説明

ハンドリング装置およびハンドリング方法

【課題】
2つのワークを同時に挟持可能である軽量なハンドリング装置およびハンドリング方法を提供する。
【解決手段】
第1ワークと第2ワークとを挟持するハンドリング装置であって、連動された第1可動爪と第2可動爪と、対向配置された固定爪と、第1可動爪または固定爪に挟持面間隔調整機構と、を備え、第1可動爪と固定爪との間隔、および第2可動爪と固定爪との間隔とが、所定の条件を具備し、第1可動爪と固定爪とで第1ワークを挟持し、第2可動爪と固定爪とで第2ワークを挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定爪と1つの駆動源により連動された一対の可動爪とにより、2つのワークを同時に挟持可能なハンドリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から複数の可動爪と固定爪により複数のワークを挟持するハンドリング装置として、例えば特許文献1に記載されたハンドリング装置が知られている。
図24は、特許文献1に記載されたハンドリング装置である。
【0003】
図24のハンドリング装置(チャック装置)40は、ハンドリング装置本体40aと、このハンドリング装置本体40aに取付けられてワークを上方からチャック可能なチャック部40bとを備えている。
【0004】
このチャック部40bは、チャック装置本体40aの下面中央部に固定された、差込具69を備えている。この差込具69は、上方から2つのワークの間へ挿入可能なものである。
【0005】
また、チャック部40bは、差込具69の両側にそれぞれ配設された把持具67を有している。この把持具67は、差込具69に対し、2つのワークへそれぞれ近接離反動可能に設けられて、差込具69との間で2つのワークを同時に挟持可能としたものである。
【0006】
この把持具67は、差込具69と平行な2つのプレート状の把持爪支持部材65、65と、各把持爪支持部材65、65の両側部にその上端を取付けられて上下方向の下方へ延びる互いに平行な一対の丸棒状の把持爪68とを備えている。この把持爪68は、挟持する2つのワークの中心間を結ぶ連結線に関してほぼ対称の位置に配置されている。
【0007】
そして、上記チャック装置本体40aは、上下2段に積み重ねて連結部材66で連結した把持爪開閉用シリンダ63、64を備えている。このうち、上方の把持爪開閉用シリンダ63のロッド61は、その先端に一方の把持爪支持部材65が連結されている。また、下方の把持爪開閉用シリンダ64のロッド62は、ロッド61とは反対側へ延びて、その先端に他方の把持爪支持部材65が連結されている。そして、ロッド61、62を同期して突出収納動することにより、一対の把持爪支持部材65、65を差込具69に対してワーク列横方向Bへ近接離反動し得るように構成している。なお、ロッド61、62は、ガイドがなくても把持爪支持部材65、65を安定して移動し得るように、それぞれ2本ずつ設けられている。
【0008】
つまり、図24に示す従来のハンドリング装置は、1つのワークに対してアクチュエータに取り付けられた開閉可能な可動爪と固定爪とで構成するため、ハンドリングするワークの数だけアクチュエータが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−305679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ハンドリング装置は、ロボット等を用いた搬送装置や組立装置等に取り付けられてワークの搬送や組立等に用いられる。搬送装置や組立装置等では、搬送時間や組立時間等の短縮の為、複数のワークを挟持できる軽量なハンドリング装置が求められている。
【0011】
アクチュエータはハンドリング装置のうちで爪等の他の構成要素に比較して非常に重い。そのため、同時に挟持するワークの数だけアクチュエータが必要になる従来のハンドリング装置では、軽量化が困難であるとの課題がある。
【0012】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、2つのワークを同時に挟持可能である軽量なハンドリング装置およびハンドリング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明に係るハンドリング装置は、第1ワークと第2ワークとを同時に挟持するハンドリング装置であって、位置決め可能な1つの駆動源と連結され、所定の割合で同時に移動する第1キャリアと第2キャリアとを備えたアクチュエータと、前記第1キャリアに取り付けられた第1可動爪と、前記第2キャリアに固定された第2可動爪と、前記第1および第2可動爪と対向配置され、前記第1可動爪と第1ワークを挟持し、前記第2可動爪と前記第2ワークを挟持する、前記アクチュエータの本体部に固定された少なくとも1つの固定爪と、前記第1可動爪または前記固定爪のいずれか一方には、前記第1ワークを挟持した状態で前記第1可動爪と前記固定爪との狭持面間隔を保ちつつ前記第1および第2キャリアを所定量移動可能にする狭持面間隔調整機構と、を備え、前記第1可動爪と前記固定爪との狭持面間隔が前記第1ワークの挟持方向寸法より広く、かつ、前記第2可動爪と前記固定爪との狭持面間隔が前記第2ワークの挟持方向寸法よりも広い状態を、第1爪位置とし、前記第1可動爪と前記固定爪との狭持面間隔が前記第1ワークの挟持方向寸法と等しく、前記第2可動爪と前記固定爪との狭持面間隔が前記第2ワークの挟持方向寸法よりも広い状態を、第2爪位置とし、前記第1可動爪と前記固定爪との狭持面間隔が前記第1ワークの挟持方向寸法と等しく、前記第2可動爪と前記固定爪との狭持面間隔が前記第2ワークの挟持方向寸法と等しい状態を、第3爪位置とし、前記第1爪位置、第2爪位置、第3爪位置に対応する位置にて前記駆動源を位置決めし、前記第1爪位置では前記第1および第2ワークを挟持せず、前記第2爪位置にて前記第1ワークのみを挟持し、前記第3爪位置にて前記第1ワークおよび第2ワークを同時に挟持する。
【0014】
