説明

ノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置

【課題】 本発明は、ノッチを備えた半導体ウェハをノッチが予め定められた方向を向くように方向付けするためのアライニング装置に関し、特に、アライニングを浸漬水中において行うことができる水中アライニング装置に関する。
【解決手段】
この水中アライニング装置は、半導体ウェハWの少なくとも一部が浸漬水中にある間は、鉛直方向Vを向いたウェハの平坦面Pに沿って半導体ウェハWを浸漬水槽11内に搬送する搬送装置5と、半導体ウェハWのノッチNが所定位置まで回転したことを光学的に検出するとともに付着した気泡を除去する気泡除去装置33を備えた光学式ノッチセンサ3、及び、ノッチセンサ3によるノッチ検出後に係合する係合爪41を備えた機械的ノッチ係合装置4とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノッチを備えた半導体ウェハをノッチが予め定められた方向を向くように方向付けするためのアライニング装置に関し、特に、アライニングを浸漬水中において行うことができる水中アライニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハは、円柱状の半導体インゴットをスライスしたものであって、パターンが形成される表側の平坦部、その裏側の平坦部、周辺部の表裏に形成されたベベル面、このベベル面間にある円筒面を有している。この周辺部の一個所には切り欠き、いわゆる、ノッチが形成され、このノッチを形成している面(ノッチ面)は、他の面と同様に鏡面研磨処理が施される。
【0003】
半導体ウェハは実質的に円板状であって、上記各面はウェハの中心線に関して基本的に同等である。このため、特に半導体ウェハの向きを考慮しないでも研磨することが可能である。しかしながら、ノッチ及びノッチ面だけは上のような同等性がないため、ここを研磨するに当たっては半導体ウェハのノッチ及びノッチ面が研磨工具に対峙するように方向付けしなければならない。
【0004】
この方向付けのために、半導体ウェハ製造装置には、ウェハアライニング装置が設けられ、半導体ウェハを搬送装置によってノッチ研磨装置に搬入するに先立って、ノッチを所定の方向に向けるアライニング作業が行われる。従来から、ウェハアライニング装置は、半導体ウェハを水平に載置し、垂直な中心軸の回りにこれを回転させ、ノッチが予め定めた角度位置に来たとき回転を停止させるようにするのが通常採用されている構成である。このような構成のウェハアライニング装置の例を、特許文献1乃至6に見ることができる。
【0005】
一方、半導体製造においては、パーティクルの付着による汚染や化学的汚染等の外的要因が歩留まりを低下させたり、製品の信頼性を損なわせるものとして最も嫌われている。そのためプロセス内においては半導体ウェハの洗浄が繰り返し行われる。また、半導体ウェハに一旦付着したパーティクルは乾燥によってより強固に付着し、洗浄によっては除去困難になる場合があること、及び、乾燥により空気に触れて予定しない酸化膜が形成されること等の問題から、できるだけ空気に曝されないようにされている。
【0006】
このため、次工程の処理を待つ間、水中に保管するような対処策、あるいは、例えば、特許文献7、8に開示されているように、半導体ウェハを搬送する際に、純水を供給して表面を濡らしながらこれを行うといった技術も知られている。
【0007】
【特許文献1】特開平05−218179号公報
【特許文献2】特開平11−040652号公報
【特許文献3】特開2003−053645号公報
【特許文献4】特開2003−077872号公報
【特許文献5】特開2003−188235号公報
【特許文献6】実開平03−116039号公報
【特許文献7】特開平06−326067号公報
