説明

ネットワーク複合機、通信端末、及び情報処理システム

【課題】電子ファイルの記憶されたフォルダに通信端末がアクセスできない状況であっても電子ファイルの利用が可能なネットワーク複合機を提供する。
【解決手段】ネットワーク複合機2は、スキャナにより生成された複数の電子ファイルを記憶しているサーバ4と接続されている。そして、サーバ4に記憶された電子ファイルに付与されたファイル名を記憶している携帯端末3から、ファイル名とパーソナルコンピュータ6の電子メールアドレスとを受信するメール送受信部と、受信されたファイル名が付与されている電子ファイルをサーバ4から抽出する抽出部と、抽出された電子ファイルが添付された電子メールを生成する生成部と、を備え、メール送受信部は受信した電子メールアドレスを用いてパーソナルコンピュータ6に電子メールを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク複合機、このネットワーク複合機と情報の送受信が可能な通信端末、及び、このネットワーク複合機と通信端末とを備える情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、原稿を読み取って原稿の電子ファイルを生成する原稿読取装置がある。下記特許文献1に記載された原稿読取装置は、生成した電子ファイルにIDを付与して記憶する。
【特許文献1】特開2003−87490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の技術では、原稿読取装置のフォルダ内に生成された電子ファイルが記憶される。また、生成された電子ファイルが、原稿読取装置とLANを介して接続されたサーバに記憶される場合もある。これらの場合、利用者は、原稿読取装置又はサーバとLANを介して接続されたパーソナルコンピュータ等を利用して、電子ファイルが記憶されたフォルダにアクセスすることにより、目的の電子ファイルを閲覧、複製、送信等することができる。
【0004】
しかしながら、利用者が電子ファイルの記憶されたサーバから遠隔の地に居ると、利用者らが使用する携帯端末又はパーソナルコンピュータ等の通信端末からは、電子ファイルの記憶されたフォルダにアクセスできない場合がある。この場合、電子ファイルの利用ができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、原稿を読み取って生成された電子ファイルの記憶されたフォルダに利用者の通信端末がアクセスできない状況であっても、電子ファイルの利用を可能にするネットワーク複合機、通信端末、及び情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のネットワーク複合機は、原稿を読み込んで生成される電子ファイルを記憶するサーバにアクセス可能なネットワーク複合機であって、電子ファイルに付与されたファイル名を記憶する通信端末から、当該記憶されたファイル名と送付先端末に設定された電子メールアドレスとを受信する受信手段と、受信手段によって受信されたファイル名が付与されている電子ファイルをサーバから抽出する抽出手段と、抽出手段によって抽出された電子ファイルが添付された電子メールを生成する生成手段と、受信手段によって受信された電子メールアドレスを用いて、送付先端末宛てに生成手段によって生成された電子メールを送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明のネットワーク複合機では、通信端末から受信するファイル名と、サーバに記憶された電子ファイルのファイル名とが対応しているので、通信端末から送信されるファイル名が付与された電子ファイルをサーバから容易に抽出できる。そして、抽出した電子ファイルを添付した電子メールを生成し、通信端末から受信した電子メールアドレスを用いて送付先端末へ送信する。このため、送付先端末へ目的の電子ファイルを送信することができ、電子ファイルの利用が可能となる。従って、電子ファイルの記憶されたサーバ内のフォルダに通信端末及び送付先端末がアクセスできない状況であっても、その電子ファイルの利用が可能となる。
【0008】
上記ネットワーク複合機では、受信手段は、電子ファイルに付与されたファイル名に代えて、電子ファイルを特定するファイル名を記憶する通信端末から、該ファイル名と送付先端末に設定された電子メールアドレスとを受信し、抽出手段は、受信手段によって受信されたファイル名によって特定される電子ファイルをサーバから抽出することも好ましい。この場合であっても、目的とする電子ファイルを抽出することができる。
