説明

ヌクレオチドプロドラッグおよびオリゴヌクレオチドプロドラッグ

本発明は抗ウイルス性を発揮する式(I)の化合物を開示する。本発明はさらに、抗HBV治療を必要とする被験体に投与するための上記化合物を含む医薬組成物に関する。本発明はさらに、本発明の化合物を含む医薬組成物を投与することによる、被験体におけるHBV感染の治療方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2005年12月13日に出願された米国仮出願第60/750,036号、および2006年5月15日に出願された米国仮出願第60/800,294号の利益を主張する。上記の(一つまたは複数の)出願の全体の教示は、参照によって本明細書に援用される。
【0002】
(米国政府資金提供)
本発明の全体または一部は、NIH Grant number 5 UO1 AI058270-02/03によって援助された。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、ヌクレオシド、ヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドのプロドラッグアナログの設計、合成および評価に関する。本発明の化合物、組成物および方法は、B型肝炎ウイルス(HBV)の感染およびHBVに関連する肝臓病の治療にとって有用である。具体的には、化合物および組成物は、新規抗HBV剤であるホスホロチオアートのジ-およびトリ-ヌクレオチドのS-アルキルエステルに関した。化合物およびその組み合わせは、単独でまたは他の抗HBV剤と組み合わせてのいずれかで投与され得る。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
B型肝炎ウイルス(HBV)によって引き起こされる急性のおよび慢性の肝臓感染症は、米国での170万人を含めたほぼ20億人に影響を与える、主要な世界規模の公衆衛生上の危機を構成する(WHOの報告)。世界全体では、3億5000万人のHBVの慢性のキャリアがいると推定されている。疾病管理センターによれば、肝硬変および肝細胞ガン等の感染に伴う合併症によって、1年間にほぼ300万〜700万人が死亡している。肝臓の被移植者のかなりの数が、効果的な抗HBV療法を必要とし続けている。HBVは、かなりの数のヒトのガンを引き起こす重要な病原体であると認識されている。HBV感染はまた、肝臓が破壊される不治の病である劇症肝炎を導く。慢性肝炎の感染症は、慢性持続性肝炎、疲労、肝硬変、肝臓ガンおよび死を導く。HBV感染の疫学は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のそれと類似している。多数のHIVキャリアは、HBVを同時に感染する。しかしながら、HBVはHIVよりも100倍感染しやすい。
【0005】
現在のところ三種の臨床用の抗HBV薬が承認されてはいるが、抵抗性がすばやく出現することおよびこの療法に伴う用量制限毒性のせいで、まだ対処がなされていない相当程度の医療上の必要性が存在する。臨床用に承認されているこれらの薬物としては、αインターフェロン、遺伝子改変されたタンパク質、およびラミブジンおよびエンテカビル等のヌクレオシドアナログが挙げられる。別の承認された抗HBV薬はアデフォビル・ジピボキシルであり、これはモノヌクレオチド・ホスホナートアナログとみなされている。
【0006】
抗HBV剤として、多数の合成ヌクレオシドが開発されている。例えば、ラミブジンまたは3-TCとして知られているBCH-189(2'3'-ジデオキシ-3'-チアシチジン)の(-)-鏡像異性体は、米国特許第5,530,116号においてLiottaらによって権利主張がなされている。
【0007】
FTCまたはβ-2-ヒドロキシメチル-5-(5-フルオロシトシン-1-イル)-1,3-オキサチオランは、米国特許第5,5814,639号および第5,914,331号において、Liottaらによって権利主張がなされている。Furman et al., Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 2686-2692, 1992も参照すること。L-FMAUまたは2'-フルオロ-5-メチル-β-L-アラビノフラノイルウリジンは、米国特許第5,565438号、第5,567,688号および第5,587,362号に開示されている。
【0008】
PMEAとも称されるアデフォビルまたは(9-[2-(ホスホノ-メトキシ)エチル]アデニンは、米国特許第5,641,763号および第5,142,051号に開示されている。アデフォビル・ジピボキシルと称される対応するプロドラッグは、経口で作用する抗HBV剤として、臨床用に承認されている。
【0009】
米国特許第5,444,063号および第5,684,010号は、HBVを治療するための、β-D-1,3-ジオキソランヌクレオシドの鏡像異性体の使用を開示する。
【0010】
Iyerらの米国特許第6,881,831号は、HBVの治療の際に使用するための、ヌクレオチド間結合によって連結した二以上のデオキシリボヌクレオチドモノマーおよび/またはリボヌクレオチドモノマーを含む化合物を開示する。
【0011】
種々の構造のLヌクレオシドが、WO 08/40164号、WO/95/07287号およびWO 00/09531号の出願において、抗HBV剤として権利主張されている。
【0012】
権利主張されている他の抗HBV剤としては:(1)β-D-3'アジド-2,3-ジデオキシ5-フルオロシチジン(Mahmoudian, Pharm Research 8, 1198-203, 1991; (2)2'-β-D-F-2',3'-ジデオキシヌクレオシドアナログ, Tsai et al., Biochem Pharmacol. 48, 1477-1481, 1994; (3)5-カルボキシイミド-、または5-フロオロ(fluro)-2,3不飽和もしくは3'-修飾ピリミジンヌクレオシドが挙げられる。
【0013】
アデフォビルに加えて、多少のヌクレオチドアナログも抗HBV剤として権利主張されている。これらのものとしては、9[1-ホスホノメトキシシクロプロピル)メチルグアニン]、PMCGおよびそのジピバルオキシルプロドラッグ、PMCDGならびにトリフルオロメチルアナログ、MCC-478が挙げられる。総説としては:Iyer et al., Current Opinion in Pharmacol 5, 520-528, 2005を参照すること。
【0014】
サイクリックヌクレオシド・ホスホナートアナログおよびプロドラッグ誘導体も、抗HBV活性を伴うヌクレオチドアナログである。対応するホスホルアミダートプロドラッグアナログは、おそらくエステラーゼ酵素によってそのホスホナート誘導体に変換される。総説としては:Iyer et al., Current Opinion in Pharmacol., 5, 520-528, 2005を参照すること。
【0015】
プロドラッグアナログとして化学的に修飾された薬物を用いるというコンセプトは、多数の異なる薬物を薬学的に開発してきた際に確立された範例である。(a)化学的安定性の向上、(b)水に対する溶解性の改変、(c)バイオアベイラビリティーの向上、(d)特定の組織の標的化、(e)薬物の相乗的な組み合わせの促進、(f)初回通過代謝効果の克服、(g)親水性薬物のための親油性担体としての機能および(h)持続的な薬物送達のための薬物の貯蔵庫としての機能といった目的を果たすために、プロドラッグ戦略によって、薬物の物理化学的性質の一時的な改変が可能になる。
【0016】
少数のプロドラッグ戦略が採用されて、バイオアベイラビリティーの向上、肝組織の分布の促進および抗ウイルス能力の改善がなされている。例えば、対応するアミノ酸ホスホルアミダートとしてリン酸基を修飾すると、より強力な抗ウイルス物質が生じる(Gudmundsson et al., Nucleosides, Nucleotides, 23, 1929-1937, 2004. Cahard et al., Mini Reviews Med Chem., 4, 371-381, 2004。経口でのバイオアベイラビリティーを向上させるために、ヌクレオシドのグリセリルリン酸塩プロドラッグおよびそのリン脂質プロドラッグも開発されている(Hostetler et al., Antimicrob Agents and Chemotherapy, 44, 1064-1069, 2000)。S-アシルチオエチル(SATE)誘導体およびサイクリックサリチル誘導体(シクロサール)は、ヌクレオシドおよびヌクレオチドのプロドラッグ誘導体化の他の例である(Peyrottes, et al., Mini Rev. Med. Chem., 4, 395-408, 2004)、およびMeier et al., Mini Rev Med Chem 4, 383-394, 2004。他のプロドラッグ戦略としては、肝臓の酵素によって酸化的に切断して活性ヌクレオチドを細胞内に放出させるように設計された4-アリール置換(susbstituted)サイクリック1,3-プロパニルエステル(HepDirectアナログ)が挙げられる(Erion et al., J. Am. Chem. Soc, 126, 5154-5163, 2004)。
【0017】
HBVポリメラーゼのインヒビターとなり得る前に、一般的に、すべてのヌクレオシドはリン酸化されてヌクレオシドのモノ-、ジ-およびトリリン酸塩となる必要がある。従って、ヌクレオシドをプロドラッグとみなすことが可能であり、これはインビボで活性化される必要がある。ほとんどのヌクレオシドはウイルスのポリメラーゼを標的とし、類似の作用メカニズムによって作用するので、耐性の急激な出現、およびヒトのガンマポリメラーゼの阻害に起因するミトコンドリア毒性等のような有害事象の発生の可能性が存在する。抗ウイルス療法に伴う別の課題は、療法を中止した後のウイルスのリバウンドである。
【0018】
プロドラッグ戦略はオリゴヌクレオチド(18〜30マー)の場合にも適用されており、ここでは、アプタマー、アンチセンス、リボザイム、RNA干渉および免疫刺激等の技術を利用した潜在的に新規なクラスの治療剤として開発されている[総説としては:(a)Szymkowski, D. E. Drug Disc. Today 1996, 1, 415; (b)Uhlmann E.; Peyman A. Chem. Rev. 1990, 90, 543; (c)Uhlenbech O. C. Nature 1987, 328, 596; (d)Zamore P. D. Science, 2002, 296,1265; (e)Manoharan, M. Curr. Op. Chem. Biol. 2004, 8, 570; (f)Iyer, R. P.; Kuchimanchi, S.; Pandey, R. K. Drugs of the Future 2003, 28, 51 (g)Uhlmann, E.; Vollmer, J. Curr. Opin. Drug Discov. Devel. 2003, 6, 204を参照すること]。
【0019】
オリゴヌクレオチドは高度に荷電した高分子量の化合物なので、受動拡散による細胞透過性にとって都合の悪い物理化学的特性を有する。その結果、オリゴヌクレオチドのプロドラッグアナログの設計は、それらのいくつかの負に荷電した骨格を、バイオリバーシブルな親油基によって部分的なマスキングすることに主要な焦点が当てられてきた。このようなアナログのいくつかは合成されたものであり、インビトロでのバイオリバーシビリティは実証されている。しかしながら、一つまたは二つのヌクレオチドの最初のアンマスキングはすぐに実施できるものの、完全なアンマスキングには数時間または数日を要することさえあるらしい。例えば、Iyerらは、PO-PSオリゴヌクレオチド混合物のS-アシルオキシアルキル誘導体を調製し、そしてインビトロでは緩やかではあるがそれらが元のオリゴヌクレオチドに戻り得ることを見出した。オリゴヌクレオチドプロドラッグについて、類似のSATEプロドラッグ戦略が用いられた。しかし、オリゴヌクレオチドの薬物動態学が向上したか、または生物活性が高められたかのいずれかに関して、それらのインビボでの可能性は実証されていない。さらに、オリゴヌクレオチドプロドラッグのインビボでの経口のバイオアベイラビリティー研究、またはインビボでの生物活性の実証についての報告はない。
【0020】
20-マーのオリゴヌクレオチドと比較して、荷電数がより少なくかつより低分子量であるより短い鎖のオリゴヌクレオチド(8-マー未満)は、治療および診断に関わり得る特性を持つ新規分子の有望なクラスの典型である。実際のところ、最近の報告では、モノ-、ジ-、トリ-および短鎖のオリゴヌクレオチドが、治療への応用に利用することができる顕著な生物活性を有することが示唆されている。
【0021】
しかしながら、細胞透過性が不十分なことに加えて、経口、経皮および他の非侵襲的で患者に適合した送達システムを欠くことは、これらの分子による治療の発達の大きな障害を表す。
【0022】
(発明の概要)
経口によって生体で利用することができるジ-およびトリ-ヌクレオチドのアナログを開発する取り組みにおいて、モデルとなるジヌクレオチドの、多数のS-官能化された非荷電プロヌクレオチド誘導体の合成および評価を実施した。元のヌクレオチドをインビボで曝してしまうという潜在的な機能をアンマスキングする標的酵素の能力に基づいて、プロヌクレオチド誘導体を設計した。本明細書では、特にHBVの治療に有用な種々の化合物について、設計、合成、安定性、バイオリバーシビリティおよび細胞毒性研究の結果を開示する。
【0023】
本発明は、式(I)のプロヌクレオチド:
【化1】


またはそのラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、互変異性体を提供するものであり、
ここで、
X=なし、O、NH、NR、S;
X1=なし、O、NH;
A=なし、アリール、アラルキル;
n=0、1、2、3、4、5;
R=アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、複素環、O-アルキル、O-ヘテロアリール、ステロイド;
R1、R2は独立して、H、OH、O-アルキル、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、複素環、O-アリール、O-ヘテロアリールアリール、複素環;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、C(O)-アルキル、C(O)O-アルキル、C(O)-アリール、C(O)O-アリール、C(O)NH-アルキルおよびC(O)NH-アリールから選択され;
Y、Zは独立してOおよびSであり;
B1、B2は独立して、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシルまたは修飾ヌクレオシドであり;
m=1〜40である。
【0024】
本発明に基づくプロドラッグまたはこれらの化合物を含むそれらの薬学的に許容され得る塩もしくは薬学的に許容され得る製剤は、HBV感染症およびHBVによって引き起こされる他の症状、例えば肝炎、肝硬変、急性肝炎、劇症肝炎、慢性肝炎、および他の肝臓病の予防および治療において有用である。本発明の化合物および製剤を予防的に用いて、HBVに感染した個体の病気の進行を妨げることもできる。
【0025】
ヒトを含めた宿主内でのHBV感染を治療するための方法も開示されており、薬学的に活性なその塩を含む本発明のプロドラッグの有効量を投与する工程を含み、単独でまたは別のもしくは他の(一つまたは複数の)抗HBV剤と組み合わせるか、あるいは逐次的に投与されることが開示されている。本発明の好ましいプロドラッグは、これらに制限されるわけではないが、3-dApsU2'-OMe、3'dApsA7deazaおよび3'-dApsTpsCならびにそれらのアナログを含むジ-およびトリ-ヌクレオチドを含むものであり、ここで、「ps」とはホスホロチオアートのヌクレオチド内結合を意味する。
【0026】
この文脈において、出願人らは最近になって、特定のジ-およびトリ-ヌクレオシドホスホロチオアート(PS)アナログならびにホスホルアミダートアナログが、インビトロおよびインビボで強力な抗HBV活性を示すことを報告した。ダイマーおよびトリマーのPSアナログは負に荷電した小分子ではあるが、ラットでの35S-標識化化合物の研究から、これらの化合物は経口投与では生体で利用できないことが明らかになった。経口でのバイオアベイラビリティーがないことは、(a)かなりのヌクレオチドの分解を引き起こす胃内の酸性環境、(b)腸内の粘膜関門を介したヌクレオチドの透過を抑制する骨格上の負の荷電、および(c)この化合物を分解する胃腸管内の種々の消化酵素の存在等の多数の因子に起因し得る。より長いおよびより短い鎖のオリゴヌクレオチドの両者が経口によっては体で利用できないとなると、より小さなヌクレオチドのクラスの化合物の場合では、化合物のサイズよりもむしろその荷電が、バイオアベイラビリティーを決定する際のより重要な因子であるかもしれないこと、および骨格上の負の荷電をマスキングすることにより、経口によるバイオアベイラビリティーをヌクレオチド化合物に付与できるかもしれないことが明らかになってくる。
【0027】
(図面の簡単な説明)
本発明の上記のおよび他の目的、特徴および利点は、添付の図面に示されているような、次の本発明の好ましい態様のより詳細な説明から自明であり、この図面では、異なる図の全体をとおして、同様の参照符号は同じパーツを意味する。本図面は、本発明の原則を図示して記載する代わりに、拡大縮小したり、強調したりする必要は必ずしもない。
【0028】
(発明の詳細な説明)
第一の態様においては、本発明の化合物は、上記の式Iで表される化合物、またはそのラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、互変異性体である。
【0029】
第二の態様においては、本発明の化合物は、下記の式IIで表される化合物、またはそのラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、互変異性体であり、
【化2】


ここで、mは1、2または3であり;ならびにR、X、A、n、R1、R2、B1およびB2は既に定義されたとおりである。
【0030】
第三の態様においては、本発明の化合物は、下記の式IIIで表される化合物、またはそのラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、互変異性体であり、
【化3】


ここで、R、X、A、n、B1およびB2は既に定義されたとおりである。
【0031】
第四の態様においては、本発明の化合物は、下記の式IVで表される化合物、またはそのラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、互変異性体であり、
【化4】


ここで、R4は、水素、水素、C(O)-アルキル、C(O)O-アルキル、C(O)-アリール、C(O)O-アリール、C(O)NH-アルキルおよびC(O)NH-アリールから選択され;ならびにR、R3、X、X1、Aおよびnは既に定義されたとおりである。
【0032】
第五の態様においては、本発明の化合物は、下記の式Vで表される化合物、またはそのラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、互変異性体であり、
【化5】


ここで、R、R3、R4、X、X1、Aおよびnは既に定義されたとおりである。
【0033】
第六の態様においては、本発明の化合物は、下記の式VIで表される化合物、またはそのラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、互変異性体であり、
【化6】


ここで、R、R3、X、X1、Aおよびnは既に定義されたとおりである。
【0034】
本発明に基づく典型的な化合物は、次のものからなる群より選択されるものである:
式A1の化合物(l)〜(8):
【化7】