【特許文献8】特開平07−074133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、半導体製造過程において半導体ウェハの乾燥を防ぐ、あるいは、半導体ウェハをできるだけ空気に曝されないようにするという一般的な課題は当技術分野において知られているところであるが、本発明は、単にこのような一般的な課題解決にとどまらせることなく、半導体ウェハのアライニングを水中で実行するようにして、アライニングの間には全く空気に接触させないようにすること、及び、アライニングを水中で行うために、これまでのような空気中におけるアライニング作業では全く生じない問題、あるいは、問題にされない特有の事項までも解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は以下の手段によって解決される。すなわち、第1番目の発明は、浸漬水を流入させるための注入口及び注入された浸漬水が予め定められた水位を超えたとき水面近傍から流出させるため流出口を備えた浸漬水槽、上記浸漬水槽内の浸漬水中で、ノッチを備えた半導体ウェハを支持し、これを回転させる複数の支持ローラ、上記支持ローラを回転させる駆動ベルト、上記駆動ベルトを駆動するベルト駆動装置、上記半導体ウェハの周縁部を望むようにして水中に配置され、前記周縁部に形成されたノッチがこの配置位置まで回転したとき、これを光学的に検出する光学式ノッチセンサ、上記光学式ノッチセンサの光路を遮る気泡を除去する気泡除去装置、機械的ノッチ係合装置であって、上記ノッチに機械的に係合可能な係合爪、上記半導体ウェハの周縁部に向けて上記係合爪を付勢することが可能であって、付勢状態と付勢解除状態とを切り換えることができる係合爪付勢装置、及び、上記係合爪が上記ノッチに係合したとき、これを検出する係合センサを備えた機械的ノッチ係合装置、上記半導体ウェハを上記支持ローラによる支持位置に搬入出するための搬送装置、及び、制御装置であって、上記支持ローラに支持された半導体ウェハを回転させ、上記光学式ノッチセンサが上記ノッチを検出したとき、上記係合爪付勢装置を付勢状態に切り換え、上記半導体ウェハの更なる回転によって上記係合爪が上記ノッチに係合したことが上記係合センサによって検出されたとき、上記ベルト駆動装置を停止させるように制御する制御装置を備えていることを特徴とするノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置である。
【0010】
第2番目の発明は、第1番目の発明のノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置において、上記気泡除去装置は、上記光学式ノッチセンサの光路に向けて水を噴出するためのノズルを備えていることを特徴とするノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置である。
【0011】
第3番目の発明は、第2番目の発明のノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置において、上記光学式ノッチセンサは、一端が浸漬水槽外に設置された発受光装置に結合され、他端が互いに向き合って上記半導体ウェハの周縁部を望むように配置された一対の光ファイバセンサを備えていることを特徴とするノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置である。
【0012】
第4番目の発明は、第3番目の発明のノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置において、上記制御装置は、上記係合爪付勢装置を付勢状態に切り換えたとき、上記半導体ウェハの回転速度を第1速度からこれより低速の第2速度へと切り換えることが可能であることを特徴とするノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置である。
【0013】
第5番目の発明は、第4番目の発明のノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置において、上記係合爪は、上記半導体ウェハの回転軸方向に沿って同じ断面輪郭形状を有しており、上記ノッチとの接触位置をこの方向に沿って変更することが可能であることを特徴とするノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置である。
【0014】
第6番目の発明は、第5番目の発明のノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置において、上記複数の支持ローラの内の一部の支持ローラは、上記半導体ウェハの搬送路上に在り、上記搬送装置が上記半導体ウェハを搬送するとき、この搬送路から退避位置に一時的に退避するものであって、これにより、上記半導体ウェハが正面方向の大きい浸漬水の抵抗を受けることなく、その平坦面に沿って搬送することを可能とするものであることを特徴とするノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置である。
