ネットワークカメラシステム及びネットワークカメラシステムの制御方法
【課題】ネットワークカメラの交換時に、カメラ設定に係る設定情報を自動更新できるようにする
【解決手段】撮影装置と、前記撮影装置からの映像データを、ネットワークを介して受信して表示部に表示するクライアント機とを有するネットワークカメラシステムにおいて、前記撮影装置により取得した映像データを元に特徴情報を抽出するとともに、前記抽出した特徴情報を記憶媒体に記憶しておき、前記記憶媒体に記憶した特徴情報と、新たに抽出した特徴情報とを比較し、比較の結果に基づいて、プリセット位置、マスキング位置、動き検出位置のうち、少なくとも一つを含む設定情報を修正できるようにすることにより、ネットワークカメラの交換時に、位置ずれが発生しても自動的に修正できるようにする。
【解決手段】撮影装置と、前記撮影装置からの映像データを、ネットワークを介して受信して表示部に表示するクライアント機とを有するネットワークカメラシステムにおいて、前記撮影装置により取得した映像データを元に特徴情報を抽出するとともに、前記抽出した特徴情報を記憶媒体に記憶しておき、前記記憶媒体に記憶した特徴情報と、新たに抽出した特徴情報とを比較し、比較の結果に基づいて、プリセット位置、マスキング位置、動き検出位置のうち、少なくとも一つを含む設定情報を修正できるようにすることにより、ネットワークカメラの交換時に、位置ずれが発生しても自動的に修正できるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークカメラシステム及びネットワークカメラシステムの制御方法に関し、特に、ネットワークカメラ交換時に用いて好適な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、監視カメラを用いたネットワークカメラシステムにおいては、取得した映像をネットワークに配信するカメラと、遠隔地でネットワークを介してカメラ映像を受け取り、表示装置で可視可能とするクライアント機により構成される。また、クライアント機は映像を可視可能とすると共に、いろいろなカメラ設定を行う。
【0003】
例えば、カメラの解像度、ホワイトバランス、露出、シャッタースピードなどの画質に関する設定や、IPアドレス、圧縮方式、配信画素数などのネットワーク配信に関する設定などを行う。さらには、プリセット、プライベートマスキング、動き検出における位置情報などの設定を行う。したがって、故障などによりカメラを交換する場合、以前と同じ設定をクライアント機で行い、同一の設定状態にする必要がある。
【0004】
特許文献1では、以前に取得しておいた撮影位置での被写体情報を、録画装置に保存しておき、交換したカメラで新たに取得した被写体情報を、録画装置に保存しておいた被写体情報と比較する。そして、一致した場合にカメラに通知し、カメラで報知を行うカメラシステムを開示している。
また、特許文献2では、マスキング情報をカメラに着脱可能な記憶媒体に記憶し、記憶媒体に記憶されたマスキング情報に基づいてマスキングする監視システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−21920号公報
【特許文献2】特開2004−364030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の特許文献1に開示された従来技術では、交換前のカメラで撮影した被写体情報と、交換後のカメラで撮影した被写体情報とを、撮影位置を試行錯誤しながら比較する必要がある。このため、撮影位置の特定に多くの時間がかかってしまう問題点があった。また、プリセット位置のように、撮影位置が複数ある場合、プリセット位置ごとに撮影位置を比較する必要があり、プリセット位置が多い場合は非常に多くの時間がかかってしまう問題点があった。
【0007】
また、前述の特許文献2に開示された従来技術では、マスキング位置を着脱可能な記憶媒体に記憶して、カメラが交換された後もマスキング可能としている。しかしながら、交換したカメラの設置位置がずれている場合は、マスキング位置が所望のプライバシー領域からずれてしまうこととなり、意味のない位置をマスキングしてしまうことになってしまう問題点があった。
【0008】
本発明は前述の問題点に鑑み、ネットワークカメラの交換時に、カメラ設定に係る設定情報を自動更新できるようにすることを第1の目的とする。
また、ネットワークカメラの交換時に、位置ずれが発生したときに、位置修正を容易にできるようにすることを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のネットワークカメラシステムは、撮影装置と、前記撮影装置からの映像データを、ネットワークを介して受信して表示部に表示するクライアント機とを有するネットワークカメラシステムにおいて、前記クライアント機は、プリセット位置、マスキング位置、動き検出位置のうち、少なくとも一つを含む設定情報を入力する入力手段を具備し、前記撮影装置は、前記設定情報が示す範囲の全てまたは一部を含む撮影範囲を撮影する前記撮影装置により取得した映像データを元に特徴情報を抽出するとともに、前記抽出した特徴情報を記憶媒体に記憶し、前記設定情報を元に前記撮影装置の設定を行う制御手段を具備し、前記制御手段は、前記記憶媒体に記憶した特徴情報と、新たに抽出した特徴情報とを比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果に基づいて前記設定情報を修正する修正手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によればネットワークカメラの交換時に、カメラ設定に係る設定情報を自動更新できるネットワークカメラシステムを提供することができる。
また、本発明の他の特徴によれば、ネットワークカメラ交換時に、位置ずれが発生したときに、位置修正を容易にできるようにしたネットワークカメラシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態におけるシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態における制御部のブロック図である。
【図3】第1の実施形態におけるカメラ交換前と後の表示例を示すイメージ図である。
【図4】第1の実施形態におけるシステムの動作を説明するフローチャートである。
【図5】ソーベルフィルタの微分例を示すイメージ図である。
【図6】閾値の例を示す図である。
【図7】第1の実施形態におけるエッジ画素線の一例を示すイメージ図である。
【図8】第1の実施形態におけるエッジ座標例を示す図である。
【図9】第1の実施形態におけるプリセット座標の一例を示す図である。
【図10】第2の実施形態におけるシステムの構成を示すブロック図である。
【図11】第2の実施形態におけるカメラ交換後の映像表示例のイメージ図である。
【図12】第2の実施形態におけるシステムの動作を説明するフローチャートである。
【図13】第2の実施形態におけるエッジ座標の一例を示す図である。
【図14】第3の実施形態におけるネットワークカメラの外観を示す図である。
【図15】第3の実施形態におけるシステムの構成を示すブロック図である。
【図16】第3の実施形態におけるシステムの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
以下、図1〜図7を参照して、本発明の第1の実施形態による、ネットワークカメラシステムについて説明する。
図1は、本実施形態におけるシステム構成例を説明するブロック図である
図1において、1は撮影装置としてのネットワークカメラであり、撮影した映像をネットワーク11経由でクライアント機2に配信する。クライアント機2は、ネットワークカメラ1から送られてきた映像を受信して表示する。
【0013】
ネットワークカメラ1は、光学系6、撮像素子3、制御部4、SDカード5、ズーム、パン、チルトなどのメカ機構7、ズーム、パン、チルトを駆動する駆動部9、映像をネットワーク配信するためのネットワーク回路10で構成されている。以後の説明でパン、チルト、ズームのメカ機構はPTZ機構7と省略して説明する。
【0014】
光学系6は、撮影方向から入射される光を撮像素子3上に結像する。撮像素子3は、撮影方向からの光学映像を光電変換する。
制御部4は光電変換された映像を元に、画質制御、ネットワーク配信のための圧縮処理、PTZ機構7の制御などを行うと共に、SDカード5への書き込み制御、映像の輪郭抽出処理などを行う。SDカード5は、制御部4で処理するのに必要な映像データの輪郭パラメータ、輪郭抽出結果、プリセット位置、マスキング位置、動き検出位置、ズーム情報などを記憶するためのものである。本実施形態においてはネットワークカメラ1に着脱可能に取り付けられている。
【0015】
PTZ機構7は、プリセット位置に光学系6を向けるモータ、ギア、メカ的なホームポジション位置を検出するHPセンサ、回転位置検出のエンコーダ等で構成されたメカ機構である。HPセンサおよびエンコーダは、パン方向に回転するメカ機構、チルト方向に回転するメカ機構をそれぞれに具備している。
【0016】
クライアント機2は、通常のPC(パソコン)でよく、キーボード、マウスなどの入力部14、液晶表示器などの表示部12、CPUなどの制御部13、ネットワーク通信を行うためのネットワーク回路15、ハードディスクなどの記憶部16で構成される。
【0017】
図3(a)、(b)は、ネットワークカメラ1を交換した際のプリセット位置がどうなるかの一例を表したイメージ図である。
図3(a)において、61は全体映像である。ネットワークカメラ1のパン、チルト機構のそれぞれに具備されているHPセンサが検出したホームポジション62の方向に光学系6を向け、ズームを最大限ワイドにした際の映像である。
【0018】
63、65はユーザがクライアント機2の入力部14を用いて、セットしたプリセット位置64、66であり、ズームをユーザ指定した撮影範囲を示す。プリセット位置64、66は、後述するが、座標情報で設定され、ネットワークカメラ1の設定情報としてSDカード5に記憶される。例えば、プリセット位置64が指定する撮影範囲63は、道路を走る車を撮影する撮影範囲であり、車を検知し、車のスピードがスピードオーバかどうかを検出するために用いられる。プリセット位置66が指定する撮影範囲65は、スピードオーバした車が存在した場合に、ナンバープレートを撮影し、番号を認識するために用いられる。他の例としては、撮影範囲63で信号無視した車を検出し、同様に撮影範囲65でナンバープレートを撮影するために用いられる。前述のように、複数のプリセット位置を設定する使い方はいろいろ考えられる。例えば、設定情報が示す範囲の全てまたは一部を含む撮影範囲を撮影するよう設定してもよい。
【0019】
図3(b)は、ネットワークカメラを交換した例を示している。
