説明

ハンドオーバトリガリングに基づくWCDMAカバレージの方法

【課題】移動端末が、その現行の無線網カバレージの境界に近づいたときに、ハンドオーバにより移動端末が連続して動作するのを保証すること。
【解決手段】トリガリングパラメータを示す第1信号を得る工程と、
トリガリングパラメータが、基準値に関してトリガリング条件を満たしているかどうかを第1信号から決定する方法であって、当該トリガリング条件が、ハンドオーバ測定を開始するために充分であり、アップリンクまたはダウンリンクに関する複数のパワーバリューと少なくとも1つの信号対ノイズ比とを含む工程と、前記トリガリングパラメータが、信号強度および/または信号品質の測定を開始する前記トリガリング条件のうちの1つを満たしたとき、第2信号を送信する工程と、移動局に隣接リストを送信して、当該隣接リストに基づいて信号強度および/または信号品質の測定を可能にする工程と、前記移動局にハンドオーバ命令を順次送信する工程とを含むことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、移動通信網に関し、詳細には、移動端末が移動電話網のサービスエリアの境界に近づくときのハンドオーバ事象に関する。
【背景技術】
【0002】
移動電話網では、オペレータがカバーするエリアは、セルに分割されている。1つのセルは、1つの送信機または僅かな数の送信機がカバーするエリアに相応する。移動端末のユーザがセルとセルとのあいだで移動するか、または異なる基地局サイトにそれぞれ対応する複数の無線カバレージエリアのあいだで移動するとき、現行の通話は、別の1つの無線カバレージチャネルまたはセルに切換えられなければならない。これは、ハンドオーバまたはハンドオフとして知られている。
【0003】
第3世代移動通信システムの出発点である国際移動通信システム(Universal Mobile Telecommunication System(UMTS))とは、一般に国際地上無線アクセスネットワーク(Universal Terrestrial Radio Access Network(UTRAN))として知られている新無線インタフェースと、GSM/GPRSベースのコアネットワークである。
【0004】
UTRANは、無線通信網の一部を示す概念的用語であり、複数の移動端末は、1または2以上の基地局を介して互いに通信する。とくに、UTRANは、無線網制御装置(RNC)と、相互接続点(Iu)と無線インタフェース(Uu)とのあいだのノードBとからなる、ネットワークの一部分を示す。相互接続点(Iu)は、RNCとコアネットワークとのあいだに位置し、無線インタフェース(Uu)は、UTRANとユーザ装置(UE)とのあいだに位置する。ユーザ装置(UE)のためのUTRANのモードのうちの1つは、時分割二重通信(time-division duplex(TDD))モードと異なる周波数分割二重通信(Frequency-Division Duplex(FDD))モードである。UE無線送信および受信(FDD)は、第3世代パートナーシッププロジェクト(Third Generation Partnership Project(3GPP))の技術仕様書(Technical Specification(TS))25.101 v 3.1.0 (1999-12)およびその中に引用されている文献に記載されている。UTRANは、2つの異なるモードで動作できる。すなわち、広帯域符合分割多重アクセス(Wideband Code Division Multiple Access(WCDM))モードと時分割/符号分割多重アクセス(Time Division/Code Division Multiple Access(TD/CDMA))モードとである。
【0005】
WCDMAは、5MHz以上の帯域幅を有する。しかしながら、すべての第3世代提案形態のための定格帯域幅は、5MHzである。3G WCDMA移動無線網において、ネットワークにおける異なるセルのあいだで移動するあいだに移動局への接続が切断されないようにする主要な手段は、ハンドオーバとして知られている手続きを使用する。ハンドオーバはソフトハンドオーバ(SHO)の場合も、ハードハンドオーバの場合もある。しかしながら、SHOは、単一5MHz UMTS帯域で1つのオペレータネットワーク内でのみ動作可能である。ハードハンドオーバでは、マクロダイバーシチのネットワークサポートが存在しないとき、UEとUTRANとのあいだの接続の無線周波数帯域が切り替えられるか、または同一周波数上のセルが切り替えられる。ハードハンドオーバは、移動端末が、Cell_DCH状態(DCH=dedicated channel(専用チャネル))にあり、SHOが、3Gネットワークの1つの周波数帯域内で可能でないときに、可能である。ハードハンドオーバは、より緩慢であり、SHOに比して失敗のリスクが高い。ネットワークカバレージの端縁に近づくと、移動端末は、順調なハンドオーバを行う試みにおいて周波数間(IF)またはシステム間(IS)の測定を開始しなければならない。
【0006】
前述のように、ハンドオーバは、移動端末が1つのセルから別の1つのセルまたはネットワークへ移動するあいだに接続が切断されないようにする機能である。しかしながら、ハンドオーバは、基地局のいかなる切替えを必ずしも行うことなくサービスを提供する無線リソースが切替えをすることに起因して生じることもある。とくに、サービスを提供する無線リソースが、UTRAモード(UTRA−FDDおよびUTRA−TDD)のうちの1つから別の1つへのサービスの切替えを提供する場合が当てはまる。ハンドオーバは、たとえばUMTSからGSMへの無線システムの切替えに起因しても生じることがある。
【0007】
GSMシステムにおいて、移動端末は、ハンドオーバ手続きにおける能動的な当事者である。移動端末は、サービングセルからの信号および近隣セルからの信号の強度を連続的に測定する。セルの信号強度は、基地局が提供する近隣者リスト内のすべてのセルの受信信号強度インジケータ(RSSI)測定値から得られる。信号強度測定値により基地局制御装置(BSC)のいずれが、通信リンクの品質を維持するために利用可能な最良のセルであるかを決定することができる。2つの基本的アルゴリズムが、ハンドオーバのために使用される。
