類される。神経因性疼痛症候群は:糖尿病性神経障害;坐骨神経痛;非特異的腰痛;多発性硬化症疼痛;線維筋痛;HIV関連神経障害;ヘルペス後神経痛;三叉神経痛;および身体外傷、切断、癌、毒素または慢性炎症性状態の結果生じる疼痛を包含する。これらの状態は、治療するのが困難であり、いくつかの薬物が限定された有効性を有することが知られているが、完全な疼痛の制御はほとんど達成されない。神経因性疼痛の症状は信じられないほど不均一であり、しばしば自発的なうずくような痛みおよび電撃痛、あるいは継続する灼熱痛として記載される。加えて、通常の痛みを伴わない感覚、例えば、「しびれ」(錯感覚および感覚異常)、さわられた時の感受性の増大(知覚過敏)、無害な刺激後の痛みを伴う感覚(動的、静的または熱感異痛)、有害な刺激に対する感受性増加(熱、冷気、機械的痛覚過敏症)、刺激を取り除いた後に継続する痛覚(痛覚過敏)または選択的感覚経路の不在または欠損(痛覚鈍麻)がある。
【0049】
式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体はまた熱の治療においても有用である。
【0050】
式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体はさらに、炎症の治療、例えば、皮膚疾患の治療(例えば、日焼け、熱傷、湿疹、皮膚炎、乾癬);眼疾患、例えば、緑内障、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎の治療および眼組織に対する急性傷害の治療(例えば、結膜炎);肺障害(例えば、喘息、気管支炎、肺気腫、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、ハト愛好家疾患、農夫肺、慢性閉塞性肺疾患(COPD);胃腸系障害(例えば、アフター性潰瘍、クローン病、アトピー性胃炎、変形性胃炎(gastritis varialoforme)、潰瘍性大腸炎、セリアック病、限局性回腸炎、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、胃食道逆流性疾患);臓器移植;炎症性成分に関連する他の疾患、例えば、血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、強皮症、重症筋無力症、多発性硬化症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、心筋虚血、発熱、全身性エリテマトーデス、腱炎、滑液包炎、およびシェーグレン症候群の治療においても有用である。
【0051】
式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体は、膀胱の炎症後の過敏性膀胱の治療においても有用である。
式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体は、免疫疾患、例えば、自己免疫疾患、免疫不全疾患または臓器移植の治療においても有用である。式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体はHIV感染症の潜伏期の増加にも有効である。
式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体は、異常な血小板機能の疾患(例えば、閉塞性血管疾患)の治療においても有用である。
【0052】
式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体は、神経炎、胸焼け、嚥下障害、骨盤過敏症、尿失禁、膀胱炎または掻痒症の治療においても有用である。
式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体は利尿作用も有する。
式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体は、インポテンスまたは勃起障害の治療においても有用である。
式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)およびシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤の血液動態副作用を弱めるのにも有用である。
【0053】
式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体は、神経変性疾患および神経変性、例えば、認知症、特に、変性認知症(老年性認知症、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病およびクロイツフェルト・ヤコブ病、運動ニューロン疾患を包含する);血管性認知症(多発梗塞性認知症を包含する);ならびに頭蓋内占拠性病変に関連する認知症;外傷;感染症および関連する疾患(HIV感染症を包含する);パーキンソン病における認知症;代謝;毒素;酸素欠乏症およびビタミン欠乏;および老化に関連する軽度認知障害、特に加齢による記憶障害においても有用である。化合物はまた、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および神経炎症(neuroinflamation)の治療においても有用である。
【0054】
式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体は、神経防護作用および卒中、心停止、肺バイパス、外傷性脳損傷、脊髄損傷などの後の神経変性の治療においても有用である。
式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体は、耳鳴りの治療においても有用である。
【0055】
式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体は、精神病、例えば、統合失調症、鬱病(この用語は本明細書において用いられて、双極性鬱病、単極性鬱病、単回または反復性大鬱病エピソード(精神病性特徴、強硬性特徴、憂鬱特徴、非典型的な特徴または分娩後発病の有無を問わない)、季節性情動障害、気分変調性障害(早発型または後発型および非典型的な特徴の有無を問わない)、神経症性鬱病および対人恐怖症、例えば、アルツハイマー型、統合失調性感情障害または抑鬱型の認知症を伴う鬱病、およびこれに限定されないが、心筋梗塞、糖尿病、流産または妊娠中絶等を包含する一般的健康状態の結果起こる抑鬱障害を包含する)、不安障害(全般性不安障害および社会不安障害を包含する)、パニック障害、広場恐怖症、対人恐怖症、強迫神経症および外傷後ストレス障害、記憶障害、例えば、認知症、健忘症および加齢による記憶障害、摂食行動の障害、例えば、神経性無食欲症および神経性大食症、性的機能不全、睡眠障害(概日リズム障害、睡眠異常、不眠症、睡眠時無呼吸およびナルコレプシーを包含する)、コカイン、エタノール、ニコチン、ベンゾジアゼピン、アルコール、カフェイン、フェンシクリジン(フェンシクリジン様化合物)、アヘン剤(例えば、大麻、ヘロイン、モルヒネ)、アンフェタミンまたはアンフェタミン関連薬物(例えば、デキストロアンフェタミン、メチルアンフェタミン)またはその組み合わせなどの薬物乱用からの使用中止の治療においても有用である。
【0056】
式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体は、依存症の予防または軽減、あるいは依存症誘発剤に対する耐性または逆耐性を防止または軽減するのにも有用である。依存症誘発剤の例は、オピオイド(例えば、モルヒネ)、中枢神経抑制薬(例えば、エタノール)、精神刺激薬(例えば、コカイン)およびニコチンを包含する。
【0057】
式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体は、腎臓機能障害(腎炎、特に、 メサンギウム増殖性糸球体腎炎、腎炎症候群)、肝機能障害(肝炎、肝硬変)、胃腸障害(下痢)および結腸癌の治療においても有用である。
1つの実施形態において、本発明の化合物は、CB2受容体と選択的に結合することができ;かかる化合物は、CB2受容体が介在する疾患の治療において特に有用である。
【0058】
「治療」または「治療する」なる用語は、本明細書において用いられる場合、確立された障害の治療を包含し、さらにその予防も包含する。「予防」なる用語は、本明細書において用いられる場合、すでにかかっている対象における症状の予防またはかかっている対象において症状の再発の予防を意味し、疾患の完全な予防に限定されない。
【0059】
本発明のさらなる態様によると、本発明者らは、ヒトまたは獣医学において用いられる式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を提供する。
本発明のもう一つ別の態様によると、本発明者らは、カンナビノイド2受容体の活性が介在する疾患の治療において用いられる式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を提供する。
【0060】
本発明のさらなる態様によると、本発明者らは、カンナビノイド2受容体が介在する疾患の治療洋治療薬の製造のための式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用を提供する。
本発明のさらなる態様に従って、本発明者らは、カンナビノイド2受容体が介在する疾患を治療するための治療薬を製造するために、式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用を提供する。本発明のさらなる態様によると、本発明者らは、カンナビノイド2受容体の活性が介在する疾患にかかっている哺乳動物、例えばヒトを治療する方法であって、非毒性で治療的に有効な量の式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を前記対象に投与することを含む方法を提供する。
【0061】
本発明のさらなる態様に従って、本発明者らは、哺乳動物、例えば、免疫障害、炎症性疾患、疼痛、関節リウマチ、多発性硬化症、変形性関節炎または骨粗鬆症にかかっているヒトを治療する方法であって、前記対象に非毒性の治療的に有効な量の式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を投与することを含む方法を提供する。
本発明のもう一つ別の態様に従って、本発明者らは、疾患、例えば、免疫障害、炎症性疾患、疼痛、関節リウマチ、多発性硬化症、変形性関節炎または 骨粗鬆症の治療において用いられる式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を提供する。
【0062】
本発明のもう一つ別の態様に従って、免疫障害、炎症性疾患、疼痛、関節リウマチ、多発性硬化症、変形性関節炎または骨粗鬆症などの疾患の治療または予防用治療薬の製造のための式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用が提供される。
1つの実施形態において、疾患は疼痛である。さらなる実施形態において、疼痛は、炎症性痛覚、内臓痛、癌性疼痛、神経因性疼痛、腰痛、筋肉・骨格、術後疼痛、急性疼痛および片頭痛から選択される。例えば、炎症性痛覚は関節リウマチまたは変形性関節炎に関連する疼痛である。
【0063】
ヒトおよび他の哺乳動物の治療のために式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を使用するために、医薬組成物として標準的薬務に従って通常処方される。従って、本発明のもう一つ別の態様において、ヒトまたは獣医学における使用に適応される式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む医薬組成物が提供される。1つの実施形態において、医薬組成物はさらに、その医薬担体または希釈剤を含む。
【0064】
本明細書において用いられる場合、「モジュレータ」とは、拮抗物質、部分的または完全作動薬および逆作動薬の両方を意味する。1つの実施形態において、本発明のモジュレータは作動薬である。もう一つ別の実施形態において、本発明のモジュレータは拮抗物質である。1つの実施形態において、本発明の化合物はCB2作動薬である。
式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体は、標準的方法で、必要とされる疾患の治療のために、例えば、経口、非経口、舌下、皮膚、直腸、吸入または口腔内投与により投与することができる。
【0065】
経口投与された場合に活性である式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体は、液体、錠剤、カプセルおよびロゼンジとして処方することができる。液体処方は一般に化合物または塩の液体担体、例えば、エタノール、オリーブ油、グリセリン、グルコース(シロップ)、または水(フレーバー、懸濁剤、または着色剤を含む)中懸濁液または溶液からなる。組成物が錠剤の形態である場合、固体処方の調製に慣例的に使用される任意の医薬担体を用いることができる。かかる担体の例としては、ステアリン酸マグネシウム、白土、タルク、ゼラチン、アカシア、ステアリン酸、デンプン、ラクトースおよびシュークロースが挙げられる。組成物がカプセルの形態である場合、任意の慣用のカプセル化、例えば、前記担体または半固体、例えば、カプリン酸のモノジグリセリド、Gelucire(商標)およびLabrasol(商標)、またはハードカプセルシェル、例えば、ゼラチンの使用が適している。組成物がゼラチンなどのソフトシェルカプセルの形態である場合、分散剤または懸濁剤の調製に慣例的に使用される任意の医薬担体、例えば、水性ガムまたは油を考慮することができ、ソフトカプセルシェル中に組み入れられる。
【0066】
典型的な非経口組成物は、化合物または誘導体の無菌水性または非水性担体であって、任意に非経口的に許容される油、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、落花生油またはゴマ油を含有する担体中の溶液または懸濁液からなる。
典型的な吸入用組成物は、溶液、懸濁液または乳液の形態であり、これは乾燥粉末として、または通常のプロペラント、例えば、ジクロロジフルオロメタンまたはトリクロロフルオロメタンを用いてエアゾルの形態で投与することができる。
典型的な坐剤処方は、このようにして投与された場合に活性である式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を、結合剤および/または潤滑剤、例えば、ポリマーグリコール、ゼラチン、カカオ脂または他の低融点植物性ワックスまたは脂肪あるいはその合成類似体とともに含む。
【0067】
典型的な皮膚および経皮処方は、通常の水性または非水性ビヒクル、例えば、クリーム、軟膏、ローションまたはペーストを含むか、あるいは薬用プラスター、貼付剤またはメンブランの形態である。
1つの実施形態において、組成物は単位投与形態、例えば、錠剤、カプセルまたは計量エアゾルであって、患者が1回で投与できるものである。
【0068】
経口投与用の各投与単位は、好適には、遊離酸(非誘導化化合物)として換算して、0.001mgから500mg、例えば、0.01mgから500mg、例えば、0.01mgから100mgの式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含有し、非経口投与用の各投与単位は、好適には、0.001mgから100mgの式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含有する。坐剤投与用の各投与単位は、好適には、0.001mgから500mg、例えば、0.01mgから500mg、例えば、0.01mgから100mgを含有する。鼻内投与用の各投与単位は、好適には、1−400mg、好適には、一人あたり10から200mgを含有する。局所処方は、好適には、0.01から5.0%の式(I)の化合物を含有する。
【0069】
経口投与の1日投与量レジメンは、好適には、遊離酸(非誘導化化合物)換算で、約0.01mg/Kgから1000mg/Kgの式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体である。非経口投与の1日投与量レジメンは、遊離酸(非誘導化化合物)換算で、好適には、約0.001mg/Kgから200mg/Kgの式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体である。坐剤の1日投与量レジメンは、遊離酸(非誘導化化合物)換算で、好適には、約0.01mg/Kgから1000mg/Kgの式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体である。鼻内投与および経口吸入の1日投与量レジメンは、好適には、約10から約500mg/人である。活性成分は、1日に1から6回投与することができ、所望の活性を示すために十分である。
【0070】
本発明の化合物をナノ粒子として調製することが有利である。これは、化合物の経口バイオアベイラビリティーを改善することができる。本発明の目的に関して、「ナノ粒子」は、粒子の50%が1μm未満、例えば、0.75μm未満の粒子サイズを有する固体粒子として定義される。
化合物(I)の固体粒子の粒子サイズは、レーザー回折により決定することができる。 レーザー回折により粒子サイズを決定するために適した機械は、QUIXEL分散ユニットを備えたHELOS光学ベンチを用いるLecotracレーザー粒子サイズ分析器である。
【0071】
ナノ粒子形態において固体粒子を合成する多くの方法が公知である。典型的には、これらの方法は、粉砕法、例えば、一旦形成されたナノ粒子の凝集および/または結晶成長を阻害する表面修飾剤の存在下での湿式粉砕プロセスを含む。別法として、これらのプロセスは、沈殿プロセス、例えば、薬物の非水性溶媒中溶液からの水性媒体における沈殿のプロセスを含む。
従って、さらなる態様において、本発明は、前記定義のようなナノ粒子形態において式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体を調製する方法を提供し、この方法は、粉砕または沈殿を含む。
【0072】
ナノ粒子形態の固体粒子を調製するための代表的な方法は、以下に列挙される特許および刊行物において記載されている:
米国特許第4,826,689号(Violanto & Fischer)、米国特許第5,145,684号(Liversidgeら)、米国特許第5,298,262号(Na & Rajagopalan)、米国特許第5,302,401号(Liversidgeら)、米国特許第5,336,507号(Na & Rajagopalan)、米国特許第5,340,564号(Illig & Sarpotdar)、米国特許第5,346,702号(Na Rajagopalan)、米国特許第5,352,459号(Hollisterら)、米国特許第5,354,560号(Lovrecich)、米国特許第5,384,124号(Courteilleら)、米国特許第5,429,824号(June)、米国特許第5,503,723号(Ruddyら)、米国特許第5,510 118号(Boschら)、米国特許第5,518号(Brunoら)、米国特許第5,518,738号(Eickhoffら)、米国特許第5,534,270号(De Castro)、米国特許第5,536,508号(Canalら)、米国特許第5,552,160号(Liversidgeら)、米国特許第5,560,931号(Eickhoff ら)、米国特許第5,560,932号(Bagchiら)、米国特許第5,565,188号(Wongら)、米国特許第5,571,536号(Eickhoffら)、米国特許第5,573,783号(Desieno & Stetsko)、米国特許第5,580,579号(Ruddyら)、米国特許第5,585,108号(Ruddyら)、米国特許第5,587,143号(Wong)、米国特許第5,591456号(Fransonら)、米国特許第5,622,938号(Wong)、米国特許第5,662,883号(Bagchiら)、米国特許第5,665,331号(Bagchiら)、米国特許第5,718,919号(Ruddyら)、米国特許第5,747,001号(Wiedmannら)、WO93/25190、WO96/24336、WO 97/14407、WO 98/35666、WO 99/65469、WO 00/18374、WO 00/27369、WO 00/30615およびWO 01/41760
【0073】
このような方法は、ナノ粒子形態における式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体の調製に容易に適応させることができる。このような方法は本発明のさらなる態様を形成する。
本発明の方法は、化合物のナノ粒子形態を製造するために、ミル、例えば、分散ミル中で行われる湿式粉砕段階を使用することができる。本発明は、通常の湿式粉砕技術、例えば、Lachmanら、The Theory and Practice of Industrial Pharmacy、Chapter 2、“Milling” p.45(1986)に記載されているものの使用を実践することができる。
さらなる改善において、WO02/00196(SmithKline Beecham plc)は、ナノ粒子形態の製薬原料の固体粒子の調製において使用される、表面の少なくとも一部が1以上の内部潤滑剤を含むナイロン(ポリアミド)から調製されたミルを使用する湿式粉砕法を記載している。
【0074】
もう一つ別の態様において、本発明は、ナノ粒子形態の本発明の化合物を調製する方法であって、化合物の懸濁液を、少なくとも1つのチャンバーおよび撹拌手段(前記チャンバーおよび/または前記撹拌手段はWO02/00196に記載される潤滑化されたナイロンを含む)を有するミル中で湿式粉砕することを含む方法を提供する。
【0075】
湿式粉砕に使用される本発明の化合物の懸濁液は、典型的には、粗化合物の液体媒体中懸濁液である。「懸濁液」とは、化合物が液体媒体中に本質的に不溶性であることを意味する。代表的な液体媒体は水性媒体を包含する。本発明の方法を使用して、本発明の粗化合物の平均粒子サイズは、最高直径1mmまでである。これは有利なことには化合物の予備的処理の必要性を排除する。
【0076】
本発明のさらなる態様において、粉砕に付される水性媒体は、約1%から約40% w/w、好適には、約10%から約30% w/w、例えば、約20% w/wで存在する式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む。
水性媒体はさらに1以上の医薬上許容される水溶性担体であって例えば、噴霧乾燥により医薬組成物に粉砕した後の、式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体の立体安定化およびその後の処理に適した担体を含むことができる。立体安定化および噴霧乾燥に最も適した医薬上許容される賦形剤は、界面活性剤、例えば、ポリオキサマー、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベートなど;安定剤、例えば、セルロース、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;および担体、例えば、炭水化物、例えば、マンニトールである。
【0077】
本発明のさらなる態様において、粉砕に賦される水性媒体は、約0.1から約10% w/wで存在するヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)をさらに含むことができる。
本発明の方法は、粉末を得るために本発明の化合物を乾燥する次の工程を含むことができる。
従って、さらに別の態様において、本発明は、本発明の化合物を含有する医薬組成物を調製する方法であって、ナノ粒子形態の式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を製造し、任意に続いて乾燥して、粉末を得、任意に1以上の医薬上許容される担体または賦形剤と混合することを含む方法を提供する。
【0078】
本発明のさらなる態様は、式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む医薬組成物であって、式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体がナノ粒子形態の固体粒子で、1以上の医薬上許容される担体または賦形剤との混合物において存在する医薬組成物である。
【0079】
「乾燥する」とは、式(I)の化合物を液体懸濁液または溶液中に保持するためのプロセスの間に用いられる任意の水または他の液体ビヒクルの除去を意味する。この乾燥工程は、当業界において公知の乾燥のための任意の方法、例えば、凍結乾燥、噴霧造粒または噴霧乾燥であってよい。これらの方法のうち、噴霧乾燥が特に好ましい。これらの技術はすべて当該分野において周知である。粉砕された組成物の噴霧乾燥/流動床造粒は、噴霧乾燥機、例えば、Mobile Minor Spray Dryer [Niro、Denmark]、または流動床乾燥機、例えば、Glatt、Germanyにより製造されるものを最も好適に使用して行われる。
【0080】
さらに別の態様において、本発明は、乾燥粉末の形態の、前記定義の医薬組成物であって、式(I)の化合物の固体粒子を湿式粉砕し、続いて得られた懸濁液を噴霧乾燥することにより得ることができる医薬組成物を提供する。
1つの実施形態において、前記定義の医薬組成物は、15% w/w未満、例えば0.1から10% w/wの範囲で存在するHPMCをさらに含む。
【0081】
本発明において使用されるCB2受容体化合物は、他の治療薬、例えば、COX−2阻害剤、例えば、セレコキシブ、デラコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブまたはCOX−189;5−リポキシゲナーゼ阻害剤;NSAID、例えば、アスピリン、ジクロロフェナック、インドメタシン、ナブメトンまたはイブプロフェン;ロイコトリエン受容体拮抗物質;DMARD、例えば、メトトレキサート;アデノシンA1受容体作動薬;ナトリウムチャンネルブロッカー、例えば、ラモトリジン;NMDA受容体モジュレータ、例えば、グリシン受容体拮抗物質;ガバペンチンおよび関連する化合物;三環系抗うつ薬、例えば、アミトリプチリン;ニューロン安定化抗てんかん薬;モノアミン作用性吸収阻害剤、例えば、ベンラファキシン;オピオイド鎮痛剤;局所麻酔薬;5HT作動薬、例えば、トリプタン、例えば、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、アルモトリプタンまたはリザトリプタン;EP受容体リガンド、EP受容体リガンド;EP受容体リガンド;EP受容体リガンド;EP拮抗物質;EP拮抗物質およびEP拮抗物質;ブラジキニン受容体リガンドおよびバニロイド受容体リガンド、抗関節リウマチ薬、例えば、抗TNF薬、例えば、エンブレル、レミケード、抗−IL−1薬、DMARDS、例えば、レフルナミドまたは5HT化合物との組み合わせで用いることができる。化合物が他の治療薬と組み合わせて用いられる場合、化合物を任意の通常の経路により連続して、または同時に投与することができる。
【0082】
追加のCOX−2阻害剤は、米国特許第5,474,995号、US5,633,272;US5,466,823、US6,310,099およびUS6,291,523;およびWO 96/25405、WO 97/38986、WO 98/03484、WO 97/14691、WO99/12930、WO00/26216、WO00/52008、WO00/38311、WO01/58881およびWO02/18374において開示されている。
【0083】
例えば、アルツハイマー病の治療または認識促進に適した組み合わせに好適な5HT6化合物は、SGS518(Saegis)、BGC20 761(WO00/34242において開示されたBTG in )、WAY466(Wyeth)、PO4368554(Hoffman le Roche)、BVT5182(Biovitron)およびLY483518(Lily)、SB742457(GSK) および/またはWO03/080580において実施例1から50として開示されている化合物から選択することができる。
【0084】
本発明の化合物は、他の活性物質、例えば、5HT3拮抗物質、NK−1拮抗物質、セロトニン作動薬、選択的セロトニン取り込み阻害薬(SSRI)、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、三環系抗うつ薬および/またはドーパミン作用性抗うつ薬との組み合わせにおいて投与することができる。
本発明の化合物の組み合わせにおいて使用できる好適な5HT3拮抗物質としては、例えば、オンダンステロン、グラニセトロン、メトクロプラミドが挙げられる。
【0085】
本発明の化合物との組み合わせにおいて使用できる好適なセロトニン作動薬としては、スマトリプタン、ラウオルシン、ヨヒンビン、メトクロプラミドが挙げられる。
本発明の化合物との組み合わせにおいて使用できる好適なSSRIとしては、フルオキセチン、シタロプラム、フェモキセチン、フラボキサミン、パロキセチン、インダルピン、セルトラリン、ジメルジンが挙げられる。
本発明の化合物との組み合わせにおいて使用できる好適なSNRIとしては、ベンラファキシンおよびレボキセチンが挙げられる。
【0086】