新しいネットワークカメラは、交換前のネットワークカメラに対し、右方向にずれた位置に設置されている例であり、ホームポジション位置は72の位置となる。このため、全体映像71は交換前の映像と比べ、右方向の部分を撮影している。
【0020】
プリセット位置は、本来は交換前のネットワークカメラ1で設定した位置である75、78の位置にそれぞれ設定されるべきである。しかし、ネットワークカメラ1の交換により、カメラ全体が右方向にずれてしまっており、ホームポジション位置72からの相対位置で記憶しているプリセット位置は73と76の位置となる。
【0021】
本実施形態では、ネットワークカメラ1の制御部4の制御により、映像の特徴を検出し、交換したネットワークカメラのプリセット位置73、76を自動的に75、78に変更することを可能にしている。なお、図3(a)、(b)では、プリセット位置について説明したが、プライベートエリアをマスクするマスク位置や、動体検出位置などの映像解析範囲などの位置も、ネットワークカメラを交換した際、変わってしまう。本実施形態の技術を用いることにより、マスク位置や映像解析範囲などの移動も自動的に行うことが可能となる。
【0022】
図2は、図1に示した制御部4の内部構成例を示すブロック図である。図1と同じ構成については同一番号を付与している。
図2において、撮像素子3から入手したアナログ信号である映像信号は、入力部21によりデジタル化され、画質制御部22により、ホワイトバランスや輝度調整などが行なわれる。本実施形態において、画質制御部22は、輝度信号と色素信号で色空間を表すYCbCrフォーマットで表した映像信号を出力する。
【0023】
画質調整された映像信号は、圧縮処理部23により、YCbCrフォーマットをRGBフォーマットに変換し、JPEGやMPEG、H.264などの圧縮方法で圧縮して映像データを生成する。圧縮された映像データは、ネットワーク処理部24により、TCPやUDPなどのプロトコルに従い、パケット化される。パケット化された映像データはネットワーク回路10に出力され、図1のネットワーク11を介してクライアント機2に送信される。
【0024】
本実施形態においては、映像データを元にエッジ検出を行い、検出したエッジの特徴により映像比較を行っている。エッジ検出としては、本実施形態ではキャニーフィルタを採用している。キャニーフィルタは、ガウシアンフィルタとソーベルフィルタを組み合わせることで細線化されたエッジを検出し、エッジの連結性をあげるために上限、下限の閾値情報を使ってエッジとなる直線または曲線を検出するフィルタである。本実施形態では、図2に示すように、キャニーフィルタは、ガウシアンフィルタ25、ソーベルフィルタ26、ヒステリシス閾値処理部27により構成している。
【0025】
画質制御部22により画質調整されたYCbCrフォーマットの映像信号は、ガウシアンフィルタ25に送信される。ガウシアンフィルタ25は、画像の濃淡値の変化を滑らかにする平滑化を行うフィルタで、YCbCrフォーマット映像信号の輝度信号であるY成分のみを用いノイズ成分を取り除く。Y成分のみを用いることにより、白黒画像での処理となる。
【0026】
ガウシアンフィルタ25によりノイズ成分が取り除かれた白黒画像の映像信号を元に、ソーベルフィルタ26でエッジ抽出を行う。ソーベルフィルタ26は、微分フィルタの一種であり、微分することにより、映像信号の輝度に変化があったところを検出する。YCbCrフォーマットでのY成分は8ビットで表され、0から255の値で輝度値を表現している。
【0027】
図5は、ソーベルフィルタ26での微分例を示す図である。
図5(a)において、評価画素nでは輝度値が20であり、評価画素n+1では輝度値が100となる急峻な輝度変化のエッジ例を示している。評価画素における輝度値は、
Y=80X+20となり、微分するとΔY=80となる。
【0028】
図5(b)において、評価画素nでは輝度値が20であり、評価画素n+1では輝度値が60、評価画素n+2では輝度値が100となる。図5(a)と比較してなだらかな輝度変化のエッジ例を示している。評価画素における輝度値は、
Y=40X+20となり、微分するとΔY=40となる。
【0029】
実際のソーベルフィルタ26においては、エッジを検出する方向と直行方向に平滑化を行い、小さなエッジを削除している。ヒステリシス閾値処理部27はソーベルフィルタ26で求めたエッジ値を元に、2種類の閾値情報を用いてエッジ値の選別を行う。上限閾値以上のエッジ値の場合は、エッジ画素として選別し、下限閾値以下の場合は、エッジ画素ではないとして選別する。上限閾値未満で下限閾値以上の場合は、隣接した画素がエッジ画素であればエッジ画素として選別する。また、そうでなければ、エッジ画素ではないとして選別する。
【0030】
混乱を避けるために、エッジに関する文言を下記として以降説明する
エッジ値:ソーベルフィルタ26で求めた各画素の微分値。
エッジ画素:ソーベルフィルタ26でエッジ値が求められた画素。
閾値以上のエッジ画素:ヒステリシス閾値処理部27で閾値以上と抽出されたエッジ画素。
エッジ画素線:閾値以上のエッジ画素が連なった直線または曲線の画素の連続。
エッジ座標:エッジ画素線の終端および屈折点(折れ曲がった点)の座標。
【0031】
RAM30は揮発性の記憶媒体であり、ヒステリシス閾値処理部27で、閾値以上のエッジ画素の選別が終了したエッジ画素線は、CPU29の制御により、RAM30に記憶される。
【0032】
CPU29は、フラッシュメモリを内蔵した中央処理装置である。フラッシュメモリに記憶したマイクロ命令を実行することにより、下記に示す処理を実行する。
クライアント機2から受信したプリセット位置、ズームコマンドを元に、撮影方向を変更するため、PTZ機構制御信号を駆動部9に送信する。また、キャニーフィルタにより求めたエッジ画素線を、ヒステリシス閾値処理部27からRAM30に保存する制御を行う。
【0033】
また、SDカード5が記憶しているエッジ検出のための上限、下限閾値情報をヒステリシス閾値処理部27に転送する。また、RAM30に記憶したエッジ画素線を元に、エッジ座標を求め、SDカード5へ書き込む記憶処理を行う。
【0034】
図4は、CPU29の制御の元、エッジ座標のSDカードへの記憶処理、およびネットワークカメラが交換された際にプリセット位置が変わってしまったときに、プリセット位置を修正する処理手順を説明するフローチャートである。具体的には、設置業者が、ネットワークカメラを設置し、SDカードを装着して電源を入れた状態で行なわれる処理である。ネットワークカメラを交換した場合は、古いネットワークカメラからSDカードを取り出し、新しいネットワークカメラに装着した後、電源を入れて開始される処理である。
【0035】
図4において、S401で初期設定を行う。図1で示したPTZ機構7を駆動してパン位置、チルト位置をホームポジションにセットする。次に、S402でズームをワイド端にセットして映像を取得する。これにより、図3(a)、(b)に示した全体画像61または71が取得される。
【0036】
次に、S403の判別で、SDカード5に記憶されるフラグF1が1か否かの判別を行う。F1=1ならば、ネットワークカメラ1を交換したことを示し、エッジ情報をすでにSDカード5に記憶している状態であり、S420以降の処理を行う。また、F1=0ならば、ネットワークカメラが新規に設置されたことを示し、S404以降の処理を実行する。
【0037】
S404からS418は、ネットワークカメラが新規に設置されたときの処理である。
S404で、変数Xの値を1にする。
S405で、図2のガウシアンフィルタ25およびソーベルフィルタ26を用いて各画素のエッジ値を取得する。
S406で、変数Xに対応した上限閾値Na、下限閾値Nbを用いて、ヒステリシス閾値処理部27で閾値以上のエッジ画素を抽出する。
【0038】
図6は、本実施形態における変数Xと上限閾値Na、下限閾値Nbの関係を示す図である。例えば、X=1のときは、上限閾値Naは70なので、図5(a)に示すエッジ値である微分値が80であり、エッジ画素として抽出される。図5(b)に示すエッジ値は40であり、エッジ画素として抽出されないこととなる。
【0039】
X=1のとき、下限閾値Nbは35である。隣接した画素がエッジ画素として検出されている場合は、図5(b)に示すエッジ情報=40であっても、40>35なので、エッジ画素として抽出される。
【0040】
図7(a)は、映像表示の一例を示す図である。直線的なエッジ画素線として90、91、92、93、94などがある。90、91はビルの壁面であり、周辺の空の輝度との差が少ない。各画素のエッジ情報が40であり、X=1のときの上限閾値Na=70からエッジ画素線として抽出されない。92、93は信号のための黒いポールであり、周辺の道路の輝度差が大きい。各画素のエッジ情報が70以上であり、X=1のときの上限閾値Na=70からエッジ画素線として抽出される。
【0041】
図4のフローチャートの説明に戻る。
S407で閾値Na、Nbを用いて、抽出したエッジが定数Kよりも長い直線を持つエッジ画素線があるか否かの判別を行う。判別の結果、Kよりも長いエッジ画素線があれば、S413以降の処理を行い、判別の結果、Kよりも長いエッジ画素線がなければ、S408以降の処理を行う。
【0042】
図7(a)の例において、95は定数Kの長さを表している。94は黒い車の背面の、エッジ画素線であり、直線だが定数Kよりも短いエッジ画素線のため、エッジ画素線として抽出されないことになる。92、93は直線であり定数Kよりも長いため、長いエッジ画素線として抽出される。以降の説明で、定数Kよりも長いエッジ画素線を、抽出エッジ画素線として説明する。
【0043】
S408で変数Xに「+1」し、S409で変数Xが9になっているか否かの判別を行う。
S406からS409は、「X=1」からカウントアップし、「X=9」になるまで実行するループ処理である。変数Xをカウントアップするごとに、図6に示す上限閾値Na、下限閾値Nbを変更して、抽出エッジ画素線の検出を繰り返す。
【0044】
S406からS409のループ処理を繰り返し、X=8になって、上限閾値Na=35としても、S407の判別により抽出エッジ画素線が検出できなければ、S409の判別で、S410へ進む。例えば、撮影画像が一面青空の場合や、海を写した映像の場合が考えられる。
【0045】
S410は抽出エッジ画素線がなかったことを、ユーザに知らせるためのエラー処理である。図1のブロック図には不図示だが、制御部4の制御により、エラーランプを点灯させ、エラーしたことを知らせるブザーを鳴らすなどの処理を行う。
【0046】
S411では、SDカード5に記憶されているフラグF1を「0」にして、エッジ座標がSDカード5に記憶されていないことを示す。S412では、エッジ検出処理が終了したことをクライアント機に検出処理終了を通知し、終了する。
【0047】
S413からS118は、S407の判別で、抽出エッジ画素線が検出された際の処理を示す。
