説明

ネガ型感光性緑色組成物、緑色フィルター用ネガ型緑色膜、ネガ型感光性青色組成物、青色フィルター用ネガ型青色膜、ネガ型感光性赤色組成物、赤色フィルター用ネガ型赤色膜、カラーフィルター、そしてカラーフィルターの製造方法

【課題】発明の目的は、小さな寸法形状のフィルターの精密な形成が可能である、ネガ型感光性緑,青,そして赤色組成物、フィルター用ネガ型緑,青,そして赤色膜、カラーフィルター、そしてカラーフィルター製造方法を提供することである。
【解決手段】緑,青,赤色組成物は、モノマー(M)対開始剤(I)の比(I/M)が20〜40%、モノマー種及びポリマー種の夫々が単一組成である。そして、合計樹脂量に対する開始剤とモノマーの合計量が、緑色組成物は4〜6%,青色組成物は6〜7%,そして赤色組成物は3.5〜6%である。カラーフィルター製造方法は:撮像素子14の複数の光電変換素12に対応して緑,青,赤色組成物によりネガ型膜18を形成し、この膜を濃度分布マスクを介してパターン露光した後に現像し、現像後に各色フィルターの外表面が凸レンズ形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ネガ型感光性緑色組成物、緑色フィルター用ネガ型緑色膜、ネガ型感光性青色組成物、青色フィルター用ネガ型青色膜、ネガ型感光性赤色組成物、赤色フィルター用ネガ型赤色膜、カラーフィルター、そしてカラーフィルターの製造方法に関係している。
【背景技術】
【0002】
ネガ型感光性緑色組成物,ネガ型感光性青色組成物,そしてネガ型感光性赤色組成物により作成されたネガ型感光性緑色膜,ネガ型感光性青色膜,そしてネガ型感光性赤色膜を使用して所望する光透過率を有する光学フィルタ、例えば緑色フィルター,青色フィルター,そして赤色フィルターを作成することは従来から行なわれている。
【0003】
そしてこれらのフィルターを備えたカラー撮像素子も従来から知られている。
【0004】
従来のカラー撮像素子では、半導体基板に設けられた複数の光電変換素子上にフォトリソグラフィー技術を使用して相互に隣接して隙間なく複数色のフィルター(この場合、フィルターセグメントという)が形成されており、複数色のフィルターセグメントの集合がカラーフィルターを構成している。各フィルターセグメントは、数μmの厚さを有している。
【0005】
近年、撮像素子の高画素化が進んでおり、近年では数百万画素にもなっている。しかも、このような高画素化の進展に伴い、各画素において各画素を動作させるための種々の配線や電子回路が占める面積の割合が増加している。その結果、現在各画素において実際に光電変換素子が受光する為に利用することが出来る面積の割合(開口率)は20〜40%程度である。このことは、撮像素子の光感度が低下することを意味している。
【0006】
撮像素子50の光感度を向上させるために、図11(A)に示すように、カラーフィルター52のフィルターセグメント52a,52b,52c上に光電変換素子54に対応してマイクロレンズ56を配置することが、特開昭59−122193号公報(特許文献1),特開昭60−38989号公報(特許文献2),特開昭60−53073号公報(特許文献3),そして特開2005−294467号公報(特許文献4)に開示されている。
【0007】
また、図11(B)に示すように、半球形状の着色されたマイクロレンズ58a,58b,58cをカラーフィルターセグメントとして使用することが特開昭59−198754号公報(特許文献5)に開示されている。
【特許文献1】特開昭59−122193号公報
【特許文献2】特開昭60−38989号公報
【特許文献3】特開昭60−53073号公報
【特許文献4】特開2005−294467号公報
【特許文献5】特開昭59−198754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図11(A)に示す従来のカラー撮像素子の構造では、複数色のカラーフィルターセグメント52a,52b,52cの各々の相互に隣接して隙間なく接している側面の近傍の光LBに混色が生じ易い。
【0009】
即ち、マイクロレンズ56に近いカラーフィルターセグメント52a,52b,52cの上記側面の部分に斜め方向から入射した光線LBの一部が、カラーフィルターセグメント52a,52b,52cの上記側面の部分を含む角部を通過し隣接するカラーフィルターセグメント52a,52b,52cに進入し、上記隣接するカラーフィルターセグメント52a,52b,52cの上記側面の近傍の光に混色を生じさせるものであった。混色が生じた光電変換素子54では、色の再現性の低下や明度の低下が生じ、撮像素子50の全体では色むらを生じさせる。
【0010】
また、図11(B)に示すように半球形状の着色されたマクロレンズ58a,58b,58cをカラーフィルターセグメントとして使用した従来例では、マクロレンズ58a,58b,58cの中央部と周辺部とではマクロレンズ58a,58b,58cに入射後にマクロレンズ58a,58b,58c中を通過する光の光路LC,LPの長さに相異がある。カラーフィルターセグメント中を通過する光路の長さに相異があると、各光路を通過する光線の着色に差が生じる。マクロレンズ58a,58b,58cにおいては中央部を通過する光量よりも周辺部を通過する光量の方が多いので、カラーフィルターセグメント兼ねるように着色されたマクロレンズ58a,58b,58cを通過した光は全体として色が薄くなり、色分離能力の低いカラー撮像素子となる。
【0011】
従来のカラー撮像素子の欠点を解決するため、本発明者等は特願2006−102121、及び特願2006−115901にて以下に記す技術を提案している。
【0012】
すなわち、図12に示すように、感光性着色組成物にて、側面を有するカラーフィルターセグメント上にマイクロレンズを一体にして積層した形状としたマイクロレンズ付きカラーフィルターセグメント60a,60b、60cを有するカラー撮像素子である。
【0013】
また、発明者等は係る構造としたマイクロレンズ付きカラーフィルターセグメント60a,60b、60cを形成するのに、階調性を有するハーフトーンマスクをパターン露光用マスクとして用いたフォトリソ法を用いることを提案している。
【0014】
例えば、光電変換素子の中心を中心にして、大きな円形の透過部である開口形成部位と、開口形成部位に対する複数の同心円状に階調(グレースケール)を順次変化させる階調変化部位とを有するマスクを用いるものである。
【0015】
階調性を有するハーフトーンマスクに光を照射すると、マスクに形成した各階調に応じてマスクを通過する光の量は変化する。そのため、階調性を有するハーフトーンマスクを介して感光性組成物にパターン露光を行ない現像を行なえば、感光性組成物に露光される光の量の変化に応じて厚みの異なる部位を有する感光性組成物が得られる。
【0016】
そのため、光電変換素子の中心を中心にして、大きな円形の透過部である開口形成部位と、開口形成部位に対する複数の同心円状に階調(グレースケール)を順次変化させる階調変化部位とを有するマスクを用いて感光性組成物にパターン露光、現像を行なえば、断面凸状となった半球形状のレンズ部を上部に積層したカラーフィルターが得られることになる。
【0017】
しかし、従来の感光性着色組成物では、ハーフトーンマスクを介してのパターン露光、及び現像後に得られる形成物の形状及び寸法は、ハーフトーンマスクの階調に応じて精密に制御されたものが得られなかった。そのため、マイクロレンズとすべき部位の曲率も所望するものとならず、満足すべき集光性が得られないという問題があった。また、ハーフトーンマスクを介してのパターン露光、及び現像後に得られる形成物の形状がハーフトーンマスクの階調に応じたものが得られるような組成とした感光性着色組成物も存在するが、かかる感光性着色組成物で形成されたカラーフィルターと下地との密着性が悪くなり、微細なパターンとしたカラーフィルターを得られないという問題もあった。
【0018】
すなわち、従来の感光性着色組成物では、ハーフトーンマスクを介してのパターン露光、及び現像後に得られる形成物の形状が良く、表面が滑らかで、解像性と密着性が良く、かつ、残渣の無い感光性着色組成物は無かった。
【0019】
この発明は上記事情に基づいてなされ、この発明の目的は、フィルターの寸法がより小さくなっても、所望の寸法形状のフィルターを精密に制御して形成可能にする、ネガ型感光性緑色組成物、緑色カラーフィルター用ネガ型緑色膜、ネガ型感光性青色組成物、青色カラーフィルター用ネガ型青色膜、ネガ型感光性赤色組成物、赤色カラーフィルター用ネガ型赤色膜、カラーフィルター、そしてカラーフィルターの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述したこの発明の目的を達成する為に、この発明に従ったネガ型感光性緑色組成物は:少なくとも溶剤,緑色顔料,モノマー,ポリマー,開始剤,そして添加剤が混合されているネガ型感光性緑色組成物であって、モノマー(M)に対する開始剤(I)の比(I/M)が20%〜40%の範囲であり、開始剤(I)とモノマー(M)とポリマー(P)との合計樹脂量(SP)に対する開始剤(I)とモノマー(M)との合計量が4%〜6%の範囲であり、そして、モノマー種が単一組成であるとともにポリマー種も単一組成である、ことを特徴としている。
【0021】
上述したこの発明の目的を達成する為に、この発明に従った緑色カラーフィルター用ネガ型緑色膜は:0.5〜2.5μmの範囲の膜厚を有する緑色フィルター用ネガ型緑色膜であって、可視光の波長領域において略凸字状の分光透過率曲線を有し、400nmと435nmとの間及び620nmと660nmとの間の波長の光の透過率が10%以下であり、480nmと515nmとの間及び560nmと600nmとの間に光の透過率が50%となる波長を有し、そして、530nmの波長の光の透過率が70%以上である、ことを特徴としている。
【0022】
上述したこの発明の目的を達成する為に、この発明に従ったもう1つの緑色カラーフィルター用ネガ型緑色膜は:0.5〜2.5μmの範囲の膜厚を有する緑色フィルター用ネガ型緑色膜であって、可視光の波長領域において略凸字状の分光透過率曲線を有し、400nmと435nmとの間及び620nmと660nmとの間の波長の光の透過率が10%以下であり、460nmと510nmとの間及び550nmと600nmとの間に光の透過率が50%となる波長を有し、そして、530nmの波長の光の透過率が70%以上である、ことを特徴としている。
【0023】
