ハニカム構造体用載置台、及び、ハニカム構造体の検査装置
【課題】 ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラック等が発生することなく載置することができるハニカム構造体用載置台を提供すること。
【解決手段】 ハニカム構造体の外周を含む端面全体と接する構造体載置面を有する載置部材と、上記ハニカム構造体が上記載置部材に先がけて載置される予備載置面を有する予備載置部材と、上記予備載置部材を上記載置部材に対して相対的に上下動させる昇降機構とを備え、上記予備載置面は、上記構造体載置面と平行であり、上記ハニカム構造体の端面と重ね合わせた場合、上記予備載置面の形状は、外周全体が上記ハニカム構造体の端面の外周より内側に存在しうるような形状であることを特徴とするハニカム構造体用載置台。
【解決手段】 ハニカム構造体の外周を含む端面全体と接する構造体載置面を有する載置部材と、上記ハニカム構造体が上記載置部材に先がけて載置される予備載置面を有する予備載置部材と、上記予備載置部材を上記載置部材に対して相対的に上下動させる昇降機構とを備え、上記予備載置面は、上記構造体載置面と平行であり、上記ハニカム構造体の端面と重ね合わせた場合、上記予備載置面の形状は、外周全体が上記ハニカム構造体の端面の外周より内側に存在しうるような形状であることを特徴とするハニカム構造体用載置台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体用載置台、及び、ハニカム構造体の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中に含有されるスス等のパティキュレートが環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。
そこで、排ガス中のパティキュレートを捕集して、排ガスを浄化するフィルタとして多孔質セラミックからなるハニカム構造体を用いたハニカムフィルタが種々提案されている。
【0003】
従来、ハニカム構造体を製造する際には、例えば、まず、セラミック粉末とバインダと分散媒液等とを混合して湿潤混合物を調製する。そして、この湿潤混合物をダイスにより連続的に押出成形し、押し出された成形体を所定の長さに切断することにより、柱形状のハニカム成形体を作製する。
【0004】
次に、得られたハニカム成形体を乾燥させ、その後、所定のセルに封止材ペーストを充填して目封じを施し、セルのいずれかの端部が封止された状態とした後、脱脂処理及び焼成処理を施し、ハニカム焼成体を製造する。
【0005】
この後、ハニカム焼成体の側面にシール材ペーストを塗布し、ハニカム焼成体同士を接着させることにより、シール材層(接着剤層)を介してハニカム焼成体が多数結束した状態のハニカム焼成体の集合体を作製する。次に、得られたハニカム焼成体の集合体に、切削機等を用いて円柱、楕円柱等の所定の形状に切削加工を施してセラミックブロックを形成し、最後に、セラミックブロックの外周にシール材ペーストを塗布してシール材層(コート層)を形成することによりハニカム構造体の製造を終了する。
【0006】
上記のようなハニカム構造体(セラミックフィルタや触媒担持体)は、通常、ケーシング内に収納されて使用される。そのため、ハニカム構造体をケーシング内に収納する前に、製造したハニカム構造体が上記ケーシングの形状に適合するような所定の形状を有しているか否かを検査する必要があり、検査の際にハニカム構造体は検査装置に設けられた台に載置される。
また、ハニカム構造体に所定の機能を発揮させるべく、その内部に欠陥を内包していないかを検査する必要もあり、この検査の際にもハニカム構造体は検査装置に設けられた台に載置される。
【0007】
ここで、製造したハニカム構造体の外形形状を検査する装置としては、例えば、平行光線を利用する装置(例えば、特許文献1参照)等が提案されており、特許文献1には外形形状を検査する際にハニカム構造体が載置される台であるターンテーブルが開示されている。
また、製造したハニカム構造体の欠陥を検査する装置としては、例えば、伝播した音響信号の情報を利用する装置(例えば、特許文献2参照)等が提案されており、特許文献2には、欠陥を検査する際にハニカム構造体が載置される台である回転テーブルが開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開昭55−37919号公報
【特許文献2】特開2004−151078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1及び2に開示されているターンテーブル及び回転テーブルは平板形状の台であり、これまでハニカム構造体はこのような平板形状の台にその端面を下にした状態で載置されていた。
図13は、ハニカム構造体が平板形状の台に載置される様子を模式的に表した断面図である。
【0010】
図13に示すようにハニカム構造体130が平板形状の台201に載置される際には、ハニカム構造体130の端面と台201の上面202aとが平行でない限りハニカム構造体130の端面のうち外周部分(以下、単に端面外周ともいう)130aが最初に台201の上面202aと一点で接触することとなる。
ハニカム構造体は脆性材料であるセラミックからなるために、その端面外周130aが台201の上面202aと一点で接触すると、接触の際の衝撃により端面外周130aに欠けやクラック等が発生することがあり、欠けやクラック等が発生したハニカム構造体は不良品となってしまうという問題があった。
【0011】
また、このようにしてハニカム構造体が載置される際に端面外周に発生する欠けやクラック等は、ハニカム構造体が検査装置に設けられた台に載置される際にのみ発生するものではなく、平板形状の台上に載置される際に一般的に生じるものであるため、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラック等を発生させることなくハニカム構造体を載置することのできる載置台が求められていた。
【0012】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラック等を発生させることなく載置することができるハニカム構造体用載置台、及び、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラック等を発生させることなくハニカム構造体の検査を行うことができるハニカム構造体の検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のハニカム構造体用載置台は、ハニカム構造体の外周を含む端面全体と接する構造体載置面を有する載置部材と、
上記ハニカム構造体が上記載置部材に先がけて載置される予備載置面を有する予備載置部材と、
上記予備載置部材を上記載置部材に対して相対的に上下動させる昇降機構とを備え、
上記予備載置面は、上記構造体載置面と平行であり、
上記予備載置面と上記ハニカム構造体の端面とを重ね合わせた場合、上記予備載置面の形状は、外周全体が上記ハニカム構造体の端面の外周より内側に存在しうるような形状であることを特徴とする。
【0014】
本発明のハニカム構造体用載置台においては、上記予備載置面が上記構造体載置面より上方に位置する状態で上記ハニカム構造体を支持し、
さらに、上記昇降機構が上記予備載置面を少なくとも上記構造体載置面まで下降させることにより上記ハニカム構造体を上記構造体載置面に載置し、
上記予備載置面が、上記ハニカム構造体を支持しない状態で、上記昇降機構により少なくとも上記構造体載置面より上方に位置する状態まで再び上昇することが望ましい。
【0015】
また、本発明のハニカム構造体用載置台において、上記ハニカム構造体の端面と上記予備載置面の外周形状とは、相似形であることが望ましい。
また、本発明のハニカム構造体用載置台においては、上記予備載置面がドーナツ形状であり、上記予備載置面の中央部にも上記構造体載置面が配置されることが望ましい。
【0016】
また、本発明のハニカム構造体用載置台は、上記予備載置部材の下部に、上記予備載置面の重心を中心として放射状方向、かつ、等間隔に取り付けられた脚部を備え、
上記脚部と上記昇降機構とが連動することにより、上記予備載置部材が上下動することが望ましい。
【0017】
本発明のハニカム構造体の検査装置は、ハニカム構造体の外周を含む端面全体と接する構造体載置面を有する載置部材と、
上記ハニカム構造体が上記載置部材に先がけて載置される予備載置面を有する予備載置部材と、
上記予備載置部材を上記載置部材に対して相対的に上下動させる昇降機構と、
上記載置部材に載置された上記ハニカム構造体の外部形状及び内部形状のうち、少なくとも一方を検査する検査手段とを備え、
上記予備載置面は、上記構造体載置面と平行であり、
上記予備載置面と上記ハニカム構造体の端面とを重ね合わせた場合、上記予備載置面の形状は、外周全体が上記ハニカム構造体の端面の外周より内側に存在しうるような形状であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明のハニカム構造体の検査装置は、上記予備載置面が上記構造体載置面より上方に位置する状態で上記ハニカム構造体を支持し、
さらに、上記昇降機構が上記予備載置面を少なくとも上記構造体載置面まで下降させることにより上記ハニカム構造体を上記構造体載置面に載置し、
上記昇降機構が上記ハニカム構造体を支持しない状態の予備載置面を、少なくとも上記構造体載置面より上方に位置する状態まで再び上昇させることが望ましい。
【0019】
また、本発明のハニカム構造体の検査装置において、上記ハニカム構造体の端面と上記予備載置面の外周形状とは、相似形であることが望ましい。
また、本発明のハニカム構造体の検査装置においては、上記予備載置面がドーナツ形状であり、
上記予備載置面の中央部にも上記構造体載置面が配置されることが望ましい。
【0020】
本発明のハニカム構造体の検査装置は、上記予備載置部材の下部に、上記予備載置面の重心を中心として放射状方向、かつ、等間隔に取り付けられた脚部を備え、
上記脚部と上記昇降機構とが連動することにより、上記予備載置部材が上下動することが望ましい。
【0021】
本発明のハニカム構造体の検査装置において、上記検査手段は、上記ハニカム構造体の外部形状を検査し、
上記外部形状は、上記ハニカム構造体の長手方向の長さ、最大径、真円度、直角度、平行度及び位置度のうち、少なくとも1つであることが望ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のハニカム構造体用載置台は、予備載置面を有する予備載置部材を備え、上記予備載置面の形状は、ハニカム構造体の端面と重ね合わせると、その外周全体が上記ハニカム構造体の端面の外周より内側に存在しうるような形状であるため、上記予備載置面が構造体載置面より上方に位置する状態では、ハニカム構造体の端面外周が接触することなく、ハニカム構造体の端面外周より内側に上記予備載置面全体が位置するようにハニカム構造体を支持することができる。
また、上記予備載置面は上記構造体載置面と平行な平面である。そのため、上記予備載置面と上記構造体載置面の高さを合わせることにより、ハニカム構造体の端面外周に強い衝撃を加えることなくハニカム構造体の端面外周を上記構造体載置面に接触させることができる。
また、上記構造体載置面はハニカム構造体の端面の外周全体と接するような形状であるため、上記ハニカム構造体を上記構造体載置面上に安定に載置することができる。
従って、本発明のハニカム構造体用載置台によると、ハニカム構造体をその端面外周に欠けやクラック等を発生させることなく構造体載置面上に安定に載置することができる。
【0023】
本発明のハニカム構造体の検査装置は、本発明のハニカム構造体用載置台を備えているため、上記ハニカム構造体の検査装置にハニカム構造体を載置する際には、ハニカム構造体の端面外周に強い衝撃を加えることなくハニカム構造体の端面外周を構造体載置面に接触させてハニカム構造体を構造体載置面上に載置することができる。
従って、本発明のハニカム構造体の検査装置によると、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラック等を発生させることなく、ハニカム構造体の形状検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明のハニカム構造体用載置台は、ハニカム構造体の外周を含む端面全体と接する構造体載置面を有する載置部材と、
上記ハニカム構造体が上記載置部材に先がけて載置される予備載置面を有する予備載置部材と、
上記予備載置部材を上記載置部材に対して相対的に上下動させる昇降機構とを備え、
上記予備載置面は、上記構造体載置面と平行であり、
上記予備載置面と上記ハニカム構造体の端面とを重ね合わせた場合、上記予備載置面の形状は、外周全体が上記ハニカム構造体の端面の外周より内側に存在しうるような形状であることを特徴とする。
【0025】
ここでは、まず、本発明のハニカム構造体用載置台にハニカム構造体を載置する概要について説明し、その後、本発明のハニカム構造体用載置台の具体例について詳説することとする。
なお、本明細書において、ハニカム成形体、ハニカム焼成体及びハニカム構造体のいずれの形態においても、それぞれの外形状をなす面のうち、セルが露出している面を端面といい、端面以外の面を側面という。
【0026】
図1(a)及び図1(b)は、予備載置面がドーナツ形状である本発明のハニカム構造体用載置台にハニカム構造体を載置する様子を模式的に示す断面図であり、図1(a)には、予備載置面が構造体載置面より上方に位置してハニカム構造体を支持する状態を示し、図1(b)は、予備載置面が構造体載置面より下方に位置してハニカム構造体が構造体載置面上に載置されている状態を示す。
【0027】
本発明のハニカム構造体用載置台1301にハニカム構造体を載置するためには、はじめに、予備載置面1303aを構造体載置面1302aよりも上方に位置した状態とする。
次に、この状態にある予備載置面1303aでハニカム構造体130を支持する(図1(a)参照)。このとき、予備載置面1303a全体がハニカム構造体130の端面の外周より内側に存在するように、ハニカム構造体130を予備載置面1303aで支持する。ハニカム構造体130をこのように支持することにより、ハニカム構造体の端面外周130aが予備載置面1303aに接触することがなく、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラック等が発生することを回避することができる。
なお、ハニカム構造体用載置台1301では、予備載置面1303aがドーナツ形状であるため、予備載置面1303aはハニカム構造体130の端面の中心付近を支持していない。
【0028】
次に、ハニカム構造体130を支持した予備載置部材1303を、図示しない昇降機構により図1(a)に示した状態から図1(b)に示した状態に移行させる。
即ち、構造体載置面1302aより上方に位置した予備載置面1303aが、構造体載置面1302aより下方に位置するように、予備載置部材1303を下降させる。
このように予備載置面1303aを下降させることにより、ハニカム構造体130が載置部材1302の構造体載置面1302a上に載置されることとなる。
なお、予備載置面1303aの下降は、予備載置面1303aが構造体載置面1302aと同一平面をなす位置まで行っても良い。
【0029】
この際、予備載置面1303aと、構造体載置面1302aとは平行な平面であるため、ハニカム構造体130は、その端面が構造体載置面1302aと平行な状態を維持したままで下降することとなる。そして、予備載置面1303aが、構造体載置面1302aと同一平面まで下降すると、構造体載置面1302aはハニカム構造体130の端面の外周全体と接する形状であるため、ハニカム構造体130の端面外周130aを含む端面全体(予備載置面1303aと接触している部分を除く)が構造体載置面1302aと同時に接触する。
その結果、ハニカム構造体130の端面外周130aに強い衝撃が加わることがなく、端面外周130aに欠けやクラック等が発生することなくハニカム構造体130は構造体載置面1302a上に安定して載置されることとなる(図1(b)参照)。
【0030】
なお、ハニカム構造体用載置台1301においては、予備載置面1303aの内側にも構造体載置面1302aが配置されているため、ハニカム構造体130の端面の中心付近も構造体載置面1302a上に載置される。そのため、ハニカム構造体130は構造体載置面1302a上にきわめて安定的に載置されることとなる。
【0031】
図2(a)及び図2(b)は、予備載置面が円形である本発明のハニカム構造体用載置台にハニカム構造体を載置する様子を模式的に示す断面図であり、図2(a)には、予備載置面が構造体載置面より上方に位置してハニカム構造体を支持する状態を示し、図2(b)は、予備載置面が構造体載置面より下方に位置してハニカム構造体が構造体載置面上に載置されている状態を示す。
【0032】
図2(a)及び図2(b)に示すハニカム構造体用載置台2301を用いてハニカム構造体を載置する場合においても、図1(a)及び図1(b)に示したハニカム構造体用載置台1301を用いた場合と同様にして、はじめに、図2(a)に示すように予備載置面2303aでハニカム構造体130を支持する。このとき、予備載置面2303a全体がハニカム構造体130の端面の外周より内側に存在するように、予備載置面2303aでハニカム構造体を支持する。次に、図2(b)に示す状態に移行させることで、ハニカム構造体130は載置部材2302の構造体載置面2302a上に載置されることとなる。
【0033】
図2(a)及び図2(b)に示す場合においても予備載置面2303aと構造体載置面2302aは平行な平面であるため、ハニカム構造体130の端面全体(予備載置面2303aと接触している部分を除く)は構造体載置面2302aと同時に接触する。
そのため、ハニカム構造体130の端面外周130aには強い衝撃が加わることがなく、ハニカム構造体130はその端面外周130aに欠けやクラックが発生することなく安定的に構造体載置面2302a上に載置されることとなる。
【0034】
図2(a)及び図2(b)に示す予備載置面2303aはその形状が円形であるため、図2(a)に示す状態において予備載置面2303aはハニカム構造体130の端面の中心付近も含めて支持しており、図2(b)に示す状態においては、ハニカム構造体130の中心付近は構造体載置面2302a上に載置されておらず、ハニカム構造体130はその外周付近のみが構造体載置面2302a上に載置されていることとなる。このような態様であっても、ハニカム構造体130は構造体載置面2302a上に安定的に載置されることとなる。
【0035】
続いて、本発明のハニカム構造体用載置台の具体例について図面を参照しながら説明する。
図3(a)は、本発明のハニカム構造体用載置台の一例を模式的に示す斜視図であり、図3(b)は、(a)に示したハニカム構造体用載置台のB−B線断面図である。なお、図3(a)、(b)には、予備載置面が構造体載置面より上方に位置する状態を示す。
図4は、図3(a)及び図3(b)に示したハニカム構造体用載置台を構成する載置部材を示す斜視図であり、図5は、図3(a)及び図3(b)に示したハニカム構造体用載置台を構成する予備載置部材及び昇降機構を示す斜視図である。
なお、図3(a)には、ハニカム構造体を2点鎖線で示し、ここでは、図11に示したハニカム構造体130を載置する場合を例に、ハニカム構造体用載置台について説明する。
【0036】
ハニカム構造体用載置台301は、ハニカム構造体の端面の外周全体と接する構造体載置面302aを有する載置部材302と、ハニカム構造体を支持する予備載置面303aを有する予備載置部材303と、シャフト305、金属プレート306、シリンダプレート307及びエアシリンダ309からなり、予備載置部材303を上下動させることができる昇降機構とを備えている。
また、予備載置部材303と昇降機構とは、脚部304を介して連結されている。
【0037】
図4に示すように、載置部材302は円板状の外形を有し、載置部材302の上面には、予備載置部材303を設置するための予備載置部材用溝部310、脚部304を設置するための脚部用溝部311が設けられている。また、載置部材302の下面から下方に向けて固定部313が取り付けられており、載置部材302を所定の高さに維持できるように構成されている。
そして、載置部材302の上面のうち、予備載置部材用溝部310及び脚部用溝部311以外の部分が、ハニカム構造体を載置した際にハニカム構造体の端面に接しうる部分である。この部分からなる平面を含んで載置部材302上面の外周で囲まれてなる平面を構造体載置面302aという。
【0038】
構造体載置面302aは、ハニカム構造体130の端面の外周全体と接する形状を有する平面である。構造体載置面302aをこのような形状とすることで、ハニカム構造体130の端面全体を構造体載置面302a上に安定に載置することができる。
【0039】
予備載置部材用溝部310は、その平面視形状が予備載置部材303の平面視形状と略同一形状を有し、予備載置部材用溝部310の側壁面と予備載置部材303の側面との間には、予備載置部材303が滑らかに上下動することのできるようわずかな隙間が設けられている。
また、予備載置部材用溝部310の深さは、予備載置部材303が最下点まで下降した際に、予備載置面303aと構造体載置面302aとが同一平面となるように予備載置部材303の厚さと同一の大きさである。
【0040】
脚部用溝部311は、その平面視形状が脚部304の平面視形状と略同一形状を有し、脚部用溝部311の側壁面と、脚部304の側面との間には、脚部304が滑らかに上下動することのできるようわずかな隙間が設けられている。
また、脚部用溝部311の深さは、脚部304が最下点まで下降した際に予備載置面303aが構造体載置面302aと同一平面となるように、予備載置部材303と脚部304との合計厚さと同一の大きさである。
また、脚部用溝部311の底面には、貫通孔312が設けられており、この貫通孔312には、シャフト305(図3(a)、(b)及び図5参照)が上下動可能に挿通されている。
【0041】
固定部313は、円柱形状の柱部313aと柱部313aより太い円柱形状のベース部313bより構成されており、載置部材302を所定の高さに維持した状態でその設置場所に設置することができる。
【0042】
予備載置部材303は、図5に示すように、ドーナツ形状を有しており、その上面でハニカム構造体が載置部材302に先がけて載置される。
そして、予備載置部材303の上面からなる平面を予備載置面303aという。
予備載置面303aの形状は、ハニカム構造体130の端面と重ね合わせると、その外周全体がハニカム構造体130の端面の外周より内側に存在しうるような形状である。
そのため、ハニカム構造体130の端面外周130aが接触することなく、ハニカム構造体130の端面の外周より内側に予備載置面303a全体が位置するようにしてハニカム構造体130を支持することができる。
【0043】
また、予備載置面303aは、構造体載置面302aと平行な平面になるように構成されている。
そのため、予備載置面303aでハニカム構造体を支持し、予備載置面303aを下降させてハニカム構造体を構造体載置面302a上に載置する際に、ハニカム構造体130の端面外周130a(図3(a)及び図3(b)参照)に強い衝撃が加わることがなく、ハニカム構造体130の端面外周130aに欠けやクラック等が発生することを防止することができる。
【0044】
ハニカム構造体用載置台301では、図5に示すように、予備載置部材303の下部に角柱形状の脚部304の一端がその上面で固定されており、脚部304の他端近傍に、昇降機構を構成するシャフト305の一端が固定されている。さらに、シャフト305の他端は金属プレート306に固定されており、金属プレート306の底面にはシリンダプレート307及びロッド308を通じてエアシリンダ309が取り付けられている。
このように、ハニカム構造体用載置台では、予備載置部材303と上記昇降機構とが脚部を介して、連結されている。そして、エアシリンダ309を駆動させることでロッド308を上下動させ、その上下動がシリンダプレート307を伝わって金属プレート306を上下動させる。その結果、予備載置部材303を上下動させることができる。
【0045】
以下、上記脚部及び上記昇降機構の構成部材についてもう少し詳細に説明する。
脚部304は、予備載置部材303の下部に固定され、シャフト305の上下動を予備載置部材303に伝えるための部材である。
脚部304の上面は予備載置部材303の上面より常に下方に位置し、予備載置面303a上でハニカム構造体130を支持する際に、ハニカム構造体130の端面と接触しないように構成されている。
また、脚部304は予備載置面303aの重心を中心とした放射状方向に、かつ、等間隔で計5本取り付けられており、隣り合う2本の脚部304のそれぞれの重心と予備載置面303aの重心とを結ぶ2本の線分のなす角は72°となるように構成されている。
【0046】
シャフト305は、一端が脚部304に固定され、他端が金属プレート306に固定されており、金属プレート306の上下動を脚部304に伝えるための部材である。
また、シャフト305は、貫通孔312に挿通されており、載置部材302の表裏間で上下動を伝える。
【0047】
金属プレート306の上面にはシャフト305が複数固定されており、その底面にはシリンダプレート307が複数固定されている。シリンダプレート307はロッド308を通じてエアシリンダ309に取り付けられており、エアシリンダ309が駆動してロッド308が上下動すると金属プレート306も上下動する。
また、金属プレート306はその中心部が正方形状にくり抜かれた角環形状であり、くり抜かれた部分306aを介して載置部材302の柱部313aが金属プレートを貫通することとなる。また、くり抜かれた部分306aの大きさは、その壁面が柱部313aの側面と接触しない大きさであり、そのため金属プレート306は載置部材302の柱部313aと干渉することなく上下動する。
【0048】
エアシリンダ309は、ロッド308を上下動させてロッド308に固定されたシリンダプレート307を上下動させ、金属プレート306を上下動させるための部材である。ロッド308の上下動の範囲は、少なくとも予備載置面303aが構造体載置面302aの上方になる位置と、同一平面になる位置とを含むように設定されている。
【0049】
次に、ハニカム構造体用載置台301にハニカム構造体130を載置する方法について説明する。ここでは、図3(a)及び図3(b)とともに、図6(a)及び図6(b)を参照しながらハニカム構造体用載置台301にハニカム構造体130を載置する方法について説明する。
