ハンド用のディスクグラインダー、該ハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法
【課題】本発明は、被研磨材の研磨に際し、適切に研磨することができ、利き腕に応じて使用することのできるハンド用のディスクグラインダー及びハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法を提供することを課題とする。
【解決手段】一端側に回転駆動し、研磨用ディスクを取り付ける駆動軸の設けられたグラインダー本体と、研磨用ディスクの外周に沿って前記グラインダー本体に取り付けられたカバーフレームから構成されたハンド用のディスクグラインダーにおいて、前記駆動軸は正転又は逆転駆動に切り替えでき、且つ前記カバーフレームは駆動軸の回転方向に応じて所望量研磨用ディスクに沿って円弧状に回動した位置でグラインダー本体に固定できる。
【解決手段】一端側に回転駆動し、研磨用ディスクを取り付ける駆動軸の設けられたグラインダー本体と、研磨用ディスクの外周に沿って前記グラインダー本体に取り付けられたカバーフレームから構成されたハンド用のディスクグラインダーにおいて、前記駆動軸は正転又は逆転駆動に切り替えでき、且つ前記カバーフレームは駆動軸の回転方向に応じて所望量研磨用ディスクに沿って円弧状に回動した位置でグラインダー本体に固定できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、研磨用ディスクを駆動軸に取り付け、作業者が手で把持した状態で金属材の研磨及び溶接部分の研摩に使用するハンド用のディスクグラインダー、及びハンド用のディスクグラインダーを用いた被研摩材の研摩方法に関する。
【技術の背景】
【０００２】
通常、金属材の加工時において、その金属の表面の研磨、溶接部分の表面処理をするのに使用するディスクグラインダーは、作業部分を密閉し集塵装置の設けられた大型のディスクグラインダーと、作業者の手で把持して使用するハンド用のディスククラインダーとがある。
【０００３】
ハンド用のディスクグラインダーの一般的な構成は、一端側で下方向きの駆動軸を軸支し、該駆動軸を回転駆動する駆動源としてのモータの設けられたグラインダー本体と、前記駆動軸に取り付けられた研磨用ディスクから構成され、グラインダー本体部分を手で把持した後、研磨用ディスクで被研磨材を研磨することで使用する。
【０００４】
また、研磨用ディスクで研磨する際、粉塵が発生するので、該研磨用ディスクの回りに吸引穴を有するカバーフレームをグラインダー本体に直接又は別体として取り付けることで、前記研磨時の粉塵を集塵している。
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、上記ハンド用のディスクグラインダーは、通常駆動軸の回転方向が一方向に限定されているために、被研磨材の研磨部分、例えば被研磨材の形状、部品を溶接した部分においては被研磨材を回転等の移動をしながら、被研磨材を持ち替えて、又は作業者自身が体を移動して研磨作業を続けなければならず、その作業が煩雑であり、作業時間を要した。
【０００６】
また、研磨時の粉塵を集塵するカバーフレームは、研磨用ディスクの外周に沿って一部の切り欠き部分を除いて被覆するように設けられているために、研磨部分の形状によりカバーフレームが障害となり適切な研磨作業ができないという欠点があった。
【０００７】
また、作業者の利き腕が左腕、又は障害等により右腕が使えない場合は、従来のディスクグライングーは右利き用に応じて作られているために、作業者が適切に取り扱えないという問題点があった。
【０００８】
そこで、本発明は上記問題点を解消し、取り扱いが容易で、適切な研磨ができ、且つ左右どちらの利き腕であっても利用することができるハンド用のディスクグラインダー、及び該ハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記課題を解決する手段は、請求項１に記載のように、一端側に回転駆動し、研磨用ディスクを取り付ける駆動軸の設けられたグラインダー本体と、研磨用ディスクの外周に治って前記グラインダー本体に取り付けられたカバーフレームから構成されたハンド用のディスクグラインダーにおいて、前記駆動軸は正転又は逆転駆動に切り替えでき、且つ前記カバーフレームは駆動軸の回転方向に応じて所望量研磨用ディスクに沿って円弧状に回動した位置でグラインダー本体に固定できることを特徴とする。
