説明

ハニカムフィルタシステム

【課題】PMの酸化分解機能及び捕集機能を有し、PMの浄化性能に優れた手段を提供すること。
【解決手段】(F1)、(F2)の条件を満たす第1のハニカムフィルタと、(R1)〜(R5)の条件を満たす第2のハニカムフィルタと、を具備し、上流側に第1のハニカムフィルタ、下流側に第2のハニカムフィルタを配して直列に設置されてなるハニカムフィルタシステムの提供による。
(F1)第1のハニカムフィルタは、隔壁母材は、平均細孔径が25μm以上70μm未満、気孔率が40%以上70%未満である。
(F2)第1のハニカムフィルタは、隔壁母材の細孔の内表面の一部又は全部に、白金、パラジウム、セリア、及びアルミナからなる材料群から選ばれる少なくとも一種の材料を含有する酸化触媒が担持されている。
(R1)第2のハニカムフィルタは、表層のピーク細孔径が隔壁母材のピーク細孔径と同等又は小さく、表層の気孔率が隔壁母材の気孔率より大きい。
(R2)第2のハニカムフィルタの表層は、ピーク細孔径が0.3μm以上20μm未満、気孔率が60%以上95%未満(測定方法は水銀圧入法)である。
(R3)第2のハニカムフィルタは、表層の厚さL1が、隔壁の厚さL2の、0.5%以上30%未満である。
(R4)第2のハニカムフィルタは、表層の濾過面積あたりの質量が、0.01mg/cm以上6mg/cm未満である。
(R5)第2のハニカムフィルタの隔壁母材は、平均細孔径が10μm以上60μm未満、気孔率が40%以上65%未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス中の粒子状物質を捕集するハニカムフィルタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
環境への影響を考慮して、自動車用エンジン、建設機械用エンジン、産業機械用定置エンジン等の内燃機関、その他の燃焼機器等から排出される排気ガスに含まれる粒子状物質を、排気ガスから除去する必要性が高まっている。特に、ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質(パティキュレート・マター)の除去に関する規制は、世界的に強化される傾向にある。このような事情から、粒子状物質を捕集し除去するためのDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)が注目を集めている。
【0003】
DPFは、通常、単独のフィルタで構成される。DPFの一態様としては、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を備え、一方の端部が開口され且つ他方の端部が目封止された所定のセルと、一方の端部が目封止され且つ他方の端部が開口された残余のセルと、が交互に配設され、上記隔壁の細孔の内表面に触媒を担持させたハニカムフィルタを挙げることが出来る。このようなハニカムフィルタをDPFとして適用すると、所定のセルが開口する一方の端部から流入した流体(排気ガス)が、隔壁を透過し、残余のセル側へ透過流体として流出し、更に、残余のセルが開口する他方の端部から流出することによって、排気ガス中の粒子状物質が触媒で酸化分解され、且つ、細孔によって捕集除去される。このハニカムフィルタのような、排気ガスが多孔質の隔壁を透過する構造のフィルタ(ウォールフロー型のフィルタ)は、濾過面積を大きくとれることから、濾過流速(隔壁透過流速)を低くすることが出来、圧力損失が小さく、且つ、粒子状物質の捕集効率が良好なものである。
【0004】
尚、後述する本発明の課題と、課題を同じくする先行文献として、例えば特許文献1を挙げることが出来る。
【特許文献1】特開2006−7148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなハニカムフィルタを単独で適用したDPFでは、細孔が小さいと、その内表面に多量の触媒を担持させることが困難であり、又、細孔内の深層へ粒子状物質が侵入し難く、触媒と微粒子状物質との接触性が悪く、ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質(パティキュレート・マター、(PMともいう))を効率よく酸化分解することが出来ないという課題があった。これに対し、触媒とのPMとの接触性を高めようとして、細孔を大きくし、その細孔の内表面に触媒を担持する構造を採ると、PMの酸化反応性はよくなるものの、大きくした細孔をすり抜けるPMが増大し、総合的にみてPM浄化性を低下させてしまうという課題に直面した。
【0006】
本発明は、このような課題を解決すべく、研究が重ねられてなされたものであり、本発明は、PMの酸化分解機能及び捕集機能を併せ持つ、PMの浄化性能に優れた手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明によれば、先ず、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁母材を備え、一方の端部が開口され且つ他方の端部が目封止された所定のセルと、一方の端部が目封止され且つ他方の端部が開口された残余のセルと、が交互に配設され、(F1)、(F2)の条件を満たす第1のハニカムフィルタと、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁母材と、その隔壁母材の片側に設けられた表層と、を有する隔壁を備え、一方の端部が開口され且つ他方の端部が目封止された所定のセルと、一方の端部が目封止され且つ他方の端部が開口された残余のセルと、が交互に配設され、(R1)〜(R5)の条件を満たす第2のハニカムフィルタと、を具備し、上流側に第1のハニカムフィルタ、下流側に第2のハニカムフィルタを配して直列に設置されてなるハニカムフィルタシステムが提供される。
(F1)第1のハニカムフィルタは、隔壁母材は、平均細孔径が25μm以上70μm未満、気孔率が40%以上70%未満である。
(F2)第1のハニカムフィルタは、隔壁母材の細孔の内表面の一部又は全部に、白金(Pt)、パラジウム、セリア、及びアルミナからなる材料群から選ばれる少なくとも一種の材料を含有する酸化触媒が担持されている。
(R1)第2のハニカムフィルタは、表層のピーク細孔径が隔壁母材のピーク細孔径と同等又は小さく、表層の気孔率が前記隔壁母材の気孔率より大きい。
(R2)第2のハニカムフィルタの表層は、ピーク細孔径が0.3μm以上20μm未満、気孔率が60%以上95%未満(測定方法は水銀圧入法)である。
(R3)第2のハニカムフィルタは、表層の厚さL1が、隔壁の厚さL2の、0.5%以上30%未満である。
(R4)第2のハニカムフィルタは、表層の濾過面積あたりの質量が、0.01mg/cm以上6mg/cm未満である。
(R5)第2のハニカムフィルタの隔壁母材は、平均細孔径が10μm以上60μm未満、気孔率が40%以上65%未満である。
【0008】
