説明

ニコチン性アセチルコリン受容体サブタイプアルファ−71のモジュレータとしてのインドール

本発明は、式(I):


の化合物またはその塩による、α7ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)の調節に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)の調節において活性を有する新規のインドール誘導体に関する。本発明は、その誘導体を、α7 nAChRの調節によって媒介される疾患および健康状態の治療に使用することにも関する。さらに、本発明は、その誘導体を含有する組成物、およびそれらを調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
神経伝達物質アセチルコリン(ACh)は、コリン作動性受容体に結合することにより、哺乳類の体内にあるイオンチャネルの開口を引き起こす。中枢神経系(CNS)は、2種類のACh受容体、すなわちムスカリン性受容体およびnAChRを有する。nAChRは、5つのサブユニットを有するリガンド作動性イオンチャネルである(参考として、Colquhon et al. (1997) Advances in Pharmacology 39, 191-220; Williams et al. (1994) Drug News & Perspectives 7, 205-223; Doherty et al. (1995) Annual reports in Medicinal Chemistry 30, 41-50を参照のこと)。nAChR遺伝子ファミリーは2つのグループに分けることができる:すなわち、βサブユニットをコードするグループおよびαサブユニットをコードするグループである(参考として、Karlin & Akabas (1995) Neuron 15, 1231-1244; Sargent (1993) Annu. Rev. Neurosci. 16, 403-443を参照のこと)。αサブユニットのうちの3つ、すなわちα7、α8およびα9は、単独で発現する場合に機能的受容体を形成することが可能であり、ホモオリゴマー受容体を形成することが可能である。
【0003】
研究により、ニューロンニコチン性受容体が神経伝達、認知、感覚ゲーティング、および不安の調節に重要な役割を果たしていることが示されてきた(Zarei et al. Neuroscience 1999, 88, 755-764、Frazier et al. J. Neurosci. 1998, 18, 8228-8235、Radcliffe et al. J. Neurosci. 1998, 18, 7075-7083、Minana et al. Neuropharmacology 1998, 37, 847-857、Albuquerque et al. Toxicol. Lett. 1998, 102-103, 211-218、Neubauer, et al. Neurology 1998, 51, 1608-1612、Stevens et al. Psychopharmacology 1998, 136, 320-327、Adler et al. Schizophrenia Bull. 1998, 24, 189-202);このように、CNS疾患を治療するための、これらの受容体を調節する化合物の使用に関心が寄せられている。
【0004】
統合失調症の病因におけるα7受容体の役割は、α7遺伝子座と感覚ゲーティング欠陥との間の相関を示す連鎖解析(Freedman et al, Psychopharmacology (2004), 174(1), 54-64)によって示唆されている。感覚ゲーティング欠陥は、統合失調症の主要なエンドフェノタイプの代表である。患者における上記ゲーティング欠陥は、ニコチンにより、α7を介する作用に一致する薬理によって一時的に改善される。加えて、動物モデルにおいては、前脳のコリン作動性求心性神経の障害またはα7受容体の薬理学的遮断によって同様の感覚ゲーティング欠陥が誘発されるが、この感覚ゲーティング欠陥はα7受容体の発現レベルが減少している近交系マウスにおいても観察される。ニコチンは、障害された動物および近交系マウスの両方において、当該欠陥を正常化することが報告されているが、これも、α7受容体における活性に一致する薬理によるものである。α7受容体の薬理学的遮断によってげっ歯類の短期作業記憶が損なわれることが報告されている一方で、受容体の活性化によって同パラダイムにおけるパフォーマンスが増強されることが報告されており、よって、このことから、α7受容体が認知強化(cognitive enhancement)の標的であることが暗示される。
【0005】
α7 nAChRは、他のサブタイプと比較して、その活性化キネティクスが速いことおよびCa2+の透過性が高いことを特徴とする(Delbono et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. 1997, 280, 428-438.)。また、α7 nAChRは、アゴニストにさらされると急速な脱感作を示す。(Castro et al., Neurosci. Lett. 1993, 164, 137-140、Couturier et al., Neuron 1990, 5, 847-856、Alkondon et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 1994, 271, 494-506)。したがって、アセチルコリンおよびニコチンの両方が当該受容体の活性化、次いで遮断および/または脱感作を両方示すため、α7アゴニストで処理することは問題となる場合があり、よって、アゴニストで慢性的に処理することは明らかな拮抗作用となる可能性は十分ある。加えて、アゴニストは脱感作状態の当該受容体に最も高い親和性を示すことが示されており、よって、アゴニストにより、受容体活性化の閾値よりも低い濃度で受容体脱感作が媒介され得る(Briggs and McKenna. Neuropharmacology 1998 37,1095-1102)。
【0006】
この問題はポジティブ・アロステリックモジュレータ(PAM)で処理することによって克服できる。PAMは、当該受容体を活性化することなく、PAM自身の能力で、すなわちアゴニストの非存在下で、内因性アゴニストまたは外因性アゴニストによって媒介されるα7 nAChR活性化を増強する。いくつかのPAMが報告されている(Lightfoot et al. Progress in medicinal chemistry 46:131-71, 2008)
【発明の概要】
【0007】
第一の態様によれば、本発明は式(I)の化合物またはその塩を提供する:
【0008】
【化1】

[式中、
は水素またはC1−3アルキルであり;
は水素、ハロまたはシアノであり;および

【0009】
【化2】

基である(ここで、Rはハロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、シアノまたはジC1−3アルキルアミノである)]。
【0010】
本明細書で用いられているように、C1−6アルキル置換基は、非環式C1−6アルカンから水素原子を除去することによって得た一価ラジカルである。上記C1−6アルキル置換基はメチルおよびエチルを含むが、直鎖(すなわちn−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシル)であっても、分岐鎖(例えば、イソプロピル、イソブチル、secブチル、tert−ブチル、イソペンチルおよびネオペンチル)であってもよい。
【0011】
本明細書で用いられているように、ハロ置換基とは、フルオロラジカル、クロロラジカル、ブロモラジカルおよびヨードラジカルを指す。実施形態によれば、別途指示がない限り、いずれのハロ置換基もクロロまたはブロモであるものとする。
【0012】
本明細書で用いられているように、ハロC1−6アルキル置換基は、1個以上のハロ置換基で置換されたC1−6アルキル基であり、そのハロ置換基は同じであっても異なっていてもよい。上記C1−6ハロアルキル置換基はモノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルおよび1−クロロ−2−フルオロエチルを含む。
【0013】
本明細書で用いられているように、C1−6アルコキシ置換基は、式「R−O−」という基であり、式中Rは上述のC1−6アルキルである。上記アルコキシ置換基は、メトキシおよびエトキシを含み、また、直鎖(すなわちn−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシおよびn−ヘキシロキシ)であっても、分岐鎖(例えば、イソプロポキシ、イソブトキシ、secブトキシ、tert−ブトキシ、イソペントキシおよびネオペントキシ)であってもよい。
【0014】
本明細書で用いられているように、ハロC1−6アルコキシ置換基は、式「R−O−」であり、式中Rは上述のC1−6ハロアルキルである。上記C1−6ハロアルコキシ置換基は、モノフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシおよび1−クロロ−2−フルオロエトキシを含み、また、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一実施形態によれば、Rは水素である。
一実施形態によれば、Rは水素である。
さらなる実施形態によれば、RおよびRは水素である。
【0016】
一実施形態によれば、Rはブロモ、クロロ、メチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエトキシまたはシアノである。
さらなる実施形態によれば、Rはブロモ、メチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエトキシまたはシアノである。
さらなる実施形態によれば、Rはトリフルオロメチルである。
【0017】
一実施形態によれば、当該化合物は:
N−[(2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド;
N−[(2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジンカルボキサミド;
6−ブロモ−N−{[2−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−イル]メチル}−3−ピリジンカルボキサミド;
6−シアノ−N−{[2−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−イル]メチル}−3−ピリジンカルボキサミド;
N−[(2−トリフルオロメチル−7−ブロモ−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド;
N−[(2−トリフルオロメチル−7−シアノ−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド;
N−[(1−メチル−2−トリフルオロメチルインドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド;
またはその塩
から選択される。
【0018】
さらなる実施形態によれば、当該化合物はN−[(2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミドである。
【0019】
本発明が、上記に記載された実施形態の任意の組み合わせを有する化合物を含むよう意図されていることは理解されるであろう。
【0020】
疑義を避けるため、別途指示がない限り、「置換(substituted)」という語は、記載された1個以上の基によって置換されていることを意味する。それらの基を、多数の択一的な基から選択することができる場合には、選択される基は、同じであっても異なっていてもよい。
【0021】
疑義を避けるため、「独立して」という語は、いくつかの可能な置換基から2個以上の置換基が選択される場合に、それらの置換基が、同じであっても異なっていてもよい、ということを意味する。
【0022】
式(I)の化合物は、薬学的に許容可能な塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸およびリン酸などの無機酸で、またはカルボン酸類で、または有機スルホン酸類で形成される無毒性酸付加塩を形成してもよい。例として、HCl塩、HBr塩、HI塩、硫酸塩または重硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩またはリン酸水素塩、酢酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、糖酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、カンシル酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩が挙げられる。参考として、適切な医薬塩(pharmaceutical salts)については、Berge et al, J. Pharm, Sci., 66, 1-19, 1977; P L Gould, International Journal of Pharmaceutics, 33 (1986), 201-217;およびBighley et al, Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, Marcel Dekker Inc, New York 1996, Volume 13, page 453-497を参照のこと。
【0023】
一実施形態によれば、式(I)の化合物の塩は、薬学的に許容可能な塩である。
【0024】
以下、式(I)の化合物および薬学的に許容可能なそれらの塩を「本発明の化合物」とも言う。
【0025】
最終脱保護段階より前に作製されてもよい本発明の化合物の保護された特定の誘導体は、それ自体は薬理学的活性を有し得ないが、特定の例では、経口的または非経口的に投与された後に体内で代謝されることによって、薬理学的に活性を有する第一の態様に記載された化合物を形成してもよい、とのことを当業者は理解するであろう。したがって、上記誘導体を「プロドラッグ」と記述することがある。第一の態様に記載された化合物の、保護された誘導体およびプロドラッグはすべて、本発明の範囲内に含まれる。本発明の化合物の適切なプロドラッグの例は、Drugs of Today, Volume 19, Number 9, 1983, pp 499 - 538、およびTopics in Chemistry, Chapter 31, pp 306 - 316、および“Design of Prodrugs” by H. Bundgaard, Elsevier, 1985, Chapter 1に記述されている(これらの文献において開示された内容は、参照により本明細書に組み入れられるものとする)。例えば「Design of Prodrugs」(この文献において開示された内容は、参照により本明細書に組み入れられるものとする)の中でH.Bundgaardによって記述されたような、当業者に「プロ部分(pro-moieties)」として知られる特定の部分は、適切な官能基が第一の態様に記載された化合物内に存在する場合には、上記適切な官能基上にあってもよい、とのことを当業者は理解するであろう。
【0026】
本発明の化合物は、通常、固体形状である。固体状態では、本発明の化合物は、結晶形状もしくは非晶質形状で、またはそれらの混合物として存在していてもよい。結晶形状の本発明の化合物について、結晶化の際に、溶媒分子が結晶格子の中に取り込まれる、薬学的に許容可能な溶媒和物が形成されてもよい、とのことを当業者は理解するであろう。溶媒和物は、エタノール、イソプロパノール、DMSO、酢酸、エタノールアミン、およびEtOAcなどの非水溶媒を含んでもよく、または結晶格子の中に取り込まれる溶媒として水を含んでもよい。結晶格子の中に取り込まれる溶媒が水である溶媒和物を、通常、「水和物」と言う。水和物には、種々の量の水を含有する組成物のみならず、化学量論的水和物もまた含まれる。本発明には、このような溶媒和物のすべてが含まれる。
【0027】
結晶形状の本発明の化合物は、その多様な溶媒和物を含むが、多形性(すなわち異なる複数の結晶構造が生じる能力)を示すことがある、とのことを当業者はさらに理解するであろう。これらの異なる複数の結晶形状は、通常、「多形」として知られており、本発明には、このような多形のすべてが含まれる。多形は、同一の化学組成を有するが、結晶固体状態のパッキング(packing)、幾何学的配置、およびその他の図形描写的特性(descriptive properties)が異なる。したがって、多形は、形、密度、硬度、変形能、安定性、および溶解特性などの物理的特性が異なっていてもよい。多形は、通常、異なる融点、IRスペクトル、および粉末X線回折パターンを示すので、識別にこれらを用いることができる。例えば、当該化合物を作製するのに用いる反応条件または試薬を変更または調節することによって、種々の多形を産出することができる、とのことを当業者は理解するであろう。例えば、温度、圧力、または溶媒の変更によって多形を生じることが可能である。さらに、特定の条件下では、ある多形が自発的に別の多形に変化することもある。
【0028】
一態様によれば、本発明は、結晶形状のN−[(2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミドを提供する。
【0029】
別の実施形態によれば、本発明は、図1に実質的に一致するXRPDパターンを呈することを特徴とする結晶N−[(2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミドを提供する。
【0030】
さらなる実施形態によれば、本発明は、表1に実質的に記載されている通りのピークを含んでなるXRPDパターンを呈することを特徴とする結晶N−[(2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミドを提供する。
【0031】
別の実施形態によれば、本発明は、図2に実質的に一致するラマンスペクトルを呈することを特徴とする結晶N−[(2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミドを提供する。
【0032】
したがって、さらなる態様によれば、本発明は、本発明の化合物の溶媒和物、水和物、プロドラッグまたは多形を提供する。
【0033】
本発明の特定の化合物は、1種類以上の互変異性型で存在していてもよい。すべての互変異性体およびその混合物は本発明の範囲に含まれる。
【0034】
本発明の特定の化合物は、1つ以上のキラル中心を有していてもよく、よって、いくつかの立体異性体の形で存在してもよい。キラル中心を1つ有する化合物は、エナンチオマーまたはエナンチオマーを含有するラセミ混合物として存在してもよい。キラル中心を2つ以上有する化合物は、ジアステレオアイソマー(diastereoismomers)またはエナンチオマーとして存在してもよい。立体異性体(例えばエナンチオマーおよびジアステレオアイソマー)およびその混合物はすべて、本発明の範囲に含まれる。キラル固定相を有するカラムを用いた分取HPLCを用いてラセミ混合物を分離することによってそれらの個々のエナンチオマーを得てもよく、または当業者に公知の方法を利用して、ラセミ混合物を分解することによって個々のエナンチオマーを得てもよい。また、キラル中間体化合物を分解して使用することによって個々のエナンチオマーを調製してもよい。
【0035】
本発明には、本発明の化合物の、適切なすべての同位体異形も含まれる。本発明の化合物の同位体異形は、少なくとも1つの原子が、同一の原子番号を有するが自然界で通常見出される原子質量とは異なる原子質量を有する原子で置き換えられているものとして記載されている。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、フッ素および塩素の同位体、例えば、それぞれ、H、H、13C、14C、15N、17O、18O、35S、18Fおよび36Clが挙げられる。本発明の特定の同位体異形、例えば、Hまたは14Cなどの放射性同位体が組み込まれたものは、薬剤および/または基質の組織分布研究に有用である。トリチウム標識した(すなわちH)、および炭素−14の(すなわち14C)同位体は、その調製の容易さおよび検出感度の故に、特に好ましい。さらに、重水素(すなわちH)などの同位体による置換によって、例えばインビボ半減期の減少または投与必要量の減少などの、より大きな代謝安定性の結果として生じる特定の治療上の利点がもたらされることがあり、したがって、この置換は、ある状況では好ましい場合がある。本発明の化合物の同位体異形は、通常、実例となる方法などの従来法の手順によって、または適切な試薬の適切な同位体異形を用いる、下記の実施例および調製法に記載の調製法によって調製することができる。
【0036】
本発明の化合物は、種々の方法で調製することができる。以下の反応スキームでは、および以後、他に明示がない限り、R〜Rは、第一の態様において記載されている通りである。これらの工程により、本発明のさらなる態様が形成される。
【0037】
本明細書において、一般式はローマ数字(I)、(II)、(III)、(IV)等で呼ぶ。これらの一般式の下位集合は(Ia)、(Ib)、(Ic)等、・・・(IVa)、(IVb)、(IVc)等と記載する。
【0038】
式(I)の化合物は、スキーム1に従い、式(II)の化合物を式(III)の化合物とカップリングすることによって調製することができる。DCMまたはDMFなどの適切な溶媒中での、HATU、HOBt、DCCなどの適切なカップリング剤での処理を含んでなる典型的な条件を用いてもよい。代替条件は、カルボン酸(II)を、適切な溶媒(THFまたはDCMなど)中で、適切な塩基(トリエチルアミンなど)とともに塩化オキサリルを用いて、対応する塩化アシルに変換することを含んでなる。
【0039】
スキーム1
【化3】

