説明

ハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱

【課題】パレットを使用することなく輸送することが出来、輸送時の振動、衝撃等に対応した緩衝機能を有した外箱の提供。
【解決手段】少なくとも一枚のハロゲン化銀写真ガラス乾板を収納容器に納めたハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体を立てた状態で収納するハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱において、底面に樹脂を含浸した段ボールからなる脚部を有することを特徴とするハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフォトマスク用のハロゲン化銀写真ガラス乾板を収納容器に納めたハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体(以下、単に包装体とも言う)を収納するハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱(以下、単に外箱とも言う)に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトマスク用のハロゲン化銀写真ガラス乾板(以下、単にガラス乾板とも言う)とは、テレビのブラウン管に使用されるシャドウマスク、IC回路を組み込んだパッケイジのリードフレーム用マスク、液晶パネルに用いられている電極を書き込んだマスク及びワーキングマスクの作製に用いる感光材料である。
【0003】
これらガラス乾板は支持体として、寸法変動や膨張率が小さく、透過率が高いガラスが使用され、支持体の上に画像を形成する感光層が塗設され、ガラス支持体の裏面は撮影時のハレーションを防止するためのバッキング層が塗設されている。感光層を形成する材料としては、写真感光材料に使用されている高解像力のハロゲン化銀乳剤を塗設したものが知られている。
【0004】
ガラス乾板は微細なキズ、異物の付着を嫌うため、クリーン度がクラス100以下のクリーンルームで、収納容器としては、例えば特開平7−104432号に記載されている如き低発塵性の紙製の収納容器を用い、更にガラス乾板の感光層に直接にものが接することを防止するためスペーサを介して収納され、且つ収納容器の底部とガラス乾板のバッキング層側に外部からの衝撃に対してガラス乾板を保護するクッション材が配置された包装体が知られている。
【0005】
収納容器に納められているガラス乾板の枚数は、大きさにより様々であるが、例えばリードフレーム用マスクに使用するガラス乾板の場合は2枚が一般的となっている。しかしながらこの場合、ガラス乾板の大きさは、例えば厚さ(5mm)×縦(813mm)×幅(1092mm)であるため包装体の重さは約60kgにもなっている。又、この包装体を収納する包装体用外箱は、例えば厚さ(260mm)×縦(940mm)×幅(1210mm)と大きく、一人で運ぶのは困難な状態となっている。
【0006】
これらの包装体を輸送するに際しては、包装体毎に外箱に入れて、ガラス乾板への衝撃を少なくするためパレットに縦型に積載して輸送し、各ユーザーに納入している。
各ユーザーは納入された包装体が収納された外箱をパレットから下ろし収納場所に、外箱の底面を床面に接触した状態で引きずりながら移動し手作業で搬入している。
【0007】
この様な質量のある包装体の輸送時の取り扱いを安全に且つ容易にする対策が取られてきた。例えば、運搬を容易にするため、複数の包装体を収納する外箱の各長辺を含んで対向する両側面の少なくとも1箇所に、把持する方向から見て10°〜60°の傾斜の長孔の把持手段の孔を設けたガラス乾板包装体用外箱が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のガラス乾板包装体用外箱は、パレットから下ろし、手作業での搬入作業性の向上は認められるが、次の欠点を有している。
1)包装体を収納した外箱を輸送する際、パレットに縦型に直置きで積載して輸送するので、輸送時の振動、衝撃等が直接に外箱に伝わり易く、ガラス乾板への影響をなくすため振動、衝撃等に対する包装体の緩衝機能を上げなければならずコストが掛かる。
2)輸送時の振動、衝撃等によるガラス乾板への影響をなくすため包装体の上下をクッション部材に嵌め込み外箱に収納するため、煩雑な作業が必要となっている。且つ、梱包にコストが掛かる。
3)輸送時にパレットを使用するため、ユーザーに搬入後に、パレットを持ち帰ることになり、そのためのパレットの積め込み作業、パレットを積め込むことで帰りの便に積め込む輸送品の量が減り輸送効率が低下する。
【0009】
これらの状況から、パレットを使用することなく輸送することが出来、輸送時の振動、衝撃等に対応した緩衝機能を有した外箱の開発が望まれている。
【特許文献1】特開2004−276946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、係る状況に鑑みなされたものであり、その目的はパレットを使用することなく輸送することが出来、輸送時の振動、衝撃等に対応した緩衝機能を有した外箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
【0012】
1.少なくとも一枚のハロゲン化銀写真ガラス乾板を収納容器に納めたハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体を立てた状態で収納するハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱において、底面に樹脂を含浸した段ボールからなる脚部を有することを特徴とするハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【0013】
