説明

ネットワーク伝送装置および制御メッセージ転送方法

【課題】
従来のGMPLSネットワークは、D−Plane用の光伝送ネットワークとは別に、IPルータやイーサスイッチを用いたデータ通信ネットワークをC−Plane用に構築し、別に管理する必要があった。
【解決手段】
本発明に係る制御メッセージ転送方法は、GMPLSネットワークを構成するネットワーク伝送装置間に確立したリンクを介してGMPLS制御メッセージを転送するための制御メッセージ転送方法において、前記ネットワーク伝送装置間のリンクに形成された所定帯域の伝送パス内にGMPLS制御メッセージを伝送するためのコントロールチャネルを形成し、前記コントロールチャネルのトラフィック量をモニタして、前記コントロールチャネルの帯域が前記伝送パス帯域の所定割合に収まるように、前記コントロールチャネル帯域を可変することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GMPLSネットワークにおいてGMPLS制御メッセージを転送するための制御メッセージ転送技術およびこれを用いたネットワーク伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報伝送の高速化と光ネットワークの発展に伴い、GMPLS(Generalized MPLS)ネットワークが普及してきた。GMPLSネットワークは、時分割多重(TDM)や波長多重(WDM)などの光伝送ネットワークを用いてネットワーク伝送装置間でエンドツーエンドの通信インフラを提供する。図7に従来のGMPLSネットワークの構成を示す。図7において、ノードA,ノードB,ノードCなどのネットワーク伝送装置は、互いに光リンクで接続されて伝送パスを形成し、D−Plane(データプレーン)を構築する。一方、D−Planeのネットワーク伝送装置間では、ネットワーク情報の取得やパス制御などを行うGMPLS制御メッセージを伝送する必要があり、DCN(Data Communication Network:データ通信ネットワーク)などGMPLSネットワークとは異なる別のネットワークでC−Plane(制御プレーン)を構成していた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−015513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、従来のGMPLSネットワークは、D−Plane用の光伝送ネットワークとは別に、IPルータやイーサスイッチを用いたデータ通信ネットワークをC−Plane用に構築する必要がある。この結果、C−Plane用のネットワークの設計や、設計したネットワークに基づいてIPルータやイーサスイッチなどを配置したり、これらの装置の設定など保守管理作業が必要になる。特に、C−Plane用のネットワークは、D−Plane用のGMPLSネットワークとは異なるネットワークであるため、通信事業者はC−Plane用とD−Plane用の2つのネットワークを別々に管理しなければならないという問題があった。
【0004】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、C−Plane用に別のネットワークを構築することなく、GMPLS制御メッセージを伝送するためのC−Planeの構築や管理を容易にできるネットワーク伝送装置および制御メッセージ転送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る制御メッセージ転送方法は、GMPLSネットワークを構成するネットワーク伝送装置間に確立したリンクを介してGMPLS制御メッセージを転送するための制御メッセージ転送方法において、前記ネットワーク伝送装置間のリンクに形成された所定帯域の伝送パス内にGMPLS制御メッセージを伝送するためのコントロールチャネルを形成し、前記コントロールチャネルのトラフィック量をモニタして、前記コントロールチャネルの帯域が前記伝送パス帯域の所定割合に収まるように、前記コントロールチャネル帯域を可変することを特徴とする。
【0006】
これにより、C−Plane用に別のネットワークを構築することなく、GMPLSネットワークのネットワーク伝送装置間に形成された伝送パス内にGMPLS制御メッセージを伝送するためのコントロールチャネルを形成してC−Planeを実現し、ネットワーク伝送装置間のネットワーク情報の取得やパス制御などを行うことができる。特に、コントロールチャネルのトラフィック量をモニタして、コントロールチャネル帯域がネットワーク伝送装置間に確立された伝送パス帯域に対して所定割合になるように制御するので、常に全伝送パス帯域の所定割合内にコントロールチャネル帯域を抑えることができる。