【００１０】
また、上記課題を解決する方法は、請求項２に記載のように、グラインダー本体の一端側で回転駆動する駆動軸に設けられた研磨用ディスクで被研磨材を研磨するとともに、研磨用ディスクの外周に沿ってグラインダー本体に取り付けられたカバーフレームで研磨時の粉塵を集塵するハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法において、被研磨材の研磨部分又は利き腕に応じて駆動軸の回転方向の正転又は逆転を選択するとともに、該駆動軸の回転方向に応じてカバーフレームを研磨用ディスクに沿って所望量円弧状に回動した位置でグラインダー本体に固定した後、研磨用ディスクで被研磨材を研磨し、カバーフレームで研磨時の粉塵を集塵することを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【００１１】
次に、本発明のハンド用のディスクグラインダー、及び該ハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法の作用効果について説明する。
【００１２】
先ず、本発明のハンド用のディスクグラインダーは、被研磨材の研磨面に対応して、駆動軸の回転方向の正転又は逆転を選択し、その後、カバーフレームを駆動軸の選択した回転方向に応じて、所望量研磨用ディスクに沿って円弧状に回動した位置でグラインダー本体に固定する。
【００１３】
即ち、通常時は正転（時計回り）方向に駆動軸を回転するとともに、カバーフレームを右方向に所望量移動する。これにより、前記駆動軸に取り付けられた研磨用ディスクを回転して被研磨材を研磨するとともに、研磨時に発生する粉塵の飛散方向をカバーフレームで覆い、確実に集塵することができる。
【００１４】
また、研磨部分の状態に応じて上記位置よりカバーフレームを右方向に所望量移動することで、カバーフレームが研磨用ディスクと研磨部分との障害とならずに研磨することができる。
【００１５】
また、研磨部分の状態に応じて逆転（反時計回り）方向に駆動軸を回転するとともに、カバーフレームを左側に所望量移動することで、被研磨材を移動することなく研磨用ディスクで適切に研磨するとともに、カバーフレームで粉塵を集塵することができる。
【００１６】
このように、１台のハンド用のディスクグラインダーの駆動軸の回転方向の選択及びカバーフレームの移動によりあらゆる被研磨材に対応してスムーズに研磨することができる。
【００１７】
次に、ハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法は、被研磨材の研磨部分に応じてグライングー本体に設けられた駆動軸の回転方向の正転又は逆転を選択するとともに、該選択した駆動軸の回転方向に応じて、研磨用ディスクの外周に沿ってグラインダー本体に設けられたカバーフレームを所望量円弧状に回動した位置でグラインダー本体に固定する。
【００１８】
この状態で、研磨用ディスクで被研磨材を研磨し、カバーフレームで研磨時の粉塵を集塵することができる。
【００１９】
また、作業者の利き腕に応じて、駆動軸の回転方向を選択するとともに、該選択に従ってカバーフレームを所望量移動することで、利き腕の左右に関係することなく１台のハンド用のディスクグラインダーを使用することができる。
【００２０】
このように、本発明のハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法は、被研磨材の研磨部分に応じて、また、作業者の利き腕に応じて、駆動軸の回転方法を選択し、該回転方法に応じてカバーフレームを移動するとこで、スムーズに被研磨材を研磨することができる。
【００２１】
また、カバーフレームの移動で研磨時の作業の安全性を確保することができる。
【００２２】
また、カバーフレームの移動により研磨用ディスクによる研磨部分を拡大し、さらに適切な被研磨材の研磨を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２３】
