説明

ノズル及び塗布膜形成方法

【課題】 塗布膜と塗布面との間に気泡が形成されることなく、しかも略均一な膜厚の塗布膜を形成することができるノズルを提供すること。
【解決手段】 複数の吐出口14a、・・・、14b、・・・から塗布剤を吐出しながら、複数の吐出口14a、・・・、14b、・・・を塗布面に対して相対的に所定方向に移動させることによって、塗布面上に帯状の塗布膜を形成することができるノズル11であって、複数の吐出口14a、・・・、14b、・・・が、帯状の塗布膜の横幅方向と対応する方向に2列に設けられ、一方の第1列の互いに隣合う2つの吐出口14a、14aの略中間位置に他方の第2列の1つの吐出口14bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複数の吐出口から接着剤、シール剤又は補強剤等の塗布剤を吐出しながら、これら複数の吐出口を、自動車の車体部品、各種部品又は製品等の塗布面に対して相対的に移動させることによって、その塗布面上に帯状の塗布膜を形成することができるノズル、及び塗布膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のノズルの一例を、図11〜図13を参照して説明する。このノズル1は、図11に示すように、例えば自動車の車体部品2の所定の塗布面2aに接着剤等の塗布剤3を塗布して、帯状の塗布膜4を形成することができるものである。このノズル1は、図13(a)、(b)、(c)に示すように、平面形状が略矩形の板状体であり、後部に塗布剤3の流入口5が形成され、前部に塗布剤3の吐出口6が形成されている。この吐出口6は、図13(c)の拡大正面図に示すように、細長い横長のスリット状に形成されている。
【0003】
このノズル1によって塗布膜(例えば接着剤)4を形成するときは、図11に示すように、まず、ノズル1のスリット状の吐出口6を、例えば水平に配置された車体部品2の塗布面2aに対して、所定間隔を隔てて平行となるように対向させる。そして、この状態で、吐出口6から塗布剤(例えば接着剤)3を連続して吐出しながら、ノズル1をその吐出口6の長さ方向と直交し、かつ塗布面2aと平行する方向7に移動させる。これによって、塗布面2a上に帯状の塗布膜4を形成することができる。このようにして塗布面2a上の所定の範囲に塗布膜4を形成し、しかる後に、この塗布膜4に対して図示しない別の部品等を押し付ける。このようにして、車体部品2に別の部品等を、接着剤を介して接着することができる。
【0004】
このようなスリット形状の吐出口を有するノズルの他の例として、大型ガラス基板等の塗布面2aに塗布剤3を塗布するためのものが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−51763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のノズル1では、図12(a)に示すように、スリット形状の吐出口6から吐出される塗布剤3の流速Vは、吐出口6の中央部に近づくに従って速くなる。流速Vがこのように分布するのは、吐出口6の中央部に近づくに従って、吐出口6の左右の各側面の抵抗による影響が小さくなるからである。
【0006】
従って、図11に示すノズル1で塗布膜4を形成すると、図12(b)に示す塗布膜4の縦断面図に示すように、中央部が両端部よりも盛り上がった形状となる。そして、このように塗布膜4の中央部が盛り上がった形状となると、塗布膜4の膜厚を、S1に形成しようとする場合、中央部の膜厚がS2(>S1)となる部分が多くなり、この中央部の盛り上がった部分の塗布剤3が余分に塗布されることとなり、非経済的である。また、塗布膜4の膜厚S2が大きくなると、車体部品2に別の部品等を押し付けて接着したときに、塗布膜4が車体部品2の表面に沿って広がり、その余分に広がった塗布膜を拭き取る作業が必要となる場合がある。
【0007】
また、図11に示すように、スリット状の吐出口6から帯状の塗布剤3が吐出されるので、この帯状の塗布剤3が塗布面2aに当接して塗布されるまでの間に、この帯状の塗布剤3と塗布面2aとの間に空気が入り込んで気泡8が形成されることがある。このように、気泡8が形成されると、その部分の塗布膜4が塗布面2aに密着しない状態となり、塗布剤3が接着剤である場合は、その気泡8部分の接着強度の低下により、全体としての接着強度が低下するし、塗布剤3が補強剤である場合は、気泡8部分の補強強度がそれ以外の部分よりも低下する。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、塗布膜と塗布面との間に気泡が形成されることなく、しかも略均一な膜厚の塗布膜を形成することができるノズル、及び塗布膜形成方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明に係るノズルは、複数の吐出口から塗布剤を吐出しながら、前記複数の吐出口を塗布面に対して相対的に所定方向に移動させることによって、前記塗布面上に帯状の塗布膜を形成することができるものである。
【0010】