本発明の化合物との組み合わせにおいて使用できる好適な三環系抗うつ薬としては、イミプラミン、アミトリプチリン、クロミプラミンおよびノルトリプチリンが挙げられる。
本発明の化合物との組み合わせにおいて使用できる好適なドーパミン作用性抗うつ薬としては、ブプロピオンおよびアミンプチンが挙げられる。
【0087】
本発明の化合物は、PDE4阻害剤との組み合わせにおいて使用できる。本発明において有用なPDE4阻害剤は、PDE4酵素を阻害することが知られている化合物、またはPDE4阻害剤として作用することが判明している化合物、および唯一または本質的に唯一のPDE4阻害剤である化合物であり、PDE科の他の構成要素ならびにPDE4を、治療効果を示す程度に阻害する化合物でない。一般に、ロリプラムと高い親和力で結合するPDE4触媒形態のIC50を低い親和力でロリプラムと結合する形態のIC50で割ったもの関して、約0.1以上のIC50比を有するPDE4拮抗物質を使用することが好ましい。本発明の化合物またはPDE4との組み合わせは、炎症の治療において、および気管支拡張薬として使用することができる。
【0088】
阻害剤が結合するヒト単球組み換えPDE4(hPDE4)上には少なくとも2つの結合形態がある。これらの観察についての1つの説明は、hPDE4は2つの異なる形態において存在することである。1つはロリプラムおよびデンブフィリンのようなものを高い親和性で結合させ、一方、他のものはこれらの化合物を低い親和性で結合させる。本発明における使用に好ましいPDE4阻害剤は、有益な治療可能比を有する化合物、すなわち、cAMP触媒活性を優先的に阻害する化合物であり、ここで、酵素はロリプラムを低い親和性で結合させ、これにより、ロリプラムを高い親和性で結合させる形態を阻害することと関連があるらしい副作用を軽減する形態である。これを別の言い方をすると、好ましい化合物は、ロリプラムを高い親和性で結合させるPDE4触媒形態のIC50をロリプラムを低い親和性で結合させる形態のIC50で割ったものに関して、約0.1以上のIC50比を有することである。
【0089】
これらの方法をさらに詳細に記載する、米国特許第5,998,428号を参照する。この特許は本明細書に記載されているかのように全体を本発明の一部として参照される。
好適には、阻害剤は、0.5より高いIC50比を有するPDE4阻害剤、特に1.0より高い比を有する化合物である。
本発明のさらなる態様は、PDE4阻害剤との組み合わせにおけるPDE4CB2モジュレータ(式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体)および前記組み合わせを含む医薬組成物である。
【0090】
本発明のさらなる態様は、肺障害、例えば、喘息、気管支炎、肺気腫、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、ハト愛好家病、農夫肺、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および咳または気管支拡張薬で治療できる障害を治療する方法であって、ヒトを包含する哺乳動物に、有効量のCB2モジュレータまたはその医薬上許容される誘導体(式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体)および有効量のPDE4阻害剤またはその医薬上許容される誘導体を投与することを含む方法である。
【0091】
本発明のさらなる態様は、有効量のCB2モジュレータまたはその医薬上許容される誘導体(式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体)および有効量のPDE4阻害剤またはその医薬上許容される誘導体の、肺障害、例えば、喘息、気管支炎、肺気腫、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、ハト愛好家病、農夫肺、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および咳の治療における医薬の製造または気管支拡張薬の製造のための使用である。
【0092】
本明細書において用いられる場合、咳は、多くの形態を有し、喀痰を伴うもの、喀痰をともなわないもの、過敏性、喘息およびCOPD関連を包含する。
本発明のさらなる態様は、有効量のCB2モジュレータまたはその医薬上許容される誘導体(式(I)の化合物およびその医薬上許容される誘導体)および有効量のPDE4阻害剤または医薬上許容される誘導体を含む患者用パックである。
【0093】
可能なPDE4化合物は、シス[シアノ−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート](シロミラストまたはAriflo(登録商標)とも呼ばれる)、2−カルボメトキシ−4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン−1−オン、およびシス[4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン−1−オール]である。これらは、米国特許第5,449,686号および第5,552,438号において記載される処理により調製できる。他のPDE4阻害剤、特異的阻害剤であって、本発明において使用できるものは、ASTA MEDICAから得られるAWD−12−281(Hofgen、N.ら、15th EFMC Int Symp Med Chem(Sept 6−10、Edinburgh) 1998、Abst P.98);9−ベンジルアデニン誘導体指定NCS−613(INSERM);ChiroscienceおよびSchering−Ploughから得られるD−4418;CI−1018として同定されるベンゾジアゼピンPDE4阻害剤(PD−168787;Parke−Davis/Warner−Lambert);ベンゾジオキソール誘導体 Kyowa Hakko WO 9916766において開示;Nappから得られるV−11294A(Landells、L.J.ら、Eur Resp J [Annu Cong Eur Resp Soc(Sept 19−23、Geneva) 1998] 1998、12(Suppl.28):Abst P2393);Byk−Gulden(now Altana)から得られるロフルミラスト(CAS参照番号162401−32−3)およびフタラジノン(WO 99/47505);またはT−440として同定される化合物(Tanabe Seiyaku;Fuji、K.ら、J Pharmacol Exp Ther、1998、284(1):162)である。
【0094】
さらなるPDE4阻害剤は、WO01/13953の2から15ページに開示されている。特に選択されるのは、アロフィリン、アチゾラム、BAY−19−8004、ベナフェントリン、BYK−33043、CC−3052、CDP−840、シパフィリン、CP−220629、CP−293121、D−22888、D−4396、デンブフィリン、フィラミナスト、GW−3600、イブブジラスト、KF−17625、KS−506−G、ラプラフィリン、NA−0226A、NA−23063A、ORG−20241、ORG−30029、PDB−093、ペントキシフィリン、ピシラミラスト、ロリプラム、RPR−117658、RPR−122818、RPR−132294、RPR−132703、RS−17597、RS−25344−000、SB−207499、SB210667、SB211572、SB−211600、SB212066、SB212179、SDZ−ISQ−844、SDZ−MNS−949、SKF−107806、SQ−20006、T−2585、リベンラスト、トラフェントリン、UCB−29646、V−11294A、YM−58997、YM−976およびザルダベリンである。
【0095】
1つの実施形態において、PDE4阻害剤は、シロミラスト、AWD−12−281、NCS−613、D−4418、CI−1018、V−11294A、ロフルミラストまたはT−440から選択される。
【0096】
本発明の化合物はまた、アテローム性動脈硬化症の治療において、抗脂質異常症薬、抗アテローム性動脈硬化薬、抗糖尿病薬、血圧降下薬、抗狭心症薬、血圧降下薬またはLp(a)を下げる薬との組み合わせにおいて有用である。前記の例としては、コレステロール合成阻害剤、例えば、スタチン、酸化防止剤、例えば、プロブコール、インシュリン抵抗性改善薬、カルシウムチャンネル拮抗物質が挙げられる。Lp(a)を低下させる薬の例としては、WO 97/02037、WO 98/28310、WO 98/28311およびWO 98/28312(Symphar SAおよびSmithKline Beecham)に記載されているアミノホスホネートが挙げられる。血圧降下剤の例としては、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシン−II受容体拮抗物質、ACE/NEP阻害剤ブロッカー、カルシウムチャンネルブロッカー、PDE阻害剤、アンギオテンシンブロッカーが挙げられる。
【0097】
可能な併用療法は本発明の化合物およびスタチンの使用である。スタチンは周知の種類のコレステロール降下薬であり、アトルバスタチン、シムバルスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチンおよびZD 4522(S−4522、Astra Zenecaとも呼ばれる)を包含する。2つの薬剤は、医師の指示に従って、実質的に同時に、または異なる時間に投与することができる。
【0098】
さらに別の可能な併用療法は、本発明の化合物および抗糖尿病薬またはインシュリン抵抗性改善薬の使用である。この種類内で、本発明の化合物とともに使用される可能な化合物としては、PPARガンマアクチベーター、例えば、G1262570(Glaxo Wellcome)およびグリタゾン種の化合物、例えば、ロシグリタゾン(Avandia、SmithKline Beecham)、トログリタゾンおよびピオグリタゾンが挙げられる。
【0099】
前記組み合わせまたは組成物の任意の化合物は、同時(同じ時または異なる医薬処方においてのいずれか)、別々に、または連続して投与することができる。
本発明は従って、さらに別の態様において、式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体をさらに別の治療薬とともに含む組み合わせを提供する。
【0100】
前記組み合わせは、好都合には、医薬処方の形態において提供することができ、従って、前記定義の組み合わせを医薬上許容される担体または賦形剤とともに含む医薬処方は本発明のさらなる態様を構成する。かかる組み合わせの個々の成分は、連続して、または複合医薬製剤のいずれかで投与することができる。
【0101】
式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体が、同じ疾患状態に対して活性である第二の治療薬との組み合わせにおいて用いられる場合、各化合物の投与量は、この化合物が単独で使用される場合と異なり得る。適切な用量は、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0102】
カンナビノイドCB1受容体作動薬活性の決定
式(I)の化合物のカンナビノイドCB1受容体作動薬活性は、次の実験法に従って決定した。
【0103】
実験法
発現カセットを酵母株MMY23のura3染色体座中に組み入れることにより、ヒトカンナビノイドSB1受容体を発現する酵母(Saccharomyces cerevisiae)細胞を生成させた。このカセットは、CB1の5’末端まで酵母GPDプロモータが横に並び、酵母転写ターミネーター配列がCB1の3’末端まで横に並ぶヒトCB1受容体をエンコードするDNA配列からなっていた。MMY23は、酵母/哺乳動物Gタンパク質アルファサブユニットであって、その中でC−末端のGpa1の5のアミノ酸がヒトGαi1/2(Brownら、(2000)、Yeast 16:11−22に記載)のC末端の5のアミノ酸で置換されているサブユニットを発現する。細胞を30℃で、ウラシル、トリプトファン、アデニンおよびロイシンが欠損した液体Synthetic Complete(SC)酵母培地(GuthrieおよびFink(1991)、Methods in Enzymology、Vol.194)中で後期対数期(約6 OD600/ml)まで成長させた。
【0104】
作動薬をDMSO中10mMストックとして調製した。DMSO中4倍希釈(BiomekFX、Beckman)を用いてEC50値(50%最大応答を生じさせるために必要な濃度)を評価した。DMSO中作動薬溶液(1%最終分析体積)を、Greinerから入手した黒色マクロタイタープレート(384ウェル)中に移した。ヒスチジン、ウラシル、トリプトファン、アデニンおよびロイシンが欠損し、10mM 3−アミノトリアゾール、0.1Mリン酸ナトリウムpH 7.0、および10μMフルオレセインジ−β−D−グルコピラノシド(FDGlu)で補足されたSC培地中、0.2 OD600/mlの密度で細胞を懸濁させた。この混合物(50ul/ウェル)を分析プレート(Multidrop 384、Labsystems)中の作動薬に添加した。30℃で24時間インキュベーション後、作動薬により刺激された細胞の成長の間に生じる内因性酵母酵素であるエキソグルカナーゼによりFDGluがフルオレセインに分解した結果生じる蛍光を、蛍光マイクロタイタープレートリーダー(Tecan SpectrofluorまたはLJL分析励起波長:485nm;発光波長:535nm)を用いて測定した。蛍光を化合物濃度に対してプロットし、4パラメータ適合を用いて繰り返し曲線適合させて、濃度効果値を得た。有効性(Emax)を式:
max=Max[化合物X] −Min[化合物X]/Max[HU210] −Min[HU210]x100%
(式中、Max[化合物X]およびMin[化合物X]をそれぞれ化合物Xの濃度効果曲線からの最大値および最小値と適合させ、Max[HU210]およびMin[HU210]をそれぞれ(6aR,10aR)−3−(1,1’−ジメチルヘプチル)−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−1−ヒドロキシ−6,6−ジメチル−6H−ジベンゾ[b,d]ピラン−9−メタノール(HU210;Tocrisから入手可能)の濃度効果曲線からの最大値および最小値と適合させた)から計算した。等しい効果のモル比(EMR)値を式:
EMR=EC50 [化合物X]/EC50 [HU210]
(式中、EC50 [化合物X]は、化合物XのEC50であり、EC50 [HU210]はHU210のEC50である)から計算した。
【0105】
実施例1から22の化合物をこの方法に従って試験し、クローンされたヒトカンナビノイドCB1受容体で>1,000nMのEC50値および/または<30%の有効性を有していた。表示された結果は多くの実験の平均である。
【0106】
カンナビノイドCB2受容体作動薬活性の測定
式(I)の化合物のカンナビノイドCB2受容体作動薬活性は次の実験法に従って決定した。
【0107】
実験法
発現カセットを酵母株MMY23のura3染色体座中に組み入れることにより、ヒトカンナビノイドCB2受容体を発現する酵母(Saccharomyces cerevisiae)細胞を生成させた。このカセットは、酵母GPDプロモータがCB2の5’末端に向かって並列し、酵母転写ターミネーター配列がCB2の3’末端に向かって並列するヒトCB2受容体をエンコードするDNA配列からなっていた。MMY23は、酵母/哺乳動物キメラGタンパク質アルファサブユニットであって、その中でGpa1のC末端の5のアミノ酸がヒトGαi1/2のC末端の5のアミノ酸で置換されているサブユニットを発現する(Brownら(2000)、Yeast 16:11−22において記載)。細胞を30℃で液体Synthetic Complete(SC)酵母培地(GuthrieおよびFink(1991)、Methods in Enzymology、Vol. 194)(ウラシル、トリプトファン、アデニンおよびロイシンが欠損)中、後期対数期(約6 OD600/ml))まで増殖させた。
【0108】
作動薬をDMSO中10mM溶液として調製した。EC50値(50%最大応答を生じさせるために必要な濃度)を、DMSO中4倍希釈(BiomekFX、Beckman)を用いて評価した。DMSO中作動薬溶液(1%最終分析体積)をGreinerからの黒色マイクロタイタープレート(384−well)中に移した。細胞を、ヒスチジン、ウラシル、トリプトファン、アデニンおよびロイシンが欠損し、10mM 3−アミノトリアゾール、0.1Mリン酸ナトリウムpH 7.0、および10μMフルオレセインジ−β−D−グルコピラノシド(FDGlu)で補足されたSC培地中に0.2 OD600/mlの密度で懸濁させた。この混合物(50ul/ウェル)を分析プレート(Multidrop 384、Labsystems)中作動薬に添加した。30℃で24時間インキュベーションした後、作動薬により刺激された細胞成長の間に生じた内因性酵母酵素であるエキソグルカンのためにFDGluがフルオレセインに分解した結果の蛍光を、蛍光マイクロタイタープレートリーダー(Tecan SpectrofluorまたはLJL Analyst励起波長:485nm;発光波長:535nm)を用いて測定した。蛍光を化合物濃度に対してプロットし、4パラメータ適合を用いて繰り返し曲線適合して、濃度効果値を得た。有効性(Emax)を式:
max=Max[化合物X] −Min[化合物X]/Max[HU210] −Min[HU210]x100%
(式中、Max[化合物X]およびMin[化合物X]をそれぞれ化合物Xの濃度効果曲線からの最大値および最小値と適合させ、Max[HU210]およびMin[HU210]は(6aR,10aR)−3−(1,1’−ジメチルヘプチル)−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−1−ヒドロキシ−6,6−ジメチル−6H−ジベンゾ[b,d]ピラン−9−メタノール(HU210;available from Tocris)の濃度効果曲線からのそれぞれ最大値および最小値と適合させる)から計算した。等しい有効性のモル比(EMR)値を式:
EMR=EC50[化合物X]/EC50 [HU210]
(式中、EC50 [化合物X]は化合物XのEC50 であり、EC50[HU210]はHU210のEC50である)から計算した。
【0109】
実施例1から22の化合物をこの方法に従って試験し、クローンされたヒトカンナビノイドCB2受容体で<300nMのEC50値および>50%の有効性値を有していた。表示した結果は多くの実験の平均である。
【0110】
前記方法に従って試験された実施例1から22の化合物は、CB1酵母受容体分析において100より大きなEMR、およびCB2酵母受容体分析において100未満のEMRを有していた。実施例1−5、および7−22の化合物は、CB2についてCB1よりも少なくとも10倍低いEMR値を有していた。表示された結果は多くの実験の平均である。
【0111】
レポーター遺伝子分析におけるCB2作動薬効果の測定
実験法
レポーター遺伝子分析を用いてCB2作動薬効果を測定した。これらの研究はヒト組み換えCB2受容体(CHO−K1 CB2 CRE−LUC cells)を発現するCHO−K1細胞系を用いて行った。これらの細胞は、複数のcAMP反応エレメント結合タンパク質プロモータの制御下で、ルシフェラーゼの遺伝子を含む「CRE−LUC」レポーター遺伝子構築物をさらに発現する。これらの細胞において、細胞内cAMPレベルの増加は、ルシフェラーゼ遺伝子の転写およびルシフェラーゼのその後の生成につながる。ルシフェラーゼの発現は、ルシフェラーゼの基質であるルシフェリン(Luclite、Perkin Elmer、カタログ番号6016919)を含有する占有混合物の細胞への添加により測定される。結果としての反応は、発光につながり、これはTopCountシンチレーションカウンターにより測定される。CHO−K1 CB2 CRE−LUC細胞において、ホルスコリンはルシフェラーゼ発現において有意な増加をもたらし、CB2作動薬はこの反応を阻害する。CHO−K1 CB2 CRE−LUC細胞は規定通りに高レベルの構成CB2受容体活性を発現する。これは、これらの実験において、細胞を逆作動薬、SR144528で、30−60分間、使用前に予備処理することにより克服された。この処理は、構成CB2受容体活性を消去することが証明された(Bouaboulaら、1999)。
【0112】
方法
CHO−K1 CB2 CRE−LUC細胞をDMEM/F12+glutamax I培地(Gibco カタログ番号31331−028)(9%FBS(Gibco、カタログ番号16000−040)および0.5mg.ml−1 G418(Gibco、カタログ番号10131−027)および0.5mg.ml−1 Hygromycin(Invitrogen、カタログ番号10687−010)で補足)中で増殖させた。細胞を単層培養として162cm通気式Nunclonフラスコ(NUNC、カタログ番号178883)中、27.5mlの培地中、加湿95%空気および5%CO雰囲気中、37℃で増殖させた。コンフルーエントになったら、増殖培地を、DMEM/F12培地(Gibco、カタログ番号31331−028)(100nMのCB2逆作動薬、SR144528を含有)と置換し、細胞を37℃で30−60分間インキュベートした。フラスコを2回、25mlのDulbeccoのリン酸塩緩衝塩溶液(PBS、Gibcoカタログ番号14190−094)でリンスし、次いで10分間、10mlのVersene(Gibco、カタログ番号15040−033)中でインキュベーションすることにより収穫した。細胞をフラスコに勢いよく吹き付けることにより分離し、細胞懸濁液をPBSで50mlにし、250xgで5分間遠心分離した。細胞ペレットを24mlのフェノールレッド無DMEM/F12分析緩衝液(Gibco、カタログ番号11039−021)中に再懸濁させ、50μlの細胞懸濁液(約50,000細胞)を96ウェルプレート(Costar、カタログ番号3904 −底が透明な黒色ウェルプレート)(2μMホルスコリン(1μM FSKの最終分析濃度)中50μlの試験作動薬を含有)に添加した。試験作動薬を10mM DMSO中溶液として調製し、フェノールレッド無DMEM/F12分析緩衝液(2μMホルスコリンを含有)中に希釈して、試験作動薬の20μM溶液を得た。続いて試験作動薬の連続希釈を、ホルスコリンを含有する分析緩衝液中で調製し、各試験作動薬を規定通りに10μMから10nM(または必要ならばそれ以下)の最終分析濃度範囲にわたって検査した。プレートをプレートシェーカー上で5分間混合し(800−1000rpm)、次に短時間(5−10s)、250xgで遠心分離し、蓋無しのBioplate中に入れ、4−5時間、加湿95%空気および5%CO雰囲気中、37℃でインキュベートした。96ウェルプレートをインキュベーターから取り出し、室温で10−15分置いた後、製造業者の指示に従って調製された25μlのLuclite溶液を添加した。プレートをTopseal A(Perkin Elmer、カタログ番号6005185)で密封し、プレートシェーカー上で5分間混合し(800−1000rpm)、次に短時間(5−10s)250xgで遠心分離した。最後に、Packard TopCountシンチレーションカウンターを用いて発光を測定した。
【0113】
データ分析
各化合物について、ホルスクリン応答の最大阻害およびこの効果のEC50を決定した。各実験において、参考作動薬HU210が含まれ、各試験作動薬の最大効果を、HU210により生じる最大効果に対して表し、固有活性を推定した。加えて、各化合物のEC50 をHU210のEC50で割って、試験化合物の等しい効力を有するモル比(EMR)を計算した。
【0114】
結果
この方法に従って試験された実施例1−5、9−10、17および20の化合物は30未満のEMR値を有していた。記載した結果は、多くの実験の平均値である。
【0115】
参考文献
Bouaboula M. Dussossoy D. Casellas P. Regulation of peripheral cannabinoid receptor CB2 phosphorylation by the inverse agonist SR 144528. Implications for receptor biological responses. Journal of Biological Chemistry. 274(29):20397−405、1999
【0116】
略号:
AcOH(酢酸)、Bn(ベンジル)、Bu、Pr、Me、Et(ブチル、プロピル、メチル エチル)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DCM(ジクロロメタン)、DME(1,2−ジメトキシエタン)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、EDC(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド)、EtOAc(酢酸エチル)、EtOH(エタノール)、HPLC(高圧液体クロマトグラフィー)、LC/MS(液体クロマトグラフィー/質量分析)、MDAP(質量分析器に直結した自動精製)、MeCN(アセトニトリル)、MeOH(メタノール)、NMR(核磁気共鳴(スペクトル))、NMP(N−メチルピロリドン)、SCX(強カチオン交換樹脂、例えば、Isolute SCX−2カートリッジ)、SPE(固相抽出)、TFA(トリフルオロ酢酸)、THF(テトラヒドロフラン)、s、d、t、q、m、br(一重項、二重項、三重項、四重項、多重項、ブロード)
【0117】
ハードウェア
Waters 2525 Binary Gradient Module
Waters 515 Makeup Pump
Waters Pump Control Module
Waters 2767 Inject Collect
Waters Column Fluidics Manager
Waters 2996 Photodiode Array Dectector
Waters ZQ Mass Spectrometer
Gilson 202フラクションコレクター
Gilson Aspec廃棄物コレクター
【0118】
ソフトウェア
Waters Masslynx version 4 SP2
【0119】
カラム
使用されるカラムはWaters Atlantisであり、その寸法は19mmx100mm(小規模)および30mmx100mm(大規模)である。固定相粒子サイズは5μmである。
【0120】
溶媒
A:水性溶媒= 水+0.1%ギ酸
B:有機溶媒=アセトニトリル+0.1%ギ酸
構成溶媒=メタノール:水 80:20
ニードルリンス溶媒=メタノール
【0121】
方法
興味のある化合物の分析保持時間に応じて4つの方法がある。これらはすべて13.5−分の実行時間を有し、これは10分勾配とそれに続いて3.5分カラムフラッシュおよび再平衡化段階を含む。
Large/Small Scale 1.0−1.5=5−30% B
Large/Small Scale 1.5−2.2=15−55% B
Large/Small Scale 2.2−2.9=30−85% B
Large/Small Scale 2.9−3.6=50−99% B
Large/Small Scale 3.6−5.0=80−99% B(6分)
【0122】
流速
前記方法はすべて、20mls/min(Small Scale)または40mls/min(Large Scale)の流速を有する。
【0123】
分析LCMSシステム
ハードウェア
Agilent 1100 Gradient Pump
Agilent 1100 Autosampler
Agilent 1100 DAD Dectector
Agilent 1100 Degasser
Agilent 1100 Oven
Agilent 1100 Controller
Waters ZQ Mass Spectrometer
Sedere Sedex 75またはSedere Sedex 85またはPolymer Labs PL−ELS−2100
【0124】
ソフトウェア
Waters MassLynx version 4.0 SP2
【0125】
カラム
カラムは、Waters Atlantisであり、その寸法は4.6mmx50mmである。固定相粒子サイズは3μmである。
【0126】
溶媒
A:水性溶媒=水+0.05%ギ酸
B:有機溶媒=アセトニトリル+0.05%ギ酸
【0127】
方法
使用される一般法は、5分の実行時間を有する。
時間/分 %B
0 3
0.1 3
4 97
4.8 97
4.9 3
5.0 3
【0128】
流速
前記方法は、3ml/分の流速を有する。
【0129】
NMRについて使用される条件
ハードウェア
Bruker 400MHz Ultrashield
Bruker B−ACS60 Autosampler
Bruker Advance 400 Console
ソフトウェア
User interface−NMR Kiosk
Controlling software−XWin NMR version 3.0
【0130】
マイクロ波について使用される条件
ハードウェア
Biotage Initiator
詳細
最高250℃まで加熱
マイクロ波照射 2.45GHzで50−300W
【0131】
中間体1:6−クロロ−4−(メチルアミノ)−5−ニトロ−3−ピリジンカルボン酸エチル
【化5】

