説明

ノズルユニット

【課題】 簡素な構成でありながら、ノズルから噴出される圧縮空気の脈動を実現することのできる、新規なノズルユニットの開発を技術課題とした。
【解決手段】ケーシング1に対して、給気カプラ3と、この給気カプラ3と接続されるノズルアッセンブリ2とを具え、前記給気カプラ3に供給された圧縮空気Aが、ノズルアッセンブリ2に具えられるノズル本体20から噴出するように構成されたノズルユニットUにおいて、ノズルアッセンブリ2の側方には、プランジャアッセンブリ5が具えられており、このプランジャアッセンブリ5に具えられるプランジャ本体50の往復動の際に、その先端部がノズルアッセンブリ2に当接することにより、ノズル本体20が脈動するように構成されていることを特徴として成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば自動車用ヘッドランプ等の、比較的複雑ないわゆる異形形状のワークを対象とした場合に好適な除塵装置等に適用されるノズルユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車のヘッドランプは、発光システムの変遷、多機能ランプを一体化したコンビネーションランプの普及等から、全体的に精密且つ複雑な構成となっている。
このようないくつかの要因から、製造途中、例えばハウジングにレンズを組み付ける工程ではより高いコンタミネーションフリーが求められており、ハウジングやレンズに付着した埃等のダストの除去を厳密に行うことが要求される。
前記ダストの除塵作業の形態には、従来からいわゆるエアダスターを用いた手法があり、大規模な設備ではクリーンルーム内でロボットアームを用い、ハウジングやレンズの形状に沿って圧縮空気を吹き付けて除塵を行った後、これらの組み付けが行われている。
【0003】
ところで自動車本体のコストダウンを追及しようとしたときには、当然、一部品であるヘッドランプのコストダウンも求められることとなるが、その対象は部品原価の低減が主体となり、特に除塵工程を工夫することによりコストダウンを図るといった試みは積極的に行われてはいなかった。
また前記エアダスターの構成としては、例えば多数のエアノズルを縦配列した掃引ロッドを水平方向に移動させてワーク全域がエアブローされる構成が採られていた。しかしながら実際のワークは異形であり、従って多くのノズルからのエアブローは実作用をしない空吹き状態となり、エアの無駄な噴出となっており、ひいてはエアコンプレッサの負荷を高めて省エネルギー化には沿わないものとなっていた。
【0004】
このような問題を解消するために、本出願人は、簡素且つコンパクトな構成でありながらも充分な除塵性能を有する、新規な異形ワークの除塵装置の発明を成し、既に特許出願に及んでいる(特許文献1参照)。
この装置はエアノズルを少なくともワークの要除塵面の範囲を二次元的に移動させ、その掃引移動時にエアノズルから圧縮空気を噴出させることによりワークの要除塵面に付着していたダストを吹き飛ばすとともに、吹き飛ばされたダストを吸塵機により集塵するように構成されたものであって、簡素且つコンパクトな構成でありながらも高効率な除塵性能を有するものである。
そしてその後も本出願人は、上述したような除塵装置の研究・開発を鋭意継続しており、その過程でノズルから噴出される圧縮空気を脈動させることにより、ワークに付着したダストをより効率的に除去することができることを見出し、このような圧縮空気の脈動を実現することのできるノズルユニットを案出するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−152315
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような背景から成されたものであって、簡素な構成でありながら、ノズルから噴出される圧縮空気の脈動を実現することのできる、新規なノズルユニットの開発を技術課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち請求項1記載のノズルユニットは、ケーシングに対して、給気カプラと、この給気カプラと接続されるノズルアッセンブリとを具え、前記給気カプラに供給された圧縮空気が、ノズルアッセンブリに具えられるノズル本体から噴出するように構成されたノズルユニットにおいて、前記ノズルアッセンブリの側方には、プランジャアッセンブリが具えられており、このプランジャアッセンブリに具えられるプランジャ本体の往復動の際に、その先端部がノズルアッセンブリに当接することにより、ノズル本体が脈動するように構成されていることを特徴として成るものである。
【0008】
