説明

ハンダ付け演習基板

【課題】 ハンダ付けの良否を自動的に判定することができるトレーニング用のハンダ付け演習基板を提供する。
【解決手段】基板本体のハンダ付け施行ポイントに手作業で行われたハンダ付けの良否を判定するためのハンダ付け演習基板であって、基板本体にCPUとハンダ付けの演習を行うための複数の電子部品が組み込まれている。CPUには各電子部品がハンダ付施行ポイントを介して接続されている。またCPUにはハンダ付け施行ポイントに正常なハンダ付けが行われているか否かの判定を行うハンダ付け良否判定ソフトウエアが書き込まれている。このソフトウエアによる判定結果はCPUから出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、教育分野において電子回路プリント基板へのハンダ付けの演習用として用いられものであり、演習として基板に実施されたハンダ付けの良否を判定することができるハンダ付け演習基板に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プリント基板のハンダ付け技術のレベル向上のために使用される、ハンダ付けの良否を自動的に判定することができるトレーニング用のハンダ付け演習基板は市販されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般にプリント基板において、表面実装部品(面実装)は自動ハンダ装置で処理されることが多い。チップ部品はマウンターで基板上のしかるべき位置に置かれ予めハンダ材料を載せてある場所でリフロー漕の加熱用ヒーターで一定温度と時間の環境でハンダ付けされる。しかしマウンターの位置がずれたり、角度が有ったり浮く等の原因で不良が発生する。
【0004】
この場合リワークと言う一種の修理修正作業が発生し手ハンダ作業が有りこれが重要な要素となる。又試作等の少量生産の場合や図面が完備していない試験試作においても手ハンダが必要となる。又現時点ではDIP部品即ち足付きの部品をスルーホール穴に挿入するものとチップ部品との混在、それと共晶ハンダ付着部品と鉛フリーハンダ部品が混在する場合は自動のフローの自動ハンダ装置に入れられない。
【0005】
なぜなら鉛フリーの専用自動機で共晶ハンダ処理の部品をハンダ付けするため自動機に通すとハンダ層に共晶ハンダ(鉛入り)が混入し以降鉛フリーの自動処理が混入した鉛で汚染されてしまう。このようなことから鉛が混入する虞がある場合全て手ハンダとなる。
【0006】
欧州連合が鉛や水銀などを使用した電子機器の輸入を禁止する「PoHS指令」の施行期日である2006年7月以降、益々手ハンダやリワーク等の鉛フリーのハンダ付けが重要でその技術習得が生産現場での不良率低下に欠かせない問題となっている。又試作、試験では手ハンダ技術のさらなるレベル向上が急務となっている。
本発明は手ハンダの技術のさらなるレベル向上に寄与するためのハンダ付けトレーニングボードを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、基板本体のハンダ付け施行ポイントに手作業で実施されたハンダ付けの良否を判定するためのハンダ付け演習基板であって、基板本体にCPUとハンダ付けの演習を行うための複数の電子部品を組み込み、前記CPUに前記各電子部品をハンダ付施行ポイントを介して接続し、前記CPUに前記ハンダ付け施行ポイントに正常なハンダ付けが行われているか否かの判定を行うハンダ付け良否判定ソフトウエアを格納し、該ソフトウエアによる判定結果を前記CPUから出力可能としたものである。
また本発明は、前記電子部品は前記基板本体の表面に取り付けられた表面実装部品で構成され、前記基板本体の表面に各電子部品のハンダ付け施行ポイントが形成されていることを特徴とする。
また本発明は、前記CPUは、コネクタを介してコンピュータに接続可能に構成され、前記判定結果が前記コンピュータに入力され該コンピュータの表示装置に表示されるようにしたものである。
また本発明は、前記基板本体に複数個の発光素子を設け、該発光素子を前記CPUに接続し、前記判定結果が前記発光素子によって表示されるようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、演習として基板に実施したハンダ付けが正しく行われたか否かを迅速且つ正確に検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図2は本発明に係るハンダ付け演習基板の全体外観図を示している。ハンダ付けの対象は一般にディスクリート部品即ち足ピンを基板穴に挿入する取付部品と基板の表面に貼り付ける型の表面実装部品に分けられる。本発明は何れの型の部品にも応用できるが、本実施形態では表面実装部品を用いている。
【0010】
基板本体2は、硝子エポキシ材から成る2層基板により構成され、該基板本体2の表面には、ICチップから成るCPU(中央演算処理装置)4,IC(集積回路)6、抵抗ブロック8、抵抗10、コンデンサ12、ダイオード14、コネクタ16、LEDから成る発光素子18、スイッチ20等が実装されている。
【0011】