上述したこの発明の目的を達成する為に、この発明に従ったネガ型感光性青色組成物は:少なくとも溶剤,青色顔料,モノマー,ポリマー,開始剤,そして添加剤が混合されているネガ型感光性青色組成物であって、モノマー(M)に対する開始剤(I)の比(I/M)が20%〜40%の範囲であり、開始剤(I)とモノマー(M)とポリマー(P)との合計樹脂量(SP)に対する開始剤(I)とモノマー(M)との合計量が6%〜7%の範囲であり、そして、モノマー種が単一組成であるとともにポリマー種も単一組成である、ことを特徴としている。
【0024】
上述したこの発明の目的を達成する為に、この発明に従った青色カラーフィルター用ネガ型青色膜は:0.5〜2.5μmの範囲の膜厚を有する青色フィルター用ネガ型青色膜であって、可視光の波長領域において略凸字状の分光透過率曲線を有し、400nm波長の光の透過率が40%以上であり、480nmと520nmとの間に光の透過率が50%となる波長を有し、そして、700nm波長の光の透過率が20%以下である、ことを特徴としている。
【0025】
上述したこの発明の目的を達成する為に、この発明に従ったネガ型感光性赤色組成物は:少なくとも溶剤,赤色顔料,モノマー,ポリマー,開始剤,そして添加剤が混合されているネガ型感光性赤色組成物であって、モノマー(M)に対する開始剤(I)の比(I/M)が20%〜40%の範囲であり、開始剤(I)とモノマー(M)とポリマー(P)との合計樹脂量(SP)に対する開始剤(I)とモノマー(M)との合計量が3.5%〜6%の範囲であり、そして、モノマー種が単一組成であるとともにポリマー種も単一組成である、ことを特徴としている。
【0026】
上述したこの発明の目的を達成する為に、この発明に従った赤色カラーフィルター用ネガ型赤色膜は:0.5〜2.5μmの範囲の膜厚を有する赤色フィルター用ネガ型赤色膜であって、可視光の波長領域において略S字状の分光透過率曲線を有し、400nm波長の光の透過率が20%以下であり、430nmと560nmとの間の波長の光の透過率が10%以下であり、570nmと600nmとの間に光の透過率が50%となる波長を有し、そして、600nm波長の光の透過率が75%以上である、ことを特徴としている。
【0027】
上述したこの発明の目的を達成する為に、この発明に従った1つのカラーフィルターは:撮像素子の複数の光電変換素子に対応して配置された少なくとも1つの緑色フィルターセグメントを具備するカラーフィルターであって、前記緑色フィルターセグメントが、前述したこの発明に従ったネガ型感光性緑色組成物により形成されており、そして、前記緑色フィルターセグメント中に緑色顔料が20〜55重量%含まれている、ことを特徴としている。
【0028】
上述したこの発明の目的を達成する為に、この発明に従ったもう1つのカラーフィルターは:撮像素子の複数の光電変換素子に対応して配置された少なくとも1つの青色フィルターセグメントを具備するカラーフィルターであって、前記青色フィルターセグメントが、前述したこの発明に従ったネガ型感光性青色組成物により形成されており、そして、前記青色フィルターセグメント中に青色顔料が15〜45重量%含まれている、ことを特徴としている。
【0029】
上述したこの発明の目的を達成する為に、この発明に従ったさらにもう1つのカラーフィルターは:撮像素子の複数の光電変換素子に対応して配置された少なくとも1つの赤色フィルターセグメントを具備するカラーフィルターであって、前記赤色フィルターセグメントが、前述したこの発明に従ったネガ型感光性赤色組成物により形成されており、そして、前記赤色フィルターセグメント中に赤色顔料が20〜50重量%含まれている、ことを特徴としている。
【0030】
上述したこの発明の目的を達成する為に、この発明に従った1つのカラーフィルターの製造方法は:撮像素子の複数の光電変換素子の少なくとも1つに対応して前述したこの発明に従ったネガ型感光性緑色組成物によりネガ型緑色膜を形成し、前記ネガ型緑色膜を濃度分布マスクを用いてパターン露光した後に現像し、現像後に対応する光電変換素子とは反対側に位置する表面が凸レンズ形状に形成されている緑色フィルターが形成される、ことを特徴としている。
【0031】
上述したこの発明の目的を達成する為に、この発明に従ったもう1つのカラーフィルターの製造方法は:撮像素子の複数の光電変換素子の少なくとも1つに対応して前述したこの発明に従ったネガ型感光性青色組成物によりネガ型青色膜を形成し、前記ネガ型青色膜を濃度分布マスクを用いてパターン露光した後に現像し、現像後に対応する光電変換素子とは反対側に位置する表面が凸レンズ形状に形成されている青色フィルターが形成される、ことを特徴としている。
【0032】
上述したこの発明の目的を達成する為に、この発明に従ったさらにもう1つのカラーフィルターの製造方法は:撮像素子の複数の光電変換素子の少なくとも1つに対応して前述したこの発明に従ったネガ型感光性赤色組成物によりネガ型赤色膜を形成し、前記ネガ型赤色膜を濃度分布マスクを用いてパターン露光した後に現像し、現像後に対応する光電変換素子とは反対側に位置する表面が凸レンズ形状に形成されている赤色フィルターが形成される、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0033】
上述した如く構成されたことを特徴とするこの発明に従った、ネガ型感光性緑色組成物、緑色カラーフィルター用ネガ型緑色膜、ネガ型感光性青色組成物、青色カラーフィルター用ネガ型青色膜、ネガ型感光性赤色組成物、赤色カラーフィルター用ネガ型赤色膜、カラーフィルター、そしてカラーフィルターの製造方法は、カラーフィルターの寸法がより小さくなっても、所望の寸法形状のカラーフィルターを精密に制御して形成することを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
これから、図1乃至図4を参照しながら、複数の光電変換素子を含む撮像素子に対し少なくとも1つの光電変換素子に対応してこの発明の実施の形態に従ったカラーフィルター製造方法によりカラーフィルターを製造する様子を説明する。
【0035】
図1には、半導体基板10に複数のCMOS光電変換素子12が設けられている撮像素子14の概略的な縦断面が示されている。なおこの実施の形態では光電変換素子12はCMOS光電変換素子であるが、この発明の概念に従えば光電変換素子12はCCD光電変換素子であってもよい。このような撮像素子14の構成は周知であり、ここではこれ以上詳細に説明しない。
【0036】
なおこの発明が適用可能な平面視での画素サイズは、略10μm〜略1μmの範囲であり、この実施の形態では略2.5μm〜略2.2μmの範囲である。
【0037】
撮像素子14をカラー撮像素子として使用するには、撮像素子14の複数の光電変換素子12は所定の配列で緑,青,そして赤のいずれかの色のフィルター(以下、フィルターセグメントという)により覆われ、各フィルターを透過した光を受光しなければならず、これら複数の色のフィルターセグメントの集合をカラーフィルターという。
【0038】
撮像素子14の複数の光電変換素子12に対しては、通常最初に緑色フィルターセグメントが所定の配列で形成される。次に青色フィルターセグメントもしくは赤色フィルターセグメントが所定の配列で形成され、最後に残りの色のフィルターセグメントが所定の配列で形成されることにより、複数の光電変換素子12は所定の配列で緑,青,そして赤のいずれかの色のフィルターセグメントにより覆われる。
【0039】
なお、撮像素子14の複数の光電変換素子12を所定の配列で緑,青,そして赤のいずれかの色のフィルターセグメントにより覆うにあたり、図2中に示されている如く、撮像素子14の半導体基板10において複数の光電変換素子12が向いている表面に紫外線吸収層16を形成し、その上にさらに所望の色のネガ型カラーレジスト層18を形成するのが好ましい。
【0040】
この実施の形態では、紫外線吸収層16の厚さUVHは略0.1μmと略0.8μmとの間であるが、紫外線が複数の光電変換素子12に対し悪影響を及ぼさないのであれば紫外線吸収層16は省略することも出来る。
【0041】
[緑色フィルターセグメントの形成]
最初に、緑色フィルターセグメントを、所定の対応する光電変換素子12上に形成する場合には、ネガ型感光性緑色組成物により形成されたネガ型緑色膜によりネガ型カラーレジスト層18を構成し、この場合のネガ型カラーレジスト層18の厚さRHは0.5μm〜2.5μmの範囲に設定される。
【0042】
ネガ型感光性緑色組成物は、少なくとも溶剤,緑色顔料,モノマー,ポリマー,開始剤,そして添加剤が混合されているネガ型感光性緑色組成物であって、モノマー(M)に対する開始剤(I)の比(I/M)が20%〜40%の範囲であり、開始剤(I)とモノマー(M)とポリマー(P)との合計樹脂量(SP)に対する開始剤(I)とモノマー(M)との合計量が4%〜6%の範囲であり、そして、モノマー種が単一組成であるとともにポリマー種も単一組成である。
【0043】
そして、モノマー(M)は3官能アクリルモノマーである。ポリマーは酸価が60〜100の範囲であり、平均分子量が1万〜5万である。
【0044】
緑色顔料は、C.I.ピグメントグリーン36,C.I.ピグメントグリーン7,そしてC.I.ピグメントイエロー139を含んでいるか、又はC.I.ピグメントグリーン36及びC.I.ピグメントイエロー150を含んでいる。
【0045】
いずれの場合でも、緑色フィルターセグメントにおける緑色顔料の濃度は20〜55重量%の範囲内になるよう調整されている。
【0046】
より詳細には:
溶剤として、例えばシクロヘキサン,エチルセロソルブアセテート,ブチルセロソルブアセテート,1−メトキシ−2−プロピルアセテート,ジエチレングリコールジメチルエーテル,エチルベンゼン,エチレングリコールジエチルエーテル,キシレン,エチルセロソルブ,メチルn−アミルケトン,プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン,メチルエチルケトン,酢酸エチル,メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール,ブタノール,イソブチルケトン,その他の石油系溶剤を単独もしくは混合して使用することが出来る。
【0047】