さらに、本発明に係るハンドリング方法は、第1ワークと第2ワークとを同時に挟持するハンドリング装置を用いたハンドリング方法であって、位置決め可能な1つの駆動源と連結され、所定の割合で同時に移動する第1キャリアと第2キャリアとを備えたアクチュエータと、前記第1キャリアに取り付けられた第1可動爪と、前記第2キャリアに固定された第2可動爪と、前記第1および第2可動爪と対向配置され、前記第1可動爪と第1ワークを挟持し、前記第2可動爪と前記第2ワークを挟持する、前記アクチュエータの本体部に固定された少なくとも1つの固定爪と、前記第1可動爪または前記固定爪のいずれか一方には、前記第1ワークを挟持した状態で前記第1可動爪と前記固定爪との狭持面間隔を保ちつつ前記第1および第2キャリアを所定量移動可能にする狭持面間隔調整機構と、を備え、前記第1可動爪と前記固定爪との狭持面間隔が前記第1ワークの挟持方向寸法より広く、かつ、前記第2可動爪と前記固定爪との狭持面間隔が前記第2ワークの挟持方向寸法よりも広い状態で、前記駆動源を位置決めする第1ステップと、前記第1可動爪と前記固定爪とで前記第1ワークを挟持し、前記第2可動爪と前記固定爪との狭持面間隔が前記第2ワークの挟持方向寸法よりも広い状態で、前記駆動源を位置決めする第2ステップと、前記第1可動爪と前記固定爪とで前記第1ワークを挟持し、前記第2可動爪と前記固定爪とで前記第2ワークを挟持した状態で、前記駆動源を位置決めする第3ステップにより、前記第1ワークおよび第2ワークを同時に挟持する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、2つのワークを同時に挟持可能である軽量なハンドリング装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態におけるハンドリング装置の概略構成図である。
【図2】図1に示したハンドリング装置のA矢視図である。
【図3】可動爪に備えられた挟持面間隔調整機構に直動機構を用いた概略構成図である。
【図4】可動爪に備えられた挟持面間隔調整機構にリンク機構を用いた概略構成図である。
【図5】第1の実施形態における第1ワークを挟持する前のハンドリング装置の状態図である。
【図6】第1の実施形態における第1ワークを挟持したハンドリング装置の状態図である。
【図7】第1の実施形態における第2ワークを挟持する前のハンドリング装置の状態図である。
【図8】第1の実施形態における第2ワークを挟持したハンドリング装置の状態図である。
【図9】第2の実施形態における第1ワークを挟持する前のハンドリング装置の状態図である。
【図10】第2の実施形態における第1ワークを挟持したハンドリング装置の状態図である。
【図11】第2の実施形態における第2ワークを挟持する前のハンドリング装置の状態図である。
【図12】第2の実施形態における第2ワークを挟持したハンドリング装置の状態図である。
【図13】第3の実施形態におけるハンドリング装置の概略構成図である。
【図14】第3の実施形態におけるワークを挟持したハンドリング装置の概略構成図である。
【図15】第4の実施形態におけるハンドリング装置の概略構成図である。
【図16】第4の実施形態におけるワークを挟持したハンドリング装置の概略構成図である。
【図17】第5の実施形態におけるハンドリング装置の概略構成図である。
【図18】第5の実施形態におけるワークを挟持したハンドリング装置の概略構成図である。
【図19】第6の実施形態におけるハンドリング装置の概略構成図である。
【図20】第6の実施形態におけるワークを挟持したハンドリング装置の概略構成図である。
【図21】第7の実施形態におけるハンドリング装置の概略構成図である。
【図22】図21に示したハンドリング装置のB矢視図である。
【図23】第7の実施形態におけるワークを挟持したハンドリング装置のB矢視図である。
【図24】従来のハンドリング装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る第1の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態におけるハンドリング装置の概略構成図である。図2は、図1に示したハンドリング装置のA矢視図である。なお、図示しないが、ハンドリング装置はロボット等を用いた搬送装置や組立装置等に取り付けられ、ハンドリング装置と搬送装置や組立装置等とは動力や信号線等によって接続されている。つまり、ハンドリング装置は、搬送装置や組立装置等の制御装置(以下、制御装置という。)に接続され、制御装置によって制御されている。
【0018】
図1および図2において、110は多点位置決め可能なアクチュエータ、111と112はアクチュエータ110のキャリア、120と130はアクチュエータ110のキャリア111と112に取り付けられた可動爪、140は固定爪である。なお、第1の実施形態においては、キャリア111が第1キャリア、キャリア112が第2キャリア、可動爪120が第1可動爪、可動爪130が第2可動爪に相当する。
【0019】
アクチュエータ110のキャリア111と112とは常に連動して反対方向へ移動する。例えば、キャリア111をΔd1内側に移動すると、キャリア112は必ずΔd2内側に移動する。つまり、キャリア111とキャリア112は常にΔd1:Δd2の比で移動する。なお、第1の実施形態では、Δd1:Δd2=1:1であり、キャリア111と112の移動量であるΔd1とΔd2は常に等しくなる。
【0020】
アクチュエータ110は、1つの駆動源である図示しない位置決めモータを備えている。キャリア111,112は、図示しない位置決めモータと駆動機構で接続され、機構的に連動して反対方向に移動する。このような駆動機構は周知であり、例えば、一方の端部から所定の長さの右ネジを備え、他方の端部から所定の長さの左ネジを備えた回転のみ可能な回転軸と、右ネジを備えた軸方向にのみ移動可能なナットと、左ネジを備えた軸方向にのみ移動可能なナットとにより実現できる。また、クランクスライダ機構のスライダを対向するように配置することでも実現できる。勿論、他の周知な駆動機構を用いることも可能である。なお、位置決めモータは、サーボモータやパルスモータ等が用いられる。
【0021】
可動爪120は、さらに可動爪本体部121、スプリング122、挟持面部123から構成されている。挟持面部123は、可動爪本体部121に対して挟持方向に進退自在に取り付けられている。可動爪本体部121と挟持面部123との間にはスプリング122が設けられ、挟持面部123が可動本体部121に対して挟持方向に常に付勢されている。また、可動爪本体部121は、アクチュエータ110のキャリア111に固定されている。これにより、スプリング122が変形可能な範囲で挟持爪本体部121と挟持面部123との間隔が変化するため、キャリア111の位置に対して所定の範囲で可動爪120と固定爪140との挟持面間隔を変更することが可能となる。つまり、スプリング122と挟持面部123とが、挟持面間隔調整機構として機能する。
【0022】
