説明

ノッチを設けた可撓性スカートを有する圧力調理器のガスケット

この発明は、容器(2)と調理チャンバー(5)を画成する蓋(3)とを含み、圧力下で食品を調理する器具(1)のためのシール(10)に関し、前記シールはそこから少なくとも1つの第1リップ(12)が突出するヒール部(11)を具え、前記リップはそこにあけられてリップの本体(e)を通って延在する少なくとも1つの解放窓(20)を有し、前記第1リップ(12)はまた、調理チャンバー(5)の内圧があらかじめ設定した閾値を超えた場合、解放窓(20)がヒール部(11)に対して移動し、前記調理チャンバー(5)が器具(1)の外側と連通状態に置かれる手段によって前記解放窓(20)が解放開口をあけることができることを可能にする差動部材も形成する。この発明はまた、圧力下で食品を調理するための器具にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気を充満させた雰囲気にて圧力により食品を調理する圧力調理器の如き器具の一般的な技術分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、このような器具に正しく配されてこれが調理中の場合に器具の内側と外側との間をシールするように設計されたシールガスケットに関する。
【0003】
従って、本発明は圧力下で食品を調理する器具のためのシールガスケットに関し、前記器具は、容器と、この容器に取り付けられて調理空間を画成するように設計された蓋とを具え、前記ガスケットは前記蓋と前記容器との間に介在して前記調理空間をシールするように設計され、前記ガスケットは少なくとも1つの第1リップが突出するヒール部を有する。
【0004】
本発明はまた、本発明のシールガスケットを装備するか、あるいはこれを組み込むのに適した圧力下で食品を調理するための器具にも関する。
【背景技術】
【0005】
圧力下で食品を調理するための対象となる器具の種類にかかわらず、調理空間の内側と外側との間をシールするため、特にエラストマー材料で作られたシールガスケットを用いると同時に調理周期全体に亙って容器に圧力を加えることが良く知られている。
【0006】
このため、蓋と容器の上端リムとの間で圧縮されるロープシール型のガスケットか、実際にはリップシールガスケットが概ね用いられている。ある特定の場合において、このようなガスケットはまた、前記調理空間内にあまりにも高い過剰圧力が生じた場合、蒸気を調理空間から漏出させることができる安全部材を構成することも可能である。
【0007】
前記ガスケットを変形させることを可能にしてこのような安全機能を達成するため、前記ヒール部の外周面から始まる1つ以上の場所で材料を除去することにより、ガスケットのヒール部を局部的に取り除くことができることが知られている。
【0008】
従って、ガスケットのヒール部が蓋の側端縁に対して平らに伸ばされるか、蓋に設けた窓を介して一様に押し出されるようになるまで、これを外側に変形可能にする1つ以上の凹部が設けられる。この方法において、リップは径方向外側への移動中にヒール部の局部的な変形を伴い、調理空間に蓄えられる圧力があらかじめ設定した値を超えた場合、リップがその上端を超えてひっくり返ることによって容器の上端リムを乗り越え、それによって調理空間のシールを破り、過剰圧力にある流体を逃がすことができるようにするというようになっている。
【発明の概要】
【0009】
このような器具は、他の調整または安全器具が不完全な場合、特に最後の手段の安全基準を得ることを可能にすることにより、作動中の安全性に関して利点をもたらすことを否定できないけれども、それにもかかわらず、これらはある特定の欠点で苦労する。
【0010】
第一に、ガスケットは、リップが容器のリムの上端を超えてひっくり返るという突然の性質のため、そのシール形態からその漏洩形態へと比較的急に進行する可能性がある。それは、多量かつ突然の蒸気の排出が結果として生ずる可能性があり、食品のすべてがだめになる可能性があり、また使用者がやけどをしたり、コンロまたは調理台を汚す可能性がある。
【0011】
加えて、蓋それ自体か、または蓋と容器のリムとの間の何れかに設けた狭い通路を通って強制的に押し出されるガスケットの一部、特にリップは、前記ガスケットに激しくかつ取り返しのつかない損傷を与えることを助長し、従ってこのような安全措置が引き起こされた後にガスケットを概ね交換しなくてはならない。
【0012】
加えて、外周凹部の存在は、ガスケットの、より詳細にはそのヒール部の局部的な脆弱化をもたらし、それによりこれが応力下で破損の危険にさらされ、従ってその寿命を減少させるか、実際にはその信頼度を低減させる傾向がある。
【0013】
最後に、ある特定機種の圧力鍋において、ガスケットの変形領域をその目的のために容器および/または蓋に特別に設けた漏洩通路と一致させることが必要であり、これを器具に取り付ける間、対応するガスケットに特別な注意を払うことが要求されるようになっており、その目的のため、このようなガスケットにはこれらが1つの位置にのみ再現可能に置かれることを保証するように設計された位置合わせまたは指示手段がしばしば設けられる。
【0014】
当然のこととして、これは製造上の制約を増大させ、ガスケットおよび圧力鍋の両方共に製造および組み立て作業を概ね複雑にし、その費用を上昇させる。
【0015】
従って、本発明に課された目的は、上述の欠点を是正し、圧力下で食品を調理するための調理器具用の新奇なシールガスケットを提供することであり、これは過剰圧力の場合に前記調理器具のために作動する安全性を保証することを可能にすると同時に特に信頼できかつ堅牢でもある。
【0016】
本発明に課された他の目的は、特に単純な構造の新奇なシールガスケットを提供することであり、これは製造するのが高価ではない。
【0017】
本発明に課された他の目的は、特に制御された再現可能かつ安全な方法で作動する新奇なシールガスケットを提供することであり、これは均一かつ穏やかな挙動を呈する。
【0018】
本発明に課された他の目的は、良好な人間工学を施した新奇なシールガスケットを提供することであり、これは正しい位置に置くことが容易かつ直観的にわかる。
【0019】
本発明に課された他の目的は、調理周期の開始時点での使用者の予防的安全性と、前記調理周期中の使用者の事故防止とを両方とも保証することができる新奇なシールガスケットを提供することである。
【0020】
