ハニカム構造体およびこれを用いたフィルタ並びに排気ガス処理装置
【課題】ハニカム構造体では、隔壁に熱衝撃が加わると応力は封止部と隔壁の境界に集中し、クラックはこの境界に沿って発生し易く、極端な場合には、封止部と隔壁が分離してしまう恐れがある。
【解決手段】軸方向に配置された隔壁4により仕切られた複数の流通孔2を有し、複数の流通孔2が交互に封止されたハニカム構造体1であって、封止部3により前記複数の流通孔2の両端が交互に封止されており、軸方向の断面視において、少なくとも一端に配置された封止部30は、その内端部30aが凹状である。これにより、隔壁4と封止部30との境界の応力集中を低減することができるため、隔壁4と封止部30の内端部30aとの境界に生じるクラックおよび溶損を減少させることができる。
【解決手段】軸方向に配置された隔壁4により仕切られた複数の流通孔2を有し、複数の流通孔2が交互に封止されたハニカム構造体1であって、封止部3により前記複数の流通孔2の両端が交互に封止されており、軸方向の断面視において、少なくとも一端に配置された封止部30は、その内端部30aが凹状である。これにより、隔壁4と封止部30との境界の応力集中を低減することができるため、隔壁4と封止部30の内端部30aとの境界に生じるクラックおよび溶損を減少させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関、ボイラー等で発生する排気ガスに含まれる炭素を主成分とする微粒子を捕集するフィルタ、あるいは上水、下水等の液体の濾過用のフィルタとして用いられるハニカム構造体およびこれを用いたフィルタ並びに排気ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内燃機関、ボイラー等で発生する排気ガス中に含まれる炭素を主成分とする微粒子、特にディーゼルエンジンの排気ガス中の炭素を主成分とする微粒子(以下、ディーゼル微粒子と称す)を捕集する目的でハニカム構造体を搭載したフィルタが多用されている。この微粒子は環境汚染の原因となるため、フィルタでの吸着により環境汚染を抑制するものである。
【0003】
フィルタに用いられるハニカム構造体は、軸方向に配置された隔壁により仕切られた複数の流通孔を有し、前記複数の流通孔の両端を交互に封止部により市松模様状に封止するものである。
【0004】
隔壁は、コージェライトまたはチタン酸アルミニウムを主成分とし押出成形等を用いて作製される。いずれの成分も熱膨張に異方性があるため、隔壁は軸方向に低熱膨張化させるため、コージェライト結晶、チタン酸アルミニウム結晶いずれの場合も、最も熱膨張が低くなる方向を軸方向に配向させるため、押出成形等の製法が用いられている。封止部は、その製造方法に起因してコージェライト結晶やチタン酸アルミニウム結晶を配向させることができないため、封止部と隔壁では熱膨張係数が異なることとなる。
【0005】
したがって、隔壁に熱衝撃が加わると応力は封止部と隔壁の境界に集中し、クラックはこの境界に沿って発生し易く、極端な場合には、封止部と隔壁が分離する恐れがあった。このような応力集中を抑制するために、特許文献1〜4のような提案がされている。
【0006】
特許文献1では、図8の断面図に示すように、軸方向に配置された多孔質体からなる隔壁24により仕切られた複数の流通孔22a,22bを有し、排気ガスが導入される流通孔22aの入口端面(IF)および排気ガスが排出される流通孔22bの出口端面(OF)で市松模様状に封止部23,230が形成されている。入口側の封止部23は、軸方向における厚みを外周から中央に向かって順次厚くしたハニカム構造体21が提案されている。
【0007】
特許文献2では、図9の断面図に示すように、隔壁24および封止部23,230を有し、出口側の封止部230の配置位置を段階的にずらしたハニカム構造体21が提案されている。
【0008】
特許文献3では、図10の断面図に示すように、隔壁24および封止部23,230を有し、封止部23,230の厚みを実質的に不均一にしたハニカム構造体21が提案されている。
【0009】
特許文献4では、図11の断面図に示すように、セラミックハニカム構造体21の所望の流路22を封止することによりセラミックハニカム構造体21の隔壁24に排気ガスを通過させる構造のセラミックハニカムフィルタ25において、排気ガス流入側の封止部23が流入側端面から離れて配置されるとともに、前記排気ガス流入側の封止部23の流入側端面が、流路22の対角線方向に隣接する流路22毎に流路方向の位置を異ならせ、かつ一定のパターンで連続しないように配置されたセラミックハニカムフィルタ25が提案されている。
【特許文献1】実開平2−63020号公報
【特許文献2】特開昭61−138812号公報
【特許文献3】特開平8−281034号公報
【特許文献4】特開2006−334452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1で提案されたハニカム構造体21は、堆積した微粒子の自己着火が原因と推定される溶損は防止できるものの、封止部23の端部のうち流通孔22bの内方側の端部、即ち、封止部23の内端部23aは平坦な形状となっており、この封止部23の内端部23aと隔壁24との境界は角状に形成されているため、極端な熱衝撃が発生した場合、応力はこの角状に倣うように発生するので、完全にはクラックを防止できないことも考えられる。
【0011】
特許文献2で提案されたハニカム構造体21は、堆積した微粒子の燃焼による出口側の溶損は防止できるものの、一般的に燃焼再生は入口側にバーナー、電気ヒーター等を配置して行うが、バーナーの火炎や、電気ヒーターを入口側の流入端部に直接接触させるため、再生が終了した時点で極端な熱衝撃が発生した場合は、流入端部におけるクラックを完全には防止できないことも考えられる。
【0012】
特許文献3で提案されたハニカム構造体21は、隔壁24と封止部23,230との境界におけるクラックの発生および溶損をある程度防止することができるものの、封止部23,230のうち、流通孔22a,22bの内方側の端部、即ち、封止部23,230の内端部23a,230aが平坦な形状となっており、この封止部23,230の内端部23a,230aと隔壁24との境界面が角状に形成されているため、使用を重ねると、上記境界におけるクラックの発生および溶損を完全には避けられないとともに、隔壁24に沿って微粒子が堆積しやすく、微粒子の捕集率が急激に低下することも考えられる。
【0013】
特許文献4で提案されたセラミックハニカムフィルタ25は、隔壁24と封止部23との境界におけるクラックの発生および溶損をある程度防止することができるものの、封止部23の内端部23aが平坦な形状となっており、この封止部23,230の内端部23a,230aと隔壁24との境界が角状に形成されているため、使用を重ねると、上記境界におけるクラックの発生および溶損を完全には避けられないことも考えられる。
【0014】
本発明はこのような課題に鑑み、クラックの発生および溶損を防止できるとともに、長期間の使用に供しても微粒子の捕集率がほとんど低下しないハニカム構造体およびフィルタ並びに排気ガス処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のハニカム構造体は、軸方向に配置された隔壁により仕切られた複数の流通孔を有し、前記複数の流通孔が交互に封止されたハニカム構造体であって、封止部により前記複数の流通孔の両端が交互に封止されており、前記軸方向の断面視において、少なくとも一端に配置された前記封止部は、その内端部が凹状であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のハニカム構造体は、軸方向に配置された隔壁により仕切られた複数の流通孔を有し、前記複数の流通孔が交互に封止されたハニカム構造体であって、封止部により前記複数の流通孔の一端と内部とが交互に封止されており、前記軸方向の断面視において、一端に配置された封止部および内部に配置された封止部の少なくとも一方は、その内端部が凹状であることを特徴とする。
【0017】
本発明のハニカム構造体は、前記各封止部の内端部が凹状であることを特徴とする。
【0018】