【0009】
上記ネットワーク複合機では、受信手段が、二次元コード化されたファイル名を示す情報を受信し、抽出手段が、二次元コードをデコードしてファイル名を認識することも好ましい。この場合、汎用性の高い二次元コードを用いてファイル名をネットワーク複合機に送信できるので、利用者の利便性を高めることができる。
【0010】
上記ネットワーク複合機は、原稿の読取を指示するコマンドと当該読取により生成される電子ファイルのファイル名とを通信端末から受け付ける受付手段と、受付手段によって受け付けられたコマンドに応じて原稿を読み取り、電子ファイルを生成する読取手段と、読取手段によって生成された電子ファイルに、受付手段によって受け付けられたファイル名を付与する付与手段と、付与手段によってファイル名が付与された電子ファイルをサーバへ出力する出力手段と、付与手段によって電子ファイルに付与されるファイル名を通信端末へ通知する通知手段と、を備え、受信手段が通信端末から受信するファイル名は、通知手段が通信端末へ通知したファイル名であることも好ましい。
【0011】
上記ネットワーク複合機では、受付手段が、原稿の読取を指示するコマンドと当該読取により生成される電子ファイルのファイル名を通信端末から受信する。このため、利用者は、通信端末を用いてネットワーク複合機の読取操作ができると共に、生成される電子ファイルのファイル名を指定できる。そして、付与手段が、指定されたファイル名を生成された電子ファイルに付与し、出力手段が、電子ファイルをサーバへ出力する。これにより、電子ファイルは、利用者によって指定されたファイル名でサーバに記憶される。更に、通知手段が、電子ファイルに付与したファイル名を通信端末へ送信する。このため、利用者が、通信端末を用いて読取操作を行うと、電子ファイルは、利用者によって指定されたファイル名でサーバに記憶され、そのファイル名が通信端末に通知される。よって、通信端末に記憶されるファイル名と、サーバに記憶される電子ファイルのファイル名とを対応させることができる。
【0012】
本発明の通信端末は、ネットワーク複合機と情報の送受信が可能な通信端末であって、ネットワーク複合機がアクセス可能なサーバに記憶された電子ファイルに付与されたファイル名を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶されたファイル名と、当該ファイル名が付与された電子ファイルの送信先として設定される送付先端末の電子メールアドレスとをネットワーク複合機へ送信する送信手段と、を備え、送付先端末は、ネットワーク複合機によってサーバから抽出される電子ファイルであって、送信手段によって送信されるファイル名が付与された電子ファイルを、ネットワーク複合機から送信する送信先として設定される端末であることを特徴とする。
【0013】
本発明の通信端末では、記憶手段が、サーバに記憶された電子ファイルに付与されたファイル名を記憶し、送信手段が、そのファイル名をネットワーク複合機に送信する。このため、ネットワーク複合機において、受信したファイル名が付与された電子ファイルを抽出することができる。そして、送信手段は、ファイル名と共に、ネットワーク複合機から電子ファイルを送信する送信先として設定される送付先端末の電子メールアドレスをネットワーク複合機に送信する。このため、ネットワーク複合機は、抽出した電子ファイルを設定された送付先端末宛てに送信することができる。よって、送付先端末へ目的の電子ファイルを送信することができ、電子ファイルの利用が可能となる。従って、電子ファイルの記憶されたサーバ内のフォルダに通信端末がアクセスできない状況であっても、その電子ファイルの利用が可能となる。
【0014】
本発明の情報処理システムは、上記のネットワーク複合機と上記の通信端末とを備える。従って、上述したように、設定された送付先端末へ目的の電子ファイルを送信することができ、利用も可能となる。このため、電子ファイルの記憶されたサーバ内のフォルダに通信端末及び送付先端末がアクセスできない状況であっても、その電子ファイルの利用が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電子ファイルの記憶されたサーバ内のフォルダに通信端末がアクセスできない状況であっても、その電子ファイルの利用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0017】
図1を用いて、実施形態に係る情報処理システム1の構成について説明する。図1は、実施形態に係る情報処理システム1を含むネットワークの一例を示す図である。情報処理システム1は、ネットワーク複合機2と携帯端末3とを備える。