調製法a:メチルアミン(エタノール中33%、1mL)を4,6−ジクロロ−5−ニトロ−3−ピリジンカルボン酸エチル(Sanchezら、J.Heterocyclic Chem.、1993、30、855にしたがって調製できる)(2.65g)およびトリエチルアミン(1.4mL)のエタノール(10mL)中還流溶液に滴下した。反応を30分間還流させ、次いで蒸発させた。残留物を沸騰酢酸エチルで抽出し、これを次に蒸発させた。結果として得られた粗生成物を沸騰ヘキサンで抽出し、冷却して、黄色結晶(1.82g)として標記化合物を得た。 mp 70−72℃。
調製法b:4,6−ジクロロ−5−ニトロ−3−ピリジンカルボン酸エチル(75.96g、0.287モル)のエタノール(596ml)中溶液に、トリエチルアミン(40ml、0.287モル)を添加し、混合物を還流加熱した。エタノール中メチルアミン(35.6ml、33%)を還流混合物に1時間35分かけて滴下した。添加完了後、混合物を25分間還流し、次に冷却した。反応混合物を真空下、buchi上で蒸発させた。得られた残留物をDCM(200ml)中で10分間撹拌し;固体を濾過し、DCM(100ml)で洗浄した。DCM層を合し、水で抽出した(2x250ml)。水層をDCM(200ml)で再抽出した。DCM層を合し、MgSOを用いて乾燥した。MgSOを濾過し、DCM層を蒸発させて、赤褐色油状物を得た。これは静置すると凝固した。固体をエタノール(150ml)中に溶かし、固体が溶液になるまで加熱した。混合物を一夜冷却し、形成された結晶を濾過し、冷エタノール(100ml)で洗浄した。結晶を空気中、真空下で乾燥して、6−クロロ−4−(メチルアミノ)−5−ニトロ−3−ピリジンカルボン酸エチル(52.1g、69%)を得た。
NMR(400MHz、DMSO−d6) HNC121277 δ 1.40−1.44(3H、t)、2.92−2.94(3H、d)、4.37−4.43(2H、q)、8.73(1H、s)、9.00−9.10(1H、br)。提案された構造と一致。
LC/MS 生成物3.10分、[MH] 260 分子式C10ClOと一致。8%の不純物が2.45分で存在、[MH] 255
【0132】
中間体2:5−アミノ−6−クロロ−4−(メチルアミノ)−3−ピリジンカルボン酸エチル
【化6】