【0015】
第7番目の発明は、第6番目の発明のノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置において、上記支持ローラは、上記半導体ウェハをその平坦面が実質的に鉛直となる状態で支持するものであることを特徴とするノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明のノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置によれば、半導体ウェハはアライニング実行中に浸漬水中にあり、この間全く空気に接触することがないため、付着したパーティクルの乾燥による汚染や空気中の酸素による化学的汚染を防止できるので、半導体製造過程における歩留まりや製品の信頼性を低下させる要因を少なくすることができる。
【0017】
本願発明では、ノッチの検出に光学式ノッチセンサが使用される。ところが、水中であるため半導体ウェハのノッチ面あるいはノッチセンサの光学面に気泡が付着して光路を遮り、ノッチ検出の信頼性に支障を来すおそれがでてくる。
【0018】
つまり、搬送装置が外部空気中の半導体ウェハを水面を通過して浸漬水中に搬送するとき、ノッチの窪み内に気泡が抱き込まれ、脱落することなく、半導体ウェハがそのままアライニング位置に支持されるような場合、あるいは、浸漬水中に漂っている気泡が何らかの原因でノッチセンサの光学又はノッチ面に付着するような場合に生じると考えられる。
【0019】
本願発明では、気泡除去装置が備えられており、これらの付着した気泡を除去することにより、アライニングが浸漬水中で行われることから生じるこの特有の問題を解決している。これは本願発明の特徴の一つである。気泡除去装置は、最も簡単な例をあげるとすれば、光学式ノッチセンサの光路に向けてノズルから水を噴出する構成によって具体化することができる。
【0020】
上記光学式ノッチセンサは、一対の光ファイバセンサが用いられ、その一端が浸漬水槽外に設置された発受光装置に結合され、他端が互いに向き合って上記半導体ウェハの周縁部を望むように配置されている。発受光装置は、浸漬水の影響を受けにくい外部に設置されるので、光学式ノッチセンサ全体を水中に設置する場合に比べ、電気絶縁等の対策やメンテナンスが容易になり、トラブルも少なくすることができる。
【0021】
本願発明では、アライニングに際し、支持ローラによって、半導体ウェハは支持、回転させられるが、この支持ローラ自体は、駆動ベルトによる駆動方式が採用されている。これは、簡易かつ水中使用のトラブルが最も少ないからである。しかしながら、駆動ベルトは柔軟性を持たせるためにゴムが使用されているため、駆動力を伝達する際に、ある程度の伸びが伴うことを避けられない。
【0022】
このため、光学式ノッチセンサ単独でノッチ位置を検出して半導体ウェハの回転を停止させる構造とした場合、アライニング動作後に、半導体ウェハには駆動ベルトの伸びがゆっくり収縮することによるわずかな回転が生じる。本願発明では、アライニング動作の最後で、ノッチにノッチ係合爪を挿入し、この機械的係合により、上記収縮による意図しない回転が生じるのを防止するようにしている。光学式ノッチセンサによるノッチ検出と係合爪によるノッチへの機械的係合の組み合わせは、本願発明の特徴の一つである。
【0023】
ノッチ検出時に半導体ウェハをできるだけ速く回転させる方がアライニング時間の観点から有利である。しかしながら、他方では、ノッチ係合爪の係合が機械的であるため、速すぎれば係合時に衝撃が生じノッチ面を傷つけるおそれがある。このため、あまり高速にすることができない。本願発明では、係合爪付勢装置を付勢状態に切り換えたとき、半導体ウェハの回転速度を第1速度からこれより低速の第2速度へと切り換えるように制御することが可能である。
【0024】
これにより、本発明では、光学式ノッチセンサがノッチを検出するまでは高速の第1速度で、この検出後、ノッチ係合爪がノッチに係合するまでは低速の第2速度で半導体ウェハが回転することになる。これにより、ノッチ面を傷つけることなく、アライニング時間の短縮をはかることができる。