S413においては、上限、下限閾値Na、NbをSDカード5に記憶する。ネットワークカメラが交換されたときに、新しく設置されたネットワークカメラで、上限、下限閾値Na、Nbを使用するためである。
S414でエッジ座標を求める。
【0048】
図7(b)は、S404からS409の処理で抽出されたエッジ画素線の例を示している。
図7(b)において、160はエッジ画素線を抽出した全体画面を示しており、本実施形態では、横方向1280画素、縦方向720画素のHD画像上でエッジ画素線を抽出している
エッジ画素線150、155の端点である終端および屈折点を抽出する。
エッジ画素線150の端点は、151、152、153である。
エッジ画素線155の端点は、156、157、158である。
【0049】
図8(a)は、エッジ画素線の端点のエッジ座標を表した例である。図7の左上をX座標=1、Y座標=1とすると、エッジ画素線の端点のエッジ座標は図8(a)に示した値となる。
【0050】
S415では、エッジ座標をSDカード5に記憶する。エッジ座標は、図8(a)に示すように、数値データで表しており、各エッジX座標2バイト、Y座標2バイトとしても4バイトであり、端点が6箇所の図8(a)で示した例では、全部で、24バイトで表すことができる。特許文献1に記載した例では、画像比較しており、比較する画像を記憶するため、数百Kバイトから数メガバイト必要である。本実施形態では、画像比較可能とするエッジ画素線情報を、少ないバイト数で記憶可能なことが本実施形態の特徴のひとつである。
【0051】
S416ではフラグF1に「1」をセットし、エッジ画素線抽出のための上限、下限閾値Na、Nbおよび、エッジ座標をSDカード5に記憶したことを表す。
S417では、図1のクライアント機2に映像データを送信する。ネットワークカメラ1が送信している映像は、S402でズーム倍率をワイド端にセットしているので、図3(a)に示すような全体画像がクライアント機2に送信される。
【0052】
S418ではプリセット座標、ズーム倍率を設定してSDカード5に記憶する。
プリセット座標およびズーム倍率は、図1のクライアント機2の入力部14を、例えば警備室の警備員が操作することにより入力される情報に従って設定する。設定されたプリセット座標およびズーム倍率はクライアント機2からネットワークカメラ1に送信され、ネットワークカメラ1は受信したプリセット座標およびズーム倍率をSDカード5に記憶する。
【0053】
図8(a)は、図3(a)に示した全体映像でのプリセット位置64、66でのプリセット座標およびズーム倍率を表したものである。水平方向1280、垂直方向720画素とし左上端の座標を(1、1)として、プリセット位置64は(980、532)、プリセット位置66は(757、692)になることを表している。S418の処理後はS412に進み、クライアント機2にエッジ検出処理終了を通知し、終了する。
【0054】
S420以降の処理はS403の判別で、F1=1であり、ネットワークカメラを交換した場合の処理である。
S420では、図2で示したガウシアンフィルタ25およびソーベルフィルタ26を用いて各画素のエッジ値を取得する。
S421では、SDカード5に記憶した上限閾値Na、および下限閾値Nbを用いて、ヒステリシス閾値処理部27で閾値以上のエッジ画素を抽出する。また、定数Kよりも長いエッジ画素線を抽出する。
【0055】
S422では、S421で抽出したエッジ画素線のエッジ座標を求める。
S423では、S421、S422の処理でエッジ画素線が抽出でき、エッジ座標を求めることができたか否かの判別を行う。エッジ座標を求めることができなかった場合、例えば交換したネットワークカメラの撮影方向が、空を向いているときや海を向いているときなどはエッジが検出できないので、S424に進む。
【0056】
S424はエラー処理である。図1のブロック図には不図示だが、制御部4の制御により、エラーランプを点灯させる。エラーしたことを知らせるブザーを鳴らすなどの処理を行う。S424におけるエラー処理を終了後、S412に進み、エッジ検出処理が終了したことをクライアント機2に通知し、終了する。
【0057】
一方、S423の判別で、エッジ座標を求めることができた場合、S425に進み、S422で求めたエッジ座標と、S415でSDカード5に記憶したエッジ座標の比較を行う。S425の比較結果に基いて、エッジ座標の差が大きいか否かの判別をS426で行う。本実施形態では、比較結果に基いて、X軸方向、Y軸方向とも2画素分の差であれば差がないと判断し、S412に進んで、エッジ検出処理が終了したことをクライアント機2に通知し、終了する。
【0058】
S426の判別でエッジ座標の差が大きい場合、S427に進み、検出エッジ座標をSDカード5に記憶する。図8(b)は、交換したネットワークカメラで、撮像方向が図3(b)に示すように、図3(a)に比べて左にずれて設置された場合のエッジ座標を示す。図8に示すように、図8(b)のエッジ画素線1、2のX座標は、図8(a)のエッジ画素線1、2に比べ300ドット分少なく、S426の判別では差が大きい。
【0059】
次に、S428では、エッジ座標の差を元にプリセット座標を修正する。SDカード5に、図3(a)の例におけるプリセット座標が図9(a)に示すように記憶されており、エッジ座標の差である300ドット分少なくプリセット位置を修正する。図9(b)は、修正後のプリセット座標である。
【0060】
次に、S429で修正したプリセット座標をSDカード5に記憶し、S412に進んで、クライアント機2にエッジ検出処理終了を通知する。以上、第1の実施形態について説明した。
本実施形態においては、S423でエッジ座標が検出されなかった場合は、S424でエラー処理としていた。しかし、エッジ座標が検出されなかった場合、図6に示す上限閾値Na、下限閾値Nbを少しずつ下げていきエッジ座標を検出しやすくし、エラーになる頻度を低下するようにしてもよい。
【0061】
本実施形態においては、S402でズームをワイドにセットし、全体画像としての映像を取得した。この他の例としては、図1に示したPTZ機構7を用いて、ネットワークカメラの撮影範囲の全体画像であるパノラマ画像を生成し、生成したパノラマ画像を元にエッジ画素線を抽出するようにしてもよい。
【0062】
また、本実施形態においては、キャニー方式を用いたエッジ検出を用い画像の特徴を抽出したが、他の方式によるエッジ検出を用いてもよく、また、輝度分布情報を用いて画像の特徴を抽出してもよい。また、輝度分布検出とエッジ検出とを組み合わせて画像の特徴情報を抽出するようにしてもよい。さらに、本実施形態においては、エッジ座標、プリセット座標をSDカード5に記憶する実施形態について説明したが、クライアント機2や録画サーバ(図示せず)に記憶するようにしてもよい。
【0063】
(第2の実施形態)
以下、図10〜13を参照して、ネットワークカメラシステムの第2の実施形態について説明する。
図10は、本実施形態のネットワークカメラシステムの概略構成を示すブロック図である。第1の実施形態と同じブロックについては同一番号を付与している。
図10において、201はローテーション駆動機構であり、光学系6および撮像素子3で構成されるレンズユニットの撮影角度を回転する機構である。傾斜した天井や垂直の壁にネットワークカメラ1が取り付けられたとき、レンズユニットを回転して、映像が水平に取得できるようにする。
本実施形態は、傾斜した天井や垂直の壁にネットワークカメラ1が取り付けられた場合には、ネットワークカメラ1の取り付け面の角度検出、及びネットワークカメラ1の取り付け方向検出を行う。そして、角度検出及び方向検出の結果からローテーション機構201を自動的に制御して、撮影方向を最適化することを可能にしている。
【0064】
図11は、図7(a)で撮影していたネットワークカメラを交換した際に、天井など水平方向に取り付けていたネットワークカメラを、壁などに垂直に取り付けた場合の映像例を示す図である。図11において、202、203は、図10の制御部4により抽出したエッジ画素線であり、図7(a)のエッジ画素線92、93と比較して、90度回転した形状で抽出される。
【0065】
図12は、本実施形態において、ネットワークカメラを交換した後の処理手順を示すフローチャートである。
本実施形態において、第1の実施形態における図4に示したS401からS422は同じ処理なので、図12では省略して図示している。また、図4に示したフローチャートと同一処理のステップには同一番号を付与している。
【0066】
図12のS423において、交換したネットワークカメラでエッジ座標ありと検出されると、S425に進み、求めたエッジ座標と、SDカード5に記憶したエッジ座標の比較を行う。
S425の比較結果に基いて、エッジ座標の差が大きいか否かの判別をS426で行う。差が大きい場合はS1210に進み、エッジ座標のX、Y方向の差を計算する。
【0067】
図13(a)は、図7(b)のエッジ画素線150、155のエッジ座標を示す図であり、図8(a)と同じ値である。エッジ画素線1、2共にY方向に長い画素線を表している。図13(b)は、図11のエッジ画素線202、203のエッジ座標を示す図であり、エッジ画素線1、2共にX方向に長いエッジ画素線を表している。
【0068】
図13(c)および図13(d)は、S1210の処理である、エッジ座標のX、Y方向の差を計算した図である。元になった図11の画像は、図7(b)に示した画像に比べて90度傾いた画像であり、当然のことながら、X方向、Y方向の差分値は逆の値となっている。
【0069】
図12のS1211で、X方向、Y方向の差分の比較を行い、差が大きいか否かの判別を行う。類似していれば、取り付け方向が同じと考えられ、第1の実施形態と同様にS427〜S429の処理に進む。
【0070】
S1211の判別で差が大きい場合は、S1212に進み、X方向、Y方向を逆にして比較する。図13(c)、(d)に示した例では、逆にするとほぼ同じ差分となり、S1213の判別でS1214に進む。S1214では、図10のローテーション機構201を用いて、撮影角度を90度回転する。
【0071】
一方、S1213の判別で、差が大きい場合は、ネットワークカメラが斜めに取り付けられていることであり、S1215に進む。S1215では、エッジ画素線の傾斜角度を計算し、S1216で計算結果から図10に示したローテーション機構201を用いて、撮影角度を回転する。
【0072】
S1214、S1216で撮影角度を回転したので、撮影映像は変化しているため、S1217でエッジ座標を再設定し、その後、第1の実施形態と同様、S427以降の処理を実施する。
以上、第2の実施形態について説明した。本実施形態では、エッジ画素線の特徴によりネットワークカメラの設置状況を検出し、ローテーション機構201を用いて自動的に撮影角度を補正可能としている。
【0073】
(第3の実施形態)
以下、図14〜図16を参照して、本発明の第3の実施形態による、ネットワークカメラシステムについて説明する。
