説明

ネットワーク構成要素によって処理される音声通話用のサービス品質を改善する方法

一実施形態では、方法は、ネットワーク構成要素で、ネットワーク構成要素によって処理される少なくとも1つの音声通話用のサービス品質に基づいて、ネットワーク構成要素によって送信されるデータ・トラフィックのデータ・レートを減速することを含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
例えば、フェムト基地局は、家屋または小さなビルなどの小さな区域をカバーする顧客構内設備(CPE)装置である。それらは無線加入者の家屋に配置されるので、デジタル加入者線(DSL)またはケーブルのいずれであろうと、加入者のブロードバンド接続を利用する。フェムトは無線の音声トラフィックおよびデータ・トラフィックを伝えるので、よいサービスの品質のためにはある一定のサービス品質(QoS)が保証されるべきである。適用可能なQoSソリューションは、無線サービス・プロバイダと有線サービス・プロバイダの間の関係に依存する。そこには3つの潜在的な関係モデルが存在する。
【0002】
1)無線および有線共通の事業者:同じ事業者がフェムト基地局(フェムトとも呼ばれる)からフェムト・ゲートウェイまでのネットワーク経路を所有しているので、その事業者は有線アクセス・ネットワークを管理して、フェムト・サービスに必要なQoSを保証することができる。
【0003】
2)サービス内容合意書(SLA)をもつ無線および有線別々の事業者:このシナリオでは、有線アクセス・プロバイダは無線事業者とは異なる。しかしながら、両者の間にSLAがあるので、フェムト・トラフィックはアクセス・ネットワーク内で必要なQoSを与えられる。このシナリオに適用可能なQoSのメカニズムは、共通事業者のケースと同様であり、静的または動的な方式で実装することができる。
【0004】
3)SLA合意書をもたない無線事業者および有線事業者:このケースでは、有線事業者はフェムト・トラフィックにQoSを与えるインセンティブをもたず、フェムト・トラフィックは単にベスト・エフォート型として供給される。フェムト・プロバイダは、ベスト・エフォート型のIPネットワークにわたって一部容認できる品質低下を伴うかもしれないが、フェムト・ソリューションがまだ動作することを確実にすべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、音声およびデータのトラフィックを処理するネットワーク構成要素で、音声通話用のサービス品質を改善する方法に関する。
【0006】
一実施形態では、方法は、ネットワーク構成要素で、ネットワーク構成要素によって送信されるデータ・トラフィックのデータ・レートを、ネットワーク構成要素によって処理される少なくとも1つの音声通話用のサービス品質に基づいて、減速することを含む。
【0007】
例えば、ネットワーク構成要素はフェムト基地局であり得る。
【0008】
一実施形態では、減速は、音声通話用のサービス品質が容認できなくなる場合、データ・トラフィックのデータ・レートを減少させることを含む。データ・レートは、固定の減分、固定のパーセンテージ、などだけ減少することができる。データ・レートの減少が音声通話用のサービス品質を向上させるかどうかに基づいて、何度も減少を繰り返すことができる。
【0009】
例えば、ネットワーク構成要素は、音声通話用のサービス品質が一定時間改善しない場合、データ・レートの減少を停止することができる。この場合、ネットワーク構成要素は、音声通話用のサービス品質を改善するための代替手順を導入することができる。
【0010】
一実施形態では、方法は、音声通話用のサービス品質を低下させることなしにデータ・レートを増加させることができるかどうかを定期的に検査することを含む。
【0011】
本発明の例示的な実施形態は、下記に提供した詳細説明および添付図面から、より十分に理解されるであろう。ここで、同じ構成要素は同じ参照数字によって表されるが、それらは例示のみによって与えられ、したがって本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】DSL接続が施設されている家屋または事務所でのスタンドアロンのフェムト基地局の通常の配置シナリオを示す図である。
【図2】図1に示したアーキテクチャの家屋部分のQoSアーキテクチャの例を描写する図である。
【図3A】音声通話用のサービス品質を改善するための方法の実施形態を示す図である。
【図3B】音声通話用のサービス品質を改善するための方法の実施形態を示す図である。
【図4】実施形態によってデータ・レートの増加を検査する機能の実施形態を示す図である。
【図5】データ・トラフィック・レートの減少が音声QoSを改善する助けになるケースを描写する図である。
