説明

ノイズフィルタ

【課題】電子機器等で発生するノイズのうち、所望の周波数成分のノイズを除去することができるノイズフィルタを提供すること。
【解決手段】ノイズフィルタ1は互いに平行し対向配置された実装基板20とシャーシ30との間に配置されると共に、芯材12と当該芯材12を覆う金属メッシュ14とから形成された本体10を備えている。金属メッシュ14は、時計回り方向に向かって芯材12の第1側面12aから第2側面12bにかけて芯材12の表面に沿って設けられている。実装基板20は絶縁層40を介し本体10の金属メッシュ14に接しており、シャーシ30は直接に本体10の金属メッシュ14に接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器のノイズ対策として、電磁波シールド用ガスケットが用いられることがある。この種の電磁波シールド用ガスケットとして、弾力性を有する芯材と、該芯材の表面に接着され該芯材の全周を被覆する金属メッシュとを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された電磁波シールド用ガスケットは、電子部品を収納する導電性筐体の合せ部間の間隙に装着され、筐体内部と外部とを電磁気的に遮断する。
【特許文献1】実用新案登録第2510404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された電磁波シールド用ガスケットを、例えば電子部品が収納される導電性筐体と実装基板との間の隙間に装着して場合、次のような問題が生じることが新たに判明した。すなわち、電子部品で発生したノイズが金属メッシュを通して導電性筐体に流れ込み、導電性筐体に流れ込んだノイズのうち特定の周波数成分のノイズが筐体外部に放射されてしまい、いわゆる輻射ノイズが生じる。放射されるノイズの周波数成分は、筐体の材質や筐体の形状(筐体に形成された開口の形状や大きさ等)といった電子機器の構成に応じて変わる。
【0004】
本発明は、上記の問題点を解消する為になされたものであり、電子機器等で発生するノイズのうち、所望の周波数成分のノイズを除去することができるノイズフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るノイズフィルタは、2つの導電部材の間に挿入されて用いられるノイズフィルタであって、2つの導電部材の間に配置される芯材と、芯材の外側面における一方の導電部材に対向する領域から他方の導電部材に対向する領域にわたるように、芯材の外表面に配置される導電層と、少なくとも一方の導電部材と導電層との間に配置される絶縁層と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明に係るノイズフィルタでは、該ノイズフィルタを2つの導電部材の間に挿入した状態では、少なくとも一方の導電部材と導電層との間に絶縁層が配置される。このため、導電部材と導電層と絶縁層とによりコンデンサが形成され、このコンデンサの容量成分に応じた周波数成分のノイズが除去されることとなる。この結果、本発明では、所望の周波数成分のノイズを除去することができる。
【0007】
好ましくは、導電層が、金属箔または金属メッシュである。この場合には、金属箔または金属メッシュは芯材の外側面に沿って密着させることができ、ノイズフィルタの薄型化を図ることができる。
【0008】
好ましくは、芯材が、弾力性を有する部材である。この場合には、芯材が弾性変形することにより2つの導電部材の形状に容易に適応し、耐久性に優れたノイズフィルタが得られる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子機器等で発生するノイズのうち、所望の周波数成分のノイズを除去することができるノイズフィルタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の構成要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0011】
図1は実施形態に係るノイズフィルタ1の構成を説明するための概略図である。同図(a)はノイズフィルタを示す左側面図であり、同図(b)はノイズフィルタを示す概略断面図であり、同図(c)はノイズフィルタを示す右側面図である。この図に示されるノイズフィルタ1は、互いに平行し対向に配置される実装基板(導電部材)20とシャーシ(導電部材)30との間に配置され両者により挟持されている本体10を備えている。
【0012】
本体10は、長尺状に形成されており、芯材12と芯材12の外側面の一部を覆う金属メッシュ(導電層)14とから構成されている。芯材12は、断面が正方形状となっており、実装基板20に対向することとなる第1側面12aと、シャーシ30に対向することとなる第2側面12bとを備えている。
【0013】
芯材12は、弾力性を有する部材であり、例えば発泡シリコンゴム、天然ゴム、スポンジ等からなる。本実施形態では、弾性力に優れ、安価の発泡シリコンゴムが用いられている。
【0014】
金属メッシュ14は、同図(b)における時計回り方向に向かって、芯材12の第1側面12aから第2側面12bにわたるように芯材12の外側面に沿って芯材12に配置されている。金属メッシュ14は、芯材12に密着して設けられている。そして、このように設けられた金属メッシュ14は芯材12の長手方向に亘って連続に形成されている(同図(a)、(c)参照)。金属メッシュ14を構成する金属線としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などでできた金属線や、アルミニウム被覆線、錫メッキ線等が挙げられる。そして、金属メッシュ14はメリヤス編みで構成されることが好適である。
【0015】
実装基板20は、例えばランドパターンを有しガラス繊維シートを芯材としたエポキシ樹脂基板であり、実装基板20の実装面には複数の電子部品が実装され、実装面の反対側にはランドパターンが設けられている。シャーシ30は、実装基板20等を搭載する平面を有しており、例えばスチール、アルミニウム等の剛性材から形成されたものである。