図6(a)は、図3(a)及び図3(b)に示したハニカム構造体載置台において、予備載置面が下降した状態を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は、(a)に示したハニカム構造体用載置台のC−C線断面図である。なお、図6に示したハニカム構造体用載置台は、図3(a)及び図3(b)に示したハニカム構造体用載置台と同一のハニカム構造体用載置台である。
そして、図3(a)及び図3(b)には、予備載置面が上昇した状態を示し、図6(a)及び図6(b)には、予備載置面が下降した状態を示す。
【0050】
ハニカム構造体用載置台301にハニカム構造体130を載置する際には、まず、エアシリンダ309を駆動させて、予備載置面303aが構造体載置面302aより上方に位置した状態とする。
次に、この状態にある予備載置面303aでハニカム構造体130を支持する(図3(a)、(b)参照)。このとき、予備載置面303a全体がハニカム構造体130の端面の外周より内側に存在するように、ハニカム構造体130を予備載置面303aで支持する。このように支持することにより、ハニカム構造体の端面外周130aが、予備載置面303aに接触することがなく、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラック等が発生することを回避することができる。
【0051】
次に、ハニカム構造体130を支持した予備載置部材を図3(a)、(b)に示した状態から、図6(a)、(b)に示した状態に移行させる。
即ち、構造体載置面302aより上方に位置した予備載置面303aが、構造体載置面302aと同一平面をなすように、予備載置部材303を昇降機構により下降させる。
ここで、予備載置面303aをハニカム構造体130を支持した状態で上記のように下降させることにより、ハニカム構造体130が載置部材302の構造体載置面302a上に載置されることとなる。
【0052】
この際、予備載置面303aと、構造体載置面302aとは平行な平面であるため、ハニカム構造体は、その端面が構造体載置面302aと平行な状態を維持したままで下降することとなる。そして、予備載置面303aが、構造体載置面302aと同一平面まで下降すると、構造体載置面302aはハニカム構造体130の端面の外周全体と接する形状であるため、ハニカム構造体130の端面外周130aを含む端面全体(予備載置面303aと接触している部分を除く)が構造体載置面302aと同時に接触する。
そのため、ハニカム構造体130が構造体載置面302a上に安定して載置されることとなる(図6(a)、(b)参照)。
従って、ハニカム構造体130の端面外周130aに強い衝撃が加わることがなく、ハニカム構造体は、その端面外周に欠けやクラック等が発生することなく構造体載置面302a上に載置されることとなる。
【0053】
そして、このようにして構造体載置面302a上にハニカム構造体を載置した後、ハニカム構造体の検査等を行う。
その後、ハニカム構造体130をハニカム構造体用載置台301から持ち上げる等して、別の場所に移動させる。
【0054】
そして、ハニカム構造体130を別の場所に移動させた後には、再度、ハニカム構造体130を支持しない状態で、予備載置部材303を昇降機構により上昇させる。これにより、別のハニカム構造体を予備載置面303aで支持することができる状態となる。
【0055】
従って、本発明のハニカム構造体用載置台においては、上記予備載置面が上記構造体載置面より上方に位置する状態で上記ハニカム構造体を支持し、
さらに、上記昇降機構が上記予備載置面を少なくとも上記構造体載置面まで下降させることにより上記ハニカム構造体を上記構造体載置面に載置し、
上記予備載置面が、上記ハニカム構造体を支持しない状態で、上記昇降機構により少なくとも上記構造体載置面より上方に位置する状態まで再び上昇することが望ましい。
【0056】
また、図3〜6に示したハニカム構造体用載置台301では、予備載置部材303が最下点まで下降した際には、予備載置面303aと構造体載置面302aとが同一平面をなすように構成されているが、本発明のハニカム構造体用載置台は、予備載置部材303が最下点まで下降した際に、予備載置面303aが構造体載置面302aより下方にまで下降するように構成されていてもよい。
この場合、ハニカム構造体130を載置部材302に載置した際に、ハニカム構造体130の端面と予備載置面303aとは非接触となるが、ハニカム構造体130の端面は、ハニカム構造体の端面の外周全体と接する構造体載置面302aに接しているため、構造体載置面302a上にハニカム構造体130を安定に載置することができる。
このような構成のハニカム構造体用載置台でも、ハニカム構造体130の端面外周130aに欠けやクラック等を発生させることなく、ハニカム構造体130を載置することができる。
【0057】
これまで、本発明のハニカム構造体用載置台として、予備載置部材を上下動させる昇降機構を備えたハニカム構造体用載置台を例に説明してきたが、本発明のハニカム構造体用載置台は、予備載置部材を上下動させる昇降機構に代えて、載置部材を上下動させる昇降機構を備えていてもよい。
このようなハニカム構造体用載置台について、図7(a)、(b)及び図8(a)、(b)を参照しながら説明する。
【0058】
図7(a)及び図8(a)は、それぞれ本発明のハニカム構造体用載置台の別の一例を模式的に示す斜視図であり、図7(b)は、図7(a)に示したハニカム構造体用載置台のD−D線断面図であり、図8(b)は、図8(a)に示したハニカム構造体用載置台のE−E線断面図である。
なお、図7(a)、(b)には、予備載置面が構造体載置面より上方に位置する状態を示し、図8(a)、(b)には、予備載置面が構造体載置面と同一平面をなす状態を示す。
【0059】
図7(a)、(b)及び図8(a)、(b)に示すように、載置部材332が上下動するハニカム構造体用載置台331は、載置部材332、予備載置部材333、並びに、金属プレート336、シリンダプレート337、ロッド338及びエアシリンダ339からなる昇降機構を備えている。
ここで、載置部材332は、図3(a)、(b)に示したハニカム構造体用載置台301が備える載置部材302と同様の構成を有しており、予備載置部材333は、ハニカム構造体用載置台301が備える予備載置部材303と同様の構成を有している。そのため、ここでは、載置部材332及び予備載置部材333の詳細な説明は省略する。
【0060】
ハニカム構造体用載置台331では、予備載置部材333は上下動せず、載置部材332が上下動するように構成されている。
具体的には、予備載置部材333の下部には角柱形状の脚部334の一端がその上面で固定されており、さらに、脚部334の他端近傍に固定脚335の一端が固定されている。従って、予備載置部材333は、固定脚335及び脚部334により、所定の高さに維持された状態で設置されていることとなる。
【0061】
一方、載置部材332は、その底面に取り付けられた金属プレート336と一体化しており、金属プレート336が上下動すると載置部材332が上下動するように構成されている。
そして、金属プレート336の底面にはシリンダプレート337及びロッド338を通じてエアシリンダ339が取り付けられている。
なお、シリンダプレート337、ロッド338、及び、エアシリンダ339の構成は、図3(a)、(b)に示したハニカム構造体用載置台301と同様である。また、金属プレート336は、ハニカム構造体用載置台301が備える金属プレートとは異なり、その中央部がくり抜かれていないが、固定脚335が貫通するための貫通孔が所定の箇所に形成されている。
従って、ハニカム構造体用載置台331は、載置部材332を上下動させる昇降機構を備えており、金属プレート336、シリンダプレート337、ロッド338及びエアシリンダ339が昇降機構として機能することとなる。
【0062】
次に、図7(a)、(b)及び図8(a)、(b)を参照しながら、ハニカム構造体用載置台331にハニカム構造体を載置する方法について簡単に説明する。
ハニカム構造体用載置台331にハニカム構造体を載置する際には、まず、エアシリンダ339を駆動させて、構造体載置面332aが予備載置面333aより下方に位置した状態(図7(a)、(b)参照)とする。
次に、この状態にある予備載置面333aでハニカム構造体を支持する。このとき、ハニカム構造体の端面の外周より内側に予備載置面333a全体が位置するようにハニカム構造体を支持する。
【0063】
次に、載置部材332を図7(a)、(b)に示した状態から図8(a)、(b)に示した状態に移行させる。
即ち、予備載置面333aより下方に位置した構造体載置面332aが、予備載置面333aと同一平面をなすように、載置部材332を昇降機構により上昇させる。
ここで、予備載置面333aでハニカム構造体を支持しつつ、構造体載置面332aが予備載置面333aと同一平面をなす位置まで、載置部材332を上昇させることにより、ハニカム構造体が構造体載置面332a上に載置されることとなる。
この際、予備載置面333aと構造体載置面332aとは平行な平面であり、かつ、構造体載置面332aがハニカム構造体の端面の外周全体と接する形状であるために、ハニカム構造体は、その端面外周に欠けやクラック等が発生することなく、載置部材332上に安定して載置されることとなる。
【0064】
そして、ハニカム構造体を載置した後は、図3(a)、(b)に示したハニカム構造体用載置台301の場合と同様に、ハニカム構造体の検査等を行い、その後、別の場所に移動させ、さらに、載置部材332を下降させることにより、別のハニカム構造体を予備載置面333aで支持することができる状態とする。
このようなハニカム構造体用載置台331もまた、本発明のハニカム構造体用載置台の一実施形態である。
【0065】
本発明のハニカム構造体用載置台において、上記ハニカム構造体の端面と上記予備載置面の外周形状とは、相似形であることが望ましい。
これらが相似形であると、ハニカム構造体を予備載置面で支持する際に、ハニカム構造体の端面外周が上記予備載置面に接触しない位置で、上記ハニカム構造体を支持することが容易だからである。
また、これらが相似形であると、より安定に予備載置面でハニカム構造体を支持することができるからである。
【0066】
このような予備載置面を有する予備載置部材の形状は、特に限定されるものでないが、ハニカム構造体の端面が円形である場合には、図5に示すようなドーナツ形状のものを好適に用いることができる。
上述したとおり予備載置面の外周形状がハニカム構造体の端面と相似形であることが望ましく、ハニカム構造体を安定に支持することができるからである。
【0067】
また、上記予備載置部材をドーナツ形状とすることで、上記予備載置部材の内側の部分にも構造体載置面が存在しうることとなる。そのため、上記予備載置面が上記構造体載置面と同一平面となるか、上記構造体載置面より低くなった際に、上記ドーナツ形状の内側の部分に存在する構造体載置面にもハニカム構造体の端面が接することとなり、これによりハニカム構造体をより安定に載置することができるからである。
【0068】
また、上記予備載置部材の外周部や内周部には、面取りが施されていても良い。
このような面取りが施されていると、ハニカム構造体の端面と予備載置部材とが接触した際にハニカム構造体や予備載置部材に、破損や変形が発生するおそれがより少なくなるからである。上記面取りとしては、例えば、C面取り、R面取り等が挙げられる。
【0069】
また、本発明のハニカム構造体用載置台では、図5に示したように、上記予備載置部材の下部に、上記予備載置面の重心を中心として放射状方向に、かつ、等間隔で取り付けられた脚部を備え、上記脚部と上記昇降機構とが連動することにより、上記予備載置部材が上下動することが望ましい。
【0070】
このような脚部を備えていると、上記予備載置面でハニカム構造体を支持する際に、ハニカム構造体の重量が各脚部に均等に加わるため、ハニカム構造体を支持した際に特定の脚部に過大な負荷がかかることがなく、脚部の耐久性を向上させることができ、長期間にわたって使用可能なハニカム構造体用載置台とすることができる。
また、このような脚部の構成は、ハニカム構造体を予備載置面で支持する際に、上記予備載置面と上記構造体載置面とが平行な状態を維持するのに最も適した構成である。
【0071】
また、本発明のハニカム構造体用載置台において、上記脚部の本数は特に限定されないが、3本以上であることが望ましい。
また、本発明のハニカム構造体用載置台は、上記脚部を必ずしも備えている必要はなく、例えば、図3(a)、(b)に示した構成のハニカム構造体用載置台では、予備載置部材303が直接シャフト305に固定された構成であってもよいし、例えば、図7(a)、(b)に示した構成のハニカム構造体用載置台では、予備載置部材333が固定脚335に直接固定された構成であってもよい。
【0072】
上記載置部材の構成材料としては、上面を平坦な平面とすることができ、ハニカム構造体を安定的に載置できる強度を有する材料であれば特に限定されず、ステンレス(SUS)、スチール、ニッケル合金等の金属、炭化ケイ素、タングステンカーバイド等のセラミック等が挙げられる。
また、このような材料で構成された載置部材の上面には樹脂、セラミック、金属等からなる被覆層が形成されていてもよい。上記被覆層の形成は、例えば、塗布及び硬化、メッキ、溶射等により行なうことができる。
また、上記載置部材の上面には研磨処理等の平坦化処理が施されていてもよい。
【0073】
また、上記載置部材の上面は、ハニカム構造体の端面に接触する部分であるため、平滑な平面であることが望ましい。上記上面に突起等があるとハニカム構造体と構造体載置面が接触した際にハニカム構造体の端面に欠けやクラック等が発生するおそれがあるからである。
【0074】
上記固定部の形状は、上記載置部材を所定の高さに維持した状態でその設置場所に設置できる形状を備えていれば特に限定されるものではない。
【0075】
上記予備載置部材の構成材料としては、平坦な平面とすることができ、ハニカム構造体を安定的に支持できる強度を有する材料であれば特に限定されず、例えば、樹脂、金属、セラミック等が挙げられる。これらのなかでは樹脂が望ましい。
樹脂はその硬度が金属等に比べ低いため、ハニカム構造体の端面に欠けやクラック等が発生するおそれがより小さくなるからである。
また、上記樹脂としては、フッ素樹脂が望ましい。フッ素樹脂は他の樹脂に比べて離形性が高く、取り扱いが容易であるためである。
また、上記予備載置部材では、金属やセラミックからなる基材の表面に樹脂等からなる被覆層が形成されていても良い。
【0076】
上記脚部の構成材料としては、ハニカム構造体を安定的に支持できる強度を有する材料であれば特に限定されず、例えば、金属、セラミック、樹脂等が挙げられる。
また、その形状も特に限定されるものではなく、例えば、角柱形状、円柱形状、矩形板形状等のものを用いることができる。
【0077】
上記シャフトや上記固定脚の構成材料としては、ハニカム構造体を安定的に支持できる強度を有する材料であれば特に限定されず、例えば、金属、セラミック、樹脂等が挙げられる。
また、その形状も特に限定されるものではなく、角柱形状、円柱形状等のものを用いることができる。
【0078】
また、上記金属プレートの底面に固定される上記シリンダプレート、及び、上記シリンダプレートに上記ロッドを介して取り付けられる上記シリンダの取り付け位置は特に限定されないが、上記金属プレートの中心に対して点対称となる位置であることが望ましい。金属プレートを滑らかに上下動させることができるからである。
また、上記シリンダプレートや、上記シリンダの取り付け個数は特に限定されないが、金属プレートを滑らかに上下動させることができる点から、3個以上であることが望ましい。
【0079】
また、図3〜8で示したハニカム構造体用載置台の例では、上記昇降機構の構成部材としてエアシリンダを備えた例を示しているが、上記昇降機構の構成部材として用いられるシリンダはエアシリンダに限定されるものではなく、例えば、オイルシリンダ、電動シリンダ等を用いることもできる。
【0080】
また、本発明のハニカム構造体用載置台は、その最下部に回転テーブルを備えていてもよい。即ち、図3〜6に示したハニカム構造体用載置台301全体や、図7(a)、(b)及び図8(a)、(b)に示したハニカム構造体用載置台331全体が回転テーブル上に載置され、上記構造体載置面がハニカム構造体を載置した状態で回転可能に構成されていてもよい。
後述するハニカム構造体の検査装置等においては、ハニカム構造体を載置した状態で、ハニカム構造体を回転させるハニカム構造体用載置台が求められることがあるからである。
【0081】
次に、本発明のハニカム構造体の検査装置について説明する。
本発明のハニカム構造体の検査装置は、ハニカム構造体の外周を含む端面全体と接する構造体載置面を有する載置部材と、
上記ハニカム構造体が上記載置部材に先がけて載置される予備載置面を有する予備載置部材と、
上記予備載置部材を上記載置部材に対して相対的に上下動させる昇降機構と、
上記載置部材に載置された上記ハニカム構造体の外部形状及び内部形状のうち、少なくとも一方を検査する検査手段とを備え、
上記予備載置面は、上記構造体載置面と平行であり、
上記ハニカム構造体の端面と重ね合わせた場合、上記予備載置面の形状は、外周全体が上記ハニカム構造体の端面の外周より内側に存在しうるような形状であることを特徴とする。
【0082】
本発明のハニカム構造体の検査装置は、検査対象のハニカム構造体を載置するためのハニカム構造体用載置台と、上記ハニカム構造体の外部形状や内部形状を検査する検査手段とを備えている。
このうち、上記ハニカム構造体用載置台としては、既に説明した本発明のハニカム構造体用載置台を好適に用いることができるので、その詳細な説明は省略し、ここでは、ハニカム構造体の外部形状や内部形状を検査する検査手段を中心に本発明のハニカム構造体の検査装置について説明する。
なお、本明細書において、ハニカム構造体の検査とは、その外部形状や内部形状の検査を行うことをいい、ハニカム構造体の検査装置とはハニカム構造体の外部形状や内部形状の検査を行うための装置をいうこととする。
【0083】
上記検査手段としては、例えば、レーザ光や接触式測定子を用いた形状検査装置、熱画像法や浸透探傷検査を用いた欠陥検査装置等を用いることができ、これらを用いることにより、ハニカム構造体の外部形状を検査することができる。
なお、本発明のハニカム構造体の検査装置で検査する上記ハニカム構造体の形状は、外部形状であることが望ましく、上記外部形状は、特に限定されるものでないが、ハニカム構造体の長手方向の長さ、最大径、真円度、直角度、平行度及び位置度のうちの少なくとも1つであることが望ましい。ハニカム構造体は、通常、ケーシング内に収納されて使用されるが、このとき外部形状が所定の形状を有しているか否かが重要であり、また、上記外部形状は、ハニカム構造体を製造する際にバラツキが生じやすい特性だからである。
【0084】
以下、上記検査手段を備えたハニカム構造体の検査装置について、もう少し詳しく説明する。
まず、上記レーザ光を用いた形状検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置について説明する。
図9(a)は、レーザ光を用いた形状検査装置を備えた本発明のハニカム構造体の検査装置の一例を模式的に示す正面図であり、図9(b)は、(a)に示したハニカム構造体の検査装置の上面図である。なお、図9(a)、(b)では、検査対象を円柱形状のハニカム構造体としている。
また、図9(c)は、(b)と同様、(a)に示したハニカム構造体の検査装置の上面図である。ただし、図9(c)では、楕円柱形状のハニカム構造体を検査対象としている。
【0085】
図9(a)、(b)に示すように、ハニカム構造体の検査装置400は、本発明のハニカム構造体用載置台301と、光源を備えた2台のレーザ光照射装置411a、411b及び受光部を備えた2台のレーザ光受光装置412a、412bとこれらを取り付ける支持部材415とからなる形状検査装置410とを備えている。
ハニカム構造体の検査装置400では、ハニカム構造体用載置台301の上面に対して、4本の支持部材415が垂直に立設され、各支持部材415にレーザ光照射装置411a、411b及びレーザ光受光装置412a、412bのいずれかが配設されている。ここで、レーザ光照射装置及びレーザ光受光装置は、1台のレーザ光照射装置411aと1台のレーザ光受光装置412a、及び、1台のレーザ光照射装置411bと1台のレーザ光受光装置412bが、互いに対向するように配置され、かつ、それら2組が並ぶように配設されている。
そして、ハニカム構造体用載置台301は、検査対象物であるハニカム構造体130をハニカム構造体用載置台301に載置した際に、レーザ光照射装置411a、411bとレーザ光受光装置412a、412bとの間に配置されるように構成されている。
【0086】
ハニカム構造体の検査装置400では、レーザ光413は、レーザ光照射装置411a、412aの前面に対して、一定の角度(例えば、90°)で照射されるとともに、一定の範囲内で光源を平行移動させながら同じ角度で照射される。従って、レーザ光照射装置411a、412aから照射したレーザ光は、障害物がなければ、レーザ光受光装置412a、412bの受光素子に届き、受光素子はレーザ光を検知する。一方、レーザ光413を照射した際、前方にハニカム構造体130が存在する場所では、レーザ光413が遮られるため、受光素子は、レーザ光を検知しない。
そして、レーザ光受光装置412a、412bの間隔は、一定(bmm)に設定されている。
【0087】
ここで、円柱形状のハニカム構造体を検査対象とする場合には、まず、ハニカム構造体用載置台301にハニカム構造体130を載置し、続いて、図9(b)に示すように、レーザ光照射装置411aよりレーザ光源を平行移動させながらレーザ光413を照射した際に、受光素子に光が届かなかった幅をamm、レーザ光照射装置411bよりレーザ光源を平行移動させながら照射した際に、受光素子に光が届かなかった幅をcmmとして検出する。そうすると、円柱形状のハニカム構造体130の直径Dは、a+b+c(mm)となる。
そして、円柱形状のハニカム構造体130を断続的に回転させながら、上記測定を1回転(360°回転)するまで複数回行い、さらに、測定する部分の高さを変更して上記測定を行う。その後、得られた各測定点での直径の平均値を算出することにより、ハニカム構造体の直径とする。
このように、ハニカム構造体の検査装置400を用いることにより、ハニカム構造体の外部形状の一つである直径を測定することができる。
なお、ハニカム構造体用載置台301は、図示していないが、載置部材及び予備載置部材を回転させる回転テーブルを最下部に備えている。
【0088】
一方、図9(c)に示すように、長径と短径とが存在する楕円柱形状のハニカム構造体130′を検査対象とする場合には、上記原理により、レーザ光413が遮られる部分の幅に基づいて、その幅を測定し、最も長い値を長径とし、最も短い値を短径とする。ハニカム構造体130′は、360°回転するので、同じ幅(長径と短径と)の部分を2度測定することとなる。そして、この測定を、照射するレーザ光413の高さを変えながら行い、得られた各測定点での長径、短径の値の平均値の算出値を算出することにより、ハニカム構造体の長径、短径を測定することができる。
【0089】
さらに、以上のようにして測定した直径、又は、長径及び短径の測定結果より、ハニカム構造体の最大経や真円度を算出することができる。
また、照射するレーザ光413の高さを変えて測定して得られた直径、又は、長径及び短径の測定結果より、ハニカム構造体の直角度を算出することができる。
【0090】
上記形状検査装置400において、上記レーザ光としては特に限定されず、例えば、CO2レーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等が挙げられる。
レーザ光受光装置412a、412bに設けられる受光素子としては特に限定されず、既知の受光素子を使用することができる。
【0091】
また、図9(a)、(b)、(c)に示したハニカム構造体の検査装置400は、ハニカム構造体を検査する際に、ハニカム構造体を回転させるように構成されているものであるが、2組のレーザ光照射装置とレーザ光受光装置を備えた本発明のハニカム構造体の検査装置は、上記レーザ光照射装置と上記レーザ光受光装置とがハニカム構造体を挟んで対向配置した状態で上記ハニカム構造体の周囲を回転して、上記受光装置がレーザ光を受光した領域を計測することによりハニカム構造体の直径等を測定することができるように、構成されていてもよい。
【0092】
次に、接触式測定子を用いた形状検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置について説明する。
図10(a)、(b)は、接触式測定子を用いた形状検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置の一例を模式的に示す概念図でなる。なお、図10(a)及び図10(b)は、同一の検査装置を示すが、検査対象が異なっている。
また、図10(c)は、図10(b)に示したハニカム構造体の検査装置の部分拡大断面図である。
【0093】
図10(a)、(b)に示すように、ハニカム構造体の検査装置401は、本発明のハニカム構造体用載置台301と、円盤421の下面に多数の略棒形状の接触式測定子422が設けられるとともに、これらの接触式測定子422からのデータを送信するため、及び、円盤421等を支持するために、円盤421の中央に、円柱形状の接続部423が接続された形状検査装置420とを備えている。
また、接触式測定子422は、図10(c)に示すように、可変部422aと先端部422bとからなり、先端部422bが検査対象物と接触した後に押されて可変部422aが縮んだ長さを検出できるように構成されている。
【0094】
図示はしないが、接続部423の他端は、昇降が可能なステッピングモータとボールネジとを含む昇降部材に結合しており、このステッピングモータの回転により形状検査装置420が昇降するように構成されている。
そして、このステッピングモータの回転位置を検出することで、円盤421を含む形状検査装置420全体が移動した距離を算出することができる。
【0095】
従って、全ての接触式測定子422が接触を検出した際のステッピングモータの回転位置を検出し、さらに、接触式測定子422が検査対象物に接触して可変部422aが縮んだ長さを検出することによって、各接触式測定子がそれぞれ接触した部位の位置を算出することができる。
【0096】
以下、ハニカム構造体の検査装置401を用いて、ハニカム構造体の形状を検査する方法について説明する。
ハニカム構造体の検査装置401を用いて、ハニカム構造体の形状検査を行う際には、まず、ハニカム構造体の検査に先立ち、図10(a)に示すように、標準サンプルSを用いて0点を補正する。
ここで、0点補正とは、基準面と接触式測定子422とを含む測定系において、基準面に対する接触式測定子の原点位置を決定する操作である。
なお、基準面とはハニカム構造体を載置する面、即ち、構造体載置面である。
【0097】
