説明

ハイブリッドエアバッグインフレータ

【課題】収容不活性ガスとガス発生剤の両方を用いるハイブリッドインフレータにおいて、簡素な構成で不活性ガスを迅速に加熱可能とする。
【解決手段】ハイブリッドインフレータ100は、1つまたは2つ以上のヒータ組立体1,2を有し、点火促進組成物25が、収容不活性ガス6中に直接通じるバイパス開口部24を有するヒータ組立体1,2に収容されている。点火時には、燃焼する点火促進組成物25からの燃焼生成物の一部を、バイパス開口部24を通してガス発生剤27をバイパスさせて収容不活性ガス6中に送り、収容不活性ガス6を余熱しながら、燃焼生成物の残りの部分によって、ガス発生剤27に点火することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド型のエアバッグインフレータに関する。
【背景技術】
【0002】
エアバッグシステムを膨張させるのに用いられるハイブリッド型インフレータは、不活性ガスをインフレータ内に収容しており、この不活性ガスは、ヒータ組立体内のガス発生剤を燃焼させることによって加熱される。ガス発生剤は、通常、ヒータ組立体内のガス発生剤の急速な燃焼を開始させるように起爆装置、すなわち点火器を点火させることによって点火される。ガスを放出してエアバッグを膨張させる前に十分な圧力を得ることができるように、ガス発生剤によって不活性ガスが加熱される。
【0003】
特許文献1には、円筒形のハイブリッドガス発生装置内の、加圧された流体の、より迅速な加熱を達成するために一次ヒータとバイパスヒータを用いることが開示されている。特許文献2には、一次加熱源としての第1の火工品材料と、ガスをより高速に発生させる第2の火工品材料とが開示されており、この場合、単一の起動装置を用い、これらの燃焼生成物の一部によって膨張ガスを直接加熱している。
【0004】
多段式ハイブリッドインフレータには、別個の2つの発生材、すなわち火工品材料を別個に点火するのに2つの起爆装置、すなわち起動装置を用いるのが、より一般的である。このような種類のハイブリッドインフレータが、特許文献3〜6に開示されている。これらの各文献では、ガス発生剤は、別個の2つの起爆装置または起動装置を使用することによって複数の段階で起動させることができるヒータ部材内に収容されており、このような順次の点火は、複数の起動装置を作動させる時間を遅らせることによって行うことができ、複数の起動装置は、単独で作動させることも、並行して作動させることも、順次作動させることもできる。
【特許文献1】米国特許第5660412号明細書
【特許文献2】米国特許第5660412号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0100079号明細書
【特許文献4】米国特許第6793224号明細書
【特許文献5】米国特許出願第2003/0001370号明細書
【特許文献6】米国特許第6488310号明細書
【特許文献7】米国特許第6253683号明細書
【特許文献8】欧州特許第1405775号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
中央に排気口を有する円筒形のインフレータの、互いに反対側の両端部に別個の2つのヒータ組立体を用いることが、特許文献7および8に示唆されている。中央の排気口を有するこれらの従来技術の円筒形インフレータでは、不活性ガスを予熱するのに促進剤バイパスヒータを用いていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハイブリッドインフレータは、不活性ガスを収容しているインフレータハウジングと、インフレータハウジングの内部に位置しインフレータハウジングの端部に連結されたヒータ組立体と、を有し、ヒータ組立体(1,2)は、複数のヒータ穴および複数のバイパス開口部が貫通しているヒータハウジングと、ガス発生剤が収容されているガス発生剤燃焼室であって、ガス発生剤燃焼室とインフレータハウジングとは、ヒータハウジングのヒータ穴およびバイパス開口部を通して互いに通じている、ガス発生剤燃焼室と、ヒータ組立体に連結され、インフレータハウジングの端部に配置された点火器と、点火促進組成物が収容されている促進剤燃焼室であって、促進剤燃焼室は、ガス発生剤燃焼室と点火器との間に配置され、隔壁によってガス発生剤燃焼室から分離されており、隔壁には、1つまたは2つ以上の開口部が貫通している、促進剤燃焼室と、を含み、点火促進組成物は点火器によって点火された時に燃焼して高温のガスを発生し、高温のガスは隔壁の、1つまたは2つ以上の開口部を通過し、高温のガスの一部は、ヒータハウジングのバイパス開口部を通過してインフレータハウジング内の不活性ガスを加熱し、点火促進組成物を燃焼させることによって生成された高温のガスの残りの部分によってガス発生剤が点火される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、第1段のヒータ組立体1および第2段のヒータ組立体2を含む二段式のハイブリッドインフレータ100を示しており、いずれか一方または両方のヒータ組立体に本発明のハイバイパス点火の構想を用いることができる。