【0018】
ネットワーク複合機2は、LAN(Local Area Network)90に接続されている。このLAN90には、電子ファイルを記憶するためのサーバ4、及び、電子メールの送受信を可能にするメールサーバ5等が接続されている。また、LAN90は、ルータ91を介してインターネット92に接続されている。
【0019】
このインターネット92には、他のLAN93がルータ94を介して接続されている。このLAN93には、パーソナルコンピュータ6とメールサーバ7とが接続されている。ネットワーク複合機2とパーソナルコンピュータ6とは、インターネット92を介して相互に電子メールの送受信が可能に構成されている。なお、このパーソナルコンピュータ6は、特許請求の範囲に記載の送付先端末である。
【0020】
携帯端末3は、インターネット92と接続された移動体通信網と基地局95を介して接続され、ネットワーク複合機2と電子メールの送受信が可能に構成されている。携帯端末3は、例えば、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、又はPDA(Personal Digital Assistant)等の通信端末である。
【0021】
図2を用いて、ネットワーク複合機2及び携帯端末3の構成について説明する。図2は、実施形態に係るネットワーク複合機2及び携帯端末3の構成を示すブロック図である。
【0022】
ネットワーク複合機2は、モデム11、NCU(Network Control Unit)12、LANインターフェース13、I−FAX(インターネットファクシミリ)制御部14、操作部15、プリンタ16、スキャナ17、メール送受信部18、抽出部19、生成部20、CPU(Central Processing Unit)21、及び、メモリ22を備えて構成されている。これらの各構成要素は、相互にデータの入出力が可能に通信線10で接続されている。
【0023】
ネットワーク複合機2は、モデム11を介してPSTN(Public Switched Telephone Network)96に接続され、NCU12が、モデム11とPSTN96との接続の制御を行う。すなわち、ネットワーク複合機2は、PSTN96に接続された他のネットワーク複合機との間で、FAXの送受信が可能に構成されている。
【0024】
ネットワーク複合機2は、LANインターフェース13を介してLAN90に接続されている。また、ネットワーク複合機2は、I−FAX制御部14による制御によって、インターネット経由で電子メール形式を用いたファクシミリの送受信が可能に構成されている。
【0025】
操作部15は、利用者から入力を受け付ける部分であり、タッチパネル及び入力ボタンにより構成されている。プリンタ16は、電子写真方式を用いて、パーソナルコンピュータ6から出力された印刷データ、受信したファクシミリの印刷を行う。
【0026】
スキャナ17は、CCD(Charge Coupled Device)ラインセンサを用いて、用紙に印刷された原稿を読み取り、その原稿の電子ファイルを生成する。電子ファイルは、例えば、PDF(登録商標)ファイルである。スキャナ17が生成した電子ファイルは、ファイル名が付与されてサーバ4へ出力される。
【0027】
サーバ4は、LANインターフェース42を介して電子ファイルをネットワーク複合機2から入力される。入力された電子ファイルは、メモリ41内に設定された所定のフォルダに記憶される。
【0028】
メール送受信部18は、電子メールの送受信を行う。メール送受信部18は、サーバ4に記憶された電子ファイルのファイル名と、その電子ファイルが記憶されたフォルダのアドレス情報と、パーソナルコンピュータ6の電子メールアドレスとを含む情報を電子メールとして携帯端末3から受信する。アドレス情報は、サーバ4のアドレスとフォルダのパス情報が含まれている。
【0029】
また、メール送受信部18は、後述するように生成部20が生成した電子メールを送信する。なお、メール送受信部18は、特許請求の範囲に記載の受信手段及び送信手段に相当する。
【0030】
抽出部19は、メール送受信部18が受信した電子メールに示されるファイル名の電子ファイルをサーバ4から抽出する。抽出部19は、メール送受信部18が受信した電子メールに示されるサーバ4内のフォルダにアクセスし、電子メールに示されるファイル名と一致するファイル名の電子ファイルを抽出する。なお、抽出部19は、特許請求の範囲に記載された抽出手段に相当する。
【0031】