【0008】
「最小許容性能」アルゴリズムでは、移動端末の電力レベルが、伝送品質が低下するにつれて高くなる。ハンドオーバは、電力の増強が信号品質にもはや有効でなくなったときに行われる。
【0009】
「電力予算」アルゴリズムでは、ハンドオーバは、信号品質が、電力レベルを連続的に高めないとある特定の程度まで劣化するときに行われる。
【0010】
ハンドオーバが、UTRANシステムからたとえばGSMなどの非UTRANシステムへ行われる場合、このハンドオーバ手続きは、ダウンリンクブロードキャストコントロールチャネル(BCCH)で提供されたシステム情報(System Information)メッセージか、またはダウンリンク専用コントロールチャネル(DCCH)で提供された測定値制御(Measurement Control)メッセージでGSM近隣セルパラメータを受け取ると開始する。UEからの測定値報告に基づいて、RNCは、ハンドオーバの決定を行う。同様に、ハンドオーバが非UTRANシステムからUTRANシステムへ行われる場合、このハンドオーバ手続きは、デュアルモードUEが、GSMシステム情報メッセージでUTRAN近隣セルパラメータを受け取ると開始する。測定値報告を受信すると、GSM BSCはハンドオーバの決定を行う。GSMでは、UEは、通常のGSM内測定と同一の仕方で何時でもシステム間測定を行うことができる。
【0011】
WCDMAソフトハンドオーバでは、移動端末は、その他のセルを連続的に測定している。IFおよびISハンドオーバでは、RNCは、移動端末による測定を開始させる必要がある。このようにして、移動端末は、とくに指令されないかぎり測定を行わない。移動端末が現行の無線網カバレージの境界に近づくと、移動端末の連続的動作を保証するためにIFまたはISハンドオーバをトリガする方法を提供することが望ましく、かつ好ましい。すなわち、これにより、通話が切断される率が低下され、移動通信網の品質が改善される。
【発明の開示】
【0012】
本発明の主な目的は、移動端末が、その現行の無線網カバレージの境界に近づいたときに、ハンドオーバにより移動端末が連続して動作するのを保証することにある。ハンドオーバシーケンスが成功すると、移動端末は元の基地局への接続を終了し、同一ネットワークまたは別のネットワークシステムを使用して別の周波数で通話を続ける。この目的は、移動端末が、ハンドオーバ測定を開始することにより代替ネットワークへの接続をサーチすることを開始すべき時点を確かな仕方で決定することにより達成することが可能である。
【0013】
したがって、本発明は、それぞれが1または2以上の周波数の搬送波を有する複数のネットワークオペレータにより操作される複数の基地局を有する通信網でハンドオーバ事象をトリガする方法を提供し、ハンドオーバ事象は、対応するアップリンクおよびダウンリンクを介して通信網の1つ以上の基地局と通信することができる移動端末の周波数分割多重(FDD)モードで使用され、これにより移動端末は、1または2以上の基地局との通信を維持しながら、第1周波数搬送波の無線カバレージエリアから第2周波数搬送波の無線カバレージエリアへ移動することが可能となり、この場合、ハンドオーバ事象は、信号強度および/または信号品質の測定値に基づいて行われる。本方法は、
トリガリングパラメータを示す第1信号を得、
トリガリングパラメータが、基準値に関してトリガリング条件を満たしているかどうかを第1信号から決定し、かつ
トリガリングパラメータが、信号強度および/または信号品質の測定を開始するためのトリガリング条件を満たしている場合には第2信号を供給する
ことを特徴としている。
【0014】
トリガリングパラメータは、アップリンクでの移動端末の送信電力を示し、基準値は送信電力のしきい値を示し、トリガリング条件は、送信電力が所定期間にわたりしきい値を超えると満たされる。
【0015】
代替的に、トリガリングパラメータは、移動端末へのダウンリンクでの送信電力を示し、基準値は送信電力のしきい値を示し、トリガリング条件は、送信電力が所定期間にわたりしきい値を超えると満たされる。
【0016】
代替的に、トリガリングパラメータは、移動端末の送信電力を示し、基準値は送信電力の最大値を示し、トリガリング条件は、送信電力が所定期間のあいだに所定の回数にわたり最大値に達すると満たされる。
【0017】
代替的に、トリガリングパラメータは、基地局のうちの1つでターゲットされたアップリンク信号対干渉比(SIR)を示し、基準値はSIRのしきい値を示し、トリガリング条件は、ターゲットされたSIRが所定期間にわたりしきい値を超えると満たされる。
【0018】
代替的に、トリガリングパラメータは、移動端末の送信電力を示し、基準値は、送信電力のしきい値を示し、トリガリング条件は、送信電力がしきい値を超え、かつ、ある期間にわたる送信電力の平均値が、送信電力が所定期間内に最大送信電力に達することができることを示すときに満たされる。
【0019】
代替的に、トリガリングパラメータは、受信信号電力対受信信号強度インジケータ比を示し、基準値は、受信信号電力のしきい値を示し、トリガリング条件は、前記の比が減少して、所定期間にわたりしきい値より低くなると満たされる。
【0020】
好ましくは、移動端末は、少なくとも2つの受信機を備えている。
【0021】
代替的に、移動端末はただ1つの受信機を有し、信号強度および/または信号品質測定は、圧縮データ送信モードで行われる。
【0022】
好ましくは、移動端末がただ1つの受信機を有する場合、第1ネットワークオペレータは、通信網に1または2以上の基地局を接続するために少なくとも1つの無線網を有し、第2信号は、無線網制御装置が移動端末での圧縮データ送信モードを起動するために、移動端末から無線網制御装置に伝送される。
【0023】
