説明

ヌクレオチド配列情報決定法

オリゴヌクレオチド・プローブのラマン・サインの検出に基づく核酸配列決定法が本発明において提供される。ラマン標識又は正の電荷を有するエンハンサーにより任意で標識された個々に捕獲された核酸プローブのラマン・サインが検出される。捕獲されたプローブの配列は、捕獲されたプローブ及び相補的な標的核酸のヌクレオチド配列を同定するために使用され、次いで、それが整列化され、核酸配列情報を入手するために使用される。もう一つの態様において、標的核酸に結合する標識されたオリゴヌクレオチド・プローブ(標識されたオリゴヌクレオチド・プローブは、第一標識及び第二標識を含んでおり、第一標識は、第二標識の光学的特性に影響を与えることができる)との標的核酸の結合を利用する、標的核酸の標的ヌクレオチド位置におけるヌクレオチド存在を決定するための方法が提供される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の領域
本発明は、一般に、検出法に関し、より具体的には、生体分子を検出し配列決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景情報
遺伝子情報は、染色体へと組織化された極めて長いデオキシリボ核酸(DNA)分子の形態で保管されている。これらの染色体は、ヒト・ゲノムを形成するおよそ30億個のヌクレオチドを含んでいる。染色体内のヌクレオチドの配列は、各個体の特徴の決定において大きな役割を果たしている。多くの一般的な疾患が、個体間のヒト・ゲノムのヌクレオチド配列の変動に、少なくとも一部、基づいている。
【0003】
完全ヒト・ゲノム配列の決定は、そのような疾患の遺伝学的基礎を同定するための基盤を提供した。しかしながら、各疾患に関連した遺伝子の変動を同定するためには、今後、多量の実験がなされなければならない。この実験は、疾患を促進するDNA配列の特異的変化を同定するための、そのような各疾患を示す個体又は家系の染色体の一部のDNA配列決定を必要とする。遺伝子情報のプロセシングにおける中間分子リボ核酸(RNA)も、様々な疾患の遺伝学的基礎を同定するために配列決定され得る。
【0004】
現在の配列決定法は、多コピーの関心対象の鋳型核酸を作製し、オーバラップする断片へと切断し、配列決定し、その後、オーバラップするDNA配列を完全な遺伝子へと組み立てることを必要とする。この過程は、面倒で、高価で、非効率的で、かつ時間がかかる。また、典型的には、安全性及び廃棄物処理の問題を引き起こす可能性がある、蛍光標識又は放射標識の使用を必要とする。従って、現在の方法より安価で、効率的で、かつ安全な、改良された核酸配列決定法が必要とされている。
【0005】
様々な疾患を来たすヌクレオチド配列変動を理解するには、これらの変動を検出するための技術が必要である。特に、ヌクレオチド配列の微細な変化を検出するための技術は、一部には、多型、特に一塩基多型(SNP)の同定の最近の科学的進歩により、より重要になりつつある。さらに、核酸の微細な変化を検出する方法は、遺伝学的な発見を、正確で費用効果の高い遺伝子検査へと翻訳するために、より重要になっている。従って、微細な差違を有する標的分子を区別することができる、遺伝子型決定のための高感度で単純な検出法が必要とされている。
【0006】
ヌクレオチド変動を検出するための現在の方法は、標的遺伝子のそれぞれの対立遺伝子を区別するために、異なるプローブを使用するか;又はアッセイの間、プローブを生化学的に修飾することを必要とする。これらの方法は、時間がかかり、高コストである。従って、遺伝子型分析を実施するための単純で、高感度で、かつ低コストの方法が必要とされている。
【発明の開示】
【0007】
発明の詳細な説明
開示された方法は、ラマン分光法をハイブリダイゼーションによる配列決定と組み合わせることの利点の発見に、一部、基づく。ラマン分光法は、多数のラマン活性シグナル分子が既知であり(例えば、「標準的なラマン・スペクトル(Standard Raman Spectra)」(Sadtler Research Laboratories);「TRCスペクトル・データ ラマン(TRC spectral data. Raman)」(Thermodynamics Research Center)参照)、ハイブリダイゼーション・プローブによる配列決定を標識するために使用され得るという利点を提供する。多数のラマン活性シグナル分子が作成され得るため、個々の分子のサインに基づく配列決定が可能である。さらに、開示された方法は、それなしではラマン分光法により検出不可能であるか又は極めて低い強度のラマン放射を生ずるオリゴヌクレオチドを検出することを可能にする、新規のラマン・エンハンサーの発見に、一部、基づく。
【0008】
本明細書に提供された核酸配列決定及び標的核酸位置におけるヌクレオチド存在の同定のための方法は、伝統的な方法より少ないいくつかの反応工程を含んでおり、かつ高度に平行的にマイクロスケール又はナノスケールで実施され得るため、伝統的な配列決定法より迅速に実施され得る。従って、比較的大量の配列情報が、比較的短時間で入手され得る。さらに、本明細書に開示された方法は、伝統的な方法を使用した標的分子増幅及び化学的標識において使用される高価な試薬を排除するため、低コストである。
【0009】
従って、一つの態様において、ハイブリダイゼーション反応による配列決定におけるオリゴヌクレオチド・プローブのラマン・サインの検出に基づく核酸配列決定法が提供される。ラマン標識により標識された個々に捕獲された核酸プローブのラマン・サインが検出される。捕獲されたプローブの配列は、捕獲されたプローブ及び相補的な標的核酸のヌクレオチド配列を同定するために使用され、次いで、それらが整列化され、核酸配列情報を入手するために使用される。本法は、例えば、大規模なゲノム配列決定、一塩基多型(SNP)におけるヌクレオチド存在の検出、配列比較、遺伝子型決定、疾患相関、及び薬開発のために使用され得る。
【0010】
もう一つの態様において、標的核酸のヌクレオチド配列を決定する方法が提供される。それは、一本鎖突出部を含むプローブ-標的二重鎖ポリヌクレオチドが形成されるよう、核酸又はその断片を、一連のスポット位置で基質に結合した捕獲オリゴヌクレオチド・プローブの集団と接触させること、各ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブが別個のラマン・サインを発生するよう、ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの一本鎖突出部との結合を可能にするために、プローブ-標的二重鎖核酸をラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの集団と接触させること、及びラマン分光法を使用して、鋳型核酸と結合するラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブを検出し、それにより、標的核酸のヌクレオチド配列を決定すること、を含む。さらに、捕獲されたラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの各々についてスポットの位置が同定され、標的核酸のヌクレオチド配列を決定するために使用され得る。
【0011】
本発明のこれらの態様の方法は、本明細書においてハイブリダイゼーション法による配列決定と呼ばれる場合もある。図1に示されるように、典型的には、二つの型のプローブが、この態様の方法において利用され、標的核酸分子又はその断片10を探索するために使用される:a)バイオチップのような基質に固定化されたプローブ20(即ち、捕獲オリゴヌクレオチド・プローブ20);及びb)ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ40。より詳細に本明細書に記述されるように、捕獲プローブ20は、既知のヌクレオチド配列を有する核酸分子である。これらのプローブは、標準的な化学的方法により合成され、標識される必要はない。それらは、典型的には、5'又は3'末端のいずれかで固体表面30に固定化される。より詳細に本明細書に開示されるように、チオール-金結合又はアミン-アルデヒド結合のような標準的な化学的架橋技術が、プローブ固定化のために使用され得る。
【0012】
ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ40は、既知のヌクレオチド配列を有し、任意で、一つ以上のラマン標識45又は一つ以上の正の電荷を有するエンハンサーを有する合成核酸を含む。より詳細に本明細書に開示されるように、ラマン標識45は、検出可能な特有のラマン・サインを有する化学化合物である。それらは、核酸配列に共有結合的に付着させられ得る。エンハンサーは、オリゴヌクレオチドのラマン活性を刺激する化合物又は化合物のモエティである。
【0013】
ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ40が、標的配列依存的な反応により表面30に捕獲された場合、ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブと相補的な配列の存在が、対応するラマン標識の存在を検出することにより決定され得る(図2)。捕獲工程は固定化過程であり、それは、配列特異的なハイブリダイゼーション又はライゲーションによってなされ得る。標的配列の相補鎖が標的核酸上に存在しない場合には、標的核酸は固定化されず、従って、ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブは固定化されない。
【0014】
前述のように、ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの集団が、本発明において提供される。各ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブは、検出可能なラマン・シグナルを発生することができる。ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの集団の中のオリゴヌクレオチド・プローブの少なくともいくつかについてのラマン・シグナルは、内因的に発生され得る。標識又は正の電荷を有するエンハンサーが共有結合的に付着していないオリゴヌクレオチドから、検出可能なラマン・シグナルが検出される場合、そのオリゴヌクレオチドは、ラマン・シグナルを「内因的に発生する」。オリゴヌクレオチドがラマン・シグナルを内因的に発生するか否かは、シグナルを検出するために使用されるラマン検出器の感度に依るであろう。本明細書の実施例において例示されるように、プリン残基、特にアデノシン残基を含むオリゴヌクレオチド、及び、例えば、8-アザ-アデニン又はジメチル-アリル-アミノ-アデニンのようなアデノシン誘導体を含むオリゴヌクレオチドは、検出可能なラマン・シグナルを内因的に発生する可能性が高い。
【0015】
ラマン・シグナルを内因的に発生しないか、又は弱いラマン・シグナルを発生するオリゴヌクレオチドは、いくつかの局面において、正の電荷を有するエンハンサーと共有結合的に結合させられる。従って、オリゴヌクレオチドの集団(それらのうちの少なくともいくつかは、正の電荷を有するエンハンサーに共有結合的に付着している)が、本明細書に開示される。本明細書の実施例に例示されるように、例えば、高い割合のピリミジン・ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドは、弱いか又は検出不可能な内因性のラマン活性を有しているかもしれない。これらのオリゴヌクレオチドは、本明細書の実施例に例示されるように、ラマン・シグナルを検出可能にするため、又はオリゴヌクレオチドにより発生される内因性のシグナルを増加させるため、正の電荷を有する基に共有結合的に結合させられ得る。理論により制限されるものではないが、正の電荷を有する基は、SERS表面とのオリゴヌクレオチドの会合及び配向を増加させると考えられる。又は、ピリミジン・リッチなオリゴヌクレオチドは、増強されたラマン・シグナルを入手するため、アデノシン・リッチなオリゴヌクレオチドと完全又は部分的にハイブリダイズさせられ得る。
【0016】
例えば、5個未満、4個、3個、2個、又は1個のプリン残基を含有しているオリゴヌクレオチドは、正の電荷を有するエンハンサーと共有結合的に結合させられるか、又はプリンもしくはアデノシン・リッチなオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせられ得る。他の例において、5個未満、4個、3個、2個、又は1個のアデノシン残基を含有しているオリゴヌクレオチドは、本発明の正の電荷を有するエンハンサーと共有結合的に結合させられるか、又はプリンもしくはアデノシン・リッチなオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせられる。
【0017】
従って、もう一つの態様において、正の電荷を有するエンハンサーを含む核酸に光を照射すること;及び照射された核酸により発生されるラマン・シグナルを検出することを含む、核酸を検出する方法が提供される。ある種の局面において、正の電荷を有するエンハンサーはアミン基である。ある種の例において、核酸は、正の電荷を有するエンハンサーの非存在下では検出可能なシグナルを発生しない。ある種の局面において、核酸は、5個未満、4個、3個、2個、もしくは1個のプリン残基から構成され、かつ/又は10%未満、5%、もしくは1%のプリン残基から構成される。ある種の局面において、核酸はプリン残基を含んでいない。
【0018】
本発明の正の電荷を有するエンハンサーには、オリゴヌクレオチドの相補配列との結合を阻止することなく、オリゴヌクレオチドに付着させられ得る、任意の正の電荷を有する基が含まれる。一般に、ヘテロ原子(即ち、N、O、S、P)を含有している基は、正の電荷を保持しているかもしれない。例えば、正の電荷を有するアミンは、アンモニウム基になり、ヒドロキシル(-OH)はヒドロニウムになり、チオール(-SH)はSH2+になる。これらの正の電荷を有するエンハンサー・モエティをオリゴヌクレオチドに付着させる方法は、容易に利用可能である。一つの非制限的な例において、エンハンサーは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、又は25個の炭素原子のアルキル鎖又はアリール鎖を有する第一級アミンであり得る。正の電荷を有する基は、修飾された塩基又はスペーサーを含有しているオリゴヌクレオチド上の任意の反応性基に付着させられ得る。反応性アミノ基を有するオリゴへのスペーサーの導入は、市販されている(即ち、Qiagen-Operon)。修飾された塩基は、8-アザ-アデニン、ゼアチン、キネチン、N6-ベンゾイルアデニン、4ピリジンカルボキサルドキシム(pyridine carboxal doxime)、ジメチル-アリル-アミノ-アデニンのようなアミン含有塩基であってよく;修飾された塩基は、4-アミノ-6-メルカプトピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、2メルカプト-ベンゾイミダゾール、8-メルカプトアデニン、6-メルカプトプリンのようなチオール含有塩基であってもよい。これらの塩基は、全て、反応性のアミン基又はチオール基による化学的付着により、正の基を保有するよう、さらに修飾され得る。全ての化合物が、化学的な供給元(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)より入手可能である。反応性基を正の基に変換するための化学は、当技術分野において既知である。さらに、本明細書の実施例に例示されるように、正の電荷を有するエンハンサーは、オリゴヌクレオチドの内部、又はオリゴヌクレオチドの5'もしくは3'末端に付着させられ得る。正の電荷を有する基は、任意の適当な方法を使用して付着させられ得ることが理解されるであろう。
