説明

ハンドおよび基板搬送装置

【課題】効率よく基板を除電できること。
【解決手段】上記の課題を解決するために、複数のフォークと、生成部であるところのイオナイザと、噴出部であるところの噴出孔とを備えるようにハンドおよびかかるハンドを備える基板搬送装置を構成する。上記の複数のフォークは、基板を載置する。上記のイオナイザは、上記のフォークの内部に設けられ、イオン化した気体を生成する。上記の噴出孔は、上記のイオナイザによって生成されたイオン化した気体を噴出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、ハンドおよび基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネルのガラス基板のような基板の搬送および収納カセットへの出し入れを行う基板搬送装置が知られている。
【0003】
かかる基板搬送装置は、複数のフォークを備えたハンドを有しており、かかるフォーク上へ基板を載置して搬送する。また、基板搬送装置は、かかるフォークを基板の収納カセット(以下、「カセット」と記載する)内へ挿し入れて、基板の出し入れを行う。
【0004】
ところで、かかる基板の搬送や出し入れの際、いわゆる摩擦帯電や剥離帯電などが生じることによって基板が静電気を帯びる場合があるが、かかる静電気が放電された場合、基板素子の損傷などを招く可能性がある。
【0005】
このため、近年では、イオナイザなどの除電器を用いて基板を除電する基板搬送装置が登場してきている(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
なお、特許文献1に開示された基板搬送装置は、ハンドの基部に設けたイオナイザにおいて生成したイオン化気体を、フォークに沿って配した配管を介してフォーク上の噴出孔から噴出し、基板の帯びた静電気を中和することによって除電を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−82732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の基板搬送装置では、イオン化気体が配管を介して導通する間にイオンの再結合が生じてしまい、静電気を効率よく中和できないという問題があった。
【0009】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、効率よく基板を除電することができるハンドおよび基板搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の一態様に係るハンドは、複数のフォークと、生成部と、噴出部とを備える。複数のフォークは、基板を載置する。生成部は、前記フォークの内部に設けられ、イオン化した気体を生成する。噴出部は、前記生成部によって生成された前記気体を噴出する。
【発明の効果】
【0011】
実施形態の一態様によれば、基板を効率よく除電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るハンドおよび基板搬送装置を含む基板搬送システムの構成例を示す図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係るハンドの構成例を示す図である。
【図3】図3は、イオナイザの設置例を示す図である。
【図4A】図4Aは、キャップの平面図である。
【図4B】図4Bは、キャップが取り付けられたフォークの第1の縦断面図である。
【図4C】図4Cは、キャップが取り付けられたフォークの第2の縦断面図である。
【図5A】図5Aは、フォークの第1の除電領域を示す図である。
【図5B】図5Bは、フォークの第2の除電領域を示す図である。
【図6】図6は、変形例に係るキャップを示す図である。
【図7A】図7Aは、噴出孔の第1の成形例を示す図である。
【図7B】図7Bは、噴出孔の第2の成形例を示す図である。
【図8A】図8Aは、イオンの第1の噴出方向例を示す図である。
【図8B】図8Bは、イオンの第2の噴出方向例を示す図である。
【図9A】図9Aは、第2の実施形態に係るハンドの構成例を示す図である。
【図9B】図9Bは、第3の実施形態に係るハンドの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するハンドおよび基板搬送装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係るハンドおよび基板搬送装置を含む基板搬送システムの構成例について、図1を用いて説明する。図1は、第1の実施形態に係るハンド15および基板搬送装置10を含む基板搬送システム1の構成例を示す図である。
【0015】
なお、図1には、説明を分かりやすくするために、鉛直上向きを正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、以下の説明に用いる他の図面においても示す場合がある。
【0016】
