説明

ニメスリドを含む制御放出組成物

【課題】本発明は、ニメスリドの制御放出組成物を提供することを課題とする。この組成物は、関節炎のような慢性疾患の処置に非常に有用である一日一回の投薬形態に関連する。投薬形態は、1日に1回与えられる場合、再現可能なバイオアベイラビリティーを伴う、インビボでのニメスリドの延長放出を与える。さらに、このような投薬形態の放出は、胃腸系におけるpH変化によってもたらされない。
【解決手段】上記課題は、本発明に従う組成物を提供することによって達成された。この組成物は、ニメスリドの制御放出薬学的組成物を含み、この組成物は、活性薬物としてニメスリドを、微粉形態で、この組成物の5%〜95%w/w、1つ以上の放出持続材料を、この組成物の2%〜95%w/w、および薬学的賦形剤を、この組成物の0%〜90%w/w含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニメスリドの制御放出組成物に関する。この組成物は、関節炎のよ
うな慢性疾患の処置に非常に有用である一日一回の投薬形態に関連する。
【背景技術】
【0002】
ニメスリドは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であり、解熱性の性質
および鎮痛性の性質も有する。この化合物は、弱酸性(pKa=6.5)であり
、その化学構造が酸性基としてスルホンアニリド部分を含む点で、他のNSAI
Dとは異なる(図1)(非特許文献1)。
【0003】
【化1】


NSAIDの治療効果は、大部分、シクロオキシゲナーゼの阻害によるプロス
タグランジン合成を阻害する能力の結果である。不運なことに、この効果はまた
、胃保護性プロスタグランジンの阻害の原因であり、これは、胃腸不耐症を導く
。インビトロにおいて、ニメスリドは、プロスタグランジン合成の比較的弱いイ
ンヒビターであり、種々の機構を通してその効果を発揮するようである。(非特許文献2)。実際、この薬物の作用の機構は、以前に考えられたものよりも複雑であり、酵素、毒性酸素誘導体、サイトカイン、血小板活性化因子(PAF)およびヒスタミンのようなプロスタグランジン以外のメディエーターの産生/作用の干渉(interference)を含み得る。
【0004】
ニメスリド(スルホンアニリドクラスの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID
))の抗炎症性、鎮痛性および解熱性の活性は、多くの実験的モデルおよび多く
の臨床試験で示されている。ニメスリドは、カラゲニン誘導ラット足浮腫および
炎症、モルモットにおける紫外光誘導紅斑ならびにラットにおけるアジュバント
関節炎のような標準的な炎症の動物モデルにおけるインドメタシン、ジクロフェ
ナク、ピロキシカムおよびイブプロフェンの効力と類似するかそれより大きな効
力を示した。ニメスリドにおける鎮痛性の効力は、イブプロフェン効力と類似し
ており、ラットにおける酢酸苦悶試験(writhing test)、ならび
にマウスにおける酢酸およびアセチルコリン苦悶試験におけるインドメタシンの
効力よりも低かった。ニメスリドは、酵母誘導発熱を有するラットにおけるイン
ドメタシン、イブプロフェン、アスピリンおよびパラセタモール(アセトアミノ
フェン)よりも優れた解熱効力を示した。
【0005】
ニメスリドは、インビトロにおけるプロスタグランジン合成の比較的弱いイン
ヒビターであり、フリーラジカル捕捉(scavenging)、ヒスタミン放
出に対する効果、好中球ミエロペルオキシダーゼ経路、ブラジキニン活性、腫瘍
壊死因子α放出、軟骨分解、メタロプロテアーゼ合成、ホスホジエステラーゼI
V型阻害、血小板凝集および血小板活性化因子の合成を含む種々の機構を介して
その効果を発揮するようである。動物研究は、ニメスリドが、アスピリン、イン
ドメタシン、ナプロキセン、ピロキシカムおよびイブプロフェンよりも潰瘍発生
性ではないことを示した。ニメスリドは、ラットにおける腎臓プロスタグランジ
ン合成に対してほとんど効果を有さないようである。
【0006】
健康な成人のボランティアに対するニメスリド50〜200mgの経口投与の
後に、1.98〜9.85mg/Lのピーク血清濃度が、1.22〜3.17時
間以内に達成される。経口薬物投与で得られる値と比較して、ピーク血清濃度は
、わずかに低く(2.14〜2.32mg/L)、そしてニメスリド100mg
おいよび200mgの直腸投与の後によりゆっくりで(3〜4.58時間)達成
される。経口薬物吸収は、完全にほぼ近く、食物との同時投与は、速度を減少し
得るが、ニメスリドの吸収の程度は減少しない。この薬物は、血漿タンパク質に
対して広範に結合(99%)し、そして経口投与に続いて0.19〜0.35L
