説明

ニューロンニコチン性アセチルコリン特異的受容体部位に結合し、コリン作動性機能の調節および習慣性障害の治療に有用である1,2,3,3A,8,8A−ヘキサヒドロ−2,7A−ジアダ−シクロペンタ[A]インデン−7−オン誘導体

本発明は、式中、R、Rおよびnが本明細書に定義されている通りである式(I)の新規な縮合二環式ピロリジンピリドン化合物、それらの薬学的に許容できる塩、医薬組成物ならびにタバコまたは他のニコチン含有製品の使用などの習慣性障害の治療とコリン作動性機能の低下に関連する神経および精神障害の治療におけるそれらの使用に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下の式Iによってより具体的に定義されている縮合二環式ピロリジンピリドン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
式Iの化合物は、ニューロンニコチン性アセチルコリン特異的受容体部位に結合し、コリン作動性機能の調節に有用である。こうした化合物は、タバコまたは他のニコチン含有製品の使用などの習慣性障害の治療に、またタバコ製品の慢性または長期使用の休止が原因の禁断症状の治療および予防にも有用である。これらの化合物は、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジア、運動過剰症、躁病、失読症、精神分裂病、痛覚脱失症、注意欠陥障害(ADD)、多発脳梗塞性認知症、年齢関連認知低下、てんかん、アルツハイマー型の老人性認知症、パーキンソン病、(PD)注意欠陥多動性障害(ADHD)、不安、肥満、トゥーレット症候群および潰瘍性大腸炎などのコリン作動性機能の低下に関連する神経および精神障害の治療にも有用である。
【0003】
本発明の化合物は、アルツハイマー病(AD)、PD、発作、ハンチントン舞踏病または外傷性脳損傷(TBI)に関連する認知低下およびうつ病の両方を治療するために三環式抗うつ薬またはセロトニン再摂取阻害抗うつ薬(SRI)などの抗うつ薬と併せて;例えば、ALS、認知的機能障害、年齢関連認知低下、AD、PD、発作、ハンチントン舞踏病およびTBIを治療するために中枢ムスカリンおよびニコチン両受容体を刺激するためにムスカリン様アゴニストと併せて;例えば、ALS、認知的機能障害、年齢関連認知低下、AD、PD発作、ハンチントン舞踏病およびTBIを治療するためにコリン作動性増強を最大にするためにNGFなどの神経栄養因子と併せて;あるいは、認知改善薬、アミロイド凝集阻害剤、セクレターゼ阻害剤、タウキナーゼ阻害剤、ニューロン抗炎症剤およびエストロゲン様療法などADを遅らせるまたは抑える薬剤と併せて、使用することもできる。
【0004】
ニューロンニコチン受容体部位に結合する他の化合物は、1997年11月4日出願の米国特許出願第08/963,852号、および1997年12月31日出願の米国仮特許出願第60/070,245号で参照される。前述の出願のどちらも本出願の権利者が所有しており、どちらもその全体を参照により本明細書に組み込む。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式I
【0006】
【化1】

[式中、Rは、水素、(C〜C)アルキル、またはベンジルであり、
Rは、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、シアノ、アリール(前記アリールは、フェニルおよびナフチルから選択される)、ヘテロアリール(前記ヘテロアリールは、酸素、窒素およびイオウから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜7員までの芳香環から選択される)、−SO(C〜C)アルキルまたは−SO(C〜C)アリール(式中、qは、0、1または2である)、(C〜C)アルキルアミノ−、[(C〜C)アルキル]アミノ−、−CO、−CONR、−SONR、−C(=O)R、−XC(=O)R(式中、Xは、(C〜C)アルキレンである)、アリール−(C〜C)アルキル−またはアリール−(C〜C)アルキル−O−、ヘテロアリール−(C〜C)アルキル−またはヘテロアリール−(C〜C)アルキル−O−、およびX(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル−(式中、Xは、不在であり、あるいはXは、(C〜C)アルキルアミノ−または[(C〜C)アルキル]アミノ−である)であり、前記X(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル−の(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル−部分は、少なくとも1個の炭素原子を含み、前記(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル−部分の1〜3個の炭素原子は、酸素、窒素またはイオウ原子と置換されていてもよく、ただし、任意の2個のかかるヘテロ原子は、少なくとも2個の炭素原子で隔てられていなければならず、前記(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル−のアルキル部分のいずれも、2〜7個のフッ素原子で置換されていてもよく、前記アリール−(C〜C)アルキル−および前記ヘテロアリール−(C〜C)アルキル−のそれぞれのアルキル部分の炭素原子のうちの1つは、酸素、窒素またはイオウ原子と置換されていてもよく、前述のアリールおよびヘテロアリール基はそれぞれ、1〜7個のフッ素原子で置換されていてもよい(C〜C)アルキル、2〜7個のフッ素原子で置換されていてもよい(C〜C)アルコキシ、クロロ、フルオロ、ブロモおよびヨードから選択されたハロ、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、(C〜C)アルキルアミノ−、[(C〜C)アルキル]アミノ−、−CO、−CONR、−SONR、−C(=O)Rおよび−XC(=O)Rからそれぞれ独立に選択された1個または複数の置換基、好ましくは0〜2個の置換基で置換されていてもよく、
各R、R、R、R、RおよびRは、水素および(C〜C)アルキルからそれぞれ独立に選択され、あるいはRおよびR、またはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒に、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、アゼチジン、ピペリジン、−N−(C〜C)アルキルピペリジンまたはチオモルホリン環、あるいは環イオウがスルホキシドもしくはスルホンで置換されているチオモルホリン環を形成し、
各Xは、それぞれ独立に、(C〜C)アルキレンであり、
nは、0〜2の整数である]
を有する縮合二環式ピロリジンピリドン化合物、またはこのような化合物の薬学的に許容できる塩に関する。
【0007】
別の態様では、本発明はまた、式中、Rがt−ブトキシカルボニル(t−Boc)、トリフルオロアセチル、CBz、FMOC、Bz、メチルおよびアセチルから選択された保護基である、式Iの化合物に関する。
【0008】
好ましい実施形態は、式中、Rが水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、CFO、アセチル、C(=O)R、ハロ、シアノ、フェニル、およびヘテロアリールであり、その場合前記ヘテロアリールがピリジル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリルまたはイソチアゾリルである、化合物を含む。
【0009】
特に指示がない限り、本明細書では、「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含む。
【0010】
特に指示がない限り、本明細書では、「アルキル」という用語は、直鎖状、分枝状または環状を含み、直鎖状かつ環状のアルキル部分および分枝状かつ環状の部分を含んでいてもよい。
【0011】
本明細書では、「アルコキシ」という用語は、式中、「アルキル」が上記の通りに定義される「アルキル−O−」を表す。
【0012】
本明細書では、「アルキレン」という用語は、式中、「アルキル」が上記の通りに定義される、利用可能な結合部位が2つあるアルキル基(すなわち、−アルキル−)を表す。