図1に示すように、基板搬送システム1は、基板搬送装置10と、コントローラ20と、カセット30とを備える。
【0017】
基板搬送装置10は、カセット30へ多段に収納された基板100を1枚ずつ出し入れして搬送する装置である。ここで、基板搬送装置10の構成例について説明しておく。
【0018】
図1に示すように、基板搬送装置10は、昇降機構11と、旋回機構12と、伸縮機構13と、支持部材14と、ハンド15と、ベース16とを備える。昇降機構11は、フロアなどに固定されるベース16に支持され、図中のX軸およびZ軸を含むXZ平面に沿って昇降する動作を行う機構である。
【0019】
旋回機構12は、昇降機構11に支持され、Z軸に平行な回転軸まわりに旋回する動作を行う機構である。伸縮機構13は、旋回機構12に支持され、XY平面に沿って伸縮する動作を行う機構である。なお、図1には、1対の伸縮機構13を図示しているが、図を分かりやすくするために、一方の伸縮機構13については途中から図示を省略している。
【0020】
基板搬送装置10は、これら昇降機構11、旋回機構12および伸縮機構13によっていわゆる多関節アームを構成する。なお、かかる多関節アームの各関節は図示しないサーボモータによって駆動される。コントローラ20は、かかるサーボモータの指示プログラムを格納し、かかる指示プログラムによって多関節アームの動作を制御する制御装置である。
【0021】
そして、かかる多関節アームの終端部には、支持部材14を介してハンド15が取り付けられる。
【0022】
ハンド15は、複数の板状のフォーク150を備え、かかるフォーク150へ基板100を載置する。なお、フォーク150は、伸縮機構13の端部(すなわち、多関節アームの終端部)に支持される支持部材14によって支持される。また、以下では、フォーク150の基板100を載置する側の面を、「載置面」と記載する場合がある。
【0023】
カセット30は、基板100の収納装置であり、基板100の板面を図中のXY平面へ平行に向けて基板100を多段に収納する。
【0024】
そして、基板搬送装置10は、基板100をカセット30から搬出する際には、多段に収納された基板100のピッチに、搬出対象である基盤100の下面に沿うようにフォーク150を挿し入れて基板100を載置し、搬出する。
【0025】
また、基板搬送装置10は、基板100をカセット30へ搬入する際には、搬入対象である基板100を載置したままフォーク150をカセット30へ挿し入れ、基板100を搬入する。
【0026】
次に、第1の実施形態に係るハンド15の構成例について、図2を用いて説明する。図2は、第1の実施形態に係るハンド15の構成例を示す図である。なお、図2には、Z軸の正方向からみた場合の平面図を示している。
【0027】
図2に示すように、ハンド15は、フォーク150を備える。なお、図1を用いて既に述べたように、ハンド15は、フォーク150を複数個備えるが、以下では、そのうちの1つのみを図示して説明することとする。
【0028】
フォーク150は、吸着部151と、キャップ152と、イオナイザ153と、配管154と、噴出孔155とを備える。
【0029】
吸着部151は、弾性素材からなる吸着パッドを含む部材であり、フォーク150が基板100を載置する際に、空気の吸引力などを用いて基板100を吸着する。かかる吸着部151によって、基板100を緩衝しつつ、フォーク150へ安定して載置することができる。
【0030】
なお、図2には、吸着部151が、フォーク150の先端部近傍に1つ設けられている例を示しているが、これに限られるものではなく、1つのフォーク150につき、複数位置に複数個設けられてもよい。
【0031】
キャップ152は、中空のフォーク150の先端部を塞ぐ保護部材である。キャップ152には、後述する配管154と噴出孔155とを連接する連接孔を設けることができる。かかる点については、図4A〜図4Cを用いて後述する。
【0032】
イオナイザ153は、イオン化した気体(以下、便宜上「イオン」と記載する)を生成するいわばイオンの生成部である。また、イオナイザ153は、生成したイオンを後述する配管154に対して送出する。なお、イオナイザ153は、図2において破線で示されているように、フォーク150の内部に設けられる。
【0033】
ここで、図3を用いてイオナイザ153の設置例について述べておく。図3は、イオナイザ153の設置例を示す図である。
【0034】
図3に示すように、イオナイザ153は、フォーク150の内部に設けられる。このとき、イオナイザ153は、たとえば、フォーク150にあらかじめ設けられた開口部156を介してフォーク150の内部に備えられる。
【0035】
なお、イオナイザ153は、たとえば、フォーク150の載置面に穿設されたタップ孔150aを介し、ネジ200などによって固定される。また、開口部156の蓋157は、たとえば、ネジを用いた螺合や、嵌合形状による嵌合などによって固定される。
【0036】