/kgの推定の見かけの分布容量を有する。
【0007】
子供において、ニメスリド懸濁液、顆粒および坐剤は、気道感染、術後の疼痛
ならびに骨格筋損傷に関連する疼痛、炎症および発熱の減少において、プラシー
ボよりも効果的であり、パラセタモール、ジクロフェナク、ナプロキセン、アセ
チルサリチル酸リシン、メフェナム酸、ケトプロフェンおよびジピロンと少なく
とも同じ効果であった。ニメスリドに対して、2つの大きな市販後サーベイラン
ス調査における若いおよび高齢の成人と子供との両方が、十分な耐性を有してい
る。他のNSAIDと同様に、最も一般的な有害な効果は、胃腸障害(上腹部痛
、胸やけ、悪心、下痢および嘔吐;患者の5.1〜8.5%)、皮膚反応(発疹
、かゆみ;0.2〜0.6%)、ならびに中枢神経系効果(めまい感、傾眠、頭
痛;0.3〜0.4%)である。短期(30日まで)ニメスリド処置に関連する
退薬症状率は、成人、高齢および小児患者において1.1〜2.2%の範囲であ
る。
【0008】
利用可能なデータは、成人および子供におけるニメスリドの胃腸耐性が他のN
SAIDの耐性と同じであることを示す。ニメスリドを用いた内視鏡的に確認し
た胃十二指腸刺激の比率は、プラシーボおよびジクロフェナクと同じであるよう
であり、そしてインドメタシンを用いた刺激よりも少ないようである。この薬物
に対して、アスピリンおよび/または他のNSAIDに不耐性である大部分の患
者ならびに喘息を有する患者は十分に耐性である。
【0009】
文献調査によって、ニメスリドについて報告された異なる投薬形態が、錠剤、
顆粒剤、坐剤および懸濁剤であり(Drug 48(3):431〜454、1
994)、そして最近、本発明者らのグループが、経皮的注射処方物(米国特許
第5688829号)および筋肉内注射処方物(米国特許第5716609号)
を特許化した。報告される投薬形態は、ニメスリドの生物学的な半減期に基づい
て一日2回で投与されなければならない。成人におけるニメスリドの通常の経口
/直腸投薬量は、毎日2回、経口的に100〜200mgである。関節炎のよう
な慢性疾患の処置について、毎日2回の投薬レジメンは、従うのが困難である。
【0010】
このレジメンに伴なうあり得る非コンプライアンスを改善するための1つのア
プローチは、ニメスリドについての制御放出投薬形態を開発することである。一
日一回の投薬形態は、投薬の便利さおよび患者のコンプライアンスを有意に増加
することが期待される。しかし、ニメスリドの制御放出の一日一回の投薬形態は
、これまで報告されていない。
【0011】
マトリックス型モノリシック錠剤、ビーズ、カプセルおよびコート錠剤の形態
の、経口使用のための制御放出組成物は、公知である。しかし、ニメスリドのよ
うな可溶性の乏しい薬物は、インビボ条件下で、このような投薬形態から不安定
で変動する放出を与えることが知られている。
【0012】
NSAIDの改変された放出投薬形態を処方するための1つのアプローチは、
特許文献1に記載されており、ここでは、2つの画分(i)第1の即時放出画分、および(ii)コートされた遅延放出の複数単位を含む第2の画分、を含む、単位投薬形態が記載されている。しかし、異なる画分およびコートされた複数単位を有するこのような投薬形態は、調製が困難であり、かつ非常に費用集中的である。さらに、このようなコートされた複数単位を錠剤に圧縮することにより、コート層の破砕を生じ、それによって再現性の損失を生じる。
【0013】
特許文献2において、時間特異的制御放出投薬形態が記載される。このような投薬形態は、延長放出ではなく、活性成分の遅延放出を提供するように設計される。このような処方物は、疾患の1日中続く(day long)管理には適切ではない。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
【特許文献1】米国特許第WO9912524号
【特許文献2】米国特許第5788987号(Busettiら)
【非特許文献1】Magni E,Nimesulide an overview、Drug Invest 1991;3 補遺2:1〜3
【非特許文献2】Magni E.The effect of nimesulide on prostanoid formation.Drug 1993;46 補遺1:10〜4
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
制御放出薬学的組成物、および、制御放出薬学的組成物の製造のための方法を提供することを本発明の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
かなりの知的労力および注意深い実験の出費により、本発明者らは、ニメスリ