本発明のハニカム構造体は、前記凹状の封止部は、内端部が椀状であることを特徴とする。
【0019】
本発明のハニカム構造体は、チタン酸アルミニウムを主成分とする焼結体からなることを特徴とする。
【0020】
本発明のフィルタは、上記ハニカム構造体を用いたフィルタであって、前記流通孔の一端を入口とし、他端を出口として排気ガスを通過させ、隔壁および封止部によりディーゼル微粒子を捕集することを特徴とする。
【0021】
本発明のフィルタは、少なくとも前記流通孔の出口側に前記内端部が凹状の封止部を配置したことを特徴とする。
【0022】
本発明の排気ガス処理装置は、上記フィルタを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明のハニカム構造体は、軸方向に配置された隔壁により仕切られた複数の流通孔を有し、複数の流通孔が交互に封止されたハニカム構造体であって、封止部により複数の流通孔の両端が交互に封止されており、軸方向の断面視において、少なくとも一端に配置された封止部は、その内端部が凹状であることから、隔壁と封止部との境界の応力集中を低減することができるため、隔壁と封止部の内端部との境界に生じるクラックおよび溶損を減少させることができる。
【0024】
本発明のハニカム構造体は、軸方向に配置された隔壁により仕切られた複数の流通孔を有し、複数の流通孔が交互に封止されたハニカム構造体であって、封止部により軸方向の断面視において、一端に配置された封止部および内部に配置された封止部の少なくとも一方は、その内端部が凹状であることから、隔壁と封止部との境界の応力集中を低減することができるため、隔壁と封止部の内端部との境界に生じるクラックおよび溶損を減少させることができる。
【0025】
本発明のハニカム構造体は、各封止部の内端部が凹状であることから、隔壁より凹状の内端部に選択的に微粒子が堆積するため、使用を重ねても微粒子の捕集率の低下を遅らせることができる。
【0026】
本発明のハニカム構造体は、前記凹状の封止部は、内端部が椀状であることから、応力集中をより低減させることができ、長期間の使用に供しても隔壁と内端部との境界におけるクラックおよび溶損がほとんど発生することがない。
【0027】
本発明のハニカム構造体は、チタン酸アルミニウムを主成分とする焼結体からなることから、耐熱衝撃性を高くすることができ、長期間信頼性を高いものとすることができる。
【0028】
本発明のフィルタは、前記流通孔の一端を入口とし、他端を出口として排気ガスを通過させ、隔壁および封止部によりディーゼル微粒子を捕集するフィルタであり、上記ハニカム構造体を用いることで、長期間にわたり効率よくディーゼル微粒子を捕集することができる。
【0029】
本発明のフィルタは、前記流通孔の出口側に前記内端部が凹状の封止部を配置したことから、ディーゼル微粒子の堆積が凹状の封止部、隔壁の順で進むため、隔壁におけるディーゼル微粒子の堆積が減少するので、ディーゼル微粒子の捕集率が急激に低下するようなことがない。
【0030】
本発明の排気ガス処理装置は、上記フィルタを用いたことから、長期間に亘って、使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明のハニカム構造体の一実施形態を示し、(a)は軸方向Aに平行な面における断面図、(b)は凹状の内端部を有する封止部の拡大図である。
【0033】
本発明のハニカム構造体1は、軸方向に配置された隔壁により仕切られた複数の流通孔を有し、前記複数の流通孔が交互に封止されたハニカム構造体であって、封止部により前記複数の流通孔の両端が交互に封止されており、前記軸方向の断面視において、少なくとも一端に配置された前記封止部は、その内端部が凹状であることを特徴とする。すなわち、軸方向Aに配置された隔壁4で仕切られた複数の流通孔2を有し、前記複数の流通孔2のうち一部の流通孔2の両端を軸方向からみて市松模様状に交互に封止部3,30により封止した、ハニカム構造体である。
【0034】
図1に示すハニカム構造体1は、コージェライト、チタン酸アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、ムライト、リチウムアルミニウムシリケート等を主成分とする焼結体により形成され、外径が100〜200mm、軸方向Aの長さが100〜250mmの円柱形状であって、軸方向Aに対して垂直な断面における流通孔2の個数が1平方インチ当たり50〜800個である。
【0035】
ここで本発明のハニカム構造体1では、軸方向Aの断面視(軸方向Aに対して平行な方向)において、複数の流通孔2の少なくとも一端(図1(a)において右側の端部)に配置された封止部30のうち流通孔2の内方側の端部、即ち封止部30の内端部30aが凹状であることが重要である。
【0036】
封止部30の内端部30aを断面視で凹状とすることにより、隔壁4と、封止部30の内端部30aとの境界は、従来のような平坦状となることなく隔壁4から封止部30の内端部30aに連続する形状となり、また封止部30の内端部30aの表面積が従来の平坦状に比し大きくなる。
【0037】
これにより、隔壁4と、封止部30の内端部30aとの境界における応力集中する箇所が低減され、長期間の使用に供しても隔壁4と内端部3aあるいは30aとの境界におけるクラックおよび溶損がほとんど発生することがない。また、封止部30の内端部30aが断面視で凹状の場合、ハニカム構造体1を微粒子を捕集するフィルタとして用いた際、隔壁4より凹状の内端部30aに選択的に微粒子が堆積するため、使用を重ねても微粒子の捕集率の低下を遅らせることができる。
【0038】
内端部30aが凹状の封止部30は、図1に示すようにハニカム構造体1の少なくとも一端に配置された封止部30のみでもよく、他端(図1(a)における左側の端部)の封止部3の内端部3aを凹状としてもよいが、ハニカム構造体1の一端に配置された封止部30のみ、その内端部30aを凹状とする場合は、ハニカム構造体1をフィルタとして用いた際に流通孔2を流通する排気ガス等の出口側に内端部30aが凹状の封止部30を配置することが好ましい。これは、隔壁4より出口側の封止部30の内端部30aに選択的に排気ガス中の微粒子が堆積するため、使用を重ねても微粒子の捕集率の低下を遅らせることができるためである。
【0039】
図2〜5は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態を示し、(a)は軸方向Aに平行な面における断面図、(b)は凹状の内端部を有する封止部の拡大図である。なお、図1と共通の部位を表す場合は同じ符号を用いて示す。
【0040】
図2,3に示すハニカム構造体1は、軸方向に配置された隔壁4により仕切られた複数の流通孔2を有し、前記複数の流通孔2が交互に封止されたハニカム構造体であって、封止部3,30により前記複数の流通孔2の一端と内部とが交互に封止されており、前記軸方向の断面視において、一端に配置された封止部30および内部に配置された封止部3の少なくとも一方は、その内端部が凹状であることを特徴とするものの一例である。つまり、ハニカム構造体1は、軸方向Aに配置された隔壁4で仕切られた複数の流通孔2を有し、前記複数の流通孔2の一端(図2,3では、排気ガスの出口)と内部とを市松模様状に封止部3,30により交互に封止したハニカム構造体である。
【0041】
また、図2,3に示すハニカム構造体1は、コージェライト、チタン酸アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、ムライト、リチウムアルミニウムシリケート等を主成分とする焼結体により形成され、外径が100〜200mm、軸方向Aの長さが100〜250mmの円柱形状であって、軸方向Aに対して垂直な断面における流通孔2の個数が1平方インチ当たり50〜800個であり、封止部3の外端部やこの外端部より入口側の隔壁4に触媒が担持されている。
【0042】
内燃機関、ボイラー等を運転中にハニカム構造体1による微粒子の捕集量がある一定値以上になって、排気ガス中に含まれる未燃の炭化水素ガスをハニカム構造体1に対して噴射すると、炭化水素ガスが触媒による酸化反応により反応熱を生成することから、微粒子が堆積しやすい入口側の封止部3の外端部は温度が上昇する。
【0043】