【0007】
また、より好ましくは、前記コントロールチャネルのトラフィック量のモニタを所定時間間隔で行うことを特徴とする。
【0008】
これにより、コントロールチャネルのトラフィック量が変化した場合でも、コントロールチャネル帯域がネットワーク伝送装置間に確立された伝送パス帯域に対して所定割合になるように適切に制御することができる。
【0009】
また、より好ましくは、GMPLSネットワークを構成するネットワーク伝送装置間にリンクが確立した時点で前記コントロールチャネルが形成されていない場合は、新たにコントロールチャネルを形成し、GMPLSネットワークを構成するネットワーク伝送装置間にリンクが確立した時点で前記コントロールチャネルが既に形成されている場合は、新たにコントロールチャネルを形成しないことを特徴とする。
【0010】
これにより、同じネットワーク伝送装置間に複数のリンクが確立された場合でも、1つのコントロールチャネルに統一してネットワーク伝送装置を制御することができる。
【0011】
本発明に係るネットワーク伝送装置は、GMPLSネットワークを構成するネットワーク伝送装置において、複数のSONET/SDHインターフェースと、前記複数のSONET/SDHインターフェースを介して隣接するネットワーク伝送装置間でリンクを確立するリンク確立部と、前記複数のSONET/SDHインターフェースを選択的に接続するクロスコネクト部と、GMPLS制御メッセージを処理するGMPLSプロトコル処理部と、GMPLS制御メッセージを伝送するためのコントロールチャネルを、前記ネットワーク伝送装置間のリンクに形成された所定帯域の伝送パス内に形成するコントロールチャネル形成部と、前記クロスコネクト部で処理される前記コントロールチャネルのトラフィック量をモニタするトラフィックモニタ部と、前記トラフィックモニタ部がモニタするトラフィック量に応じて、前記コントロールチャネルの帯域が前記伝送パス帯域の所定割合に収まるように、前記コントロールチャネル帯域を管理するコントロールチャネル管理部と、前記コントロールチャネル管理部が指示するコントロールチャネル帯域になるように伝送パス設定を制御する制御部とを有することを特徴とする。
【0012】
これにより、C−Plane用に別のネットワークを構築することなく、GMPLSネットワークのネットワーク伝送装置間に形成された伝送パス内にGMPLS制御メッセージを伝送するためのコントロールチャネルを形成してC−Planeを実現し、ネットワーク伝送装置間のネットワーク情報の取得やパス制御などを行うことができる。特に、トラフィックモニタ部でコントロールチャネルのトラフィック量をモニタして、コントロールチャネル帯域がネットワーク伝送装置間に確立された伝送パス帯域に対して所定割合になるようにコントロールチャネル管理部および制御部によって制御されるので、常に全伝送パス帯域の所定割合内にコントロールチャネル帯域を抑えることができる。
【0013】
また、より好ましくは、トラフィックモニタ部は、前記コントロールチャネルのトラフィック量のモニタを所定時間間隔で行うことを特徴とする。
【0014】
これにより、コントロールチャネルのトラフィック量が変化した場合でも、コントロールチャネル管理部および制御部は、コントロールチャネル帯域がネットワーク伝送装置間に確立された伝送パス帯域に対して所定割合になるように適切に制御することができる。
【0015】
また、より好ましくは、前記コントロールチャネル形成部は、ネットワーク伝送装置間にリンクが確立した時点で、前記コントロールチャネルが形成されていない場合は新たにコントロールチャネルを形成し、前記コントロールチャネルが既に形成されている場合は新たにコントロールチャネルを形成しないことを特徴とする。
【0016】
