説明

ネットワーク装置

【課題】
呼制御カードの低消費電力化を図るとともに、呼制御カードの故障を抑制することを可能とするネットワーク装置を提供する。
【解決手段】
ネットワーク装置20は、複数の呼制御カードの中から、電源を切断すべき呼制御カードを選択するように構成された選択部23と、選択部23によって選択された呼制御カードの電源を切断するように構成された省電力制御部24とを備える。省電力制御部24は、選択部23によって選択された呼制御カードの電源の切断に応じて、選択部23によって選択されなかった呼制御カードに設定されたマージンを減少して、選択部23によって選択されなかった呼制御カードに設定された運用接続呼数を増大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の呼制御カードを有するネットワーク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、呼制御を行うネットワーク装置を有する移動通信システムが知られている。ネットワーク装置は、例えば、3Gなどの第1通信システム(第1RAT(Radio Access Technology))に設けられる無線制御装置(RNC)である。或いは、ネットワーク装置は、例えば、LTEなどの第2通信システム(第2RAT)に設けられる無線基地局(MME、eNodeBなど)である。
【0003】
ここで、ネットワーク装置は、呼制御を行う複数の呼制御カードを有する。複数の呼制御カードのそれぞれは、複数の移動通信端末と設定する呼を制御する。例えば、呼制御カードは、移動通信端末に対して呼処理を指示するカード、移動通信端末と設定する呼の接続信号を終端するカードなどである(例えば、特許文献1)。
【0004】
ところで、一般的には、呼制御カードが設定可能な最大接続呼数に対して、一定のマージンを差し引いた運用接続呼数が呼制御カードに設定されている。これによって、一時的な呼数の増大を吸収することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−27109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年では、環境等への配慮から、移動通信システムの全体で省電力化が望まれている。例えば、上述した技術では、呼制御カードの熱負荷レベルに応じて、呼制御カードを冷却する冷却ファンの冷却能力を制御することによって、冷却ファンの低消費電力化が図られている。
【0007】
しかしながら、上述した技術では、呼制御カードの低消費電力化について、十分に図ることができていない。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ネットワーク装置の低消費電力化を図ることを可能とするネットワーク装置を提供することを目的とする。また、本発明は、呼制御カードの電源を切断することによって、呼制御カードの連続稼働時間を短縮し、呼制御カードの故障を抑制することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の特徴に係るネットワーク装置は、複数の呼制御カードを有する。ネットワーク装置は、前記複数の呼制御カードの中から、電源を切断すべき呼制御カードを選択するように構成された選択部と、前記選択部によって選択された呼制御カードの電源を切断するように構成された省電力制御部と、前記複数の呼制御カードのそれぞれが設定可能な最大接続呼数からマージンを差し引いた運用接続呼数を超えないように、前記複数の呼制御カードのそれぞれが設定する接続呼数を制御するように構成された割当部(割当部25)とを備える。前記省電力制御部は、前記選択部によって選択された呼制御カードの電源の切断に応じて、前記選択部によって選択されなかった呼制御カードに設定されたマージンを減少して、前記選択部によって選択されなかった呼制御カードに設定された運用接続呼数を増大する。
【0010】
第1の特徴において、前記省電力制御部は、前記選択部によって選択された呼制御カードに設定された運用接続呼数を相殺するように、前記選択部によって選択されなかった呼制御カードに設定されたマージンを減少して、前記選択部によって選択されなかった呼制御カードに設定された運用接続呼数を増大する。
【0011】
第1の特徴において、前記省電力制御部は、所定の周期で、前記選択部によって選択された呼制御カードの電源を切断する。
【0012】
第1の特徴において、前記省電力制御部は、前記複数の呼制御カードの全体で制御する接続呼数が所定閾値を下回った場合に、前記選択部によって選択された呼制御カードの電源を切断する。
【0013】
第1の特徴において、前記選択部は、電源の通算切断回数、電源の通算切断時間、接続呼の通算処理数及びハードウェアリソースへの通算アクセス回数のうち、少なくともいずれかの情報に基づいて、前記電源を切断すべき呼制御カードを選択する。
【0014】
