説明

ノズル

【課題】簡易、かつ都度接着剤を接着面に均一に絞り出すノズル及びそれを含む壁面、木材、床面、路面などに発生した割目にシーリング材を注入する補修装置を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために、流動性のある接着剤17が入れられた容器16の先端を差し込む差込口2aを有する差込部材2と、前記差込部材2と内部空間8を設け嵌着し、吐出対象物側に液体又は粘性物の吐出流路となる前記内部空間8と連結する貫通孔6aを有する複数の吐出口6が設けられた底面部材とからなり、前記接着剤17を対象物の全面に均一に塗布することを特徴とするノズルの構成、とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤を接着面に均一に絞り出すノズル及びそれを含む壁面、木材、床面、路面などに発生した割目にシーリング材を注入する補修装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建造物の壁面、床、タイル、屋根瓦等に発生したひび割れ部位に、シーリング剤等を注入して補修する場合、カートリッジ管や、吸い込みガン等の充填筒部材の先端に設けられているノズル取り付け部位に、先細り状で合成樹脂製のノズルを取り付け、そのノズルの先端をカッター等で切除し、切除して開いた開口をひび割れ部位に当て、充填筒部材内のシーリング剤等に圧力をあたえて押し出し、切除して開いた開口を経て、ひび割れ部位の注入シールを行っていた。
【0003】
しかしながら、従来の補修では、ひび割れ部位の内部にまで、注入し難く、ひび割れ部位の周縁に拡がるようにしか、シーリング剤等を配置できなかった。
【0004】
そのため、充填筒部材からシーリング剤等をひび割れ部位の周縁にまで流出させた後、へら等を利用して、ひび割れ部位の内部に、シーリング剤等を押し込み、補修を行っていた。
【0005】
その結果、シーリング剤等が、ひび割れ部位周縁に残ることとなって、目立ち、補修後に、補修の跡が浮きだし、外観の美観を低下させていた。
【0006】
また、特許文献1の図3に示すように、補修工具10を壁1に接着剤2を介して貼付し注入する方法も行われていた。
【特許文献1】特開2001−107571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の補修工具10は、フランジ12の裏面に接着剤2をチューブから適量絞り出し、ヘラなどで均一に広げた後、壁1などに貼り付けていた。従って、接着剤2量が不均一で、塗り広げる作業が繁雑であった。
【0008】
そこで、本発明は、簡易、かつ都度接着剤を接着面に均一に絞り出すノズル及びそれを含む壁面、木材、床面、路面などに発生した割目にシーリング材を注入する補修装置を提供することを目的にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するために、流動性のある接着剤17が入れられた容器16の先端を差し込む差込口2aを有する差込部材2と、前記差込部材2と内部空間8を設け嵌着し、吐出対象物側に接着剤17の吐出流路となる前記内部空間8と連結する貫通孔6aを有する複数の吐出口6が設けられた底面部材3とからなり、前記接着剤17を対象物の全面に均一に塗布することを特徴とするノズルの構成、
前記底面部材3(3b)の外周部に、前記吐出口6の長さより長いスペーサ4、5(5a)が取り付けられていることを特徴とする前記ノズルの構成、
前記スペーサ4、5(5a)の先端が、対象物に係止することを特徴とする前記ノズルの構成、
前記底面部材3(3b)の中央部に、前記吐出口6の長さより長い嵌合突起7が取り付けられており、前記嵌合突起7の先端部が対象物に設けられた開口に嵌合することを特徴とする前記ノズルの構成、
前記複数の吐出口6が、底面部材3(3b)の底面中心部から同心円状に間隔を置き複数列配置されていることを特徴とする前記ノズル1の構成、
前記吐出口6、6b、6c・・・の貫通孔6a、6e、6d・・・の径及び高さを変更し、対象物の全面でなく部分的に接着剤17を塗布すること、又は一部の貫通孔6aの径及び高さを変更し、吐出口6からの接着剤の吐出量を調整し、対象物に部分的に接着剤を塗布することを特徴とする
