説明

ハロゲン化物含量を低減した、テトラフルオロホウ酸塩を用いるオニウム塩の製造方法

本発明は、オニウムテトラフルオロホウ酸塩の製造方法であって、オニウムハロゲン化物とオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩、スルホニウムテトラフルオロホウ酸塩またはトリフェニルカルボニウムテトラフルオロホウ酸塩との反応によるものに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オニウムハロゲン化物とオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩、スルホニウムテトラフルオロホウ酸塩またはトリフェニルカルボニウムテトラフルオロホウ酸塩との反応によるオニウムテトラフルオロホウ酸塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
数多くのオニウム塩類はイオン液体である。それらの物性のため、イオン液体は、伝統的な揮発性有機溶媒に代わる手段として、現代の研究における有機合成に有用である。イオン液体を新規な反応媒体として用いることは、さらに溶媒の放散および触媒の再生にかかる問題の両方に対して実用的な解決手段となり得る。
【0003】
(R. Sheldon “Catalytic reactions in ionic liquids”, Chem. Commun., 2001, 2399-2407; M.J. Earle, K.R. Seddon “Ionic liquids. Green solvent for the future”, Pure Appl. Chem., 72 (2000), 1391-1398; P. Wasserscheid, W. Keim “Ionische Fluessigkeiten - neue Loesungen fuer die Uebergangsmetallkatalyse“ [Ionic Liquids - Novel Solutions for Transition-Metal Catalysis(イオン性液体‐遷移金属触媒作用のための新規の溶液)], Angew. Chem., 112 (2000), 3926-3945; T. Welton “Room temperature ionic liquids. Solvents for synthesis and catalysis”, Chem. Rev., 92 (1999), 2071-2083 or R. Hagiwara, Ya. Ito “Room temperature ionic liquids of alkylimidazolium cations and fluoroanions”, J. Fluorine Chem., 105 (2000), 221-227)。
【0004】
イオン液体または液体塩(liquid salts)はイオン種であり、有機カチオンおよび一般に無機アニオンからなるものである。それらはニュートラルな分子を含有せず、多くの場合融点が373K未満である。しかし、融点がより高く、かつあらゆる適用領域における有用性が制限されない場合もある。有機カチオンの例は、とくにテトラアルキルアンモニウム、テトラアルキルホスホニウム、N−アルキルピリジニウム、1,3−ジアルキルイミダゾリウムまたはトリアルキルスルホニウムである。好適なアニオンは複数存在するところ、例えば、BF、PF、SbF、NO、CFSO、(CFSO、アリールSO、CFCO、CHCOまたはAlClが挙げられる。
【0005】
イオン液体の物性、例えば融点、熱安定性および電気化学的安定性または粘度は、カチオンとアニオンの選択によって決まる。イオン液体は不揮発性物質であるため、精製を通常の精製方法である蒸留のような、多くの有機溶媒について開発された方法で行うことはできない。
したがって、オニウム塩類、とくにテトラウフルオロホウ酸アニオンとのイオン液体の調製方法においては、用いる手法が極めて重要である。合成の実施を、不純物のレベルが反応自体または反応が行われる過程において常に低くして行うためである。不純物として公知のイオン液体において優占的に存在することが知られているものはハロゲン化物イオン類である。ハロゲン化物イオン類、例えば塩化物イオンの割合が、1000ppm(0.1%)を越えると、イオン液体の有用性が低下し、とくに電気化学的方法のための使用において低下する。
【0006】
したがって、本発明の目的は、オニウムテトラフルオロホウ酸塩として塩化物含量が低いものを調製するための代替方法として、高純度および良好な収量をもたらし、大規模な工業的製造にも好適なものを提供することにある。
【0007】
かかる目的は、本発明の方法によって達成される。すなわち、本発明は、オニウムハロゲン化物とトリアルキルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩、スルホニウムテトラフルオロホウ酸塩またはトリフェニルカルボニウムテトラフルオロホウ酸塩との反応によるオニウムテトラフルオロホウ酸塩の製造方法に関する。
【0008】
本発明の方法は、オニウムテトラフルオロホウ酸塩の公知の合成方法を改良したものであり、それらは一般に2工程の方法であり、P. Wasserscheid and W. Keim, Angew. Chem. 112 (2000), 3926-3945に記載されているようなものである。かかる公知の方法の第一の工程においては、有機塩基、典型的にはアミン、ホスフィンまたはヘテロ環化合物のアルキル化を、アルキルハロゲン化物を用いて行い、第二の工程において、生成するオニウムハロゲン化物のテトラフルオロホウ酸塩への変換をアニオン交換によって行う。
【0009】
第二の工程において、ハロゲン化物、例えば塩化または臭化1−エチル−3−メチルイミダゾリウムを第二の工程において反応せしめる。かかる反応は、アセトン中のNaBFとの反応としてS. Park and R. J. Kazlauskas, J. Organic Chemistry, 66 (2001), 8395-8401の方法によって、水中のNaBFとの反応としてR. Karmakar and A. Samanta, J. Phys. Chem. A, 106 (2002), 6670-6675の方法によって、水中のAgBFまたはHBFとの反応としてJ. D. Holbrey and K. R. Seddon, J. Chem. Soc., Dalton Trans., (1999)、2133-2139の方法によって、アセトン中のNHBFとの反応としてJ. Fuller et al, J. Electrochem. Soc., 144 (1997), 3881-3885の方法によって、メタノール中のHBFとの反応としてT. Nishida et al, J. of Fluorine Chem., 120 (2003), 135-141の方法によって、またはNHBFとの反応としてマイクロ波照射を伴うものをV.V. Namboodiri and R. S. Varma, Tetrahedron Lett., 43 (2002), 5381-5383の方法によって、行うことができる。
【0010】