また請求項2記載のノズルユニットは、前記要件に加え、前記プランジャアッセンブリは、シリンダブロックと、このシリンダブロックに形成されたシリンダ内に挿入されるプランジャ本体とを具えて構成されるものであり、且つ、前記シリンダブロックは、外周部に対して通気溝が形成されるとともに、この通気溝からシリンダ内に通じる通気路が形成されて成るものであり、前記シリンダブロックが、前記ケーシングに形成されたプランジャ受入穴に挿嵌されることにより、前記給気カプラから、前記シリンダブロックにおける通気路に通じる給気経路が形成されるものであり、一方、前記プランジャ本体は、太径部と細径部とが軸方向に隣接して形成されて成るものであり、且つ、プランジャ本体の一端面から軸方向に形成される縦通気路が、他端面を貫通しないように形成されており、更に前記細径部の側周面から、前記縦通気路に通じる横通気路が形成されて成るものであり、前記シリンダブロックにおけるシリンダと、プランジャ本体における細径部との間に形成される機能空間は、シリンダ内におけるプランジャ本体の位置に応じてシリンダブロックにおける通気路及びプランジャ本体における横通気路との連通状態が変化するように構成されていることを特徴として成るものである。
【0009】
また請求項3記載のノズルユニットは、前記請求項2記載の要件に加え、前記機能空間とシリンダブロックにおける通気路とが連通状態になったときに、同時に機能空間とプランジャ本体における横通気路とが非連通状態になることにより、通気路を通じて機能空間内に供給される圧縮空気によって機能空間を拡張することができるように構成されていることを特徴として成るものである。
【0010】
更にまた請求項4記載のノズルユニットは、前記請求項2または3記載の要件に加え、前記機能空間とプランジャ本体における横通気路とが連通状態になったときに、同時に機能空間とシリンダブロックにおける通気路とが連通状態になることにより、通気路、機能空間及び横通岐路及び縦通気路を通じてシリンダ内に供給される圧縮空気によって、シリンダとプランジャ本体における横通気路及び縦通気路とによって形成される内部空間を拡張することができるように構成されていることを特徴として成るものである。
【0011】
更にまた請求項5記載のノズルユニットは、前記請求項2、3または4記載の要件に加え、前記機能空間とシリンダブロックにおける通気路及びプランジャ本体における横通気路とが非連通状態になることにより、機能空間内を気密状態とすることができるように構成されていることを特徴として成るものである。
【0012】
また請求項6記載のノズルユニットは、前記請求項2、3、4または5記載の要件に加え、前記圧縮空気が供給されていない時には、前記機能空間が、プランジャ本体における横通気路と連通状態となり、且つシリンダブロックにおける通気路と連通状態となった、始発姿勢を取るように構成されていることを特徴として成るものである。
【0013】
また請求項7記載のノズルユニットは、前記請求項2、3、4または5記載の要件に加え、前記圧縮空気が供給されていない時には、前記機能空間が、プランジャ本体における横通気路と非連通状態となり、且つシリンダブロックにおける通気路と連通状態となった、始発姿勢を取るように構成されていることを特徴として成るものである。
【0014】
また請求項8記載のノズルユニットは、前記請求項2、3、4、5、6または7記載の要件に加え、前記シリンダブロックにおける挿入開口部は、シリンダ内にプランジャ本体を挿入した状態で封止されるものであり、この封止に供されるトッププレートまたは蓋体と、挿入開口部との間に消音部材が具えられていることを特徴として成るものである。
【0015】
また請求項9記載のノズルユニットは、前記請求項2、3、4、5、6または7記載の要件に加え、前記シリンダブロックにおけるプランジャ突出開口部の外側には、ドラフト空間が形成されていることを特徴として成るものである。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【発明の効果】
【0016】
まず請求項1記載の発明によれば、プランジャ本体の往復動の際に、その先端部がノズルアッセンブリに当接することにより、ノズル本体が脈動するため、ノズル本体からの圧縮空気の噴出方向が変化して、ワークに付着したダストをより効率的に除去することができる。
【0017】
また請求項2記載の発明によれば、機能空間の状態を様々な状態とすることにより、機能空間に、プランジャ本体の上下動に関連する複数の機能を発揮させることができる。
【0018】
更にまた請求項3記載の発明によれば、機能空間に供給された圧縮空気の圧を高めて機能空間を拡張させ、プランジャ本体に対して戻り力を作用させることができる。
【0019】