ドが制御放出の1日に1回の経口投薬形態に処方され得ることを発見した。
このような投薬形態は、1日に1回与えられる場合、再現可能なバイオアベイ
ラビリティーを伴う、インビボでのニメスリドの延長放出を与える。さらに、こ
のような投薬形態の放出は、胃腸系におけるpH変化によってもたらされない。
【0016】
本発明に従う組成物は、ニメスリドの制御放出薬学的組成物を含み、この組成
物は、活性薬物としてニメスリドを、微粉形態で、この組成物の5%〜95%w
/w、1つ以上の放出持続材料を、この組成物の2%〜95%w/w、および薬
学的賦形剤を、この組成物の0%〜90%w/w含む。
【0017】
好ましくは、本発明に従う組成物は、活性薬物としてニメスリドを、この組成
物の20%〜70%w/w、1つ以上の持続材料を、この組成物の5%〜65%
w/w、および薬学的賦形剤を、この組成物の10%〜70%w/w含む。
【0018】
より好ましくは、本発明に従う組成物は、活性薬物としてニメスリドを、この
組成物の40%〜60%w/w、1つ以上の持続材料を、この組成物の8%〜2
0%w/w、および薬学的賦形剤を、この組成物の30%〜60%w/w含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
本発明に従って、以下が提供される。
(項目1) ニメスリドの制御放出薬学的組成物であって、活性薬物として、該組成物の99% w/wまでのニメスリド、該組成物の0.1%〜99% w/wの1つ以上の放出制御材料、および該組成物の0%〜90% w/wの薬学的賦形剤を含む、組成物。
(項目2) 項目1に記載のニメスリドの制御放出薬学的組成物であって、活性薬物として、該組成物の20%〜70% w/wのニメスリド、該組成物の5%〜65% w/wの1つ以上の持続性材料、および該組成物の10%〜70% w/wの薬学的賦形剤を含む、組成物。
(項目3) 項目1および2に記載のニメスリドの制御放出薬学的組成物であって、即時放出組成物と比較して、バイオアベイラビリティの損失がない、組成物。
(項目4) 項目1〜3のいずれか1項に記載のニメスリドの制御放出薬学的組成物であって、前記持続性材料が、セルロースおよびセルロース誘導体、ワックス、カルボマー、ポリアルキレンポリオール、ポリカルボフィル、メタクリル酸誘導体、ゼラチン、ゴム、ポリエチレンオキシドからなる群から選択される、組成物。
(項目5) 項目1に記載の組成物であって、湿潤剤、可溶化剤、界面活性剤、可塑剤、細孔形成剤、pH改質剤および張度調整剤からなる群から選択される放出改質剤をさらに含む、組成物。
(項目6) 項目1に記載の制御放出薬学的組成物であって、該組成物が、胃保持系であり、ここで、前記薬物の滞留時間は、胃、十二指腸、空腸または回腸中で増大する、組成物。
(項目7) 項目6に記載の組成物であって、ニメスリドの胃保持が、粘膜付着、遊走および/または減少した胃腸運動により達成される、組成物。
(項目8) 項目7に記載の組成物であって、前記粘膜付着が、ポリカルボフィル、カルボマー、アルギネート、セルロースおよびセルロース誘導体、キトサン、ゴムならびにレクチンを含む胃腸粘膜に対する親和性を有するポリマーで、ニメスリドを処理することによって達成される、組成物。
(項目9) 項目7に記載の組成物であって、前記遊走が、該組成物に、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムおよび炭酸カリウムを単独でか、または塩酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸および酒石酸を含む酸性物質と組み合わせて含む気体生成材料を添加することによって達成される、組成物。
(項目10) 前記胃腸運動が、脂肪、脂肪酸、ならびに脂肪および脂肪酸とポリオールのエステル交換反応生成物を含む材料によって減少される、項目7に記載の組成物。
(項目11) ニメスリドの制御放出組成物の製造のためのプロセスであって、該方法は、該組成物の99% w/wまでの活性薬物としてのニメスリド、該組成物の0.1%〜99% w/wの1つ以上の放出制御材料、および該組成物の0%〜90% w/wの薬学的賦形剤を、温度および圧力の従来の条件下で一緒に混合する工程を包含する、方法。
(項目12) 実質的に本明細書中の記載および添付の実施例を参照して記載されるような、ニメスリドの制御放出薬学的組成物。
(項目13) 実質的に本明細書中の記載および添付の実施例を参照して記載されるような、ニメスリドの制御放出組成物の製造のためのプロセス。
本発明に従って、ニメスリドの制御放出処方物が開示される。
【0020】
本発明に従う組成物は、ニメスリドの制御放出薬学的組成物を含み、この組成