生成部20は、抽出部19によって抽出された電子ファイルが添付された電子メールを生成する。生成部20は、生成した電子メールの送信先として、メール送受信部18が受信した電子メールによって示されるパーソナルコンピュータ6の電子メールアドレスを設定する。
【0032】
生成部20は、生成した電子メールをメール送受信部18に出力する。これにより、生成した電子メールがパーソナルコンピュータ6へ送信される。なお、生成部20は、特許請求の範囲に記載された生成手段に相当する。
【0033】
ネットワーク複合機2では、CPU21が、メモリ22に記憶されたプログラムを実行することにより、ネットワーク複合機2が有する上述した各構成要素の動作を制御する。
【0034】
引き続いて、携帯端末3の構成について説明する。この携帯端末3は、特許請求の範囲に記載された通信端末に相当する。携帯端末3は、移動型の通信端末で、LAN90にアクセス不可能な遠隔地においても、ネットワーク複合機2との間でメールの送受信が可能に構成されている。携帯端末3は、メモリ31、操作部32、ディスプレイ33、メール送信部34、及びCPU35を備えている。
【0035】
メモリ31は、複数の電子ファイルそれぞれに付与されたファイル名を記憶している。ファイル名に対応する電子ファイルは、携帯端末3の利用者がネットワーク複合機2を操作して生成した電子ファイルであり、サーバ4にもメモリ31が記憶するファイル名と同じファイル名で記憶されている。
【0036】
メモリ31は、その電子ファイルが記憶されたサーバ4内のフォルダのアドレス情報もファイル名と関連付けて記憶している。また、メモリ31には、パーソナルコンピュータ6を含む複数の通信端末の電子メールアドレスが記憶されている。この電子メールアドレスは、いわゆる電話帳のデータとして記憶されていてもよい。このメモリ31は、特許請求の範囲に記載された記憶手段に相当する。
【0037】
操作部32は、例えば入力ボタン等で構成され、利用者からの入力を受け付ける。ディスプレイ33は、メモリ31内に記憶されたファイル名、パーソナルコンピュータ6の電子メールアドレス等を表示できるように構成されている。操作部32は、ディスプレイ33と協働してファイル名及び電子メールアドレスの選択を利用者から受け付けることが可能に構成されている。
【0038】
メール送信部34は、操作部32によって受け付けられたファイル名と、このファイル名と関連付けてメモリ31に記憶されたフォルダのアドレス情報と、パーソナルコンピュータ6の電子メールアドレスとの情報を含む電子メールを生成する。そして、メール送信部34は、生成した電子メールをネットワーク複合機2宛てに送信する。このメール送信部34は、特許請求の範囲に記載の送信手段に相当する。
【0039】
CPU35は、ROM等のメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、携帯端末3の上述した各構成要素の動作を制御する。
【0040】
引き続いて、実施形体に係るネットワーク複合機2及び携帯端末3の動作について説明し、併せて、情報処理システム1の動作について説明する。図3は、実施形態に係る情報処理システム1による情報処理の手順を示すシーケンス図である。
【0041】
まず、ファイル名及びパーソナルコンピュータ6の電子メールアドレスが、携帯端末3の操作部32によって利用者から受け付けられ、受け付けられたファイル名と関連付けられたフォルダのアドレス情報も抽出される。そして、ファイル名、フォルダのアドレス情報、及びパーソナルコンピュータ6の電子メールアドレスを含む電子メールが、携帯端末3のメール送信部34によってネットワーク複合機2へ送信される(ステップS100)。
【0042】
電子メールが、ネットワーク複合機2のメール送受信部18によって受信されると、電子メールによって示されるファイル名と同じファイル名でサーバ4内に記憶されている電子ファイルが、抽出部19によってサーバ4から抽出される(ステップS101)。
【0043】
電子ファイルが抽出されると、この電子ファイルが添付され、パーソナルコンピュータ6の電子メールアドレスが送付先のアドレスとして設定された電子メールが、生成部20によって生成される(ステップS102)。
【0044】
生成された電子メールが、メール送受信部18によってパーソナルコンピュータ6へ送信される(ステップS103)。これにより、携帯端末3によって指定された電子ファイルが、パーソナルコンピュータ6へ提供される。
【0045】