好ましくは、前述のしきい値は、マクロセル型ネットワーク、マイクロセル型ネットワークおよびピコセル型ネットワークに特異的である。マクロセルは、通常は約20〜30キロメートルの大きいセル半径を有する戸外セルである。セル半径は、方向性アンテナまたはリピータを使用することにより伸ばすことができる。マイクロセルは、1キロメートルまでの半径を有する小型戸外セルである。ピコセルは、主に、通常50メートルより小さい半径を有する屋内セルである。
【0024】
本発明は、図1〜9と組み合せてつぎの説明を読むと明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
ハンドオーバは、サービスを理由とするハンドオーバ、ロード(通信負荷)を理由とするハンドオーバおよびカバレージを理由とするハンドオーバに類別できることが知られている。サービスを理由とするハンドオーバでは、ハンドオーバは、同一または異なるネットワークの1つの周波数の搬送波から別の1つの周波数の搬送波へある特定のサービスを導くために行われる。ロードを理由とするハンドオーバでは、第1周波数におけるロードが第2周波数におけるロードより大幅に大きい場合に、同一のオペレータの第1の周波数の搬送波から別の周波数の搬送波へのハンドオーバが行われる。ロードを理由とするハンドオーバは、一方のシステムでのロードが他方のシステムでのロードより大幅に大きい場合に、これら2つの異なるシステムのあいだでも望ましい。ロードを理由とするハンドオーバは、本発明の一部分ではない。本発明は、主に、カバレージを理由とするハンドオーバまたはカバレージベースのハンドオーバに関する。
【0026】
移動端末がサービスエリアの境界に近づくと、周波数間ハンドオーバまたはシステム間ハンドオーバのどちらかがトリガされなければならない。トリガリング条件は、とりわけ、移動端末の移動パターン、別の無線システムからの干渉、および経路損減衰(通信経路上での信号の減衰)に依存する。図1は、カバレージ理由ハンドオーバが通信網で必要である様々な状況を示す。図1に示されるように、参照番号30および32は、2つの周波数マクロセルを示し、参照番号34はマイクロセルを示し、これらのセルはすべて、1つのネットワークオペレータの下でWCDMAモードで作動されている。これらのセルの動作周波数は、f1、f2およびf3により示されている。加えて、参照番号20は、同一のオペレータまたは異なるオペレータの下でのGSMセルの1つの群を示す。矢印102により示されている周波数間ハンドオーバは、移動端末15が方向200に沿って動き、マイクロセル34からマクロセル32へ移動するときに行われる。矢印104により示されている別の1つの周波数間ハンドオーバは、移動端末15が、マクロセル32からマクロセル30に移動するとき行われる。移動端末がWCDMA無線カバレージエリアから出てGSM無線カバレージエリアに入るとき、システム間ハンドオーバ106が、WCDMAセル30とGSMセル20とあいだで行われる。図1において、WCDMAセル30とWCDMAセル32とが、異なるオペレータの下で作動されることが可能である。
【0027】
図2は、移動端末が、現行のセルの端縁の近くに位置するとき、近くの無線システムからの干渉に起因して必要となる周波数間ハンドオーバを示す。干渉は矢印110により示されている。図示されているように、オペレータ2のチャネルf4からの干渉が、オペレータ1のチャネルf3で作動されている移動端末の動作に影響する場合、隣接チャネル干渉は、別の1つのチャネルf2への周波数間ハンドオーバ108により逃れることができる。隣接チャネル干渉は、オペレータ2のチャネルf4へのシステム間ハンドオーバによっても逃れることができる。
【0028】
移動端末がその現行の無線網カバレージの限界に近づくと、移動端末が連続的に動作することを保証するために一組のトリガリングオプションを提供することが有利であり、かつ望ましい。本発明にかかわる6つのトリガリングオプションが、図3〜8に示されている。
【0029】
移動端末がその現行のカバレージエリアの端縁に近づくと、移動端末は、基地局までのその距離に起因して大きい経路損を通常こうむる。この経路損は、移動端末が基地局により近い別の移動端末により簡単にかき消され(over-shout)ないように補償されなければならない。これが、WCDMAにおける緊密かつ高速な電力制御のための基礎である。よく知られているように、WCDMAにおける電力制御に対する解決法は、高速な閉ループ電力制御である。アップリンクにおける閉ループ電力制御において、基地局は、受信信号対干渉比(SIR)の値を頻繁に推定し、その推定値をSIR目標値と比較する。SIR測定値がSIR目標値より大きい場合、基地局は、移動局に電力を低くするように指令する。SIR測定値が低すぎる場合、基地局は、移動局にその電力を高くするように指令する。この閉ループ電力制御は、基地局で受信されたすべてのアップリンク信号のあいだのいかなる電力不均衡も防止する。しかしながら、SIR目標値は固定されておらず、個々の無線リンクの必要性に応じた設定値と、エラー率により定められた一定品質に応じて調整される。一般に、所要SIR目標値は、移動体速度および多重通路プロファイルに依存する。電力の浪費を回避するために、SIR目標設定値は、所要目標品質を丁度満たす最小値の近辺を浮動できるようにされ、RNCの外側ループコントロールにより制御される。
【0030】
外側ループコントロールは、通常、基地局が各アップリンクユーザのデータフレームに信頼性の指標を添付する(tag)ことにより実施される。フレームの通信品質指標が、送信品質が劣化していることをRNCに指示すると、RNCは、ある特定の量だけSIR目標設定値を増加するように基地局に指令する。このようにして、移動端末が、基地局からかなりの距離に位置する場合、移動端末の送信電力は増加し、アップリンクSIR目標値も増加する。カバレージエリアの端縁で、移動端末は、その最大送信電力に達することもある。
【0031】