【図6】データ・トラフィック・レートの減少が音声QoSを改善する助けにならないケースを描写する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、本発明のさまざまな例示的な実施形態を、本発明の一部の例示的な実施形態が示される添付図面を参照して、より詳しく説明する。図面において、層の厚さおよび領域は、明確にするために誇張される。
【0014】
本発明の詳細で例示的な実施形態を本明細書で開示する。しかしながら、本明細書で開示する特定の構造的および機能的な詳細は、本発明の例示的な実施形態を記載する目的のための見本に過ぎない。しかしながら、本発明は多くの代替の形態に実装することができ、本明細書で説明する実施形態だけに限定されると解釈すべきではない。
【0015】
したがって、本発明の例示的な実施形態はさまざまな修正および代替の形態が可能であるが、その実施形態は図面の中の例として示し、本明細書において詳細に記載する。しかしながら、本発明の例示的な実施形態を、記載した特定の形態に限定する意図はないが、これに反して、本発明の例示的な実施形態は、本発明の範囲内に入るすべての修正物、均等物および代替物をカバーすることを理解すべきである。図の説明を通して、同じ番号は同じ構成要素を参照する。
【0016】
第1の、第2の、などの用語が本明細書においてさまざまな構成要素を記載するために使用される可能性があるが、これらの構成要素はこれらの用語によって制限されるべきでないことが理解されよう。これらの用語は、1つの構成要素を別の構成要素から区別するためにのみ使用される。例えば、本発明の例示的な実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の構成要素は第2の構成要素と呼ぶことができ、同様に、第2の構成要素は第1の構成要素と呼ぶことができる。本明細書では、用語「および/または」は、1つまたは複数の関連する列記された項目の、任意かつすべての組合せを含む。
【0017】
1つの構成要素が別の構成要素に「接続」または「結合」すると称すると、それは他の構成要素に直接接続または結合することができるし、介在する構成要素が存在することができると理解されよう。対照的に、1つの構成要素が別の構成要素に「直接接続」または「直接結合」すると称すると、介在する構成要素は存在しない。構成要素間の関係を説明するために使用される他の単語は、同様に解釈されるべきである(例えば、「間で」対「直接の間で」、「近傍の」対「直接近傍の」、など)。
【0018】
本明細書で使用される述語は、特定の実施形態のみを説明することが目的であり、本発明の例示的な実施形態を限定することは意図していない。本明細書では、文脈が明確に他を示さない限り、単数形「a」、「an」および「the」は複数形も含むように意図される。用語「備える」、「備えている」、「含む」および/または「含んでいる」は、本明細書で使用されると、記載された機能、整数、ステップ、動作、構成要素、および/または構成部品の存在を明記するが、1つまたは複数の他の機能、整数、ステップ、動作、構成要素、および/もしくはそのグループの存在または追加を排除しないことがさらに理解されよう。
【0019】
また、一部の代替の実装形態では、注記された機能/動作は、図の中で注記された順序以外で起こる可能性があることに留意すべきである。例えば、連続して示された2つの図は、関係する機能/動作に応じて、実際にはほぼ同時に実行することができるし、または時々逆の順序で実行することができる。
【0020】
本明細書では、用語「ユーザ機器」は、モバイル、モバイル装置、モバイル・ステーション、モバイル・ユーザ、加入者、ユーザ、リモート・ステーション、アクセス端末、レシーバ、などと同義であると考えることができ、以降場合によってはそのように称することができ、無線通信ネットワーク内の無線リソースのリモート・ユーザを説明することができる。用語「基地局」は、ベース・トランシーバ基地局(BTS)、NodeB、拡張NodeB、フェムトセル、アクセス・ポイント、などと同義であると考えることができ、および/またはそのように称することができ、ネットワークと1人または複数人のユーザとの間のデータおよび/または音声の接続用の無線ベースバンド機能を提供する設備を説明することができる。
【0021】