隔壁母材の細孔の内表面とは、(空間部分である)細孔を形成する(実体部分である)隔壁母材の主に内部において、当該細孔に接する表面を指す。酸化触媒は、セルを形成する隔壁母材の表面にも担持されていてよい。
【0009】
一般に、母材という場合、他の部材の存在を前提とするが、本明細書では、第2のハニカムフィルタとの対比において理解容易なように、表層が存在しない第1のハニカムフィルタにおいても、隔壁母材の語を使用するものとする。即ち、第1のハニカムフィルタにおいて、隔壁母材=隔壁であり、第2のハニカムフィルタにおいて、隔壁母材+表層=隔壁である。更に、上流側、下流側とは、流体が流れるときの上流側、下流側を意味する。
【0010】
本発明に係るハニカムフィルタシステムにおいては、第2のハニカムフィルタは、表層の厚さL1が、一方の端部と他方の端部を結ぶ方向における分布において、一方の端部及び他方の端部の近傍より中央部の方が薄いことが好ましい。この態様においては、表層の厚さL1は平均値を指し、この場合にも、上記(R3)の条件を満たすべきことはいうまでもない。
【0011】
本発明に係るハニカムフィルタシステムにおいては、第2のハニカムフィルタの表層は、ピーク細孔径が、6μm以上10μm未満、気孔率が80%以上95%未満であることが好ましい。
【0012】
本発明に係るハニカムフィルタシステムにおいては、第2のハニカムフィルタは、表層の厚さL1が、隔壁の厚さL2の、3%以上15%未満であることが好ましい。
【0013】
本発明に係るハニカムフィルタシステムにおいては、第2のハニカムフィルタの隔壁母材は、平均細孔径が40μm以上60μm未満、気孔率が40%以上60%未満であることが好ましい。
【0014】
本発明に係るハニカムフィルタシステムにおいては、第2のハニカムフィルタは、隔壁母材が、コージェライト、Si結合SiC、再結晶SiC、アルミナタイタネート、ムライト、窒化珪素、サイアロン、リン酸ジルコニウム、ジルコニア、チタニア、アルミナ、及びシリカからなる材料群より選択される少なくとも一種の材料を主成分として構成されることが好ましい。尚、これらの材料は、第1のハニカムフィルタの隔壁母材を構成する主材料としても好適である。
【0015】
本発明に係るハニカムフィルタシステムでは、第1のハニカムフィルタ及び第2のハニカムフィルタに、セルを目封止するために目封止部を設ける。目封止部の材料としては、例えば、上記した隔壁母材の材料として挙げたものから選択された少なくとも一種の材料を使用することが出来る。
【0016】
本発明に係るハニカムフィルタシステムにおいては、第2のハニカムフィルタは、表層が、セラミック又は金属の繊維を70質量%以上含有することが好ましい。この場合において、第2のハニカムフィルタは、その繊維が、アルミノシリケート、アルミナ、シリカ、ジルコニア、セリア、及びムライトからなる材料群より選択される少なくとも一種の材料を主成分として構成されることが好ましい。又、第2のハニカムフィルタの上記繊維は、平均径が0.5μm以上8μm未満、平均長さが100μm以上500μm未満であることが好ましい。更に、第2のハニカムフィルタは、上記繊維が、生体溶解性繊維であることが好ましい。
【0017】
本発明に係るハニカムフィルタシステムにおいては、第2のハニカムフィルタの表層に、白金(Pt)及びパラジウムの何れか又は両方を含む触媒が担持されていることが好ましい。この場合において、助触媒として、セリア、ジルコニア等の酸素吸蔵性を有する酸化物等が担持されていると、尚好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るハニカムフィルタシステムは、これをDPFとして適用することによって、以下の効果を奏する。本発明に係るハニカムフィルタシステムは、上流側に第1のハニカムフィルタ、下流側に第2のハニカムフィルタを配して直列に設置されてなるものであり、第1のハニカムフィルタは、多孔質の隔壁母材を備え、(F1)隔壁母材は、平均細孔径が25μm以上70μm未満、気孔率が40%以上70%未満であり、(F2)隔壁母材の細孔の内表面の一部又は全部に、白金、パラジウム、セリア、及びアルミナからなる材料群から選ばれる少なくとも一種の材料を含有する酸化触媒が担持されており、第2のハニカムフィルタは、多孔質の隔壁母材とその隔壁母材の片側に設けられた表層とを有する隔壁を備え、(R1)表層のピーク細孔径が隔壁母材のピーク細孔径と同等又は小さく、表層の気孔率が前記隔壁母材の気孔率より大きく、(R2)ピーク細孔径が0.3μm以上20μm未満、気孔率が60%以上95%未満(測定方法は水銀圧入法)であり、(R3)表層の厚さL1が、隔壁の厚さL2の、0.5%以上30%未満であり、(R4)表層の濾過面積あたりの質量が、0.01mg/cm以上6mg/cm未満であり、(R5)隔壁母材は、平均細孔径が10μm以上60μm未満、気孔率が40%以上65%未満であるので、上流側の第1のハニカムフィルタにおいて、PMの一部捕集と酸化、及びNO(一酸化窒素)のNO(二酸化窒素)への酸化を行い、下流側の第2のフィルタにおいて、第1のフィルタから漏れるPMを高い捕集効率で捕集するとともに、上流から流入するNOによってPMの酸化を行うことが出来る。即ち、本発明に係るハニカムフィルタシステムによれば、PMを効率よく酸化分解することが出来、且つ、PMを通過させることなく捕集して、高いPM浄化率を実現することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明について、適宜、図面を参酌しながら、実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではない。本発明に係る要旨を損なわない範囲で、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良、置換を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明に係る実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は、以下に記述される手段である。
【0020】
図1は、本発明に係るハニカムフィルタシステムの一実施形態を模式的に示す図であり、ハニカムフィルタシステムを構成する第1のハニカムフィルタの正面図である。第2のハニカムフィルタの正面図は示さず省略するが、図1と同態様である。図2は、本発明に係るハニカムフィルタシステムの一実施形態を模式的に示す図であり、ハニカムフィルタシステムを構成する第1のハニカムフィルタ及び第2のハニカムフィルタの断面図である。図3は、図2におけるP部分及びQ部分を拡大して示すとともに他を排して表した本発明に係るハニカムフィルタシステムの部分断面図である。尚、図2においては、表層は省略されており描かれていない。
【0021】