請求項1の発明に係るノズルを使用して塗布面に帯状の塗布膜を形成するときは、ノズルの複数の吐出口から塗布剤を吐出しながら、複数の吐出口を塗布面に対して相対的に所定方向に移動させる。そして、これら各吐出口から吐出された塗布剤は、それぞれが互いに間隔を隔てた状態で各吐出口から線状の吐出流となって吐出される。そして、これら複数の吐出流は、塗布面に到達するまでに、又は塗布面に塗付されたときに隣合うものどうしが繋がり、塗布面上に帯状の塗布膜を形成することができる。
【0011】
そして、複数の吐出口は、帯状の塗布膜の横幅方向と対応する方向に沿って設けることによって、各吐出口の横幅方向の寸法を比較的小さくすることができ、これによって、各吐出口内におけるその横幅方向の各位置における流速分布のばらつきを小さくすることができる。そして、例えば各吐出口の大きさ及び形状を揃えることによって、各吐出口の流路抵抗、即ち各吐出口における流量が互いに略等しくなるようにすることができる。その結果、帯状に形成される塗布膜の横幅方向の各位置における膜厚を略均一にすることができる。
【0012】
また、塗布剤の複数の吐出流は、複数の吐出口から吐出された直後は、互いに隣合うものどうしの間には隙間が形成されているので、複数の吐出流と塗布面との間に存在する例えば空気は、吐出流どうしの間の隙間から外側に逃がすことができる。よって、塗布膜と塗布面との間に気泡が形成されないようにすることができる。
【0013】
請求項2の発明に係るノズルは、請求項1の発明において、前記複数の吐出口が少なくとも2列に設けられ、一方の列の互いに隣合う2つの前記吐出口の間の位置に他方の列の前記吐出口が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項2の発明に係るノズルによると、複数の吐出口を2列以上にして設けると、その列数に応じて、これら複数の吐出口から吐出される塗布剤の全体の吐出流量を大きくしたり小さくすることができる。これによって、比較的小さい開口面積の吐出口を使用して、所望の膜厚の塗布膜を形成できるようにすることができる。そして、一方の列の互いに隣合う2つの吐出口の間の位置に他方の列の吐出口を設けることによって、塗布剤の複数の吐出流の中心間隔を狭めることができる。これによって、帯状の塗布膜の横幅方向の各位置における膜厚のばらつきを更に小さくすることができる。
【0015】
請求項3の発明に係るノズルは、請求項2の発明において、前記一方の列の互いに隣合う2つの前記吐出口の略中間位置に前記他方の列の前記吐出口が設けられ、前記一方の列の互いに隣合う2つの前記吐出口における互いに隣合う内側面の間隔が、前記他方の列の前記吐出口の前記間隔と同方向の内側寸法と一致又は略一致することを特徴とするものである。
【0016】
請求項3の発明に係るノズルによると、一方の列の互いに隣合う2つの吐出口から吐出される塗布剤の2つの第1吐出流の間に形成される第1隙間に、他方の列の吐出口から吐出される塗布剤の1つの第2吐出流が存在することとなり、この第1隙間と第2吐出流の、塗布膜の横幅方向と対応する方向の寸法が一致又は略一致しているので、これら2つの第1吐出流、及びその間に吐出される1つの第2吐出流が塗布面に塗付されたときに、互いに隣合う第1吐出流と第2吐出流とが互いに確実に繋がるようにすることができる。これによって、帯状の塗布膜の横幅方向の各位置における膜厚のばらつきを小さくすることができる。
【0017】
請求項4の発明に係るノズルは、請求項1乃至3のいずれかの発明において、前記吐出口が矩形孔、円孔又は楕円孔であることを特徴とするものである。
【0018】
請求項4の発明に係るノズルによると、吐出口を矩形孔とした場合は、例えば円孔とした場合と比較して、それぞれの吐出口の縦横の各寸法を同一としたときに、矩形孔の開口面積が円孔の開口面積よりも大きいので、同じ膜厚の塗布膜を形成するときは、矩形孔とした方が円孔とするよりも、吐出口での圧力損失を小さくすることができる。よって、吐出エネルギの省力化を図ることができる。また、吐出口を矩形孔とすることによって、複数の吐出口から吐出された塗布剤の互いに隣合う2つの吐出流が、塗布面上で互いに繋がり合ったときに、その繋がり部分をそれ以外の部分と略同一の膜厚にすることが容易となる。ただし、塗布剤の性状に応じて、又は吐出口の加工のし易さに応じて、吐出口を円孔又は楕円孔にすることができる。
【0019】
請求項5の発明に係るノズルは、請求項1乃至4のいずれかの発明において、前記複数の吐出口が、それぞれ別々に外面の全体又は一部がテーパ形状の複数の筒状ノズル部材で形成され、これら複数のノズル部材が、ノズル本体に形成された複数のテーパ形状の装着孔に着脱自在に装着され、前記各ノズル部材と前記各装着孔との接触部分が封止されていることを特徴とするものである。
【0020】
請求項5の発明に係るノズルによれば、塗布剤をノズル本体に供給すると、このノズル本体に供給された塗布剤を各ノズル部材に通してそれぞれの吐出口から吐出することができる。このとき、ノズル本体に供給された塗布剤の圧力が、各ノズル部材に対してノズル本体の装着孔から抜け出る方向の力として働くが、各ノズル部材が装着孔とテーパ面で係合しているので、各ノズル部材が各装着孔から外れないように保持することができる。そして、各ノズル部材と各装着孔との接触部分を、例えばシール部材やメカニカルタッチで封止することによって、両者の接触部分から塗布剤が漏れ出ないようにすることができる。また、各ノズル部材をノズル本体に対して着脱自在であるので、各ノズル部材及びノズル本体をそれぞれ別個に容易に加工することができる。また、各ノズル部材及びノズル本体が消耗したときは、それぞれを別々に交換することができて経済的である。