第1の特徴において、前記省電力制御部は、電源の切断に先立って、前記選択部によって選択された呼制御カードを、新規呼の割り当てが制限された切断準備状態に遷移させる。
【0015】
第1の特徴において、ネットワーク装置は、前記切断準備状態に遷移した呼制御カードに格納されたユーザデータを前記切断準備状態に遷移していない呼制御カードに移行するように構成されたデータ移行部(データ移行部27)をさらに備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ネットワーク装置の低消費電力化を図ることを可能とするネットワーク装置を提供することができる。また、呼制御カードの電源を切断することによって、呼制御カードの連続稼働時間を短縮し、呼制御カードの故障を抑制することを可能とするネットワーク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、第1実施形態に係る移動通信システム100を示す図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係るネットワーク装置20を示す図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る通信カード群21を示す図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る呼制御カードの設定値(初期)を示す図である。
【図5】図5は、第1実施形態に係る呼制御カードの設定値(変更後)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下において、本発明の実施形態に係る移動通信システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0019】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0020】
[実施形態の概要]
実施形態に係るネットワーク装置は、複数の呼制御カードを有する。ネットワーク装置は、複数の呼制御カードの中から、電源を切断すべき呼制御カードを選択するように構成された選択部と、選択部によって選択された呼制御カードの電源を切断するように構成された省電力制御部とを備える。複数の呼制御カードのそれぞれが設定可能な最大接続呼数からマージンを差し引いた運用接続呼数を超えないように、複数の呼制御カードのそれぞれが設定する接続呼数が制御される。省電力制御部は、選択部によって選択された呼制御カードの電源の切断に応じて、選択部によって選択されなかった呼制御カードに設定されたマージンを減少して、選択部によって選択されなかった呼制御カードに設定された運用接続呼数を増大する。
【0021】
実施形態では、省電力制御部は、選択部によって選択された呼制御カードの電源の切断に応じて、選択部によって選択されなかった呼制御カードに設定されたマージンを減少して、選択部によって選択されなかった呼制御カードに設定された運用接続呼数を増大する。従って、一時的な呼数の増大を吸収しながら、複数の呼制御カードの中から選択された呼制御カードの電源を切断することができる。
【0022】
このように、呼制御カードの電源を切断することによって、ネットワーク装置の低消費電力化を図ることができる。また、呼制御カードの電源を切断することによって、呼制御カードの連続稼働時間を短縮し、呼制御カードの故障を抑制することができる。
【0023】
[第1実施形態]
(移動通信システムの構成)
以下において、第1実施形態に係る移動通信システムの構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る移動通信システム100を示す図である。
【0024】
図1に示すように、移動通信システム100は、通信端末装置10(以下、UE10)と、コアネットワーク50とを含む。また、移動通信システム100は、第1通信システムと第2通信システムとを含む。
【0025】
第1通信システムは、例えば、UMTS(Universal Mobile Telecommunication System)に対応する通信システムである。第1通信システムは、基地局110(以下、NB110)と、RNC120と、SGSN130とを有する。なお、第1通信システムでは、第1RAT(Radio Access Technology)が用いられる。
【0026】
第2通信システムは、例えば、LTE(Long Term Evolution)に対応する通信システムである。第2通信システムは、例えば、基地局210(以下、eNB210)と、MME230とを有する。なお、第2通信システムでは、第2RAT(Radio Access Technology)が用いられる。
【0027】
UE10は、第1通信システム及び第2通信システムと通信を行うように構成された装置(User Equipment)である。例えば、UE10は、NB110と無線通信を行う機能を有するとともに、eNB210と無線通信を行う機能を有する。