物は、活性薬物としてニメスリドを、この組成物の5%〜95%w/w、1つ以
上の持続材料を、この組成物の2%〜95%w/w、および薬学的賦形剤を、こ
の組成物の0%〜90%w/w含む。別の局面においては、このような組成物は
、5ミクロン未満の平均粒子サイズを有する微粉形態でニメスリドを含む。
【0021】
好ましくは、本発明に従う組成物は、活性薬物としてニメスリドを、この組成
物の20%〜70%w/w、1つ以上の持続材料を、この組成物の5%〜65%
w/w、および薬学的賦形剤を、この組成物の10%〜70%w/w含む。
【0022】
より好ましくは、本発明に従う組成物は、活性薬物としてニメスリドを、この
組成物の40%〜60%w/w、1つ以上の持続材料を、この組成物の8%〜2
0%w/w、および薬学的賦形剤を、この組成物の30%〜60%w/w含む。
【0023】
本発明の好ましい実施形態においては、この組成物は二層錠剤からなり、ここ
で活性薬剤は、1つの層または両方の層に存在し得る。二層錠剤は、コートされ
ていてもコートされていなくてもよい。コーティングは、半透過性型の膜であり
得る。さらに、この半透過性コートは、薬物層の側面上にこのコートを通して穿
孔されたオリフィスを有し、薬物の一定の放出のための通路を提供し得る。
【0024】
本発明の別の局面においては、コーティングは、微細孔型のコーティングであ
り得、これを通して薬物放出が一定速度で起こる。
【0025】
本発明の別の局面においては、二層錠剤投薬形態は、薬物の即時放出を与える
第1層、および薬物の延長放出を与える第2層を有し得る。
【0026】
第1の即時放出層は、崩壊剤、フィラー、急速溶解性/分散性賦形剤および湿
潤剤のような材料を含む。第2の延長放出層は、持続ポリマー、結合剤、湿潤剤
およびフィラーを含む。
【0027】
持続ポリマーは、好ましくは、本質的に親水性であり、そして即時に水和する
ポリマーとゆっくり水和するポリマーとのブレンドで存在する。
【0028】
持続材料は、セルロースおよびセルロース誘導体、ワックス、カルボマー、ポ
リアルキレンポリオール、ポリカルボフィル、メタクリル酸誘導体、ゼラチン、
ガム、ポリエチレンオキシドの群から選択される。
【0029】
保持物質は、非毒性で薬学的に受容可能である物質を含む。これらは、天然、
半合成、合成または人工(man−modified)であり得る。適切な物質
としては、以下が挙げられる:セルロースおよびセルロース誘導体(例えば、微
結晶性セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピル
メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテートフタ
レート、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロース
アセテートプロピオネート、セルロースアセテートトリメリテート(trime
llitate)、セルロースカルボキシメチルエーテルおよびそれらの塩、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロースアセテートスクシネート。
ポリエチレン;ポリクオーターニウム−1(Polyquaternium−1
);ポリビニルアセテート(ホモポリマー);ポリビニルアセテートフタレート
;プロピレングリコールアルギネート;PVM/MAコポリマー、PVP/ジメ
チコニルアクリレート(dimethiconylacrylate)/ポリカ
ルバミル/ポリグリコールエステル;PVP/ジメチルアミノエチルメタクリレ
ートコポリマー;PVP/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ポリカルバミ
ルポリグリコールエステル;PVP/ポリカルバミルポリグリコールエステル、
PVP/VAコポリマー,ラノリンおよびラノリン誘導体、グリセリルモノステ
アレート、ステアリン酸、パラフィン、蜜蝋、カルナウバ蝋、トリベヘニン(T
ribehenin)。
ポリアルキレンポリオール(例えば、ポリエチレングリコール)。
ゼラチンおよびゼラチン誘導体。
アルギネート。カルボマー。ポリカルボフィル。
メタクリル酸コポリマー。
カラゲナン、ペクチン、キトサン、シクロデキストリン、レシチン。
天然ゴムおよび合成ゴム(キサンタンガム、トラガカントゴム、アラビアゴム、
寒天、ガーゴムなどのようなガラクトマンナンを含む)。
【0030】
組成物中で使用されるような薬学的賦形剤は、当業者によって一般に使用され
る賦形剤(例えば、フィラー、バルキング剤、着色剤(colourant)、
安定剤、保存剤、潤滑剤、滑剤(glidant)、キレート剤など)の群から