【0021】
請求項6の発明に係るノズルは、請求項1乃至5のいずれかの発明において、前記吐出口を形成するノズル部又は前記ノズル部材が、このノズル部又は前記ノズル部材が設けられているノズル本体表面から塗布面に向かって突出していることを特徴とするものである。
【0022】
請求項6の発明に係るノズルによると、少なくともノズル部又はノズル部材がノズル本体から塗布面に向かって突出する長さの分だけ、ノズル本体を塗布面から引き離した状態で塗布作業を行うことができる。これによって、例えば塗布作業において、ノズルの塗布面に対する角度を変更したときに、ノズル本体表面が塗布面と接触する可能性を低くすることができる。また、作業者が目視によって吐出口を塗布面の所定位置に配置しようとするときに、吐出口の位置決めをし易くすることができる。
【0023】
請求項7の発明に係るノズルは、請求項1の発明において、前記複数の吐出口が2列以上のN列設けられ、各列の互いに隣合う2つの前記吐出口における互いに隣合う内側面の間隔が、各列の前記吐出口の当該列方向の内側寸法の略(N−1)倍であり、各列のそれぞれの前記吐出口が、前記列と直交する方向において互いに重なり合わないように、又は互いに重なり合う部分が少なくなるように設けたことを特徴とするものである。
【0024】
請求項7の発明に係るノズルによると、複数の各列の互いに隣合う2つの吐出口における互いに隣合う内側面の間隔を、各列の吐出口の当該列方向の内側寸法の略(N−1)倍とし、各列のそれぞれの吐出口が、当該列と直交する方向において互いに重なり合わないように、又は互いに重なり合う部分が少なくなるように設けたことによって、各吐出口から吐出される塗布剤の複数の吐出流の中心間隔を狭めることができる。これによって、帯状の塗布膜の横幅方向の各位置における膜厚のばらつきを更に小さくすることができる。
【0025】
請求項8の発明に係る塗布膜形成方法は、請求項1乃至7のいずれかに記載のノズルを使用して、塗布面上に帯状の前記塗布膜を形成することを特徴とするものである。
【0026】
請求項8の発明に係る塗布膜形成方法によると、本発明のノズルを使用して上記と同様に塗布面に帯状の塗布膜を形成することができる。
【発明の効果】
【0027】
請求項1の発明に係るノズル、及び請求項8の発明に係る塗布膜形成方法によると、帯状の塗布膜を形成するために、その塗布膜の横幅方向と対応する方向に複数の吐出口を配置する構成とすることによって、帯状の塗布膜の横幅方向の各位置における膜厚を、例えば略均一にすることができる。よって、例えば規定された膜厚を超える部分が形成され難くすることができるので、塗布剤を経済的に使用できる。また、塗布剤が接着剤である場合は、例えば部品に別の部品等を押し付けて接着したときに、塗布膜が部品の表面に沿って許容される範囲内で広がることがあっても、余分な範囲にまで広がることがないので、塗布膜を拭き取るような作業が不要となる。
【0028】
そして、塗布剤の複数の吐出流と、塗布面との間に存在する例えば空気は、吐出流どうしの間の隙間から外側に逃がすことができる構成としたので、塗布膜と塗布面との間に気泡が形成されないようにすることができる。よって、例えば塗布剤が接着剤である場合は、塗布膜の各部分における接着力を略均一にすることができるし、塗布剤が補強剤である場合は、塗布膜の各部分における補強強度を略均一にすることができる。そして、塗布剤がシール剤である場合は、塗布膜の各部分におけるシール強度(密封性の破れ難くさ)を略均一にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係るノズル、及びこのノズルを使用する塗布膜形成方法の第1実施形態を、図1〜図6を参照して説明する。このノズル11は、図1に示すように、例えば自動車の車体部品2の所定の塗布面2aに接着剤等の塗布剤3を塗布して、帯状の塗布膜12を形成することができるものである。この塗布剤3は、例えば液体、又は他の流動性を有するものである。
【0030】
ノズル11は、図3〜図5に示すように、平面形状が略矩形の板状体であり、下面部に塗布剤3の流入口13が形成され、前面部に塗布剤3の複数の吐出口14(14a、14b)が形成されている。そして、ノズル11の内部には、図4及び図5(b)に示すように、塗布剤3の貯留部15が形成され、この貯留部15は、複数の各吐出口14(14a、14b)及び流入口13と連通している。そして、ノズル11は、その厚みを約1/2に分割する第1部材16と、第2部材17とを備えており、この第1部材16と第2部材17とは、複数本のボルト18で締結されている。
【0031】
複数の吐出口14(14a、14b)は、図3〜図5に示すように、ノズル11の前面部にその前面部の長さ方向に沿って2列に設けられている。そして、図6の拡大正面図に示すように、上下2列の複数の吐出口14(14a、14b)は、それぞれ同一形状及び寸法(横幅がW1)の矩形孔であり、同一の向きに形成されている。そして、上側の第1列、及び下側の第2列のそれぞれの吐出口14a、・・・、14b、・・・の列方向(横幅方向)の間隔W2も、同一寸法に形成されている。