【0028】
NB110は、セル111を有しており、セル111に存在するUE10と無線通信を行う装置(NodeB)である。
【0029】
RNC120は、NB110に接続されており、セル111に存在するUE10と無線接続(RRC Connection)を設定する装置(Radio Network Controller)である。
【0030】
SGSN130は、パケット交換ドメインにおいてパケット交換を行う装置(Serving GPRS Support Node)である。SGSN130は、コアネットワーク50に設けられる。図1では省略しているが、回線交換ドメインにおいて回線交換を行う装置(MSC;Mobile Switching Center)がコアネットワーク50に設けられていてもよい。
【0031】
eNB210は、セル211を有しており、セル211に存在するUE10と無線通信を行う装置(evolved NodeB)である。
【0032】
MME230は、eNB210と無線接続を設定しているUE10の移動性を管理する装置(Mobility Management Entity)である。MME230は、コアネットワーク50に設けられる。
【0033】
なお、セルは、UE10と無線通信を行う機能として理解すべきである。但し、セルは、セルと通信可能な範囲を示すサービスエリアと考えてもよい。セルは、セルで用いられる周波数、拡散コード又はタイムスロットなどによって識別される。
【0034】
(ネットワーク装置の構成)
以下において、第1実施形態に係るネットワーク装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図2は、第1実施形態に係るネットワーク装置20を示す図である。
【0035】
ネットワーク装置20は、例えば、第1通信システムに設けられるRNC120であってもよい。或いは、ネットワーク装置20は、例えば、第2通信システムに設けられるeNB210であってもよい。或いは、ネットワーク装置20は、例えば、第2通信システムに設けられるMME230であってもよい。
【0036】
図2に示すように、ネットワーク装置20は、通信カード群21と、通信部22と、選択部23と、省電力制御部24と、割当部25と、指示部26と、データ移行部27とを有する。
【0037】
通信カード群21は、移動通信端末に対して呼処理を指示するカード、移動通信端末と設定する呼の接続信号を終端するカードなどの複数の呼制御カードを含む。また、通信カード群21は、他のネットワーク装置と通信を行うためのカード、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)やHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)などを制御するカードなどを含んでもよい。
【0038】
第1実施形態では、通信カード群21は、図3に示すように、複数のカードセット(例えば、カードセット#1〜カードセット#12)を含む。各カードセットは、1対の呼制御カードによって構成される。1対の呼制御カードのうち、一方の呼制御カードは、アクティブ系の呼制御カードとして機能し、他方の呼制御カードは、スタンバイ系の呼制御カードとして機能する。
【0039】
アクティブ系の呼制御カードは、実際に稼働する呼制御カードである。一方で、スタンバイ系の呼制御カードは、アクティブ系の呼制御カードの代替で用いられる呼制御カードである。
【0040】
ここで、呼制御カードには、図4に示すように、最大接続呼数、運用接続呼数及びマージンが設定されている。なお、図4では、各カードセットのアクティブ系の呼制御カードに設定された最大接続呼数、運用接続呼数及びマージンが示されている。また、最大接続呼数、運用接続呼数及びマージンは指数で表されている。
【0041】
最大接続呼数は、呼制御カードが設定可能な接続呼数の最大値である。マージンは、接続呼数の増大を吸収するための余裕である。運用接続呼数は、最大接続呼数からマージンを差し引いた値である。
【0042】
例えば、図4に示すように、カードセット#1〜カードセット#6のアクティブ系の呼制御カードには、運用接続呼数として“60”が設定されている。一方で、カードセット#7〜カードセット#12のアクティブ系の呼制御カードには、運用接続呼数として“80”が設定されている。
【0043】
ここで、呼制御カードが設定する接続呼数は、運用接続呼数を超えないように制御される。但し、呼制御カードが設定する接続呼数が運用接続呼数を一時的に超えることも考えられる。
【0044】
なお、各カードセットのアクティブ系の呼制御カードの最大接続呼数(絶対値)は互いに異なっていてもよい。また、各カードセットのアクティブ系の呼制御カードに設定されるマージン及び運用接続呼数は異なっていてもよい。
【0045】
図1に戻って、通信部22は、UE10と通信を行う。また、通信部22は、他のネットワーク装置と通信を行う。
【0046】
