説明

ハロゲン化メタロセン化合物の製造方法

ジアルキル誘導体と、式R3xTLw(式中、Lは塩素、ヨウ素または臭素であり;R3は水素または炭化水素基であり;Tは元素の周期率表の2−14族の金属であり;x≧1であるため、x+wは金属Tの酸化状態に等しい)のハロゲン化剤と反応させる工程からなるハロゲン化メタロセン化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度で高収率なハロゲン化メタロセン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メタロセン化合物は、オレフィン類の重合用の触媒成分として、技術的に良く知られている。例えば、ヨーロッパ特許出願第EP0129368号は、モノ−およびジ−シクロペンタジエニル配位錯体と、アルモキサンと結合した遷移金属からなる触媒を開示している。
【0003】
これらのメタロセン化合物の中で、中心金属は、通常はシクロペンタジエニル基である、1以上のπ結合した配位子と、および1以上のシグマ結合した配位子と配位している。後者は通常はハロゲンであり、好ましくは塩素である。ジハロゲン化メタロセン化合物の通常の製造方法においては、配位子のリチウム塩は、金属の四ハロゲン化物と接触される。この方法は、通常の溶媒中ではジハロゲン化メタロセン化合物の溶解性が低いため、分離が難かしい副生物であるLiClを生成し、この方法の収率は多くの場合満足できない。
【0004】
例えば、F.Wildらは、配位子がエチレンで架橋されたキラル アンサ−ジルコノセン誘導体の合成を記載している(J.Organomet.Chem.,288:63−67,1985)。特に、ビス(1−インデニル)エタンのジリチウム塩とZrCl4の反応による、エチレン−ビス(1−インデニル)ジルコニウムウジクロリドの製造が収率約35%で報告されている。
【0005】
I.M.Leeらにより、より良好な結果が得られていて、彼らはエチレン−ビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリドを52%の収率で製造した(Organometallics,11:2115−2122,1992)。
【0006】
別の例がPolyhedron 1990,9,301に見られ、そこではビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドの合成が、インデンと四塩化ジルコニウムから出発して、最終収率58%と報告されている。
【0007】
WO02/083699号においては、モノハライドまたはジハライド化合物を高収率で得るため、ジアルキルメタロセン化合物が、HClのようなハロゲン化剤、遷移金属ハロゲン化物、BCl3などで処理されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
異なるハロゲン化剤を使用することで、この工程の収率を一層高めることができることが、今見出された。
【0009】
こうして、第1の見地によれば、本発明は、式(II):
(Cp)(ZR1mn(A)rML’p (II)
(式中、
Cp、Z、R1、A、M、L’、m、rおよびnは、下記と同じ意味を有し;かつ、
pは、金属Mの酸化状態から1+rを引いたものに等しく;好ましくは、pは2である)
の化合物を、式(II)の化合物の金属Mに対して、少なくともp−t等量の、式(III):
3xTLw (III)
【0010】
(式中、
Lは、下記と同じ意味を有し;
3は、水素、または直鎖もしくは分枝鎖の、飽和もしくは不飽和のC1−C20アルキル、C3−C20シクロアルキル、C6−C20アリール、C7−C20アルキルアリールまたはC7−C20アリールアルキル基であり;好ましくは、R3はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、フェニルまたはベンジルであり;より好ましくは、R3はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルまたはイソブチルであり;
【0011】
Tは、元素の周期律表の2−14族の金属であり;好ましくは、Tは元素の周期律表の11−14族の金属である;より好ましくは、Tはアルミニウム、亜鉛、スズ、ゲルマニウムまたは銅であり;
x≧1かつw≧1であるため、x+wは金属Tの酸化状態に等しく;好ましくは、xは1である)
のハロゲン化剤、または式(III)の化合物を含有する付加物と接触させることからなる、
【0012】
式(I):
(Cp)(ZR1mn(A)rMLyL’t (I)
(式中、
(ZR1mnは、Cp基とA基を橋架けする二価の基であり;ZはC、Si、Ge、NまたはPであり、R1基は、互いに同一または異なって、水素、または任意に元素の周期律表の13−17族に属する1以上のヘテロ原子を含有していてもよい、直鎖もしくは分枝鎖の、飽和もしくは不飽和のC1−C20アルキル、C3−C20シクロアルキル、C6−C20アリール、C7−C20アルキルアリールまたはC7−C20アリールアルキル基であって、または2個のR1が、置換基をもつことができる脂肪族または芳香族のC4−C7環を形成することができ;
【0013】
Cpは、任意に元素の周期律表の13−17族に属する1以上のヘテロ原子を含有していてもよい、4から6個の炭素原子を含む、非置換もしくは置換の、飽和、不飽和もしくは芳香族の1以上の環と任意に縮合していてもよい、非置換もしくは置換のシクロペンタジエニル基であり;
【0014】
Aは、O、S、NR2またはPR2であり、R2は、水素、直鎖もしくは分枝鎖の、飽和もしくは不飽和のC1−C20アルキル、C3−C20シクロアルキル、C6−C20アリール、C7−C20アルキルアリールまたはC7−C20アリールアルキルであり、またはAは、Cpと同じ意味を有し;
【0015】
Mは、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり;
L置換基は、互いに同一または異なって、好ましくは同じで、塩素、臭素、ヨウ素であり、好ましくは塩素であり;
【0016】
L’は、水素、または任意に1以上のSiまたはGe原子を含有していてもよい、直鎖もしくは分枝鎖の、飽和もしくは不飽和のC1−C20アルキル、C3−C20シクロアルキル、C6−C20アリール、C7−C20アルキルアリールまたはC7−C20アリールアルキル基であり、;好ましくは、L’はメチル、エチル、n−ブチル、sec−ブチル、フェニル、ベンジルまたは−CH2Si(CH33であり;より好ましくは、L’はメチルであり;
【0017】
mは、Zの酸化状態に依存して1または2であり、より具体的にはZがNまたはPのとき、それは1であり、ZがC、SiまたはGeのとき、それは2であり;
nは、0、1、2、3または4であり、好ましくは、それは0、1または2であり;rが0または2のときは0であり;
rは、0、1または2であり、好ましくは0または1であり;より好ましくは、rは1であり;
yは、1、2または3であり;好ましくは、yは2であり;かつtは0、1または2であり;好ましくは、tは0であり;y+tの和は金属Mの酸化状態から1+rを引いたものに等しい)
のハロゲン化メタロセン化合物の製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
式(II)の化合物は、例えばWO99/36427号、WO00/75151号およびWO03/057705号に記載されているような公知の方法に従って製造することができる。
【0019】
また、本発明の方法は、式(I)の化合物をWO99/36427号、WO00/75151号およびWO03/057705号に従って製造し、次いで、単離せずに、本発明の方法に従って前記化合物をハロゲン化する、「ワンポット」工程の最終段階であることができる。
【0020】
従って、本発明の更なる目的は、次の段階:
a)式(Y−Cp)(ZR1mn(A−Y)rの配位子、またはnが0のとき、配位子Y−Cpとr(A−Y)の混合物と、Cpに対してEQ≧1+rモル等量であり、好ましくは1+r≦EQ≦4+rであるような量EQの式L’jBまたはL’MgL'''(式中、Cp、A、Z、R1、m、n、rおよびL’は、上に報告した意味を有し;L'''は、塩素、臭素、ヨウ素からなる群から選択され;基Yは、互いに同一または異なって、適当な脱離基であり;Mgは、マグネシウムであり;Bは、アルカリまたはアルカリ土類金属であり;かつjは、1または2であり、Bがアルカリ金属のとき、jは1に等しく、Bがアルカリ土類金属のとき、jは2に等しい)の化合物を反応させ;
【0021】
b)前の段階で得られた生成物と、Cpに対して少なくとも1モル等量の式ML''4(式中、Mは、上記で報告された意味を有し、L''は、塩素、臭素、ヨウ素からなる群から選択される)の化合物を反応させ;
c)任意にその混合物を精製し、そしてメソおよびラセミ体を分離し;そして
d)前の段階で得られた混合物と、金属Mに対して少なくともy等量の式(III):
3xTLw (III)
(式中、R3、T、L、xおよびwは上記されている)
のハロゲン化剤を反応させる
からなる、式(I):
(Cp)(ZR1mn(A)rMLyL’t (I)
(式中、Cp、Z、R1、m、n、A、r、M、L、L’、tおよびyは、上記と同じ意味を有する)
のハロゲン化メタロセン化合物の製造方法である。
【0022】
本発明の好ましい実施態様によれば、上記の方法の全ての反応は、極性または非極性のどちらかの非プロトン性溶媒中で行なわれる。前記非プロトン性溶媒は、好ましくは、任意にハロゲン化されていてもよい、芳香族または脂肪族炭化水素、またはエーテルであり、より好ましくは、それはベンゼン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロベンゼン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0023】
使用されるハロゲン化剤の量は、化合物のタイプに依存する。本発明の目的にとっては、用語「ハロゲン化剤の等量」は、活性基Lの等量、つまり、式(III)の化合物の中の反応し得る基Lとみなされる。活性基Lの数は、wと同じかそれ以下である。いずれにせよ、過剰のハロゲン化剤を用いることもできる。
【0024】
Y脱離基は、好ましくは水素またはトリアルキルシリル基である。
ML''4反応物質は、好ましくはTiCl4、ZrCl4、HfCl4からなる群から選択される。それは、たとえば市場で簡単に入手可能なML''4のエーテル化合物錯体のような、安定化された誘導体の形でも用いることができる。
【0025】
化合物L’jBおよびL'''MgL’は、アルキル化剤である。好ましくは、L’はメチル、エチル、n−ブチル、sec−ブチル、フェニル、ベンジルおよび−CH2Si(CH33からなる群から選択される。より好ましくは、L’はメチルまたはブチルである。
化合物L’jBの中で、Bはアルカリまたはアルカリ土類金属、好ましくはLiまたはMgであり;jは既に報告したように1または2が可能である。
【0026】
化合物L'''MgL’(式中、Mgは、マグネシウムであり;L'''およびL’は上で報告した意味を有する)はグリニャール試薬である。L'''は好ましくは臭素またはヨウ素である。
本発明の方法の好ましい実施態様によれば、前記アルカリ化剤は、式L’jBの化合物、より好ましくはブチルリチウムまたはメチルリチウムである。
【0027】
好ましくは、上記の方法の段階a)は、二つの副次段階:
a−1)−10℃から70℃の間の温度で、式(Y−Cp)(ZRlmn(A−Y)rの配位子、またはnが0のとき、配位子Y−Cpとr(A−Y)の混合物と、EQがCpに対して約1+rモル等量であるような量EQの、式L’jBまたはL’MgL'''の化合物を反応させ;そして
a−2)その反応が完結した後、つまり1分から6時間に、好ましくは20分から5時間に、より好ましくは40分から5時間の範囲の時間に、さらに1+r≦EQ≦2+rであるような量EQの、式L’jBまたはL’MgL'''の化合物を添加する
で行なわれる。
【0028】
本発明の目的において、用語「約」は、該用語で引用される量が−15%から+15%の間で変化できることを意味する。
副次段階a−1)およびa−2)において用られるアルキル化剤は、同一または異なっていてもよい。例えば、ブチルリチウムまたは水素化ナトリウムを段階a−1)で用いることができ、メチルリチウムを段階a−2)で用いることができる。このことは、段階a−2)の置換基L’の選択に影響を与えることなく、段階a−1)において、より強力で、時にはより安価な試薬を用いることができるという長所を生み出す。
【0029】
好ましくは、式(I)の化合物の製造方法において、段階a)またはa−1)およびa−2)においては、アルキル化剤は、好ましくは上記の非プロトン性溶媒の中の1つの溶液の形で添加され、好ましくは滴下法である。
【0030】
段階b)におけるML''4との反応の前に、段階a)から得られた混合物は、好ましくは0℃から80℃の間、より好ましくは20℃から74℃の間からなる温度で加熱される。その後、化合物ML''4は、上記の非プロトン性溶媒の1つ、好ましくはペンタン、ヘキサン、ヘプタンまたはトルエンの溶液またはスラリー形態でスラリーの中に、素早く添加される。次いで、その反応混合物は、10分から36時間、より好ましくは1時間から18時間の範囲の時間、反応させてもよい。
【0031】
式(III)の化合物を添加するハロゲン化段階d)においては、温度は、−50℃から+150℃、好ましくは0℃から100℃、より好ましくは20℃から75℃の範囲である。ハロゲン化剤は一般に滴下法で添加され、次いで反応混合物は、好ましくは撹拌下に、1から6時間、より好ましくは2から3時間、−10℃から+80℃の間からなる温度で反応させてもよい。
【0032】
式(III)のハロゲン化剤の限定されない例は:MeAlCl2、EtAlCl2、Me2AlCl、MeZnCl、Et2AlCl、Et2AlCl・EtAlCl2、Me2AlCl・MeAlCl2、n−Pr2AlCl、n−PrAlCl2、n−Bu2AlCl、n−BuAlCl2、i−Pr2AlCl、i−PrAlCl2、i−Bu2AlCl、i−BuAlCl2Me2、GeCl2、Me2SnCl2、EtGeCl3、MeSnCl3、n−BuSnCl3、i−BuSnCl3(式中、Meはメチル基であり、Etはエチル基であり、n−Prはノルマルプロピル基であり、i−Prはイソプロピル基であり、n−Buはノルマルブチル基であり、i−Brはイソブチル基である)である。
【0033】
こうして得られた式(I)のメタロセン化合物は、従来公知の一般的な方法に従って単離される。
任意の段階c)において、反応混合物の精製は、好ましくは塩を除去するために、単に溶液をろ過することにより行なわれる。他の精製方式を用いることもでき、例えば不要な副生物を沈澱させ次いでろ過するために、適当な溶液が添加される。これらの段階では、公知の方法を用いてラセミおよびメソ体を分離すること(存在する場合)もできる。例えば、適当な溶媒を用いることで、一方の構造を沈澱させ、次いでろ過することができる。全ての操作は、不活性雰囲気下で行なわれる。
【0034】
式(I)および(II)のメタロセン類において、二価の橋掛け(ZR1mnは、CR12、(CR122、(CR123、SiR12、GeR12、NR1およびPR1(Rlは上で報告された意味を有する)からなる群から選択さる。より好ましくは、前記二価の橋掛けは、Si(CH32、SiPh2、CH2、(CH22、(CH23またはC(CH32である。
【0035】
変数mは、1または2であり;変数nは、0から4まで変動し、好ましくは1または2であり、n>1のとき、原子Zは、二価の橋掛け−CH2−O−、−CH2−S−およびCH2−Si(CH32−の中のように、互いに同一または異なる。n=0でr=1の場合、AはCpの意味のみを有する。
【0036】