実施形態に係るネットワーク複合機2では、携帯端末3から受信するファイル名と、サーバ4に記憶された電子ファイルのファイル名とが対応しているので、携帯端末3から送信されるファイル名に対応する電子ファイルをサーバ4から容易に抽出できる。そして、抽出した電子ファイルを添付した電子メールを生成し、携帯端末3から受信した電子メールアドレスを用いてパーソナルコンピュータ6へ送信する。このため、パーソナルコンピュータ6へ目的の電子ファイルを送信することができ、電子ファイルの利用が可能となる。従って、電子ファイルの記憶されたサーバ4内のフォルダに携帯端末3及びパーソナルコンピュータ6がアクセスできない状況であっても、その電子ファイルの利用が可能となる。また、PDFファイルのような容量の大きい電子ファイルを携帯端末3内に記憶していなくても、必要なデータだけを抽出して利用することができる。
【0046】
実施形態に係る携帯端末3では、メモリ31が、サーバ4に記憶された電子ファイルに付与されたファイル名と対応するファイル名を記憶し、メール送信部34が、そのファイル名をネットワーク複合機2に送信する。このため、ネットワーク複合機2において、受信したファイル名に対応する電子ファイルを抽出することができる。そして、メール送信部34は、ファイル名と共に、ネットワーク複合機2から電子ファイルを送信する送信先として設定されるパーソナルコンピュータ6の電子メールアドレスをネットワーク複合機2に送信する。このため、ネットワーク複合機2は、抽出した電子ファイルを設定されたパーソナルコンピュータ6宛てに送信することができる。よって、パーソナルコンピュータ6へ目的の電子ファイルを送信することができ、電子ファイルの利用が可能となる。従って、電子ファイルの記憶されたサーバ内のフォルダに携帯端末3及びパーソナルコンピュータ6がアクセスできない状況であっても、その電子ファイルの利用が可能となる。
【0047】
実施形態に係る情報処理システムでは、上述したように、送付先の通信端末として設定されたパーソナルコンピュータ6へ目的の電子ファイルを送信することができ、電子ファイルの利用が可能となる。従って、電子ファイルの記憶されたサーバ4内のフォルダに携帯端末3及びパーソナルコンピュータ6がアクセスできない状況であっても、その電子ファイルの利用が可能となる。
【0048】
ところで、携帯端末3のメモリ内に記憶されたファイル名と、サーバ4内に記憶された電子ファイルに付与されたファイル名とを一致させるための機能をネットワーク複合機2及び携帯端末3に加えることも好ましい。
【0049】
図4を参照して、この機能を有するネットワーク複合機50及び携帯端末60の構成について説明する。図4は、変形例に係るネットワーク複合機50と携帯端末60との構成を示すブロック図である。図4には、変形例に係る構成要素及び装置を主に示し、上述した構成要素については一部省略している。
【0050】
ネットワーク複合機50は、上述した構成要素に加えて、近距離無線部51及びスキャン情報処理部52を備えている。近距離無線通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)又はIrDA(Infrared Data Association) DATA等の規格を用いた通信である。近距離無線部51は、ネットワーク複合機50の近距離に位置する携帯端末60と近距離無線通信により情報の送受信を行う。
【0051】
近距離無線部51は、近距離無線通信により携帯端末60からスキャナ17の操作に関する信号を受信する。具体的には、近距離無線部51は、原稿の読取を指示するスキャンコマンドと当該読取により生成される電子ファイルのファイル名を指定するファイル名情報とを近距離無線通信により携帯端末60から受信する。なお、スキャナ17は、特許請求の範囲に記載の読取手段に相当する。
【0052】
更に、近距離無線部51は、スキャナ17によって原稿の読取処理が終了した後に、スキャン情報処理部52によって生成されるファイル情報を近距離無線通信により携帯端末60へ送信する。後述するように、ファイル情報は生成される電子ファイルに関する情報である。なお、近距離無線部51は、特許請求の範囲に記載の受付手段及び通知手段に相当する。スキャナ17は、近距離無線部51によって受信されたスキャンコマンドに応じて、原稿の読取を実行し、この原稿の電子ファイルを生成する。
【0053】
スキャン情報処理部52は、ファイル名付与部53、フォルダ出力部54、及びファイル情報生成部55を有する。ファイル名付与部53は、スキャナ17によって生成された電子ファイルに、ファイル名を付与する。このファイル名は、近距離無線部51によってスキャンコマンドと共に受信されたファイル名情報により指定されたものである。ファイル名付与部53は、特許請求の範囲に記載の付与手段に相当する。