これにより、同じネットワーク伝送装置間に複数のリンクが確立された場合でも、コントロールチャネル管理部は、1つのコントロールチャネルに統一してネットワーク伝送装置を制御することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、C−Plane用に別のネットワークを構築することなく、GMPLS制御メッセージを伝送するためのコントロールチャネルをネットワーク伝送装置間に形成された伝送パス内に形成するので、C−Planeの構築や管理を容易に行うことできる。また、コントロールチャネルのトラフィック量に応じて、コントロールチャネル帯域が伝送パス帯域の所定割合になるように、コントロールチャネル帯域を可変するので、常に伝送パス帯域の所定割合内にコントロールチャネル帯域を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明に係るGMPLSネットワークに用いるネットワーク伝送装置および制御メッセージ転送方法の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1に、本実施形態に係るネットワーク伝送装置を用いたGMPLSネットワークの構成例を示す。尚、図1は、従来技術の図7に対応する。
【0019】
図1において、ノードA,ノードBおよびノードCなどのネットワーク伝送装置が互いに光リンクで接続されている。各ノード間に張られた光リンクには、クライアント信号用の伝送パスが形成されてD−Planeを提供すると共に、同じ光リンク内にはGMPLS制御メッセージを伝送するためのコントロールチャネル用の伝送パスが形成されてC−Planeを提供する。
【0020】
このように、図7に示した従来のGMPLSネットワークでは、GMPLS制御メッセージを伝送するためのDCN(データ通信ネットワーク)が別に必要であったが、本実施形態におけるGMPLSネットワークでは、図1に示すようにDCNは不要である。尚、GMPLSネットワークは、ラベルを付加してクライアントデータを伝送するネットワークで、各ノードはLSR(Label Switch Router)やLER(Label Edge Router)などのネットワーク伝送装置を構成する。
【0021】
また、GMPLS制御メッセージは、ラベルを判別して伝送フレームをフォワーディングするための経路指定や伝送パスの帯域幅の予約を行うためのRSVP−TE(Resource Reservation Protocol − Traffic Engineering)や、最短経路を求めるためのOSPF−TE(Open Shortest Path First− Traffic Engineering)や、GMPLS制御メッセージを伝送するコントロールチャネルやリンク管理・障害管理などを行うLMP(Link Management Protocol)などの制御プロトコルを扱う。
【0022】
次に、図2を用いて、ノードA,ノードBおよびノードCのネットワーク伝送装置間の伝送パスについて詳しく説明する。図2において、各ノード間には、双方向の光リンクが張られている。例えば、ノードAとノードBの間には光リンク101aと光リンク101bとが張られ、ノードBとノードCの間には光リンク102aと光リンク102bとが張られている。また、ノードBには、光リンク103,104を介して、クライアント側のネットワークに接続するゲートウェイなどのクライアント装置Aおよびクライアント装置Bが接続されている。例えば、ノードBでラベルを除去(pop)されたクライアントデータはクライアント装置Aまたはクライアント装置Bに出力され、クライアント装置Aまたはクライアント装置Bから入力されるクライアントデータはノードBでラベルを付加(push)されて、宛先に向けてノードAやノードCにフォワーディングされる。
【0023】
例えば、図2の吹き出し枠内に示したように、光リンク101aは、SDH(Synchronous Digital Hierarchy)のフレーム種別STM−xx(Synchronous Transport Module −xx)や、SONET(Synchronous Optical NETwork)のフレーム種別OC−yy(optical coupler −yy)などで構成される。光リンク101aには複数の伝送パスが形成され、本実施形態ではクライアント信号用の伝送パス152から155以外にGMPLS制御メッセージを伝送するためのコントロールチャネル用伝送パス151が形成される。
【0024】
ここで、各伝送パスは、仮想コンテナVC(Virtual Container)によって形成され、ラベルが付加されて宛先に伝送される。この一例を図3に示す。図3(a)はVCの構成を示した図で、ペイロード部分にクライアント信号や制御メッセージが載せられ、POH(Path Over Head)には宛先ラベルなどが記載される。例えば、図3(a)において、VC3の伝送パスの場合はフレームのペイロード部分が84列で構成され、VC4の伝送パスの場合はフレームのペイロード部分が260列で構成される。また、仮想コンテナは連結することが可能で、例えばVC3−4vの場合はVC3の仮想コンテナを4つ仮想連結した伝送パスである。