ここで、R、X1、R3およびR4は、表1のそれぞれの例で示される。
【表1】

【0035】
本発明に基づく典型的な化合物は、次のものからなる群より選択されるものである:
式B1の化合物(9)〜(16):
【化8】


ここで、R、X1、R3およびR4は、表2のそれぞれの例で示される。
【表2】

【0036】
抗HBV薬の開発が緊急に必要とされ、このものは新規な作用メカニズムを伴う新しい化学物質であり、他の薬物と組み合わせて使用できるものである。本発明のジ-およびトリ-ヌクレオチドアナログは抗HBVの治療剤として有用であり、そして古典的なヌクレオシドのクラスの抗HBV剤とは異なった、抗ウイルス発見における新たな範例を示す。その内容が参照によって本明細書にその全体において援用される米国特許第6,881,831号はIyerらによって発行され、いくつかのジ-およびトリ-ヌクレオチド、これらは抗HBV活性を有する、が記載されている。これらの化合物の多くは、HBVの耐性株に対する活性も有しており(Iyer et al., Antimicrob. Agents and Chemotherapy, 48, 2199-2205, 2004)、そしてジヌクレオチド3-dApsU2'-OMe(ホスホロチオアートリンカーによって、メトキシ部分を有する糖の2'位が修飾されたウラシルに結合した3-デオキシアデニン)が、HBV感染のトランスジェニックマウスモデルにおいて優れた抗HBV活性を有することも実証された(Iyer et al., Antimicrob. Agents and Chemotherapy, 48, 2318-2320, 2004)。
【0037】
いくつかの研究から、マウスおよびヒトの肝ミクロソームの存在下では、インビトロでの3-dApsU2'-OMeならびに他のジ-およびトリ-ヌクレオチドの代謝は有意に生じないことが示唆されている。このことは、3-dApsU2'-OMeならびに他のジ-およびトリ-ヌクレオチドの抗ウイルス活性はインタクトなヌクレオチド構造に起因するのであって、その代謝産物に起因するのではないという仮説を支持する。このことは、代謝の活性化およびそれらが作用するトリリン酸塩誘導体への変換を必要とする従来の抗ウイルスヌクレオシドとは対照的である。
【0038】
ウッドチャックにおける3-dApsU2'-OMeの薬物動態学的研究から、静脈内(IV)投与の後に、約1時間の半減期を有する有意なレベルの3-dApsU2'-OMeが認められたことが示される。ジヌクレオチド3-dApsU2'-OMeはほぼインタクトな物質として尿中に排除され、このことは、肝臓内で有意の代謝がなされていないことを連想させる。この観察結果は、ヒトの肝ミクロソームを用いたインビトロでは、3-dApsU2'-OMeの有意の代謝がなされていないことと一致し、そしてそれ故に、3-dApsU2'-OMeの抗ウイルス活性はインタクトなヌクレオチド構造に起因するのであって、その代謝産物に起因するのではないという仮説を支持する。このことは、代謝の活性化およびそれらが作用するトリリン酸塩誘導体への変換を必要とする従来の抗ウイルスヌクレオシドとは対照的である。
【0039】
ラットにおける35-標識化ジ-およびトリヌクレオチドのIV投与から、吸収の後、化合物は中心コンパートメントから血管外の組織に極めて急速に分配されたことが示唆される。これらの化合物の大部分は肝臓および腎臓内に集中し、他の組織内に少量見られた。化合物の排出は緩慢であるように思われた。この研究から、肝臓内での化合物の有意の分配は吸収の後に生じることが実証される。HBVにとって、肝臓は標的器官であることから、この研究により、ジおよびトリヌクレオチドは肝細胞内に容易に侵入することが実証された。トランスジェニックマウスモデルにおけるジヌクレオチド3-dApsU2'-OMeの効果的な抗ウイルス活性は、上記のすべての研究によって支持される。
【0040】
Caco-2細胞を用いてのジ-およびトリヌクレオチドのインビトロの細胞透過性の研究から、これらの荷電分子は腸管で吸収され得ないことが示唆されるようである。Caco-2細胞については、経口でのバイオアベイラビリティーの兆しが若干は見られるが、この研究からは、新たな製剤設計/薬物送達の戦略を採用しない限り、ジ-およびトリ-ヌクレオチドの受動拡散による腸内粘膜からの吸収はなされ得ないことが示唆されるようである。経口でのバイオアベイラビリティーがないことは、(a)かなりのヌクレオチドの分解を引き起こす胃内の酸性環境、(b)腸内の粘膜関門を介したヌクレオチドの透過を抑制する骨格上の負の荷電、および(c)この化合物を分解する胃腸管内の種々の消化酵素の存在等の多数の因子に起因し得る。より長いおよびより短い鎖のオリゴヌクレオチドの両者が経口によっては生体で利用できないとなると、より小さなヌクレオチドのクラスの化合物の場合では、化合物のサイズよりもむしろその荷電が、バイオアベイラビリティーを決定する際のより重要な因子であり得ること、および骨格上の負の荷電をマスキングすることにより、経口によるバイオアベイラビリティーをジ-およびトリ-ヌクレオチド化合物に付与し得ることが明らかになってくる。
【0041】
一般的にヌクレオシドそれ自体は経口でのバイオアベイラビリティーに乏しいこと、およびプロドラッグ誘導体化が、経口でのバイオアベイラビリティーを向上させるための戦略として適用されることは技術的に理解される。Imbachらによって権利主張された米国特許第6,875,751号は、L-ヌクレオシドの経口でのバイオアベイラビリティーが改善されたプロドラッグとして、2'-デオキシ-β-L-ヌクレオシドの3'-アミノ酸プロドラッグを明らかにしている。同様に、SATEプロドラッグ戦略もヌクレオシドについて同様に適用された。
【0042】
しかしながら、ヌクレオチドおよびジヌクレオチドの場合、困難な課題はそれらがそれらの構造内に非常に酸に弱いプリン部分およびピリミジン部分を含むことである。従って、これらの分子の負の荷電をマスキングすることは、親油性を高めることによって細胞の拡散の助けとなり得るが、経口によって十分に吸収できる長さのそれらが胃粘膜内で安定であるかどうかは分からない。一般的に、例えばジヌクレオチド3-dApsU2'-OMeは胃液に似せたものの中では10分間未満の半減期にて急速に分解された。このような分解プロセスは、核酸塩基の窒素の初期のプロトン付加と、それに続く糖環の脱プリン反応および切断によって生じることが知られている。
【0043】
このように、3-dApsU2'-OMeの酸が介在する分解に対する感受性を考慮すれば、骨格上の荷電をマスキングすることで、それらの分解に対する保護、胃の酸性環境内でのそれらの安定性の向上およびそれによる経口での吸収の促進ができるかどうかを演繹的に予測することはできなかった。繰り返しになるが、経口によるバイオアベイラビリティーと胃粘膜内での安定性とは単純な関係ではないことは周知である。例えば、安定性を向上させたとしても、これらの比較的大きな分子量のジ-およびトリ-ヌクレオチドプロドラッグ(MW>700ダルトン)を粘膜関門を横切らせて輸送できるかどうかは不明であった。実際のところ、能動輸送メカニズムによるこれらの新規化合物の粘膜を横切らせる輸送を促進するかもしれないところの特定の輸送体が存在しているかどうかは、多くは知られていない。リピンスキーの法則(Lipinski, C. A., Adv. Drug Del. Rev. 23, 3, 1997)に従えば、薬物分子は、500ダルトン未満の分子量であって、5以下の水素結合ドナー(OH基およびNH基)と10以下の水素結合アクセプター(特にNおよびO)を持ち、分子量500未満であり、受動拡散による経口での吸収についてLogPが5未満であるべきである。実際のところ、ジ-およびトリヌクレオチドプロドラッグの両者はより高分子量の化合物であり、経口での吸収に関するリピンスキーの基準の多くを満たしていない。
【0044】
本発明のジ-およびトリヌクレオチドプロドラッグは、環および核酸塩基において、新たな修飾または置換を有する。エステラーゼまたは他の酵素は活性に関して特定の構造および位相を要求するので、ジ-およびトリ-ヌクレオチドプロドラッグがその酵素にとっての基質であるかどうかを予測することはできないだろう。さらに、本明細書に記載された数多くの化合物は異性体の混合物であり、そして酵素は立体を識別することが知られていることから、個々の異性体が基質となり得るかどうか、または薬物候補としてのそれらの魅力を少なくするような元の分子への変換速度が非常に異なるかどうかは不明であった。
【0045】
それゆえに、プロドラッグのコンセプトは公知であり、ヌクレオシドおよびモノヌクレオチド等の多数の化合物のプロドラッグを作製することについての数多くの戦略が存在するが、ジ-およびトリ-ヌクレオチドの類似のプロドラッグが経口バイオアベイラビリティーを持つかどうか、そしてその結果として経口によってバイオアベイラブルな薬物として開発できるかどうかについては演繹的に予測することはできないだろし、当業者にとっては自明でもない。本発明はこのような組成物を提供する。
【0046】
【化9】