【0040】
あるいは、式(I)の化合物は、他の式(I)の化合物から調製してもよい。
【0041】
例えば、反応スキーム2に従って、Rがシアノである式(Ia)の化合物を、Rがブロモである式(Ib)の化合物から、適切な触媒を用いた適切な溶媒中でのシアン化亜鉛との反応によって、調製してもよい。
【0042】
スキーム2
【化4】

【0043】
式(IIIa)の化合物、すなわちRが水素である式(III)の化合物は、スキーム3に従って調製することができる。式(IV)の化合物を、塩基(トリエチルアミンなど)の存在下で、適切な溶媒(DCMなど)中においてトリフルオロ酢酸無水物で処理することにより、式(V)の化合物を得る。式(V)の化合物を、適切な溶媒(四塩化炭素など)中で、塩化スルフリルまたはN−ブロモスクシンイミドなどの適切なラジカルハロゲン原料でハロゲン化することにより、式(VI)の化合物を得る。式(VI)の化合物をホスフィン誘導体(トリフェニルホスフィンなど)で処理することにより、式(VII)の化合物を得る。これを環化させることにより式(VIII)の化合物を得ることができる。典型的な環化条件は、適切な溶媒(DMFなど)中で100℃よりも高い温度に加熱することを含んでなる。式(VIII)の化合物をボランまたは水素化ホウ素ニッケルで還元することにより式(III)の化合物を得る。
【0044】
スキーム3
【化5】

【0045】
式(IIIb)の化合物、すなわちRがC1−3アルキルである式(III)の化合物は、反応スキーム4に従って、式(VIII)の化合物を、塩基(水素化ナトリウムなど)の存在下で、適切な溶媒(DMFなど)中で、適切なハロゲン化アルキル(ヨウ化メチルなど)と反応させ、次いでボランまたは水素化ホウ素ニッケルを用いた還元を行うことにより調製することができる。
【0046】
スキーム4
【化6】