2.前記脚部は収納されたハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体に対して交差する様に底面に少なくとも2本取り付けられていることを特徴とする前記1に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【0014】
3.前記ハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱は、ハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体を収納する複数の収納部を備えた収納体を有する矩形筒状の胴体と、該胴体の一方の開口部を覆い天面を形成する第1蓋体と、該胴体の他方の開口部を覆い、底面を形成する第2蓋体とを有し、該ハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体の収納及び取り出しを、該胴体の側面とすることを特徴とする前記1又は2に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【0015】
4.前記胴体と、第1蓋体と、第2蓋体とが、樹脂を含浸した段ボールからなることを特徴とする前記3に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【0016】
5.前記胴体は断面形状がコの字状の第1部材と第2部材とのそれぞれの背面を対向し、それぞれの側面を重ね合わせ形成されていることを特徴とする前記3又は4に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【0017】
6.前記第1部材の側面と第2部材の側面は固定部材により分離可能に固定されていることを特徴とする前記5に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【0018】
7.前記胴体と、第1蓋体と、第2蓋体と、収納体とは分離可能に固定部材により組み立てられていることを特徴とする前記3〜6の何れか1項に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【0019】
8.前記収納体は、第1取り付け部材と、第2取り付け部材と、複数の仕切部材とを有し、該第1取り付け部材と該第2取り付け部材との対向する面に設けられた複数の溝に取り付けられ形成されており、該収納体は該第2取り付け部材を第2蓋体の内面の上に置き、該第1取り付け部材の上面と第1蓋体の内面とが当接する状態で胴部に収納されていることを特徴とする前記3〜7の何れか1項に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【0020】
9.前記第1蓋体は、長辺と短辺に一体となった4枚のフラップを有し、該第1蓋体は、該フラップを固定部材により分離可能に胴体の一方の開口部の周面に固定することで固定されていることを特徴とする前記3〜8の何れか1項に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【0021】
10.前記第2蓋体は、長辺と短辺に一体となった4枚のフラップを有し、該第2蓋体は、該フラップを固定部材により分離可能に胴体の他の一方の開口部の周面に固定することで固定されていることを特徴とする前記3〜9の何れか1項に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【0022】
11.前記ハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱は、天面と底面と該天面と該底面との長辺を含んで対向する両長側面と、短辺を含んで対向する両短側面とを有する箱体構造を有し、ハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体の収納及び取り出しを天面の側から行うことを特徴とする前記1又は2に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【0023】
12.前記天面と、底面と、両長側面と、両短側面とが、樹脂を含浸した段ボールからなることを特徴とする前記11に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【発明の効果】
【0024】
パレットを使用することなく輸送することが出来、輸送時の振動、衝撃等に対応した緩衝機能を有した外箱を提供することが出来、安心した輸送、輸送コストの低減が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の実施の形態を図1〜図9を参照して説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
【0026】
図1は包装体の収納及び取り出しを胴体の側面とする外箱の概略分解図である。
【0027】
図中、1は外箱を示す。外箱1は、断面形状がコの字状の第1部材1a1と第2部材1a2とで形成され上下に開口部を有する矩形筒状の胴体1aと、胴体1aの上部の開口部を覆い天面を形成する第1蓋体1bと、胴体1aの下部の開口部を覆い底面を形成する第2蓋体1cと、胴体1aの中に収容し、包装体を収納する収納体1dとを有している。
【0028】