図14は、本実施形態におけるネットワークカメラのイメージ図である。
図14において、301、302、303はLEDであり、ネットワークカメラを交換するときに、設置位置ずれがあると、位置ずれしたことを設置作業者に報知するためのものであり、交換前の設置位置になるように促すことを可能としている。
【0074】
LED301は、ネットワークカメラの設置位置が右方向にずれていることを検出し、左方向に回転するように設置作業者に報知するLEDである。LED302は、ネットワークカメラの設置位置が左方向にずれていることを検出し、右方向に回転するように設置作業者に報知するLEDである。また、LED303は、設置位置のずれを検出し、点滅点灯することにより、ずれ量を報知し、ずれがなくなると、常時点灯することで、設置作業者にずれがなくなったことを報知するLEDである。
【0075】
図15は、本実施形態におけるネットワークカメラシステムの概略構成を示すブロック図である。第1の実施形態と同じ構成部分は同一番号を付与し、説明を省略する。
図15において、301、302、303は、図14を参照しながら説明したLEDである。LED点灯回路304は、制御部4の制御によりLED301、302、303を点灯する回路である。
【0076】
本実施形態におけるネットワークカメラ1は、撮影方向を変更するパンチルト構造は、手動で変更する構造であり、駆動部を持ち合わせていない。また、第2の実施形態では具備したローテーションも手動で変更する構造である。307は手動で変更するパンチルと及びローテーション構造である。306はズーム機構である。305は制御部4の制御により、電動でズーム機構306を駆動する駆動部である。
【0077】
図16は、本実施形態において、ネットワークカメラを交換した後の処理手順を示すフローチャートである。
本実施形態において、第1の実施形態における図4に示したS401からS422は、同じ処理なので、図16では省略して図示している。また、図4に示したフローチャートと同一処理ステップには同一番号を付与している。
【0078】
図16のフローチャートにおいて、S423では、交換したネットワークカメラでSDカード5にエッジ座標が記憶されていない場合、エラー状態である。エラー状態を設置作業者に示すためにS1601に進みLED301、302、303を点滅する。
S1602で10秒タイマーにより点灯時間を確保し、S1603でLED301、302、303を消灯する。その後、S412に進みクライアント機にエッジ検出処理終了を通知して終了する。
【0079】
S423において、交換したネットワークカメラでSDカード5にエッジ座標が記憶されている場合、S425に進み、求めたエッジ座標とSDカード5に記憶したエッジ座標の比較を行う。S425の比較結果に基いて、エッジ座標の差が大きいか否かの判別をS426で行う。
【0080】
判別の結果、差が小さい場合はS1604に進み、LED303を点灯し、交換したネットワークカメラの設置方向が交換する前とほぼ同じになったことを設置作業者に報知する。その後、S412に進み、クライアント機にエッジ検出処理終了を通知して終了する。
【0081】
S426の判別の結果、エッジ座標の差が大きい場合は、S1605に進み、右方向にずれているか否かの判別を行う。右方向にずれている場合は、S1606に進みLED301を点滅する。次に、S1607に進み、左方向にずれているか否かの判別を行う。S1607の判別の結果、左方向にずれている場合は、S1608に進んでLED302を点滅する。本実施形態においては、LED301、302を点滅するだけの処理としているが、他の処理としては、差が大きいほど点滅周期を長くしたり、差が小さくなってくると点滅周期を短くしたりするようにしてもよい。
【0082】
第1の実施形態で示した図3(a)、(b)の映像例において、交換前のネットワークカメラの映像は、図3(a)に比べ、図3(b)の映像が左方向にずれている。これは、ネットワークカメラの設置位置が右方向にずれていることを示し、S1605の判別の結果S1606に進みLED301を点滅する。S425からS1608を繰り返すことにより、設置作業者は、LEDを見ながら設置方向を明示することが可能である。
【0083】
以上、第3の実施形態について説明した。
前述した実施形態の変形例として、第2の実施形態と組み合わせることにより、ローテーション角度調整の援助をすることも可能である。水平面の天井に取り付けられていたネットワークカメラを交換した際に、傾斜した天井や垂直の壁に取り付けた場合、LEDを追加して手動でのローテーション角度の修正方向の指示表示を行うことができる。本実施形態においては、LEDにて設置方向を明示するようにしたが、他の実施形態として音声出力を行う音声ガイド装置で設置方向を報知するようにしてもよい。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0085】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)を、ネットワーク又は各種のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0086】
1 ネットワークカメラ、2 クライアント機、5 SDカード、14 入力部、25 ガウシアンフィルタ、26 ソーベルフィルタ、27 ヒステリシス閾値処理部、29 CPU
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークカメラシステム及びネットワークカメラシステムの制御方法に関し、特に、ネットワークカメラ交換時に用いて好適な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、監視カメラを用いたネットワークカメラシステムにおいては、取得した映像をネットワークに配信するカメラと、遠隔地でネットワークを介してカメラ映像を受け取り、表示装置で可視可能とするクライアント機により構成される。また、クライアント機は映像を可視可能とすると共に、いろいろなカメラ設定を行う。
【0003】
例えば、カメラの解像度、ホワイトバランス、露出、シャッタースピードなどの画質に関する設定や、IPアドレス、圧縮方式、配信画素数などのネットワーク配信に関する設定などを行う。さらには、プリセット、プライベートマスキング、動き検出における位置情報などの設定を行う。したがって、故障などによりカメラを交換する場合、以前と同じ設定をクライアント機で行い、同一の設定状態にする必要がある。
【0004】
特許文献1では、以前に取得しておいた撮影位置での被写体情報を、録画装置に保存しておき、交換したカメラで新たに取得した被写体情報を、録画装置に保存しておいた被写体情報と比較する。そして、一致した場合にカメラに通知し、カメラで報知を行うカメラシステムを開示している。
また、特許文献2では、マスキング情報をカメラに着脱可能な記憶媒体に記憶し、記憶媒体に記憶されたマスキング情報に基づいてマスキングする監視システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−21920号公報
【特許文献2】特開2004−364030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の特許文献1に開示された従来技術では、交換前のカメラで撮影した被写体情報と、交換後のカメラで撮影した被写体情報とを、撮影位置を試行錯誤しながら比較する必要がある。このため、撮影位置の特定に多くの時間がかかってしまう問題点があった。また、プリセット位置のように、撮影位置が複数ある場合、プリセット位置ごとに撮影位置を比較する必要があり、プリセット位置が多い場合は非常に多くの時間がかかってしまう問題点があった。
【0007】
また、前述の特許文献2に開示された従来技術では、マスキング位置を着脱可能な記憶媒体に記憶して、カメラが交換された後もマスキング可能としている。しかしながら、交換したカメラの設置位置がずれている場合は、マスキング位置が所望のプライバシー領域からずれてしまうこととなり、意味のない位置をマスキングしてしまうことになってしまう問題点があった。
【0008】
本発明は前述の問題点に鑑み、ネットワークカメラの交換時に、カメラ設定に係る設定情報を自動更新できるようにすることを第1の目的とする。
また、ネットワークカメラの交換時に、位置ずれが発生したときに、位置修正を容易にできるようにすることを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のネットワークカメラシステムは、撮影装置と、前記撮影装置からの映像データを、ネットワークを介して受信して表示部に表示するクライアント機とを有するネットワークカメラシステムにおいて、前記クライアント機は、プリセット位置、マスキング位置、動き検出位置のうち、少なくとも一つを含む設定情報を入力する入力手段を具備し、前記撮影装置は、前記設定情報が示す範囲の全てまたは一部を含む撮影範囲を撮影する前記撮影装置により取得した映像データを元に特徴情報を抽出するとともに、前記抽出した特徴情報を記憶媒体に記憶し、前記設定情報を元に前記撮影装置の設定を行う制御手段を具備し、前記制御手段は、前記記憶媒体に記憶した特徴情報と、新たに抽出した特徴情報とを比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果に基づいて前記設定情報を修正する修正手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によればネットワークカメラの交換時に、カメラ設定に係る設定情報を自動更新できるネットワークカメラシステムを提供することができる。
また、本発明の他の特徴によれば、ネットワークカメラ交換時に、位置ずれが発生したときに、位置修正を容易にできるようにしたネットワークカメラシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態におけるシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態における制御部のブロック図である。
【図3】第1の実施形態におけるカメラ交換前と後の表示例を示すイメージ図である。
【図4】第1の実施形態におけるシステムの動作を説明するフローチャートである。
【図5】ソーベルフィルタの微分例を示すイメージ図である。
【図6】閾値の例を示す図である。
【図7】第1の実施形態におけるエッジ画素線の一例を示すイメージ図である。
【図8】第1の実施形態におけるエッジ座標例を示す図である。
【図9】第1の実施形態におけるプリセット座標の一例を示す図である。
【図10】第2の実施形態におけるシステムの構成を示すブロック図である。
【図11】第2の実施形態におけるカメラ交換後の映像表示例のイメージ図である。