【0019】
正の電荷を有する基は、単一の正の電荷を有していてもよいし、又は複数の正の電荷を有していてもよい。ある種の局面において、正の電荷を有する基は、アミノ(又はアンモニウム)基、例えば、第四級アンモニウム標識である(例えば、米国特許第6,268,129号参照)。好適には、アミノ(又はアンモニウム)基は、5'-NH2結合により、又は脂肪族NH2基を含有している塩基をオリゴヌクレオチドの3'末端に付着させることにより、例えば、酵素ターミナルトランスフェラーゼを使用することにより、又は、直接的に、正の電荷を有する基が添加され得る脂肪族NH2基を有するサンガー・チェインターミネーション・プロトコルにおけるターミネーションのための塩基を使用することにより、合成オリゴヌクレオチドに付加される。次いで、(好ましくは、第四級アンモニウム含有化合物である)正の電荷を有する基が、核酸内の脂肪族NH2基に付着させられる。便利には、第四級アンモニウム含有化合物は、脂肪族NH2基と反応するヒドロキシスクシンイミジルエステルを含む。化合物は、例えば、トリメチルアンモニウムヘキシリル(hexyryl)-N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(C5-NHS)であり得る。
【0020】
ある種の局面において、ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの集団は、各々、ラマン標識を含んでいる。多様なラマン標識が、当技術分野において既知であり、オリゴヌクレオチドに付着させられ得、かつオリゴヌクレオチドの相補配列とのハイブリダイゼーションを阻害しないのであれば、本発明の発明において使用され得る。
【0021】
本明細書に開示されたオリゴヌクレオチド・プローブに付着させられ得る、本明細書においてラマン・シグナル分子とも呼ばれるラマン標識の非制限的な例には、TRIT(テトラメチルローダミンイソチオール)、NBD(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール)、テキサスレッド色素、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、クレシル・ファースト・バイオレット(cresyl fast violet)、クレシル・ブルー・バイオレット(cresyl blue violet)、ブリリアント・クレシル・ブルー(brilliant cresyl blue)、パラ-アミノ安息香酸、エリスロシン、ビオチン、ジゴキシゲニン、5-カルボキシ-4',5'-ジクロロ-2',7'-ジメトキシフルオレセイン、TET(6-カルボキシ-2',4,7,7'-テトラクロロフルオレセイン)、HEX(6-カルボキシ-2',4,4',5',7,7'-ヘキサクロロフルオレセイン)、Joe(6-カルボキシ-4',5'-ジクロロ-2',7'-ジメトキシフルオレセイン)、5-カルボキシ-2',4',5',7'-テトラクロロフルオレセイン、5-カルボキシフルオレセイン、5-カルボキシローダミン、Tamra(テトラメチルローダミン)、6-カルボキシローダミン、Rox(カルボキシ-X-ローダミン)、R6G(ローダミン6G)、フタロシアニン、アゾメチン、シアニン(例えば、Cy3、Cy3.5、Cy5)、キサンチン、スクシニルフルオレセイン、N,N-ジエチル-4-(5'-アゾベンゾトリアゾリル)-フェニルアミン、及びアミノアクリジンが含まれる。さらに、ラマン活性標識には、遺伝子プローブにおいて使用するため同定されたものが含まれ得る(例えば、Graham et al.,Chem.Phys.Chem.,2001;Isola et al.,Anal.Chem.,1998)。一つの局面において、ラマン活性標識には、Kneipp et al.,Chem Reviews 99,2957(1999)に開示されたものが含まれる。これら及びその他のラマン標識は、商業的供給元(例えば、Molecular Probes,Eugene,OR)より入手され得る。
【0022】
ラマン活性標識は、ある種の局面において、複合有機無機ナノ粒子を含む(「複合有機無機ナノ粒子(Composite Organic-Inorganic Nanoparticles)」という表題の2003年12月29日出願の米国特許出願第 号を参照のこと(本明細書中、COINナノ粒子又は「COIN」と呼ばれる))。これらの局面においては、捕獲オリゴヌクレオチド・プローブ及びラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの一方又は両方が、COINナノ粒子と会合させられ、SERSを使用して検出される。
【0023】
COINは、第一金属及びラマン活性有機化合物を含む金属コロイドを含むコアと、表面とを含む、ラマン活性プローブ構築物である。COINは、ナノ粒子の表面を覆う層を形成する、第一の金属とは異なる第二の金属を、さらに含むことができる。COINは、金属層を覆う、プローブを含む有機質層をさらに含むことができる。この態様のためのSERS活性ナノ粒子の表面との付着のための適当なプローブには、以下に制限はされないが、抗体、抗原、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、受容体、リガンド等が含まれる。しかしながら、これらの態様に関して、COINは、典型的には、オリゴヌクレオチド・プローブに付着させられる。
【0024】
COINには、適当なSERSシグナルを達成するための金属が本来備わっており、極めて多様なラマン活性有機化合物が粒子へ組み込まれ得る。実際、多数の特有のラマン・サインが、異なる構造、混合物、及び比率のラマン活性有機化合物を含有しているナノ粒子を利用することにより作出され得る。従って、COINを利用した本明細書に記載された方法は、複数個、典型的には10個超の標的核酸からのヌクレオチド配列情報の同時決定のために有用である。さらに、多くのCOINが単一のCOINビーズ・ナノ粒子へ組み込まれ得るため、単一のCOIN粒子からのSERSシグナルは、本明細書に記載されたナノ粒子を含有していないラマン活性材料から得られるSERSシグナルに比べて強力である。この状況は、COINを利用しないラマン技術と比較して増加した感度をもたらす。
【0025】
本発明の方法において使用するためのCOINは、標準的な金属コロイド化学を使用して、容易に調製される。COINの調製は、金属の有機化合物を吸着する能力も活用する。実際、ラマン活性有機化合物は、金属コロイドの形成の間に金属へ吸着されるため、多くのラマン活性有機化合物が、特別な付着化学を必要とすることなく、COINへ組み込まれ得る。
【0026】
一般に、本発明の方法において使用されるCOINは、以下のようにして調製される。適当な金属カチオン、還元剤、及び少なくとも一つの適当なラマン活性有機化合物を含有している水溶液が調製される。次いで、溶液の成分が、中性コロイド金属粒子が形成されるよう、金属カチオンを還元する条件に供される。金属コロイドの形成が、適当なラマン活性有機化合物の存在下で起こるため、ラマン活性有機化合物はコロイド形成の間に金属へ容易に吸着される。この単純な型のCOINは、I型COINと呼ばれる。I型COINは、典型的には、膜ろ過により単離され得る。さらに、異なるサイズのCOINが、遠心分離によって濃縮され得る。
【0027】
別の態様において、COINは、ナノ粒子の表面を覆う層を形成する、第一の金属とは異なる第二の金属を含むことができる。この型のSERS活性ナノ粒子を調製するためには、I型COINが、適当な第二の金属カチオン及び還元剤を含有している水性溶液の中に置かれる。次いで、溶液の成分が、ナノ粒子の表面を覆う金属層が形成されるよう、第二の金属カチオンを還元する条件に供される。ある種の態様において、第二の金属層は、例えば、銀、金、白金、アルミニウム等のような金属を含む。この型のCOINは、II型COINと呼ばれる。II型COINは、I型COINと同様にして単離され、かつ又は濃縮され得る。典型的には、I型及びII型COINは実質的に球状であり、サイズは約20nm〜60nmの範囲である。ナノ粒子のサイズは、検出の間にCOINを照射するために使用される光の波長に対して極めて小さくなるよう選択される。
【0028】
典型的には、オリゴヌクレオチドのような有機化合物は、有機化合物を金属層の表面へ共有結合的に付着させることにより、II型COINにおける第二の金属の層に付着させられる。有機層の金属層への共有結合性の付着は、当業者に周知の多様な方式で、例えば、チオール-金属結合を通して達成され得る。別の態様において、金属層に付着させられた有機分子は、分子ネットワークが形成されるよう、架橋され得る。
【0029】
本発明の方法において使用されるCOINは、例えば、酸化鉄等のような磁性材料を含有しているコアを含み得る。磁性COINは、一般に入手可能な磁性粒子取り扱いシステムを使用して、遠心分離なしで取り扱われ得る。実際、磁気は、特定の生物学的プローブでタグ化された磁性COIN粒子に付着させられた生物学的標的を分離するためのメカニズムとして使用され得る。
【0030】
もう一つの型のラマン標識は、多環式芳香族化合物である。使用され得るその他の標識には、シアニド、チオール、塩素、臭素、メチル、リン、及び硫黄が含まれる。ある種の態様において、カーボン・ナノチューブが、ラマン標識として使用され得る。ラマン分光法における標識の使用は、既知である(例えば、米国特許第5,306,403号及び第6,174,677号)。
【0031】
ラマン活性標識は、プローブに直接付着させられてもよいし、又は様々なリンカー化合物を介して付着させられてもよい。ラマン標識に共有結合的に付着させられるヌクレオチドは、標準的な商業的な供給元(例えば、Roche Molecular Biochemicals,Indianapolis,IN;Promega Corp.,Madison,WI;Ambion,Inc.,Austin,TX;Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)より入手可能である。他の分子、例えば、ヌクレオチド又はアミノ酸と共有結合的に反応するよう設計された反応性基を含有しているラマン標識は、市販されている(例えば、Molecular Probes,Eugene,OR)。
【0032】
ある種の局面において、ラマン標識は、SERSにより検出される前に、SERS基質上に沈着させられる。基質上にラマン・シグナル分子を沈着させる方法は、当技術分野において既知である。検出手段又は検出ユニットは、ラマン分光法によりヌクレオチドを検出しかつ/又は定量するために設計され得る。ラマン分光法によるヌクレオチドの検出のための様々な方法は、当技術分野において既知である。(例えば、米国特許第5,306,403号;第6,002,471号;第6,174,677号参照)。しかしながら、標識されたヌクレオチド又は未標識のヌクレオチドの単分子レベルでのラマン検出は、従来証明されていない。表面増強ラマン分光法(SERS)又は表面増強共鳴ラマン分光法(SERRS)のバリエーションが開示されている。SERS及びSERRSにおいて、銀、金、白金、銅、又はアルミニウム表面のような粗化金属表面に吸着された分子では、ラマン検出の感度が106倍以上増強される。
【0033】
検出手段又は検出ユニットの非制限的な例は、米国特許第6,002,471号に開示されている。この態様において、励起ビームは、532nm波長のNd:YAGレーザー又は365nm波長のTi:サファイア・レーザーのいずれかにより発生される。パルス・レーザー・ビーム又は連続レーザー・ビームが使用され得る。励起ビームは、共焦点レンズ及び顕微鏡対物レンズを通り抜けて、反応チャンバーへ収束する。ヌクレオチドからのラマン放射光は、顕微鏡対物レンズ及び共焦点レンズにより収集され、スペクトルの解離のためモノクロメーターに連結される。共焦点レンズは、バックグラウンド・シグナルを低下させるための二色フィルター、バリア・フィルター、共焦点ピンホール、レンズ、及びミラーの組み合わせを含んでいる。標準的な全視野レンズが、共焦点レンズと同様に使用され得る。ラマン放射シグナルは、ラマン検出器により検出される。検出器は、シグナルの計数及びディジタル化のためコンピュータとインターフェース接続されたアバランシェ・フォトダイオードを含む。ある種の態様において、銀、金、白金、銅、又はアルミニウムを含むメッシュが、表面増強ラマン又は表面増強ラマン共鳴による増加したシグナルを提供するために、反応チャンバー又はチャンネルの中に含まれ得る。又は、ラマン活性金属を含んでいるナノ粒子が含まれ得る。
【0034】
単光子計数モードで作動するガリウム砒素光電子増倍管を装備したスペックス・モデル(Spex Model)1403二重格子分光光度計(RCA Model C31034又はBurle Industries Model C3103402)を含む、検出手段又は検出ユニットの別の態様は、例えば、米国特許第5,306,403号に開示されている。励起源は、スペクトラフィジックス(SpectraPhysics)モデル166からの514.5nmライン・アルゴン-イオン・レーザー及びクリプトン-イオン・レーザーの647.1nmライン(Innova 70,Coherent)である。
【0035】
別の励起源には、337nmの窒素レーザー(Laser Science Inc.)及び325nmのヘリウム-カドミウム・レーザー(Liconox)(米国特許第6,174,677号)が含まれる。励起ビームは、バンドパス・フィルター(Corion)によりスペクトル的に精製され得、6×対物レンズ(Newport,Model L6X)を使用して反応チャンバーに収束させられ得る。対物レンズは、励起ビーム及び放射されたラマン・シグナルについて直角幾何学を生ずるため、ホログラフィック・ビーム・スプリッター(Kaiser Optical Systems,Inc.,Model HB 647-26N18)を使用することにより、ヌクレオチドを励起するためにも、ラマン・シグナルを収集するためにも使用され得る。ホログラフィック・ノッチ・フィルター(Kaiser Optical Systems,Inc.)は、レイリー散乱放射を低下させるために使用され得る。別のラマン検出器には、赤色増強型強化型(red-enhanced intensified)電荷結合素子(RE-ICCD)検出システムを装備したISA HR-320スペクトログラフ(Princeton Instruments)が含まれる。電荷注入素子、フォトダイオード・アレイ、又はフォトトランジスター・アレイのような、その他の型の検出器も使用され得る。
【0036】
以下に制限はされないが、通常のラマン散乱、共鳴ラマン散乱、表面増強ラマン散乱、表面増強共鳴ラマン散乱、コヒーレント・アンチ・ストークス・ラマン(coherent anti-Stokes Raman)分光法(CARS)、誘導ラマン散乱、逆ラマン分光法、誘導利得ラマン分光法、ハイパーラマン散乱、モレキュラー・オプティカル・レーザー・イグザミナー(molecular optical laser examiner)(MOLE)又はラマン・マイクロプローブ又はラマン顕微鏡検又は共焦点ラマン顕微分光法、三次元又は走査型ラマン、ラマン飽和分光法、時間分解共鳴ラマン、ラマン・デカップリング分光法、又はUV-ラマン顕微鏡検を含む、当技術分野において既知の任意の適当な型又は配置のラマン分光法又は関連技術が、ヌクレオチドの検出のために使用され得る。