選択される。
【0031】
好ましくは、この組成物はまた、放出改質剤を含む。このような放出改質剤は
、湿潤剤、可溶化剤、界面活性剤、可塑剤、溶媒、細孔形成剤、pH改質剤およ
び張度調整剤かなる群から選択される。
【0032】
このような成分の適切な例としては、以下が挙げられる:
天然植物油および硬化植物油とエチレングリコールとの反応生成物(例えば、ポ
リオキシエチレングリコール化した天然ヒマシ油または硬化ヒマシ油(商標Cr
emophorとして市販されている))。
他の適切な生成物としては、例えば、商標TWEENとして市販されているタイ
プのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。
ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(例えば、MYRJおよびCETIOL H
E)。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー(例えば、PLURONI
C)およびポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー(例え
ば、POLOXAMER)。
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム。
プロピレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル(例えば、MIGLYO
L 840)。
胆汁酸塩(例えば、アルカリ金属塩(例えば、タウロコール酸ナトリウム))。
ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン、ジアセチン、
ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ヒマシ油、クエン酸トリエチルセバ
シン酸ジブチル。
塩化ナトリウム、塩化カリウム、ラクトース、マンニトール、スクロース、ソル
ビトール。
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム
、クエン酸、塩酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸。
【0033】
1日1回の制御された放出用量形態のニメスリドの用量の計算は、以下の式を
使用して、薬物動態学的なパラメータに基づいてなされた:
用量=CP×Vd×Kel×T
P=有効プラズマ濃度(3.0mg/L)
d=見かけの分配体積(15.6L)
el=排除反応速度定数(0.166h-1
T=作用の所望の持続時間(24時間)。
【0034】
上の式に基づいて、用量が207.0mgであると計算された。本発明の組成
物は、別の追加の利点を有し、ニメスリドの1日1回の投与は、相乗的な活性を
有するように別の適切な長期作用薬物と組み合わせられ得る。他の薬物は、制御
されていない放出形態で存在し得る。このような薬物は、以下のカテゴリーから
選択され得る:
(i)抗ヒスタミン剤(例えば、セリチジンジヒドロクロリド)
(ii)鎮痙薬(例えば、ピトフェノンヒドロクロリド、臭化水素酸ヒオスシン

(iii)ぜん息治療薬(例えば、ケトチフェン、サルブタモール)
上記の例は、本発明の例示的実施形態であり、単なる例示に過ぎない。当業者
は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく変形物および改変体を作製し得
る。このような全ての改変体および変形物は、本明細書中で議論されるように、
本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【実施例】
【0035】
(実施例1.制御放出マトリクス錠剤タイプ)
(i)ニメスリド(微紛化) 200 mg
(ii)ラクトース 73 mg
(iii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 70 mg
(iv)ステアリン酸マグネシウム 3.5 mg
(v)精製タルク 3.5 mg
メッシュ番号30(BSS)を介して篩にかけた後に(i)、(ii)、(i
ii)、(iv)および(v)をブレンドする。錠剤に圧縮する。
【0036】
実施例1に基づくニメスリドCR錠剤の溶解放出プロフィールの結果が、以下
に与えられる:
表1
時間 平均 SD
30分 4.2 ±1.36
1時間 7.9 ±1.02
2時間 16.4 ±1.74
3時間 25.8 ±1.28
4時間 34.2 ±1.71
6時間 50.8 ±2.44
8時間 65.9 ±1.86