【図12】第2の実施形態におけるシステムの動作を説明するフローチャートである。
【図13】第2の実施形態におけるエッジ座標の一例を示す図である。
【図14】第3の実施形態におけるネットワークカメラの外観を示す図である。
【図15】第3の実施形態におけるシステムの構成を示すブロック図である。
【図16】第3の実施形態におけるシステムの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
以下、図1〜図7を参照して、本発明の第1の実施形態による、ネットワークカメラシステムについて説明する。
図1は、本実施形態におけるシステム構成例を説明するブロック図である
図1において、1は撮影装置としてのネットワークカメラであり、撮影した映像をネットワーク11経由でクライアント機2に配信する。クライアント機2は、ネットワークカメラ1から送られてきた映像を受信して表示する。
【0013】
ネットワークカメラ1は、光学系6、撮像素子3、制御部4、SDカード5、ズーム、パン、チルトなどのメカ機構7、ズーム、パン、チルトを駆動する駆動部9、映像をネットワーク配信するためのネットワーク回路10で構成されている。以後の説明でパン、チルト、ズームのメカ機構はPTZ機構7と省略して説明する。
【0014】
光学系6は、撮影方向から入射される光を撮像素子3上に結像する。撮像素子3は、撮影方向からの光学映像を光電変換する。
制御部4は光電変換された映像を元に、画質制御、ネットワーク配信のための圧縮処理、PTZ機構7の制御などを行うと共に、SDカード5への書き込み制御、映像の輪郭抽出処理などを行う。SDカード5は、制御部4で処理するのに必要な映像データの輪郭パラメータ、輪郭抽出結果、プリセット位置、マスキング位置、動き検出位置、ズーム情報などを記憶するためのものである。本実施形態においてはネットワークカメラ1に着脱可能に取り付けられている。
【0015】
PTZ機構7は、プリセット位置に光学系6を向けるモータ、ギア、メカ的なホームポジション位置を検出するHPセンサ、回転位置検出のエンコーダ等で構成されたメカ機構である。HPセンサおよびエンコーダは、パン方向に回転するメカ機構、チルト方向に回転するメカ機構をそれぞれに具備している。
【0016】
クライアント機2は、通常のPC(パソコン)でよく、キーボード、マウスなどの入力部14、液晶表示器などの表示部12、CPUなどの制御部13、ネットワーク通信を行うためのネットワーク回路15、ハードディスクなどの記憶部16で構成される。
【0017】
図3(a)、(b)は、ネットワークカメラ1を交換した際のプリセット位置がどうなるかの一例を表したイメージ図である。
図3(a)において、61は全体映像である。ネットワークカメラ1のパン、チルト機構のそれぞれに具備されているHPセンサが検出したホームポジション62の方向に光学系6を向け、ズームを最大限ワイドにした際の映像である。
【0018】
63、65はユーザがクライアント機2の入力部14を用いて、セットしたプリセット位置64、66であり、ズームをユーザ指定した撮影範囲を示す。プリセット位置64、66は、後述するが、座標情報で設定され、ネットワークカメラ1の設定情報としてSDカード5に記憶される。例えば、プリセット位置64が指定する撮影範囲63は、道路を走る車を撮影する撮影範囲であり、車を検知し、車のスピードがスピードオーバかどうかを検出するために用いられる。プリセット位置66が指定する撮影範囲65は、スピードオーバした車が存在した場合に、ナンバープレートを撮影し、番号を認識するために用いられる。他の例としては、撮影範囲63で信号無視した車を検出し、同様に撮影範囲65でナンバープレートを撮影するために用いられる。前述のように、複数のプリセット位置を設定する使い方はいろいろ考えられる。例えば、設定情報が示す範囲の全てまたは一部を含む撮影範囲を撮影するよう設定してもよい。
【0019】
図3(b)は、ネットワークカメラを交換した例を示している。
新しいネットワークカメラは、交換前のネットワークカメラに対し、右方向にずれた位置に設置されている例であり、ホームポジション位置は72の位置となる。このため、全体映像71は交換前の映像と比べ、右方向の部分を撮影している。
【0020】
プリセット位置は、本来は交換前のネットワークカメラ1で設定した位置である75、78の位置にそれぞれ設定されるべきである。しかし、ネットワークカメラ1の交換により、カメラ全体が右方向にずれてしまっており、ホームポジション位置72からの相対位置で記憶しているプリセット位置は73と76の位置となる。
【0021】
本実施形態では、ネットワークカメラ1の制御部4の制御により、映像の特徴を検出し、交換したネットワークカメラのプリセット位置73、76を自動的に75、78に変更することを可能にしている。なお、図3(a)、(b)では、プリセット位置について説明したが、プライベートエリアをマスクするマスク位置や、動体検出位置などの映像解析範囲などの位置も、ネットワークカメラを交換した際、変わってしまう。本実施形態の技術を用いることにより、マスク位置や映像解析範囲などの移動も自動的に行うことが可能となる。
【0022】
図2は、図1に示した制御部4の内部構成例を示すブロック図である。図1と同じ構成については同一番号を付与している。
図2において、撮像素子3から入手したアナログ信号である映像信号は、入力部21によりデジタル化され、画質制御部22により、ホワイトバランスや輝度調整などが行なわれる。本実施形態において、画質制御部22は、輝度信号と色素信号で色空間を表すYCbCrフォーマットで表した映像信号を出力する。
【0023】
画質調整された映像信号は、圧縮処理部23により、YCbCrフォーマットをRGBフォーマットに変換し、JPEGやMPEG、H.264などの圧縮方法で圧縮して映像データを生成する。圧縮された映像データは、ネットワーク処理部24により、TCPやUDPなどのプロトコルに従い、パケット化される。パケット化された映像データはネットワーク回路10に出力され、図1のネットワーク11を介してクライアント機2に送信される。
【0024】
本実施形態においては、映像データを元にエッジ検出を行い、検出したエッジの特徴により映像比較を行っている。エッジ検出としては、本実施形態ではキャニーフィルタを採用している。キャニーフィルタは、ガウシアンフィルタとソーベルフィルタを組み合わせることで細線化されたエッジを検出し、エッジの連結性をあげるために上限、下限の閾値情報を使ってエッジとなる直線または曲線を検出するフィルタである。本実施形態では、図2に示すように、キャニーフィルタは、ガウシアンフィルタ25、ソーベルフィルタ26、ヒステリシス閾値処理部27により構成している。
【0025】
画質制御部22により画質調整されたYCbCrフォーマットの映像信号は、ガウシアンフィルタ25に送信される。ガウシアンフィルタ25は、画像の濃淡値の変化を滑らかにする平滑化を行うフィルタで、YCbCrフォーマット映像信号の輝度信号であるY成分のみを用いノイズ成分を取り除く。Y成分のみを用いることにより、白黒画像での処理となる。
【0026】
ガウシアンフィルタ25によりノイズ成分が取り除かれた白黒画像の映像信号を元に、ソーベルフィルタ26でエッジ抽出を行う。ソーベルフィルタ26は、微分フィルタの一種であり、微分することにより、映像信号の輝度に変化があったところを検出する。YCbCrフォーマットでのY成分は8ビットで表され、0から255の値で輝度値を表現している。
【0027】
図5は、ソーベルフィルタ26での微分例を示す図である。
図5(a)において、評価画素nでは輝度値が20であり、評価画素n+1では輝度値が100となる急峻な輝度変化のエッジ例を示している。評価画素における輝度値は、
Y=80X+20となり、微分するとΔY=80となる。
【0028】
図5(b)において、評価画素nでは輝度値が20であり、評価画素n+1では輝度値が60、評価画素n+2では輝度値が100となる。図5(a)と比較してなだらかな輝度変化のエッジ例を示している。評価画素における輝度値は、
Y=40X+20となり、微分するとΔY=40となる。
【0029】
実際のソーベルフィルタ26においては、エッジを検出する方向と直行方向に平滑化を行い、小さなエッジを削除している。ヒステリシス閾値処理部27はソーベルフィルタ26で求めたエッジ値を元に、2種類の閾値情報を用いてエッジ値の選別を行う。上限閾値以上のエッジ値の場合は、エッジ画素として選別し、下限閾値以下の場合は、エッジ画素ではないとして選別する。上限閾値未満で下限閾値以上の場合は、隣接した画素がエッジ画素であればエッジ画素として選別する。また、そうでなければ、エッジ画素ではないとして選別する。
【0030】
混乱を避けるために、エッジに関する文言を下記として以降説明する
エッジ値:ソーベルフィルタ26で求めた各画素の微分値。
エッジ画素:ソーベルフィルタ26でエッジ値が求められた画素。
閾値以上のエッジ画素:ヒステリシス閾値処理部27で閾値以上と抽出されたエッジ画素。
エッジ画素線:閾値以上のエッジ画素が連なった直線または曲線の画素の連続。
エッジ座標:エッジ画素線の終端および屈折点(折れ曲がった点)の座標。
【0031】
RAM30は揮発性の記憶媒体であり、ヒステリシス閾値処理部27で、閾値以上のエッジ画素の選別が終了したエッジ画素線は、CPU29の制御により、RAM30に記憶される。
【0032】
CPU29は、フラッシュメモリを内蔵した中央処理装置である。フラッシュメモリに記憶したマイクロ命令を実行することにより、下記に示す処理を実行する。
クライアント機2から受信したプリセット位置、ズームコマンドを元に、撮影方向を変更するため、PTZ機構制御信号を駆動部9に送信する。また、キャニーフィルタにより求めたエッジ画素線を、ヒステリシス閾値処理部27からRAM30に保存する制御を行う。
【0033】
また、SDカード5が記憶しているエッジ検出のための上限、下限閾値情報をヒステリシス閾値処理部27に転送する。また、RAM30に記憶したエッジ画素線を元に、エッジ座標を求め、SDカード5へ書き込む記憶処理を行う。
【0034】
図4は、CPU29の制御の元、エッジ座標のSDカードへの記憶処理、およびネットワークカメラが交換された際にプリセット位置が変わってしまったときに、プリセット位置を修正する処理手順を説明するフローチャートである。具体的には、設置業者が、ネットワークカメラを設置し、SDカードを装着して電源を入れた状態で行なわれる処理である。ネットワークカメラを交換した場合は、古いネットワークカメラからSDカードを取り出し、新しいネットワークカメラに装着した後、電源を入れて開始される処理である。
【0035】
図4において、S401で初期設定を行う。図1で示したPTZ機構7を駆動してパン位置、チルト位置をホームポジションにセットする。次に、S402でズームをワイド端にセットして映像を取得する。これにより、図3(a)、(b)に示した全体画像61または71が取得される。