【0037】
ラマン標識は、オリゴヌクレオチド・プローブの合成の前にヌクレオチドへ組み込まれ得る。例えば、アデニン(A)位及びグアニン(G)位における共有結合性付着のための内部アミノ修飾が企図される。内部付着は、市販されているホスホラミダイトを使用して、チミン(T)位においても実施され得る。いくつかの態様において、A位及びG位におけるプロピルアミン・リンカーを有するライブラリー・セグメントが、シグナル分子をコードされたプローブに付着させるために使用され得る。内部アミノアルキル・テールの導入は、シグナル分子の合成後付着を可能にする。リンカーは、シンセティック・ジェネティクス(Synthetic Genetics)(San Diego,CA)のような供給元より購入され得る。本発明の一つの態様において、シグナル分子の適切なホスホラミダイト誘導体を使用した自動カップリングも企図される。そのようなシグナル分子は、オリゴヌクレオチド合成の間に5'末端にカップリングされ得る。
【0038】
一般に、ラマン標識は、核酸とのハイブリダイゼーションのような、コードされたプローブの標的分子との結合を容易にするため、シグナル分子による立体障害を最小限に抑えるような様式で、プローブに共有結合的に付着させられるであろう。ある程度の可動性をコードされたプローブに提供するリンカーが使用され得る。同種又は異種の二官能性リンカーが、様々な商業的な供給元より入手可能である。
【0039】
オリゴヌクレオチド塩基との付着点は、塩基によって異なるであろう。任意の位置における付着が可能であるが、ある種の態様において、付着は、相補塩基との水素結合に関与しない位置で起こる。従って、例えば、付着は、ウリジン、シトシン、及びチミンのようなピリミジンの5位又は6位で行われ得る。アデニン及びグアニンのようなプリンの場合、結合は8位を介して行われ得る。
【0040】
この態様において提供される方法を使用して決定される標的核酸の核酸配列は、標的ヌクレオチド位置における単一のヌクレオチドの存在から完全な標的核酸の配列にまで及ぶ。ある種の局面において、標的位置は一塩基多型位置である。
【0041】
又は、標的核酸の標的セグメントの隣接した位置における一連のヌクレオチド存在が決定され得る。標的セグメントは、例えば、捕獲オリゴヌクレオチド・プローブ及びラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの合わせた長さ以下であり得る。例えば、10ヌクレオチドの捕獲プローブ及び20ヌクレオチドのラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブが使用される場合、標的セグメントは30ヌクレオチド以下であり得る。もう一つの非制限的な例として、標的セグメントは、ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの長さ以下であり得る。従って、例えば、ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブが10マーである場合、標的セグメントは10塩基以下であり得る。
【0042】
いくつかの局面において、標的核酸全体のヌクレオチド配列が決定される。これは、典型的には、当技術分野に既知の方法を使用して、検出された標的配列を整列化することにより行われる。標的配列は、例えば、整列化過程を促進するためにオーバラップする配列であり得る。いくつかの局面において、標的核酸配列の断片が別々に分析され、次いで、標的核酸分子全体のヌクレオチド配列を決定するため、これらの別々の分析からのデータが組み合わせられる。標的核酸分子の断片は、エンドヌクレアーゼ分解のような既知の方法を使用して入手され得る。さらに、理解されるように、標的核酸又はその断片は、典型的には、ハイブリダイゼーション法による配列決定において一本鎖核酸として利用される。例えば、標的核酸分子は、プローブと接触させられる前に、変性させられ得る。
【0043】
ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブのラマン・サインは、ラマン走査により入手される。例えば、表面増強ラマン分光法(SERS)が使用され得る。SERSラマン走査は、典型的には、マイクロメートル又はナノメートルのスケールで実施される。典型的には、個々のラマン・プローブのラマン・スペクトルが記録される。
【0044】
上に示され、図2に例示されるように、ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ40は、既知の配列を有するオリゴヌクレオチド・プローブ55を含み、任意で、配列特異的ラマン標識45(本明細書中、ラマン・タグとも呼ばれる)又は正の電荷を有するエンハンサー60を含む。本態様の方法においては、捕獲オリゴヌクレオチド・プローブ20、結合した標的分子10、及び結合したラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ40を含む、固定化されたプローブ複合体70が形成される。図2に例示されるように、ラマン分光法により検出される銀コロイド-ラマン標識複合体80が形成されるよう、一価の塩の存在下で、銀コロイド又はその他のナノ粒子が、オリゴヌクレオチド及び/又はラマン標識と共に凝集させられ得る。金属コロイドは、予め作成されてもよいし、又はインサイチューで合成されてもよい。
【0045】
ラマン活性プローブ分子のSERS走査は、高感度の検出法を提供する。実際、単一のヌクレオチドがSERSによって検出され得ることが報告された。正の電荷を有するエンハンサーの付着のような、ヌクレオチドの化学的修飾によって、より高いラマン活性が入手され得る。従って、伝統的な方法に必要とされるより少ないコピー数の標的核酸及び捕獲オリゴヌクレオチド・プローブが、検出のために必要とされる。従って、1000分子以下、500分子以下、250分子以下、125分子以下、100分子以下、50分子以下、25分子以下、20分子以下、15分子以下、10分子、9分子、8分子、7分子、6分子、5分子、4分子、3分子、2分子、又は1分子という少ないラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブが検出される。
【0046】
ラマン・サインは、プローブに対応する核酸部分配列へと翻訳される。ある種の局面において、捕獲オリゴヌクレオチド・プローブのヌクレオチド配列は、基質上のそれらの位置により決定され、ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの配列は、ラマン・サインにより決定され、いくつかの例においては、基質上のそれらの位置によっても決定される。従って、典型的には、標的核酸の配列又はその断片の配列(即ち、部分配列)は、捕獲プローブ配列及びラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ配列の両方により決定される。標的分子の完全配列は、核酸部分配列を整列化することにより推定され得る。
【0047】
配列情報を解読するためにハイブリダイジング・オリゴヌクレオチドの同定を使用する方法は、当技術分野において既知である。例えば、本明細書に含まれるハイブリダイゼーションによる配列決定に関連した引用された参照は、ハイブリダイゼーション結果による配列決定に基づくポリヌクレオチド配列情報を解読するための詳細な方法を提供する。多数のナノ粒子読み取りから収集されたデータは、配列整列化原理に基づきポリヌクレオチド配列を決定するために使用される(例えば、Laser Gene program(DNA Star,Mountain View,CA参照)。バイオインフォマティクス企業及び政府機関が、DNA配列を決定するために必要なツール、サービス、及びデータ処理のためのその他の関連ツールを提供している。
【0048】
上に示されたように、典型的には、本明細書に開示されたラマン分光法を使用したハイブリダイゼーションによる配列決定の方法には、二つのプローブ集団が含まれる。標識されたオリゴヌクレオチド・プローブの集団は、本明細書中、「標識されたオリゴヌクレオチド・ライブラリー」とも呼ばれる。標識されたオリゴヌクレオチドの集団は、典型的には、プローブ部分とも呼ばれる、既知のヌクレオチド配列の部分を含むハイブリダイゼーション・プローブである。オリゴヌクレオチド・プローブの集団には、捕獲オリゴヌクレオチド・プローブの集団及びラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの集団が含まれる。
【0049】
ある種の局面において、プローブ、特にラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの集団は、オリゴヌクレオチドの長さ以下のあらゆる可能な順列に相当するヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドを含む。典型的には、集団内のヌクレオチドの全てが同一の長さを有する。例えば、ある種の局面において、オリゴヌクレオチドは、250ヌクレオチド以下、200ヌクレオチド以下、100ヌクレオチド以下、50ヌクレオチド以下、25ヌクレオチド以下、20ヌクレオチド以下、15ヌクレオチド以下、10ヌクレオチド以下、9ヌクレオチド以下、8ヌクレオチド以下、7ヌクレオチド以下、6ヌクレオチド以下、5ヌクレオチド以下、4ヌクレオチド以下、又は3ヌクレオチド以下の長さを有する。例えば、制限的なものではないが、オリゴヌクレオチドは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、200、又は250ヌクレオチド長である。例えば、標識されたプローブの集団は、2〜50ヌクレオチドの同一の長さ、又は例えば3〜25ヌクレオチドの同一の長さのプローブを含む。例えば、標識されたオリゴヌクレオチド・プローブの集団は、3ヌクレオチド長のあらゆる可能なオリゴヌクレオチド・プローブを含み得る。
【0050】
ある種の局面において、標識されたオリゴヌクレオチドの集団は、少なくとも10、20、30、40、50、100、200、250、500、1000、10,000、又はそれ以上のオリゴヌクレオチドを含む。例えば、集団は、ハイブリダイゼーション反応による少なくともいくつかの配列決定について既知であるように、同一の長さのオリゴヌクレオチドの可能なヌクレオチド配列の組み合わせの実質的に全て、又は全てを含み得る(例えば、米国特許第5,002,867号参照)。所定の長さの可能なヌクレオチド配列の組み合わせの実質的に全てには、ハイブリダイズする標的核酸の明白な検出を可能にするために十分な、可能なヌクレオチド配列が含まれる。
【0051】
ラマン活性オリゴヌクレオチドの集団に関して、標識されたプローブは、各々、特有のラマン・シグナルを発生することができる。本明細書において使用されるような特有のラマン・シグナルとは、集団内で使用された他のラマン標識の他のラマン・サインから識別可能なラマン・サインを提供するラマン・シグナルである。
【0052】
一つの態様において、鋳型核酸内の標的ヌクレオチド位置のヌクレオチド存在を検出する方法が提供される。本法は、鋳型核酸を、標的ヌクレオチド位置のすぐ5'で標的核酸と結合する一つ以上の捕獲オリゴヌクレオチド・プローブ、及び3'ヌクレオチドに標的ヌクレオチド位置を含む標的領域と結合する二つ以上の標識されたオリゴヌクレオチド・プローブと接触させることを含む。これらの局面は、例えば、一塩基多型(SNP)におけるヌクレオチド存在を決定するために有用である。
【0053】
ある種の局面において、ヌクレオチド配列を決定する方法は、任意でライゲーション反応をさらに含む。ライゲーション反応は、典型的には、捕獲オリゴヌクレオチド・プローブの、標的核酸の隣接領域と結合するラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブとのライゲーションを含む。隣接オリゴヌクレオチドがライゲートさせられた後、基質に固定化されていないオリゴヌクレオチドは、例えば、温度を上昇させることにより、又は核酸を変性させるため反応物のpHを変化させることにより、除去され得る。基質に直接的又は間接的に固定化されていないオリゴヌクレオチドは、洗浄除去され得、固定化されたオリゴヌクレオチドは、SERSを使用して検出され得る。ライゲーション及び洗浄の工程は、反応の特異性を増加させる。
【0054】
従って、図1に示されるように、捕獲オリゴヌクレオチド・プローブ20は、基質30上の様々なスポット25(図1中、A及びB)に固定化され得る。ライゲーション工程を含む局面においては、標的核酸10が、ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ40及び捕獲オリゴヌクレオチド・プローブ20の両方に相補的な標的セグメントを含んでいる場合にのみ、ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ40が捕獲オリゴヌクレオチド・プローブ20とライゲートする。この局面において、ヌクレオチド配列は、ライゲートしたラマン・プローブのラマン・サイン及び捕獲プローブの対応する位置に基づき決定される。
【0055】
隣接した標識されたオリゴヌクレオチド・プローブは、既知の方法を使用して共にライゲートさせられ得る(例えば、米国特許第6,013,456号参照)。プライマー非依存性のライゲーションは、少なくとも6〜8塩基長のオリゴヌクレオチドを使用して達成され得る(Kaczorowski and Szybalski,Gene 179:189-193,1996;Kotler et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:4241-45,1993)。核酸鋳型とハイブリダイズしているオリゴヌクレオチド・プローブをライゲートさせる方法は、当技術分野において既知である(米国特許第6,013,456号)。隣接したオリゴヌクレオチド・プローブの酵素的ライゲーションは、T4、T7、もしくはTaqリガーゼ、又は大腸菌DNAリガーゼのようなDNAリガーゼを利用し得る。酵素的ライゲーションの方法は既知である(例えば、Sambrook et al.,1989)。
【0056】
当技術分野において既知であるように、本明細書において提供される核酸配列決定法は、ハイブリダイゼーション反応による配列決定である。既知の配列の一つ以上のオリゴヌクレオチド・プローブが、標的核酸配列とハイブリダイズさせられる。標識されたオリゴヌクレオチドの標的との結合は、標的鎖内の相補配列の存在を示す。多数の標識されたプローブが同時に標的分子とハイブリダイズさせられ、同時に検出され得る。別の態様において、個々の標的分子と付着した結合したプローブが同定されてもよいし、又は、複数コピーの特異的標的分子が、同時に、オーバラップするプローブ配列のセットと結合させられてもよい。個々の分子は、例えば、検出モードと連結された既知の分子コーミング技術を使用してスキャンされ得る(例えば、Bensimon et al.,Phys.Rev.Lett.74:4754-57,1995;Michalet et al.,Science 277:1518-23,1997;米国特許第5,840,862号;第6,054,327号;第6,225,055号;第6,248,537号;第6,265,153号;第6,303,296号、及び第6,344,319号参照)。