調製法a:6−クロロ−4−(メチルアミノ)−5−ニトロ−3−ピリジンカルボン酸エチル(15g)のエタノール中懸濁液をラネーニッケルの存在下、室温、大気圧で水素化した。完了後、触媒を濾過し、濾液を蒸発させて、暗色油状物を得た。ヘキサンで摩砕して、暗桃色固体(12g)として標記化合物を得た。 mp 50−52℃
調製法b:6−クロロ−4−(メチルアミノ)−5−ニトロ−3−ピリジンカルボン酸エチル(52.1g、0.2モル)にエタノール(300ml)を添加した。この懸濁液に、ラネーニッケル(50%水中スラリー6ml)をアルゴン下で添加した。反応を水素雰囲気下、室温で一夜(23時間)撹拌した。Kieselguhrを用いてアルゴン下、ラネーニッケルを濾過した。エタノールをbuchi上、真空下で除去して、5−アミノ−6−クロロ−4−(メチルアミノ)−3−ピリジンカルボン酸エチル(49.7g 107%)を粘稠褐色残留物として得た。混合物をさらに精製することなく使用した。
NMR(400MHz、DMSO−d6) HNC121452 δ 提案された構造と理にかなった範囲で一致
LC/MS 生成物 2.05分、[MH] 230。多くの不純物が2%から9%で存在。生成物は分子式C10ClOと一致
【0133】
中間体3:4−クロロ−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸エチル
【化7】