無線インタフェースの物理層内の共通パイロットチャネル(Common Pilot Channel(CPICH))は、変調されていない符号チャネルであることが知られており、その機能は、移動端末におけるチャネル推定と、ハンドオーバおよびセル選択/再選択のための測定とを援助することにある。CPICHから、移動端末は、逆拡散後、パイロット記号上で定められた1つの符号の受信電力を測定できる。受信電力は、受信信号符号電力(Received Signal Code Power(RSCP))として知られている。RSCPは、モード内ハンドオーバで使用される。モード内ハンドオーバで、チャネル帯域幅内の広帯域受信電力または受信信号強度インジケータ(Received Signal Strength Indicator(RSSI))も使用される。RSSIは、GSMシステムが関与するシステム間ハンドオーバで使用することが可能である。
【0032】
通常、WCDMA移動端末は、IFまたはISハンドオーバトリガリング条件が満たされると、圧縮モード(CM)に入り、移動端末は、別のWCDMA周波数(IF)および/またはGSM周波数帯域(IS)での測定値を使用して新ターゲットセルをサーチすることを開始する。CMは、移動端末の送信電力の増加を必要とする。このようにして、好ましくは、充分に前もってハンドオーバをトリガし、これにより、この付加的な電力増加を実現し、リンクの劣化を回避するようにする。デュアル受信機移動端末では、移動端末が、測定のために圧縮モードに入る必要はないことに注意されたい。したがって、トリガは、必ずしも、実際のハンドオーバより充分に前ではない。
【0033】
図3に示されるように、移動体送信電力の増加は、送信電力がその最大レベルに達する前にハンドオーバをトリガするのに使用することが可能である。図示されているように、最大レベルは、TxPwrULmaxにより示されている。望ましくは、最大レベルとしきい値とあいだにマージンPwrULHOmarginを残してしきい値TxPwrULthresholdを設定し、これにより、圧縮モードが必要とする付加電力を実現できるようにする。このようにして、アップリンク移動体送信電力が、特定時間TULHOpwrより長い時間しきい値を超える場合、ハンドオーバをトリガすることが可能である。図3に示されているトリガリング条件は、とくに、経路損が徐々に増加する、緩慢に動く単一受信機形移動端末にとって有用である。
【0034】
急速に動く移動端末では、経路損は迅速に増加する。たとえば、急速に動く移動端末がトンネルに入るか、またはビルディング、山などにより妨害されると、ハンドオーバトリガリングのための条件は別のものを使用する方がより適切である。図4に示されるように、経路損の迅速な増加に起因する送信電力の突然の上昇を監視するために、電力制御シグネチャの勾配を使用することが可能である。したがって、移動端末の送信電力の増加がそのしきい値TxPwrULthresholdを超え、勾配もGULHOpwrに達すると、ハンドオーバトリガリング条件が満たされる。
【0035】
移動端末が、別の1つの無線システムから複数の期間バースト(period bursts)による干渉を経験すると、移動端末の送信電力は上昇し、これにより、移動端末が別の1つの無線システムによりオーバシャウトされないようにする。図5に示されるように、この状況では、移動端末が、ある特定の期間にわたりその最大電力に達する回数を監視し、この回数をハンドオーバトリガリング条件として使用することが可能である。さらに、ダウンリンク方向において、基地局におけるSIR目標値が増加し、特定時間TULHOsirよりも長い時間しきい値SIRULthresholdを超えると、図6に示されるように、ハンドオーバトリガリング条件が満たされたと見なされる。
【0036】
アップリンク方向において、移動端末へのダウンリンクにおける接続ベースの電力(BS TxPwr)が、特定時間TDLHOpwrよりも長い時間そのしきい値TxPwrDLthresholdを超えると、図7に示されるように、ハンドオーバトリガリング条件が満たされたと見なされる。移動端末で測定されたパイロット電力(CPICH RSCP)が、特定時間TDLHOpilotよりも長い時間所定値PxPwrDLthresholdより小さい値まで低下すると、図8に示されるように、ハンドオーバトリガリング条件が満たされたと見なされる。CPICHは、固定レベルでの電力制御なしに送信される共通パイロットチャネル(Common Pilot Channel)の略であり、RSCPは、基地局から移動端末までの伝搬損の測定値の絶対値である受信信号符号電力(Received Signal Code Power)の略である。
【0037】
一般に、アップリンク方向において、移動体送信電力またはSIR目標値がある特定の基準に達すると、移動端末は、RNCに報告を送る。RNCは、移動端末が使用しているサービスクラスのタイプに依存して移動端末がシフトした先のターゲットセルのタイプを決定する。RNCは、RNCは、WCDMAからGSM/2Gシステムへのハンドオーバのためのシステム間(IS)測定を開始する。RNCは、圧縮モードパターンについて(単一受信機タイプの)移動端末に知らせ、移動端末に近隣リストを提供する。移動端末は、近隣リスト内のGSM/2Gの受信信号強度インジケータ(Received Signal Strength Indicator(RSSI))を測定する。RNCは、最良のGSM/2G候補者のベーストランシーバステーションアイデンティティー符号(Base transceiver Station Identity Code(BSIC))を復号するように移動端末に指令する。移動端末は、BSIC復号を自動的に開始することもある。最後に、RNCは、ISハンドオーバを完了するように移動端末にハンドオーバ指令を送る。周波数間(IF)ハンドオーバ手続きは、近隣リストがWCDMAセルを含む以外、システム間ハンドオーバのための手続きと同様である。IFハンドオーバでは、移動端末は、PN(pseudonoise sequence(擬似ノイズシーケンス))チップ当りの平均送信エネルギー対近隣セルからの全受信電力スペクトル密度の比(Ec/Io)を測定する。いかなるBSIC復号も、ハンドオーバの前に行われない。復号工程は、IFハンドオーバののちにシステムフレーム番号(SFN)を復号するために実行される。