図7は、本発明に係るハニカムフィルタシステムの一実施形態を模式的に示す図であり、DPFとして適用した場合の例を、従来例と比較して、斜視図で表したものである。図7に示されるように、本発明に係るハニカムフィルタシステムは、従来、単独のフィルタで構成されていたDPFに代わって、2つのハニカムフィルタを役割の異なるDPFとして適用したDPFシステムを構築し得るところに特徴がある。第1のDPF(ハニカムフィルタ)と第2のDPF(ハニカムフィルタ)は直列に設置されて接続されており、排気ガスは、第1のDPF(ハニカムフィルタ)で処理された後に、第2のDPF(ハニカムフィルタ)で処理され、系外へ排出される。
【0022】
DPFシステムとして適用される、図1〜3に示されるハニカムフィルタシステム100は、第1のハニカムフィルタ1と、第2のハニカムフィルタ101と、で構成される。このうち第1のハニカムフィルタ1は、外周壁20で囲われた内部に、流体の流路となる複数のセル3を区画形成する、多孔質の隔壁母材4を備えたハニカム構造体50を主たる構成要素とする。ハニカム構造体50において、セル3の端部を目封止する目封止部10を形成するとともに、隔壁母材4の細孔の内表面の一部又は全部に、白金、パラジウム、セリア、及びアルミナからなる材料群から選ばれる少なくとも一種の材料を含有する酸化触媒が担持させたものが、第1のハニカムフィルタ1である。
【0023】
第1のハニカムフィルタ1の隔壁母材は、平均細孔径が25μm以上70μm未満、気孔率が40%以上70%未満である。尚、本明細書において、隔壁母材の平均細孔径は、水銀圧入法により測定した値である。
【0024】
第1のハニカムフィルタ1は、その使用時においては、排気ガス(流体)は、一方の端面2a側から(所定のセル3が開口する一方の端部(端面2a側の端部)から)、セル3内に流入し、触媒を備えた濾過層となる隔壁母材4を通過し、透過流体として、他方の端面2b側が開口したセル3(残余のセル3)へ流出させ、他方の端面102b側(残余のセル3の他方の端部(端面102b側の端部))から流出し、後段の第2のハニカムフィルタ101へ流入する。この隔壁母材4を通過する際に、排気ガスに含まれるPMが、隔壁母材4で一部捕集されるとともに、酸化触媒に接して酸化される。加えて、排気ガスに含まれるNOが、酸化してNOとなる。
【0025】
以下、第1のハニカムフィルタ1について説明を続けるが、これらは、第2のハニカムフィルタにおいて同様に該当する。よって、以下の説明は、後述する第2のハニカムフィルタの説明においては、省略する。
【0026】
第1のハニカムフィルタ1において、隔壁母材4は、二つの端面2a,2b間を連通する複数のセル3が形成されるように配置され、目封止部10は、何れかの端面2a,2bにおいてセル3を目封止するように配置されている。目封止部10は、隣接するセル3が互いに反対側の端部(端面2a,2bの何れか側の端部)で目封止されるように存在し、その結果、図1に示されるように、第1のハニカムフィルタ1(ハニカム構造体50)の端面は市松模様状を呈する。
【0027】
第1のハニカムフィルタ1の最外周に位置する外周壁20は(図1を参照)、製造時に(成形時に)、隔壁母材14で構成される部分と一体的に成形する成形一体壁であってもよく、成形後に隔壁母材14で構成される部分の外周を研削して所定形状としセメント等で外周壁を形成するセメントコート壁であってもよい。又、第1のハニカムフィルタ1では、目封止部10が、端面2a,2bにおいてセル3を目封止するように配置された状態が示されているが、第1のハニカムフィルタは、このような目封止部の配置状態に限定されるものではなく、セルの内部に目封止部を配置してもよく、濾過性能より圧力損失低減を優先させて、一部のセルについては目封止部を設けない態様を採ることも出来る。
【0028】
第1のハニカムフィルタ1のセル3の密度(セル密度)は、15個/cm以上65個/cm未満であることが好ましく、且つ、隔壁母材4の厚さは、200μm以上600μm未満であることが好ましい。PM堆積時の圧力損失は、濾過面積が大きいほどに低減されるから、セル密度は高い方が、PM堆積時の圧力損失は低下するが、一方、初期の圧力損失は、セルの水力直径を小さくすることによって低下するので、この観点からはセル密度は小さい方がよい。隔壁母材4の厚さは、厚くすれば捕集効率が向上するが、初期の圧力損失は増加する。初期の圧力損失、PM堆積時の圧力損失、及び捕集効率のトレードオフを考慮して、全てを満足するセル密度及び隔壁の厚さの範囲が、上記した範囲である。
【0029】
第1のハニカムフィルタ1の(ハニカム構造体50の)、40〜800℃における、セル3の連通方向の熱膨張係数は、1.0×10−6/℃未満であることが好ましく、0.8×10−6未満/℃であることが更に好ましく、0.5×10−6未満/℃であることが特に好ましい。40〜800℃におけるセルの連通方向の熱膨張係数が1.0×10−6/℃未満であると、高温の排気ガスに晒された際の発生熱応力を許容範囲内に抑えることが出来、熱応力破壊が防止されるからである。
【0030】
図1及び図2に示されるように、第1のハニカムフィルタ1は、その全体形状が円柱形(円筒形)であり、セル3の形状(セル3の連通方向に垂直な面で第1のハニカムフィルタ1の径方向に切断した断面の形状)が四角形であるが、第1のハニカムフィルタにおいて、その全体形状及びセルの形状は、特に制限されない。例えば、全体形状は、楕円柱形、長円柱形、あるいは四角柱形、三角柱形、その他の多角柱形であってよく、セル形状は、六角形、三角形等を採用し得る。
【0031】
以上、第2のハニカムフィルタにも共通する点につき、第1のハニカムフィルタ1について説明したが、次に、第2のハニカムフィルタ101について説明する。図1〜3に示されるハニカムフィルタシステム100のうち第2のハニカムフィルタ101は、第1のハニカムフィルタ1と同様に、外周壁で囲われた内部に、流体の流路となる複数のセル3を区画形成する、多孔質の隔壁母材104を備えたハニカム構造体150を主構成要素とする。ハニカム構造体150において、セル3の端部を目封止する目封止部10を形成するとともに、隔壁母材104の片側に表層124を設けたものが第2のハニカムフィルタ101である。即ち、第2のハニカムフィルタ101では、隔壁母材104と表層124とで隔壁114を構成している(図3を参照)。
【0032】
第2のハニカムフィルタ101では、表層124のピーク細孔径が、隔壁母材104のピーク細孔径と同等か又は小さい。ピーク細孔径は、細孔分布のピークを構成する細孔径である。本明細書において、隔壁母材の細孔の細孔分布は、水銀圧入法により測定した値で表される。本明細書において、細孔分布と、平均細孔径及び気孔径は、例えば、島津製作所社製、商品名:ポロシメータ 型式9810を使用して測定することが出来る。図4は、水銀圧入法によって求められる細孔分布を示すグラフであり、細孔容積と細孔径の関係を表している。本明細書において、表層のピーク細孔径は、(表層をつけたまま(表層あり)の)隔壁の細孔分布の測定結果と、遷移層(表層と隔壁母材との境界)を含まない表層を除去したもの(隔壁母材に相当、表層なし)における細孔分布の測定結果と、の差を、表層の細孔分布とみなし、そのピークにより定義される(図4を参照)。