本発明に課された他の目的は、圧力下で食品を調理するための新奇な調理器具を提供することであり、これは強化された作動安全性と、改善された信頼性と、改善された寿命とを有する。
【0021】
本発明に課された他の目的は、圧力下で食品を調理するための新奇な調理器具を提供することであり、これは単純化された構造と、単純化された組み立てと、低い製造費用とで作られる。
【0022】
本発明に課されたこれらの目的は、圧力下で食品を調理するための調理器具用シールガスケットによって達成され、前記調理器具は容器とこの容器に取り付けられて調理空間を画成するように設計された蓋とを具え、前記ガスケットは前記蓋と前記容器との間に介在して前記調理空間をシールするように設計されており、前記ガスケットは少なくとも1つの第1リップが突出するヒール部を有し、前記第1リップにはその厚みを貫通する少なくとも1つの逃がし窓が設けられ、前記調理空間内を支配する圧力があらかじめ設定した閾値を超えた場合、前記第1リップは、前記ヒール部に対して前記逃がし窓を相対移動させることができるように設計された差動部材を形成し、前記相対移動は、前記逃がし窓が漏洩オリフィスを開くことができるようにして前記調理空間を前記調理器具の外部と連通状態にすることを特徴とする。
【0023】
本発明に課されたこれらの目的はまた、圧力下で食品を調理するための調理器具によっても達成され、これには本発明のシールガスケットが設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の他の目的および利点は、添付図面により、限定ではない例示の方法によって単に与えられる次の説明を読むことで、より詳細に明らかとなる。
【0025】
【図1】本発明のシールガスケットの異なる一実施形態の上からの立体投影図である。
【図2】図1に示したシールガスケットの下からの立体投影図である。
【図3】シールガスケットが取り付けられた本発明の調理器具の異なる一実施形態の径方向軸線(Y11')に沿った破断断面図であり、蓋が容器に固定された場合および調理空間が正常な作動圧力にある場合の図1および図2に示すシールガスケットに対応している。
【図4】調理空間内を支配する圧力があらかじめ設定した圧力を超え、ガスケットがその漏洩形態に切り替わるようになる場合の図3に示した調理器具の破断断面図である。
【図5】前記ガスケットを間違った方法で図3および4に示す調理器具に取り付けた場合の図1から図4までに示したガスケットの挙動を示す径方向(Y22')の破断断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、圧力下で食品を調理するための調理器具1に関し、この器具は好ましくは家庭用圧力調理器の種類のものである。
【0027】
前記器具1は、容器2と、この容器に取り付けられるように設計され、より好ましくは前記容器の上端リム4に配されて調理空間5を画成するように設計された蓋3とを具える。
【0028】
当然、本発明は食品を調理するための器具に決して限定されず、特にこれは蒸気およびより詳細には例えば圧力釜の如き圧力下の蒸気を含むように設計された他の種類の容器に適用させることができる。
【0029】
説明の便宜のため、調理器具1が平で水平な調理台P0に置かれ、容器の底2Aが前記調理台に載せられ、蓋3が容器2に重ね合わされ、前記調理台に対して直角をなす鉛直軸線(ZZ')に沿ってこれと共にほぼ見当合わせされていることが以下に考慮される。
【0030】
図3,図4および図5に示す異なる実施形態が対応した異なる一実施形態において、蓋3は、径方向外側に連続的して凸状にせり上がった中央領域3Aを設けることができ、これは蓋3の外側に向けて進み、下がった斜面3Bによってこれが環状の平坦面3Cに続き、これは好ましくはほぼ直線かつ垂直である下がった環状の端縁3Dに続き、この環状の端縁は内側に丸めた端部3Eで終わる。
【0031】
当然、蓋3はどのような直径または他の如何なる具体的形状のもの、特にほぼ平坦、すなわち下がった斜面3Bがなく、環状の平坦面3Cと直接つながってほぼ水平な円板を形成する凸状ではない中央領域3Aを有することができる。
【0032】
容器2の上端リム4は、容器の上端から丸められるか、あるいは打ち抜かれる下がった端縁を有することが好都合である可能性がある。前記上端リム4により形成された皿状の縁部は、特にほぼ水平であるか、好ましくは図3から図5に示すように容器の内側に向けて僅かに傾斜させ、前記容器の内側および底に向けて収斂するほぼ円錐状の屋根部を形成することができる。
【0033】
当然、あらゆる形状の容器のリム4に合致するように、特にほぼ平坦かつ水平なリムか、実際には容器の外側に向けて下向きに傾斜させたリムに合致するように、本発明を適合せさることは完璧に可能である。
【0034】
蓋3および容器2を硬質材料および好ましくは圧力調理の熱および応力に耐えるのに適した金属から作ることが有利である。
【0035】
周知の方法において、器具1は固定手段6をさらに具え、これは蓋3を容器2に保持し、より詳細には蓋および容器がばらばらになることを阻止し、特に調理空間4がその作動圧力にある場合に蓋が押し上げられるのを阻止することを可能にする。
【0036】
前記固定手段6は、容器2に対する蓋3の固定および固定解除を使用者の制御によって交互に行うことができる限り、本発明を限定しない異なる形態であってよい。
【0037】
例として、バヨネット継手か、固定バーまたは部品などを有するシステムを前記固定手段6に組み込むことができる。
【0038】
図3に示す好ましい異なる実施形態において、前記固定手段6は、少なくとも1つのジョー7、好ましくは径方向に正対すると共に蓋3にある径方向部品に対して少なくとも移動するように取り付けられた2つのジョー7を具え、前記ジョー7は、容器2の上端リム4により係合状態となるように設計されている。
【0039】
加えて、通常の動作状態において、より詳細にはほぼ1キロパスカルkPaから200kPaの範囲の過剰圧力およびほぼ100℃から135℃の範囲の温度の蒸気で前記調理空間5が満たされた時に調理空間5をシールするため、蓋3と容器2との間に介在するように設計されたシールガスケット10が調理器具1に設けられている。
【0040】
前記シールガスケット10は、少なくとも1つの第1リップ12が突出するヒール部11を有し、このリップ部はヒール部11に結合する基部14から反対の自由端15まで延在している。
【0041】