このように、入口側の封止部3の外端部の温度が上昇すると、触媒の活性度が高められているため、流入側の封止部3の外端部での微粒子の燃焼が容易に行われ、微粒子の堆積を防ぐことができる。
【0044】
なお、触媒としては、たとえば、白金(Pt),パラジウム(Pd),ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)等の白金族金属およびその酸化物等があり、アルカリ土類金属酸化物、希土類酸化物、酸化バナジウム(V2O3),ランタン(La),セシウム(Cs)等を含んでいてもよい。
【0045】
図2,3に示すハニカム構造体1によれば、流通孔2の入口端面(IF)における微粒子の堆積によって発生する流通孔2の閉塞によって発生していた圧力損失が上昇するようなことはほとんどなく、微粒子が触媒により有効に燃焼され、ハニカム構造体1の破損や溶損を減少させることができるとともに、長期に亘り圧力損失を上昇させることなく用いることができる。
【0046】
ここで本発明のハニカム構造体1では、軸方向Aの断面視(軸方向Aに対して平行な方向)において、複数の流通孔2の一端に配置された封止部30の内端部30aが凹状であることも重要である。内端部30aの形状を凹状にすることで図2,3に示すハニカム構造体1においても図1に示すハニカム構造体1で得られたような作用および効果が得られるからである。
【0047】
内端部30aが凹状の封止部30は、図2に示すようにハニカム構造体1の少なくとも一端に配置された封止部30のみでもよく、図3に示すようにハニカム構造体1の内部に配置された封止部3の内端部3aを凹状としてもよいが、ハニカム構造体1の一端に配置された封止部30のみ、その内端部30aを凹状とする場合は、ハニカム構造体1をフィルタとして用いた際に流通孔2を流通する排気ガス等の出口側に内端部30aが凹状の封止部30を配置することが好ましい。これは、隔壁4より出口側の封止部30の内端部30aに選択的に排気ガス中の微粒子が堆積するため、使用を重ねても微粒子の捕集率の低下を遅らせることができるためである。
【0048】
図4に示すハニカム構造体1は、図1に示すハニカム構造体1と同様に、軸方向(A)に配置された隔壁4により仕切られた複数の流通孔2を有し、前記複数の流通孔2の両端を交互に封止部3,30により封止されており、図4(a)に示すように前記軸方向(A)に対して平行な方向の断面視において、前記複数の流通孔2の両端に配置された各封止部3,30の内端部3a,30aを凹状とするものである。
【0049】
このハニカム構造体1の場合、流通孔2の両端で応力集中が低減されるため、隔壁4と封止部3の内端部3aおよび隔壁4と封止部30の内端部30aの各境界におけるクラックの発生および溶損を減少させることができ、より好適である。
【0050】
図5に示すハニカム構造体1は、図2に示すハニカム構造体1と同様に、軸方向Aに配置された隔壁4により仕切られた複数の流通孔2を有し、前記複数の流通孔2の一端と内部とを交互に封止部3,30により封止されており、図5(a)に示すように前記軸方向Aに対して平行な方向の断面視において、前記複数の流通孔2の一端と内部とに配置された各封止部3,30の内端部3a,30aを凹状とするものである。
【0051】
図1〜5に示すハニカム構造体1は、例えば流通孔2の断面積は、1〜10mm2であって、各流通孔2を軸方向に仕切る隔壁4の厚みは、例えば0.05〜1.0mmである。
【0052】
なお、図1,2に示すように一端の封止部30の内端部30aを凹状にしたハニカム構造体1では、封止部30の軸方向における長さ(Lb)を特に限定するものではないが、ハニカム構造体1の全長Lに対し、その比率(Lb/L)が0.007以上0.2以下であることが好適である。前記比率(Lb/L)を0.007以上にすると、封止部3が脱落することがなく、十分な信頼性を確保できるからであり、0.2以下にすると、微粒子の捕集効率をある一定限度以上に維持することができるからである。また、内端部30aは、その深さdが0.1mm以上0.5mm以下であることが好適である。
【0053】
図4に示すように両端の封止部3,30の内端部3a,30aを凹状にしたハニカム構造体1では、封止部3,30の軸方向における各長さ(La),(Lb)を特に限定するものではないが、ハニカム構造体1の全長Lに対し、その各比率(La/L),(Lb/L)が0.007以上0.1以下、また、内端部3a,30aは、その深さdがそれぞれ0.1mm以上0.5mm以下であることが好適である。
【0054】
また、図5に示すように、内部に配置された封止部3および一端(出口側)に配置された封止部30の内端部3a,30aを凹状にしたハニカム構造体1では、封止部3,30の軸方向における各長さ(La),(Lb)を特に限定するものではないが、ハニカム構造体1の全長Lに対し、その各比率(La/L),(Lb/L)が0.007以上0.1以下、また、内端部3a,30aは、その深さdがそれぞれ0.1mm以上0.5mm以下であることが好適である。
【0055】
なお、封止部3,30のそれぞれの内端部3a,30aが凹状とは、軸方向の断面視において、例えば椀状、角錐状、円錐台状、ドライバーの先端形状およびこれらの形状が複合化された形状のいずれかをいう。図6は、ハニカム構造体1の軸方向Aの断面視(軸方向Aに対して平行な方向)において、封止部30の内端部30aの形状を示す断面図であり、断面視した際の形状が(a)は矩形状、(b)は角錐状または円錐状、(c)は角錐台状または円錐台状、(d)はドライバーの先端形状、(e)は角錐台状または円錐台状とドライバーの先端形状が複合化された形状を示す。
【0056】
特に、封止部3,30のそれぞれの内端部3a,30aの形状が断面視で凹状の場合、内端部3a,30aが図6(f)の斜視図に示すような椀状であることが好ましい。封止部3の内端部3aあるいは封止部30の内端部30aを椀状にすることで、隔壁4と、封止部30の内端部30aとの境界は、隔壁4から封止部30の内端部30aに連続する形状となり、また封止部30の内端部30aの表面積が従来の平坦状の内端部の表面積に比べて大きくなる。
【0057】
これにより、隔壁4と、封止部3,30の内端部3a,30aとの境界における応力集中する箇所が低減され、長期間の使用に供しても隔壁4と内端部3aあるいは30aとの境界におけるクラックおよび溶損がほとんど発生することがない。また、封止部3,30の内端部3a,30aが椀状の場合、ハニカム構造体1を微粒子を捕集するフィルタとして用いた際、隔壁4より凹状の内端部3a,30aに選択的に微粒子が堆積するため、使用を重ねても微粒子の捕集率の低下を遅らせることができる。
【0058】
ハニカム構造体1は、構成する組成によって耐熱衝撃性が影響を受けるため、チタン酸アルミニウムを主成分とする焼結体とすることが好ましい。これは、チタン酸アルミニウムの耐熱衝撃性が特に高いため、長期間信頼性を高いものとすることができるからである。
【0059】
なお、本発明における主成分とは、ハニカム構造体1を構成する成分のうち、50質量%以上を占める成分をいう。
【0060】
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。
【0061】
ここでは、主成分がコージェライトであるハニカム構造体1について説明する。先ず、焼結体におけるコージェライトの組成がSiO2が40〜56質量%、Al2O3が30〜46質量%、MgOが12〜16質量%となるように、カオリン、仮焼カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、タルク、焼タルクなどのコージェライト化する原料を調合して調合原料を得る。これにグラファイト、澱粉、樹脂粉末等の造孔剤の所定量を添加した後、さらに可塑剤、増粘剤、滑り剤、水等を加えて、万能攪拌機、回転ミル、V型攪拌機等を使って混合物とする。そして、この混合物を三本ロールや混練機等を用いて混練し、可塑化した混練体を得る。
【0062】