モノマーとして、例えばペンタエリストールトリ及びテトラアクリレート,トリメチロールプロパントリアクリレート,トリメチロールプロパンPO変性(n=1)トリアクリレート,トリメチロールプロパンPO変性(n=2)トリアクリレート,トリメチロールプロパンEO変性(n=1)トリアクリレート,トリメチロールプロパンEO変性(n=2)トリアクリレート,ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート,ペンタエリストールテトラアクリレート,ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート,イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート,イソシアヌル酸EO変性シトリアクリレート等を使用することが出来る。
【0048】
また、ポリマーとして、例えばブチラール樹脂,スチレン−マレイン酸共重合体,塩素化ポリエチレン,塩素化ポリエチレン,塩素化ポリプロピレン,ポリ塩化ビニル,塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体,ポリ酢酸ビニル,ポリウレタン系樹脂,ポリエステル樹脂,アクリル系樹脂,アルキッド樹脂,ポリスチレン樹脂,ポリアミド樹脂,ゴム系樹脂,環化ゴム系樹脂,セルロース類,ポリエチレン(HDPE,LDPE),ポリブタジエン,ポリイミド樹脂等の熱可塑性樹脂や、例えばエポキシ樹脂,ベンゾグアナミン樹脂,ロジン変性マレイン酸樹脂,ロジン変性フマル酸樹脂,メラニン樹脂,尿素樹脂,フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を使用することが出来る。
【0049】
そして、ポリマーには活性エネルギー線硬化性樹脂が含まれている。活性エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば水酸化基やカルボキシル基やアミノ基等の反応性置換基を有する線状高分子にイソシアネート基やアルデヒド基やエポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて(メタ)アクリロイル基やスチル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂や、スチレン・無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン・無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものを使用することが出来る。
【0050】
さらに開始剤には光重合性開始剤が含まれている。光重合性開始剤としては、例えば4−フェノキシジクロロアセトフェノン,4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン,ジエトキシアセトフェノン,1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ)−2−メチルプロパン−1−オン,1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤や、ベンゾイン,ベンゾインメチルエーテル,ベンゾインエチルエーテル,ベンゾインイソプロピルエーテル,ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤や、ベンゾフェノン,ベンゾイル安息香酸,ベンゾイル安息香酸メチル,4−フェニルベンゾフェノン,ヒドロキシベンゾフェノン,アクリル化ベンゾフェノン,4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤や、チオキサンソン,2−クロルチオキサンソン,2−メチルチオキサンソン,イソプロピルチオキサンソン,2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤や、2,4,6−トリクロロ−S−トリアジン,2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン,2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン,2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン,2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン,2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−S−トリアジン,2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン,2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン,2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン,2,4−トリクロロメチル(4−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤やボレート系光重合開始剤や、カルバゾール系光重合開始剤や、イミダゾール系光重合開始剤等を使用することが出来る。
【0051】
ネガ型緑色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18の表面は、緑色フィルターセグメントを対応して形成したい複数の光電変換素子12に対応する複数の部分を、ハーフトーンマスク20を使用してパターン露光22する。ハーフトーンマスク20は、緑色のネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20によりパターン露光された複数の部分の夫々が、現像後に対応する光電変換素子12の中心を中心にして断面凸状の半球形状となるようなパターンの階調性を有している。
【0052】
図3には、使用するハーフトーンマスク20の概略的な平面図が示されている。なお通常、ハーフトーンマスクは、実際に形成するパターンの寸法の4〜5倍の寸法を有していて、パターン露光時に1/4〜1/5に縮小してパターン露光を行なう。またハーフトーンマスクは、階調(グレースケール)を同心円状に変化させている。階調は、例えば1/5縮小時に、例えば露光光の波長以下の寸法になる微細な黒ドット(或いは白ドット)の単位面積当たりの個数をハーフトーンマスク上で調整することにより変化させることが出来る。これにより光の透過率が同心円状に変化する階調をハーフトーンマスクに持たせることが出来る。
この実施の形態に使用したハーフトーンマスク20では、光電変換素子12の中心を中心とした複数の同心円において中心に近づくほど光を遮光する黒ドットの数を減らしており、この結果として中心に近づくほど同心円状に光の透過率が増加する。
【0053】
この実施の形態のハーフトーンマスク20は、4〜5倍レチクルであり、ネガ型カラーレジスト層18の表面に露光されるパターンの寸法の4〜5倍の大きさの寸法のパターンを有している。そして、図示しないステッパー露光装置を使用し、ハーフトーンマスク20のパターンを1/4〜1/5に縮小してネガ型カラーレジスト層18の表面に露光している。
【0054】
この後、ネガ型カラーレジスト層18を現像する。ハーフトーンマスクを介してパターン露光を行なうことによりレジスト層部位に照射される露光量が変化するため、現像後に残るレジスト層の膜厚は露光量に応じて変化する。そのため、ネガ型カラーレジスト層18において露光された複数の部分、即ち、緑色フィルターセグメントを対応して形成したい複数の光電変換素子12とは反対側に位置する複数の部分、の夫々のみが、図4中に図示されている如く、対応する光電変換素子12の中心を中心とした断面凸状の半球状の外表面24aを上部に有する緑色のフィルターセグメント24として残る。
【0055】
このとき、この実施の形態ではフィルターセグメント24において紫外線吸収層16から略垂直に立ち上がっている側面24bは紫外線吸収層16から紫外線吸収層16とは反対側の縁まで略0.7μmの高さBHを有しており、またフィルターセグメント24の上部の凸状の半球状の外表面24aは側面24bの上記縁から頂点まで略0.5μmの高さPHを有している。
【0056】
最後に、このように形成されたフィルターセグメント24は硬膜化処理される。
【0057】
本願の発明者は:モノマー(M)に対する開始剤(I)の比(I/M)を20%〜40%の範囲内で種々に変化させ、また開始剤(I)とモノマー(M)とポリマー(P)との合計樹脂量(SP)に対する開始剤(I)とモノマー(M)との合計量(IM量)を4%〜6%の範囲内で種々に変化させ、さらに緑色フィルターセグメントにおける緑色顔料の濃度(Pcon)を20〜55重量%の範囲内で種々に変化させた以外は同一組成のネガ型感光性緑色組成物を10種類(実施例1〜10)作成し、これら10種類(実施例1〜10)のネガ型感光性緑色組成物を使用して図1乃至図4を参照しながら前述したカラーフィルターの製造方法に従い作成した10種類(実施例1〜10)の緑色フィルターセグメントの夫々について断面形状,表面粗さ,解像性,密着性,そして残渣についての評価を行なった。又、上記比(I/M)と上記合計量(IM量)と上記濃度(Pcon)の中の少なくともいずれか1つを夫々の上記範囲内から逸脱させるかポリマー種を2種とした以外は同一組成のネガ型感光性緑色組成物を14種類(比較例1〜14)作成し、これら14種類(比較例1〜14)のネガ型感光性緑色組成物を使用して図1乃至図4を参照しながら前述したカラーフィルターの製造方法に従い作成した14種類(比較例1〜14)の緑色フィルターセグメントの夫々について断面形状,表面粗さ,解像性,密着性,そして残渣についての評価を行なった。それらの結果が、以下の表1中に纏められている。
【表1】

【0058】
ここにおいて断面形状は、AFM(原子間力顕微鏡)を使用して判断した。すなわち、平面形状が略正方形の緑色フィルターセグメント24の中心を通り相互に対向する2辺と直交する断面及び対角線に沿った断面の夫々の曲線形状が、使用したハーフトーンマスクから得られるべき、光を集光するための理想とされる曲線形状からの分離する状況により判断した。これらの断面形状が所望される曲線形状に近く許容される場合(OK)と所望される曲線形状から外れ許容されない場合(NG)の夫々の一例が図5の(A)及び(B)に図示されている。
【0059】
また、表面粗さはSEM(操作型電子顕微鏡)を使用して測定し、予め定めた限度見本との比較により判断した。図6の(A),(B),そして(C)に、各々その許容範囲外のもの(NG)の例,限度見本,そして許容範囲のもの(OK)の例が図示されている。