【0036】
次に、S403の判別で、SDカード5に記憶されるフラグF1が1か否かの判別を行う。F1=1ならば、ネットワークカメラ1を交換したことを示し、エッジ情報をすでにSDカード5に記憶している状態であり、S420以降の処理を行う。また、F1=0ならば、ネットワークカメラが新規に設置されたことを示し、S404以降の処理を実行する。
【0037】
S404からS418は、ネットワークカメラが新規に設置されたときの処理である。
S404で、変数Xの値を1にする。
S405で、図2のガウシアンフィルタ25およびソーベルフィルタ26を用いて各画素のエッジ値を取得する。
S406で、変数Xに対応した上限閾値Na、下限閾値Nbを用いて、ヒステリシス閾値処理部27で閾値以上のエッジ画素を抽出する。
【0038】
図6は、本実施形態における変数Xと上限閾値Na、下限閾値Nbの関係を示す図である。例えば、X=1のときは、上限閾値Naは70なので、図5(a)に示すエッジ値である微分値が80であり、エッジ画素として抽出される。図5(b)に示すエッジ値は40であり、エッジ画素として抽出されないこととなる。
【0039】
X=1のとき、下限閾値Nbは35である。隣接した画素がエッジ画素として検出されている場合は、図5(b)に示すエッジ情報=40であっても、40>35なので、エッジ画素として抽出される。
【0040】
図7(a)は、映像表示の一例を示す図である。直線的なエッジ画素線として90、91、92、93、94などがある。90、91はビルの壁面であり、周辺の空の輝度との差が少ない。各画素のエッジ情報が40であり、X=1のときの上限閾値Na=70からエッジ画素線として抽出されない。92、93は信号のための黒いポールであり、周辺の道路の輝度差が大きい。各画素のエッジ情報が70以上であり、X=1のときの上限閾値Na=70からエッジ画素線として抽出される。
【0041】
図4のフローチャートの説明に戻る。
S407で閾値Na、Nbを用いて、抽出したエッジが定数Kよりも長い直線を持つエッジ画素線があるか否かの判別を行う。判別の結果、Kよりも長いエッジ画素線があれば、S413以降の処理を行い、判別の結果、Kよりも長いエッジ画素線がなければ、S408以降の処理を行う。
【0042】
図7(a)の例において、95は定数Kの長さを表している。94は黒い車の背面の、エッジ画素線であり、直線だが定数Kよりも短いエッジ画素線のため、エッジ画素線として抽出されないことになる。92、93は直線であり定数Kよりも長いため、長いエッジ画素線として抽出される。以降の説明で、定数Kよりも長いエッジ画素線を、抽出エッジ画素線として説明する。
【0043】
S408で変数Xに「+1」し、S409で変数Xが9になっているか否かの判別を行う。
S406からS409は、「X=1」からカウントアップし、「X=9」になるまで実行するループ処理である。変数Xをカウントアップするごとに、図6に示す上限閾値Na、下限閾値Nbを変更して、抽出エッジ画素線の検出を繰り返す。
【0044】
S406からS409のループ処理を繰り返し、X=8になって、上限閾値Na=35としても、S407の判別により抽出エッジ画素線が検出できなければ、S409の判別で、S410へ進む。例えば、撮影画像が一面青空の場合や、海を写した映像の場合が考えられる。
【0045】
S410は抽出エッジ画素線がなかったことを、ユーザに知らせるためのエラー処理である。図1のブロック図には不図示だが、制御部4の制御により、エラーランプを点灯させ、エラーしたことを知らせるブザーを鳴らすなどの処理を行う。
【0046】
S411では、SDカード5に記憶されているフラグF1を「0」にして、エッジ座標がSDカード5に記憶されていないことを示す。S412では、エッジ検出処理が終了したことをクライアント機に検出処理終了を通知し、終了する。
【0047】
S413からS118は、S407の判別で、抽出エッジ画素線が検出された際の処理を示す。
S413においては、上限、下限閾値Na、NbをSDカード5に記憶する。ネットワークカメラが交換されたときに、新しく設置されたネットワークカメラで、上限、下限閾値Na、Nbを使用するためである。
S414でエッジ座標を求める。
【0048】
図7(b)は、S404からS409の処理で抽出されたエッジ画素線の例を示している。
図7(b)において、160はエッジ画素線を抽出した全体画面を示しており、本実施形態では、横方向1280画素、縦方向720画素のHD画像上でエッジ画素線を抽出している
エッジ画素線150、155の端点である終端および屈折点を抽出する。
エッジ画素線150の端点は、151、152、153である。
エッジ画素線155の端点は、156、157、158である。
【0049】
図8(a)は、エッジ画素線の端点のエッジ座標を表した例である。図7の左上をX座標=1、Y座標=1とすると、エッジ画素線の端点のエッジ座標は図8(a)に示した値となる。
【0050】
S415では、エッジ座標をSDカード5に記憶する。エッジ座標は、図8(a)に示すように、数値データで表しており、各エッジX座標2バイト、Y座標2バイトとしても4バイトであり、端点が6箇所の図8(a)で示した例では、全部で、24バイトで表すことができる。特許文献1に記載した例では、画像比較しており、比較する画像を記憶するため、数百Kバイトから数メガバイト必要である。本実施形態では、画像比較可能とするエッジ画素線情報を、少ないバイト数で記憶可能なことが本実施形態の特徴のひとつである。
【0051】
S416ではフラグF1に「1」をセットし、エッジ画素線抽出のための上限、下限閾値Na、Nbおよび、エッジ座標をSDカード5に記憶したことを表す。
S417では、図1のクライアント機2に映像データを送信する。ネットワークカメラ1が送信している映像は、S402でズーム倍率をワイド端にセットしているので、図3(a)に示すような全体画像がクライアント機2に送信される。
【0052】
S418ではプリセット座標、ズーム倍率を設定してSDカード5に記憶する。
プリセット座標およびズーム倍率は、図1のクライアント機2の入力部14を、例えば警備室の警備員が操作することにより入力される情報に従って設定する。設定されたプリセット座標およびズーム倍率はクライアント機2からネットワークカメラ1に送信され、ネットワークカメラ1は受信したプリセット座標およびズーム倍率をSDカード5に記憶する。
【0053】
図8(a)は、図3(a)に示した全体映像でのプリセット位置64、66でのプリセット座標およびズーム倍率を表したものである。水平方向1280、垂直方向720画素とし左上端の座標を(1、1)として、プリセット位置64は(980、532)、プリセット位置66は(757、692)になることを表している。S418の処理後はS412に進み、クライアント機2にエッジ検出処理終了を通知し、終了する。
【0054】
S420以降の処理はS403の判別で、F1=1であり、ネットワークカメラを交換した場合の処理である。
S420では、図2で示したガウシアンフィルタ25およびソーベルフィルタ26を用いて各画素のエッジ値を取得する。
S421では、SDカード5に記憶した上限閾値Na、および下限閾値Nbを用いて、ヒステリシス閾値処理部27で閾値以上のエッジ画素を抽出する。また、定数Kよりも長いエッジ画素線を抽出する。
【0055】
S422では、S421で抽出したエッジ画素線のエッジ座標を求める。
S423では、S421、S422の処理でエッジ画素線が抽出でき、エッジ座標を求めることができたか否かの判別を行う。エッジ座標を求めることができなかった場合、例えば交換したネットワークカメラの撮影方向が、空を向いているときや海を向いているときなどはエッジが検出できないので、S424に進む。
【0056】
S424はエラー処理である。図1のブロック図には不図示だが、制御部4の制御により、エラーランプを点灯させる。エラーしたことを知らせるブザーを鳴らすなどの処理を行う。S424におけるエラー処理を終了後、S412に進み、エッジ検出処理が終了したことをクライアント機2に通知し、終了する。
【0057】
一方、S423の判別で、エッジ座標を求めることができた場合、S425に進み、S422で求めたエッジ座標と、S415でSDカード5に記憶したエッジ座標の比較を行う。S425の比較結果に基いて、エッジ座標の差が大きいか否かの判別をS426で行う。本実施形態では、比較結果に基いて、X軸方向、Y軸方向とも2画素分の差であれば差がないと判断し、S412に進んで、エッジ検出処理が終了したことをクライアント機2に通知し、終了する。
【0058】
S426の判別でエッジ座標の差が大きい場合、S427に進み、検出エッジ座標をSDカード5に記憶する。図8(b)は、交換したネットワークカメラで、撮像方向が図3(b)に示すように、図3(a)に比べて左にずれて設置された場合のエッジ座標を示す。図8に示すように、図8(b)のエッジ画素線1、2のX座標は、図8(a)のエッジ画素線1、2に比べ300ドット分少なく、S426の判別では差が大きい。
【0059】
次に、S428では、エッジ座標の差を元にプリセット座標を修正する。SDカード5に、図3(a)の例におけるプリセット座標が図9(a)に示すように記憶されており、エッジ座標の差である300ドット分少なくプリセット位置を修正する。図9(b)は、修正後のプリセット座標である。
【0060】
次に、S429で修正したプリセット座標をSDカード5に記憶し、S412に進んで、クライアント機2にエッジ検出処理終了を通知する。以上、第1の実施形態について説明した。
本実施形態においては、S423でエッジ座標が検出されなかった場合は、S424でエラー処理としていた。しかし、エッジ座標が検出されなかった場合、図6に示す上限閾値Na、下限閾値Nbを少しずつ下げていきエッジ座標を検出しやすくし、エラーになる頻度を低下するようにしてもよい。
【0061】
本実施形態においては、S402でズームをワイドにセットし、全体画像としての映像を取得した。この他の例としては、図1に示したPTZ機構7を用いて、ネットワークカメラの撮影範囲の全体画像であるパノラマ画像を生成し、生成したパノラマ画像を元にエッジ画素線を抽出するようにしてもよい。
【0062】
また、本実施形態においては、キャニー方式を用いたエッジ検出を用い画像の特徴を抽出したが、他の方式によるエッジ検出を用いてもよく、また、輝度分布情報を用いて画像の特徴を抽出してもよい。また、輝度分布検出とエッジ検出とを組み合わせて画像の特徴情報を抽出するようにしてもよい。さらに、本実施形態においては、エッジ座標、プリセット座標をSDカード5に記憶する実施形態について説明したが、クライアント機2や録画サーバ(図示せず)に記憶するようにしてもよい。
【0063】
(第2の実施形態)
以下、図10〜13を参照して、ネットワークカメラシステムの第2の実施形態について説明する。