調製法a:5−アミノ−6−クロロ−4−(メチルアミノ)−3−ピリジンカルボン酸エチル(12g)およびトリエチルオルトホルメート(50mL)の混合物を3時間還流させた(エタノールを除去した)。熱溶液を濾過し、次いで冷却した。結果として得られた固体を濾過し、エーテルで洗浄し、次いで乾燥して、褐色結晶性固体(8.8g)として標記化合物を得た。 mp 112−114℃。
調製法b:5−アミノ−6−クロロ−4−(メチルアミノ)−3−ピリジンカルボン酸エチル(49.7g、0.21モル)に、トリエチルオルトホルメート(216ml、1.26モル)を添加し、混合物を1時間還流加熱した。混合物を冷却し、buchi上、真空下で蒸発させて、粘稠性半固体を得た。ジエチルエーテル(500ml)を半固体に添加し、混合物を室温で10分間撹拌した。褐色固体を濾過し、さらにジエチルエーテル(250ml)で洗浄した。固体を真空下、空気中で乾燥して、4−クロロ−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸エチル(31.7g、61%)を得た。
NMR(400MHz、クロロホルム−d6) HNC121507 δ 1.46−1.49(3H、t)、4.16(3H、s)、4.45 −4.15(2H、q)、7.99(1H、s)、8.78(1H、s)。 提案された構造と一致
【0134】
中間体4:4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸エチル
【化8】