式(I)のメタロセン類において、該金属Mとπ結合している配位子Cpは、好ましくはシクロペンタジエニル、モノ−、ジ−、トリ−およびテトラメチルシクロペンタジエニル;4−tert−ブチル−シクロペンタジエニル;4−アダマンチル−シクロペンタジエニル;インデニル;モノ−、ジ−、トリ−およびテトラメチルインデニル;2−メチル−4−フェニルインデニル(ここでフェニルはアルキル置換できる);2−イソプロピル−4−フェニルインデニル(ここでフェニルはアルキル置換できる);4,5,6,7−テトラヒドロインデニルフルオレニル;5,10−ジヒドロインデノ[1,2−b]インドール−10−イル;N−メチル−またはN−フェニル−5,10−ジヒドロインデノ[1,2−b]インドール−10−イル;5,6−ジヒドロインデノ[2,1−b]インドール−6−イル;N−メチル−またはN−フェニル−5,6−ジヒドロインデノ[2,1−b]インドール−6−イル;アザペンタレン−4−イル;チアペンタレン−4−イル;アザペンタレン−6−イル;チアペンタレン−6−イル;モノ−、ジ−およびトリ−メチル−アザペンタレン−4−イルおよび2,5−ジメチル−シクロペンタ[1,2−b:4,3−b’]−ジチオフェンからなる群から選択される。
基Aは、好ましくはCpと同じ意味を有するか、またはそれは、N−メチル、N−エチル、N−イソプロピル、N−ブチル、N−フェニル、N−ベンジル、N−シクロヘキシルおよびN−シクロドデシルである。
【0037】
より好ましくは、基Cpは、式(IV):
【化1】

【0038】
(式中、
a、Rb、Rc、RdおよびReは、互いに同一または異なって、水素原子、または任意に元素の周期律表の13−17族に属するヘテロ原子を含有していてもよい、直鎖もしくは分枝鎖の、飽和もしくは不飽和のC1−C40−アルキル、C3−C40−シクロアルキル、C6−C40−アリール、C7−C40−アルキルアリールまたはC7−C40−アリールアルキル基であって;また、2個の隣接するRa、Rb、Rc、RdおよびReは、任意に元素の周期律表の13−16族に属するヘテロ原子を含有していてもよい、1以上の縮合した、飽和もしくは不飽和の5または6員環を形成でき、該環は、C1−C20−アルキルまたはC6−C20−アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリール基をもつことができ;また、Reは、式(IV)の基と橋掛け基(ZRlmnを結ぶ一重結合であることができる)
の基である。
【0039】
式(I)のメタロセン化合物は、好ましくは式(V):
【化2】

【0040】
(式中、
M、LおよびR1は上で報告した意味を有し;
4は、互いに同一または異なって、水素原子、または任意に元素の周期律表の13−17族に属するヘテロ原子を含有していてもよい、直鎖もしくは分枝鎖の、飽和もしくは不飽和のC1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールまたはC7−C20−アリールアルキル基であり;
【0041】
5、R6、R7、R8およびR9は、互いに同一または異なって、水素原子、または任意に元素の周期律表の13−17族に属するヘテロ原子を含有していてもよい、直鎖もしくは分枝鎖の、飽和もしくは不飽和の、C1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールまたはC7−C20−アリールアルキル基であって;また、2個の隣接するR5、R6、R7、R8およびR9は、任意に元素の周期律表の13−16族に属するヘテロ原子を含有していてもよい、1以上の縮合した、飽和もしくは不飽和の5または6員環を形成でき、該環は、C1−C40−アルキル基をもつことができ;
【0042】
好ましくはR4は、互いに同一または異なって、C1−C20−アルキル基であり;より好ましくは、2個のR4基は、互いに同一または異なって、メチル エチルまたはイソプロピル基であり;
6は、好ましくは、C1−C20−アルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アリールアルキル基であり;より好ましくは、R6はフェニルまたは、4−テトラブチル−フェニル基のような4−C1−C10アルキル置換フェニル基である)
のシリコン架橋掛けしたメタロセン化合物である。
【0043】
式(I)のメタロセン化合物の限定されない例は、次の化合物:
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;
ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド;
ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド;
ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド;
【0044】
ジメチルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−(4−t−ブチル−フェニル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイル(2−メチル−(4−t−ブチル−フェニル)インデニル)(2−イソプロピル−(4−t−ブチル−フェニル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2,4,7−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2,4,6−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイルビス(2,5,6−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチル(フェニル)シランジイルビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチル(フェニル)シランジイルビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0045】
1,3−プロピレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
1,3−プロピレンビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
1,3−プロピレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
1,3−プロピレンビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
1,3−プロピレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、
1,2−エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
1,2−エチレンビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
1,2−エチレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウジクロリド、
1,4−ブタンジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
1,2−エチレンビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
1,4−ブタンジイルビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
1,4−ブタンジイルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、
1,2−エチレンビス(2−メチル−4,5ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、