【0032】
そして、図6に示すように、上側の第1列の互いに隣合う2つの吐出口14a、14aの中間位置に、下側の第2列の1つの吐出口14bが設けられている。この第1列の吐出口14aと第2列の吐出口14bの間隔は、W3である。つまり、上側の第1列(又は下側の第2列)の互いに隣合う2つの吐出口14a、14a(又は14b、14b)における互いに隣合う内側面19、19の横幅方向の間隔W2が、下側の第2列の吐出口14b(又は上側の第1列の吐出口14a)の横幅方向の内側寸法W1よりも2×W3だけ大きく形成されている。
【0033】
また、図6等に示すように、これら上側の第1列の複数の吐出口14a、・・・は、上側の第1部材16の前壁部の下面に複数形成された矩形溝によって構成され、下側の第2列の複数の吐出口14b、・・・は、下側の第2部材17の前壁部の上面に複数形成された矩形溝によって構成されている。そして、これら第1及び第2列の複数の吐出口14(14a、14b)が形成されている前壁部は、ノズル部20を構成し、このノズル部20は、ノズル11を構成するノズル本体21の前面21aから少し突出している。
【0034】
上記のように構成されたノズル11を使用して塗布面2aに帯状の塗布膜12を形成するときは、図1に示すように、まず、ノズル11の複数の吐出口14(14a、14b)を、例えば水平に配置された車体部品2の塗布面2aに対して、所定間隔を隔てて平行となるように対向させる。そして、この状態で、複数の各吐出口14(14a、14b)から塗布剤3を連続して吐出しながら、ノズル11をその吐出口14、・・・の整列方向と直交し、かつ塗布面2aと平行する方向22に移動させる。これによって、塗布面2a上に帯状の塗布膜12を形成することができる。
【0035】
そして、このようにして塗布面2a上の所定の範囲に塗布膜12を形成し、しかる後に、この塗布膜12に対して図示しない別の部品等を押し付ける。これによって、車体部品2に別の部品等を、塗布膜(接着剤)12を介して接着することができる。
【0036】
ただし、この例では、車体部品2を移動させずに、ノズル11を移動させて塗布膜12を形成したが、これに代えて、ノズル11を移動させずに、車体部品2を移動させて塗布膜12を形成してもよいし、両方を互いに逆方向に移動させて塗布膜12を形成してもよい。
【0037】
次に、この実施形態のノズル11の特徴について説明する。図1に示すように、このノズル11によると、複数の各吐出口14a、・・・、14b、・・・から吐出された塗布剤3は、それぞれが互いに間隔を隔てた状態で各吐出口14a、・・・、14b、・・・から線状の吐出流23、・・・となって吐出される。そして、これら複数の吐出流23、・・・は、塗布面2aに到達するまでに、又は塗布面2aに塗付されたときに隣合うものどうしが繋がり、塗布面2a上に帯状の塗布膜12を形成することができる。
【0038】
そして、複数の吐出口14a、・・・、14b、・・・は、図1、図3及び図5等に示すように、帯状の塗布膜12の横幅方向と対応する方向に沿って設けているので、各吐出口14a、・・・、14b、・・・の横幅方向の寸法W1を比較的小さくすることができ、これによって、各吐出口14a、・・・、14b、・・・内におけるその横幅方向の各位置における流速分布のばらつきを小さくすることができる。そして、各吐出口14a、14bの大きさ及び形状を揃えることによって、各吐出口14a、14bの流路抵抗を互いに略等しくなるようにすることができる。
【0039】
これによって、このノズル11では、図2(a)に示すように、複数のそれぞれの吐出口14a、14bから吐出される塗布剤3の流速Vは、略一定となっているし、各吐出口14a、14b内の横幅方向の各位置における流速Vも略一定となっている。その結果、図2(b)に示すように、帯状に形成される塗布膜12の横幅方向の各位置における膜厚S3を略均一にすることができる。よって、例えば規定された膜厚S3を超える部分が形成され難くすることができるので、塗布剤3を経済的に使用できる。
【0040】
また、塗布剤3の複数の吐出流23は、複数の吐出口14a、・・・、14b、・・・から吐出された直後は、互いに隣合うものどうしの間には隙間(W3の部分)が形成されているので、複数の吐出流23と塗布面2aとの間に存在する例えば空気は、吐出流23どうしの間の隙間W3、・・・から外側に逃がすことができる。勿論、複数の吐出流23と塗布面2aとの間に存在する空気は、ノズルの移動方向の前方に形成される、複数の吐出流23と塗布面2aとの間の前方の隙間や、横側の隙間からも外側に逃がすことができる。よって、塗布膜12と塗布面2aとの間に気泡8が形成されないようにすることができる。その結果、例えば塗布剤3が接着剤である場合は、塗布膜12の各部分における接着力を略均一にすることができるし、塗布剤3が補強剤である場合は、塗布膜12の各部分における補強強度を略均一にすることができる。そして、塗布剤3がシール剤である場合は、塗布膜12の各部分におけるシール強度(密封性の破れ難くさ)を略均一にすることができる。
【0041】