4−クロロ−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸エチル(650mg)の1,4−ジオキサン(5ml)中懸濁液を、20mlマイクロ波バイアル中で調製した。3−ブロモアニリン(935mg)をこれに添加し、続いてメタンスルホン酸(0.35ml)を添加した。反応バイアルを密封し、180℃に30分間加熱した。この時点で、反応混合物を、同じ方法であるが、4−クロロ−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸エチル(100mg)を使用して完了された別の反応からのバッチと合した。この合した反応混合物をジクロロメタンおよび水間で分配し、疎水性フリットを通すことにより有機層を集めた。ジクロロメタン溶液を真空中で減じて、シリカクロマトグラフィー(50g カートリッジ、0−100%ヘキサン中酢酸エチルで溶出)により化合物を精製して、標記化合物を得、これを真空中で乾燥して、クリーム色固体(1.1g)を得た。
LC/MS [MH] 377 分子式C1615 81BrNと一致。
【0135】
中間体5:4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸ナトリウム
【化9】

4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸エチル(1.1g)を20mlマイクロ波バイアル中に入れ、メタノール(15ml)中に溶解させ、次いで(2N)水酸化ナトリウム(4ml)を添加した。バイアルを密封し、120℃に5分間加熱した。溶液を真空中で乾燥して、標記化合物を白色固体(8.7g 過剰の水酸化ナトリウムを含む)として得た。
LC/MS [MH] 349 分子式C141181BrNと一致。
【0136】
中間体6:4−[(2,4−ジクロロフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸エチル
【化10】

4−クロロ−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸エチル(650mg)の1,4−ジオキサン(5ml)中懸濁液を20mlマイクロ波バイアル中で調製した。これに、2,4−ジクロロアニリン(880mg)を添加し、続いてメタンスルホン酸(0.35ml)を添加した。反応バイアルを密封し、180℃に30分間加熱した。この時点で、反応混合物を、100mgの量の4−クロロ−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸エチルを用いる以外は同様にして完了した別の反応からのバッチと合した。この合した反応混合物をジクロロメタンおよび水間で分配し、有機層を疎水性フリットに通すことにより集めた。ジクロロメタン溶液を減圧下で減じた。残留物をシリカクロマトグラフィー(50g カートリッジ、0−100%ヘキサン中酢酸エチルで溶出)により精製したが、カラムにロードした後に一部の沈殿が残留していた。これをメタノールでSCX カートリッジ(5g)上で洗浄し、分析して、標記化合物であることを証明した。精製から得られた正確なフラクションを真空中で乾燥し、沈殿と合して、褐色固体(700mg)を得た。
LC/MS [MH] 365 分子式C161435Clと一致。
【0137】
中間体7:4−[(2,4−ジクロロフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸塩酸塩
【化11】

4−[(2,4−ジクロロフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸エチル(700mg)を20mlマイクロ波バイアル中に入れ、メタノール(15ml)中に溶解させ、次いで2N水酸化ナトリウム(4ml)を添加した。バイアルを密封し、120℃に5分間加熱した。溶液を真空中で減じ、メタノール(30ml)中に再溶解させた。(2N)水酸化ナトリウム(4ml)を添加し、反応を3時間100℃で還流させた。反応混合物を真空中で乾燥し、(2N)塩酸を用いて酸性化し、懸濁液を濾過し、固体を真空中で乾燥させて、標記化合物(540mg)を得た。
LC/MS [MH] 337 分子式C141035Clと一致。
【0138】
中間体8:4−[(3−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸エチル
【化12】

調製法a:4−クロロ−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸エチル(1g、4.1ミリモル)および3−クロロアニリン(0.9ml、8.9ミリモル)の1,4−ジオキサン(25ml)中懸濁液を100℃で一夜加熱した。粗反応混合物を蒸発させ、酢酸エチルおよび水(それぞれ約100ml)間で分配した。酢酸エチル層を乾燥し、濾過し、蒸発させて、標記化合物を粗オレンジ色油状物(1.8g)として得た。
LC/MS [MH] 331 分子式C161535ClNと一致。
【0139】
調製法b:4−クロロ−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸エチル(31.7g、0.13モル)に、1,4−ジオキサン(410ml)、3−クロロアニリン(27.93ml、0.26モル)、およびメタンスルホン酸(17.19ml、0.26モル)を添加した。若干の発熱反応が認められた。混合物を105℃に4時間加熱した。ジオキサンをbuchi上、真空下で除去した。残留物に酢酸エチル(1リットル)および水(500ml)を添加し、飽和水性重炭酸ナトリウム(350ml)の添加により、この溶液を中和した。酢酸エチル層を分離し、水性層を酢酸エチル(500ml)で再抽出した。酢酸エチル層を合し、buchi上、真空下で蒸発させた。残留物にヘキサン(1.5リットル)を添加し、混合物を45分間還流加熱した。冷却し、得られた固体を濾過し、追加量のヘキサン(1リットル)とともに還流加熱した。冷却し、固体を濾過して、4−[(3−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸エチル(37.9g、86%)を暗褐色固体として得た。
NMR(400MHz、クロロホルム−d6) HNC121507 δ 1.41−1.44(3H、t)、4.14(3H、s)、4.37−4.42(2H、q)、7.02−7.05(1H、m)、7.25−7.29(1H、m)、7.57−7.60(1H、m)、7.93(1H、s)、7.80−8.10(1H、br) 8.12(1H、s)、8.74(1H、s)。 提案された構造と一致
LC/MS 生成物保持時間3.19分、[MH] 331 分子式C1615ClOと一致。
【0140】
中間体9:4−[(3−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸
【化13】

調製法a:4−[(3−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸エチル(1.8g)をメタノール(5ml)および(2N)水酸化ナトリウム(5ml)中に溶解させ、マイクロ波条件下、120℃で5分間加熱した。化合物を次に酢酸エチルおよび水(100ml)間で分配した。酢酸エチル層を乾燥し、濾過し、蒸発させた。粗物質を次に水中に溶解させ、(2N)塩酸で(pH 4−3)にし、これにより、沈殿が水から析出した。酢酸エチルを添加すると、混合物が乳液を形成した。全乳液を次に蒸発させ、アミノ−プロピルSPE カートリッジ(50g)を用い、(2M)メタノール中アンモニアで溶出して、サンプルを精製し、標記化合物(1.1g)を得た。
LC/MS [MH] 303 分子式C141135ClNと一致。
【0141】
調製法b:4−[(3−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸エチル(32.9g、0.099モル)にエタノール(330ml)を添加し、続いて2M水性水酸化ナトリウム(130ml、0.25モル)を添加した。混合物を撹拌下で1時間還流加熱した。冷却すると、混合物は凝固し、エタノール(100ml)を添加すると、スラリーが形成された。スラリーをbuchi上、真空下で蒸発させて、褐色固体を得た。これを水(1リットル)中に溶解させ、溶液を氷浴中で15℃に冷却し、2M水性塩酸を用いてpH1に酸性化した。形成された沈殿を濾過し、固体を水(2x200ml)で洗浄した。固体を真空下、40℃で、一定重量が達成されるまで乾燥して(48時間)、4−[(3−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸(28.19g、93%)を褐色固体として得た。
NMR(400MHz、DMSO−d6) HNC121878 δ 4.07(3H、s)、7.04−7.06(1H、m)、7.31−7.36(1H、t)、7.92−7.94(1H、m)、8.23−8.24(1H、m)、8.33(1H、s)、8.49(1H、s)、9.82(1H、s)、12.00−13.50(ブロードシグナル)。提案された構造と一致
LC/MS 生成物保持時間 2.17分、[MH] 303 分子式C1411ClOと一致。
【0142】
中間体10:4−[(3−クロロフェニル)オキシ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸塩酸塩
【化14】

3−クロロフェノール(1.8ml、16.7ミリモル)の1,4−ジオキサン(4ml)中混合物を激しく撹拌した。水素化ナトリウム(鉱油中60%、701mg)を次にゆっくりと添加した。さらに1,4−ジオキサン(18ml)を4−クロロ−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸エチル(1g、4.2ミリモル)とともに懸濁液に添加した。サンプルをマイクロ波条件下、180℃で10時間加熱した。物質を次にできるだけ乾燥するまで蒸発させ、水中に再溶解させ、(2N)塩酸で酸性化して、pH−1にした。固体沈殿を得、これを濾過し、真空オーブン中、40℃で一夜乾燥した(1.3g)。
LC/MS [MH] 304 分子式C141035ClNと一致。
【0143】
中間体11:4−クロロ−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸
【化15】

4−クロロ−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸エチル(8.80g)、メタノール(90ml)および2N 水酸化ナトリウム(30ml) を一緒に室温で2時間撹拌した。2N塩酸(30ml)の添加により、沈殿を得、これを濾過し、真空下、50℃で乾燥して、赤色粉末(6.7g)として標記化合物を得た。
LC/MS [MH] 212 分子式C 35ClNと一致。
【0144】
中間体12:4−クロロ−1−メチル−7−(4−モルホリニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン
【化16】

4−クロロ−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸(1.0g)のジメチルホルムアミド(30ml)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.12ml)、モルホリン(0.82ml)およびO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(2.688g)中混合物を室温で45分間撹拌した。反応混合物を水および酢酸エチル中に溶解させた。有機層を水性飽和炭酸水素ナトリウムで2回、次いで水で洗浄した。有機層を蒸発させ、洗浄水を蒸発させ、合した重炭酸ナトリウム洗浄液を蒸発させた。重炭酸ナトリウム洗浄液の蒸発から得られる残留物をジクロロメタン中で撹拌し、固体を濾過し、濾液を有機層の蒸発から得られる残留物および洗浄水から得られる残留物と合した。得られた混合物を蒸発させ、0−100%メタノール/水の勾配を使用したクロマトグラフィー(50g C18カラム)により、残留物を精製して、灰白色固体(940mg)として標記化合物を得た。
LC/MS [MH] 281 分子式C1213 35ClNと一致
【0145】
実施例1
N−(3−ブロモフェニル)−1−メチル−7−(1−ピペリジニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン塩酸塩
【化17】