【0038】
ダウンリンク方向でパラメータを使用するハンドオーバトリガリング条件に関して、基地局は、ハンドオーバトリガリング条件が満たされると、RNCに報告する。しかしながら、RNCと移動局とのあいだの通信は、アップリンク方向でパラメータを使用するハンドオーバトリガリング条件と同様である。
【0039】
最大アップリンク送信電力TxPwrULmaxおよび最大ダウンリンク送信電力TxPwrDLmaxは、使用装置および環境とともに変わることもあることに注意されたい。したがって、しきい値TxPwrULthresholdおよびTxPwrDLthresholdは、対応する最大送信電力に対してのレベルとしてしか表せない。しきい値は、最大送信電力より2〜5dB低い範囲内にあるのが好ましいが、しきい値は、この好ましい範囲の外にあることも可能である。同様に、SIR目標値は、使用装置の実際上の品質および環境に依存し、したがって、しきい値SIRULthresholdは、平均SIR目標値に基づいてしか設定できない。たとえば、SIRULthresholdは、平均SIR目標値より2〜5dB大きい値に設定できるが、このレベルは、この範囲の外に設定することも可能である。受信電力PxPwrDLthresholdのしきい値に関して、最大受信信号符号電力RSCPより5dB大きい値を超えないようにしきい値を設定することが可能である。
【0040】
しきい値に到達している特定時間(TULHOpwr、TDLHOpwr、TULHOpeak、TULHOsir、TDLHOpilot)も、使用装置および技術とともに変わることがある。したがって、特定時間を選択することができる範囲を提供するだけにするのが実際的である。たとえば、特定時間は50ms〜2sであることもあるが、それより長いことも、短いことも可能である。NULHOは、現在、RNCにより提供され、1〜5の範囲内にNULHOを選択することが可能であるが、この数は、所望の場合または必要な場合、より大きくとることも可能である。勾配GULHOpwrは、ある期間にわたりTxPwrULmaxに対してPwrが増加したパーセントとして表せる。たとえば、GULHOpwrに関するトリガリング条件は、500msでTxPwrULmaxに対してTxPwrが50%増加したこともあり、または50msにわたり10%の増加のこともあり、またはその他の値であることもあり、これらは、測定値が移動端末によりサポートされることが可能であるかどうかに依存する。
【0041】
図9は、通信網100でのハンドオーバ事象をトリガするシステムを示す。図9に示されるように、通信網100は、オペレータ1により操作される複数の基地局60、62と、オペレータ2により操作される1以上の基地局64とを含む。基地局60および62は、RNC70にリンクされ、基地局64は、RNC72にリンクされている。基地局60、62および64の各々は、測定装置160を有し、測定装置160は、リンクされているRNCにトリガリングパラメータを供給することが可能である。トリガリングパラメータに基づいて、RNC内の決定装置170は、トリガパラメータが、基準値172に基づいてトリガ条件を満たすかどうかを決定する。図に示されているように、移動端末15は、アップリンクおよびダウンリンクにおいて基地局62との通信リンクを維持する。移動端末15が、第1周波数搬送波の無線カバレージエリアから第2周波数搬送波のカバレージエリアへ移動すると(図1)、基地局62は、RNC70に、トリガリングパラメータを示す第1信号180を送る。トリガリングパラメータは、図3に示されるように、移動端末15の送信電力の増加の値であることも、図4に示されるように、移動端末15の送信電力の突然の上昇であることも、図5および6に示されるように、基地局62におけるSIR目標値の増加の値であることも、図7に示されるように、移動局15へのダウンリンクにおける接続ベースの電力の値であることも、または、図8に示されるように、移動端末15で測定されたパイロット電力であることもある。いったんRNC70が、いずれのターゲットセルに移動端末15がシフトするかを決定すると、RNC70は、信号強度および/または信号品質測定を開始するように、第2信号182を介して移動端末15に知らせる。
【0042】
本発明は、本発明の1つの好ましい実施形態に関連して説明されたにもかかわらず、本発明の形式および詳細における前述およびその他の改変、削除および逸脱は、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに行うことが可能であることは、当業者には理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】ハンドオーバが必要である様々な状況を示す概略図である。
【図2】ハンドオーバが望ましい別の1つの状況を示す概略図である。
【図3】時間の関数として移動端末の送信電力を示す概略図である。
【図4】図3に示されているものと同様であるが、トリガリング基準が異なる移動端末の送信電力を示す概略図である。
【図5】図3に示されているものと同様であるが、トリガリング基準がさらに異なる移動端末の送信電力を示す概略図である。
【図6】時間の関数としての基地局におけるアップリンク信号対干渉比を示す概略図である。
【図7】移動端末と通信する基地局の送信電力を示す概略図である。
【図8】時間の関数としての移動端末の受信信号符号電力を示す概略図である。
【図9】通信網における本発明のハンドオーバ事象をトリガするためのシステムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが1または2以上の周波数の搬送波を有する複数のネットワークオペレータにより操作される複数の基地局を有する通信網でハンドオーバ事象をトリガする方法であり、ハンドオーバ事象が、対応するアップリンクおよびダウンリンクを介して通信網の1つ以上の基地局と通信することができる移動端末の周波数分割多重モードで使用され、1または2以上の基地局との通信を維持しながら、第1周波数搬送波の無線カバレージエリアから第2周波数搬送波の無線カバレージエリアへ移動することが可能となるハンドオーバ事象であり、該ハンドオーバ事象が、信号強度および/または信号品質の測定値に基づいて行われる方法であって、