【0013】
「アルケニル」という用語は、エテニルおよびプロペニルなど、鎖に沿った任意の安定な点で生じ得る1つまたは複数の不飽和炭素−炭素結合を含む直鎖状または分枝状のどちらかの構造の炭化水素鎖を含むことを意図する。アルケニル基は、一般的に2〜約12個の炭素原子、より一般的に2〜約8個の炭素原子を有することになる。
【0014】
「アルキニル」という用語は、エチニルおよびプロピニルなど、鎖に沿った任意の安定な点で生じ得る1つまたは複数の三重炭素−炭素結合を含む直鎖状または分枝状のどちらかの構造の炭化水素鎖を含むものである。アルキニル基は、一般的に2〜約12個の炭素原子、より一般的に2〜約8個の炭素原子を有することになる。
【0015】
「アリール」という用語は、Huckelの理論によれば、環状、非局在化(4n+2)π電子系を有する基を含むものである。アリール基の例には、アレーンおよびそれらの置換産物、例えば、特にフェニル、ナフチルおよびトルイルがあるが、それだけには限定されない。
【0016】
「ヘテロアリール」という用語は、芳香族複素環基を含むものであり、特に、非限定的な例のチオフェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリルおよびイソチアゾリルを含む。
【0017】
特に指示がない限り、本明細書では、「1個または複数の置換基」という用語は、利用可能な結合部位の数に基づいて1から最大数の可能な置換基を意味する。
【0018】
式Iの化合物は、キラル中心を有していてよく、したがって異なる鏡像異性構造で生じ得る。本発明は、かかる式Iの化合物の全ての鏡像異性体、構造上許容できるジアステレオ異性体、および他の立体異性体、ならびにそのラセミおよび他の混合物を含む。
【0019】
本発明はまた、ニコチン嗜癖を減らす、またはタバコ使用の休止もしくは低減を助けるのに有効なある量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩および薬学的に許容できる担体を含む、ヒトを含む哺乳動物のニコチン嗜癖を減らす、またはタバコ使用の休止もしくは低減を助けるのに使用する医薬組成物に関する。
【0020】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物にニコチン嗜癖を減らす、またはタバコ使用の休止もしくは低減を助けるのに有効なある量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を投与することを含む、哺乳動物のニコチン嗜癖を減らす、またはタバコ使用の休止もしくは低減を助けるための方法に関する。
【0021】
本発明はまた、下記障害または症状を治療するのに有効なある量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を、下記治療を必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、壊疽性膿皮症およびクローン病を含むがそれだけには限定されない)、過敏性腸症候群、痙性失調、慢性疼痛、急性疼痛、セリアックスプルー、嚢炎、血管収縮、不安、パニック障害、うつ病、双極性障害、自閉症、睡眠障害、時差ぼけ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、認知的機能障害、高血圧、大食症、拒食症、肥満、心不整脈、胃酸分泌過多、潰瘍、褐色細胞腫、進行性筋肉上性麻痺、薬物依存および嗜癖(例えば、ニコチン(および/またはタバコ製品)、アルコール、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、オピオイドもしくはコカインへの依存、または嗜癖)、頭痛、発作、外傷性脳損傷(TBI)、精神病、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジア、運動過剰症、失読症、精神分裂病、多発脳梗塞性認知症、年齢関連認知低下、小発作性欠神てんかんを含むてんかん、アルツハイマー型の老人性認知症(AD)、パーキンソン病(PD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)およびトゥーレット症候群から選択される障害または症状を治療する方法に関する。
【0022】
本発明はまた、ある量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩、および薬学的に許容できる担体を含む、哺乳動物の炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、壊疽性膿皮症およびクローン病を含むがそれだけには限定されない)、過敏性腸症候群、痙性失調、慢性疼痛、急性疼痛、セリアックスプルー、嚢炎、血管収縮、不安、パニック障害、うつ病、双極性障害、自閉症、睡眠障害、時差ぼけ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、認知的機能障害、高血圧、大食症、拒食症、肥満、心不整脈、胃酸分泌過多、潰瘍、褐色細胞腫、進行性筋肉上性麻痺、薬物依存および嗜癖(例えば、ニコチン(および/またはタバコ製品)、アルコール、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、オピオイドもしくはコカインへの依存、または嗜癖)、頭痛、発作、外傷性脳損傷(TBI)、精神病、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジア、運動過剰症、失読症、精神分裂病、多発脳梗塞性認知症、年齢関連認知低下、小発作性欠神てんかんを含むてんかん、アルツハイマー型の老人性認知症(AD)、パーキンソン病(PD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)およびトゥーレット症候群から選択される障害または症状を治療するための医薬組成物に関する。
【0023】
本発明はまた、式Iの化合物の薬学的に許容できる酸付加塩に関する。式Iの化合物の薬学的に許容できる酸付加塩の例は、塩酸、p−トルエンスルホン酸、フマル酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、酢酸、マレイン酸、サリチル酸、シュウ酸、臭化水素酸、リン酸、メタンスルホン酸、酒石酸、マレート、ジ−p−トルオイル酒石酸、およびマンデル酸の塩である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
式Iの化合物は、スキーム1〜4の方法に従って調製することができる。他に記載がない場合、反応スキームおよびそれに続く考察中のRおよびRからRは、上記の通りに定義される。特に記載がない限り、反応条件には、窒素またはアルゴンなど当技術分野で一般に使用される不活性雰囲気が含まれる。
【0025】
【化2】

【0026】
【化3】

【0027】
【化4】

【0028】
【化5】

【0029】
【化6】

【0030】
スキーム1は、式XIIおよびXIIIの化合物からの、式IまたはIaの化合物の調製に使用する前駆化合物Xの調製に言及する。化合物XIIおよびXIIIは、市販されており、あるいは当業者によく知られている方法によって調製することができる。
【0031】
スキーム1のステップ1では、約80℃〜約90℃、好ましくはトリエチルアミンの還流温度付近で約1.5時間〜約3.5時間、好ましくは約2.5時間、式XIIIの化合物を(トリアルキルシリル)アセチレン、好ましくは(トリメチルシリル)アセチレン(式XII)で、第3級アルキルアミン溶媒、好ましくはトリエチルアミン中での触媒量のPdCl(PhP)とハロゲン化CuIの混合物を用いて処理することによって式XIIIの化合物のハロ基をトリアルキルシラニルエチニル基で置換することにより、式XIの化合物を調製する。このプロセスは、BrではなくIを有する化合物を用いて実施してもよい。使用できる他の触媒には、PdCl、Pd(OAc)、Pd(dppf)Cl、Pd(dppe)Cl、Pd/C、およびPd(PPhがある。
【0032】