【0054】
フォルダ出力部54は、ファイル名が付与された電子ファイルをサーバ4の予め設定されたフォルダへ出力する。これにより、生成された電子ファイルは、利用者によって設定されたファイル名でサーバ4のフォルダに保存される。このフォルダ出力部54は、特許請求の範囲に記載の出力手段に相当する。
【0055】
ファイル情報生成部55は、電子ファイルが記憶されるフォルダを特定するアドレス情報と電子ファイルに付与されるファイル名とを含むファイル情報を生成する。このファイル情報生成部55は、特許請求の範囲に記載の生成手段に相当する。
【0056】
引き続いて、携帯端末60の構成について説明する。携帯端末60は、上述した構成要素に加えて、設定部61、近距離無線部62を備えている。
【0057】
設定部61は、操作部32を介して、利用者からの入力を受け付ける。そして、設定部61は、利用者からの入力に応じて、ネットワーク複合機50による原稿の読取処理の設定を行う。すなわち、設定部61は、原稿の読取処理を指示する旨の信号と、当該読取により生成される電子ファイルのファイル名とを利用者から操作部32を介して受け付ける。その後、設定部61は、原稿の読取を指示するスキャンコマンドと、受け付けたファイル名を示すファイル名情報とを近距離無線部62へ出力する。
【0058】
近距離無線部62は、ネットワーク複合機50との間で近距離無線通信により情報の送受信を行う。近距離無線部62は、スキャンコマンド及びファイル名情報を設定部61から入力した後に、スキャンコマンド及びファイル名情報を近距離無線通信によりネットワーク複合機50へ送信する。また、近距離無線部62は、このスキャンコマンド及びファイル名情報の送信に対して、ファイル情報をネットワーク複合機50から受信する。
【0059】
メモリ31は、近距離無線部62が受信したファイル情報を入力し、このファイル情報に含まれたアドレス情報とファイル名とを関連付けて記憶する。
【0060】
引き続いて、変形例に係るネットワーク複合機50及び携帯端末60の動作について説明する。ネットワーク複合機50に原稿がセットされると、利用者が、原稿の読取指示とファイル名とを携帯端末60に入力する。そして、スキャンコマンドとファイル名情報とが、携帯端末60からネットワーク複合機50へ近距離無線通信により送信される。
【0061】
スキャンコマンドとファイル名情報とが、ネットワーク複合機50の近距離無線部51によって受信されると、スキャンコマンドに応じて、原稿の読取処理が、スキャナ17によって実行される。原稿の読取処理によって原稿の電子ファイルが生成されると、ファイル名情報によって示されるファイル名が、ファイル名付与部53によって原稿の電子ファイルに付与される。
【0062】
このファイル名が付与された電子ファイルは、予め定められたサーバ4のフォルダへ、フォルダ出力部54によって出力される。これにより、利用者が設定したファイル名が原稿の電子ファイルに付与され、この電子ファイルがネットワーク上のフォルダへ記憶される。その後、フォルダのアドレス情報とファイル名とを示すファイル情報が、ファイル情報生成部55によって生成され、ネットワーク複合機50の近距離無線部51によって携帯端末60へ送信される。
【0063】
ファイル情報が、携帯端末60の近距離無線部62によって受信されると、ファイル情報に含まれるフォルダのアドレス情報と、生成された電子ファイルのファイル名とが、互いに関連づけられてメモリ31に記憶される。これにより、携帯端末60では、生成された電子ファイルのファイル名とフォルダのアドレス情報とを取得できる。
【0064】
以上説明した変形例に係るネットワーク複合機50では、近距離無線部51が、原稿の読取を指示するコマンドと当該読取により生成される電子ファイルのファイル名を携帯端末60から受信する。このため、利用者は、携帯端末60を用いてネットワーク複合機50の読取操作ができると共に、生成される電子ファイルのファイル名を指定できる。そして、ファイル名付与部53が、指定されたファイル名を生成された電子ファイルに付与し、フォルダ出力部54が、電子ファイルをサーバ4へ出力する。これにより、電子ファイルは、利用者によって指定されたファイル名でサーバ4に記憶される。更に、近距離無線部51が、電子ファイルに付与したファイル名を携帯端末60へ送信する。このため、サーバ4に記憶されたファイル名が携帯端末60に通知される。よって、携帯端末60に記憶されるファイル名と、サーバ4に記憶される電子ファイルのファイル名とを一致させることができる。