都合が良いことに、蓋3と容器2との間にシール結合を形成するため、第1リップ12は蓋により、あるいは好ましくは図3および図4に示すように、容器の上端リム4によって形成することができる座部16に対し支持された状態になるように設計されている。
【0042】
当然、本発明は、特定形状のシールガスケット10に決して限定されず、任意の特定形状の調理器具1に、より詳細にはあらゆる特定形状の容器リム4または蓋3に合致でき、特にほぼ楕円か、正方形か、多角形か、または他のあらゆる適当な種類の一般的な幾何学的図形を有することができる。
【0043】
しかしながら、特に好ましくは、図1および図2に示すように、シールガスケット10は全体的にほぼ円形の対称形状であり、その形状の軸線要素が鉛直軸線(ZZ')に対応し、同じことが調理器具1、より詳細には容器2および蓋3に対して適用され、第1リップ12が容器リム4と接触状態のシール帯域を都合よく形成することができるようになっている。
【0044】
加えて、ヒール部11に第1リップ12を配する方法は、どのような特定の異なる実施形態に対しても決して限定されないけれども、ヒール部11はその周縁にて前記第1リップ12を好ましくは取り囲む。
【0045】
換言すると、ヒール部11は、第1リップ12を含む周縁帯域を好ましくは形成し、このリップはガスケット10の内側に向けて前記ヒール部11から内側に突出するスカートを形成する。従って、第1リップ12は組み立てによってその基部14とその自由端15との間に少なくとも1つの径方向内側延在部品を好ましくは有する。
【0046】
好ましくは、前記第1リップ12は、少なくともガスケット10それ自体が静止状態にあって、その上端面17とその底面18とがほぼ平坦である場合、その基部14からその自由端15までほぼ直線的に延在する。
【0047】
加えて、第1リップ12はその基部14からその自由端15までほぼ一定の厚みeを有することが好ましく、上端面17と底面18とは相互にほぼ平行であることが好ましい。
【0048】
本発明の重要な特性によると、第1リップ12にはその厚みeを貫通する少なくとも1つの逃がし窓20が設けられ、前記第1リップ12は、調理空間5内を支配する圧力があらかじめ設定した閾値PSを超えた場合、逃がし窓20をヒール部11に対して移動させることができるように設計した差動部材を形成し、その移動は、前記逃がし窓20が漏洩オリフィスを開いて調理空間5が器具1の外部と連通状態になることを可能にする。
【0049】
好ましくは、前記あらかじめ設定した閾圧力PSは、ほぼ140kPaから270kPaまでの範囲、または実際には180kPaから200kPaまでの範囲にあり、それによってガスケットを安全モードへと作動させることを可能にし、調理空間の内側を支配する圧力が調理に必要な圧力を越えて器具または使用者にとって危険であるとみなされた程度に到達した場合に漏洩を発現させる。
【0050】
従って、都合が良いことに、本発明のシールガスケット10は、このガスケット10が蓋と容器との間にシール結合を形成することによって調理空間をシールし、より詳細には逃がし窓20が第1の位置を取り、図3に示すように第1リップ12が座部16とシール形態で協力するようになっているシール形態から、調理空間5のシールが前記ガスケット10にて破られ、より詳細には逃がし窓20が第1の位置と異なる第2の位置を取り、調理空間5が前記逃がし窓20を介して調理器具1の外部と連通するようになっている漏洩形態まで作動することができるように設計され、従って、この窓は図4に示すように漏洩オリフィスを形成する。
【0051】
都合が良いことに、その逃がし窓20が設けられた第1リップ12は、座部16に対し、より詳細には容器リム4に対する移動閉鎖部材を形成し、調理空間5の内部を支配する圧力の程度によって位置を変更させられ、従ってこれは安全弁とほぼ同様に機能することができるようになっている。
【0052】
好ましくは、本発明のシールガスケット10は、定格弁および/または蓋に取り付けられる種類の弁部材の安全部材の如き作動圧を調整するための調整部材をすでに有する調理器具1の追加の安全部材として重複して用いられる。
【0053】
「差動部材を形成」という句は、第1リップ12がヒール部11に対して逃がし窓20を多少とも動かすことを可能にするように設計されていることを意味し、この相対移動は、ガスケット10をそのシール形態からその漏洩形態まで作動させるのに必要かつ充分であり、好ましくはそれ自体で充分である。
【0054】
換言すると、ヒール部11それ自体は変形の影響、特に調理空間5内を支配する圧力の増大によって動くことができ、次いで前記ヒール部11がリップ12を逃がし窓20と共に第1の動作においてこれを引っ張ることを除外しないけれども、第2の動作においてヒール部11に対する逃がし窓20の付加的移動への第1リップ12の貢献が調理空間5を器具1の外部と連通状態に置くか、あるいは逆にこのような連通を遮ることを可能にさせる。
【0055】
従って、第1リップ12は、逃がし窓20がどの通路とも異なる大きさか、またはヒール部11の移動の大きさを介して通路に沿って動くことを可能にする。
【0056】
好ましくは、ヒール部11が動くことができるかどうかではなく、ガスケットが調理器具に正しく置かれた場合、前記ヒール部11が保持部材21に対して当接状態になるように構成され、これは容器2または蓋3に属することができ、ガスケット10の径方向拡大を制限するように設計されている。
【0057】
第1リップはまた、前記ヒール部11それ自体が前記保持部材21に対して当接状態にある場合、逃がし窓20がヒール部11に対して径方向外側に移動できるように好ましくは設計される。
【0058】
換言すると、調理器具は、調理空間が圧力を受けた場合、保持部材21がヒール部11の移動を阻止するように好ましくは構成され、調理空間それ自体が圧力下にある場合にヒール部11の径方向外側の拡大をくい止めるか、または実際に阻止するため、同時に逃がし窓20が第1リップ12を介し、鉛直軸線(ZZ')に対して横切る軸線(Y11')にほぼ沿って、前記鉛直軸線から離れて前記逃がし窓が動くような方向に残余分として移動することもまた、可能にする。
【0059】
好ましくは、逃がし窓20に対して径方向にほぼ整列するように位置させた径方向当接部を保持部材21に形成し、図3および図4に示すように、特に蓋3の下がった端縁3Dに近接して形成することができ、第1のリップ12は容器リム4と接触状態で動く。
【0060】
必然的に、保持部材21を逆に容器2それ自体に、例えば容器リムの肩部に設けることが完璧に可能であり、同時に第1リップ12が蓋に支持された状態となるように設計される。