10時間 74.9 ±0.97
12時間 85.8 ±2.34
14時間 93.5 ±2.49
16時間 96.7 ±2.16
18時間 97.1 ±1.08
19時間 98.8 ±1.32
表1に与えられるようなニメスリド持続性放出錠剤の溶解プロフィールは、本
発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない。この溶解プロフィールに対す
る変形物は、本発明の精神から逸脱することなく投薬要件に基づいて可能であり
得る。
【0037】
(実施例2.延長放出膜拡散制御錠剤タイプ)
(i)ニメスリド(微紛化) 200 mg
(ii)微結晶性セルロース 60 mg
(iii)ラクトース 60 mg
(iv)トウモロコシデンプン 10 mg
(v)精製タルク 3.5 mg
(vi)エチルセルロース 10 mg
(水性分散液として)
(vii)ポリエチレングリコール 3.5 mg。
【0038】
(i)、(ii)および(iii)をブレンドし、そしてデンプンペーストを
用いて顆粒化し、そしてこの顆粒を乾燥する。メッシュ番号22(BSS)を介
して篩にかける。タルクを用いて潤滑する。錠剤に圧縮する。チャネル形成剤と
してポリエチレングリコールを使用してエチルセルロースで錠剤をコーティング
する。
【0039】
(実施例3.持続性放出ビーズタイプ)
(i)非パレイル(non−pareil)ビーズ 347 mg
(ii)ニメスリド 200 mg
(iii)マンニトール 30 mg
(iv)ラクトース 30 mg
(v)ポリビニルピロリドン 20 mg
(vi)精製タルク 15 mg
(vii)エチルセルロース 7 mg
(viii)ジエチルフタレート 1.4 mg
従来のコーターまたは流動床コーターにおいて結合剤として(v)を使用して
、非パレイルビーズを(ii)、(iii)および(iv)のブレンドでコーテ
ィングする。タルクは、このビーズにふりかけられ得る。最終コーティングは、
可塑剤として(vii)を使用して、エチルセルロースを用いて与えられる。
【0040】
(実施例4.浸透圧的に制御された一定放出タイプのデバイス)
(上層)
(i)ニメスリド(微紛化) 200 mg
(ii)水酸化ナトリウム 15 mg
(iii)ラクトース 34 mg
(iv)塩化ナトリウム 30 mg
(v)ポリビニルピロリドン 6 mg
(vi)ポリエチレンオキシド 1.5 mg
(下層)
(vii)ポリエチレンオキシド 22 mg
(viii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 1.8 mg
(ix)塩化ナトリウム 20 mg
(x)ジクロロメタン q.s(処理中に消失)
(半浸透性コーティング)
(xi) セルロースアセテート 30 mg
(xii)トリアセチン 1 mg
(xiii)アセトン q.s(処理中に消失)
(xiv)水 q.s(処理中に消失)
微細に粉末化した(i)、(ii)、(iii)、(iv)および(vi)を
ブレンドする。(v)の水溶液で顆粒化する。(vii)および(ix)のブレ
ンドを(x)中の(viii)の分散液で顆粒化する。この2種の顆粒を2層錠
剤に圧縮し、そして水性アセトン中の(xii)および(xiii)の分散液で
コーティングする。最後に、薬物層(上層)に穴をあけ、この穴を通じて、薬物
が浸透圧に起因して制御された様式で放出される。
【0041】
実施例4に基づくニメスリドCR錠剤の溶解放出プロフィールの結果が、以下
に与えられる:
表2
時間 平均 SD
2時間 5.16 ±0.53
4時間 16.75 ±1.68
6時間 34.90 ±2.26
8時間 45.75 ±2.26
10時間 56.00 ±4.36
12時間 67.85 ±4.40
14時間 79.16 ±5.03
14時間 90.25 ±3.68
18時間 101.16 ±3.53。
【0042】
(実施例5.コートティングされたカプセルタイプ)
(i)ニメスリド(微紛化) 200 mg
(ii)微結晶性セルロース 88.4 mg
(iii)ラクトース 70 mg
(iv)ポリビニルピロリドン 7 mg
(v)ステアリン酸マグネシウム 3.9 mg
(vi)エチルセルロース 20 mg
(vii)ポリエチレングリコール 0.7 mg
(viii)アルコール:ジクロロメタン(1:2) q.s(処理中に消失)
(ix)空のゼラチンカプセル(サイズ「1」)
(i)、(ii)、(iii)、(iv)および(v)をブレンドし、そして
空のゼラチンカプセル(サイズ「1」)に充填する。このカプセルを(viii
)中の(vi)および(vii)の分散液でコーティングする。
【0043】
(実施例6.pH依存遅延性放出タイプ)