次に、成形体の外径を決定する内径が、例えば、100〜250mmであるとともに、ハニカム構造体の隔壁を形成するためのスリットを有する金型を用いて前記混練体を押出成形機に投入し、圧力を加えてハニカム状に成形した後、乾燥して所定長さに切断加工する。その後、市松模様状にマスキングを施した出口端面(OF)より水に溶かしてスラリー状にした前記調合原料をディッピング法により挿入した後に、入口端面(IF)より先端部が凸状に形成され、撥水性の樹脂がコーティングされたピンを挿入した状態で常温にて乾燥し、封止部30を形成する。乾燥後、ピンを抜き、流通孔2の両端を交互に封止部3,30により封止したハニカム構造体1を得るには、上述の作業と同じ作業を流入側でも行い、封止部3を形成する。流通孔2の一端と内部とに交互に封止部3,30により封止したハニカム構造体1を得るには、出口端面(OF)における封止部30の形成は上述した形成方法を用いればよい。流通孔2の内部における封止部3の形成方法については、以下のようにする。即ち、先ず、市松模様状にマスキングを施した入口端面(IF)より水に溶かしてスラリー状にした前記調合原料をディッピング法により挿入する。そして、スラリーが隔壁4に着肉して保形性が得られ、封止部3の前駆体となった状態で、撥水性の樹脂がコーティングされたピンを入口端面(IF)より挿入して、前駆体を流通孔2の内部に移動させる。そして、入口端面(IF)から挿入されたピンはそのままにして、出口端面(OF)から撥水性の樹脂がコーティングされたピンを挿入した状態で常温にて乾燥し、封止部3を形成する。その後、白金(Pt),パラジウム(Pd),ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)等の白金族金属およびその酸化物等の触媒を含有するスラリーに、ハニカム構造体1の入口側を浸漬した後、乾燥、焼成すると、隔壁4の表面及び隔壁4内部の気孔に触媒を付着させることができる。
【0063】
なお、封止部3の内端部3aが平坦であるハニカム構造体1を形成する場合には、先端部の形状が平坦であるピンを用い、封止部3の内端部3aが凸状であるハニカム構造体1を形成する場合には、先端部の形状が凸状であるピンを用いればよい。
【0064】
封止部3,30を形成した後、電気炉、ガス炉等の焼成炉を用い、成形体を温度1350℃〜1450℃で焼成して、本発明のハニカム構造体を得ることができる。
【0065】
主成分がチタン酸アルミニウムであるハニカム構造体を得るには、TiO2とAl2O3との比率がモル比で40〜60:60〜40である成分100質量部と、組成式が(NayK1−y)AlSi3O8(0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石、Mgを含むスピネル型構造の酸化物、MgOおよび焼成によりMgOに転化するMg含有化合物の少なくともいずれか1種からなる成分を1〜10質量部と、を調合して調合原料を得る。これ以降、封止部を形成するまでの工程は、主成分がコージェライトの場合と同様である。ハニカム構造体の主成分がチタン酸アルミニウムの場合、電気炉、ガス炉等の焼成炉を用い、成形体を温度1250℃〜1700℃で焼成して、本発明のハニカム構造体を得ることができる。
【0066】
このように作製されたハニカム構造体は、流通孔2の一端を入口とし、他端を出口として排気ガスを通過させ、隔壁4および封止部3,30によりディーゼル微粒子を捕集するフィルタとして好適に用いることができる。
【0067】
図7は、図1に示す本発明のハニカム構造体1をディーゼル微粒子を捕集するフィルタとして用いた排気ガス処理装置10を示す概略断面図である。
【0068】
図7に示すように、本発明のハニカム構造体1を、ディーゼルエンジンの排気ガス(EG)中のディーセル微粒子を捕集するフィルタとして用いる場合、軸方向の両端に排気ガス流入口5と排気ガス流出口6とを有するコーンカップ形状の金属製のケース7の内面でセラミックファイバを含むマット状の断熱材層8を介して排気ガス処理装置10内に固定される。ケース7には排気管9が連通し、この排気管9より排気ガス(EG)がケース7内に流入する。ディーゼルエンジン(不図示)が作動して、排気ガス(EG)が排気管9よりケース7に流入すると、ハニカム構造体1の内部では、入口端面(IF)で封止部のない流通孔2より排気ガス(EG)が導入されるが、出口端面(OF)に形成された封止部30によって排気ガス(EG)の流出は遮られる。流出が遮られた排気ガス(EG)は、多孔質の隔壁4を通過し、隣接する流通孔2より排出されるようになっている。隔壁4では、その気孔内で排気ガス(EG)中のディーゼル微粒子が捕集され、隣接する流通孔2の入口には封止部3が形成されているので、排気ガスはディーゼル微粒子を含まない状態に浄化され、出口端面(OF)より外部に排出することができるようになっている。
【0069】
このような排気ガス処理装置10には、本発明のハニカム構造体1をフィルタとして好適に用いることができ、長期間にわたり効率よくディーゼル微粒子を捕集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明のハニカム構造体の一実施形態を示し、(a)は軸方向に平行な面における断面図、(b)は凹状の内端部を有する封止部の拡大図である。
【図2】本発明のハニカム構造体の他の実施形態を示し、(a)は軸方向に平行な面における断面図、(b)は凹状の内端部を有する封止部の拡大図である。
【図3】本発明のハニカム構造体の他の実施形態を示し、(a)は軸方向に平行な面における断面図、(b)は凹状の内端部を有する封止部の拡大図である。
【図4】本発明のハニカム構造体の他の実施形態を示し、(a)は軸方向に平行な面における断面図、(b)は凹状の内端部を有する封止部の拡大図である。
【図5】本発明のハニカム構造体の他の実施形態を示し、(a)は軸方向に平行な面における断面図、(b)は凹状の内端部を有する封止部の拡大図である。
【図6】封止部の内端部の形状を示す軸方向の断面図であり、(a)は矩形状、(b)は角錐状または円錐状、(c)は角錐台状または円錐台状、(d)はドライバーの先端形状、(e)は角錐台状または円錐台状とドライバーの先端形状が複合化された形状を示し、(f)は封止部の内端部を示す斜視図である。
【図7】本発明のハニカム構造体を用いた排気ガス処理装置を示す概略断面図である。
【図8】従来のハニカム構造体の軸方向に平行な面における断面図である。
【図9】従来のハニカム構造体の軸方向に平行な面における断面図である。
【図10】従来のハニカム構造体の軸方向に平行な面における断面図である。
【図11】従来のハニカム構造体の軸方向に平行な面における断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1:ハニカム構造体
2:流通孔
3,30:封止部
3a,30a:内端部
4:隔壁
5:排気ガス流入口
6:排気ガス流出口
7:ケース
8:断熱材層
9:排気管
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関、ボイラー等で発生する排気ガスに含まれる炭素を主成分とする微粒子を捕集するフィルタ、あるいは上水、下水等の液体の濾過用のフィルタとして用いられるハニカム構造体およびこれを用いたフィルタ並びに排気ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内燃機関、ボイラー等で発生する排気ガス中に含まれる炭素を主成分とする微粒子、特にディーゼルエンジンの排気ガス中の炭素を主成分とする微粒子(以下、ディーゼル微粒子と称す)を捕集する目的でハニカム構造体を搭載したフィルタが多用されている。この微粒子は環境汚染の原因となるため、フィルタでの吸着により環境汚染を抑制するものである。
【0003】
フィルタに用いられるハニカム構造体は、軸方向に配置された隔壁により仕切られた複数の流通孔を有し、前記複数の流通孔の両端を交互に封止部により市松模様状に封止するものである。
【0004】
隔壁は、コージェライトまたはチタン酸アルミニウムを主成分とし押出成形等を用いて作製される。いずれの成分も熱膨張に異方性があるため、隔壁は軸方向に低熱膨張化させるため、コージェライト結晶、チタン酸アルミニウム結晶いずれの場合も、最も熱膨張が低くなる方向を軸方向に配向させるため、押出成形等の製法が用いられている。封止部は、その製造方法に起因してコージェライト結晶やチタン酸アルミニウム結晶を配向させることができないため、封止部と隔壁では熱膨張係数が異なることとなる。