[4−(η5−シクロペンタジエニル)−4,6,6−トリメチル(η5−4,5−テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロリド、
[4−(η5−3’−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)−4,6,6−トリメチル(η5−4,5−テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロリド、
【0046】
(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタン−チタニウムジクロリド、
(メチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシリル−チタニウムジクロリド、
(メチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル−チタニウムジクロリド、
(tert−ブチルアミド)−(2,4−ジメチル−2,4−ペンタジエン−1−イル)ジメチルシリル−チタニウムジクロリド、
【0047】
ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
メチレン(3−メチル−シクロペンタジエニル)−7−(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン)ジルコニウムジクロリド;
メチレン(3−イソプロピル−シクロペンタジエニル)−7−(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン)ジルコニウムジクロリド;
メチレン(2,4−ジメチル−シクロペンタジエニル)−7−(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン)ジルコニウムジクロリド;
メチレン(2,3,5−トリメチル−シクロペンタジエニル)−7−(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン)ジルコニウムジクロリド;
メチレン−1−(インデニル)−7−(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン)ジルコニウムジクロリド;
メチレン−1−(インデニル)−7−(2,5−ジメチルシリルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン)ジルコニウムジクロリド;
メチレン−1−(3−イソプロピル−インデニル)−7−(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン)ジルコニウムジクロリド;
メチレン−1−(2−メチル−インデニル)−7−(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン)ジルコニウムジクロリド;
メチレン−1−(テトラヒドロインデニル)−7−(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン)ジルコニウムジクロリド;
【0048】
メチレン(2,4−ジメチル−シクロペンタジエニル)−7−(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジオキザゾール)ジルコニウムジクロリド;
メチレン(2,3,5−トリメチル−シクロペンタジエニル)−7−(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジオキザゾール)ジルコニウムジクロリド;
メチレン−1−(インデニル)−7−(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジオキザゾール)ジルコニウムジクロリド;
【0049】
イソプロピリデン(3−メチル−シクロペンタジエニル)−7−(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン)ジルコニウムジクロリド;
イソプロピリデン(2,4−ジメチル−シクロペンタジエニル)−7−(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン)ジルコニウムジクロリド;
イソプロピリデン(2,4−ジエチル−シクロペンタジエニル)−7−(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン)ジルコニウムジクロリド;
イソプロピリデン(2,3,5−トリメチル−シクロペンタジエニル)−7−(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン)ジルコニウムジクロリド;
イソプロピリデン−1−(インデニル)−7−(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン)ジルコニウムジクロリド;
イソプロピリデン−1−(2−メチル−インデニル)−7−(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン)ジルコニウムジクロリド;
【0050】
ジメチルシランジイル−1−(2−メチル−インデニル)−7−(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル−[1,2−b:4,3−b’]ジチオフェン)ハフニウムジクロリド;
ジメチルシランジイル(3−tert−ブチル−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイル(3−イソプロピル−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイル(3−メチル−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイル(3−エチル−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド;
1,2−エタン(3−tert−ブチル−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド;
1,2−エタン(3−イソプロピル−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド;
1,2−エタン(3−メチル−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド;
1,2−エタン(3−エチル−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド;
【0051】
ジメチルシランジイルビス−6−(3−メチルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(4−メチルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(4−イソプロピルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(4−tert−ブチルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(3−イソプロピルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
【0052】