なお、可動爪本体部121と挟持面部123とを、直動機構にて連結しても良い。例えば、図3のように、挟持面部123にリニアシャフト124を軸方向が挟持方向と一致する方向に取り付け、可動爪本体部121に図示しないリニアブッシュを軸方向が挟持方向と一致する方向に取り付け、直動機構により連結しても良い。また、リニアガイドとレールを用いた直動機構を採用しても良い。
【0023】
さらに、図4のように、挟持面部123と可動爪本体部121とを、リンク125を用いてリンク機構により連結しても良い。
いずれにしても、可動爪本体部121と挟持面部123とは、挟持面部123が可動爪本体部121に対して挟持方向にスムーズに移動可能であれば、上記以外の周知な機構を用いて連結しても良い。
【0024】
一方、固定爪140は、可動爪120と固定爪140とで挟持される第1ワークと、可動爪130と固定爪140とで挟持される第2ワークとの大きさや、挟持面間隔調整機構の調整可能量であるスプリング122の変位量に基づいて固定すべき位置を決定している。
【0025】
図5乃至8は、第1の実施形態におけるハンドリング装置を用いた、2つの対象ワークを同時にハンドリングする際のハンドリング装置の状態図である。ここで、図5は、第1の実施形態における第1ワークを挟持する前のハンドリング装置の状態図である。図6は、第1の実施形態における第1ワークを挟持したハンドリング装置の状態図である。図7は、第1の実施形態における第2ワークを挟持する前のハンドリング装置の状態図である。図8は、第1の実施形態における第2ワークを挟持したハンドリング装置の状態図である。
【0026】
図5乃至8において、1は第1ワーク、2は第2ワーク、5はワーク供給トレー、である。他の番号は図1または2と共通であるので、説明は省略する。
まず、ハンドリングに関連するパラメータを下記のように定義する。
【0027】
第1ワーク1の幅:LW1
スプリング122の自由長:LSF
スプリング122が完全圧縮した状態の長さ:LSC
第2ワークの幅:LW2
第1ワーク1を把持する前の状態の爪位置(第1爪位置):P10
第1ワーク1を把持した状態の爪位置(第2爪位置):P11
両ワークを同時把持した状態の爪位置(第3爪位置):P12
爪位置P10におけるキャリア111と固定爪140との距離:D110
爪位置P10における可動爪130と固定爪140との距離:D120
爪位置P10における挟持面部123と固定爪140との距離:D130
爪位置P10におけるスプリング122の長さ:D140
爪位置P11におけるキャリア111と固定爪140との距離:D111
爪位置P11における可動爪130と固定爪140との距離:D121
爪位置P11における挟持面部123と固定爪140との距離:D131
爪位置P11におけるスプリング122の長さ:D141
爪位置P12におけるキャリア111と固定爪140との距離:D112
爪位置P12における可動爪130と固定爪140との距離:D122
爪位置P12における挟持面部123と固定爪140との距離:D132(=D131)
爪位置P12におけるスプリング122の長さ:D142
キャリア111がP10からP11に移動する際の移動量:Δd111
キャリア112がP10からP11に移動する際の移動量:Δd121(=Δd111)
キャリア111がP10からP12に移動する際の移動量:Δd112
キャリア112がP10からP12に移動する際の移動量:Δd122(=Δd112)
この場合、第1ワーク1と第2ワーク2とを同時にハンドリングするために、第1の条件として「爪の位置:P10であるとき、D130>LW1、D120>LW2を具備すること」、第2の条件として、「爪の位置:P11であるとき、D131=LW1、LSC<D141<LSF、D121>LW2を具備すること」、第3の条件として、「爪の位置:P12であるとき、D131=D132=LW1、LSC≦D142<LSF、D122=LW2を具備すること」が必要となる。これら第1から第3の条件により、前記した固定爪140の位置を決定する。
【0028】
次に、第1の実施形態におけるハンドリング装置によるハンドリング方法について、図5乃至8に基づきながら説明する。なお、図5乃至8のいずれにおいても、ハンドリング装置は、図示しないロボット等に取り付けられ、図示しない制御装置に接続され、制御されている。
【0029】
(1)可動爪120,130の位置をP10になるように制御し、把持の準備をする。
(2)次に、ロボット等を制御してハンドリング装置を第1ワーク1の供給位置へ移動させる(図5の状態)。
【0030】
(3)第1ワーク1の供給位置にて、可動爪120,130の位置をP11になるように制御し、第1ワーク1を挟持する(図6の状態)。この状態では、第1ワーク1はスプリング122の弾性力で挟持されるが、スプリング122はまだ圧縮可能な状態である。
【0031】
この時、キャリア111および可動爪本体部121はΔ111だけ閉じる方向に移動し、キャリア112および可動爪130はΔ121(=Δ111)だけ閉じる方向に移動する。ただし、スプリング122と挟持面部123とは挟持面間隔調整機構として機能するため、挟持面部123は固定爪140に対してキャリア111より移動量が少なく、Δ111≧(D130−D131)となる。
【0032】
(4)可動爪120,130の位置をP11に保持し、第1ワーク1を挟持したままロボット等を制御し、ハンドリング装置を第2ワーク2の供給位置へ移動する(図7の状態)。
【0033】
(5)第2ワーク2の供給位置にて、可動爪120,130の位置がP12になるように制御し、スプリング122をさらに圧縮しつつ第2ワーク2を挟持し、第1ワーク1および第2ワーク2を同時にハンドリングする(図8の状態)。この時、キャリア111および可動爪本体部121は「Δ112−Δ111」だけ閉じる方向に移動し、キャリア112および可動爪130は「Δ122−Δ121(=Δ112−Δ111)」だけ閉じる方向に移動する。ただし、スプリング122と挟持面部123とは挟持面間隔調整機構として機能するため、挟持面部123は固定爪140に対して移動せず、D131=D132となる。
【0034】
(6)可動爪120,130の位置をP12に保持し、第1ワーク1と第2ワーク2とを同時に挟持したままロボット等を制御し、ハンドリング装置を第2ワーク2の目的位置(図示しない)へ移動する。
【0035】