全ての公知の方法は欠点を有し、とくに大規模な工業的合成においてである。例えば、テトラフルオロホウ酸銀は、高価な試薬である。水中のNaBF、NHBFおよびHBFとの反応には精製工程が必要であり、AgBFまたは吸着剤を用いて行うことがある。メタノール中のHBFは市販されていないし、市販されている水性HBFより高価である。しかしながら、水中のHBFにおける反応においては、ハロゲン化水素酸が副生物として生成されるところ、かかるハロゲン化水素酸の完全な除去は蒸留によっては行えない。2種の塩と2種の酸とが、水中で平衡状態にあるからである。得られるオニウム塩類が数パーセントのハロゲン化物イオンを含有したままであることは避けられないのである。N.M.M Mateus et al, Green Chemistry, 5 (2003), 347-352による研究によって立証されている。
【発明の開示】
【0011】
驚くべきことに、簡便な方法が開発された。オニウムハロゲン化物の反応において、例えば塩化物、臭化物またはヨウ化物の、オキソニウムテトラフルオロホウ酸塩との、例えばメールワイン塩との反応、スルホニウムテトラフルオロホウ酸塩またはトリフェニルカルボニウムテトラフルオロホウ酸塩との反応において、オニウムテトラフルオロホウ酸塩およびアルキルハロゲン化物またはトリフェニルハロゲン化物ならびにジアルキルエーテルまたはジアルキルスルフィドが、反応の結果、副生物として生成されるところ、これらは気体であるか容易に揮発する化合物であるため、反応混合物からの除去を大がかりなプロセス工学的な手段を用いずに行うことができる。これらの副生物のいくつかは、それら自体が有機合成において価値のある材料である。
【0012】
本発明の方法によって、多種のテトラフルオロホウ酸塩を合成することが可能となり、 種々の置換基として、例えばアルキル基が、オニウムカチオン上に存在するものとして、いわゆる非対称性化合物とすることができる。しかしながら、新規な本方法は、不純物として塩素アニオン、臭素アニオンまたはヨウ素アニオンを含むテトラフルオロホウ酸塩の精製に用いることも可能である。すなわち、イオン液体としてテトラフルオロホウ酸塩アニオンを含むものを、高品質で、テトラフルオロホウ酸銀といった高価な材料を用いることなく、または銀カチオンの不純物を含まないものとして、得ることができる。
【0013】
好適なオニウムハロゲン化物は、トリアルキルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩またはトリフェニルカルボニウムテトラフルオロホウ酸塩との反応の場合には、ホスホニウムハロゲン化物、チオウロニウムハロゲン化物、グアニジニウムハロゲン化物もしくはヘテロ環カチオンを有するハロゲン化物であり、トリアルキルスルホニウムテトラフルオロホウ酸塩との反応の場合には、アンモニウムハロゲン化物、ホスホニウムハロゲン化物、チオウロニウムハロゲン化物、グアニジニウムハロゲン化物もしくはヘテロ環カチオンを有するハロゲン化物である。前記ハロゲン化物は、塩化物、臭化物またはヨウ化物の群から選択してよい。塩化物または臭化物は、本発明の方法において好ましく用いられる。ヨウ化チオウロニウムが本発明の方法において好ましく用いられるのは、チオウロニウム塩類についてである。
【0014】
前記オニウムハロゲン化物は、一般に、市販されているか または文献に記載の合成方法によって製造することができる。かかる文献としては、例えば、標準的な成書である、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry(有機化学の方法)], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart or Richard C. Larock, Comprehensive Organic Transformations, 2nd Edition, Wiley-VCH, New York, 1999等である。変法として自体公知のものであって、本明細書において詳細に述べないものも、ここで用いることができる。
オニウムハロゲン化物として前記または後記のものは、本発明の方法において好ましく用いられる。
【0015】
ホスホニウムハロゲン化物は、例えば式(1)で表すことができる:
[XRHal (1),
式中、
XはN、Pを表し、
HalはCl、BrまたはIを表し、
Rは、それぞれの場合において相互に独立して、
水素、ただし、全ての置換基Rは同時にHではなく、
1〜20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個の炭素原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個の炭素原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個の炭素原子を有し、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和のシクロアルキル、を表し、
ただし、1つまたは2つ以上のRは、Fによって部分的または完全に置換されていてもよく、4つ全てのRまたは3つのRはハロゲンによって完全に置換されていることはなく、
また、Rにおける1つの炭素原子または2つの隣接せずα位またはω位にない炭素原子は、原子および/または原子団−O−、−S−、−S(O)−または−SO−の群から選択されるものによって置換されていてもよい。
【0016】
しかし、式(1)の化合物のうち、4つ全てのRまたは3つのRがハロゲンによって完全に置換されているもの、例えば塩化トリス(トリフルオロメチル)メチルアンモニウム、塩化テトラ(トリフルオロメチル)アンモニウムまたは塩化テトラ(ノナフルオロブチル)アンモニウム、塩化トリス(トリフルオロメチル)メチルホスホニウム、塩化テトラ(トリフルオロメチル)ホスホニウムまたは塩化テトラ(ノナフルオロブチル)ホスホニウム、は除く。
【0017】
チオウロニウムハロゲン化物は、例えば式(2)によって表すことができ、
[(RN)−C(=SR)(NR)]Hal (2)
グアニジニウムハロゲン化物は、例えば式(3)によって表すことができ、
[C(NR)(NR)(NR)] Hal (3)
式中、
Halは、式(2)においてはBrまたはIを表し、式(3)においてはCl、BrまたはIを表し、
〜Rは、それぞれ相互に独立して、
水素またはCN、ただしRからHは除外され、
1〜20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個の炭素原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個の炭素原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個の炭素原子を有し、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和のシクロアルキル、を表し、
ただし、1つまたは2つ以上の置換基R〜Rは、Fによって、部分的または完全に置換されていてもよいが、1つのN原子上の全ての置換基がFによって完全に置換されていることはなく、
置換基R〜Rは、組になって、単結合または二重結合によって結合されていてもよく、
また、置換基R〜Rにおける1つの炭素原子または隣接していない2つの炭素原子であってヘテロ原子に直接結合せず、ω位にない炭素原子は、原子および/または原子団−O−、−S−、−S(O)−または−SO−の群から選択されるものによって置換されていてもよい。
【0018】
ハロゲン化物としてヘテロ環カチオン有するものは、例えば式(4)によって表すことができる。
[HetN]Hal (4)
式中、
HalはCl、BrまたはIを表し、
HetNは、以下の群から選択されるヘテロ環カチオンを表し、
【0019】
【化1】