通常のインフレータは、点火器によって点火促進組成物に点火できるようにすることによって機能する。点火促進組成物の燃焼生成物によって、ガス発生剤が点火され、このガス発生剤によって収容ガスが加熱される。収容ガスは不活性ガスであるのが好ましい。出口バーストディスク7は破裂可能な部材であり、インフレータ内の圧力が所定の値を超えたときに破裂する。
【0008】
本発明のバイパスヒータ組立体では、収容不活性ガス6を予熱するのに点火促進組成物25の燃焼生成物の一部を用いることによって、破裂可能な部材、すなわち出口バーストディスク7を破裂させるのに必要な時間が短縮される。
【0009】
点火器3によって、促進剤燃焼室4内の点火促進組成物25が点火される。促進剤燃焼室4内に生成された高温のガスと微粒子によって、ガス発生剤燃焼室5内に配置されたガス発生剤27が点火され、同様に、点火促進組成物25を燃焼させることによって生成された高温のガスおよび微粒子の一部が複数のバイパス開口部24を通ってインフレータハウジング11内に直接進入し、収容不活性ガス6と混ざり合い、それによって、収容不活性ガス6が加熱される。連絡ポート、すなわちバイパス開口部24は、収容不活性ガス6中への燃焼生成物の流れを促進するように大きさおよび位置を決められている。点火促進組成物25を燃焼させることによって生成されたガスおよび微粒子のうち、ガス発生剤27を点火するものの量に対する、ガス発生剤27をバイパスされるものの相対的な量を調節するために、バイパス開口部24を、ヒータハウジング1A,1B,1Cに沿ったどの位置に位置させてもよい。
【0010】
インフレータハウジング11は、第1段のヒータ組立体1および第2段のヒータ組立体2を管状のインフレータハウジング11の、互いに反対側の端部に取り付けることができるように構成されている。出口バーストディスク7は、座金状の担体12に取り付けられた破裂可能な部材であり、管状のインフレータハウジング11の中央に位置している。管状に形成されたインフレータハウジング11は、直径が小さくされてマニホールド領域を形成しており、複数の排気ポート10を有するガス分配マニホールド14によって覆われた中央部13を有している。また、直径を小さくすることによって、ガス充填ポート15および出口バーストディスク流路16における応力が軽減される。
【0011】
本発明では、ヒータ組立体1,2をインフレータ100の両端部の所に配置し、出口バーストディスク流路16およびガス充填ポート15をインフレータハウジング11の中央付近の側壁に配置することによって適切な空間についての要求が満たされている。最初のガスのために許容可能な時間を実現するという問題が、ハイバイパスヒータシステムを使用することによって解決されており、この構想では、点火促進組成物25の充填量、すなわち装填量を通常より多くすることができる。点火促進組成物25は、1ミリ秒から3ミリ秒で高速で燃焼する。点火促進組成物25を燃焼させることによって生成された高温のガスは、ガス発生剤27へと導かれ、点火促進組成物25を燃焼させることによって生成された高温のガスの一部は、バイパス開口部24を通ってガス収容ボトル、すなわちインフレータハウジング11内に入り、このようにして、高速で作用する点火促進組成物25によって、収容不活性ガス6が加熱されて破裂可能な出口バーストディスク7への圧力が高められ、また、ガス発生剤27の点火も行われる。この構成によって、通常より多い点火促進組成物25の一部をバイパスさせることによりガス発生剤27が過度に点火されるという問題を回避しながら、点火促進組成物25を燃焼させることによって生成された高温のガスの一部を、ヒータ組立体1,2を直接通過させてガス発生剤27に点火することができる。
【0012】