前記のノズルの構成、
接着剤17入り容器16の先端が嵌る前記何れかに記載のノズルと、接着剤17が吐出され、補修面に貼付され弾性体12の収縮圧力で、割目にシーリング剤を注入する低圧注入容器とからなることを特徴とする補修装置の構成、
前記低圧注入容器が、シーリング剤の注入流路である開口13aを有し、補修面9に貼付される底部材13と、前記底部材13の貼付される面と反対側の面の内部を覆い、シーリング剤を充填する充填部15が連接された弾性体12と、前記底部材13と嵌着し、前記弾性体12の外周部を押圧し固定する押部14とからなり、前記底部材13と弾性体12の間に充填されたシーリング剤を前記弾性体12の収縮力で前記開口13aから割目10に注入することを特徴とする前記記載の補修装置の構成、及び前記充填部15が、シーリング剤を注入するノズルを差し込む差込路15bを内部に有する突起15aと、前記差込路15bの内部末端部を密封し、シーリング剤注入時にノズルの充填圧で開口し、充填したシーリング剤の差込路15bへの逆流を防止する逆止弁15cとからなることを特徴とする前記記載の補修装置の構成とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上の構成であるから以下の効果が得られる。接着剤を絞り出す本発明であるノズルによれば、接着面に接着剤を毎回、所定量を容易に均一に絞り出すことができる。また、接着剤の液垂れが少なく、余剰分の接着剤を取り除くことがないため接着剤の無駄が少ない。また、ヘラ等で接着剤を塗布面一面に塗り広げる作業がなく作業性が良い。
【0011】
吐出口が複数あるため接着剤の絞り出しに強い力を要せず、また内部空間の高さが、ノズル径より広いため内部空間に接着剤を空気を混入せず充満でき、絞りミスが少ない。
【0012】
吐出口の先端と接着面とにスペーサによって一定の距離(L)があるため、接着剤が滴状に絞りだされ、吐出口の配置により絞り出された隣り合う接着剤同士が間隔を置き配置されるため、接着時に接着面と接着対象との間の空気が押圧により、接着境界から空気が効率よく除かれるため、接着力が低下することがない。また、スペーサ先端と接着対象が係合すれば、横方向の位置決めを確実に行える。
【0013】
嵌合突起を備えるため、接着対象である低圧注入容器に嵌合し、接着剤絞り出し吐出口の位置決め、回転方向のズレを防ぐことが容易にでき、違う面に誤って塗布することがなく、接着剤の滴下位置がズレることもない。
【0014】
複数ある排出口を底面中心から同心円状に配置することで、常に適量の接着剤で、接着対象を接着面に滴下することができる。
【0015】
全部又は一部の排出口の貫通孔の径及び高さを変更し、対象物の全面でなく部分的に接着剤を塗布することにより、吐出される接着剤量を目的に応じて変更させることができる。
【0016】
接着剤の吐出対象を低圧容器とすることで、確実に割目にシーリング剤を注入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、簡易、かつ都度接着剤を接着面に均一に絞り出すノズル及びそれを含む壁面、木材、床面、路面などに発生した割目にシーリング材を補修する補修装置を提供する目的を流動性のある接着剤17が入れられた容器16の先端を差し込む差込口2aを有する差込部材2と、前記差込部材2と内部空間8を設け嵌着し、吐出対象物側に接着剤17の吐出流路となる前記内部空間8と連結する貫通孔6aを有し、底面部材3bの底面中心部から同心円状に間隔を置き複数列配置され、前記吐出口6、6b、6c・・・の貫通孔6a、6e、6d・・・の径及び高さを変更し、対象物の全面でなく部分的に接着剤17を塗布すること、又は一部の貫通孔6aの径及び高さを変更し、吐出口6からの接着剤の吐出量を調整し、対象物に部分的に接着剤を塗布する複数の吐出口6が設けられ、前記底面部材3bの外周部に、前記スペーサ5aの先端が、対象物に係止する前記吐出口6の長さより長いスペーサ4、5(5a)が取り付けられ、前記底面部材3bの中央部に、前記吐出口6の長さより長い嵌合突起7が取り付けられ、前記嵌合突起7の先端部が対象物に設けられた開口に嵌合する底面部材3からなる前記接着剤17を対象物の全面に塗布することを特徴とするノズルの構成、