本発明のハンド用のディスクグラインダー及びハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法の一実施の形態について説明する。
【００２４】
図１は、本発明のハンド用のディスクグラインダーの一実施例の構成を示す概略平面図であり、図２は駆動軸の正転方向時のカバーフレームの移動を示す概略説明平面図であり、図３は駆動軸の逆転方向時のカバーフレームの移動を示す概略説明平面図であり、図４は、ハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法を示すフローチャートである。
【００２５】
本発明のハンド用のディスクグラインダー１は、硬質の合成樹脂製又は金属製で構成され作業者が手で把持する円筒状のグラインダー本体２と、該グラインダー本体２の一端側で下方側向きに回転自在に軸支した駆動軸３と、該駆動軸３に取り付けられた研磨用ディスク４と、該研磨用ディスク４の外周に沿って研磨部分を解放すべく切り欠き部分を有して前記グラインダー本体２に取り付けられたカバーフレーム５とから構成されている。
【００２６】
前記グラインダー本体２には、駆動軸３を回転駆動する駆動源としてのモータが内蔵され、該モータの回転軸と駆動軸３が歯車を介して螺合され、他端側にはモータの回転方向を正転（時計回り方向）・逆転（反時計回り方向）方向に変更する切り替えスイッチ（図示せず）が設けられている。
【００２７】
前記カバーフレーム５は、研磨用ディスク４の外周近傍でグラインダー本体２に取り付けられた半円弧状レール枠体７と、該レール枠体７に沿って正逆方向にスライド移動することで研磨用ディスク４の外周に沿って所望量カバーする範囲を変更する一対のカバー本体８Ａ、８Ｂから構成され、該カバー本体８Ａ，８Ｂには所望の位置でカバー本体８Ａ、８Ｂの移動を阻止するストッパー９（弾性で付勢された突起を孔に挿入する方法等一般的な方法）が設けられ、前記レール枠体７には集塵した粉塵を取り入れる取り入れ口１０が形成され、グラインダー本体２に沿って取り入れられる。
【００２８】
前記研磨用ディスク４は、一般的な基礎板（図示せず）に石粉や砥石粒を混ぜ合わせてプレス形成した研磨板（図示せず）から構成され、パッキンを介して駆動軸３に嵌挿させ固定ネジ（図示せず）で固定して取り付ける。
【００２９】
本願発明のハンド用のディスクグラインダー１は上記のように構成され、次に上記ハンド用のディスクグラインダー１を用いて被研磨材を研磨する方法について説明する。
【００３０】
先ず、被研磨材の研磨部分に応じてカバーフレーム５の一対のカバー本体８Ａ、８Ｂをレール枠体７に沿ってそれぞれ相違する方向に移動しストッパー体９で固定することで、最適な状態で研磨用ディスク４の研磨部分である切り欠き部Ａを設定する。
【００３１】
通常、駆動軸３は正転（時計回り）方向に回転駆動するために、一方のカバー本体８Ａは駆動軸３と同じ正転方向に僅かに回動移動し、他方のカバー本体８Ｂは駆動軸３と逆の逆転方向（反時計回り）にレール枠体７に沿ってスライド移動し、研磨用ディスク４の左側上部に切り欠き空間部Ａを形成し、他方のカバー本体８Ｂの右側上部側より右側面側で粉塵を飛散し粉塵を集塵する集塵部Ｂを形成する。
【００３２】
この状態で、駆動軸３を正転方向に回転駆動し該駆動軸３に取り付けられた研磨用ディスク４の切り欠き空間部Ａで被研磨材を研磨するとともに、他方のカバー本体８Ｂの集塵部Ｂで粉塵の集塵を行い、その後、研磨された粉塵はカバー本体８Ａ、８Ｂに沿って集塵され取り入れ口１０から廃棄される。
【００３３】
上記粉塵の集塵は、正転方向に回転する研磨用ディスク４の右方向側面より下方側で行われるために、上記研磨用ディスク４の切り欠き空間部Ａの設定により、カバー本体８Ａ、８Ｂを微調整しながら移動し、常に適切な集塵を可能とする。
【００３４】
しかも、研磨用ディスク４の切り欠き空間部Ａは研磨部分に応じて自在に設定（例えば、切り欠き空間部の範囲の拡大、切り欠き空間部の移動）できるので、研磨作業を確実に且つスムーズに行うことができる。
【００３５】
次に、研磨部分が上記駆動軸３の正転方向の回転では難しい部分では、駆動軸３を逆転（半時計回り）方向に回転駆動する。この場合は、研磨用ディスク４の研磨する切り欠き空間部Ａは右側上部に位置し、粉塵の集麈する集塵部Ｂは、上記と逆の左方向上面より側面側で行われるために、一方のカバー本体８Ａは駆動軸３と逆に正方向にレール枠体７に沿ってスライド移動し、他方のカバー本体８Ｂは駆動軸３と同じ逆方向にレール枠体７に沿って僅かにスライド移動しそれぞれストッパー体９で固定する。