これにより、イオナイザ153の取り付けや交換といった保守作業を容易に行うことができる。なお、図2および図3では、イオナイザ153が、後述する噴出孔155の近傍に1つ設けられている例を示しているが、これに限られるものではなく、噴出孔155の配置位置などに応じて、1つのフォーク150につき複数個設けられてもよい。
【0037】
図2の説明に戻り、配管154について説明する。配管154は、イオナイザ153から送出されたイオンを、後述する噴出孔155へ向けて導通する導通管である。なお、配管154には、パイプのような硬質素材、チューブのような軟質素材のいずれを用いてもよい。本実施形態では、配管154が、軽量であり、かつ、取り回しの容易な軟質素材であるものとする。
【0038】
噴出孔155は、フォーク150の外殻を貫いて設けられ、イオナイザ153が生成したイオンを噴出するいわば噴出部である。かかる噴出孔155は、少なくともフォーク150の先端部近傍に設けられる。なお、かかる先端部近傍に設けられることの利点については、図5Aおよび図5Bを用いて後述する。
【0039】
また、図2に示すように、噴出孔155は、吸着部151の近傍に設けられる。これにより、基板100と接することで剥離帯電などを生じやすい吸着部151の近傍を、重点的に除電することが可能となる。
【0040】
このとき、イオンが吸着部151へ向けて重点的に噴出されるように、噴出孔155の形状を成形することとしてもよい。かかる点については、図7Aおよび図7Bを用いて後述する。
【0041】
また、図2に示すように、上述したイオナイザ153は、かかる噴出孔155の近傍に設けられることが好ましい。これにより、配管154を含めたイオンの導通経路を短く形成することができるので、イオンの再結合を抑制し、効率よく基板100の除電を行うことができる。
【0042】
なお、図2には、噴出孔155が、フォーク150の先端部近傍に2個並列に設けられている例を示しているが、噴出孔155の個数や配置位置を限定するものではない。
【0043】
また、図2では、フォーク150の先端部から図中のX軸に沿って順に、噴出孔155、吸着部151、イオナイザ153を配置している例を示しているが、かかる配置順序を限定するものではない。たとえば、イオナイザ153のサイズ、配管154の取り回しのしやすさおよびフォーク150の厚みなど、機械要素の種々の条件に応じて、好適な配置順序とすればよい。
【0044】
次に、図2を用いて示したキャップ152の詳細について、図4Aを用いて説明する。図4Aは、キャップ152の平面図である。なお、図4Aには、キャップ152をZ軸の正方向からみた場合の平面図を示している。
【0045】
図4Aに示すように、キャップ152は、取り付け部152aと、連接孔152bとを備える。取り付け部152aは、配管154を接続するコネクタに相当する部材である(図中の矢印参照)。
【0046】
連接孔152bは、配管154と噴出孔155(図2参照)とを連接し、イオンの導通経路を形成する。ここで、かかる点について、図4Bおよび図4Cを用いてさらに詳しく説明する。
【0047】
図4Bは、キャップ152が取り付けられたフォーク150の第1の縦断面図であり、図4Cは、キャップ152が取り付けられたフォーク150の第2の縦断面図である。なお、図4Bおよび図4Cには、フォーク150をY軸の正方向からみた場合の縦断面図を示している。
【0048】
図4Bに示すように、キャップ152は、配管154を接続され、かつ、中空のフォーク150の先端部に取り付けられることによって、配管154を導通してくるイオンの、噴出孔155への導通経路を形成する。
【0049】
このとき、図4Bに示すように、連接孔152bを、たとえば、Y軸の正方向からみた場合にL字形状となるように形成しておくことで、フォーク150の載置面側に設けられた噴出孔155から噴出方向301へイオンを噴出させることができる。
【0050】
すなわち、連接孔152bは、キャップ152がフォーク150へ取り付けられた場合に、フォーク150の噴出孔155と連接する位置に設けられることとなる。
【0051】
また、図4Cに示すように、連接孔152bを、たとえば、Y軸の正方向からみた場合にT字形状となるように形成してもよい。かかる場合、フォーク150の載置面側に設けられた噴出孔155から噴出方向301へ、および、載置面の対向面側に設けられた噴出孔155から噴出方向302へ、それぞれ同時にイオンを噴出させることができる。
【0052】
このように、キャップ152へ連接孔152bを設けることで、中空のフォーク150の先端部の保護と、生成したイオンの導通経路の形成とを、あわせて容易に行うことができる。すなわち、フォーク150の組み立てや保守作業などを効率化することができる。
【0053】
次に、噴出孔155がフォーク150の先端部近傍に設けられることの利点について、図5Aおよび図5Bを用いて説明する。図5Aは、フォーク150の第1の除電領域を示す図であり、図5Bは、フォーク150の第2の除電領域を示す図である。
【0054】