【0033】
第2のハニカムフィルタ101では、表層124の厚さL1が、隔壁114の厚さL2の、0.5%以上30%未満である(図3を参照)。本明細書において、表層の厚さは、隔壁の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)を通じた画像解析を行うことによって求められる(図5を参照)。図5は、第2のハニカムフィルタの隔壁の表面からの距離と、気孔率との関係を示すグラフである。表層の厚さを求めるに際しては、先ず、隔壁の厚さの半分の厚さの領域につき、厚さ方向に1000又はそれ以上に分割し、分割した各領域における正方形内の気孔率を、表面に近い領域から、画像上の空間/固体面積比として測定していき、表面からの距離に対してプロットする。尚、各距離において20視野の平均値をプロットするものとする。そして、最も表面に近い1点を除く表面に近い3点の平均を求め、これを表層の気孔率とする(気孔率xとよぶ)。一方、表面から充分に離れた位置(隔壁の厚さ方向の中央部分)において、正方形20視野(正方形の一辺は隔壁の厚さの1/1000)の平均の空間/固体面積比を測定し、これを隔壁母材の気孔率とする(気孔率yとよぶ)。そして、気孔率xと気孔率yの算術平均による直線と、上記プロットを結ぶ直線と、が交差する位置(表面からの距離)を、表層の厚さ(深さ)と定義する。
【0034】
第2のハニカムフィルタ101では、隔壁母材104の平均細孔径は、10μm以上60μm未満である。隔壁母材104の平均細孔径は、隔壁1枚を切り出した後、表層を研削により除去し、残りの部分(隔壁母材に相当)について測定することにより得られる。
【0035】
第2のハニカムフィルタ101では、表層124の気孔率は、隔壁母材104の気孔率より大きい。本明細書において、気孔率は、水浸漬法により測定した値であり、体積%で表現される(本明細書において、単に%で示す)。隔壁母材の気孔率は、隔壁1枚を切り出した後、表層を研削により除去し、残りの部分(隔壁母材に相当)について測定することにより得られる。
【0036】
第2のハニカムフィルタ101は、その使用時においては、第1のハニカムフィルタ1を通過した(で処理された)排気ガス(流体)が、一方の端面102a側から(所定のセル3が開口する一方の端部(端面102a側の端部)から)、セル3内に流入し、表層124が設けられた側から、濾過層となる隔壁114を通過し、透過流体として、他方の端面102b側が開口したセル3(残余のセル3)へ流出する。そして、他方の端面102b側(残余のセル3の他方の端部(端面102b側の端部))から、第2のハニカムフィルタ101の外部(ハニカムフィルタシステム100の系外)へと流出する。排気ガスが隔壁114を通過する際に、第1のハニカムフィルタ1で捕集されなかったPMは隔壁114で捕集され、且つ、第1のハニカムフィルタ1においてNOが酸化されて生じたNOが第2のハニカムフィルタ101に流入し、PMはこれに接して酸化分解される。
【0037】
次に、本発明に係るハニカムフィルタシステムを製造する方法について説明する。本発明に係るハニカムフィルタシステムは、第1のハニカムフィルタ及び第2のハニカムフィルタを作製して、これらを、例えば金属容器内に、直列に設置することで得られる。より詳細には、前段(上流側)に第1のハニカムフィルタ、後段(下流側)に第2のハニカムフィルタを配し、排気ガスが、先ず第1のハニカムフィルタに流入し、それで処理された排気ガスが第2のハニカムフィルタに流入するように、金属容器内に配置する。
【0038】
第1のハニカムフィルタ1及び第2のハニカムフィルタ101を得るために、予め、ハニカム構造体50、150を、焼成体として作製する。ハニカム構造体(ハニカム構造体50、150)は、触媒を担持しあるいは表層を設ける前に、セル3の端部を目封止部10によって目封止し、目封止ハニカム構造体として作製しておくことが好ましい。ハニカム構造体(目封止ハニカム構造体)を得るための手段は限定されない。ハニカム構造体は、例えば、以下の方法によって作製することが出来る。
【0039】
先ず、既に隔壁母材の材料として挙げたものの原料を用い、その原料を混合、混練して坏土を形成する。例えば、コージェライトを隔壁母材の材料とする場合には、コージェライト化原料に、水等の分散媒、及び造孔材を加えて、更に、有機バインダ及び分散剤を加えて混練し、粘土状の坏土を形成する。コージェライト化原料(成形原料)を混練して坏土を調製する手段は、特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることが出来る。
【0040】
コージェライト化原料とは、焼成によりコージェライトとなる原料を意味し、シリカが42〜56質量%、アルミナが30〜45質量%、マグネシアが12〜16質量%の範囲に入る化学組成となるように配合されたセラミックス原料である。具体的に、タルク、カオリン、仮焼カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウム、及びシリカの中から選ばれた複数の無機原料を上記化学組成となるような割合で含むものが挙げられる。造孔材としては、焼成工程により飛散消失する性質のものであればよく、コークス等の無機物質や発泡樹脂等の高分子化合物、澱粉等の有機物質等を単独で用いるか組み合わせて用いることが出来る。有機バインダとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を使用することが出来る。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。分散剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を使用することが出来る。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0041】
次に、得られた坏土を、ハニカム形状に成形してハニカム成形体を作製する。ハニカム成形体を作製する方法は、特に制限はなく、押出成形、射出成形、プレス成形等の従来公知の成形法を用いることが出来る。中でも、上述のように調製した坏土を、所望のセル形状、隔壁の厚さ、セル密度を有する口金を用いて押出成形する方法等を好適例として挙げることが出来る。
【0042】
次に、例えば、得られたハニカム成形体の両端部を目封止する。目封止の方法は、特に限定されない。例えば、コージェライト化原料、水又はアルコール、及び有機バインダを含む目封止用スラリーを、容器に貯留しておき、ハニカム成形体の一方の端面には、セルを交互に塞いで市松模様状にマスクを施す。そして、そのマスクを施した端面側の端部を、上記容器の中に浸漬し、マスクを施していないセルに目封止スラリーを充填して、目封止部(目封止部10)を形成する。他方の端部については、一方の端部において目封止されたセルについてマスクを施し、上記一方の端部に目封止部を形成したのと同様の方によって目封止部を形成する。これにより、ハニカム成形体は、一方の端部において開口した(目封止されていない)セルが他方の端部において目封止され、一方の端部及び他方の端部において、セルが市松模様状に交互に塞がれた構造を有するものとなる。