【0065】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく更なる種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、携帯端末3に記憶されたファイル名とサーバ4に記憶されたファイル名とが一致しているものとしたが、これに限られない。拡張子が異なっている場合、又は、一部が異なっている場合であってもよく、携帯端末3に記憶されたファイル名は、ネットワーク複合機2が電子ファイルを特定可能なものであればよい。
【0066】
また、ネットワーク複合機50が、ファイル情報をQRコード等の二次元コードにコード化して携帯端末60に送信してもよい。そして、携帯端末60は、ネットワーク複合機50へファイル名とフォルダのアドレス情報を送信する際に、QRコード化されたファイル情報を送信してもよい。この場合、汎用性の高いQRコードを用いてファイル情報をネットワーク複合機50に送信できるので、利用者の利便性を高めることができる。
【0067】
また、ファイル情報をQRコード化した状態で印刷できる場合、QRコードをFAXにより画像データとしてネットワーク複合機50へ送信してもよい。これにより、電子メールの送受信がネットワーク複合機2、50と携帯端末3、60との間で行えない環境においても、ファイル情報をネットワーク複合機2、50へ送信できる。
【0068】
また、上記では、携帯端末3は、ファイル名と共に該当する電子ファイルが記憶されたフォルダのアドレス情報を送信することとしたが、フォルダのアドレス情報は必ずしも送信しなくでもよい。この場合、ネットワーク複合機2において、ファイル名から該当する電子ファイルが記憶されたフォルダのアドレス情報を割り出せるように、ファイル名とフォルダのアドレス情報と関連付けて記憶していればよい。また、ネットワーク複合機2が、ファイル名に基づいてサーバ4内を検索するようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、ネットワーク複合機2、50が、電子ファイルの記憶されたサーバ4にLAN90を介してアクセスが可能であるとしたが、ネットワーク複合機2、50が、サーバ4を内蔵していてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、携帯端末3が特許請求の範囲に記載の通信端末に相当することとしたが、特許請求の範囲に記載の通信端末は携帯型の通信端末に限られない。例えば、ラップトップ型又はデスクトップ型のパーソナルコンピュータ等の通信端末であってもよい。
【0071】
電子メールの送付先(送付先端末)は、パーソナルコンピュータ6に限られない。例えば、携帯端末3であってもよい。この場合、携帯端末3が、電子ファイルを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施形態に係る情報処理システムを含むネットワークの一例を示す図である。
【図2】実施形態に係るネットワーク複合機及び携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係るネットワーク複合機及び携帯端末の情報処理の手順を示すシーケンス図である。
【図4】実施形態の変形例に係るネットワーク複合機及び携帯端末の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0073】
1 情報処理システム
2、50 ネットワーク複合機
3、60 携帯端末
4 サーバ
6 パーソナルコンピュータ
17 スキャナ
18 メール送受信部
19 抽出部
20 生成部
31 メモリ
34 メール送信部
51 近距離無線部
53 ファイル名付与部
54 フォルダ出力部
55 ファイル情報生成部
61 設定部
62 近距離無線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み込んで生成される電子ファイルを記憶するサーバにアクセス可能なネットワーク複合機であって、
前記電子ファイルに付与されたファイル名を記憶する通信端末から、当該記憶されたファイル名と送付先端末に設定された電子メールアドレスとを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記ファイル名が付与されている前記電子ファイルを前記サーバから抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記電子ファイルが添付された電子メールを生成する生成手段と、