なお、図5Aは、図4Bに示したキャップ152がフォーク150の先端部に取り付けられている場合に、図5Bは、図4Cに示したキャップ152がフォーク150の先端部に取り付けられている場合に、それぞれ対応している。
【0055】
また、図5Aおよび図5Bには、カセット30に3枚の基板100が収納されている場合を簡略的に示している。
【0056】
図5Aに示すように、カセット30の中段に収納されている基板100を搬出対象として、フォーク150をかかる中段の基板100の下面に沿ってカセット30へ挿し入れるものとする。
【0057】
このとき、図5Aに示すように、フォーク150の先端部近傍の噴出孔155(図4B参照)から噴出方向301へイオンを噴出しつつフォーク150を挿し入れることで、斜線で示す領域401を除電することができる。すなわち、搬出対象である中段の基板100の下面全域を効率よく除電することができる。
【0058】
また、図5Bに示すように、2方向の噴出孔155(図4C参照)から噴出方向301および噴出方向302へそれぞれイオンを噴出しつつフォーク150を挿し入れることで、領域401にあわせて領域402を除電することができる。すなわち、搬出対象である中段の基板100の下面全域だけでなく、あわせて下段の基板100の上面全域を効率よく除電することができる。
【0059】
なお、図5Bに示すように、たとえば、フォーク150との距離が、中段の基板100に比べて下段の基板100の方が長いような場合、噴出方向302へ噴出するイオンの風量を相対的に大きくしてもよい。図5Bの噴出方向302を示す矢印が、噴出方向301を示す矢印よりも相対的に長いのは、かかる点をあらわしている。なお、風量の調整は特に手法を限定するものではなく、たとえば、噴出孔155の径の大きさによって調整してもよい。
【0060】
また、図5Aおよび図5Bには、基板100を搬出する場合を例示したが、搬入する場合にも同様の利点が得られることは言うまでもない。
【0061】
ところで、これまでは、噴出孔155が、フォーク150に設けられている場合について述べてきたが、キャップ152に対して設けることとしてもよい。そこで、かかる変形例について、図6を用いて説明しておく。
【0062】
図6は、変形例に係るキャップ152Aを示す図である。なお、図6には、Y軸の正方向からみた場合を示している。
【0063】
図6に示すように、変形例に係るキャップ152Aは、連接孔152bと、噴出孔152cとを備える。連接孔152bは、キャップ152Aをフォーク150の先端部に取り付けることで、配管154と接続される。
【0064】
そして、噴出孔152cは、配管154を介して連接孔152bへ導通されるイオンを噴出する。すなわち、かかるキャップ152Aによれば、フォーク150の先端部近傍については噴出孔155を設けることなくイオンを噴出させることができるので、フォーク150の加工作業などを効率化することができる。
【0065】
次に、イオンが、上述した吸着部151へ向けて重点的に噴出されるように噴出孔155の形状を成形する場合について、図7Aおよび図7Bを用いて説明する。図7Aは、噴出孔155の第1の成形例を示す図であり、図7Bは、噴出孔155の第2の成形例を示す図である。なお、図7Aおよび図7Bでは、キャップ152の図示を省略し、連接孔152bについてのみ示している。
【0066】
図7Aに示すように、噴出孔155は、吸着部151へ向かう噴出方向303向きにイオンが噴出されるように、斜めに成形することができる。このとき、連接孔152bは、かかる噴出孔155の成形に応じた形状に成形すればよい。たとえば、図7Aには、鋭角的に折り返す形状の連接孔152bを示している。
【0067】
これにより、基板100と接することで剥離帯電などを生じやすい吸着部151の近傍を、重点的に除電することが可能となる。
【0068】
また、吸着部151が基板100と接する前後でイオンの噴出方向が変化するような形状に噴出孔155を成形してもよい。
【0069】
たとえば、図7Bに示すように、空気溜り155aを有するように噴出孔155を成形してもよい。なお、図7Bには、上段に、吸着部151が基板100と接する前の様子を、下段に、吸着部151が基板100と接した後の様子を、それぞれ示している。
【0070】
かかる場合、図7Bの上段に示すように、吸着部151が基板100と接する前においては、イオンはZ軸に沿った噴出方向301向きに噴出する。すなわち、吸着部151が基板100と接する前においては、基板100の下面全体に行き渡るようにイオンを噴出させることができる。
【0071】
また、図7Bの下段に示すように、吸着部151が基板100と接した後においては、イオンは空気溜り155aに沿って対流する(図中の噴出方向304参照)。すなわち、吸着部151が基板100と接した後においては、基板100の下面のうち、吸着部151の近傍に重点的にイオンを噴出させることができる。
【0072】
これにより、フォーク150に対して基板100の置かれた状況に応じて効率よく除電を行うことが可能となる。
【0073】