【0020】
【化2】

【0021】
式中、置換基として、
1’〜R4’は、それぞれ相互に独立して、
水素またはCN、
1〜20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個の炭素原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個の炭素原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を有し、該アルキル基はヘテロ環のヘテロ原子に結合していないジアルキルアミノ、
3〜7個の炭素原子を有し、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和のシクロアルキル、
またはアリール‐C〜C−アルキル
を表し、
ただし、置換基R’およびR’はFによって部分的または完全に置換されていてもよいが、R1’およびR4’は同時にCNではなく、完全にFにより同時に置換されてはならず、
置換基R2’およびR3’は部分的または完全にハロゲンにより置換されていてもよく、あるいは部分的にNOまたはCNにより置換されていてもよく、
また、置換基R’〜R’における1つの炭素原子または隣接していない2つの炭素原子であってヘテロ原子に直接結合せず、ω位にない炭素原子は、原子および/または原子団−O−、−S−、−S(O)−または−SO−の群から選択されるものによって置換されていてもよい。
【0022】
本発明の目的において、完全に不飽和の置換基の意味には、芳香族置換基も包含する。
【0023】
本発明において、式(1)〜(3)の化合物の置換基RおよびR〜Rの好適なものは、水素以外には、好ましくは以下のとおりである:C−〜C20−アルキル基、とくにC−〜C14−アルキル基、および飽和または不飽和の、すなわちまた芳香族の、C−〜C−シクロアルキル基であり、それらはC−〜C−アルキル基、によって置換されていてもよく、とくにフェニルである。しかし、置換基RおよびR〜Rも、同様に他の官能基によって置換されていてよく、例えばCN、SOR’、SOOR’またはCOOR’によってである。R’の意味は、非フッ素化されているか、部分的にまたは全体がフッ素化されているC−〜C−アルキル、 C−〜C−シクロアルキル、無置換または置換のフェニルである。
【0024】
式(1)の化合物において、置換基Rは、この場合同一でも異なっていてもよい。好ましくは、式(1)中の置換基のうち3つは同一であり、1つの置換基は異なる。
置換基Rはとくに好ましくは、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシルまたはテトラデシルである。
【0025】
前記グアニジニウムカチオンの4つまでの置換基は、組で結合して単環式、二環式または多環式カチオン類を形成してもよい。
一般性を制限しないが、このようなグアニジニウムカチオンは以下のとおりである:
【0026】
【化3】

【0027】
式中、置換基R〜RおよびRは上記の意味を有するかまたはとくに、好ましい意味を有することができる。
上記グアニジニウムカチオンの炭素環またはヘテロ環は、任意に置換基としてC−〜C−アルキル、C−〜C−アルケニル、NO、F、Cl、Br、I、C〜C−アルコキシ、SCF、SOCH、SOCF、COOR’’、SONR’’、SOX’、SOR’’、置換または無置換のフェニルによって任意に置換されていてもよく、ここでX’およびR’’は上記および下記において示す意味を有する。
【0028】
チオロニウムカチオン[(RN)−C(=SR)(NR)]の4つまでの置換基は、組で結合して単環式、二環式または多環式カチオン類を形成してもよい。
一般性を制限しないが、このようなチオロニウムカチオンは以下のとおりである:
【化4】