【0025】
係合爪は、ノッチとの係合を繰り返すうちに摩耗し、位置決めの精度が低下してくる。本発明では、係合爪が半導体ウェハの回転軸方向に沿って同じ断面輪郭形状を有している。長い期間同じ接触位置で使用した結果、摩耗が生じ、精度が確保できなくなった場合、あるいはその前に、上記ノッチとの接触位置を上記方向に沿って移動させ、接触位置を変更することが可能である。
【0026】
本願発明では、半導体ウェハは、支持ローラによってその平坦面が実質的に鉛直となる状態で支持されて、アライニングされる。搬送装置が、例えば、外部から支持ローラによる支持位置まで、及び、この支持位置から、例えば、外部へと、半導体ウェハを搬送する場合などに、少なくとも、半導体ウェハの一部が浸漬水中にあってその抵抗力が搬送に影響する間は、次の理由からできるだけ半導体ウェハの平坦面に沿わせるような方向に半導体ウェハを移動させる。
【0027】
上記搬送は、通常、ハンドの3、4個の把持ピンを用い、半導体ウェハの上下のベベル面間に在る円筒面の周囲から把持ピンを押しつけるようにして把持することにより行われる。このため、接触部は円筒面同士が外側で接する状態となり、接触面積がきわめて少なくなる。したがって、接触部にはきわめて局所的な力がかかることになる。このため、薄く、しかも半導体ウェハが脆性材料であることと相まって、強い力では把持することができない。
【0028】
本願発明では、半導体ウェハが支持される姿勢と搬送される方向とが実質的に同じ面内にあり、また、半導体ウェハが浸漬水中を搬送される間、面直角方向の移動を実質的に含まない。このため、浸漬水の抵抗を最小限にとどめることができる。これにより、浸漬水の面直角方向の抵抗は非常に小さくなり、これに打ち勝つための強力な搬送力、あるいは、強力なウェハ把持力は必要とされなくなるので、これらを原因とする半導体ウェハの破損を防止することができる。
【0029】
また、破損を考えて搬送速度をことさら低く抑える必要がなく、更に、半導体ウェハの平坦面が実質的に鉛直となる状態で支持するように支持ローラを設けた場合、半導体ウェハは水面に対し実質的に鉛直方向に搬送されることになるので、水中における搬送距離も時間も短くすることができ、アライニングの全処理時間が短くて済む。
【0030】
このように、アライニング時の支持姿勢、搬送時の姿勢、搬送方向を実質的に同一の鉛直面(つまり水面に対して垂直な面)内にもってくることは、水中で効率よくアライニングすることを可能とした本願発明の特徴の一つである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1は、本発明が適用された水中アライニング装置の正面図、図2は、水中アライニング装置の側面図である。図3、図4は、図1の要部拡大図である。
【0032】
本発明が適用された水中アライニング装置1は、浸漬水槽11を備えている。浸漬水槽11は、浸漬水を流入させるための注入口111及び注入された浸漬水が予め定められた水位を超えたとき水面近傍から流出させるための流出口112を備えている。水面近傍には汚染物質が集まりやすいので、水面近傍から浸漬水を流出させることにより、浸漬水全体の汚染を防止できる。なお、排出口113は、装置のメンテナンス等のために浸漬水全部を抜くためのものである。
【0033】
ノッチNを備えた半導体ウェハWは、この浸漬水槽11内に張られた浸漬水の中で、その平坦面Pが実質的に鉛直となる状態で複数の支持ローラ21、22によって支持され、回転させられる。
【0034】
一方の支持ローラ21は、回転軸211に固定、支持されている。ローラアーム23が、この回転軸211の回りで揺動可能に設けられている。このローラアーム23の反対側端部近傍にはアーム固定軸221が設けられており、他方の支持ローラ22が、このアーム固定軸221を中心に回転可能に設けられている。
【0035】
ローラアーム23の端部(図1で上側)には長さ方向に縦溝231が形成されている。揺動駆動源24は、揺動可能な駆動アーム241を備えており、その揺動中心242とは反対の側には揺動ピン243が固定されている。揺動ピン243はローラアーム23の縦溝231内に嵌合しており、揺動駆動源24によって駆動アーム241が揺動すると、ローラアーム23も揺動する。
【0036】