本出願の主題は、背景技術セクションで説明した第3のケースにおけるサービス品質(QoS)問題に対処し、かつベスト・エフォート型のアクセス・ネットワークにわたるフェムトとしてのシナリオを参照する。図1は、DSL接続が施設されている家屋または事務所でのスタンドアロンのフェムト基地局のための通常の配置シナリオを示す。この開示では、フェムト基地局は、また単にフェムトと称することがある。図1に示したように、フェムト10は、DSLモデム30に接続するホーム・ルータ20に接続する。両方の接続はイーサネットであると仮定する。家庭のパーソナル・コンピュータ(PC)22は、イーサネットまたはWiFiを介してホーム・ルータ20に接続する。説明のために、図1において、家族はDSLのプロバイダ提供の住宅向けVoIPサービスに加入していると仮定する。したがって、DSLモデム30は、アクセス・ネットワーク40内のDSLアクセス・マルチプレクサ(DSLAM)42と通信する。住宅向けVoIPのトラフィックは、DSLのプロバイダによってQoSを与えられ得ることに留意されたい。フェムトのプロバイダはDSLのプロバイダとは異なっていて、両者の間にはSLAが存在しないと仮定するので、フェムトのトラフィックは、フェムト・ゲートウェイ50への経路に沿ってベスト・エフォート型として処理される。図のように、フェムト・ゲートウェイ50は、3G無線ネットワーク60およびインターネット70両方へのアクセスを提供する。フェムト・インターネット・トラフィックは、フェムト・ゲートウェイ−3G無線ネットワーク−インターネットの経路も辿ることができることに留意されたい。
【0022】
図1に示した構成では、モバイル電話2とフェムト基地局10の組合せは、イーサネット・ケーブルを使用してホーム・ルータ20に接続するPCのように考えることができる。この類似により、モバイル音声は、ボイス・オーバ・インターネット・プロトコル(VoIP)アプリケーションを介した音声と同様であると考えられ、すべての他のモバイルアプリケーションは、PCで動作するアプリケーションと同様であると考えられる。アクセス・ネットワーク40はベスト・エフォート型なので、音声アプリケーションが良好なQoSを手にする保証はない。しかしながら、トラフィックの過負荷がないと、すべてのアプリケーションはパケット・ネットワークにおいて良好な性能を手にする。したがって、フェムト・ソリューションは、ほとんど常に精細に動作することができる。しかしながら、適切に設計されたシステムは、輻輳期間中でも良好な、または容認できるサービス品質を提供すべきである。
【0023】
パケット・ネットワークにおいて、輻輳は、共用リソース/リンクに与えられた負荷が共用リソースの容量を超えるときに起こる。輻輳を削減する1つの方法は、輻輳したリンクに与えられるトラフィックを削減することである。本発明の実施形態によれば、フェムト基地局10は、音声パケットと競合するトラフィックを削減する。
【0024】
図2は、図1に示したアーキテクチャの家屋部分のQoSアーキテクチャの例を描写する。フェムト基地局10内で、音声パケットはデータ・パケットを超える優先権を与えられる。しかしながら、ホーム・ルータ20、DSLモデム30、DSLAM42、およびアクセス・ネットワーク40のその他の機器において、音声パケットとデータ・パケットの間にそのような区別はない。したがって、フェムト・ゲートウェイ50に向かう経路の中にボトルネックが存在すると、ベスト・エフォート型のネットワーク内では音声パケットとデータ・パケットの間で区別はつかないので、フェムト・データ・パケットはこれらのボトルネックで音声パケットに余分な遅延を起こす。この開示において、データおよび/またはデータ・パケットは、音声通話でないデータおよびパケットを指す。本発明の実施形態は、音声品質の低下が観察されると、フェムト・データ・トラフィックを減速することによりこの問題を軽減する。フェムト基地局10は、サービス対象である進行中の音声通話のQoSレベルを追跡する。QoSの低下が検出されると、フェムト基地局10は、そのデータ・トラフィックのレートの削減を開始する。データ・トラフィック用のレートを削減する間に、音声トラフィックのQoSでは2通りの結果が起こり得る。
【0025】
1)QoSはデータ・トラフィック・レートの減少との関連で改善する。これは、輻輳したリンクで、フェムト・データ・トラフィックがフェムト・データ・トラフィックと競合していることの明確な印である。データ・レートの減少は、音声QoSが容認できるレベルに改善するまで、またはQoSの改善が停止するまで続くべきである。
【0026】
2)QoSはデータ・トラフィック・レートの減少との関連で改善しない。これは、輻輳したリンクで、フェムト・データ・トラフィックがフェムト・データ・トラフィックと競合していないことの明確な印である。これは音声接続のQoSを改善していないので、データ・トラフィック・レートをさらに削減する必要はない。
【0027】