【0061】
加えて、逃がし窓20の数およびそれまたはそれらの位置および形状は、特定の異なる一実施形態に決して限定しない。
【0062】
従って、上端面17からその底面18までリップの本体を貫通する1つ以上の穿孔によって窓を形成することを考慮することが特に可能であり、前記穿孔は自由に選択されかつ閉じた輪郭を有することができる形状を与える。
【0063】
しかしながら、単一の逃がし窓20または逃がし窓20のそれぞれは、第1リップ12の自由端15に開口するノッチによって好ましくは形成され、以下においては単なる説明の利便性により、このようなノッチとして考慮することができる。
【0064】
好ましくは、前記ノッチ20のそれぞれがほぼU字形状の切欠き輪郭を有する。
【0065】
都合が良いことに、このような構成は、実施を特に容易にする。加えて、その丸い形状は、あらゆる応力集中を制限することを可能にし、従ってノッチの中空部における裂断の危険性を制限する。
【0066】
特に好ましくは、第1リップ12は複数のノッチ20を有し、図1および図2に示すように、これらはほぼ同一であって、その周囲にぐるりと均等に振り分けられている。
【0067】
都合が良いことに、ヒール部11に対する逃がし窓20の差動は、第1リップ12の弾性変形によって起こり、 前記変形は好ましくは調理空間5を支配する圧力から前記第1リップに直接加えられる応力によって生ずる。
【0068】
このため、第1リップ12は、エラストマー材料、例えばシリコーンまたはニトリルブタジエンゴム類の合成ゴムで好ましくは作られ、シールガスケット10は前記エラストマー材料で全体が一体に形成されることが特に好ましい。
【0069】
当然、当業者は、ガスケットを作るためにどのような材料が選択されたとしても、可撓性およびヒール部11に対する望ましい移動量を得るため、第1リップ12の適切な形状および寸法を決定することができる。
【0070】
特に寸法、とりわけ第1リップ12の厚みeは圧力を受けて湾曲することができ、風の振る舞いによってはらむ帆に少しばかり似るような方法で好ましくは選択され、その上端面17がそれ自体に重なって湾曲すると同時に径方向外側に動かされることによって底面18が出っ張るようになっている。
【0071】
例として、前記厚みeは1ミリメートル(mm)から3mmまでの範囲にあり、好ましくは1.8mm前後にあることができる。
【0072】
加えて、第1リップ12の長さLは、基部14から自由端15まで測定した場合、好ましくは5mmから15mmまでの範囲に大体あり、13mm前後にあることが好ましい。
【0073】
本発明において、ガスケット10がそのシール形態からその漏洩形態まで動くことを可能にする逃がし窓20に必要な移動は、リップ12により、より詳細には調理空間5内を支配する圧力の作用による前記リップ12の弾性変形現象により、少なくとも部分的に、また好ましくは主として、あるいは実際には独占的に与えられる。
【0074】
このため、第1リップ12は、逃がし窓20がヒール部11に対して径方向ストロークCRを超えて移動することを可能にすることが好ましく、これは3mmから8mmまでの範囲に実質的にあり、また例えば4.5mm前後にある。
【0075】
より詳細には、この径方向のストロークCRは、図4に示すようにノッチ20の端壁22から鉛直軸線(ZZ')までの距離の変化に好ましくは対応し、ノッチ20が第1リップ12の作動によって動いた場合、および前記リップがこの実施形態において図4に破線で示すように、これがほぼまっすぐであるシール形態から、この実施形態において図4中の実線で示すように、これが湾曲してそれ自体を寄せる漏洩形態まで動いた場合、前記端壁は、第1リップ12の連続する本体と前記ノッチ20の空隙との間の分離を特徴付ける。
【0076】
加えて、第1リップ12と座部16との間、より詳細には第1リップと容器2の上端リム4との間の接触状態が前記第1リップ12の中間部23に実質的に維持され、自由端15から前記中間部までの距離は、第1リップの長さLの0.2倍から第1リップの長さLの0.7倍の範囲に実質的にあるように、シールガスケット10を設計することが好ましい。
【0077】
都合が良いことに、このような構造的特徴は、蓋が容器に正しく置かれる場合およびガスケット10がその漏洩形態になる場合の両方で、ガスケットがリップの本体の中央部に向き合って位置したままの環状の接触帯域23'のほぼ全面に亙って座部16と、より詳細には容器上端リム4と接触状態になることを可能にする。
【0078】
従って、前記リップ12は、いうなれば、ガスケットそれ自体が漏洩形態にある場合を含み、座部と完全に非接触状態にならずに座部16に対するその長さLと同じ方向に機能的に動くことができる程度の長さの蓄えを有する。
【0079】
従って、より詳細には、前記リムの上端を超えて漏れが発生するように、端壁22が容器リム4の最も高いすべての位置に対応した環状の頂上線25を横切るようにすることを可能にし、同時に前記リム4の内側斜面に対して座部16と接触状態で前記ノッチ20の側方に位置する第1リップ12の部分もまた、前記頂上線24から後退して保持される。
【0080】
従って、ノッチ20の側方に位置する第1リップ12の部分は、前記第1リップ12、より詳細にはその自由端15を頂上線24によって画成される円周の内側に保持するのに適した保持フラップを都合よく形成し、それによって自由端15がリム4の上端を超えて偶然ひっくり返るあらゆる可能性を阻止し、これはガスケット10および蓋と容器との間の第1リップ12がリム4の上端を超えるあらゆる押し出しを回避する。
【0081】
ガスケット10の安全機能が引き起こされた場合、このような構成は、特に予測可能であって、段階的かつ安全であってガスケットを損傷する可能性のない器具の挙動をもたらす。
【0082】
好ましくは、ノッチ20またはノッチのそれぞれが前記第1リップ12の長さLのおそそ0.4倍から前記長さLの0.7倍までの長さに亙って第1リップに貫入する。従って、特に、ノッチ20は、端壁22から自由端15まで測った場合、深さAが5mmから9mmの範囲に実質的にあり、例えば7mm前後にあってよい。
【0083】
前記ノッチ20の幅Bは、2mmから8mmの範囲に実質的にあり、例えば6mm前後にあってよい。
【0084】