並びに接着剤17入り容器16の先端が嵌る前記何れかに記載のノズルと、シーリング剤の注入流路である開口13aを有し、補修面9に貼付される底部材13と、前記底部材13の貼付される面と反対側の面の内部を覆いシーリング剤を注入するノズルを差し込む差込路15bを内部に有する突起15aと、前記差込路15bの内部末端部を密封し、シーリング剤注入時にノズルの充填圧で開口し、充填したシーリング剤の差込路15bへの逆流を防止する逆止弁15cよりなりシーリング剤を充填する充填部15が連接された弾性体12と、前記底部材13と嵌着し、前記弾性体12の外周部を押圧し固定する押部14よりなる接着剤17が吐出され、補修面に貼付され弾性体12の収縮圧力で、割目にシーリング剤を注入する低圧注入容器11と、からなることを特徴とする補修装置18aの構成とすることで実現した。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明であるノズルの正面図である。図2は、本発明であるノズルの平面図である。図3は、本発明であるノズルの背面図である。図4は、本発明であるノズルの左側面図である。
【0019】
本発明であるノズル1は、流動性のある接着剤17が入れられた容器16の先端を差し込む差込口2aを有する差込部材2と、前記差込部材2と内部空間8を設け嵌着し、吐出対象物側に接着剤17の吐出流路となる前記内部空間8と連結する貫通孔6aを有する複数の吐出口6が設けられた底面部材3と、前記底面部材3の外周部に、前記吐出口6の長さより長い左右のスペーサ4、5と、前記底面部材3の中央部に前記吐出口6の長さより長く、先端部が対象物に設けられた開口に嵌合する嵌合突起7とからなる。これにより、前記接着剤17を対象物の全面に均一に塗布することができる。
【0020】
差込部材2は、接着剤が入れられた容器、例えばチューブ、ピストンなどの先端部(ノズル)を差し込む部分である。差し込むだけである場合は、内部側壁2cは内部空間8に向かって、狭くなる形状が好ましい。接着剤を内部に注入する圧力で、接着剤が入れられた容器が外れ、緩み、接着剤が漏れ出さないよう強く容器先端と差込口2aが嵌着する。又、突起2bを差込部材2に形成し、接着剤入り容器を突起2bに係止してもよい。なお、差込口2aと接着剤入り容器との嵌着は、差込口2a内面にネジ山を形成し、接着剤入り容器とネジ込む方式であってもよい。
【0021】
底面部材3は、ここでは略円形で、差込部材2と嵌着し内部空間8を形成する。嵌着は接着剤によってもよいし、ねじ山によるネジ込みによる脱着式であったてもよい。ネジ込み脱着式であれば、使用後に、容易に差込部材2と底面部材3を分解し、吐出口6、内部空間8に残存した接着剤を取りだし、洗浄等を行うことで再利用することができ経済的である。
【0022】
図3に示すように、底面部材3の外側のほぼ中央に、接着対象に設けられた開口に嵌合し、回転方向のズレを防ぐ長方形状の嵌合突起7を設けている。これにより、接着剤を絞り出す位置がズレることがなくなる。
【0023】
また、複数の吐出口6は、底面部材3の底面3a中心部から同心円状に間隔を置き複数列配置されている。さらに、ここでは複数の吐出口6は、隣り合う同心円に位置する内周円の吐出口6が外周円に位置する2つの吐出口6の間に配置されている。これにより、絞り出す面に対して、接着剤が等間隔で、毎回均一に絞り出され、接着面に接着対象を押圧する力により、接着面一面に接着剤が均一に広がり、吐出口6の配置により広がった接着剤中から空気が除かれ、効率的に接着面と接着対象を接着できる。なお、貫通孔6aの内径は、接着面積、使用される接着剤の粘度、絞り出し量等により適宜最適な径が選択される。
【0024】
左右のスペーサ4、5は、図1に示すように、その先端部は段差状に形成され、接着剤を絞り出す対象が、移動可能な物体であれば、その形状の外周部に係止、接着剤を絞り出ために力を掛けても、ノズル1がぶれることがない。なお、左右のスペーサの長さは、接着面積、使用される接着剤の粘度、絞り出し量等により適宜最適な長さを選択することができる。