【0057】
所定の標的核酸が、標的配列を完全に覆う近接プローブ配列とハイブリダイズする可能性は低い。むしろ、複数コピーの標的が、標識されたオリゴヌクレオチドのプールとハイブリダイズさせられ得、各々から部分配列データが収集され得る。部分配列は公に入手可能なショットガン配列編集プログラムを使用して、完全な標的核酸配列へと編集され得る。部分配列は、標識されたオリゴヌクレオチド・プローブのライブラリーと、例えば液相中で、同時に結合させられる標的分子の集団からも編集され得る。
【0058】
捕獲プローブが固定化される基質は、重合体、プラスチック、樹脂、多糖、シリカ又はシリカに基づく材料、炭素、金属、無機ガラス、膜であり得る。例えば、基質は、金属、ガラス、又はプラスチックであり得る。一つの局面において、表面は、光学的に透明で、シリカ表面上に見出されるもののような表面Si--OH官能を有している。
【0059】
オリゴヌクレオチド・プローブのような分子の表面への付着及び整列化のための方法及び装置は、当技術分野において既知である(例えば、Bensimon et al.,Phys.Rev.Lett.74:4754-57,1995;Michalet et al.,Science 277:1518-23,1997;米国特許第5,840,862号、第6,054,327号;第6,225,055号;第6,248,537号;第6,265,153号;第6,303,296号、及び第6,344,319号参照)。表面の非制限的な例には、ガラス、官能化ガラス、セラミック、プラスチック、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PVP(ポリビニルピロリドン)、ゲルマニウム、シリコン、石英、ガリウム砒素、金、銀、ナイロン、ニトロセルロース、又は捕獲プローブを表面に付着させ得る当技術分野において既知のその他の任意の材料が含まれる。付着は、共有結合性又は非共有結合性の相互作用によるものであり得る。本発明のある種の態様において、表面はガラススライド又はカバーガラスの形態をとるが、表面の形は制限されず、表面は任意の形であり得る。本発明のいくつかの局面において、表面は平面である。
【0060】
核酸固定化は、典型的には、捕獲プローブを基質へ固定化するために、本発明において使用される。核酸の固定化は、当技術分野において既知の多様な方法によって達成され得る。例えば、固定化は、ストレプトアビジン又はアビジンで基質をコーティングし、その後、ビオチン化核酸を付着させることにより達成され得る(Holmstrom et al.,Anal.Biochem.209:278-283,1993)。固定化は、ポリE-Lys(リジン)でシリコン、ガラス、又はその他の基質をコーティングした後、二官能性架橋試薬を使用して、アミノ又はスルフヒドリルで修飾された核酸を共有結合的に付着させることによっても実施され得る(Running et al.,BioTechniques 8:276-277,1990;Newton et al.,Nucleic Acids Res.21:1155-62,1993)。アミン残基は、架橋のためのアミノシランの使用を通して基質へ導入され得る。
【0061】
固定化は、5'リン酸化核酸の、化学的に修飾された基質との直接の共有結合性付着により行われ得る(Rasmussen et al.,Anal.Biochem.198:138-142,1991)。核酸と基質との間の共有結合は、水溶性カルボジイミド又はその他の架橋試薬を用いた縮合により形成される。この方法は、主に、5'-リン酸を介した核酸の5'-付着を容易にする。例示的な修飾された基質には、ガラス上にSiOH基を露出している、酸浴中で処理されたガラススライド又はカバーガラスが含まれるであろう(米国特許第5,840,862号)。
【0062】
DNAは、一般的には、まずグラス基質をシラン処理し、次いで、カルボジイミド又はグルタルアルデヒドにより活性化することにより、ガラスと結合させられる。別の手法は、分子の3'又は5'末端のいずれかに組み込まれたアミノ・リンカーを介して連結されたDNAと共に、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GOP)、ビニルシラン、又はアミノプロピルトリメトキシシラン(APTS)のような試薬を使用することができる。DNAは、紫外線を使用して、膜基質に直接結合させられ得る。核酸の固定化技術のその他の非制限的な例は、米国特許第5,610,287号、第5,776,674号、及び第6,225,068号に開示されている。コバリンク(Covalink)、コスター(Costar)、エスタポール(Estapor)、バングス(Bangs)、及びダイナル(Dynal)のような、市販されている核酸結合用の基質が利用可能である。熟練した当業者であれば、開示された方法が、核酸の固定化に制限されず、例えば、オリゴヌクレオチドによりコードされたプローブの一端又は両端を基質に付着させるためにも使用され得ることを理解するであろう。
【0063】
核酸又はその他の標的分子の固定化のために使用される基質の型は、制限されない。本発明の様々な態様において、固定化基質は、磁性ビーズ、非磁性ビーズ、平面状基質、又はその他の任意のコンフォメーションのほぼ任意の材料を含む固体基質であり得る。使用され得る基質の非制限的な例には、ガラス、シリカ、ケイ酸、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、銀又はその他の金属によりコーティングされた基質、ニトロセルロース、ナイロン、活性化石英、活性化ガラス、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリ(塩化ビニル)又はポリ(メタクリル酸メチル)のようなその他の重合体、並びに核酸分子との共有結合性の結合を形成することができるニトレン、カルベン、及びケチル・ラジカルのような光反応性種を含有しているフォトポリマー(米国特許第5,405,766号及び第5,986,076号参照)が含まれる。
【0064】
二官能性架橋試薬は、本発明の様々な態様において使用され得る。二官能性架橋試薬は、官能基、例えば、アミノ、グアニジノ、インドール、又はカルボキシルに特異的な基の特異性によって分類され得る。これらのうち、遊離アミノ基に差し向けられる試薬は、市販されており、合成が容易であり、かつ温和な反応条件が適用され得るため、頻用されている。例示的な分子架橋法は、米国特許第5,603,872号及び第5,401,511号に開示されている。架橋試薬には、グルタルアルデヒド(GAD)、二官能性オキシラン(OXR)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDE)、及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)のようなカルボジイミドが含まれる。
【0065】
ある種の局面において、本明細書に開示された方法のための基質は、バイオチップである。図3は、本発明において提供されるバイオチップ及び方法を使用した、標的核酸の配列決定のためのバイオチップ設計及び方法の例を提供する。この例によるバイオチップは、多くのプローブ・エリア310を含有している。プローブ・エリア310(例えば「A」又は「B」)は、各々、多重捕獲プローブセット320(例えば、1及び2)を有している。各捕獲プローブ・セット350内の捕獲プローブ20は、同じ配列を有している。換言すると、スポット1A及び1Bの捕獲プローブ20は、同じヌクレオチド配列を有しているが、別々のコンパートメント・エリアに位置している。多くのラマン・プローブ・セット320が作成される(例えば「a」及び「b」)。
【0066】
各ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ・セット350は、異なるラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ40のプールである。各セットは複数のオリゴヌクレオチドを有しており、各オリゴヌクレオチドは特有の標識を有している。ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ40を調製するためには、同じ配列のプローブ分子が合成され、この例によると、特有のラマン標識45が各分子55に付着させられる(即ち、同じヌクレオチド配列は同じラマン標識45を有する)。異なるヌクレオチド配列及び異なるラマン標識45を有する多くのラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ40が、ラマン・プローブ・セット340が形成されるよう、プールされ得る。ラマン・プローブ40の異なるセット350は、異なるプローブ配列55によって形成され得る。しかしながら、同じラマン標識45が、複数のラマン・プローブ・セット320において使用されてもよい。従って、ラマン・プローブ配列55は、そのセットID及びそのラマン標識によって同定され得る。例えば、増幅されていない生物学的試料からの多コピーの標的配列10が、短いオーバーラップするセグメントへと断片化される場合、それらはチップ上の捕獲プローブ20とハイブリダイズし得る。ラマン・プローブ・セット350がプローブ・エリア310に別々に添加された場合、ラマン・プローブ40は標的核酸分子10とハイブリダイズするであろう。リガーゼの存在下で、捕獲プローブ分子20及びラマン・プローブ分子40は接合され得、それにより、標的配列依存的にラマン・プローブ分子40が固定化され得る。個々のラマン・プローブ45は、SERS走査によって検出され得る。最後に、標的配列は分離される。
【0067】
従って、ある種の局面において、第一のラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ40の集団が、一連のスポット340の第一のスポットにおいてプローブ-標的二重鎖核酸と接触させられ、第二のラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ40の集団が、その一連のスポットの第二のスポット340においてプローブ-標的二重鎖核酸と接触させられ、第一のラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ40の集団及び第二のラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ40の集団は、少なくとも一つの異なるオリゴヌクレオチド・プローブを含んでいる。さらに、第一のラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ40の集団及び第二のラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ40の集団は、同一のラマン標識45を有するが、標識45が結合した異なるオリゴヌクレオチド55を有するラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ40を少なくとも一つ含む。さらに、ある種の局面において、各スポット位置は、異なる捕獲オリゴヌクレオチド・プローブ20を含み得る。さらに、一連のスポット位置は、同一の捕獲オリゴヌクレオチド・プローブ20を有するスポット位置及び異なる捕獲オリゴヌクレオチド・プローブ20を有するスポット位置を含んでいる。
【0068】
もう一つの態様において、光源を有するラマン分光計、光源と光学的に連絡しているラマン活性表面、及び正の電荷を有するエンハンサーと会合した検出不可能なオリゴヌクレオチドを含むラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブ(ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブはラマン活性表面に沈着している)の集団を含む検出系が提供される。本明細書に示されるように、正の電荷を有するエンハンサーは、例えば、アミン基エンハンサーであり得る。この系は、記述されるように、ラマン標識されたオリゴヌクレオチド・プローブを使用したハイブリダイゼーションによる配列決定の方法を実施するために使用される。
【0069】
理解されるように、本明細書に開示された方法を使用して作成された配列決定データは、生物医学的研究及び臨床診断のために使用され得る。例えば、本明細書に開示された方法は、大規模なゲノム配列決定、配列比較、遺伝子型決定、疾患相関、薬開発、病原体検出、及び遺伝子スクリーニングのための配列情報を作成するために使用され得る。例えば、本明細書に開示された方法は、ある疾患に関係している一塩基多型、遺伝子の断片、又は完全遺伝子の配列のような、対象の一次配列情報を決定するために使用され得る。従って、本法は、疾患を診断するため、又は予後情報を提供するため、使用され得る。
【0070】
ある種の局面において、標的分子は、本発明の方法により検出される前に、生物学的試料から単離される。例えば、生物学的試料は、哺乳動物対象、例えばヒト対象に由来し得る。生物学的試料は、対象由来の事実上任意の生物学的試料、特に、RNA又はDNAを含有している試料であり得る。生物学的試料は、例えば、尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、大便、痰、脳脊髄液、涙、粘液等である。生物学的試料は、例えば、1〜10,000,000個;1000〜10,000,000個;又は1,000,000〜10,000,000個の体細胞を含有している組織試料であり得る。試料は、本発明の方法にとって十分なRNA又はDNAを含有している限り、完全な細胞を含有している必要はなく、いくつかの局面においては、わずか1分子のRNA又はDNAを必要とする。生物学的試料が哺乳動物対象由来である本発明の局面によると、生物学的試料又は組織試料は、任意の組織に由来し得る。例えば、組織は、手術、生検、スワブ、大便、又はその他の収集法によって入手され得る。
【0071】
その他の局面において、生物学的試料は、病原体、例えば、ウイルス性又は細菌性の病原体を含有している。しかしながら、ある種の局面において、鋳型核酸は、プローブと接触させられる前に、生物学的試料から精製される。単離された鋳型核酸は、増幅されずに、反応混合物と接触させられ得る。
【0072】
本明細書において使用されるように、「約」とは、ある値の10パーセント以内を意味する。例えば、「約100」は、90〜110の値を意味するであろう。
【0073】
「核酸」には、一本鎖、二本鎖、又は三本鎖のDNA、RNA(リボ核酸)、及びそれらの任意の化学的修飾が包含される。事実上任意の核酸の修飾が企図される。「核酸」は、2塩基以上のオリゴヌクレオチドから全長染色体DNA分子まで、ほぼ任意の長さのものであり得る。核酸には、以下に制限はされないが、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドが含まれる。本明細書において使用されるような「ポリヌクレオチド」は、少なくとも25ヌクレオチドを含む核酸である。
【0074】