更にまた請求項4記載の発明によれば、内部空間に供給された圧縮空気の圧を高めて内部空間を拡張させ、プランジャ本体に対して突出力を作用させることができる。
【0020】
更にまた請求項5記載の発明によれば、機能空間内に位置する空気の圧縮に伴う反作用によって、プランジャ本体に対して突出力を作用させることができる。
【0021】
また請求項6記載の発明によれば、ノズルユニットが使用されていない非通気状態で始発姿勢が取られるため、起動時には、機能空間を通じて内部空間に供給された圧縮空気の圧を高めて内部空間を拡張させ、プランジャ本体を突出させる動作を行うことができる。
【0022】
また請求項7記載の発明によれば、ノズルユニットが使用されていない非通気状態で始発姿勢が取られるため、起動時には、機能空間に供給された圧縮空気の圧を高めて機能空間を拡張させ、プランジャ本体を戻す動作を行うことができる。
【0023】
また請求項8記載の発明によれば、シリンダ内におけるプランジャ本体の上下動の際に生ずる雑音を吸収することができる。また同時に不要な振動を吸収することができるとともに、プランジャ本体の損傷を回避することができる。
【0024】
また請求項9記載の発明によれば、シリンダ内におけるプランジャ本体の上下動の際に生ずる雑音を吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のノズルユニット並びにこのノズルユニットが適用された除塵機を示す斜視図である。
【図2】ノズルユニットを一部破断して示す分解図である。
【図3】ノズルユニットの作動状態を段階的に示す縦断側面図である。
【図4】ノズルユニットの作動状態を段階的に示す縦断側面図である。
【図5】ノズルアッセンブリの設置状態を異ならせた実施例を示す斜視図及び縦断側面図である。
【図6】ケーシング及びプランジャアッセンブリの他の実施例を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の「ノズルユニット」の最良の形態は以下の実施例に示すとおりであるが、この実施例に対して本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
【実施例】
【0027】
本発明のノズルユニットUは図1、2に示すように、ケーシング1に対して、ノズルアッセンブリ2、給気カプラ3及びプランジャアッセンブリ5を具え、給気カプラ3に圧縮空気Aを供給してノズル本体20から噴出するとともに、プランジャアッセンブリ5によってノズル本体20を脈動させることができるように構成されるものである。
【0028】
まず前記ケーシング1について説明すると、このものは一例としてアルミニウム等の金属素材が単体ブロック状に構成され、更に図2に示すようにノズル受入穴10、プランジャ受入穴11及びカプラ受入穴12が形成されたものである。
なお前記ノズル受入穴10とプランジャ受入穴11とは連通しており、またノズル受入穴10はカプラ受入穴12とも連通している。
更にケーシング1には、前記カプラ受入穴12に通じる第一給気路13が形成され、またプランジャ受入穴11に通じる第二給気路14が形成されるものであり、これら第一給気路13と第二給気路14とは内部で交差している。
なお前記第二給気路14はネジ14aによって開放部が封止され、更に前記第一給気路13はロックナット13b及びニードル13aによって開放部が封止されるとともに、ニードル13aの進入度合いに応じて第一給気路13と第二給気路14との交差部での流量が調節可能となっている。
【0029】
次に前記ノズルアッセンブリ2について説明すると、このものは一例として図2に示すように、噴出口20aが形成されたノズル本体20と、継手21とをポリウレタン樹脂等の柔軟素材によって形成された給気管22によって接続して構成される部材である。またノズルアッセンブリ2とケーシング1との接続部材となる継手21には溝21aが形成され、ここにОリング23が装着される。
【0030】
次に前記給気カプラ3について説明すると、このものは適宜コンプレッサ等からノズルユニットUに圧縮空気Aを供給するための、エアチューブ105等の接続部となる部材であって、適宜エアチューブ105に適合した規格品等が採用される。
【0031】
次に前記プランジャアッセンブリ5について説明すると、このものは図2に示すように、適宜の金属素材等を加工して成るシリンダブロック55と、このシリンダブロック55に形成されたシリンダ551内に挿入されるプランジャ本体50とを具えて構成され、このプランジャ本体50を外部の物体に作用させるための部材である。
そして前記シリンダブロック55の外周部には全周に亘って通気溝552が形成されるとともに、この通気溝552からシリンダ551内に通じる通気路553が、一例として対向する二箇所の位置に形成される。