当然、当業者は、逃がし窓20の寸法と、特にノッチの深さとを決定することができ、リップの長さおよび容器リム4の幾何学的形状を考慮し、シールガスケット10が正常動作状態による調理空間5に関して適当なシールをまず与え、次にあらかじめ設定した閾値PSに関して過大な過剰圧力が発生した場合、都合よく逃がし窓20だけを介して安全な漏洩を引き起こす。
【0085】
このため、図示されたもの以外の大きさおよび幾何学的形状を当然考慮することができる。
【0086】
ヒール部11の径方向外周縁11Eに1つ以上の後退部または切欠きを設けることは不可能ではないけれども、前記径方向外周縁11Eには逃がし窓20と位置合わせするどのような後退部も好ましくは実質的にまたは実際に完全に除外される。
【0087】
都合が良いことに、逃がし窓20が第1リップ12によって動かされるので、ガスケット10をそのシール形態からその漏洩形態まで動かすためにヒール部11それ自体を変形させる必要がもうない。
【0088】
従って、ヒール部自体に変形領域を与える必要はなく、前記ヒール部が凸形や均一ならびに隙間や平坦面または凹形切欠きのない形状を保有することが都合よく実質的にできるようにする。
【0089】
都合が良いことに、その周縁全体に亙ってほぼ一定の厚みのほぼ連続したヒール部11を保有することによって、ガスケットの脆弱領域が作り出されず、従ってガスケットはより強靱である。
【0090】
加えて、このようなヒール部11は、静止状態を含め、調理空間内を支配する圧力が安全閾値PSよりも小さい場合、保持部材21に対し、より詳細には蓋3の下がった端縁3Dに対し、ほぼ連続的、均一かつ一様に支持されるのに適当なほぼ一定の直径のバンドのようなものを都合よく形成することができ、それによってこれが適切に位置決めされ、かつこれが蓋の内側にしっかりと保持されることを保証する。
【0091】
加えて、ヒール部11は、蓋3が容器2に対して中心に置かれることを保証するため、ほぼ垂直であって、容器リム4の横方向外側部分と下がった端縁3Dの横方向内側面との間に介在するように設計された調心突起25によって、都合よく延在することができる。
【0092】
好ましくは、前記調心突起25はバンドを形成し、これには当該バンドから径方向内側に突出する複数の突出部25'が設けられ、容器リムに対して複数の支承点を与えるように設計され、これらは相互に離れて空間をあけられている。従って、この調心は、調心突起25の径方向内側面の全体に亙って連続的にと言うよりは、むしろ前記突出部25'にて点状に都合よく行われる。
【0093】
好ましくは、シールガスケット10はまた、調心突起25と第1リップ12との間にある中空部に位置する隙間領域26をも有する。
【0094】
都合が良いことに、このような隙間領域26は、ガスケットが前記リムに重なった状態で容器リム4に支持されることによって、蓋を容器の中心に合わせるのみならず、前記リップが外側に移動すると同時にこれが圧力の影響により動かされて変形した場合、第1リップ12を構成する材料を受けるための領域をもたらすために役立つことができ、従って隙間領域26は、前記第1リップ12が移動し、かつ逃がし窓20が移動するために必要な隙間を使える状態にする。
【0095】
このため、第1リップ12は、ガスケット10が静止状態の場合、20°から50°までの範囲に実質的にあり、それ自体調理台表面P0に対してほぼ平行であるガスケットの水平面P1に対して好ましくは35°前後にある角度aにて図3および図4において下方に傾斜したほぼ平坦な構造体を少なくとも有する。
【0096】
都合が良いことに、図2に示すように、それぞれのノッチ20はまた、2つの連続する突出部25'の間の長さに対応した扇形角度に位置させ、特にこの扇形角度にほぼ中心を合わせて位置させることもできる。
【0097】
従って、ガスケットが正しく置かれると、それぞれのノッチそれ自体は、スペーサーとして機能するその突出部25'によって支持される調心突起25の径方向内側面を扇形に仕切る前記ガスケットの扇形角度と径方向に見当を合わせ状態になり、容器リムから実質的に持ち上げられ、そこから多少の距離に保たれ、それによってまず前記ノッチと見当を合わせた隙間領域26によりもたらされる利用可能な空間を最大にし、次にリップ12の底面18と外部との間に利用可能な漏洩通路を形成することをもたらす。
【0098】
加えて、シールガスケットには、ヒール部11から突出する第2リップ30が好ましくは設けられ、この第2リップ30は、第1リップ12よりも硬質で短い。好ましくは、前記第2リップ30は、第1リップ12が留まるようになる部材に対し、より詳細には蓋に対して部材の反対側をシール状態で支えるように設計される。
【0099】
このため、環状の平坦面3Cに対してぴったりへばりつくようになる端部ビード31を前記第2リップ30に設けることができる。
【0100】
従って、シールガスケット10は、実質的に分岐するV字形状の断面を好ましくは有し、第1および第2リップはヒール部の同じ側にほぼ非対称構造にて置かれる。
【0101】
特に好ましい方法において、第2リップ30は連続して全ての逃がし窓またはノッチが完全に除かれている。
【0102】
都合が良いことに、非対称構造体および第2リップ30のより高い硬質性は、不注意な使用者がガスケットを不正確に取り付けたことを示すことを可能にする。
【0103】
ガスケット10が間違った方法で取り付けられた場合、第2リップ30それ自体は、図5に示すように、これが容器により近付けられる蓋に対して特に高い抵抗を及ぼすようになる。
【0104】
加えて、発明それ自体を構成することができる特徴によると、図5に示すようにガスケット10を器具1に間違った方法で取り付けた場合、調理空間5と器具の外部との間に恒久的な漏洩オリフィスが形成されるように、逃がし窓20は、蓋3または個々の容器2と協力することができるような方法で配置される。
【0105】
換言すると、同じ手段、すなわち2つの明確な安全機能、より明確には、まず第1の機能において、ガスケット10が間違った方法で取り付けられた場合に調理器具1の内部で圧力が上昇するのを阻止する恒久的な漏洩オリフィスを作り出し、次に第2の機能において、ガスケット10が正しく取り付けられた場合、調理空間の内側を支配する圧力が危険な閾値PSを超えた時に一時的な漏洩オリフィスを作り出すことによって前記ガスケット10がシール形態から漏洩形態へと動くことを可能にするため、ガスケットのリップに設けられた逃がし窓20を用いることができる。
【0106】
このため、ガスケットを間違った方法で取り付けた場合、第1リップ12が蓋3に対して支持するようになると同時に、蓋の内側の壁と前記ノッチの端壁22との間にノッチ20を介して恒久的な通路を作り出すような方法でノッチ20の深さおよび第1リップ12の角度aが選択される。