多型とは、集団内に存在する対立遺伝子バリアントである。多型は、遺伝子座に存在する単一のヌクレオチドの差違であってもよいし、又は一つもしくは少数のヌクレオチドの挿入もしくは欠失であってもよい。そのため、一塩基多型(SNP)は、ヒト・ゲノムのようなゲノムの特定の遺伝子座における1個、2個、3個、又は4個のヌクレオチド存在(即ち、アデノシン、シトシン、グアノシン、又はチミジン)の集団内の存在を特徴とする。本明細書に示されるように、本明細書に開示された方法は、SNP位置におけるヌクレオチド存在の検出、又は哺乳動物のような二倍体生物のためのSNP位置における両方のゲノムにおけるヌクレオチド存在の検出を提供する。さらに、本明細書に開示された方法は、単一の反応における複数のSNPの検出、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、25個、50個、100個、又はそれ以上のSNPの検出を提供する。
【0075】
「標的」又は「アナライト」分子とは、以下に制限はされないが、核酸、タンパク質、脂質、及び多糖を含む、標識されたプローブと結合することができる任意の分子である。方法のいくつかの局面において、標識されたプローブの標的分子との結合は、試料中の標的分子の存在を検出するために使用され得る。
【0076】
本明細書に提供された方法を使用して配列決定される核酸分子は、当技術分野において既知の任意の技術によって調製され得る。本発明のある種の態様において、核酸は、天然に存在するDNA分子又はRNA分子である。以下に制限はされないが、染色体DNA、ミトコンドリアDNA、及び葉緑体DNA、並びにリボソームRNA、トランスファーRNA、ヘテロ核RNA、及びメッセンジャーRNAを含む事実上任意の天然に存在する核酸が、開示された方法によって配列決定され得る。いくつかの態様において、分析される核酸は、細胞、組織、又は器官の粗ホモジネート又は抽出物の中に存在し得る。その他の態様において、核酸は、分析の前に部分的又は完全に精製され得る。別の態様において、分析される核酸分子は、当技術分野において既知の化学合成、又は多様な核酸の増幅、複製、及び/もしくは合成の方法によって調製され得る。
【0077】
本発明の方法は、いくつかの局面において、細胞から単離された核酸を分析する。様々な型の細胞の核酸を精製する方法は、既知である(例えば、Guide to Molecular Cloning Techniques,eds.Berger and Kimmel,Academic Press,New York,NY,1987;Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,eds.Sambrook,Fritsch and Maniatis,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY,1989)。引用された参照に開示された方法は、例示に過ぎず、当技術分野において既知の任意のバリエーションが使用され得る。一本鎖DNA(ssDNA)が分析される場合、ssDNAは、任意の既知の方法によって、二本鎖DNA(dsDNA)から調製され得る。そのような方法は、dsDNAを加熱し、鎖を分離させることを含んでいてもよいし、又はM13へのクローニングのような既知の増幅もしくは複製の方法によるdsDNAからのssDNAの調製を含んでいてもよい。任意のそのような既知の方法が、ssDNA又はssRNAを調製するために使用され得る。
【0078】
本発明のある種の態様は、ポリヌクレオチドのような天然に存在する核酸の分析に関係しているが、事実上任意の型の核酸が使用され得る。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR3)増幅のような様々な増幅技術により調製された核酸が分析され得る(米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、及び第4,800,159号参照)。又は、分析される核酸は、プラスミド、コスミド、BAC(細菌人工染色体)、又はYAC(酵母人工染色体)のような標準的なベクターにクローニングされてもよい(例えば、Berger and Kimmel,1987;Sambrook et al.,1989参照)。核酸インサートは、例えば、適切な制限エンドヌクレアーゼによる切り出しの後、アガロース・ゲル電気泳動によってベクターDNAから単離され得る。核酸インサートの単離の方法は、当技術分野において既知である。開示された方法は、分析される核酸の起源に関して制限されず、原核生物、細菌、ウイルス、真核生物、哺乳動物、及び/又はヒトを含む任意の型の核酸が、特許請求の範囲に記載された主題の範囲内で分析され得る。
【0079】
本発明の様々な態様において、後述のように、複数コピーの核酸が、標識されたオリゴヌクレオチド・プローブのハイブリダイゼーションによって分析され得る。例えば、様々な増幅及び/又は複製の方法による、単一の核酸の調製及び複数コピーの形成は、当技術分野において既知である。又は、単一の核酸インサートを含有しているBAC、YAC、プラスミド、ウイルス、又はその他のベクターのような単一のクローンを単離し、培養し、インサートを分析のため除去し精製することが可能である。精製された核酸インサートをクローニングし入手する方法は、当技術分野において周知である。
【0080】
本発明の様々な態様において、標的核酸の、標識されたオリゴヌクレオチドの集団とのハイブリダイゼーションは、完全に相補的な核酸配列間のハイブリダイゼーションのみを可能にするストリンジェントな条件の下で実施され得る。低ストリンジェンシー・ハイブリダイゼーションは、一般に、20℃〜50℃の温度範囲で0.15M〜0.9M NaClで実施される。高ストリンジェンシー・ハイブリダイゼーションは、一般に、50℃〜70℃の温度範囲で0.02M〜0.15M NaClで実施される。適切なストリンジェンシーの温度及び/又はイオン強度は、オリゴヌクレオチド・プローブの長さ、標的配列の塩基含有量、及びハイブリダイゼーション混合物中のホルムアミド、塩化テトラメチルアンモニウム、又はその他の溶媒の存在により、一部、決定されることが理解される。上に言及された範囲は、一例であり、特定のハイブリダイゼーション反応のための適切なストリンジェンシーは、陽性対照及び/又は陰性対照との比較によりしばしば経験的に決定される。当業者であれば、正確に相補的な核酸配列間のストリンジェントなハイブリダイゼーションのみを可能にするハイブリダイゼーション条件をルーチンに調整することができよう。
【0081】
所定の標的核酸が、標的配列を完全に覆う近接プローブ配列とハイブリダイズする可能性は低い。むしろ、複数コピーの標的が、標識されたオリゴヌクレオチドのプールとハイブリダイズさせられ得、各々から部分配列データが収集され得る。部分配列は公に入手可能なショットガン配列編集プログラムを使用して、完全な標的核酸配列へと編集され得る。
【0082】
本発明のある種の態様において、標識されたオリゴヌクレオチドは、標的分子にまだ付着している間に検出される。短いオリゴヌクレオチド・プローブと標的核酸との間の結合相互作用の強度は比較的弱いため、例えば、標識されたプローブが架橋試薬を使用して標的分子に共有結合的に付着させられた場合、そのような方法は、より適切であり得る。
【0083】
本発明の様々な態様において、オリゴヌクレオチド・プローブは、核酸内の特異的な相補配列を同定するために使用され得る、DNA、RNA、又はペプチド核酸(PNA)のようなその任意のアナログであり得る。本発明のある種の態様において、一つ以上の核酸分子とのハイブリダイゼーションのための一つ以上のオリゴヌクレオチド・プローブ・ライブラリーが調製され得る。例えば、4096個全て、もしくは約2000個の非相補的な6マー、又は16,384個全て、もしくは約8,000個の非相補的な7マーを含有している、標識されたオリゴヌクレオチド・プローブのセットが使用され得る。オリゴヌクレオチド・プローブの非相補的なサブセットが使用される場合、複数のハイブリダイゼーション及び配列分析が実施され得、分析の結果は、計算法により単一のデータセットへと合併される。例えば、非相補的な6マーのみを含むライブラリーがハイブリダイゼーション及び配列分析のために使用される場合、第一のライブラリーから排除された標識されたプローブ配列とハイブリダイズした同じ標的核酸分子を使用した第二のハイブリダイゼーション及び分析が実施され得る。
【0084】
標識されたオリゴヌクレオチドの集団のオリゴヌクレオチドは、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)381A DNAシンセサイザー(Foster City,CA)又は類似の装置での合成のような、任意の既知の方法によって調製され得る。又は、オリゴヌクレオチドは、多様な供給元(例えば、Proligo,Boulder,CO;Midland Certified Reagents,Midland,TX)より購入され得る。オリゴヌクレオチドが化学合成される態様において、ラマン標識、又は正の電荷を有するエンハンサーのようなシグナル分子は、合成のために使用されるヌクレオチド前駆体のうちの一つ以上に共有結合的に付着させられ得る。又は、シグナル分子は、オリゴヌクレオチド・プローブが合成された後、付着させられ得る。別法において、ラマン標識は、オリゴヌクレオチド合成と同時に付着させられ得る。
【0085】
本発明のある種の局面において、標識されたオリゴヌクレオチド・プローブは、ペプチド核酸(PNA)を含む。PNAは、アデニン、グアニン、チミン、及びシトシンの単量体単位を有するポリアミド型のDNAアナログである。PNAは、PEバイオシステムズ(Biosystems)(Foster City,CA)のような企業より市販されている。又は、PNA合成は、第四級アミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)の存在下で、O-(7-アザベンゾトリアゾル-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)を使用した9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)モノマーの活性化及びカップリングにより実施され得る。PNAは、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)により精製され、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI-TOF)質量分析により確証され得る。
【0086】
さらに、上記の方法を実施するためのキットが、本発明において提供される。キットは、ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブのうちの一つ以上が正の電荷を有するエンハンサーと結合しているラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの集団を含む。本明細書に記述されるように、キットは、捕獲オリゴヌクレオチド・プローブの集団が結合している基質も含み得る。ある種の例において、キットは銀コロイド又はナノ粒子をさらに含む。さらに、キットはラマン活性表面を含み得る。
【0087】
以下の態様は、微細な差違を有する標的分子を区別することができる高感度でかつ単純な検出法の発見に基づく。前述のように、本法は、遺伝子型決定における一塩基多型検出のような生物医学的適用にとって重要である。その方法は、化学的修飾及び長々しい試料調製技術が必要とされず、多数の標的が短時間で単一の装置においてアッセイされ得るという点で効率的である。さらに、極めて少量の試料及び試薬が必要とされるため、本法は比較的低コストである。
【0088】
理論により制限されるものではないが、開示された方法は、同じプローブが、微細な構造的な差違により異なっている二つの標的と複合体を形成する時、プローブに付着している標識に配置の差違が存在し、これらの立体配置の差違が光学的技術により分解され得るという概念に、一部、基づく。本明細書に提供されたデータは、単一の核酸プローブが、蛍光法を使用して、完全マッチ標識とミスマッチ標的との間の差違を検出し得ることを示唆している。
【0089】
さらに、ある種の局面において、微細な構造的な差違を検出する方法は、ラマン検出法を使用して実施される。これらの局面は、ラマン検出法が、蛍光検出法より多くの構造的情報を提供するという事実に依る。さらに、SERSラマンは、単一分子検出感度の可能性を有している。最後に、小さなリキッド・キャビティ(liquid cavities)において、試料を、SERSにより検出され得る個々のプローブ-標的複合体へと分離するために、微少溶液(microfluidic)MEMS装置が使用され得る。
【0090】
従って、もう一つの態様において、第一の結合対メンバーを、第二の特異的結合対メンバーと接触させることを含む、第一の特異的結合対メンバーの標的構造を検出する方法が提供される。ここで、第二の特異的結合対メンバーは、第一の特異的結合対メンバーと結合し、第二の特異的結合対メンバーは、第一標識及び第二標識を含み、第一標識は、第一の結合対メンバーの第二の結合対メンバーとの結合時に第一の結合対メンバーの標的構造により影響を受けるような様式で、第二標識の光学シグナルに影響を与えることができる。第二標識からのシグナルが検出され、第一の結合対メンバーの標的構造を決定するために使用される。
【0091】
この態様において、第一の特異的結合対メンバーは標的分子であり、第二の特異的結合対メンバーはプローブである。プローブは、そのリガンド(即ち、標的分子)を認識し、それと特異的に結合する分子重合体(即ち、タンパク質、核酸等)である。プローブ分子は、特異的結合対メンバー、例えば、オリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドのような核酸;受容体もしくは転写因子、抗体もしくは抗体断片、例えば、遺伝学的に操作された抗体、単鎖抗体、もしくはヒト化抗体のようなタンパク質もしくはそのペプチド断片;レクチン;基質;阻害剤;活性化剤;リガンド;ホルモン;サイトカイン;ケモカイン;及び/又は薬物である。例えば、標的分子がタンパク質である場合、プローブはタンパク質(抗体)であり;標的が核酸である場合、プローブは典型的にはオリゴヌクレオチドのような核酸である。
【0092】
本明細書において使用されるように、「特異的結合対メンバー」という用語は、特異的結合対のもう一つのメンバーと特異的に結合するか又は選択的にハイブリダイズする分子をさす。特異的結合対メンバーには、例えば、オリゴヌクレオチドと、そのオリゴヌクレオチドが選択的にハイブリダイズする核酸、又はタンパク質と、そのタンパク質と結合する抗体が含まれる。本明細書において使用されるように、「選択的ハイブリダイゼーション」又は「選択的にハイブリダイズする」という用語は、高度にストリンジェントな生理学的条件の下でのハイブリダイゼーションをさす。「特異的に結合する」又は「特異的結合活性」という用語は、抗体に関して使用される場合、抗体と特定のエピトープとの相互作用が、少なくとも約1×10-6、一般的には少なくとも約1×10-7、通常は少なくとも約1×10-8、具体的には少なくとも約1×10-9もしくは1×10-10又はそれ以下の解離定数を有していることを意味する。
【0093】