式中、置換基R、RおよびRは上記の意味を有するかまたはとくに、好ましい意味を有する。
【0029】
上記グアニジニウムカチオン類の炭素環またはヘテロ環は、任意に置換基としてC−〜C−アルキル、C−〜C−アルケニル、NO、F、Cl、Br、I、C〜C−アルコキシ、SCF、SOCH、SOCF、COOR’’、SONR’’、SOX’、SOR’’、置換または無置換のフェニルによって任意に置換されていてもよく、ここでX’およびR’’は上記および下記において示す意味を有する。
【0030】
前記C〜C14−アルキル基は例えば、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルであり、さらにまたペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルまたはテトラデシルであり、任意にペルフルオロ化されていて、例えば、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピルまたはノナフルオロブチルである。
【0031】
直鎖状または分枝状アルケニルであって2〜20個の炭素原子を有し、複数の二重結合も存在してよいものは、例えば、ビニル、アリル、2−または3−ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニルであり、さらに4−ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、−C17、−C1019〜−C2039であり、好ましくはアリル、2−または3−ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニルであり、さらに、好ましくは4−ペンテニル、イソペンテニルまたはヘキセニルである。
【0032】
直鎖状または分枝状のアルキニルであって2〜20個の炭素原子を有し、複数の三重結合も存在してよいものは、例えばエチニル、1−または2−プロピニル、2−または3−ブチニル、さらに4−ペンチニル、3−ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、−C15、−C1017〜−C2037であり、好ましくはエチニル、1−または2−プロピニル、2−または3−ブチニル、4−ペンチニル、3−ペンチニルまたはヘキシニルである。
【0033】
アリール−C〜C−アルキルが表すのは、例えばベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチルまたはフェニルヘキシルであり、フェニル環およびさらにアルキレン鎖の両方が、部分的にまたは完全に、上記に示すようにFによって置換されていてもよく、好ましくはベンジルまたはフェニルプロピルである。
しかし、フェニル環やアルキレン鎖は、同様に他の官能基によって置換されていてもよく、例えばCN、SOR’、SOOR’またはCOOR’によってである。ここでのR’は、上記において定義された意味を有する。
【0034】
したがって、無置換であり、飽和であるかまたは部分的もしくは完全に不飽和のシクロアルキル基として3〜7個の炭素原子を有するものは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロペンタ−1,3−ジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサ−1,3−ジエニル、シクロヘキサ−1,4−ジエニル、フェニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタ−1,3−ジエニル、シクロヘプタ−1,4−ジエニルまたはシクロヘプタ−1,5−ジエニルであり、それらのそれぞれはC−〜C−アルキル基により置換されていてもよく、前記シクロアルキル基または前記シクロアルキル基のうちC−〜C−アルキル基によって置換されているものは、さらにハロゲン原子、例えばF、Cl、BrもしくはI、とくにFもしくはCl、またはNOによって置換されていてもよい。
しかし、前記シクロアルキル基は、同様に他の官能基によって置換されていてもよく、例えばCN、SOR’、SOOR’またはCOOR’によってである。ここでのR’は、上記において定義された意味を有する。
【0035】
置換基R、R〜RまたはR1’〜R4’において、1つの炭素原子または2つの隣接せずヘテロ原子とα位において結合していない炭素原子は、原子および/または原子団−O−、−S−、−S(O)−または−SO−の群から選択されるものによって置換されていてもよい。
【0036】
一般性を制限しないが、置換基R、R〜RおよびR1’〜R4’であってこのように修飾されたものは以下のとおりである:
−OCH、−OCH(CH、−CHOCH、−CH−CH−O−CH、−COCH(CH、−CSC、−CSCH(CH、−S(O)CH、−SOCH、−SO、−SO、−SOCH(CH、−SOCHCF、−CHSOCH、−O−C−O−C、−CF、−C、−C、−C、−CFCFH、−CFCHFCF、−CFCH(CF、−CN(C)C、−CHF、−CHCF、−C、−CFH、−CH、−CHC(O)OCH、−CHまたは−C(O)C
【0037】
R’において、C−〜C−シクロアルキルは、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである。
R’において、置換フェニルはフェニルのうち置換基としてC−〜C−アルキル、C−〜C−アルケニル、NO、F、Cl、Br、I、C〜C−アルコキシ、SCF、SOCH、SOCF、COOR’’、SOX’、SONR’’またはSOR’’を有するものであり、ここでX’が表すのはF、ClまたはBrであり、R’’が表すのは非フッ素化、または部分的にフッ素化されたC−〜C−アルキルまたはC−〜C−シクロアルキルであり、R’についての定義の通りである。例えばo−、m−またはp−メチルフェニル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−ニトロフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシフェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメチル)フェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメトキシ)フェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−ヨードフェニルであり、さらに、好ましくは2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジメチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジブロモフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジメトキシフェニル、5−フルオロ−2−メチルフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニルまたは2,4,5−トリメチルフェニルである。
【0038】
前記置換基R〜Rはそれぞれ相互に独立して、好ましくは直鎖状または分枝状アルキル基として1〜10個の炭素原子を有する。前記置換基RおよびR、RおよびRならびにRおよびRは、ここでは式(2)および(3)の化合物において同一でも異なっていてもよい。
〜Rはとくに好ましくはそれぞれ相互に独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、フェニルまたはシクロヘキシルであり、極めてとくに好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルまたはn−ブチルである。
【0039】
本発明において、式(4)の化合物の好適な置換基R1’〜R4’は、水素以外に、好ましくは以下のとおりである:CN、C−〜C20−アルキル基、とくにC−〜C12−アルキル基、および飽和または不飽和の、すなわち芳香族でもある、C−〜C−シクロアルキル基であり、それらは置換基としてC−〜C−アルキル基、とくにフェニルもしくはアリール−C〜C−アルキルまたはジアミノアルキルであってC〜C−アルキル基を有するものを、これがヘテロ原子に結合しないように有していてもよい。
しかし、置換基R1’〜R4’は、同様に他の官能基によって置換されていてもよく、例えばCN、SOR’、SOOR’またはCOOR’によってである。R’は、非フッ素化であるか、部分的にまたは完全にフッ素化されているC−〜C−アルキル、C−〜C−シクロアルキル、無置換または置換のフェニルを表す。
【0040】
置換基R1’〜R4’は、相互に独立して、とくに好ましくは、CN、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニル、フェニルプロピルまたはベンジルである。それらは、極めてとくに好ましくは、CN、メチル、エチル、n−ブチルまたはヘキシルである。ピロリジニウム化合物、ピペリジニウム化合物またはインドリニウム化合物においては、2つの置換基R1’およびR4’は、好ましくは異なっている。
【0041】
置換基R2’またはR3’は、それぞれの場合において、相互に独立して、とくに水素、CN、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロヘキシル、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、フェニルまたはベンジルである。R2’は、とくに好ましくは、ジメチルアミノ、水素、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルである。R2’およびR3’は、極めてとくに好ましくは、水素、ジメチルアミノまたはメチルである。
【0042】
式(4)のHetNは好ましくは以下のとおりである:
【化5】

式中、置換基R1’〜R4’はそれぞれ相互に独立して、上記の意味を有する。
【0043】
HetNはとくに好ましくは、イミダゾリウム、ピロリジニウムまたはピリジニウムであり、上記における定義のとおり、置換基R1’〜R4’はそれぞれ相互に独立して上記の意味を有する。
【0044】
オキソニウムテトラフルオロホウ酸塩として、式[(alkyl)O][BFを有し、用いられるものは、好ましくはオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩であって、直鎖アルキル基または分枝アルキル基として1個〜8個のC原子、好ましくは1個〜4個のC原子を有し、それぞれの場合に相互に独立している。好ましく用いられるのは、オキソニウムテトラフルオロホウ酸塩として、アルキル基が同一であるものである。トリチリウムテトラフルオロホウ酸塩、[(phenyl)C][BFを用いることもできる。
【0045】
スルホニウムテトラフルオロホウ酸塩として、式[(alkyl)S][BFを有し、用いられるものは、好ましくはオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩であって、直鎖アルキル基または分枝アルキル基として、1個〜8個のC原子、好ましくは1個〜4個のC原子を有し、それぞれの場合に相互に独立している。好ましく用いられるのは、オキソニウムテトラフルオロホウ酸塩として、アルキル基が同一であるものである。
【0046】
オキソニウムテトラフルオロホウ酸塩またはスルホニウムテトラフルオロホウ酸塩として用いられるものは、一般に、市販されているか または文献に記載の合成方法によって製造することができる。かかる文献としては、例えば、標準的な成書である、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry(有機化学の方法)], Georg-Thieme-Verlag, StuttgartまたはRichard C. Larock, Comprehensive Organic Transformations, 2nd Edition, Wiley-VCH, New York, 1999等である。変法として自体公知のものとして、本明細書において詳細に述べないものも、ここで用いることができる。
【0047】
オキソニウムテトラフルオロホウ酸塩の例は、トリメチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩、トリエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩(メールワイン塩)、トリス(n−プロピル)オキソニウムテトラフルオロホウ酸塩、ジメチルエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩,ジエチルメチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩またはトリス(i−プロピル)オキソニウムテトラフルオロホウ酸塩である。極めてとくに好ましいのは、トリメチル−またはトリエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩を用いることである。
【0048】
スルホニウムテトラフルオロホウ酸塩の例は、トリメチルスルホニウム、トリエチルスルホニウム、ジメチルエチルスルホニウム、ジエチルメチルスルホニウム、ジプロピルメチルスルホニウム、ジプロピルエチルスルホニウム、ジブチルメチルスルホニウム、ジ−sec−ブチルメチルスルホニウム、ジブチルエチルスルホニウムテトラフルオロホウ酸塩である。極めてとくに好ましいのは、トリメチルスルホニウムおよびトリエチルスルホニウムテトラフルオロホウ酸塩を用いることである。
【0049】
一般的なスキームによって本発明の方法を要約して示す:
【化6】