図10は、本実施形態のネットワークカメラシステムの概略構成を示すブロック図である。第1の実施形態と同じブロックについては同一番号を付与している。
図10において、201はローテーション駆動機構であり、光学系6および撮像素子3で構成されるレンズユニットの撮影角度を回転する機構である。傾斜した天井や垂直の壁にネットワークカメラ1が取り付けられたとき、レンズユニットを回転して、映像が水平に取得できるようにする。
本実施形態は、傾斜した天井や垂直の壁にネットワークカメラ1が取り付けられた場合には、ネットワークカメラ1の取り付け面の角度検出、及びネットワークカメラ1の取り付け方向検出を行う。そして、角度検出及び方向検出の結果からローテーション機構201を自動的に制御して、撮影方向を最適化することを可能にしている。
【0064】
図11は、図7(a)で撮影していたネットワークカメラを交換した際に、天井など水平方向に取り付けていたネットワークカメラを、壁などに垂直に取り付けた場合の映像例を示す図である。図11において、202、203は、図10の制御部4により抽出したエッジ画素線であり、図7(a)のエッジ画素線92、93と比較して、90度回転した形状で抽出される。
【0065】
図12は、本実施形態において、ネットワークカメラを交換した後の処理手順を示すフローチャートである。
本実施形態において、第1の実施形態における図4に示したS401からS422は同じ処理なので、図12では省略して図示している。また、図4に示したフローチャートと同一処理のステップには同一番号を付与している。
【0066】
図12のS423において、交換したネットワークカメラでエッジ座標ありと検出されると、S425に進み、求めたエッジ座標と、SDカード5に記憶したエッジ座標の比較を行う。
S425の比較結果に基いて、エッジ座標の差が大きいか否かの判別をS426で行う。差が大きい場合はS1210に進み、エッジ座標のX、Y方向の差を計算する。
【0067】
図13(a)は、図7(b)のエッジ画素線150、155のエッジ座標を示す図であり、図8(a)と同じ値である。エッジ画素線1、2共にY方向に長い画素線を表している。図13(b)は、図11のエッジ画素線202、203のエッジ座標を示す図であり、エッジ画素線1、2共にX方向に長いエッジ画素線を表している。
【0068】
図13(c)および図13(d)は、S1210の処理である、エッジ座標のX、Y方向の差を計算した図である。元になった図11の画像は、図7(b)に示した画像に比べて90度傾いた画像であり、当然のことながら、X方向、Y方向の差分値は逆の値となっている。
【0069】
図12のS1211で、X方向、Y方向の差分の比較を行い、差が大きいか否かの判別を行う。類似していれば、取り付け方向が同じと考えられ、第1の実施形態と同様にS427〜S429の処理に進む。
【0070】
S1211の判別で差が大きい場合は、S1212に進み、X方向、Y方向を逆にして比較する。図13(c)、(d)に示した例では、逆にするとほぼ同じ差分となり、S1213の判別でS1214に進む。S1214では、図10のローテーション機構201を用いて、撮影角度を90度回転する。
【0071】
一方、S1213の判別で、差が大きい場合は、ネットワークカメラが斜めに取り付けられていることであり、S1215に進む。S1215では、エッジ画素線の傾斜角度を計算し、S1216で計算結果から図10に示したローテーション機構201を用いて、撮影角度を回転する。
【0072】
S1214、S1216で撮影角度を回転したので、撮影映像は変化しているため、S1217でエッジ座標を再設定し、その後、第1の実施形態と同様、S427以降の処理を実施する。
以上、第2の実施形態について説明した。本実施形態では、エッジ画素線の特徴によりネットワークカメラの設置状況を検出し、ローテーション機構201を用いて自動的に撮影角度を補正可能としている。
【0073】
(第3の実施形態)
以下、図14〜図16を参照して、本発明の第3の実施形態による、ネットワークカメラシステムについて説明する。
図14は、本実施形態におけるネットワークカメラのイメージ図である。
図14において、301、302、303はLEDであり、ネットワークカメラを交換するときに、設置位置ずれがあると、位置ずれしたことを設置作業者に報知するためのものであり、交換前の設置位置になるように促すことを可能としている。
【0074】
LED301は、ネットワークカメラの設置位置が右方向にずれていることを検出し、左方向に回転するように設置作業者に報知するLEDである。LED302は、ネットワークカメラの設置位置が左方向にずれていることを検出し、右方向に回転するように設置作業者に報知するLEDである。また、LED303は、設置位置のずれを検出し、点滅点灯することにより、ずれ量を報知し、ずれがなくなると、常時点灯することで、設置作業者にずれがなくなったことを報知するLEDである。
【0075】
図15は、本実施形態におけるネットワークカメラシステムの概略構成を示すブロック図である。第1の実施形態と同じ構成部分は同一番号を付与し、説明を省略する。
図15において、301、302、303は、図14を参照しながら説明したLEDである。LED点灯回路304は、制御部4の制御によりLED301、302、303を点灯する回路である。
【0076】
本実施形態におけるネットワークカメラ1は、撮影方向を変更するパンチルト構造は、手動で変更する構造であり、駆動部を持ち合わせていない。また、第2の実施形態では具備したローテーションも手動で変更する構造である。307は手動で変更するパンチルと及びローテーション構造である。306はズーム機構である。305は制御部4の制御により、電動でズーム機構306を駆動する駆動部である。
【0077】
図16は、本実施形態において、ネットワークカメラを交換した後の処理手順を示すフローチャートである。
本実施形態において、第1の実施形態における図4に示したS401からS422は、同じ処理なので、図16では省略して図示している。また、図4に示したフローチャートと同一処理ステップには同一番号を付与している。
【0078】
図16のフローチャートにおいて、S423では、交換したネットワークカメラでSDカード5にエッジ座標が記憶されていない場合、エラー状態である。エラー状態を設置作業者に示すためにS1601に進みLED301、302、303を点滅する。
S1602で10秒タイマーにより点灯時間を確保し、S1603でLED301、302、303を消灯する。その後、S412に進みクライアント機にエッジ検出処理終了を通知して終了する。
【0079】
S423において、交換したネットワークカメラでSDカード5にエッジ座標が記憶されている場合、S425に進み、求めたエッジ座標とSDカード5に記憶したエッジ座標の比較を行う。S425の比較結果に基いて、エッジ座標の差が大きいか否かの判別をS426で行う。
【0080】
判別の結果、差が小さい場合はS1604に進み、LED303を点灯し、交換したネットワークカメラの設置方向が交換する前とほぼ同じになったことを設置作業者に報知する。その後、S412に進み、クライアント機にエッジ検出処理終了を通知して終了する。
【0081】
S426の判別の結果、エッジ座標の差が大きい場合は、S1605に進み、右方向にずれているか否かの判別を行う。右方向にずれている場合は、S1606に進みLED301を点滅する。次に、S1607に進み、左方向にずれているか否かの判別を行う。S1607の判別の結果、左方向にずれている場合は、S1608に進んでLED302を点滅する。本実施形態においては、LED301、302を点滅するだけの処理としているが、他の処理としては、差が大きいほど点滅周期を長くしたり、差が小さくなってくると点滅周期を短くしたりするようにしてもよい。
【0082】
第1の実施形態で示した図3(a)、(b)の映像例において、交換前のネットワークカメラの映像は、図3(a)に比べ、図3(b)の映像が左方向にずれている。これは、ネットワークカメラの設置位置が右方向にずれていることを示し、S1605の判別の結果S1606に進みLED301を点滅する。S425からS1608を繰り返すことにより、設置作業者は、LEDを見ながら設置方向を明示することが可能である。
【0083】
以上、第3の実施形態について説明した。
前述した実施形態の変形例として、第2の実施形態と組み合わせることにより、ローテーション角度調整の援助をすることも可能である。水平面の天井に取り付けられていたネットワークカメラを交換した際に、傾斜した天井や垂直の壁に取り付けた場合、LEDを追加して手動でのローテーション角度の修正方向の指示表示を行うことができる。本実施形態においては、LEDにて設置方向を明示するようにしたが、他の実施形態として音声出力を行う音声ガイド装置で設置方向を報知するようにしてもよい。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0085】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)を、ネットワーク又は各種のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0086】
1 ネットワークカメラ、2 クライアント機、5 SDカード、14 入力部、25 ガウシアンフィルタ、26 ソーベルフィルタ、27 ヒステリシス閾値処理部、29 CPU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置と、前記撮影装置からの映像データを、ネットワークを介して受信して表示部に表示するクライアント機とを有するネットワークカメラシステムにおいて、
前記クライアント機は、プリセット位置、マスキング位置、動き検出位置のうち、少なくとも一つを含む設定情報を入力する入力手段を具備し、
前記撮影装置は、前記設定情報が示す範囲の全てまたは一部を含む撮影範囲を撮影する前記撮影装置により取得した映像データを元に特徴情報を抽出するとともに、前記抽出した特徴情報を記憶媒体に記憶し、前記設定情報を元に前記撮影装置の設定を行う制御手段を具備し、
前記制御手段は、前記記憶媒体に記憶した特徴情報と、新たに抽出した特徴情報とを比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果に基づいて前記設定情報を修正する修正手段とを具備することを特徴とするネットワークカメラシステム。
【請求項2】
前記制御手段は、エッジ検出手段と輝度分布検出手段とを具備し、
前記特徴情報は、前記エッジ検出手段または輝度分布検出手段により抽出された座標情報であることを特徴とする請求項1に記載のネットワークカメラシステム。
【請求項3】
前記エッジ検出手段は、エッジの連結性をあげるために上限、下限の閾値情報を使ってエッジ検出を行い、前記制御手段は前記閾値情報を前記記憶媒体に記憶することを特徴とする請求項2に記載のネットワークカメラシステム。