関連する態様において、標的核酸の標的ヌクレオチド位置におけるヌクレオチド存在を決定するための方法が提供される。それは、プローブ-標的複合体が形成されるよう、標的核酸を、標的核酸と結合する標識されたオリゴヌクレオチド・プローブ(標識されたオリゴヌクレオチド・プローブは第一標識及び第二標識を含み、第一標識は、第二標識の光学的特性に影響を与えることができる)と接触させること、及びプローブ-標的複合体の光学的特性を検出することを含む。標的ヌクレオチド位置におけるヌクレオチド存在は、第一標識及び第二標識の配向に影響を与え、それにより、第二標識の光学的特性に影響を与える。光学的特性は、例えば、第二標識により発生される蛍光シグナル又はラマン・シグナルである。発生されたシグナルの特性は、標的ヌクレオチド位置におけるヌクレオチド存在の決定を可能にする。
【0094】
ある種の局面において、標的ポリヌクレオチド及び標識されたプローブが標的ヌクレオチド位置に相補的なヌクレオチドを含むか否かに依る第二プローブの蛍光シグナル又はラマン・シグナルに対する第一プローブの効果の差違を増強するために、検出前に、交流(AC)がプローブ-標的複合体に適用される。適用されるAC電圧は、例えば、10〜100mVであり、AC周波数は1Hz〜1MHzである。
【0095】
蛍光シグナル及びラマン・シグナルは、例えば、それぞれ蛍光スペクトル又はラマン・スペクトルである。蛍光シグナル及びラマン・シグナルを検出する方法は、当技術分野において周知であり、そのうちのいくつかは本明細書において提供される。ある種の局面において、さらに詳細に本明細書に記述されるように、第一標識及び第二標識はFRET対である。一つの例において、FRET対はTAMRA及びROXである。
【0096】
従って、標識は、プローブに付着している光学的に検出可能なモエティである。標識は、蛍光色素、ラマン標識、又は光学的技術により認識され得る任意の低分子であり得る。ラマン標識の例は、上記に提供されている。
【0097】
プローブの第一標識及び第二標識は、予め決定された波長又は波長帯の光による蛍光又はラマン・ドナーの活性化に応答して、相互の蛍光共鳴エネルギー転移又はラマン・エネルギー転移を生じることができる蛍光又はラマン・ドナー及び蛍光又はラマン・アクセプターを含むドナー/アクセプター対を形成するよう選択される。
【0098】
蛍光又はラマン標識及びそれと対になる標識の励起及び放射のスペクトルが、それが、蛍光もしくはラマン・ドナーであるか、又は蛍光もしくはラマン・アクセプターであるかを決定する。FRETにおいて使用される分子の例には、色素フルオレセイン、及び5-カルボキシフルオレセイン(5-FAM)、6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM)、フルオレセイン-5-イソチオシアネート(FITC)、2',7'-ジメトキシ-4',5'-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)のようなフルオレセイン誘導体;ローダミン、及びN,N,N',N'-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、6-カルボキシローダミン(R6G)、テトラメチル-インドカルボシアニン(Cy3)、テトラメチル-ベンズインドカルボシアニン(Cy3.5)、テトラメチル-インドジカルボシアニン(Cy5)、テトラメチル-インドトリカルボシアニン(Cy7)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)のようなローダミンの誘導体;ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、テトラクロロフルオレセインTET;R-フィコエリトリン、4-(4'-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、並びに5-(2'-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸(EDANS)が含まれる。表1は、各々の吸収(Abs)極大及び放射(Em)極大を含む、例示的なドナー及びアクセプターの対のリストである。蛍光アクセプターという用語には、蛍光消光剤が包含される。例示的な消光剤色素は、例えば、Clegg,"Fluorescence resonance energy transfer and nucleic acids(蛍光共鳴エネルギー転移及び核酸)",Methods of Enzymology,211:353-389(1992)により記載されているように、当技術分野において周知である。
【0099】
(表1)例示的なFRET対

【0100】
以下のパラグラフに記述される方法が、本明細書に開示された任意の態様において使用するためのオリゴヌクレオチドにラマン又は蛍光標識を付着させるために使用され得る。蛍光又はラマン標識は、オリゴヌクレオチド・プローブの5'末端ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド・プローブの3'末端ヌクレオチド、及びオリゴヌクレオチド・プローブの非末端又は内部のヌクレオチドに組み込まれるか、又は付着させられ得る。図5の態様において、蛍光モエティは、内部ヌクレオチドに付着している。
【0101】
5'末端で標識されたオリゴヌクレオチドの場合、蛍光又はラマン標識(即ち、モエティ)は、典型的には、既知の手法に従い(例えば、Yang and Millar in Methods in Enzymology,Vol.278,417-444頁(1997))、合成の前に、オリゴヌクレオチド・プローブの5'末端ヌクレオチドに付着させられ、標識されたヌクレオチドが、オリゴヌクレオチド合成へと取り込まれる。
【0102】
内部標識の場合には、典型的には、アミノ修飾された塩基が、アミノ修飾剤(Amino-Modifier)C6 dT(例えば、Glen Researchより入手可能)を使用して、合成の間にオリゴヌクレオチドへ導入される。次いで、標識の活性エステル誘導体が、アミノ修飾された塩基と合成後にカップリングされる。シアニン色素で標識されたヌクレオチドのような試薬は、容易に入手可能であり、標識がプローブのハイブリダイゼーションに干渉しないため、これは有利である。
【0103】
フルオロフォア又はラマン標識のオリゴヌクレオチドへの付着のための別の方法は、Khannaらの米国特許第4,351,760号;Marshall;Mechnenらの米国特許第5,188,934号;Wooらの米国特許第5,231,191号;及びHobbs,Jr.の米国特許第4,997,928号に記載されている。
【0104】
本発明のこの態様の方法において、標識されたオリゴヌクレオチド・プローブ及び標的核酸は、蛍光又はラマン・ドナーと蛍光又はラマン・アクセプターとが、予め決定された波長の光による蛍光又はラマン・ドナーの活性化に応答して、蛍光共鳴エネルギー転移又はラマン散乱エネルギー転移を生じることができるような間隔で相互に離れているハイブリダイゼーション複合体をもたらす条件の下でハイブリダイズさせられる。蛍光又はラマン・ドナー及び蛍光又はラマン・アクセプターの活性化及び検出は、例えばフィルターを通した、別々の光の波長又は波長帯において実施され得る。
【0105】
蛍光又は共鳴エネルギー転移の効率は、D×10-6に比例することが報告されている。ここで、Dは、ドナーとアクセプターとの間の距離である(Forster,Z.Naturforsch A,1949,4:321-327)。従って、蛍光共鳴エネルギー転移は、典型的には、10〜70オングストローム、ある場合には、30〜60オングストロームの距離で起こる。蛍光ドナーと蛍光アクセプターとは、典型的には、ハイブリダイズしたプローブ対二重鎖において、約5塩基対(bp)〜約24bp、離れている。蛍光アクセプターが消光剤である場合、隔離距離はより短いかもしれない。
【0106】
ある種の局面において、蛍光又はラマン・ドナーと蛍光又はラマン・アクセプターとは、オリゴヌクレオチド・プローブ上で8bp〜18bp離れている。例えば、蛍光又はラマン・ドナーと蛍光又はラマン・アクセプターとは、10bp〜13bp離れている。
【0107】
検出は、蛍光もしくはラマン・ドナー、蛍光もしくはラマン・アクセプター、又は蛍光及びラマン・ドナー及びアクセプターの両方により放射される光(例えば、比率)の検出により実施される。一つの態様において、蛍光又はラマン・ドナー及び蛍光又はラマン・アクセプターは、両方ともフルオロフォアである。第一のフルオロフォアは、特定のフルオロフォアの関数である適切な波長又は波長帯の光により活性化される。蛍光測定は、例えば、ワラック(Wallac)1420 Victor2マルチラベル・カウンター、パーキンエルマー(Perkin Elmer)LS50B発光分光計、又はその他の適当な装置を使用して行われ得る。別の局面において、蛍光ドナーはフルオロフォアであり、かつ蛍光アクセプターは消光剤であり、検出はフルオロフォアの放射を測定することにより実施される。標識されたオリゴヌクレオチド・プローブにより発生される蛍光及び/又はラマン・スペクトルは、標的核酸分子のヌクレオチド配列に依って異なる。
【0108】
本発明は、一つ以上の試料において複数の標的ヌクレオチド位置における複数のヌクレオチド存在を検出するために使用され得る。標的位置は別個の核酸に存在してもよいし、又は複数の標的位置が特定の核酸に存在してもよい。一つの態様において、本法は、少なくとも二つのプローブのドナー/アクセプター対が異なっており、少なくとも二つの異なるプローブの蛍光又はラマン・ドナーの活性化のために使用される光の波長又は波長帯が別個である、複数のオリゴヌクレオチド・プローブ対を用いて実施される。従って、これらの局面において、一つ以上の標的ヌクレオチドの一連のヌクレオチド存在は、標識されたプローブの集団を使用して決定される。従って、これらの局面の方法は、生物学的試料における一連のSNPの分析を可能にするための強力なツールを提供する。
【0109】
もう一つの態様において、第一プローブ又は第二プローブのいずれかが、固体表面に固定化される。この態様においては、少なくとも二つのプローブ対のドナー/アクセプター対が異なっていること、及び少なくとも二つの異なるプローブの蛍光又はラマン・ドナーの活性化のために使用される光の波長が別個であることは必要とされない。各標的位置におけるヌクレオチド存在の同一性及び特異性は、プローブの空間的局在化により決定される。又は、特異性を有する多数のポリヌクレオチド標的を検出するために、標的核酸が、別々の位置に固定化されるか又は付着させられる。標的核酸の標的位置におけるヌクレオチド存在の検出は、例えば、一塩基多型、挿入、欠失、及び多重変異に関連したヌクレオチド存在の検出を含む多様な適用のために有用である。
【0110】
本発明の様々な態様において、標的核酸の標識されたオリゴヌクレオチド・プローブとのハイブリダイゼーションは、多様なストリンジェンシー条件の下で実施され得る。例えば、低ストリンジェンシー・ハイブリダイゼーションが実施され得る。低ストリンジェンシー・ハイブリダイゼーションは、一般に、20℃〜50℃の温度範囲で0.15M〜0.9M NaClで実施される。高ストリンジェンシー・ハイブリダイゼーションは、一般に、50℃〜70℃の温度範囲で0.02M〜0.15M NaClで実施される。適切なストリンジェンシーの温度及び/又はイオン強度は、オリゴヌクレオチド・プローブの長さ、標的配列の塩基含有量、及びハイブリダイゼーション混合物中のホルムアミド、塩化テトラメチルアンモニウム、又はその他の溶媒の存在により、一部、決定されることが理解される。前記の範囲は、一例であり、特定のハイブリダイゼーション反応のための適切なストリンジェンシーは、陽性対照及び/又は陰性対照との比較によりしばしば経験的に決定される。当業者であれば、正確に相補的な核酸配列間のストリンジェントなハイブリダイゼーションのみを可能にするハイブリダイゼーション条件をルーチンに調整することができよう。
【0111】
ある種の局面において、プローブ-標的複合体は、プローブ-標的複合体によって発生される蛍光シグナル又はラマン・スペクトルを読み取るための光学検出器に個々に通される。例えば、光学検出器は、本明細書において下に開示されるMEMS検出装置であり得る。この装置を使用して、例えば、個々のプローブ-標的複合体が、一つのプローブ-標的複合体のみが通過することを可能にする十分に狭いチャンネルを有している微小電気機械システムを使用して個々に通される。
【0112】
図5は、さらに詳細に実施例セクションに記述されるような、標的位置におけるヌクレオチド存在の検出のための、標識されたオリゴヌクレオチド・プローブの使用の例を提供する。図5Aに例示されるように、蛍光標識Rox560及びTamra570が、合成オリゴヌクレオチド配列(RTI)510に付着させられた。標識されたオリゴヌクレオチド・プローブは、標的核酸520(TA)、530(TC)、540(TG)、及び550(TT)における単一のヌクレオチドの差違を検出するためのプローブ(RTI)510として使用される。4つの標的核酸520、530、540、及び550は、標識されたオリゴヌクレオチド・プローブ510におけるTAMRAと結合したヌクレオチドに対応するヌクレオチド位置においてのみ異なる(それぞれ標的核酸520、530、540、及び550におけるA、C、G、及びT)。標識されたオリゴヌクレオチド・プローブ510と標的核酸520、530、540、及び550とは、イオン強度及びpH値に関して生理食塩水に類似している溶液においてプローブ-標的複合体を形成する。
【0113】
プローブ分子が標的分子に結合する時、それらは、二本鎖分子複合体を形成する。塩基対合が完全である(RTI510+TA520のように中間の塩基にミスマッチがない)場合、二重らせんが約10塩基対毎に完全に1周する。二つの標識がおよそ3〜6nm離れているため、それらが適切に配向され励起された場合、共鳴エネルギー転移が起こり得る。タグ・モエティとも呼ばれる二標識間のエネルギー転移の効率(E)は、距離(r)に依る:E=1/r6(rが50%効率の距離(4〜6nm)より大きい場合)。中間の塩基(即ち、標的ヌクレオチド位置としての塩基)におけるミスマッチは、r値をわずかに改変させ、E値を有意に改変させる。標識されたRTIオリゴヌクレオチド・プローブ510が、標的ヌクレオチド位置に相補ヌクレオチドを含んでいない標的核酸(即ち、TC530、TG540、又はTT550)と結合する時、これは起こり得る。Eの変化は、光学的方法を使用して検出され得、蛍光又はラマン分析のスペクトルにおいて検出され得る。
【0114】
図5Bは、図5Aのプローブ-標的系を使用した蛍光アッセイからのデータを示す。同時スキャン・スペクトル(デルタ=30nm)の差違は、これらのプローブ-標的複合体に、RoxとTamraとの間の相対距離の差違が存在することを示す。差違は、誤対合塩基により引き起こされる可能性が最も高い。
【0115】
理論上、SERSラマンを含むラマン散乱技術が使用された場合には、より多くの情報が上記の系から導出され得る。ラマン・ピークの相対強度は、異なる配列構造の指標として使用され得る。本法は、適当なタグ化プローブが入手可能であるならば、核酸以外の系にも適用され得る。
【0116】
もう一つの局面において、既知の遺伝子型又は既知の分子に関するスペクトルのデータベース又はライブラリーが構築される。例えば、既知の一塩基多型(SNP)におけるヌクレオチド存在に関するスペクトルのデータベース又はライブラリーが作出され得る。前述のような標的分子について作成されたラマン・スペクトル又は蛍光スペクトルは、標的ポリヌクレオチドの標的ヌクレオチド位置におけるヌクレオチド存在を同定するため、スペクトルのデータベース又はライブラリーと比較され得る。