音声QoSが容認できるか、または音声QoSがデータ・トラフィック・レートのさらなる減少によって改善しない安定したレベルまで、データ送信レートが削減されると、実施形態はデータ・トラフィック・レートの増加の定期的な検査を導入することができる。時間とともに、他のトラフィック・ストリームは輻輳したリンクから離れ、フェムト・データ・トラフィックが増加するためのスペースを残す。したがって、フェムト基地局10は、フェムトの音声QoSが悪影響を受けない限り、データ・トラフィック・レートを増加させようとする。
【0028】
データ・トラフィック・レートの減少が音声QoSを容認できるレベルまで改善しないケースでは、マクロセルへのハンドオーバなどの代替の輻輳軽減技法を実行することができる。
【0029】
ここで、基地局10によって処理される音声通話用のサービス品質を改善する方法を、図3A、3Bおよび4に関してより詳細に記載する。図3A−3Bは、ネットワーク構成要素で音声通話用のサービス品質を改善する実施形態を示す。図3Aに示したように、ステップS302において、基地局10は音声通話または通話のサービス品質を監視する。
【0030】
例えば、基地局10はプローブ・パケットを送信することができ、フェムト・ゲートウェイ50はプローブ・パケットを認識して基地局10にエコーバックする。基地局10はプローブ・パケットに関するサービス品質のパラメータを追跡する。例えば、基地局10は、パケット損失、パケット損失の比率、パケット遅延、パケット遅延の変化、などを追跡することができる。知られているように、パケットは、シーケンスの中のパケットの順序を識別するシーケンス番号を含む。シーケンス番号を監視することにより、レシーバは、いつパケットが失われたかを判定することができる。
【0031】
別の例として、基地局10は、フェムト・ゲートウェイ50から基地局10に送信される、ダウンリンクとも称する、音声パケットのサービス品質を追跡することができる。挨拶のように、フェムト・ゲートウェイ50は、基地局10からフェムト・ゲートウェイ50に送信される、アップリンクとも称する、音声パケットのサービス品質を追跡することができる。フェムト・ゲートウェイ50は、アップリンクのサービス品質を基地局10に報告することができる。基地局10は、アップリンクとダウンリンクのサービス品質の測定値を組み合わせて、結合QoS測定値を生成することができる。この組合せは、直線加算、平均、加重平均、などであり得る。
【0032】
基地局10は、それぞれの通話に対してQoSを監視し、次いで、平均または加重平均などにより、音声通話用の集合QoSを生成することができる。あるいは、音声通話は、QoS(例えば、パケット損失、パケット損失比率、など)の生成において集合的に処理することができる。
【0033】
ステップS304において、基地局10は、監視されたQoSが閾値QTH未満に下がるかどうかを判定する。監視されたQoSが閾値QTH以上になると音声通話用の容認できるサービスレベルを示し、監視されたQoSが閾値QTH未満になると容認できないサービスレベルを示すように、閾値QTHを規定することができる。理解されるように、閾値QTHは設計パラメータであり、容認できるQoSの所望のレベルだけでなくQoS測定値の監視および形成の方法などに依存する。
【0034】
QoSが容認できると仮定すると、処理はステップS302に戻る。しかしながら、QoSが容認できない場合、S306において、基地局10は繰り返しカウンタIを1に初期化し、改善フラグiflagをNOに初期化し、データ・レートの増加を検査する機能をOFFにする。データ・レートの増加を検査する機能は、図3Bおよび4に関してより詳細に記載する。
【0035】
次に、ステップS308において、基地局10は、場合によっては次になるステップS310によるデータ・トラフィックのデータ・レートの削減が、データ・トラフィックのデータ・レートをデータ・レートの閾値RTH未満に削減するかどうかを判定する。もしそうなら、ステップS312において、基地局10は、基地局10から送信されるデータ・トラフィックのデータ・レートをデータ・レートの閾値RTHまで削減する。これは、基地局10から送信されるデータ・トラフィックのデータ・レートが、ある最低レベルに留まることを保証する。
【0036】
ステップS308において、ステップS310によるデータ・トラフィックのデータ・レートの削減が、データ・レートをデータ閾値RTH未満に削減しない場合、ステップS310において、基地局10は、基地局10によって送信されるデータ・トラフィックのデータ・レートを減速する。例えば、基地局10は、固定の減分だけデータ・レートを削減することができる。あるいは、基地局10は、固定のパーセンテージ(例えば、10%)だけデータ・レートを削減することができる。適応削減などのさらなる代替案を適用することができる。
【0037】