【0016】
実装基板20は絶縁層40を介して本体10の金属メッシュ14に接している。シャーシ30は直接に本体10の金属メッシュ14に接している。すなわち、金属メッシュ14において、第1側面12aを覆う領域と実装基板20のランドパターンとの間には絶縁層40が介在されており、第2側面12bを覆う領域が直接にシャーシ30に接触している。
【0017】
絶縁層40は、接着性及び電気的に絶縁性を有する粘着テープやシリコンゴム等を直接に本体10の表面に貼り付けることにより形成されてもよく、または電気的に絶縁性を有する樹脂シート等を接着剤等で本体10の表面に接着することにより形成されてもよい。
【0018】
上述したように構成されたノイズフィルタ1では、金属メッシュ14は一方向に向かって芯材12の第1側面12aから第2側面12bにかけて芯材12の表面に沿って設けられているので、芯材12の第1側面12a及び第2側面12bは金属メッシュ14により電気的に導通されることとなる。また、実装基板20は絶縁層40を介して本体10の金属メッシュ14に接し、シャーシ30は直接に本体10の金属メッシュ14に接している。このため、図2に示されるように、金属メッシュ14とシャーシ30とは電気的に導通されると共に、実装基板20のグランドパターンと金属メッシュ14と絶縁層40とによりコンデンサCが形成されることとなる。
【0019】
このコンデンサCにより、電子機器で発生したノイズのうち、コンデンサCの容量成分に応じた周波数成分のノイズが除去されることとなる。例えば、コンデンサCの容量成分を高周波ノイズのみをバイパスさせ得るように設定した場合、ノイズフィルタ1により低周波ノイズが遮断され、高周波数ノイズのみがシャーシ30にバイパスされることとなる。このように、ノイズフィルタ1により、所望の周波数成分のノイズを除去することができる。また、絶縁層40の比誘電率や芯材12の第1側面12aの大きさ等を調整することにより、所望の高周波数ノイズに対応するコンデンサCの容量を容易に形成することができるので、ノイズフィルタ1の応用性を高めることができる。
【0020】
また、ノイズフィルタ1の芯材12は弾力性に優れた発泡シリコンゴムから構成されたため、設置場所に好適にフィットすることができ、繰り返し使用にも十分に対応することできる。さらに、ノイズフィルタ1の導電層に金属メッシュ14が用いられるので、形成された導電層は芯材12の表面に沿って密着されることができ、ノイズフィルタ1の薄型化が可能となる。
【0021】
次に、本実施形態に係るノイズフィルタの変形例について図3〜図5を参照して説明する。図3の第1変形例では、芯材122が断面円形状をなしており、金属メッシュ142が略C字状に形成され芯材122の表面を覆っている。
【0022】
図4の第2変形例では、芯材124が断面楕円形状に形成されており、金属メッシュ144が芯材124の全周を覆うように設けられている。
【0023】
図5の第3変形例では、芯材126が断面矩形状をなしており、金属メッシュ146が芯材126の外側面の全周を覆うように設けられている。さらに、絶縁層402が周りから芯材126及び金属メッシュ146を取り囲むように環状に形成され、実装基板20とシャーシ30の双方とも絶縁層402を介して金属メッシュ146に接している。この場合には、実装基板20と金属メッシュ146との間、及びシャーシ30と金属メッシュ146との間には、コンデンサ構造がそれぞれ形成されるので、より一層効果的に所望の高周波数ノイズを除去することができる。
【0024】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では、芯材12として弾力性を有するものが用いられたが、これに限らず、紙類のような硬いものが用いられてもよい。また、上記の実施形態では、金属メッシュ14は芯材12の長手方向に亘って連続に形成されているが、必要に応じて所定の間隔で断続に形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係るノイズフィルタの構成を説明するための概略図である。
【図2】実施形態に係るノイズフィルタの等価回路図である。
【図3】実施形態に係るノイズフィルタの第1変形例を示す概略断面図である。
【図4】実施形態に係るノイズフィルタの第2変形例を示す概略断面図である。
【図5】実施形態に係るノイズフィルタの第3変形例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1…ノイズフィルタ、10…本体、12,122,124,126…芯材、14,142,144,146…金属メッシュ(導電層)、20…実装基板、30…シャーシ、40,402…絶縁層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの導電部材の間に挿入されて用いられるノイズフィルタであって、
2つの前記導電部材の間に配置される芯材と、
前記芯材の外側面における一方の導電部材に対向する領域から他方の導電部材に対向する領域にわたるように、前記芯材の外表面に配置される導電層と、
少なくとも一方の導電部材と前記導電層との間に配置される絶縁層と、を備えることを特徴とするノイズフィルタ。
【請求項2】
前記導電層が、金属箔または金属メッシュであることを特徴とする請求項1に記載のノイズフィルタ。
【請求項3】
前記芯材が、弾力性を有する部材であることを特徴とする請求項1に記載のノイズフィルタ。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−228072(P2007−228072A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−44209(P2006−44209)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】