(i)ニメスリド(微紛化) 100 mg
(ii)微結晶性セルロース 150 mg
(iii)ラクトース 76 mg
(iv)ポリオキシル40硬化ヒマシ油 7 mg
(v)ポリビニルピロリドン 10 mg
(vi)ステアリン酸マグネシウム 3.5 mg
(vii)精製タルク 3.5 mg
(viii)セルロースアセテートフタレート 28 mg
(ix)ジエチルフタレート 2 mg
(x)水 q.s(処理中に消失)
(xi)アルコール:ジクロロメタン(1:2) q.s(処理中に消失)
(i)、(ii)および(iii)のブレンドを、水中の(iv)および(v
)の溶液で顆粒化する。(vi)および(vii)とこの顆粒をブレンドする。
錠剤に圧縮する。(xi)中の(viii)および(ix)の分散液でコーティ
ングする。
【0044】
(実施例7.定期放出ビーズタイプ)
(i)ニメスリド(微粉化) 100mg 100mg 100mg
(ii)微結晶性セルロース 200mg 200mg 200mg
(iii)ラクトース 50mg 42mg 35mg
(iv)ポリビニルピロリドン 10mg 10mg 10mg
(v)水 q.s. q.s. q.s.
(vi)アンモニオメタクリレート
コポリマーB型 10mg 18mg 25mg
(Eudragit RS)
(vii)ジアセチン 0.5mg 0.5mg 0.5mg
(viii)水:アセトン(1:9) q.s. q.s. q.s.
この組成物において、3タイプのビーズが調製され、これは異なる量の(vi
)でコーティングされて、薬物の定期プロフィールを与える。(i)、(ii)
および(iii)をブレンドしそして球状化し、(iv)の水溶液を混合(ju
sing)することによって、ビーズを調製する。乾燥ビーズを、(viii)
中の(vi)および(vii)の分散液でコーティングする。3個の異なるビー
ズを一緒に所定の割合でブレンドして、所望の放出プロフィールを得る。
【0045】
(実施例8.ニメスリドCR+セチリジン二層錠剤)
(ニメスリド層)
(i)ニメスリド(微粉化) 200mg
(ii)ラクトース 106.5mg
(iii)ポリオキシ40硬化ヒマシ油 2.0mg
(iv)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 31.5mg
(v)ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
(vi)コロイド状二酸化ケイ素 2.0mg
(セチリジン層)
(vi)コロイド状二酸化ケイ素 2.0mg
(vii)セチリジンジヒドロクロリド 10.0mg
(viii)ラクトース 105.0mg
(ix)微結晶性セルロース 25.0mg
(x)スターチ 5.0mg
(xi)クロスカルメロース
(croscarmellose) 3.0mg
ナトリウム
(xii)ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
2層の成分を別々にブレンドし、二層錠剤に圧縮する。
【0046】
(実施例9.浸透圧制御された一定放出系)
(活性層)
(i)ニメスリド(微粉化) 200.0mg
(ii)ポリエチレンオキシド 116.5mg
(iii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 10.0mg
(iv)塩化ナトリウム 10.0mg
(v)ステアリン酸マグネシウム 2.5mg
(プッシュ層)
(vi)ポリエチレンオキシド 140.0mg
(vii)塩化ナトリウム 50.0mg
(viii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 9.5mg
(ix)ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
(x)べんがら 1.0mg
(機能性コーティング)
(xi)酢酸セルロース 45.0mg
(xii)ポリエチレングリコール 5.0mg
(xiii)アセトン 処理中に消失
(非機能性コーティング)
(xiv)二酸化チタン 2.0mg
(xv)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 6.0mg
(xvi)精製タルク 2.0mg
(xvii)ポリエチレングリコール−400 2.0mg
(xviii)イソプロピルアルコール 処理中に消失
(xix)ジクロロメタン 処理中に消失
手順:(i)、(ii)、(iii)、(iv)および(v)を、ダブルコー
ンブレンダーでブレンドする。別々に、(vi)、(vii)、(viii)、
(ix)および(x)をブレンドする。適切な圧縮機械を使用して二層錠剤に圧