【００３６】
この状態で、駆動軸３を逆方向に回転駆動し該駆動軸３に取り付けられた研磨用ディスク４の切り欠き部Ａで被研磨材を研磨するとともに、主にカバー本体８Ａの集塵部Ｂで粉塵の集塵を行い、その後、粉塵はカバー本体８に沿って取り入れ口１０から廃棄される。
【００３７】
次に、研磨作業をする作業者の利き腕が左の場合は上記とは逆に、通常時の研磨において駆動軸３を逆転方向に回転駆動し駆動軸３に取り付けられた研磨用ディスク４で被研磨材を研磨する。この際、研磨用ディスク４の切り欠き空間部部分Ａは右側上部に位置しているために、左手で把持した状態で適切に研磨作業が可能となる。
【００３８】
しかも、主にカバー本体８Ａの左方向の上面側より側面側に粉塵の集塵部Ｂが位置するために、適切な集塵を可能とする。
【００３９】
この場合も、上記と同様に、研磨部分の状況に応じて、各カバー本体８Ａ、８Ｂのスライド移動を微調整して、研磨用ディスク４の切り欠き空間部Ａの位置を調整したり、駆動軸３の回転方向を変更することで、最適な研磨を行うことができる。
【００４０】
このように、本発明のハンド用のディスクグラインダー１は被研磨材の研磨部分に応じて常に最適な研磨をすることができ、また、研磨時の粉塵を確実に集塵することができる。
【００４１】
また、研磨作業をする作業者の利き腕に応じて駆動軸３の回転方向を設定でき、また、研磨用ディスク４の研磨部分を設定でき、その取り扱いが容易である。
【００４２】
尚、上記実施例において、カバーフレーム４を構成するカバー本体８を一対のカバー本体８Ａ、８Ｂで構成したが、本発明において、カバー本体８の構成はこれに限定されるものでなく、例えば、連続した一本で円弧状に構成することも可能である。
【００４３】
また、上記実施例において、カバーフレーム５をグラインダー本体２に取り付けられたレール枠体７と、カバー本体８から構成したが、本発明のカバーフレーム５の構成はこれに限定されるものでなく、例えば、カバー本体８をネジでグラインダー本体２に固定する構成でもよく、また、カバー本体８をグラインダー本体２の両端側より突出自在に構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【００４４】
【図１】本発明のハンド用のディスクグラインダーの一実施例を示す概略平面図
【図２】駆動軸の正転方向への回転時のカバーフレームの移動を示す概略平面図
【図３】駆動軸の逆転方向への回転時のカバーフレームの移動を示す概略平面図
【図４】本発明のハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法を示すフローチャート
【符号の説明】
【００４５】
１−ハンド用のディスクグラインダー、２−グラインダー本体、３−駆動軸、４−研磨用ディスク、５−カバーフレーム
【技術分野】
【０００１】
本発明は、研磨用ディスクを駆動軸に取り付け、作業者が手で把持した状態で金属材の研磨及び溶接部分の研摩に使用するハンド用のディスクグラインダー、及びハンド用のディスクグラインダーを用いた被研摩材の研摩方法に関する。
【技術の背景】
【０００２】
通常、金属材の加工時において、その金属の表面の研磨、溶接部分の表面処理をするのに使用するディスクグラインダーは、作業部分を密閉し集塵装置の設けられた大型のディスクグラインダーと、作業者の手で把持して使用するハンド用のディスククラインダーとがある。
【０００３】
ハンド用のディスクグラインダーの一般的な構成は、一端側で下方向きの駆動軸を軸支し、該駆動軸を回転駆動する駆動源としてのモータの設けられたグラインダー本体と、前記駆動軸に取り付けられた研磨用ディスクから構成され、グラインダー本体部分を手で把持した後、研磨用ディスクで被研磨材を研磨することで使用する。
【０００４】
また、研磨用ディスクで研磨する際、粉塵が発生するので、該研磨用ディスクの回りに吸引穴を有するカバーフレームをグラインダー本体に直接又は別体として取り付けることで、前記研磨時の粉塵を集塵している。