【0025】
図5は、本発明であるノズルのAーA断面図である。差込部材2と底面部材3が嵌着し、底面部材3の吐出口6が連設する面の裏面のほぼ一面に、差込口2aから続く内部空間8が形成されている。内部空間の高さは、1mm〜5mm程度が好ましく、さらには1mm〜3mm程度がより好ましい。
【0026】
高さが1mmより低いと、粘度ある接着剤が内部空間8一面に流れ込まなく、内部圧力のムラにより、均一に吐出口6から押し出されない。即ち、底面3a中心側にある吐出口6と外周方向にある吐出口6の先端から吐出される接着剤量に差が生じ、接着剤を絞り出す対象に絞りムラが出来てしまう。
【0027】
また、高さが5mmより高いと、絞り出すために大きな力を要し、なによりも内部空間8に残存する接着剤が多量になり経済的でない。
【0028】
図6は、本発明であるノズルの分解斜視図である。差込部材2と底面部材3とは別体として成形し、内部空間8を残し嵌着する。上述のように、ネジ込み式とすることで、再利用が容易である。なお、差込部材2と底面部材3との嵌着方法は特に限定されない。
【0029】
図7は、本発明であるノズルの斜視断面図である。ここでは、低圧注入容器11の補修面に接着する底部材13の外表面に嵌着する様子を示した。嵌合突起7は、シーリング剤の注入口となる開口13aに嵌合し、左右のスペーサ4、5は底部材13の外縁にその先端の段差部で係止する。なお、開口13aの縁は接着剤が絞り出される面より一段高くなった凸部13bが形成されている。凸部13bにより、低圧注入容器11を補修面に貼り付けたとき、底部材13に絞り出された接着剤が開口13aにはみ出すことを防止し、割れ目に混入することを防止する。
【0030】
なお、本発明であるノズル1は、低圧注入容器11にのみに、接着剤を絞り出すことに限定されることなく、あらゆる対象に接着剤を、均一に絞り出すことができるのは勿論である。
【0031】
図8は、本発明である補修装置の使用状態を示す断面図である。図8(A)〜図8(D)に従って、接着剤17を低圧注入容器11の接着面に絞り出す。補修装置18は、接着剤17入り容器16と、前記容器16の先端が嵌るノズル1と、低圧注入容器11からなる。容器16は、接着剤を入れて販売されているチューブ、接着剤を充填できるピストンなどでよい。
【0032】
低圧注入容器11は、シーリング剤の注入流路である開口13aを有し、補修面9に貼付される底部材13と、前記底部材13の貼付される面と反対側の面の内部を覆い、シーリング剤を充填する充填部15が連接された弾性体12と、前記底部材13と嵌着し、前記弾性体12の外周部を押圧し固定する押部14とからなり、前記底部材13と弾性体12の間に充填されたシーリング剤を前記弾性体12の収縮力で前記開口13aから割目10に注入する。
【0033】
前記充填部15は、シーリング剤を注入するノズルを差し込む差込路15bを内部に有する突起15aと、前記差込路15bの内部末端部を密封し、シーリング剤注入時にノズルの充填圧で開口し、充填したシーリング剤の差込路15bへの逆流を防止する逆止弁15cとからなる。
【0034】
図8(A)は、低圧注入容器11の底部材13と嵌合し、接着剤17を入れた容器16であるピストンをノズル1の差込口2aに嵌め、接着剤17を内部空間8に送り込む状況を示している。図8(B)は、さらに容器16から接着剤17を送り込むと、内部空間8が接着剤17で充満され、内部空間8と連結する吐出口6内部の貫通孔6aに送り込まれる様子を示している。
【0035】
図8(C)は、さらに容器16から接着剤17を送り続け、吐出口6先端から吐出される接着剤17の様子を示している。このとき吐出口6長より長い左右のスペーサ4、5が低圧注入容器11の外縁に係止され、低圧注入容器11の接着面と吐出口6先端とに一定の距離(L/図中)を形成している。図8(D)は、接着剤を低圧注入容器11の接着面に絞り出した後の様子を示している。左右のスペーサ4、5により、距離(L)が確保されており、接着剤に粘度があるため、接着剤が滴状に絞り出され、吐出口6から液だれもしない。