第1部材1a1は一枚の部材を折り曲げることで形成され、背面1a11と側面1a12と側面1a13とを有している。第2部材1a2は一枚の部材を折り曲げることで形成され、背面1a21と側面1a22と側面1a23とを有している。胴体1aは第1部材1a1の背面1a11と第2部材1a2の背面1a21とを対向する形で、第1部材1a1の側面1a12と側面1a13とを第2部材1a2の側面1a22と側面1a23とに重ね合わせる様にして形成されている。第1部材1a1の側面1a12と側面1a13と、第2部材1a2の側面1a22と側面1a23との重ね合わせとしては、第1部材1a1の側面1a12と側面1a13の内側に第2部材1a2の側面1a22と側面1a23とが入る形式、第1部材1a1の側面1a12の外側と第2部材1a2の側面1a22の内側とを重ね合わせ、第1部材1a1の側面1a13の内側と第2部材1a2の側面1a23の外側とを重ね合わせる形式(この逆も可能)が挙げられる。これらの形式の中で、組み立て性を考慮し、第1部材1a1の側面1a12と側面1a13の内側に第2部材1a2の側面1a22と側面1a23とが入る形式が好ましい。本図は、この形式の場合を示している。
【0029】
第1部材1a1と第2部材1a2との固定は、第1部材1a1の側面1a12と、側面1a13とに複数個設けられている孔1eと、第2部材1a2の側面1a22と、側面1a23に複数個設けられている孔1fとにそれぞれ固定部材を通し固定する様になっている。1a24は第2部材1a2の背面1a21に配設された把持用の孔を示す。把持用の孔1a24は第1部材1a1の背面1a11に配設しても構わない。
【0030】
第1蓋体1bは矩形筒状の胴体1aの開口部の面積に合わせ、一枚の部材の4辺を折り曲げることで形成されている。1b1は長辺側に設けられたフラップを示し、1b2は他の長辺側に設けられたフラップを示す。1b3は短長辺側に設けられたフラップを示し、1b4は他の長辺側に設けられたフラップを示す。
【0031】
第1蓋体1bの胴体1aへの固定は、胴体1aの上側の開口部に覆う様に被せ、フラップ1b1〜1b4に設けられた孔1hと、第1部材1a1の側面1a12と、側面1a13と、背面1a11の上部に設けられた孔1gと、第2部材1a2の背面1a21の上部に設けられた孔1iとにそれぞれ固定部材を通し固定する様になっている。
【0032】
第2蓋体1cは矩形筒状の胴体1aの開口部の面積に合わせ、一枚の部材の4辺を折り曲げることで形成されている。1c1は長辺側に設けられたフラップを示し、1c2は他の長辺側に設けられたフラップを示す。1c3は短長辺側に設けられたフラップを示し、1c4は他の長辺側に設けられたフラップを示す。
【0033】
第2蓋体1cの胴体1aへの固定は、胴体1aの下側の開口部に覆う様に被せ、フラップ1c1〜1c4に設けられた孔1jと、第1部材1a1の側面1a12と、側面1a13と、背面1a11の下部に設けられたと孔1k、第2部材1a2の背面1a21の下部に設けられた孔1lとにそれぞれ固定部材を通し固定する様になっている。
【0034】
収納体1dは第1取り付け部材1d1と、第2取り付け部材1d2と、第1取り付け部材1d1に設けられた溝1d11と、第2取り付け部材1d2に設けられた溝1d21とに嵌められ挟持された複数の仕切部材1d3とを有している。各仕切部材1d3により仕切られた間が包装体の収納部となる。
【0035】
1m1〜1m3は外箱1の直置きを避けるために、収納される包装体2(図5を参照)と交差する様に底面(第2蓋体1cの裏面)に配設された脚部を示す。脚部は収納されたハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体に対して交差する様に底面に少なくとも2本取り付けることが好ましい。本図は3本の脚部1m1〜1m3を配置した場合を示している。
【0036】
本図に示す外箱1は、外箱1を構成している胴体1aと、第1蓋体1bと、第2蓋体1cと、1dとを固定部材を取り外すことで全て分離することが可能となっており、使用後の外箱の処理が容易となっている。尚、本図に示される外箱は、収納する包装体の数が20〜40体で、且つ、総質量が200〜800kgの大サイズの大量輸送用の外箱に適している。
【0037】
図2は図1のMで示される部分の拡大概略正面図である。
【0038】
図中、Oは脚部1m3が設けられている底面(第2蓋体1cの裏面)からの脚部1m3の高さを示す。高さOは、輸送時の振動、衝撃等の緩衝機能、脚部の強度、フォークリフト及びハンドリフターの爪の厚さ等を考慮し、80〜100mmが好ましい。尚、他の脚部1m1、1m2の高さは脚部1m3と同じであることが好ましい。
【0039】
Pは脚部1m3の長さを示す。長さPは、輸送時の振動、衝撃等の緩衝機能、脚部の強度、フォークリフト又はハンドリフターの爪の厚さ等を考慮し、80〜200mmが好ましい。尚、他の脚部1m1、1m2の長さは脚部1m3と同じであることが好ましい。
【0040】
高さOと長さPとの関係は、高さO:長さPが1:1〜1:2が好ましく、且つ、長さP≧高さOを有していることが好ましい。
【0041】
Qは脚部を3本以上設ける際の間隔を示す。本図では、脚部1m2と、脚部1m3との間隔を示している。間隔Qは、底面の面積、設ける脚部の本数により変わるため特定することは困難であるが、包装体2(図5を参照)を収納した外箱を移動する際に使用する移動手段(例えばフォークリフト又はハンドリフターの爪)が挿入出来る間隔が2箇所取れれば、残りは必要に応じて適宜設定することが好ましい。
【0042】
図3は図1に示される外箱の底面の拡大概略平面図である。
【0043】
図中、θは収納される包装体2に対する脚部との角度を示す。角度θは、外箱の底部の耐加重性、トラック等の運搬手段の荷台への積載性、フォークリフト又はハンドリフターの爪の挿入性、脚部の取り付け作業性等を考慮し、90±10°が好ましい。更には、90±2°が特に好ましい。尚、本図に示される様に、底面(第2蓋体1cの裏面)に設けられている各脚部1m1〜1m3の角度は全てが同じ角度である必要はなく、互いに異なっていても構わない。但し、収納した外箱を移動する際に使用する移動手段(例えばフォークリフト又はハンドリフターの爪)が挿入出来る間隔が2箇所取れる様にする必要がある。
【0044】