【0025】
このようにして形成された仮想コンテナは、SDHの光リンクの場合はSTM−xxのフレームのペイロード部分に搭載されて伝送される。SDHの伝送フレーム例を図3(b)に示す。図3(b)において、RSOH(Regenerator Section Over Head),MSOH(Multiplex Section Over Head)などはSDHの制御に使用され、AUP(Administrative Unit Pointers)はペイロード部分に複数の仮想コンテナを搭載する際の開始点を示すポインターである。
【0026】
このようにして、図2のGMPLS制御メッセージを伝送するためのコントロールチャネル用伝送パス151や、クライアント信号用の伝送パス152から155は仮想コンテナで伝送され、仮想コンテナに付加されたラベルによって宛先に転送(フォワーディング)される。例えば、図2のコントロールチャネル用パスとしてVC3−4vの伝送パスを形成したり、帯域の狭いVC3−3vや帯域の広いVC3−5vなどの伝送パスを形成する。
【0027】
次に、ノードA,ノードBおよびノードCなどのネットワーク伝送装置の構成について詳しく説明する。図4はノードBの構成を示すブロック図である。尚、ノードAおよびノードCについてもノードBと同様に構成される。
【0028】
図4において、ノードBは、SONET/SDHインターフェース(IF)201と、SONET/SDHインターフェース(IF)202と、LO(低次回線)インターフェース(IF)203と、LO(低次回線)インターフェース(IF)204と、クロスコネクト部205と、制御部206と、GMPLSプロトコル処理部207と、トラフィックモニタ部208と、コントロールチャネル管理部209とで構成される。
【0029】
図4において、ノードAは光リンク101を介してノードBのSONET/SDHIF201で終端されてクロスコネクト部205に接続される。同様に、ノードCは光リンク102を介してノードBのSONET/SDHIF202で終端されてクロスコネクト部205に接続される。また、クライアント装置Aは低次の光リンク103を介してノードBのLOIF203で終端されてクロスコネクト部205に接続される。同様に、クライアント装置Bは低次の光リンク104を介してノードBのLOIF204で終端されてクロスコネクト部205に接続される。
【0030】
クロスコネクト部205は、制御部206の指令に基づいて、GMPLSプロトコル処理部207から得られるラベルテーブルを参照し、SONET/SDHIF201,202およびLOIF203,204から入出力される仮想コンテナのラベルに応じて、宛先別にスイッチされフォワーディングされる。
【0031】
また、制御部206は、GMPLS制御メッセージを伝送するためのコントロールチャネルの確立や帯域制御を行う。さらに、GMPLSプロトコル処理部207から得られるRSVP−TEやOSPF−TEなどの情報を用いて、経路の指定や帯域幅の予約を行ったり、最短経路制御を行う。
【0032】
GMPLSプロトコル処理部207は、クロスコネクト部205を介して、ノードAやノードCなどとのネットワーク伝送装置間でGMPLS制御メッセージの送受信を行い、制御情報を制御部206に出力する。
【0033】
トラフィックモニタ部208は、クロスコネクト部205で処理されるコントロールチャネルのトラフィック量をモニタする。つまり、コントロールチャネルで伝送される帯域を測定して、コントロールチャネル管理部209に出力する。
【0034】
コントロールチャネル管理部209は、コントロールチャネル帯域がクライアント信号の伝送パスを含めた全体の伝送パスの帯域以上か未満かを判断し、判断結果を制御部206に出力する。これを受けた制御部206は、判断結果に応じてコントロールチャネル帯域を増減させる。次に、伝送パスの帯域制御について説明する。
【0035】
図5は、コントロールチャネルの構築処理を示すフローチャートである。尚、図5のフローチャートは、図4の制御部206を中心として処理される。
【0036】
(ステップS101)コントロールチャネル(Control Channel)の構築処理を開始する。
【0037】
(ステップS102)対向するノード間に確立済みのリンクがあるか否かを判別する。確立済みのリンクがある場合はステップS103に進み、確立済みのリンクがない場合はステップS108に進んで処理を終了する。
【0038】