揺動駆動源24によって駆動アーム241を揺動させ、左右一対あるローラアーム23を上に向かって開かせることにより、支持プーリが退避し、半導体ウェハWが2つの支持ローラ22の間を通過できるようになる。また、反対に、一対のローラアーム23を閉じることにより、運び込まれた半導体ウェハWは、合計4個の支持ローラ21、22によって挟み込まれ、これにより支持される。
【0037】
支持ローラ21、22は、それぞれに同軸、一体のローラプーリ21p、22pを備えており、ローラプーリ21p、22pが回転するとき支持ローラ21、22も回転する。また、ローラプーリ21pと22pとの間には駆動ベルト253が掛け渡されている。
【0038】
回転軸211には更に駆動プーリ21qが固定されている。左右の駆動プーリ21qともう一つの駆動プーリ252の間には駆動ベルト251が掛け渡されている。駆動プーリ252はベルト駆動装置25によって回転駆動される。
【0039】
ベルト駆動装置25により駆動プーリ252が回転すると、この回転は、駆動プーリ252→駆動ベルト251→駆動プーリ21q→回転軸211→ローラプーリ21p→駆動ベルト253→ローラプーリ22pに伝達される。この結果、ベルト駆動装置25によって4つの支持ローラ21、22が同じ方向に回転駆動されるので、これらに支持されている半導体ウェハWも回転する。
【0040】
浸漬水槽11内には、半導体ウェハWのノッチNを光学的に検出する光学式ノッチセンサ3が配置されている。光学式ノッチセンサ3は、支持ローラ21、22に支持されている半導体ウェハWの周縁部を望むように水中に配置され、周縁部に形成されたノッチNがこの配置位置まで回転したとき、これを検出する。
【0041】
光学式ノッチセンサ3は、一端が浸漬水槽11外に設置された発受光装置31に結合され、他端が互いに向き合って半導体ウェハWの周縁部を望むように配置された一対の光ファイバセンサ321、322を備えている。また、光学式ノッチセンサ3には気泡除去装置33が設けられており、そのノズル331から、上記周縁部を望む光ファイバセンサ321、322の向かい合う間隙、つまり、光学式ノッチセンサ3の光路に向けて水を噴出させることによって、正常な検出を妨げるところの光路を遮る気泡を除去する。
【0042】
半導体ウェハWの回転方向で見て光学式ノッチセンサ3の下流側には機械的ノッチ係合装置4が設けられている。この機械的ノッチ係合装置4は、ノッチNに機械的に係合可能な係合爪41、係合爪付勢装置42、係合センサ43を備えている。係合爪付勢装置42は、半導体ウェハWの周縁部に向けて係合爪41を付勢することが可能であり、付勢状態と付勢解除状態とを切り換えることができる。係合センサ43は、係合爪41がノッチNに係合したこと(あるいは係合してないこと)を検出する。
【0043】
係合爪41は爪レバー421の一端に設けられている。爪レバー421は、調整スリーブ412内で自由に回転可能な軸棒411に固定されている。調整スリーブ412はねじ部4121及びフランジ4124を備えている。浸漬水槽11内の水槽壁413の適宜位置には取り付け穴4131が設けられている。調整スリーブ412は、調整ナット4122により水槽壁413に取り付けられている。水槽壁413とフランジ4124の間には水密用蛇腹4123が設けられている。
【0044】
調整ナット4122のねじ込み量を調整することにより、軸棒411の軸方向位置を調整することができる。更に、係合爪41は、半導体ウェハWの回転軸方向に沿って同じ断面輪郭形状を有しているため、軸棒411に取り付けられた爪レバー421、その先端の係合爪41の位置(図4矢印)を変更し、ノッチNとの接触位置をこの方向に沿って変更することが可能となる。
【0045】
上記軸棒411の他端(浸漬水槽11外)にはおもりレバー422が固定されており、調整おもり44がおもりレバー422上を摺動可能に取り付けられている。調整おもり44は板バネ441によりおもりレバー422に向けて付勢され、適度の摩擦抵抗が与えられている。このため、調整おもり44をスライドさせることができ、おもりレバー422上の軸方向位置を調整することができる。
【0046】
調整おもり44の重さによりおもりレバー422及び爪レバー421を反時計方向へ回そうとする付勢力が生じ、調整おもり44の位置調整により、半導体ウェハWに向けての係合爪41の付勢力の大きさを調整することができる。付勢力の大きさ調整は、このような調整おもり44の位置調整によるだけでなく、他の任意の構成、例えば、エアシリンダ45のピストンロッド451とおもりレバー422を直接連結させるような構成を採用することも可能であり、その際の付勢力の大きさは、エアシリンダ45に供給するエアーの圧力を調整することによるものとなる。