Sは脚部の幅を示し、幅Lは第2蓋体1cの幅Rに対して、輸送時の積載性安定性、外箱の上に積み重ね積載する時の積載性等を考慮し、100〜110%が好ましく、より好ましくは103〜108%である。第2蓋体1cの幅Kよりも広い場合、幅Kよりも出る長さは両端で等しくすることが好ましい。
【0045】
図4は底面(第2蓋体1cの裏面)に設けられる脚部のパターンの一例を示す概略平面図である。
【0046】
図4(a)の場合は、各脚部1m1〜1m3が全て同じ角度で設けられている場合を示している。図4(b)の場合は、脚部1m2に対して脚部1m1と脚部1m3が図面の上方で近づく様に全て異なった角度で設けられている場合を示している。図4(c)の場合は、脚部1m1と脚部1m3が図面の上方で離れる様に、且つ脚部1m2が脚部1m3と同じ方向になるように全て異なった角度で設けられている場合を示している。
【0047】
本図に示す様に底面(第2蓋体1cの裏面)に設ける各脚部は、収納される包装体2に対する角度θを90±10°の範囲の中で組み合わせて底面(第2蓋体1cの裏面)に設けることが可能となっている。
図5は図1で示される外箱を組み立て包装体を収納する迄の段階を示す概略フロー図である。
【0048】
S1では、一枚の段ボールを打ち抜き、フラップ1c1〜1c4を形成するスジ押しが付けられ、脚部1mを取り付けた第2蓋体1cの上に、一枚の段ボールを折り曲げコの字状にした第1部材1a1を載置する。この段階では第2蓋体1cの各フラップ1c1〜1c4は開いた状態となっている。脚部1m1〜1m3の取り付け方法は特に限定はなく、例えばステープル、接着剤による方法が挙げられる。
【0049】
S2では、第2蓋体1cの上に載置されたコの字状の第1部材1a1の上に、一枚の段ボールを打ち抜き、フラップ1b1〜1b4を形成するスジ押しが付けられた第1蓋体1bを載置する。この段階では第1蓋体1bの各フラップ1b1〜1b4は開いた状態となっている。この段階で、第1部材1a1と、第1蓋体1bと、第2蓋体1cとで形成される胴部の空間に、図2に示す様に第1取り付け部材1d1と、第2取り付け部材1d2と、複数の仕切部材1d3とから組み立てられた収納体1dを収納する。収納された収納体1dは、第1取り付け部材1d1の外面1d12が第1蓋体1bの内面に当接し、第2取り付け部材1d2の外面1d21が第2蓋体1cの内面に当接した状態となっている。収納体1dが収納された後、第2蓋体1cのフラップ1c1、1c2、1c4を立ち上げ(図中の矢印方向)、各フラップ1c1、1c2、1c4に配設された孔1jと、第1部材1a1の孔1kとにそれぞれ固定部材を通し固定する。又、同様にして第1蓋体1bのフラップ1b1、1b2、1b4を折り曲げ(図中の矢印方向)、各フラップ1b1、1b2、1b4に配設された孔1jと、第1部材1a1の孔1gとにそれぞれ固定部材を通し固定する。
【0050】
S3では、収納体1dの複数の仕切部材1d3によれ仕切られた収納部に、包装体2を立てた状態で収納する。この様な状態で包装体2を収納することを胴体の側面から収納すると言う。全ての収納体1dの収納部に包装体2が収納された後、第2部材1a2の背面1a21と第1部材1a1の背面1a11とを対向し、第1部材1a1の側面の内側に第2部材1a2の側面の外側を重ね合わせる状態で取り付ける。
【0051】
S4では、第2部材1a2が取り付けられた後、胴部を形成する第1部材1a1と第2部材1a2とをそれぞれに設けられている孔(1e、1f)の各々に固定部材を通し、第1部材1a1と第2部材1a2とを固定する。この後、第1蓋体1bのフラップ1b3及び第2蓋体1cのフラップ1c3を胴部の方向(図中の矢印の方向)に折り曲げる。
【0052】
S5では、第1蓋体1bのフラップ1b3に付けられた孔1hと第2部材1a2の背面1a21に配設されている孔1iとに固定部材を通し第1蓋体1bを胴体に固定する。又、同じ様にして第2蓋体1cのフラップ1c3に付けられた孔1jと第2部材1a2と第2部材1a2の背面1a21に設けられている孔1lとに固定部材を通し第2蓋体1cを胴体に固定する。S1〜S5の段階を経て包装体2を収納した外箱1が出来上がる。
3aは第1蓋体1bを胴体1aに固定する固定部材を示す。3bは第2蓋体1cを胴体1aに固定する固定部材を示す。3cは胴体1aを構成している第1部材1a1と第2部材1a2とを固定する固定部材を示す。固定部材としては特に限定はないが、例えばP−ジョイント(幸立化成工業株式会社)製、メタルファスナー(王子インターパック株式会社)製等が挙げられる。固定部材の使用方法は特に制限はないが、外箱1に収納した包装体2を取り出す時、第2部材1a2を取り外す作業を容易にするため、第1蓋体1bのフラップ1b3に付けられた孔1hと第2部材1a2の背面1a21に配設されている孔1i及び第2蓋体1cのフラップ1c3に付けられた孔1jと第2部材1a2の背面1a21に配設されている孔1lに使用する固定部材をメタルファスナーとし、他は、P−ジョイントを使用することが好ましい。
【0053】
図6は図5のS1〜S5の段階で作製された包装体が収納されている外箱から、包装体を取り出す迄を示す概略フロー図である。
【0054】
S′1では、包装体が収納されている状態の外箱1が取り出し場所に用意される。
【0055】
S′2では、把持用の孔1a24が配設されている側の第1蓋体1bの固定部材3aが外され、フラップ1b3が上げられる(図中の矢印方向)。又、同様に第2蓋体1cの固定部材3bとが外され、フラップ1c3が下げられる(図中の矢印方向)る。第1部材1a1と第2部材1a2の全ての固定部材3cも外される。
【0056】
S′3では、把持用の孔1a24をもって第2部材1a2を引き出す(図中の矢印方向)
S′4では、第2部材1a2が取り外され、収納されている収納体2が取り出せる状態となる。
【0057】
S′5では、収納されている収納体2が必要に応じて収納体から取り出される。この様な状態で包装体2を取り出すことを胴体の側面から取り出すと言う。
【0058】