縮する。この錠剤を(xiii)中の(xi)および(xii)の分散液でコー
ティングする。この錠剤を、(xviii)と(xix)との混合物中の(xi
v)、(xv)、(xvi)、(xvii)の分散液でさらにコーティングする

【0047】
(実施例10:1つの即時放出層および1つの延長放出層を有する二層錠剤)
(即時放出層)
(i)ニメスリド(微粉化) 100.0mg
(ii)ラクトース 151.5mg
(iii)スターチ 37.6mg
(iv)コロイド状二酸化ケイ素 11.0mg
(v)Povidone K−30 8.5mg
(vi)ドキュセートナトリウム 6.8mg
(vii)ポリソルベート 80 1.0g
(viii)ステアリン酸マグネシウム 1.6mg
(ix)クロスカルメロースナトリウム 22.0mg
(x)水 処理中に消失
(延長放出層)
(xi)ニメスリド(微粉化) 100.0mg
(xii)ラクトース 200.0mg
(xiii)ヒドロキシプロピルメチル
セルロース K100LV 23.0mg
(xiv)ヒドロキシプロピルメチル
セルロース K4MCR 100.0mg
(xv)Povidone K−30 9.0mg
(xvi)ドキュセートナトリウム 4.5mg
(xvii)ステアリン酸マグネシウム 4.5mg
(xviii)コロイド状二酸化ケイ素 4.5mg
(xix)ラウリル硫酸ナトリウム 4.5mg
(xx)イソプロピルアルコール 処理中に消失
手順:
ブレンド1:(i)、(ii)、(iii)および(iv)をブレンドし、(
x)中の(v)および(vi)の溶液を用いて顆粒化する。この顆粒を乾燥し、
そして(viii)および(ix)とブレンドする。
【0048】
ブレンド2:(ix)、(xii)、(xiii)および(xiv)をブレン
ドし、(xx)中の(xv)および(xvi)の溶液を用いて顆粒化する。この
顆粒を乾燥し、そして(xvii)、(xviii)および(xix)と混合す
る。適切な圧縮機を使用して二層錠剤に圧縮する。
【0049】
(実施例11:複合形態の薬物を含む1つの即時放出層、および1つの延長放
出層を有する二層錠剤)
(A.即時放出層)
(i)ニメスリド(微粉化) 100.0mg
(ii)B−シクロデキストリン 400.0mg
(iii)デンプン 70.0mg
(vi)Povidone K−30 7.5mg
(v)クロスカルメロースナトリウム 20.0mg
(vi)ステアリン酸マグネシウム 2.5mg
(B.延長放出層)
(vii)ニメスリド(微粉化) 100.0mg
(viii)ラクトース 200.0mg
(ix)ヒドロキシプロピルメチル
セルロース K100LV 230.0mg
(x)ヒドロキシプロピルメチル
セルロース K4MCR 100.0mg
(xi)Povidone K−30 9.0mg
(xii)ステアリン酸マグネシウム 4.5mg
(xiii)コロイド状二酸化ケイ素 4.5mg
(xiv)ドキュセートナトリウム 4.5mg
手順:
層−I
1.(i)および(xii)を混合し、ボールミルを使用して複合化に有利な特
定の条件下で同時製粉して、複合物を調製する。
2.工程1の複合物を(iii)と混合し、そして水中の(iv)の溶液を用い
て顆粒化する。
3.この顆粒を40℃〜50℃で乾燥する。
4.この顆粒をサイズ決めし、そして(v)および(vi)と混合する。
【0050】
層−II
1.(vii)、(viii)、(ix)および(x)を混合する。(xi)お
よび(xiv)の溶液を用いて顆粒化する。
2.この顆粒を40℃〜50℃で乾燥する。
3.この顆粒をサイズ決めし、そして(xii)および(xiii)と混合する

4.この2つの層を、適切な圧縮機を使用して二層錠剤に圧縮する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニメスリドの制御放出薬学的組成物であって、活性薬物とし
て、該組成物の99% w/wまでのニメスリド、該組成物の0.1%〜99%
w/wの1つ以上の放出制御材料、および該組成物の0%〜90% w/wの
薬学的賦形剤を含む、組成物。


【公開番号】特開2007−217436(P2007−217436A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147523(P2007−147523)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【分割の表示】特願2001−526021(P2001−526021)の分割
【原出願日】平成12年9月27日(2000.9.27)
【出願人】(500445631)パナセア バイオテック リミテッド (29)
【Fターム(参考)】