(ステップS103)リンクが確立済みのノード間にコントロールチャネルが確立されているか否かを判別する。確立済みのコントロールチャネルがない場合はステップS104に進み、確立済みのコントロールチャネルがある場合はステップS108に進んで処理を終了する。
【0039】
(ステップS104)リンクが確立しているノード間にコントロールチャネル用のVCパスを設定する。例えば、予め設定しておいたデフォルトのVC3−1vのVCパスを設定する。
【0040】
(ステップS105)トラフィックモニタ部208は、クロスコネクト部205で処理されるコントロールチャネルのトラフィック量をモニタしてコントロールチャネル帯域を測定する。例えば、コントロールチャネルのトラフィック量の平均値が10Mbpsであれば、コントロールチャネル帯域を10Mとする。
【0041】
(ステップS106)コントロールチャネル管理部209は、トラフィックモニタ部208が測定したコントロールチャネル帯域が伝送パス全体の帯域の所定割合(X%)より大きいか否かを判別する。コントロールチャネル帯域が伝送パス全体の帯域のX%より大きい場合はステップS107に進み、コントロールチャネル帯域が伝送パス全体の帯域のX%以下の場合はステップS108に進んで処理を終了する。例えば、所定割合Xが20%に予め設定されているとすると、伝送パス全体の帯域が155Mの時、コントロールチャネル帯域が31Mより大きくなった場合はステップS107に進み、コントロールチャネル帯域が31M以下の場合はステップS108に進む。
【0042】
(ステップS107)コントロールチャネル用のVCパスを追加する。例えば、予め設定しておいたデフォルトのVCパスがVC3−4vの場合は、VC3−5vに増加する。
【0043】
(ステップS108)コントロールチャネル(Control Channel)の構築処理を終了する。尚、図5のフローチャートでは、分かり易いように、1回だけの構築処理について示したので、ステップS108でコントロールチャネルの構築処理を終了するが、実際には新たにノードが追加されたり、新たにリンクが確立された時に、図5のフローチャートに従った処理が実行される。
【0044】
このように、ノードA,ノードBおよびノードCなどの本実施形態に係るネットワーク伝送装置は、制御メッセージ転送方法として、GMPLS制御メッセージを伝送するC−Plane用に別のネットワークを構築することなく、ネットワーク伝送装置間の伝送パス内にコントロールチャネルを形成してGMPLS制御メッセージを伝送するので、C−Planeの構築や管理を容易に行うことできる。また、コントロールチャネルのトラフィック量に応じて、コントロールチャネル帯域が伝送パス帯域の所定割合になるように、コントロールチャネルの帯域を可変するので、常に伝送パス帯域の所定割合内にコントロールチャネル帯域を抑えることができ、クライアント信号の伝送パス帯域に掛かる負荷を少なくすることができる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るネットワーク伝送装置および制御メッセージ転送方法について説明する。尚、第2の実施形態に係るネットワーク伝送装置を用いたGMPLSネットワークの構成およびネットワーク伝送装置(ノードA,ノードBおよびノードC)の構成などは、第1の実施形態の図1から図5と同じなので重複する説明は省略する。
【0046】
第1の実施形態では新たにリンクが確立してコントロールチャネルを構築する際の処理を主体に説明したが、第2の実施形態では第1の実施形態でコントロールチャネルを構築後に、予め設定された所定時間間隔毎にコントロールチャネル帯域を監視する処理が主体である。
【0047】
図6は、コントロールチャネルの監視処理を示すフローチャートである。尚、図6のフローチャートは、図5のフローチャートと同様に、図4の制御部206を中心として処理される。
【0048】
(ステップS201)コントロールチャネル(Control Channel)の監視処理を開始する。
【0049】
(ステップS202)前回のコントロールチャネル帯域の監視処理から予め設定された所定時間(Y時間)が経過したか否かを判別する。前回のコントロールチャネル帯域の監視処理からY時間が経過した場合はステップS203に進み、前回のコントロールチャネル帯域の監視処理からY時間が経過していない場合はステップS208に進んで処理を終了する。例えば、10分毎にコントロールチャネル帯域の監視処理を行うように予め設定されている場合は、10分が経過した時のみコントロールチャネルの帯域を可変する処理を行い、10分が経過していない時はコントロールチャネルの帯域制御は行わない。