CPU4の入出力ポートは、基板本体2に設けられたコネクタ16を介してパーソナルコンピュータ(図示省略)に接続可能な構成となっている。前記CPU4のメモリには各電子部品のハンダ付け施行ポイントへのハンダ付けの良否を判定するソフトウエアである自動導通テストプログラムが書き込まれている。
【0012】
前記CPU4は電源回路に接続され、前記プログラムが正常に動作可能な状態に設定されている。またコンピュータに接続用のコネクタ16や発光素子18も正常に動作するようにCPU4に電気的に接続している。
【0013】
一方、基板本体2の表面実装されたIC6、抵抗ブロック8、抵抗10、コンデンサ12、ダイオード14等の所要のハンダ付け演習用の電子部品の各端子のハンダ付け施行ポイントは、基板使用前は、ハンダ付け演習のためにハンダ付けが行われていない状態となっている。
【0014】
これら各電子部品全てのハンダ付け施行ポイントに正しいハンダ付けが行われるとこれら各電子部品と、CPU4、発光素子18、及びコネクタ16は、図3に示す電子回路を形成する。
【0015】
ハンダ付けのトレーニングを行うときは、演習者は、基板本体2上の所要のハンダ付け施行ポイントに手作業でハンダ付けを行う。図1は、IC6、抵抗10、コンデンサ12及び抵抗ブロック8にハンダ付けを行う実施例を示している。
【0016】
図中、ハンダ付けの演習を行うハンダ付け施行ポイントは符号Pで示している。演習者は、これらハンダ付け施行ポイントPに手作業によりハンダ付けを行う。演習者によりハンダ付け施行ポイントPのハンダ付けが終了すると、ハンダ付けが正常に行われたか否かの検査が自動的に行われる。この動作を図1を参照して説明する。
【0017】
IC6、抵抗10、コンデンサ12、抵抗ブロック8の各電子部品のハンダ付けが正常に行われたか否かのチェックは、CPU4の電圧荷電ポート4d,4e,4fから各電子部品に電圧が印加され、CPU4の計測用入力ポート4a,4b,4cに入力される。
【0018】
これらのCPU4の計測用入力ポートに入力された電圧は、CPU4に格納された自動導通テストプログラムにより処理され、各電子部品のハンダ付けが正常に行われたか否かの判定が行われる。
【0019】
この判定結果は、演習基板にコネクタ16を介して接続するパーソナルコンピュータの画面に表示される。本実施形態では、演習者のハンダ付けの不良箇所の個数に基づいてハンダ付けの技量を示す点数を表示しているが、この検査結果の表示は、種々の形態を採用することが可能であり、特に採点方式に限定されるものではない。
【0020】
また、CPU4は、その検査結果に基づいて、発光素子18に4ビットの信号を出力し、発光素子18の選択的点灯で所要の検査結果を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るハンダ付け演習基板の動作説明図である。
【図2】ハンダ付け演習基板の外観説明図である。
【図3】ハンダ付け演習基板の電子回路図である。
【符号の説明】
【0022】
2 基板本体
4 CPU
6 IC
8 抵抗ブロック
10 抵抗
12 コンデンサ
14 ダイオード
16 コネクタ
18 発光素子
20 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板本体のハンダ付け施行ポイントに手作業で実施されたハンダ付けの良否を判定するためのハンダ付け演習基板であって、基板本体にCPUとハンダ付けの演習を行うための複数の電子部品を組み込み、前記CPUに前記各電子部品をハンダ付施行ポイントを介して接続し、前記CPUに前記ハンダ付け施行ポイントに正常なハンダ付けが行われているか否かの判定を行うハンダ付け良否判定ソフトウエアを格納し、該ソフトウエアによる判定結果を前記CPUから出力可能としたことを特徴とするハンダ付け演習基板。
【請求項2】
前記電子部品は前記基板本体の表面に取り付けられた表面実装部品で構成され、前記基板本体の表面に各電子部品のハンダ付け施行ポイントが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のハンダ付け演習基板。
【請求項3】
前記CPUは、コネクタを介してコンピュータに接続可能に構成され、前記判定結果が前記コンピュータに入力され該コンピュータの表示装置に表示されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のハンダ付け演習基板。
【請求項4】
前記基板本体に複数個の発光素子を設け、該発光素子を前記CPUに接続し、前記判定結果が前記発光素子によって表示されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のハンダ付け演習基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−186877(P2008−186877A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17247(P2007−17247)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(507030760)株式会社 エムエム電子 (1)
【Fターム(参考)】