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、上記ハンド用のディスクグラインダーは、通常駆動軸の回転方向が一方向に限定されているために、被研磨材の研磨部分、例えば被研磨材の形状、部品を溶接した部分においては被研磨材を回転等の移動をしながら、被研磨材を持ち替えて、又は作業者自身が体を移動して研磨作業を続けなければならず、その作業が煩雑であり、作業時間を要した。
【０００６】
また、研磨時の粉塵を集塵するカバーフレームは、研磨用ディスクの外周に沿って一部の切り欠き部分を除いて被覆するように設けられているために、研磨部分の形状によりカバーフレームが障害となり適切な研磨作業ができないという欠点があった。
【０００７】
また、作業者の利き腕が左腕、又は障害等により右腕が使えない場合は、従来のディスクグライングーは右利き用に応じて作られているために、作業者が適切に取り扱えないという問題点があった。
【０００８】
そこで、本発明は上記問題点を解消し、取り扱いが容易で、適切な研磨ができ、且つ左右どちらの利き腕であっても利用することができるハンド用のディスクグラインダー、及び該ハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記課題を解決する手段は、請求項１に記載のように、一端側に回転駆動し、研磨用ディスクを取り付ける駆動軸の設けられたグラインダー本体と、研磨用ディスクの外周に治って前記グラインダー本体に取り付けられたカバーフレームから構成されたハンド用のディスクグラインダーにおいて、前記駆動軸は正転又は逆転駆動に切り替えでき、且つ前記カバーフレームは駆動軸の回転方向に応じて所望量研磨用ディスクに沿って円弧状に回動した位置でグラインダー本体に固定できることを特徴とする。
【００１０】
また、上記課題を解決する方法は、請求項２に記載のように、グラインダー本体の一端側で回転駆動する駆動軸に設けられた研磨用ディスクで被研磨材を研磨するとともに、研磨用ディスクの外周に沿ってグラインダー本体に取り付けられたカバーフレームで研磨時の粉塵を集塵するハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法において、被研磨材の研磨部分又は利き腕に応じて駆動軸の回転方向の正転又は逆転を選択するとともに、該駆動軸の回転方向に応じてカバーフレームを研磨用ディスクに沿って所望量円弧状に回動した位置でグラインダー本体に固定した後、研磨用ディスクで被研磨材を研磨し、カバーフレームで研磨時の粉塵を集塵することを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【００１１】
次に、本発明のハンド用のディスクグラインダー、及び該ハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法の作用効果について説明する。
【００１２】
先ず、本発明のハンド用のディスクグラインダーは、被研磨材の研磨面に対応して、駆動軸の回転方向の正転又は逆転を選択し、その後、カバーフレームを駆動軸の選択した回転方向に応じて、所望量研磨用ディスクに沿って円弧状に回動した位置でグラインダー本体に固定する。
【００１３】
即ち、通常時は正転（時計回り）方向に駆動軸を回転するとともに、カバーフレームを右方向に所望量移動する。これにより、前記駆動軸に取り付けられた研磨用ディスクを回転して被研磨材を研磨するとともに、研磨時に発生する粉塵の飛散方向をカバーフレームで覆い、確実に集塵することができる。
【００１４】
また、研磨部分の状態に応じて上記位置よりカバーフレームを右方向に所望量移動することで、カバーフレームが研磨用ディスクと研磨部分との障害とならずに研磨することができる。
【００１５】
また、研磨部分の状態に応じて逆転（反時計回り）方向に駆動軸を回転するとともに、カバーフレームを左側に所望量移動することで、被研磨材を移動することなく研磨用ディスクで適切に研磨するとともに、カバーフレームで粉塵を集塵することができる。
【００１６】
このように、１台のハンド用のディスクグラインダーの駆動軸の回転方向の選択及びカバーフレームの移動によりあらゆる被研磨材に対応してスムーズに研磨することができる。
【００１７】