【0043】
次に、目封止を施したハニカム成形体を乾燥させて、ハニカム乾燥体を作製する。乾燥の手段は、特に制限はなく、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の、従来公知の乾燥法を用いることが出来る。中でも、成形体全体を迅速且つ均一に乾燥することが出来る点で、熱風乾燥と、マイクロ波乾燥又は誘電乾燥とを組み合わせた乾燥方法が好ましい。
【0044】
次に、得られたハニカム乾燥体を本焼成する前に仮焼して仮焼体を作製する。仮焼とは、ハニカム成形体中の有機物(有機バインダ、分散剤、造孔材等)を燃焼させて除去する操作を意味する。一般に、有機バインダの燃焼温度は100〜300℃程度、造孔材の燃焼温度は200〜800℃程度であるので、仮焼温度は200〜1000℃程度とすればよい。仮焼時間としては特に制限はないが、通常は、10〜100時間程度である。
【0045】
次に、得られた仮焼体を焼成(本焼成)することによって、(目封止)ハニカム構造体を得る。本発明において、本焼成とは、仮焼体中の成形原料を焼結させて緻密化し、所定の強度を確保するための操作を意味する。焼成条件(温度・時間)は、成形原料の種類により異なるため、その種類に応じて適当な条件を選択すればよい。コージェライト原料を焼成する場合には、1410〜1440℃で焼成することが好ましい。又、3〜10時間程度焼成することが好ましい。
【0046】
以上、(目封止)ハニカム構造体を作製する方法について説明した。次に、得られた目封止ハニカム構造体の隔壁母材の表面や細孔の内表面に、白金及びパラジウム(貴金属)並びにセリア及びアルミナ(無機酸化物)からなる材料群から選ばれる少なくとも一種の材料を含有する酸化触媒層を設ける(酸化触媒を担持する)ことによって、第1のハニカムフィルタ1を得ることが出来る。酸化触媒層を設ける手段としては、白金及びパラジウム並びにセリア及びアルミナからなる材料群から選ばれる少なくとも一種の材料をスラリーを調製し、そのスラリーに目封止ハニカム構造体をディッピングする等して、隔壁の表面や細孔の内表面にスラリーをコートし、その後、室温又は加熱条件下で乾燥するという方法を、好適に採り得る。酸化触媒層の好ましい態様として、セリア及びアルミナの粒子に白金又はパラジウムが分散担持された状態のものを挙げることが出来る。
【0047】
又、目封止ハニカム構造体を得た後、隔壁母材の片側に表層を設けることによって、第2のハニカムフィルタ101を得ることが出来る。表層を設ける手段としては、繊維状の、シリカ、アルミナ、コージェライト、ムライト、及びガラスからなる材料群より選択される少なくとも一種の繊維状材料と、乾燥により固化するシリカ又はアルミナを主成分とする接着材料と、有機バインダと、水又はアルコールと、を混合してスラリーを得て、そのスラリーを隔壁母材の片側に堆積させ、その後、乾燥、又は、乾燥及び焼成をする方法を好適に採り得る。スラリーを隔壁母材の片側に堆積させるに際しては、スラリーを霧吹きで霧化し、ハニカム構造体のセルの端部から空気とともに吸引することが好ましい。
【0048】
又、表層を設ける手段としては、繊維状の、シリカ、アルミナ、コージェライト、ムライト、及びガラスからなる材料群より選択される少なくとも一種の繊維状材料と、水又はアルコールと、を混合してスラリーを得て、更に、油脂と、界面活性剤と、を加えて、混合し、エマルジョン化原料を得て、そのエマルジョン化原料を隔壁母材の片側に堆積させ、その後、乾燥、又は、乾燥及び焼成をする方法を採ることも出来る。
【0049】
更に、表層を設ける手段として、焼成により除去される高分子有機物質からなるコロイド粒子を、隔壁母材の片側に堆積させてコロイド粒子層を形成するとともに、繊維状の、シリカ、アルミナ、コージェライト、ムライト、及びガラスからなる材料群より選択される少なくとも一種の繊維状材料と、水と、を混合してスラリーを得て、コロイド粒子層に、スラリーを含浸させ、その後、乾燥及び焼成をする方法を採ることも可能である。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例により、更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
(実施例1)(目封止ハニカム構造体の作製)コージェライト化原料として、アルミナ、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、及びシリカを使用し、コージェライト化原料100質量部に、造孔材を13質量部、分散媒を35質量部、有機バインダを6質量部、分散剤を0.5質量部、それぞれ添加し、混合、混練して坏土を調製した。分散媒として水を使用し、造孔材としては平均粒子径10μmのコークスを使用し、有機バインダとしてはヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用し、分散剤としてはエチレングリコールを使用した。次いで、所定の金型を用いて坏土を押出成形し、セル形状が四角形で、全体形状が円柱形(円筒形)のハニカム成形体を得た。そして、ハニカム成形体をマイクロ波乾燥機で乾燥し、更に熱風乾燥機で完全に乾燥させた後、ハニカム成形体の両端面を切断し、所定の寸法に整えた。次に、ハニカム成形体の一方の端面のセル開口部に、市松模様状に交互にマスクを施し、マスクを施した側の端部をコージェライト化原料を含有する目封止スラリーに浸漬し、市松模様状に交互に配列された目封止部を形成した。他方の端部については、一方の端部において目封止されたセルについてマスクを施し、上記一方の端部に目封止部を形成したのと同様の方法で目封止部を形成した。その後、目封止部を形成したハニカム成形体を熱風乾燥機で乾燥し、更に、1410〜1440℃で、5時間、焼成することによって、第1のハニカムフィルタ及び第2のハニカムフィルタ用の目封止ハニカム構造体を得た。
【0052】
(酸化触媒層の形成)Al粉末1000gに対し、Pt20gを硝酸塩水溶液として加え、更に、水を2000g加え、湿式粉砕して、酸化触媒層形成用のスラリーを得た。そして、そのスラリーに、先に得られた目封止ハニカム構造体をディッピングして、セルを形成する隔壁の表面、更には隔壁の細孔の内表面に、スラリーをコートした。このコート作業は、Ptの担持量がハニカム容積あたり2g/Lとなるまで繰り返した。そして、その後、600℃で、3時間、乾燥をして、目封止ハニカム構造体に酸化触媒層を設けた第1のハニカムフィルタを得た。
【0053】