【0047】
塩は、従来法により、適切な酸または酸誘導体との反応によって調製することができる。
【0048】
本発明の化合物は、α7 nAChRのポジティブ・アロステリック調節によって媒介される疾患および健康状態、またはα7 nAChRの調節に付随する疾患および健康状態の治療に有用であり得る。α7 nAChRのポジティブ・アロステリック調節によって媒介される疾患もしくは健康状態、またはα7 nAChRの調節に付随する疾患および健康状態としては、以下のものが挙げられる(下記の記載された疾患の後の括弧内の数字は、アメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)が刊行した精神障害の診断と統計の手引き第4版(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th Edition;DSM−IV)および/または疾病の国際分類第10版(International Classification of Diseases, 10th Edition;ICD−10)における分類コードを参照したものである):
【0049】
i) 精神病性疾患、例えば統合失調症(亜型である、妄想型(295.30)、破瓜型(295.10)、緊張型(295.20)、鑑別不能型(295.90)および残遺型(295.60)を含む);統合失調症様障害(295.40);統合失調感情障害(295.70)(亜型である、双極型および抑うつ型を含む);妄想性障害(297.1)(亜型である、色情型、誇大型、嫉妬型、被害型、身体型、混合型および特定不能型を含む);短期精神病性障害(298.8);共有精神病性障害(297.3);一般身体疾患による精神病性障害(亜型である、妄想を伴うものおよび幻覚を伴うものを含む);物質誘発性精神病性障害(亜型である、妄想を伴うもの(293.81)および幻覚を伴うもの(293.82)を含む);ならびに特定不能の精神病性障害(298.9)。
【0050】
ii) 認知障害、例えばこれは以下のものの治療を含む:注意力障害、見当識障害、学習障害などの認知機能の機能障害、記憶の障害(すなわち記憶障害、健忘、健忘障害、一過性全健忘症候群および加齢に伴う記憶障害)および言語機能の記憶障害;同様に、脳卒中発作、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、エイズ関連認知症の結果として生じる認知障害、または多発梗塞性認知症、アルコール性認知症、甲状腺機能低下症関連認知症などの他の認知症状態、および、小脳萎縮症および筋萎縮性側索硬化症などの他の変性疾患に伴う認知症;せん妄もしくは抑うつなどの認知機能低下を引き起こし得る他の急性または亜急性の状態(仮性認知症状態)、外傷、頭部外傷、加齢性認知機能低下、脳卒中発作、神経変性、薬物誘発性状態、神経毒性を有する作用物、軽度認知障害、加齢性認知障害、自閉症関連認知障害、ダウン症候群、例えば統合失調症、双極性障害、抑うつおよびその他の精神疾患などの他の疾患に関連する認知障害、および、電気ショック療法後関連認知障害;ならびにパーキンソン病、神経遮断薬誘発性パーキンソニズムおよび遅発性ジスキネジーなどの運動障害性疾患。
【0051】
iii) うつ病および気分障害、例えばうつ病エピソード(大うつ病エピソード、躁病エピソード、混合性エピソードおよび軽躁病エピソードを含む);うつ病性障害(大うつ病性障害、気分変調性障害(300.4)、特定不能のうつ病性障害(311)を含む);双極性障害(双極I型障害、双極II型障害(すなわち軽躁病エピソードを伴う反復性大うつ病エピソード)(296.89)、気分循環性障害(301.13)および特定不能の双極性障害(296.80)を含む);他の気分障害(一般身体疾患による気分障害(293.83)を含み、これは、亜型である、うつ病性の特徴を伴うもの、大うつ病様エピソードをもつもの、躁病性の特徴を伴うもの、および混合性の特徴を伴うものを含む);物質誘発性気分障害(亜型である、うつ病性の特徴を伴うもの、躁病性の特徴を伴うもの、および混合性の特徴を伴うものを含む);ならびに特定不能の気分障害(296.90)。
【0052】
iv) 不安障害、例えば社会不安障害;パニック発作;広場恐怖、パニック障害;パニック障害の既往歴のない広場恐怖(300.22);特定の恐怖症(300.29)(亜型である、動物型、自然環境型、血液・注射・外傷型、状況型およびその他の型を含む);社会恐怖(300.23);強迫性障害(300.3);外傷後ストレス障害(309.81);急性ストレス障害(308.3);全般性不安障害(300.02);一般身体疾患による不安障害(293.84);物質誘発性不安障害;ならびに特定不能の不安障害(300.00)。
【0053】
v) 物質関連障害、例えば物質使用障害(物質依存、物質欲求(Substance Craving)および物質乱用を含む);物質誘発性障害(物質中毒、物質離脱、物質誘発性せん妄、物質誘発性持続性認知症、物質誘発性持続性健忘障害、物質誘発性精神病性障害、物質誘発性気分障害、物質誘発性不安障害、物質誘発性性機能不全、物質誘発性睡眠障害および幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)を含む;アルコール関連障害(アルコール依存(303.90)、アルコール乱用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性持続性認知症、アルコール誘発性持続性健忘障害、アルコール誘発性精神病性障害、アルコール誘発性気分障害、アルコール誘発性不安障害、アルコール誘発性性機能不全、アルコール誘発性睡眠障害、および特定不能のアルコール関連障害(291.9)を含む);アンフェタミン(またはアンフェタミン様)関連障害(例えばアンフェタミン依存(304.40)、アンフェタミン乱用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘発性精神病性障害、アンフェタミン誘発性気分障害、アンフェタミン誘発性不安障害、アンフェタミン誘発性性機能不全、アンフェタミン誘発性睡眠障害、および特定不能のアンフェタミン関連障害(292.9));カフェイン関連障害(カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘発性不安障害、カフェイン誘発性睡眠障害、および特定不能のカフェイン関連障害(292.9)を含む);大麻関連障害(大麻依存(304.30)、大麻乱用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒せん妄、大麻誘発性精神病性障害、大麻誘発性不安障害、および特定不能の大麻関連障害(292.9)を含む);コカイン関連障害(コカイン依存(304.20)、コカイン乱用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン誘発性精神病性障害、コカイン誘発性気分障害、コカイン誘発性不安障害、コカイン誘発性性機能不全、コカイン誘発性睡眠障害、および特定不能のコカイン関連障害(292.9)を含む);幻覚剤関連障害(幻覚剤依存(304.50)、幻覚剤乱用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒せん妄、幻覚剤誘発性精神病性障害、幻覚剤誘発性気分障害、幻覚剤誘発性不安障害、および特定不能の幻覚剤関連障害(292.9)を含む);吸入剤関連障害(吸入剤依存(304.60)、吸入剤乱用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒せん妄、吸入剤誘発性持続性認知症、吸入剤誘発性精神病性障害、吸入剤誘発性気分障害、吸入剤誘発性不安障害、および特定不能の吸入剤関連障害(292.9)を含む);ニコチン関連障害(ニコチン依存(305.1)、ニコチン離脱(292.0)、および特定不能のニコチン関連障害(292.9)を含む);アヘン類関連障害(アヘン類依存(304.00)、アヘン類乱用(305.50)、アヘン類中毒(292.89)、アヘン類離脱(292.0)、アヘン類中毒せん妄、アヘン類誘発性精神病性障害、アヘン類誘発性気分障害、アヘン類誘発性性機能不全、アヘン類誘発性睡眠障害、および特定不能のアヘン類関連障害(292.9)を含む);フェンシクリジン(またはフェンシクリジン様)関連障害(フェンシクリジン依存(304.60)、フェンシクリジン乱用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン誘発性精神病性障害、フェンシクリジン誘発性気分障害、フェンシクリジン誘発性不安障害、および特定不能のフェンシクリジン関連障害(292.9)を含む);鎮静剤、催眠剤または抗不安薬関連障害(鎮静剤、催眠剤または抗不安薬依存(304.10)、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬乱用(305.40)、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬中毒(292.89)、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬離脱(292.0)、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬中毒せん妄、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬離脱せん妄、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬持続性認知症、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬持続性健忘障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性精神病性障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性気分障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性不安障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性性機能不全、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性睡眠障害、および特定不能の鎮静剤、催眠剤または抗不安薬関連障害(292.9)を含む);多物質関連障害(多物質依存(304.80)を含む);ならびに、他の(または不明の)物質関連障害(アナボリックステロイド、硝酸塩吸入剤および亜酸化窒素を含む)。
【0054】
vi) 睡眠障害、例えば睡眠異常などの原発性睡眠障害(原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)、および特定不能の睡眠異常(307.47)を含む);睡眠時随伴症などの原発性睡眠障害(悪夢障害(307.47)、夜驚症(307.46)、睡眠時遊行症(307.46)、および特定不能の睡眠時随伴症(307.47)を含む);他の精神疾患に関連した睡眠障害(他の精神疾患に関連した不眠症(307.42)、および、他の精神疾患に関連した過眠症(307.44)を含む);一般身体疾患による睡眠障害;ならびに、物質誘発性睡眠障害(亜型である、不眠症型、過眠症型、睡眠時随伴症型および混合型を含む)。
【0055】
vii) 摂食障害、例えば神経性無食欲症(307.1)(亜型である、制限型、および、むちゃ食い/排出型を含む);神経性大食症(307.51)(亜型である、排出型および非排出型を含む);肥満症;強迫性摂食障害;むちゃ食い障害;ならびに、特定不能の摂食障害(307.50)。
【0056】
viii) 自閉症スペクトラム障害、例えば自閉性障害(299.00)、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害および特定不能の広汎性発達障害。
【0057】
ix) 注意欠陥/多動性障害(亜型である、注意欠陥/多動性障害混合型(314.01)、注意欠陥/多動性障害不注意優勢型(314.00)、注意欠陥/多動性障害多動性−衝動性優勢型(314.01)、および特定不能の注意欠陥/多動性障害(314.9)を含む);多動性障害;行為障害などの破壊的行動障害(亜型である、小児期発症型(321.81)、青年期発症型(312.82)および発症年齢特定不能(312.89)、反抗挑戦性障害(313.81)、および、特定不能の破壊的行動障害を含む;ならびにトウレット障害(307.23)などのチック障害。
【0058】
x) 人格障害、例えば、亜型である、妄想性人格障害(301.0)、統合失調症質人格障害(301.20)、統合失調症型人格障害(301,22)、反社会性人格障害(301.7)、境界性人格障害(301,83)、演技性人格障害(301.50)、自己愛性人格障害(301,81)、回避性人格障害(301.82)、依存性人格障害(301.6)、強迫性人格障害(301.4)および特定不能の人格障害(301.9)。
【0059】
xi) 性機能不全、例えば性的欲求の障害(性的欲求低下障害(302.71)および性嫌悪障害(302.79)を含む);性的興奮の障害(女性の性的興奮の障害(302.72)および男性の勃起障害(302.72)を含む);オルガズム障害(女性オルガズム障害(302.73)、男性オルガズム障害(302.74)および早漏(302.75)を含む);性交疼痛障害(性交疼痛症(302.76)および膣けいれん(306.51)を含む);特定不能の性機能不全(302.70);性嗜好異常(露出症(302.4)、フェティシズム(302.81)、窃触症(302.89)、小児性愛(302.2)、性的マゾヒズム(302.83)、性的サディズム(302.84)、服装倒錯的フェティシズム(302.3)、窃視症(302.82)、および特定不能の性嗜好異常(302.9)を含む);性同一性障害(小児の性同一性障害(302.6)、および、青年または成人の性同一性障害(302.85)を含む);ならびに、特定不能の性障害(302.9)。
【0060】
本発明の化合物は、炎症、炎症性疼痛、関節リウマチおよび敗血症の治療にも有用であり得る。
【0061】
一実施形態によれば、患者はヒトである。「治療」という語には、予防、症状の治療および/または、関連する状態が適している場合には症状の根底にある原因の治療が含まれる。。
【0062】
よって、一態様によれば、本発明は、薬剤として用いるための、上記式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0063】
一態様によれば、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の機能の低下に伴う疾患の治療用の、上記式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0064】
一態様によれば、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体のポジティブ・アロステリック調節が有効である疾患の治療用の、上記式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0065】
一態様によれば、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体のポジティブ・アロステリックモジュレータとしての使用のための、上記式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0066】
別の態様によれば、本発明は、精神病性疾患の治療用の、上記式(I)の化合物またはその塩を提供する。一実施形態によれば、本発明は、統合失調症の治療用の、上記式(I)の化合物またはその塩を提供する。一実施形態によれば、本発明は、不安または抑うつの治療用の、上記式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0067】
本発明は、認知障害の治療用の、上記式(I)の化合物またはその塩も提供する。
【0068】
本発明は、アルツハイマー病の治療用の、上記式(I)の化合物またはその塩も提供する。
【0069】
別の態様によれば、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の機能の低下に伴う疾患の治療用の薬剤の製造における、上記式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。
【0070】
別の態様によれば、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体のポジティブ・アロステリック調節が有効である疾患の治療用の薬剤の製造における、上記式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。
【0071】
別の態様によれば、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体のポジティブ・アロステリック調節のための薬剤の製造における、上記式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。
【0072】
別の態様によれば、本発明は、精神病性疾患の治療用の薬剤の製造における、上記式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。
【0073】
別の態様によれば、本発明は、統合失調症の治療用の薬剤の製造における、上記式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。
【0074】
別の態様によれば、本発明は、不安または抑うつの治療用の薬剤の製造における、上記式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。
【0075】
別の態様によれば、本発明は、認知障害の治療用の薬剤の製造における、上記式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。
【0076】
別の態様によれば、本発明は、アルツハイマー病の治療用の薬剤の製造における、上記式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。
【0077】
別の態様によれば、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の機能の低下に伴う疾患を治療する方法を提供し、この方法は、それを必要とするヒトに、有効量の、上記式(I)の化合物またはその塩を投与することを含んでなる。
【0078】
一態様によれば、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体のポジティブ・アロステリック調節が有効である疾患を治療する方法を提供し、この方法は、それを必要とするヒトに、有効量の、上記式(I)の化合物またはその塩を投与することを含んでなる。
【0079】
一態様によれば、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体のポジティブ・アロステリック調節のための方法を提供し、この方法は、ヒトに、有効量の、上記式(I)の化合物またはその塩を投与することを含んでなる。
【0080】
別の態様によれば、本発明は、精神病性疾患の治療方法を提供し、この方法は、それを必要とするヒトに、上記式(I)の化合物またはその塩の有効量を投与することを含んでなる。
【0081】
一実施形態によれば、本発明は、統合失調症の治療方法を提供し、この方法は、それを必要とするヒトに、上記式(I)の化合物またはその塩の有効量を投与することを含んでなる。
【0082】
一実施形態によれば、本発明は、不安または抑うつの治療方法を提供し、この方法は、それを必要とするヒトに、上記式(I)の化合物またはその塩の有効量を投与することを含んでなる。
【0083】
本発明は、認知障害の治療方法も提供し、この方法は、それを必要とするヒトに、上記式(I)の化合物またはその塩の有効量を投与することを含んでなる。
【0084】
本発明は、アルツハイマー病の治療方法も提供し、この方法は、それを必要とするヒトに、上記式(I)の化合物またはその塩の有効量を投与することを含んでなる。
【0085】
治療を受ける予定の対象の、種、体重、年齢および健康状態、ならびに選択した特定の投与経路に応じて必然的に変動が生じることとなるが、通常、式(I)の化合物またはその塩は、単一用量または分割用量で、1日当たり約0.1mg〜約1000mgの範囲の用量(すなわち、一日当たり1〜4用量)で投与してよい。実施形態によれば、この用量が1日に1回投与される。実施形態によれば、投与量レベルは、1日当たり約0.1mg/kg〜約500mg/kg体重の範囲である。さらなる実施形態によれば、投与量レベルは、1日当たり約0.1mg/kg〜約100mg/kg体重の範囲である。
【0086】
また、式(I)の化合物およびそれらの塩は、精神病性疾患の治療を改善するための、例えば定型・非定型の抗精神病薬、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤および向知性薬などの他の活性薬との併用に適し得る。
【0087】
本発明の併用療法は、例えば、補助的に行なわれる。補助的投与とは、別々の医薬組成物または装置の形で、各成分の連続した(coterminous)または重複した投与を意味する。2種類以上の治療薬の治療的投与についてのこの投与計画は、当業者によって一般に、かつ本明細書において、補助的な治療的投与と称されている;これは追加型(add-on)治療的投与としても知られている。患者が、式(I)の化合物またはその塩と、少なくとも1種類の抗精神病薬、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤、または向知性薬との、別々ではあるが、連続したまたは重複した治療的投与を受ける、ありとあらゆる治療計画は、本発明の範囲内である。本明細書に記載された補助的な治療的投与の一実施形態によれば、患者は、通常、ある期間、1個以上の成分の治療的投与に固定され、次いで、別の成分の投与を受ける。式(I)の化合物またはその塩は、補助的な治療上の処置として、少なくとも1種類の抗精神病薬、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤、または向知性薬の投与を受けている患者へ投与されてもよいが、本発明の範囲には、式(I)の化合物またはその塩の投与を受けている患者への、少なくとも1種類の抗精神病薬、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤、または向知性薬の補助的な治療的投与も含まれる。
【0088】
また、本発明の併用療法は、同時に行われてもよい。同時投与とは、同時に投与される両方の成分を含んでなるかもしくは含有する単一の医薬組成物もしくは装置の形で、またはそれぞれがそれら成分のうちの1つを含んでなる別々の組成物もしくは装置として、個々の成分が一緒に投与される治療計画を意味する。同時併用のための、別々の個々の成分のこのような組み合わせは、パーツのキット(kit-of-parts)の形で提供されてもよい。
【0089】
したがって、さらなる態様によれば、本発明は、少なくとも1種類の抗精神病薬の治療的投与を受ける患者への式(I)の化合物またはその塩の補助的な治療的投与により、精神病性疾患の治療の方法を提供する。さらなる態様によれば、本発明は、少なくとも1種類の抗精神病薬の治療的投与を受ける患者において精神病性疾患を治療するための補助的な治療的投与のための薬剤の製造における、式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。本発明は、さらに、少なくとも1種類の抗精神病薬の治療的投与を受ける患者において精神病性疾患を治療するための補助的な治療的投与のための使用のための、式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0090】
さらなる態様によれば、本発明は、式(I)の化合物またはその塩の治療的投与を受ける患者への少なくとも1種類の抗精神病薬の補助的な治療的投与により、精神病性疾患の治療の方法を提供する。さらなる態様によれば、本発明は、式(I)の化合物またはその塩の治療的投与を受ける患者における精神病性疾患を治療するための補助的な治療的投与のための薬剤の製造における、少なくとも1種類の抗精神病薬の使用を提供する。本発明は、さらに、式(I)の化合物またはその塩の治療的投与を受ける患者における精神病性疾患を治療するための補助的な治療的投与のための、少なくとも1種類の抗精神病薬を提供する。
【0091】
さらなる態様によれば、本発明は、少なくとも1種類の抗精神病薬と組み合わせての式(I)の化合物またはその塩の同時の治療的投与による、精神病性疾患の治療の方法を提供する。本発明は、さらに、精神病性疾患の治療における同時の治療的投与のための薬剤の製造における、式(I)の化合物またはその塩と少なくとも1種類の抗精神病薬との組み合わせの使用を提供する。本発明は、さらに、精神病性疾患の治療における少なくとも1種類の抗精神病薬との同時の治療的投与のための薬剤の製造における、式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。本発明は、さらに、精神病性疾患の治療における少なくとも1種類の抗精神病薬との同時の治療的投与のための使用のための、式(I)の化合物またはその塩を提供する。本発明は、さらに、精神病性疾患の治療における式(I)の化合物またはその塩との同時の治療的投与のための薬剤の製造における、少なくとも1種類の抗精神病薬の使用を提供する。