【0047】
一つの例において、多数のS-官能化非荷電プロドラッグ誘導体の権利主張がされている。プロドラッグ誘導体の設計は、元のヌクレオチドをインビボで明らかにしてしまうという潜在的な機能をアンマスキングするという標的酵素の能力に基づいて行われた。代表例として、誘導されたジヌクレオチド誘導体1〜3の一般構造、およびこれらのエステラーゼが介在する元のダイマー4への変換について予想されるメカニズムをスキーム1に描写し、そしてここでは:(a)S-(アシルオキシアルキル)チオホスファートアナログ1が含まれる。抗生物質のピバンピシリンおよびバカンピシリン、ならびに最近承認された抗HBV剤のアデフォビル・ジピボキシルによって例示されるアシルオキシアルキルアナログが、臨床的に用いられ、経口によるバイオアベイラブルなエステルプロドラッグアナログである。これらが吸収された後、血漿および/または肝臓におけるエステラーゼ介在性の加水分解によって、ホルムアルデヒドおよびカルボン酸の遊離を伴った、プロドラッグの元の分子への変換が起こると考えられている。(b)S-(アシルオキシアリール)チオホスファートアナログ2。ダウノルビシン、ドキソルビシン、ホスホロジアミド・マスタード、アシビシン、およびPEG-ダウノルビシン複合体のアシルオキシアリールアナログは周知であり2b、そしてこれらはインビトロおよびインビボで徹底的に評価された[Bundgaard, H. In Bio-reversible carriers in drug design. Theory and Application. Roche, E.B. 編; Pergamon Press: New York, 1987; pp 13-94;優れた総説としては:Oliyai, R.; Stella, V. J. Annu. Rev Pharmacol. Toxicol. 1993, 32, 521; Papot, S.; Tranoy, I.; Tillequin, F.; Florent, J.-C; Gesson, J.-P. Curr. Med. Chem. 2002, 2, 155を参照すること]。反応性が高いメチレン・キノン中間体は、これらのプロドラッグの加水分解時に一時的に遊離するものの、セミキノン中間体が直ちに水分子を捕捉し、結果的に無害のベンジルアルコール種に変換され、それによってあらゆる細胞への被害を極小化する。この原理を利用することによって、エステルアナログ(これはより高い親油性をその分子に付与する長鎖アルコキシ基を有する)ならびにアミドアナログ等の本発明の特定のヌクレオチドアナログまたはプロヌクレオチドを設計し、そして(c)末端の官能基3を伴うS-アルキル誘導体は、酵素が介在する加水分解プロセスの間に潜在的な求核基があらわにされるように設計され、この求核基があらわにされることによって、チオホスファート部分に隣接して求電子性炭素のαが攻撃を受けて、元のジヌクレオチドが遊離する結果となる。
【0048】
本発明のプロドラッグまたはプロヌクレオチドはさらに、特定の誘導体ならびにヌクレオチド、ジヌクレオチド、トリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドの複合体にも関する。複合化部分は種々の化学型および構造型であってよく、ヌクレオチドのヒドロキシ、アミノ、ホスファートもしくはホスホロチオアートの骨格、またはヌクレオシドおよびオリゴヌクレオチド内の他の官能基と、エステル、アミド、イソシアナート、尿素、チオ尿素、カルバマートまたは他のタイプの共有結合を介して結合してもよい。上記の酵素作用の予測できない性質を考慮すれば、特定の複合体がインビトロもしくはインビボで元のヌクレオチドを化学的にもしくは酵素的に再生してもまたはしなくてもよく、さらには生物活性が複合体もしくは元のヌクレオチドまたはその両者に存在していてもよい。具体的には、いくつかのジ-、トリ-およびテトラ-ヌクレオチドならびにそれらのアナログが抗HBV剤として既に同定されている(米国特許第10/146,175号およびClP)。従って、本発明で報告された誘導体および複合体は、これらの出願に引用された化合物にも適用できる。
【0049】
3-dApsU2'-OMeのすべてのプロドラッグは、3-dApsU2'-OMeに由来する異性体のRp、Sp化合物に由来するRp、Sp異性体の混合物である。同様の議論がトリ-およびテトラヌクレオチドにも有効である。
【0050】
本発明の一つの態様においては、複合化部分は「マスキング基」「R」を表し、式(A)の骨格に結合し得る「R」の一般構造、ここでR=アシルオキシアルキル、アリールおよびヘテロアリールエステル、カルボナート、カルバマート、アミド等である、をスキーム1に示す。複素環は、O、NもしくはSを含む5または6員環であって、環の原子がフリーであるかもしくは別の環に融合しているものが好ましい。
【0051】
荷電した骨格をマスキングすることにより、(種々の消化酵素を有する)胃腸管の酸性および塩基性環境に対するヌクレオチドの安定性が向上し、それによって経口での吸収が促進し得る。例えば、負に荷電したリン酸ジエステル結合またはホスホロチオアート結合の存在が、ヌクレアーゼの介在によるポリヌクレオチドの分解にとって必須であると考えられている。しかしながら、S-アルキル化誘導体の調製を経て負の荷電をマスキングすることによって、ポリヌクレオチドの化学的分解作用および酵素を介在した分解作用が阻害され、それによってポリヌクレオチドの安定性を向上し得る。
【0052】
【化10】


本発明の別の態様においては、複合化部分が親油基であってもよく、この親油基は哺乳類の細胞の脂質二重層または細菌の細胞壁等の生物学的障壁を横断する薬物の輸送を促進する。このような親油基の具体例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、コレステロール、コール酸、リン脂質等が挙げられるが、これらに制限されるわけではない。親油基は、ジヌクレオシドホスホロチオアートのコール酸アナログである3-dApsU2'-OMeで示された構造すなわち式の化合物(B)で示される一以上の部位で、糖ヒドロキシル、核酸塩基またはヌクレオチド内のホスファートとホスホロチオアートとの結合のいずれかに結合する。
【化11】

【0053】
アミノ酸と複合化したジヌクレオチド、ならびに糖ヒドロキシル、核酸塩基およびヌクレオチド内のホスホロチオアート結合におけるペプチドの典型的な構造を、化合物(C〜I)によって示す。
【化12】

【0054】
本発明の別の態様においては、複合化部分が、種々の細胞障壁を横断するヌクレオチドの能動輸送を促進させる基であってもよい。このような部分は、アミノ酸、ペプチドおよびポリペプチド等の天然起源の物であっても、または合成物であってもよい。
【0055】
本発明のさらに別の態様においては、複合化部分が薬物の特定の組織または器官への標的化を促進してもよい。このような部分としては、モノクローナル抗体または他の天然物が挙げられ、これらは特定の標的組織に集中するという性質を有する。
【0056】
天然物の二つの例、クルクミンおよびアスピリンをトリヌクレオチドに複合化したものを、それぞれスキーム2および3に示す。示されるように、複合化部分を糖ヒドロキシルまたは核酸塩基のアミノ基を介して結合させてもよい。
【0057】
ヌクレオシド単位を、国際的に承認された線画の慣例によって表示する。下記の例において、2'-置換リボヌクレオシドを通常の構造およびそれに対応する線画フォーマットの両者で表示している。
【化13】