(7)第2ワーク2の目的位置にて、可動爪120,130の位置をP11になるように制御し、第1ワーク1を挟持したまま、第2ワーク2を放す。この時、キャリア111と可動爪本体部121は「Δ112−Δ111」だけ開く方向に移動し、可動爪130は「Δ122−Δ121(=Δ112−Δ111)」だけ開く方向に移動する。ただし、スプリング122と挟持面部123とは挟持面間隔調整機構として機能するため、挟持面部123は固定爪140に対して移動しない。
【0036】
(8)可動爪120,130の位置をP11に保持し、第1ワーク1を挟持したままロボット等を制御し、ハンドリング装置を第1ワーク1の目的位置へ移動する。
(9)第1ワークの目的位置にて、可動爪120,130の位置をP10になるように制御し、第1ワーク1を放す。この時、キャリア111および可動爪本体部121は「Δ111」だけ開く方向に移動し、可動爪130は「Δ122(=Δ111)」だけ開く方向に移動する。ただし、スプリング122と挟持面部123とは挟持面間隔調整機構として機能するため、挟持面部123は固定爪140に対してキャリア111より移動量が少なく、Δ111≧(D130−D131)となる。
【0037】
上記の(2)から(9)を繰り返して、第1ワーク1と第2ワーク2を同時にハンドリングして搬送する。
さらに、第1の実施形態においては、固定爪140が1つである場合について説明したが、可動爪120,130とそれぞれ対応する固定爪を設けても良い。このような構成とすることで、2つのワークの挟持位置をより柔軟に設定する事ができる。
【0038】
次に、本発明に係る第2の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、第1の実施形態と共通する部分には同じ番号を付している。
第2の実施形態におけるハンドリング装置の概略構成は、第1の実施形態と同じであるため詳細な説明は省略する。図9乃至12は、第2の実施形態におけるハンドリング装置を用いた、2つの対象ワークを同時にハンドリングする際のハンドリング装置の状態図である。
【0039】
図9乃至12において、210は多点位置決め可能なアクチュエータ、211と212はアクチュエータ210のキャリア、120と130はアクチュエータ210のキャリア211と212に取り付けられた可動爪、140は固定爪である。1は第1ワーク、2は第2ワーク、5はワーク供給トレーである。
【0040】
なお、第2の実施形態においては、キャリア211が第1キャリア、キャリア212が第2キャリア、可動爪120が第1可動爪、可動爪130が第2可動爪に相当する。
なお、第2の実施形態では、図1におけるΔd1とΔd2で表される移動量の比はΔd1:Δd2=1:2であり、キャリア212の移動量であるΔd2はキャリア211の移動量Δd1の常に2倍となる。例えば、移動量の比を変えるには、キャリア211とキャリア212が右ネジと左ネジが加工された1つの回転軸と、右ネジのナットと、左ネジのナットにより駆動されている場合には、そのネジのリードを1:2の関係とすれば良い。勿論、移動量が1:2となる機構であれば他の機構を用いる事もできる。例えば、クランクスライダ機構において、クランク径および中関節のリンク長さを1:2の関係としても良い。なお、Δd1:Δd2は1:2に限定されることなく、任意の比とすることができる。
【0041】
一方、固定爪140は基本的に第1の実施形態と同じなので、説明は省略する。
図9乃至12は、第2の実施形態におけるハンドリング装置を用いた、2つの対象ワークを同時にハンドリングする際のハンドリング装置の状態図である。ここで、図9は、第2の実施形態における第1ワークを挟持する前のハンドリング装置の状態図である。図10は、第2の実施形態における第1ワークを挟持したハンドリング装置の状態図である。図11は、第2の実施形態における第2ワークを挟持する前のハンドリング装置の状態図である。図12は、第2の実施形態における第2ワークを挟持したハンドリング装置の状態図である。
【0042】
まず、ハンドリングに関連するパラメータで、第1の実施形態と異なるものについてのみ下記のように定義する。
第1ワーク1を把持する前の状態の爪位置(第1爪位置):P20
第1ワーク1を把持した状態の爪位置(第2爪位置):P21
両ワークを同時に把持した状態の爪位置(第3爪位置):P22
爪位置P20におけるキャリア211と固定爪140との距離:D210
爪位置P20における可動爪130と固定爪140との距離:D220
爪位置P20における挟持面部123と固定爪140との距離:D230
爪位置P20におけるスプリング122の長さ:D240
爪位置P21におけるキャリア211と固定爪140との距離:D211
爪位置P21における可動爪130と固定爪140との距離:D221
爪位置P21における挟持面部123と固定爪140との距離:D231
爪位置P21におけるスプリング122の長さ:D241
爪位置P22におけるキャリア211と固定爪140との距離:D212
爪位置P22における可動爪130と固定爪140との距離:D222
爪位置P22における挟持面部123と固定爪140との距離:D232
爪位置P22におけるスプリング122の長さ:D242
キャリア211がP20からP21に移動する際の移動量:Δd211
キャリア212がP20からP21に移動する際の移動量:Δd221
キャリア211がP20からP22に移動する際の移動量:Δd212
キャリア212がP20からP22に移動する際の移動量:Δd222
この場合、第1ワーク1と第2ワーク2とを同時にハンドリングするために、第1の条件として「爪の位置:P20であるとき、D230>LW1、D220>LW2を具備すること」、第2の条件として「爪の位置:P21であるとき、D231=LW1、LSC<D241<LSF、D221>LW2を具備すること」、第3の条件として「爪の位置:P22であるとき、D231=D232=LW1、LSC≦D242<LSF、D222=LW2を具備すること」が必要となる。これら第1から第3の条件により、前記した固定爪140の位置を決定する。次に、第2の実施形態におけるハンドリング装置によるハンドリング方法について、図9乃至12に基づいて説明する。なお、図9乃至12のいずれにおいても、ハンドリング装置は、図示しないロボット等に取り付けられ、図示しない制御装置に接続され、制御可能になっている。
【0043】
(1)可動爪120,130の位置をP20になるように制御し、把持の準備をする。
(2)次に、ロボット等を制御してハンドリング装置を第1ワーク1の供給位置へ移動させる(図9の状態)。
【0044】