標準サンプルSとしては、その端面同士が平行であり、端面間の長さ(高さ)がL0であるように校正されている柱形状のサンプルを用いる。
0点補正の手順としては、まず、図10(a)に示すように、標準サンプルSの一方の端面をハニカム構造体用載置台301に載置する。
次いで、標準サンプルSの他方の端面に全ての接触式測定子422を接触させて、各接触式測定子が接触した部位の位置を算出する。
この際、基準面と各接触式測定子422との間隔は全てL0となるので、この位置を各接触式測定子422の原点位置として記録する。
以上の手順によって、形状検査装置420の0点補正を行う。
【0098】
続いて、検査対象物であるハニカム構造体について形状検査を行う。
まず、標準サンプルSに代えて、図10(b)に示すように、検査対象物であるハニカム構造体130の一方の端面をハニカム構造体用載置台301に載置する。
次いで、形状検査装置420を下降させて接触式測定子422をハニカム構造体130の他方の端面(ハニカム構造体用載置台に接した側と反対側の端面)に接触させる。この際、上記端面よりも高い位置から形状検査装置420を徐々に下降させて、全ての接触式測定子422を上記端面に接触させる。
そして、全ての接触式測定子422が上記端面と接触した際の各接触式測定子422の基準面からの距離Lは、原点位置から形状検査装置420が移動した距離をX、接触式測定子が縮んだ長さをYとすると、L=(L0−X+Y)となる。
このLを各接触式測定子422それぞれについて算出し、記録する。
このようにして算出したLを、各接触式測定子が接触した位置におけるハニカム構造体の長手方向の長さということとする。
【0099】
さらに、上記手順で算出した各接触式測定子が接触した位置におけるハニカム構造体の長手方向の長さLから、端面の平行度及び位置度を測定することができる。
なお、上記平行度とは、測定子が接触する側の各ハニカム構造体の端面の全てが、ある平面に平行な二平面の間に存在するように挟んだときの上記二平面の間隔であり、また、上記位置度とは、ある平面と平行な基準平面であって、ある平面から所定値(例えば、長手方向の長さを複数計測したときのそれらの平均値等)の分だけ離れた位置にある基準平面を設定したとき、この基準平面に対して対称な平行二平面の間に、測定子が接触する側の各ハニカム構造体の端面の全てが存在するように挟んだときの、平行二平面の間隔である(JIS B 0621参照)。
【0100】
本発明のハニカム構造体の検査装置は、上記レーザ光を用いた形状検査装置及び上記接触式測定子を用いた形状検査装置の両者を備えており、レーザ光を用いてハニカム構造体の最大径等を測定すると同時に、接触式測定子を用いてハニカム構造体の長手方向の長さ等を測定することができるように構成されていてもよい。
【0101】
次に、上記熱画像法を用いた欠陥検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置について説明する。
上記熱画像法は、ハニカム構造体に適当な方法で温度場を与えながら、サーモグラフィによってハニカム構造体表面の温度分布を測定し、その温度分布を表示する画像から欠陥の有無を判定する方法であり、この方法では、ハニカム構造体の表面欠陥を検出することができる。
【0102】
上記熱画像法を用いた欠陥検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置は、本発明のハニカム構造体用載置台と、温度場を与えるための機構及び温度分布を測定及び表示するためのサーモグラフィからなる欠陥検査装置とを備えている。
上記温度場を与えるための機構は特に限定されるものではなく、例えば、ヒーターや冷却管、熱風吹き付け装置や、冷風吹き付け装置等が挙げられる。
これらの温度場を与えるための機構は、本発明のハニカム構造体用載置台に配設されていてもよいし、別途配設されていてもよい。
【0103】
そして、このような本発明のハニカム構造体の検査装置において、熱画像法によりハニカム構造体の欠陥を検査する場合には、ハニカム構造体用載置台にハニカム構造体を載置した後、上記ハニカム構造体に温度場を与えながら、サーモグラフィによってその表面の温度分布を測定すればよい。これにより、ハニカム構造体の表面欠陥の有無を検査することができる。
【0104】
次に、上記浸透探傷検査を用いた欠陥検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置について説明する。
上記浸透探傷検査は、ハニカム構造体の表面(主に側面)に浸透液を塗布、噴霧等することにより、その表面欠陥中に浸透液を浸透させ、ハニカム構造体の表面に付着した余計な浸透液を洗浄、除去した後に、現像剤を適用し、可視的に明瞭に強調された欠陥による浸透指示模様から表面欠陥の有無を判定する検査であり(JIS Z 2343−1〜JIS Z 2343−4参照)、この検査では、ハニカム構造体の表面欠陥を検出することができる。
【0105】
上記浸透探傷検査としては、染色浸透探傷検査や蛍光浸透探傷検査を用いることができ、上記染色浸透探傷検査では、ハニカム構造体の表面に欠陥が存在すると、現像剤を適用した際に、ハニカム構造体の表面に存在する欠陥の部位に着色模様が形成されることとなり、その模様からハニカム構造体の表面欠陥の有無を検査することができる。また、上記蛍光浸透探傷検査では、ハニカム構造体の表面に欠陥が存在すると、ハニカム構造体の表面に紫外線等の励起光を照射した際に、欠陥が存在する部位に蛍光模様が発現することとなり、その模様からハニカム構造体の表面欠陥の有無を検査することができる。なお、蛍光浸透探傷検査では、場合によっては現像処理を省略してもよい。
【0106】
なお、ハニカム構造体は、主に多孔質セラミックからなるものであるため、このハニカム構造体の検査装置で検査対象となるハニカム構造体は、その側面に緻密なコート層が形成されているハニカム構造体であり、欠陥の有無を検査する対象部位は、上記コート層の表面となる。
【0107】
上記浸透探傷検査を用いた欠陥検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置は、本発明のハニカム構造体用載置台とともに、浸透液供給機構、浸透液除去機構及び現像液供給機構を有する浸透探傷検査装置を備えている。
また、浸透探傷検査として、蛍光浸透探傷検査を行う場合には、浸透探傷検査装置は、さらにブラックライト等の励起光光源を備えている。
【0108】
そして、このような本発明のハニカム構造体の検査方法において、上記染色浸透探傷検査によりハニカム構造体の欠陥を検査する場合には、ハニカム構造体用載置台にハニカム構造体を載置した後、まず、ハニカム構造体の側面に浸透液の噴霧等を行い、続いて、余分な浸透液(ハニカム構造体の表面欠陥に浸透しなかった浸透液)を除去し、さらに、現像剤により現像処理を行い、最後に目視観察等によりハニカム構造体の側面の模様を観察することによりハニカム構造体の表面欠陥の有無を検査することができる。
また、上記蛍光浸透探傷検査を行う場合には、余分な浸透液の除去までを上記染色浸透探傷検査と同様の方法で行い、必要に応じて、上記現像処理を行なった後、さらに、紫外線等の励起光をハニカム構造体の側面に照射することにより、ハニカム構造体の表面に蛍光模様を発現させ、それを目視等により観察する。
これにより、ハニカム構造体の表面欠陥の有無を検査することができる。
【0109】
また、本発明のハニカム構造体の検査装置は、検査手段として拡大顕微鏡等を備えたものであってもよい。本発明のハニカム構造体の検査装置がハニカム構造体用載置台とともに拡大顕微鏡等を備えていると、上記拡大顕微鏡等を用いた目視検査により、ハニカム構造体の外部形状を検査することができる。
【0110】
また、本発明のハニカム構造体の検査装置は、検査手段としてハニカム構造体の端面全体又は所定の一部のセルに光を照射するための光源と受光部を備えたものであってもよい。このようなハニカム構造体の検査装置を用いると、セルの目封じされていない側の端部からセル内に光を入射して、セルの目封じされた側の端部(以下、封止部ともいう)から外部に漏れる光を受光部で検出することにより、ハニカム構造体の外部形状である封止部の形状を検査することができる。
【0111】
また、本発明のハニカム構造体の検査装置は、検査手段としてハニカム構造体の内部形状を検査するための装置を備えていてもよい。
内部形状を検査するための手段としては、例えば、音響信号法を用いた欠陥検査装置等を用いることができる。これを用いた場合には、ハニカム構造体の内部形状を検査することができる。
【0112】
上記音響信号法を用いた欠陥検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置について説明する。
上記音響信号法は、ハニカム構造体に入射され、ハニカム構造体を伝播した音響信号の情報に基づいてハニカム構造体の内部欠陥を検査する方法であり、この方法では、ハニカム構造体の欠陥部分を音響信号が伝播した場合、欠陥部分を伝播した音響信号は、欠陥のない部分を伝播した音響信号に対し変質したものとなるため、欠陥の有無の情報を有する音響信号を情報処理装置によって処理することで、ハニカム構造体の欠陥を検出することができる。
【0113】
上記音響信号法を用いた欠陥検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置は、本発明のハニカム構造体用載置台と、音響信号をハニカム構造体に入射する発信側探触子と、ハニカム構造体を伝播した音響信号を受信する受信側探触子と、上記受信側探触子で受信した音響信号情報処理に基づいて欠陥の有無を判別する情報処理装置とからなる欠陥検査装置とを備えている。
【0114】
そして、このような本発明のハニカム構造体の検査装置において、音響信号法によりハニカム構造体の欠陥を検査する場合には、ハニカム構造体用載置台にハニカム構造体を載置した後、上記発信側探触子から受信側探触子に音響信号を発信し、上記受信側探触子で受信した音響信号の情報を上記情報処理装置で処理することにより、ハニカム構造体の内部欠陥の有無を判別する。これにより、ハニカム構造体の内部欠陥の有無を検査することができる。
【0115】
本発明のハニカム構造体の検査装置は、以上説明したように、レーザ光や接触式測定子を用いた形状検査装置、熱画像法や浸透探傷検査を用いた欠陥検査装置等の上記ハニカム構造体の外部形状を検査する検査手段や、音響信号法を用いた欠陥検査装置等の上記ハニカム構造体の内部形状を検査する検査手段を備えたものであるが、本発明のハニカム構造体の検査装置では、これらの検査手段を1つのみ備えていてもよく、2つ以上備えていてもよい。
また、本発明のハニカム構造体の検査装置は、ハニカム構造体の内部形状及び外部形状のうちのいずれか一方を検査するものであってもよいし、両方を検査するものであってもよい。
【0116】
また、本発明のハニカム構造体の検査装置は、これまで説明したようなハニカム構造体の外部形状や内部形状を検査する検査装置として用いることができるほか、製造工程途中のハニカム構造体の外部形状及び内部形状の少なくとも一方を検査する検査装置、又は、触媒を付与する前又は付与した後のハニカム構造体の機能を評価する評価装置としても用いることができる。
【0117】
製造工程途中のハニカム構造体の形状を検査するための検査装置の一例としては、上述したような封止部の形状を検査するための検査装置等を挙げることができ、また、ハニカム構造体の機能を評価する評価装置の一例としては、ハニカム構造体のセルにガスを流通させて、上記セルへの入口側と出口側における上記ガスの圧力を測定して、その差圧(圧力損失)を算出することにより排ガス浄化フィルタとしての機能を備えているかを確認することのできる評価装置等を挙げることができる。
【0118】
また、本発明のハニカム構造体の検査装置は、本発明のハニカム構造体用載置台を備えており、既に説明したように、上記ハニカム構造体用載置台は、上記予備載置面が上記構造体載置面より上方に位置する状態で、上記ハニカム構造体を支持し、
さらに、上記昇降機構が上記予備載置面を少なくとも上記構造体載置面まで下降させることにより上記ハニカム構造体を上記構造体載置面に載置し、
上記昇降機構が上記ハニカム構造体を支持しない状態の予備載置面を、少なくとも上記構造体載置面より上方に位置する状態まで再び上昇させることが望ましい。
また、上記ハニカム構造体の検査装置において、上記ハニカム構造体の端面と上記予備載置面の外周形状とは、相似形であることが望ましい。
また、本発明のハニカム構造体の検査装置においては、上記予備載置面がドーナツ形状であり、
上記予備載置面の中央部にも上記構造体載置面が配置されることが望ましい。
また、上記ハニカム構造体の検査装置は、上記予備載置部材の下部に、上記予備載置面の重心を中心として放射状方向、かつ、等間隔に取り付けられた脚部を備え、
上記脚部と上記昇降機構とが連動することにより、上記予備載置部材が上下動することが望ましい。
【0119】
このように、本発明のハニカム構造体の検査装置は、本発明のハニカム構造体用載置台を備えているため、上記ハニカム構造体の検査装置にハニカム構造体を載置する際には、ハニカム構造体の端面外周に強い衝撃を加えることなくハニカム構造体の端面外周を構造体載置面に接触させてハニカム構造体を構造体載置面上に載置することができる。
従って、本発明のハニカム構造体の検査装置によると、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラック等を発生させることなく、ハニカム構造体の形状検査を行うことができる。
【0120】
次に、本発明のハニカム構造体用載置台に載置するハニカム構造体について説明する。
上記ハニカム構造体は、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体を焼成したハニカム焼成体からなるものであればよく、その具体例としては、例えば、既に図11、12(a)、(b)に示したハニカム構造体130等が挙げられる。
【0121】
図11は、このようなハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図であり、図12(a)は、上記ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、図12(b)は、そのA−A線断面図である。
【0122】
ハニカム構造体130では、図12に示すようなハニカム焼成体140がシール材層(接着剤層)131を介して複数個結束されてセラミックブロック133を構成し、さらに、このセラミックブロック133の外周にシール材層(コート層)132が形成されている。
また、ハニカム焼成体140は、図12に示すように、長手方向(図12(a)中、矢印aの方向)に多数のセル141が並設され、セル141同士を隔てるセル壁143がフィルタとして機能するようになっている。
【0123】
即ち、ハニカム焼成体140に形成されたセル141は、図12(b)に示すように、排ガスの入口側又は出口側の端部のいずれかが封止材層142により目封じされる。一のセル141に流入した排ガスは、必ずセル141を隔てるセル壁143を通過した後、他のセル141から流出するようになっており、排ガスがこのセル壁143を通過する際、パティキュレートがセル壁143部分で捕捉され、排ガスが浄化される。
【0124】
また、上記ハニカム構造体は、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム成形体を焼成し、得られたハニカム焼成体がシール材層(接着剤層)を介して複数個結束されたハニカム構造体(図11、12(a)、(b)参照)に限定されず、例えば、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体を焼成して得られる一のハニカム焼結体からなる柱状のハニカム構造体であってもよい。
なお、本明細書において、前者のハニカム焼成体がシール材層(接着剤層)を介して複数個結束されたハニカム構造体を集合型ハニカム構造体、後者の一のハニカム焼結体からなる柱状のハニカム構造体を一体型ハニカム構造体という。
【0125】
また、上記ハニカム構造体の形状は、図11に示したハニカム構造体130のような円柱形状に限定されず、任意の形状の底面を有する柱形状であればよい。その具体的な形状は、円柱形状以外に、例えば、三角柱形状、四角柱形状、六角柱形状の多角柱形状、楕円柱形状、長円柱形状等が挙げられる。
また、上記ハニカム構造体のセルの形状は、ハニカム構造体130のように、必ずしも一様である必要はなく、端部の形状や大きさが異なる2種類以上のセルを備えていてもよい。
【0126】
また、上記ハニカム構造体は、ハニカム構造体130のように、必ずしもセルのいずれか一方の端部が封止されていなくてもよい。即ち、セルの両端部がともに外部に開放されていてもよい。
なお、セルのいずれか一方の端部が封止されたハニカム構造体は、ハニカムフィルタとして好適に使用することができ、セルの両端部が開放されたハニカム構造体は、触媒担体として好適に使用することができる。
【0127】
また、上記ハニカム構造体の構成材料の主成分としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等が挙げられる。
これらのなかでは、非酸化物セラミックが好ましく、炭化ケイ素が特に好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導率等に優れるからである。なお、上述したセラミックに金属ケイ素を配合したケイ素含有セラミック、ケイ素やケイ酸塩化合物で結合されたセラミック等のセラミック原料も構成材料として挙げられ、これらのなかでは、炭化ケイ素に金属ケイ素が配合されたもの(ケイ素含有炭化ケイ素)が望ましい。
特に、上記集合型ハニカム構造体の構成材料の主成分としては、上記炭化ケイ素や上記ケイ素含有炭化ケイ素が望ましく、上記一体型ハニカム構造体の構成材料の主成分としては、コージェライトやチタン酸アルミニウムが望ましい。
【0128】
次に、上記ハニカム構造体の製造方法について工程順に説明する。
ここでは、構成材料の主成分が炭化ケイ素のハニカム構造体を製造する場合を例に説明する。なお、最初に集合型ハニカム構造体の製造方法について説明する。
まず、平均粒子径の異なる炭化ケイ素粉末等の無機粉末と有機バインダとを乾式混合して混合粉末を調製するとともに、液状の可塑剤と潤滑剤と水とを混合して混合液体を調製し、続いて、上記混合粉末と上記混合液体とを湿式混合機を用いて混合することにより、成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
【0129】
上記炭化ケイ素粉末の粒径は特に限定されないが、後の焼成工程で収縮の少ないものが好ましく、例えば、0.3〜50μmの平均粒径を有する粉末100重量部と0.1〜1.0μmの平均粒径を有する粉末5〜65重量部とを組み合わせたものが好ましい。
ハニカム焼成体の気孔径等を調節するためには、焼成温度を調節する必要があるが、炭化ケイ素粉末の粒径を調節することにより、気孔径を調節することができる。
【0130】
上記有機バインダとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらのなかでは、メチルセルロースが望ましい。
上記バインダの配合量は、無機粉末100重量部に対して、1〜10重量部が望ましい。
【0131】
上記可塑剤としては特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。
また、上記潤滑剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。
潤滑剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
なお、可塑剤、潤滑剤は、場合によっては、混合原料粉末に含まれていなくてもよい。
【0132】
また、上記湿潤混合物を調製する際には、分散媒液を使用してもよく、上記分散媒液としては、例えば、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられる。
さらに、上記湿潤混合物中には、成形助剤が添加されていてもよい。
上記成形助剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられる。
【0133】
さらに、上記湿潤混合物には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
上記バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等を挙げることができる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
【0134】
また、ここで調製した、炭化ケイ素粉末を用いた湿潤混合物は、その温度が28℃以下であることが望ましい。温度が高すぎると、有機バインダがゲル化してしまうことがあるからである。
また、上記湿潤混合物中の有機分の割合は10重量%以下であることが望ましく、水分の含有量は8.0〜20.0重量%であることが望ましい。
【0135】
上記湿潤混合物は、調製後搬送され、成形機に投入されることとなる。
上記搬送装置で搬送された湿潤混合物を押出成形機に投入した後は、押出成形により所定の形状のハニカム成形体とする。
次に、上記ハニカム成形体を、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させ、乾燥させたハニカム成形体とする。
【0136】
次いで、必要に応じて、入口側セル群の出口側の端部、及び、出口側セル群の入口側の端部に、封止材となる封止材ペーストを所定量充填し、セルを目封じする。このセルの目封じの際には、ハニカム成形体の端面(即ち、切断工程後の切断面)に目封じ用のマスクを当てて、目封じの必要なセルにのみ封止材ペーストを充填する。
【0137】
上記封止材ペーストとしては特に限定されないが、後工程を経て製造される封止材の気孔率が30〜75%となるものが望ましく、例えば、上記湿潤混合物と同様のものを用いることができる。
【0138】
上記封止材ペーストの充填は、必要に応じて行なえばよく、上記封止材ペーストを充填した場合には、例えば、後工程を経て得られたハニカム構造体をセラミックフィルタとして好適に使用することができ、上記封止材ペーストを充填しなかった場合には、例えば、後工程を経て得られたハニカム構造体を触媒担持体として好適に使用することができる。
【0139】
次に、上記封止材ペーストが充填されたハニカム成形体を、所定の条件で脱脂(例えば、200〜500℃)に次いで、焼成(例えば、1400〜2300℃)することにより、全体が一の焼成体から構成され、複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、かつ、上記セルのいずれか一方の端部が封止されたハニカム焼成体(図12(b)参照)を製造することができる。
なお、上記ハニカム成形体の脱脂及び焼成の条件は、従来から多孔質セラミックからなるフィルタを製造する際に用いられている条件を適用することができる。
【0140】
次に、ハニカム焼成体の側面に、シール材層(接着剤層)となるシール材ペーストを均一な厚さで塗布してシール材ペースト層を形成し、このシール材ペースト層の上に、順次他のハニカム焼成体を積層する工程を繰り返し、所定の大きさのハニカム焼成体の集合体を作製する。
【0141】
上記シール材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機繊維及び/又は無機粒子とからなるもの等が挙げられる。
上記無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機バインダのなかでは、シリカゾルが望ましい。
【0142】
上記有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記有機バインダのなかでは、カルボキシメチルセルロースが望ましい。
【0143】
上記無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等のセラミックファイバー等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機繊維のなかでは、アルミナファイバが望ましい。
【0144】
上記無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等を挙げることができ、具体的には、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素からなる無機粉末等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れる炭化ケイ素が望ましい。
【0145】
さらに、上記シール材ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
上記バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等を挙げることができる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
【0146】
次に、このハニカム焼成体の集合体を加熱してシール材ペースト層を乾燥、固化させてシール材層(接着剤層)とする。
次に、ダイヤモンドカッター等を用い、ハニカム焼成体がシール材層(接着剤層)を介して複数個接着されたハニカム焼成体の集合体に切削加工を施し、円柱形状のセラミックブロックを作製する。
【0147】
そして、セラミックブロックの外周に上記シール材ペーストを用いてシール材層(コート材層)を形成することで、ハニカム焼成体がシール材層(接着剤層)を介して複数個接着された円柱形状のセラミックブロックの外周部にシール材層(コート材層)が設けられたハニカム構造体とすることができる。
【0148】
また、上記ハニカム構造体の製造方法では、この後、必要に応じて、ハニカム構造体に触媒を担持させてもよい。また、上記触媒の担持は、集合体を作製する前のハニカム焼成体に行ってもよい。
触媒を担持させる場合には、ハニカム構造体の表面に高い比表面積のアルミナ膜を形成し、このアルミナ膜の表面に助触媒、及び、白金等の触媒を付与することが望ましい。
【0149】
上記ハニカム構造体の表面にアルミナ膜を形成する方法としては、例えば、Al(NO3)3等のアルミニウムを含有する金属化合物の溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法、アルミナ粉末を含有する溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
上記アルミナ膜に助触媒を付与する方法としては、例えば、Ce(NO3)3等の希土類元素等を含有する金属化合物の溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