【0117】
次いで、これらの局面による方法は、例えば、生物学的試料においてSNPのヌクレオチド存在を検出するために使用され得る。前述のように、生物学的試料は、例えば、尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、大便、痰、脳脊髄液、涙、粘液等である。
【0118】
従って、第一標識及び第二標識を含んでいる標識されたオリゴヌクレオチド・プローブの集団についてのラマン・スペクトル・プロファイルを含むデータベースが、本発明において提供される。ここで、ラマン・スペクトルは、一連のラマン・スペクトル群を含み、各ラマン・スペクトル群は、標的位置を除き同一ヌクレオチド配列を含む一連の標的ポリヌクレオチドと結合した同一プローブ配列から作成される。ある種の局面において、標的位置は一塩基多型(SNP)位置を表す。
【0119】
ある種の局面において、プローブ-標的複合体は、プローブ-標的複合体により発生される蛍光シグナル又はラマン・スペクトルを読み取るための光学検出装置に個々に通される。この装置を使用して、例えば、個々のプローブ-標的複合体が、一つのプローブ-標的複合体のみが通過することを可能にする十分に狭いチャンネルを有している微小電気機械システムを使用して個々に通される。
【0120】
図6は、単一のプローブ-標的複合体の検出のためのMEMS装置600を例示する。装置は、典型的には、第一標識(例えば、FRETドナー)及び第二標識(例えば、FRETアクセプター565)(第一標識及び第二標識565はFRET対である)を含んでいる標識されたオリゴヌクレオチド・プローブを使用して、標的ヌクレオチド位置におけるヌクレオチド存在を検出するための、本明細書に開示された方法により使用される。試料が生物学的試料のような多コピーの標的核酸を含有している場合、プローブ-標的複合体605が形成されるよう、プローブが試料に添加される。これらの複合体605が光学検出器のキャビティ640に別々に通され、個々のスペクトルが記録される。次いで、データは、例えば、データ・ライブラリーに対して探索され得る。情報は統計的に分析される。例えば、ライブラリーは、標識されたオリゴヌクレオチド・プローブを使用した、標的核酸の標的位置における全ての既知のヌクレオチド存在のスペクトルを含み得る。
【0121】
個々の複合体の分離を達成するため、MEMS装置600が使用され得る。試料は、統計的に一つの複合体605のみが検出キャビティ640を占めるよう、狭い分離チャンネル650に通される。完全にハイブリダイズした複合体とミスマッチを有する複合体との間の差違を増強するため、完全にマッチした複合体より比較的可動性であるミスマッチ複合体のコンフォメーション変化を誘導するため、調整可能な周波数及び電圧を有するAC電源620を使用して、交流(AC)場が作成される。AC場を利用したこれらの態様は、典型的には、蛍光検出法を利用した本発明の局面において実施される。理論により制限されるものではないが、異なる標識間の相対距離の変化は、複合体内の電子分布に影響を与えるか、又は光感受性標識間のエネルギー転移効率を改変させ、より識別可能なシグナルをもたらし得る。
【0122】
従って、本発明は、標的分子を検出するための微小電気機械システム(MEMS)装置を提供する。それは、生体分子と、第一標識及び第二標識(第一標識は第二標識の蛍光シグナル又はラマン・スペクトルに影響を与えることができる)を含んでいる標識された結合対メンバーとの複合体を含む試料を受容するための試料投入口、試料投入口に液体的に接続された分離チャンネル650、並びに光学検出手段及び光学検出キャビティ640を含む。
【0123】
検出手段は、典型的には、蛍光検出手段又はラマン検出手段であり、それらはいずれも当技術分野において周知である。ある種の局面において、ラマン標識が使用され、検出手段はラマン検出系である。
【0124】
蛍光検出手段が利用され、蛍光標識が利用されるある種の局面においては、装置は、電極610及び交流電源620をさらに含むことができる。本明細書に開示されるように、電源620はプローブ-標的複合体にAC電流を適用するために使用され得る。従って、交流電源620は、光学的検出キャビティ640において交流場を作成することができる。
【0125】
ラマン検出手段が利用されるある種の局面において、分離チャンネルは、統計的に一度に一つのプローブ-標的複合体のみが検出キャビティを占めるよう、十分に狭い。例えば、光学的検出のためのレーザー・スポット・サイズは通常0.3ミクロンより大きく、典型的には1〜5ミクロンであるため、チャンネルは、0.5〜10ミクロンの範囲内であり得る。これらの局面において、光学アセンブリーは、Arイオン・レーザーのようなラマン分光法のための光源をさらに含む。
【0126】
MEMSは、機械的エレメント、センサー、アクチュエーター、及び電子機器を含む集積システムである。これらの部品は、全て、シリコンに基づく基質又はそれと等価な基質の一般的なチップにおける微細加工技術によって製造され得る(例えば、Voldman et al.,Ann.Rev.Biomed.Eng.1:401-425,1999)。MEMSのセンサー部品は、標識を検出するための機械的、熱的、生物学的、化学的、光学的、及び/又は磁気的現象を測定するために使用され得る。電子機器は、センサーからの情報を処理し、ポンプ、バルブ、ヒーター等のようなアクチュエーター部品を制御し、それによりMEMSの機能を制御することができる。
【0127】
MEMSの電子部品は、集積回路(IC)法(例えば、CMOS法又はBipolar法)を使用して加工され得る。それらは、コンピュータ・チップ製造のためのフォトリソグラフィック及びエッチングの方法を使用してパターン化され得る。微小機械部品は、機械及び/又は電気機械部品が形成されるよう、シリコン・ウエハの部材を選択的にエッチングするか、又は新たな構造層を追加する、適合性の「微細機械加工(micromachining)」法を使用して加工され得る。
【0128】
MEMS製造における基本技術は、基質に材料の薄膜を沈着させること、何らかのリソグラフィック法によりフィルムの上にパターン化されたマスクを適用すること、及びフィルムを選択的にエッチングすることを含む。薄膜は、数ナノメートル〜100マイクロメートルの範囲内であり得る。使用され得る沈着技術には、化学蒸着(CVD)、電着、エピタキシー、及び熱酸化のような化学的手法、並びに物理蒸着(PVD)及び鋳造のような物理学的手法が含まれ得る。ナノ電気機械システムの製造のための方法も使用され得る(例えば、Craighead,Science 290:1532-36,2000参照)
【0129】
いくつかの態様において、装置及び/又は検出器は、様々な液体が充填されたコンパートメント、例えば、微少液体チャンネル又はナノチャンネルに接続され得る。これら及びその他の装置の成分は、単一ユニットとして、例えば、チップ(例えば、半導体チップ)及び/又はマイクロキャピラリーもしくは微少液体チップの形態で形成され得る。又は、個々の成分が別々に加工され、共に付着させられてもよい。そのようなチップにおいて使用するための既知の任意の材料、例えば、シリコン、二酸化ケイ素、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、プラスチック、ガラス、石英等が、開示された装置において使用され得る。
【0130】
チップのバッチ加工のための技術は、コンピュータ・チップ製造及び/又はマイクロキャピラリー・チップ製造において周知である。そのようなチップは、フォトリソグラフィ及びエッチング、レーザー・アブレーション、射出成形、鋳造、分子線エピタキシー、ディップペン・ナノリソグラフィ、化学蒸着(CVD)加工、電子線もしくは収束イオン・ビーム技術、又はインプリンティング技術のような、当技術分野において既知の任意の方法によって製造され得る。非制限的な例には、従来の成形、二酸化ケイ素のドライ・エッチング;及び電子線リソグラフィが含まれる。ナノ電子機械システムの製造の方法が、ある種の態様のため使用され得る(例えば、Craighead,Science 290:1532-36,2000参照)。様々な型の微細加工チップが、例えば、キャリパー・テクノロジーズ社(Caliper Technologies Inc.)(Mountain View,CA)及びアクララ・バイオサイエンシーズ社(ACLARA BioSciences Inc.)(Mountain View,CA)より市販されている。
【0131】
ある種の態様において、装置の一部又は全部が、ラマン分光法又は蛍光検出のために使用される励起及び放射の周波数における電磁放射に対して透明であるよう選択され得る。適当な成分は、ガラス、シリコン、石英、又はその他の任意の光学的に透明な材料のような材料から加工され得る。様々なアナライト、例えば、核酸、タンパク質等に曝され得る、液体が充填されたコンパートメントについて、そのような分子に曝される表面は、例えば、表面を疎水性表面から親水性表面へと改質するため、かつ/又は表面への分子の吸着を減少させるため、コーティングにより修飾され得る。ガラス、シリコン、石英、及び/又はPDMSのような一般的なチップ材料の表面修飾は既知である(例えば、米国特許第6,263,286号)。そのような修飾には、例えば、市販されているキャピラリー・コーティング(Supelco,Bellafonte,PA)、様々な官能基(例えば、ポリエチレンオキシド又はアクリルアミド等)を有するシランによるコーティングが含まれ得る。
【0132】
ある種の態様において、そのようなMEMS装置は、標識されたプローブを調製するため、形成された標識されたプローブを未取り込み成分から分離するため、標識されたプローブを標的に曝すため、かつ/又は標的と結合した標識されたプローブを検出するため、使用され得る。
【0133】
本発明は、標的核酸の標的位置におけるヌクレオチド存在を決定するためのアッセイを実施するためのキットをさらに含む。キットは、上記に開示されたような第一及び第二の蛍光又はラマン標識により標識された第一のオリゴヌクレオチド・プローブを含む。第一のプローブは、標的核酸と実質的又は完全に相補的である。第一及び第二の蛍光又はラマン標識(即ち、ドナー又はアクセプター)は、予め決定された波長又は波長帯の光によるドナーの活性化に応答して、相互の蛍光共鳴エネルギー転移又はラマン・エネルギー転移を生じることができるドナー/アクセプターである。キットは、銀コロイド又はナノ粒子をさらに含み得る。さらに、キットはラマン活性表面を含み得る。
【0134】
本発明のある種の態様において、本発明の任意の態様の方法を実施するための系は、情報処理及び制御のシステムを含み得る。その態様は、使用される情報処理システムの型に関して制限されない。そのような系は、ラマン分光計検出系又は蛍光検出系から入手されたデータを分析するために使用され得る。例示的な情報処理システムは、情報を伝送するためのバス及び情報を処理するためのプロセッサを含むコンピュータを組み込み得る。一つの態様において、プロセッサは、以下に制限はされないが、インテル社(Intel Corp.)(Santa Clara,CA)より入手可能なPentium(登録商標)IIファミリー、Pentium(登録商標)IIIファミリー、及びPentium(登録商標)4ファミリーのプロセッサを含むPentium(登録商標)ファミリーのプロセッサから選択される。本発明の別の態様において、プロセッサは、Celeron(登録商標)、Itanium(登録商標)、X-Scale(登録商標)、Pentium Xeon(登録商標)プロセッサ(Intel Corp.,Santa Clara,CA)であり得る。本発明の他の様々な態様において、プロセッサは、Intel(登録商標)IA-32又はIntel(登録商標)IA-64アーキテクチャのようなIntel(登録商標)アーキテクチャに基づくものであり得る。
【0135】
コンピュータは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)又はその他の動的記憶装置、読み出し専用メモリ(ROM)又はその他の静的記憶装置、及び磁気ディスク又は光ディスクのようなデータ記憶装置、並びにその対応するドライブをさらに含み得る。情報処理システムは、また、ディスプレイ装置(例えば、陰極線管又は液晶ディスプレイ)、英数字入力装置(例えば、キーボード)、カーソル制御装置(例えば、マウス、トラックボール、又はカーソル移動キー)、及び通信装置(例えば、モデム、ネットワーク・インタフェース・カード、又はイーサネット、トークン・リング、もしくはその他の型のネットワークとの連結のために使用されるインタフェース装置)のような、当技術分野において既知のその他の周辺機器も含むことができる。
【0136】
本発明の特定の態様において、ラマン分光計検出系又は蛍光検出系は、情報処理システムに接続される。ラマン分光計又は蛍光検出器からのデータは、プロセッサにより処理され得、データはメイン・メモリに記憶され得る。プロセッサは、表面に付着した標識されたプローブの配列を同定及び/又は決定するため、ラマン分光計又は蛍光検出器からのデータを分析することができる。オーバラップする標識されたプローブの配列を整列化することにより、コンピュータは、標的核酸の配列を編集することができる。
【0137】
本発明のある種の態様において、カスタム・デザインのソフトウェア・パッケージが、検出技術から入手されたデータを分析するために使用され得る。本発明の別の態様において、データ分析は、情報処理システム及び公に入手可能なソフトウェア・パッケージを使用して実施され得る。DNA配列分析のための入手可能なソフトウェアの非制限的な例には、PRISM3 DNAシーケンシング・アナリシス・ソフトウェア(Sequencing Analysis Software)(Applied Biosystems,Foster City,CA)、シーケンチャー(Sequencher)3パッケージ(Gene Codes,Ann Arbor,MI)、及びワールドワイド・ウェブ上のnbif.org/links/l.4.1.phpで国立バイオテクノロジー情報センター(National Biotechnology Information Facility)より入手可能な多様なソフトウェア・パッケージが含まれる。
【0138】
標識されたプローブの調製、使用、及び/又は検出のための装置は、より大きな装置及び/又はシステムへ組み込まれてもよい。ある種の態様において、装置は、上に開示されたような微小電気機械システム(MEMS)を含むことができる。
【0139】
以下の例は、本発明を制限するのではなく例示するためのものである。
【0140】
実施例1
アミン基の付加によるラマン強度の増強
この実施例は、アミン基をオリゴヌクレオチドと結合させることにより提供された増加した強度を例示する。オリゴヌクレオチドは、キアゲン-オペロン(Qiagen-Operon)(Alameda,CA)によりカスタム合成され、HPLC精製された。アミノ基は、当技術分野において既知の技術を使用して、合成の間又は後に、3'末端、5'末端、又は3'末端及び5'末端の両方に付加された。ラマン・シグナルは、アルゴン・イオン・レーザーにより発生される514nmの光を使用して、ラマン分光法により検出された。
【0141】