【0050】
(ステップS203)トラフィックモニタ部208は、クロスコネクト部205で処理されるコントロールチャネルのトラフィック量をモニタしてコントロールチャネル帯域を測定する。この処理は、図5のフローチャートのステップS105の処理と同じである。
【0051】
(ステップS204)コントロールチャネル管理部209は、トラフィックモニタ部208が測定したコントロールチャネル帯域が伝送パス全体の帯域の所定割合(X%)より大きいか否かを判別する。コントロールチャネル帯域が伝送パス全体の帯域のX%より大きい場合はステップS206に進み、コントロールチャネル帯域が伝送パス全体の帯域のX%以下の場合はステップS205に進む。この処理は、図5のフローチャートのステップS106の処理と同じである。
【0052】
(ステップS205)コントロールチャネル管理部209は、トラフィックモニタ部208が測定したコントロールチャネル帯域が伝送パス全体の帯域の所定割合(Z%)より小さいか否かを判別する。コントロールチャネル帯域が伝送パス全体の帯域のZ%より小さい場合はステップS207に進み、コントロールチャネル帯域が伝送パス全体の帯域のZ%以上の場合はステップS208に進んで処理を終了する。例えば、所定割合Zが30%に予め設定されているとすると、伝送パス全体の帯域が155Mの時、コントロールチャネル帯域が46.5Mより小さくなった場合はステップS207に進み、コントロールチャネル帯域が46.5M以上の場合はステップS208に進む。
【0053】
(ステップS206)コントロールチャネル用のVCパスを追加する。例えば、予め設定しておいたデフォルトのVCパスがVC3−4vの場合は、VC3−5vに増加する。
【0054】
(ステップS207)コントロールチャネル用のVCパスを削減する。例えば、予め設定しておいたデフォルトのVCパスがVC3−4vの場合は、VC3−3vに削減する。
【0055】
(ステップS208)コントロールチャネルの監視処理を終了する。尚、図6のフローチャートでは、分かり易いように、1回だけの監視処理について示したので、ステップS208でコントロールチャネルの監視処理を終了するが、実際には常に本監視処理は実行され、ステップS202で予め設定された所定時間(Y時間)が経過したか否かを判別する処理を行う。
【0056】
このように、ノードA,ノードBおよびノードCなどの本実施形態に係るネットワーク伝送装置は、第1の実施形態と同様に、制御メッセージ転送方法として、GMPLS制御メッセージを伝送するC−Plane用に別のネットワークを構築することなく、ネットワーク伝送装置間の伝送パス内にコントロールチャネルを形成してGMPLS制御メッセージを伝送するので、C−Planeの構築や管理を容易に行うことできる。
【0057】
また、コントロールチャネルのトラフィック量に応じて、コントロールチャネル帯域が伝送パス帯域の所定割合になるように、コントロールチャネルの帯域を可変するので、常に伝送パス帯域の所定割合内にコントロールチャネル帯域を抑えることができ、クライアント信号の伝送パス帯域に掛かる負荷を少なくすることができる。
【0058】
さらに、本実施形態では、コントロールチャネル帯域の増減に応じて、コントロールチャネル用のVCパスの帯域を増減でき、特に、下限帯域(X%)と上限帯域(Z%)とを設定できるようになっている。このヒステリシス効果により、コントロールチャネル帯域の変動が小さい場合は、コントロールチャネルのVCパスの変更を行わないので、安定したコントロールチャネルのパス帯域を得ることができ、ネットワーク伝送装置の処理負荷も減らすことができる。
【0059】
以上、各実施形態において説明してきたように、本発明に係るネットワーク伝送装置および制御メッセージ転送方法は、C−Plane用に別のネットワークを構築することなく、GMPLSネットワークの制御メッセージを伝送するためのコントロールチャネルをネットワーク伝送装置間に形成された伝送パス内に形成するので、C−Planeの構築や管理を容易に行うことできる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】GMPLSネットワークの構成例を示すブロック図である。
【図2】各ノード間の光リンクと伝送パスの構成例を示すブロック図である。
【図3】VCの構成例とSDHフレームの構成例を示す説明図である。
【図4】ノードBの構成例を示すブロック図である。
【図5】ノードBのコントロールチャネル構築処理を示すフローチャートである。