【0092】
さらなる態様によれば、本発明は、それぞれが同時の治療的投与ための抗精神病薬を含んでなる、1個以上のさらなる剤形と式(I)の化合物またはその塩とを含んでなる第一剤形を含んでなる、精神病性疾患の治療用のパーツのキットを提供する。
【0093】
別の態様によれば、本発明は、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の治療的投与を受ける患者への本発明の化合物の補助的な治療的投与による、精神病性疾患の治療の方法を提供する。
【0094】
さらなる態様によれば、本発明は、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の治療的投与を受ける患者における精神病性疾患を治療するための補助的な治療的投与のための薬剤の製造における、本発明の化合物の使用を提供する。
【0095】
本発明は、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の治療的投与を受ける患者における精神病性疾患の治療のための補助的な治療的投与における本発明の化合物の使用も提供する。
【0096】
本発明は、さらに、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の治療的投与を受ける患者における精神病性疾患を治療するための補助的な治療的投与のための使用のための、本発明の化合物の使用を提供する。
【0097】
さらなる態様によれば、本発明は、本発明の化合物の治療的投与を受ける患者への、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の補助的な治療的投与による、精神病性疾患の治療の方法を提供する。
【0098】
さらなる態様によれば、本発明は、本発明の化合物の治療的投与を受ける患者において精神病性疾患を治療するための補助的な治療的投与のための薬剤の製造における、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の使用を提供する。
【0099】
本発明は、本発明の化合物の治療的投与を受ける患者において精神病性疾患を治療するための補助的な治療的投与のための、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の使用も提供する。
【0100】
さらなる態様によれば、本発明は、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分と組み合わせての本発明の化合物の同時の治療的投与による、精神病性疾患の治療の方法を提供する。
【0101】
本発明は、さらに、精神病性疾患の治療における同時の治療的投与のための薬剤の製造における、本発明の化合物と、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分との組み合わせの使用を提供する。
【0102】
本発明は、さらに、精神病性疾患の治療における同時の治療的投与のための、本発明の化合物と、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分との組み合わせの使用を提供する。
【0103】
本発明は、さらに、精神病性疾患の治療における、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分との同時の治療的投与のための薬剤の製造における、本発明の化合物の使用を提供する。
【0104】
本発明は、さらに、精神病性疾患の治療における、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分との同時の治療的投与のための、本発明の化合物の使用を提供する。
【0105】
本発明は、さらに、精神病性疾患の治療における、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分との同時の治療的投与のための使用のための、本発明の化合物を提供する。
【0106】
本発明は、さらに、精神病性疾患の治療における本発明の化合物との同時の治療的投与のための薬剤の製造における、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の使用を提供する。
【0107】
本発明は、さらに、精神病性疾患の治療における本発明の化合物との同時の治療的投与のための、気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の使用を提供する。
【0108】
さらなる態様によれば、本発明は、それぞれが同時の治療的投与のための気分安定薬、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用のための薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分を含んでなる、1個以上のさらなる剤形と本発明の化合物とを含んでなる第一剤形を含んでなる、精神病性疾患の治療用のパーツのキットを提供する。
【0109】
本発明において有用であり得る抗精神病薬の例として、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:ナトリウムチャネル遮断薬;混合5HT/ドーパミン受容体アンタゴニスト;mGluR5ポジティブ・モジュレータ;D3アンタゴニスト;5HT6アンガトニスト(angatonists);ニコチン性アルファ−7モジュレータ;グリシントランスポーターGlyT1阻害薬;D2部分アゴニスト/D3アンタゴニスト/H3アンタゴニスト;AMPAモジュレータ;オサネタント(osanetant)およびタルネタント(talnetant)などのNK3アンタゴニスト;非定型抗精神病薬、例えばクロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピラゾール(aripirazole)、ジプラシドンおよびアミスルプリド;ブチロフェノン、例えばハロペリドール、ピモジド、およびドロペリドールなど;フェノチアジン、例えばクロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、ペルフェナジン、フルフェナジン、チフルプロマジン(thiflupromazine)、プロクロルペラジン、およびアセトフェナジンなど;チオキサンテン、例えばチオチキセンおよびクロルプロチキセンなど;チエノベンゾジアゼピン;ジベンゾジアゼピン;ベンズイソオキサゾール;ジベンゾチアゼピン;イミダゾリジノン;ベンズイソチアゾリル−ピペラジン;ラモトリギンなどのトリアジン;ジベンズオキサゼピン、例えばロキサピンなど;ジヒドロインドロン、例えばモリンドンなど;アリピプラゾール;ならびにその誘導体であって抗精神病薬活性を有するもの。
【0110】
本発明における使用に適し得る、選択される抗精神病薬の商品名および供給業者の例は以下の通りである:クロザピン(CLOZARIL(商標)という商品名でMylan社、Zenith Goldline社、UDL社、ノバルティス社から入手可能);オランザピン(ZYPREXA(商標)という商品名でリリー社から入手可能;ジプラシドン(GEODON(商標)という商品名でファイザー社から入手可能);リスペリドン(RISPERDAL(商標)という商品名でヤンセン社から入手可能);フマル酸クエチアピン(SEROQUEL(商標)という商品名でアストラゼネカ社から入手可能);セルチンドール(SERLECT(商標)という商品名で入手可能);アミスルプリド(SOLION(商標)という商品名でサノフィ・サンテラボ社から入手可能);ハロペリドール(HALDOL(商標)という商品名でOrtho-McNeil社から入手可能);デカン酸ハロペリドール(HALDOL decanoate(商標)という商品名で入手可能;乳酸ハロペリドール(HALDOL(商標)およびINTENSOL(商標)という商品名で入手可能);クロルプロマジン(THORAZINE(商標)という商品名でスミスクライン・ビーチャム(GSK)社から入手可能;フルフェナジン(PROLIXIN(商標)という商品名でApothecon社、Copley社、Schering社、Teva社、およびAmerican Pharmaceutical Partners社、パサデナから入手可能);デカン酸フルフェナジン(PROLIXIN decanoate(商標)という商品名で入手可能);エナント酸フルフェナジン(PROLIXIN(商標)という商品名で入手可能);塩酸フルフェナジン(PROLIXIN(商標)という商品名で入手可能);チオチキセン(NAVANE(商標)という商品名でファイザー社から入手可能);塩酸チオチキセン(NAVANE(商標)という商品名で入手可能);トリフルオペラジン(10−[3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピル]−2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン二塩酸塩、STELAZINE(商標)という商品名でスミスクライン・ベックマン社から入手可能;ペルフェナジン(TRILAFON(商標)という商品名でSchering社から入手可能);ペルフェナジンおよび塩酸アミトリプチリン(ETRAFON TRILAFON(商標)という商品名で入手可能);チオリダジン(MELLARIL(商標)という商品名でノバルティス社、Roxane社、HiTech社、Teva社、およびアルファーマ社から入手可能);モリンドン(MOBAN(商標)という商品名でEndo社から入手可能);塩酸モリンドン(MOBAN(商標)という商品名で入手可能);ロキサピン(LOXITANE(商標)という商品名でワトソン社から入手可能);塩酸ロキサピン(LOXITANE(商標)という商品名で入手可能);ならびにコハク酸ロキサピン(LOXITANE(商標)という商品名で入手可能)。なお、ベンペリドール(Glianimon(商標))、ペラジン(Taxilan(商標))またはメルペロン(Eunerpan(商標))を使用してもよい。
【0111】
他の適切な抗精神病薬としては、プロマジン(SPARINE(商標)という商品名で入手可能)、トリフルルプロマジン(triflurpromazine)(VESPRIN(商標)という商品名で入手可能)、クロルプロチキセン(TARACTAN(商標)という商品名で入手可能)、ドロペリドール(INAPSINE(商標)という商品名で入手可能)、アセトフェナジン(TINDAL(商標)という商品名で入手可能)、プロクロルペラジン(COMPAZINE(商標)という商品名で入手可能)、メトトリメプラジン(NOZINAN(商標)という商品名で入手可能)、ピポチアジン(PIPOTRIL(商標)という商品名で入手可能)、イロペリドン、ピモジドおよびフルペンチキソールが挙げられる。
【0112】
商品名で上記に記載された抗精神病薬は、別の商品名で他の供給業者から入手可能である可能性もある。
【0113】
本発明のさらなる一態様によれば、適切な抗精神病薬として、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、ハロペリドール、クロザピン、ジプラシドン、タルネタントおよびオサネタントが挙げられる。
【0114】
本発明の治療において使用することができる気分安定薬として、リチウム、バルプロ酸ナトリウム/バルプロ酸/ジバルプロエクス、カルバマゼピン、ラモトリギン、ガバペンチン、トピラマート、オクスカルバゼピンおよびチアガビンが挙げられる。
【0115】
本発明の治療において使用することができる抗うつ薬として、セロトニンアンタゴニスト、CRF−1アンタゴニスト、Cox−2阻害薬/SSRI二重アンタゴニスト;ドーパミン/ノルアドレナリン/セロトニン三重再取り込み阻害薬;NK1アンタゴニスト;NK1およびNK2二重アンタゴニスト;NK1/SSRI二重アンタゴニスト;NK2アンタゴニスト;セロトニンアゴニスト(ラウオルシン、ヨヒンビンおよびメトクロプラミドなど);セロトニン再取り込み阻害薬(シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、フェモキセチン、インダルピン(indalpine)、ジメルジン、パロキセチンおよびセルトラリンなど);二重セロトニン/ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(ベンラファキシン、レボキセチン、デュロキセチンおよびミルナシプランなど);ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(レボキセチンなど);三環系抗うつ薬(アミトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリンおよびトリミプラミンなど);モノアミン酸化酵素阻害薬(イソカルボキサジド、モクロベミド、フェネルジンおよびトラニルシプロミンなど);5HT3アンタゴニスト(例としてオンダンセトロンおよびグラニセトロンなど);ならびにその他(ブプロピオン、アミネプチン、ラダファキシン(radafaxine)、ミアンセリン、ミルタザピン、ネファゾドンおよびトラゾドンなど)が挙げられる。
【0116】
本発明の治療において使用することができる抗不安薬として、V1bアンタゴニスト、5HTアンタゴニスト、ならびにアルプラゾラムおよびロラゼパムなどのベンゾジアゼピンが挙げられる。
【0117】
本発明の治療において使用することができる錐体外路系副作用のための薬剤として、抗コリン作動薬(ベンズトロピン、ビペリデン、プロシクリジンおよびトリヘキシフェニジルなど)、抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミンなど)およびドーパミン作動薬(アマンタジンなど)が挙げられる。
【0118】
本発明の治療において使用することができる向知性薬の例として、コリンエステラーゼ阻害薬(タクリン、ドネペジル、リバスチグミンおよびガランタミンなど)、H3アンタゴニストおよびムスカリン性M1アゴニスト(セビメリンなど)が挙げられる。
【0119】
一実施形態によれば、本発明の化合物と組み合わせて使用するための活性成分は、非定型抗精神病薬であり、例えばクロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピラゾール、ジプラシドンまたはアミスルプリドである。
【0120】
一実施形態によれば、本発明の化合物と組み合わせて使用するための活性成分は、定型抗精神病薬であり、例えばクロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、トリフルオペラジン、チオチキシン(thiothixine)、ハロペリドール、チフルルプロマジン(thiflurpromazine)、ピモジド、ドロペリドール、クロルプロチキセン、モリンドンまたはロキサピンである。
【0121】
別の実施形態によれば、本発明の化合物と組み合わせて使用するための活性成分は、気分安定薬であり、例えばリチウム、バルプロ酸ナトリウム/バルプロ酸/ジバルプロエクス、カルバマゼピン、ラモトリギン、ガバペンチン、トピラマート、オクスカルバゼピンまたはチアガビンである。
【0122】
別の実施形態によれば、本発明の化合物と組み合わせて使用するための活性成分は、抗うつ薬であり、例えばセロトニンアゴニスト(ラウオルシン、ヨヒンビンまたはメトクロプラミドなど);セロトニン再取り込み阻害薬(シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、フェモキセチン、インダルピン、ジメルジン、パロキセチンまたはセルトラリンなど);二重セロトニン/ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(ベンラファキシン、レボキセチン、デュロキセチンまたはミルナシプランなど);ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(レボキセチンなど);三環系抗うつ薬(アミトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリンまたはトリミプラミンなど);モノアミン酸化酵素阻害薬(イソカルボキサジド、モクロベミド、フェネルジンまたはトラニルシプロミンなど);またはその他(ブプロピオン、アミネプチン、ラダファキシン、ミアンセリン、ミルタザピン、ネファゾドンまたはトラゾドンなど)である。別の実施形態によれば、本発明の化合物と組み合わせて使用するための活性成分は、抗不安薬であり、例えば、アルプラゾラムまたはロラゼパムなどのベンゾジアゼピンである。
【0123】
医薬における使用のため、本発明の化合物は、通常、標準医薬組成物として投与される。したがって、本発明は、さらなる態様において、上記式(I)の化合物またはその塩と、薬学的に許容可能な担体または賦形剤とを含んでなる医薬組成物を提供する。当該医薬組成物は、本明細書に記載した健康状態のいずれかについての治療用のものであってもよい。
【0124】
本発明の化合物は、都合のよい任意の方法で、例えば経口投与、非経口(例えば静脈内)投与、口腔内(buccal)投与、舌下投与、経鼻投与、直腸投与または経皮投与で投与してよく、当該医薬組成物は、それに合わせて適合させてよい。
【0125】
経口的に与えられた場合に活性を有する本発明の化合物は、液体または固体として製剤してもよく、例えばシロップ剤、懸濁剤または乳剤、錠剤、カプセル剤およびロゼンジ剤として製剤してもよい。
【0126】
液体製剤は、通常、適切な液体担体、例えば、水、エタノールもしくはグリセリンなどの水性溶媒、またはポリエチレングリコールもしくは油などの非水溶媒を用いた、化合物または塩の懸濁剤または液剤からなることとなる。また、当該製剤は、懸濁剤、防腐剤、調味料または着色剤を含有していてもよい。
【0127】
錠剤の形での組成物は、固体製剤を調製するために日常的に用いられる任意の適切な医薬担体を用いて調製してよい。このような担体の例として、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、ラクトース、スクロースおよびセルロースが挙げられる。
【0128】
カプセル剤の形での組成物は、日常的に用いられるカプセル化手順を用いて調製してよい。例えば、活性成分を含有するペレット剤は、標準的な担体を用いて調製し、次いで硬ゼラチンカプセルに充填してもよく、また、分散液または懸濁液は、任意の適切な医薬担体、例えば水性ゴム、セルロース、ケイ酸塩または油を用いて調製し、次いでこの分散液または懸濁液を軟ゼラチンカプセルに充填してもよい。
【0129】
典型的な非経口組成物は、無菌の水性担体または非経口的に受け入れることができる油、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、ラッカセイ油またはゴマ油を用いた、化合物または塩の溶液または懸濁液からなる。また、この溶液を凍結乾燥し、その後、投与前に適切な溶媒で再構成してもよい。
【0130】
経鼻投与用の組成物は、都合よく、エアロゾル剤、滴剤、ゲル剤および粉剤として製剤してもよい。エアロゾル製剤は、通常、薬学的に許容可能な水性溶媒または非水溶媒を用いた、活性物質の溶液または微細懸濁液(fine suspension)を含んでなり、通常、単一または複数用量の量で、密封容器に入った無菌の形で提供され、これは、噴霧装置での使用のためのカートリッジまたはリフィルの形をとっていてもよい。あるいは、この密封容器は、容器の内容物を使い果たしてしまえば廃棄されることが意図された、計量バルブを取り付けたエアロゾル剤ディスペンサーまたは単一用量経鼻吸入器などの、単位式(unitary)分配装置であってもよい。剤形がエアロゾル剤ディスペンサーを含んでなる場合には、噴霧剤を含有することとなり、この噴霧剤は、圧縮空気などの圧縮ガスまたはフルオロクロロ炭化水素などの有機噴霧剤であってよい。また、エアロゾル剤形は、ポンプ式噴霧器の形をとってもよい。
【0131】
口腔内投与または舌下投与に適した組成物としては、活性成分を、例えば砂糖およびアカシア、トラガカント、またはゼラチンおよびグリセリンなどの担体とともに製剤する、錠剤、ロゼンジ剤およびパステル剤が挙げられる。
【0132】
直腸投与用の組成物は、都合良く、カカオバターなどの従来型の坐剤基剤を含有する、座剤の形である。
【0133】
経皮投与に適した組成物として、軟膏剤、ゲル剤および貼付剤が挙げられる。
【0134】
当該組成物は、錠剤、カプセル剤またはアンプル剤などの単位用量の形であってもよい。経口投与のための各投与量単位には、遊離塩基として算出される式(I)の化合物またはその塩が、例えば1〜500mg含有されていてもよい(非経口投与用には、例えば0.1〜50mg含有される)。実施形態によれば、経口投与用の単位用量には50〜450mgが含有される。さらなる実施形態によれば、単位用量には100〜400mgが含有される。
【0135】
補助的投与の整合性を得るために、成分それぞれの組成物、または成分の組み合わせの組成物は、例えば、単位用量の形である。
【0136】
支持化合物
【0137】
以下、本発明のいくつかの化合物の調製について述べる。
以下に示す手順では、各出発物質の後、通常、中間体について言及されている。これは単に、当業者を支援するためだけに提供されるものである。当該出発物質は、必ずしもここに言及されているバッチ(batch)から調製される必要はないであろう。
【0138】
本発明の化合物および中間体は、ACD/Name PRO 6.02化学物質命名ソフトウェア(Advanced Chemistry Development社、トロント、オンタリオ州、M5H2L3、カナダ)を用いて命名した。
【0139】
略語
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
TFAA トリフルオロ酢酸無水物
DAD ダイオードアレイ検出器
LC/MS 液体クロマトグラフィー/質量分析
NMR 核磁気共鳴
THF テトラヒドロフラン
DMSO ジメチルスルホキシド
DMF ジメチルホルムアミド
DCM/MDC ジクロロメタン/二塩化メチレン
CDI 1,1’−カルボニルジイミダゾール
EDC 1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
HOAt 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
C上Pd 木炭上パラジウム
MeCN アセトニトリル
MDAP 質量による自動調製(Mass-directed auto-preparation)
Cy シクロヘキサン
EtOAc 酢酸エチル
ES エレクトロスプレー
ES−API エレクトロスプレー−大気圧イオン化
Min 分
Me メチル
Et エチル
degC セルシウス度
SCX 強陽イオン交換
SAX 強陰イオン交換
h 時間
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩
NBS N−ブロモスクシンイミド
DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド
【0140】
商業的供給業者から出発物質を得て、別途明示されていない限り、さらなる精製を行うことなく使用した。別途明示されていない限り、固定相としてプレパックドIsolute Flash(商標)またはBiotage(商標)シリカゲルカラムを、かつ溶出液として分析用の勾配溶媒を用い、フラッシュクロマトグラフィーを行った。
【0141】
別途明示されていない限り、298K、303.2Kまたは300Kで、Bruker(商標)DPX400またはAV400機のどちらかを用いた規定の周波数でNMRスペクトルを得て、CDClを希釈溶液として測定した。NMRスペクトルはすべて、テトラメチルシランを基準とした(TMS δ 0、δ 0)。結合定数はすべてヘルツ(Hz)で報告され、また、多重度は、s(一重項)、bs、(ブロード一重項)、d(二重項)、t(三重項)、q(四重項)、dd(二重項の二重項)、dt(三重項の二重項)およびm(多重項)と標識化される。
【0142】
エレクトロスプレー陽および陰イオン化(ES+/ES−)ならびに/または大気圧化学陽および陰イオン化(AP+/AP−)について、総イオン電流トレースを得た。
【0143】
適切な場合には、これらの保持時間を、質量による自動精製(mass-directed auto-purification;MDAP)を用いた精製の指標として用いた。
【0144】
精製
多くの当該化合物は、例えばWaters(登録商標)ZQ質量分析計などの適切な質量分析計およびHPLC技術と一体となった、質量による自動精製システム(MDAP)を用いて精製した。
【0145】
中間体1:N−(4−シアノ−2−メチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド
【化7】