【0005】
したがって、隔壁に熱衝撃が加わると応力は封止部と隔壁の境界に集中し、クラックはこの境界に沿って発生し易く、極端な場合には、封止部と隔壁が分離する恐れがあった。このような応力集中を抑制するために、特許文献1〜4のような提案がされている。
【0006】
特許文献1では、図8の断面図に示すように、軸方向に配置された多孔質体からなる隔壁24により仕切られた複数の流通孔22a,22bを有し、排気ガスが導入される流通孔22aの入口端面(IF)および排気ガスが排出される流通孔22bの出口端面(OF)で市松模様状に封止部23,230が形成されている。入口側の封止部23は、軸方向における厚みを外周から中央に向かって順次厚くしたハニカム構造体21が提案されている。
【0007】
特許文献2では、図9の断面図に示すように、隔壁24および封止部23,230を有し、出口側の封止部230の配置位置を段階的にずらしたハニカム構造体21が提案されている。
【0008】
特許文献3では、図10の断面図に示すように、隔壁24および封止部23,230を有し、封止部23,230の厚みを実質的に不均一にしたハニカム構造体21が提案されている。
【0009】
特許文献4では、図11の断面図に示すように、セラミックハニカム構造体21の所望の流路22を封止することによりセラミックハニカム構造体21の隔壁24に排気ガスを通過させる構造のセラミックハニカムフィルタ25において、排気ガス流入側の封止部23が流入側端面から離れて配置されるとともに、前記排気ガス流入側の封止部23の流入側端面が、流路22の対角線方向に隣接する流路22毎に流路方向の位置を異ならせ、かつ一定のパターンで連続しないように配置されたセラミックハニカムフィルタ25が提案されている。
【特許文献1】実開平2−63020号公報
【特許文献2】特開昭61−138812号公報
【特許文献3】特開平8−281034号公報
【特許文献4】特開2006−334452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1で提案されたハニカム構造体21は、堆積した微粒子の自己着火が原因と推定される溶損は防止できるものの、封止部23の端部のうち流通孔22bの内方側の端部、即ち、封止部23の内端部23aは平坦な形状となっており、この封止部23の内端部23aと隔壁24との境界は角状に形成されているため、極端な熱衝撃が発生した場合、応力はこの角状に倣うように発生するので、完全にはクラックを防止できないことも考えられる。
【0011】
特許文献2で提案されたハニカム構造体21は、堆積した微粒子の燃焼による出口側の溶損は防止できるものの、一般的に燃焼再生は入口側にバーナー、電気ヒーター等を配置して行うが、バーナーの火炎や、電気ヒーターを入口側の流入端部に直接接触させるため、再生が終了した時点で極端な熱衝撃が発生した場合は、流入端部におけるクラックを完全には防止できないことも考えられる。
【0012】
特許文献3で提案されたハニカム構造体21は、隔壁24と封止部23,230との境界におけるクラックの発生および溶損をある程度防止することができるものの、封止部23,230のうち、流通孔22a,22bの内方側の端部、即ち、封止部23,230の内端部23a,230aが平坦な形状となっており、この封止部23,230の内端部23a,230aと隔壁24との境界面が角状に形成されているため、使用を重ねると、上記境界におけるクラックの発生および溶損を完全には避けられないとともに、隔壁24に沿って微粒子が堆積しやすく、微粒子の捕集率が急激に低下することも考えられる。
【0013】
特許文献4で提案されたセラミックハニカムフィルタ25は、隔壁24と封止部23との境界におけるクラックの発生および溶損をある程度防止することができるものの、封止部23の内端部23aが平坦な形状となっており、この封止部23,230の内端部23a,230aと隔壁24との境界が角状に形成されているため、使用を重ねると、上記境界におけるクラックの発生および溶損を完全には避けられないことも考えられる。
【0014】
本発明はこのような課題に鑑み、クラックの発生および溶損を防止できるとともに、長期間の使用に供しても微粒子の捕集率がほとんど低下しないハニカム構造体およびフィルタ並びに排気ガス処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のハニカム構造体は、軸方向に配置された隔壁により仕切られた複数の流通孔を有し、前記複数の流通孔が交互に封止されたハニカム構造体であって、封止部により前記複数の流通孔の両端が交互に封止されており、前記軸方向の断面視において、少なくとも一端に配置された前記封止部は、その内端部が凹状であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のハニカム構造体は、軸方向に配置された隔壁により仕切られた複数の流通孔を有し、前記複数の流通孔が交互に封止されたハニカム構造体であって、封止部により前記複数の流通孔の一端と内部とが交互に封止されており、前記軸方向の断面視において、一端に配置された封止部および内部に配置された封止部の少なくとも一方は、その内端部が凹状であることを特徴とする。
【0017】
本発明のハニカム構造体は、前記各封止部の内端部が凹状であることを特徴とする。
【0018】
本発明のハニカム構造体は、前記凹状の封止部は、内端部が椀状であることを特徴とする。
【0019】
本発明のハニカム構造体は、チタン酸アルミニウムを主成分とする焼結体からなることを特徴とする。
【0020】
本発明のフィルタは、上記ハニカム構造体を用いたフィルタであって、前記流通孔の一端を入口とし、他端を出口として排気ガスを通過させ、隔壁および封止部によりディーゼル微粒子を捕集することを特徴とする。
【0021】
本発明のフィルタは、少なくとも前記流通孔の出口側に前記内端部が凹状の封止部を配置したことを特徴とする。
【0022】
本発明の排気ガス処理装置は、上記フィルタを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明のハニカム構造体は、軸方向に配置された隔壁により仕切られた複数の流通孔を有し、複数の流通孔が交互に封止されたハニカム構造体であって、封止部により複数の流通孔の両端が交互に封止されており、軸方向の断面視において、少なくとも一端に配置された封止部は、その内端部が凹状であることから、隔壁と封止部との境界の応力集中を低減することができるため、隔壁と封止部の内端部との境界に生じるクラックおよび溶損を減少させることができる。
【0024】
本発明のハニカム構造体は、軸方向に配置された隔壁により仕切られた複数の流通孔を有し、複数の流通孔が交互に封止されたハニカム構造体であって、封止部により軸方向の断面視において、一端に配置された封止部および内部に配置された封止部の少なくとも一方は、その内端部が凹状であることから、隔壁と封止部との境界の応力集中を低減することができるため、隔壁と封止部の内端部との境界に生じるクラックおよび溶損を減少させることができる。
【0025】
本発明のハニカム構造体は、各封止部の内端部が凹状であることから、隔壁より凹状の内端部に選択的に微粒子が堆積するため、使用を重ねても微粒子の捕集率の低下を遅らせることができる。
【0026】
本発明のハニカム構造体は、前記凹状の封止部は、内端部が椀状であることから、応力集中をより低減させることができ、長期間の使用に供しても隔壁と内端部との境界におけるクラックおよび溶損がほとんど発生することがない。
【0027】
本発明のハニカム構造体は、チタン酸アルミニウムを主成分とする焼結体からなることから、耐熱衝撃性を高くすることができ、長期間信頼性を高いものとすることができる。
【0028】
本発明のフィルタは、前記流通孔の一端を入口とし、他端を出口として排気ガスを通過させ、隔壁および封止部によりディーゼル微粒子を捕集するフィルタであり、上記ハニカム構造体を用いることで、長期間にわたり効率よくディーゼル微粒子を捕集することができる。
【0029】
本発明のフィルタは、前記流通孔の出口側に前記内端部が凹状の封止部を配置したことから、ディーゼル微粒子の堆積が凹状の封止部、隔壁の順で進むため、隔壁におけるディーゼル微粒子の堆積が減少するので、ディーゼル微粒子の捕集率が急激に低下するようなことがない。