(3)第1ワーク1の供給位置にて、可動爪120,130の位置をP21になるように制御し、第1ワーク1を挟持する(図10の状態)。この状態では、第1ワーク1はスプリング122の弾性力で挟持されるが、スプリング122はまだ圧縮可能な状態である。
【0045】
この時、キャリア211および可動爪本体部121はΔ211だけ閉じる方向に移動し、キャリア212および可動爪130はΔ221だけ閉じる方向に移動する。なお、Δ221=2×Δ211である。ただし、スプリング122と挟持面部123とは挟持面間隔調整機構として機能するため、挟持面部123は固定爪140に対してキャリア211より移動量が少なく、Δ211≧(D230−D231)となる。
【0046】
(4)可動爪120,130の位置をP21に保持し、第1ワーク1を挟持したままロボット等を制御し、ハンドリング装置を第2ワーク2の供給位置へ移動する(図11の状態)。
【0047】
(5)第2ワーク2の供給位置にて、可動爪120,130の位置がP22になるように制御し、スプリング122をさらに圧縮しつつ第2ワーク2を挟持し、第1ワーク1および第2ワーク2を同時にハンドリングする(図12の状態)。この時、キャリア211および可動爪本体部121は「Δ212−Δ211」だけ閉じる方向に移動し、キャリア212および可動爪130は「Δ222−Δ221」だけ閉じる方向に移動する。なお、Δ222−Δ221=2×(Δ212−Δ211)である。ただし、スプリング122と挟持面部123とは挟持面間隔調整機構として機能するため、挟持面部123は固定爪140に対して移動せず、D231=D232となる。
【0048】
(6)可動爪120,130の位置をP22に保持し、第1ワーク1と第2ワーク2とを同時に挟持したままロボット等を制御し、ハンドリング装置を第2ワーク2の目的位置(図示しない)へ移動する。
【0049】
(7)第2ワーク2の目的位置にて、可動爪120,130の位置をP21になるように制御し、第1ワーク1を挟持したまま、第2ワーク2を放す。この時、キャリア211と可動爪本体部121とは「Δ212−Δ211」だけ開く方向に移動し、キャリア212と可動爪130とは「Δ222−Δ221」だけ開く方向に移動する。ただし、スプリング122と挟持面部123とは挟持面間隔調整機構として機能するため、挟持面部123は固定爪140に対して移動しない。
【0050】
(8)可動爪120,130の位置をP21に保持し、第1ワーク1を挟持したままロボット等を制御し、ハンドリング装置を第1ワーク1の目的位置へ移動する。
(9)第1ワーク1の目的位置にて、可動爪120,130の位置をP20になるように制御し、第1ワーク1を放す。この時、キャリア211と可動爪本体部121とは「Δ211」だけ開く方向に移動し、キャリア212と可動爪130とは「Δ221」だけ開く方向に移動する。ただし、スプリング122と挟持面部123とは挟持面間隔調整機構として機能するため、挟持面部123は固定爪140に対してキャリア211より移動量が少なく、Δ211≧(D230−D231)となる。
【0051】
上記の(2)から(9)を繰り返して、第1ワーク1と第2ワーク2を同時にハンドリングして搬送する。
第1および第2の実施形態においては、第1ワークと第2ワークとを順番に放す場合について説明したが、第1ワークと第2ワークとを同時に離しても良い。例えば、第1ワークと第2ワークとを挟持した状態から、可動爪の位置をP12からP10またはP22からP20に一気に移動させることで、第1ワークと第2ワークとを同時に離すことができる。さらに、図示しないワーク押し出し機構をハンドリング装置の第1ワークの挟持位置に備えておけば、可動爪の位置をP12からP11またはP22からP21の位置に移動させると共に、前記ワーク押し出し機構にて第1ワークを押し出す事で、所定の領域内に第2ワークと第1ワークを同時に挿入する事が可能である。
【0052】
さらに、第2の実施形態においても、固定爪が1つである場合について説明したが、2つの可動爪とそれぞれ対応する固定爪を設けても良い。このような構成とすることで、2つのワークの挟持位置を変更する事ができる。
【0053】
さらに、第2の実施形態においては、キャリア211と212との連動する移動量の比を変え、キャリア211の移動量を小さくすることで、第1の実施形態と比べてスプリング122による第1ワークに掛かる圧縮力を小さくすることができる。これにより、ワークを柔軟に把持できるようになる。さらに、アクチュエータ210が必要とする推力も小さくすることができる。
【0054】
本発明に係る第3の実施形態について、図面を用いて説明する。
図13は、第3の実施形態におけるハンドリング装置の概略構成図である。図14は、ワークを挟持したハンドリング装置の概略構成図である。
【0055】
なお、第3の実施形態は、第1および第2の実施形態の変形例であるので、異なる部分についてのみ説明し、共通する部分については説明を省略する。なお、第1の実施形態および第2の実施形態と共通する部分については、同じ符号を付している。
【0056】
図13および図14において、110は多点位置決め可能なアクチュエータ、111と112はアクチュエータ110のキャリア、320と130はアクチュエータ110のキャリア111と112に取り付けられた可動爪、340は固定爪で、341は固定爪本体部である。1は第1ワーク、2は第2ワークである。
【0057】
図13および図14から明らかなように、挟持面間隔調整機構を構成するスプリング122と挟持面部123とが固定爪340に設けられている。つまり、挟持面間隔調整機構が設けられている場所が第1および第2の実施形態と異なるだけで、作用としては変わる事はない。
【0058】
なお、第3の実施形態においては、キャリア111が第1キャリア、キャリア112が第2キャリア、可動爪320が第1可動爪、可動爪130が第2可動爪に相当する。
第3の実施形態においても、固定爪本体部341と挟持面部123とを、図3に示した直動機構や図4に示したリンク機構にて連結しても良い。勿論、図示しないがリニアガイドとレールを用いた直動機構を採用しても良い。つまり、固定爪本体部341と挟持面部123とは、挟持面部123が固定爪本体部341に対して挟持方向にスムーズに移動可能であれば、上記以外の周知な機構を用いて連結しても良い。
【0059】
また、Δd1:Δd2は任意の比を選択する事が可能であり、第1の実施形態のように1:1や第2の実施形態のように1:2とすることもでき、他の任意の比とすることもできる。図13および図14では、Δd1:Δd2=1:1としている。
【0060】
第1ワーク1と第2ワーク2とを同時にハンドリングするための条件およびハンドリング方法は、第1および第2の実施形態と同じであるので説明は省略する。