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジメチル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジメチル−3−(2−メチルフェニル)シクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−[2,5−ジメチル−3−(2,4,6−トリメチルフェニル)シクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジメチル−3−メシチレンシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,4,5−トリメチル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジエチル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジイソプロピル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジtert−ブチル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジトリメチルシリル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]−チオフェン)ジルコニウムジクロリド;
【0053】
ジメチルシランジイルビス−6−(3−メチルシクロペンタジエニル−[1,2−b]シロール)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(3−イソプロピルシクロペンタジエニル−[1,2−b]シロール)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]シロール)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジメチル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]シロール)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−[2,5−ジメチル−3−(2−メチルフェニル)シクロペンタジエニル−[1,2−b]シロール]ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−[2,5−ジメチル−3−(2,4,6−トリメチルフェニル)シクロペンタジエニル−[1,2−b]シロール]ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,5−ジメチル−3−メシチレンシクロペンタジエニル−[1,2−b]シロール)ジルコニウムジクロリド;
ジメチルシランジイルビス−6−(2,4,5−トリメチル−3−フェニルシクロペンタジエニル−[1,2−b]シロール)ジルコニウムジクロリド;
【0054】
[ジメチルシリル(tert−ブチルアミド)][(N−メチル−1,2−ジヒドロシクロペンタ[2,1−b]インドール−2−イル)]チタニウムジクロリド;
[ジメチルシリル(tert−ブチルアミド)][(6−メチル−N−メチル−1,2−ジヒドロシクロペンタ[2,1−b]インドール−2−イル)]チタニウムジクロリド;
[ジメチルシリル(tert−ブチルアミド)][(6−メトキシ−N−メチル−1,2−ジヒドロシクロペンタ[2,1−b]インドール−2−イル)]チタニウムジクロリド;
[ジメチルシリル(tert−ブチルアミド)][(N−エチル−1,2−ジヒドロシクロペンタ[2,1−b]インドール−2−イル)]チタニウムジクロリド;
[ジメチルシリル(tert−ブチルアミド)][(N−フェニル−1,2−ジヒドロシクロペンタ[2,1−b]インドール−2−イル)]チタニウムジクロリド;
[ジメチルシリル(tert−ブチルアミド)][(6−メチル−N−フェニル−1,2−ジヒドロシクロペンタ[2,1−b]インドール−2−イル)]チタニウムジクロリド;
[ジメチルシリル(tert−ブチルアミド)][(6−メトキシ−N−フェニル−1,2−ジヒドロシクロペンタ[2,1−b]インドール2−イル)]チタニウムジクロリド;
[ジメチルシリル(tert−ブチルアミド)][(N−メチル−3,4−ジメチル−1,2−ジヒドロシクロペンタ[2,1−b]インドール−2−イル)]チタニウムジクロリド;
[ジメチルシリル(tert−ブチルアミド)][(N−エチル−3,4−ジメチル−1,2−ジヒドロシクロペンタ[2,1−b]インドール−2−イル)]チタニウムジクロリド;
[ジメチルシリル(tert−ブチルアミド)][(N−フェニル−3,4−ジメチル−1,2−ジヒドロシクロペンタ[2,1−b]インドール−2−イル)]チタニウムジクロリド
のラセミおよびメソ体(存在する時)、
同様に対応するチタンおよびハフニウム化合物、およびジブロマイドおよびジアイオダイド化合物である。
【0055】
本発明による方法は、従来公知の一般的な方法に対していくつかの長所がある。配位子から出発する全体の収率が、従来報告されているのものよりも一般に高い。また、ジハロゲン化またはモノハロゲン化生成物に対して形成される中間体アルキル化メタロセンの、より良好な溶解性のため、所望の生成物の精製がより容易である。さらに、前記中間体メタロセンの、より高い溶解性のため、この段階においてラセミおよびメソ体の分離も容易で、そのため実質的には純粋なラセミあるいはメソ体を最終生成物として分離することも容易である。
【0056】
本発明による方法で得られるメタロセン化合物は、アルモキサンのような適当な活性化剤、またはアルキルメタロセンカチオンを形成し得る化合物との組み合わせにより、オレフィンの重合用の触媒として用いることができる。特に、それらは、式CH2=CHR(式中、Rは、水素、またはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンのようなC1−C20アルキルである)のアルファ−オレフィンの単独または共重合に用いることができる。
【0057】
興味深い用途は、アイソタクティック、シンジオタクティックまたはアタクティックポリプロピレンの製造用である。別の興味深い用途は、エチレンと、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンのようなアルファ−オレフィンとの、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネンおよび4,6−ジメチル−1−ヘプテンのようなシクロオレフィンとの、または1,4−ヘキサジエン、イソプレン、1,3−ブタジエン、1,5−ヘキサジエンおよび1,6−ヘプタジエンのようなポリエンとの共重合用である。
また、それらはオレフィンのオリゴマー化または水素化反応に有利に用いられる。
【0058】
用いられるアルモキサンは、タイプ:
【化3】

(式中、U置換基は、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、任意にシリコンまたはゲルマニウム原子を含有していてもよい、C1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールまたはC7−C20−アリールアルキル基であり、但し少なくとも1つのUはハロゲンとは異なる)
の少なくとも1つの基を含有する、直鎖状、分枝鎖状または環状化合物と考えられている。
【0059】
特に、式:
【化4】

(式中、n1は、0または1から40までの整数であり、置換基Uは、上のように定義される)のアルモキサンは、直鎖状化合物の場合に用いることができ、または式:
【0060】
【化5】

(式中、n2は、2から40までの整数であり、U置換基は、上のように定義される)のアルモキサンは、環状化合物の場合に用いることができる。
【0061】
アルキルメタロセンカチオンを形成し得る化合物の非限定的な例は、式D+-(式中、D+は、プロトンを供与でき、かつ式(I)のメタロセンの置換基Xと不可逆的に反応できるブレンステッド酸であり、E-は、2つの化合物の反応が起源である活性触媒種を安定化することができ、オレフィンモノマーによって除去されるのに充分なだけ不安定な、対応するアニオンである)の化合物である。