上記アルミナ膜に触媒を付与する方法としては、例えば、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液([Pt(NH3)2(NO2)2]HNO3、白金濃度4.53重量%)等をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
また、予め、アルミナ粒子に触媒を付与して、触媒が付与されたアルミナ粉末を含有する溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法で触媒を付与してもよい。
【0150】
ここまで説明したハニカム構造体の製造方法は、集合型ハニカム構造体の製造方法である。
以下、一体型ハニカム構造体の製造方法について説明する。
【0151】
このような一体型ハニカム構造体を製造する場合は、まず、押出成形により成形するハニカム成形体の大きさが、集合型ハニカム構造体を製造する場合に比べて大きい以外は、集合型ハニカム構造体を製造する場合と同様の方法を用いて、ハニカム成形体を作製する。
【0152】
次に、集合型ハニカム構造体の製造と同様に、上記ハニカム成形体を、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させる。
次いで、乾燥させたハニカム成形体の両端部を切断する切断工程を行なう。
【0153】
次に、入口側セル群の出口側の端部、及び、出口側セル群の入口側の端部に、封止材となる封止材ペーストを所定量充填し、セルを目封じする。
その後、集合型ハニカム構造体の製造と同様に、脱脂、焼成を行なうことによりセラミックブロックを製造し、必要に応じて、シール材層(コート材層)の形成を行なうことにより、一体型ハニカム構造体を製造することができる。また、上記一体型ハニカム構造体にも、上述した方法で触媒を担持させてもよい。
【0154】
このようにして製造したハニカム構造体は、本発明のハニカム構造体用載置台に載置するハニカム構造体となり、また、本発明のハニカム構造体の検査装置における検査対象となる。
【実施例】
【0155】
以下に実施例を掲げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
本実施例では、まず、下記の方法によりハニカム構造体を作製し、そのハニカム構造体を実施例1〜6及び比較例1〜3の手法により検査した。
【0156】
(ハニカム構造体の製造)
平均粒径10μmのα型炭化ケイ素粉末250kgと、平均粒径0.5μmのα型炭化ケイ素粉末100kgと、有機バインダ(メチルセルロース)20kgとを混合し、混合粉末を調製した。
次に、別途、潤滑剤(日本油脂社製 ユニルーブ)12kgと、可塑剤(グリセリン)5kgと、水65kgとを混合して液体混合物を調製し、この液体混合物と混合粉末とを湿式混合機を用いて混合し、湿潤混合物を調製した。
【0157】
次に、搬送装置を用いて、この湿潤混合物を押出成形機に搬送し、押出成形機の原料投入口に投入した。
そして、押出成形により、セルの端部が封止されていないこと以外は、図12(a)、(b)に示した形状と同様の形状の成形体を作製した。
【0158】
次に、マイクロ波乾燥機等を用いて上記成形体を乾燥させた後、上記湿潤混合物と同様の組成の封止材ペーストを所定のセルに充填した。
次いで、再び乾燥機を用いて乾燥させた後、400℃で脱脂し、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間で焼成を行なうことにより、気孔率が40%、平均気孔径が12.5μm、その大きさが34.3mm×34.3mm×254mm、セルの数(セル密度)が46.5個/cm2、セル壁の厚さが0.20mmの炭化ケイ素焼結体からなるハニカム焼成体を製造した。
【0159】
平均繊維長20μmのアルミナファイバ30重量%、平均粒径0.6μmの炭化ケイ素粒子21重量%、シリカゾル15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含む耐熱性のシール材ペーストを用いてハニカム焼成体を多数接着させ、さらに、120℃で乾燥させ、続いて、ダイヤモンドカッターを用いて切断することにより、シール材層(接着剤層)の厚さ1mmの円柱形状のセラミックブロックを作製した。
【0160】
次に、無機繊維としてシリカ−アルミナファイバ(平均繊維長100μm、平均繊維径10μm)23.3重量%、無機粒子として平均粒径0.3μmの炭化ケイ素粉末30.2重量%、無機バインダとしてシリカゾル(ゾル中のSiO2の含有率:30重量%)7重量%、有機バインダとしてカルボキシメチルセルロース0.5重量%及び水39重量%を混合、混練してシール材ペーストを調製した。
【0161】
次に、上記シール材ペーストを用いて、ハニカムブロックの外周部に厚さ0.2mmのシール材ペースト層を形成した。そして、このシール材ペースト層を120℃で乾燥して、外周にシール材層(コート層)が形成された直径143.8mm×長さ254mmの円柱形状のハニカム構造体を作製した。
【0162】
(実施例1)
上記手順で作製したハニカム構造体100個について、図3〜6に示したハニカム構造体用載置台301を備えるとともに、レーザ光を用いた形状検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置(図9(a)〜(c)参照)を用いてハニカム構造体の外部形状を検査した。
【0163】
ハニカム構造体用載置台301の具体的な構成は以下の通りである。
載置部材302は、上面に予備載置部材用溝部310及び脚部用溝部311を有する円板状で、上面の直径が250mmである。従って、構造体載置面302aがハニカム構造体の端面の外周全体と接する形状である。
予備載置部材303は、ドーナツ形状で、その幅が15mm、外側の円周の直径が100mm、内側の円周の直径が70mmである。これは、予備載置面303aをハニカム構造体の端面と重ね合わせると、その外周全体がハニカム構造体の端面の外周より内側に存在する形状である。また、予備載置部材303の上面は平坦化されており、予備載置面303aと構造体載置面302aは平行になるように設置されている。また、予備載置部材303はフッ素樹脂からなっている。
脚部304は、5本の脚部が等間隔で予備載置部材の下部に固定されている。従って、隣接する脚部のなす角は、全て72°である。
また、昇降機構を上下動させるためのシリンダとして4個のエアシリンダ309を備えている。
【0164】
具体的な検査手順としては、まず、予備載置面303aが構造体載置面302aより上方に位置する状態で予備載置面303aでハニカム構造体を支持し、さらに、昇降機構により予備載置面303aを構造体載置面302aまで下降させて、ハニカム構造体を構造体載置面302a上に載置した。この際、予備載置面の下降速度は30mm/sであった。
【0165】
その状態で図9(a)に示したようなレーザ光照射装置411a、411bからレーザ光を照射装置の前面に対する角度90°で照射して、レーザ光受光装置412a、412bに届いた光の幅を測定した。
この際、ハニカム構造体を断続的に回転させながら測定を行って、ハニカム構造体の端面の最大径(直径)を算出した。
また、1回転(360°回転)させた後は、測定する部分の高さを変えて、1つのハニカム構造体につき5通りの高さについて測定した。
この測定結果よりハニカム構造体の最大径(直径)、真円度及び直角度を算出した。
【0166】
(実施例2)
実施例1と同様のハニカム構造体用載置台301を備えるともに、接触式測定子を用いた形状検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置(図10(a)〜(c)参照)を用いて、ハニカム構造体の外部形状を検査した。なお、本実施例では、ハニカム構造体100個を検査対象とした。
【0167】
具体的には、実施例1と同様にしてハニカム構造体をハニカム構造体用載置台301に載置した後、図10(a)〜(c)に示したような複数の接触式測定子422を備えた形状検査装置420を用いてハニカム構造体の長手方向の長さ、端面の平行度及び位置度を測定した。
具体的には、ハニカム構造体の端面において、一のハニカム構造体の端面が占める領域ごとに一の接触式測定子422が割り当てられるようにして、ハニカム構造体の長さ等を測定した。
【0168】
(実施例3)
実施例1と同様のハニカム構造体用載置台301を備えるとともに、上記熱画像法を用いた欠陥検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置を用いて、その外部形状を検査した。なお、本実施例では、ハニカム構造体100個を検査対象とした。
【0169】
具体的には、実施例1と同様にしてハニカム構造体をハニカム構造体用載置台301上に載置した後に、ハニカム構造体に向かって100℃に加熱した熱風を5分間吹きつけた。
熱風の吹きつけを停止した後に、熱風を吹きつけた面をサーモグラフィの測定面に向けてその測定画像を観察し、温度分布が不連続になっている点及び線の有無を判別して、表面欠陥の有無を検査した。
【0170】
(実施例4)
実施例1と同様のハニカム構造体用載置台301を備えるとともに、染色浸透探傷検査を用いた欠陥検査装置を備えた検査装置を用いてその外部形状を検査した。なお、本実施例では、ハニカム構造体100個を検査対象とした。
【0171】
具体的には、まず実施例1と同様にしてハニカム構造体をハニカム構造体用載置台301上に載置した。
次に、ハニカム構造体に向けて赤色浸透液をスプレー噴霧し、15分放置し、続いて、ハニカム構造体に付着した余計な赤色浸透液を水洗して除去した。
最後に、現像剤として白色粉末懸濁液をスプレー噴霧して、表面に赤色が表出するかを観察し、ハニカム構造体の表面欠陥の有無を検査した。
【0172】
(実施例5)
実施例1と同様のハニカム構造体用載置台301を備えるとともに、蛍光浸透探傷検査を用いた欠陥検査装置を備えた検査装置を用いてその外部形状を検査した。なお、本実施例では、ハニカム構造体100個を検査対象とした。
【0173】
具体的には、まず実施例1と同様にしてハニカム構造体をハニカム構造体用載置台301上に載置した。
次に、ハニカム構造体に向けて蛍光液をスプレー噴霧し、30分放置し、続いて、ハニカム構造体に付着した余計な蛍光液を水洗して除去した。
最後に、検査装置を設置した部屋を暗室としたうえで、ハニカム構造体にブラックライトを照射して蛍光を発光させて、その発光模様を観察してハニカム構造体の表面欠陥の有無を検査した。
【0174】
(実施例6)
実施例1と同様のハニカム構造体用載置台301を備えるとともに、音響信号法を用いた欠陥検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置を用いてその内部形状を検査した。なお、本実施例では、ハニカム構造体100個を検査対象とした。
【0175】
具体的には、まず実施例1と同様にしてハニカム構造体をハニカム構造体用載置台301上に載置した。
次に、上記内部欠陥検査装置に設けられた発信側探触子から音響信号をハニカム構造体に入射し、ハニカム構造体中を伝播した音響信号を受信側探触子に受信させ、受信した音響信号の情報を情報処理装置で処理して欠陥の有無を判定した。
このような判定を両探触子を移動させながら連続的に行い、ハニカム構造体中の内部欠陥の有無を検査した。
【0176】
(実施例7)
図7(a)、(b)及び図8(a)、(b)に示したハニカム構造体用載置台331を備えるとともに、レーザ光を用いた形状検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置を用いてハニカム構造体の外部形状を検査した。従って、本実施例で使用したハニカム構造体の検査装置は、載置部材が上下動することとなる。
なお、本実施例では、ハニカム構造体100個を検査対象とした。また、検査手段は、実施例1と同一である。
【0177】
ハニカム構造体用載置台331の具体的な構成は以下の通りである。
載置部材332は、上面に予備載置部材用溝部及び脚部用溝部を有する円板状で、上面の直径が250mmである。従って、構造体載置面332aがハニカム構造体の端面の外周全体と接する形状である。
また、載置部材332は、その底面に取り付けられた金属プレート336と一体化しており、さらに、金属プレート336の底面には、シリンダプレート337及びロッド338を通じて4個のエアシリンダ339が取り付けられている。
予備載置部材333は、ドーナツ形状で、その幅が15mm、外側の円周の直径が100mm、内側の円周の直径が70mmである。これは、予備載置面333aをハニカム構造体の端面と重ね合わせると、その外周全体がハニカム構造体の端面の外周より内側に存在する形状である。また、予備載置部材333の上面は平坦化されており、予備載置面333aと構造体載置面332aは平行になるように設置されている。また、予備載置部材333はフッ素樹脂からなっている。
また、予備載置部材333は、5本の脚部334を介して固定脚335により、所定の高さに設置されている。なお、5本の脚部334は、等間隔で予備載置部材の下部に固定されており、隣接する脚部のなす角は、全て72°である。
【0178】
具体的な検査手順としては、まず、予備載置面333aが構造体載置面332aより上方に位置する状態で予備載置面333aでハニカム構造体を支持し、さらに、昇降機構により構造体載置面332aを予備載置面333aまで上昇させて、ハニカム構造体を構造体載置面332a上に載置し、その後、実施例1と同様の手順により、ハニカム構造体の最大径(直径)、真円度及び直角度を算出した。
【0179】
(比較例1)
以下の構成のハニカム構造体用載置台を備えるとともに、レーザ光を用いた形状検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置を用いて、実施例1と同様の方法でハニカム構造体の外部形状を検査した。なお、本比較例では、ハニカム構造体100個を検査対象とした。
【0180】
本比較例では、ハニカム構造体用載置台として、その形状が矩形環形状で、環の幅が15mm、外側の長辺の長さが150mm、短辺の長さが100mmの予備載置部材を備えたものを用いた。この予備載置部材では、予備載置面をハニカム構造体の端面と重ね合わせると、予備載置面の外周の一部がハニカム構造体の端面の外周より外側に存在することとなる。
また、上記予備載置部材の上面は平坦化されており、予備載置面と構造体載置面は平行になるように設置されている。また、予備載置部材はフッ素樹脂からなっている。
さらに、上記ハニカム構造体用載置台では、脚部は、予備載置部材の4辺のそれぞれ中心で、予備載置部材の下部に固定されており、その形状は実施例1で用いたハニカム構造体用載置台301の脚部と同一である。
また、上記ハニカム構造体用載置台が備える載置部材は、その上面の形状が直径250mmの円形であり、予備載置部材用溝部及び脚部用溝部の形状は、上記予備載置部材及び上記脚部の平面視形状と略同一形状である。
その他、シャフト、金属プレート、シリンダプレート、シリンダの構成は、実施例1で用いたハニカム構造体用載置台301と同一である。
【0181】
本比較例では、ハニカム構造体の端面の重心と予備載置面の重心とが略一致するように、ハニカム構造体を予備載置面上で支持した。この際、予備載置部材の上面の一部が、ハニカム構造体の端面外周と接触していた。
その後、実施例1と同様にして、昇降機構により予備載置面を構造体載置面まで下降させて、ハニカム構造体を構造体載置面上に載置し、さらに、実施例1と同様にしてハニカム構造体の外部形状の検査を行い、最大径(直径)、真円度及び直角度を算出した。
【0182】
(比較例2)
以下の構成のハニカム構造体用載置台を備えるとともに、レーザ光照射装置及び受光装置を備えたハニカム構造体の検査装置を用いて、実施例1と同様の方法で、ハニカム構造体の外部形状を検査した。なお、本比較例では、ハニカム構造体100個を検査対象とした。
【0183】
本比較例では、ハニカム構造体用載置台として、実施例1で使用したハニカム構造体用載置台301と略同一の構成を有するものの、予備載置部材の上面が、予備載置部材の底面に対し3°傾斜した形状である点で構成が異なるハニカム構造体用載置台を使用した。
従って、このハニカム構造体用載置台では予備載置面が、構造体載置面に対して3°傾斜していることとなる。
【0184】
本比較例では、ハニカム構造体を予備載置面上で支持し、続いて昇降機構により予備載置面を下降させてハニカム構造体を構造体載置面に接触させて載置した。この際、ハニカム構造体の端面外周が最初に一点で構造体載置面と接触していた。
【0185】
その後は実施例1と同様にしてハニカム構造体の外部形状の検査を行い、最大径(直径)、真円度及び直角度を算出した。
【0186】
(比較例3)
その上面の形状が直径250mmの円形状であり、厚みが10mmのステンレス(SUS)製の平板からなるハニカム構造体用載置台と、レーザ光を用いた形状検査装置とを備えたハニカム構造体の検査装置を用いてハニカム構造体の外部形状を検査した。なお、本比較例では、ハニカム構造体100個を検査対象とした。
【0187】
本比較例では、上記ハニカム構造体をその端面を下にして、上記平板上にハニカム構造体を載置し、その後、実施例1と同様にしてハニカム構造体の外部形状の検査を行い、最大径(直径)、真円度及び直角度を算出した。
【0188】
(検査結果)
実施例1〜7及び比較例1〜3におけるハニカム構造体の検査では、検査方法に応じた各検査項目(ハニカム構造体の長さ、真円度、直角度、表面欠陥の有無、内部欠陥の有無)を検査することができた。
しかしながら、検査終了後、ハニカム構造体をハニカム構造体用載置台から取り上げ、ハニカム構造体用載置台と接触していたハニカム構造体の端面(主に、端面の外周部分)を目視観察したところ、以下のような結果となった。
【0189】
即ち、実施例1〜7に係る検査においては、検査終了後、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラックが発生していなかった。
これに対し、比較例1に係る検査においては4個のハニカム構造体で(発生率:4%)、比較例2に係る検査においては8個のハニカム構造体で(発生率:8%)、比較例3に係る検査においては9個のハニカム構造体で(発生率:9%)、ハニカム構造体の端面外周に欠け又はクラックが観察された。
【0190】
この理由について、比較例1ではハニカム構造体の端面外周が予備載置部材と最初に1点で接触し、比較例2では、ハニカム構造体の端面外周が載置部材と最初に一点で接触し、比較例3では、ハニカム構造体の端面外周が平板と最初に一点で接触するため、それぞれの接触の際に、ハニカム構造体の端面外周に強い衝撃が加わることがあり、その結果、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラックが発生したものと考えられる。
これに対し、実施例1〜7では、ハニカム構造体を予備載置面で支持する際に、ハニカム構造体の端面外周に強い衝撃が加わることがなく、載置部材に載置する際には、ハニカム構造体の端面外周全体が略同時に載置部材の上面に接触するため、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラックが発生しなかったものと考えられる。
このことから、本発明のハニカム構造体用載置台を備えた検査装置では、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラックを発生させることなくハニカム構造体の形状検査をすることができることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】図1(a)、(b)は、予備載置面がドーナツ形状である本発明のハニカム構造体用載置台にハニカム構造体を載置する様子を模式的に示す断面図であり、図1(a)には、予備載置面が構造体載置面より上方に位置してハニカム構造体を支持する状態を示し、図1(b)は、予備載置面が構造体載置面より下方に位置してハニカム構造体が構造体載置面上に載置されている状態を示す。
【図2】図2は、予備載置面が円形である本発明のハニカム構造体用載置台にハニカム構造体を載置する様子を模式的に示す断面図であり、図2(a)には、予備載置面が構造体載置面より上方に位置してハニカム構造体を支持する状態を示し、図2(b)は、予備載置面が構造体載置面より下方に位置してハニカム構造体が構造体載置面上に載置されている状態を示す。
【図3】図3(a)は、本発明のハニカム構造体用載置台の一例を模式的に示す斜視図であり、図3(b)は、(a)に示したハニカム構造体用載置台のB−B線断面図である。なお、図3(a)、(b)には、予備載置面が構造体載置面より上方に位置する状態を示す。
【図4】図4は、図3(a)、(b)に示したハニカム構造体用載置台を構成する載置部材を示す斜視図である。
【図5】図5は、図3(a)、(b)に示したハニカム構造体用載置台を構成する予備載置部材及び昇降機構を示す斜視図である。
【図6】図6(a)は、図3(a)、(b)に示したハニカム構造体用載置台において、予備載置面が下降した状態を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は、図6(a)に示したハニカム構造体用載置台のC−C線断面図である。
【図7】図7(a)は、本発明のハニカム構造体用載置台の別の一例を模式的に示す斜視図であり、図7(b)は、図7(a)に示したハニカム構造体用載置台のD−D線断面図である。
【図8】図8(a)は、図7(a)に示したハニカム構造体用載置台において、予備載置面が構造体載置面と同一平面をなす状態を模式的に示す斜視図であり、図8(b)は、図7(a)に示したハニカム構造体用載置台のE−E線断面図である。
【図9】図9(a)は、レーザ光を用いた形状検査装置を備えた本発明のハニカム構造体の検査装置の一例を模式的に示す正面図であり、図9(b)は、図9(a)に示したハニカム構造体の検査装置を用いて円柱形状のハニカム焼成体を検査する様子を模式的に示す上面図であり、図9(c)は、図9(b)と同様、図9(a)に示したハニカム構造体の検査装置を用いて楕円柱形状のハニカム構造体を検査する様子を模式的に示す上面図である。
【図10】図10は、接触式測定子を用いた形状検査装置の一例を模式的に示す概念図であり、図10(a)は、この形状検査装置を用いて接触式測定子の0点を補正している様子を示す正面図であり、図10(b)は、実際にハニカム構造体の外部形状を検査している様子を示す正面図である。図10(c)は、図10(b)においてFで示す部分の拡大断面図である。
【図11】図11は、ハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
【図12】図12(a)は、上記ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、図12(b)は、そのA−A線断面図である。
【図13】図13は、ハニカム構造体が平板形状の台に載置される様子を模式的に表した断面図である。
【符号の説明】
【0192】
130 ハニカム構造体
301、331、1301、2301 ハニカム構造体用載置台
302、332、1302、2302 載置部材
302a、332a、1302a、2302a 構造体載置面
303、333、1303、2303 予備載置部材
303a、333a、1303a、2303a 予備載置面
304、334 脚部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体用載置台、及び、ハニカム構造体の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中に含有されるスス等のパティキュレートが環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。
そこで、排ガス中のパティキュレートを捕集して、排ガスを浄化するフィルタとして多孔質セラミックからなるハニカム構造体を用いたハニカムフィルタが種々提案されている。
【0003】
従来、ハニカム構造体を製造する際には、例えば、まず、セラミック粉末とバインダと分散媒液等とを混合して湿潤混合物を調製する。そして、この湿潤混合物をダイスにより連続的に押出成形し、押し出された成形体を所定の長さに切断することにより、柱形状のハニカム成形体を作製する。
【0004】
次に、得られたハニカム成形体を乾燥させ、その後、所定のセルに封止材ペーストを充填して目封じを施し、セルのいずれかの端部が封止された状態とした後、脱脂処理及び焼成処理を施し、ハニカム焼成体を製造する。
【0005】
この後、ハニカム焼成体の側面にシール材ペーストを塗布し、ハニカム焼成体同士を接着させることにより、シール材層(接着剤層)を介してハニカム焼成体が多数結束した状態のハニカム焼成体の集合体を作製する。次に、得られたハニカム焼成体の集合体に、切削機等を用いて円柱、楕円柱等の所定の形状に切削加工を施してセラミックブロックを形成し、最後に、セラミックブロックの外周にシール材ペーストを塗布してシール材層(コート層)を形成することによりハニカム構造体の製造を終了する。
【0006】
上記のようなハニカム構造体(セラミックフィルタや触媒担持体)は、通常、ケーシング内に収納されて使用される。そのため、ハニカム構造体をケーシング内に収納する前に、製造したハニカム構造体が上記ケーシングの形状に適合するような所定の形状を有しているか否かを検査する必要があり、検査の際にハニカム構造体は検査装置に設けられた台に載置される。
また、ハニカム構造体に所定の機能を発揮させるべく、その内部に欠陥を内包していないかを検査する必要もあり、この検査の際にもハニカム構造体は検査装置に設けられた台に載置される。
【0007】
ここで、製造したハニカム構造体の外形形状を検査する装置としては、例えば、平行光線を利用する装置(例えば、特許文献1参照)等が提案されており、特許文献1には外形形状を検査する際にハニカム構造体が載置される台であるターンテーブルが開示されている。
また、製造したハニカム構造体の欠陥を検査する装置としては、例えば、伝播した音響信号の情報を利用する装置(例えば、特許文献2参照)等が提案されており、特許文献2には、欠陥を検査する際にハニカム構造体が載置される台である回転テーブルが開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開昭55−37919号公報
【特許文献2】特開2004−151078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1及び2に開示されているターンテーブル及び回転テーブルは平板形状の台であり、これまでハニカム構造体はこのような平板形状の台にその端面を下にした状態で載置されていた。
図13は、ハニカム構造体が平板形状の台に載置される様子を模式的に表した断面図である。