【0060】
また、レジストのパターン解像性(パターン露光、現像で得られたパターンの寸法が所望される寸法となっているかの判断)は、側長SEM(側長・操作型電子顕微鏡)を使用して測定、判断した。その判断基準は2μm±0.1μmの範囲のパターン寸法となっていれば「○」とし、外れた場合を「×」,「△」とした。
【0061】
また、密着性は顕微鏡を使用して確認し、その判断基準は一定光量以上で露光、現像した場合に剥がれが生じているか否かで判定した。なお、露光量と密着性の判定については、表1に加えて、以下の表2中に追記している。
【表2】

【0062】
また、残渣は側長SEM(側長・操作型電子顕微鏡)を使用して観察し、予め定めた限度見本との比較により判断した。図7の(A),(B),そして(C)に、各々その許容範囲外のもの(NG)の例,許容範囲のもの(OK)の例,そして限度見本が図示されている。
【0063】
いずれにしろ、これら断面形状,表面粗さ,解像性,密着性,そして残渣が前述した如き判断基準や許容範囲内にないと、前述した如き緑色フィルターセグメントは実用上所望の性能を発揮することが出来ないことが分かっている。
【0064】
即ち、断面形状が悪いと、所望の曲率が得られず集光性が悪くなる。表面粗さが荒いと、レンズ表面で光が散乱し、散乱光により混色、ノイズの原因となる。解像性が悪いと微細なパターンが得られず、また未露光部が現像後に残る残渣が多いと混色、ノイズの原因となるものである。
【0065】
そして、表1を分析した結果や実施例1〜10及び比較例1〜14の作成や性能評価の過程で以下のことが分った。
【0066】
・ネガ型感光性緑色組成物において、モノマー(M)に対する開始剤(I)の比(I/M)を20%〜40%にすれば、ネガ型緑色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得られた外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることができ(即ち、対応する個々の画素に入射する光量を増加させることが出来)、しかも密着性が良好で剥がれが生じることはない。
【0067】
しかし、上記比(I/M)が20%以下になると密着性が低下して剥がれが生じ、そして上記比(I/M)が40%以上になるとネガ型緑色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得られた外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることが出来ずに上記外表面における光の散乱が大きくなる。即ち、対応する個々の画素に入射する光量を低下させる。
【0068】
・開始剤(I)とモノマー(M)とポリマー(P)との合計樹脂量(SP)に対する開始剤(I)とモノマー(M)との合計量(IM量)が4%〜6%の範囲であれば、ネガ型緑色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得られた外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることが出来(即ち、対応する個々の画素に入射する光量を増加させることが出来)、しかも密着性が良好で剥がれが生じることはない。
【0069】
しかし、上記合計量(IM量)が4%以下になると密着性が低下して剥がれが生じ、そして上記合計量(IM量)が6%以上になるとネガ型緑色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光された外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることが出来ずに上記外表面における光の散乱が大きくなる。即ち、対応する個々の画素に入射する光量を低下させる。
【0070】
・少なくともモノマー種及びポリマー種のいずれか一方が単一組成でない場合、ネガ型緑色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得られた外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることが出来ずに上記外表面における光の散乱が大きくなる。即ち、対応する個々の画素に入射する光量を低下させる。
【0071】
・また、モノマー(M)として、3官能アクリルモノマー以外に、一般的なレジストに使用される例えば4や5官能モノマーを使用すると光感度が高くなりすぎて、ネガ型緑色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得られた外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることが出来ずに上記外表面における光の散乱が大きくなる。即ち、対応する個々の画素に入射する光量を低下させる。
【0072】
・また、ポリマーの酸価が60〜100の範囲であれば、ネガ型緑色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得られた外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな所望の形状とすることができ(即ち、対応する個々の画素に入射する光量を増加させることが出来)る。
【0073】
しかし、100以上になると現像速度が早くなりすぎてネガ型緑色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光された外表面を現像によりハーフトーンマスク20における光透過率に対応した所望の形状とすることが出来なくなり、そして、60以下になると現像速度が遅く表面荒れが生じネガ型緑色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光された外表面を現像によりハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることが出来ずに上記外表面における光の散乱が大きくなる。即ち、対応する個々の画素に入射する光量を低下させる。
【0074】
・また、ポリマーの平均分子量が1万〜5万の範囲であれば、ネガ型カラーレジスト層18の塗布形成時に塗布むらが生じたり、レジストのパターン解像性を悪化させることがない。
【0075】
しかし、平均分子量が1万以下であるとストリエーション(筋状の塗布むら)等の塗布むらが生じ、また5万以上であると解像性を悪化させる。
【0076】
・また、緑色フィルターセグメントにおける緑色顔料の濃度(Pcon)が20〜55重量%の範囲内にあれば所定の緑色光の分光を得ることが出来るし、ネガ型緑色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得た外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることができ(即ち、対応する個々の画素に入射する光量を増加させることが出来)る。
【0077】
しかし、20〜55重量%の範囲外であると所定の緑色光の分光を得ることが出来ないし、また55重量%以上になるとネガ型緑色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得た外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることが出来ずに上記外表面における光の散乱が大きくなる。即ち、対応する個々の画素に入射する光量を低下させる。
【0078】
・そして、緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン36,C.I.ピグメントグリーン7,そしてC.I.ピグメントイエロー139を含む前述した実施例9のネガ型感光性緑色組成物を用い図1乃至図4に示すカラーフィルターの製造方法に従い作成した0.9μmの膜厚を有する緑色フィルター用ネガ型緑色膜からなる緑色フィルターセグメントにおける光の波長と透過率との関係、及び緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン36及びC.I.ピグメントイエロー150を含む前述した実施例9のネガ型感光性緑色組成物を用い図1乃至図4を参照しながら前述したカラーフィルターの製造方法に従い作成した0.9μmの膜厚を有する緑色フィルター用ネガ型緑色膜からなる緑色フィルターセグメントにおける光の波長と透過率との関係が、図8において太い実線及び細い実線で示されている。
【0079】
図8に示すように、実施例にかかわる緑色フィルターセグメントは可視光の波長領域(400nm〜700nm)において略凸状の分光透過率曲線を有する。
【0080】
400nmと435nmとの間及び620nmと660nmとの間の波長の光の透過率が10%以下であり、
480nmと515nmとの間及び560nmと600nmとの間に光の透過率が50%となる波長を有し、そして、
530nmの波長の光の透過率が70%以上である。
【0081】
これらのグラフより、緑色光としての波長域の透過率が高く、その他の波長域で透過率が低いので緑色光の分離性に優れていることが分かる。
【0082】
かかる分光透過率特性の場合、緑色の波長域(470nm〜600nm)で透過率が高く、その他の色の波長域では透過率が低くなるので、緑色光の抽出能力がすぐれ、他の色の混色の少ない像が得られる。
【0083】
[青色フィルターセグメントの形成]
上述した緑色フィルターセグメントの形成に続き、次に、青色フィルターセグメントを、所定の対応する光電変換素子12上に形成する場合について説明する。
【0084】
上記の場合、撮像素子14において複数の緑色フィルターセグメントの形成されている表面にさらに、図2中に図示されている如く、ネガ型感光性青色組成物により形成されたネガ型青色膜によりネガ型カラーレジスト層18を構成し、この場合のネガ型カラーレジスト層18の厚さRHも0.5μm〜2.5μmの範囲に設定される。
【0085】
ネガ型感光性緑色組成物は、少なくとも溶剤,青色顔料,モノマー,ポリマー,開始剤,そして添加剤が混合されているネガ型感光性青色組成物であって、モノマー(M)に対する開始剤(I)の比(I/M)が20%〜40%の範囲であり、開始剤(I)とモノマー(M)とポリマー(P)との合計樹脂量(SP)に対する開始剤(I)とモノマー(M)との合計量が6%〜7%の範囲であり、そして、モノマー種が単一組成であるとともにポリマー種も単一組成である。
【0086】