また前記通気溝552の上下には、溝554が全周に亘って形成され、ここにОリング56が装着される。
また下部の溝554の下方は細径とされており、蓋体57との間にОリング56を介在させることができるように溝555が形成されている。
【0032】
更にまた前記シリンダ551は、後述するプランジャ本体50の太径部50aの摺擦部となるものであり、またシリンダ551の一端側は小径のプランジャ突出開口部551bとなっており、この部分がプランジャ本体50の細径部50bの摺擦部となるものであり、内径が変化する個所に段差部556が形成されている。更にシリンダ551の他端側は太径の挿入開口部551aとなっており、この部分にウレタンワッシャ58が配される。
なお以上のようなシリンダブロック55の素材としては、黒鉛を主体とする固体潤滑剤を焼結合金の組織中に均一に分散させたものが、無給油で潤滑性を維持することができるため、好ましい。
【0033】
また前記プランジャ本体50は、太径部50aと細径部50bとが軸方向に隣接して形成されて成るものであり、これら太径部50aと細径部50bとの境界部に段差部51が形成される。
更にこの実施例では、プランジャ本体50の一端面(図2では下端面)から軸方向に沿って、縦通気路53が他端面(図2では上端面)を貫通しないように形成されており、更に前記細径部50bの側周面から、前記縦通気路53に通じる横通気路52が、一例として周方向に沿って四箇所に形成されて成るものである。
【0034】
そして前記プランジャ本体50をシリンダ551内に挿入するとともに、挿入開口部551aにウレタンワッシャ58を設置し、蓋体57を用いて挿入開口部551aを封止することにより、プランジャアッセンブリ5が形成される。
ここで図2に拡大して示すように、前記シリンダブロック55におけるシリンダ551と、プランジャ本体50における細径部50bとの間に形成される機能空間S1は、シリンダ551内におけるプランジャ本体50の位置に応じて、シリンダブロック55における通気路553及びプランジャ本体50における横通気路52との連通状態が変化するものである。なおプランジャ本体50における段差部51が、シリンダブロック55における段差部556に接した状態で、機能空間S1の体積は0になる。
因みに図2において、プランジャ本体50がシリンダ551内において上死点に位置する状態、すなわち段差部51と段差部556とが噛み合った状態で接することにより、プランジャ本体50がシリンダ551から抜け出してしまうことが防止される。
なおこの実施例では、プランジャ本体50の先端部がノズルアッセンブリ2に当接し、これを押し下げると、やがてはノズルアッセンブリ2の上面がノズル受入穴10の天井部に接するため、ノズル本体20の高さ寸法を調節することにより、実質的にプランジャ本体50の上死点の位置を下げることができる。この場合、段差部51と段差部556とがぶつかることによる相互の損傷を防ぐことができる。
また前記横通気路52、縦通気路53及びシリンダ551によって形成される空間を内部空間S2と称するものとする。
【0035】
そして前記ケーシング1に対して、ノズルアッセンブリ2、給気カプラ3及びプランジャアッセンブリ5が組み付けられるものであり、この際、前記シリンダブロック55が、前記ケーシング1に形成されたプランジャ受入穴11に挿嵌されることにより、給気カプラ3から第一給気路13、第二給気路14及び通気溝552を経由して、シリンダブロック55における通気路553に通じる給気経路が形成される。
また前記ノズルアッセンブリ2の側方(この実施例では下方)には、プランジャアッセンブリ5が位置することとなる。そしてこのプランジャアッセンブリ5を構成するプランジャ本体50は、前記ノズル本体20に供給される圧縮空気Aが分岐されて、第一給気路13及び第二給気路14を経由して、シリンダブロック55における通気路553に供給された圧縮空気Aによって駆動されることとなる。
【0036】
なお前記シリンダブロック55におけるプランジャ突出開口部551bの外側(この実施例では上方)には、ドラフト空間5Sが形成されるものであり、この実施例ではドラフト空間5Sの上方に、中央に穴の開いた円板557を具えるようにした。
【0037】
また前記ノズルアッセンブリ2に対して圧縮空気Aが供給されていない時には、前記機能空間S1が、プランジャ本体50における横通気路52と連通状態となり、且つシリンダブロック55における通気路553と連通状態とされている始発姿勢を取るように構成される。具体的にはこのような始発姿勢は図3(a)に示すものであり、プランジャ本体50は自重によってシリンダ551内の最下部(下死点)に位置した状態となる。