【0010】
図13に示すようにハニカム構造体130が平板形状の台201に載置される際には、ハニカム構造体130の端面と台201の上面202aとが平行でない限りハニカム構造体130の端面のうち外周部分(以下、単に端面外周ともいう)130aが最初に台201の上面202aと一点で接触することとなる。
ハニカム構造体は脆性材料であるセラミックからなるために、その端面外周130aが台201の上面202aと一点で接触すると、接触の際の衝撃により端面外周130aに欠けやクラック等が発生することがあり、欠けやクラック等が発生したハニカム構造体は不良品となってしまうという問題があった。
【0011】
また、このようにしてハニカム構造体が載置される際に端面外周に発生する欠けやクラック等は、ハニカム構造体が検査装置に設けられた台に載置される際にのみ発生するものではなく、平板形状の台上に載置される際に一般的に生じるものであるため、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラック等を発生させることなくハニカム構造体を載置することのできる載置台が求められていた。
【0012】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラック等を発生させることなく載置することができるハニカム構造体用載置台、及び、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラック等を発生させることなくハニカム構造体の検査を行うことができるハニカム構造体の検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のハニカム構造体用載置台は、ハニカム構造体の外周を含む端面全体と接する構造体載置面を有する載置部材と、
上記ハニカム構造体が上記載置部材に先がけて載置される予備載置面を有する予備載置部材と、
上記予備載置部材を上記載置部材に対して相対的に上下動させる昇降機構とを備え、
上記予備載置面は、上記構造体載置面と平行であり、
上記予備載置面と上記ハニカム構造体の端面とを重ね合わせた場合、上記予備載置面の形状は、外周全体が上記ハニカム構造体の端面の外周より内側に存在しうるような形状であることを特徴とする。
【0014】
本発明のハニカム構造体用載置台においては、上記予備載置面が上記構造体載置面より上方に位置する状態で上記ハニカム構造体を支持し、
さらに、上記昇降機構が上記予備載置面を少なくとも上記構造体載置面まで下降させることにより上記ハニカム構造体を上記構造体載置面に載置し、
上記予備載置面が、上記ハニカム構造体を支持しない状態で、上記昇降機構により少なくとも上記構造体載置面より上方に位置する状態まで再び上昇することが望ましい。
【0015】
また、本発明のハニカム構造体用載置台において、上記ハニカム構造体の端面と上記予備載置面の外周形状とは、相似形であることが望ましい。
また、本発明のハニカム構造体用載置台においては、上記予備載置面がドーナツ形状であり、上記予備載置面の中央部にも上記構造体載置面が配置されることが望ましい。
【0016】
また、本発明のハニカム構造体用載置台は、上記予備載置部材の下部に、上記予備載置面の重心を中心として放射状方向、かつ、等間隔に取り付けられた脚部を備え、
上記脚部と上記昇降機構とが連動することにより、上記予備載置部材が上下動することが望ましい。
【0017】
本発明のハニカム構造体の検査装置は、ハニカム構造体の外周を含む端面全体と接する構造体載置面を有する載置部材と、
上記ハニカム構造体が上記載置部材に先がけて載置される予備載置面を有する予備載置部材と、
上記予備載置部材を上記載置部材に対して相対的に上下動させる昇降機構と、
上記載置部材に載置された上記ハニカム構造体の外部形状及び内部形状のうち、少なくとも一方を検査する検査手段とを備え、
上記予備載置面は、上記構造体載置面と平行であり、
上記予備載置面と上記ハニカム構造体の端面とを重ね合わせた場合、上記予備載置面の形状は、外周全体が上記ハニカム構造体の端面の外周より内側に存在しうるような形状であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明のハニカム構造体の検査装置は、上記予備載置面が上記構造体載置面より上方に位置する状態で上記ハニカム構造体を支持し、
さらに、上記昇降機構が上記予備載置面を少なくとも上記構造体載置面まで下降させることにより上記ハニカム構造体を上記構造体載置面に載置し、
上記昇降機構が上記ハニカム構造体を支持しない状態の予備載置面を、少なくとも上記構造体載置面より上方に位置する状態まで再び上昇させることが望ましい。
【0019】
また、本発明のハニカム構造体の検査装置において、上記ハニカム構造体の端面と上記予備載置面の外周形状とは、相似形であることが望ましい。
また、本発明のハニカム構造体の検査装置においては、上記予備載置面がドーナツ形状であり、
上記予備載置面の中央部にも上記構造体載置面が配置されることが望ましい。
【0020】
本発明のハニカム構造体の検査装置は、上記予備載置部材の下部に、上記予備載置面の重心を中心として放射状方向、かつ、等間隔に取り付けられた脚部を備え、
上記脚部と上記昇降機構とが連動することにより、上記予備載置部材が上下動することが望ましい。
【0021】
本発明のハニカム構造体の検査装置において、上記検査手段は、上記ハニカム構造体の外部形状を検査し、
上記外部形状は、上記ハニカム構造体の長手方向の長さ、最大径、真円度、直角度、平行度及び位置度のうち、少なくとも1つであることが望ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のハニカム構造体用載置台は、予備載置面を有する予備載置部材を備え、上記予備載置面の形状は、ハニカム構造体の端面と重ね合わせると、その外周全体が上記ハニカム構造体の端面の外周より内側に存在しうるような形状であるため、上記予備載置面が構造体載置面より上方に位置する状態では、ハニカム構造体の端面外周が接触することなく、ハニカム構造体の端面外周より内側に上記予備載置面全体が位置するようにハニカム構造体を支持することができる。
また、上記予備載置面は上記構造体載置面と平行な平面である。そのため、上記予備載置面と上記構造体載置面の高さを合わせることにより、ハニカム構造体の端面外周に強い衝撃を加えることなくハニカム構造体の端面外周を上記構造体載置面に接触させることができる。
また、上記構造体載置面はハニカム構造体の端面の外周全体と接するような形状であるため、上記ハニカム構造体を上記構造体載置面上に安定に載置することができる。
従って、本発明のハニカム構造体用載置台によると、ハニカム構造体をその端面外周に欠けやクラック等を発生させることなく構造体載置面上に安定に載置することができる。
【0023】
本発明のハニカム構造体の検査装置は、本発明のハニカム構造体用載置台を備えているため、上記ハニカム構造体の検査装置にハニカム構造体を載置する際には、ハニカム構造体の端面外周に強い衝撃を加えることなくハニカム構造体の端面外周を構造体載置面に接触させてハニカム構造体を構造体載置面上に載置することができる。
従って、本発明のハニカム構造体の検査装置によると、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラック等を発生させることなく、ハニカム構造体の形状検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明のハニカム構造体用載置台は、ハニカム構造体の外周を含む端面全体と接する構造体載置面を有する載置部材と、
上記ハニカム構造体が上記載置部材に先がけて載置される予備載置面を有する予備載置部材と、
上記予備載置部材を上記載置部材に対して相対的に上下動させる昇降機構とを備え、
上記予備載置面は、上記構造体載置面と平行であり、
上記予備載置面と上記ハニカム構造体の端面とを重ね合わせた場合、上記予備載置面の形状は、外周全体が上記ハニカム構造体の端面の外周より内側に存在しうるような形状であることを特徴とする。
【0025】
ここでは、まず、本発明のハニカム構造体用載置台にハニカム構造体を載置する概要について説明し、その後、本発明のハニカム構造体用載置台の具体例について詳説することとする。
なお、本明細書において、ハニカム成形体、ハニカム焼成体及びハニカム構造体のいずれの形態においても、それぞれの外形状をなす面のうち、セルが露出している面を端面といい、端面以外の面を側面という。
【0026】
図1(a)及び図1(b)は、予備載置面がドーナツ形状である本発明のハニカム構造体用載置台にハニカム構造体を載置する様子を模式的に示す断面図であり、図1(a)には、予備載置面が構造体載置面より上方に位置してハニカム構造体を支持する状態を示し、図1(b)は、予備載置面が構造体載置面より下方に位置してハニカム構造体が構造体載置面上に載置されている状態を示す。
【0027】
本発明のハニカム構造体用載置台1301にハニカム構造体を載置するためには、はじめに、予備載置面1303aを構造体載置面1302aよりも上方に位置した状態とする。
次に、この状態にある予備載置面1303aでハニカム構造体130を支持する(図1(a)参照)。このとき、予備載置面1303a全体がハニカム構造体130の端面の外周より内側に存在するように、ハニカム構造体130を予備載置面1303aで支持する。ハニカム構造体130をこのように支持することにより、ハニカム構造体の端面外周130aが予備載置面1303aに接触することがなく、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラック等が発生することを回避することができる。
なお、ハニカム構造体用載置台1301では、予備載置面1303aがドーナツ形状であるため、予備載置面1303aはハニカム構造体130の端面の中心付近を支持していない。
【0028】
次に、ハニカム構造体130を支持した予備載置部材1303を、図示しない昇降機構により図1(a)に示した状態から図1(b)に示した状態に移行させる。
即ち、構造体載置面1302aより上方に位置した予備載置面1303aが、構造体載置面1302aより下方に位置するように、予備載置部材1303を下降させる。
このように予備載置面1303aを下降させることにより、ハニカム構造体130が載置部材1302の構造体載置面1302a上に載置されることとなる。
なお、予備載置面1303aの下降は、予備載置面1303aが構造体載置面1302aと同一平面をなす位置まで行っても良い。
【0029】
この際、予備載置面1303aと、構造体載置面1302aとは平行な平面であるため、ハニカム構造体130は、その端面が構造体載置面1302aと平行な状態を維持したままで下降することとなる。そして、予備載置面1303aが、構造体載置面1302aと同一平面まで下降すると、構造体載置面1302aはハニカム構造体130の端面の外周全体と接する形状であるため、ハニカム構造体130の端面外周130aを含む端面全体(予備載置面1303aと接触している部分を除く)が構造体載置面1302aと同時に接触する。
その結果、ハニカム構造体130の端面外周130aに強い衝撃が加わることがなく、端面外周130aに欠けやクラック等が発生することなくハニカム構造体130は構造体載置面1302a上に安定して載置されることとなる(図1(b)参照)。
【0030】
なお、ハニカム構造体用載置台1301においては、予備載置面1303aの内側にも構造体載置面1302aが配置されているため、ハニカム構造体130の端面の中心付近も構造体載置面1302a上に載置される。そのため、ハニカム構造体130は構造体載置面1302a上にきわめて安定的に載置されることとなる。
【0031】
図2(a)及び図2(b)は、予備載置面が円形である本発明のハニカム構造体用載置台にハニカム構造体を載置する様子を模式的に示す断面図であり、図2(a)には、予備載置面が構造体載置面より上方に位置してハニカム構造体を支持する状態を示し、図2(b)は、予備載置面が構造体載置面より下方に位置してハニカム構造体が構造体載置面上に載置されている状態を示す。
【0032】
図2(a)及び図2(b)に示すハニカム構造体用載置台2301を用いてハニカム構造体を載置する場合においても、図1(a)及び図1(b)に示したハニカム構造体用載置台1301を用いた場合と同様にして、はじめに、図2(a)に示すように予備載置面2303aでハニカム構造体130を支持する。このとき、予備載置面2303a全体がハニカム構造体130の端面の外周より内側に存在するように、予備載置面2303aでハニカム構造体を支持する。次に、図2(b)に示す状態に移行させることで、ハニカム構造体130は載置部材2302の構造体載置面2302a上に載置されることとなる。
【0033】
図2(a)及び図2(b)に示す場合においても予備載置面2303aと構造体載置面2302aは平行な平面であるため、ハニカム構造体130の端面全体(予備載置面2303aと接触している部分を除く)は構造体載置面2302aと同時に接触する。
そのため、ハニカム構造体130の端面外周130aには強い衝撃が加わることがなく、ハニカム構造体130はその端面外周130aに欠けやクラックが発生することなく安定的に構造体載置面2302a上に載置されることとなる。
【0034】
図2(a)及び図2(b)に示す予備載置面2303aはその形状が円形であるため、図2(a)に示す状態において予備載置面2303aはハニカム構造体130の端面の中心付近も含めて支持しており、図2(b)に示す状態においては、ハニカム構造体130の中心付近は構造体載置面2302a上に載置されておらず、ハニカム構造体130はその外周付近のみが構造体載置面2302a上に載置されていることとなる。このような態様であっても、ハニカム構造体130は構造体載置面2302a上に安定的に載置されることとなる。
【0035】
続いて、本発明のハニカム構造体用載置台の具体例について図面を参照しながら説明する。
図3(a)は、本発明のハニカム構造体用載置台の一例を模式的に示す斜視図であり、図3(b)は、(a)に示したハニカム構造体用載置台のB−B線断面図である。なお、図3(a)、(b)には、予備載置面が構造体載置面より上方に位置する状態を示す。
図4は、図3(a)及び図3(b)に示したハニカム構造体用載置台を構成する載置部材を示す斜視図であり、図5は、図3(a)及び図3(b)に示したハニカム構造体用載置台を構成する予備載置部材及び昇降機構を示す斜視図である。
なお、図3(a)には、ハニカム構造体を2点鎖線で示し、ここでは、図11に示したハニカム構造体130を載置する場合を例に、ハニカム構造体用載置台について説明する。
【0036】
ハニカム構造体用載置台301は、ハニカム構造体の端面の外周全体と接する構造体載置面302aを有する載置部材302と、ハニカム構造体を支持する予備載置面303aを有する予備載置部材303と、シャフト305、金属プレート306、シリンダプレート307及びエアシリンダ309からなり、予備載置部材303を上下動させることができる昇降機構とを備えている。
また、予備載置部材303と昇降機構とは、脚部304を介して連結されている。
【0037】
図4に示すように、載置部材302は円板状の外形を有し、載置部材302の上面には、予備載置部材303を設置するための予備載置部材用溝部310、脚部304を設置するための脚部用溝部311が設けられている。また、載置部材302の下面から下方に向けて固定部313が取り付けられており、載置部材302を所定の高さに維持できるように構成されている。
そして、載置部材302の上面のうち、予備載置部材用溝部310及び脚部用溝部311以外の部分が、ハニカム構造体を載置した際にハニカム構造体の端面に接しうる部分である。この部分からなる平面を含んで載置部材302上面の外周で囲まれてなる平面を構造体載置面302aという。
【0038】
構造体載置面302aは、ハニカム構造体130の端面の外周全体と接する形状を有する平面である。構造体載置面302aをこのような形状とすることで、ハニカム構造体130の端面全体を構造体載置面302a上に安定に載置することができる。
【0039】
予備載置部材用溝部310は、その平面視形状が予備載置部材303の平面視形状と略同一形状を有し、予備載置部材用溝部310の側壁面と予備載置部材303の側面との間には、予備載置部材303が滑らかに上下動することのできるようわずかな隙間が設けられている。
また、予備載置部材用溝部310の深さは、予備載置部材303が最下点まで下降した際に、予備載置面303aと構造体載置面302aとが同一平面となるように予備載置部材303の厚さと同一の大きさである。
【0040】
脚部用溝部311は、その平面視形状が脚部304の平面視形状と略同一形状を有し、脚部用溝部311の側壁面と、脚部304の側面との間には、脚部304が滑らかに上下動することのできるようわずかな隙間が設けられている。
また、脚部用溝部311の深さは、脚部304が最下点まで下降した際に予備載置面303aが構造体載置面302aと同一平面となるように、予備載置部材303と脚部304との合計厚さと同一の大きさである。
また、脚部用溝部311の底面には、貫通孔312が設けられており、この貫通孔312には、シャフト305(図3(a)、(b)及び図5参照)が上下動可能に挿通されている。
【0041】
固定部313は、円柱形状の柱部313aと柱部313aより太い円柱形状のベース部313bより構成されており、載置部材302を所定の高さに維持した状態でその設置場所に設置することができる。
【0042】
予備載置部材303は、図5に示すように、ドーナツ形状を有しており、その上面でハニカム構造体が載置部材302に先がけて載置される。
そして、予備載置部材303の上面からなる平面を予備載置面303aという。
予備載置面303aの形状は、ハニカム構造体130の端面と重ね合わせると、その外周全体がハニカム構造体130の端面の外周より内側に存在しうるような形状である。
そのため、ハニカム構造体130の端面外周130aが接触することなく、ハニカム構造体130の端面の外周より内側に予備載置面303a全体が位置するようにしてハニカム構造体130を支持することができる。
【0043】
また、予備載置面303aは、構造体載置面302aと平行な平面になるように構成されている。
そのため、予備載置面303aでハニカム構造体を支持し、予備載置面303aを下降させてハニカム構造体を構造体載置面302a上に載置する際に、ハニカム構造体130の端面外周130a(図3(a)及び図3(b)参照)に強い衝撃が加わることがなく、ハニカム構造体130の端面外周130aに欠けやクラック等が発生することを防止することができる。
【0044】
ハニカム構造体用載置台301では、図5に示すように、予備載置部材303の下部に角柱形状の脚部304の一端がその上面で固定されており、脚部304の他端近傍に、昇降機構を構成するシャフト305の一端が固定されている。さらに、シャフト305の他端は金属プレート306に固定されており、金属プレート306の底面にはシリンダプレート307及びロッド308を通じてエアシリンダ309が取り付けられている。
このように、ハニカム構造体用載置台では、予備載置部材303と上記昇降機構とが脚部を介して、連結されている。そして、エアシリンダ309を駆動させることでロッド308を上下動させ、その上下動がシリンダプレート307を伝わって金属プレート306を上下動させる。その結果、予備載置部材303を上下動させることができる。
【0045】
以下、上記脚部及び上記昇降機構の構成部材についてもう少し詳細に説明する。
脚部304は、予備載置部材303の下部に固定され、シャフト305の上下動を予備載置部材303に伝えるための部材である。
脚部304の上面は予備載置部材303の上面より常に下方に位置し、予備載置面303a上でハニカム構造体130を支持する際に、ハニカム構造体130の端面と接触しないように構成されている。
また、脚部304は予備載置面303aの重心を中心とした放射状方向に、かつ、等間隔で計5本取り付けられており、隣り合う2本の脚部304のそれぞれの重心と予備載置面303aの重心とを結ぶ2本の線分のなす角は72°となるように構成されている。
【0046】
シャフト305は、一端が脚部304に固定され、他端が金属プレート306に固定されており、金属プレート306の上下動を脚部304に伝えるための部材である。
また、シャフト305は、貫通孔312に挿通されており、載置部材302の表裏間で上下動を伝える。
【0047】
金属プレート306の上面にはシャフト305が複数固定されており、その底面にはシリンダプレート307が複数固定されている。シリンダプレート307はロッド308を通じてエアシリンダ309に取り付けられており、エアシリンダ309が駆動してロッド308が上下動すると金属プレート306も上下動する。
また、金属プレート306はその中心部が正方形状にくり抜かれた角環形状であり、くり抜かれた部分306aを介して載置部材302の柱部313aが金属プレートを貫通することとなる。また、くり抜かれた部分306aの大きさは、その壁面が柱部313aの側面と接触しない大きさであり、そのため金属プレート306は載置部材302の柱部313aと干渉することなく上下動する。
【0048】
エアシリンダ309は、ロッド308を上下動させてロッド308に固定されたシリンダプレート307を上下動させ、金属プレート306を上下動させるための部材である。ロッド308の上下動の範囲は、少なくとも予備載置面303aが構造体載置面302aの上方になる位置と、同一平面になる位置とを含むように設定されている。
【0049】
次に、ハニカム構造体用載置台301にハニカム構造体130を載置する方法について説明する。ここでは、図3(a)及び図3(b)とともに、図6(a)及び図6(b)を参照しながらハニカム構造体用載置台301にハニカム構造体130を載置する方法について説明する。
図6(a)は、図3(a)及び図3(b)に示したハニカム構造体載置台において、予備載置面が下降した状態を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は、(a)に示したハニカム構造体用載置台のC−C線断面図である。なお、図6に示したハニカム構造体用載置台は、図3(a)及び図3(b)に示したハニカム構造体用載置台と同一のハニカム構造体用載置台である。
そして、図3(a)及び図3(b)には、予備載置面が上昇した状態を示し、図6(a)及び図6(b)には、予備載置面が下降した状態を示す。
【0050】
ハニカム構造体用載置台301にハニカム構造体130を載置する際には、まず、エアシリンダ309を駆動させて、予備載置面303aが構造体載置面302aより上方に位置した状態とする。
次に、この状態にある予備載置面303aでハニカム構造体130を支持する(図3(a)、(b)参照)。このとき、予備載置面303a全体がハニカム構造体130の端面の外周より内側に存在するように、ハニカム構造体130を予備載置面303aで支持する。このように支持することにより、ハニカム構造体の端面外周130aが、予備載置面303aに接触することがなく、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラック等が発生することを回避することができる。
【0051】
次に、ハニカム構造体130を支持した予備載置部材を図3(a)、(b)に示した状態から、図6(a)、(b)に示した状態に移行させる。
即ち、構造体載置面302aより上方に位置した予備載置面303aが、構造体載置面302aと同一平面をなすように、予備載置部材303を昇降機構により下降させる。
ここで、予備載置面303aをハニカム構造体130を支持した状態で上記のように下降させることにより、ハニカム構造体130が載置部材302の構造体載置面302a上に載置されることとなる。
【0052】
この際、予備載置面303aと、構造体載置面302aとは平行な平面であるため、ハニカム構造体は、その端面が構造体載置面302aと平行な状態を維持したままで下降することとなる。そして、予備載置面303aが、構造体載置面302aと同一平面まで下降すると、構造体載置面302aはハニカム構造体130の端面の外周全体と接する形状であるため、ハニカム構造体130の端面外周130aを含む端面全体(予備載置面303aと接触している部分を除く)が構造体載置面302aと同時に接触する。
そのため、ハニカム構造体130が構造体載置面302a上に安定して載置されることとなる(図6(a)、(b)参照)。
従って、ハニカム構造体130の端面外周130aに強い衝撃が加わることがなく、ハニカム構造体は、その端面外周に欠けやクラック等が発生することなく構造体載置面302a上に載置されることとなる。
【0053】
そして、このようにして構造体載置面302a上にハニカム構造体を載置した後、ハニカム構造体の検査等を行う。
その後、ハニカム構造体130をハニカム構造体用載置台301から持ち上げる等して、別の場所に移動させる。
【0054】
そして、ハニカム構造体130を別の場所に移動させた後には、再度、ハニカム構造体130を支持しない状態で、予備載置部材303を昇降機構により上昇させる。これにより、別のハニカム構造体を予備載置面303aで支持することができる状態となる。
【0055】
従って、本発明のハニカム構造体用載置台においては、上記予備載置面が上記構造体載置面より上方に位置する状態で上記ハニカム構造体を支持し、
さらに、上記昇降機構が上記予備載置面を少なくとも上記構造体載置面まで下降させることにより上記ハニカム構造体を上記構造体載置面に載置し、
上記予備載置面が、上記ハニカム構造体を支持しない状態で、上記昇降機構により少なくとも上記構造体載置面より上方に位置する状態まで再び上昇することが望ましい。
【0056】
また、図3〜6に示したハニカム構造体用載置台301では、予備載置部材303が最下点まで下降した際には、予備載置面303aと構造体載置面302aとが同一平面をなすように構成されているが、本発明のハニカム構造体用載置台は、予備載置部材303が最下点まで下降した際に、予備載置面303aが構造体載置面302aより下方にまで下降するように構成されていてもよい。
この場合、ハニカム構造体130を載置部材302に載置した際に、ハニカム構造体130の端面と予備載置面303aとは非接触となるが、ハニカム構造体130の端面は、ハニカム構造体の端面の外周全体と接する構造体載置面302aに接しているため、構造体載置面302a上にハニカム構造体130を安定に載置することができる。
このような構成のハニカム構造体用載置台でも、ハニカム構造体130の端面外周130aに欠けやクラック等を発生させることなく、ハニカム構造体130を載置することができる。
【0057】
これまで、本発明のハニカム構造体用載置台として、予備載置部材を上下動させる昇降機構を備えたハニカム構造体用載置台を例に説明してきたが、本発明のハニカム構造体用載置台は、予備載置部材を上下動させる昇降機構に代えて、載置部材を上下動させる昇降機構を備えていてもよい。