そして、モノマー(M)は3官能アクリルモノマーである。ポリマーは酸価が60〜100の範囲であり、平均分子量が1万〜5万である。
【0087】
青色顔料は、C.I.ピグメントブルー15:6及びC.I.ピグメントバイオレット23を含んでいる。
【0088】
青色フィルターセグメントにおける青色顔料の濃度は15〜45重量%の範囲内になるよう調整されている。
【0089】
上記溶剤,モノマー,ポリマー,そして開始剤としては、前述したネガ型感光性緑色組成物において使用されるものと同じものを使用することが出来る。
【0090】
ネガ型青色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18の表面は、青色フィルターセグメントを対応して形成したい複数の光電変換素子12に対応する複数の部分を、ハーフトーンマスク20を使用してパターン露光22する。ハーフトーンマスク20は、緑色のネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20によりパターン露光された複数の部分の夫々が、現像後に対応する光電変換素子12の中心を中心にして凸状の半球形状となるようなパターンの階調性を有している。
【0091】
使用するハーフトーンマスク20は上述した緑色フィルターセグメントの形成のために使用された図3中に図示されているものと同じで良く、またネガ型青色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18に対するハーフトーンマスク20を使用したパターン露光の仕方も、前述したネガ型緑色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18に対するハーフトーンマスク20を使用したパターン露光の仕方と同じでよい。
【0092】
パターン露光後、ネガ型カラーレジスト層18を現像すると、ネガ型カラーレジスト層18において露光された複数の部分、即ち、青色フィルターセグメントを対応して形成したい複数の光電変換素子12とは反対側に位置する複数の部分、の夫々のみが、図4中に図示されている如く、対応する光電変換素子12の中心を中心とした凸状の半球状の外表面24aを上部に有する青色のフィルターセグメント24として残る。
【0093】
このとき、この実施の形態ではフィルターセグメント24において紫外線吸収層16から略垂直に立ち上がっている側面24bは紫外線吸収層16から紫外線吸収層16とは反対側の縁まで略0.7μmの高さBHを有しており、またフィルターセグメント24の上部の凸状の半球状の外表面24aは側面24bの上記縁から頂点まで略0.5μmの高さPHを有している。そして、青色のフィルターセグメント24におけるこれらの高さBH及びPHの夫々の寸法は、前述した緑色のフィルターセグメント24におけるこれらの高さBH及びPHの夫々の寸法と同じである。
【0094】
最後に、このように形成された青色のフィルターセグメント24は硬膜化処理される。
【0095】
本願の発明者は:モノマー(M)に対する開始剤(I)の比(I/M)を20%〜40%の範囲内で種々に変化させ、また開始剤(I)とモノマー(M)とポリマー(P)との合計樹脂量(SP)に対する開始剤(I)とモノマー(M)との合計量(IM量)を6%〜7%の範囲内で種々に変化させ、さらに青色フィルターセグメントにおける青色顔料の濃度(Pcon)を15〜45重量%の範囲内で種々に変化させた以外は同一組成のネガ型感光性青色組成物を8種類(実施例1〜8)作成し、これら8種類(実施例1〜8)のネガ型感光性青色組成物を使用して図1乃至図4を参照しながら前述したカラーフィルターの製造方法に従い作成した8種類(実施例1〜8)の青色フィルターセグメントの夫々について断面形状,表面粗さ,解像性,密着性,そして残渣についての評価を行なうとともに;上記比(I/M)と上記合計量(IM量)と上記濃度(Pcon)の中の少なくともいずれか1つを夫々の上記範囲内から逸脱させるかポリマー種を2種とした以外は同一組成のネガ型感光性青色組成物を13種類(比較例1〜13)作成し、これら13種類(比較例1〜13)のネガ型感光性青色組成物を使用して図1乃至図4を参照しながら前述したカラーフィルターの製造方法に従い作成した13種類(比較例1〜13)の青色フィルターセグメントの夫々について断面形状,表面粗さ,解像性,密着性,そして残渣についての評価を行なった。その結果が、以下の表3中に纏められている。
【表3】

【0096】
ここにおいて断面形状は、AFM(原子間力顕微鏡)を使用して判断した。すなわち、平面形状が略正方形の緑色フィルターセグメント24の中心を通り相互に対向する2辺と直交する断面及び対角線に沿った断面の夫々の曲線形状が、使用したハーフトーンマスクから得られるべき光を集光するための理想とされる曲線形状からの分離する状況により判断した。これらの断面形状が所望される曲線形状に近く許容される場合(OK)と所望される曲線形状から外れ許容されない場合(NG)の夫々の一例が図5の(A)及び(B)に図示されている。
【0097】
また、表面粗さはSEM(操作型電子顕微鏡)を使用して測定し、予め定めた限度見本との比較により判断した。図6の(A),(B),そして(C)に各々、その許容範囲外のもの(NG)の例,限度見本,そして許容範囲のもの(OK)の例が図示されている。
【0098】
また、レジストのパターン解像性(パターン露光、現像で得られたパターンの寸法が所望される寸法となっているか否かの判断)は、側長SEM(側長・操作型電子顕微鏡)を使用して測定判断した。その判断基準は2μm±0.1μmの範囲のパターン寸法となっていれば「○」とし、外れた場合を「△」,「×」とした。
【0099】
また、密着性は顕微鏡を使用して確認し、その判断基準は一定光量以上で露光現像した場合に剥がれが生じているか否かを判定した。なお露光量と密着性の判定については、表3に加えて、以下の表4中に追記した。
【表4】

【0100】
また、残渣は側長SEM(側長・操作型電子顕微鏡)を使用して観察し、予め定めた限度見本との比較により判断した。図7の(A),(B),そして(C)に各々、その許容範囲外のもの(NG)の例,許容範囲のもの(OK)の例,そして限度見本が図示されている。
【0101】
いずれにしろ、これら断面形状,表面粗さ,解像性,密着性,そして残渣が前述した如き判断基準や許容範囲内にないと、前述した如き青色フィルターセグメントは実用上所望の性能を発揮することが出来ないことが分かっている。
【0102】
即ち、断面形状が悪いと、所望の曲率が得られず集光性が悪くなる。表面粗さが荒いと、レンズ表面で光が散乱し、散乱光により混色、ノイズの原因となる。解像性が悪いと微細なパターンが得られず、また未露光部が現像後に残る残渣が多いと混色、ノイズの原因となるものである。
【0103】
そして、表3を分析した結果や実施例1〜8及び比較例1〜13の作成や性能評価の過程で以下のことが分った。
【0104】
・ネガ型感光性青色組成物においてモノマー(M)に対する開始剤(I)の比(I/M)を20%〜40%にすれば、ネガ型青色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得られた外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることができ(即ち、対応する個々の画素に入射する光量を増加させることが出来)、しかも密着性が良好で剥がれが生じることはない。
【0105】
しかし、上記比(I/M)が20%以下になると密着性が低下して剥がれが生じ、そして上記比(I/M)が40%以上になるとネガ型青色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得られた外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることが出来ずに上記外表面における光の散乱が大きくなる。即ち、対応する個々の画素に入射する光量を低下させる。
【0106】
・開始剤(I)とモノマー(M)とポリマー(P)との合計樹脂量(SP)に対する開始剤(I)とモノマー(M)との合計量(IM量)が6%〜7%の範囲であれば、ネガ型青色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得られた外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることができ(即ち、対応する個々の画素に入射する光量を増加させることが出来)、しかも密着性が良好で剥がれが生じることはない。
【0107】
しかし、上記合計量(IM量)が6%以下になると密着性が低下して剥がれが生じ、そして上記合計量(IM量)が7%以上になるとネガ型青色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得られた外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることが出来ずに上記外表面における光の散乱が大きくなる。即ち、対応する個々の画素に入射する光量を低下させる。
【0108】
・少なくともモノマー種及びポリマー種のいずれか一方が単一組成でない場合、ネガ型青色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得られた外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることが出来ずに上記外表面における光の散乱が大きくなる。即ち、対応する個々の画素に入射する光量を低下させる。
【0109】
・また、モノマー(M)として、3官能アクリルモノマー以外に、一般的なレジストに使用される例えば4や5官能モノマーを使用すると光感度が高くなりすぎて、ネガ型青色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得られた外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることが出来ずに上記外表面における光の散乱が大きくなる。即ち、対応する個々の画素に入射する光量を低下させる。
【0110】
・また、ポリマーの酸価が60〜100の範囲であれば、ネガ型青色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得た外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな所望の形状とすることができ(即ち、対応する個々の画素に入射する光量を増加させることが出来)る。