前記受信手段によって受信された前記電子メールアドレスを用いて、前記送付先端末宛てに前記生成手段によって生成された前記電子メールを送信する送信手段と、を備えることを特徴とするネットワーク複合機。
【請求項2】
前記受信手段は、二次元コード化された前記ファイル名を示す情報を受信し、
前記抽出手段は、前記二次元コードをデコードして前記ファイル名を認識することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク複合機。
【請求項3】
原稿の読取を指示するコマンドと当該読取により生成される電子ファイルのファイル名とを前記通信端末から受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた前記コマンドに応じて原稿を読み取り、電子ファイルを生成する読取手段と、
前記読取手段によって生成された前記電子ファイルに、前記受付手段によって受け付けられた前記ファイル名を付与する付与手段と、
前記付与手段によって前記ファイル名が付与された前記電子ファイルを前記サーバへ出力する出力手段と、
前記付与手段によって前記電子ファイルに付与される前記ファイル名を前記通信端末へ通知する通知手段と、を備え、
前記受信手段が前記通信端末から受信する前記ファイル名は、前記通知手段が前記通信端末へ通知したファイル名であることを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワーク複合機。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のネットワーク複合機において、
前記受信手段は、前記電子ファイルに付与されたファイル名に代えて、前記電子ファイルを特定するファイル名を記憶する通信端末から、該ファイル名と前記送付先端末に設定された電子メールアドレスとを受信し、
前記抽出手段は、前記受信手段によって受信された前記ファイル名によって特定される前記電子ファイルを前記サーバから抽出することを特徴とするネットワーク複合機。
【請求項5】
ネットワーク複合機と情報の送受信が可能な通信端末であって、
前記ネットワーク複合機がアクセス可能なサーバに記憶された電子ファイルに付与されたファイル名を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記ファイル名と、当該ファイル名が付与された電子ファイルの送信先として設定される送付先端末の電子メールアドレスとを前記ネットワーク複合機へ送信する送信手段と、を備え、
前記送付先端末は、前記ネットワーク複合機によって前記サーバから抽出される電子ファイルであって、前記送信手段によって送信される前記ファイル名が付与された電子ファイルを、前記ネットワーク複合機から送信する送信先として設定される端末であることを特徴とする通信端末。
【請求項6】
原稿を読み込んで生成される電子ファイルを記憶するサーバにアクセス可能なネットワーク複合機と、前記ネットワーク複合機との間で情報の送受信が可能な通信端末と、を備える情報処理システムであって、
前記通信端末は、
前記サーバに記憶された電子ファイルに付与されたファイル名を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶される前記ファイル名と、当該ファイル名が付与された電子ファイルの送付先端末に設定された電子メールアドレスとを前記ネットワーク複合機へ送信する送信手段と、を有し、
前記ネットワーク複合機は、
前記通信端末から前記ファイル名と前記送付先端末に設定された前記電子メールアドレスとを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記ファイル名が付与された前記電子ファイルを前記サーバから抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記電子ファイルが添付された電子メールを生成する生成手段と、
前記受信手段によって受信された前記電子メールアドレスを用いて、前記送付先端末宛てに前記生成手段によって生成された前記電子メールを送信する送信手段と、を有することを特徴とする情報処理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−130662(P2010−130662A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306761(P2008−306761)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】