【0030】
本発明の排気ガス処理装置は、上記フィルタを用いたことから、長期間に亘って、使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明のハニカム構造体の一実施形態を示し、(a)は軸方向Aに平行な面における断面図、(b)は凹状の内端部を有する封止部の拡大図である。
【0033】
本発明のハニカム構造体1は、軸方向に配置された隔壁により仕切られた複数の流通孔を有し、前記複数の流通孔が交互に封止されたハニカム構造体であって、封止部により前記複数の流通孔の両端が交互に封止されており、前記軸方向の断面視において、少なくとも一端に配置された前記封止部は、その内端部が凹状であることを特徴とする。すなわち、軸方向Aに配置された隔壁4で仕切られた複数の流通孔2を有し、前記複数の流通孔2のうち一部の流通孔2の両端を軸方向からみて市松模様状に交互に封止部3,30により封止した、ハニカム構造体である。
【0034】
図1に示すハニカム構造体1は、コージェライト、チタン酸アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、ムライト、リチウムアルミニウムシリケート等を主成分とする焼結体により形成され、外径が100〜200mm、軸方向Aの長さが100〜250mmの円柱形状であって、軸方向Aに対して垂直な断面における流通孔2の個数が1平方インチ当たり50〜800個である。
【0035】
ここで本発明のハニカム構造体1では、軸方向Aの断面視(軸方向Aに対して平行な方向)において、複数の流通孔2の少なくとも一端(図1(a)において右側の端部)に配置された封止部30のうち流通孔2の内方側の端部、即ち封止部30の内端部30aが凹状であることが重要である。
【0036】
封止部30の内端部30aを断面視で凹状とすることにより、隔壁4と、封止部30の内端部30aとの境界は、従来のような平坦状となることなく隔壁4から封止部30の内端部30aに連続する形状となり、また封止部30の内端部30aの表面積が従来の平坦状に比し大きくなる。
【0037】
これにより、隔壁4と、封止部30の内端部30aとの境界における応力集中する箇所が低減され、長期間の使用に供しても隔壁4と内端部3aあるいは30aとの境界におけるクラックおよび溶損がほとんど発生することがない。また、封止部30の内端部30aが断面視で凹状の場合、ハニカム構造体1を微粒子を捕集するフィルタとして用いた際、隔壁4より凹状の内端部30aに選択的に微粒子が堆積するため、使用を重ねても微粒子の捕集率の低下を遅らせることができる。
【0038】
内端部30aが凹状の封止部30は、図1に示すようにハニカム構造体1の少なくとも一端に配置された封止部30のみでもよく、他端(図1(a)における左側の端部)の封止部3の内端部3aを凹状としてもよいが、ハニカム構造体1の一端に配置された封止部30のみ、その内端部30aを凹状とする場合は、ハニカム構造体1をフィルタとして用いた際に流通孔2を流通する排気ガス等の出口側に内端部30aが凹状の封止部30を配置することが好ましい。これは、隔壁4より出口側の封止部30の内端部30aに選択的に排気ガス中の微粒子が堆積するため、使用を重ねても微粒子の捕集率の低下を遅らせることができるためである。
【0039】
図2〜5は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態を示し、(a)は軸方向Aに平行な面における断面図、(b)は凹状の内端部を有する封止部の拡大図である。なお、図1と共通の部位を表す場合は同じ符号を用いて示す。
【0040】
図2,3に示すハニカム構造体1は、軸方向に配置された隔壁4により仕切られた複数の流通孔2を有し、前記複数の流通孔2が交互に封止されたハニカム構造体であって、封止部3,30により前記複数の流通孔2の一端と内部とが交互に封止されており、前記軸方向の断面視において、一端に配置された封止部30および内部に配置された封止部3の少なくとも一方は、その内端部が凹状であることを特徴とするものの一例である。つまり、ハニカム構造体1は、軸方向Aに配置された隔壁4で仕切られた複数の流通孔2を有し、前記複数の流通孔2の一端(図2,3では、排気ガスの出口)と内部とを市松模様状に封止部3,30により交互に封止したハニカム構造体である。
【0041】
また、図2,3に示すハニカム構造体1は、コージェライト、チタン酸アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、ムライト、リチウムアルミニウムシリケート等を主成分とする焼結体により形成され、外径が100〜200mm、軸方向Aの長さが100〜250mmの円柱形状であって、軸方向Aに対して垂直な断面における流通孔2の個数が1平方インチ当たり50〜800個であり、封止部3の外端部やこの外端部より入口側の隔壁4に触媒が担持されている。
【0042】
内燃機関、ボイラー等を運転中にハニカム構造体1による微粒子の捕集量がある一定値以上になって、排気ガス中に含まれる未燃の炭化水素ガスをハニカム構造体1に対して噴射すると、炭化水素ガスが触媒による酸化反応により反応熱を生成することから、微粒子が堆積しやすい入口側の封止部3の外端部は温度が上昇する。
【0043】
このように、入口側の封止部3の外端部の温度が上昇すると、触媒の活性度が高められているため、流入側の封止部3の外端部での微粒子の燃焼が容易に行われ、微粒子の堆積を防ぐことができる。
【0044】
なお、触媒としては、たとえば、白金(Pt),パラジウム(Pd),ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)等の白金族金属およびその酸化物等があり、アルカリ土類金属酸化物、希土類酸化物、酸化バナジウム(V2O3),ランタン(La),セシウム(Cs)等を含んでいてもよい。
【0045】
図2,3に示すハニカム構造体1によれば、流通孔2の入口端面(IF)における微粒子の堆積によって発生する流通孔2の閉塞によって発生していた圧力損失が上昇するようなことはほとんどなく、微粒子が触媒により有効に燃焼され、ハニカム構造体1の破損や溶損を減少させることができるとともに、長期に亘り圧力損失を上昇させることなく用いることができる。
【0046】
ここで本発明のハニカム構造体1では、軸方向Aの断面視(軸方向Aに対して平行な方向)において、複数の流通孔2の一端に配置された封止部30の内端部30aが凹状であることも重要である。内端部30aの形状を凹状にすることで図2,3に示すハニカム構造体1においても図1に示すハニカム構造体1で得られたような作用および効果が得られるからである。
【0047】
内端部30aが凹状の封止部30は、図2に示すようにハニカム構造体1の少なくとも一端に配置された封止部30のみでもよく、図3に示すようにハニカム構造体1の内部に配置された封止部3の内端部3aを凹状としてもよいが、ハニカム構造体1の一端に配置された封止部30のみ、その内端部30aを凹状とする場合は、ハニカム構造体1をフィルタとして用いた際に流通孔2を流通する排気ガス等の出口側に内端部30aが凹状の封止部30を配置することが好ましい。これは、隔壁4より出口側の封止部30の内端部30aに選択的に排気ガス中の微粒子が堆積するため、使用を重ねても微粒子の捕集率の低下を遅らせることができるためである。
【0048】
図4に示すハニカム構造体1は、図1に示すハニカム構造体1と同様に、軸方向(A)に配置された隔壁4により仕切られた複数の流通孔2を有し、前記複数の流通孔2の両端を交互に封止部3,30により封止されており、図4(a)に示すように前記軸方向(A)に対して平行な方向の断面視において、前記複数の流通孔2の両端に配置された各封止部3,30の内端部3a,30aを凹状とするものである。
【0049】
このハニカム構造体1の場合、流通孔2の両端で応力集中が低減されるため、隔壁4と封止部3の内端部3aおよび隔壁4と封止部30の内端部30aの各境界におけるクラックの発生および溶損を減少させることができ、より好適である。
【0050】