好ましくは、アニオンE-は、1以上のホウ素原子を含有する。より好ましくは、アニオンE-は、式BAr4(-)(式中、置換基Arは一致するかまたは異なり、フェニル、ペンタフルオロフェニルまたはビス(トリフルオロメチル)フェニルのようなアリール基である)のアニオンである。WO91/02012号に記載されているように、テトラキス−ペンタフルオロフェニルボレートが特に適当な化合物である。
【0062】
また、式BAr3の化合物が好適に用いられる。このタイプの化合物は、例えば、国際公開特許出願第WO92/00333号に開示されている。アルキルメタロセンカチオンを形成し得る化合物の他の例は、式BAr3P(式中、Pは、置換されたまたは非置換のピロール基である)の化合物である。これらの化合物は、第WO01/62764号に記載されている。ホウ素原子を含有する化合物は、DE−A−19962814号およびDE−A−19962910号の開示に従って、好適に担持することができる。
【0063】
メタロセン化合物と、アルモキサンまたはアルキルメタロセンカチオンを形成し得る化合物の接触で形成される触媒成分は、シリカ、アルミナ、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体、ポリエチレンまたはポリプロピレンのような不活性担持体上で、特に気相重合における用途に好適に用いることができる。
【0064】
オレフィン重合工程は、任意に芳香族(例えば、トルエン)または脂肪族(例えば、プロパン、ヘキサン、ヘプタン、イソブタン、シクロヘキサンおよび2,2,4−トリメチルペンタン)のいずれかの不活性炭化水素溶媒の存在下、液相中で行なうことができる。その重合温度は、一般に約0℃から約250℃、好ましくは20から150℃の間である。
【実施例】
【0065】
以下の実施例は、説明の目的のために与えられ、限定の目的のためではない。
【0066】
一般的な手順と特徴付け
全ての操作は、通常のシュレンク−ライン手法を用いて、窒素下で行なった。N2で脱気し、活性化(8時間,窒素置換、300℃)Al23上を通過させることにより、溶媒を精製し、窒素下に貯蔵した。EtAlCl2(アルドリッチ)およびAlCl3(アルドリッチ)をそのまま用いた。
【0067】
配位子とメタロセンのプロトンスペクトルを、ブルッカー(Bruker)DPX200スペクトロメーターで、200.13MHzで室温で、フーリエ変換モードでの操作で得た。試料をCD2Cl2(アルドリッチ、99.5原子%D)または1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2(アクロス、99.5原子%D)に溶解させた。試料の調製を、一般的な不活性雰囲気手法を用いて、窒素下で行なった。1HスペクトルにおけるCHDCl2またはC2HDCl4の残留ピーク(それぞれ5.35ppmおよび5.95ppm)を、標準として使用した。15°パルスでパルス間遅延2秒により、プロトンスペクトルを蓄積した。
【0068】
ジメチルシランジイル[2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル][2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル]ジメチルジルコニウムを、PCT/EP02/14899号の実施例5に記載されているのと同じ方法に従って、ビス(2−メチル−インデン)ジメチルシランの代わりに、[2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル][2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル]ジメチルシランを用いて調製する。
【0069】
ジメチルシランジイルビス[2−メチル(4,5−ベンゾインデニル)]ジメチルジルコニウムを、PCT/EP02/14899号の実施例5に記載されているのと同じ方法に従って、ビス(2−メチル−インデニル)ジメチルシランの代わりに、ビス[2−メチル(4,5−ベンゾインデニル)]ジメチルシランを用いて調製する。
【0070】
実施例1
EtAlCl2の1.8Mトルエン溶液(アルドリッチ、6.3mL、11.34ミリモル、Al/Zr=2.17/1)を、室温で窒素雰囲気下に、50mLのシュレンクフラスコ中、20mLのトルエンに懸濁した、3.8gのジメチルシランジイル[2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル][2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル]ジメチルジルコニウムに、滴下法で添加した。添加の間に色が黄色からオレンジ−レッド色に変化した。次いで、反応混合物を60℃で40分加熱した:CD2Cl2中での1H NMR分析は、ジメチル錯体からジクロリド錯体(ラセミ/メソ=92/8)へのほとんど定量的な変換を示した。最終の懸濁液を、室温でG4ガラスフィルター上にろ過した:さらに残渣をトルエンで洗浄し、次いで真空中で乾燥し、3.9gのオレンジ色の粉末を得た。後者は、CD2Cl2中での1H NMR分析により、ジメチルシランジイル[2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル][2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル]ジルコニウムジクロリドという結果になった:単離収率97.2%。
【0071】
1H NMR(CD2Cl2,δ,ppm):1.07(d,3H,J=6.85Hz,CH3,ラセミ);1.15(d,3H,J=6.85Hz,CH3,ラセミ);1.22(d,3H,J=6.85Hz,CH3,メソ);1.32(s,3H,Me2Si,メソ);1.37,1.38(s,36H,t−Bu,ラセミおよびメソ);1.39,1.40(s,6H,Me2Si,ラセミ);1.48(d,3H,J=6.85Hz,CH3,メソ);1.54(s,3H,Me2Si,メソ);2.28(s,3H,2−CH3,ラセミ);2.41(s,3H,2−CH3,メソ);3.18−3.38(m,2H,J=6.85Hz,CH,ラセミおよびメソ);6.85−7.75(m,32H,Cp−HおよびAr,ラセミおよびメソ)。
【0072】
比較例1
塩化アルミニウム(アルドリッチ、99.9%、0.18g、MW=133.34、1.35ミリモル、Al/Zr=2.50/1)を、室温で窒素雰囲気下に、100mLのシュレンクフラスコ中、10mLのトルエンに懸濁した、0.39gのジメチルシランジイル[2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル][2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル]ジメチルジルコニウム(MW=728.26、0.54ミリモル)に、ゆっくり添加した。その反応混合物を40℃で2時間加熱した:CD2Cl2中での1H NMR分析は、ジメチル錯体からジクロリド錯体(ラセミ体/メソ体=56/44)への転換を示し、副生物の混在は確認されなかった。最終の懸濁液に60mLのトルエンを添加し、60℃に加熱し、この温度で15分間撹拌し、G4ガラスフィルター上にろ過した。残渣を廃棄し、一方ろ液を真空中で乾燥し、続いてエチルエーテルで処理した。得られた懸濁液を室温で15分間撹拌し、次いでG4ガラスフィルター上にろ過した:残渣を真空下で乾燥し、0.31gのオレンジ色の粉末を得た。後者は、CD2Cl2中での1H NMR分析により、ジメチルシランジイル[2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル][2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル]ジルコニウムジクロリド(ラセミ/メソ=56/44)という結果になった:単離収率74.7%。
【0073】