そしてこのような構成が採られることにより、前記プランジャ本体50の往復動の際に、その先端部が、前記ノズル本体20および/または給気管22に当接(作用)することにより、ノズル本体20が脈動するように構成されるものである。
なおこの実施例ではノズルアッセンブリ2の取り付けを、図3(a)に示すように
始発姿勢において噴出口20aがやや下方に指向するように構成した。
【0038】
本発明のノズルユニットUは、一例として上述のように構成されるものであり、以下、プランジャ本体50の駆動態様及びノズル本体20の脈動の様子について説明する。
(1)始発姿勢
まず圧縮空気Aが供給されていない状態においてノズルユニットUは図3(a)に示すように、機能空間S1が、プランジャ本体50における横通気路52と連通状態となり、且つシリンダブロック55における通気路553と連通状態とされている始発姿勢となっている。
【0039】
(2)プランジャ本体の上昇
そして給気カプラ3を通じて圧縮空気Aが供給されると、この圧縮空気Aは図3(b)に示すようにノズル本体20の噴出口20aから下方に向けて噴出される。また圧縮空気Aの一部は分流されて、第一給気路13及び第二給気路14を通って通気路553に供給される。
そして通気路553に供給された圧縮空気Aは機能空間S1を通過して内部空間S2内に至り、内部空間S2内の雰囲気の圧が上昇して内部空間S2が拡張される。このためプランジャ本体50には突出力F1が作用して、プランジャ本体50は上昇することとなる。
【0040】
やがてノズルユニットUは図3(c)に示す状態となるものであり、この状態では、通気路553と機能空間S1とが連通状態にある一方、機能空間S1と横通気路52とは非連通状態になるため、前記圧縮空気Aによる突出力F1は消滅するものの、その慣性力f1がプランジャ本体50に作用することとなる。
またプランジャ本体50の上昇により気密状態にある内部空間S2が拡張されるため、プランジャ本体50には、内部空間S2を縮小しようとする戻り力f2が作用することとなる。
更にまたプランジャ本体50には、圧縮空気Aが機能空間S1を拡張しようとすることによる戻り力F2が作用することとなる。
このようにプランジャ本体50には、慣性力f1、戻り力f2及び戻り力F2が作用するが、しばらくの間は前記慣性力f1が打ち勝つためプランジャ本体50は上昇し続けることとなる。
【0041】
やがて図3(d)に示すように、プランジャ本体50の先端部はノズル本体20および/または給気管22に当接することによりノズル本体20を押し上げ、噴出口20aから噴出される圧縮空気Aは略水平方向に噴出されることとなる。
この際、横通気路52がプランジャ突出開口部551bからシリンダ551の外部(ドラフト空間5S内)に抜け出した状態となり、内部空間S2は大気圧になり、前記戻り力f2は消滅する。
【0042】
やがて図4(e)に示すように、プランジャ本体50は上死点に位置することとなり、噴出口20aから噴出される圧縮空気Aは斜め上方向に噴出されることとなる。なおプランジャ本体50が上死点に位置した時点で前記慣性力f1は消滅する。
そしてこのとき機能空間S1は、横通気路52及び通気路553と非連通状態となっており、内部の雰囲気が圧縮された状態となっているためプランジャ本体50には、機能空間S1内に位置する空気の圧縮に伴う反作用によって戻り力f′2が作用することとなり、プランジャ本体50は下降を開始する。
なおプランジャ本体50には、重力並びに給気管22の弾性力も作用するが、プランジャアッセンブリ5の動作を理解するために、またこれら重力並びに給気管22の弾性力を考慮しなくても、プランジャ本体50の挙動自体に違いが生じないため、ここの説明では重力並びに給気管22の弾性力を無視するようにした。
【0043】
(3)プランジャ本体の下降
そして図4(f)に示すように、噴出口20aから噴出される圧縮空気Aが略水平方向に噴出される状態を経て、図4(g)に示す状態となる。
この状態では、機能空間S1が通気路553と連通状態となるため、戻り力f′2は消滅しているが、圧縮空気Aが機能空間S1を拡張しようとすることによる戻り力F2がプランジャ本体50に作用することとなる。
そしてプランジャ本体50は下降を続け、やがて図4(h)に示すように横通気路52がプランジャ突出開口部551bからシリンダ551の内部に位置した状態となり、噴出口20aから噴出される圧縮空気Aは斜め下方向に噴出されることとなる。このとき気密状態にある内部空間S2が縮小されるため、プランジャ本体50には、内部空間S2内に位置する空気の圧縮に伴う反作用によって内部空間S2を拡張しようとする突出力f′1が作用することとなる。しかしながら戻り力F2が突出力f′1に打ち勝ち、プランジャ本体50は下降を続け、やがて図3(a)に示した始発姿勢となり、プランジャ本体50は下死点に位置することとなる。