更に、図6等に示すノズル11によると、複数の吐出口14a、14bを2列にして設けてあるので、1列とした場合と比較して、複数の吐出口14a、14bから吐出される塗布剤3の全体の吐出流量を大きくすることができる。これによって、比較的小さい開口面積及び横幅W1の吐出口14a、14bを使用して、規定の膜厚S3の塗布膜12を形成できるようにすることができる。そして、上側の第1列の互いに隣合う2つの吐出口14a、14aの略中間位置に、下側の第2列の1つの吐出口14bを設けることによって、1列とした場合と比較して、塗布剤3の複数の吐出流23、・・・の中心の間隔を狭めることができる。これによって、帯状の塗布膜12の横幅方向の各位置における膜厚S3のばらつきを小さくすることができる。
【0042】
そして、図6に示すノズル11によると、上側の第1列の互いに隣合う2つの吐出口14a、14aから吐出される塗布剤3の2つの第1吐出流23、23の間に形成される第1隙間(W2の部分)に、下側の第2列の吐出口14bから吐出される塗布剤3の1つの第2吐出流23(横幅が約W1(<W2))が存在することとなり、この第1隙間の横幅W2が第2吐出流23の横幅W1よりも少し広いが(隙間がW3)、略一致しているので、これら2つの第1吐出流23、23及び1つの第2吐出流23が塗布面2aに塗付されたときに、互いに隣合う2つの第1吐出流23、23と、その間に吐出される第2吐出流23とが互いに確実に繋がるようにすることができる。これによって、帯状の塗布膜12の横幅方向の各位置における膜厚S3のばらつきを小さくすることができる。
【0043】
よって、上側の第1列の吐出口14aと、下側の第2列の吐出口14bとの隙間W3は、塗布膜12の膜厚S3が所望のばらつきとなるように、塗布剤3の性状等に応じて適切な寸法にすることができる。
【0044】
また、図6等に示すノズル11によると、吐出口14a、14bを矩形孔としているので、例えば円孔とした場合と比較して、両者の吐出口の縦横の各寸法を同一としたときに、矩形孔の開口面積が円孔の開口面積よりも大きくなるので、同じ膜厚S3の塗布膜12を形成するときは、矩形孔とした方が円孔とするよりも、吐出口14a、14bでの圧力損失を小さくすることができる。よって、吐出エネルギの省力化を図ることができる。
【0045】
また、吐出口14a、14bを矩形孔とすることによって、複数の吐出口14a、14bから吐出された塗布剤3の互いに隣合う2つの吐出流23、23が、塗布面2a上で互いに繋がり合ったときに、その繋がり部分をそれ以外の部分と略同一の膜厚S3にすることが容易となる。
【0046】
更に、図3及び図4に示すように、ノズル部20は、ノズル本体21の前面21aから塗布面2aに向かって突出する姿勢で使用できるので、少なくともこの突出する長さの分T1だけ、ノズル本体21の前面21aを塗布面2aから引き離した状態で塗布作業を行うことができる。これによって、例えば塗布作業において、ノズル11の塗布面2aに対する角度を変更したときに、ノズル本体21の表面が塗布面2aと接触する可能性を低くすることができる。また、作業者が目視によって吐出口14を塗布面2aの所定位置に配置しようとするときに、吐出口14の位置決めをし易くすることができる。
【0047】
このように、この実施形態に係る塗布膜形成方法によると、図1に示すように、ノズル11を使用して、上記のようにして塗布面2a上に帯状の塗布膜12を形成することができる。
【0048】
次に、本発明に係るノズルの第2実施形態を、図7を参照して説明する。この図7に示す第2実施形態に係るノズル25と、図6に示す第1実施形態に係るノズル11とが相違するところは、吐出口26(26a、26b)、14(14a、14b)の形状、大きさ、及び配置等の仕方である。これ以外は、第1実施形態と同等であり、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの詳細な説明を省略する。
【0049】
図7に示す第2実施形態のノズル25は、第1及び第2列のそれぞれの吐出口26a、・・・、26b、・・・の横幅をW4とし、各列の互いに隣合う吐出口(26aと26a)、(26bと26b)のどうしの間隔を、各吐出口26a、26bの横幅と同一のW4としてある。そして、上側の第1列の複数の吐出口26a、・・・と、下側の第2列の複数の吐出口26b、・・・との間に薄板状の仕切り部材27が挟み込まれている。
【0050】
図7に示すノズル25によると、上側の第1列の互いに隣合う2つの吐出口26a、26aから吐出される塗布剤3の2つの第1吐出流23、23の間に形成される第1隙間(W4の部分)に、下側の第2列の吐出口26bから吐出される塗布剤3の1つの第2吐出流23(横幅が約W4)が存在することとなり、この第1隙間の横幅W4が第2吐出流23の横幅W4と一致しているので、これら2つの第1吐出流23、23及び1つの第2吐出流23が塗布面2aに塗付されたときに、互いに隣合う2つの第1吐出流23、23と、その間に吐出される第2吐出流23とが互いに確実に繋がるようにすることができる。これによって、帯状の塗布膜12の横幅方向の各位置における膜厚S3のばらつきを小さくすることができる。
【0051】