データ・トラフィックのデータ・レートの減少後、ステップS314において、基地局10は一定時間音声通話のQoSを監視する。時間の長さは、経験的に規定される設計パラメータである。
【0038】
図3Bを参照すると、ステップS316において、基地局10は音声通話のQoSが改善したかどうかを判定する。例えば、基地局10は、QoSが向上したかどうかを判定するために、ステップS302で計測されたQoSをステップS314で計測されたQoSと比較する。もしそうなら、音声QoSが改善し、ステップS318において、基地局10はQoSが品質閾値QualTH未満かどうかを判定する。品質閾値QualTHは、ステップS304からの閾値QTHと同じであり得る。あるいは、ヒステリシス効果を確立し、データ・レートの増加と減少の間でピンポンするのを回避するために、品質閾値QualTHは、ステップS304からの閾値QTHよりも大きく設定することができる。
【0039】
QoSが品質閾値未満でない場合、音声通話は容認できるサービス品質に戻った。したがって、ステップS320において、基地局10は、データ・トラフィックのデータ・レートが増加することができるかどうかを検査する、検査機能をONにする。この検査機能は、無効になるまで基地局10によって定期的に実行することができる。検査機能の実行周期は、経験的学習によって設定される設計パラメータであり得る。検査機能は、図3A−3Bの継続する処理と同時に実行される。すなわち、検査機能の定期的な実行を有効にした後、基地局10は、ステップS302における音声通話のQoSの監視に戻る。
【0040】
図4は、データ・レートの増加を検査する機能の実施形態を示す。図のように、ステップS402において、基地局10は、現在のQoSとも呼ばれる、ステップS314から監視された音声QoSを格納する。ステップS404において、基地局10は、基地局10によって送信されるデータ・トラフィックのデータ・レートを増加させる。この増加は固定の増分であり得る。あるいは、この増加は、固定のパーセンテージ(例えば、現在のデータ・レートから10%の増加)であり得る。さらに、適応増加などの、データ・レートを増加させる他の方法を実装することができる。この増加が基地局10の最大能力を超えるデータ・レートの増加をもたらす場合、データ・レートは最大のデータ・レートまで増加されることが理解されよう。
【0041】
データ・レートの増加後、音声通話のQoSは監視され、ステップS408において、基地局10は、音声QoSがステップS402で格納されたものより減少したかどうかを判定する。もしそうなら、これは音声通話の品質低下を示し、ステップS410において、基地局10は、データ・レートをステップS404でなされた増加より前のレベルに戻す。しかしながら、ステップS408で低下が判定されない場合、ステップS412において、基地局10は、データ・レートが基地局10の最大データ・レートに増加されたかどうかを判定する。もしそうなら、検査機能がOFFにされ、基地局10は、図4の検査機能をもはや定期的に実行しない。最大データ・レートに達しなかった場合、処理はステップS402に戻る。
【0042】
理解されるように、図4の処理の定期的な実行によって、基地局10が定期的にデータ・レートの増加を試みることが可能になる。アクセス・ネットワーク40内の改善された状態、基地局10での少ない音声またはデータの処理サービス(ホーム・ルータ20およびDSLモデム30でも改善が起こり得る)などによるものであろうとなかろうと、輻輳が減少すると、状態は音声通話パフォーマンスを低下させずにより高いデータ・トラフィック・レートを可能にする。また、音声通話が存在しない場合、検査機能は無効にされ得るし、データ・トラフィックのデータ・レートは最大データ・レートに設定され得ることが理解される。
【0043】
図3BおよびステップS318に戻って、音声通話のサービス品質が品質閾値QualTH未満になる場合、ステップS322において、基地局10は繰り返しカウンタIを1に設定し、ステップS324において、基地局10は改善フラグiflagをYESに設定し、ステップS326において、改善データ・レートiDRをデータ・トラフィックの現在のデータ・レートに等しく設定する。次いで、処理は図3A内のステップS308に戻る。
【0044】
ステップS316に戻って、データ・トラフィックのデータ・レートの減少の結果として、音声通話のQoSが改善しなかった場合、ステップS330において、基地局10は、繰り返しカウンタIが繰り返し閾値ITHを超えるかどうかを判定する。超えない場合、繰り返しカウンタIはステップS338で増加し、処理はステップS308に戻る。
【0045】