トリガリングパラメータを示す第1信号を得る工程と、
トリガリングパラメータが、基準値に関してトリガリング条件を満たしているかどうかを第1信号から決定する方法であって、
当該トリガリング条件が、ハンドオーバ測定を開始するために充分であり、アップリンクまたはダウンリンクに関する複数のパワーバリューと少なくとも1つの信号対ノイズ比とを含む工程と、
前記トリガリングパラメータが、信号強度および/または信号品質の測定を開始する前記トリガリング条件のうちの1つを満たしたとき、第2信号を送信する工程と、
移動局に隣接リストを送信して、当該隣接リストに基づいて信号強度および/または信号品質の測定を可能にする工程と、
前記移動局にハンドオーバ命令を順次送信する工程とを含む方法。
【請求項2】
それぞれが1または2以上の周波数の搬送波を有する複数のネットワークオペレータにより操作される複数の基地局を有する通信網でハンドオーバ事象をトリガする方法であり、ハンドオーバ事象が、対応するアップリンクおよびダウンリンクを介して通信網の1つ以上の基地局と通信することができる移動端末の周波数分割多重モードで使用され、1または2以上の基地局との通信を維持しながら、第1周波数搬送波の無線カバレージエリアから第2周波数搬送波の無線カバレージエリアへ移動することが可能となるハンドオーバ事象であり、該ハンドオーバ事象が、信号強度および/または信号品質の測定値に基づいて行われる方法であって、
トリガリングパラメータを示す第1信号を得、
トリガリングパラメータが、基準値に関してトリガリング条件を満たしているかどうかを第1信号から決定し、かつ
トリガリングパラメータが、信号強度および/または信号品質の測定を開始するためのトリガリング条件を満たしている場合には第2信号を供給し、
前記トリガリングパラメータが、移動端末の送信電力を示し、前記基準値が送信電力の最大値を示し、前記トリガリング条件は、送信電力が所定期間のあいだに最大値に達すると満たされる方法。
【請求項3】
それぞれが1または2以上の周波数の搬送波を有する複数のネットワークオペレータにより操作される複数の基地局を有する通信網でハンドオーバ事象をトリガする方法であり、ハンドオーバ事象が、対応するアップリンクおよびダウンリンクを介して通信網の1つ以上の基地局と通信することができる移動端末の周波数分割多重モードで使用され、1または2以上の基地局との通信を維持しながら、第1周波数搬送波の無線カバレージエリアから第2周波数搬送波の無線カバレージエリアへ移動することが可能となるハンドオーバ事象であり、該ハンドオーバ事象が、信号強度および/または信号品質の測定値に基づいて行われる方法であって、
トリガリングパラメータを示す第1信号を得、
トリガリングパラメータが、基準値に関してトリガリング条件を満たしているかどうかを第1信号から決定し、かつ
トリガリングパラメータが、信号強度および/または信号品質の測定を開始するためのトリガリング条件を満たしている場合には第2信号を供給し、
前記トリガリングパラメータが、基地局のうちの1つでターゲットされたアップリンク信号対干渉比(SIR)を示し、前記基準値がSIRのしきい値を示し、前記トリガリング条件は、ターゲットされたSIRが所定期間にわたりしきい値を超えると満たされる方法。
【請求項4】
それぞれが1または2以上の周波数の搬送波を有する複数のネットワークオペレータにより操作される複数の基地局を有する通信網でハンドオーバ事象をトリガする方法であり、ハンドオーバ事象が、対応するアップリンクおよびダウンリンクを介して通信網の1つ以上の基地局と通信することができる移動端末の周波数分割多重モードで使用され、1または2以上の基地局との通信を維持しながら、第1周波数搬送波の無線カバレージエリアから第2周波数搬送波の無線カバレージエリアへ移動することが可能となるハンドオーバ事象であり、該ハンドオーバ事象が、信号強度および/または信号品質の測定値に基づいて行われる方法であって、
トリガリングパラメータを示す第1信号を得、
トリガリングパラメータが、基準値に関してトリガリング条件を満たしているかどうかを第1信号から決定し、かつ
トリガリングパラメータが、信号強度および/または信号品質の測定を開始するためのトリガリング条件を満たしている場合には第2信号を供給し、
前記トリガリングパラメータが、移動端末の送信電力を示し、前記基準値が、送信電力のしきい値を示し、前記トリガリング条件は、送信電力がしきい値を超え、かつ、ある期間にわたる送信電力の平均値が、送信電力が所定期間内に最大送信電力に達することができることを示すときに満たされる方法。
【請求項5】
それぞれが1または2以上の周波数の搬送波を有する複数のネットワークオペレータにより操作される複数の基地局を有する通信網でハンドオーバ事象をトリガする方法であり、ハンドオーバ事象が、対応するアップリンクおよびダウンリンクを介して通信網の1つ以上の基地局と通信することができる移動端末の周波数分割多重モードで使用され、1または2以上の基地局との通信を維持しながら、第1周波数搬送波の無線カバレージエリアから第2周波数搬送波の無線カバレージエリアへ移動することが可能となるハンドオーバ事象であり、該ハンドオーバ事象が、信号強度および/または信号品質の測定値に基づいて行われる方法であって、
トリガリングパラメータを示す第1信号を得、
トリガリングパラメータが、基準値に関してトリガリング条件を満たしているかどうかを第1信号から決定し、かつ
トリガリングパラメータが、信号強度および/または信号品質の測定を開始するためのトリガリング条件を満たしている場合には第2信号を供給し、
前記トリガリングパラメータが、受信信号電力対受信信号強度インジケータ比を示し、前記基準値が、受信信号電力のしきい値を示し、前記トリガリング条件は、前記の比が減少して、所定期間にわたりしきい値より低くなると満たされる方法。