【0111】
しかし、100以上になると現像速度が早くなりすぎてネガ型青色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像された外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した所望の形状とすることが出来なくなり、そして、60以下になると現像速度が遅く表面荒れが生じネガ型青色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得た外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることが出来ずに上記外表面における光の散乱が大きくなる。即ち、対応する個々の画素に入射する光量を低下させる。
【0112】
・また、ポリマーの平均分子量が1万〜5万の範囲であれば、ネガ型カラーレジスト層18の塗布形成時に塗布むらが生じたり、レジストパターンの解像性を悪化させることがない。
【0113】
しかし、平均分子量が1万以下であるとストリエーション(筋状の塗布むら)等の塗布むらが生じ、また5万以上であるとパターンの解像性を悪化させる。
【0114】
・また、青色フィルターセグメントにおける青色顔料の濃度(Pcon)が15〜45重量%の範囲内にあれば所定の青色光の分光を得ることが出来るし、ネガ型青色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得た外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることができ(即ち、対応する個々の画素に入射する光量を増加させることが出来)る。
【0115】
しかし、15〜45重量%の範囲外であると所定の青色光の分光を得ることが出来ないし、また45重量%以上になるとネガ型青色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得られた外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることが出来ずに上記外表面における光の散乱が大きくなる。即ち、対応する個々の画素に入射する光量を低下させる。
【0116】
・そして、青色顔料としてC.I.ピグメントブルー15:6及びC.I.ピグメントバイオレット23を含んだものを使用した前述した実施例8のネガ型感光性青色組成物を用い、図1乃至図4に示すカラーフィルターの製造方法に従い作成した0.8μmの膜厚を有する青色フィルター用ネガ型青色膜からなる青色フィルターセグメントにおける光の波長と透過率との関係が図9において示されている。
【0117】
図9に示すように、実施例にかかわる青色フィルターセグメントは可視光の波長領域(400nm〜700nm)において、略凸状の分光透過率曲線を有する。
【0118】
400nmの波長の光の透過率が40%以上であり、
480nmと520nmとの間に光の透過率が50%となる波長を有し、そして、
700nmの波長の光の透過率が20%以下である。
【0119】
このグラフより、青色の波長域の光の透過率が高く、その他の光の波長域では透過率が低いので青色の分離性に優れているのがわかる。
【0120】
かかる分光透過率特性の場合、青色の波長域(400nm〜520nm)で透過率が高く、その他の色の波長域では透過率が低くなるので、青色光の抽出能力がすぐれ、他の色の混色の少ない像が得られる。
【0121】
[赤色フィルターセグメントの形成]
上述した緑色フィルターセグメント及び青色フィルターセグメントの形成に続き、最後に、赤色フィルターセグメントを、所定の対応する光電変換素子12上に形成する場合について説明する。
【0122】
上記の場合、撮像素子14において複数の赤色フィルターセグメントの形成されている表面にさらに、図2中に図示されている如く、ネガ型感光性赤色組成物により形成されたネガ型赤色膜によりネガ型カラーレジスト層18を構成し、この場合のネガ型カラーレジスト層18の厚さRHも0.5μm〜2.5μmの範囲に設定される。
【0123】
ネガ型感光性赤色組成物は、少なくとも溶剤,赤色顔料,モノマー,ポリマー,開始剤,そして添加剤が混合されているネガ型感光性赤色組成物であって、モノマー(M)に対する開始剤(I)の比(I/M)が20%〜40%の範囲であり、開始剤(I)とモノマー(M)とポリマー(P)との合計樹脂量(SP)に対する開始剤(I)とモノマー(M)との合計量が3.5%〜6%の範囲であり、そして、モノマー種が単一組成であるとともにポリマー種も単一組成である。
【0124】
そして、モノマー(M)は3官能アクリルモノマーである。ポリマーは酸価が60〜100の範囲であり、平均分子量が1万〜5万である。
【0125】
赤色顔料は、C.I.ピグメントレッド177,C.I.ピグメントレッド48:1,そしてC.I.ピグメントイエロー139を含んでいる。
【0126】
赤色フィルターセグメントにおける赤色顔料の濃度は20〜50重量%の範囲内になるよう調整されている。
【0127】
上記溶剤,モノマー,ポリマー,そして開始剤としては、前述したネガ型感光性緑色組成物及びネガ型感光性青色組成物の夫々において使用されるものと同じものを使用することが出来る。
【0128】
ネガ型赤色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18の表面は、赤色フィルターセグメントを対応して形成したい複数の光電変換素子12に対応する複数の部分を、ハーフトーンマスク20を使用してパターン露光22する。ハーフトーンマスク20は、赤色のネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20によりパターン露光された複数の部分の夫々が、現像後に対応する光電変換素子12の中心を中心にして凸状の半球形状となるようなパターンの階調性を有している。
【0129】
使用するハーフトーンマスク20は前述した緑色フィルターセグメント及び青色フィルターセグメントの形成のために使用された図3中に図示されているものと同じで良く、またネガ型赤色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18に対するハーフトーンマスク20を使用したパターン露光の仕方も、前述したネガ型緑色膜及びネガ型青色膜の夫々により形成されているネガ型カラーレジスト層18に対するハーフトーンマスク20を使用したパターン露光の仕方と同じでよい。
【0130】
パターン露光後、ネガ型カラーレジスト層18を現像すると、ネガ型カラーレジスト層18において露光された複数の部分、即ち、赤色フィルターセグメントを対応して形成したい複数の光電変換素子12とは反対側に位置する複数の部分、の夫々のみが、図4中に図示されている如く、対応する光電変換素子12の中心を中心とした凸状の半球状の外表面24aを上部に有する赤色のフィルターセグメント24として残る。
【0131】
このとき、この実施の形態ではフィルターセグメント24において紫外線吸収層16から略垂直に立ち上がっている側面24bは紫外線吸収層16から紫外線吸収層16とは反対側の縁まで略0.7μmの高さBHを有しており、またフィルターセグメント24の上部の凸状の半球状の外表面24aは側面24bの上記縁から頂点まで略0.5μmの高さPHを有している。そして、赤色のフィルターセグメント24におけるこれらの高さBH及びPHの夫々の寸法は、前述した緑色のフィルターセグメント24及び青色のフィルターセグメント24におけるこれらの高さBH及びPHの夫々の寸法と同じである。
【0132】
最後に、このように形成された赤色のフィルターセグメント24は硬膜化処理される。
【0133】
本願の発明者は:モノマー(M)に対する開始剤(I)の比(I/M)を20%〜40%の範囲内で種々に変化させ、また開始剤(I)とモノマー(M)とポリマー(P)との合計樹脂量(SP)に対する開始剤(I)とモノマー(M)との合計量(IM量)を3.5%〜6%の範囲内で種々に変化させ、さらに赤色フィルターセグメントにおける赤色顔料の濃度(Pcon)を20〜50重量%の範囲内で種々に変化させた以外は同一組成のネガ型感光性赤色組成物を8種類(実施例1〜8)作成し、これら8種類(実施例1〜8)のネガ型感光性赤色組成物を使用して図1乃至図4を参照しながら前述したカラーフィルターの製造方法に従い作成した8種類(実施例1〜8)の赤色フィルターセグメントの夫々について断面形状,表面粗さ,解像性,密着性,そして残渣についての評価を行なうとともに;上記比(I/M)と上記合計量(IM量)と上記濃度(Pcon)の中の少なくともいずれか1つを夫々の上記範囲内から逸脱させるかポリマー種を2種とした以外は同一組成のネガ型感光性赤色組成物を12種類(比較例1〜12)作成し、これら12種類(比較例1〜12)のネガ型感光性赤色組成物を使用して図1乃至図4を参照しながら前述したカラーフィルターの製造方法に従い作成した12種類(比較例1〜12)の赤色フィルターセグメントの夫々について断面形状,表面粗さ,解像性,密着性,そして残渣についての評価を行なった。その結果が、以下の表5中に纏められている。
【表5】

【0134】
断面形状,表面粗さ,解像性,密着性,残渣の評価は前述した緑、青の場合と同様に行なった。また、露光量と密着性の関係については、表6に追記している。
【表6】

【0135】
いずれにしろ、これら断面形状,表面粗さ,解像性,密着性,そして残渣が前述した如き判断基準や許容範囲内にないと、前述した如き赤色フィルターセグメントは実用上所望の性能を発揮することが出来ないことが分かっている。
【0136】
そして、表5を分析した結果や実施例1〜8及び比較例1〜12の作成や性能評価の過程で以下のことが分った。
【0137】
・ネガ型感光性赤色組成物においてモノマー(M)に対する開始剤(I)の比(I/M)を20%〜40%にすれば、ネガ型赤色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得られた外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることができ(即ち、対応する個々の画素に入射する光量を増加させることが出来)、しかも密着性が良好で剥がれが生じることはない。
【0138】