ハイブリッドインフレータ100は2つのヒータ組立体1,2を有しており、ヒータ組立体1,2の各々に、本発明のバイパスヒータシステムを使用することができ、あるいは一方のヒータ組立体にハイバイパスシステムを用い、他方のヒータ組立体を、バイパスシステムを使用しないより慣用的なヒータ機構としてもよい。ハイブリッドインフレータ100は、単一のヒータ組立体1を有することもでき、そのような場合、インフレータハウジング11をかなり短くしてよく、あるいはヒータ組立体1を、ハイブリッドインフレータ100内の収容不活性ガス6を予熱し加熱するのに利用可能な点火促進組成物25およびガス発生剤27の量を増加させるように長くすることもできる。
【0013】
以下に、本発明によるヒータバイパスシステムを用いた幾つかのヒータ組立体について説明する。図2、3、および4はそれぞれ、インフレータハウジング11内に使用できる様々なヒータ組立体を示している。互いに類似した構成部材の参照符号は同じままであり、代替の、または置き換えられた構成部材には異なる参照符号が付されていることが分かる。本発明の理解を容易にするために、ガス発生剤27および点火促進組成物25は全部を示されてはおらず、幾つかのペレットによって表されている。これらの火工品組成物は、一般に、ヒータハウジングに嵌めることができる円板型材料か、好ましくは、ペレットサイズの燃焼火工品かの形態に形成される。これらのペレットサイズの火工品は、ヒータ組立体のバイパス開口部24および開口部60を通過しないようにするのに十分な大きさにされている。図示のように、各領域に特定の火工品組成物が示されるようにヒータ組立体を示しており、その領域または空間をチャンバと定義し、仮に定義できるこれらのチャンバには、本明細書に記載する火工品成分が充填され、または少なくとも部分的に充填されている。このようなヒータ組立体に複数の火工品を充填する方法は当業者には明らかであり、インフレータの構造の機能部材をより容易に図示できるように、これらの火工品は完全には図示されていない。
【0014】
図2には、第1のヒータ組立体1が断面図で示されている。このヒータ組立体1はヒータハウジング1Aを有しており、ヒータハウジング1Aはインフレータハウジング11の端部キャップ30に物理的に連結されている。端部キャップ30内に点火手段が配置されている。点火手段は点火器3であり、点火器3は、点火することができるように開口部32の所で電気的に接続され、点火器3は、点火されると、小さな爆発性装填物によって囲い31を破裂させ、それにより、爆発性装填物によって、促進剤燃焼室4内に収容されている点火促進組成物25に点火することができる。促進剤燃焼室4内の点火促進組成物25が点火されると、結果として生じるガスおよび微粒子の一部がガス発生剤燃焼室5内に入り、点火された点火促進組成物25の一部が、バイパスされてガス発生剤燃焼室5から出てバイパス開口部24を通過し、それによって、高温のガスおよび微粒子を収容不活性ガス6中に直接送り込んで収容不活性ガス6を予熱することができる。促進剤燃焼室4の部分からの高温のガスおよび微粒子は、1つまたは2つ以上の連絡ポート、すなわち開口部42を通過し、それによってガス発生剤27が点火される。促進剤燃焼室4からのガスの一部は圧力を発生させる。圧力が十分に高くなると、隔壁40に隣接して示されている障壁箔44が破裂させられる。障壁箔44が破裂すると、隔壁40の、1つまたは2つ以上の開口部42がガス発生剤燃焼室5に通じる。これらの高温のガスおよび微粒子がガス発生剤燃焼室5に入ると、一部がバイパス開口部24を通ってバイパスされ、その後少したってからガス発生剤27のペレットが点火される。ガス発生剤27のペレットが点火されると、ガス発生剤燃焼室5からの加熱されたガスおよび微粒子の一部が複数の開口部60を通過して収容不活性ガス6を加熱する。
【0015】
複数の火工品組成物、すなわち点火促進組成物25とガス発生剤27が最初にヒータハウジング内に配置されると、点火促進組成物25のペレットは複数の端部閉止部材によって保持され、その結果、空のチャンバ部8を点火促進組成物25が充填された促進剤燃焼室4から分離する隔壁20によって促進剤燃焼室4の位置が決められる。これによって、点火促進組成物25が点火器3、ガス発生剤27、および隔壁40に近接して配置される。促進剤燃焼室4が充填されると、促進剤燃焼室4をガス発生剤燃焼室5から分離する隔壁40が挿入される。次に、ガス発生剤27のペレットがヒータ組立体1内に充填される。その後、端部キャップ50がヒータハウジングの端部に押し込まれ、それによって、ばね53およびペレット保持プレート54が圧縮されて、ガス発生剤27のペレットにぴったり接触させられる。
【0016】