【0050】
置換基R、R〜RおよびHetNは、式(1)〜(8)の化合物において、上記の意味に相当する。
【0051】
トリアルキルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩またはトリフェニルカルボニウムテトラフルオロホウ酸塩との反応の場合、反応の実施は、本発明において、0°および℃の間の温度、好ましくは20°および50℃の間の温度、とくに好ましくは室温において、行う。スルホニウムテトラフルオロホウ酸塩との反応の場合、反応の実施は、本発明において、0°および150℃の間の温度、好ましくは20°および100℃の間の温度において、行う。溶媒は不要である。しかし、溶媒を用いることも可能であり、例えばジメトキシエタン、アセトニトリル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、プロピオニトリルまたは相互に混合したもの、である。
【0052】
反応の実施は、過剰量または等モル量の、対応するオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩、スルホニウムテトラフルオロホウ酸塩またはトリフェニルカルボニウムテトラフルオロホウ酸塩を用いて行う。
記載した方法は、アニオンである[(phenyl)B]、PF、SbFまたはAsFの導入を、イオン液体であってオニウムカチオンを含むものに行うのにも同様に好適である。アルキルオキソニウム塩またはアルキルスルホニウム塩として対応するアニオンを有するものを、オニウムハロゲン化物と反応せしめる。
【0053】
これ以上の説明がなくても、当業者は上記の記載を最も広い範囲で利用することが可能であると考えられる。したがって、好ましい態様および例は、単に記述による開示であると考えられるべきであって、如何なる意味においても決して限定するものではない。
当業者にとって、上記および下記の化合物における置換基、例えばH、N、O、Cl、F等を、対応する同位体に置換することが可能であることは論を待たない。
【0054】
NMRスペクトルの測定は、重水素化溶媒中の溶液について20℃において、Bruker ARX 400分光計を用いて、重水素ロックを有する5 mm 1H/BBブロードバンドヘッドを用いて行ったが、例中に他の記載がある場合はこの限りではない。周波数の測定はそれぞれ別異の核について、1H: 400.13 MHzおよび19F: 376.50 MHzである。参照の方法は、個別に各スペクトルまたは各データセットについて示してある。
【0055】
例:
例1:1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩の合成
【化7】

2.09g(11.01mmol)のトリエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩の添加を2.21g(10.90mmol)の1−ヘキシル−3−メチル塩化イミダゾリウムに行う。反応混合物を室温にて30分間攪拌し、次に全ての揮発性生成物の除去を30分間にわたり、13.3Paの真空中、80℃(オイルバスの温度)において行い、2.77gの1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩を液体として得る。収率はほぼ定量的である。
【0056】
1H NMR (参照: TMS; CD3CN), ppm: 0.87 m (CH3); 1.29 m (3CH2); 1.81 m (CH2); 3.82 s (CH3); 4.11 t (CH2); 7.34 d,d (CH); 7.38 d,d (CH); 8.47 br. s. (CH); 3JH,H = 7.1 Hz; JH,H = 1.8 Hz.
19F NMR (参照: CCl3F-internal; CD3CN), ppm: -150.2 (BF4).
【0057】
例2:1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩の合成
【化8】

