説明

ハンバーグ焦げ目付け装置、ハンバーグ製造装置、及び焦げ目付きハンバーグ

【課題】 ハンバーグの両面に均等に焦げ目を付けることができる装置を提供する。
【解決手段】 ハンバーグに焦げ目を付ける装置(16)は、ハンバーグ(12)の第1の面とこれに対向する第2の面を同時に加熱してそれぞれ第1の焦げ目を付ける第1の加熱装置(20)と、第1の加熱装置(20)で第1の焦げ目が付けられたハンバーグ(12)の第1の面を加熱して第2の焦げ目を付ける第2の加熱装置(22)と、第2の加熱装置(22)で第1の面に第2の焦げ目が付けられたハンバーグ(12)の第2の面を加熱して第3の焦げ目を付ける第3の加熱装置(24)と、ハンバーグ(12)を第1の加熱装置(20)から第2の加熱装置(22)を介して第3の加熱装置(24)に搬送する搬送装置(28)を備えており、第3の加熱装置(24)の加熱温度は第1及び第2の加熱装置(20,22)の加熱温度よりも低く設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンバーグの上面と下面に均一な焦げ目を着ける装置、ハンバーグ製造装置、及びこの装置で焦げ目が付けられた焦げ目付きハンバーグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハンバーグの表面に焦げ目を付ける装置として特許文献1〜3に記載されたものがある。
【特許文献1】特開昭61−154521号公報
【特許文献2】特開平2−7625号公報
【特許文献3】特開平8−66166号公報
【特許文献4】特開2002−112737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの特許文献に開示された装置は、ベルトコンベア等の搬送装置によってハンバーグを搬送しながらその表面を加熱して焦げ目を付けるものである。また、特許文献4には、まずハンバーグの片面に焦げ目を付け、更に反転して反対面にも焦げ目を付ける技術が開示されている。しかし、両面に均等に焦げ目を付けることは意外に難しく、一方の面が他方の面よりも焦げてしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明は、ハンバーグの両面に均等に焦げ目を付けることができる装置を提供するものであり、所定の形に成型されたハンバーグに焦げ目を付ける装置(16)及びこの装置を備えたハンバーグ製造装置(10)であって、
(a)上記ハンバーグ(12)の第1の面とこれに対向する第2の面を同時に加熱してそれぞれ第1の焦げ目を付ける第1の加熱装置(20)と、
(b)上記第1の加熱装置(20)で第1の焦げ目が付けられた上記ハンバーグ(12)の第1の面を加熱して第2の焦げ目を付ける第2の加熱装置(22)と、
(c)上記第2の加熱装置(22)で第1の面に第2の焦げ目が付けられたハンバーグ(12)の第2の面を加熱して第3の焦げ目を付ける第3の加熱装置(24)と、
(d)上記ハンバーグ(12)を上記第1の加熱装置(20)から第2の加熱装置(22)を介して第3の加熱装置(24)に搬送する搬送装置(28)を備えており、
(e)上記第3の加熱装置(24)の加熱温度は上記第1及び第2の加熱装置(20,22)の加熱温度よりも低く設定されていることを特徴とする。
【0005】
本発明の他の形態は、(f)上記第2の加熱装置(22)と第3の加熱装置(24)の間に上記ハンバーグ(12)を上下反転する反転装置(26)を備えていることを特徴とする。
【0006】
本発明の他の形態は、上記第1の加熱装置(20)と第2の加熱装置(22)の加熱温度が約210〜230℃であり、上記第3の加熱装置(24)の加熱温度が約170〜190℃であることを特徴とする。
【0007】
本発明の他の形態は、上記第2の加熱装置(22)又は第3の加熱装置(24)若しくはそれらの両方は、回転駆動可能に支持された円筒ローラ(38,40)と、上記円筒ローラ(38,40)に内蔵された加熱源(42,44)を備えており、上記円筒ローラ(38,40)の外周面がポリテトラフルオロエチレンで被覆されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成されたハンバーグ焦げ目付け装置、ハンバーグ製造装置、及びその製造装置で製造されたハンバーグにはその両面に均一に良好な焦げ目(焼き目)が付けられているので、製品となったハンバーグは見栄えが良いうえ、型くずれもないため、高い商品価値が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0010】