(表層の形成)繊維状材料として平均径が3μm、平均長さが105μmのアルミノシリケート繊維、接着材料として平均粒子径1μmのシリカ、有機バインダとしてセルロースを、それらが質量比で90:10:5となる量を使用し、全体で質量100gにしたものを、5リットルの水と混合して、表層形成用のスラリーを得た。そして、そのスラリーを、ノズル孔径1.5mmのニードル型噴霧器に導入し、0.15MPaの空気圧により噴霧して、先に得られた目封止ハニカム構造体の隔壁母材の片側に堆積させた。その後、130℃で、1時間の乾燥をした後、700℃で、1時間の焼成を行い、目封止ハニカム構造体に表層を設けた第2のハニカムフィルタを得た。
【0054】
(第2のハニカムフィルタの単独評価)得られた第2のハニカムフィルタは、直径144mm、長さ152mmの円柱形(円筒形)であった。この第2のハニカムフィルタ(ハニカムフィルタ番号、No.1)について、後述する方法により、表層の厚さL1、隔壁の厚さL2、表層のピーク細孔径、表層の気孔率、隔壁母材の平均細孔径、隔壁母材の気孔率、入口側、中央、出口側の各位置における表層の厚さ及び質量を測定するとともに、初期捕集効率、PM堆積時の圧力損失、圧力損失増加率、ヒステリシス特性により、第2のハニカムフィルタを単独で評価した。結果を、表層形成手段、セル密度、隔壁の厚さL2と表層の厚さL1との比、表層の繊維含有率、表層の繊維の平均径及び平均長さ、及び総合評価とともに、表1に示す。尚、総合評価では、初期捕集効率、PM堆積時の圧力損失、圧力損失増加率、及びヒステリシス特性の全てにおいて○の評価(後述する)が得られたものを○、そうでないものを×とした。平均細孔径、細孔分布、及び気孔率は、島津製作所社製、商品名:ポロシメータ 型式9810を使用して測定した。表層の厚さ及び質量の測定対象である入口側とは、排気ガスが流入する側の第2のハニカムフィルタの端面から20mmの位置を指し、出口側とは、排気ガスが流出する側の第2のハニカムフィルタの端面から20mmの位置を指し、中央とは、円柱形の第2のハニカムフィルタの両端面の中間(軸方向の中間)の位置を指す。表層の厚さL1は、入口側、中央、出口側の各位置を含む合計10箇所の位置において測定された表層の厚さの平均値である。
【0055】
【表1】

【0056】
[隔壁母材の気孔率]SEM(走査型電子顕微鏡)を通じて、第2のハニカムフィルタの隔壁の断面の画像を撮り、隔壁の表面から充分に離れた位置(隔壁の厚さ方向の中央部分)において、正方形20視野(正方形の一辺は隔壁の厚さの1/1000)の平均の空間/固体面積比を測定し、これを隔壁母材の気孔率とした。
【0057】
[表層の気孔率]SEMを通じて、第2のハニカムフィルタの隔壁の断面の画像を撮り、表面に近い領域から、分割した各領域における正方形20視野(正方形の一辺は隔壁の厚さの1/1000)の平均の空間/固体面積比を測定し、最も表面に近い1点を除く表面に近い3点の平均を求め、これを表層の気孔率とした。
【0058】
[隔壁の厚さ]SEMを通じて、第2のハニカムフィルタの隔壁の断面の画像を撮り、画像を通して測定した。
【0059】
[表層の厚さ]SEMを通じて、第2のハニカムフィルタの隔壁の断面の画像を撮り、隔壁の厚さの半分の厚さの領域につき、厚さ方向に1000に分割し、分割した各領域における正方形内の気孔率を、表面に近い領域から、画像上の空間/固体面積比として測定していき、表面からの距離に対して、距離毎に、20視野の平均値をプロットした。そして、表層の気孔率と隔壁母材の気孔率との算術平均が形成する直線と上記気孔率のプロットを結んだ線とが交差する位置における表面からの距離(換言すれば、上記プロットを結ぶ線上において上記算術平均の気孔率に相当する表面からの距離)を、表層の厚さとした。
【0060】
[隔壁母材の平均細孔径]第2のハニカムフィルタから隔壁を切り出し、表層を研削により除去し、残りの部分(隔壁母材に相当)について平均細孔径を測定し、これを隔壁母材の平均細孔径とした。
【0061】
[表層のピーク細孔径]第2のハニカムフィルタから隔壁を切り出し、その隔壁の細孔分布を測定した。その後、隔壁から表層を研削により除去し、残った部分(隔壁母材に相当)の細孔分布を測定した。隔壁の細孔分布と、隔壁から表層を除去した部分の細孔分布と、の差を、表層の細孔分布とみなして、その細孔分布においてピークを形成する細孔径を、表層のピーク細孔径とした。
【0062】
[表層の質量]隔壁を切り出して質量と面積を測定した後、表層を研削により除去して再度質量を測定し、これらの質量の差を面積で割った値を、表面積(濾過面積)あたりの質量として求めた。
【0063】
[初期捕集効率]PM濃度が1mg/m、温度が200℃、流量が2.4Nm/minの条件で、軽油バーナーからの排気ガスを、第2のハニカムフィルタに流入させ、PMが第2のハニカムフィルタに堆積する前の初期状態において、上流(第2のハニカムフィルタに流入する前)及び下流(第2のハニカムフィルタから流出した後)のPM粒子数を測定した。そして、((上流のPM粒子数)−(下流のPM粒子数))/(上流のPM粒子数)×100の式により、捕集効率を算出した。PM粒子数の測定は、TSI社製SMPS(Scanning Mobility Particle Sizer)を使用して、PM粒子をカウントすることにより行った。初期捕集効率は、80%以上であれば評価を○とし、80%未満であれば×とした。
【0064】
[初期圧力損失]PMが堆積していない第2のハニカムフィルタに、8Nm/minの流量で常温の空気を流入させ、第2のハニカムフィルタの上流と下流との圧力差を、差圧計で測定し、初期圧力損失を求めた(表1に記載しない)。
【0065】
[PM堆積時の圧力損失]PMが堆積していない第2のハニカムフィルタに対して、PMを容積あたりの質量として2g/L堆積させ、そのPMを堆積させた第2のハニカムフィルタに、2.4Nm/minの流量で200℃の空気を流入させ、第2のハニカムフィルタの上流と下流との圧力差を、差圧計で測定し、PM堆積時の圧力損失(圧力損失Aと呼ぶ、後述する図6を参照)を求めた。表1に示されるPM堆積時の圧力損失は、比較例1の結果を1とした相対値である。PM堆積時の圧力損失は、0.5未満であれば評価を○とし、0.5以上であれば×とした。
【0066】
[初期圧力損失増加率]上記の第2のハニカムフィルタの初期圧力損失及びPM堆積時の圧力損失に基づき、((PM堆積時の圧力損失)−(初期圧力損失))/(初期圧力損失)×100の式により、初期圧力損失増加率を算出した。初期圧力損失増加率は、10%未満であれば評価を○とし、10%以上であれば×とした。
【0067】
[ヒステリシス特性]図6は、第2のハニカムフィルタのヒステリシス特性を表したグラフであり、圧力損失と容積あたりのPM堆積量との関係を示すものである。本実施例では、第2のハニカムフィルタに、200℃の温度で、PMを容積あたりの質量として4g/L堆積させた後、400℃の温度で一部のPMを燃焼させ、PMが2g/Lに減少したときの圧力損失(圧力損失Cと呼ぶ)を求めた。そして、上記圧力損失Aと圧力損失Cとの差である圧力損失差Bの算出し、圧力損失Aに対する圧力損失差Bの比を%表示し、これをヒステリシス特性とした。