スキーム1のステップ2では、好ましくは約−78℃でアルキルリチウムハロゲン化リチウム複合体をゆっくり加え、次いで約10分〜約3時間約0℃まで温めることによって、約−80℃〜約0℃の温度で、反応不活性溶媒、好ましくはジエチルエーテル、ジオキサンまたはテトラヒドロフラン(THF)などのエーテル溶媒、最も好ましくはTHF中で、式XIの化合物を、ハロゲン化リチウムと複合体を形成したアルキルリチウム、好ましくは臭化リチウムと複合体を形成したメチルリチウムで処理することにより、式Xの化合物を調製する。次いで反応混合物を約−10℃〜約−30℃、好ましくは約−20℃まで冷却し、ほぼ当量のハロギ酸アルキル、好ましくはクロロギ酸メチルでクエンチし、次いで室温まで温める。
【0033】
スキーム2は、式IXの化合物からの式IまたはIaの化合物の調製に使用する前駆化合物VIIIの調製に言及する。化合物IXは、市販されており、あるいは当業者によく知られている方法によって調製することができる。式VIIIの化合物は、約−10℃〜約10℃、好ましくは約0℃の温度で約5〜約25分、好ましくは約10分間、式IXの化合物をホルムアルデヒドで処理し、次いでメタノール、それに続き過剰のアルカリ金属炭酸塩、好ましくは炭酸カリウムで処理し、約0.5〜約2時間、好ましくは約1時間撹拌し、次いで液相を分離することによって調製することができる。別のアルカリ金属炭酸塩、好ましくは炭酸カリウムを液相に加え、反応混合物を室温で最長約72時間まで撹拌して反応が確実に完全になるようにしてもよい。
【0034】
スキーム3は、式中n=0の式Iの化合物の調製に言及する。スキーム3のステップ1では、クロロホルム、ジクロロエタン(DCE)または塩化メチレンなどの塩素化炭化水素溶媒、好ましくは塩化メチレン中で式Xの化合物と式VIIIの化合物を混合することによって、式Xの化合物と式VIIIの化合物から化合物Iの前駆体である式VIIの化合物を調製する。撹拌した混合物を約−5℃〜約5℃、好ましくは約0℃まで冷却し、次いでクロロホルム、ジクロロエタン(DCE)または塩化メチレンなどの塩素化炭化水素溶媒、好ましくは塩化メチレン中でトリフルオロ酢酸(TFA)を用いて処理し、約−5℃〜約5℃、好ましくは約0℃で約10分〜約30分、好ましくは約20分間保持する。次いでこの混合物を室温まで温め、約1時間〜約3時間、好ましくは約2時間撹拌する。
【0035】
スキーム3のステップ2では、好ましくは当業者によく知られている標準的な技術を用いた接触水素化によって、式VIIの化合物の二重結合を還元することにより式VIの化合物を調製する。例えば、二重結合の還元は、Catalytic Hydrogenation in Organic Synthesis、Paul Rylander、Academic Press Inc.、San Diego、1979年、31〜63頁に記載されている通りに、約1〜約5気圧の圧力および約10℃〜約60℃の温度で、メタノール、エタノール、THF、ジオキサンまたは酢酸エチルなどの適切な溶媒中、炭素上パラジウム(Pd/C)、硫酸バリウム上パラジウム(Pd/BaSO)、水酸化パラジウム、炭素上白金(Pt/C)、または塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)などの触媒を用いて水素ガス(H)で行うことができる。以下の条件:約30psi〜約50psi、好ましくは約40psiおよび約20℃〜約25℃で約1.5時間〜約2.5時間、好ましくは約2時間の、水酸化パラジウム/活性炭触媒の存在下におけるメタノール中での水素化が好ましい。
【0036】
スキーム3のステップ3では、約−10℃〜約10℃、好ましくは約0℃で約1時間〜約2時間、好ましくは約1.5時間、ジエチルエーテル、ジオキサンまたはTHFなどの適当な溶媒、好ましくはジエチルエーテル中で、水素化物還元剤、好ましくは水素化アルミニウムリチウムを用いて式VIの化合物のエステル基をメチレンヒドロキシ基に還元することによって式Vの化合物を調製する。他の可能な水素化物還元剤には、水素化ホウ素リチウム、Dibal−H(商標)、Red−AI(商標)、およびVitride(商標)がある。
【0037】
スキーム3のステップ4では、乾燥反応不活性溶媒中で第3級アミン、好ましくはヒンダード第3級アルキルアミンおよびハロゲン化スルホニルアルキルまたはアリールを用いて式Vの化合物を処理して、式IVの化合物によって例示された中間スルホン酸エステルを形成させ、次いでそれが環化して式IIIの化合物になることにより式IIIの化合物を調製する。適当な溶媒には、クロロホルム、ジクロロエタン(DCE)または塩化メチレン、あるいは他の塩素化炭化水素溶媒があり、塩化メチレンが好ましい。適当な第3級アミンには、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルアミノピリジンおよびN,Nジイソプロピルエチルアミンがあり、N,Nジイソプロピルエチルアミンなどのヒンダード第3級アルキルアミンが好ましい。適当なスルホニルハライドには、塩化トルエンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニルおよび塩化メチルスルホニルがあり、塩化メチルスルホニルが好ましい。式Vの化合物、第3級アミンおよび溶媒の混合物にスルホニルハライドを加える前述の反応の温度は、約30分〜約2時間、好ましくは約1時間、約−10℃〜約10℃の範囲、好ましくは約0℃である。次いで反応混合物を約15℃〜約30℃、好ましくは約20℃〜約25℃まで温め、約3時間〜約24時間、好ましくは約16時間撹拌する。
【0038】
スキーム3のステップ5では、ジ−第三ブチルジカーボネート(Boc無水物)の存在下における式IIIの化合物の接触水素化によって、保護ベンジル基を除去し、それをt−BOC基と置換して式IIの化合物を調製する。接触水素化による保護ベンジル基の除去に適した触媒、溶媒および反応条件は、当業者によく知られている。好ましい条件は、以下の通りである。活性炭上水酸化パラジウム、メタノール溶媒、約30psi〜約60psi、より好ましくは約45psiおよび約25℃〜約75℃、より好ましくは50℃で約30分〜約2.5時間、より好ましくは約1時間。
【0039】
スキーム3のステップ6では、Boc保護基の除去のために当技術分野で既知の手順に従って、溶媒中、酸を用いて式IIの化合物の溶液を処理して、式中n=0の式Iの化合物を生成する。適当な酸には、強有機酸または鉱酸があり、HClが好ましい。適当な溶媒には、メタノール、エタノール、1もしくは2プロパノールなどの低級アルキルアルコール溶媒、酢酸メチル、エチルもしくはブチルなどのエステル、またはTHF、ジオキサンなどのエーテル、またはその混合物があり、式IIの化合物にはメタノールと酢酸エチルの混合物、HClにはメタノールが好ましい。前述の反応の温度は、約3時間〜約18時間、好ましくは約16時間、約15℃〜約30℃、好ましくは約20℃〜約25℃である。反応が確実に完全になるように、追加量の酸、好ましくはHClをこの時間の終わりに加え、反応混合物を約40℃〜約60℃、好ましくは50℃に約2時間〜約6時間、好ましくは約4時間加熱する。標準的な手順の後、式Iの化合物を塩、好ましくは塩酸塩として単離する。
【0040】
スキーム4は、スキーム4中で1aと名付けられた式中n=1の式Iの化合物の調製に言及する。スキーム4のステップ1では、式XIVの化合物は、適当な溶媒中で反応性メチレン化合物を用いて式VIIの化合物を処理して、化合物VIIの二重結合をシクロプロパン橋に転換することによって調製する。適当な反応性メチレン化合物には、トリフェニルホスホニウムイリド、ジメチルスルホキソニウムイリドおよびジアゾメタンなどのイリドがあり、当業者によく知られている標準的な技術を用いて調製したジメチルスルホキソニウムイリドが好ましい。適当な溶媒には、THF、ジエチルエーテルおよびジオキサンがあり、THFが好ましい。前述の反応の温度は、約1時間〜約2時間、好ましくは約1.5時間、約15℃〜約30℃、好ましくは約20℃〜約25℃である。
【0041】
スキーム4のステップ2では、約−10℃〜約10℃、好ましくは約0℃で、約1時間〜約2時間、好ましくは約1.5時間、ジエチルエーテル、ジオキサンまたはTHFなどの適当な溶媒、好ましくはジエチルエーテル中で、水素化物還元剤、好ましくは水素化アルミニウムリチウムを用いて式XIVの化合物のエステル基をメチレンヒドロキシ基に還元することによって式XVの化合物を調製する。反応に有用な他の還元剤には、水素化ホウ素リチウム、Dibal−H(商標)、Red−AI(商標)、およびVitride(商標)がある。