このようなハニカム構造体用載置台について、図7(a)、(b)及び図8(a)、(b)を参照しながら説明する。
【0058】
図7(a)及び図8(a)は、それぞれ本発明のハニカム構造体用載置台の別の一例を模式的に示す斜視図であり、図7(b)は、図7(a)に示したハニカム構造体用載置台のD−D線断面図であり、図8(b)は、図8(a)に示したハニカム構造体用載置台のE−E線断面図である。
なお、図7(a)、(b)には、予備載置面が構造体載置面より上方に位置する状態を示し、図8(a)、(b)には、予備載置面が構造体載置面と同一平面をなす状態を示す。
【0059】
図7(a)、(b)及び図8(a)、(b)に示すように、載置部材332が上下動するハニカム構造体用載置台331は、載置部材332、予備載置部材333、並びに、金属プレート336、シリンダプレート337、ロッド338及びエアシリンダ339からなる昇降機構を備えている。
ここで、載置部材332は、図3(a)、(b)に示したハニカム構造体用載置台301が備える載置部材302と同様の構成を有しており、予備載置部材333は、ハニカム構造体用載置台301が備える予備載置部材303と同様の構成を有している。そのため、ここでは、載置部材332及び予備載置部材333の詳細な説明は省略する。
【0060】
ハニカム構造体用載置台331では、予備載置部材333は上下動せず、載置部材332が上下動するように構成されている。
具体的には、予備載置部材333の下部には角柱形状の脚部334の一端がその上面で固定されており、さらに、脚部334の他端近傍に固定脚335の一端が固定されている。従って、予備載置部材333は、固定脚335及び脚部334により、所定の高さに維持された状態で設置されていることとなる。
【0061】
一方、載置部材332は、その底面に取り付けられた金属プレート336と一体化しており、金属プレート336が上下動すると載置部材332が上下動するように構成されている。
そして、金属プレート336の底面にはシリンダプレート337及びロッド338を通じてエアシリンダ339が取り付けられている。
なお、シリンダプレート337、ロッド338、及び、エアシリンダ339の構成は、図3(a)、(b)に示したハニカム構造体用載置台301と同様である。また、金属プレート336は、ハニカム構造体用載置台301が備える金属プレートとは異なり、その中央部がくり抜かれていないが、固定脚335が貫通するための貫通孔が所定の箇所に形成されている。
従って、ハニカム構造体用載置台331は、載置部材332を上下動させる昇降機構を備えており、金属プレート336、シリンダプレート337、ロッド338及びエアシリンダ339が昇降機構として機能することとなる。
【0062】
次に、図7(a)、(b)及び図8(a)、(b)を参照しながら、ハニカム構造体用載置台331にハニカム構造体を載置する方法について簡単に説明する。
ハニカム構造体用載置台331にハニカム構造体を載置する際には、まず、エアシリンダ339を駆動させて、構造体載置面332aが予備載置面333aより下方に位置した状態(図7(a)、(b)参照)とする。
次に、この状態にある予備載置面333aでハニカム構造体を支持する。このとき、ハニカム構造体の端面の外周より内側に予備載置面333a全体が位置するようにハニカム構造体を支持する。
【0063】
次に、載置部材332を図7(a)、(b)に示した状態から図8(a)、(b)に示した状態に移行させる。
即ち、予備載置面333aより下方に位置した構造体載置面332aが、予備載置面333aと同一平面をなすように、載置部材332を昇降機構により上昇させる。
ここで、予備載置面333aでハニカム構造体を支持しつつ、構造体載置面332aが予備載置面333aと同一平面をなす位置まで、載置部材332を上昇させることにより、ハニカム構造体が構造体載置面332a上に載置されることとなる。
この際、予備載置面333aと構造体載置面332aとは平行な平面であり、かつ、構造体載置面332aがハニカム構造体の端面の外周全体と接する形状であるために、ハニカム構造体は、その端面外周に欠けやクラック等が発生することなく、載置部材332上に安定して載置されることとなる。
【0064】
そして、ハニカム構造体を載置した後は、図3(a)、(b)に示したハニカム構造体用載置台301の場合と同様に、ハニカム構造体の検査等を行い、その後、別の場所に移動させ、さらに、載置部材332を下降させることにより、別のハニカム構造体を予備載置面333aで支持することができる状態とする。
このようなハニカム構造体用載置台331もまた、本発明のハニカム構造体用載置台の一実施形態である。
【0065】
本発明のハニカム構造体用載置台において、上記ハニカム構造体の端面と上記予備載置面の外周形状とは、相似形であることが望ましい。
これらが相似形であると、ハニカム構造体を予備載置面で支持する際に、ハニカム構造体の端面外周が上記予備載置面に接触しない位置で、上記ハニカム構造体を支持することが容易だからである。
また、これらが相似形であると、より安定に予備載置面でハニカム構造体を支持することができるからである。
【0066】
このような予備載置面を有する予備載置部材の形状は、特に限定されるものでないが、ハニカム構造体の端面が円形である場合には、図5に示すようなドーナツ形状のものを好適に用いることができる。
上述したとおり予備載置面の外周形状がハニカム構造体の端面と相似形であることが望ましく、ハニカム構造体を安定に支持することができるからである。
【0067】
また、上記予備載置部材をドーナツ形状とすることで、上記予備載置部材の内側の部分にも構造体載置面が存在しうることとなる。そのため、上記予備載置面が上記構造体載置面と同一平面となるか、上記構造体載置面より低くなった際に、上記ドーナツ形状の内側の部分に存在する構造体載置面にもハニカム構造体の端面が接することとなり、これによりハニカム構造体をより安定に載置することができるからである。
【0068】
また、上記予備載置部材の外周部や内周部には、面取りが施されていても良い。
このような面取りが施されていると、ハニカム構造体の端面と予備載置部材とが接触した際にハニカム構造体や予備載置部材に、破損や変形が発生するおそれがより少なくなるからである。上記面取りとしては、例えば、C面取り、R面取り等が挙げられる。
【0069】
また、本発明のハニカム構造体用載置台では、図5に示したように、上記予備載置部材の下部に、上記予備載置面の重心を中心として放射状方向に、かつ、等間隔で取り付けられた脚部を備え、上記脚部と上記昇降機構とが連動することにより、上記予備載置部材が上下動することが望ましい。
【0070】
このような脚部を備えていると、上記予備載置面でハニカム構造体を支持する際に、ハニカム構造体の重量が各脚部に均等に加わるため、ハニカム構造体を支持した際に特定の脚部に過大な負荷がかかることがなく、脚部の耐久性を向上させることができ、長期間にわたって使用可能なハニカム構造体用載置台とすることができる。
また、このような脚部の構成は、ハニカム構造体を予備載置面で支持する際に、上記予備載置面と上記構造体載置面とが平行な状態を維持するのに最も適した構成である。
【0071】
また、本発明のハニカム構造体用載置台において、上記脚部の本数は特に限定されないが、3本以上であることが望ましい。
また、本発明のハニカム構造体用載置台は、上記脚部を必ずしも備えている必要はなく、例えば、図3(a)、(b)に示した構成のハニカム構造体用載置台では、予備載置部材303が直接シャフト305に固定された構成であってもよいし、例えば、図7(a)、(b)に示した構成のハニカム構造体用載置台では、予備載置部材333が固定脚335に直接固定された構成であってもよい。
【0072】
上記載置部材の構成材料としては、上面を平坦な平面とすることができ、ハニカム構造体を安定的に載置できる強度を有する材料であれば特に限定されず、ステンレス(SUS)、スチール、ニッケル合金等の金属、炭化ケイ素、タングステンカーバイド等のセラミック等が挙げられる。
また、このような材料で構成された載置部材の上面には樹脂、セラミック、金属等からなる被覆層が形成されていてもよい。上記被覆層の形成は、例えば、塗布及び硬化、メッキ、溶射等により行なうことができる。
また、上記載置部材の上面には研磨処理等の平坦化処理が施されていてもよい。
【0073】
また、上記載置部材の上面は、ハニカム構造体の端面に接触する部分であるため、平滑な平面であることが望ましい。上記上面に突起等があるとハニカム構造体と構造体載置面が接触した際にハニカム構造体の端面に欠けやクラック等が発生するおそれがあるからである。
【0074】
上記固定部の形状は、上記載置部材を所定の高さに維持した状態でその設置場所に設置できる形状を備えていれば特に限定されるものではない。
【0075】
上記予備載置部材の構成材料としては、平坦な平面とすることができ、ハニカム構造体を安定的に支持できる強度を有する材料であれば特に限定されず、例えば、樹脂、金属、セラミック等が挙げられる。これらのなかでは樹脂が望ましい。
樹脂はその硬度が金属等に比べ低いため、ハニカム構造体の端面に欠けやクラック等が発生するおそれがより小さくなるからである。
また、上記樹脂としては、フッ素樹脂が望ましい。フッ素樹脂は他の樹脂に比べて離形性が高く、取り扱いが容易であるためである。
また、上記予備載置部材では、金属やセラミックからなる基材の表面に樹脂等からなる被覆層が形成されていても良い。
【0076】
上記脚部の構成材料としては、ハニカム構造体を安定的に支持できる強度を有する材料であれば特に限定されず、例えば、金属、セラミック、樹脂等が挙げられる。
また、その形状も特に限定されるものではなく、例えば、角柱形状、円柱形状、矩形板形状等のものを用いることができる。
【0077】
上記シャフトや上記固定脚の構成材料としては、ハニカム構造体を安定的に支持できる強度を有する材料であれば特に限定されず、例えば、金属、セラミック、樹脂等が挙げられる。
また、その形状も特に限定されるものではなく、角柱形状、円柱形状等のものを用いることができる。
【0078】
また、上記金属プレートの底面に固定される上記シリンダプレート、及び、上記シリンダプレートに上記ロッドを介して取り付けられる上記シリンダの取り付け位置は特に限定されないが、上記金属プレートの中心に対して点対称となる位置であることが望ましい。金属プレートを滑らかに上下動させることができるからである。
また、上記シリンダプレートや、上記シリンダの取り付け個数は特に限定されないが、金属プレートを滑らかに上下動させることができる点から、3個以上であることが望ましい。
【0079】
また、図3〜8で示したハニカム構造体用載置台の例では、上記昇降機構の構成部材としてエアシリンダを備えた例を示しているが、上記昇降機構の構成部材として用いられるシリンダはエアシリンダに限定されるものではなく、例えば、オイルシリンダ、電動シリンダ等を用いることもできる。
【0080】
また、本発明のハニカム構造体用載置台は、その最下部に回転テーブルを備えていてもよい。即ち、図3〜6に示したハニカム構造体用載置台301全体や、図7(a)、(b)及び図8(a)、(b)に示したハニカム構造体用載置台331全体が回転テーブル上に載置され、上記構造体載置面がハニカム構造体を載置した状態で回転可能に構成されていてもよい。
後述するハニカム構造体の検査装置等においては、ハニカム構造体を載置した状態で、ハニカム構造体を回転させるハニカム構造体用載置台が求められることがあるからである。
【0081】
次に、本発明のハニカム構造体の検査装置について説明する。
本発明のハニカム構造体の検査装置は、ハニカム構造体の外周を含む端面全体と接する構造体載置面を有する載置部材と、
上記ハニカム構造体が上記載置部材に先がけて載置される予備載置面を有する予備載置部材と、
上記予備載置部材を上記載置部材に対して相対的に上下動させる昇降機構と、
上記載置部材に載置された上記ハニカム構造体の外部形状及び内部形状のうち、少なくとも一方を検査する検査手段とを備え、
上記予備載置面は、上記構造体載置面と平行であり、
上記ハニカム構造体の端面と重ね合わせた場合、上記予備載置面の形状は、外周全体が上記ハニカム構造体の端面の外周より内側に存在しうるような形状であることを特徴とする。
【0082】
本発明のハニカム構造体の検査装置は、検査対象のハニカム構造体を載置するためのハニカム構造体用載置台と、上記ハニカム構造体の外部形状や内部形状を検査する検査手段とを備えている。
このうち、上記ハニカム構造体用載置台としては、既に説明した本発明のハニカム構造体用載置台を好適に用いることができるので、その詳細な説明は省略し、ここでは、ハニカム構造体の外部形状や内部形状を検査する検査手段を中心に本発明のハニカム構造体の検査装置について説明する。
なお、本明細書において、ハニカム構造体の検査とは、その外部形状や内部形状の検査を行うことをいい、ハニカム構造体の検査装置とはハニカム構造体の外部形状や内部形状の検査を行うための装置をいうこととする。
【0083】
上記検査手段としては、例えば、レーザ光や接触式測定子を用いた形状検査装置、熱画像法や浸透探傷検査を用いた欠陥検査装置等を用いることができ、これらを用いることにより、ハニカム構造体の外部形状を検査することができる。
なお、本発明のハニカム構造体の検査装置で検査する上記ハニカム構造体の形状は、外部形状であることが望ましく、上記外部形状は、特に限定されるものでないが、ハニカム構造体の長手方向の長さ、最大径、真円度、直角度、平行度及び位置度のうちの少なくとも1つであることが望ましい。ハニカム構造体は、通常、ケーシング内に収納されて使用されるが、このとき外部形状が所定の形状を有しているか否かが重要であり、また、上記外部形状は、ハニカム構造体を製造する際にバラツキが生じやすい特性だからである。
【0084】
以下、上記検査手段を備えたハニカム構造体の検査装置について、もう少し詳しく説明する。
まず、上記レーザ光を用いた形状検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置について説明する。
図9(a)は、レーザ光を用いた形状検査装置を備えた本発明のハニカム構造体の検査装置の一例を模式的に示す正面図であり、図9(b)は、(a)に示したハニカム構造体の検査装置の上面図である。なお、図9(a)、(b)では、検査対象を円柱形状のハニカム構造体としている。
また、図9(c)は、(b)と同様、(a)に示したハニカム構造体の検査装置の上面図である。ただし、図9(c)では、楕円柱形状のハニカム構造体を検査対象としている。
【0085】
図9(a)、(b)に示すように、ハニカム構造体の検査装置400は、本発明のハニカム構造体用載置台301と、光源を備えた2台のレーザ光照射装置411a、411b及び受光部を備えた2台のレーザ光受光装置412a、412bとこれらを取り付ける支持部材415とからなる形状検査装置410とを備えている。
ハニカム構造体の検査装置400では、ハニカム構造体用載置台301の上面に対して、4本の支持部材415が垂直に立設され、各支持部材415にレーザ光照射装置411a、411b及びレーザ光受光装置412a、412bのいずれかが配設されている。ここで、レーザ光照射装置及びレーザ光受光装置は、1台のレーザ光照射装置411aと1台のレーザ光受光装置412a、及び、1台のレーザ光照射装置411bと1台のレーザ光受光装置412bが、互いに対向するように配置され、かつ、それら2組が並ぶように配設されている。
そして、ハニカム構造体用載置台301は、検査対象物であるハニカム構造体130をハニカム構造体用載置台301に載置した際に、レーザ光照射装置411a、411bとレーザ光受光装置412a、412bとの間に配置されるように構成されている。
【0086】
ハニカム構造体の検査装置400では、レーザ光413は、レーザ光照射装置411a、412aの前面に対して、一定の角度(例えば、90°)で照射されるとともに、一定の範囲内で光源を平行移動させながら同じ角度で照射される。従って、レーザ光照射装置411a、412aから照射したレーザ光は、障害物がなければ、レーザ光受光装置412a、412bの受光素子に届き、受光素子はレーザ光を検知する。一方、レーザ光413を照射した際、前方にハニカム構造体130が存在する場所では、レーザ光413が遮られるため、受光素子は、レーザ光を検知しない。
そして、レーザ光受光装置412a、412bの間隔は、一定(bmm)に設定されている。
【0087】
ここで、円柱形状のハニカム構造体を検査対象とする場合には、まず、ハニカム構造体用載置台301にハニカム構造体130を載置し、続いて、図9(b)に示すように、レーザ光照射装置411aよりレーザ光源を平行移動させながらレーザ光413を照射した際に、受光素子に光が届かなかった幅をamm、レーザ光照射装置411bよりレーザ光源を平行移動させながら照射した際に、受光素子に光が届かなかった幅をcmmとして検出する。そうすると、円柱形状のハニカム構造体130の直径Dは、a+b+c(mm)となる。
そして、円柱形状のハニカム構造体130を断続的に回転させながら、上記測定を1回転(360°回転)するまで複数回行い、さらに、測定する部分の高さを変更して上記測定を行う。その後、得られた各測定点での直径の平均値を算出することにより、ハニカム構造体の直径とする。
このように、ハニカム構造体の検査装置400を用いることにより、ハニカム構造体の外部形状の一つである直径を測定することができる。
なお、ハニカム構造体用載置台301は、図示していないが、載置部材及び予備載置部材を回転させる回転テーブルを最下部に備えている。
【0088】
一方、図9(c)に示すように、長径と短径とが存在する楕円柱形状のハニカム構造体130′を検査対象とする場合には、上記原理により、レーザ光413が遮られる部分の幅に基づいて、その幅を測定し、最も長い値を長径とし、最も短い値を短径とする。ハニカム構造体130′は、360°回転するので、同じ幅(長径と短径と)の部分を2度測定することとなる。そして、この測定を、照射するレーザ光413の高さを変えながら行い、得られた各測定点での長径、短径の値の平均値の算出値を算出することにより、ハニカム構造体の長径、短径を測定することができる。
【0089】
さらに、以上のようにして測定した直径、又は、長径及び短径の測定結果より、ハニカム構造体の最大経や真円度を算出することができる。
また、照射するレーザ光413の高さを変えて測定して得られた直径、又は、長径及び短径の測定結果より、ハニカム構造体の直角度を算出することができる。
【0090】
上記形状検査装置400において、上記レーザ光としては特に限定されず、例えば、CO2レーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等が挙げられる。
レーザ光受光装置412a、412bに設けられる受光素子としては特に限定されず、既知の受光素子を使用することができる。
【0091】
また、図9(a)、(b)、(c)に示したハニカム構造体の検査装置400は、ハニカム構造体を検査する際に、ハニカム構造体を回転させるように構成されているものであるが、2組のレーザ光照射装置とレーザ光受光装置を備えた本発明のハニカム構造体の検査装置は、上記レーザ光照射装置と上記レーザ光受光装置とがハニカム構造体を挟んで対向配置した状態で上記ハニカム構造体の周囲を回転して、上記受光装置がレーザ光を受光した領域を計測することによりハニカム構造体の直径等を測定することができるように、構成されていてもよい。
【0092】
次に、接触式測定子を用いた形状検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置について説明する。
図10(a)、(b)は、接触式測定子を用いた形状検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置の一例を模式的に示す概念図でなる。なお、図10(a)及び図10(b)は、同一の検査装置を示すが、検査対象が異なっている。
また、図10(c)は、図10(b)に示したハニカム構造体の検査装置の部分拡大断面図である。
【0093】
図10(a)、(b)に示すように、ハニカム構造体の検査装置401は、本発明のハニカム構造体用載置台301と、円盤421の下面に多数の略棒形状の接触式測定子422が設けられるとともに、これらの接触式測定子422からのデータを送信するため、及び、円盤421等を支持するために、円盤421の中央に、円柱形状の接続部423が接続された形状検査装置420とを備えている。
また、接触式測定子422は、図10(c)に示すように、可変部422aと先端部422bとからなり、先端部422bが検査対象物と接触した後に押されて可変部422aが縮んだ長さを検出できるように構成されている。
【0094】
図示はしないが、接続部423の他端は、昇降が可能なステッピングモータとボールネジとを含む昇降部材に結合しており、このステッピングモータの回転により形状検査装置420が昇降するように構成されている。
そして、このステッピングモータの回転位置を検出することで、円盤421を含む形状検査装置420全体が移動した距離を算出することができる。
【0095】
従って、全ての接触式測定子422が接触を検出した際のステッピングモータの回転位置を検出し、さらに、接触式測定子422が検査対象物に接触して可変部422aが縮んだ長さを検出することによって、各接触式測定子がそれぞれ接触した部位の位置を算出することができる。
【0096】
以下、ハニカム構造体の検査装置401を用いて、ハニカム構造体の形状を検査する方法について説明する。
ハニカム構造体の検査装置401を用いて、ハニカム構造体の形状検査を行う際には、まず、ハニカム構造体の検査に先立ち、図10(a)に示すように、標準サンプルSを用いて0点を補正する。
ここで、0点補正とは、基準面と接触式測定子422とを含む測定系において、基準面に対する接触式測定子の原点位置を決定する操作である。
なお、基準面とはハニカム構造体を載置する面、即ち、構造体載置面である。
【0097】
標準サンプルSとしては、その端面同士が平行であり、端面間の長さ(高さ)がL0であるように校正されている柱形状のサンプルを用いる。
0点補正の手順としては、まず、図10(a)に示すように、標準サンプルSの一方の端面をハニカム構造体用載置台301に載置する。
次いで、標準サンプルSの他方の端面に全ての接触式測定子422を接触させて、各接触式測定子が接触した部位の位置を算出する。
この際、基準面と各接触式測定子422との間隔は全てL0となるので、この位置を各接触式測定子422の原点位置として記録する。
以上の手順によって、形状検査装置420の0点補正を行う。
【0098】
続いて、検査対象物であるハニカム構造体について形状検査を行う。
まず、標準サンプルSに代えて、図10(b)に示すように、検査対象物であるハニカム構造体130の一方の端面をハニカム構造体用載置台301に載置する。
次いで、形状検査装置420を下降させて接触式測定子422をハニカム構造体130の他方の端面(ハニカム構造体用載置台に接した側と反対側の端面)に接触させる。この際、上記端面よりも高い位置から形状検査装置420を徐々に下降させて、全ての接触式測定子422を上記端面に接触させる。
そして、全ての接触式測定子422が上記端面と接触した際の各接触式測定子422の基準面からの距離Lは、原点位置から形状検査装置420が移動した距離をX、接触式測定子が縮んだ長さをYとすると、L=(L0−X+Y)となる。
このLを各接触式測定子422それぞれについて算出し、記録する。
このようにして算出したLを、各接触式測定子が接触した位置におけるハニカム構造体の長手方向の長さということとする。
【0099】
さらに、上記手順で算出した各接触式測定子が接触した位置におけるハニカム構造体の長手方向の長さLから、端面の平行度及び位置度を測定することができる。
なお、上記平行度とは、測定子が接触する側の各ハニカム構造体の端面の全てが、ある平面に平行な二平面の間に存在するように挟んだときの上記二平面の間隔であり、また、上記位置度とは、ある平面と平行な基準平面であって、ある平面から所定値(例えば、長手方向の長さを複数計測したときのそれらの平均値等)の分だけ離れた位置にある基準平面を設定したとき、この基準平面に対して対称な平行二平面の間に、測定子が接触する側の各ハニカム構造体の端面の全てが存在するように挟んだときの、平行二平面の間隔である(JIS B 0621参照)。
【0100】
本発明のハニカム構造体の検査装置は、上記レーザ光を用いた形状検査装置及び上記接触式測定子を用いた形状検査装置の両者を備えており、レーザ光を用いてハニカム構造体の最大径等を測定すると同時に、接触式測定子を用いてハニカム構造体の長手方向の長さ等を測定することができるように構成されていてもよい。
【0101】
次に、上記熱画像法を用いた欠陥検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置について説明する。
上記熱画像法は、ハニカム構造体に適当な方法で温度場を与えながら、サーモグラフィによってハニカム構造体表面の温度分布を測定し、その温度分布を表示する画像から欠陥の有無を判定する方法であり、この方法では、ハニカム構造体の表面欠陥を検出することができる。
【0102】
上記熱画像法を用いた欠陥検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置は、本発明のハニカム構造体用載置台と、温度場を与えるための機構及び温度分布を測定及び表示するためのサーモグラフィからなる欠陥検査装置とを備えている。
上記温度場を与えるための機構は特に限定されるものではなく、例えば、ヒーターや冷却管、熱風吹き付け装置や、冷風吹き付け装置等が挙げられる。
これらの温度場を与えるための機構は、本発明のハニカム構造体用載置台に配設されていてもよいし、別途配設されていてもよい。
【0103】
そして、このような本発明のハニカム構造体の検査装置において、熱画像法によりハニカム構造体の欠陥を検査する場合には、ハニカム構造体用載置台にハニカム構造体を載置した後、上記ハニカム構造体に温度場を与えながら、サーモグラフィによってその表面の温度分布を測定すればよい。これにより、ハニカム構造体の表面欠陥の有無を検査することができる。
【0104】
次に、上記浸透探傷検査を用いた欠陥検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置について説明する。
上記浸透探傷検査は、ハニカム構造体の表面(主に側面)に浸透液を塗布、噴霧等することにより、その表面欠陥中に浸透液を浸透させ、ハニカム構造体の表面に付着した余計な浸透液を洗浄、除去した後に、現像剤を適用し、可視的に明瞭に強調された欠陥による浸透指示模様から表面欠陥の有無を判定する検査であり(JIS Z 2343−1〜JIS Z 2343−4参照)、この検査では、ハニカム構造体の表面欠陥を検出することができる。