【0146】
丸底フラスコの中で、4−アミノ−3−メチルベンゾニトリル(アルファ・エイサー社、アボカド、ランカスター;10.88g、82mmol)、およびEtN(22.95mL、165mmol)を、DCM(200mL)中、0℃で撹拌した。TFAA(13.95mL、99mmol)を、滴下漏斗を介してゆっくりと加え、この混合物を室温で30分間撹拌した。この反応混合物を2MのHCl(150mL)中に注いだ。次いで有機層を回収し、次いで炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(150mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、溶媒を除去して暗黄色の固体(19.37g)を得た;
m/z(ES)227(M−1);H NMR(400MHz、CDCl):δ 8.43(1H、d)、7.91(1H、br s)、7.59(1H、dd)、7.56(1H、s)、2.37(3H、s)。
【0147】
中間体2:({5−シアノ−2−[(トリフルオロアセチル)アミノ]フェニル}メチル)(トリフェニル)ホスホニウムクロリド
【化8】

【0148】
丸底フラスコの中で、N−(4−シアノ−2−メチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(中間体1、19.37g、85mmol)、二塩化スルフリル(27.6mL、340mmol)およびジフェニルペルオキシ無水物(diphenylperoxyanhydride)(1.028g、4.24mmol)を、四塩化炭素(210mL)中、100℃で、3時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、次いでこの反応混合物を2MのHCl(350mL)中に注いだ。次いで有機層を回収し、溶媒を除去してN−[2−(クロロメチル)−4−シアノフェニル]−2,2,2−トリフルオロアセトアミドをオレンジ色の油(25.54g)として得た。これを、さらなる精製を行うことなく次の工程で使用した。この油をトリフェニルホスフィン(26.2g、100mmol)に加え、この混合物をトルエン(300mL)中、110℃で、3時間加熱した。この混合物を室温まで一晩冷却し、沈殿物を濾過し、少量のトルエンおよびジエチルエーテルで洗浄して表題化合物をオフホワイトの固体(29.91g)として得た;
m/z(ES)489;H NMR(400MHz、CDCl):δ 12.32(1H、s)、7.79−7.57(16H、m)、7.50(1H、d)、7.38(1H、s)、6.18(2H、d)。
【0149】
中間体3:2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−カルボニトリル
【化9】