【0107】
都合が良いことに、図1および図5に示すように、ヒール部11と蓋3との間、より詳細にはヒール部11と環状の平坦面3Cそして下がった端縁3Dとの間に漏洩通路を作り出すように、ヒール部の外周縁11Eの全高に亙り、また前記ヒール部の底面および上端面に抜き出し凹部32を設けることができる。
【0108】
従って、ガスケットを間違った方法で取り付けた場合、調理空間は蓋3の内側壁に沿ってほぼ延在する上端漏洩通路を介して器具1の外部と都合よく連通し、恒久的に漏洩する蒸気Fの流れを可能にし、それによって器具の内側で圧力が増大するのを阻止する。
【0109】
本発明の調理器具1の操作が図3および図4に示す好ましい異なる実施形態を参照して以下に記述される。
【0110】
シールガスケット10は、まず、その径方向外周縁11Eが下がった端縁3Dの内側面に対して押されるようになると共に第2リップ30のビード31が環状の平坦面3Cに対して当接状態になるような方法で蓋3の所定位置に置かれる。好ましくは、ヒール部11が径方向および軸線方向に静止した蓋3に対して配置され、これは標準的な調理周期全体を通し、またガスケットがその漏洩形態になった場合、ほぼそのままである。
【0111】
次に、第1リップ12の中間部23に局在する環状の接触帯域23'のほぼ全面に亙って第1リップ12が容器2の上端リム4と接触状態になるまで、ほぼ下向きの軸線接近移動で蓋が容器2に取り付けられる。
【0112】
従って、この実施形態において容器に位置するシールガスケット10は、その第1リップ12により、およびその第2リップ30により、蓋3に対する下部の第1シール帯域と、端部ビード31にて座部16に対する第2シール帯域とをそれぞれ作り出す。
【0113】
都合が良いことに、第1リップ12が容器の上端リムにかぶさるようになり、第1リップ12の自由端15が容器に次第に入り込むと共に調心突起25が容器の上端リムを越えて前記上端リムと蓋の下がった端縁Dとの間の外側に残るように、ガスケット10が前記上端リム4に重なり、それによって蓋を容器の中心に合わせてこれをそこに安定させる。
【0114】
次に、使用者は、固定手段6を作動させることにより、より詳細には図3に示すように、ジョー7が相互に径方向により近づくようにし、容器上端リム4によってこれらを係合させることにより、蓋を容器に固定する。
【0115】
次に、ガスケット10はシール形態になり、これは調理空間5と器具の外部との間の如何なる連通を阻止する。
【0116】
調理器具1が熱源にさらされると、前記調理空間5の内部を支配する圧力は、これが標準的な作動値に達するまで次第に上昇することができる。
【0117】
都合が良いことに、この器具には、定格弁の如き1つ以上の調整部材が設けられており、これは前記作動圧を調整することを可能にする。
【0118】
調理空間の内側を支配する圧力が安全閾値PSよりも低い状態である限り、ガスケット10は座部16に対するシール接触状態を維持する。
【0119】
より詳細には、図3に示すように、接触帯域23'は、基部14とノッチ20の前記端壁22との間の中間部23の連続部分にて、第1のリップ12から上流に延在する。
【0120】
従って、第1リップ12と座部16との間の接触が前記座部16の周縁全体に亙るシール状態で連続的に保証され、同時に逃がし窓20を設けた部分が前記接触帯域23'によって画成されたシール周縁内にぶら下がっている。
【0121】
調理空間5内の圧力の増加がより多いと、それだけ第1リップ12に応力が加わってこれが被る弾性変形がより大きくなる。
【0122】
より詳細には、この内圧は、ガスケットのヒール部が保持部材21によってほぼ収容されたままになっているにもかかわらず、自由に変形することが保たれた第1リップが径方向外側に押し付けられると同時にその基部14にて曲がる傾向があり、その底面18をヒール部の径方向内側面に対し、より詳細には調心突起25の内側面に対して押し付ける傾向があるというような方法にてガスケット10の直径をある量だけ広げるようにさせる傾向がある。
【0123】
従って、前記第1リップ12は外側に動くことによって隙間領域26に入り込む傾向があり、この動きは前記第1リップ12によりそれ自体12が曲がることを伴い、その上端面17それ自体が図4の破線で示したほぼ平らな形状から図4の実線で示したほぼ凹形状へと次第に進行するように、内側に折り畳まれる。より詳細には、この実施形態において、この挙動は、まず調理空間内を支配する圧力と、次に容器の上端リム4との組み合わせ動作から結果として生じ、前記圧力は第1リップを基部14にて局部的に曲げるようにさせると同時にその角度aを増大させ、上端リムは前記リップの自由端をほぼ垂直に保持して案内することをもたらす傾向がある。
【0124】
基部14の近傍に位置する第1リップ12の部分がヒール部に対して外側に折り曲げられると、前記部分は、自由端15を、従ってノッチ20を外側の径方向部分を含めてこれと共に移動動作で引っ張る。
【0125】
加えて、ジョー7によって閉じられた調理器具において、ガスケット10、より詳細にはそのヒール部11がこの持ち上げ移動にほぼ追従するように、蓋3は、圧力の影響により、ジョー7によって適用されない扇形角度にて、ある程度の量の変形をこの実施形態ではほぼ上向きの軸線移動で受ける可能性があることは注目に値する。従って、ノッチ20の移動もまた、特にその径方向部品との組み合わせにおいて、漏洩オリフィスが開くのを容易にする有用な軸線方向の部品を含むことができる。
【0126】
換言すると、ジョー7の如き空間をあけて隔てた固定手段6によって蓋3を容器2に保持させることができ、前記蓋3は前記固定手段との間に1つ以上の遮られていない部分3'を有し、調理空間内を支配する圧力の影響によって対応する遮られていない部分3'の変形が前記逃がし窓20を動かすことに有効な一助となるように、少なくとも1つの逃がし窓20が前記遮られていない部分3'の1つと見当を合わせて実質的に置かれるような方法でシールガスケット10が置かれ、前記圧力があらかじめ設定した閾値PSを超えた場合、これは漏洩オリフィスを開くことを可能にする。
【0127】