図3には、他の実施形態が示されており、ヒータハウジング1Bを有する第2のヒータ組立体1が示されている。この実施形態では、促進剤燃焼室4は、複数のバイパス開口部24を有する単一の促進剤燃焼室4である。促進剤燃焼室4は点火促進組成物25で満たされており、点火手段、すなわち点火器3が点火されると、囲い31が破裂し、その結果、点火促進組成物25が点火され、点火促進組成物25が燃えだすと、結果として生じるガスおよび微粒子の一部がバイパス開口部24を通って放出され収容不活性ガス6を予熱する。圧力が上昇すると、隔壁40の所の破裂可能な部材、すなわち障壁箔44が破裂する。シールが開放されると、高温のガスおよび微粒子が1つまたは2つ以上の開口部42を通過し、ガス発生剤燃焼室5に進入してガス発生剤27を加熱し、その結果、ガス発生剤27が燃えだす。ガス発生剤27が燃えだすと、ガス発生剤27を燃焼させることによって生成された高温のガスおよび微粒子の一部が複数の開口部60を通過する。開口部60は、ヒータハウジング1Bの周囲面に沿って設けられており、図示のように、開口部60は3〜5列に設けられている。これらの開口部60のために、高温のガスおよび微粒子が逃げ、または少なくとも部分的に逃げることができ、やはり収容不活性ガス6を予熱する。図1に示されている破裂可能な部材、すなわちバーストディスク7を破裂させることができるのに十分な圧力に達すると、それによって、ガス分配マニホールド14の領域が、高温のガスが逃げてエアバッグを充填することができるように充填される。任意構成として、他の実施形態の促進剤燃焼室4は隔壁20(図1)を含むことができる。
【0017】
図4は、本発明の第3の実施形態を示している。この実施形態は第1の実施形態に非常に類似しており、ヒータ組立体1はヒータハウジング1Cを有し、ヒータハウジング1Cは、やはり、ガス発生剤27を収容するガス発生剤燃焼室5と、点火促進組成物25を保持する促進剤燃焼室4を有している。この場合も、点火器3が作動させられると、囲い31が破裂し、高温の成分によって点火促進組成物25が点火される。圧力が上昇すると、隔壁40に取り付けられた破裂可能なバーストディスク、すなわち障壁箔44が破裂し、それによって、高温のガスおよび微粒子が1つまたは2つ以上の開口部42を通過することが可能になる。ガスが1つまたは2つ以上の開口部42を通過すると、このガスは、隔壁に近接し直ぐ近くにある複数のバイパス開口部24を通過することができるようになる。これらのバイパス開口部24によって、高温のガスおよび微粒子の一部を収容不活性ガス6中に導いて収容不活性ガス6を加熱することがでる。点火促進組成物25を燃焼させることによって生成された高温のガスおよび微粒子の残りの部分がガス発生剤27のペレットを通過し、高温のガスおよび微粒子の一部がバイパス開口部24を通過している間、残りの部分はガス発生剤燃焼室5内に引き続き押し込まれ、それによってガス発生剤27が点火される。ガス発生剤27が点火されると、ガス発生剤27を燃焼させることによって生成された高温のガスおよび微粒子の全てまたは大部分が開口部60を通過することができ、それによって、インフレータハウジング11の内部のガスが、出口バーストディスク7を破裂させてエアバッグを展開させることができるようになる前に所定の圧力に達することができる。図1および2の第1の実施形態とは異なり、この第3の実施形態は、隔壁20を有しておらず、したがって、点火促進燃焼室4の全体を、点火促進組成物25を保持するのに利用することができる。
【0018】
図1、2、および4では、開口部24は、点火された点火促進組成物25を燃焼させることによって生成されたガスおよび微粒子を、高温のガスおよび微粒子の残りの部分を、ガス発生剤27に点火するのに用いながら、開口部24を通して放出させることができるように十分に大きく、かつ十分に近接した位置に位置している。これは、1つまたは2つ以上の開口部42に非常に近接させてバイパス開口部24の列を設け、また、十分な量のガスおよび微粒子が、残りの部分がガス発生剤燃焼室5を通ってガス発生剤27に点火する前に、バイパスされて自由に開口部24を通ることができるように、バイパス開口部24を開口部60から十分な間隔を置いて設けることによって初めて実現することができる。ガス発生剤27が点火されると、開口部60が働くようになり、ガスおよび微粒子の全てではないにせよ幾らかを収容不活性ガス6中に導き、それによって、全工程の間、このガスがバイパス開口部24と開口部60から放出できるようになる前に、やはり、一種の予熱を行うことができる。
【0019】
図2、3、および4に示されている各実施形態によって、促進剤の高温のガスおよび微粒子の一部がバイパスされて収容不活性ガス6を予熱することができるようにする有効な手段が提供される。各システムは、単一の点火起爆装置、すなわち点火器3を使用することによって作動させられる。これには、ヒータ組立体1,2および各機構が簡素化され、また、点火プロセスも簡素化されて信頼性が高くなるという両方の利点がある。