第3の実施形態においても、第1および第2の実施形態と同様に、第1ワークと第2ワークとを順番に放しても、第1ワークと第2ワークとを同時に離しても良い。
【0061】
また、第3の実施形態においても、可動爪130と320との連動する移動量の比を変えることで、第1ワークに掛かる圧縮力を小さくすることができる。これにより、ワークを柔軟に把持できるようになる。さらに、アクチュエータ110が必要とする推力も小さくすることができる。
【0062】
さらに、第3の実施形態においても、固定爪が1つである場合について説明したが、2つの可動爪とそれぞれ対応する固定爪としても良い。このような構成とすることで、2つのワークの挟持位置を変更する事ができる。
【0063】
第3の実施形態においては、挟持面間隔調整機構を固定爪に設けることで、可動爪を軽量化できる。軽量化により、可動爪の動作を速く行う事が可能となる。また、動作はそのままとして、アクチュエータを小型の物に置換することが可能となる。さらに、挟持面間隔調整機構を可動爪に設けた場合には可動爪に移動に伴い挟持面間隔調整機構が振動する可能性があったが、挟持面間隔調整機構を固定爪に設けると移動による振動を考慮する必要がなくなり、設計が容易になる。
【0064】
本発明に係る第4の実施形態について、図面を用いて説明する。
図15は、第4の実施形態におけるハンドリング装置の概略構成図である。図16は、ワークを挟持したハンドリング装置の概略構成図である。
【0065】
なお、第4の実施形態は、第1および第2の実施形態の変形例であるので、異なる部分についてのみ説明し、共通する部分については説明を省略する。なお、第1の実施形態および第2の実施形態と共通する部分については、同じ符号を付している。
【0066】
図15および図16において、110は多点位置決め可能なアクチュエータ、111と112はアクチュエータ110のキャリア、130と420はアクチュエータ110のキャリア111と112に取り付けられた可動爪、140は固定爪である。1は第1ワーク、2は第2ワークである。
【0067】
なお、第4の実施形態においては、キャリア111が第1キャリア、キャリア112が第2キャリア、可動爪420が第1可動爪、可動爪130が第2可動爪に相当する。
図15および図16から明らかなように、第1および第2の実施形態との差異点は、挟持面間隔調整機構の構成である。第4の実施形態における挟持面間隔調整機構は、キャリア111に対して挟持方向に可動自在に取り付けられた挟持面を備えた可動爪本体部421と、可動爪本体部421を常に挟持方向に付勢するスプリング422と、スプリング422の保持部材425から構成されている。なお、図15および図16では図示しないが、キャリア111と可動爪本体部421とは直動機構を介して取り付けられている。直動機構の例としては、リニアシャフトとリニアブッシュを用いた直動機構、リニアガイドとレールを用いた直動機構を採用することができる。
【0068】
また、第1の実施形態の変形例と同様に、可動爪本体部421とキャリア111とをリンク機構により連結しても良い。
なお、挟持面間隔調整機構によって可動する部位が第1および第2の実施形態と異なるだけで、作用としては変わる事はない。
【0069】
アクチュエータ110のキャリア111と112とは常に連動して反対方向へ移動する。つまり、キャリア111とキャリア112は常にΔd1:Δd2の比で移動する。ただし、Δd1:Δd2は任意の比を選択する事が可能であり、第1の実施形態のように1:1や第2の実施形態のように1:2とすることもできる。勿論、他の任意の比とすることもできる。図15および図16では、Δd1:Δd2=1:1としている。
【0070】
一方、固定爪140の固定位置は、可動爪420と固定爪140とで挟持される第1ワークと、可動爪130と固定爪140とで挟持される第2ワークとの大きさや、挟持面間隔調整機構の調整可能量であるスプリング422の変位量に基づいて決定する。
【0071】
第1ワーク1と第2ワーク2とを同時にハンドリングするための条件およびハンドリング方法は、第1および第2の実施形態と同じであるので説明は省略する。
第4の実施形態においても、第1および第2の実施形態と同様に、第1ワークと第2ワークとを順番に放しても、第1ワークと第2ワークとを同時に離しても良い。
【0072】
また、第4の実施形態においても、可動爪130と420との連動する移動量の比を変えることで、第1ワークに掛かる圧縮力を小さくすることができる。これにより、ワークを柔軟に把持できるようになる。さらに、アクチュエータ110が必要とする推力も小さくすることができる。
【0073】
さらに、第4の実施形態においても、固定爪が1つである場合について説明したが、2つの可動爪とそれぞれ対応する固定爪としても良い。このような構成とすることで、2つのワークの挟持位置を変更する事ができる。
【0074】
本発明に係る第5の実施形態について、図面を用いて説明する。
図17は、第5の実施形態におけるハンドリング装置の概略構成図である。図18は、ワークを挟持したハンドリング装置の概略構成図である。
【0075】
なお、第5の実施形態は、第1および第2の実施形態の変形例であるので、異なる部分についてのみ説明し、共通する部分については説明を省略する。なお、第1の実施形態および第2の実施形態と共通する部分については、同じ符号を付している。
【0076】
図17および図18において、510は多点位置決め可能なアクチュエータ、511と512はアクチュエータ510のキャリア、120と130はアクチュエータ510のキャリア511と512に取り付けられた可動爪、541と542は固定爪である。1は第1ワーク、2は第2ワークである。なお、可動爪120と130の取り付け方向が、第1および第2の実施形態と逆になっている。
【0077】
なお、第5の実施形態においては、キャリア511が第1キャリア、キャリア512が第2キャリア、可動爪120が第1可動爪、可動爪130が第2可動爪に相当する。
アクチュエータ510のキャリア511と512とは常に連動して反対方向へ移動する。つまり、キャリア511とキャリア512は常にΔd1:Δd2の比で移動する。ただし、Δd1:Δd2は任意の比を選択する事が可能であり、第1の実施形態のように1:1や第2の実施形態のように1:2とすることもできる。勿論、他の任意の比とすることもできる。図17および図18では、Δd1:Δd2=1:1としている。
【0078】