図5に示すハニカム構造体1は、図2に示すハニカム構造体1と同様に、軸方向Aに配置された隔壁4により仕切られた複数の流通孔2を有し、前記複数の流通孔2の一端と内部とを交互に封止部3,30により封止されており、図5(a)に示すように前記軸方向Aに対して平行な方向の断面視において、前記複数の流通孔2の一端と内部とに配置された各封止部3,30の内端部3a,30aを凹状とするものである。
【0051】
図1〜5に示すハニカム構造体1は、例えば流通孔2の断面積は、1〜10mm2であって、各流通孔2を軸方向に仕切る隔壁4の厚みは、例えば0.05〜1.0mmである。
【0052】
なお、図1,2に示すように一端の封止部30の内端部30aを凹状にしたハニカム構造体1では、封止部30の軸方向における長さ(Lb)を特に限定するものではないが、ハニカム構造体1の全長Lに対し、その比率(Lb/L)が0.007以上0.2以下であることが好適である。前記比率(Lb/L)を0.007以上にすると、封止部3が脱落することがなく、十分な信頼性を確保できるからであり、0.2以下にすると、微粒子の捕集効率をある一定限度以上に維持することができるからである。また、内端部30aは、その深さdが0.1mm以上0.5mm以下であることが好適である。
【0053】
図4に示すように両端の封止部3,30の内端部3a,30aを凹状にしたハニカム構造体1では、封止部3,30の軸方向における各長さ(La),(Lb)を特に限定するものではないが、ハニカム構造体1の全長Lに対し、その各比率(La/L),(Lb/L)が0.007以上0.1以下、また、内端部3a,30aは、その深さdがそれぞれ0.1mm以上0.5mm以下であることが好適である。
【0054】
また、図5に示すように、内部に配置された封止部3および一端(出口側)に配置された封止部30の内端部3a,30aを凹状にしたハニカム構造体1では、封止部3,30の軸方向における各長さ(La),(Lb)を特に限定するものではないが、ハニカム構造体1の全長Lに対し、その各比率(La/L),(Lb/L)が0.007以上0.1以下、また、内端部3a,30aは、その深さdがそれぞれ0.1mm以上0.5mm以下であることが好適である。
【0055】
なお、封止部3,30のそれぞれの内端部3a,30aが凹状とは、軸方向の断面視において、例えば椀状、角錐状、円錐台状、ドライバーの先端形状およびこれらの形状が複合化された形状のいずれかをいう。図6は、ハニカム構造体1の軸方向Aの断面視(軸方向Aに対して平行な方向)において、封止部30の内端部30aの形状を示す断面図であり、断面視した際の形状が(a)は矩形状、(b)は角錐状または円錐状、(c)は角錐台状または円錐台状、(d)はドライバーの先端形状、(e)は角錐台状または円錐台状とドライバーの先端形状が複合化された形状を示す。
【0056】
特に、封止部3,30のそれぞれの内端部3a,30aの形状が断面視で凹状の場合、内端部3a,30aが図6(f)の斜視図に示すような椀状であることが好ましい。封止部3の内端部3aあるいは封止部30の内端部30aを椀状にすることで、隔壁4と、封止部30の内端部30aとの境界は、隔壁4から封止部30の内端部30aに連続する形状となり、また封止部30の内端部30aの表面積が従来の平坦状の内端部の表面積に比べて大きくなる。
【0057】
これにより、隔壁4と、封止部3,30の内端部3a,30aとの境界における応力集中する箇所が低減され、長期間の使用に供しても隔壁4と内端部3aあるいは30aとの境界におけるクラックおよび溶損がほとんど発生することがない。また、封止部3,30の内端部3a,30aが椀状の場合、ハニカム構造体1を微粒子を捕集するフィルタとして用いた際、隔壁4より凹状の内端部3a,30aに選択的に微粒子が堆積するため、使用を重ねても微粒子の捕集率の低下を遅らせることができる。
【0058】
ハニカム構造体1は、構成する組成によって耐熱衝撃性が影響を受けるため、チタン酸アルミニウムを主成分とする焼結体とすることが好ましい。これは、チタン酸アルミニウムの耐熱衝撃性が特に高いため、長期間信頼性を高いものとすることができるからである。
【0059】
なお、本発明における主成分とは、ハニカム構造体1を構成する成分のうち、50質量%以上を占める成分をいう。
【0060】
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。
【0061】
ここでは、主成分がコージェライトであるハニカム構造体1について説明する。先ず、焼結体におけるコージェライトの組成がSiO2が40〜56質量%、Al2O3が30〜46質量%、MgOが12〜16質量%となるように、カオリン、仮焼カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、タルク、焼タルクなどのコージェライト化する原料を調合して調合原料を得る。これにグラファイト、澱粉、樹脂粉末等の造孔剤の所定量を添加した後、さらに可塑剤、増粘剤、滑り剤、水等を加えて、万能攪拌機、回転ミル、V型攪拌機等を使って混合物とする。そして、この混合物を三本ロールや混練機等を用いて混練し、可塑化した混練体を得る。
【0062】
次に、成形体の外径を決定する内径が、例えば、100〜250mmであるとともに、ハニカム構造体の隔壁を形成するためのスリットを有する金型を用いて前記混練体を押出成形機に投入し、圧力を加えてハニカム状に成形した後、乾燥して所定長さに切断加工する。その後、市松模様状にマスキングを施した出口端面(OF)より水に溶かしてスラリー状にした前記調合原料をディッピング法により挿入した後に、入口端面(IF)より先端部が凸状に形成され、撥水性の樹脂がコーティングされたピンを挿入した状態で常温にて乾燥し、封止部30を形成する。乾燥後、ピンを抜き、流通孔2の両端を交互に封止部3,30により封止したハニカム構造体1を得るには、上述の作業と同じ作業を流入側でも行い、封止部3を形成する。流通孔2の一端と内部とに交互に封止部3,30により封止したハニカム構造体1を得るには、出口端面(OF)における封止部30の形成は上述した形成方法を用いればよい。流通孔2の内部における封止部3の形成方法については、以下のようにする。即ち、先ず、市松模様状にマスキングを施した入口端面(IF)より水に溶かしてスラリー状にした前記調合原料をディッピング法により挿入する。そして、スラリーが隔壁4に着肉して保形性が得られ、封止部3の前駆体となった状態で、撥水性の樹脂がコーティングされたピンを入口端面(IF)より挿入して、前駆体を流通孔2の内部に移動させる。そして、入口端面(IF)から挿入されたピンはそのままにして、出口端面(OF)から撥水性の樹脂がコーティングされたピンを挿入した状態で常温にて乾燥し、封止部3を形成する。その後、白金(Pt),パラジウム(Pd),ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)等の白金族金属およびその酸化物等の触媒を含有するスラリーに、ハニカム構造体1の入口側を浸漬した後、乾燥、焼成すると、隔壁4の表面及び隔壁4内部の気孔に触媒を付着させることができる。
【0063】
なお、封止部3の内端部3aが平坦であるハニカム構造体1を形成する場合には、先端部の形状が平坦であるピンを用い、封止部3の内端部3aが凸状であるハニカム構造体1を形成する場合には、先端部の形状が凸状であるピンを用いればよい。
【0064】
封止部3,30を形成した後、電気炉、ガス炉等の焼成炉を用い、成形体を温度1350℃〜1450℃で焼成して、本発明のハニカム構造体を得ることができる。
【0065】
主成分がチタン酸アルミニウムであるハニカム構造体を得るには、TiO2とAl2O3との比率がモル比で40〜60:60〜40である成分100質量部と、組成式が(NayK1−y)AlSi3O8(0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石、Mgを含むスピネル型構造の酸化物、MgOおよび焼成によりMgOに転化するMg含有化合物の少なくともいずれか1種からなる成分を1〜10質量部と、を調合して調合原料を得る。これ以降、封止部を形成するまでの工程は、主成分がコージェライトの場合と同様である。ハニカム構造体の主成分がチタン酸アルミニウムの場合、電気炉、ガス炉等の焼成炉を用い、成形体を温度1250℃〜1700℃で焼成して、本発明のハニカム構造体を得ることができる。