ところで、これまでは、噴出孔155が、フォーク150の先端部近傍に2個並列に設けられている場合を例に挙げて説明してきた。そして、上述した図2の説明において、かかる噴出孔155の個数や配置位置が限定されるものではない点については述べた。
【0074】
かかる噴出孔155の個数や配置位置に関連して、イオンの噴出方向もまた限定されるものではない。そこで、かかるイオンの噴出方向について、図8Aおよび図8Bを用いて説明する。
【0075】
図8Aは、イオンの第1の噴出方向例を示す図であり、図8Bは、イオンの第2の噴出方向例を示す図である。なお、図8Aおよび図8Bのいずれについても、図7Aおよび図7Bに示したのと同様に、吸着部151へ向けて重点的にイオンを噴出する例を示すものとする。また、噴出孔155は、吸着部151の周縁に沿って4個配置されるものとする。
【0076】
図8Aに示すように、噴出孔155は、それぞれが吸着部151の中心点Pに向かう噴出方向305に沿ってイオンを噴出するように設けることができる。
【0077】
また、吸着部151の中心点Pに向かわなくとも、図8Bの噴出方向306に示すように、イオンを吸着部151の周縁に沿って対流させるような形状に噴出孔155を設けてもよい。これは、たとえば、噴出孔155および連接孔152b(図4Aなど参照)をあわせてカーブした導通管として成形することで対応することができる。
【0078】
これらにより、基板100と接することで剥離帯電などを生じやすい吸着部151の近傍を、重点的に除電することが可能となる。
【0079】
上述してきたように、第1の実施形態に係るハンドは、複数のフォークと、生成部であるところのイオナイザと、噴出部であるところの噴出孔とを備える。複数のフォークは、基板を載置する。イオナイザは、フォークの内部に設けられ、イオン化した気体を生成する。噴出孔は、イオナイザによって生成された気体を噴出する。
【0080】
したがって、第1の実施形態に係るハンドによれば、効率よく基板を除電することができる。
【0081】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るハンド15Aの構成例について、図9Aを用いて説明する。図9Aは、第2の実施形態に係るハンド15Aの構成例を示す図である。
【0082】
なお、第2の実施形態に係るハンド15Aは、第1の実施形態に係るハンド15とは主として配管の構成が異なるため、図9Aには、かかる配管に関連する構成要素のみを示し、その他の構成要素については図示を省略している。また、第1の実施形態に係るハンド15と同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0083】
図9Aに示すように、第2の実施形態に係るハンド15Aは、イオナイザ153からフォーク150の外部に延伸する配管154Aと、かかる配管154A上に配置される噴出孔155とを備える。
【0084】
配管154Aは、フォーク150の外部に露出し、かつ、フォーク150の長手方向(すなわち、X軸方向)に沿うように設けられる。噴出孔155は、かかる配管154Aに沿って、1つまたは複数個配置される。
【0085】
なお、図9Aには、1対の配管154Aが設けられ、1つの配管154Aにつき3個の噴出孔155が設けられた例を示している。
【0086】
これにより、フォーク150の内部構造に関わりなく、噴出孔155をイオナイザ153の近傍に設けることができるので、すなわち、配管154Aを短くできるので、イオンの再結合を抑制し、効率よく基板100の除電を行うことができる。
【0087】
また、配管154Aをフォーク150の長手方向に沿って設けるので、イオンを基板100の全体に行き渡らせやすく、効率よく基板100の除電を行うことができる。
【0088】
上述のように、第2の実施形態に係るハンドは、複数のフォークと、生成部であるところのイオナイザと、配管と、噴出部であるところの噴出孔とを備える。複数のフォークは、基板を載置する。イオナイザは、フォークの内部に設けられ、イオン化した気体を生成する。配管は、フォークの外部に長手方向に沿って設けられ、イオナイザによって生成された気体を導通する。噴出孔は、配管によって導通された気体を噴出する。
【0089】
したがって、第2の実施形態に係るハンドによれば、効率よく基板を除電することができる。
【0090】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るハンド15Bの構成例について、図9Bを用いて説明する。図9Bは、第3の実施形態に係るハンド15Bの構成例を示す図である。
【0091】
なお、第3の実施形態に係るハンド15Bは、第2の実施形態に係るハンド15Aとは主として噴出孔の配置方向が異なるため、図9Bには、かかる噴出孔に関連する構成要素のみを示し、その他の構成要素については図示を省略している。また、第1の実施形態に係るハンド15および第2の実施形態に係るハンド15Aと同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0092】