次に、ハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法は、被研磨材の研磨部分に応じてグライングー本体に設けられた駆動軸の回転方向の正転又は逆転を選択するとともに、該選択した駆動軸の回転方向に応じて、研磨用ディスクの外周に沿ってグラインダー本体に設けられたカバーフレームを所望量円弧状に回動した位置でグラインダー本体に固定する。
【００１８】
この状態で、研磨用ディスクで被研磨材を研磨し、カバーフレームで研磨時の粉塵を集塵することができる。
【００１９】
また、作業者の利き腕に応じて、駆動軸の回転方向を選択するとともに、該選択に従ってカバーフレームを所望量移動することで、利き腕の左右に関係することなく１台のハンド用のディスクグラインダーを使用することができる。
【００２０】
このように、本発明のハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法は、被研磨材の研磨部分に応じて、また、作業者の利き腕に応じて、駆動軸の回転方法を選択し、該回転方法に応じてカバーフレームを移動するとこで、スムーズに被研磨材を研磨することができる。
【００２１】
また、カバーフレームの移動で研磨時の作業の安全性を確保することができる。
【００２２】
また、カバーフレームの移動により研磨用ディスクによる研磨部分を拡大し、さらに適切な被研磨材の研磨を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２３】
本発明のハンド用のディスクグラインダー及びハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法の一実施の形態について説明する。
【００２４】
図１は、本発明のハンド用のディスクグラインダーの一実施例の構成を示す概略平面図であり、図２は駆動軸の正転方向時のカバーフレームの移動を示す概略説明平面図であり、図３は駆動軸の逆転方向時のカバーフレームの移動を示す概略説明平面図であり、図４は、ハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法を示すフローチャートである。
【００２５】
本発明のハンド用のディスクグラインダー１は、硬質の合成樹脂製又は金属製で構成され作業者が手で把持する円筒状のグラインダー本体２と、該グラインダー本体２の一端側で下方側向きに回転自在に軸支した駆動軸３と、該駆動軸３に取り付けられた研磨用ディスク４と、該研磨用ディスク４の外周に沿って研磨部分を解放すべく切り欠き部分を有して前記グラインダー本体２に取り付けられたカバーフレーム５とから構成されている。
【００２６】
前記グラインダー本体２には、駆動軸３を回転駆動する駆動源としてのモータが内蔵され、該モータの回転軸と駆動軸３が歯車を介して螺合され、他端側にはモータの回転方向を正転（時計回り方向）・逆転（反時計回り方向）方向に変更する切り替えスイッチ（図示せず）が設けられている。
【００２７】
前記カバーフレーム５は、研磨用ディスク４の外周近傍でグラインダー本体２に取り付けられた半円弧状レール枠体７と、該レール枠体７に沿って正逆方向にスライド移動することで研磨用ディスク４の外周に沿って所望量カバーする範囲を変更する一対のカバー本体８Ａ、８Ｂから構成され、該カバー本体８Ａ，８Ｂには所望の位置でカバー本体８Ａ、８Ｂの移動を阻止するストッパー９（弾性で付勢された突起を孔に挿入する方法等一般的な方法）が設けられ、前記レール枠体７には集塵した粉塵を取り入れる取り入れ口１０が形成され、グラインダー本体２に沿って取り入れられる。
【００２８】
前記研磨用ディスク４は、一般的な基礎板（図示せず）に石粉や砥石粒を混ぜ合わせてプレス形成した研磨板（図示せず）から構成され、パッキンを介して駆動軸３に嵌挿させ固定ネジ（図示せず）で固定して取り付ける。
【００２９】
本願発明のハンド用のディスクグラインダー１は上記のように構成され、次に上記ハンド用のディスクグラインダー１を用いて被研磨材を研磨する方法について説明する。
【００３０】
先ず、被研磨材の研磨部分に応じてカバーフレーム５の一対のカバー本体８Ａ、８Ｂをレール枠体７に沿ってそれぞれ相違する方向に移動しストッパー体９で固定することで、最適な状態で研磨用ディスク４の研磨部分である切り欠き部Ａを設定する。
【００３１】