【0036】
図9は、本発明である補修装置による補修状況を示す図である。図8(D)で示した接着剤17を絞り出した低圧注入容器11を補修面9にある割目10に、底部材13の開口13aが位置するように押圧し貼り付ける。押圧により滴状に絞り出した接着剤17が広がり、補修面9と低圧注入容器11が接着剤17を介して貼り付けられる。ここで補修面9とは、壁面、木材、床面、路面などであり、低圧注入容器11などの接着対象を接着する面のことである。
【0037】
割目10の補修方法について説明する。先ず、低圧注入容器11を貼り付け、接着剤17が乾燥し、しっかり低圧注入容器11が補修面に貼り付けられた後、低圧注入容器11にシーリング剤を充填する。シーリング剤の充填は、充填部15の差込路15bに、シーリング剤が充填された容器の先端部にあるノズルを挿入し、シーリング剤を充填し、充填圧で逆止弁15cを開口し、シリコンなどの弾性体12膜と底部材13の間に充填する。シーリング剤の充填により弾性体12は伸張しドーム状に盛り上がる。
【0038】
次ぎに、伸張した弾性体12の収縮力により、開口13aからシーリング剤が割目10に徐々に注入される。シーリング剤の注入が終了した後、低圧注入容器11を剥がし、接着剤17を削り、定法による補修(研磨、塗装など)を行う。
【実施例2】
【0039】
次ぎに、ノズルの第2の実施例について説明する。図10は、本発明であるノズルの第2の実施例の斜視図である。
【0040】
ノズル1aは、実施例1のノズル1において、左右のスペーサ4、5を外周部一面に形成したスペーサ5aに変更したものである。また、吐出口6の長さ、即ち貫通孔6aの長さ(高さ)を全部又は一部を変更した吐出口としたものである。また、貫通孔6aの内径も変更している。その他の構成については実施例1と同様である。これにより、対象物の全面でなく部分的に接着剤17を塗布すること、塗布量を調整することができる。
【0041】
図11は、本発明であるノズルの第2の実施例の使用状態を示す一部断面図である(嵌合突起7は省略した)。図11(A)〜図11(E)に従って、接着剤17を低圧注入容器11の接着面に絞り出す。補修装置18aは、先の補修装置18において、ノズル1をノズル1aに変更した装置である。ノズル1a以外の構成について実施例1と同様である。
【0042】
図11(A)に示すように、接着剤17が容器16から差込口2aに押し出される。差込口2aが接着剤17で充満すると、図11(B)に示すように、接着剤17は内部空間8に中心から外側に向かって押し込まれる。
【0043】
このとき、貫通孔6d、6の内径を内部空間8の高さ(H)より短くするとよい。そのようにすると、接着剤17に粘度があるため、底面3aの中心部付近の吐出口6b、6aの先端から先行して接着剤17が漏れ出すことがないように調整することができる。
【0044】
つづいて、図11(C)に示すように、内部空間8を満たした接着剤17が、広い内径の貫通孔に先行して進行する。さらに図11(D)、(E)に示すように、貫通孔の径・高さ、即ち吐出口先端から底部材13の高さ調整することで、接着剤17の吐出量を調整することができる。
【0045】
なお、図11(F)に、底面部材3bの一部拡大図を示した。ここでは、底面部材3bの中心から外方向に向かって、吐出口の内径(d)を広くし(細・中・太)し、貫通孔の高さ(h)を短く(高・中・低)してある。従って、ノズル1aでは、底面部材3bの中心方向の接着剤17の吐出量が少なく、外側方向の接着剤17の吐出量が多くなる。このように、貫通孔の高さ即ち吐出口の長さと、貫通孔の内径を複数の吐出口の一部、又は全てにおいて、変更することで、部分的に接着剤17の吐出量を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明であるノズルの正面図である。
【図2】本発明であるノズルの平面図である。
【図3】本発明であるノズルの背面図である。
【図4】本発明であるノズルの左側面図である。
【図5】本発明であるノズルのAーA断面図である。
【図6】本発明であるノズルの分解斜視図である。
【図7】本発明であるノズルの斜視断面図である。