【0042】
スキーム4のステップ3では、ジ−第三ブチルジカーボネート(Boc無水物)の存在下における式XVの化合物の接触水素化によって、保護ベンジル基を除去し、それをt−BOC基と置換して式XVIの化合物を調製する。接触水素化による保護ベンジル基の除去に適した触媒、溶媒および反応条件は、当業者によく知られている。好ましい条件は、以下の通りである。活性炭上水酸化パラジウム、メタノール溶媒、約30psi〜約60psi、より好ましくは約45psiおよび約25℃〜約75℃、より好ましくは50℃で約30分〜約2.5時間、より好ましくは約1時間。
【0043】
スキーム4のステップ4では、乾燥反応不活性溶媒中で第3級アミン、好ましくはヒンダード第3級アルキルアミンおよびハロゲン化スルホニルアルキルまたはアリールを用いて式XVIの化合物を処理して、式XVIIの化合物によって例示された中間スルホン酸エステルを形成させ、次いでそれが環化して式XVIIIの化合物になることにより式XVIIIの化合物を調製する。適当な溶媒には、クロロホルム、ジクロロエタン(DCE)または塩化メチレン、あるいは他の塩素化炭化水素溶媒があり、塩化メチレンが好ましい。適当な第3級アミンには、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルアミノピリジンおよびN,Nジイソプロピルエチルアミンがあり、N,Nジイソプロピルエチルアミンなどのヒンダード第3級アルキルアミンが好ましい。適当なスルホニルハライドには、塩化トルエンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニルおよび塩化メチルスルホニルがあり、塩化メチルスルホニルが好ましい。式Vの化合物、第3級アミンおよび溶媒の混合物にスルホニルハライドを加える前述の反応の温度は、約30分〜約2時間、好ましくは約1時間、約−10℃〜約10℃の範囲、好ましくは約0℃である。次いで反応混合物を約15℃〜約30℃、好ましくは約20℃〜約25℃まで温め、約3時間〜約24時間、好ましくは約16時間撹拌する。
【0044】
スキーム4のステップ5では、Boc保護基の除去のために当技術分野で既知の手順に従って、溶媒中で酸を用いて式XVIIIの化合物の溶液を処理して、式Ibの化合物を生成する(式中n=1の化合物I)。適当な酸には、強有機または鉱酸があり、HClが好ましい。適当な溶媒には、メタノール、エタノール、1もしくは2プロパノールなどの低級アルキルアルコール溶媒、酢酸メチル、エチルもしくはブチルなどのエステル、またはTHF、ジオキサンなどのエーテル、ヘキサンなどの低級アルキル炭化水素溶媒、またはその混合物があり、式XVIIIの化合物にはヘキサンと酢酸エチルの混合物、HClにはメタノールが好ましい。前述の反応の温度は、約3時間〜約18時間、好ましくは約16時間、約15℃〜約30℃、好ましくは約20℃〜約25℃である。反応が確実に完全になるように、追加量の酸、好ましくはHClをこの時間の終わりに加え、反応混合物を約40℃〜約60℃、好ましくは50℃に約2時間〜約6時間、好ましくは約4時間加熱する。標準的な手順の後、式Ibの化合物を塩、好ましくは塩酸塩として単離する。
【0045】
スキーム5は、式中n=2の本発明の化合物をどのようにして調製するかを示す。反応条件は、当技術分野で既知の類似の[2+2]光付加環化に基づいて容易に決定される。Lo,P.ら、Org.Lett.、3、2819(2001);Crimmins,M.T.、ら、Tetrahedron Lett.、35、1657〜60(1994);Herzog.H.、ら、Tetrahedron、42、3547〜58(1986);Tobe,Y.、ら、Tetrahedron Lett.、27、2905〜06(1986)。
【0046】
式中Rが(C〜C)アルキルまたはベンジルの式Iの化合物は、式IaおよびIbの化合物をハロゲン化(C〜C)アルキルで処理することによって、またハロゲン化ベンジルは、当技術分野でよく知られている方法によって生成することができる。
【0047】
上で論じた、または上記のスキーム1〜4で例示したそれぞれの反応において、特に指示がない限り圧力は重要ではない。約0.5気圧〜約5気圧の圧力が一般に許容でき、便宜上、周囲圧力、すなわち約1気圧が好ましい。
【0048】
式Iの化合物およびそれらの薬学的に許容できる塩(以下「活性化合物」)は、経口、経皮(例えば、パッチの使用によって)、鼻腔内、舌下、直腸、非経口または局所経路のいずれかによって投与することができる。経皮および経口投与が好ましい。これらの化合物は、1回または分割量で1日当り約0.25mg〜約1500mg以下、好ましくは1日当り約0.25〜約300mgの投与量で投与することが最も望ましいが、治療対象の体重および症状ならびに選択した特定の投与経路に応じて変更が必ず発生するはずである。しかし、1日当り体重1kg当り約0.01mg〜約10mgの範囲の投与量レベルが最も望ましく使用されている。それにもかかわらず、変更は、治療対象の人々の体重および症状と彼らの個々の前記医薬品への反応、ならびに選択した医薬製剤のタイプとこのような投与を実施する期間および間隔に応じて変更は発生し得る。場合によっては、前述の範囲の下限値より低い投与量レベルで十二分なこともあるが、別の場合では、依然としてどんな有害な副作用も引き起こさずにより大きい用量を使用でき、ただし、こうしたより大きい用量は、1日を通して投与するために最初にいくつかの少ない用量に分割される。
【0049】
活性化合物は、既に記載したいくつかの経路のいずれかによって単独でまたは薬学的に許容できる担体もしくは希釈剤と併せて投与することができる。より具体的には、活性化合物は、多種多様な異なる剤形で投与でき、例えば、これらは、錠剤、カプセル剤、経皮パッチ、ロゼンジ、トローチ、硬質キャンディ、散剤、スプレー剤、クリーム剤、軟膏、坐剤、ゼリー剤、ゲル剤、ペースト剤、ローション剤、軟膏剤、水性懸濁剤、注射用液剤、エリキシル剤、シロップ剤などの形態で種々の薬学的に許容できる不活性担体と併せることができる。こうした担体には、固体希釈剤または充填剤、無菌の水性媒質および種々の非毒性有機溶媒がある。さらに、経口医薬組成物は、適切に甘みおよび/または風味を付けることができる。一般に、活性化合物は、こうした剤形中に約5.0重量%〜約70重量%の範囲の濃度レベルで存在する。
【0050】
経口投与の場合、微結晶性セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムおよびグリシンなど種々の賦形剤を含有する錠剤を、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムのような造粒結合剤と共に、デンプン(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカデンプン)、アルギン酸およびいくつかの複合ケイ酸塩など種々の崩壊剤と一緒に使用することができる。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなどの滑剤を、製錠目的に使用することができる。同様のタイプの固体組成物を、ゼラチンカプセル剤中の充填剤として用いることもでき;これに関連して好ましい物質には、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどもある。水性懸濁剤および/またはエリキシル剤が経口投与に望ましい場合には、有効成分を種々の甘味剤または矯味剤、着色剤と併用でき、必要に応じて、乳化剤および/または懸濁化剤も、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびその種々の組合せのような希釈剤と共に併用することができる。
【0051】
非経口投与の場合、ゴマまたは落花生油中、あるいは水性プロピレングリコール中の活性化合物の溶液を使用することができる。水溶液は、必要に応じて適切に緩衝しなければならず(好ましくはpH8超)、液体希釈剤は、最初に等張性にしなければならない。これらの水溶液は、静脈内注射目的に適している。油性液剤は、関節内、筋肉内および皮下注射目的に適している。無菌条件下でのこれら全ての液剤の調製は、当業者によく知られている標準的な製剤技術によって容易に実施することができる。