より一般的に、それ自体で発明を構成することができる好ましい特徴によると、このように、蓋3は、圧力の影響によって実質的に移動可能または変形可能な1つ以上の遮られていない部分3'を有することができ、例えば前記遮られていない部分は2つの連続するジョー7の間の扇形角度に対応すると共に、ガスケット10は少なくとも1つの逃がし窓20が遮られていない部分3'の1つによって実質的に置かれるような方法で配され、座部16に対する逃がし窓20の位置の全体的な変更、これが漏洩オリフィスを形成することを可能にする位置への変更は、少なくとも部分的に、もし完全にそうでなければ、蓋の移動から、または実際に蓋3および第1リップ12のそれぞれの移動の組み合わせから結果として生ずる。
【0128】
調理空間の内側を支配する圧力が実質的に高い場合、この実施形態において、これが安全閾値PSに達してこれを超えた場合、第1リップ12の移動および変形、より詳細にはリム4に沿ったその底面18の摺動およびそれとの接触は、これが前記ノッチ20と対向してこれとの接触状態を失うまで、前記底面18が前記容器リムから次第に離れて持ち上がるのに十分な大きさであり、これによって前記ノッチ20に漏洩オリフィスを作り出し、従ってこれが調理空間5から漏洩流Fとなって過剰圧力を抜くことを可能にする。
【0129】
換言すると、径方向垂直断面P2でのガスケットの挙動を考察した場合、ガスケットのヒール部11が第1リップ12と径方向に整列状態で実質的に静止した径方向位置に保持されるのに対し、前記ヒール部11と位置合わせされた前記第1リップ12の変形は、ノッチ20がそれに対して動くことを可能にし、その動きの大きさおよび進路は、端壁22と自由端15との間の、ノッチの端壁22の上流に位置する第1リップ12の連続領域から、前記端壁の下流に位置する不連続領域まで移動することを接触帯域23'にもたらすために十分であることを認識することができる。
【0130】
従って、座部16に対する逃がし窓20の、より詳細には端壁22のこの移動は、接触帯域23'が第1リップ12に対して自由端15に向けて「後退する」または「下降する」ことをもたらし、それによって、容器リムがそれらに対して作用して逃がし窓20を次第にむき出しにし、上げ下げ窓の窓の摺動に僅かに似ている。
【0131】
器具の外側に逃がし窓20が漸進的に開くこのことは、前記接触帯域23'の初期の連続性を部分的に中断し、それによって調理空間5を前記器具の周囲の環境と連通状態に置く。好ましくは、この連通状態に置くのは、蒸気Fの流れが器具から下方に流出することを可能にするように、蓋の覆われていない領域、例えばジョー7で覆われていない領域にて行われる。
【0132】
このため、容器の内部を支配する圧力の作用により、本発明のガスケット10が1つ以上の漏洩オリフィスを最初に遮るおよび/または覆う座部16から逃がし窓20が次第に離れるようにすることにより、次第に広げることを可能にすることは注目に値する。
【0133】
都合が良いことに、この逃がし窓20の反復動作部分の連続的な増大は、制御された漏れ流量を得ることを可能にし、遭遇する過剰圧力の程度にほぼ比例することが適切であり、かつ好ましい。漸進的に開くという性質は、ノッチ20のそれぞれの端壁22を画成する切欠き部の湾曲した輪郭によって都合よく強化される。
【0134】
加えて、それぞれのノッチ20を側面に置く「フラップ」が座部16と接触状態のままであり、より詳細には頂上線24から後退したままであるので、前記リップは、第1リップ12の変形を通して容器リムと接触状態のままであることが有利である。
【0135】
従って、容器のリムは、ガスケット10それ自体がその漏洩形態にある場合であっても、リップの自由端15が頂上線24を横切らないという方法で、常にそれぞれのノッチ20の基部に少なくとも部分的に重なる。このような構成は、ガスケット10、より詳細には第1リップ12が容器リム4の上端を超えてひっくり返ることにより、部分的に押し出されることを阻止する。
【0136】
都合が良いことに、第1リップの自由端15が容器リムの上端を超えて押し出されることを阻止するため、リップおよび逃がし窓20が制御された方法のみで移動することをこのように可能にすることで、過剰圧力を除くために適した1つ以上の漏洩オリフィスを広げさせるのに必要かつ充分である限り、この移動が実質的に制限するように、前記ガスケットの案内が維持され、これに対する不可避の損傷が回避される。
【0137】
従って、逃がし窓20が前記容器リムによって塞がれるか、あるいは遮られていないかに関係なく、第1リップ12は容器リム4に対して案内され続けるので、安全性を引き起こす事態でのシールガスケットの挙動は、都合よく逆戻り可能である。
【0138】
加えて、逃がし窓20の多様性およびガスケットの均一円形対称形状は、蓋または容器に対する角度位置に関してどのような特別な制約なく、また反対に器具の安全性または寿命に悪影響を与えることなく、前記ガスケット10が単純かつ直感的に蓋3に取り付けられることを都合よく可能にする。
【0139】
加えて、本発明のガスケット10の安全作用に必要とされる変形は、特に可撓性であって前後に加わる応力に対して耐性のある部材(この実施形態では第1リップ12)によって都合よく与えられ、この変形応力は相対的に一様に分散され、これによって局在的な損傷または実際的な破損の危険性を著しく制限する。
【0140】
このため、ガスケット10の機能的な変形がほぼ水平、従って軸線(ZZ')に対して直交し、第1リップ12の発生円に対して接線方向である曲げ軸線回りに曲がるガスケットによって、前記ガスケットの最大寸法、すなわちその周縁、より詳細には軸線(ZZ')を含むそれぞれの垂直面に亙り、ほぼ分散かつ釣り合う方法で行われ、過酷な応力集中を部分的にもたらすことにより、ガスケットがほぼ垂直であって軸線(ZZ')に対して平行である軸線回りの水平面にて曲がるようにさせられる周知のガスケットにて起こることと異なることは注目に値する。
【0141】
加えて、ガスケット10の動作の簡潔性は、蓋または容器のどのような複雑な構成を都合よく必要とせず、特にこれはガスケットを押し出すための何らかの窓を設けたり、または特別な漏洩オリフィスをこれらに設けるため、蓋および/または容器をそぎ落とすことを不要にすることが可能である。
【0142】