【0047】
エアシリンダ45は、そのピストンロッド451によりおもりレバー422を押し上げることができるので、後述の制御装置によりエアシリンダ45を操作し、係合爪41の半導体ウェハWへの付勢状態及び付勢解除状態を切り換えることができる。
【0048】
搬送装置5は、ハンド51及び搬送制御装置52を備えており、水中アライニング装置1外部から、支持ローラ21による支持位置まで、及び、この支持位置から装置外部へと、半導体ウェハWを搬送する。搬送装置5により半導体ウェハWは、その少なくとも一部が浸漬水中にある間は、半導体ウェハWの平坦面Pに沿って搬送される。半導体ウェハWが支持される姿勢と搬送される方向とが同じ面内(図2の鉛直面V上)にあるので、半導体ウェハが浸漬水中を搬送される間、面直角方向の移動を含まない。
【0049】
なお、ハンド51は、アライニングするために搬入したとき、半導体ウェハWを支持ローラ21、22に受け渡した後は、把持爪が半導体ウェハWと干渉しないように水平方向(図2における左方向)に引き下がり、アライニング終了後は、これと逆のコースをとるのはいうまでもない。
【0050】
このため、浸漬水の抵抗を最小限にとどめることができる。これにより、浸漬水の面直角方向の抵抗はなくなり、これに打ち勝つための強力な搬送力、あるいは、強力なウェハ把持力は必要とされなくなるので、これらを原因とする半導体ウェハの破損を防止することができる。平坦面Pは鉛直面に沿って搬送、支持されるので、半導体ウェハの水中における搬送距離も短くすることができ、アライニングの全処理時間が短くて済む。
【0051】
制御装置6は、支持ローラ21、22に支持された半導体ウェハWを回転させ、光学式ノッチセンサ3がノッチNを検出したとき、機械的ノッチ係合装置4の係合爪付勢装置42を付勢状態に切り換える。このとき、より確実にノッチNを検出し、半導体ウェハWや係合爪41の傷付きや摩耗を防止するために、半導体ウェハWの回転速度を第1速度からこれより低速の第2速度へと切り換えるようにすることも可能である。そして、半導体ウェハWの更なる回転によって係合爪41がノッチNに係合したことが係合センサ43によって検出されたとき、ベルト駆動装置25を停止させるように制御する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、本発明が適用された水中アライニング装置の正面図である。
【図2】図2は、水中アライニング装置の側面図である。
【図3】図3は、要部拡大図である。
【図4】図4は、要部拡大図である。
【符号の説明】
【0053】
1 水中アライニング装置
11 浸漬水槽
111 注入口
112 流出口
113 排出口
21 支持ローラ
211 回転軸
21p ローラプーリ
21q 駆動プーリ
22 支持ローラ
221 アーム固定軸
22p ローラプーリ
23 ローラアーム
231 縦溝
24 揺動駆動源
241 駆動アーム
242 揺動中心
243 揺動ピン
25 ベルト駆動装置
251 駆動ベルト
252 駆動プーリ
253 駆動ベルト
3 光学式ノッチセンサ
31 発受光装置
321、322 光ファイバセンサ
33 気泡除去装置
331 ノズル
4 機械的ノッチ係合装置
41 係合爪
411 軸棒
412 調整スリーブ
4121 ねじ部
4122 調整ナット
4123 水密用蛇腹
4124 フランジ
413 ブラケット
4131 取り付け穴
42 係合爪付勢装置
421 爪レバー
422 おもりレバー
43 係合センサ
44 調整おもり
441 板バネ
45 エアシリンダ
451 ピストンロッド
5 搬送装置
51 ハンド
52 搬送制御装置
6 制御装置
N ノッチ
P 平坦面
V 鉛直面
W 半導体ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸漬水を流入させるための注入口及び注入された浸漬水が予め定められた水位を超えたとき水面近傍から流出させるため流出口を備えた浸漬水槽、
上記浸漬水槽内の浸漬水中で、ノッチを備えた半導体ウェハを支持し、これを回転させる複数の支持ローラ、