【0150】
({5−シアノ−2−[(トリフルオロアセチル)アミノ]フェニル}メチル)(トリフェニル)ホスホニウムクロリド(中間体2、50.41g、95mmol)を、DMF(180mL)中、140℃で、7時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、溶媒を蒸発させた。この残渣を、もう1つの実験(ここでは、中間体2、7.9g、15.05mmolを、DMF(50mL)中、155℃で、2時間加熱した)から得た対応する残渣と混合した。混合したこの残渣をトルエン(100mL×2)で共沸した。その結果として生じた残渣をジエチルエーテル(500mL)で処理し、沈殿物を濾過し、ジエチルエーテル(100mL)で洗浄した。この濾液を蒸発させ、その結果として生じたオレンジ色の油(約60g)をDCM(200mL)中に溶解させ、室温で撹拌した。イソヘキサンを、濁りが残るまで(約400mL)加え、この混合物を3日間撹拌した。沈殿物は観察されなかったので、この混合物を蒸発させ、クロマトグラフィー(Biotage社製75L、ジクロロメタンで溶出)にかけて表題化合物を無色の固体(21.7g)として得た;
m/z(ES)209(M−1);H NMR(400MHz、CDCl):δ 8.85(1H、br s)、8.08(1H、s)、7.57(1H、d)、7.53(1H、d)、7.03(1H、s)。
【0151】
中間体3A:2−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−カルボニトリル
【化10】

【0152】
5−シアノ−2−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−3−カルボン酸(中間体13、2.09g)をNMP(10mL)中に溶解させ、次いでHO(1mL)を加えた。この混合物を窒素下で130〜140℃に一晩加熱した。この溶液を室温まで冷却してHO(30mL)を加え、この溶液を40分間撹拌し、次いで濾過した。このケーキをHOで洗浄した。次いで生成物を真空下、40℃で乾燥させて表題化合物(1.42g)を得る;
H NMR(300MHz、d6 DMSO)δ 8.26(1H、s)、7.64(2H、s)、7.18(1H、s)。
【0153】
中間体4:[(2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−イル)メチル]アミン
【化11】

【0154】
氷水浴で冷却した、テトラヒドロフラン(5mL)中、2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−カルボニトリル(中間体3、0.16g、0.761mmol)溶液を、ボラン・テトラヒドロフラン錯体(3.05mL、3.05mmol)の1M溶液を用いてシリンジを介した液滴で処理した。次いで、この反応混合物をアルゴン下で18時間撹拌させておき、室温まで加温した。次いでこの反応混合物をメタノール(10mL)でクエンチし、室温で10分間撹拌した。次いでこの反応混合物をSCXカートリッジ(10g)上に注ぎ、メタノールで十分に洗浄した。次いで所望の生成物を、2Mのアンモニア/メタノール溶液を用いて溶出した。蒸発させて乾燥させることにより表題化合物を得た。これを、さらなる精製を行うことなく次の工程で使用した。
【0155】
中間体5:[(2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−イル)メチル]アミン塩酸塩
【化12】

【0156】
氷水浴で冷却したTHF(300mL)中、2−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−カルボニトリル(中間体3、21.7g、103mmol)溶液を、滴下漏斗を介したボラン・テトラヒドロフラン錯体(250mL、250mmol)添加液滴で処理した。この混合物をアルゴン下で5時間撹拌させておき、室温まで加温した。次いで、この混合物を室温でさらに18時間撹拌した。メタノール(100mL)を滴加し、次いでこの混合物を室温で20分間撹拌した。溶媒を除去し、残渣をメタノール(300mL)中に溶解させた。次いでこの混合物を加熱して1時間還流した。この混合物を室温まで冷却し、HCl/エーテル(1M、200mL)を加え、溶媒を蒸発させた。残渣をジエチルエーテル(2×200mL)で研和した。この残渣を、DCM(50mL)およびジエチルエーテル(300mL)中でスラリー化し、エーテル中HClをさらに少し(1M、100mL)加えた。次いでこの混合物をAr下で濾過し、固体を真空オーブン中で乾燥させて表題化合物を無色の固体(21.7g)として得た;
m/z(ES)213(M−1);H NMR(400MHz、d DMSO):δ 12.45(1H、br s)、8.35(3H、br s)、7.79(1H、s)、7.53(1H、d)、7.42(1H、dd)、7.08(1H、s)、4.09(2H、q)。
【0157】
中間体5A:{[2−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−イル]メチル}アミン塩酸塩
【化13】

【0158】
2−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−カルボニトリル(中間体3A、25g)、PtO・HO(3%、750mg)およびMeOH(175mL)を水素化フラスコに加えた。4Mのジオキサン(89mL)中HClを加えた。この反応容器をN、次いでHでパージする。この混合物を、H60psi、17〜23℃で24時間水素化した。この混合物をセライト、次いで0.2μmのPTFEフィルターに通して濾過した。次いでMP−TMT樹脂(15重量%)を加え、そのスラリーを40℃で3時間撹拌し、17〜23℃に冷却し、次いでセライトのパッド(pad of celite)に通して濾過した。このセライトパッド(celite pad)および樹脂を、MeOH(100mL)で洗浄した。この溶液を真空蒸留によって最小限まで濃縮し、n−プロパノール(200mL)を加えて最小限まで濃縮した。トルエン(200mL)、次いでシクロヘキサン(75mL)を加え、そのスラリーを17〜23℃で2時間撹拌させておいた。次いで、この混合物を0〜5℃に冷却し、2時間撹拌させておいた。固体を濾過し、トルエンで洗浄して表題化合物(25.3g)を得た;
H NMR(300MHz、d6 DMSO)δ 8.55(3H、s)、7.80(1H、s)、7.53(1H、d)、7.45(1H、d)、7.05(1H、s)、4.07(2H、s)。
【0159】
中間体6:N−[2−(ブロモメチル)−4−シアノフェニル]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド
【化14】

【0160】
500mL丸底フラスコの中で、N−(4−シアノ−2−メチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(中間体1;7.3g、32.0mmol)、NBS(5.98g、33.6mmol)、およびベンゾイルペルオキシド(70%)(1.162g、4.80mmol)を四塩化炭素(150mL)に加えた。次いでこの反応混合物を加熱してアルゴン下で4日間還流した。この反応混合物を室温まで冷却し、次いでNBS(0.5当量、3g)およびベンゾイルペルオキシド(0.075当量、0.581g)を加えた。次いで
この反応混合物を加熱し、さらに18時間還流した。この反応混合物を室温まで冷却しておき、次いで2MのNaOH(100mL)中に注いだ。有機層を回収し、次いでメタ重亜硫酸ナトリウム(100mLの水に10g)溶液で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、溶媒を除去した。次いで、その結果として生じたオレンジ色の油を、1〜10%EtOAc:イソヘキサンで溶出するシリカゲルのプラグに通して精製した。次いで、所望の複数の分画を混合し、蒸発により乾燥させて、表題化合物と出発物質との1:1の混合物をオレンジ色の固体(9g)として得た。次いで、これを、さらなる精製を行うことなく次の工程で使用した。
【0161】
中間体7:({5−シアノ−2−[(トリフルオロアセチル)アミノ]フェニル}メチル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミド
【化15】

【0162】
250mL丸底フラスコの中で、N−[2−(ブロモメチル)−4−シアノフェニル]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(中間体6、6g、19.54mmol)をトルエン(100mL)中に溶解させた。トリフェニルホスフィン(5.12g、19.54mmol)を加え、この反応混合物をアルゴン下で5時間、85℃まで加熱した。この反応混合物を室温まで冷却しておき、その結果として生じた黄色の固体を回収し、トルエンで十分に洗浄して表題化合物を黄色の固体(6.5g)として得た;
m/z(ES+)489;H NMR(400MHz、d−DMSO):δ 11.19(1H、s)、7.79−7.57(17H、m)、7.39(1H、s)、5.25(2H、d)。
【0163】
中間体8:2−(トリフルオロメチル)−5−シアノ−7−ブロモ−1H−インドール
【化16】