過剰圧力を蓋の周縁全体に亙って都合よく実質的に除くことができ、実際に隙間領域26は逃がし窓20の何れかから生ずる蒸気Fの漏洩流を集めるため、また蓋3Eの丸めた端部と容器リム4との間の存在する隙間によってもたらされる何らかの間隙を介してこのガス流を排除し、隙間領域26が器具の外側と自由に連通することをもたらすために適した除去捕集器を形成する。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、圧力下で食品を調理するための器具を作るため、またこのような器具のためのガスケットを製造するのに特に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力下で食品を調理するための調理器具(1)用シールガスケット(10)であって、前記調理器具は容器(2)とこの容器(2)に取り付けられて調理空間(5)を画成するように設計された蓋(3)とを具え、前記ガスケットは前記蓋と前記容器との間に介在して前記調理空間をシールするように設計されており、前記ガスケットは少なくとも1つの第1リップ(12)が突出するヒール部(11)を有し、
前記第1リップ(12)にはその厚み(e)を貫通する少なくとも1つの逃がし窓(20)が設けられ、
前記調理空間(5)内を支配する圧力があらかじめ設定した閾値(PS)を超えた場合、前記第1リップ(12)は、前記ヒール部(11)に対して前記逃がし窓(20)を相対移動させることができるように設計された差動部材を形成し、
前記相対移動は、前記逃がし窓(20)が漏洩オリフィスを開くことができるようにして前記調理空間(5)を前記調理器具(1)の外部と連通状態にすることを特徴とするガスケット。
【請求項2】
前記ヒール部(11)は、前記容器(2)または前記蓋(3)に帰属する保持部材(21)に対して当接状態になるように構成されるか、あるいは前記ガスケットの径方向の拡大を制限するように設計され、
前記ヒール部(11)それ自体が前記保持部材に対して当接状態になった場合、前記第1リップ(12)は、逃がし窓(20)が前記ヒール部に対して径方向外側に移動することを可能にするように設計されていることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記第1リップ(12)は、前記逃がし窓(20)が前記ヒール部(11)に対する径方向のストローク(CR)を超えて3mmから8mmまでの範囲でほぼ移動することを可能にすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガスケット。
【請求項4】
前記第1リップ(12)は、その自由端(15)と前記ヒール部(11)に結合する基部(14)との間の長さLを有し、
前記ガスケット(10)は、前記第1リップと前記容器(2)の上端リム(4)との間の接触が前記リップの中間部(23)を実質的に保持するように設計され、自由端(15)から前記中間部までの距離は0.2×Lから0.7×Lまでの範囲に実質的にあることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のガスケット。
【請求項5】
前記第1リップは長さLを有し、その基部(14)とその反対側の自由端(15)の間で測定した場合、5mmから15mmまでの範囲に実質的にあり、好ましくは13mmの近傍にあることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のガスケット。
【請求項6】
前記少なくとも1つの逃がし窓(20)が前記第1リップ(12)の自由端(15)にて外側に開くノッチにより形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載のガスケット。
【請求項7】
その自由端(15)と前記ヒール部に結合する前記基部(14)との間の長さLを有する第1リップ(12)に関し、前記ノッチは、0.4×Lから0.7×Lまでの範囲にほぼある長さを超えて第1リップを貫通することを特徴とする請求項6に記載のガスケット。
【請求項8】
前記第1リップ(12)は、エラストマー材料、例えばシリコーンまたは合成ゴムで作られ、1mmから3mmまでの範囲に実質的にあり、好ましくは1.8mmの近傍にある厚み(e)を有することを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載のガスケット。
【請求項9】
前記ヒール部(11)は、その周縁にて前記第1リップ(12)を囲み、
前記ヒール部(11)の径方向外周縁(11E)は、逃がし窓(20)と対応した補強を実質的に省かれていることを特徴とする請求項1から請求項8の何れかに記載のガスケット。
【請求項10】
前記ヒール部(11)から突出する第2リップ(30)を有し、この第2リップ(30)は前記第1リップ(12)よりも硬質かつ短いことを特徴とする請求項1から請求項9の何れかに記載のガスケット。
【請求項11】
ガスケット(10)が前記調理器具(1)に対して間違って取り付けられた場合、前記逃がし窓(20)は、恒久的な漏洩オリフィスを形成するように、前記蓋(3)または前記容器(2)と協力して作動することができるような方法で配されることを特徴とする請求項1から請求項10に記載のガスケット。
【請求項12】
請求項1から請求項11の何れかに記載のシールガスケット(10)を設けたことを特徴とする圧力下で食品を調理するための調理器具(1)。
【請求項13】
ジョー(7)の如き間隔をあけた固定手段(6)によって容器(2)に保持される蓋(3)を有し、この蓋(3)は前記固定手段の間に1つ以上の遮られていない部分(3')を有し、
前記シールガスケット(10)は、前記圧力があらかじめ設定した閾値(PS)を超えた場合、前記調理空間内を支配する圧力の作用によって前記対応する遮られていない部分(3')の変形が前記逃がし窓(20)を有効に動かす一助となり、漏洩オリフィスを開くことができるように、少なくとも1つの逃がし窓(20)は、前記遮られていない部分(3')の1つとほぼ対応して位置するような方法で配されることを特徴とする請求項12に記載の圧力下で食品を調理するための調理器具(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−515531(P2013−515531A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545392(P2012−545392)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052859
【国際公開番号】WO2011/077037
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(594034072)セブ ソシエテ アノニム (63)
【Fターム(参考)】