【0105】
上記浸透探傷検査としては、染色浸透探傷検査や蛍光浸透探傷検査を用いることができ、上記染色浸透探傷検査では、ハニカム構造体の表面に欠陥が存在すると、現像剤を適用した際に、ハニカム構造体の表面に存在する欠陥の部位に着色模様が形成されることとなり、その模様からハニカム構造体の表面欠陥の有無を検査することができる。また、上記蛍光浸透探傷検査では、ハニカム構造体の表面に欠陥が存在すると、ハニカム構造体の表面に紫外線等の励起光を照射した際に、欠陥が存在する部位に蛍光模様が発現することとなり、その模様からハニカム構造体の表面欠陥の有無を検査することができる。なお、蛍光浸透探傷検査では、場合によっては現像処理を省略してもよい。
【0106】
なお、ハニカム構造体は、主に多孔質セラミックからなるものであるため、このハニカム構造体の検査装置で検査対象となるハニカム構造体は、その側面に緻密なコート層が形成されているハニカム構造体であり、欠陥の有無を検査する対象部位は、上記コート層の表面となる。
【0107】
上記浸透探傷検査を用いた欠陥検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置は、本発明のハニカム構造体用載置台とともに、浸透液供給機構、浸透液除去機構及び現像液供給機構を有する浸透探傷検査装置を備えている。
また、浸透探傷検査として、蛍光浸透探傷検査を行う場合には、浸透探傷検査装置は、さらにブラックライト等の励起光光源を備えている。
【0108】
そして、このような本発明のハニカム構造体の検査方法において、上記染色浸透探傷検査によりハニカム構造体の欠陥を検査する場合には、ハニカム構造体用載置台にハニカム構造体を載置した後、まず、ハニカム構造体の側面に浸透液の噴霧等を行い、続いて、余分な浸透液(ハニカム構造体の表面欠陥に浸透しなかった浸透液)を除去し、さらに、現像剤により現像処理を行い、最後に目視観察等によりハニカム構造体の側面の模様を観察することによりハニカム構造体の表面欠陥の有無を検査することができる。
また、上記蛍光浸透探傷検査を行う場合には、余分な浸透液の除去までを上記染色浸透探傷検査と同様の方法で行い、必要に応じて、上記現像処理を行なった後、さらに、紫外線等の励起光をハニカム構造体の側面に照射することにより、ハニカム構造体の表面に蛍光模様を発現させ、それを目視等により観察する。
これにより、ハニカム構造体の表面欠陥の有無を検査することができる。
【0109】
また、本発明のハニカム構造体の検査装置は、検査手段として拡大顕微鏡等を備えたものであってもよい。本発明のハニカム構造体の検査装置がハニカム構造体用載置台とともに拡大顕微鏡等を備えていると、上記拡大顕微鏡等を用いた目視検査により、ハニカム構造体の外部形状を検査することができる。
【0110】
また、本発明のハニカム構造体の検査装置は、検査手段としてハニカム構造体の端面全体又は所定の一部のセルに光を照射するための光源と受光部を備えたものであってもよい。このようなハニカム構造体の検査装置を用いると、セルの目封じされていない側の端部からセル内に光を入射して、セルの目封じされた側の端部(以下、封止部ともいう)から外部に漏れる光を受光部で検出することにより、ハニカム構造体の外部形状である封止部の形状を検査することができる。
【0111】
また、本発明のハニカム構造体の検査装置は、検査手段としてハニカム構造体の内部形状を検査するための装置を備えていてもよい。
内部形状を検査するための手段としては、例えば、音響信号法を用いた欠陥検査装置等を用いることができる。これを用いた場合には、ハニカム構造体の内部形状を検査することができる。
【0112】
上記音響信号法を用いた欠陥検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置について説明する。
上記音響信号法は、ハニカム構造体に入射され、ハニカム構造体を伝播した音響信号の情報に基づいてハニカム構造体の内部欠陥を検査する方法であり、この方法では、ハニカム構造体の欠陥部分を音響信号が伝播した場合、欠陥部分を伝播した音響信号は、欠陥のない部分を伝播した音響信号に対し変質したものとなるため、欠陥の有無の情報を有する音響信号を情報処理装置によって処理することで、ハニカム構造体の欠陥を検出することができる。
【0113】
上記音響信号法を用いた欠陥検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置は、本発明のハニカム構造体用載置台と、音響信号をハニカム構造体に入射する発信側探触子と、ハニカム構造体を伝播した音響信号を受信する受信側探触子と、上記受信側探触子で受信した音響信号情報処理に基づいて欠陥の有無を判別する情報処理装置とからなる欠陥検査装置とを備えている。
【0114】
そして、このような本発明のハニカム構造体の検査装置において、音響信号法によりハニカム構造体の欠陥を検査する場合には、ハニカム構造体用載置台にハニカム構造体を載置した後、上記発信側探触子から受信側探触子に音響信号を発信し、上記受信側探触子で受信した音響信号の情報を上記情報処理装置で処理することにより、ハニカム構造体の内部欠陥の有無を判別する。これにより、ハニカム構造体の内部欠陥の有無を検査することができる。
【0115】
本発明のハニカム構造体の検査装置は、以上説明したように、レーザ光や接触式測定子を用いた形状検査装置、熱画像法や浸透探傷検査を用いた欠陥検査装置等の上記ハニカム構造体の外部形状を検査する検査手段や、音響信号法を用いた欠陥検査装置等の上記ハニカム構造体の内部形状を検査する検査手段を備えたものであるが、本発明のハニカム構造体の検査装置では、これらの検査手段を1つのみ備えていてもよく、2つ以上備えていてもよい。
また、本発明のハニカム構造体の検査装置は、ハニカム構造体の内部形状及び外部形状のうちのいずれか一方を検査するものであってもよいし、両方を検査するものであってもよい。
【0116】
また、本発明のハニカム構造体の検査装置は、これまで説明したようなハニカム構造体の外部形状や内部形状を検査する検査装置として用いることができるほか、製造工程途中のハニカム構造体の外部形状及び内部形状の少なくとも一方を検査する検査装置、又は、触媒を付与する前又は付与した後のハニカム構造体の機能を評価する評価装置としても用いることができる。
【0117】
製造工程途中のハニカム構造体の形状を検査するための検査装置の一例としては、上述したような封止部の形状を検査するための検査装置等を挙げることができ、また、ハニカム構造体の機能を評価する評価装置の一例としては、ハニカム構造体のセルにガスを流通させて、上記セルへの入口側と出口側における上記ガスの圧力を測定して、その差圧(圧力損失)を算出することにより排ガス浄化フィルタとしての機能を備えているかを確認することのできる評価装置等を挙げることができる。
【0118】
また、本発明のハニカム構造体の検査装置は、本発明のハニカム構造体用載置台を備えており、既に説明したように、上記ハニカム構造体用載置台は、上記予備載置面が上記構造体載置面より上方に位置する状態で、上記ハニカム構造体を支持し、
さらに、上記昇降機構が上記予備載置面を少なくとも上記構造体載置面まで下降させることにより上記ハニカム構造体を上記構造体載置面に載置し、
上記昇降機構が上記ハニカム構造体を支持しない状態の予備載置面を、少なくとも上記構造体載置面より上方に位置する状態まで再び上昇させることが望ましい。
また、上記ハニカム構造体の検査装置において、上記ハニカム構造体の端面と上記予備載置面の外周形状とは、相似形であることが望ましい。
また、本発明のハニカム構造体の検査装置においては、上記予備載置面がドーナツ形状であり、
上記予備載置面の中央部にも上記構造体載置面が配置されることが望ましい。
また、上記ハニカム構造体の検査装置は、上記予備載置部材の下部に、上記予備載置面の重心を中心として放射状方向、かつ、等間隔に取り付けられた脚部を備え、
上記脚部と上記昇降機構とが連動することにより、上記予備載置部材が上下動することが望ましい。
【0119】
このように、本発明のハニカム構造体の検査装置は、本発明のハニカム構造体用載置台を備えているため、上記ハニカム構造体の検査装置にハニカム構造体を載置する際には、ハニカム構造体の端面外周に強い衝撃を加えることなくハニカム構造体の端面外周を構造体載置面に接触させてハニカム構造体を構造体載置面上に載置することができる。
従って、本発明のハニカム構造体の検査装置によると、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラック等を発生させることなく、ハニカム構造体の形状検査を行うことができる。
【0120】
次に、本発明のハニカム構造体用載置台に載置するハニカム構造体について説明する。
上記ハニカム構造体は、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体を焼成したハニカム焼成体からなるものであればよく、その具体例としては、例えば、既に図11、12(a)、(b)に示したハニカム構造体130等が挙げられる。
【0121】
図11は、このようなハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図であり、図12(a)は、上記ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、図12(b)は、そのA−A線断面図である。
【0122】
ハニカム構造体130では、図12に示すようなハニカム焼成体140がシール材層(接着剤層)131を介して複数個結束されてセラミックブロック133を構成し、さらに、このセラミックブロック133の外周にシール材層(コート層)132が形成されている。
また、ハニカム焼成体140は、図12に示すように、長手方向(図12(a)中、矢印aの方向)に多数のセル141が並設され、セル141同士を隔てるセル壁143がフィルタとして機能するようになっている。
【0123】
即ち、ハニカム焼成体140に形成されたセル141は、図12(b)に示すように、排ガスの入口側又は出口側の端部のいずれかが封止材層142により目封じされる。一のセル141に流入した排ガスは、必ずセル141を隔てるセル壁143を通過した後、他のセル141から流出するようになっており、排ガスがこのセル壁143を通過する際、パティキュレートがセル壁143部分で捕捉され、排ガスが浄化される。
【0124】
また、上記ハニカム構造体は、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム成形体を焼成し、得られたハニカム焼成体がシール材層(接着剤層)を介して複数個結束されたハニカム構造体(図11、12(a)、(b)参照)に限定されず、例えば、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体を焼成して得られる一のハニカム焼結体からなる柱状のハニカム構造体であってもよい。
なお、本明細書において、前者のハニカム焼成体がシール材層(接着剤層)を介して複数個結束されたハニカム構造体を集合型ハニカム構造体、後者の一のハニカム焼結体からなる柱状のハニカム構造体を一体型ハニカム構造体という。
【0125】
また、上記ハニカム構造体の形状は、図11に示したハニカム構造体130のような円柱形状に限定されず、任意の形状の底面を有する柱形状であればよい。その具体的な形状は、円柱形状以外に、例えば、三角柱形状、四角柱形状、六角柱形状の多角柱形状、楕円柱形状、長円柱形状等が挙げられる。
また、上記ハニカム構造体のセルの形状は、ハニカム構造体130のように、必ずしも一様である必要はなく、端部の形状や大きさが異なる2種類以上のセルを備えていてもよい。
【0126】
また、上記ハニカム構造体は、ハニカム構造体130のように、必ずしもセルのいずれか一方の端部が封止されていなくてもよい。即ち、セルの両端部がともに外部に開放されていてもよい。
なお、セルのいずれか一方の端部が封止されたハニカム構造体は、ハニカムフィルタとして好適に使用することができ、セルの両端部が開放されたハニカム構造体は、触媒担体として好適に使用することができる。
【0127】
また、上記ハニカム構造体の構成材料の主成分としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等が挙げられる。
これらのなかでは、非酸化物セラミックが好ましく、炭化ケイ素が特に好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導率等に優れるからである。なお、上述したセラミックに金属ケイ素を配合したケイ素含有セラミック、ケイ素やケイ酸塩化合物で結合されたセラミック等のセラミック原料も構成材料として挙げられ、これらのなかでは、炭化ケイ素に金属ケイ素が配合されたもの(ケイ素含有炭化ケイ素)が望ましい。
特に、上記集合型ハニカム構造体の構成材料の主成分としては、上記炭化ケイ素や上記ケイ素含有炭化ケイ素が望ましく、上記一体型ハニカム構造体の構成材料の主成分としては、コージェライトやチタン酸アルミニウムが望ましい。
【0128】
次に、上記ハニカム構造体の製造方法について工程順に説明する。
ここでは、構成材料の主成分が炭化ケイ素のハニカム構造体を製造する場合を例に説明する。なお、最初に集合型ハニカム構造体の製造方法について説明する。
まず、平均粒子径の異なる炭化ケイ素粉末等の無機粉末と有機バインダとを乾式混合して混合粉末を調製するとともに、液状の可塑剤と潤滑剤と水とを混合して混合液体を調製し、続いて、上記混合粉末と上記混合液体とを湿式混合機を用いて混合することにより、成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
【0129】
上記炭化ケイ素粉末の粒径は特に限定されないが、後の焼成工程で収縮の少ないものが好ましく、例えば、0.3〜50μmの平均粒径を有する粉末100重量部と0.1〜1.0μmの平均粒径を有する粉末5〜65重量部とを組み合わせたものが好ましい。
ハニカム焼成体の気孔径等を調節するためには、焼成温度を調節する必要があるが、炭化ケイ素粉末の粒径を調節することにより、気孔径を調節することができる。
【0130】
上記有機バインダとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらのなかでは、メチルセルロースが望ましい。
上記バインダの配合量は、無機粉末100重量部に対して、1〜10重量部が望ましい。
【0131】
上記可塑剤としては特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。
また、上記潤滑剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。
潤滑剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
なお、可塑剤、潤滑剤は、場合によっては、混合原料粉末に含まれていなくてもよい。
【0132】
また、上記湿潤混合物を調製する際には、分散媒液を使用してもよく、上記分散媒液としては、例えば、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられる。
さらに、上記湿潤混合物中には、成形助剤が添加されていてもよい。
上記成形助剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられる。
【0133】
さらに、上記湿潤混合物には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
上記バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等を挙げることができる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
【0134】
また、ここで調製した、炭化ケイ素粉末を用いた湿潤混合物は、その温度が28℃以下であることが望ましい。温度が高すぎると、有機バインダがゲル化してしまうことがあるからである。
また、上記湿潤混合物中の有機分の割合は10重量%以下であることが望ましく、水分の含有量は8.0〜20.0重量%であることが望ましい。
【0135】
上記湿潤混合物は、調製後搬送され、成形機に投入されることとなる。
上記搬送装置で搬送された湿潤混合物を押出成形機に投入した後は、押出成形により所定の形状のハニカム成形体とする。
次に、上記ハニカム成形体を、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させ、乾燥させたハニカム成形体とする。
【0136】
次いで、必要に応じて、入口側セル群の出口側の端部、及び、出口側セル群の入口側の端部に、封止材となる封止材ペーストを所定量充填し、セルを目封じする。このセルの目封じの際には、ハニカム成形体の端面(即ち、切断工程後の切断面)に目封じ用のマスクを当てて、目封じの必要なセルにのみ封止材ペーストを充填する。
【0137】
上記封止材ペーストとしては特に限定されないが、後工程を経て製造される封止材の気孔率が30〜75%となるものが望ましく、例えば、上記湿潤混合物と同様のものを用いることができる。
【0138】
上記封止材ペーストの充填は、必要に応じて行なえばよく、上記封止材ペーストを充填した場合には、例えば、後工程を経て得られたハニカム構造体をセラミックフィルタとして好適に使用することができ、上記封止材ペーストを充填しなかった場合には、例えば、後工程を経て得られたハニカム構造体を触媒担持体として好適に使用することができる。
【0139】
次に、上記封止材ペーストが充填されたハニカム成形体を、所定の条件で脱脂(例えば、200〜500℃)に次いで、焼成(例えば、1400〜2300℃)することにより、全体が一の焼成体から構成され、複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、かつ、上記セルのいずれか一方の端部が封止されたハニカム焼成体(図12(b)参照)を製造することができる。
なお、上記ハニカム成形体の脱脂及び焼成の条件は、従来から多孔質セラミックからなるフィルタを製造する際に用いられている条件を適用することができる。
【0140】
次に、ハニカム焼成体の側面に、シール材層(接着剤層)となるシール材ペーストを均一な厚さで塗布してシール材ペースト層を形成し、このシール材ペースト層の上に、順次他のハニカム焼成体を積層する工程を繰り返し、所定の大きさのハニカム焼成体の集合体を作製する。
【0141】
上記シール材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機繊維及び/又は無機粒子とからなるもの等が挙げられる。
上記無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機バインダのなかでは、シリカゾルが望ましい。
【0142】
上記有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記有機バインダのなかでは、カルボキシメチルセルロースが望ましい。
【0143】
上記無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等のセラミックファイバー等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機繊維のなかでは、アルミナファイバが望ましい。
【0144】
上記無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等を挙げることができ、具体的には、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素からなる無機粉末等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れる炭化ケイ素が望ましい。
【0145】
さらに、上記シール材ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
上記バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等を挙げることができる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
【0146】
次に、このハニカム焼成体の集合体を加熱してシール材ペースト層を乾燥、固化させてシール材層(接着剤層)とする。
次に、ダイヤモンドカッター等を用い、ハニカム焼成体がシール材層(接着剤層)を介して複数個接着されたハニカム焼成体の集合体に切削加工を施し、円柱形状のセラミックブロックを作製する。
【0147】
そして、セラミックブロックの外周に上記シール材ペーストを用いてシール材層(コート材層)を形成することで、ハニカム焼成体がシール材層(接着剤層)を介して複数個接着された円柱形状のセラミックブロックの外周部にシール材層(コート材層)が設けられたハニカム構造体とすることができる。
【0148】
また、上記ハニカム構造体の製造方法では、この後、必要に応じて、ハニカム構造体に触媒を担持させてもよい。また、上記触媒の担持は、集合体を作製する前のハニカム焼成体に行ってもよい。
触媒を担持させる場合には、ハニカム構造体の表面に高い比表面積のアルミナ膜を形成し、このアルミナ膜の表面に助触媒、及び、白金等の触媒を付与することが望ましい。
【0149】
上記ハニカム構造体の表面にアルミナ膜を形成する方法としては、例えば、Al(NO3)3等のアルミニウムを含有する金属化合物の溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法、アルミナ粉末を含有する溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
上記アルミナ膜に助触媒を付与する方法としては、例えば、Ce(NO3)3等の希土類元素等を含有する金属化合物の溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
上記アルミナ膜に触媒を付与する方法としては、例えば、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液([Pt(NH3)2(NO2)2]HNO3、白金濃度4.53重量%)等をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
また、予め、アルミナ粒子に触媒を付与して、触媒が付与されたアルミナ粉末を含有する溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法で触媒を付与してもよい。
【0150】
ここまで説明したハニカム構造体の製造方法は、集合型ハニカム構造体の製造方法である。
以下、一体型ハニカム構造体の製造方法について説明する。
【0151】
このような一体型ハニカム構造体を製造する場合は、まず、押出成形により成形するハニカム成形体の大きさが、集合型ハニカム構造体を製造する場合に比べて大きい以外は、集合型ハニカム構造体を製造する場合と同様の方法を用いて、ハニカム成形体を作製する。
【0152】
次に、集合型ハニカム構造体の製造と同様に、上記ハニカム成形体を、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させる。
次いで、乾燥させたハニカム成形体の両端部を切断する切断工程を行なう。
【0153】
次に、入口側セル群の出口側の端部、及び、出口側セル群の入口側の端部に、封止材となる封止材ペーストを所定量充填し、セルを目封じする。
その後、集合型ハニカム構造体の製造と同様に、脱脂、焼成を行なうことによりセラミックブロックを製造し、必要に応じて、シール材層(コート材層)の形成を行なうことにより、一体型ハニカム構造体を製造することができる。また、上記一体型ハニカム構造体にも、上述した方法で触媒を担持させてもよい。
【0154】
このようにして製造したハニカム構造体は、本発明のハニカム構造体用載置台に載置するハニカム構造体となり、また、本発明のハニカム構造体の検査装置における検査対象となる。
【実施例】
【0155】
以下に実施例を掲げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
本実施例では、まず、下記の方法によりハニカム構造体を作製し、そのハニカム構造体を実施例1〜6及び比較例1〜3の手法により検査した。
【0156】
(ハニカム構造体の製造)
平均粒径10μmのα型炭化ケイ素粉末250kgと、平均粒径0.5μmのα型炭化ケイ素粉末100kgと、有機バインダ(メチルセルロース)20kgとを混合し、混合粉末を調製した。
次に、別途、潤滑剤(日本油脂社製 ユニルーブ)12kgと、可塑剤(グリセリン)5kgと、水65kgとを混合して液体混合物を調製し、この液体混合物と混合粉末とを湿式混合機を用いて混合し、湿潤混合物を調製した。
【0157】
次に、搬送装置を用いて、この湿潤混合物を押出成形機に搬送し、押出成形機の原料投入口に投入した。
そして、押出成形により、セルの端部が封止されていないこと以外は、図12(a)、(b)に示した形状と同様の形状の成形体を作製した。
【0158】
次に、マイクロ波乾燥機等を用いて上記成形体を乾燥させた後、上記湿潤混合物と同様の組成の封止材ペーストを所定のセルに充填した。
次いで、再び乾燥機を用いて乾燥させた後、400℃で脱脂し、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間で焼成を行なうことにより、気孔率が40%、平均気孔径が12.5μm、その大きさが34.3mm×34.3mm×254mm、セルの数(セル密度)が46.5個/cm2、セル壁の厚さが0.20mmの炭化ケイ素焼結体からなるハニカム焼成体を製造した。
【0159】
平均繊維長20μmのアルミナファイバ30重量%、平均粒径0.6μmの炭化ケイ素粒子21重量%、シリカゾル15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含む耐熱性のシール材ペーストを用いてハニカム焼成体を多数接着させ、さらに、120℃で乾燥させ、続いて、ダイヤモンドカッターを用いて切断することにより、シール材層(接着剤層)の厚さ1mmの円柱形状のセラミックブロックを作製した。
【0160】
次に、無機繊維としてシリカ−アルミナファイバ(平均繊維長100μm、平均繊維径10μm)23.3重量%、無機粒子として平均粒径0.3μmの炭化ケイ素粉末30.2重量%、無機バインダとしてシリカゾル(ゾル中のSiO2の含有率:30重量%)7重量%、有機バインダとしてカルボキシメチルセルロース0.5重量%及び水39重量%を混合、混練してシール材ペーストを調製した。
【0161】