通常、駆動軸３は正転（時計回り）方向に回転駆動するために、一方のカバー本体８Ａは駆動軸３と同じ正転方向に僅かに回動移動し、他方のカバー本体８Ｂは駆動軸３と逆の逆転方向（反時計回り）にレール枠体７に沿ってスライド移動し、研磨用ディスク４の左側上部に切り欠き空間部Ａを形成し、他方のカバー本体８Ｂの右側上部側より右側面側で粉塵を飛散し粉塵を集塵する集塵部Ｂを形成する。
【００３２】
この状態で、駆動軸３を正転方向に回転駆動し該駆動軸３に取り付けられた研磨用ディスク４の切り欠き空間部Ａで被研磨材を研磨するとともに、他方のカバー本体８Ｂの集塵部Ｂで粉塵の集塵を行い、その後、研磨された粉塵はカバー本体８Ａ、８Ｂに沿って集塵され取り入れ口１０から廃棄される。
【００３３】
上記粉塵の集塵は、正転方向に回転する研磨用ディスク４の右方向側面より下方側で行われるために、上記研磨用ディスク４の切り欠き空間部Ａの設定により、カバー本体８Ａ、８Ｂを微調整しながら移動し、常に適切な集塵を可能とする。
【００３４】
しかも、研磨用ディスク４の切り欠き空間部Ａは研磨部分に応じて自在に設定（例えば、切り欠き空間部の範囲の拡大、切り欠き空間部の移動）できるので、研磨作業を確実に且つスムーズに行うことができる。
【００３５】
次に、研磨部分が上記駆動軸３の正転方向の回転では難しい部分では、駆動軸３を逆転（半時計回り）方向に回転駆動する。この場合は、研磨用ディスク４の研磨する切り欠き空間部Ａは右側上部に位置し、粉塵の集麈する集塵部Ｂは、上記と逆の左方向上面より側面側で行われるために、一方のカバー本体８Ａは駆動軸３と逆に正方向にレール枠体７に沿ってスライド移動し、他方のカバー本体８Ｂは駆動軸３と同じ逆方向にレール枠体７に沿って僅かにスライド移動しそれぞれストッパー体９で固定する。
【００３６】
この状態で、駆動軸３を逆方向に回転駆動し該駆動軸３に取り付けられた研磨用ディスク４の切り欠き部Ａで被研磨材を研磨するとともに、主にカバー本体８Ａの集塵部Ｂで粉塵の集塵を行い、その後、粉塵はカバー本体８に沿って取り入れ口１０から廃棄される。
【００３７】
次に、研磨作業をする作業者の利き腕が左の場合は上記とは逆に、通常時の研磨において駆動軸３を逆転方向に回転駆動し駆動軸３に取り付けられた研磨用ディスク４で被研磨材を研磨する。この際、研磨用ディスク４の切り欠き空間部部分Ａは右側上部に位置しているために、左手で把持した状態で適切に研磨作業が可能となる。
【００３８】
しかも、主にカバー本体８Ａの左方向の上面側より側面側に粉塵の集塵部Ｂが位置するために、適切な集塵を可能とする。
【００３９】
この場合も、上記と同様に、研磨部分の状況に応じて、各カバー本体８Ａ、８Ｂのスライド移動を微調整して、研磨用ディスク４の切り欠き空間部Ａの位置を調整したり、駆動軸３の回転方向を変更することで、最適な研磨を行うことができる。
【００４０】
このように、本発明のハンド用のディスクグラインダー１は被研磨材の研磨部分に応じて常に最適な研磨をすることができ、また、研磨時の粉塵を確実に集塵することができる。
【００４１】
また、研磨作業をする作業者の利き腕に応じて駆動軸３の回転方向を設定でき、また、研磨用ディスク４の研磨部分を設定でき、その取り扱いが容易である。
【００４２】
尚、上記実施例において、カバーフレーム４を構成するカバー本体８を一対のカバー本体８Ａ、８Ｂで構成したが、本発明において、カバー本体８の構成はこれに限定されるものでなく、例えば、連続した一本で円弧状に構成することも可能である。
【００４３】
また、上記実施例において、カバーフレーム５をグラインダー本体２に取り付けられたレール枠体７と、カバー本体８から構成したが、本発明のカバーフレーム５の構成はこれに限定されるものでなく、例えば、カバー本体８をネジでグラインダー本体２に固定する構成でもよく、また、カバー本体８をグラインダー本体２の両端側より突出自在に構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【００４４】
【図１】本発明のハンド用のディスクグラインダーの一実施例を示す概略平面図
【図２】駆動軸の正転方向への回転時のカバーフレームの移動を示す概略平面図
【図３】駆動軸の逆転方向への回転時のカバーフレームの移動を示す概略平面図