【0020】
図示の各実施形態では、促進剤燃焼室4またはガス発生剤燃焼室5のバイパス開口部24は、すなわち、バイパス開口部24と開口部60は、収容不活性ガス6に直接通じていることが分かる。したがって、収容不活性ガス6は、図3に示されているように点火促進組成物25およびガス発生剤27を通ることができ、これらに直接通じており、または、全てのヒータ組立体1において点火促進組成物25を通ることができ、これに直接通じている。ヒータハウジング1A,1Cを用いている図1、2、および4では、点火促進組成物25は収容不活性ガス6に直接には通じていない。
【0021】
要約すると、エアバッグを膨張させるハイブリッドインフレータ100は、図1および2に示されているように、収容不活性ガス6を含む加圧された媒体で満たされたインフレータハウジング11と、インフレータハウジング11の内部で、インフレータハウジング11の端部に連結された1つまたは複数のヒータ組立体1,2とを有している。ガスヒータ、すなわちヒータ組立体1,2の少なくとも一方は、複数のヒータ穴、すなわち開口部60を有するヒータハウジングによって形成された外殻と、ガス発生剤27が収容されたガス発生剤燃焼室5であって、ガス発生剤燃焼室5とインフレータハウジング11は複数の穴、すなわち開口部60を通して互いに通じている、ガス発生剤燃焼室5と、ガスヒータ、すなわちヒータ組立体1,2に連結されインフレータハウジング11の端部に配置された点火手段、すなわち点火器3と、点火促進組成物が収容されている促進剤燃焼室4とを有している。促進剤燃焼室4は、ガス発生剤燃焼室5と点火手段、すなわち点火器3との間に配置され、隔壁40によってガス発生剤燃焼室5から分離されている。隔壁40は、ガス発生剤燃焼室5に通じる1つまたは2つ以上の開口部42を有している。
【0022】
本発明の第1の実施形態では、隔壁20は、促進剤燃焼室4を点火促進組成物25に適した容積、すなわち大きさの第1のチャンバ部と、端部空間を占める空の第2のチャンバ部8とに分割している。この隔壁20は、座金状であり、点火器3を囲んでいる。
【0023】
図3に示されている他の第2の実施形態は、点火促進組成物25が収容されている単一の促進剤燃焼室4を有している。この実施形態では、点火促進組成物25が点火器3によって点火されると、点火促進組成物25は、高温のガスおよび微粒子を促進剤燃焼室4の複数のバイパス開口部24を通してインフレータハウジング11に直接導き、それによってインフレータハウジング11内の収容不活性ガス6を予熱し、促進剤燃焼室4は、点火された促進剤のガスを、隔壁40の1つまたは2つ以上の開口部42を通過させ、ガス発生剤27に点火する。
【0024】
図4に示す第3の実施形態では、点火促進組成物25は、単一の促進剤燃焼室4に収容されており、点火されたときに、点火された促進剤のガスを、隔壁40の1つまたは2つ以上の開口部42を通過させ、複数のバイパス開口部24は、隔壁40に近接して位置しており、それにより、インフレータハウジング11内に収容されている収容不活性ガス6中に直接逃がすことができ、それによって、点火された高温のガスおよび微粒子の残りの部分がガス発生剤燃焼室5に引き続き進入してガス発生剤27に点火しながら、不活性ガス6が予熱される。どの場合も、単一の点火手段、すなわち点火器3のみが、各ガスヒータに連結されており、ガス加熱および生成プロセスの全体を開始するのに用いられている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態による2つのガスヒータ組立体を有するハイブリッドインフレータの断面図である。
【図2】図1から取り出したヒータ組立体の断面図である。
【図3】本発明によるヒータ組立体の第2の実施形態の断面図である。
【図4】本発明による第3の実施形態のヒータ組立体の断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1,2 ヒータ組立体
1A,1B,1C ヒータハウジング
3 点火器
4 促進剤燃焼室
5 ガス発生剤燃焼室
6 収容不活性ガス
7 出口バーストディスク
8 チャンバ部
10 排気ポート
11 インフレータハウジング
12 担体
13 中央部
14 ガス分配マニホールド
15 ガス充填ポート
16 出口バーストディスク流路
20,40 隔壁
24 バイパス開口部
25 点火促進組成物