【0052】
活性化合物を局所的に投与することも可能であり、これは、標準的な製剤上の慣行に従って、クリーム剤、パッチ、ゼリー剤、ゲル剤、ペースト剤、軟膏剤などによって行うことができる。
【0053】
生物学的アッセイ
特異的受容体部位に結合するニコチンを抑制する際の活性化合物の有効性は、Lippiello,P.M.およびFernandes,K.G.(The Binding of L−[H]Nicotine To A Single Class of High−Affinity Sites in Rat Brain Membranes、Molecular Pharm.、29、448〜54、(1986)中)ならびにAnderson,D.J.およびArneric,S.P.(Nicotinic Receptor Binding of H−Cystisine,H−Nicotine and H−Methylcarmbamylcholine In Rat Brain、European J.Pharm.、253、261〜67(1994)中)の方法の変更形態である、以下の手順によって決定する。
【0054】
手順
Charles Riverが提供した雄スプラーグドーリーラット(200〜300g)を、つり下げたステンレス鋼線のケージ中にグループで入れ、12時間の明/暗サイクル(午前7時〜午後7時明期)で保持した。それらには、標準的なPurina Rat Chowおよび水を自由に与えた。
【0055】
ラットは、断頭によって殺した。断頭後すぐに脳を取り出した。いくつか変更を行ったLippielloおよびFernandez(Molec Pharmacol、29、448〜454、(1986)の方法に従って、脳組織から膜を調製した。全脳を取り出し、氷冷緩衝液ですすぎ、10倍の体積量の緩衝液(w/v)中0℃で30秒間、Brinkmann Polytron(商標)、設定6を用いてホモジナイズした。緩衝液は、室温でpH7.5の50mMトリスHClからなっていた。ホモジネートを遠心分離によって沈殿させた(10分;50,000×g;0〜4℃)。上清を注ぎ出し、膜をPolytronで穏やかに再懸濁し、再度遠心分離した(10分;50,000×g;0〜4℃)。2回目の遠心分離の後、膜を1.0g/100mLの濃度でアッセイ緩衝液中に再懸濁した。標準的なアッセイ緩衝液の組成は、50mMトリスHCl、120mM NaCl、5mM KCl、2mM MgCl、2mM CaClであり、室温でpH7.4であった。
【0056】
ルーチンアッセイをホウケイ酸ガラス試験管中で行った。アッセイ混合物は通常、最終インキュベーション体積1.0mL中に膜タンパク質0.9mgからなっていた。各組の管にそれぞれ50μLのビヒクル、ブランク、または試験化合物溶液が含まれる、三組の管を準備した。各管に、アッセイ緩衝液に溶かした[H]−ニコチン200μL、続いて膜懸濁液750μLを加えた。各管中のニコチンの最終濃度は、0.9nMであった。ブランク中のシチシンの最終濃度は、1μMであった。ビヒクルは、水50mL当り1N酢酸30μLを含有する脱イオン水からなっていた。試験化合物およびシチシンをビヒクル中に溶解させた。膜懸濁液を管に加えた後にボルテックスすることによってアッセイを開始した。氷で冷やした振盪水浴中で試料を0〜4℃でインキュベートした。Brandel(商標)マルチマニホールド組織ハーベスターを用いて、Whatman GF/B(商標)ガラス繊維フィルターに通した真空下の急速なろ過によって、インキュベーションを終了した。アッセイ混合物の最初のろ過後に、フィルターを氷冷アッセイ緩衝液(各5m)で2回洗浄した。次いでフィルターを計数バイアルに入れ、Ready Safe(商標)(Beckman)20mlと一緒に強烈に混合してから放射能を定量化した。試料を、40〜50%効率でLKB Wallach Rackbeta(商標)液体シンチレーションカウンター中で計算した。全ての測定は三通り行った。
【0057】
計算
膜への特異的結合(C)は、ビヒクルのみおよび膜を含有する試料の全結合(A)と膜およびシチシンを含有する試料の非特異的結合(B)との差、すなわち、
特異的結合=(C)=(A)−(B)
である。
【0058】
試験化合物の存在下における特異的結合(E)は、試験化合物の存在下における全結合(D)と非特異的結合(B)の差、すなわち、(E)=(D)−(B)である。
阻害%=(1−((E)/(C))×100。
【0059】
上記アッセイで試験した本発明の化合物は、9μM未満および1μM超のIC50値を示した。
【0060】
以下の実験例は、本発明の範囲を例示しているが、限定するものではない。
【実施例】
【0061】
(実施例1)
1,2,3,3a,8,8a−ヘキサヒドロ−2,7a−ジアザ−シクロペンタ[a]インデン−7−オン(塩酸塩)
A)2−メトキシ−6−トリメチルシラニルエチニル−ピリジン
コンデンサーおよび窒素注入口を備えた300mL三つ口丸底フラスコに、2−ブロモ−6−メトキシピリジン5g(26.6mmol)、(トリメチルシリル)アセチレン4.2g(42.9mmol)、およびトリエチルアミン120mLを加えた。上記溶液をPdCl(PhP) 479mg(0.685mmol)で処理し、続いてCuI 235mg(1.26mmol)を加えた。次いで反応混合物を還流させながら2.5時間加熱し、次いで室温まで冷ました。反応混合物を珪藻土に通してろ過し、溶媒を蒸発させた。20%塩化メチレン/ヘキサンで溶離するフラッシュ40クロマトグラフィー(40−L)により、黄色油として生成物4.42g、81%を生じた。質量スペクトル(APCI)m/e 206 p+1。H NMR(CDCl,400MHz)_7.47(dd,J=7.1Hz,7.5Hz,J=18.5Hz,1H)、7.05(d,J=7.1Hz,1H)、6.65(d,J=7.5Hz,1H)、3.91(s,3H)、0.235(s,9H)ppm。
【0062】
B)3−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−プロプ−2−イン酸メチルエステル
窒素下で1000mL丸底フラスコに、2−メトキシ−6−トリメチルシラニルエチニル−ピリジン30.1g(151mmol)およびTHF 450mLを加えた。反応混合物を−78℃まで冷却し、ジエチルエーテル中1.5M溶液の臭化リチウムと複合体を形成したメチルリチウム105mL(158mmol)を1滴ずつ加えて処理した。反応混合物を0℃まで温め、次いで−20℃まで冷却し、そのポイントでクロロギ酸メチル11.7mL(151mmol)を用いてクエンチした。反応混合物を室温まで温め、次いで重炭酸ナトリウムと酢酸エチルの飽和溶液の間で分割した。硫酸ナトリウムを用いて反応を乾燥させ、溶媒を蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィーにより、黄色固体18.39g(96.2mmol)、64%を得た。質量スペクトル(APCI)m/e 192 p+1。H NMR(CDCl,400MHz)_7.53(dd,J1=7.1Hz,7.5Hz,J=8.2Hz,1H)、7.17(d,J=7.47Hz,1H)、6.78(d,J=7.8Hz,1H)、3.91(s,3H)、3.82(s,3H)ppm。
【0063】
C)ベンジル−メトキシメチル−トリメチルシラニルメチル−アミン
300mL丸底フラスコに、30重量パーセントホルムアルデヒド57.2g(698mmol)を入れ、それを0℃まで冷却した。冷ホルムアルデヒドに、ベンジル−メトキシメチル−トリメチルシラニルメチル−アミン89.92g(485mmol)を加えた。10分後、メタノール60mLを1滴ずつ加え、続いて過剰な炭酸カリウム(105g)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで液相を分離した。液相(20g)により多くの炭酸カリウムを加え、反応混合物を室温で72時間撹拌させておいた。反応混合物をろ過し、過剰メタノールを蒸発させた。減圧蒸留によって液体を精製して、透明な液体51.3g(216mmol)、69%を得た。質量スペクトル(APCI)m/e 238 p+1。H NMR(CDCl,400MHz)_7.34〜7.30(m,5H)、4.01(s,2H)、3.77(s,2H)、3.19(s,3H)、2.19(s,2H)、0.054(s,9H)ppm。