【請求項6】
前記移動端末が、少なくとも2つの受信機を備えている請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記移動端末がただ1つの受信機を有する請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
第1ネットワークオペレータが、通信網に1または2以上の基地局を接続するために少なくとも1つの無線網を有し、第2信号が、移動端末での圧縮データ送信モードを起動するために、無線網制御装置から移動端末に伝送される請求項7記載の方法。
【請求項9】
第1ネットワークオペレータが第1の周波数で作動し、第2のオペレータが第1の周波数と異なる第2の周波数において広帯域符号分割多重アクセスモードで作動する請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
第1ネットワークオペレータが広帯域符号分割多重アクセスモードで作動し、第2ネットワークオペレータが汎地球移動体通信システム(GSM)にしたがったモードで作動する請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
それぞれが1または2以上の周波数の搬送波を有する複数のネットワークオペレータにより操作される複数の基地局を有する通信網でハンドオーバ事象をトリガするシステムであり、ハンドオーバ事象が、対応するアップリンクおよびダウンリンクを介して通信網の1つ以上の基地局と通信することができる移動端末の周波数分割多重モードで使用され、これにより移動端末が、1または2以上の基地局との通信を維持しながら、第1周波数搬送波の無線カバレージエリアから第2周波数搬送波の無線カバレージエリアへ移動することが可能となるハンドオーバ事象であり、該ハンドオーバ事象が、信号強度および/または信号品質の測定値に基づいて行われるシステムであって、
トリガリングパラメータを得て該トリガリングパラメータを示す第1信号を供給するための、移動端末と通信する手段と、
第1信号に応答して、トリガリングパラメータが、基準値に関してトリガリング条件を満たしているかどうかを決定し、かつトリガリングパラメータが、信号強度および/または信号品質の測定を開始するためのトリガリング条件を満たしている場合には第2信号を供給する手段
とを備え、
前記トリガリングパラメータが、移動端末の送信電力、または、移動端末への送信電力を示し、前記基準値が送信電力のしきい値を示し、前記トリガリング条件は、送信電力が所定期間にわたりしきい値を超えると満たされるシステム。
【請求項12】
それぞれが1または2以上の周波数の搬送波を有する複数のネットワークオペレータにより操作される複数の基地局を有する通信網でハンドオーバ事象をトリガするシステムであり、ハンドオーバ事象が、対応するアップリンクおよびダウンリンクを介して通信網の1つ以上の基地局と通信することができる移動端末の周波数分割多重モードで使用され、これにより移動端末が、1または2以上の基地局との通信を維持しながら、第1周波数搬送波の無線カバレージエリアから第2周波数搬送波の無線カバレージエリアへ移動することが可能となるハンドオーバ事象であり、該ハンドオーバ事象が、信号強度および/または信号品質の測定値に基づいて行われるシステムであって、
トリガリングパラメータを得て該トリガリングパラメータを示す第1信号を供給するための、移動端末と通信する手段と、
第1信号に応答して、基準値に関するトリガリング条件のうちの1つを前記トリガリングパラメータが満たしているか否かを決定する手段であって、当該トリガリング条件がハントオーバ測定の開始に充分であり、アップリンクまたはダウンリンクに関する複数のパワーバリューと少なくとも1つの信号対ノイズ比とを含む手段と、
信号強度および/または信号品質の測定を開始するトリガリング条件のうちの1つを満たしたときに第2信号を送信する手段と、
移動局に隣接リストを送信して、当該隣接リストに基づいて信号強度および/または信号品質の測定を可能にする手段と、
前記移動局にハンドオーバ命令を送信する手段とを備えてなるシステム。
【請求項13】
それぞれが1または2以上の周波数の搬送波を有する複数のネットワークオペレータにより操作される複数の基地局を有する通信網でハンドオーバ事象をトリガするシステムであり、ハンドオーバ事象が、対応するアップリンクおよびダウンリンクを介して通信網の1つ以上の基地局と通信することができる移動端末の周波数分割多重モードで使用され、これにより移動端末が、1または2以上の基地局との通信を維持しながら、第1周波数搬送波の無線カバレージエリアから第2周波数搬送波の無線カバレージエリアへ移動することが可能となるハンドオーバ事象であり、該ハンドオーバ事象が、信号強度および/または信号品質の測定値に基づいて行われるシステムであって、
トリガリングパラメータを得て該トリガリングパラメータを示す第1信号を供給するための、移動端末と通信する手段と、
第1信号に応答して、トリガリングパラメータが、基準値に関してトリガリング条件を満たしているかどうかを決定し、かつトリガリングパラメータが、信号強度および/または信号品質の測定を開始するためのトリガリング条件を満たしている場合には第2信号を供給する手段
とを備え、
前記トリガリングパラメータが、基地局のうちの1つでターゲットされたアップリンク信号対干渉比(SIR)を示し、前記基準値がSIRのしきい値を示し、前記トリガリング条件は、ターゲットされたSIRが所定期間にわたりしきい値を超えると満たされるシステム。
【請求項14】
それぞれが1または2以上の周波数の搬送波を有する複数のネットワークオペレータにより操作される複数の基地局を有する通信網でハンドオーバ事象をトリガするシステムであり、ハンドオーバ事象が、対応するアップリンクおよびダウンリンクを介して通信網の1つ以上の基地局と通信することができる移動端末の周波数分割多重モードで使用され、これにより移動端末が、1または2以上の基地局との通信を維持しながら、第1周波数搬送波の無線カバレージエリアから第2周波数搬送波の無線カバレージエリアへ移動することが可能となるハンドオーバ事象であり、該ハンドオーバ事象が、信号強度および/または信号品質の測定値に基づいて行われるシステムであって、