【0058】
αまたはβのN-またはC-ヌクレオシドを生じさせる、B1およびB2に結合した糖ユニットとしては、フラノース、デオキシリボフラノース、リボースおよびアラビノースが挙げられるが、これらに制限されるわけではない。
【0059】
本明細書で用いられる「アリール」という用語は、一または二の芳香環を有するモノ-またはポリサイクリック炭素環系を意味し、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニル等が挙げられるが、これらに制限されるわけではない。
【0060】
本明細書で用いられる「ヘテロアリール」という用語は、モノ-もしくはポリサイクリック(例えばバイ-もしくはトリ-サイクリックまたはそれを超えた)芳香族ラジカル、または5〜10の環の原子を有する環であって、その中の一以上の環の原子が例えばS、OおよびNから選択され;ゼロ、一もしくは二の環の原子が、例えばS、OおよびNから独立して選択される追加のヘテロ原子であって;そして残りの環の原子が炭素であって、ここで環内に含まれる任意のNまたはSが必要に応じて酸化されていてもよいところの環を意味する。ヘテロアリールとしては、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリルおよびキノキサリニル等が挙げられるが、これらに制限されるわけではない。
【0061】
本発明に従えば、本明細書に記載のアリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールの任意のものは、任意の芳香族基であり得る。芳香族基は置換されていてもよく、または非置換であってもよい。
【0062】
本明細書で用いられる「アルキル」という用語は、それぞれ1〜6または1〜12の炭素原子を含む飽和の直鎖または分枝鎖炭化水素ラジカルを意味する。C1〜C6のアルキルラジカルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチルおよびn-ヘキシルのラジカルが挙げられるが、これらに制限されるわけではなく;そしてC1〜C12のアルキルラジカルの例としては、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシルのラジカルが挙げられるが、これらに制限されるわけではない。
【0063】
「アラルキル」または「アリールアルキル」という用語は、ベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェニルエチル、およびジフェニルエチル等のアリール-置換アルキルラジカルを包含する。
【0064】
本明細書で用いられる「複素環」という用語は、非芳香族の5-、6-もしくは7-員環または系に融合したバイ-もしくはトリ-サイクリック基を意味し、ここで、(i)それぞれの環は酸素、硫黄および窒素から独立して選択される1〜3のヘテロ原子を含む、(ii)それぞれの5員環は0〜1の二重結合を有し、それぞれの6員環は0〜2の二重結合を有する、(iii)窒素および硫黄ヘテロ原子は必要に応じて酸化されていてもよい、(iv)窒素ヘテロ原子は必要に応じて四級化されていてもよい、(iv)上記環のうちのいずれかがベンゼン環と融合されていてもよい、(v)残りの環の原子は、必要に応じてオキソ置換されていてもよい炭素原子である。典型的なヘテロシクロアルキル基としては、[1,3]ジオキソラン、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニルおよびテトラヒドロフリルが挙げられるが、これらに制限されるわけではない。このような複素環基はさらに置換されていてもよい。
【0065】
本明細書で用いられる「シクロアルキル」とは、モノサイクリックまたはポリサイクリックの飽和カルボサイクリック環化合物から一つの水素原子を除去したものに由来する一価の基を意味する。具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、およびビシクロ[2.2.2]オクチルが挙げられるが、これらに制限されるわけではない。
【0066】
本明細書で用いられる「置換アリール」、「置換アルキル」、「シクロアルキル」という用語は、既に規定されたようなアリール、アルキルおよびシクロアルキルの基であって、そこにある一つ、二つもしくは三つまたはそれ以上の水素原子が独立して置換基によって置換されたものを意味し、ここでの置換基としては、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、保護されたヒドロキシル、-NO2、-CN、-NH2、保護されたアミノ、-NH-C1〜C12-アルキル、-NH-C2〜C12-アルケニル、-NH-C2〜C12-アルケニル、-NH-C3〜C12-シクロアルキル、-NH-アリール、-NH-ヘテロアリール、-NH-ヘテロシクロアルキル、-ジアルキルアミノ、-ジアリールアミノ、-ジヘテロアリールアミノ、-O-C1〜C12-アルキル、-O-C2〜C12-アルケニル、-O-C2〜C12-アルケニル、-O-C3〜C12-シクロアルキル、-O-アリール、-O-ヘテロアリール、-O-ヘテロシクロアルキル、-C(O)-C1〜C12-アルキル、-C(O)-C2〜C12-アルケニル、-C(O)-C2〜C12-アルケニル、-C(O)-C3〜C12-シクロアルキル、-C(O)-アリール、-C(O)-ヘテロアリール、-C(O)-ヘテロシクロアルキル、-CONH2、-CONH-C1〜C12-アルキル、-CONH-C2〜C12-アルケニル、-CONH-C2〜C12-アルケニル、-CONH-C3〜C12-シクロアルキル、-CONH-アリール、-CONH-ヘテロアリール、-CONH-ヘテロシクロアルキル、-OCO2-C1〜C12-アルキル、-OCO2-C2〜C12-アルケニル、-OCO2-C2〜C12-アルケニル、-OCO2-C3〜C12-シクロアルキル、-OCO2-アリール、-OCO2-ヘテロアリール、-OCO2-ヘテロシクロアルキル、-OCONH2、-OCONH-C1〜C12-アルキル、-OCONH-C2〜C12-アルケニル、-OCONH-C2〜C12-アルケニル、-OCONH-C3〜C12-シクロアルキル、-OCONH-アリール、-OCONH-ヘテロアリール、-OCONH-ヘテロシクロアルキル、-NHC(O)-C1〜C12-アルキル、-NHC(O)-C2〜C12-アルケニル、-NHC(O)-C2〜C12-アルケニル、-NHC(O)-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(O)-アリール、-NHC(O)-ヘテロアリール、-NHC(O)-ヘテロシクロアルキル、-NHCO2-C1〜C12-アルキル、-NHCO2-C2〜C12-アルケニル、-NHCO2-C2〜C12-アルケニル、-NHCO2-C3〜C12-シクロアルキル、-NHCO2-アリール、-NHCO2-ヘテロアリール、-NHCO2-ヘテロシクロアルキル、-NHC(O)NH2、-NHC(O)NH-C1〜C12-アルキル、-NHC(O)NH-C2〜C12-アルケニル、-NHC(O)NH-C2〜C12-アルケニル、-NHC(O)NH-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(O)NH-アリール、-NHC(0)NH-ヘテロアリール、-NHC(O)NH-ヘテロシクロアルキル、NHC(S)NH2、-NHC(S)NH-C1〜C12-アルキル、-NHC(S)NH-C2〜C12-アルケニル、-NHC(S)NH-C2〜C12-アルケニル、-NHC(S)NH-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(S)NH-アリール、-NHC(S)NH-ヘテロアリール、-NHC(S)NH-ヘテロシクロアルキル、-NHC(NH)NH2、-NHC(NH)NH-C1〜C12-アルキル、-NHC(NH)NH-C2〜C12-アルケニル、-NHC(NH)NH-C2〜C12-アルケニル、-NHC(NH)NH-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(NH)NH-アリール、-NHC(NH)NH-ヘテロアリール、-NHC(NH)NH-ヘテロシクロアルキル、-NHC(NH)-C1〜C12-アルキル、-NHC(NH)-C2〜C12-アルケニル、-NHC(NH)-C2〜C12-アルケニル、-NHC(NH)-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(NH)-アリール、-NHC(NH)-ヘテロアリール、-NHC(NH)-ヘテロシクロアルキル、-C(NH)NH-C1〜C12-アルキル、-C(NH)NH-C2〜C12-アルケニル、-C(NH)NH-C2〜C12-アルケニル、-C(NH)NH-C3〜C12-シクロアルキル、-C(NH)NH-アリール、-C(NH)NH-ヘテロアリール、-C(NH)NH-ヘテロシクロアルキル、-S(O)-C1〜C12-アルキル、-S(O)-C2〜C12-アルケニル、-S(O)-C2〜C12-アルケニル、-S(O)-C3〜C12-シクロアルキル、-S(O)-アリール、-S(O)-ヘテロアリール、-S(O)-ヘテロシクロアルキル-SO2NH2、-SO2NH-C1〜C12-アルキル、-SO2NH-C2〜C12-アルケニル、-SO2NH-C2〜C12-アルケニル、-SO2NH-C3〜C12-シクロアルキル、-SO2NH-アリール、-SO2NH-ヘテロアリール、-SO2NH-ヘテロシクロアルキル、-NHSO2-C1〜C12-アルキル、-NHSO2-C2〜C12-アルケニル、-NHSO2-C2〜C12-アルケニル、-NHSO2-C3〜C12-シクロアルキル、-NHSO2-アリール、-NHSO2-ヘテロアリール、-NHS02-ヘテロシクロアルキル、-CH2NH2、-CH2SO2CH3、-アリール、-アリールアルキル、-ヘテロアリール、-ヘテロアリールアルキル、-ヘテロシクロアルキル、-C3〜C12-シクロアルキル、ポリアルコキシアルキル、ポリアルコキシ、-メトキシメトキシ、-メトキシエトキシ、-SH、-S-C1〜C12-アルキル、-S-C2〜C12-アルケニル、-S-C2〜C12-アルケニル、-S-C3〜C12-シクロアルキル、-S-アリール、-S-ヘテロアリール、-S-ヘテロシクロアルキルまたはメチルチオメチルが挙げられるが、これらに制限されるわけではない。アリール、ヘテロアリール、アルキル等はさらに置換されてもよいことが理解される。
【0067】
本明細書で用いられる「ステロイド」という用語は、四つの環に配置された17の炭素原子を基礎として有する天然由来のまたは合成による数多くの脂溶性有機化合物の任意のものを意味し、例えば、ステロールおよび胆汁酸、副腎ホルモンおよび性ホルモン、ジギタリス由来の化合物等の特定の天然の薬物、ならびに特定のビタミンの前駆体が挙げられる。ステロイド構造の具体例としては、コレステロール、コレスタノール、3α-シクロ-5-α-コレスタン-6-β-オール、コール酸、ギ酸コレステリル、ギ酸コレスタニルが挙げられるが、これらに制限されるわけではない。
【0068】
本明細書で用いられる「修飾ヌクレオシド」という用語は、修飾複素環塩基、修飾された糖部分またはその組み合わせを含む任意のヌクレオシドを意味する。いくつかの態様においては、修飾ヌクレオシドは、本明細書に記載されているような非天然性のピリミジンヌクレオシドまたはプリンヌクレオシドである。修飾ヌクレオシドの例としては、2'-置換リボヌクレオシドおよび(an)アラビノヌクレオシドまたは2'-デオキシ-2'-フルオロアラビノシド、デアザアデニン、デアザグアニンが挙げられるが、これらに制限されるわけではない。
【化14】

【0069】
【化15】

【0070】
(実施例)
実施例1:反応物および方法
選択されたプロドラッグ(プロヌクレオチド)および複合体の合成および評価についての典型的な実施例を本明細書に記す。ジヌクレオチド3-dApsU2'-OMeについての代表的なデータを示すが、適切な改変により、これは本発明において権利主張される他の化合物についても使用され得る。
【0071】
本試験において、ホスホロチオエートアナログ3-dApsU2'-OMe(5)のRP、SPの混合物を、固相ホスホルアミダイト化学法を使用して(Beaucage, S. L.; Iyer, R. P. Tetrahedron 1993, 49, 1925)、特別に製造されたLOTUSリアクター(登録商標)と併用して、ラージスケール(1ミリモルのヌクレオシド負荷制御孔ガラス(CPG)支持体)で合成した(Padmanabhan, S.; Coughlin, J. E.; Iyer, R. P. Tetrahedron Lett. 2005, 46, 343; Iyer, R. P.; Coughlin, J. E.; Padmanabhan, S. Org. Prep. Proc. Intl. 2005, 37, 205)。本発明者らが最近発見した固相支持体についての超高速機能付与法および負荷法を使用して、dA-結合CPG支持体を調製した。ヌクレオチド間ジヌクレオシドホスファイト結合産物の硫化に3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン-1,1,-ジオキシド(乾燥CH3CN中0.4M)の溶液を使用した(Iyer, R. P.; Regan, J. B.; Egan, W.; Beaucage, S. L. J. Am. Chem. Soc. 1990, 112, 1253)。プロセッシング、クロマトグラフィー精製、および凍結乾燥と続けて、RP、SP 5(約60:40混合物)のナトリウム塩を96%より高い純度で得たが、これは31Pおよび1H NMRを特徴とした。表3は、設計、合成、および評価された5の具体的なプロドラッグの構造を示す。
【0072】
【表3】



【0073】
さらに、水性のアセトンまたはメタノール中の対応するヨウ素または臭素誘導体7a〜jを用いてRp、Sp-5の官能基選択的なS-アルキル化により、プロドラッグ誘導体またはプロヌクレオチド誘導体6a〜jを50〜70%の収率で合成し、精密検査およびクロマトグラフィー精製を続けた。
【0074】
プロヌクレオチドの合成:プロヌクレオチド6aの典型的な調製。水(1mL)中のジヌクレオチドナトリウム塩の溶液(50mg、0.082mmol)に、アセトン(2mL)中のヨードメチルピバレート(7a(表4)、85mg、0.35mmol)の溶液を添加した。反応物を暗所で一晩攪拌し、数mgの亜硫酸ナトリウムで濃縮した。カラムクロマトグラフィーで粗生成物を精製し、DCM/MeOH(90/10)の混合物中に6aを溶出した。真空下での濃縮により、クロマトグラフィーによる精製白色固体を得た(31P NMR、28.7、27.9δppm)。同様の手順を使用して全てのアナログを調製した(表4)。
【0075】
【表4】