しかしながら、ステップS330で繰り返しカウンタIが繰り返し閾値ITHを超える場合、これは、データ・トラフィック内のデータ・レートの望ましい数の減少が、音声通話のQoSに影響することなく起きたことを示す。理解されるように、ステップS322で繰り返しカウンタIに1を設定することの代替案として、繰り返しカウンタIをリセットすることができるが、ステップS322を単に削除することができる。
【0046】
ステップS332において、基地局10は、繰り返し閾値ITHが超過する場合、音声通話用の代替のQoS改善技法が基地局10に利用可能かどうかを判定する。もしそうなら、ステップS334においてデータ・レートは最大値に戻り、ステップS336において利用可能な代替案の1つが実装される。例えば、上述したように、フェムトセルは、一般に無線通信システムのマクロセルに含まれる。すなわち、マクロセルの有効範囲はフェムトセルの有効範囲を含む。したがって、ステップS336において、フェムト基地局10は、音声通話の1つまたは複数をマクロセルの基地局にハンドオーバすることができる。この代替技法の応用を改良するために、また、基地局10はハンドオーバを改良するために送信電力を削減することができる。
【0047】
ステップS332に戻って、基地局10が音声通話のQoSを改善するための代替技法をもたない場合、ステップS340において、基地局10は、改善フラグiflagがYESに設定されているかどうかを判定する。もしそうなら、これは、データ・トラフィックのデータ・レートの一部減少により、音声通話のQoSが改善されたことを示す。この場合、ステップS342において、データ・トラフィックのデータ・レートは、ステップS326のデータ・レートiDRに設定され、iDRは音声通話のQoSの改善をもたらした最後のデータ・レートである。次いで、ステップS344において、その後の処理は一定時間だけ遅延する。この時間は、経験的学習によって設定される設計パラメータである。例えば、この時間は、現在の状態で変更(例えば、削減された輻輳、終了した音声通話、など)を許すのに十分な長さの時間であり得る。遅延の後、ステップS346において、基地局10は、データ・トラフィックのデータ・レートの増加を検査する機能を有効にし、処理はステップS302に戻る。
【0048】
ステップS340に戻って、改善フラグiflagがYESに設定されていない場合、データ・レートの減少の結果としてQoSの改善が起こらなかった。したがって、ステップS350において、データ・レートは最大データ・レートに戻る。次いで、ステップS352において、その後の処理は一定時間だけ遅延する。この時間は、経験的学習によって設定される設計パラメータである。例えば、この時間は、現在の状態で変更(例えば、削減された輻輳、終了した音声通話、など)を許すのに十分な長さの時間であり得る。この時間は、ステップS344における時間と同じである可能性があるか、またはステップS344における時間と異なる可能性がある。遅延の後、処理はステップS302に戻る。
【0049】
図5は、データ・トラフィック・レートの減少が音声QoSを改善する助けになるケースを描写する。領域Iにおいて、音声QoSは良好であり、データ・トラフィック・レートは安定している。時刻tに、フェムト基地局10は音声QoSの低下を検出する。領域IIにおいて、データ・トラフィックの送信レートは削減され、フェムト基地局10は、音声QoSが容認できるレベルに改善したことを検出する。時刻tから、フェムト基地局10は、音声品質が低下したかどうかを見るために、データ送信レートの増加を開始する。時刻tに、フェムト基地局10は音声QoSの低下を検出する。データ送信レートは領域IVにおいて削減される。時刻tから、フェムト基地局10は、音声品質が低下したかどうかを見るために、再びデータ送信レートの増加を開始する。今度は低下は観察されず、したがって、データ・トラフィックは加速される。
【0050】
図6は、データ・トラフィック・レートの減少が音声QoSを改善する助けにならないケースを描写する。領域Iにおいて、音声QoSは良好であり、データ・トラフィック・レートは安定している。時刻tに、フェムト基地局10は音声QoSの低下を検出する。領域IIにおいて、データ・トラフィックの送信レートは削減されるが、音声QoSの改善はフェムト基地局10によって見られなかった。結果として、マクロセルへの音声ハンドオーバ通話が試みられ、データ・トラフィック・レートは加速される。あるいは、音声通話用の信号対雑音干渉比(SINR)が比較的不十分である場合、それは一部の潜在的な無線問題を示し、その結果、音声通話の品質を高めるために他の無線リソース管理技法を適用することができる。
【0051】