トリガリングパラメータを得て該トリガリングパラメータを示す第1信号を供給するための、移動端末と通信する手段と、
第1信号に応答して、トリガリングパラメータが、基準値に関してトリガリング条件を満たしているかどうかを決定し、かつトリガリングパラメータが、信号強度および/または信号品質の測定を開始するためのトリガリング条件を満たしている場合には第2信号を供給する手段
とを備え、
前記トリガリングパラメータが、移動端末の送信電力を示し、前記基準値が、送信電力のしきい値を示し、前記トリガリング条件は、送信電力がしきい値を超え、かつ、ある期間にわたる送信電力の平均値が、送信電力が所定期間内に最大送信電力に達することができることを示すときに満たされるシステム。
【請求項15】
それぞれが1または2以上の周波数の搬送波を有する複数のネットワークオペレータにより操作される複数の基地局を有する通信網でハンドオーバ事象をトリガするシステムであり、ハンドオーバ事象が、対応するアップリンクおよびダウンリンクを介して通信網の1つ以上の基地局と通信することができる移動端末の周波数分割多重モードで使用され、これにより移動端末が、1または2以上の基地局との通信を維持しながら、第1周波数搬送波の無線カバレージエリアから第2周波数搬送波の無線カバレージエリアへ移動することが可能となるハンドオーバ事象であり、該ハンドオーバ事象が、信号強度および/または信号品質の測定値に基づいて行われるシステムであって、
トリガリングパラメータを得て該トリガリングパラメータを示す第1信号を供給するための、移動端末と通信する手段と、
第1信号に応答して、トリガリングパラメータが、基準値に関してトリガリング条件を満たしているかどうかを決定し、かつトリガリングパラメータが、信号強度および/または信号品質の測定を開始するためのトリガリング条件を満たしている場合には第2信号を供給する手段
とを備え、
前記トリガリングパラメータが、受信信号電力対受信信号強度インジケータ比を示し、前記基準値が、受信信号電力のしきい値を示し、前記トリガリング条件は、前記の比が減少して、所定期間にわたりしきい値より低くなると満たされるシステム。
【請求項16】
前記移動端末が、少なくとも2つの受信機を備えている請求項11から15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記移動端末がただ1つの受信機を有する請求項11から15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
第1ネットワークオペレータが、通信網に1または2以上の基地局を接続するために少なくとも1つの無線網を有し、第2信号が、移動端末での圧縮データ送信モードを起動するために、無線網制御装置から移動端末に伝送される請求項17記載のシステム。
【請求項19】
第1ネットワークオペレータが第1の周波数で作動し、第2のオペレータが第1の周波数と異なる第2の周波数において広帯域符号分割多重アクセスモードで作動する請求項11から15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
第1ネットワークオペレータが広帯域符号分割多重アクセスモードで作動し、第2ネットワークオペレータが汎地球移動体通信システム(GSM)にしたがったモードで作動する請求項11から15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
トリガリングパラメータを得て、ハンドオーバ事象におけるトリガリングパラメータを示す第1信号を供給し、移動端末と通信する手段と、
トリガリングパラメータが基準値に関して1組のトリガリング条件の1つを満たしているどうかを決定するための第1信号に応答する手段を備える装置であって、
各トリガリング条件は、ハンドオーバの測定を開始するために十分なものであり、
1組のトリガリング条件には、アップリンクまたはダウンリンクに関する値であって、多数の電力値や、少なくとも1つの信号対ノイズ比の値が含まれ、
トリガリングパラメータが1組のトリガリング条件の1つを満たしたときに、隣接リストに基づく信号強度および/または信号品質の測定を開始するために、第2信号が移動端末に供給され、次に、ハンドオーバ命令が移動端末に送信される装置。
【請求項22】
無線ネットワークコントローラーである請求項21に記載の装置。
【請求項23】
トリガリングパラメータを得て、ハンドオーバ事象に当該トリガリングパラメータを表示する第1信号を送信するために移動端末と通信する手段と、
前記第1信号に応答して、前記トリガリングパラメータが基準値に関するトリガリング条件のうちの1つを満たすか否かを決定する手段とを備え、
前記条件がハンドオーバ測定を開始するために充分であり、前記条件がアップリンクまたはダウンリンクに関するパワーバリューと少なくとも1つの信号対ノイズ比とを含み、前記トリガリングパラメータがトリガリング条件を満たしたとき、隣接リストに基づいて信号強度および/または信号品質の測定を開始するために移動局に第2信号が送信され、ハンドオーバ命令が順次前記移動局に送信されてなる装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−10962(P2009−10962A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185336(P2008−185336)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【分割の表示】特願2003−501965(P2003−501965)の分割
【原出願日】平成14年5月15日(2002.5.15)
【出願人】(399040520)ノキア コーポレーション (19)
【Fターム(参考)】