図1は、本発明に係るハンバーグ製造装置10の全体を示す。ハンバーグ製造装置10は、図面の左側から右側に向かってハンバーグ(ハンバーグ生地)を搬送しながら焦げ目付きハンバーグを製造するもので、図上左側から右側に向かって順番に、ハンバーグの材料を所定の形に成型してハンバーグ12を形成する成型装置14と、成型装置14で成型されたハンバーグ12の表面と裏面に焦げ目を付ける焦げ目付け装置16と、焦げ目が付けられたハンバーグ12を食用に適する状態まで加熱調理する焙焼装置18を有する。
【0011】
成型装置14は、ハンバーグ12の材料となる鶏肉・豚肉・牛肉を調味料・香辛料と混合した素材を練り合わせて扁平な円又は楕円の形状に成型する装置である。また、成型装置14は、次の焦げ目付け装置16でハンバーグ12の表面に綺麗な焦げ目(焼き目)が付くように、成型されたハンバーグ12の表面にキシロース溶液を吹き付ける噴霧装置(図示せず)を備えている。
【0012】
焦げ目付け装置16は、3つの加熱装置(第1〜第3の加熱装置)20,22,24と、第2の加熱装置22と第3の加熱装置24の間でハンバーグ12を表裏反転する反転装置26と、成型装置14から供給されたハンバーグ12を第1〜第3の加熱装置20,22,24を経由して焙焼装置18に搬送する搬送装置28を有する。
【0013】
第1の加熱装置20は、ハンバーグ12の第1の面(上面)と第2の面(下面)に第1の焦げ目を付ける両面加熱装置で、一点鎖線で示すハンバーグ搬送経路の上下に加熱器30,32を備えている。加熱器30,32は、電熱ヒータ、赤外線ヒータなどの加熱器具が利用できる。加熱器30,32の加熱温度(ハンバーグ表面における温度)は、約210℃〜230℃に調整されている。
【0014】
第2の加熱装置22は、第1の加熱装置20で第1の面(上面)と第2の面(下面)に第1の焦げ目が付けられたハンバーグ12の第1の面(上面)を加熱してそこに第2の焦げ目を付ける片面加熱装置である。また、第3の加熱装置24は、第2の加熱装置22で第2の焦げ目が付けられ、反転装置26で上下反転されたハンバーグ12の第2の面(ここでは上面)を加熱してそこに第3の焦げ目を付ける片面加熱装置である。具体的に、実施の形態では、第2の加熱装置22と第3の加熱装置24には、ローラ式加熱器34,36が使用されている。ローラ式加熱器34,36は、回転駆動可能に支持された円筒状加熱ローラ38,40と、この加熱ローラ38,40に内蔵された加熱源42,44を備えている。また、加熱ローラ38,40は、ハンバーグ12の上面に接触してこれを加熱するものである。したがって、加熱されたハンバーグ12の一部が加熱ローラ38,40にオフセットすることを防止するために、加熱ローラ38,40の外周面は離型性に優れた材料(例えば、ポリテトラフロオロエチレン)によって被覆することが好ましい。第2の加熱装置22と第3の加熱装置の加熱温度は異なり、実施の形態では、第2の加熱装置22の加熱温度は第1の加熱装置20の加熱温度とほぼ等しい値(約210℃〜230℃)に設定され、第3の加熱装置24の加熱温度は第2の加熱装置22の加熱温度よりも低い値(約170℃〜190℃)に設定されている。
【0015】
搬送装置28は、複数のコンベア装置を組み合わせて構成されている。コンベア装置においてハンバーグ12を支持しながら搬送する部材は、孔の無い無孔ベルトであってもよいし、適当な間隔又はパターンで孔があけられた有孔ベルトでもよいし、格子状又は適当な開口形状を有するネットであってもよい。
【0016】
反転装置26は、第2の加熱装置22内でハンバーグ12を搬送する上流側コンベア46の終端を、この上流側コンベア46から受け渡されたハンバーグ12を第3の加熱装置24内で搬送する下流側コンベア48の上方に配置することで、これらコンベア46,48間に段差Hを設けて構成されており、上流側コンベア46から下流側コンベア48にハンバーグ12が受け渡されるときに該ハンバーグ12が上下反転するようにしてある。段差Hは、ハンバーグ12の大きさによっても多少は異なるが、例えば約8cmに設定すれば、通常の大きさのハンバーグ12は確実に上下反転される。
【0017】
焙焼装置18は、焦げ目が付けられたハンバーグ12をその内部まで加熱して焼き上げる装置である。
【0018】
このように構成されたハンバーグ製造装置10によれば、成型装置14でハンバーグ材料から扁平な円形又は楕円形のハンバーグ12が成型され、その表面にキシロース溶液が噴霧されて排出される。成型装置14から排出されたハンバーグ12は搬送装置28で焦げ目付け装置16に供給される。
【0019】
焦げ目付け装置16において、ハンバーグ12はまず、第1の加熱装置20でその第1の面(上面)と第2の面(下面)が加熱されてそれぞれに第1の焦げ目が付けられる。このときの加熱温度は、約210℃〜230℃である。
【0020】