4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸ナトリウム(250mg 水酸化ナトリウムを含む)を試験管中に入れ、ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(107mg)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド(123mg)、N−エチルモルホリン(0.183ml)、ピペリジン(0.092ml)と合し、これをジメチルホルムアミド(8ml)中に溶解させた。反応を室温で48時間撹拌した。反応混合物を真空中で減じ、2N塩酸を用いて酸性化し、次に真空中で減じた。結果として得られた固体をヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(107mg)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド(123mg)、ピペリジン(0.092ml)、過剰のN−エチルモルホリンと合し、これをジメチルホルムアミド(8ml)中に溶解させた。これを次に24時間、室温で撹拌した。反応混合物を真空中で減じ、水およびジクロロメタンと合した。有機層を疎水性フリットにより集め、真空中で減じた。シリカクロマトグラフィー(10gカートリッジ、1−2%のジクロロメタン中2Mメタノール中アンモニアで溶出)を用いて残留物を精製した。得られた溶液を真空中で減じ、次に質量分析計に直結したHPLCを用いて精製した。正確なフラクションを合し、真空中で減じて固体を得、これをメタノールおよびアセトニトリル中に溶解させ、1Mジエチルエーテル中塩酸を添加した。溶液を真空中で減じて、固体を得、これを1,4−ジオキサンおよび水中に溶解させ、凍結乾燥機中に入れて、白色固体を得た(136mg)。
LC/MS [MH] 416 分子式C192081BrNOと一致
【0146】
実施例2
N−(3−ブロモフェニル)−1−メチル−7−(4−モルホリニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン塩酸塩
【化18】

実施例1と同様の方法で、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸ナトリウム(250mg)から標記化合物を調製した。ここで、モルホリン(94μl)をカップリング処理において使用した。白色固体を得た(77mg)。
LC/MS [MH] 418 分子式C181881BrNと一致
【0147】
実施例3
N−(3−ブロモフェニル)−1−メチル−7−(1−ピロリジニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン塩酸塩
【化19】

実施例1と同様の方法で、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸ナトリウム(250mg)から標記化合物を調製した。ここで、ピロリジン(89μl)をカップリング処理において使用した。白色固体を得た(154mg)。
LC/MS [MH] 402 分子式C181881BrNOと一致
【0148】
実施例4
4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−1−メチル−N−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボキサミド塩酸塩
【化20】

実施例1と同様の方法で4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸ナトリウム(250mg)から標記化合物を調製した。ここで、イソブチルアミン(108μl)をカップリング処理において使用した。ただし、反応混合物が真空中で乾燥され、ジクロロメタンおよび水と組み合わせられる場合、沈殿が残存し、これを濾過し、次に30%水中アセトニトリルで洗浄して、白色固体を得た。これをメタノール中に溶解させ、1Mジエチルエーテル中塩酸を添加した。溶媒を真空中で除去して、固体を得、これを1,4−ジオキサンおよび水中に溶解させ、凍結乾燥機中に入れて、白色固体を得た(154mg)。
LC/MS [MH] 404 分子式C1820 81BrNOと一致
【0149】
実施例5
N−(2,4−ジクロロフェニル)−1−メチル−7−(4−モルホリニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン塩酸塩
【化21】

4−[(2,4−ジクロロフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸塩酸塩(135mg)を試験管中に入れ、ここで、これをヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(59mg)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド(68mg)、N−エチルモルホリン(0.1ml)、モルホリン(0.052ml)と合し、これをジメチルホルムアミド(8ml)中に溶解させた。反応を室温で24時間撹拌した。反応混合物を次に真空中で乾燥させ、水およびジクロロメタンと組み合わせた。有機層を疎水性フリットで集め、真空中で減じ、C−18カートリッジ(5g)上で精製し、0−50%水中アセトニトリルで溶出した。正確なフラクションを合し、真空中で減じて、固体を得、これをアセトニトリル中に溶解させ、1Mジエチルエーテル中塩酸を添加した。これを次に真空中で乾燥して、固体を得た。固体を次に1,4−ジオキサンおよび水中に溶解させ、凍結乾燥機中に入れて、白色固体を得た(44mg)。
LC/MS [MH] 406 分子式C181735Clと一致。
【0150】
実施例6
N−(2,4−ジクロロフェニル)−1−メチル−7−(1−ピペリジニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン塩酸塩
【化22】

標記化合物を実施例5と同様の方法で、4−[(2,4−ジクロロフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸塩酸塩(135mg)から調製した。ここで、ピペリジン(51μl)をカップリング処理において使用した。白色固体を得た(19mg)。
LC/MS [MH] 404 分子式C191935ClOと一致。
【0151】
実施例7
N−(2,4−ジクロロフェニル)−1−メチル−7−(1−ピロリジニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン塩酸塩
【化23】

標記化合物を実施例5と同様にして、4−[(2,4−ジクロロフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸塩酸塩(135mg)から調製した。ここで、ピロリジン(50μl)をカップリング処理において使用した。 白色固体を得た(37mg)。
LC/MS [MH] 390 分子式C181735ClOと一致。
【0152】
実施例8
4−[(2,4−ジクロロフェニル)アミノ]−1−メチル−N−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボキサミド塩酸塩
【化24】

実施例5と同様にして、4−[(2,4−ジクロロフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸塩酸塩(135mg)から標記化合物を調製した。ここで、イソブチルアミン(60μl)をカップリング処理において使用した。ただし、反応混合物を真空中で減じ、残留物をアセトニトリルおよびジメチルスルホキシド中に部分的に溶解させた。残りの固体を濾過し、真空中で乾燥させ、次にメタノール中に溶解させ、1Mジエチルエーテル中塩酸を添加した。これを次に真空中で乾燥して、固体を得た。固体を次に1,4−ジオキサンおよび水中に溶解させ、凍結乾燥機中に入れて、白色固体を得た(42mg)
LC/MS [MH] 392分子式C181935ClOと一致
【0153】
実施例9a
N−(3−クロロフェニル)−1−メチル−7−(4−モルホリニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン塩酸塩
【化25】

4−[(3−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸(275mg、0.91ミリモル)、ジメチルホルムアミド(8ml)、4−エチルモルホリン(230μl、1.8ミリモル)、モルホリン(120μl、1.36ミリモル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(135mg、1ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(155mg、1ミリモル)を一緒に添加し、溶液を室温で一夜撹拌した。溶媒を蒸発させた。疎水性フリットを用いて、残留物を水およびジクロロメタン間で分配した。ジクロロメタン抽出物を蒸発させ、クロマトグラフィー(10gのシリカ)により精製し、ジクロロメタンで溶出した。カラムを、3カラム体積のジクロロメタン、2カラム体積の2%(2Mメタノール中アンモニア)/ジクロロメタン、2カラム体積の5%(2Mメタノール中アンモニア)/ジクロロメタン、および2カラム体積の10%(2Mメタノール中アンモニア)/ジクロロメタンで洗浄した。サンプルを過剰のエーテル性塩化水素(5ml)で処理し、次に凍結乾燥して、標記化合物を灰白色固体(177mg)として得た。
LC/MS [MH] 372 分子式C181835ClNと一致
【0154】
実施例9b
N−(3−クロロフェニル)−1−メチル−7−(4−モルホリニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン
【化26】

4−[(3−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸(27.19g、0.09モル)のDMF(680ml)中撹拌懸濁液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(78.26ml、0.45モル)、O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(51.18g 0.135モル)を添加した。この時点で、反応はより粘稠になり始める。この混合物に、モルホリン(15.72ml、0.18モル)をゆっくりと5分にわたって添加した。反応は暗色溶液を形成する。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応を蒸発させて、595mlのDMFを除去した。暗褐色油状物を酢酸エチル(3リットル)中に溶解させ、これを次に連続して、水(1リットル)、水性飽和炭酸水素ナトリウム溶液(1リットル)で洗浄した。微細沈殿が酢酸エチル層中に形成され、これを濾過した。酢酸エチル層を連続して、水(1リットル)、2M水性水酸化ナトリウム(2x500ml)、水(1リットル)および食塩水(1リットル)で洗浄した。酢酸エチル層を乾燥し(MgSO)、蒸発させて、淡褐色固体を得た。メタノール(20ml)を含有するDCM(200ml)中にこれを溶解させ、これにシリカ(125g)を添加し、混合物を蒸発させた。固体をBiotage Flash 75上クロマトグラフにかけ、DCM/メタノール(97:3)で溶出して、淡黄色固体を得、これを真空下、60℃で一夜乾燥させた。得られた固体を水性2M塩酸溶液(1リットル)中に溶解させ、この溶液を酢酸エチル(2x500ml)で洗浄した。水性相を次に固体炭酸水素ナトリウムで塩基性化して、pH8にした。形成された沈殿を濾過し、水(1リットル)中に再懸濁させ、30分間撹拌し、固体を濾過し、真空下、40℃で一夜乾燥させて、N−(3−クロロフェニル)−1−メチル−7−(4−モルホリニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン(25.01g 74%)を灰白色固体として得た。
NMR(400MHz、DMSO−d6) HNC122148 δ3.30−3.90(11H、m)、6.96−6.99(1H、m)、7.27−7.31(1H、t)、7.92−7.94(2H、m)、8.29(1H、s)、8.33−8.34(1H、m)、9.51(1H、s)。提案された構造と一致。
LC/MS、生成物保持時間 2.23分、[MH] 372 分子式C181835ClNと一致
【0155】
実施例10
N−(3−クロロフェニル)−1−メチル−7−(1−ピペリジニルカルボニル)−1H− イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン塩酸塩
【化27】

実施例9aと同様の方法で、4−[(3−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸(275mg)から標記化合物を調製した。ここで、ピペリジン(120μl)をカップリング処理において使用した。白色固体を得た(250mg)。
LC/MS [MH] 370 分子式C192035ClNOと一致。
【0156】
実施例11
N−(3−クロロフェニル)−1−メチル−7−(1−ピロリジニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン塩酸塩
【化28】

実施例9aと同様の方法で、4−[(3−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸(275mg)から標記化合物を調製した。ここで、ピロリジン(110μl)をカップリング処理において使用した。白色固体を得た(103mg)。
LC/MS [MH] 356 分子式C181835ClNOと一致。
【0157】
実施例12
4−[(3−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−N−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボキサミド塩酸塩
【化29】

実施例9aと同様の方法で、4−[(3−クロロフェニル)アミノ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸(275mg)から標記化合物を調製した。ここで、イソブチルアミン(73μl)をカップリング処理において使用した。灰白色固体を得た(144mg)。
LC/MS [MH] 358 分子式C182035ClNOと一致。
【0158】
実施例13
4−[(3−クロロフェニル)オキシ]−1−メチル−7−(1−ピペリジニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン塩酸塩
【化30】