しかし、上記比(I/M)が20%以下になると密着性が低下して剥がれが生じ、そして上記比(I/M)が40%以上になるとネガ型赤色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得られた外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることが出来ずに上記外表面における光の散乱が大きくなる。即ち、対応する個々の画素に入射する光量を低下させる。
【0139】
・開始剤(I)とモノマー(M)とポリマー(P)との合計樹脂量(SP)に対する開始剤(I)とモノマー(M)との合計量(IM量)が3.5%〜6%の範囲であれば、ネガ型赤色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得られた外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることができ(即ち、対応する個々の画素に入射する光量を増加させることが出来)、しかも密着性が良好で剥がれが生じることはない。
【0140】
しかし、上記合計量(IM量)が3.5%以下になると密着性が低下して剥がれが生じ、そして上記合計量(IM量)が6%以上になるとネガ型赤色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得られた外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることが出来ずに上記外表面における光の散乱が大きくなる。即ち、対応する個々の画素に入射する光量を低下させる。
【0141】
・少なくともモノマー種及びポリマー種のいずれか一方が単一組成でない場合、ネガ型赤色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得られた外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることが出来ずに上記外表面における光の散乱が大きくなる。即ち、対応する個々の画素に入射する光量を低下させる。
【0142】
・また、モノマー(M)として、3官能アクリルモノマー以外に、一般的なレジストに使用される例えば4や5官能モノマーを使用すると光感度が高くなりすぎて、ネガ型赤色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得られた外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることが出来ずに上記外表面における光の散乱が大きくなる。即ち、対応する個々の画素に入射する光量を低下させる。
【0143】
・また、ポリマーの酸価が60〜100の範囲であれば、ネガ型赤色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得た外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな所望の形状とすることができ(即ち、対応する個々の画素に入射する光量を増加させることが出来)る。
【0144】
しかし、100以上になると現像速度が早くなりすぎてネガ型赤色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光された外表面を現像によりハーフトーンマスク20における光透過率に対応した所望の形状とすることが出来なくなり、そして、60以下になると現像速度が遅く表面荒れが生じネガ型赤色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得た外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることが出来ずに上記外表面における光の散乱が大きくなる。即ち、対応する個々の画素に入射する光量を低下させる。
【0145】
・また、ポリマーの平均分子量が1万〜5万の範囲であれば、ネガ型カラーレジスト層18の塗布形成時に塗布むらが生じたり、パターンの解像性を悪化させることがない。
【0146】
しかし、平均分子量が1万以下であるとストリエーション(筋状の塗布むら)等の塗布むらが生じ、また5万以上であると解像性を悪化させる。
【0147】
・また、赤色フィルターセグメントにおける赤色顔料の濃度(Pcon)が20〜50重量%の範囲内にあれば所定の赤色光の分光を得ることが出来るし、ネガ型赤色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光後に現像して得た外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状を得ることができ(即ち、対応する個々の画素に入射する光量を増加させることが出来)る。
【0148】
しかし、20〜50重量%の範囲外であると所定の赤色光の分光を得ることが出来ないし、また50重量%以上になるとネガ型赤色膜により形成されているネガ型カラーレジスト層18においてハーフトーンマスク20を介してパターン露光された外表面をハーフトーンマスク20における光透過率に対応した滑らかな形状とすることが出来ずに上記外表面における光の散乱が大きくなる。即ち、対応する個々の画素に入射する光量を低下させる。
【0149】
・そして、赤色顔料としてC.I.ピグメントレッド177,C.I.ピグメントレッド48:1,そしてC.I.ピグメントイエロー139を含む前述した実施例8の代表的なネガ型感光性赤色組成物を用い、図1乃至図4に示すカラーフィルターの製造方法に従い作成した0.5〜2.5μmの範囲の膜厚を有する赤色フィルター用ネガ型赤色膜からなる赤色フィルターセグメントにおける光の波長と透過率との関係が図10において示されている。
【0150】
図10に示すように、実施例にかかわる赤色フィルターセグメントは、可視光の波長域で略S字状の分光透過率曲線を有する。
【0151】
400nmの波長の光の透過率が20%以下であり、
430nmと560nmとの間の波長の透過率が10%以下であり、そして、
570nmと600nmとの間に光の透過率が50%となる波長を有し、
600nmの波長の光の透過率が75%以上である。
【0152】
このグラフより、赤色の波長域の光の透過率が高く、その他の光の波長域では透過率が低いので赤色の光分離性に優れているのがわかる。
【0153】
かかる分光透過率特性の場合、赤色の波長域(570nm以上)で透過率が高く、その他の色の波長域では透過率が低くなるので、赤色光の抽出能力がすぐれ、他の色の混色の少ない像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】半導体基板に複数のCMOS光電変換素子が設けられている従来の撮像素子の概略的な縦断面である。
【図2】図1の撮像素子の半導体基板上に、紫外線吸収層及びこの発明の実施の形態に従ったネガ型感光性緑色組成物,ネガ型感光性青色組成物,そしてネガ型感光性赤色組成物のいずれか1つを使用した緑色フィルター用ネガ型緑色膜,青色フィルター用ネガ型青色膜,そして赤色フィルター用ネガ型赤色膜のいずれか1つによりネガ型カラーレジスト層が形成され、さらにハーフトーンマスクを使用して露光処理を行なう様子を概略的に示す縦断面図である。
【図3】図3は、図2において使用されているハーフトーンマスクの概略的な平面図である。
【図4】図4は、図2において露光処理された後のネガ型カラーレジスト層を現像処理し、さらに硬膜化処理して、所望の断面形状の緑色フィルターセグメント,青色フィルターセグメント,そして赤色フィルターセグメントのいずれか1種類を、図1の撮像素子の半導体基板上において所定の光電変換素子に対応させて形成した様子を概略的に示す縦断面図である。
【図5】図5の(A)は、図1の撮像素子の半導体基板上において所定の光電変換素子に対応させて形成された図4中の平面形状が略正方形の緑色フィルターセグメント,青色フィルターセグメント,そして赤色フィルターセグメントのいずれか1つの断面形状が、AFM(原子間力顕微鏡)を使用してフィルターセグメントの中心を通り相互に対向する2辺と直交する断面及び対角線に沿った断面の夫々の理想曲線からの分離状況により許容される(OK)と判断される場合を示す図であり;そして、 図5の(B)は、図5の(A)と同様な断面形状であるが上記理想曲線からの分離状況により許容されない(NG)と判断される場合を示す図である。
【図6】図6の(A)は、図1の撮像素子の半導体基板上において所定の光電変換素子に対応させて形成された図4中の平面形状が略正方形の緑色フィルターセグメント,青色フィルターセグメント,そして赤色フィルターセグメントのいずれか1つの表面粗さが、SEM(操作型電子顕微鏡)を使用して測定された後に許容範囲外(NG)であると判断される場合を示す斜視図であり; 図6の(B)は、図6の(A)と同様な斜視図であるが上記表面粗さが許容の限度であると判断される場合を示す斜視図であり;そして、 図6の(C)は、図6の(A)と同様な斜視図であるが上記表面粗さが許容範囲(OK)であると判断される場合を示す斜視図である。
【図7】図7の(A)は、図1の撮像素子の半導体基板上において所定の光電変換素子に対応させて形成された図4中の平面形状が略正方形の緑色フィルターセグメント,青色フィルターセグメント,そして赤色フィルターセグメントのいずれか1つの残渣が、側長SEM(側長・操作型電子顕微鏡)を使用して観察された後に、許容範囲外(NG)であると判断される場合を示す平面図であり; 図7の(B)は、図7の(A)と同様な平面図であるが上記残渣が許容範囲(OK)であると判断される場合を示す平面図であり;そして、 図7の(C)は、図7の(A)と同様な平面図であるが上記残渣が許容範囲の限度であると判断される場合を示す平面図である。
【図8】図8は、この発明の一実施の形態に従ったネガ型感光性緑色組成物から作成した0.5〜2.5μmの範囲の膜厚を有する緑色フィルター用ネガ型緑色膜から図1乃至図4を参照しながら前述したカラーフィルターの製造方法に従い作成し緑色顔料濃度が20〜55重量%の範囲である赤色フィルターセグメントにおける光の波長と透過率との関係を示す図である。
【図9】図9は、この発明の一実施の形態に従ったネガ型感光性青色組成物から作成した0.5〜2.5μmの範囲の膜厚を有する青色フィルター用ネガ型青色膜から図1乃至図4を参照しながら前述したカラーフィルターの製造方法に従い作成し青色顔料濃度が15〜45重量%の範囲である青色フィルターセグメントにおける光の波長と透過率との関係を示す図である。