27 ガス発生剤
30,50 端部キャップ
31 囲い
32,42,60 開口部
44 障壁箔
53 ばね
54 ペレット保持プレート
100 ハイブリッドインフレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性ガス(6)を収容しているインフレータハウジング(11)と、
前記インフレータハウジングの内部に位置し前記インフレータハウジングの端部に連結されたヒータ組立体(1,2)と、
を有し、
前記ヒータ組立体(1,2)は、
複数のヒータ穴(60)および複数のバイパス開口部(24)が貫通しているヒータハウジング(1A,1B,1C)と、
ガス発生剤(27)が収容されているガス発生剤燃焼室(5)であって、該ガス発生剤燃焼室(5)と前記インフレータハウジング(11)とは、前記ヒータハウジング(1A,1B,1C)の前記ヒータ穴(60)および前記バイパス開口部(24)を通して互いに通じている、ガス発生剤燃焼室(5)と、
前記ヒータ組立体(1,2)に連結され、前記インフレータハウジング(11)の端部に配置された点火器(3)と、
点火促進組成物(25)が収容されている促進剤燃焼室(4)であって、該促進剤燃焼室(4)は、前記ガス発生剤燃焼室(5)と前記点火器(3)との間に配置され、隔壁(40)によって前記ガス発生剤燃焼室(5)から分離されており、前記隔壁(40)には、1つまたは2つ以上の開口部(42)が貫通している、促進剤燃焼室(4)と、
を含み、
前記点火促進組成物(25)は前記点火器(3)によって点火された時に燃焼して高温のガスを発生し、該高温のガスは前記隔壁(40)の前記1つまたは2つ以上の開口部(42)を通過し、前記高温のガスの一部は、前記ヒータハウジング(1A,1B,1C)の前記バイパス開口部(24)を通過して前記インフレータハウジング内の前記不活性ガス(6)を加熱し、前記点火促進組成物(25)を燃焼させることによって生成された前記高温のガスの残りの部分によって前記ガス発生剤(27)が点火される、
ハイブリッドインフレータ。
【請求項2】
前記ヒータハウジング(1A,1C)の前記バイパス開口部(24)は前記ガス発生剤燃焼室(5)に配置され、前記隔壁(40)は前記バイパス開口部(24)に近接して配置されている、請求項1に記載のハイブリッドインフレータ。
【請求項3】
前記ヒータハウジング(1B)の前記バイパス開口部(24)は前記促進剤燃焼室(4)に配置されている、請求項1に記載のハイブリッドインフレータ。
【請求項4】
前記隔壁(40)の前記1つまたは2つ以上の開口部(42)に取り付けられて前記1つまたは2つ以上の開口部(42)を覆う破裂可能な部材(44)をさらに有し、前記破裂可能な部材(44)は、前記点火促進組成物(25)が点火されて前記促進剤燃焼室(4)内が所定の圧力に達した後に破裂する、請求項1から3のいずれか1項に記載のハイブリッドインフレータ。
【請求項5】
前記インフレータハウジング(11)は第2の端部を有し、ハイブリッドインフレータは2つの前記ヒータ組立体(1、2)を有し、該ヒータ組立体は前記インフレータハウジング(11)の各端部に1つずつ配置されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のハイブリッドインフレータ。
【請求項6】
前記インフレータハウジング(11)は、直径が小さくなった中央部(13)を有する管状である、請求項1から5のいずれ1項に記載のハイブリッドインフレータ。
【請求項7】
前記インフレータハウジング(11)の前記中央部(13)には通路(16)が貫通しており、該通路(16)は、破裂可能な部材(7)によって密閉されている、請求項6に記載のハイブリッドインフレータ。
【請求項8】
前記中央部(13)は円筒形のガス分配マニフォルド(14)で覆われており、該ガス分配マニフォルド(14)には複数の排気ポート(10)が貫通している、請求項5または6に記載のハイブリッドインフレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−99266(P2007−99266A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−270621(P2006−270621)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(504204568)キー セーフティー システムズ、 インコーポレイテッド (59)
【氏名又は名称原語表記】Key Safety Systems, Inc.
【Fターム(参考)】