【請求項4】
前記記憶媒体は、前記撮影装置に着脱可能な記憶媒体であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のネットワークカメラシステム。
【請求項5】
前記制御手段が前記特徴情報を抽出する際に用いる映像データは、前記撮影装置のズームをワイド端に設定した際の映像データであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のネットワークカメラシステム。
【請求項6】
前記制御手段が前記特徴情報を抽出する際に用いる映像データは、前記撮影装置の撮影範囲の全体画像であるパノラマ画像であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のネットワークカメラシステム。
【請求項7】
前記撮影装置はローテーション駆動手段を有するとともに、前記制御手段は前記撮影装置の取り付け面の角度を検出する角度検出手段を有し、
前記制御手段は、前記比較手段の比較結果を元に、前記角度検出手段が検出した角度から前記ローテーション駆動手段を制御することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のネットワークカメラシステム。
【請求項8】
撮影装置と、撮影装置からの映像データを、ネットワークを介して受信して表示部に表示するクライアント機とで構成されるネットワークカメラシステムにおいて、
前記クライアント機は、プリセット位置、マスキング位置、動き検出位置のうち、少なくとも一つを含む設定情報を入力する入力手段を具備し、
前記撮影装置は、報知手段と、前記設定情報が示す範囲の全てまたは一部を含む撮影範囲を撮影する前記撮影装置により取得した映像を元に特徴情報を抽出するとともに、前記抽出した特徴情報を記憶媒体に記憶し、前記設定情報を元に前記撮影装置の設定を行う制御手段とを具備し、
前記制御手段は、前記記憶媒体に記憶した特徴情報と、新たに抽出した特徴情報とを比較する比較手段を有し、前記比較手段の比較結果に基づいて前記報知手段を制御することを特徴とするネットワークカメラシステム。
【請求項9】
前記報知手段は、LEDまたは音声出力を行う音声ガイド装置であることを特徴とする請求項8に記載のネットワークカメラシステム。
【請求項10】
前記制御手段は、前記撮影装置の取り付け方向を検出する方向検出手段を有し、
前記制御手段は、前記方向検出手段が検出した取り付け方向に基づいて前記報知手段を制御して前記撮影装置の取り付け修正を行う方向を明示することを特徴とする請求項8または9に記載のネットワークカメラシステム。
【請求項11】
撮影装置と、前記撮影装置からの映像データを、ネットワークを介して受信して表示部に表示するクライアント機とを有するネットワークカメラシステムの制御方法において、
前記クライアント機は、プリセット位置、マスキング位置、動き検出位置のうち、少なくとも一つを含む設定情報を入力する入力工程を具備し、
前記撮影装置は、前記設定情報が示す範囲の全てまたは一部を含む撮影範囲を撮影する前記撮影装置により取得した映像データを元に特徴情報を抽出するとともに、前記抽出した特徴情報を記憶媒体に記憶し、前記設定情報を元に前記撮影装置の設定を行う制御工程を具備し、
前記制御工程は、前記記憶媒体に記憶した特徴情報と、新たに抽出した特徴情報とを比較する比較工程と、前記比較工程の比較結果に基づいて前記設定情報を修正する修正工程とを具備することを特徴とするネットワークカメラシステムの制御方法。
【請求項12】
報知手段を有する撮影装置と、撮影装置からの映像データを、ネットワークを介して受信して表示部に表示するクライアント機とで構成されるネットワークカメラシステムの制御方法において、
前記クライアント機は、プリセット位置、マスキング位置、動き検出位置のうち、少なくとも一つを含む設定情報を入力する入力工程を具備し、
前記撮影装置は、前記設定情報が示す範囲の全てまたは一部を含む撮影範囲を撮影する前記撮影装置により取得した映像を元に特徴情報を抽出するとともに、前記抽出した特徴情報を記憶媒体に記憶し、前記設定情報を元に前記撮影装置の設定を行う制御工程を具備し、
前記制御工程は、前記記憶媒体に記憶した特徴情報と、新たに抽出した特徴情報とを比較する比較工程を有し、前記比較工程の比較結果に基づいて前記報知手段を制御することを特徴とするネットワークカメラシステムの制御方法。
【請求項1】
撮影装置と、前記撮影装置からの映像データを、ネットワークを介して受信して表示部に表示するクライアント機とを有するネットワークカメラシステムにおいて、
前記クライアント機は、プリセット位置、マスキング位置、動き検出位置のうち、少なくとも一つを含む設定情報を入力する入力手段を具備し、
前記撮影装置は、前記設定情報が示す範囲の全てまたは一部を含む撮影範囲を撮影する前記撮影装置により取得した映像データを元に特徴情報を抽出するとともに、前記抽出した特徴情報を記憶媒体に記憶し、前記設定情報を元に前記撮影装置の設定を行う制御手段を具備し、
前記制御手段は、前記記憶媒体に記憶した特徴情報と、新たに抽出した特徴情報とを比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果に基づいて前記設定情報を修正する修正手段とを具備することを特徴とするネットワークカメラシステム。
【請求項2】
前記制御手段は、エッジ検出手段と輝度分布検出手段とを具備し、
前記特徴情報は、前記エッジ検出手段または輝度分布検出手段により抽出された座標情報であることを特徴とする請求項1に記載のネットワークカメラシステム。
【請求項3】
前記エッジ検出手段は、エッジの連結性をあげるために上限、下限の閾値情報を使ってエッジ検出を行い、前記制御手段は前記閾値情報を前記記憶媒体に記憶することを特徴とする請求項2に記載のネットワークカメラシステム。
【請求項4】
前記記憶媒体は、前記撮影装置に着脱可能な記憶媒体であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のネットワークカメラシステム。
【請求項5】
前記制御手段が前記特徴情報を抽出する際に用いる映像データは、前記撮影装置のズームをワイド端に設定した際の映像データであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のネットワークカメラシステム。
【請求項6】
前記制御手段が前記特徴情報を抽出する際に用いる映像データは、前記撮影装置の撮影範囲の全体画像であるパノラマ画像であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のネットワークカメラシステム。
【請求項7】
前記撮影装置はローテーション駆動手段を有するとともに、前記制御手段は前記撮影装置の取り付け面の角度を検出する角度検出手段を有し、
前記制御手段は、前記比較手段の比較結果を元に、前記角度検出手段が検出した角度から前記ローテーション駆動手段を制御することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のネットワークカメラシステム。
【請求項8】
撮影装置と、撮影装置からの映像データを、ネットワークを介して受信して表示部に表示するクライアント機とで構成されるネットワークカメラシステムにおいて、
前記クライアント機は、プリセット位置、マスキング位置、動き検出位置のうち、少なくとも一つを含む設定情報を入力する入力手段を具備し、
前記撮影装置は、報知手段と、前記設定情報が示す範囲の全てまたは一部を含む撮影範囲を撮影する前記撮影装置により取得した映像を元に特徴情報を抽出するとともに、前記抽出した特徴情報を記憶媒体に記憶し、前記設定情報を元に前記撮影装置の設定を行う制御手段とを具備し、
前記制御手段は、前記記憶媒体に記憶した特徴情報と、新たに抽出した特徴情報とを比較する比較手段を有し、前記比較手段の比較結果に基づいて前記報知手段を制御することを特徴とするネットワークカメラシステム。
【請求項9】
前記報知手段は、LEDまたは音声出力を行う音声ガイド装置であることを特徴とする請求項8に記載のネットワークカメラシステム。
【請求項10】
前記制御手段は、前記撮影装置の取り付け方向を検出する方向検出手段を有し、
前記制御手段は、前記方向検出手段が検出した取り付け方向に基づいて前記報知手段を制御して前記撮影装置の取り付け修正を行う方向を明示することを特徴とする請求項8または9に記載のネットワークカメラシステム。
【請求項11】
撮影装置と、前記撮影装置からの映像データを、ネットワークを介して受信して表示部に表示するクライアント機とを有するネットワークカメラシステムの制御方法において、
前記クライアント機は、プリセット位置、マスキング位置、動き検出位置のうち、少なくとも一つを含む設定情報を入力する入力工程を具備し、
前記撮影装置は、前記設定情報が示す範囲の全てまたは一部を含む撮影範囲を撮影する前記撮影装置により取得した映像データを元に特徴情報を抽出するとともに、前記抽出した特徴情報を記憶媒体に記憶し、前記設定情報を元に前記撮影装置の設定を行う制御工程を具備し、
前記制御工程は、前記記憶媒体に記憶した特徴情報と、新たに抽出した特徴情報とを比較する比較工程と、前記比較工程の比較結果に基づいて前記設定情報を修正する修正工程とを具備することを特徴とするネットワークカメラシステムの制御方法。
【請求項12】
報知手段を有する撮影装置と、撮影装置からの映像データを、ネットワークを介して受信して表示部に表示するクライアント機とで構成されるネットワークカメラシステムの制御方法において、
前記クライアント機は、プリセット位置、マスキング位置、動き検出位置のうち、少なくとも一つを含む設定情報を入力する入力工程を具備し、
前記撮影装置は、前記設定情報が示す範囲の全てまたは一部を含む撮影範囲を撮影する前記撮影装置により取得した映像を元に特徴情報を抽出するとともに、前記抽出した特徴情報を記憶媒体に記憶し、前記設定情報を元に前記撮影装置の設定を行う制御工程を具備し、
前記制御工程は、前記記憶媒体に記憶した特徴情報と、新たに抽出した特徴情報とを比較する比較工程を有し、前記比較工程の比較結果に基づいて前記報知手段を制御することを特徴とするネットワークカメラシステムの制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−235355(P2012−235355A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103194(P2011−103194)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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