【0064】
D)1−ベンジル−4−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル
15mL丸底フラスコに、3−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−プロプ−2−イン酸メチルエステル205mg(1.07mmol)、ベンジル−メトキシメチル−トリメチルシラニルメチル−アミン305mg(1.29mmol)および塩化メチレン5mLを加えた。この溶液を0℃まで冷却した。0℃で、1M TFAの塩化メチレン溶液107マイクロリットルを反応混合物に加えた。反応混合物を0℃で20分間撹拌させておき、氷浴を取り外し、溶液を室温まで温めた。溶液を室温で2時間撹拌し、次いで溶媒を蒸発させた。20%酢酸エチル/ヘキサンを用いてフラッシュクロマトグラフィーを行って、黄色油295mg(1.10mmol)、85%を生じた。質量スペクトル(APCI)m/e 325 p+1。H NMR(CDCl,400MHz)_7.54(t,J=8.3Hz,1H)、7.40〜7.25(m,6H)6.66(d,J=8.3Hz,1H)、4.08(t,2H)、3.90(t,2H)、3.86(s,5H)、3.71(s,3H)ppm。
【0065】
E)1−ベンジル−4−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−ピロリジン−3−カルボン酸メチルエステル
150mLparrフラスコに、メタノール5mLに溶解させた1−ベンジル−4−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル1.21g(3.75mmol)を入れた。このフラスコに、20重量パーセント活性炭上水酸化パラジウム245mgを加えた。反応混合物をParr装置上に置き、フラスコからのガスをパージし、反応混合物を40psiの水素に2時間暴露した。20%〜50%EtOAc/ヘキサンを用いてフラッシュクロマトグラフィーを行って、黄色油504mg(0.647mmol)、41%を生じた。質量スペクトル(APCI)m/e 327 p+1。H NMR(CDCl,400MHz)_7.40(dd,J1=7.5Hz,J2=7.1Hz,1H)、7.33〜7.19(m,5H)、6.67(dd,J=7.0Hz,1H)、3.84(s,3H)、3.75〜3.68(m,3H)、3.42(dd,J=2.1Hz,J=2.9Hz,1H)、3.26〜3.19(m,3H)、3.23(s,3H)、3.00(t,J=9.1Hz,1H)、2.70(t,J=8.7Hz,1H)ppm。
【0066】
F)[1−ベンジル−4−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−ピロリジン−3−イル]−メタノール
10mL丸底フラスコに、1−ベンジル−4−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−ピロリジン−3−カルボン酸メチルエステル203mg(0.622mmol)およびエチルエーテル3mLを加えた。この溶液を0℃まで冷却し、1M水素化アルミニウムリチウムのエチルエーテル溶液996マイクロリットルで処理した。この溶液を0℃で1.5時間撹拌し、次いでエーテル中に珪藻土と1:1で混合した硫酸ナトリウム十水和物のスラリーで処理した。次いで混合物を珪藻土に通してろ過し、溶媒を蒸発させた。粗製の反応混合物を、0.5%水酸化アンモニウム/10%メタノール/ジクロロメタンで溶離するクロマトグラフィーによってシリカゲル上で分離して、黄色油、[1−ベンジル−4−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−ピロリジン−3−イル]−メタノール806mg(0.240mmol)、67%を生じた。質量スペクトル(APCI)m/e 299 p+1。H NMR(CDCl,400MHz)_7.5(dd,J=7.47Hz,J=8.3Hz,1H)、7.38〜7.21(m,6H)、6.90(d,J=7.1,1H)、6.59(d,J=8.3Hz,1H)、3.88(s,3H)、3.77(s,2H)、3.63〜3.59(m,1H)、3.42〜3.24(m,2H)、3.05〜2.97(m,3H)、2.77〜2.69(m,2H)ppm。
【0067】
G)2−ベンジル−1,2,3,3a,8,8a−ヘキサヒドロ−2,7a−ジアザ−シクロペンタ[a]インデン−7−オン
35mL丸底フラスコに、[1−ベンジル−4−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−ピロリジン−3−イル]−メタノール597mg(2.00mmol)およびジクロロメタン10mLを加えた。混合物を0℃まで冷却し、N,Nジイソプロピルエチルアミン1.03g(8.00mmol)で処理し、続いて塩化メタンスルホニル344mg(3.00mmol)を加えた。反応混合物を0℃で1h撹拌し、次いで室温まで温めた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次いで重炭酸ナトリウムとジクロロメタンの間で分割した。硫酸マグネシウムを用いて粗製の反応混合物を乾燥させ、溶媒を蒸発させた。5〜10%メタノール/酢酸エチルと一緒に用いてフラッシュクロマトグラフィーをシリカゲル上で行って、黄色油40mg(1.28mmol)、64%を得た。質量スペクトル(APCI)m/e 267 p+1。H NMR(CDCl,400MHz)_7.3(dd,1H)、7.25〜7.17(m,5H)、6.35,d,J=9.1Hz,1H)、6.00(d,J=7.1Hz,1H)、4.29(dd,J=9.1Hz,J=13.3Hz,1H)、3.95(dd,1H)、3.78(t,J=7.9Hz,1H)、3.60(d,J=12.9Hz,1H)、3.48(d,J=12.9Hz,1H)、3.02(m,1H)、3.54(d,J=9.1Hz,1H)、2.66(t,2H)、2.50(t,1H)ppm。
【0068】
H)7−オキソ−3a,7,8,8a−テトラヒドロ−1H,3H−2,7a−ジアザ−シクロペンタ[a]インデン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
150mL Parrフラスコに、メタノール3mLに溶解させた2−ベンジル−1,2,3,3a,8,8a−ヘキサヒドロ−2,7a−ジアザ−シクロペンタ[a]インデン−7−オン37.5mg(0.141mmol)を加えた。このフラスコに、20重量パーセント活性炭上水酸化パラジウム10mgおよびカルバミン酸ジ−tert−ブチル123mg(0.563mmol)を加えた。Parr装置上でフラスコをガスでパージし、反応混合物を45psiの水素に50℃で2時間暴露した。このポイントで取ったTLCから、反応が進んでいないことが示された。珪藻土を通して反応混合物をろ過し、上記量の活性炭上水酸化パラジウムおよびカルバミン酸ジ−tert−ブチルを再度加えた。反応混合物を上記の水素化条件に暴露した。1時間後に反応が完了した。珪藻土を通して反応混合物をろ過し、溶媒を蒸発させた。5%メタノール/ジクロロメタンで溶離するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより、定量的な収量を得た。質量スペクトル(APCI)m/e 277 p+1。H NMR(CDOD,400MHz)_7.55(dd,1H)、6.42(dd,2H)、4.20〜4.11(m,2H)、4.00(t,1H)、3.76〜3.70(m,3H)、3.31(s,不明瞭)、3.04(dd,J=6.6Hz,J=1.6Hz,1H)1.40(s,9H)ppm。
【0069】
I)1,2,3,3a,8,8a−ヘキサヒドロ−2,7a−ジアザ−シクロペンタ[a]インデン−7−オン(塩酸塩)