4−[(3−クロロフェニル)オキシ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸塩酸塩(325mg、1.07ミリモル)、ジメチルホルムアミド(8ml)、4−エチルモルホリン(230μl、1.8ミリモル)、ピペリジン(140μl、1.66ミリモル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(165mg、1.1ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(190mg、1.1ミリモル)を一緒に添加し、溶液を室温で一夜撹拌した。溶媒を蒸発させた。疎水性フリットを用いて、残留物を水およびジクロロメタン間で分配した。ジクロロメタン抽出物を蒸発させ、クロマトグラフィー(10gのシリカ)により精製し、ジクロロメタンで溶出した。カラムを3カラム体積のジクロロメタン、2カラム体積の2%(2Mメタノール中アンモニア)/ジクロロメタン、2カラム体積の5%(2Mメタノール中アンモニア)/ジクロロメタン、および2カラム体積の10%(2Mメタノール中アンモニア)/ジクロロメタンで洗浄した。サンプルをジエチルエーテル(約1−2ml)中塩化水素(1M)溶液で処理し、次いで蒸発乾固させた。サンプルを次に、1,4ジオキサンおよび水の組み合わせ中に溶解させ、一夜凍結乾燥して、標記化合物を灰白色固体(280mg)として得た。
LC/MS [MH] 371 分子式C191935ClNと一致。
【0159】
実施例14
4−[(3−クロロフェニル)オキシ]−1−メチル−7−(4−モルホリニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン塩酸塩
【化31】

実施例13と同様の方法で、4−[(3−クロロフェニル)オキシ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸塩酸塩(325mg)から標記化合物を調製した。ここで、モルホリン(140μl)をカップリング処理において使用した。灰白色固体を得た(182mg)。
LC/MS [MH] 373 分子式C181735ClNと一致。
【0160】
実施例15
4−[(3−クロロフェニル)オキシ]−1−メチル−7−(1−ピロリジニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン塩酸塩
【化32】

実施例13と同様の方法で、4−[(3−クロロフェニル)オキシ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸塩酸塩(325mg)から標記化合物を調製した。ここで、ピロリジン(120μl)をカップリング処理において使用した。灰白色固体を得た(300mg)。
LC/MS [MH] 357 分子式C181735ClNと一致。
【0161】
実施例16
4−[(3−クロロフェニル)オキシ]−1−メチル−N−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボキサミド塩酸塩
【化33】

実施例13と同様の方法で、4−[(3−クロロフェニル)オキシ]−1−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−カルボン酸塩酸塩(325mg)から標記化合物を調製した。ここで、イソブチルアミン(120μl)をカップリング処理において使用した。灰白色固体を得た(248mg)。
LC/MS [MH] 359 分子式C181935ClNと一致。
【0162】
実施例17
1−メチル−7−(4−モルホリニルカルボニル)−N−{3−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン塩酸塩
【化34】

4−クロロ−1−メチル−7−(4−モルホリニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン(150mg)、メタンスルホン酸(0.207ml)および3−トリフルオロメトキシアニリン(0.143ml)の1,4−ジオキサン(5ml)中混合物をマイクロ波条件下、180℃で30分間加熱した。混合物を真空中で濃縮し、MDAPにより精製し、メタノール中に懸濁させ、2Nエーテル中塩酸(0.5ml)で処理し、蒸発させ、乾燥して、標記化合物(27mg)を得た。
LC/MS [MH] 422 分子式C1918と一致。
【0163】
実施例18
N−(3−フルオロフェニル)−1−メチル−7−(4−モルホリニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン塩酸塩
【化35】

反応時間が15分である以外は、実施例17と同様の方法で、4−クロロ−1−メチル−7−(4−モルホリニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン(150mg)および3−フルオロアニリン(0.103ml)から標記化合物(36mg)を調製した。
LC/MS [MH] 356 分子式C1818FNと一致。
【0164】
実施例19
N−(3,4−ジフルオロフェニル)−1−メチル−7−(4−モルホリニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン塩酸塩
【化36】

反応時間が15分である以外は実施例17と同様の方法で、4−クロロ−1−メチル−7−(4−モルホリニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン(150mg)および3,4−ジフルオロアニリン(0.106ml)から標記化合物(72mg)を調製した。
LC/MS [MH] 374 分子式C1817と一致。
【0165】
実施例20
1−メチル−N−[2−メチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−7−(4−モルホリニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン塩酸塩
【化37】

反応時間が15分である以外は、実施例17と同様の方法で、4−クロロ−1−メチル−7−(4−モルホリニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン(150mg)および2−メチル−3−トリフルオロメチルアニリン(187mg)から標記化合物(32mg)を得た。
LC/MS [MH] 420 分子式C2020と一致。
【0166】
実施例21
N−[2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−メチル−7−(4−モルホリニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン塩酸塩
【化38】

反応時間が20分である以外は、実施例17と同様にして、4−クロロ−1−メチル−7−(4−モルホリニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン(150mg)および2−フルオロ−3−トリフルオロメチルアニリン(0.138ml)から標記化合物(33mg)を調製した。標記化合物は油状物であり、ジクロロメタンから同時蒸発化させて、泡状物/固体を得た。
LC/MS [MH] 424 分子式C1917と一致。
【0167】
実施例22
N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−1−メチル−7−(4−モルホリニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−アミン塩酸塩
【化39】

反応時間が20分である以外は、実施例17と同様の方法で、4−クロロ−1−メチル−7−(4−モルホリニルカルボニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン(150mg)および3−クロロ−4−フルオロアニリン(156mg)から標記化合物(57mg)を調製した。ヘキサンで摩砕することにより標記化合物をさらに精製して、白色固体を得た。
LC/MS [MH] 390 分子式C181735Cl FNと一致。
【0168】
本発明の化合物を組み入れる製薬学的用途用処方を、様々な形態で、多くの賦形剤を用いて調製することができる。かかる処方の例を以下に示す。
【0169】
実施例23
吸入処方
式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体(1mg〜100mg)を計量式吸入器からエアゾル化して、使用回数あたり所望の量の薬物を送達する。
【0170】
実施例24
錠剤処方
錠剤/成分 1錠あたり
1. 活性成分 40mg
(式(I)の化合物または医薬上許容される誘導体)
2. コーンスターチ 20mg
3. アルギン酸 20mg
4. アルギン酸ナトリウム 20mg
5. ステアリン酸マグネシウム 1.3mg
錠剤処方の処理:
成分1、2、3および4を適当なミキサー/ブレンダー中でブレンドする。各添加後、ある稠度の塊が湿潤顆粒になるまで、慎重に混合しながら、十分な水を数回に分けてブレンドに添加する。湿潤塊を、No.8メッシュ(2.38mm)スクリーンを用いて、振動造粒機を通すことにより、顆粒に変換する。湿潤顆粒を次に140°F(60℃)のオーブン中で乾燥するまで乾燥した。乾燥顆粒に成分No.5で潤滑化し、潤滑化された顆粒を適当な打錠機で圧縮する。
【0171】
実施例25
非経口処方
適切な量の式(I)の化合物をポリエチレングリコール中に加熱しながら溶解させることにより、非経口投与用医薬組成物を調製する。この溶液を次に注射用水Ph Eur.で希釈する(100mlにする)。この溶液を次に0.22ミクロンメンブランフィルターを通して濾過することにより無菌状態にし、無菌容器中で密封する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
はNRまたはOであり;
は、水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキルおよびハロ置換C1−6アルキルから選択され;
は、水素または(CHであるか(ここで、mは0または1である);
あるいはRおよびRは、これらが結合しているNと一緒になって、置換されていてもよい4ないし8員非芳香族ヘテロサイクリル環を形成し;
は、4ないし8員非芳香族ヘテロサイクリル基、C3−8シクロアルキル基、直鎖または分岐鎖C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C3−8シクロアルケニル、C2−10アルキニル、C3−8シクロアルキニルまたはフェニル基(そのいずれかは置換されていなくても、されていてもよい)、またはRであり;
は、水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、ハロ置換C1−6アルキル、COCH、およびSOMeから選択され;
は、式:
【化2】

(式中、pは0、1または2であり、XはCH、O、S、またはSOである)の基であり;
は、非置換または置換フェニル、非置換または置換C3−6シクロアルキルあるいは非置換または置換4ないし8員非芳香族ヘテロサイクリル環であり;
は、OH、C1−6アルコキシ、NR8a8b、NHCOR、NHSOまたはSOqRであり;
8aは、HまたはC1−6アルキルであり;
8bは、HまたはC1−6アルキルであり;
は、C1−6アルキルであり;
10は、水素、置換または非置換(C1−6)アルキルまたはクロロであり;
12は、水素またはC1−6アルキルであり;
13は、水素またはC1−6アルキルであり;
qは、0、1または2である]
の化合物、あるいはその医薬上許容される誘導体。
【請求項2】
が水素である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が(CH(ここで、mは0または1)である請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
が非置換または置換C1−6アルキル基である、前記請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、モルホリニル、ピロリジニルまたはピペリジニル環を形成する請求項1記載の化合物。
【請求項6】
が非置換または置換フェニル基である前記請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
がNRである前記請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
がC1−6アルキルまたは水素、例えば、メチルまたは水素である前記請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
10が水素である前記請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
12がメチルである前記請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
13が水素である前記請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
式(Ia):
【化3】

[式中:
はNRであり;
は水素であり;
は(CHであり(ここで、mは0または1である);
あるいは、RおよびRは、これらが結合しているNと一緒になって、モルホリニル、ピロリジニル、またはピペリジニル環であって、そのいずれかは置換されていなくても、置換されていてもよいものを形成し;
は非置換または置換直鎖または分岐鎖C1−6アルキルであり;
は水素またはメチルであり、
は非置換または置換フェニルであり;
12は水素またはメチルである]
の化合物またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項13】
前記請求項のいずれか1項記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む医薬組成物。
【請求項14】
その医薬担体または希釈剤をさらに含む請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
第二の治療薬をさらに含む請求項13または14記載の医薬組成物。
【請求項16】
ヒトまたは獣医学において用いられる請求項1から12のいずれか1項記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項17】
カンナビノイド2受容体の活性が介在する疾患の治療において用いられる、請求項1から12のいずれか1項記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項18】
カンナビノイド2受容体の活性が介在する疾患を治療するための治療薬を製造するための、請求項1から12のいずれか1項記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用。
【請求項19】
カンナビノイド2受容体の活性が介在する疾患に罹っている哺乳動物、例えばヒトの治療法であって、前記対象に、非毒性の治療的に有効な量の請求項1から12のいずれか1項記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を投与することを含む方法。
【請求項20】
カンナビノイド2受容体の活性が介在する疾患が、免疫障害、炎症性疾患、疼痛、関節リウマチ、多発性硬化症、変形性関節炎または骨粗鬆症である、請求項17記載の化合物または請求項18記載の使用または請求項19記載の治療法。
【請求項21】
疼痛が、炎症性痛覚、内臓痛、癌性疼痛、神経因性疼痛、腰痛、筋肉・骨格、術後疼痛、急性疼痛および片頭痛から選択される、請求項20記載の化合物、使用または方法。

【公表番号】特表2009−504587(P2009−504587A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525462(P2008−525462)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007812
【国際公開番号】WO2007/017237
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】