【0044】
(4)プランジャ本体の上昇
そしてノズルユニットUは、以降、上述した動作が繰り返されるものであり、プランジャ本体50の往復動の際に、その先端部が、前記ノズル本体20および/または給気管22に当接(作用)することにより、ノズル本体20が脈動することとなり、噴出口20aから噴出される圧縮空気Aの作用方向が、一定範囲内において常時変動することとなる。
なお前記プランジャ本体50が上死点から下降に転じる際、及び下死点から上昇に転じる際には、ドラフト空間5S、ウレタンワッシャ58によってエネルギーが吸収されるため、異音の発生が防止されることとなる。
【0045】
そして本発明のノズルユニットUを図1に示すように、例えば水平移動機構102及び垂直移動機構101によって二次元掃引されるホルダ103を具えた除塵装置100に適用されることにより、簡素且つコンパクトな構成でありながらも高効率な除塵性能を実現することができ、このためヘッドランプH等の製造コストの低減を実現することができる。
【0046】
〔他の実施例〕
本発明は上述した実施例を基本となる実施例とするものであるが、本発明の技術的思想に基づいて以下に示すような改変を行うこともできる。
(1)ノズルアッセンブリの設置状態の改変例
まず図5に示す実施例は、ノズルアッセンブリ2を、基本となる実施例とは上下を異ならせて用いる実施例である。
そしてこの実施例では図5(b)に示すように、ノズル本体20および/または給気管22によってプランジャ本体50を支持した状態とすることにより、始発姿勢が維持されるようにするものである。
具体的には、圧縮空気Aが供給されていない時には、機能空間S1が、プランジャ本体50における横通気路52と非連通状態となり、且つシリンダブロック55における通気路553と連通状態となった状態を始発姿勢とするものである。
そしてこのような始発姿勢の状態で圧縮空気Aが供給されると、プランジャ本体50には、圧縮空気Aが機能空間S1を拡張しようとすることによる戻り力が作用するため、プランジャ本体50は上昇を開始することtなり、以降、基本と成る実施例と同様にプランジャ本体50の往復動の際に、その先端部がノズルアッセンブリ2に当接することにより、ノズル本体20が脈動して噴出口20aから噴出される圧縮空気Aの作用方向が、一定範囲内において常時変動することとなる。
【0047】
(2)ケーシング及びプランジャアッセンブリの改変例
またケーシング1及びプランジャアッセンブリ5についても改変が可能であり、一例として図6に示すような実施例を採ることもできる。
具体的にはまず図6に示したケーシング1は、基本となる実施例で示したケーシング1とは外形が異なるものであり、更にノズル受入穴10と直交するようにカプラ受入口12が形成されたものである。
次に図6に示すプランジャアッセンブリ5は、プランジャ受入穴11内の上部空間をシリンダブロック55と当接しない状態として、この空間をドラフト空間5Sとしたものである。
またこの実施例では、シリンダ551の他端側は太径の挿入開口部551bとなっており、この部分にトッププレート57a、ウレタンワッシャ58及びスナップリング59が位置することとなるものであり、ここにスナップリング59を嵌め込むための溝558が形成されている。
更にまたシリンダブロック55の側周部には溝555が形成されるものであり、この溝555に固定板6を噛み込ませるとともに、ネジ6aを用いてプランジャアッセンブリ5がケーシング1に固定される。
【符号の説明】
【0048】
U ノズルユニット
1 ケーシング
10 ノズル受入穴
11 プランジャ受入穴
12 カプラ受入穴
13 第一給気路
13a ニードル
13b ロックナット
14 第二給気路
14a ネジ
2 ノズルアッセンブリ
20 ノズル本体
20a 噴出口
21 継手
21a 溝
22 給気管
23 Оリング
3 給気カプラ
5 プランジャアッセンブリ
5S ドラフト空間
50 プランジャ本体
50a 太径部
50b 細径部
51 段差部
52 横通気路
53 縦通気路
55 シリンダブロック
551 シリンダ
551a 挿入開口部
551b プランジャ突出開口部
552 通気溝
553 通気路
554 溝
555 溝
556 段差部
557 円板
558 溝
56 Оリング
57 蓋体
57a トッププレート
58 ウレタンワッシャ
59 スナップリング
6 固定板
6a ネジ
100 除塵装置
101 垂直移動機構
102 水平移動機構
103 ホルダ
105 エアチューブ
A 圧縮空気
F1 突出力
F2 戻り力
f1 慣性力
f′1 突出力
f2 戻り力
f′2 戻り力