次に、上記シール材ペーストを用いて、ハニカムブロックの外周部に厚さ0.2mmのシール材ペースト層を形成した。そして、このシール材ペースト層を120℃で乾燥して、外周にシール材層(コート層)が形成された直径143.8mm×長さ254mmの円柱形状のハニカム構造体を作製した。
【0162】
(実施例1)
上記手順で作製したハニカム構造体100個について、図3〜6に示したハニカム構造体用載置台301を備えるとともに、レーザ光を用いた形状検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置(図9(a)〜(c)参照)を用いてハニカム構造体の外部形状を検査した。
【0163】
ハニカム構造体用載置台301の具体的な構成は以下の通りである。
載置部材302は、上面に予備載置部材用溝部310及び脚部用溝部311を有する円板状で、上面の直径が250mmである。従って、構造体載置面302aがハニカム構造体の端面の外周全体と接する形状である。
予備載置部材303は、ドーナツ形状で、その幅が15mm、外側の円周の直径が100mm、内側の円周の直径が70mmである。これは、予備載置面303aをハニカム構造体の端面と重ね合わせると、その外周全体がハニカム構造体の端面の外周より内側に存在する形状である。また、予備載置部材303の上面は平坦化されており、予備載置面303aと構造体載置面302aは平行になるように設置されている。また、予備載置部材303はフッ素樹脂からなっている。
脚部304は、5本の脚部が等間隔で予備載置部材の下部に固定されている。従って、隣接する脚部のなす角は、全て72°である。
また、昇降機構を上下動させるためのシリンダとして4個のエアシリンダ309を備えている。
【0164】
具体的な検査手順としては、まず、予備載置面303aが構造体載置面302aより上方に位置する状態で予備載置面303aでハニカム構造体を支持し、さらに、昇降機構により予備載置面303aを構造体載置面302aまで下降させて、ハニカム構造体を構造体載置面302a上に載置した。この際、予備載置面の下降速度は30mm/sであった。
【0165】
その状態で図9(a)に示したようなレーザ光照射装置411a、411bからレーザ光を照射装置の前面に対する角度90°で照射して、レーザ光受光装置412a、412bに届いた光の幅を測定した。
この際、ハニカム構造体を断続的に回転させながら測定を行って、ハニカム構造体の端面の最大径(直径)を算出した。
また、1回転(360°回転)させた後は、測定する部分の高さを変えて、1つのハニカム構造体につき5通りの高さについて測定した。
この測定結果よりハニカム構造体の最大径(直径)、真円度及び直角度を算出した。
【0166】
(実施例2)
実施例1と同様のハニカム構造体用載置台301を備えるともに、接触式測定子を用いた形状検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置(図10(a)〜(c)参照)を用いて、ハニカム構造体の外部形状を検査した。なお、本実施例では、ハニカム構造体100個を検査対象とした。
【0167】
具体的には、実施例1と同様にしてハニカム構造体をハニカム構造体用載置台301に載置した後、図10(a)〜(c)に示したような複数の接触式測定子422を備えた形状検査装置420を用いてハニカム構造体の長手方向の長さ、端面の平行度及び位置度を測定した。
具体的には、ハニカム構造体の端面において、一のハニカム構造体の端面が占める領域ごとに一の接触式測定子422が割り当てられるようにして、ハニカム構造体の長さ等を測定した。
【0168】
(実施例3)
実施例1と同様のハニカム構造体用載置台301を備えるとともに、上記熱画像法を用いた欠陥検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置を用いて、その外部形状を検査した。なお、本実施例では、ハニカム構造体100個を検査対象とした。
【0169】
具体的には、実施例1と同様にしてハニカム構造体をハニカム構造体用載置台301上に載置した後に、ハニカム構造体に向かって100℃に加熱した熱風を5分間吹きつけた。
熱風の吹きつけを停止した後に、熱風を吹きつけた面をサーモグラフィの測定面に向けてその測定画像を観察し、温度分布が不連続になっている点及び線の有無を判別して、表面欠陥の有無を検査した。
【0170】
(実施例4)
実施例1と同様のハニカム構造体用載置台301を備えるとともに、染色浸透探傷検査を用いた欠陥検査装置を備えた検査装置を用いてその外部形状を検査した。なお、本実施例では、ハニカム構造体100個を検査対象とした。
【0171】
具体的には、まず実施例1と同様にしてハニカム構造体をハニカム構造体用載置台301上に載置した。
次に、ハニカム構造体に向けて赤色浸透液をスプレー噴霧し、15分放置し、続いて、ハニカム構造体に付着した余計な赤色浸透液を水洗して除去した。
最後に、現像剤として白色粉末懸濁液をスプレー噴霧して、表面に赤色が表出するかを観察し、ハニカム構造体の表面欠陥の有無を検査した。
【0172】
(実施例5)
実施例1と同様のハニカム構造体用載置台301を備えるとともに、蛍光浸透探傷検査を用いた欠陥検査装置を備えた検査装置を用いてその外部形状を検査した。なお、本実施例では、ハニカム構造体100個を検査対象とした。
【0173】
具体的には、まず実施例1と同様にしてハニカム構造体をハニカム構造体用載置台301上に載置した。
次に、ハニカム構造体に向けて蛍光液をスプレー噴霧し、30分放置し、続いて、ハニカム構造体に付着した余計な蛍光液を水洗して除去した。
最後に、検査装置を設置した部屋を暗室としたうえで、ハニカム構造体にブラックライトを照射して蛍光を発光させて、その発光模様を観察してハニカム構造体の表面欠陥の有無を検査した。
【0174】
(実施例6)
実施例1と同様のハニカム構造体用載置台301を備えるとともに、音響信号法を用いた欠陥検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置を用いてその内部形状を検査した。なお、本実施例では、ハニカム構造体100個を検査対象とした。
【0175】
具体的には、まず実施例1と同様にしてハニカム構造体をハニカム構造体用載置台301上に載置した。
次に、上記内部欠陥検査装置に設けられた発信側探触子から音響信号をハニカム構造体に入射し、ハニカム構造体中を伝播した音響信号を受信側探触子に受信させ、受信した音響信号の情報を情報処理装置で処理して欠陥の有無を判定した。
このような判定を両探触子を移動させながら連続的に行い、ハニカム構造体中の内部欠陥の有無を検査した。
【0176】
(実施例7)
図7(a)、(b)及び図8(a)、(b)に示したハニカム構造体用載置台331を備えるとともに、レーザ光を用いた形状検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置を用いてハニカム構造体の外部形状を検査した。従って、本実施例で使用したハニカム構造体の検査装置は、載置部材が上下動することとなる。
なお、本実施例では、ハニカム構造体100個を検査対象とした。また、検査手段は、実施例1と同一である。
【0177】
ハニカム構造体用載置台331の具体的な構成は以下の通りである。
載置部材332は、上面に予備載置部材用溝部及び脚部用溝部を有する円板状で、上面の直径が250mmである。従って、構造体載置面332aがハニカム構造体の端面の外周全体と接する形状である。
また、載置部材332は、その底面に取り付けられた金属プレート336と一体化しており、さらに、金属プレート336の底面には、シリンダプレート337及びロッド338を通じて4個のエアシリンダ339が取り付けられている。
予備載置部材333は、ドーナツ形状で、その幅が15mm、外側の円周の直径が100mm、内側の円周の直径が70mmである。これは、予備載置面333aをハニカム構造体の端面と重ね合わせると、その外周全体がハニカム構造体の端面の外周より内側に存在する形状である。また、予備載置部材333の上面は平坦化されており、予備載置面333aと構造体載置面332aは平行になるように設置されている。また、予備載置部材333はフッ素樹脂からなっている。
また、予備載置部材333は、5本の脚部334を介して固定脚335により、所定の高さに設置されている。なお、5本の脚部334は、等間隔で予備載置部材の下部に固定されており、隣接する脚部のなす角は、全て72°である。
【0178】
具体的な検査手順としては、まず、予備載置面333aが構造体載置面332aより上方に位置する状態で予備載置面333aでハニカム構造体を支持し、さらに、昇降機構により構造体載置面332aを予備載置面333aまで上昇させて、ハニカム構造体を構造体載置面332a上に載置し、その後、実施例1と同様の手順により、ハニカム構造体の最大径(直径)、真円度及び直角度を算出した。
【0179】
(比較例1)
以下の構成のハニカム構造体用載置台を備えるとともに、レーザ光を用いた形状検査装置を備えたハニカム構造体の検査装置を用いて、実施例1と同様の方法でハニカム構造体の外部形状を検査した。なお、本比較例では、ハニカム構造体100個を検査対象とした。
【0180】
本比較例では、ハニカム構造体用載置台として、その形状が矩形環形状で、環の幅が15mm、外側の長辺の長さが150mm、短辺の長さが100mmの予備載置部材を備えたものを用いた。この予備載置部材では、予備載置面をハニカム構造体の端面と重ね合わせると、予備載置面の外周の一部がハニカム構造体の端面の外周より外側に存在することとなる。
また、上記予備載置部材の上面は平坦化されており、予備載置面と構造体載置面は平行になるように設置されている。また、予備載置部材はフッ素樹脂からなっている。
さらに、上記ハニカム構造体用載置台では、脚部は、予備載置部材の4辺のそれぞれ中心で、予備載置部材の下部に固定されており、その形状は実施例1で用いたハニカム構造体用載置台301の脚部と同一である。
また、上記ハニカム構造体用載置台が備える載置部材は、その上面の形状が直径250mmの円形であり、予備載置部材用溝部及び脚部用溝部の形状は、上記予備載置部材及び上記脚部の平面視形状と略同一形状である。
その他、シャフト、金属プレート、シリンダプレート、シリンダの構成は、実施例1で用いたハニカム構造体用載置台301と同一である。
【0181】
本比較例では、ハニカム構造体の端面の重心と予備載置面の重心とが略一致するように、ハニカム構造体を予備載置面上で支持した。この際、予備載置部材の上面の一部が、ハニカム構造体の端面外周と接触していた。
その後、実施例1と同様にして、昇降機構により予備載置面を構造体載置面まで下降させて、ハニカム構造体を構造体載置面上に載置し、さらに、実施例1と同様にしてハニカム構造体の外部形状の検査を行い、最大径(直径)、真円度及び直角度を算出した。
【0182】
(比較例2)
以下の構成のハニカム構造体用載置台を備えるとともに、レーザ光照射装置及び受光装置を備えたハニカム構造体の検査装置を用いて、実施例1と同様の方法で、ハニカム構造体の外部形状を検査した。なお、本比較例では、ハニカム構造体100個を検査対象とした。
【0183】
本比較例では、ハニカム構造体用載置台として、実施例1で使用したハニカム構造体用載置台301と略同一の構成を有するものの、予備載置部材の上面が、予備載置部材の底面に対し3°傾斜した形状である点で構成が異なるハニカム構造体用載置台を使用した。
従って、このハニカム構造体用載置台では予備載置面が、構造体載置面に対して3°傾斜していることとなる。
【0184】
本比較例では、ハニカム構造体を予備載置面上で支持し、続いて昇降機構により予備載置面を下降させてハニカム構造体を構造体載置面に接触させて載置した。この際、ハニカム構造体の端面外周が最初に一点で構造体載置面と接触していた。
【0185】
その後は実施例1と同様にしてハニカム構造体の外部形状の検査を行い、最大径(直径)、真円度及び直角度を算出した。
【0186】
(比較例3)
その上面の形状が直径250mmの円形状であり、厚みが10mmのステンレス(SUS)製の平板からなるハニカム構造体用載置台と、レーザ光を用いた形状検査装置とを備えたハニカム構造体の検査装置を用いてハニカム構造体の外部形状を検査した。なお、本比較例では、ハニカム構造体100個を検査対象とした。
【0187】
本比較例では、上記ハニカム構造体をその端面を下にして、上記平板上にハニカム構造体を載置し、その後、実施例1と同様にしてハニカム構造体の外部形状の検査を行い、最大径(直径)、真円度及び直角度を算出した。
【0188】
(検査結果)
実施例1〜7及び比較例1〜3におけるハニカム構造体の検査では、検査方法に応じた各検査項目(ハニカム構造体の長さ、真円度、直角度、表面欠陥の有無、内部欠陥の有無)を検査することができた。
しかしながら、検査終了後、ハニカム構造体をハニカム構造体用載置台から取り上げ、ハニカム構造体用載置台と接触していたハニカム構造体の端面(主に、端面の外周部分)を目視観察したところ、以下のような結果となった。
【0189】
即ち、実施例1〜7に係る検査においては、検査終了後、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラックが発生していなかった。
これに対し、比較例1に係る検査においては4個のハニカム構造体で(発生率:4%)、比較例2に係る検査においては8個のハニカム構造体で(発生率:8%)、比較例3に係る検査においては9個のハニカム構造体で(発生率:9%)、ハニカム構造体の端面外周に欠け又はクラックが観察された。
【0190】
この理由について、比較例1ではハニカム構造体の端面外周が予備載置部材と最初に1点で接触し、比較例2では、ハニカム構造体の端面外周が載置部材と最初に一点で接触し、比較例3では、ハニカム構造体の端面外周が平板と最初に一点で接触するため、それぞれの接触の際に、ハニカム構造体の端面外周に強い衝撃が加わることがあり、その結果、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラックが発生したものと考えられる。
これに対し、実施例1〜7では、ハニカム構造体を予備載置面で支持する際に、ハニカム構造体の端面外周に強い衝撃が加わることがなく、載置部材に載置する際には、ハニカム構造体の端面外周全体が略同時に載置部材の上面に接触するため、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラックが発生しなかったものと考えられる。
このことから、本発明のハニカム構造体用載置台を備えた検査装置では、ハニカム構造体の端面外周に欠けやクラックを発生させることなくハニカム構造体の形状検査をすることができることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】図1(a)、(b)は、予備載置面がドーナツ形状である本発明のハニカム構造体用載置台にハニカム構造体を載置する様子を模式的に示す断面図であり、図1(a)には、予備載置面が構造体載置面より上方に位置してハニカム構造体を支持する状態を示し、図1(b)は、予備載置面が構造体載置面より下方に位置してハニカム構造体が構造体載置面上に載置されている状態を示す。
【図2】図2は、予備載置面が円形である本発明のハニカム構造体用載置台にハニカム構造体を載置する様子を模式的に示す断面図であり、図2(a)には、予備載置面が構造体載置面より上方に位置してハニカム構造体を支持する状態を示し、図2(b)は、予備載置面が構造体載置面より下方に位置してハニカム構造体が構造体載置面上に載置されている状態を示す。
【図3】図3(a)は、本発明のハニカム構造体用載置台の一例を模式的に示す斜視図であり、図3(b)は、(a)に示したハニカム構造体用載置台のB−B線断面図である。なお、図3(a)、(b)には、予備載置面が構造体載置面より上方に位置する状態を示す。
【図4】図4は、図3(a)、(b)に示したハニカム構造体用載置台を構成する載置部材を示す斜視図である。
【図5】図5は、図3(a)、(b)に示したハニカム構造体用載置台を構成する予備載置部材及び昇降機構を示す斜視図である。
【図6】図6(a)は、図3(a)、(b)に示したハニカム構造体用載置台において、予備載置面が下降した状態を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は、図6(a)に示したハニカム構造体用載置台のC−C線断面図である。
【図7】図7(a)は、本発明のハニカム構造体用載置台の別の一例を模式的に示す斜視図であり、図7(b)は、図7(a)に示したハニカム構造体用載置台のD−D線断面図である。
【図8】図8(a)は、図7(a)に示したハニカム構造体用載置台において、予備載置面が構造体載置面と同一平面をなす状態を模式的に示す斜視図であり、図8(b)は、図7(a)に示したハニカム構造体用載置台のE−E線断面図である。
【図9】図9(a)は、レーザ光を用いた形状検査装置を備えた本発明のハニカム構造体の検査装置の一例を模式的に示す正面図であり、図9(b)は、図9(a)に示したハニカム構造体の検査装置を用いて円柱形状のハニカム焼成体を検査する様子を模式的に示す上面図であり、図9(c)は、図9(b)と同様、図9(a)に示したハニカム構造体の検査装置を用いて楕円柱形状のハニカム構造体を検査する様子を模式的に示す上面図である。
【図10】図10は、接触式測定子を用いた形状検査装置の一例を模式的に示す概念図であり、図10(a)は、この形状検査装置を用いて接触式測定子の0点を補正している様子を示す正面図であり、図10(b)は、実際にハニカム構造体の外部形状を検査している様子を示す正面図である。図10(c)は、図10(b)においてFで示す部分の拡大断面図である。
【図11】図11は、ハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
【図12】図12(a)は、上記ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、図12(b)は、そのA−A線断面図である。
【図13】図13は、ハニカム構造体が平板形状の台に載置される様子を模式的に表した断面図である。
【符号の説明】
【0192】
130 ハニカム構造体
301、331、1301、2301 ハニカム構造体用載置台
302、332、1302、2302 載置部材
302a、332a、1302a、2302a 構造体載置面
303、333、1303、2303 予備載置部材
303a、333a、1303a、2303a 予備載置面
304、334 脚部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハニカム構造体の外周を含む端面全体と接する構造体載置面を有する載置部材と、
前記ハニカム構造体が前記載置部材に先がけて載置される予備載置面を有する予備載置部材と、
前記予備載置部材を前記載置部材に対して相対的に上下動させる昇降機構とを備え、
前記予備載置面は、前記構造体載置面と平行であり、
前記予備載置面と前記ハニカム構造体の端面とを重ね合わせた場合、前記予備載置面の形状は、外周全体が前記ハニカム構造体の端面の外周より内側に存在しうるような形状であることを特徴とするハニカム構造体用載置台。
【請求項2】
前記予備載置面が前記構造体載置面より上方に位置する状態で前記ハニカム構造体を支持し、
さらに、前記昇降機構が前記予備載置面を少なくとも前記構造体載置面まで下降させることにより前記ハニカム構造体を前記構造体載置面に載置し、
前記予備載置面が、前記ハニカム構造体を支持しない状態で、前記昇降機構により少なくとも前記構造体載置面より上方に位置する状態まで再び上昇する請求項1に記載のハニカム構造体用載置台。
【請求項3】
前記ハニカム構造体の端面と前記予備載置面の外周形状とは、相似形である請求項1又は2に記載のハニカム構造体用載置台。
【請求項4】
前記予備載置面がドーナツ形状であり、
前記予備載置面の中央部にも前記構造体載置面が配置される請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体用載置台。
【請求項5】
前記予備載置部材の下部に、前記予備載置面の重心を中心として放射状方向、かつ、等間隔に取り付けられた脚部を備え、
前記脚部と前記昇降機構とが連動することにより、前記予備載置部材が上下動する請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体用載置台。
【請求項6】
ハニカム構造体の外周を含む端面全体と接する構造体載置面を有する載置部材と、
前記ハニカム構造体が前記載置部材に先がけて載置される予備載置面を有する予備載置部材と、
前記予備載置部材を前記載置部材に対して相対的に上下動させる昇降機構と、
前記載置部材に載置された前記ハニカム構造体の外部形状及び内部形状のうち、少なくとも一方を検査する検査手段とを備え、
前記予備載置面は、前記構造体載置面と平行であり、
前記予備載置面と前記ハニカム構造体の端面とを重ね合わせた場合、前記予備載置面の形状は、外周全体が前記ハニカム構造体の端面の外周より内側に存在しうるような形状であるハニカム構造体の検査装置。
【請求項7】
前記予備載置面が前記構造体載置面より上方に位置する状態で前記ハニカム構造体を支持し、
さらに、前記昇降機構が前記予備載置面を少なくとも前記構造体載置面まで下降させることにより前記ハニカム構造体を前記構造体載置面に載置し、
前記昇降機構が前記ハニカム構造体を支持しない状態の予備載置面を、少なくとも前記構造体載置面より上方に位置する状態まで再び上昇させる請求項6に記載のハニカム構造体の検査装置。
【請求項8】
前記ハニカム構造体の端面と前記予備載置面の外周形状とは、相似形である請求項6又は7に記載のハニカム構造体の検査装置。
【請求項9】
前記予備載置面がドーナツ形状であり、
前記予備載置面の中央部にも前記構造体載置面が配置される請求項6〜8のいずれかに記載のハニカム構造体の検査装置。
【請求項10】
前記予備載置部材の下部に、前記予備載置面の重心を中心として放射状方向、かつ、等間隔に取り付けられた脚部を備え、
前記脚部と前記昇降機構とが連動することにより、前記予備載置部材が上下動する請求項6〜9のいずれかに記載のハニカム構造体の検査装置。
【請求項11】
前記検査手段は、前記ハニカム構造体の外部形状を検査し、
前記外部形状は、前記ハニカム構造体の長手方向の長さ、最大径、真円度、直角度、平行度及び位置度のうち、少なくとも1つである請求項6〜10のいずれかに記載のハニカム構造体の検査装置。
【請求項1】
ハニカム構造体の外周を含む端面全体と接する構造体載置面を有する載置部材と、
前記ハニカム構造体が前記載置部材に先がけて載置される予備載置面を有する予備載置部材と、
前記予備載置部材を前記載置部材に対して相対的に上下動させる昇降機構とを備え、
前記予備載置面は、前記構造体載置面と平行であり、
前記予備載置面と前記ハニカム構造体の端面とを重ね合わせた場合、前記予備載置面の形状は、外周全体が前記ハニカム構造体の端面の外周より内側に存在しうるような形状であることを特徴とするハニカム構造体用載置台。
【請求項2】
前記予備載置面が前記構造体載置面より上方に位置する状態で前記ハニカム構造体を支持し、
さらに、前記昇降機構が前記予備載置面を少なくとも前記構造体載置面まで下降させることにより前記ハニカム構造体を前記構造体載置面に載置し、
前記予備載置面が、前記ハニカム構造体を支持しない状態で、前記昇降機構により少なくとも前記構造体載置面より上方に位置する状態まで再び上昇する請求項1に記載のハニカム構造体用載置台。
【請求項3】
前記ハニカム構造体の端面と前記予備載置面の外周形状とは、相似形である請求項1又は2に記載のハニカム構造体用載置台。
【請求項4】
前記予備載置面がドーナツ形状であり、
前記予備載置面の中央部にも前記構造体載置面が配置される請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体用載置台。
【請求項5】
前記予備載置部材の下部に、前記予備載置面の重心を中心として放射状方向、かつ、等間隔に取り付けられた脚部を備え、
前記脚部と前記昇降機構とが連動することにより、前記予備載置部材が上下動する請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体用載置台。
【請求項6】
ハニカム構造体の外周を含む端面全体と接する構造体載置面を有する載置部材と、
前記ハニカム構造体が前記載置部材に先がけて載置される予備載置面を有する予備載置部材と、
前記予備載置部材を前記載置部材に対して相対的に上下動させる昇降機構と、
前記載置部材に載置された前記ハニカム構造体の外部形状及び内部形状のうち、少なくとも一方を検査する検査手段とを備え、
前記予備載置面は、前記構造体載置面と平行であり、
前記予備載置面と前記ハニカム構造体の端面とを重ね合わせた場合、前記予備載置面の形状は、外周全体が前記ハニカム構造体の端面の外周より内側に存在しうるような形状であるハニカム構造体の検査装置。
【請求項7】
前記予備載置面が前記構造体載置面より上方に位置する状態で前記ハニカム構造体を支持し、
さらに、前記昇降機構が前記予備載置面を少なくとも前記構造体載置面まで下降させることにより前記ハニカム構造体を前記構造体載置面に載置し、
前記昇降機構が前記ハニカム構造体を支持しない状態の予備載置面を、少なくとも前記構造体載置面より上方に位置する状態まで再び上昇させる請求項6に記載のハニカム構造体の検査装置。
【請求項8】
前記ハニカム構造体の端面と前記予備載置面の外周形状とは、相似形である請求項6又は7に記載のハニカム構造体の検査装置。
【請求項9】
前記予備載置面がドーナツ形状であり、
前記予備載置面の中央部にも前記構造体載置面が配置される請求項6〜8のいずれかに記載のハニカム構造体の検査装置。
【請求項10】
前記予備載置部材の下部に、前記予備載置面の重心を中心として放射状方向、かつ、等間隔に取り付けられた脚部を備え、
前記脚部と前記昇降機構とが連動することにより、前記予備載置部材が上下動する請求項6〜9のいずれかに記載のハニカム構造体の検査装置。
【請求項11】
前記検査手段は、前記ハニカム構造体の外部形状を検査し、
前記外部形状は、前記ハニカム構造体の長手方向の長さ、最大径、真円度、直角度、平行度及び位置度のうち、少なくとも1つである請求項6〜10のいずれかに記載のハニカム構造体の検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−298763(P2008−298763A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234301(P2007−234301)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
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