【0164】
({5−シアノ−2−[(トリフルオロアセチル)アミノ]フェニル}メチル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミド(中間体7、32g)をDMF(150mL)中に溶解させ、脱色用木炭(32g)を加えた。この反応混合物を室温で2時間撹拌した。次いでこの反応混合物をDMF(100mL)で洗浄しながら濾過した。次いでその濾液にN−ブロモスクシンイミド(34.9g)を加え、次いでこの反応混合物を室温で一晩撹拌した。この反応混合物をメタ重亜硫酸ナトリウムの飽和溶液(500mL)でクエンチし、室温で30分間撹拌した。次いでこの反応混合物を酢酸エチル(2×400mL)で抽出し、その複数の有機抽出液を混合し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、溶媒を除去して({3−ブロモ−5−シアノ−2−[(トリフルオロアセチル)アミノ]フェニル}メチル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミドを粗生成物として得た(37.2g)。これを、さらなる精製を行うことなく次の反応で使用した;
m/z(ES)568および570(M+1)。
【0165】
({3−ブロモ−5−シアノ−2−[(トリフルオロアセチル)アミノ]フェニル}メチル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミド(37.2g、未精製)をDMF(150mL)中に溶解させ、この反応混合物を3時間撹拌しながら130℃に加熱した。この反応混合物を室温まで冷却しておき、次いで水(400mL)でクエンチした。次いでこの反応混合物を酢酸エチル(3×300mL)で抽出した。有機抽出液を水:塩水の1:1混合物(2×600mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、溶媒を除去した。次いで、その結果として生じた残渣を、2〜10%EtOAc:イソヘキサンで溶出するシリカゲルのパッドに通す濾過によって精製して表題化合物をオフホワイトの固体(6g)として得た;
m/z(ES)287+289(M−1);H NMR(400MHz、d−DMSO):δ 13.15(1H、s)、8.32(1H、s)、8.01(1H、s)、7.34(1H、s)。
【0166】
中間体9:[(2−トリフルオロメチル−7−ブロモ−1H−インドール−5−イル)メチル]アミン
【化17】

【0167】
氷水浴で冷却したTHF(10mL)中、2−(トリフルオロメチル)−5−シアノ−7−ブロモ−1H−インドール(中間体8;200mg、0.692mmol)溶液を、シリンジを介したボラン・テトラヒドロフラン錯体(THF中1M、1.522mL、1.522mmol)液滴で処理し、アルゴン下で18時間撹拌して室温まで加温しておいた。次いでこの反応混合物をメタノール(5mL)でクエンチし、室温で10分間撹拌した。次いでこの反応混合物を蒸発により乾燥させて表題化合物を白色の泡沫(230mg)として得た。これを、さらなる精製を行うことなく次の工程で使用した;
m/z 290/292(M−H)。
【0168】
中間体10:1−メチル−2−トリフルオロメチル−5−シアノインドール
【化18】

【0169】
水素化ナトリウム(鉱油中60%)(76mg、1.903mmol)を、DMF(5mL)中、アルゴン下、室温で撹拌した2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−カルボニトリル(中間体3、200mg、0.952mmol)に加えた。この反応混合物を室温で30分間撹拌し、次いでヨードメタン(0.119mL、1.903mmol)を加えた。この反応混合物をさらに1時間撹拌させておいた。この反応混合物を水(50mL)中に注ぎ、酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機抽出液を1:1の水:塩水(50mL×2)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、溶媒を除去して表題化合物(290mg)を得た。これを、さらなる精製を行うことなく次の反応で使用した;
H NMR(400MHz、CDCl):δ 8.05(1H、d)、7.59(1H、dd)、7.46(1H、d)、7.03(1H、s)、3.90(3H、s);m/z 225(M+H)。
【0170】
中間体11:{[1−メチル−2−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−イル]メチル}アミン
【化19】

【0171】
0℃に冷却したTHF(10mL)中、1−メチル−2−トリフルオロメチル−5−シアノインドール(中間体10、240mg、1.071mmol)溶液を、シリンジを介したボラン・テトラヒドロフラン錯体(1M溶液)(2.36mL、2.36mmol)液滴で処理し、アルゴン下で24時間撹拌した。この反応混合物をメタノール(5mL)でクエンチし、室温で10分間撹拌した。この反応混合物を蒸発により乾燥させて未精製の表題化合物を白色の泡沫(300mg)として得た。これを、さらなる精製を行うことなく次の工程で使用した。
【0172】
中間体12:N−(4−シアノ−2−ヨードフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド
【化20】

【0173】
添加漏斗、温度計、還流冷却器、および窒素注入口を備えた丸底フラスコに、4−シアノ−2−ヨードアニリン(7.88g)、アセトニトリル(24mL)、およびトリエチルアミン(4.5mL)を加えた。この懸濁液に、35〜40℃よりも低い温度を維持しながらトリフルオロ酢酸無水物(5.0mL)を加えた。注意:発熱性添加物は添加速度を調整すること。この反応液を30分間撹拌し、水(31.5mL)で希釈した。注意:添加の最初の部分は発熱性であるため、添加速度を調整すること。そのスラリーを15〜20℃で60分間保持した。濾過することによって生成物を単離した。固体を80%アセトニトリル水溶液で洗浄し、真空中で乾燥させて表題化合物を無色の固体(9.9g)として得た;
H NMR(300MHz、CDCl)δ 8.49(1H、br s)、8.45(1H、d)、8.15(1H、s)、7.75(1H、d)。
【0174】
中間体13:5−シアノ−2−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−3−カルボン酸
【化21】

【0175】
CsCO(95.82g)、CuI(3.36g)、およびL−プロリン(9.06g)を1L反応容器に加えた。この容器をNでパージした。次いでDMSO(80mL)をこの反応容器に加えた。この内容物を18〜23℃で10分間撹拌する。次いでN−(4−シアノ−2−ヨードフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(中間体12、40g)を別の容器に加え、DMSO(40mL)中に溶解させた。次いで、COの排気を調節するために、中間体12の溶液を、少なくとも15分間にわたり反応容器に加えた。この反応溶液を10分間撹拌した。次いでこの反応混合物にアセト酢酸tert−ブチル(19.5mL)を加えた。この反応溶液を85〜90℃に加熱し、1時間撹拌した。次いでこの反応液に、0.5当量のアセト酢酸tert−ブチルをさらに加えた。次いでこの反応液をさらに1時間撹拌した。次いでこの反応液に、0.5当量のアセト酢酸tert−ブチルをさらに加え、この反応液を一晩撹拌した。反応が完了し次第、容器中の内容物を18〜23℃に冷却した。反応温度を35℃未満に維持しながらHO(160mL)を15分間にわたって加えた。次いで酢酸イソプロピル(160mL)およびトルエン(320mL)、次いでHO(160mL)を加えた。水層を排出し、有機層を飽和NHCl溶液(200mL)で洗浄した。次いで有機層を真空蒸留によって最小限まで減少させた。DCM(160mL)を加え、内容物を18〜23℃に調整した。トリフルオロ酢酸(34.95mL)を15分間にわたって加えた。この溶液を一晩撹拌した。固体を濾過し、DCM(2×80mL)で洗浄した。この固体を真空オーブン中で乾燥させて表題化合物(15.1g)を得た;
H NMR(300MHz、d6 DMSO)δ 8.48(1H、s)、7.67(2H、s)。
【0176】
化合物1:N−[(2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド
【化22】

【0177】
6−(トリフルオロメチル)ニコチン酸(シグマアルドリッチ社製;178mg、0.934mmol)をDCM(10mL)中で撹拌した。塩化オキサリル(0.131mL、1.494mmol)、次いでDMF(2.89μl、0.037mmol)を加え、この反応混合物をアルゴン下、室温で、2時間撹拌させておいた。この反応混合物を蒸発により乾燥させ、その結果として生じた残渣をDCM(10mL)中に溶解させた。DCM(10mL)中[(2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−イル)メチル]アミン(中間体4、160mg、0.747mmol)溶液、次いでトリエチルアミン(0.208mL、1.494mmol)を加えた。この反応混合物を室温で1時間撹拌させておいた。この反応混合物を蒸発により乾燥させ、その結果として生じた残渣をMDAPによって精製して表題化合物(176mg)を得た;
m/z(ES)388(M+1);H NMR(400MHz、d4MeOD):δ 9.35(1H、d)、8.43(1H、dd)、8.12(1H、d)、7.67(1H、s)、7.43(1H、d)、7.33(1H、dd)、6.86(1H、s)、4.69(2H、s)。
【0178】
化合物1A:N−[(2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド
【化23】

【0179】
{[2−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−イル]メチル}アミン塩酸塩(中間体5A、646g、71%遊離アミン当量)、6−トリフルオロメチルニコチン酸(429.7g)、ジイソプロピルエチルアミン(1500mL)およびテトラヒドロフラン(5.1L)を、添加漏斗、温度計、および窒素注入口を備えたフラスコ中に入れた。この混合物を激しく10〜15分間撹拌した。この混合物を約5℃に冷却し、プロピルホスホン酸無水物(50重量%溶液3.2L)をゆっくりと加えた。この混合物を約15℃で2時間撹拌した。この混合物を約5℃に冷却し、水(505mL)をゆっくりと加えることによってクエンチした。20重量%のKPO(2.9L)を加えることによってpHを5〜6に調整した。この混合物をEtOAc(3.2L)で希釈し、温度を15〜20℃に調整した。層を分離し、有機混合物を、水(1.5L)、次いで5重量%の炭酸水素ナトリウム溶液(2.6L)で順次洗浄した。この混合物を濾過し、真空下で、体積が最小限になるまで溶媒を除去した。イソプロピルアルコール(2.0L)を加え、この混合物を濾過し、真空下で2回、溶媒を除去した。イソプロピルアルコール(980mL)を加え、この混合物を70〜80℃に加熱した。65℃より高い温度を維持しつつ、濁度を見ながら、水(1.5L)を加えた。温度を65℃に調整して、生成物(4.5g)を播き、この混合物を65℃で30分間保持した。この混合物を約5℃に一晩冷却し、生成物を濾過により単離して、固体を冷たい水(1L)中10%IPAで洗浄し、次いで真空オーブン中で乾燥させて表題化合物(529g)を得た;
H NMR(300MHz、d6 DMSO)δ 12.24(1H、s)、9.48(1H、s)、9.22(1H、s)、8.52(1H、s)、8.05(1H、s)、7.66(1H、s)、7.47(1H、d)、7.32(1H、d)、7.00(1H、s)、4.60(2H、s)。
【0180】
化合物1Aは以下のように特徴づけられた:
粉末X線回折(XRPD)
フィリップス社製X'Celerator RTMS(Real Time Multi Strip)検出器を備えたフィリップス社製X'pert Pro粉末回折計、Model PW3040 Pro上のCu K.アルファ.放射を用いて粉末X線回折分析を行った。32秒/0.00167度/2度2.シータから40度2.シータまでのステップで、シータ−2シータ連続走査によりリアルタイムでデータを収集した。管電圧は40kV、管電流は40mAであった。
【0181】
XRPDパターンを図1に示す。特徴的なXRPD角を以下の表1に記載する。それぞれのピーク帰属について、誤差の範囲は、およそ±0.2° 2θである。PANalytical X'Pert Highscore Plusソフトウェアを使ってピーク位置を測定した。
【0182】
【表1】