【図４】本発明のハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法を示すフローチャート
【符号の説明】
【００４５】
１−ハンド用のディスクグラインダー、２−グラインダー本体、３−駆動軸、４−研磨用ディスク、５−カバーフレーム
【特許請求の範囲】
【請求項１】
一端側に回転駆動し、研磨用ディスクを取り付ける駆動軸の設けられたグラインダー本体と、研磨用ディスクの外周に沿って前記グラインダー本体に取り付けられたカバーフレームから構成されたハンド用のディスクグラインダーにおいて、前記駆動軸は正転又は逆転駆動に切り替えでき、且つ前記カバーフレームは駆動軸の回転方向に応じて所望量研磨ディスクに沿って円弧状に回動した位置でグラインダー本体に固定できることを特徴とするハンド用のディスクグラインダー。
【請求項２】
グラインダー本体の一端側で回転駆動する駆動軸に取り付けられた研磨用ディスクで被研磨材を研磨するとともに、研磨用ディスクの外周に沿ってグラインダー本体に取り付けられたカバーフレームで研磨時の粉塵を集塵するハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法において、被研磨材の研磨部分又は利き腕に応じて駆動軸の回転方向の正転又は逆転を選択するとともに、該駆動軸の回転方向に応じてカバーフレームを研磨用ディスクに沿って所望量円弧状に回動した位置でグラインダー本体に固定した後、研磨用ディスクで被研磨材を研磨し、カバーフレームで研磨時の粉塵を集塵することを特徴とするハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法。
【請求項１】
一端側に回転駆動し、研磨用ディスクを取り付ける駆動軸の設けられたグラインダー本体と、研磨用ディスクの外周に沿って前記グラインダー本体に取り付けられたカバーフレームから構成されたハンド用のディスクグラインダーにおいて、前記駆動軸は正転又は逆転駆動に切り替えでき、且つ前記カバーフレームは駆動軸の回転方向に応じて所望量研磨ディスクに沿って円弧状に回動した位置でグラインダー本体に固定できることを特徴とするハンド用のディスクグラインダー。
【請求項２】
グラインダー本体の一端側で回転駆動する駆動軸に取り付けられた研磨用ディスクで被研磨材を研磨するとともに、研磨用ディスクの外周に沿ってグラインダー本体に取り付けられたカバーフレームで研磨時の粉塵を集塵するハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法において、被研磨材の研磨部分又は利き腕に応じて駆動軸の回転方向の正転又は逆転を選択するとともに、該駆動軸の回転方向に応じてカバーフレームを研磨用ディスクに沿って所望量円弧状に回動した位置でグラインダー本体に固定した後、研磨用ディスクで被研磨材を研磨し、カバーフレームで研磨時の粉塵を集塵することを特徴とするハンド用のディスクグラインダーを用いた被研磨材の研磨方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２０１３−９１１４８（Ｐ２０１３−９１１４８Ａ）
【公開日】平成２５年５月１６日（２０１３．５．１６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−２４５９５４（Ｐ２０１１−２４５９５４）
【出願日】平成２３年１０月２４日（２０１１．１０．２４）
【特許番号】特許第５０１３０１６号（Ｐ５０１３０１６）
【特許公報発行日】平成２４年８月２９日（２０１２．８．２９）
【出願人】（５９７１７６６４７）フルタ鉄塔建設株式会社 (9)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年５月１６日（２０１３．５．１６）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年１０月２４日（２０１１．１０．２４）
【特許番号】特許第５０１３０１６号（Ｐ５０１３０１６）
【特許公報発行日】平成２４年８月２９日（２０１２．８．２９）
【出願人】（５９７１７６６４７）フルタ鉄塔建設株式会社 (9)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]