2.95g(15.53mmol)のトリエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩として10mlの乾燥ジクロロメタン中のもの添加を、2.13g(9.34mmol)の1−シアノ−4−ジメチル臭化アミノピリジニウムとして5mlの乾燥ジクロロメタン中の懸濁液に行う。反応混合物を室温にて15時間攪拌する。全ての揮発性生成物の除去を1時間にわたり、13.3Paの真空中、室温において行う。残渣を10mlの乾燥アセトニトリルに回収し、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩の沈殿が、30mlの酢酸エチルの添加によって生じる。沈殿を濾別し、真空中、室温において乾燥し、1.40gの固体を得る。溶媒を部分的に蒸留し、0.39gを再度得る。したがって、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩の収率は、合わせて1.79gであり、81.6%に相当する。
【0058】
1H NMR (参照: TMS; CD3CN), ppm 3.32 s (2CH3); 6.98 d,m (2CH, A); 8.05 d,m (2CH, B); 3JH(A),H(B) = 8.1 Hz.
19F NMR (参照: CCl3F-internal; CD3CN), ppm: -150.6 s (BF4).
13C NMR (参照: TMS; CD3CN), ppm: 42.2 q,q [N(CH3)2]; 107.6 m (CN); 109.8 d,m (2CH); 141.5 d,m (2CH); 158.0 m (C); 1JC,H = 195 Hz ; 1JC,H = 175 Hz; 1JC,H = 142 Hz ; 3JC,H = 3.3 Hz.
【0059】
Raman spectrum: 2266.7 cm-1 (CN).
Elemental analysis C8H10BF4N3 (分子量 234.99):
実測値: C 40.78%, H 4.57%, N 18.10%
計算値: C 40.89%, H 4.29%, N 17.88%.
【0060】
例3
例1と同様にして、
1−メチル塩化イミダゾリウムをジエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
1−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩を得る;
1−ブチル塩化イミダゾリウムをジエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
1−ブチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩を得る;
1−エチル−3−メチル塩化イミダゾリウムをジエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩を得る;
1ブチル−3−メチル塩化イミダゾリウムをジエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
1ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩を得る;
1−メチル−3−ペンチル塩化イミダゾリウムをジエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩を得る;
【0061】
3−メチル−1−オクチル塩化イミダゾリウムをジエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
3−メチル−1−オクチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩を得る;
1−デシル−3−メチル塩化イミダゾリウムをジエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
1−デシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩を得る;
1−ドデシル−3−メチル塩化イミダゾリウムをジエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩を得る;
3−メチル−1−テトラデシル塩化イミダゾリウムをジエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
3−メチル−1−テトラデシルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩を得る;
1−ベンジル−3−メチル塩化イミダゾリウムをジエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
1−ベンジル−3メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩を得る;
【0062】
3−メチル−1−フェニル塩化イミダゾリウムをジエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
3−メチル−1−フェニルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩を得る;
1−エチル−2,3−ジメチル塩化イミダゾリウムをジエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩を得る;
1ブチル−2,3−ジメチル塩化イミダゾリウムをジエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
1ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩を得る;
1−ヘキシル−2,3−ジメチル塩化イミダゾリウムをジエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩を得るか、または、
1−ヘキシルデシル−2,3−ジメチル塩化イミダゾリウムをジエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
1−ヘキシルデシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩を得る。
【0063】
例4:1−ブチルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩の合成
【化9】

2.48g(13.04mmol)のトリエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩の添加を2.77g(12.82mmol)の1−ブチル臭化ピリジニウムとして10mlの乾燥ジクロロメタン中の溶液に行う。反応混合物を室温にて30分間攪拌する。次に全ての揮発性生成物の除去を30分間にわたり、13.3Paの真空中、80℃(オイルバスの温度)において行い、2.82gの1−ブチルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩を液体として得る。収率はほぼ定量的である。
【0064】
1H NMR (参照: TMS; CD3CN), ppm: 0.95 t (CH3); 1.37 m (CH2); 1.95 m (CH2); 4.54 t (CH2); 8.04 m (2CH); 8.52 t,t (CH); 8.73 d (2CH); 3JH,H = 7.3 Hz; 3JH,H = 7.6 Hz; 3JH,H = 7.9 Hz; 3JH,H = 5.7 Hz; 4JH,H = 1.2 Hz.
19F NMR (参照: CCl3F-internal; CD3CN), ppm: -150.2 (BF4).
【0065】
それと同様にして、
1−ヘキシル塩化ピリジニウムをトリエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
1−ヘキシルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩を得る;
1−ブチル−4−メチル塩化ピリジニウムをトリエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
1−ブチル−4−メチルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩を得る;
1−ブチル−3−メチル臭化ピリジニウムをトリエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
1−ブチル−3−メチルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩を得るか、または
1−ブチル−3−エチル臭化ピリジニウムをトリエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
1−ブチル−3−エチルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩を得る。
【0066】
例5:1−エチル−1−メチルピロリジニウムテトラフルオロホウ酸塩の合成
【化10】

2.40g(12.63mmol)のトリエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩の添加を2.45g(12.62mmol)の1−エチル−1−メチル臭化ピロリジニウムの10mlの乾燥ジクロロメタン中の溶液に行う。反応混合物をを室温にて30分間攪拌する。次に全ての揮発性生成物の除去を30分間にわたり、13.3Paの真空中、80℃(オイルバスの温度)において行い、2.53gの1−エチル−1−メチルピロリジニウムテトラフルオロホウ酸塩を得る。収率はほぼ定量的である。
【0067】
1H NMR (参照: TMS; CD3CN), ppm: 1.31 t,m (CH3); 2.13 m (2CH2); 2.93 s (CH3); 3.32 q (CH2); 3.39 m (2CH2); 3JH,H = 7.3 Hz.
19F NMR (参照: CCl3F-internal ; CD3CN), ppm: -150.4 s (BF4).
【0068】
それと同様にして、
1−ブチル−1−メチル塩化ピロリジニウムをトリエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
1−ブチル−1−メチルピロリジニウムテトラフルオロホウ酸塩を得る;
1−ヘキシル−1−メチル塩化ピロリジニウムをトリエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウムテトラフルオロホウ酸塩を得る;
1−メチル−1−オクチル塩化ピロリジニウムをトリエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
1−メチル−1−オクチルピロリジニウムテトラフルオロホウ酸塩を得る;
トリヘキシルテトラデシル塩化ホスホニウムをトリエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩と反応せしめ、
トリヘキシルテトラデシルホスホニウムテトラフルオロホウ酸塩を得る。
【0069】
例6:N,N,N’,N’−テトラメチル−N’’−エチルグアニジニウムテトラフルオロホウ酸塩の合成
【化11】

3.20g(16.83mmol)のトリエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩の添加を3.73g(16.64mmol)のN,N,N’,N’−テトラメチル−N’’−エチル臭化グアニジニウムとして10mlの乾燥ジクロロメタン中の溶液に行う。反応混合物を室温にて30分間攪拌する。次に全ての揮発性生成物の除去を30分間にわたり、13.3Paの真空中、80℃(オイルバスの温度)において行い、3.84gのN,N,N’,N’−テトラメチル−N’’−エチルグアニジニウムテトラフルオロホウ酸塩を得る。収率はほぼ定量的である。
【0070】
1H NMR (参照: TMS; CD3CN), ppm: 1.11 t (CH3); 2.86 br.s; 2.87 br.s; 2.91 s (4CH3); 3.20 m (CH2); 6.17 br.s (NH); 3JH,H = 7.1 Hz.
19F NMR (参照: CCl3F - internal; CD3CN), ppm: -150.4 s (BF4).
【0071】
例7:テトラブチルホスホニウムテトラフルオロホウ酸塩の合成
【化12】