図7は包装体の収納及び取り出しを天面とする外箱の概略図である。図7(a)は、包装体の収納及び取り出しを天面とする外箱の概略斜視図である。図7(b)は図7(a)に示される外箱の概略展開図である。
【0059】
図中、3は包装体2を収納する外箱を示す。外箱3は、長方形の天面3aと、長方形の底面3bと、底面3bに設けられた脚部3c1〜3c3と、天面3aと底面3bとの短辺を含んで対向する2つの側面3d1、3d2と、天面3aと底面3bとの長辺を含んで対向する2つの側面3e1、3e2とを有する直方体の形状となっている。
【0060】
脚部3c1〜3c3は、外箱3の直置きを避けるために、収納される包装体2(図 を参照)と交差する様に底面3bに設けられている(図3を参照)。脚部は設置した時に外箱が設置面と平行を保つために少なくとも底面3bの両端側に2本設けるが必要である。本図は3本の脚部3c1〜3c3を配置した場合を示している。
【0061】
3e11、3e12は側面3e1に設けられた把持手段の孔を示し、3e21、3e22は側面3e2に設けられた把持手段の孔を示す。外箱3は孔3e11、3e21又は孔3e12、3e22を把持し移動することが可能となっている。
【0062】
天面3aは、外フラップ3a1、3a2と、内フラップ3a3、3a4とを有している。底面3bは、外フラップ3b1、3b2と、内フラップ3b3、3b4とを有している。3d12は側面3d1に一体となった接着片を示す。
【0063】
把持手段の孔3e11、3e12、3e21、3e22は初めから打ち抜いておいても良いし、打ち抜きが出来るようにミシン目を入れておき、運搬する時にミシン目に沿って打ち抜き、孔を形成出来る様にしても良い。
【0064】
尚、本図に示される外箱は、収納する包装体の数が1〜2つで、且つ、総質量が10〜50kgの小サイズの少量輸送用の外箱に適している。
【0065】
外箱3の形状は、収納する包装体の質量に耐え、縦型の運搬が可能であれば特に限定なく、例えば段ボール包装技術入門 株式会社 日報 73〜80ページに示されている形式の箱を使用することが可能である。本図で示される外箱3の形状はJIS Z1507に規定される0202形である。
【0066】
図8は図7のNで示される部分の拡大概略正面図である。
図中、Tは脚部3c3が設けられている底面3bからの脚部3c3の高さを示す。高さTは、輸送時の振動、衝撃等の緩衝機能、脚部の強度、フォークリフト又はハンドリフターの爪の厚さ等を考慮し、80〜100mmが好ましい。尚、他の脚部3c1、3c2の高さは脚部3c3と同じであることが好ましい。
【0067】
Uは脚部3c3の長さを示す。長さUは、輸送時の振動、衝撃等の緩衝機能、脚部の強度、フォークリフト又はハンドリフターの爪の厚さ等を考慮し、80〜200mmが好ましい。尚、他の脚部3c1、3c2の長さは脚部3c3と同じであることが好ましい。高さTと長さUとの関係は、図2に示した高さOと長さPとの関係と同じであることが好ましい。
【0068】
Vは脚部を3本以上設ける際の間隔を示す。本図では、脚部3c2と、脚部3c3との間隔を示している。間隔Vは、底面の面積、設ける脚部の本数により変わるため特定することは困難であるが、包装体2(図9を参照)を収納した外箱を移動する際に使用する移動手段(例えばフォークリフトの又はハンドリフターの爪)が挿入出来る間隔が2箇所取れれば、残りは必要に応じて適宜設定することが好ましい。
【0069】
底面3bに設ける脚部の収納される包装体2に対する角度は、図3に示される図1に示される外箱の場合と同じであり、底面3bに設ける脚部の脚部のパターンも図4に示されるパターンと同じである。
【0070】
脚部の幅は、図1に示される外箱1の底面に取り付けられた脚部の場合と同様に、外箱3の底面3bの幅に対して輸送時の積載性安定性、外箱の上に積み重ね積載する時の積載性等を考慮し、100〜110%が好ましく、より好ましくは103〜108%である。底面の幅よりも広い場合、底面の幅よりもでる長さは両端で等しくすることが好ましい。
【0071】
図9は図7に示す外箱の底面に取り付られた他の方式の脚部の概略図である。図9(a)は図7に示す外箱の底面に取り付られた他の方式の脚部の概略平面図である。図9(b)は図9(a)のA−A′視図である。
【0072】
図中、3c4〜3c7は外箱の底面3bの各隅に取り付けられた脚部を示す。Wは底面3bの長辺側から脚部の先端までの距離を示す。距離Wは、輸送時の積載性安定性、外箱の上に積み重ね積載する時の積載性等を考慮し、長辺側から30mm以内であることが好ましい。
【0073】
Yは脚部3c5が設けられている底面3bからの脚部3c5の高さを示す。高さYは、輸送時の振動、衝撃等の緩衝機能、脚部の強度、フォークリフト及びハンドリフターの爪の厚さ等を考慮し、80〜100mmが好ましい。尚、他の脚部3c4、3c6、3c7の高さは脚部3c5と同じであることが好ましい。
【0074】
Xは脚部3c5の長さを示す。長さXは、輸送時の振動、衝撃等の緩衝機能、脚部の強度等を考慮し、80〜200mmが好ましい。尚、他の脚部3c4、3c6、3c7の長さは脚部3c5と同じであることが好ましい。高さYと長さXとの関係は、高さY:長さXが1:1〜1:2が好ましく、且つ、長さX≧高さYを有していることが好ましい。
【0075】
Zは脚部3c5の幅を示す。幅Zは、輸送時の振動、衝撃等の緩衝機能、脚部の強度、等を考慮し、80〜200mmが好ましい。
【0076】
図10は図7で示される外箱を組み立て包装体を収納する迄の段階を示す概略フロー図である。図中の符号は図7と同義である。
S″1では、一枚の段ボールを打ち抜き、図7(b)に示される展開図に該当する部材が準備される。
S″2では、側面3e2を折り曲げ線に沿って、ほぼ90°に折り曲げる。
S″3では、側面3d2を折り曲げ線に沿って、ほぼ90°に折り曲げる。この段階で側面3e2と側面3e1とは対向した状態となる。
S″4では、側面3d1を折り曲げ線に沿って、ほぼ90°に折り曲げ、接着片3d12を折り曲げ線に沿って、ほぼ90°に折り曲げ、側面3e2に接着剤又はステープルで固定する。