理解されるように、家屋内のフェムトの配置に関して記載したが、実施形態は事務所またはビルなどの他の配置にも適用可能である。さらに、フェムトに関して記載したが、実施形態は他のアーキテクチャに適用可能であることが理解されよう。さらに、上記の実施形態の原理は、厳密なQoSおよび遅延の要件を有する、他のリアルタイム・トラフィック・サービスに適用可能である。
【0052】
実施形態は、ベスト・エフォート型のアクセス・ネットワークを有する場所(例えば、家屋、事務所、など)へのフェムト基地局の配置を改善する。これはフェムト配置に対処可能な市場を拡大させる。
【0053】
実施形態では、アクセス・ネットワークの輻輳が低下した音声品質につながるとフェムト基地局はQoSの低下を軽減するための処置をとることができる。実施形態はマクロネットワークに依存せずに輻輳問題を解決しようと試みる。多くの場合、余計なトラフィックをマクロセルに出さずに、QoSを改善することができる。
【0054】
本発明をここまで記載したので、同じ発明が多くの方法で変更され得ることは明らかであろう。そのような変形形態は本発明から乖離しているとは見なされず、そのような修正形態すべては本発明の範囲内に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク構成要素によって処理される音声通話用のサービス品質を改善する方法であって、
前記ネットワーク構成要素(10)で、前記ネットワーク構成要素によって処理される少なくとも1つの音声通話用のサービス品質に基づいて、前記ネットワーク構成要素によって送信されるデータ・トラフィックのデータ・レートを減速するステップ(S308、S310、S312、S334、S350、S320)
を含む方法。
【請求項2】
前記減速するステップが、
前記音声通話用の前記サービス品質が容認できなくなる場合、前記データ・トラフィックの前記データ・レートを削減するステップ(S310、S312)
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記削減するステップが前記データ・レートを固定減分だけ削減する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記削減するステップが前記データ・レートをあるパーセンテージだけ削減する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記データ・レートの削減が前記音声通話用の前記サービス品質を向上させるかどうかに基づいて、前記削減するステップが何度も削減を繰り返す、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記音声通話用の前記サービス品質がある一定時間改善しない場合、前記削減するステップが前記データ・レートの削減を停止する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
(1)前記音声通話用の前記サービス品質がある一定時間改善しないので前記削減するステップが前記データ・レートの削減を停止し、(2)前記音声通話用の前記サービス品質を改善するための代替手順が利用可能である場合、前記代替手順を導入するステップ(S336)
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項8】
前記音声通話用の前記サービス品質における改善を達成した最後の既知のデータ・レートで前記データ・レートを設定するステップ(S342)
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記音声通話用の前記サービス品質を低下させることなしに前記データ・レートを増加させることができるかどうかを定期的に検査するステップ(S407−S414)
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項10】
前記検査するステップが前記音声通話用の前記サービス品質を低下させることなしに前記データ・レートを増加させることができると示す場合、前記データ・レートを増加されたレートに維持するステップ
をさらに含む、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−514732(P2013−514732A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544568(P2012−544568)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/058267
【国際公開番号】WO2011/075303
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】