2.14g(11.27mmol)のトリエチルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩の添加を、3.81g(11.23mmol)のテトラブチル臭化ホスホニウムとして10mlの乾燥ジクロロメタン中の溶液に行う。反応混合物を室温にて30分間攪拌する。次に全ての揮発性生成物の除去を30分間にわたり、13.3Paの真空中、80℃(オイルバスの温度)において行い、3.88gのテトラブチルホスホニウムテトラフルオロホウ酸塩を得る。収率はほぼ定量的である。
【0072】
1H NMR (参照: TMS; CD3CN), ppm: 0.94 t (CH3); 1.47 m (2CH2); 2.05 m (CH2); 3JH,H = 7.1 Hz.
19F NMR (参照: CCl3F - internal ; CD3CN), ppm: -150.4 s (BF4).
【0073】
例8:1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩の合成
【化13】

7.06g(34.3mmol)のトリエチルスルホニウムテトラフルオロホウ酸、(CBF、の添加を、5.98g(34.2mmol)の固体の1−ブチル−3−メチル塩化イミダゾリウムに行う。反応混合物の攪拌を4週間にわたり、60〜70℃(オイルバスの温度)において、不活性ガス(窒素)の下において行う。全ての揮発性生成物の排気を、3時間にわたり、バス温度70℃、13.3Paの圧力下において行い、7.74gの液体を得る。1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩の収率は、実質上定量的である。得られた生成物の調査を、NMR分光法によって行う。
【0074】
1H NMR (参照: TMS; 溶媒: CD3CN), ppm: 0.91 t (CH3); 1.29 m (CH2); 1.79 m (CH2); 3.82 s (CH3); 4.13 t (CH2); 7.36 d,d (CH); 7.39 d,d (CH); 8.61 br. s. (CH); 3JH,H = 7.2 Hz; JH,H = 1.5 Hz.
【0075】
19F NMR (参照: CCl3F-internal; 溶媒: CD3CN), ppm: -150.1 (BF4).
【0076】
例9:1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩の合成
【化14】

5.38g(26.1mmol)のトリエチルスルホニウムテトラフルオロホウ酸塩、(CBF、の添加を、5.28g(26mmol)の液体1−ヘキシル−3−メチル塩化イミダゾリウムに行う。反応混合物の攪拌を3週間にわたり、60〜70℃(オイルバスの温度)において、不活性ガス(窒素)の下において行う。全ての揮発性生成物の排気を、3時間にわたり、バス温度70℃、13.3Paの圧力下において行い、6.6gの液体を得る。1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩の収率は、実質上定量的である。得られた生成物の調査を、NMR分光法によって行う。
【0077】
1H NMR (参照: TMS; 溶媒: CD3CN), ppm: 0.87 m (CH3); 1.29 m (3CH2); 1.81 m (CH2); 3.82 s (CH3); 4.11 t (CH2); 7.34 d,d (CH); 7.37 d,d (CH); 8.50 br. s. (CH); 3JH,H = 7.1 Hz; JH,H = 1.5 Hz.
【0078】
19F NMR (参照: CCl3F-internal; 溶媒: CD3CN), ppm: -150.2 (BF4).
【0079】
【化15】

例10:1−ブチルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩の合成

4.82g(22.3mmol)のN−ブチル臭化ピリジニウムと4.62g(22.4mmol)のトリエチルスルホニウムテトラフルオロホウ酸塩、(CBF、との混合物の反応を、24時間にわたり、85〜90℃(オイルバスの温度)、7Paの動圧下にて行う。室温に冷ました後、4.97gのオイルを得る。N−ブチルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩の収率は、実質上定量的である。得られた生成物の調査を、NMR分光法によって行う。
【0080】
1H NMR (参照: TMS; 溶媒: CD3CN), ppm: 0.93 t (CH3); 1.35 m (CH2); 1.95 m (CH2); 4.58 t (CH2); 8.05 m (2CH); 8.52 t,t (CH); 8.82 d (2CH); 3JH,H = 7.6 Hz; 3JH,H = 7.2 Hz; 3JH,H = 7.9 Hz; 4JH,H = 1.4 Hz.
【0081】
19F NMR (参照: CCl3F-internal; 溶媒: CD3CN), ppm: -150.1 (BF4).
【0082】
例11:S−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルチオウロニウムテトラフルオロホウ酸塩の合成
【化16】

1.07g(3.71mmol)のS−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルヨウ化チオウロニウムと0.77g(3.74mmol)のトリエチルスルホニウムテトラフルオロホウ酸塩、(CBF、との混合物の反応を、20時間にわたり、85〜90℃(オイルバスの温度)、7Paの動圧下にて行う。室温に冷ました後、0.92gの固体を得る。S−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルチオウロニウムテトラフルオロホウ酸塩の収率は、実質上定量的である。融点は72〜76°Cである。得られた生成物の調査を、NMR分光法によって行う。
【0083】
1H NMR (参照: TMS; 溶媒: CD3CN), ppm: 1.31 t (CH3); 3.01 q (CH2); 3.23 s (4CH3); 3JH,H = 7.4 Hz.
【0084】
19F NMR (参照: CCl3F-internal; 溶媒: CD3CN), ppm: -150.5 (BF4).
【0085】
例12:1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩の合成
【化17】