図9Bに示すように、第3の実施形態に係るハンド15Bは、イオナイザ153からフォーク150の外部に延伸する配管154Bと、かかる配管154B上に配置される噴出孔155とを備える。
【0093】
配管154Bは、フォーク150の外部に露出し、かつ、フォーク150の短手方向(すなわち、Y軸方向)に延伸して設けられる。噴出孔155は、かかる配管154Bに沿って、1つまたは複数個配置される。
【0094】
なお、図9Bには、1対の配管154Bが設けられ、1つの配管154Bにつき3個の噴出孔155がY軸方向に沿って設けられた例を示している。
【0095】
これにより、フォーク150の内部構造に関わりなく、噴出孔155をイオナイザ153の近傍に設けることができるので、すなわち、配管154Bを短くできるので、イオンの再結合を抑制し、効率よく基板100の除電を行うことができる。
【0096】
また、配管154Bをフォーク150の短手方向に沿って設けるので、イオンを複数のフォーク150の間に行き渡らせやすい。すなわち、イオンをより基板100の全体に行き渡らせやすいので、効率よく基板100の除電を行うことができる。
【0097】
上述のように、第3の実施形態に係るハンドは、複数のフォークと、生成部であるところのイオナイザと、配管と、噴出部であるところの噴出孔とを備える。複数のフォークは、基板を載置する。イオナイザは、フォークの内部に設けられ、イオン化した気体を生成する。配管は、フォークの外部に短手方向に沿って設けられ、イオナイザによって生成された気体を導通する。噴出孔は、配管によって導通された気体を噴出する。
【0098】
したがって、第3の実施形態に係るハンドによれば、効率よく基板を除電することができる。
【0099】
なお、上述した各実施形態では、イオナイザの生成したイオンを、配管を介して噴出孔から噴出させる場合について説明したが、配管を介さなくともよい。たとえば、イオナイザのイオンの出力ポートと噴出孔とを直結させてもよい。また、通常時は、噴出孔を弁体などで塞いでおき、イオナイザからイオンが出力された際の圧力で噴出孔が開口するようなバルブ方式を用いることとしてもよい。
【0100】
また、上述した各実施形態では、搬送される基板が、主に液晶パネルのガラス基板である場合を例に挙げて説明したが、半導体ウエハなどの薄板状の基板全般を含むことができるのは言うまでもない。
【0101】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 基板搬送システム
10 基板搬送装置
11 昇降機構
12 旋回機構
13 伸縮機構
14 支持部材
15、15A、15B ハンド
16 ベース
20 コントローラ
30 カセット
100 基板
150 フォーク
150a タップ孔
151 吸着部
152、152A キャップ
152a 取り付け部
152b 連接孔
152c 噴出孔
153 イオナイザ
154、154A、154B 配管
155 噴出孔
155a 空気溜り
156 開口部
157 蓋
200 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を載置する複数のフォークと、
前記フォークの内部に設けられ、イオン化した気体を生成する生成部と、
前記生成部によって生成された前記気体を噴出する噴出部と
を備えることを特徴とするハンド。
【請求項2】
前記噴出部は、
前記フォークの先端部近傍の前記基板を載置する面側に設けられることを特徴とする請求項1に記載のハンド。
【請求項3】
前記生成部は、
前記噴出部の近傍に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のハンド。
【請求項4】
前記フォークは、
前記基板を載置する際に当該基板を吸着する吸着部を有しており、
前記噴出部は、
前記吸着部の近傍に設けられることを特徴とする請求項1、2または3に記載のハンド。
【請求項5】
前記噴出部は、
前記気体を前記吸着部へ向けて噴出することを特徴とする請求項4に記載のハンド。
【請求項6】
前記フォークの先端部へ取り付けられるキャップ
をさらに備え、
前記キャップは、
前記先端部へ取り付けられた場合に、前記生成部において生成された前記気体を導通する導通管と前記噴出部とを連接する連接孔を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のハンド。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載のハンド
を備えることを特徴とする基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【公開番号】特開2013−74112(P2013−74112A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212038(P2011−212038)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】