S″5では、側面3d2と一体となった内フラップ3b3と、側面3d1と一体となった内フラップ3b4とを折り曲げ線に沿って、ほぼ90°に内側に順次折り曲げる。この後、側面3e1と一体となった外フラップ3b1と、側面3e2と一体となった外フラップ3b2とを折り曲げ線に沿って、ほぼ90°に内側に順次折り曲げる。折り曲げた各フラップは接着剤又はステープルで固定することで底部3bが出来上がる。この段階で、天面を形成する側面3d2と一体となった内フラップ3a3と、側面3d1と一体となった内フラップ3a4と、側面3e1と一体となった外フラップ3a1と、側面3e2と一体となった外フラップ3a2とを有する開口部と底部3bとを有した外箱が形成される。
S″6では、底部3bに予め準備してあった脚部用部材を所定の場所に取り付け、脚部を形成する。本図では3本の脚部3c1〜3c3を取り付けた状態を示している。この段階での脚部用部材の取り付けは、底部がフラップで厚くなっている関係から接着剤で行うことが好ましい。尚、脚部用部材の取り付ける段階は、特に限定はないが例えばS″1の段階で各側壁を折り曲げる前に、先に底部3bを形成する外フラップ3b1又は外フラップ3b2に接着剤又はステープルで取り付ける方法が挙げられる。脚部3c1〜3c3が取り付けられた後、開口部から包装体2を外箱の中に収納する。この、開口部から包装体2を外箱の中に収納する状態を天面の側から行うと言う。
S″7では、内フラップ3a3と、内フラップ3a4と、外フラップ3a1と、外フラップ3a2とを順次折り曲げ線に沿って、ほぼ90°に内側に順次折り曲げる。折り曲げた各フラップは接着剤又はステープルで固定することで天面3aが形成される。尚、収納された包装体2の取り出しは、天面3aを形成している各フラップを開けた後、開口部から包装体2を外箱の中から取り出す。この、開口部から包装体2を外箱の中から取り出す状態を天面の側から行うと言う。
【0077】
次に図1に示す外箱1の脚部1m1〜1m3及び図7に示す外箱3の脚部3c1〜3c3の材料に付き説明する。外箱1の脚部1m1〜1m3と、図7に示す外箱3の脚部3c1〜3c3とは、樹脂を含浸した紙段ボール(以下、段ボールと言う)が使用されている。使用する段ボールの段の種類として、Aフルート、Bフルート、Cフルート、Eフルートの内から、収納する包装体の質量に併せて適宜組み合わせて作製した複両面段ボール、複々両面段ボール等が挙げられる。これらの樹脂を含浸した段ボールを必要に応じて重ね合わせ接着剤で固定して形成することが好ましい。段ボールを重ね合わせる時(例えば、図2に示す幅P及び図8に示す幅Sに合わせ)、使用時に重ね合わせた全ての段ボールのフルートの方向が鉛直方向になるように向くようにフルートの方向を併せて重ね合わせることが好ましい。
【0078】
使用する樹脂としては、一般の含浸紙に使用される樹脂の使用が可能であり以下に一例を示す。
【0079】
ゴム系ラテックス
SBR(スチレン・ブタジエン共重合体)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエン共重合体)、MBR(メチルメタアクリレート・ブタジエン共重合体)、CR(クロロプレン重合体)等が挙げられる。
【0080】
樹脂系ラテックス(エマルジョン)
アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルを乳化重合したアクリル系ラテックス、EVA(エチレン・ビニルアセテート共重合体)、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル・マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル・エチレン共重合体を使用した酢ビ系ラテックス等が挙げられる。
【0081】
合成樹脂
メラミン樹脂、ジアレルフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、SBR系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、EVA系樹脂、ポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂等が挙げられる。
【0082】
これらのゴム系ラテックス、樹脂系ラテックス(エマルジョン)及び合成樹脂の段ボールへの含浸は、一般に行われている方法で行うことが可能であり、例えば、最新 紙加工便覧 テックタイムス編 P517に記載されている段ボールディッピングマシンを使用する方法が挙げられる。
【0083】
又、直接段ボールに樹脂を含浸させるのではなく、段ボールを構成しているライナー、中芯に使用する材料に樹脂を含浸させ、これらの樹脂を含浸させたライナー、中芯を使用し段ボールを作製しても構わない。ライナー、中芯に使用する材料への樹脂の含浸は、一般に行われている方法で行うことが可能であり、例えば、最新 紙加工便覧 テックタイムス編 P238〜P243に記載されている装置を使用した方法が挙げられる。
【0084】
樹脂の含浸量としては、振動、衝撃等の緩衝機能、脚部の強度、コスト、生産性等を考慮し、10〜40質量%が好ましい。特に好ましくは20〜30質量%である。
【0085】
次に図1に示す外箱1、図7に示す外箱3に使用する材料に付き説明する。外箱1と、外箱3に使用する材料は段ボールが挙げられる。使用する好ましい段ボールとしては、段の種類として、Aフルート、Bフルート、Cフルート、Eフルートの内から、収納する包装体の質量に併せて適宜組み合わせて作製した複両面段ボール、複々両面段ボール等が挙げられる。
【0086】
外箱1の場合、胴体1aを構成している第1部材1a1と、第2部材1a2、第1蓋体1bと、第2蓋体1cと、収納体1dとに使用される段ボールは全て同じ段ボール材料であることが好ましい。