1ドラムバイアルに、20%メタノール/酢酸エチルに溶解させた7−オキソ−3a,7,8,8a−テトラヒドロ−1H,3H−2,7a−ジアザ−シクロペンタ[a]インデン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル18mg(0.065mmol)を加えた。反応混合物を1N HClのメタノール溶液2mLで処理し、室温で16時間撹拌した。1N HClを追加で1mL加え、反応混合物および反応混合物を50℃まで加熱した。4時間後、反応が完了した。溶媒を蒸発させて、定量的な収量の1,2,3,3a,8,8a−ヘキサヒドロ−2,7a−ジアザ−シクロペンタ[a]インデン−7−オン(塩酸塩)を得た。質量スペクトル(APCI)m/e 177 p+1。H NMR(CDOD,400MHz)_7.80(dd,J=7.5Hz,J=8.7Hz,1H)、7.81(d,J=7.5Hz,1H)、6.79(d,J=7.1Hz,1H)、4.48〜4.38(m,2H)、4.28(dd,1H)、3.73〜3.51(m,5H)、3.33(m,不明瞭,1H)ppm。
【0070】
(実施例2)
A)3−ベンジル−5−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸メチルエステル
ジメチルスルホキソニウムイリドの調製
100mL三つ口丸底フラスコに、塩化トリメチルスルホキソニウム5.00g(38.9mmol)およびTHF 38.9mLを加えた。溶液を窒素下に置き、次いで30重量パーセント水素化カリウム5.72g(42.8mmol)をフラスコに加えた。溶液を還流させながら4時間加熱し、次いでろ過した。THFですすぎを行わずに、イリドの約1M保存溶液を保持した。
【0071】
3−ベンジル−5−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸メチルエステルの調製
窒素下の50mL三つ口丸底フラスコに3−ベンジル−5−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸メチルエステル4.48g(13.8mmol)および1Mジメチルスルホキソニウムイリド溶液(上記)20mLを加えた。反応混合物を室温で1.5時間撹拌させておいた。反応混合物を水20mLで処理し、次いでエチルエーテルで抽出した。硫酸ナトリウムを用いて粗製油を乾燥させ、溶媒を蒸発させた。クロマトグラフィーを20%酢酸エチル/ヘキサンで溶離するフラッシュ40−Lで行って、3−ベンジル−5−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸メチルエステル2.86g(8.45mmol)、61%を得た。質量スペクトル(APCI)m/e 339 p+1。H NMR(CDOD,400MHz)_7.52(dd,1H)、7.31〜7.20(m,5H)、6.87(d,J=7.5Hz,1H)、6.56(d,J=7.9Hz,1H)、3.81(s,3H)、3.67(s,2H)、3.38(s,3H)、3.08〜2.97(m,4H)、1.94(d,J=4.1Hz,1H)、1.89(d,J=4.1Hz,1H)ppm。
【0072】
B)[3−ベンジル−5−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサ−1−イル]−メタノール
10mL丸底フラスコに、3−ベンジル−5−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸メチルエステル296mg(0.874mmol)およびエーテル3mLを加えた。溶液を0℃まで冷却し、1M水素化アルミニウムリチウムのジエチルエーテル溶液1.4mLで処理した。反応混合物を、エチルエーテル中硫酸ナトリウム十水和物:珪藻土が1:1のスラリーで処理した。珪藻土を通して粗製の反応混合物をろ過し、溶媒を蒸発させた。0.5%水酸化アンモニウム/5%メタノール/ジクロロメタンで溶離するフラッシュクロマトグラフィーをシリカゲル上で行って、アルコール258mg(1.20mmol)、95%を得た。質量スペクトル(AP)m/e 311 p+1。H NMR(CDCl,400MHz)_7.48(t,1H)、7.30〜7.19(m,5H)、6.86(d,J=0.83Hz,1H)、6.59(d,J=0.83Hz,1H)、3.93(d,J=12.4Hz,1H)、3.87(s,3H)、3.67(d,J=4.1,2H)、3.42(d,J=12.4Hz,1H)、3.17(d,J=8.3Hz,1H)、3.02(d,J=8.7Hz,1H)、2.84(d,J=8.7Hz,1H)、2.76(d,J=8.3Hz,1H)、1.68(d,J=3.7Hz,1H)、1.07(d,J=4.1Hz,1H)ppm。
【0073】
C)1−ヒドロキシメチル−5−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル:
150mL Parrフラスコに、メタノール10mLに溶解させた[3−ベンジル−5−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサ−1−イル]−メタノール59.0mg(0.190mmol)を活性炭上水酸化パラジウム(20wt%)14mgおよびカルバミン酸ジ−tert−ブチル166mg(0.76mmol)と合わせた。Parr水素化装置上でParrフラスコをガスでパージし、反応混合物を45psiの水素に50℃で暴露した。珪藻土を通して粗製の反応混合物をろ過し、溶媒を蒸発させた。30%酢酸エチル/ヘキサンで溶離するフラッシュクロマトグラフィーをシリカゲル上で行って、1−ヒドロキシメチル−5−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル56.9mg(0.178mmol)、94%を得た。質量スペクトル(AP)m/e 321 p+1。H NMR(CDCl,400MHz)_7.5(t,1H)、6.94(d,J=0.83Hz,1H)、6.93(d,J=0.83Hz,1H)、3.95〜3.90(m,不明瞭)、3.90(s,3H)、3.81(d,J=10.4Hz,2H)、3.68(d,J=10.7Hz,2H)、1.43(s,9H)、1.27(d,J=5.0,1H)、1.04(J=5.0,1H)ppm。
【0074】
D)環化BOC保護シクロプロパン:
5ml丸底フラスコに、1−ヒドロキシメチル−5−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル53.9mg(0.168mmol)およびジクロロメタン1.5mlを加えた。溶液を0℃まで冷却し、N,Nジイソプロピルエチルアミン117マイクロリットル(0.672mmol)、続いて塩化メタンスルホニル19.6マイクロリットル(0.253mmol)で処理した。反応を0℃で1h撹拌し、次いで室温まで温めた。反応を室温で16時間撹拌し、次いで飽和重炭酸ナトリウムと塩化メチレンの間で分割した。硫酸マグネシウムを用いて反応混合物を乾燥させ、溶媒を蒸発させた。2.5%MeOH/EtOAcで溶離するクロマトグラフィーをシリカゲル上で行って、所望の環化生成物39.8mg(0.138mmol)、82%を得た。質量スペクトル(APCI)m/e 289 p+1。7.51(t,1H)、6.35(t,1H)、6.39(d,J=8.7Hz,1H)、4.23(d,J=6.6Hz,2H)、3.90〜3.82(m,2H)、3.65〜3.53(m,2H)、1.49(d,J=5.8Hz,1H)、1.45(s,9H)、1.32(d,J=5.8Hz,1H)ppm。
【0075】
E)環化シクロプロパン(塩酸塩):
1ドラムバイアルに、酢酸エチル/ヘキサンの1:1混合物に溶解させた13mg、0.045mmolの基質を入れた。反応混合物を1N HClのメタノール溶液2mlで処理し、室温で16時間撹拌した。反応混合物に1N HClのメタノール溶液を追加で1mL加え、この溶液を50℃に加熱した。4時間後、反応が完了し、溶媒を蒸発させて、定量的な収量を得た。質量スペクトル(APCI)m/e 189 p+1。7.75(t,1H)、6.82(m,1H)、6.66(d,J=9.1,1H)、4.41(d,J=2.9Hz,2H)、3.81〜3.63(m,4H)、1.85(d,J=7.1Hz,1H)、1.63(d,J=7.1Hz,1H)ppm。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、Rは、水素、(C〜C)アルキル、またはベンジルであり、