実施例2
EtAlCl2の1.8Mトルエン溶液(アルドリッチ、0.85mL、1.53ミリモル、Al/Zr=2.16/1)を、室温で窒素雰囲気下に、50mLのシュレンクフラスコ中、15mLのトルエンに懸濁した、0.38gのジメチルシランジイルビス[2−メチル(4,5−ベンゾインデニル)ジメチルジルコニウム(MW=535.92、0.71ミリモル)に、滴下法で添加した。反応混合物は室温で1時間撹拌した:CD2Cl2中での1H NMR分析は、ジメチル錯体からジクロリド錯体へのほとんど定量的な転換を示した。最終の懸濁液を、室温でG4ガラスフィルター上にろ過した:さらに残渣をトルエンで洗浄し、次いで真空下で乾燥し、0.38gの黄色の粉末を得た。後者は、CD2Cl2中での1H NMR分析により、ジメチルシランジイルビス[2−メチル−(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド(ラセミ/メソ=28/72)という結果になった:単離収率92.8%。
【0074】
1H NMR(CD2Cl2,δ,ppm):1.30(s,3H,Me2Si,メソ);1.39(s,6H,Me2Si,ラセミ);1.50(s,3H,Me2Si,メソ);2.39(s,6H,2−CH3,ラセミ);2.58(s,6H,2−CH3,メソ);7.14−8.00(m,28H,Cp−HおよびAr,ラセミおよびメソ)。
【0075】
比較例2
塩化アルミニウム(アルドリッチ、99.9%、0.27g、MW=133.34、2.02ミリモル、Al/Zr=2.77/1)を、室温で窒素雰囲気下に、150mLのシュレンクフラスコ中、15mLのトルエンに懸濁した、0.39gのジメチルシランジイルビス[2−メチル(4,5−ベンゾインデニル)]ジメチルジルコニウム(MW=535.92、0.73ミリモル)に、ゆっくり添加した。その反応混合物を室温下に1時間撹拌した:CD2Cl2中での1H NMR分析は、ジメチル錯体がジクロリド錯体(ラセミ/メソ=26/74)への転換を示し、副生成物の混在は確認されなかった。最終の懸濁液に80mLのトルエンを添加し、60℃に加熱し、この温度で30分間撹拌し、G4ガラスフィルター上にろ過した。ろ液を廃棄し、一方残渣をさらにトルエンで抽出し、真空中で乾燥した。続いて抽出物を20mLのエチルエーテルで処理した。得られた懸濁液を室温で20分間撹拌し、次いでG4ガラスフィルター上にろ過した:残渣を真空中で乾燥し、0.34gの黄色の粉末を得た。後者は、CD2Cl2中での1H NMR分析により、ジメチルシランジイルビス[2−メチル−(4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド(ラセミ/メソ=29/71)という結果になった。単離収率80.9%。
【0076】
実施例3「ワンポット」合成
MeLiの3.05Mジエトキシメタン溶液(ケムエタル(Chemetall)、11.2mL、34.16ミリモル、MeLi:配位子=2.08:1)を、室温で窒素雰囲気下に、500mLの反応容器中、60mLのTHFに、10.00gの[2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル][2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル]ジメチルシラン(GC−MSによる純度98.6%、Mw=608.98、16.42ミリモル)を溶解した液中に、滴下法で添加した。添加の最後に、反応混合物を、最終のオレンジ−レッド色の溶液の生成のために、2時間撹拌した。約1時間後、次いで追加のMeLiの3.05Mジエトキシメタン溶液(34.16ミリモル、MeLi:配位子=2.08:1)11.2mLを、室温で配位子のジリチウム塩に素早く添加した。同時に、無水THF(60mL)を、−20℃で窒素雰囲気下に、250mLのシュレンクフラスコ中、3.82gのZrCl4(アルドリッチ、MW233.03、16.39ミリモル、ZrCl4:配位子=1/1)に、ゆっくり添加した。添加の最後に、ZrCl4(THF)2を含有するスラリーを、室温まで加温し、1時間撹拌した。次いでZrCl4(THF)2スラリーを、MeLiを2倍過剰に含有した配位子溶液に、室温でゆっくり添加した。得られた反応混合物を、65℃に加熱し、この温度で12時間撹拌した。CD2Cl2中での1H NMR分析は、出発物の配位子からジメチル錯体へのほとんど定量的な転換を示した。
【0077】
次いで反応混合物を真空中で全容量の10%(約15mL)にまで濃縮した;ペンタン(約50mL)を添加し、得られた懸濁液を室温で15分間撹拌した。次いでそれを、粗混合物を連続的かつ効果的に撹拌可能な機械撹拌装置を備えたG4ガラスフィルター上にろ過した。フィル−上の残渣を、一度ペンタン(50mL)で洗浄し、一方ろ液を廃棄した。フィルター上の残渣を、60℃で撹拌下に約300mLのトルエンで処理し、次いで再びG4ガラスフィルター上にろ過し、ジメチル錯体(ろ液として)を分離した。EtAlCl2の1.8Mトルエン溶液(アルドリッチ、6.5mL、11.7ミリモル、Al/Zr=0.71/1)を、室温下に上記の溶液に滴下法で添加した。その反応混合物を65℃で1時間加熱した:CD2Cl2中での1H NMR分析は、ジメチル錯体からジクロリド錯体へのほとんど定量的な転換を示した。そのオレンジ−レッド色の懸濁液を全容量の10%(約30mL)にまで濃縮し、室温で、粗混合物を連続的かつ効果的に撹拌可能な機械撹拌装置を備えたG4ガラスフィルター上にろ過した。フィルター上の残渣を、一度トルエンで洗浄し、次いで真空中で乾燥し、オレンジ色の粉末を得た。後者は、CD2Cl2中での1H NMR分析により、[2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル][2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル]ジルコニウムジクロリドのラセミ/メソ混合物のという結果になった:Zrに基づく単離収率62.5%。
NMR溶媒に完全に溶解する試料を得るため、最終の粉末のさらなる1H NMR分析が、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2中でなされた。
【0078】
1H NMR(C22Cl4、δ、ppm)ラセミ異性体:0.99(d、3H、J=6.46Hz、CH3);1.09(d、3H、J=6.46Hz、CH3);1.30(s、18H、t−ブチル);1.31(bs、6H、Me2Si);2.22(s、3H、2−CH3);3.23(m、1H、J=6.46Hz、CH);6.96(d、2H、J=8.41Hz、CH);7.07(t、2H、J=7.83Hz、CH);7.28−7.64(m、12H、CH)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II):
(Cp)(ZR1mn(A)rML’p (II)
(式中、
Cp、Z、R1、A、M、L’、m、rおよびnは、下記と同じ意味を有し;かつ、
pは、金属Mの酸化状態から1+rを引いたものに等しい)
の化合物を、式(II)の化合物の金属Mに対して、少なくともp−t等量の、式(III):
3xTLw (III)
(式中、
Lは、下記と同じ意味を有し;
3は、水素、または直鎖もしくは分枝鎖の、飽和もしくは不飽和のC1−C20アルキル、C3−C20シクロアルキル、C6−C20アリール、C7−C20アルキルアリールまたはC7−C20アリールアルキル基であり;
Tは、元素の周期律表の2−14族の金属であり;
x≧1かつw≧1であるため、x+wは金属Tの酸化状態に等しい)
のハロゲン化剤と接触させることからなる、
式(I):
(Cp)(ZR1mn(A)rMLyL’t (I)
(式中、