選択部23は、通信カード群21に含まれる複数の呼制御カード(ここでは、アクティブ系の呼制御カード)の中から、電源を切断すべきアクティブ系の呼制御カードを選択する。
【0047】
具体的には、選択部23は、“電源の通算切断回数”、“電源の通算切断時間”、“接続呼の通算処理数”及び“ハードウェアリソースへの通算アクセス回数”のうち、少なくともいずれかの情報(以下、判定基準情報)に基づいて、電源を切断すべきアクティブ系の呼制御カードを選択する。例えば、選択部23は、全てのアクティブ系の呼制御カードについて、アクティブ系の呼制御カードの消耗度が均一化するように、電源を切断すべきアクティブ系の呼制御カードを選択する。
【0048】
“電源の通算切断回数”は、一定期間においてアクティブ系の呼制御カードの電源が切断された回数の合計である。“電源の通算切断時間”は、一定期間においてアクティブ系の呼制御カードの電源が切断されていた時間の合計である。“接続呼の通算処理数”は、一定期間においてアクティブ系の呼制御カードが処理した接続呼数の合計である。“ハードウェアリソースへの通算アクセス回数”は、一定期間においてアクティブ系の呼制御カードがネットワーク装置20のハードウェアリソースにアクセスした回数の合計である。
【0049】
省電力制御部24は、通信カード群21に含まれる複数の呼制御カード(ここでは、アクティブ系の呼制御カード)に供給する電力を省電力化するモード(以下、省電力モード)を制御する。
【0050】
具体的には、省電力制御部24は、選択部23によって選択されたアクティブ系の呼制御カードの電源の切断に応じて、選択部23によって選択されなかったアクティブ系の呼制御カードに設定されたマージンを減少する。すなわち、省電力制御部24は、選択部23によって選択されなかったアクティブ系の呼制御カードに設定された運用接続呼数を増大する。
【0051】
詳細には、省電力制御部24は、選択部23によって選択されたアクティブ系の呼制御カードに設定された運用接続呼数を相殺するように、選択部23によって選択されなかったアクティブ系の呼制御カードに設定されたマージンを減少する。すなわち、省電力制御部24は、選択部23によって選択されたアクティブ系の呼制御カードに設定された運用接続呼数を相殺するように、選択部23によって選択されなかったアクティブ系の呼制御カードに設定された運用接続呼数を増大する。
【0052】
例えば、図4に示す最大接続呼数、運用接続呼数及びマージンがアクティブ系の呼制御カードに設定されている場合に、電源を切断すべきアクティブ系の呼制御カードとして、カードセット#6のアクティブ系の呼制御カードが選択されたケースについて、図5を参照しながら説明する。
【0053】
図5に示すように、カードセット#1〜カードセット#4のアクティブ系の呼制御カードに設定されるマージンが“40”から“30”に変更される。また、カードセット#5のアクティブ系の呼制御カードに設定されるマージンが“40”から“20”に変更される。言い換えると、カードセット#1〜カードセット#4のアクティブ系の呼制御カードに設定される運用接続呼数が“60”から“70”に変更される。また、カードセット#5のアクティブ系の呼制御カードに設定される運用接続呼数が“60”から“80”に変更される。
【0054】
このように、電源を切断すべきアクティブ系の呼制御カードに設定された運用接続呼数が相殺されるため、運用接続呼数の合計“840”が維持される。
【0055】
なお、省電力制御部24は、アクティブ系の呼制御カードの電源とともに、アクティブ系の呼制御カードの代替で用いるスタンバイ系の呼制御カードの電源を切断することが好ましい。言い換えると、省電力制御部24は、一のカードセットに含まれるアクティブ系の呼制御カードの電源を切断する場合に、一のカードセットに含まれるスタンバイ系の呼制御カードの電源も切断することが好ましい。
【0056】
第1実施形態では、省電力制御部24は、所定の周期(例えば、1日周期)で、選択部23によって選択された呼制御カード(ここでは、アクティブ系の呼制御カード)の電源を切断してもよい。例えば、省電力制御部24は、トラフィック量が少ない時間帯(夜間など)において、選択部23によって選択されたアクティブ系の呼制御カードの電源を切断することが好ましい。
【0057】
或いは、省電力制御部24は、通信カード群21に含まれる複数の呼制御カード(ここでは、アクティブ系の呼制御カード)の全体で制御する接続呼数が所定閾値を下回った場合に、選択部23によって選択された呼制御カード(ここでは、アクティブ系の呼制御カード)の電源を切断してもよい。
【0058】
第1実施形態では、省電力制御部24は、電源の切断に先立って、選択部23によって選択された呼制御カード(ここでは、アクティブ系の呼制御カード)を、新規呼の割り当てが制限された切断準備状態に遷移させてもよい。
【0059】