図4A及び4Cに例示されるように、グアニジン反復に続くチミジン反復のみを含んでいるオリゴヌクレオチドから生成したラマン・スペクトルの強度は、6炭素アルキル鎖を有する第一級アミノ基をオリゴヌクレオチドの末端へ付加することにより増加した。図4Bに例示されるように、グアノシン残基及びチミジン残基が配列内に比較的ランダムに並んでおり、一つ又は二つの第一級アミノ基がプローブ・オリゴヌクレオチドの末端又は内部に結合させられた場合にも、6炭素アルキル鎖を有する第一級アミノ基の付加による類似の増強が見られた。第一級アミンによる増強は、プリン・ヌクレオチドを含んでいるオリゴヌクレオチドについては明白でなかった(図4D)。従って、この実施例は、正の電荷を有するエンハンサーが、ピリミジン残基を含んでいるオリゴヌクレオチドのラマン・シグナルを増加させることを例示している。
【0142】
実施例2
蛍光対を使用した単一ヌクレオチド・ミスマッチの検出
この実施例は、標的核酸とオリゴヌクレオチド・プローブとの間の単一ヌクレオチド・ミスマッチを検出するために、蛍光対が使用される方法を例示する。オリゴヌクレオチドは、既知の方法を使用して、キアゲン-オペロンにより合成され、HPLC精製され、ROX又はTAMRAにより標識された。同時蛍光スキャンは、LS55(Perkin Elmer)を使用して実施された。ハイブリダイゼーションは、イオン強度及びpHに関して生理学的条件と類似している条件の下で実施された。より具体的には、ハイブリダイゼーションは、22℃で、100mM NaCL、10mMトリスHCl、及び1mM EDTAを含むハイブリダイゼーション反応混合物において実施された。
【0143】
図5は、本明細書に開示されたような、標的位置におけるヌクレオチド存在の検出のための標識されたオリゴヌクレオチド・プローブの使用の例を提供する。図5Aに例示されるように、蛍光標識Rox560及びTamra570が、合成オリゴヌクレオチド配列(RTI)510に付着させられた。標識されたオリゴヌクレオチド・プローブは、標的核酸520(TA)、530(TC)、540(TG)、及び550(TT)の単一ヌクレオチドの差違を検出するため、プローブ(RTI)510として使用された。4つの標的核酸520、530、540、及び550は、標識されたオリゴヌクレオチド・プローブ510におけるTAMRAと結合したヌクレオチドに対応するヌクレオチド位置においてのみ異なる(それぞれ標的核酸520、530、540、及び550におけるA、C、G、及びT)。標識されたオリゴヌクレオチド・プローブ510と、標的核酸520、530、540、及び550とは、イオン強度及びpH値に関して生理食塩水に類似している溶液においてプローブ-標的複合体を形成する。
【0144】
図5Bは、図5Aのプローブ-標識システムを使用した蛍光アッセイからのデータを示す。同時スキャン・スペクトル(デルタ=30nm)の差違は、これらのプローブ-標的複合体に、RoxとTamraとの間の相対距離の差違が存在することを示す。差違は、誤対合塩基により引き起こされる可能性が最も高い。
【0145】
本発明は上記の実施例に関連して記載されたが、修飾及びバリエーションが、本発明の本旨及び範囲に包含されることが理解されるであろう。従って、本発明は、以下の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の方法を図解的に例示する。
【図2】例示的なラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの構造を例示する。
【図3】例示的なバイオチップ設計及びバイオチップを使用した例示的な配列決定法を例示する。
【図4】図4A〜4Dは、一連の正の電荷を有するエンハンサーを有するオリゴヌクレオチド・プローブ及び正の電荷を有するエンハンサーを有しないオリゴヌクレオチド・プローブについての一連のラマン・スペクトル及び対応するオリゴヌクレオチド構造を提供する。図は、アミン基エンハンサーによるラマン放射強度の増強を例示する。
【図5】図5A〜5Bは、プローブ-標的複合体の同時蛍光スキャン・スペクトルの例を例示する。図5Aは、FRET対560、570を含む標識されたオリゴヌクレオチド・プローブ510のヌクレオチド配列及びプローブ位置を図解的に例示し、標識されたオリゴヌクレオチド・プローブ510の様々な標的核酸520、530、540、550との整列化を例示する。図5Bは、図5Aに示された様々なハイブリダイゼーション対について生成した蛍光スペクトルを示す。
【図6】AC場を使用したプローブ-標的複合体検出のためのMEMS装置を例示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的核酸のヌクレオチド配列を決定する方法であって、
a)一本鎖突出部を含むプローブ-標的二重鎖核酸が形成されるよう、核酸又はその断片を、一連のスポット位置で基質に結合した捕獲オリゴヌクレオチド・プローブの集団と接触させること;
b)各ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブが別個のラマン・サインを発生するよう、ラマン・プローブの一本鎖突出部との結合を可能にするために、プローブ-標的二重鎖核酸をラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの集団と接触させること;
c)ラマン分光法を使用して、鋳型核酸と結合するラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブを検出すること;及び
e)捕獲されたラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの各々についてスポットの位置を同定し、それにより標的核酸のヌクレオチド配列を決定すること、を含む方法。
【請求項2】
各ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブが、検出可能なラマン・シグナルを内因的に発生するか、又はスペクトル的に別個のラマン標識もしくは正の電荷を有するエンハンサーを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ラマン活性オリゴヌクレオチドのうちの少なくとも一つが、正の電荷を有するエンハンサーを含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
正の電荷を有するエンハンサーがアミン基である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
ラマン活性オリゴヌクレオチドのうちの少なくとも一つが、複合有機無機ナノ粒子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
決定されるヌクレオチド配列が、標的ヌクレオチド位置におけるヌクレオチド存在である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
標的位置が一塩基多型位置である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
決定されるヌクレオチド配列が、標的セグメントの隣接した位置における一連のヌクレオチド存在である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
標的セグメントが、捕獲オリゴヌクレオチド・プローブ及びラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの合わせた長さ以下である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
標的セグメントが、ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの長さ以下である、請求項8記載の方法。
【請求項11】
検出された標的配列を整列化することにより、標的核酸全体のヌクレオチド配列が決定される、請求項8記載の方法。
【請求項12】
捕獲オリゴヌクレオチド・プローブを、標的核酸の隣接セグメントと結合するラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブとライゲートさせることをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
標的核酸が、生物学的起源から単離され、増幅されることなく捕獲オリゴヌクレオチド・プローブの集団と接触させられる、請求項1記載の方法。
【請求項14】
1000分子以下のラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブが検出される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
基質がバイオチップである、請求項1記載の方法。
【請求項16】
ラマン標識が、表面増強ラマン分光法(SERS)を使用して検出される、請求項1記載の方法。
【請求項17】
第一のラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの集団が、一連のスポットの第一のスポットにおいてプローブ-標的二重鎖核酸と接触させられ、第二のラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの集団が、その一連のスポットの第二のスポットにおいてプローブ-標的二重鎖核酸と接触させられ、第一のラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの集団及び第二のラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの集団が、少なくとも一つの異なるオリゴヌクレオチド・プローブを含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
第一のラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの集団及び第二のラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの集団が、異なるオリゴヌクレオチドと結合した同一のラマン標識を有するラマン・プローブを少なくとも一つ含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
a)光源を含むラマン分光計;
b)光源と光学的に連絡しているラマン活性表面;及び
c)正の電荷を有するエンハンサーと会合した検出不可能なオリゴヌクレオチド骨格を含むラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブの集団:を含む検出系であって、ラマン活性オリゴヌクレオチド・プローブがラマン活性表面に沈着している、検出系。
【請求項20】
正の電荷を有するエンハンサーがアミン基エンハンサーである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
ラマン活性表面がバイオチップである、請求項19記載の方法。
【請求項22】
鋳型核酸の標的ヌクレオチド位置におけるヌクレオチド存在を決定する方法であって、
a)標的ポリヌクレオチドと結合する標識されたオリゴヌクレオチド・プローブを準備すること(ここで、標識されたオリゴヌクレオチド・プローブは、第一標識及び第二標識を含み、第一標識は、第一標識の第二標識に対する配向に基づき、第二標識により発生されるラマン・スペクトル又は蛍光シグナルに影響を与える);
b)プローブ-標的複合体が形成されるよう、標識されたオリゴヌクレオチド・プローブを標的ポリヌクレオチドと接触させること;及び
c)第二標識により発生される蛍光シグナル又はラマン・スペクトルを検出すること(ここで、標的ヌクレオチド位置におけるヌクレオチド存在は、第一標識の第二標識に対する配向に影響を与え、それにより、第二標識により発生される蛍光シグナル又はラマン・スペクトルに影響を与え、標的ヌクレオチド位置におけるヌクレオチド存在の決定を可能にする)。
【請求項23】
蛍光シグナルが検出される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
第一標識及び第二標識がFRET対である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
一つの標識がTAMRAであり、かつもう一つの標識がROXである、請求項24記載の方法。
【請求項26】
ラマン・スペクトルが検出される、請求項22記載の方法。
【請求項27】
標的ポリヌクレオチドの標的ヌクレオチド位置におけるヌクレオチド発生を同定するために、検出されたラマン・スペクトルを既知のスペクトルのデータベースと比較することをさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
第一標識及び第二標識が、標識されたプローブ配列の上で約3〜6nm離れた位置にある、請求項22記載の方法。
【請求項29】
一つ以上の標的ヌクレオチドについての一連のヌクレオチド存在が、標識されたプローブの集団を使用して決定される、請求項22記載の方法。
【請求項30】
プローブ-標的複合体が、プローブ-標的複合体により発生される蛍光シグナル又はラマン・スペクトルを読み取るための光学検出器に個々に通される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
個々のプローブ-標的複合体が、一つのプローブ-標的複合体のみが通過することを可能にする十分に狭いチャンネルを有している微小電気機械システムを使用して、光学検出器に個々に通される、請求項29記載の方法。
【請求項32】
標的ポリヌクレオチド及び標識されたプローブが標的ヌクレオチド位置において相補的なヌクレオチドを含むか否かに依る、第二プローブの蛍光シグナル又はラマン・スペクトルに対する第一プローブの影響の差違を増強するため、プローブを検出する前に、交流(AC)がプローブ-標的複合体に適用される、請求項22記載の方法。
【請求項33】
核酸を検出する方法であって、
a)正の電荷を有するエンハンサーを含む核酸に光を照射すること;及び
b)照射された核酸により発生されるラマン・シグナルを検出すること:を含む方法。
【請求項34】
正の電荷を有するエンハンサーがアミン基である、請求項33記載の方法。
【請求項35】
核酸が、正の電荷を有するエンハンサーなしでは、検出可能なシグナルを発生しない、請求項33記載の方法。
【請求項36】
核酸がピリミジン残基からなる、請求項33記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図4c】
image rotate

【図4d】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2007−523635(P2007−523635A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547504(P2006−547504)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/043730
【国際公開番号】WO2005/066370
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(503161132)インテル・コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】