(ZR1mnは、Cp基とA基を橋架けする二価の基であり;ZはC、Si、Ge、NまたはPであり、R1基は、互いに同一または異なって、水素、または任意に元素の周期律表の13−17族に属する1以上のヘテロ原子を含有していてもよい、直鎖もしくは分枝鎖の、飽和もしくは不飽和のC1−C20アルキル、C3−C20シクロアルキル、C6−C20アリール、C7−C20アルキルアリールまたはC7−C20アリールアルキル基であって、または2個のR1が、置換基をもつことができる脂肪族または芳香族のC4−C7環を形成することができ;
Cpは、任意に元素の周期律表の13−17族に属する1以上のヘテロ原子を含有していてもよい、4から6個の炭素原子を含む、非置換もしくは置換の、飽和、不飽和もしくは芳香族の1以上の環と任意に縮合していてもよい、非置換もしくは置換のシクロペンタジエニル基であり;
Aは、O、S、NR2またはPR2であり、R2は、水素、直鎖もしくは分枝鎖の、飽和もしくは不飽和のC1−C20アルキル、C3−C20シクロアルキル、C6−C20アリール、C7−C20アルキルアリールまたはC7−C20アリールアルキルであり、またはAは、Cpと同じ意味を有し;
Mは、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり;
L置換基は、互いに同一または異なって、塩素、臭素、ヨウ素であり;
L’は、水素、または任意に1以上のSiまたはGe原子を含有していてもよい、直鎖もしくは分枝鎖の、飽和もしくは不飽和のC1−C20アルキル、C3−C20シクロアルキル、C6−C20アリール、C7−C20アルキルアリールまたはC7−C20アリールアルキル基であり;
mは、Zの酸化状態に依存して1または2であり、より具体的にはZがNまたはPのとき、それは1であり、ZがC、SiまたはGeのとき、それは2であり;
nは、0、1、2、3または4であり、好ましくは、それは0、1または2であり;rが0または2のときは0であり;
rは、0、1または2であり;
yは、1、2または3であり;y+tの和は金属Mの酸化状態から1+rを引いたものに等しい)
のハロゲン化メタロセン化合物の製造方法。
【請求項2】
式(III)の化合物において、R3がメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、フェニルまたはベンジルであり;Tが元素の周期率表の11−14族の金属であり、かつxが1である請求項1による方法。
【請求項3】
式(III)の化合物において、Tがアルミニウム、亜鉛、スズ、ゲルマニウムまたは銅である請求項1または2による方法。
【請求項4】
置換基Lが同一で、かつそれらが塩素であり;L’がメチル、エチル、n−ブチル、sec−ブチル、フェニル、ベンジルまたは−CH2Si(CH33であり;rが1であり;yが2であり、tが0である請求項1〜3のいずれか1つによる方法。
【請求項5】
次の段階:
a)式(Y−Cp)(ZR1mn(A−Y)rの配位子、またはnが0のとき、配位子Y−Cpとr(A−Y)の混合物と、Cpに対してEQ≧1+rモル等量であるような量EQの式L’jBまたはL’MgL'''(式中、Cp、A、Z、R1、m、n、rおよびL’は、請求項1に記載の意味を有し;L'''は、塩素、臭素、ヨウ素からなる群から選択され;基Yは、互いに同一または異なって、適当な脱離基であり;Mgは、マグネシウムであり;Bは、アルカリまたはアルカリ土類金属であり;かつjは、1または2であり、Bがアルカリ金属のとき、jは1に等しく、Bがアルカリ土類金属のとき、jは2に等しい)の化合物を反応させ;
b)前の段階で得られた生成物と、Cpに対して少なくとも1モル等量の式ML''4(式中、Mは、上記で報告された意味を有し、L''は、塩素、臭素、ヨウ素からなる群から選択される)の化合物を反応させ;
c)任意にその混合物を精製し、そしてメソおよびラセミ体を分離し;そして
d)前の段階で得られた混合物と、金属Mに対して少なくともy等量の式(III):
3xTLw (III)
(式中、R3、T、L、xおよびwは、請求項1に記載の意味を有する)
のハロゲン化剤を反応させる
からなる、式(I):
(Cp)(ZR1mn(A)rMLyL’t (I)
(式中、Cp、Z、R1、m、n、A、r、M、L、L’、tおよびyは、請求項1に記載の意味を有する)
のハロゲン化メタロセン化合物の製造方法。
【請求項6】
式L’jBまたはL’MgL'''の化合物の量EQが、1+r≦EQ≦4+rである請求項5による方法。
【請求項7】
段階a)が、次の2つの副段階:
a−1)−10℃から70℃の間の温度で、式(Y−Cp)(ZRlmn(A−Y)rの配位子、またはnが0のとき、配位子Y−Cpとr(A−Y)の混合物と、EQがCpに対して約1+rモル等量であるような量EQの、式L’jBまたはL’MgL'''の化合物を反応させ;そして
a−2)その反応が完結した後、つまり1分から6時間の範囲の時間に、さらに1+r≦EQ≦2+rであるような量EQの、式L’jBまたはL’MgL'''の化合物を添加して行なわれる請求項5または6による方法。
【請求項8】
段階b)におけるML''4との反応の前に、段階a)から得られた混合物を、0℃から80℃の間からなる温度で加熱し;その後、化合物ML''4を、溶液またはスラリー形態でスラリーの中に素早く添加し;次いで、その反応混合物を、10分から36時間の範囲の時間反応させる請求項5〜7のいずれか1つによる方法。
【請求項9】
式(III)の化合物を添加するハロゲン化段階において、温度範囲が−50℃から+150℃である請求項1〜8のいずれか1つによる方法。
【請求項10】
ハロゲン化剤を温度範囲−50℃から+150℃で滴下法により添加し、次いで反応混合物を、撹拌下に1から6時間の間の時間、温度範囲−10℃から+80℃で反応させる請求項9による方法。
【請求項11】
式(I)の化合物が、式(V):
【化1】

(式中、
M、LおよびR1は、請求項1に記載の意味を有し;
4は、互いに同一または異なって、水素原子、または任意に元素の周期律表の13−17族に属するヘテロ原子を含有していてもよい、直鎖もしくは分枝鎖の、飽和もしくは不飽和のC1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールまたはC7−C20−アリールアルキル基であり;
5、R6、R7、R8およびR9は、互いに同一または異なって、水素原子、または任意に元素の周期律表の13−17族に属するヘテロ原子を含有していてもよい、直鎖もしくは分枝鎖の、飽和もしくは不飽和の、C1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールまたはC7−C20−アリールアルキル基であって;また、2個の隣接するR5、R6、R7、R8およびR9は、任意に元素の周期律表の13−16族に属するヘテロ原子を含有していてもよい、1以上の縮合した、飽和もしくは不飽和の5または6員環を形成でき、該環は、C1−C40−アルキル基をもつことができる)
である請求項1〜10のいずれか1つによる方法。
【請求項12】
式(V)の化合物において、R4が互いに同一または異なって、メチル、エチルまたは
イソプロピル基であり;かつR6がC1−C20アルキル、C6−C20アリールまたはC7−C20アリーアルキル基である請求項11による方法。

【公表番号】特表2006−525264(P2006−525264A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505316(P2006−505316)
【出願日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004525
【国際公開番号】WO2004/099225
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(502303902)バセル ポリオレフィン ジーエムビーエイチ (19)
【氏名又は名称原語表記】BASELL POLYOLEFINE GMBH
【住所又は居所原語表記】Bruhler Strasse 60,50389 Wesseling,Germany
【Fターム(参考)】