また、図7に示すように、上側の第1列の吐出口26aから吐出された第1吐出流23と、この吐出流23と隣合う下側の第2列の吐出口26bから吐出された第2吐出流23との間には、厚みU1の仕切り部材27が設けられているので、塗布剤3の複数の吐出流23、・・・は、複数の吐出口26a、・・・、26b、・・・から吐出された直後は、互いに隣合うものどうしの間には隙間U1が形成される。これによって、第1実施形態と同様に、塗布膜12と塗布面2aとの間に気泡8が形成されないようにすることができる。その結果、例えば塗布剤3が接着剤である場合は、塗布膜12の各部分における接着力を略均一にすることができる。
【0052】
次に、本発明に係るノズルの第3実施形態を、図8〜図10を参照して説明する。この図8に示す第3実施形態に係るノズル29と、図3に示す第1実施形態に係るノズル11とが相違するところは、ノズル全体の形状が相違するところと、図6に示す第1実施形態のノズル29では、第1及び第2列の複数の吐出口14(14a、14b)が形成されているノズル部20がノズル本体21と一体にして設けられているのに対して、図8等に示す第3実施形態のノズル29では、各吐出口30(30a、30b)を形成するそれぞれのノズル部材31がノズル本体32に対して着脱自在に設けられているところである。これ以外は、第1実施形態と同等の構成であり同様に作用するので、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの詳細な説明を省略する。
【0053】
第3実施形態のノズル29は、図8〜図10に示すように、正面形状が略円形の板状体であり、背面部に塗布剤3の流入口13が形成され、前面部に塗布剤3の複数の吐出口30(30a、30b)が形成されている。そして、ノズル29の内部には、図9(b)、(c)及び図10に示すように、塗布剤3の貯留部15が形成され、この貯留部15は、複数の各吐出口30a、・・・、30b、・・・及び流入口13と連通している。そして、ノズル29は、その厚みを約1/2に分割する第1部材33と、第2部材34とを備えており、この第1部材33と第2部材34とは、図には示さないが、それらの外周部に装着されている連結金具で連結されている。
【0054】
複数の吐出口30a、・・・、30b、・・・は、図8に示すように、ノズル29の前面部に水平方向に沿って上下2列に設けられている。そして、上下2列の複数の吐出口30a、30bは、それぞれ同一の形状及び寸法(内径がW5)の円孔であり、同一の向きに形成されている。そして、図10の拡大横断面図に示すように、上側の第1列、及び下側の第2列のそれぞれの吐出口30a、・・・、30b、・・・の列方向(塗布膜12の横幅方向と対応する方向)の間隔W6(≒W5)も、それぞれ同一寸法に形成されている。
【0055】
そして、図9(a)に示すように、上側の第1列の互いに隣合う2つの吐出口30a、30aの中間位置に、下側の第2列の1つの吐出口30bが設けられている。従って、図10において、上側の第1列の互いに隣合う2つの吐出口30a、30aにおける互いに隣合う内側面の横幅方向の間隔W6は、下側の第2列の吐出口30bの横幅方向の内側寸法W5と略等しい寸法となっている。
【0056】
また、図9(a)、及び図10等に示すように、これら上下の第1列及び第2列の複数の吐出口30a、30bは、それぞれ別々に複数の円筒状ノズル部材31で形成され、これら複数のノズル部材31が、ノズル本体32の前壁部に形成された複数の円形装着孔35に着脱自在に装着され、各ノズル部材31と各装着孔35との接触部分が例えばOリング等のシール部材36で封止されている。
【0057】
ただし、各ノズル部材31が、ノズル本体32内の塗布剤3の圧力によって各装着孔35から抜け出ないようにするために、各ノズル部材31の基端部には、テーパ筒部31aが形成され、各装着孔35の奥側部には、テーパ孔部35aが形成されている。これらのテーパ角度は、例えば約15°である。
【0058】
なお、各ノズル部材31の基端部をテーパ形状としたが、これに代えて、各ノズル部材31の全体をテーパ形状としてもよい。このようにした場合は、各ノズル部材31が挿通する各装着孔35等の全体もテーパ形状にする。
【0059】
つまり、各シール部材36は、図10等に示すように、各ノズル部材31と、各装着孔35の円形開口縁との接触部分に配置され、この状態で第1部材33の前壁部と押さえ部材37との間に挟み込まれて固定されている。この押さえ部材37は、4本のボルト38で第1部材33に締め付けて固定されている。そして、これら第1及び第2列の複数の吐出口30a、30bが形成されているノズル部材31は、図8に示すように、押さえ部材37の前面から突出している。
【0060】
上記のように構成されたノズル29を使用して塗布面2aに帯状の塗布膜12を形成するときは、第1実施形態と同様に、図1に示すように、まず、ノズル29の複数の吐出口30a、・・・、30b、・・・を、例えば水平に配置された車体部品2の塗布面2aに対して、所定間隔を隔てて平行となるように対向させる。そして、この状態で、複数の各吐出口30a、30bから塗布剤3を連続して吐出しながら、ノズル29をその吐出口30a、30bの整列方向と直交し、かつ塗布面2aと平行する方向に移動させる。これによって、第1実施形態と同様に、塗布面2a上に帯状の塗布膜12を形成することができる。
【0061】