【図10】図10は、この発明の一実施の形態に従ったネガ型感光性赤色組成物から作成した0.5〜2.5μmの範囲の膜厚を有する赤色フィルター用ネガ型赤色膜から図1乃至図4を参照しながら前述したカラーフィルターの製造方法に従い作成し赤色顔料濃度が20〜50重量%である赤色フィルターセグメントにおける光の波長と透過率との関係を示す図である。
【図11】(A)は、従来のカラーフィルター付き撮像素子の一例の縦断面を概略的に示す縦断面図であり;そして、 (B)は、従来のカラーフィルター付き撮像素子の別の例の縦断面を概略的に示す縦断面図である。
【図12】従来のカラーフィルター付き撮像素子のさらに別の例の縦断面を概略的に示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0155】
10…半導体基板、12…光電変換素子、14…撮像素子、16…紫外線吸収層、18…ネガ型カラーレジスト層、20…ハーフトーンマスク、24…フィルターセグメント、24a…外表面、24b…側面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも溶剤,緑色顔料,モノマー,ポリマー,開始剤,そして添加剤が混合されているネガ型感光性緑色組成物であって、
モノマー(M)に対する開始剤(I)の比(I/M)が20%〜40%の範囲であり、
開始剤(I)とモノマー(M)とポリマー(P)との合計樹脂量(SP)に対する開始剤(I)とモノマー(M)との合計量が4%〜6%の範囲であり、そして、
モノマー種が単一組成であるとともにポリマー種も単一組成である、
ことを特徴としているネガ型感光性緑色組成物。
【請求項2】
前記モノマー(M)が3官能アクリルモノマーである、ことを特徴とする請求項1に記載のネガ型感光性緑色組成物。
【請求項3】
前記ポリマーの酸価が60〜100の範囲であり、平均分子量が1万〜5万であることを特徴とする請求項1に記載のネガ型感光性緑色組成物。
【請求項4】
緑色顔料として、C.I.ピグメントグリーン36,C.I.ピグメントグリーン7,そしてC.I.ピグメントイエロー139を含んでいて、そして、
緑色フィルターにおける緑色顔料の濃度が20〜55重量%の範囲である、
ことを特徴とする請求項1に記載のネガ型感光性緑色組成物。
【請求項5】
緑色顔料として、C.I.ピグメントグリーン36及びC.I.ピグメントイエロー150を含んでいて、そして、
緑色フィルターにおける緑色顔料の濃度が20〜55重量%の範囲である、
ことを特徴とする請求項1に記載のネガ型感光性緑色組成物。
【請求項6】
0.5〜2.5μmの範囲の膜厚を有する緑色フィルター用ネガ型緑色膜であって、可視光の波長領域において略凸字状の分光透過率曲線を有し、
400nmと435nmとの間及び620nmと660nmとの間の波長の光の透過率が10%以下であり、
480nmと515nmとの間及び560nmと600nmとの間に光の透過率が50%となる波長を有し、そして、
530nmの波長の光の透過率が70%以上である、
ことを特徴とする緑色フィルター用ネガ型緑色膜。
【請求項7】
0.5〜2.5μmの範囲の膜厚を有する緑色フィルター用ネガ型緑色膜であって、可視光の波長領域において略凸字状の分光透過率曲線を有し、
400nmと435nmとの間及び620nmと660nmとの間の波長の光の透過率が10%以下であり、
460nmと510nmとの間及び550nmと600nmとの間に光の透過率が50%となる波長を有し、そして、
530nmの波長の光の透過率が70%以上である、
ことを特徴とする緑色フィルター用ネガ型緑色膜。
【請求項8】
撮像素子の複数の光電変換素子に対応して配置された少なくとも1つの緑色フィルターセグメントを具備するカラーフィルターであって、
前記緑色フィルターセグメントが、請求項1〜5のいずれか1項に記載のネガ型感光性緑色組成物により形成されており、そして、
前記緑色フィルターセグメント中に緑色顔料が20〜55重量%含まれている、
ことを特徴とするカラーフィルター。
【請求項9】
前記緑色フィルターセグメントにおいて対応する光電変換素子とは反対側に位置する表面が凸レンズ形状に形成されている、ことを特徴とする請求項8に記載のカラーフィルター。
【請求項10】
撮像素子の複数の光電変換素子の少なくとも1つに対応して請求項1〜5のいずれか1項に記載のネガ型感光性緑色組成物によりネガ型緑色膜を形成し、
前記ネガ型緑色膜を濃度分布マスクを用いてパターン露光した後に現像し、
現像後に対応する光電変換素子とは反対側に位置する表面が凸レンズ形状に形成されている緑色フィルターが形成される、
ことを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
【請求項11】
少なくとも溶剤,青色顔料,モノマー,ポリマー,開始剤,そして添加剤が混合されているネガ型感光性青色組成物であって、
モノマー(M)に対する開始剤(I)の比(I/M)が20%〜40%の範囲であり、
開始剤(I)とモノマー(M)とポリマー(P)との合計樹脂量(SP)に対する開始剤(I)とモノマー(M)との合計量が6%〜7%の範囲であり、そして、
モノマー種が単一組成であるとともにポリマー種も単一組成である、
ことを特徴としているネガ型感光性青色組成物。
【請求項12】
前記モノマー(M)が3官能アクリルモノマーである、ことを特徴とする請求項11に記載のネガ型感光性青色組成物。
【請求項13】
前記ポリマーの酸価が60〜100の範囲であり、平均分子量が1万〜5万であることを特徴とする請求項11に記載のネガ型感光性青色組成物。
【請求項14】
青色顔料として、C.I.ピグメントブルー15:6及びC.I.ピグメントバイオレット23を含んでいて、そして、
青色フィルターにおける青色顔料の濃度が15〜45重量%の範囲である、
ことを特徴とする請求項11に記載のネガ型感光性青色組成物。
【請求項15】
0.5〜2.5μmの範囲の膜厚を有する青色フィルター用ネガ型青色膜であって、可視光の波長領域において略凸字状の分光透過率曲線を有し、
400nm波長の光の透過率が40%以上であり、
480nmと520nmとの間に光の透過率が50%となる波長を有し、そして、
700nm波長の光の透過率が20%以下である、
ことを特徴とする青色フィルター用ネガ型青色膜。
【請求項16】
撮像素子の複数の光電変換素子に対応して配置された少なくとも1つの青色フィルターセグメントを具備するカラーフィルターであって、
前記青色フィルターセグメントが、請求項11〜14のいずれか1項に記載のネガ型感光性青色組成物により形成されており、そして、
前記青色フィルターセグメント中に青色顔料が15〜45重量%含まれている、
ことを特徴とするカラーフィルター。
【請求項17】
前記青色フィルターセグメントにおいて対応する光電変換素子とは反対側に位置する表面が凸レンズ形状に形成されている、ことを特徴とする請求項14に記載のカラーフィルター。
【請求項18】
撮像素子の複数の光電変換素子の少なくとも1つに対応して請求項11〜14のいずれか1項に記載のネガ型感光性青色組成物によりネガ型青色膜を形成し、
前記ネガ型青色膜を濃度分布マスクを用いてパターン露光した後に現像し、
現像後に対応する光電変換素子とは反対側に位置する表面が凸レンズ形状に形成されている青色フィルターが形成される、
ことを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
【請求項19】
少なくとも溶剤,赤色顔料,モノマー,ポリマー,開始剤,そして添加剤が混合されているネガ型感光性赤色組成物であって、
モノマー(M)に対する開始剤(I)の比(I/M)が20%〜40%の範囲であり、
開始剤(I)とモノマー(M)とポリマー(P)との合計樹脂量(SP)に対する開始剤(I)とモノマー(M)との合計量が3.5%〜6%の範囲であり、そして、
モノマー種が単一組成であるとともにポリマー種も単一組成である、
ことを特徴としているネガ型感光性赤色組成物。
【請求項20】
前記モノマー(M)が3官能アクリルモノマーである、ことを特徴とする請求項19に記載のネガ型感光性赤色組成物。
【請求項21】
前記ポリマーの酸価が60〜100の範囲であり、平均分子量が1万〜5万であることを特徴とする請求項19に記載のネガ型感光性赤色組成物。
【請求項22】
赤色顔料として、C.I.ピグメントレッド177,C.I.ピグメントレッド48:1,そしてC.I.ピグメントイエロー139を含んでいて、そして、
赤色フィルターにおける赤色顔料の濃度が20〜50重量%の範囲である、
ことを特徴とする請求項19に記載のネガ型感光性赤色組成物。
【請求項23】
0.5〜2.5μmの範囲の膜厚を有する赤色フィルター用ネガ型赤色膜であって、可視光の波長領域において略S字状の分光透過率曲線を有し、
400nm波長の光の透過率が20%以下であり、
430nmと560nmとの間の波長の光の透過率が10%以下であり、
570nmと600nmとの間に光の透過率が50%となる波長を有し、そして、
600nm波長の光の透過率が75%以上である、
ことを特徴とする赤色フィルター用ネガ型赤色膜。
【請求項24】
撮像素子の複数の光電変換素子に対応して配置された少なくとも1つの赤色フィルターセグメントを具備するカラーフィルターであって、
前記赤色フィルターセグメントが、請求項1〜4のいずれか1項に記載のネガ型感光性赤色組成物により形成されており、そして、
前記赤色フィルターセグメント中に赤色顔料が20〜50重量%含まれている、
ことを特徴とするカラーフィルター。
【請求項25】
前記赤色フィルターセグメントにおいて対応する光電変換素子とは反対側に位置する表面が凸レンズ形状に形成されている、ことを特徴とする請求項24に記載のカラーフィルター。
【請求項26】
撮像素子の複数の光電変換素子の少なくとも1つに対応して請求項19〜22のいずれか1項に記載のネガ型感光性赤色組成物によりネガ型赤色膜を形成し、
前記ネガ型赤色膜を濃度分布マスクを用いてパターン露光した後に現像し、
現像後に対応する光電変換素子とは反対側に位置する表面が凸レンズ形状に形成されている赤色フィルターが形成される、
ことを特徴とするカラーフィルターの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−244791(P2009−244791A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94114(P2008−94114)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】