【0076】
必須の中間体7a〜jを、対応するヒドロキシ化合物から直接合成した(Hayat, S.; Rahman, A-U, Khan, K. M.; Choudhary, M. I.; Maharvi, G. M.; Ullah, Z.; Bayer, E. Synth. Commun.2003, 33, 2531; Fernandez, I.; Garcia, B.; Munoz, S.; Pedro, R.; de la Salud, R. Synlett. 1993, 489)か、または対応する塩素誘導体からハロゲン交換反応により合成した(スキーム4参照)。
【0077】
【化16】

【0078】
それぞれのプロヌクレオチドアナログ6a〜jの31P NMRは、RP、SPアイソフォームの約55:45の比に相当する28〜34ppm(チオホスフェートトリエステル部分の特徴)の範囲で2つのピークを示した(図1参照)。37℃のホスフェートバッファー中のウサギ血清で、プロヌクレオチドのバイオリバーシビリティの評価を行なった。プロヌクレオチドのジヌクレオチド5への加水分解による変換をモニターするために、インキュベート物のアリコートを異なる時点で取り出し、処理して、逆相HPLCを使用して分析した。アナログ6aおよび6bは、それぞれ60分および30分の半減期(t1/2)で、元の5へと容易に変換したことが見出された。また、6aおよび6bの元の5への完全な変換は約3時間で起こった。アナログ6aおよび6bは、リン酸バッファー(0.1M、pH 7.2)中で24時間までは安定であった。さらに、混合物中のRP、SPアイソフォームの加水分解の際に、何らかの有意な立体分化または硫化の形跡はなかった。興味深いことに、6aおよび6bの両方はブタ肝臓エステラーゼ(PLE)およびウシキモトリプシンの加水分解作用に対して抵抗性であったため(データは示さず)、インタクトなプロヌクレオチドの経口吸収を容易にし得る胃腸管中で、該アナログは優位な半減期を有し得ることが示唆された。これらの観察は、血清およびPLE中の非常にゆっくりとした速度の加水分解に伴って有意な立体分化が示された、対応するRP、SPTT-PSダイマーのプロヌクレオチドの挙動とは対照的である(Iyer, R. P.; Yu, D.; Agrawal, S. Bioorg. Med. Chem. Lett. 1995, 4, 2471)。チミジン(C2'-内部)と比較して2'-OMe-ウリジン(C3'-内部)の種々の糖のパッカリング様式のために、6aおよび6bの全体的なコンホメーションはTTダイマープロヌクレオチドに対応するコンホメーションとは大きく異なり得る可能性がある。結果的に、6aおよび6b中のエステル基は、エステラーゼの求核性部位によって、より好適に化学的な作用を及ぼし得る。さらに、凍結乾燥粉末として-20℃に保存される場合、全てのアナログはいつまでも安定であった。次いで、本発明者は、MDBK、Vero、およびHFFなどの種々の細胞株中でのプロヌクレオチド誘導体の細胞傷害性プロフィールを試験した。スキーム4に示すように、6cを除くほとんどのアナログは、これらの細胞株中で、これらの化合物について高い安全性プロフィールを示す1000μMより高いCC50を有した。
【0079】
実施例2. 3'dApsU2'OMeのS-イソプロピルカルボニルオキシメチルチオホスフェート誘導体6k
【化17】


標的化合物6kを2工程で調製する。
【0080】
工程1. ヨードメチルイソプロピルカルボネートの調製:無水アセトニトリル(20mL)中の無水ヨウ化ナトリウム(6g、40mmol)の溶液に、無水アセトニトリル(10mL)中のクロロメチルイソプロピルカルボネート(2.9g、19mmol)を20分かけて滴下した。アルミ箔で覆った(光を防いだ)反応混合物を、室温で一晩かけて攪拌した。分離した固体を濾過してアセトニトリルで洗浄し、減圧下で濾過物を濃縮した。残渣を水(10mL)中に溶解し、有機物をエーテル(25mL)に抽出した。亜硫酸ナトリウム(5%、10mL)、その後ブライン(10mL)を用いてエーテル抽出物を洗浄した。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥させ、濾過し、高乾燥真空下で濃縮、乾燥させた。収量2.72g(58%); 1H-NMR δ 1.3 (d, 6H), 4.95 (m, 1H), 5.95 (s, 2H)。
【0081】
工程2. ジヌクレオチド、3'-ApsU2'OMeのアルキル化。攪拌しながら、水(HPLC、400mL)中のジヌクレオチド(60mg、0.098mmol)の溶液にアセトン(1mL)中のヨードメチルイソプロピルカルボネート(80mg、0.0166mmol、3.33等量)の溶液を添加した。さらなるアセトン(1mL)を添加して透明な溶液を得、アルキル化剤の油滴の分離を回避した。アルミ箔で覆った反応混合物を3時間攪拌し、回転真空(rotavap)条件下で濃縮し、その後、高真空下で白色固体の反応混合物を得た。これを、最初はクロロホルムを使用し、徐々にクロロホルムに2%から最終的に8%のメタノールを含ませて使用して、シリカカラムクロマトグラフィーで精製した。主要成分を含有する画分を合わせ、濃縮し、高真空下で一晩かけて乾燥させた。ほとんどの収量(68mg)で所望の精製産物6kを単離した;31P-NMR (MeOH-d4) δ 27.7, 28.6。
【0082】
実施例3. 3'dApsU2'OMeのS-メチルコール酸エステル6lの調製
【化18】


工程1. クロロメチルデオキシコール酸の合成。エタノール(4mL)中のデオキシコール酸(120mg、0.306mmol)に、水(3mL)中の炭酸セシウム(53mg、0.160mmol)の溶液を添加した。反応混合物を30分間攪拌し、最初に回転真空下でその後、高真空下でエタノールを除去した。残渣を凍結乾燥して白色粉末のセシウム塩を得た。N,N-ジメチルホルムアミド(DMF、3mL)中のセシウム塩の溶液に、室温でブロモクロロメタン(10mL)を添加し、アルミ箔で覆われた反応混合物を室温で24時間攪拌した。溶媒を除去して反応混合物をジクロロメタン(20mL)中に抽出し、水(5mL)、ブライン(5mL) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を除去してクロロメチル化合物(100mg、74%)を得た。それ以上精製することなく、これを対応するヨードメチル誘導体への変換に使用した。
【0083】
工程2. ヨードメチルデオキシコール酸の調製。無水アセトニトリル(3mL)中のヨウ化ナトリウム(304mg、2.03mmol)の溶液に、アセトニトリル(6mL)とジクロロメタン(2mL)の混合物中のクロロメチルエステル(438mg、0.99mmol)をゆっくりと添加した。光を防いだ反応混合物を室温で48時間かけて攪拌した。濃縮後、反応混合物をジクロロメタン(15mL)中に抽出し、有機層を水(5mL)、亜硫酸ナトリウム(5%、5mL)および最終的にブライン(5mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒の除去後に得られた粗生成物をシリカカラムクロマトグラフィーで精製し、ヨウ素化合物(110mg、21%)を得た。
【0084】
工程3. ヨードメチルデオキシコール酸のカップリング。水(400mL)中の3'dApsU2'OMe(50mg、0.082mmol)の溶液に、アセトン(3mL)中のヨードメチルデオキシコール酸(110mg、2.066mmol)の溶液を添加した。さらなるアセトン(約6mL)を添加して分離した固体を溶解し、反応混合物を一晩攪拌した。真空下で濃縮し、クロロホルム対メタノール(2〜10%)含有クロロホルムを使用したシリカカラムクロマトグラフィーで精製した。画分を合わせ、高真空下で濃縮および乾燥して所望の産物6l(40mg、49%)を得た;31P-NMR (MeOH) δ28.2, 29.1。
【0085】
実施例4. 3'dApsU2'OMeのN-(t-ブトキシカルボニル)-L-フェニルアラニナートアナログ6mの調製
【化19】