【0183】
ラマン
Alコーティングした顕微鏡用スライドグラス上に載せた試料を用い、Nicolet社製960 E.S.P. FT-Raman spectrometerを使用し、4cm−1の分解能で、Nd:VO4レーザー(1064nm)による励起によって、433mWの出力で、化合物1Aのラマンスペクトルを記録した。
【0184】
ラマンスペクトルを図2に示す。3270、3205、3116、3091、3072、3050、3028、2944、2929、2881、1660、1634、1604、1564、1496、1458、1442、1394、1368、1333、1315、1291、1248、1228、1166.1135、1090、1066、1035、991、947、897、865、829、793、762、731、705、675、643、613、590、547、478、454、411、374、325、280、272、242、221、cm−1でバンドが観察された。
【0185】
化合物2:N−[(2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジンカルボキサミド
【化24】

【0186】
化合物1について記載した方法に従い、6−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリジン−3−カルボン酸(Apollo Scientific社製)および[(2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−イル)メチル]アミン(中間体4)から調製した;m/z(ES)418(M+1);H NMR(400MHz、d6−DMSO):δ 12.21(1H、s)、9.16(1H、t)、8.74(1H、s)、8.27(1H、dd)、7.62(1H、s)、7.44(1H、d)、7.30(1H、dd)、7.08(1H、dd)、7.00(1H、s)、5.06(2H、m)、4.57(2H、d)。
【0187】
化合物3:6−ブロモ−N−{[2−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−イル]メチル}−3−ピリジンカルボキサミド
【化25】

【0188】
DCM(50mL)中、{[2−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−イル]メチル}アミン塩酸塩(中間体5、1g、3.99mmol)、6−ブロモ−3−ピリジンカルボン酸(Matrix Scientific社製;0.887g、4.39mmol)、EDC(0.841g、4.39mmol)、HOBT(0.672g、4.39mmol)およびDIPEA(2.8mL、16.03mmol)の混合物を室温で18時間撹拌した。混合物を、飽和NaHCO水溶液とともに十分に撹拌し、有機層を分離し、水層をさらに抽出した(EtOAC×3)。複数の有機層を混合したものを乾燥させ(相分離カートリッジ)、減圧下で蒸発させて白色の固体を得た。ジエチルエーテルで一晩研和し、濾過することにより未精製の白色固体(1.16g)を得た。一部(88mg)を、MDAPによりさらに精製して表題化合物を白色の固体(54mg)として得た;
m/z[M+H] 396/398(M+1);1H NMR(400MHz、d4MeOD):δ 8.79(1H、d)、8.10(1H、dd)、7.70(1H、dd)、7.64(1H、s)、7.42(1H、d)、7.30(1H、d)、6.86(1H、s)、4.66(2H、s)。
【0189】
化合物4:6−シアノ−N−{[2−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−イル]メチル}−3−ピリジンカルボキサミド
【化26】

【0190】
化合物3について記載した手順と同様の手順により、2−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−イル]メチル}アミン塩酸塩(中間体5)とともに適切なカルボン酸を用いて、表題化合物を調製した:
m/z[M+H] 345(M+1);H NMR(400MHz、d4MeOD):δ 9.13(1H、m)、8.39(1H、dd)、7.99(1H、dd)、7.68(1H、s)、7.46(1H、d)、7.34(1H、d)、6.88(1H、s)、4.70(2H、s)。
【0191】
化合物5:N−[(2−トリフルオロメチル−7−ブロモ−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド
【化27】

【0192】
[(2−トリフルオロメチル−7−ブロモ−1H−インドール−5−イル)メチル]アミン(中間体9、230mg、0.785mmol)をDCM(10mL)中に溶解させ、6−(トリフルオロメチル)ニコチノイルクロリド(ABCR社;181mg、0.863mmol)を加えた。EtN(0.219mL、1.570mmol)を加え、次いでこの反応混合物を室温で30分間撹拌させておいた。この反応混合物を水でクエンチし、次いで有機層を回収し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、蒸発により乾燥させた。その結果として生じた残渣をMDAPにより精製して表題化合物(200mg)を得た;
m/z(ES)466および468(M+1);H NMR(400MHz、CDCl):δ 9.08(1H、d)、8.58(1H、s)、8.33(1H、dd)、7.82−7.76(1H、m)、7.64(1H、s)、7.52(1H、s)、6.99(1H、s)、6.53(1H、m)、4.76(2H、d)。
【0193】
化合物6:N−[(2−トリフルオロメチル−7−シアノ−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド
【化28】

【0194】
5mLマイクロ波反応器バイアルの中で、N−[(2−トリフルオロメチル−7−ブロモ−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド(化合物5、50mg、0.107mmol)、シアン化亜鉛(37.8mg、0.322mmol)、およびPd(PhP)(12.39mg、10.73μmol)をDMF(2.5mL)中に溶解させ、アルゴンを用いて脱気した。次いでこの反応混合物を、マイクロ波反応器中、150℃で30分間加熱した。この反応混合物を水(20mL)の中に注ぎ、酢酸エチル(50mL)で抽出した。次いで有機抽出液を水と塩水との1:1混合物(20mL×2)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、溶媒を除去した。その結果として生じた残渣をMDAPにより精製し、蒸発により乾燥させて表題化合物を白色の固体(35mg)として得た;
m/z(ES)413(M+1);H NMR(400MHz、d6−DMSO):δ 13.25(1H、s)、9.51(1H、t)、9.20(1H、s)、8.51(1H、dd)、8.08−8.03(2H、m)、7.85(1H、s)、7.23(1H、s)、4.64(2H、d)。
【0195】
化合物7:N−[(1−メチル−2−トリフルオロメチルインドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド
【化29】

【0196】
[(1−メチル−2−トリフルオロメチルインドール−5−イル)メチル]アミン(中間体11、150mg、0.657mmol)をDCM(10mL)中に溶解させ、6−(トリフルオロメチル)ニコチノイルクロリド(ABCR社製;165mg、0.789mmol)を加えた。EtN(0.183mL、1.315mmol)を加え、この反応混合物を室温で2時間撹拌させておいた。この反応混合物をメタノール(10mL)でクエンチし、蒸発により乾燥させた。その結果として生じた残渣を酢酸エチルと1Mのクエン酸溶液とに分けた。有機層を回収し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、溶媒を除去した。次いで、その結果として生じた残渣をMDAPにより精製し、蒸発により乾燥させて表題化合物(100mg)を得た;
m/z(ES)402(M+1);H NMR(400MHz、d6−DMSO):δ 9.50(1H、t)、9.20(1H、d)、8.51(1H、dd)、8.06(1H、d)、7.67(1H、s)、7.62(1H、d)、7.39(1H、dd)、7.10(1H、s)、4.63(2H、d)、3.85(3H、s)。
【0197】
生物学的な分析
本発明の化合物のα7 nAChRにおけるPAM活性は、蛍光画像プレートリーダー(FLIPR)を使用する、以下の細胞に基づくカルシウムフラックスアッセイを用いて測定することができる(Schroeder et al.; J. Biomolecular Screening, 1(2), p75-80, 1996を参照のこと)。
【0198】
ヒトα7 nAChRを安定的にトランスフェクションしたGH4C1細胞株を384ウェルプレート中に懸濁し、30℃で48時間、5%二酸化炭素空気中でインキュベートした。増殖培地を除去し、この細胞を、ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)、20mMのHEPESおよび2.5mMのプロベネシドからなる溶液で、各ウェルにつき洗浄溶液を20μlずつ残しながら、3回洗浄した。HBSS、プロベネシド、1〜4μMのFluo4 AM(カルシウム指示薬色素)およびプルロニック酸を含むローディング溶液(20μl)を加え、このプレートを、45分間、37℃で、二酸化炭素を含まない空気中でインキュベートした。細胞を、各ウェルにつき30μlずつ残しながら、3回洗浄した。次いで、細胞とカルシウム指示薬色素とが含まれるこのプレートをFLIPRに移した。ベースラインのデータ点を10秒おきに収集することにより分析を開始し、次いで、テスト化合物を緩衝溶液(0.33%DMSO)中に添加し、10μMの終濃度に希釈し、かつ、ウェルの段階希釈(1:2または1:3)により<1nMの低濃度にした。さらに5〜10分経ってから、50μMのニコチン10μlを加え、2〜3分間、データを収集した。ニコチンによって、急速で、一時的で、再現可能なカルシウム流が生じ、これはポジティブ・アロステリックモジュレータテスト化合物で増強することができた。
【0199】
上記分析を用いて支持化合物のスクリーニングを行い、応答領域の最大増強作用がニコチンコントロールと比較しておよそ1200%となる6.0以上のpEC50を得た。
【0200】
上記分析を用いて支持化合物1のスクリーニングを行い、応答領域の最大増強作用がニコチンコントロールと比較しておよそ1200%となる6よりも大きいpEC50を得た。
【0201】
ニコチン性α7受容体ポジティブモジュレータの活性の評価に役立つインビボ分析として、次のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:遅延位置合わせおよび非位置合わせ、受動的回避、新規物体認識、モリス水迷路(またはその変形)、放射状アーム迷路、5選択反応時間課題、合図による(cued)または文脈による(contextual)恐怖条件付けなどの、薬理学的に障害した動物および未処理動物の両方での認知分析;驚愕反射の前パルス阻害、聴覚ゲーティングなどの、薬理学的に障害した動物および未処理動物の両方での感覚ゲーティング分析;ならびに自発運動活性を引き起こす薬剤−(例えばアンフェタミン、モルヒネ、フェンシクリジン)の分析。
【図面の簡単な説明】
【0202】
【図1】化合物1AのXRPDパターン。
【図2】化合物1Aのラマンスペクトル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその塩:
【化1】

[式中、
は水素またはC1−3アルキルであり;
は水素、ハロまたはシアノであり;および
は、基:
【化2】

である(ここで、Rはハロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシまたはシアノである)]。
【請求項2】
が水素である、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
が水素である、請求項1または2に記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
N−[(2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド;
N−[(2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジンカルボキサミド;
6−ブロモ−N−{[2−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−イル]メチル}−3−ピリジンカルボキサミド;
6−シアノ−N−{[2−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−イル]メチル}−3−ピリジンカルボキサミド;
N−[(2−トリフルオロメチル−7−ブロモ−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド;
N−[(2−トリフルオロメチル−7−シアノ−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド;
N−[(1−メチル−2−トリフルオロメチルインドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド;
から選択される化合物またはその塩。
【請求項5】
薬学的に許容可能な塩である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の塩。
【請求項6】
N−[(2−トリフルオロメチル−1H−インドール−5−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド。
【請求項7】
薬剤として用いるための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項8】
精神病性疾患の治療用の、請求項1〜6いずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項9】
前記精神病性疾患が統合失調症である、請求項8に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項10】
認知障害の治療用の、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項11】
精神病性疾患の治療用の薬剤の製造における、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項12】
前記精神病性疾患が統合失調症である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
認知障害の治療用の薬剤の製造における、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項14】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の有効量を投与することを含んでなる、ヒトにおける精神病性疾患を治療する方法。
【請求項15】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の有効量を投与することを含んでなる、ヒトにおける統合失調症を治療する方法。
【請求項16】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の有効量を投与することを含んでなる、ヒトにおける認知障害を治療する方法。
【請求項17】
a)請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、およびb)1種類以上の薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含んでなる、医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−516598(P2011−516598A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504457(P2011−504457)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054493
【国際公開番号】WO2009/127678
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】