【図6】ノードBのコントロールチャネル監視処理を示すフローチャートである。
【図7】従来のGMPLSネットワークの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
201,202・・・SONET/SDH IF
203,204・・・LO IF
205・・・クロスコネクト部
206・・・制御部
207・・・GMPLSプロトコル処理部
208・・・トラフィックモニタ部
209・・・コントロールチャネル管理部
101a,101b,102a,102b・・・光リンク
103,104・・・光リンク
151・・・コントロールチャネル用伝送パス
152から155・・・クライアント信号用の伝送パス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GMPLSネットワークを構成するネットワーク伝送装置間に確立したリンクを介してGMPLS制御メッセージを転送するための制御メッセージ転送方法において、
前記ネットワーク伝送装置間のリンクに形成された所定帯域の伝送パス内にGMPLS制御メッセージを伝送するためのコントロールチャネルを形成し、
前記コントロールチャネルのトラフィック量をモニタして、前記コントロールチャネルの帯域が前記伝送パス帯域の所定割合に収まるように、前記コントロールチャネル帯域を可変する
ことを特徴とする制御メッセージ転送方法。
【請求項2】
請求項1に記載の制御メッセージ転送方法において、
前記コントロールチャネルのトラフィック量のモニタを所定時間間隔で行う
ことを特徴とする制御メッセージ転送方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の制御メッセージ転送方法において、
GMPLSネットワークを構成するネットワーク伝送装置間にリンクが確立した時点で前記コントロールチャネルが形成されていない場合は、新たにコントロールチャネルを形成し、
GMPLSネットワークを構成するネットワーク伝送装置間にリンクが確立した時点で前記コントロールチャネルが既に形成されている場合は、新たにコントロールチャネルを形成しない
ことを特徴とする制御メッセージ転送方法。
【請求項4】
GMPLSネットワークを構成するネットワーク伝送装置において、
複数のSONET/SDHインターフェースと、
前記複数のSONET/SDHインターフェースを介して隣接するネットワーク伝送装置間でリンクを確立するリンク確立部と、
前記複数のSONET/SDHインターフェースを選択的に接続するクロスコネクト部と、
GMPLS制御メッセージを処理するGMPLSプロトコル処理部と、
GMPLS制御メッセージを伝送するためのコントロールチャネルを、前記ネットワーク伝送装置間のリンクに形成された所定帯域の伝送パス内に形成するコントロールチャネル形成部と、
前記クロスコネクト部で処理される前記コントロールチャネルのトラフィック量をモニタするトラフィックモニタ部と、
前記トラフィックモニタ部がモニタするトラフィック量に応じて、前記コントロールチャネルの帯域が前記伝送パス帯域の所定割合に収まるように、前記コントロールチャネル帯域を管理するコントロールチャネル管理部と、
前記コントロールチャネル管理部が指示するコントロールチャネル帯域になるように伝送パス設定を制御する制御部と
を有することを特徴とするネットワーク伝送装置。
【請求項5】
請求項4に記載のネットワーク伝送装置において、
トラフィックモニタ部は、前記コントロールチャネルのトラフィック量のモニタを所定時間間隔で行う
ことを特徴とするネットワーク伝送装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載のネットワーク伝送装置において、
前記コントロールチャネル形成部は、ネットワーク伝送装置間にリンクが確立した時点で、前記コントロールチャネルが形成されていない場合は新たにコントロールチャネルを形成し、前記コントロールチャネルが既に形成されている場合は新たにコントロールチャネルを形成しない
ことを特徴とするネットワーク伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−290405(P2009−290405A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139056(P2008−139056)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】