上記支持ローラを回転させる駆動ベルト、
上記駆動ベルトを駆動するベルト駆動装置、
上記半導体ウェハの周縁部を望むようにして水中に配置され、前記周縁部に形成されたノッチがこの配置位置まで回転したとき、これを光学的に検出する光学式ノッチセンサ、
上記光学式ノッチセンサの光路を遮る気泡を除去する気泡除去装置、
機械的ノッチ係合装置であって、
上記ノッチに機械的に係合可能な係合爪、
上記半導体ウェハの周縁部に向けて上記係合爪を付勢することが可能であって、付勢状態と付勢解除状態とを切り換えることができる係合爪付勢装置、及び、
上記係合爪が上記ノッチに係合したとき、これを検出する係合センサ
を備えた機械的ノッチ係合装置、
上記半導体ウェハを上記支持ローラによる支持位置に搬入出するための搬送装置、及び、
制御装置であって、上記支持ローラに支持された半導体ウェハを回転させ、上記光学式ノッチセンサが上記ノッチを検出したとき、上記係合爪付勢装置を付勢状態に切り換え、上記半導体ウェハの更なる回転によって上記係合爪が上記ノッチに係合したことが上記係合センサによって検出されたとき、上記ベルト駆動装置を停止させるように制御する制御装置
を備えていることを特徴とするノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置において、
上記気泡除去装置は、上記光学式ノッチセンサの光路に向けて水を噴出するためのノズルを備えていること
を特徴とするノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置。
【請求項3】
請求項2に記載されたノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置において、
上記光学式ノッチセンサは、一端が浸漬水槽外に設置された発受光装置に結合され、他端が互いに向き合って上記半導体ウェハの周縁部を望むように配置された一対の光ファイバセンサを備えていること
を特徴とするノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置。
【請求項4】
請求項3に記載されたノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置において、
上記制御装置は、上記係合爪付勢装置を付勢状態に切り換えたとき、上記半導体ウェハの回転速度を第1速度からこれより低速の第2速度へと切り換えることが可能であること
を特徴とするノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置。
【請求項5】
請求項4に記載されたノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置において、
上記係合爪は、上記半導体ウェハの回転軸方向に沿って同じ断面輪郭形状を有しており、上記ノッチとの接触位置をこの方向に沿って変更することが可能であること
を特徴とするノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置。
【請求項6】
請求項5に記載されたノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置において、
上記複数の支持ローラの内の一部の支持ローラは、上記半導体ウェハの搬送路上に在り、上記搬送装置が上記半導体ウェハを搬送するとき、この搬送路から退避位置に一時的に退避するものであって、これにより、上記半導体ウェハが正面方向の大きい浸漬水の抵抗を受けることなく、その平坦面に沿って搬送することを可能とするものであること
を特徴とするノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置。
【請求項7】
請求項6に記載されたノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置において、
上記支持ローラは、上記半導体ウェハをその平坦面が実質的に鉛直となる状態で支持するものであること
を特徴とするノッチを備えた半導体ウェハのための水中アライニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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