割当部25は、複数の呼制御カード(ここでは、アクティブ系の呼制御カード)のうち、いずれかのアクティブ系の呼制御カードに新規呼を割り当てる。割当部25は、アクティブ系の呼制御カードに設定された運用接続呼数を超えないように、アクティブ系の呼制御カードに新規呼を割り当てる。このように、割当部25は、運用接続呼数を超えないように、複数の呼制御カードのそれぞれが設定する接続呼数を制御する。
【0060】
但し、輻輳時においては、割当部25は、運用接続呼数を超えて新規呼を割り当ててもよい。つまり、輻輳時においては、マージンを考慮せずに新規呼を割り当ててもよい。
【0061】
指示部26は、切断準備状態に遷移した呼制御カード(ここでは、アクティブ系の呼制御カード)と対応するセルから送信される信号の送信電力の低減を指示する。例えば、ネットワーク装置20がRNC120である場合には、指示部26は、切断準備状態に遷移したアクティブ系の呼制御カードと対応するセルを有するNB110に対して、当該セルから送信される信号の送信電力の低減を指示する。また、ネットワーク装置20がeNB210である場合には、指示部26は、eNB210の内部において、切断準備状態に遷移したアクティブ系の呼制御カードと対応するセルから送信される信号の送信電力の低減を指示する。
【0062】
データ移行部27は、切断準備状態に遷移した呼制御カード(ここでは、アクティブ系の呼制御カード)に格納されたユーザデータを切断準備状態に遷移していないアクティブ系の呼制御カードに移行する。
【0063】
(作用及び効果)
第1実施形態では、省電力制御部24は、選択部23によって選択された呼制御カード(ここでは、アクティブ系の呼制御カード)の電源の切断に応じて、選択部23によって選択されなかったアクティブ系の呼制御カードに設定されたマージンを減少して、選択部23によって選択されなかったアクティブ系の呼制御カードに設定された運用接続呼数を増大する。従って、一時的な呼数の増大を吸収しながら、複数の呼制御カードの中から選択された呼制御カードの電源を切断することができる。
【0064】
このように、呼制御カードの電源を切断することによって、ネットワーク装置20の低消費電力化を図ることができる。また、呼制御カードの電源を順に切断することによって、呼制御カードの連続稼働時間を短縮し、呼制御カードの故障を抑制することができる。
【0065】
第1実施形態では、選択部23は、“電源の通算切断回数”、“電源の通算切断時間”、“接続呼の通算処理数”及び“ハードウェアリソースへの通算アクセス回数”のうち、少なくともいずれかの情報(以下、判定基準情報)に基づいて、電源を切断すべきアクティブ系の呼制御カードを選択する。従って、呼制御カードの消耗度が均一化され、呼制御カードの故障をさらに抑制することができる。
【0066】
第1実施形態では、省電力制御部24は、選択部23によって選択された呼制御カード(ここでは、アクティブ系の呼制御カード)の電源の切断に先立って、選択部23によって選択されたアクティブ系の呼制御カードを切断準備状態に遷移させる。切断準備状態に遷移したアクティブ系の呼制御カードに新規呼が割り当てられないため、切断準備状態に遷移したアクティブ系の呼制御カードで制御する接続呼数は減少するのみである。従って、切断準備状態に遷移したアクティブ系の呼制御カードに供給する電力を切断した場合に、接続呼の切断に伴う悪影響を軽減することができる。
【0067】
第1実施形態では、指示部26は、切断準備状態に遷移した呼制御カード(ここでは、アクティブ系の呼制御カード)と対応するセルから送信される信号の送信電力の低減を指示する。従って、切断準備状態に遷移したアクティブ系の呼制御カードで制御される接続呼数を速やかに減らすことができる。
【0068】
第1実施形態では、データ移行部27は、切断準備状態に遷移した呼制御カード(ここでは、アクティブ系の呼制御カード)に格納されたユーザデータを切断準備状態に遷移していないアクティブ系の呼制御カードに移行する。従って、接続呼の切断を伴わずに、切断準備状態に遷移したアクティブ系の呼制御カードで制御される接続呼数を速やかに減らすことができる。
【0069】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0070】
第1通信システム及び第2通信システムは、UMTSやLTEに対応する通信システムに限定されるものではなく、他の通信システム(例えば、WiMAXに対応する通信システム)であってもよい。
【0071】
実施形態では、通信カード群21は、アクティブ系の呼制御カード及びスタンバイ系の呼制御カードを含む冗長構成を有する。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。具体的には、通信カード群21は、冗長構成を有していなくてもよい。すなわち、スタンバイ系の呼制御カードが存在していなくてもよい。
【0072】
実施形態では、電源を切断すべき呼制御カードとして、1つの呼制御カードが選択される。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。具体的には、電源を切断すべき呼制御カードとして、2以上の呼制御カードが選択される。