又、外箱1を構成している部材の内、第1部材1a1と、第2部材1a2、第1蓋体1bと、第2蓋体1c及び外箱3とは、配送時の環境(例えば、雪の日、雨の日)を考慮し、樹脂を含浸させた段ボールを使用することが好ましい。使用する樹脂は、脚部と同じ樹脂を使用することが好ましい。
【0087】
段ボールを使用し図1に示す外箱を組み立てる時、胴体1aを構成している第1部材1a1と、第2部材1a2と、収納体1dを構成している仕切部材1d3とはフルートの方向が鉛直方向になるように向くようにすることが外箱の強度を保持する面から好ましい。外箱3の場合も同じである。但し、外箱1の収納体1dの第1取り付け部材1d1と第2取り付け部材1d2とを複両面段ボールを必要に応じて重ね合わせ接着剤で固定して形成する場合は、複両面段ボールを重ね合わせる時、フルートの方向は特に限定はなく、例えば交互になるようにしても良いし、平行になるようにしても良い。
【0088】
図1〜図10に示す様な樹脂を含浸した段ボールを使用した脚部を外箱の底部に設けることで次の効果が挙げられた。
【0089】
1)脚部の緩衝機能により輸送時の振動、衝撃等による包装体への影響が緩和されるため、包装体を外箱に収納時、段ボール等の簡易クッション材での使用で十分となり梱包作業の効率化と、コスト低減が可能となった。
【0090】
2)包装体を収納した外箱を輸送する際、パレットを使用することなく輸送出来る様になり、パレットの返却に伴う作業の消滅、且つパレットの不要によるコスト低減が可能となった。
【実施例】
【0091】
以下に、本発明の効果を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0092】
実施例1
(脚部の準備)
王子コーンスターチ株式会社製耐水段ボール(ポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂を乾燥質量として25質量%含浸したABフルートの複両面段ボール)を使用し、外箱の底部に取り付けた時、フルートの方向が鉛直方向になるように8枚重ね併せ、マルカボンドEZ220(中部サイデン株式会社製)接着剤で接着し脚部とした。脚部の長さは100mm、高さは80mmとした。又、幅は外箱の底面の幅に対して105%とした。
【0093】
〈包装体の準備〉
内箱に厚さ5mm、縦813mm、幅1092mmの大きさのKONICA PHOTO PLATEを2枚納めた包装体を準備した。
【0094】
(外箱の準備)
図1に示される外箱(第1蓋体、第2蓋体、第1部材、第2部材、収納体)を段の種類がABフルートの複両面段ボールを使用して作製し、準備した脚部を収納する包装体と公差する角度を表1に示すように変えて図4に示すパターンで3本取り付け外箱を作製し試料No.101〜103とした。
尚、ABフルートの複両面段ボールのライナーには坪量220g/m2のクラフトライナーを使用し、坪量120g/m2のセミケミカルパルプ100%の中芯(段)を使用した。フルートの方向は包装体を収納し載置した時、鉛直方向となる様にした。
【0095】
尚、樹脂を含浸しない他は全て同じ材料で作製した脚部を付けた他は全て同じ条件で外箱を作製し比較試料No.104〜106とした。又、脚部を付けない他は全て同じ条件で外箱を作製し比較試料No.107とした。
【0096】
尚、出来上がった外箱はガラス乾板を2枚収納した包装体が25体収納出来、寸法は高さ(1320mm)×幅(1070mm)×厚さ(1000mm)であった。又、比較の外箱No.102はガラス乾板を2枚収納した包装体が2体収納出来、寸法は高さ(940mm)×幅(1210mm)×厚さ(260mm)であった。
【0097】
評価
作製した各試料No.101〜104に対して、準備した包装体を25体収納し、輸送適性に付き以下に示す方法で試験し、以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表1に示す。
【0098】
輸送適性の試験方法
温度30℃、湿度90%RHの条件で1日放置した後、温度30℃、湿度90%RHの環境でJIS Z0232−1994に準じた振動試験で、振動数を5〜100Hzと変化させ、各振動数で加速度を−0.75〜+0.75Gと変え、加速度に耐える強度を保持しているかを目視で確認し輸送適性の評価とした。
【0099】
輸送適性の評価ランク
○:ガラス乾板、包装体、クッション材、外箱に損傷無し
△:ガラス乾板、包装体、クッション材に損傷は認められないが、外箱に損傷が認められる
×:ガラス乾板、包装体に損傷ないが、クッション材、外箱に損傷が認められる
××:ガラス乾板に損傷はないが、包装体、クッション材、外箱に損傷が認められる
【0100】
【表1】

【0101】
本発明の有効性が確認された。尚、図7に示す外箱を作製し同様な試験を行った結果、表1と同じ結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】包装体の収納及び取り出しを胴体の側面とする外箱の概略分解図である。
【図2】図1のMで示される部分の拡大概略正面図である。
【図3】図1に示される外箱の底面の拡大概略平面図である。
【図4】底面(第2蓋体1cの裏面)に設けられる脚部のパターンの一例を示す概略平面図である。
【図5】図1で示される外箱を組み立て包装体を収納する迄の段階を示す概略フロー図である。
【図6】図5のS1〜S5の段階で作製された包装体が収納されている外箱から、包装体を取り出す迄を示す概略フロー図である。
【図7】包装体の収納及び取り出しを天面とする外箱の概略図である。
【図8】図7のNで示される部分の拡大概略正面図である。
【図9】図7に示す外箱の底面に取り付られた他の方式の脚部の概略平面図である。
【図10】図7で示される外箱を組み立て包装体を収納する迄の段階を示す概略フロー図である。
【符号の説明】
【0103】
1、3 外箱
1a 胴体
1a1 第1部材
1a11、1a21 背面