そして、このようにして塗布面2a上の所定の範囲に塗布膜12を形成し、しかる後に、この塗布膜12に対して図示しない別の部品等を押し付けることによって、車体部品2に別の部品等を、塗布膜(接着剤)12を介して接着することができる。ただし、ノズル29を移動させずに、車体部品2を移動させて塗布膜12を形成してもよいし、両方を互いに逆方向に移動させて塗布膜12を形成してもよい。
【0062】
次に、この実施形態のノズル29の特徴について説明する。図10等に示すように、このノズル29によれば、塗布剤3をノズル本体32に供給すると、このノズル本体32に供給された塗布剤3を各ノズル部材31に通してそれぞれの吐出口30a、・・・、30b、・・・から吐出することができる。このとき、ノズル本体32に供給された塗布剤3の圧力が、各ノズル部材31に対してノズル本体32の装着孔35から抜け出る方向の力として働くが、各ノズル部材31が装着孔35に対してテーパ筒部31a及びテーパ孔部35aで係合しているので、各ノズル部材31が各装着孔35から外れないように保持することができる。そして、各ノズル部材31と各装着孔35との接触部分をシール部材36で封止しているので、両者の接触部分から塗布剤3が漏れ出ないようにすることができる。また、各ノズル部材31をノズル本体32に対して着脱自在であるので、各ノズル部材31及びノズル本体32をそれぞれ別個に容易に加工することができる。また、各ノズル部材31及びノズル本体32が消耗したときは、それぞれを別々に交換することができて経済的である。
【0063】
なお、図9(b)に示す各ノズル部材31をノズル本体32から取り外すときは、例えばまず、図示しない連結金具をノズル29から外して、第1部材33を第2部材34から取り外す。そして、押さえ部材37を第1部材33から外して、各ノズル部材31を第1部材33の内側に向かって押し込む。このようにして、各ノズル部材31をノズル本体32から取り外すことができる。そして、各ノズル部材31をノズル本体32に取り付けるときは、上記の逆の手順の作業を行えばよい。
【0064】
ただし、上記第1〜第3実施形態では、塗布剤3として接着剤を塗布面2aに塗付する例を示したが、接着剤以外に、例えば補強剤やシール剤を塗布面2aに塗付することができる。
【0065】
また、上記第1〜第3実施形態では、自動車の車体部品2の塗布面2aに対して塗布剤3を塗布する例を示したが、自動車の車体部品2以外の各種部品又は製品等の塗布面に対して塗布剤3を帯状に塗布することができる。
【0066】
更に、図6及び図7に示す第1及び第2実施形態のノズル11、25では、吐出口14、30を矩形孔としたが、塗布剤3の性状に応じて、又は吐出口14、30の加工のし易さに応じて、これ以外の例えば円孔、楕円孔、多角形孔としてもよい。同様に、図9(a)、(b)、(c)に示す第3実施形態では、吐出口30を円孔としたが、これ以外の例えば矩形孔、楕円孔、多角形孔としてもよい。
【0067】
そして、図6に示す第1実施形態のノズル11では、上側の第1列の互いに隣合う2つの吐出口30a、30aの間隔W2を、下側の第2列の吐出口30bの内側寸法W1よりも大きくしたが、これに代えて、第1列の互いに隣合う2つの吐出口30a、30aの間隔W2を、下側の第2列の吐出口30bの内側寸法W1よりも小さくしてもよい。ただし、この場合は、第1列の吐出口30aと、第2列の吐出口30bとが互いに連通しないように、図7に示す第2実施形態のノズル25と同様に、第1部材16と第2部材17との間に仕切り部材27を介在させるとよい。同様に、第2及び第3実施形態のノズル25、29でも、上記構成とすることができる。
【0068】
また、図6等に示す第1〜第3実施形態のノズル11等では、吐出口14等を2列にして設けたが、形成しようとする塗布膜12の膜厚S3や塗布剤3の性状等に応じて、吐出口14等を1列にしてもよいし、3列以上としてもよい。そして、形成しようとする塗布膜12の膜厚を均一にしようとする場合や、塗布膜12の横幅方向の各位置における膜厚を均一にせずに、所定寸法となるようにする場合に応じて、吐出口14等の個数や配置を設定したり、それぞれの吐出口14等の形状や大きさを変えるようにすることができる。
【0069】
更に、図6等に示す第1〜第3実施形態のノズル11等では、吐出口14等を2列にして設けたが、これに代えて、3列以上としてもよい。そして、例えば吐出口を3、4、・・・等のN列とした場合は、第1列〜第N列の各吐出口の大きさ及び形状を同一とし、各列の互いに隣合う2つの吐出口における互いに隣合う内側面19、19の間隔が、各列の吐出口の横幅寸法の略(N−1)倍であり、各列のそれぞれの吐出口が、図6に示す上下方向において互いに重なり合わないように、又は互いに重なり合う部分が少なくなるように設けるとよい。
【0070】
そして、図10に示す第3実施形態のノズル29では、各ノズル部材31と各装着孔35との接触部分をシール部材36で封止したが、このシール部材36を使用せずに、例えばノズル部材31の外面と装着孔35の内面とのメカニカルタッチで封止してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本発明に係るノズル、及び塗布膜形成方法は、塗布膜と塗布面との間に気泡が形成されることなく、しかも例えば略均一な膜厚の塗布膜を形成することができる優れた効果を有し、このようなノズル、及び塗布膜形成方法に適用するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】この発明の第1実施形態に係るノズルを使用して塗布膜を塗布面に形成している状態を示す斜視図である。