【0073】
実施形態では特に触れていないが、呼制御カードの挿抜履歴や呼制御カードの運用履歴が管理されていてもよい。例えば、選択部23は、呼制御カードの挿抜履歴や呼制御カードの運用履歴に基づいて、呼制御カードの消耗度が均一化するように、電源を切断すべき呼制御カードを選択する。例えば、運用履歴から、長時間運用されていると判定された呼制御カードは、消耗度が進んでいるとして、電源を切断すべき呼制御カードとして選択するなどとしてもよい。また、挿抜履歴から、挿抜が頻繁に行われたと判定された呼制御カードは、接続部分の磨耗が進んでいる(又は、呼制御カード個体として劣化が進んでいる)として、電源を切断すべき呼制御カードとして選択するなどとしてもよい。
【0074】
なお、上述したネットワーク装置20の動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0075】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0076】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、ネットワーク装置20内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとしてネットワーク装置20内に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10…通信端末装置、20…ネットワーク装置、21…通信カード群、22…通信部、23…選択部、24…省電力制御部、25…割当部、26…指示部、27…データ移行部、50…コアネットワーク、110…NB、111…セル、120…RNC、130…SGSN、210…eNB、211…セル、230…MME、100…移動通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の呼制御カードを有するネットワーク装置であって、
前記複数の呼制御カードの中から、電源を切断すべき呼制御カードを選択するように構成された選択部と、
前記選択部によって選択された呼制御カードの電源を切断するように構成された省電力制御部と、
前記複数の呼制御カードのそれぞれが設定可能な最大接続呼数からマージンを差し引いた運用接続呼数を超えないように、前記複数の呼制御カードのそれぞれが設定する接続呼数を制御するように構成された割当部とを備え、
前記省電力制御部は、前記選択部によって選択された呼制御カードの電源の切断に応じて、前記選択部によって選択されなかった呼制御カードに設定されたマージンを減少して、前記選択部によって選択されなかった呼制御カードに設定された運用接続呼数を増大することを特徴とするネットワーク装置。
【請求項2】
前記省電力制御部は、前記選択部によって選択された呼制御カードに設定された運用接続呼数を相殺するように、前記選択部によって選択されなかった呼制御カードに設定されたマージンを減少して、前記選択部によって選択されなかった呼制御カードに設定された運用接続呼数を増大することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項3】
前記省電力制御部は、所定の周期で、前記選択部によって選択された呼制御カードの電源を切断する請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項4】
前記省電力制御部は、前記複数の呼制御カードの全体で制御する接続呼数が所定閾値を下回った場合に、前記選択部によって選択された呼制御カードの電源を切断することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項5】
前記選択部は、電源の通算切断回数、電源の通算切断時間、接続呼の通算処理数及びハードウェアリソースへの通算アクセス回数のうち、少なくともいずれかの情報に基づいて、前記電源を切断すべき呼制御カードを選択することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項6】
前記省電力制御部は、電源の切断に先立って、前記選択部によって選択された呼制御カードを、新規呼の割り当てが制限された切断準備状態に遷移させることを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項7】
前記切断準備状態に遷移した呼制御カードに格納されたユーザデータを前記切断準備状態に遷移していない呼制御カードに移行するように構成されたデータ移行部をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載のネットワーク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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