Rは、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、シアノ、アリール(前記アリールは、フェニルおよびナフチルから選択される)、ヘテロアリール(前記ヘテロアリールは、酸素、窒素およびイオウから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜7員までの芳香環から選択される)、−SO(C〜C)アルキルまたは−SO(C〜C)アリール(式中、qは、0、1または2である)、(C〜C)アルキルアミノ−、[(C〜C)アルキル]アミノ−、−CO、−CONR、−SONR、−C(=O)R、−XC(=O)R(式中、Xは、(C〜C)アルキレンである)、アリール−(C〜C)アルキル−またはアリール−(C〜C)アルキル−O−、ヘテロアリール−(C〜C)アルキル−またはヘテロアリール−(C〜C)アルキル−O−、およびX(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル−(式中、Xは、不在であり、あるいはXは、(C〜C)アルキルアミノ−または[(C〜C)アルキル]アミノ−である)であり、前記X(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル−の(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル−部分は、少なくとも1個の炭素原子を含み、前記(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル−部分の1〜3個の炭素原子は、酸素、窒素またはイオウ原子と置換されていてもよく、ただし、任意の2個のかかるヘテロ原子は、少なくとも2個の炭素原子で隔てられていなければならず、前記(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル−のアルキル部分のいずれも、2〜7個のフッ素原子で置換されていてもよく、前記アリール−(C〜C)アルキル−および前記ヘテロアリール−(C〜C)アルキル−のそれぞれのアルキル部分の炭素原子のうちの1つは、酸素、窒素またはイオウ原子と置換されていてもよく、前述のアルケニル、アルキニルアリールおよびヘテロアリール基はそれぞれ、1〜7個のフッ素原子で置換されていてもよい(C〜C)アルキル、2〜7個のフッ素原子で置換されていてもよい(C〜C)アルコキシ、ハロ、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、(C〜C)アルキルアミノ−、[(C〜C)アルキル]アミノ−、−CO、−CONR、−SONR、−C(=O)Rおよび−XC(=O)Rからそれぞれ独立に選択された1個または複数の置換基で置換されていてもよく、
各R、R、R、R、RおよびRは、水素および(C〜C)アルキルからそれぞれ独立に選択され、あるいはRおよびR、またはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒に、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、アゼチジン、ピペリジン、−N−(C〜C)アルキルピペリジンまたはチオモルホリン環、あるいは環イオウがスルホキシドもしくはスルホンで置換されているチオモルホリン環を形成し、
各Xは、それぞれ独立に、(C〜C)アルキレンであり、
nは、0〜2の整数である]
を有する化合物、または前記化合物の薬学的に許容できる塩。
【請求項2】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rが、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、シアノ、フェニル、ナフチル、チオフェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリルまたはイソチアゾリルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
2−ベンジル−1,2,3,3a,8,8a−ヘキサヒドロ−2,7a−ジアザ−シクロペンタ[a]インデン−7−オン、
1,2,3,3a,8,8a−ヘキサヒドロ−2,7a−ジアザ−シクロペンタ[a]インデン−7−オン、
2,3−ジヒドロ−1H,6H−3a,9b−メタピロロ[3,4−a]インドリジン−6−オン、
2−ベンジル−2,3−ジヒドロ−1H,6H−3a,9b−メタピロロ[3,4−a]インドリジン−6−オンおよび
6−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H,6H−3a,9b−メタピロロ[3,4−a]インドリジン−2−カルボン酸t−ブチル
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
n、R、R、R、R、R、R、R、XおよびXが、請求項1で定義した通りであり、Rが、t−ブトキシカルボニル、トリフルオロアセチル、CBz、FMOC、Bz、メチルおよびアセチルからなる群から選択される保護基である、式Iを有する化合物。
【請求項6】
哺乳動物のニコチン嗜癖を減らす、またはタバコ使用の休止もしくは低減を助けるのに使用する医薬組成物であって、ニコチン嗜癖を減らす、またはタバコ使用の休止もしくは低減を助けるのに有効な量の請求項1に記載の化合物および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項7】
哺乳動物のニコチン嗜癖を減らす、またはタバコ使用の休止もしくは低減を助けるための方法であって、前記哺乳動物にニコチン嗜癖を減らす、またはタバコ使用の休止もしくは低減を助けるのに有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項8】
哺乳動物の習慣性障害またはコリン作動性機能の低下に関連する神経もしくは精神障害を治療するための医薬組成物であって、前記習慣性障害または神経もしくは精神障害を治療するのに有効な量の請求項1の化合物および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項9】
ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジア、運動過剰症、躁病、失読症、統合失調症、痛覚脱失症、注意欠陥障害(ADD)、多発脳梗塞性認知症、年齢関連認知低下、てんかん、アルツハイマー型の老人性認知症、パーキンソン病、(PD)注意欠陥多動性障害(ADHD)、不安、肥満、トゥーレット症候群および潰瘍性大腸炎から選択される障害または症状を治療するための医薬組成物であって、かかる障害または症状を治療するのに有効な量の請求項1に記載の化合物および薬学的に許容できる担体を含む、医薬組成物。
【請求項10】
哺乳動物の習慣性障害またはコリン作動性機能の低下に関連する神経もしくは精神障害を治療するための方法であって、かかる治療を必要とする哺乳動物にかかる障害を治療するのに有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項11】
ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジア、運動過剰症、躁病、失読症、精神分裂病、痛覚脱失症、注意欠陥障害(ADD)、多発脳梗塞性認知症、年齢関連認知低下、てんかん、アルツハイマー型の老人性認知症、パーキンソン病、(PD)注意欠陥多動性障害(ADHD)、不安、肥満、トゥーレット症候群および潰瘍性大腸炎から選択される障害または症状を治療するための方法であって、かかる治療を必要とする哺乳動物にかかる障害または症状を治療するのに有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む方法。


【公表番号】特表2008−523045(P2008−523045A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545013(P2007−545013)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【国際出願番号】PCT/IB2005/003730
【国際公開番号】WO2006/061711
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】