【図2】(a)は同第1実施形態に係るノズルの各吐出口から吐出される塗布剤の流速を示す図、(b)は同第1実施形態に係るノズルから吐出された塗布剤によって形成された塗布膜を示す拡大縦断面図である。
【図3】同第1実施形態に係るノズルを示す斜視図である。
【図4】同第1実施形態に係るノズルを示す部分断面平面図である。
【図5】同第1実施形態に係るノズルを示し、(a)は側面図、(b)は縦断面図である。
【図6】同第1実施形態に係るノズルの各吐出口を示す部分拡大正面図である。
【図7】同発明の第2実施形態に係るノズルの各吐出口を示す部分拡大正面図である。
【図8】同発明の第3実施形態に係るノズルを示す斜視図である。
【図9】同第3実施形態に係るノズルを示し、(a)は正面図、(b)は縦断面図、(c)はA−A断面図である。
【図10】同第3実施形態に係るノズルを示す部分拡大A−A断面図である。
【図11】従来のノズルを使用して塗布膜を塗布面に形成している状態を示す斜視図である。
【図12】(a)は同従来のノズルの各吐出口から吐出される塗布剤の流速を示す図、(b)は同従来のノズルから吐出された塗布剤によって形成された塗布膜を示す拡大縦断面図である。
【図13】同従来のノズルを示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は拡大正面図である。
【符号の説明】
【0073】
2 車体部品
2a 塗布面
3 塗布剤
11、25、29 ノズル
12 塗布膜
13 流入口
14、14a、14b 吐出口
26、26a、26b 吐出口
30、30a、30b 吐出口
15 貯留部
16、33 第1部材
17、34 第2部材
18、38 ボルト
19 吐出口の内側面
20 ノズル部
21、32 ノズル本体
21a 前面
22 移動方向
23 吐出流
27 仕切り部材
31 ノズル部材
31a テーパ筒部
35 装着孔
35a テーパ孔部
36 シール部材
37 押さえ部材
37a 前面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吐出口から塗布剤を吐出しながら、前記複数の吐出口を塗布面に対して相対的に所定方向に移動させることによって、前記塗布面上に帯状の塗布膜を形成することができるノズル。
【請求項2】
前記複数の吐出口が少なくとも2列に設けられ、一方の列の互いに隣合う2つの前記吐出口の間の位置に他方の列の前記吐出口が設けられていることを特徴とする請求項1記載のノズル。
【請求項3】
前記一方の列の互いに隣合う2つの前記吐出口の略中間位置に前記他方の列の前記吐出口が設けられ、前記一方の列の互いに隣合う2つの前記吐出口における互いに隣合う内側面の間隔が、前記他方の列の前記吐出口の前記間隔と同方向の内側寸法と一致又は略一致することを特徴とする請求項2記載のノズル。
【請求項4】
前記吐出口が矩形孔、円孔又は楕円孔であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のノズル。
【請求項5】
前記複数の吐出口が、それぞれ別々に外面の全体又は一部がテーパ形状の複数の筒状ノズル部材で形成され、これら複数のノズル部材が、ノズル本体に形成された複数のテーパ形状の装着孔に着脱自在に装着され、前記各ノズル部材と前記各装着孔との接触部分が封止されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のノズル。
【請求項6】
前記吐出口を形成するノズル部又は前記ノズル部材が、このノズル部又は前記ノズル部材が設けられているノズル本体表面から塗布面に向かって突出していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のノズル。
【請求項7】
前記複数の吐出口が2列以上のN列設けられ、各列の互いに隣合う2つの前記吐出口における互いに隣合う内側面の間隔が、各列の前記吐出口の当該列方向の内側寸法の略(N−1)倍であり、各列のそれぞれの前記吐出口が、前記列と直交する方向において互いに重なり合わないように、又は互いに重なり合う部分が少なくなるように設けることを特徴とする請求項1記載のノズル。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載のノズルを使用して、塗布面上に帯状の前記塗布膜を形成することを特徴とする塗布膜形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−302312(P2008−302312A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−152695(P2007−152695)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(000239758)兵神装備株式会社 (76)
【Fターム(参考)】