【図8】本発明である補修装置の使用状態を示す断面図である。
【図9】本発明である補修装置による補修状況を示す図である。
【図10】本発明であるノズルの第2の実施例の斜視図である。
【図11】本発明であるノズルの第2の実施例の使用状態を示す一部断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 ノズル
1a ノズル
2 差込部材
2a 差込口
2b 突起
2c 側壁
3 底面部材
3a 底面
3b 底面部材
4 スペーサ
5 スペーサ
5a スペーサ
6 吐出口
6a 貫通孔
6b 吐出口
6c 吐出口
6d 貫通孔
6e 貫通孔
7 嵌合突起
8 内部空間
9 補修面
10 割目
11 低圧注入容器
12 弾性体
13 底部材
13a 開口
13b 凸部
14 押部
15 充填部
15a 突起
15b 差込路
15c 逆止弁
16 容器
17 接着剤
18 補修装置
18a 補修装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性のある接着剤が入れられた容器の先端を差し込む差込口を有する差込部材と、前記差込部材と内部空間を設け嵌着し、吐出対象物側に接着剤の吐出流路となる前記内部空間と連結する貫通孔を有する複数の吐出口が設けられた底面部材とからなり、前記接着剤を対象物の全面に均一に塗布することを特徴とするノズル。
【請求項2】
前記底面部材の外周部に、前記吐出口の長さより長いスペーサが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記スペーサの先端が、対象物に係止することを特徴とする請求項2に記載のノズル。
【請求項4】
前記底面部材の中央部に、前記吐出口の長さより長い嵌合突起が取り付けられており、前記嵌合突起の先端部が対象物に設けられた開口に嵌合することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のノズル。
【請求項5】
前記複数の吐出口が、底面部材の底面中心部から同心円状に間隔を置き複数列配置されていることを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項6】
前記排出口の貫通孔の径及び高さを変更し、対象物の全面でなく部分的に接着剤を塗布すること、又は一部の貫通孔の径及び高さを変更し、吐出口からの接着剤の吐出量を調整し、対象物に部分的に接着剤を塗布することを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項7】
接着剤入り容器の先端が嵌る請求項1〜請求項6の何れかに記載のノズルと、接着剤が吐出され、補修面に貼付され弾性体の収縮圧力で、割目にシーリング剤を注入する低圧注入容器とからなることを特徴とする補修装置。
【請求項8】
前記低圧注入容器が、シーリング剤の注入流路である開口を有し、補修面に貼付される底部材と、前記底部材の貼付される面と反対側の面の内部を覆い、シーリング剤を充填する充填部が連接された弾性体と、前記底部材と嵌着し、前記弾性体の外周部を押圧し固定する押部とからなり、前記底部材と弾性体の間に充填されたシーリング剤を前記弾性体の収縮力で前記開口から割目に注入することを特徴とする請求項7に記載の補修装置。
【請求項9】
前記充填部が、シーリング剤を注入するノズルを差し込む差込路を内部に有する突起と、前記差込路の内部末端部を密封し、シーリング剤注入時にノズルの充填圧で開口し、充填したシーリング剤の差込路への逆流を防止する逆止弁とからなることを特徴とする請求項8に記載の補修装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−296194(P2008−296194A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147983(P2007−147983)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(393032125)油化電子株式会社 (36)
【Fターム(参考)】