ヨードメチルN-(t-ブトキシカルボニル)-L-フェニルアラニナート。エタノール(3mL)中のN-(t-ブトキシカルボニル)-L-フェニルグリシン(663mg、2.49mmol)に、水(2mL)中の炭酸セシウム(427mg、1.31mmol)の溶液を添加した。ガスの放出を終えた後、反応混合物を1時間攪拌した。溶媒を除去して凍結乾燥し、セシウム塩を得た。N,N-ジメチルホルムアミド(DMF、2mL)中のセシウム塩(270 mg, 0.82 mmol)の溶液に、ブロモクロロメタン(5mL)を添加して、反応混合物をアルミ箔で覆って一晩攪拌した。分離した固体を濾過して、固体をDMF(2mL)で洗浄し、高真空下で濾過物を濃縮した。TLC((Hex: EtOAc 4:1)により生成物(206mg、80%)は純粋であると見出された。これ以上精製することなく、この中間体をヨード化合物への変換に使用した。無水アセトニトリル(3mL)中のヨウ化ナトリウム(196mg、1.31mmol)の溶液に、無水アセトニトリル(1mL)中のクロロメチルフェニルアラニエート誘導体(206mg、0.656mmol)を添加した。光を防いで、反応混合物を室温で一晩攪拌した。固体を濾過し、DMF(3mL)で洗浄して、濾過物を真空下で濃縮した。残渣をジクロロメタン(10mL)および水(5mL)に抽出し、有機層をNaHSO3(5%、5mL)およびブライン(飽和、5mL)で洗浄した。無水Na2SO4で有機層を乾燥させ、濃縮して所望のヨード化合物(199mg、75%)を得た。
【0086】
3'dApsU2'OMeのアルキル化。水(400μl)中の3'dApsU2'OMe(44mg、0.072mmol)の溶液に、アセトン(800μl)中のヨウ化物(100mg、0.25mmol)を添加して反応混合物を一晩攪拌した。真空下で反応混合物を濃縮して凍結乾燥し、クロロホルムおよびクロロホルムとメタノール(2%〜10%)を含有する混合物を使用してシリカカラムクロマトグラフィーにより精製した。画分を回収して、混合し、高真空下で濃縮して乾燥させ、t-Boc保護フェニルアラニン結合産物6m(40mg、65%)を得た;31P-NMR (MeOH-d4) δ 28.7, 27.9。
【0087】
実施例5. 3'dApsU2'OMeの4-アセトアミドベンジル誘導体6nの調製
4-アセトアミドベンジルアルコールの調製。メタノール(100mL)中の4-アセトアミドベンズアルデヒド(10g、61.3mmol)の溶液に、室温で水素化ホウ素ナトリウム(800mg)を少しずつ添加した。反応混合物を一晩攪拌して、4:1のヘキサン:EtOAcを溶出物として使用しTLCにより反応の進行をチェックした。開始物質の非存在は還元の完了を示し、回転真空で反応混合物を濃縮した。残渣を、水(25mL)と酢酸エチル(4X50mL)の間で分離して、有機層をブライン(25mL)で洗浄した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去して黄白色固体のアルコールを得、これを高真空下で乾燥させた。8.6g(85%);1H NMR (DMSO-d6): δ 2.0 (s, 3H), 4.5 (d, 2H), 5.2 (t, IH), 7.25 (d, 2H), 7.55 (d, 2H), 9.95 (s, 1H)。
【0088】
【化20】


4-アセトアミドベンジルヨウ化物の調製。冷却した無水DMF(5mL)の溶液に塩化チオニル(0.2mL、2.8mmol)を添加した。混合物を10分間攪拌して無水DMF(12mL)中のKI(2.49g、15mmol)の溶液を添加して、アルコール(0.165g、1mmol)の添加を続けた。反応混合物を氷浴中で3時間攪拌して室温で一晩攪拌した。反応混合物を氷水(25mL)に注ぎエーテル(3X25mL)で抽出した。エーテル層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮させて溶媒を除去した。透明黄色固体の生成物を得た(138mg、50%)。(TLC Hex: EtOAc (1:1)。1H NMR (CDCl3): δ 2.17 (s, 3H), 4.45 (s, 2H), 7.17(br.s, IH), 7.33 (d, 2H), 7.43 (d, 2H)。また、この化合物を、アセトニトリル中のヨウ化セシウムおよび臭化トリフルオライドエテレートを使用して収率を向上(約75%)させても調製した。前述のコール酸アナログについて記載されるように4-アセトアミドベンジルヨウ化物と3'dApsU2'OMeのカップリングを行なった。
【0089】
実施例6. 3'dApsU2'OMeの4-ベンズアミドブチルアナログ6oの合成
【化21】


4-ベンズアミドブチルヨウ化物の調製:0〜5℃の冷却した無水DMF(5mL)に塩化チオール(0.2mL)を添加し混合物を15分間攪拌した。続いて、無水DMF(8mL)中のヨウ化カリウム(2.4 g, 5 mmol)の溶液に、無水DMF(2mL)中の4-ベンズアミドブタノール(193mg、1mmol)の溶液を添加した。着色反応混合物を一晩攪拌した。反応混合物を氷冷水(約10mL)に注いで作用させ、エーテル(3x15mL)で抽出した。最終的に、エーテル層を水、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過および溶媒の除去後に得られた粗生成物を、ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(4:1)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、油状のヨード化合物を得た。45%;1H NMR (CDCl3): δ 1.77 (m, 2H), 1.93 (m, 2H), 3.23 (t, 2H), 3.55 (q, 2H), 6.26 (br.s, 1H), 7.48 (m, 3H), 7.75 (m, 2H)。
【0090】
前述のように4-ベンズアミドブチルヨウ化物と3'dApsU2'OMeのカップリングを行ない表題の化合物6oを得た。
【0091】
実施例7. 3'dApsU2'OMeの5-ベンゾイルオキシペンチルアナログの合成
【化22】


5-ベンゾイルオキシペンタン-1-オールの調製:安息香酸(1g)、1,5-ペンタンジオール(5mL)およびp-トルエンスルホン酸(110mg)を油浴中で、100℃で一晩加熱した。反応混合物を室温まで冷却して水(50mL)に注ぎ、EtOAc(2X25mL)で抽出し、炭酸ナトリウム(5%、20mL)その後ブライン(15mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥させ、濾過および濃縮してほぼ純粋な生成物を得た(1.15g、67%);
【0092】
5-ベンゾイルオキシ-1-ヨードペンタンの調製。収率36%。1H NMR (CDCl3): δ 1.57 (m, 2H), 1.85 (m, 4H), 3.22 (t, 2H), 4.33 (t, 2H), 7.44 (m, 2H), 7.57 (m, 1H), 8.04 (m, 2H)。
【0093】
前述のように、5-ベンゾイルオキシ-1-ヨードペンタンと3'dApsU2'OMeのカップリングを行なった。
【0094】
5-ベンゾイルオキシブタン-1-オールの調製:5-ベンゾイルペンタン-1-オールの手順に1,4-ブタンジオールを使用して、これを73%の収率で調製した。
【0095】
実施例8. 3'dApsU2'OMe4-アセトキシベンジルアナログ6qの合成
【化23】


工程1. 4-アセトキシベンジルアルコールの調製:氷浴中で酢酸エチル(25mL)中の4-ヒドロキシベンジルアルコール(1.95g、14mmol)の冷却懸濁物に、攪拌しながら1ロットでトリエチルアミン(2.1mL、14.9mmol)を添加した。酢酸エチル(12mL)中の塩化アセチル(1.1mL、15.5mmol)の溶液を添加漏斗から滴下した。反応混合物を一晩攪拌した。固体を濾過して酢酸エチルで洗浄し、濃縮後、最初にヘキサン、その後徐々に酢酸エチルを40%まで上げて使用して、カラムクロマトグラフィーにより残渣を精製した。収率40%。1H-NMR (CDCl3), δ 2.02 (br. s, 1H), 2.29 (s, 3H), 4.65 (s, 2H), 7.07 (d, 2H), 7.36 (d, 2H)。
【0096】
工程2. 4-アセトキシベンジルヨウ化物の調製:窒素下で、無水アセトニトリル(10mL)中4-アセトキシベンジルアルコール(0.332g、2 mmol)およびヨウ化セシウム(0.571g、2.2mmol)の溶液に、アセトニトリル(5mL)中の臭化トリフルオライドエテレート(0.28mL、2.2mmol)を導入した。一晩攪拌後、反応混合物を氷冷水(20mL)に注ぎ、分離した固体を濾過し、水およびその後ヘキサンで洗浄した。高真空下で生成物を乾燥させた。収量0.39g、71%;TLC, ヘキサン:EtOAC (4:1)。1H NMR (CDCl3): δ 2.3 (s, 3H), 4.35 (s, 2H), 7.05 (d, 2H), 7.5 (d, 2H)。
【0097】
工程3. 3'dApsU2'OMeの4-アセトキシベンジルアナログの合成。前述のように、4-アセトキシベンジルヨウ化物で3'dApsU2'OMeのアルキル化を行なった。
【0098】
実施例9. 細胞傷害性アッセイ:Promega CellTiter96非放射性細胞増殖アッセイキットを、96ウェルプレートリーダー(ThermoMax,Molecular devices)と併用し、MDBK、VeroおよびHFF細胞株(ATCCから得た)を使用して96ウェルプレート中で標準的MTTアッセイを行なった。ヌクレオシドアナログ3TC、AZTおよびddCならびに薬物を含まない培地を含むいくつかの対照を使用した。陽性の細胞傷害対照としてSDSを使用した。100、300、および1000μMの濃度で、全てのプロヌクレオチドを3回試験した。細胞と試験物質の24時間インキュベーション後、MTTアッセイを行なった。データを表5に示す。
【0099】
【表5】