【0068】
(ハニカムフィルタシステムの作製)先に得られた第1のハニカムフィルタ及び第2のハニカムフィルタを、排気ガスの入口、出口を備えたステンレス製の容器に、直列に収容して、ハニカムフィルタシステムを得た。尚、第1のハニカムフィルタは、直径144mm、長さ152mmの円柱形(円筒形)であった。
【0069】
(ハニカムフィルタシステムの評価)得られたハニカムフィルタシステムについて、後述する方法に基づき、PM堆積時の圧力損失、PM浄化率、欧州規制運転モードで運転後のPM堆積残存量により、DPFシステムとしての性能を評価した。結果を、第1のハニカムフィルタのフィルタ容積、セル密度、隔壁の厚さ、平均細孔径、気孔率、及び酸化触媒層の形成に使用した材料とその量、並びに、第2のハニカムフィルタの表1に対応したハニカムフィルタ番号、フィルタ容積とともに、表2に示す。尚、実施例1では、第2のハニカムフィルタに触媒は担持させていない。フィルタ容積、平均細孔径、細孔分布、及び気孔率は、島津製作所社製、商品名:ポロシメータ 型式9810を使用して測定した。
【0070】
【表2】

【0071】
[PM堆積時の圧力損失]PMを容積あたりの質量として2g/L堆積させたハニカムフィルタシステムに、2.4Nm/minの流量で200℃の空気を流入させ、ハニカムフィルタシステムの入口(上流)と出口(下流)との圧力差を、差圧計で測定し、PM堆積時の圧力損失を求めた。表2に示されるPM堆積時の圧力損失は、比較例1の結果を1とした相対値である。
【0072】
[PM浄化率]流量2.4Nm/min、温度350℃、PM生成率1g/hrの条件で、軽油バーナーからの排気ガスを、ハニカムフィルタシステムに流入させ、ハニカムフィルタシステムの入口及び出口で、排気ガス中のPMの濃度を、TSI社製SMPS(Scanning Mobility Particle Sizer)で、PMの個数として計測し、質量換算した数値を用いて、PM浄化率(%)=((ハニカムフィルタシステムの入口のPM質量濃度)−(ハニカムフィルタシステムの出口のPM質量濃度))/(ハニカムフィルタシステムの入口のPM質量濃度)×100、の式で浄化率を求めた。
【0073】
[PM堆積残存量]第1のハニカムフィルタ及び第2のハニカムフィルタにともにPMが堆積していないハニカムフィルタシステムを使用して、排気量2リットルのディーゼルエンジンを搭載した自動車の排気系に装着し、欧州規制運転モード走行条件に基づきシャシダイナモ上で、5回の運転を行った。その後、第1のハニカムフィルタ及び第2のハニカムフィルタを取り出し、200℃、10時間の条件で乾燥させた後の質量を、電子天秤で測定した。そして、その質量と、試験前に、予め、200℃、10時間の条件で乾燥させて測定しておいた第1のハニカムフィルタ及び第2のハニカムフィルタの質量と、の差によって、上記運転の結果、両方のハニカムフィルタに残存したPM堆積量を測定した。
【0074】
(実施例2)第1のハニカムフィルタ用の目封止ハニカム構造体の作製に際し、押出成形用の金型を適宜変更するとともに、コージェライト化原料の粒子径分布及び配合量、造孔材の粒子径分布及び配合量を適宜調節することによって、セル密度、隔壁母材の厚さ、平均細孔径、気孔率を変えた。又、第2のハニカムフィルタ用の目封止ハニカム構造体の作製に際し、コージェライト化原料の粒子径分布及び配合量、造孔材の粒子径分布及び配合量を適宜調節することによって、隔壁母材の平均細孔径、隔壁母材の気孔率を変えるとともに、第2のハニカムフィルタの表層の形成に際し、繊維状材料を適宜変更することによって、表層のピーク細孔径を変えた。更に、第1のハニカムフィルタを得るための(酸化触媒層の形成)手段に準じた方法で、第2のハニカムフィルタの表層に触媒としてPtを担持させた。これら以外は、実施例1と同様にして、第1のハニカムフィルタ、第2のハニカムフィルタ、及びハニカムフィルタシステムを作製し、実施例1と同様の項目につき、第2のハニカムフィルタの単独評価、及びハニカムフィルタシステムの評価を行った。結果を表1及び表2に示す。併せて、表2において、第2のハニカムフィルタのPtの(担持)量を示す。
【0075】
(実施例3)第2のハニカムフィルタ用の目封止ハニカム構造体の作製に際し、コージェライト化原料の粒子径分布及び配合量、造孔材の粒子径分布及び配合量を適宜調節することによって、隔壁母材の平均細孔径、隔壁母材の気孔率を変えるとともに、第2のハニカムフィルタの表層の形成に際し、繊維状材料を適宜変更することによって、表層のピーク細孔径を変えた。又、第2のハニカムフィルタには、実施例2と同様にして、表層に触媒としてPtを担持させた。これら以外は、実施例1と同様にして、第1のハニカムフィルタ、第2のハニカムフィルタ、及びハニカムフィルタシステムを作製し、実施例1と同様の項目につき、第2のハニカムフィルタの単独評価、及びハニカムフィルタシステムの評価を行った。結果を表1及び表2に示す。併せて、表2において、第2のハニカムフィルタのPtの(担持)量を示す。
【0076】
(比較例1)酸化触媒層を形成した一のハニカムフィルタ(第1のハニカムフィルタ)のみを用いて、ハニカムフィルタシステムにかかる実施例1と同様の項目につき、評価を行った。結果を表2に示す。尚、このハニカムフィルタ用の目封止ハニカム構造体の作製に際しては、コージェライト化原料の粒子径分布及び配合量、造孔材の粒子径分布及び配合量を適宜調節することによって、フィルタ容積、隔壁母材の平均細孔径、隔壁母材の気孔率を変えるとともに、スラリーのコート作業の調整により、酸化触媒層に含まれるPtの量、アルミナの量を変えた。
【0077】
(考察)表1及び表2に示される結果より、実施例1〜3のハニカムフィルタシステムは、第1のハニカムフィルタが、隔壁母材の細孔の内表面に、白金(Pt)、セリア、及びアルミナを含有する酸化触媒が担持されており、隔壁母材は、平均細孔径が25μm以上70μm未満、気孔率が40%以上70%未満であり、且つ、第2のハニカムフィルタは、隔壁母材の片側に表層が設けられており、その表層のピーク細孔径が隔壁母材のピーク細孔径と同等又は小さく、表層の気孔率が前記隔壁母材の気孔率より大きく、表層は、ピーク細孔径が0.3μm以上20μm未満、気孔率が60%以上95%未満であり、表層の厚さL1が隔壁の厚さL2の0.5%以上30%未満であり、表層の濾過面積あたりの質量が0.01mg/cm以上6mg/cm未満であり、隔壁母材は、平均細孔径が10μm以上60μm未満、気孔率が40%以上65%未満であるので、PM堆積時の圧力損失が小さく、PM浄化率に優れ、欧州規制運転モード実施後のPM堆積残存量が少ない。
【0078】