H ヘッドランプ
S1 機能空間
S2 内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングに対して、給気カプラと、この給気カプラと接続されるノズルアッセンブリとを具え、前記給気カプラに供給された圧縮空気が、ノズルアッセンブリに具えられるノズル本体から噴出するように構成されたノズルユニットにおいて、前記ノズルアッセンブリの側方には、プランジャアッセンブリが具えられており、このプランジャアッセンブリに具えられるプランジャ本体の往復動の際に、その先端部がノズルアッセンブリに当接することにより、ノズル本体が脈動するように構成されていることを特徴とするノズルユニット。
【請求項2】
前記プランジャアッセンブリは、シリンダブロックと、このシリンダブロックに形成されたシリンダ内に挿入されるプランジャ本体とを具えて構成されるものであり、且つ、前記シリンダブロックは、外周部に対して通気溝が形成されるとともに、この通気溝からシリンダ内に通じる通気路が形成されて成るものであり、前記シリンダブロックが、前記ケーシングに形成されたプランジャ受入穴に挿嵌されることにより、前記給気カプラから、前記シリンダブロックにおける通気路に通じる給気経路が形成されるものであり、一方、前記プランジャ本体は、太径部と細径部とが軸方向に隣接して形成されて成るものであり、且つ、プランジャ本体の一端面から軸方向に形成される縦通気路が、他端面を貫通しないように形成されており、更に前記細径部の側周面から、前記縦通気路に通じる横通気路が形成されて成るものであり、前記シリンダブロックにおけるシリンダと、プランジャ本体における細径部との間に形成される機能空間は、シリンダ内におけるプランジャ本体の位置に応じてシリンダブロックにおける通気路及びプランジャ本体における横通気路との連通状態が変化するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のノズルユニット。
【請求項3】
前記機能空間とシリンダブロックにおける通気路とが連通状態になったときに、同時に機能空間とプランジャ本体における横通気路とが非連通状態になることにより、通気路を通じて機能空間内に供給される圧縮空気によって機能空間を拡張することができるように構成されていることを特徴とする請求項2記載のノズルユニット。
【請求項4】
前記機能空間とプランジャ本体における横通気路とが連通状態になったときに、同時に機能空間とシリンダブロックにおける通気路とが連通状態になることにより、通気路、機能空間及び横通岐路及び縦通気路を通じてシリンダ内に供給される圧縮空気によって、シリンダとプランジャ本体における横通気路及び縦通気路とによって形成される内部空間を拡張することができるように構成されていることを特徴とする請求項2または3記載のノズルユニット。
【請求項5】
前記機能空間とシリンダブロックにおける通気路及びプランジャ本体における横通気路とが非連通状態になることにより、機能空間内を気密状態とすることができるように構成されていることを特徴とする請求項2、3または4記載のノズルユニット。
【請求項6】
前記圧縮空気が供給されていない時には、前記機能空間が、プランジャ本体における横通気路と連通状態となり、且つシリンダブロックにおける通気路と連通状態となった、始発姿勢を取るように構成されていることを特徴とする請求項2、3、4または5記載のノズルユニット。
【請求項7】
前記圧縮空気が供給されていない時には、前記機能空間が、プランジャ本体における横通気路と非連通状態となり、且つシリンダブロックにおける通気路と連通状態となった、始発姿勢を取るように構成されていることを特徴とする請求項2、3、4または5記載のノズルユニット。
【請求項8】
前記シリンダブロックにおける挿入開口部は、シリンダ内にプランジャ本体を挿入した状態で封止されるものであり、この封止に供されるトッププレートまたは蓋体と、挿入開口部との間に消音部材が具えられていることを特徴とする請求項2、3、4、5、6または7記載のノズルユニット。
【請求項9】
前記シリンダブロックにおけるプランジャ突出開口部の外側には、ドラフト空間が形成されていることを特徴とする請求項2、3、4、5、6、7または8記載のノズルユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−81425(P2012−81425A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230328(P2010−230328)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(505455484)
【Fターム(参考)】