【0100】
実施例10. プロドラッグのバイオリバーシビリティ評価
バイオリバーシビリティ試験を以下のように行なった:各アナログのストック溶液を100μLのDMSO中に2mg溶解して調製した。10μLのアリコートを90μLのリン酸バッファー(0.1M、pH 7.0)および100μLアリコートのウサギ血清に希釈した。混合物を37℃の水浴中でインキュベートした。異なる時点でアリコートを除去し、200μLのメタノールに希釈して反応を停止した。次いで、インキュベート物を遠心分離し、スピードバク(speed vac)で上清を濃縮し、HPLCに注入する前に200μLの0.1M酢酸アンモニウムバッファーで希釈した。600E勾配制御装置を備えたWaters InstrumentおよびMillenniumソフトウェアを備えた996光ダイオードアレイ検出器を使用して逆相HPLC分析を行なった。X-terra MS C18 2.5μm、2.1 X 20mmカラムおよび30分かけたバッファーA(0.1M NH4OAc)およびバッファーB(80:20、CH3CN:NH4OAc)の100%Aから80%Bの操作勾配を使用した。プロドラッグについての保持時間は16〜18分の範囲であったが、Rp、Spジヌクレオチド5の保持時間は13.5分、13.8分であった。
【0101】
典型的には、例えば、血清処理の際にアミノ酸由来プロドラッグ6mおよび炭酸誘導体6kは、約3時間でほぼ完全に3'dApsU2'OMeに変換した。他のプロドラッグは元のジヌクレオチドへの異なる変換の速度を有した。いくつかのプロドラッグは、本実験の条件下で元へと変換しなかった。
【0102】
実施例11. 安定性。擬似胃液(SGF)および擬似腸液(SIF)中での37℃のプロドラッグの安定性を試験した。SGFおよびSIFを以下に報告の手順で調製し、プロドラッグをSGFおよびSIFと別々に、37℃で1時間インキュベートして処理し、逆相HPLCを使用して分析した。元のジヌクレオチド3'dApsU2'OMeはSGF中では安定でなく約15分で分解したが、SIF中では比較的安定であったことが見出された。全てのプロドラッグは1〜3時間の半減期で、SGF中で非常に安定であった。SIF中では、S-アシルオキシアルキルプロドラッグは約1時間の半減期で元のジヌクレオチドへと変換した。
【0103】
実施例12. 経口バイオアベイラビリティー。プロドラッグの経口バイオアベイラビリティーをCD-1マウスで測定した。それぞれの代表的なプロドラッグ6a、6k、6lを水に溶解して経口胃管栄養法によりマウスの群に投与した。試験には体重20〜30gの雄のSwiss-Websterマウス(Charles River Labs)を使用した。指定された時点5、15、30、60および120分で、マウスを屠殺し、心臓穿刺により血液を採取した。肝臓、腎臓、胃、十二指腸、空腸、回腸および脳を取り出して処理するまでドライアイスで凍結した。遠心分離により血液から血漿を分離し、逆相HPLCによる薬物成分の分析のために処理した。各プロドラッグおよび/または元の3'dApsU2'OMeのレベルを分析HPLCにより測定した。組織試料(主に肝臓)を処理し、その後0.1M NaOAcの存在下で、1%SDSで均質化した。均質化物をPALL 5OK濃縮器に添加し、3000rpmで2時間遠心分離した。試料を逆相HPLCカラム(2.1X20mm X-Terraカラム)、流速1ml/分、100%A(0.1 M NH4OAc)〜100%B(アセトニトリル:0.1M NH4OAC、80:20)の30分勾配にかけた。血液の場合には、プロドラッグは早い時点で検出されたが、遅い時点では、主に元のジヌクレオチド3'dApsU2'OMeが見られた。肝臓の場合には、主に3'dApsU2'OMeが見られた。これらの観察はプロドラッグの経口吸収、その後の酵素介在性のプロドラッグの3'dApsU2'OMeへの変換と一致する。ほとんどの、プロドラッグの3'dApsU2'OMeへの変換の原因となる酵素は、血液および組織の両方で見られるエステラーゼである。経口バイオアベイラビリティーの推定値は、血漿および肝臓中で5〜15%の範囲である。
【0104】
実施例13. プロドラッグのインビボ抗HBV活性。特定のプロドラッグをHBV感染トランスジェニックマウスモデルで評価した。78〜108日齢のHBVに感染させた雄トランスジェニックマウスを使用した。経口胃管栄養法により14日間毎日投与して300〜400mg/kgの単回投与でプロドラッグ6aおよび6kを最初に評価した。化合物をクエン酸中で投与して、アデフォビル・ジピボキシルを陽性対照として使用した。ビヒクルを投与された対照群を陰性対照として使用した。処置後にマウスを屠殺して、サザンブロット解析を使用してHBV DNAについて肝臓組織を解析した。クラスカル-ワリスノンパラメトリックANOVAを使用してデータを統計学的に評価して、プロットを図2に示す。6aおよび6kの両プロドラッグは、未処置対照と比較して肝臓のHBV DNAの2対数減少までを生じ、これはp値0.01〜0.001で統計学的に有意であった。
【0105】
実施例14. 化合物6aおよび6kのトランスジェニックマウス中のB型肝炎ウイルスに対する経口投与の効果。
雄および雌トランスジェニックマウス(ファウンダー(founder)1.3.32)をヒトB型肝炎に感染させた。感染後、動物に0.05Mクエン酸pH 2.0中の化合物6aもしくは6kまたはプラシーボを、1日に1回、14日間経口投与した。用量は、化合物6aについて400mg/kg/d、化合物6kについて300mg/kg/dであった。陽性対照ADVは10mg/kg/dで投与した。データを表6および7に要約する。プラシーボビヒクルと比較して、*P≦0.05、**P≦0.01、***P≦0.001で統計的有意さを示す。血清HBeAg、PEIの測定値は、Paul Ehrlich国際単位(PEI U)を使用して、国際免疫診断(International Immuno Diagnostics)標準化アッセイに従って報告される。この試験は、高用量で使用されても明らかな毒性はなかったということも確立した。
【0106】
【表6】

【0107】
【表7】

【0108】
本明細書に参照される特許および科学文献は、当業者に利用可能な知識を確立する。本明細書に引用される全ての米国特許、および公開または非公開米国特許出願は参照によって援用される。本明細書に引用される全ての公開外国特許および特許出願は、本明細書により参照によって援用される。本明細書に引用される全ての他の公開された参考文献、書類、原稿および科学論文は、本明細書により参照によって援用される。
【0109】
本発明は、その好ましい態様に関して特に示され、記載されるが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲を逸脱することなく、形式および詳細において種々の変更が本明細書になされ得ることが当業者に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1は、典型的なプロヌクレオチドの31P NMRのトレースである。
【図2】図2は、本発明の組成物を用いたインビボでの実験結果を示すスキャッタープロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


(式中、
X=なし、O、NH、NR、S;
X1=なし、O、NH;
A=なし、アリール、アラルキル;
n=0、1、2、3、4、5;
R=アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、複素環、O-アルキル、O-ヘテロアリール、ステロイド;
R1、R2は独立して、H、OH、O-アルキル(akyl)、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、複素環、O-アリール、O-ヘテロアリールアリール、複素環であり;
R3は水素、アルキル、置換アルキル、C(O)-アルキル、C(O)O-アルキル、C(O)-アリール、C(O)O-アリール、C(O)NH-アルキル、およびC(O)NH-アリールから選択され;
Y、Zは独立して、OおよびSであり;
B1、B2は独立して、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシルまたは修飾ヌクレオシドであり;
m=1〜40)
のプロヌクレオチド、またはそのラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、互変異性体。
【請求項2】
式(II):
【化2】


(式中、mは1、2または3であり;R、X、X1、A、n、R1、R2、R3、B1およびB2は請求項1に既に定義されたとおりである)
で表される、請求項1記載のプロヌクレオチド。
【請求項3】
式(III)
【化3】


(式中、R、X、X1、A、n、R3、B1およびB2は請求項1に既に定義されたとおりである)
で表される、請求項1記載のプロヌクレオチド。
【請求項4】
式(IV)
【化4】


(式中、R4は水素、水素、C(O)-アルキル、C(O)O-アルキル、C(O)-アリール、C(O)O-アリール、C(O)NH-アルキルおよびC(O)NH-アリールから選択され;R、R3、X、X1、Aおよびnは請求項1に既に定義されたとおりである)
で表される、請求項1記載のプロヌクレオチド。
【請求項5】
表1:
【表1】


の化合物1〜8から選択される、式A1
【化5】


(式中、R、X1、R3およびR4は表1のそれぞれの例で示される)
を有する、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
式(V):
【化6】


(式中、R、R3、R4、X、X1、Aおよびnは請求項1に既に定義されたとおりである)
で表される、請求項1記載のプロヌクレオチド。
【請求項7】
表2:
【表2】




の化合物9〜16から選択される、式B1
【化7】


(式中、R、X1、R3、およびR4は表2のそれぞれの例で示される)
を有する、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
式(VI):
【化8】


(式中、R、R3、X、X1、Aおよびnは請求項1に既に定義されたとおりである)
で表される、請求項1記載のプロヌクレオチド。
【請求項9】
被験体に治療有効量の請求項1記載の化合物を投与する工程を含む、そのような処置を必要とする該被験体において、HBVを処置する方法。
【請求項10】
被験体に治療有効量の請求項1記載の化合物を他の薬剤と組み合わせて投与する工程を含む、そのような処置を必要とする該被験体において、HBVを処置する方法。
【請求項11】
被験体に治療有効量の請求項1の化合物を単独で、または他の薬剤と組み合わせて投与する工程を含む、HBVの耐性株に感染した、そのような処置を必要とする該被験体において、HBVを処置する方法。
【請求項12】
薬学的に許容され得る担体または賦形剤と組み合わせた、治療有効量の請求項1の化合物を含む医薬組成物。
【請求項13】
被験体に治療有効量の請求項7の医薬組成物を投与する工程を含む、そのような処置を必要とする該被験体において、HBVを処置する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−519345(P2009−519345A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545782(P2008−545782)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/047617
【国際公開番号】WO2007/070598
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(508174779)
【Fターム(参考)】