一方、固定爪541の固定位置は、可動爪120と固定爪541とで挟持される第1ワークの大きさや、挟持面間隔調整機構の調整可能量であるスプリング122の変位量に基づいて決定する。固定爪542の固定位置は、可動爪130と固定爪542とで挟持される第2ワークの大きさに基づいて決定する。
【0079】
第1ワーク1と第2ワーク2とを同時にハンドリングするための条件およびハンドリング方法は、第1および第2の実施形態と同じであるので説明は省略する。
第5の実施形態においても、第1および第2の実施形態と同様に、第1ワークと第2ワークとを順番に放しても、第1ワークと第2ワークとを同時に離しても良い。
【0080】
また、第5の実施形態においても、可動爪120と130との連動する移動量の比を変えることで、第1ワークに掛かる圧縮力を小さくすることができる。これにより、ワークを柔軟に把持できるようになる。さらに、アクチュエータ510が必要とする推力も小さくすることができる。
【0081】
図19は、第6の実施形態におけるハンドリング装置の概略構成図である。図20は、ワークを挟持したハンドリング装置の概略構成図である。
なお、第6の実施形態は、第5の実施形態の変形例であるので、異なる部分についてのみ説明し、共通する部分については説明を省略する。なお、第1乃至第5の実施形態と共通する部分については、同じ符号を付している。
【0082】
図19および図20において、510は多点位置決め可能なアクチュエータ、511と512はアクチュエータ510のキャリア、620と130はアクチュエータ510のキャリア511と512に取り付けられた可動爪、640と542は固定爪、641は固定爪本体部である。1は第1ワーク、2は第2ワークである。
【0083】
なお、第6の実施形態においては、キャリア511が第1キャリア、キャリア512が第2キャリア、可動爪620が第1可動爪、可動爪130が第2可動爪に相当する。
図19および図20から明らかなように、挟持面間隔調整機構を構成するスプリング642と挟持面部643とが固定爪640に設けられている。つまり、挟持面間隔調整機構が設けられている場所が第5の実施形態と異なるだけで、作用としては変わる事はない。
【0084】
第6の実施形態においても、固定爪本体部641と挟持面部623とを、図3に示した直動機構や図4に示したリンク機構にて連結しても良い。勿論、図示しないがリニアガイドとレールを用いた直動機構を採用しても良い。つまり、固定爪本体部641と挟持面部643とは、挟持面部643が固定爪本体部641に対して挟持方向にスムーズに移動可能であれば、上記以外の周知な機構を用いて連結しても良い。
【0085】
アクチュエータ510のキャリア511と512とは常に連動して反対方向へ移動する。つまり、キャリア511とキャリア512は常にΔd1:Δd2の比で移動する。ただし、Δd1:Δd2は任意の比を選択する事が可能であり、第1の実施形態のように1:1や第2の実施形態のように1:2とすることもできる。勿論、他の任意の比とすることもできる。図19および図20では、Δd1:Δd2=1:1としている。
【0086】
一方、固定爪640の固定位置は、可動爪620と固定爪640とで挟持される第1ワークの大きさや、挟持面間隔調整機構の調整可能量であるスプリング622の変位量に基づいて決定する。固定爪542の固定位置は、可動爪130と固定爪542とで挟持される第2ワークの大きさに基づいて決定する。
【0087】
第1ワーク1と第2ワーク2とを同時にハンドリングするための条件およびハンドリング方法は、第1および第2の実施形態と同じであるので説明は省略する。
第6の実施形態においても、第1および第2の実施形態と同様に、第1ワークと第2ワークとを順番に放しても、第1ワークと第2ワークとを同時に離しても良い。
【0088】
また、第6の実施形態においても、可動爪620と130との連動する移動量の比を変えることで、第1ワークに掛かる圧縮力を小さくすることができる。これにより、ワークを柔軟に把持できるようになる。さらに、アクチュエータ510が必要とする推力も小さくすることができる。
【0089】
さらに、第5および第6の実施形態においては、2つのワークを離れた位置で同時に挟持できるため、それぞれのワークを把持する時や放す時に必要となる干渉防止のスペースを小さくできる。
【0090】
本発明に係る第7の実施形態について、図面を用いて説明する。
図21は、第7の実施形態におけるハンドリング装置の概略構成図である。図22は、図21に示したハンドリング装置のB矢視図である。図22は、第7の実施形態におけるワークを挟持したハンドリング装置のB矢視図である。
【0091】
なお、第7の実施形態は、第1乃至6の実施形態の可動爪を、対向配置されて近離自在に連動された一対の可動爪から、同方向に移動自在に連動された1対の可動爪に変更したものである。なお、それ以外の部分は第1乃至6の実施形態と共通するため、共通する部分については説明を省略する。
【0092】
図21乃至図23において、710は多点位置決め可能なアクチュエータ、711と712はアクチュエータ710のキャリア、120と130はアクチュエータ710のキャリア711と712に取り付けられた可動爪、741と742は固定爪である。可動爪120は、さらに可動爪本体部121、スプリング122、挟持面部123から構成されている。1は第1ワーク、2は第2ワークである。なお、可動爪120と130の移動方向が、第1乃至第3の実施形態と異なり同方向となっている。
【0093】
アクチュエータ710のキャリア711と712とは常に連動して同方向へ移動する。つまり、キャリア711とキャリア712は常にΔd1:Δd2の比で移動する。ただし、Δd1:Δd2は任意の比を選択する事が可能であり、第1の実施形態のように1:1や第2の実施形態のように1:2とすることもできる。図21乃至図23では、Δd1:Δd2=1:1としている。
【0094】
一方、固定爪741の固定位置は、可動爪120と固定爪742とで挟持される第1ワークの大きさや、挟持面間隔調整機構の調整可能量であるスプリング122の変位量に基づいて決定する。固定爪742の固定位置は、可動爪130と固定爪742とで挟持される第2ワークの大きさに基づいて決定する。
【0095】
第1ワーク1と第2ワーク2とを同時にハンドリングするための条件およびハンドリング方法は、可動爪120と130の可動方向が同じ方向に移動する事になるだけで、第1および第2の実施形態と同じであるので説明は省略する。
【0096】
なお、第7の実施形態においては、キャリア711が第1キャリア、キャリア712が第2キャリア、可動爪120が第1可動爪、可動爪130が第2可動爪に相当する。