一方、比較例1の第1のハニカムフィルタのみの態様(従来のDPFの態様)では、それ自体のフィルタ容積が大きく、酸化触媒層に含まれるPt及びアルミナの量が多くても、実施例1〜3に比して、PM堆積時の圧力損失が大きく、PM浄化率は低く、欧州規制運転モード実施後のPM堆積残存量は多いことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明に係るハニカムフィルタシステムは、自動車用エンジン、建設機械用エンジン、産業機械用定置エンジン等の内燃機関、その他の燃焼機器等から排出される排気ガス中の粒子状物質を排気ガス中から除去するために利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係るハニカムフィルタシステムの一実施形態を模式的に示す図であり、ハニカムフィルタシステムを構成する第1のハニカムフィルタの正面図である。
【図2】本発明に係るハニカムフィルタシステムの一実施形態を模式的に示す図であり、ハニカムフィルタシステムを構成する第1のハニカムフィルタ及び第2のハニカムフィルタの断面図である。
【図3】図2におけるP部分及びQ部分を拡大して示し、他を排した部分断面図である。
【図4】本発明に係るハニカムフィルタシステムの一実施形態を示す図であり、ハニカムフィルタシステムを構成する第2のハニカムフィルタの細孔分布を示すグラフである。
【図5】本発明に係るハニカムフィルタシステムの一実施形態を示す図であり、ハニカムフィルタシステムを構成する第2のハニカムフィルタにおける、隔壁の表面からの距離と、気孔率と、の関係を示すグラフである。
【図6】本発明に係るハニカムフィルタシステムを構成する第2のハニカムフィルタのヒステリシス特性を表した図であり、圧力損失と容積あたりのPM堆積量との関係を示すグラフである。
【図7】本発明に係るハニカムフィルタシステムの一実施形態を示す図であり、従来例と比較して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
1:第1のハニカムフィルタ、2a,2b:端面、3:セル、4:隔壁母材、7:粒子状物質(PM)、10:目封止部、20:外周壁、50:ハニカム構造体、100:ハニカムフィルタシステム、101:第2のハニカムフィルタ、102a,102b:端面、104:隔壁母材、114:隔壁、124:表層、150:ハニカム構造体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁母材を備え、一方の端部が開口され且つ他方の端部が目封止された所定の前記セルと、前記一方の端部が目封止され且つ前記他方の端部が開口された残余の前記セルと、が交互に配設され、(F1)、(F2)の条件を満たす第1のハニカムフィルタと、
流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁母材と、その隔壁母材の片側に設けられた表層と、を有する隔壁を備え、一方の端部が開口され且つ他方の端部が目封止された所定の前記セルと、前記一方の端部が目封止され且つ前記他方の端部が開口された残余の前記セルと、が交互に配設され、(R1)〜(R5)の条件を満たす第2のハニカムフィルタと、を具備し、
上流側に前記第1のハニカムフィルタ、下流側に前記第2のハニカムフィルタを配して直列に設置されてなるハニカムフィルタシステム。
(F1)前記第1のハニカムフィルタは、前記隔壁母材は、平均細孔径が25μm以上70μm未満、気孔率が40%以上70%未満である。
(F2)前記第1のハニカムフィルタは、前記隔壁母材の細孔の内表面の一部又は全部に、白金(Pt)、パラジウム、セリア、及びアルミナからなる材料群から選ばれる少なくとも一種の材料を含有する酸化触媒が担持されている。
(R1)前記第2のハニカムフィルタは、前記表層のピーク細孔径が前記隔壁母材のピーク細孔径と同等又は小さく、前記表層の気孔率が前記隔壁母材の気孔率より大きい。
(R2)前記第2のハニカムフィルタの前記表層は、ピーク細孔径が0.3μm以上20μm未満、気孔率が60%以上95%未満(測定方法は水銀圧入法)である。
(R3)前記第2のハニカムフィルタは、前記表層の厚さL1が、前記隔壁の厚さL2の、0.5%以上30%未満である。
(R4)前記第2のハニカムフィルタは、前記表層の濾過面積あたりの質量が、0.01mg/cm以上6mg/cm未満である。
(R5)前記第2のハニカムフィルタの前記隔壁母材は、平均細孔径が10μm以上60μm未満、気孔率が40%以上65%未満である。
【請求項2】
前記第2のハニカムフィルタは、前記表層の厚さL1が、前記一方の端部と他方の端部を結ぶ方向における分布において、前記一方の端部及び他方の端部の近傍より中央部の方が薄い請求項1に記載のハニカムフィルタシステム。
【請求項3】
前記第2のハニカムフィルタの前記表層は、ピーク細孔径が、6μm以上10μm未満、気孔率が80%以上95%未満である請求項1又は2に記載のハニカムフィルタシステム。
【請求項4】
前記第2のハニカムフィルタは、前記表層の厚さL1が、前記隔壁の厚さL2の、3%以上15%未満である請求項1〜3の何れか一項に記載のハニカムフィルタシステム。
【請求項5】
前記第2のハニカムフィルタの前記隔壁母材は、平均細孔径が40μm以上60μm未満、気孔率が40%以上60%未満である請求項1〜4の何れか一項に記載のハニカムフィルタシステム。
【請求項6】
前記第2のハニカムフィルタは、前記隔壁母材が、コージェライト、Si結合SiC、再結晶SiC、アルミナタイタネート、ムライト、窒化珪素、サイアロン、リン酸ジルコニウム、ジルコニア、チタニア、アルミナ、及びシリカからなる材料群より選択される少なくとも一種の材料を主成分として構成される請求項1〜5の何れか一項に記載のハニカムフィルタシステム。
【請求項7】
前記第2のハニカムフィルタは、前記表層が、セラミック又は金属の繊維を70質量%以上含有する請求項1〜6の何れか一項に記載のハニカムフィルタシステム。
【請求項8】
前記第2のハニカムフィルタは、前記繊維が、アルミノシリケート、アルミナ、シリカ、ジルコニア、セリア、及びムライトからなる材料群より選択される少なくとも一種の材料を主成分として構成される請求項7に記載のハニカムフィルタシステム。
【請求項9】
前記第2のハニカムフィルタの前記繊維は、平均径が0.5μm以上8μm未満、平均長さが100μm以上500μm未満である請求項7又は8に記載のハニカムフィルタシステム。
【請求項10】
前記第2のハニカムフィルタは、前記繊維が、生体溶解性繊維である請求項7〜9の何れか一項に記載のハニカムフィルタシステム。
【請求項11】
前記第2のハニカムフィルタの前記表層に、白金(Pt)及びパラジウムの何れか又は両方を含む触媒が担持されている請求項1〜10の何れか一項に記載のハニカムフィルタシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−272664(P2008−272664A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−119207(P2007−119207)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】