0.912g(2.76mmol)のトリフェニルカルボニウムテトラフルオロホウ酸塩、(CBF、および5cmのベンゼンの添加を、0.56g(2.76mmol)の1−ヘキシル−3−メチル塩化イミダゾリウムに行う。反応混合物を室温にて30分間攪拌する。上部(ベンゼン)相を分離し、生成物の洗浄を、10mlのベンゼンを用いて3回行う。残渣の乾燥を13.3Paの真空中、100℃において行い、0.7gの液体を得る。1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩の収率は、実質上定量的である。得られた生成物の調査を、NMR分光法によって行う。
【0086】
1H NMR (参照: TMS; 溶媒: CD3CN), ppm 0.89 m (CH3); 1.31 m (3CH2); 1.82 m (CH2); 3.84 s (CH3); 4.11 m (CH2); 7.36 d,d (CH); 7.39 d,d (CH); 8.50 br. s. (CH); 3JH,H = 7.2 Hz; JH,H = 1.7 Hz.
【0087】
19F NMR (参照: CCl3F-internal; 溶媒: CD3CN), ppm: -150.2 (BF4)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オニウムテトラフルオロホウ酸塩の製造方法であって、オニウムハロゲン化物とトリアルキルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩、トリアルキルスルホニウムテトラフルオロホウ酸塩またはトリフェニルカルボニウムテトラフルオロホウ酸塩との反応による、前記製造方法。
【請求項2】
ハロゲン化物が、トリアルキルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩またはトリフェニルカルボニウムテトラフルオロホウ酸塩との反応の場合には、ホスホニウムハロゲン化物、チオウロニウムハロゲン化物、グアニジニウムハロゲン化物もしくはヘテロ環カチオンを有するハロゲン化物であり、トリアルキルスルホニウムテトラフルオロホウ酸塩との反応の場合には、アンモニウムハロゲン化物、ホスホニウムハロゲン化物、チオウロニウムハロゲン化物、グアニジニウムハロゲン化物もしくはヘテロ環カチオンを有するハロゲン化物であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
ハロゲン化物が、式(1)に一致することを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法:
[XRHal (1)
式中、
XはN、Pを表し、
HalはCl、BrまたはIを表し、
Rは、それぞれの場合において相互に独立して、
水素、ただし、全ての置換基Rは同時にHではなく、
1〜20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個の炭素原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個の炭素原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個の炭素原子を有し、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和のシクロアルキル、を表し、
ただし、1つまたは2つ以上のRは、Fによって部分的または完全に置換されていてもよく、4つ全てのRまたは3つのRはハロゲンによって完全に置換されていることはなく、
また、Rにおける1つの炭素原子または2つの隣接せずα位またはω位にない炭素原子は、原子および/または原子団−O−、−S−、−S(O)−または−SO−の群から選択されるものによって置換されていてもよい。
【請求項4】
ハロゲン化物が、式(2)に一致することを特徴とする、請求項1または2記載の製造方法:
[(RN)−C(=SR)(NR)]Hal (2)
式中、
HalはBrまたはIを表し、
〜Rは、それぞれ相互に独立して、
水素またはCN、ただしRからHは除外され、
1〜20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個の炭素原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個の炭素原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個の炭素原子を有し、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和のシクロアルキル、を表し、
ただし、1つまたは2つ以上の置換基R〜Rは、Fによって、部分的または完全に置換されていてもよいが、1つのN原子上の全ての置換基がFによって完全に置換されていることはなく、
置換基R〜Rは、組になって、単結合又は二重結合によって結合されていてもよく、
また、置換基R〜Rにおける1つの炭素原子または隣接していない2つの炭素原子であってヘテロ原子に直接結合せず、ω位にない炭素原子は、原子および/または原子団−O−、−S−、−S(O)−または−SO−の群から選択されるものによって置換されていてもよい。
【請求項5】
ハロゲン化物が、式(3)に一致することを特徴とする、請求項1または2記載の製造方法:
[C(NR)(NR)(NR)]Hal (3)
式中、
HalはCl、BrまたはIを表し、
〜Rは、それぞれ相互に独立して、
水素またはCN、
1〜20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個の炭素原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個の炭素原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個の炭素原子を有し、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和のシクロアルキル、を表し、
ただし、1つまたは2つ以上の置換基R〜Rは、Fによって、部分的または完全に置換されていてもよいが、1つのN原子上の全ての置換基がFによって完全に置換されていることはなく、
置換基R〜Rは、組になって、単結合又は二重結合によって結合されていてもよく、
また、置換基R〜Rにおける1つの炭素原子または隣接していない2つの炭素原子であってヘテロ原子に直接結合せず、ω位にない炭素原子は、原子および/または原子団−O−、−S−、−S(O)−または−SO−の群から選択されるものによって置換されていてもよい。
【請求項6】
ハロゲン化物が、式(4)に一致することを特徴とする、請求項1または2記載の製造方法:
[HetN]Hal (4)
式中、
HalはCl、BrまたはIを表し、
HetNは、以下の群から選択されるヘテロ環カチオンを表し、
【化1】

【化2】

式中、置換基として、
1’〜R4’は、それぞれ相互に独立して、
水素またはCN、
1〜20個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個の炭素原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個の炭素原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を有するが、ヘテロ環のヘテロ原子に結合しないジアルキルアミノ、
3〜7個の炭素原子を有し、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基によって置換されてもよい、飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和のシクロアルキル、
またはアリール−C〜C−アルキル
を表し、
ただし、置換基R’およびR’はFによって部分的または完全に置換されていてもよいが、R1’およびR4’は同時にCNではなく、完全にFにより同時に置換されてはならず、
置換基R2’およびR3’は部分的または完全にハロゲンにより置換されていてもよく、あるいは部分的にNOまたはCNにより置換されていてもよく、
また、置換基R’〜R’における1つの炭素原子または隣接していない2つの炭素原子であってヘテロ原子に直接結合せず、ω位にない炭素原子は、原子および/または原子団−O−、−S−、−S(O)−または−SO−の群から選択されるものによって置換されていてもよい。
【請求項7】
オキソニウムテトラフルオロホウ酸塩を用いることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
トリアルキルオキソニウムテトラフルオロホウ酸塩またはトリフェニルカルボニウムテトラフルオロホウ酸塩との反応の場合、反応を0°および100℃の間の範囲の温度で行い、スルホニウムテトラフルオロホウ酸塩との反応の場合、0〜150℃の間の範囲の温度で行うことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
オニウムハロゲン化物が混ざったオニウムテトラフルオロホウ酸塩の精製のための、請求項1〜8のいずれかに記載の方法の使用。

【公表番号】特表2008−523118(P2008−523118A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545856(P2007−545856)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012398
【国際公開番号】WO2006/063653
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】