なお、第1乃至第7の実施形態のいずれにおいても、挟持面間隔調整機構の弾性部材として圧縮ばねを用いて説明したが、他の機械構造的に弾性を有する製品や、素材が弾性を有するゴムやスポンジ等の製品でも良い。さらに、挟持ワークを剛体ワークとしていたが、ワークいずれも挟持方向に弾性を有するワークとしても良い。
【0097】
上記第1乃至7の実施形態によれば、2つの剛体ワークであっても、対向配置されて近離自在に連動された一対の可動爪と、2つのワークに基づいて定まる所定の条件を具備する位置に固定された固定爪と、2つの可動爪および固定爪のいずれか1つに挟持面間隔調整機構を備えることによって、同時に挟持することが可能となる。
【符号の説明】
【0098】
1 第1ワーク
2 第2ワーク
110,210,510,710 アクチュエータ
120,130,320,420,620 可動爪
140,340,541,542,640,741,742 固定爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ワークと第2ワークとを同時に挟持するハンドリング装置であって、
位置決め可能な1つの駆動源と連結され、所定の割合で同時に移動する第1キャリアと第2キャリアとを備えたアクチュエータと、
前記第1キャリアに取り付けられた第1可動爪と、
前記第2キャリアに固定された第2可動爪と、
前記第1および第2可動爪と対向配置され、前記第1可動爪と第1ワークを挟持し、前記第2可動爪と前記第2ワークを挟持する、前記アクチュエータの本体部に固定された少なくとも1つの固定爪と、
前記第1可動爪または前記固定爪のいずれか一方には、前記第1ワークを挟持した状態で前記第1可動爪と前記固定爪との狭持面間隔を保ちつつ前記第1および第2キャリアを所定量移動可能にする狭持面間隔調整機構と、を備え、
前記第1可動爪と前記固定爪との狭持面間隔が前記第1ワークの挟持方向寸法より広く、かつ、前記第2可動爪と前記固定爪との狭持面間隔が前記第2ワークの挟持方向寸法よりも広い状態を、第1爪位置とし、
前記第1可動爪と前記固定爪との狭持面間隔が前記第1ワークの挟持方向寸法と等しく、前記第2可動爪と前記固定爪との狭持面間隔が前記第2ワークの挟持方向寸法よりも広い状態を、第2爪位置とし、
前記第1可動爪と前記固定爪との狭持面間隔が前記第1ワークの挟持方向寸法と等しく、前記第2可動爪と前記固定爪との狭持面間隔が前記第2ワークの挟持方向寸法と等しい状態を、第3爪位置とし、
前記第1爪位置、第2爪位置、第3爪位置に対応する位置にて前記駆動源を位置決めし、前記第1爪位置では前記第1および第2ワークを挟持せず、前記第2爪位置にて前記第1ワークのみを挟持し、前記第3爪位置にて前記第1ワークおよび第2ワークを同時に挟持することを特徴とするハンドリング装置。
【請求項2】
前記狭持面間隔調整機構は、
前記第1可動爪または前記固定爪のいずれか一方の爪本体部に設けられ、
前記爪本体部に対して挟持方向に進退可能に設けられた挟持面部と、
前記挟持面部材を挟持方向に付勢するスプリングと、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載のハンドリング装置。
【請求項3】
前記挟持面間隔調整機構は、
前記第1キャリアと前記第1可動爪との間に設けられ、
前記第1可動爪を前記第1キャリアに対して挟持方向に進退可能に連結する連結部と、
前記第1可動爪を挟持方向に付勢するスプリングと、
から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のハンドリング装置。
【請求項4】
同時に移動する前記第1キャリアの移動量が前記第2キャリアの移動量より少ないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のハンドリング装置。
【請求項5】
前記第1可動爪と前記第2可動爪とは対向配置され、
前記固定爪は、前記第1可動爪と前記第2可動爪との内側に固定されたこと、を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のハンドリング装置。
【請求項6】
前記固定爪は、前記第1可動爪と対向する位置に第1固定爪、前記第2可動爪と対向する位置に第2固定爪を、固定したことを特徴とする請求項5に記載のハンドリング装置。
【請求項7】
前記第1可動爪と前記第2可動爪とは対向配置され、
前記固定爪は、前記第1可動爪と前記第2可動爪との外側であって、第1固定爪が前記第1可動爪と、第2固定爪が前記第2可動爪と、それぞれ対向する位置に固定されたこと、を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のハンドリング装置。
【請求項8】
第1ワークと第2ワークとを同時に挟持するハンドリング装置を用いたハンドリング方法であって、
位置決め可能な1つの駆動源と連結され、所定の割合で同時に移動する第1キャリアと第2キャリアとを備えたアクチュエータと、前記第1キャリアに取り付けられた第1可動爪と、前記第2キャリアに固定された第2可動爪と、前記第1および第2可動爪と対向配置され、前記第1可動爪と第1ワークを挟持し、前記第2可動爪と前記第2ワークを挟持する、前記アクチュエータの本体部に固定された少なくとも1つの固定爪と、前記第1可動爪または前記固定爪のいずれか一方には、前記第1ワークを挟持した状態で前記第1可動爪と前記固定爪との狭持面間隔を保ちつつ前記第1および第2キャリアを所定量移動可能にする狭持面間隔調整機構と、を備え、
前記第1可動爪と前記固定爪との狭持面間隔が前記第1ワークの挟持方向寸法より広く、かつ、前記第2可動爪と前記固定爪との狭持面間隔が前記第2ワークの挟持方向寸法よりも広い状態で、前記駆動源を位置決めする第1ステップと、
前記第1可動爪と前記固定爪とで前記第1ワークを挟持し、前記第2可動爪と前記固定爪との狭持面間隔が前記第2ワークの挟持方向寸法よりも広い状態で、前記駆動源を位置決めする第2ステップと、
前記第1可動爪と前記固定爪とで前記第1ワークを挟持し、前記第2可動爪と前記固定爪とで前記第2ワークを挟持した状態で、前記駆動源を位置決めする第3ステップにより、
前記第1ワークおよび第2ワークを同時に挟持することを特徴とするハンドリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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