次に、ハンバーグ12は、第2の加熱装置22に搬送され、そこで第1の焦げ目が付けられた第1の面(上面)に加熱ローラ38を接触させて該第1の面(上面)に第2の焦げ目が付けられる。このときの加熱温度は、約210℃〜230℃である。このとき加熱ローラ38の表面はハンバーグ12と接触するが、加熱ローラ38の外周面は離型性に優れたポリテトラフルオロエチレンで被覆されているため、これに接触するハンバーグ12の一部が加熱ローラ38にオフセットして付着することはない。
【0021】
次に、ハンバーグ12は、コンベア46からコンベア48に受け渡される際に両者の間に形成された段差Hを通過する際に上下反転される。
【0022】
次に、ハンバーグ12は、第3の加熱装置24に搬送され、そこで第1の焦げ目が付けられた第2の面(上面)に加熱ローラ40を接触させて該第2の面(上面)に第3の焦げ目が付けられる。このときの加熱温度は、約170℃〜190℃である。このとき加熱ローラ40の表面はハンバーグ12と接触するが、加熱ローラ40の外周面は離型性に優れたポリテトラフルオロエチレンで被覆されているため、これに接触するハンバーグ12の一部が加熱ローラ40にオフセットして付着することはない。
【0023】
このようにして第1〜第3の加熱装置20,22,24を通過したハンバーグ12の上面と下面(第1の面と第2の面)にはほぼ等しい焦げ目が付けられている。
【0024】
そして、以上のようにして両面に焦げ目が付けられたハンバーグ12は焙焼装置18に搬送され、そこで内部まで加熱されて焼き上げられる。そして、図示しない包装工程、検査工程などを経由して商品として出荷される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るハンバーグ製造装置の概略構成を示す図。
【符号の説明】
【0026】
10:ハンバーグ製造装置、12:ハンバーグ、14:成型装置、16:焦げ目付け装置、18:焙焼装置、20:第1の加熱装置、22:第2の加熱装置、24:第3の加熱装置、26:反転装置、28:搬送装置、30,32:加熱器、34,36:ローラ式加熱器、38,40:加熱ローラ、42,44:加熱源、46,48:コンベア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンバーグに焦げ目を付ける装置(16)であって、
(a)上記ハンバーグ(12)の第1の面とこれに対向する第2の面を同時に加熱してそれぞれ第1の焦げ目を付ける第1の加熱装置(20)と、
(b)上記第1の加熱装置(20)で第1の焦げ目が付けられた上記ハンバーグ(12)の第1の面を加熱して第2の焦げ目を付ける第2の加熱装置(22)と、
(c)上記第2の加熱装置(22)で第1の面に第2の焦げ目が付けられたハンバーグ(12)の第2の面を加熱して第3の焦げ目を付ける第3の加熱装置(24)と、
(d)上記ハンバーグ(12)を上記第1の加熱装置(20)から第2の加熱装置(22)を介して第3の加熱装置(24)に搬送する搬送装置(28)を備えており、
(e)上記第3の加熱装置(24)の加熱温度は上記第1及び第2の加熱装置(20,22)の加熱温度よりも低く設定されていることを特徴とするハンバーグ焦げ目付け装置。
【請求項2】
(f)上記第2の加熱装置(22)と第3の加熱装置(24)の間に上記ハンバーグ(12)を上下反転する反転装置(26)を備えていることを特徴とする請求項1に記載のハンバーグ焦げ目付け装置。
【請求項3】
上記第1の加熱装置(20)と第2の加熱装置(22)の加熱温度が約210〜230℃であり、上記第3の加熱装置(24)の加熱温度が約170〜190℃であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のハンバーグ焦げ目付け装置。
【請求項4】
上記第2の加熱装置(22)又は第3の加熱装置(24)若しくはそれらの両方は、回転駆動可能に支持された円筒ローラ(38,40)と、上記円筒ローラ(38,40)に内蔵された加熱源(42,44)を備えており、上記円筒ローラ(38,40)の外周面がポリテトラフルオロエチレンで被覆されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハンバーグ焦げ目付け装置。
【請求項5】
上記請求項1〜4のいずれかのハンバーグ焦げ目付け装置(16)を備えたことを特徴とするハンバーグ製造装置。
【請求項6】
上記請求項5のハンバーグ製造装置(16)によって焦げ目が付けられたハンバーグ。

【図1】
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【公開番号】特開2007−61381(P2007−61381A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251671(P2005−251671)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000118497)伊藤ハム株式会社 (57)
【Fターム(参考)】