【0066】
このように作製されたハニカム構造体は、流通孔2の一端を入口とし、他端を出口として排気ガスを通過させ、隔壁4および封止部3,30によりディーゼル微粒子を捕集するフィルタとして好適に用いることができる。
【0067】
図7は、図1に示す本発明のハニカム構造体1をディーゼル微粒子を捕集するフィルタとして用いた排気ガス処理装置10を示す概略断面図である。
【0068】
図7に示すように、本発明のハニカム構造体1を、ディーゼルエンジンの排気ガス(EG)中のディーセル微粒子を捕集するフィルタとして用いる場合、軸方向の両端に排気ガス流入口5と排気ガス流出口6とを有するコーンカップ形状の金属製のケース7の内面でセラミックファイバを含むマット状の断熱材層8を介して排気ガス処理装置10内に固定される。ケース7には排気管9が連通し、この排気管9より排気ガス(EG)がケース7内に流入する。ディーゼルエンジン(不図示)が作動して、排気ガス(EG)が排気管9よりケース7に流入すると、ハニカム構造体1の内部では、入口端面(IF)で封止部のない流通孔2より排気ガス(EG)が導入されるが、出口端面(OF)に形成された封止部30によって排気ガス(EG)の流出は遮られる。流出が遮られた排気ガス(EG)は、多孔質の隔壁4を通過し、隣接する流通孔2より排出されるようになっている。隔壁4では、その気孔内で排気ガス(EG)中のディーゼル微粒子が捕集され、隣接する流通孔2の入口には封止部3が形成されているので、排気ガスはディーゼル微粒子を含まない状態に浄化され、出口端面(OF)より外部に排出することができるようになっている。
【0069】
このような排気ガス処理装置10には、本発明のハニカム構造体1をフィルタとして好適に用いることができ、長期間にわたり効率よくディーゼル微粒子を捕集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明のハニカム構造体の一実施形態を示し、(a)は軸方向に平行な面における断面図、(b)は凹状の内端部を有する封止部の拡大図である。
【図2】本発明のハニカム構造体の他の実施形態を示し、(a)は軸方向に平行な面における断面図、(b)は凹状の内端部を有する封止部の拡大図である。
【図3】本発明のハニカム構造体の他の実施形態を示し、(a)は軸方向に平行な面における断面図、(b)は凹状の内端部を有する封止部の拡大図である。
【図4】本発明のハニカム構造体の他の実施形態を示し、(a)は軸方向に平行な面における断面図、(b)は凹状の内端部を有する封止部の拡大図である。
【図5】本発明のハニカム構造体の他の実施形態を示し、(a)は軸方向に平行な面における断面図、(b)は凹状の内端部を有する封止部の拡大図である。
【図6】封止部の内端部の形状を示す軸方向の断面図であり、(a)は矩形状、(b)は角錐状または円錐状、(c)は角錐台状または円錐台状、(d)はドライバーの先端形状、(e)は角錐台状または円錐台状とドライバーの先端形状が複合化された形状を示し、(f)は封止部の内端部を示す斜視図である。
【図7】本発明のハニカム構造体を用いた排気ガス処理装置を示す概略断面図である。
【図8】従来のハニカム構造体の軸方向に平行な面における断面図である。
【図9】従来のハニカム構造体の軸方向に平行な面における断面図である。
【図10】従来のハニカム構造体の軸方向に平行な面における断面図である。
【図11】従来のハニカム構造体の軸方向に平行な面における断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1:ハニカム構造体
2:流通孔
3,30:封止部
3a,30a:内端部
4:隔壁
5:排気ガス流入口
6:排気ガス流出口
7:ケース
8:断熱材層
9:排気管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に配置された隔壁により仕切られた複数の流通孔を有し、前記複数の流通孔が交互に封止されたハニカム構造体であって、封止部により前記複数の流通孔の両端が交互に封止されており、前記軸方向の断面視において、少なくとも一端に配置された前記封止部は、その内端部が凹状であることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項2】
軸方向に配置された隔壁により仕切られた複数の流通孔を有し、前記複数の流通孔が交互に封止されたハニカム構造体であって、封止部により前記複数の流通孔の一端と内部とが交互に封止されており、前記軸方向の断面視において、一端に配置された封止部および内部に配置された封止部の少なくとも一方は、その内端部が凹状であることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項3】
前記各封止部の内端部が凹状であることを特徴とする請求項1または2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記凹状の封止部は、内端部が椀状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記ハニカム構造体は、チタン酸アルミニウムを主成分とする焼結体からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のハニカム構造体を用いたフィルタであって、前記流通孔の一端を入口とし、他端を出口として排気ガスを通過させ、隔壁および封止部によりディーゼル微粒子を捕集することを特徴とするフィルタ。
【請求項7】
前記流通孔の出口側に前記内端部が凹状の封止部を配置したことを特徴とする請求項5に記載のフィルタ。
【請求項8】
請求項6または7に記載のフィルタを用いたことを特徴とする排気ガス処理装置。
【請求項1】
軸方向に配置された隔壁により仕切られた複数の流通孔を有し、前記複数の流通孔が交互に封止されたハニカム構造体であって、封止部により前記複数の流通孔の両端が交互に封止されており、前記軸方向の断面視において、少なくとも一端に配置された前記封止部は、その内端部が凹状であることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項2】
軸方向に配置された隔壁により仕切られた複数の流通孔を有し、前記複数の流通孔が交互に封止されたハニカム構造体であって、封止部により前記複数の流通孔の一端と内部とが交互に封止されており、前記軸方向の断面視において、一端に配置された封止部および内部に配置された封止部の少なくとも一方は、その内端部が凹状であることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項3】
前記各封止部の内端部が凹状であることを特徴とする請求項1または2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記凹状の封止部は、内端部が椀状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記ハニカム構造体は、チタン酸アルミニウムを主成分とする焼結体からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のハニカム構造体を用いたフィルタであって、前記流通孔の一端を入口とし、他端を出口として排気ガスを通過させ、隔壁および封止部によりディーゼル微粒子を捕集することを特徴とするフィルタ。
【請求項7】
前記流通孔の出口側に前記内端部が凹状の封止部を配置したことを特徴とする請求項5に記載のフィルタ。
【請求項8】
請求項6または7に記載のフィルタを用いたことを特徴とする排気ガス処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−105024(P2008−105024A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252194(P2007−252194)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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