1a12、1a13、1a22、1a23、3d1、3d2、3e1、3e2 側面
1a2 第2部材
1b 第1蓋体
1b1〜1b4、1c1〜1c4 フラップ
1c 第2蓋体
1d 収納体
1d1 第1取り付け部材
1d11、1d21 溝
1d2 第2取り付け部材
1d3 仕切部材
1e〜1l 孔
1m1〜1m3、3c1〜3c7 脚部
2 包装体
201 内箱
202 ガラス乾板
203a、203b、308a、308b クッション材
3a 天面
3b 底面
3a1、3a2、3b1、3b2 外フラップ
3a3、3a4、3b3、3b4 内フラップ
O、T 高さ
P、U 長さ
Q、V 間隔
S 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一枚のハロゲン化銀写真ガラス乾板を収納容器に納めたハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体を立てた状態で収納するハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱において、
底面に樹脂を含浸した段ボールからなる脚部を有することを特徴とするハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【請求項2】
前記脚部は収納されたハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体に対して交差する様に底面に少なくとも2本取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【請求項3】
前記ハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱は、ハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体を収納する複数の収納部を備えた収納体を有する矩形筒状の胴体と、該胴体の一方の開口部を覆い天面を形成する第1蓋体と、該胴体の他方の開口部を覆い、底面を形成する第2蓋体とを有し、
該ハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体の収納及び取り出しを、該胴体の側面とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【請求項4】
前記胴体と、第1蓋体と、第2蓋体とが、樹脂を含浸した段ボールからなることを特徴とする請求項3に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【請求項5】
前記胴体は断面形状がコの字状の第1部材と第2部材とのそれぞれの背面を対向し、それぞれの側面を重ね合わせ形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【請求項6】
前記第1部材の側面と第2部材の側面は固定部材により分離可能に固定されていることを特徴とする請求項5に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【請求項7】
前記胴体と、第1蓋体と、第2蓋体と、収納体とは分離可能に固定部材により組み立てられていることを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【請求項8】
前記収納体は、第1取り付け部材と、第2取り付け部材と、複数の仕切部材とを有し、該第1取り付け部材と該第2取り付け部材との対向する面に設けられた複数の溝に取り付けられ形成されており、該収納体は該第2取り付け部材を第2蓋体の内面の上に置き、該第1取り付け部材の上面と第1蓋体の内面とが当接する状態で胴部に収納されていることを特徴とする請求項3〜7の何れか1項に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【請求項9】
前記第1蓋体は、長辺と短辺に一体となった4枚のフラップを有し、該第1蓋体は、該フラップを固定部材により分離可能に胴体の一方の開口部の周面に固定することで固定されていることを特徴とする請求項3〜8の何れか1項に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【請求項10】
前記第2蓋体は、長辺と短辺に一体となった4枚のフラップを有し、該第2蓋体は、該フラップを固定部材により分離可能に胴体の他の一方の開口部の周面に固定することで固定されていることを特徴とする請求項3〜9の何れか1項に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【請求項11】
前記ハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱は、天面と底面と該天面と該底面との長辺を含んで対向する両長側面と、短辺を含んで対向する両短側面とを有する箱体構造を有し、ハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体の収納及び取り出しを天面の側から行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。
【請求項12】
前記天面と、底面と、両長側面と、両短側面とが、樹脂を含浸した段ボールからなることを特徴とする請求項11に記載のハロゲン化銀写真ガラス乾板包装体用外箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−327994(P2007−327994A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−157005(P2006−157005)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】