説明

バイオディーゼルの生産のためのシステムおよび過程

本明細書は、グリセリドを含有する植物性油、グリセリドを含有する動物性油、およびグリセリドを含有する藻油等の形状の様々な原料を固体の不均一系触媒を使用して、バイオディーゼル製品にエステル交換するためのシステムおよび過程を説明する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2009年9月1日に出願された米国特許仮出願番号第61/238,983号の利益を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、概して、バイオディーゼルの生産に関する。より具体的には、本発明は、固体の不均一系触媒を使用するバイオディーゼルの生産に関する。
【背景技術】
【0003】
バイオディーゼルは、生分解性、非毒性の、石油系燃料の代替として有用性を増してきている。バイオディーゼルの例は、大豆ディーゼル(または大豆メチル)、ナタネメチルエステル、ならびに他の様々な植物性および動物性油のメチルエステルを含む。バイオディーゼルへの関心は増加しているが、生産過程は、長年大きく変化していない。バイオディーゼルの生産は、典型的に、異なるエステルおよび異なるアルコールを生産するために、触媒の存在下で、エステルをメタノール等のアルコールに反応させる、「エステル交換」と呼ばれる反応を伴う。現在のバイオディーゼルの生産は、典型的に、触媒は、メタノールにおけるその高溶解度のため再利用されない。加えて、中和反応および触媒の除去に伴う作業および材料は、経済的および環境的懸念を生み出す。
【0004】
例えば、大豆ディーゼルは、典型的に、多くのエネルギーおよび作業を要する過程によって商業的に調製され、そこでは大豆油を均一系触媒の存在下で、メタノールに反応させるが、均一系触媒は毒性が高くなり得る。メタノールにおける均一系触媒の高溶解度により、この触媒は、容易に回収され、再利用できない。また、均一系触媒および他の副産物からの所望の大豆メチルの分離は、典型的に、塩酸(またはHCl)等の強酸での精密な中和反応および結果として生じる塩を除去するための水での多大な洗浄を伴う。グリセロール(またはグリセリン)は、エステル交換の有益な副産物であり、化粧品、産業、および食品への様々な用途を有する。しかしながら、大豆メチルを分離するために使用される湿式洗浄操作は、不純物をグリセロールへ取り込む傾向があり、その分離を複雑にし得る。特に、結果として生じる塩からのグリセロールの分離は、典型的に、真空蒸留によって実行される。グリセロールは、相対的に高い沸点を有するので、真空蒸留は、コストがかさみエネルギーを多く用いる操作である。
【0005】
これをもとに、本明細書中で記載されるバイオディーゼルの生産のためのシステムおよび過程を開発する必要性が生じている。
【発明の概要】
【0006】
本発明のいくつかの態様は、バイオディーゼルを生産するための過程に関する。一実施形態において、過程は、(1)固体の不均一系触媒および(C−C)アルコールを含む触媒の混合物を調製すること、(2)触媒の混合物を、反応混合物を提供するためにグリセリドを含有する原料と混合すること、(3)反応混合物を、グリセロールおよび脂肪酸(C−C)アルキルエステルを生産するために反応させること、(4)反応混合物から触媒を回収すること、(5)反応混合物から(C−C)アルコールの未反応部分を回収すること、(6)反応混合物からグリセロールを分離すること、および(7)反応混合物から脂肪酸(C−C)アルキルエステルを分離することを含む。
【0007】
本発明の更なる態様は、当該の過程を実行するための装置およびシステムに関する。1つの実施形態において、バイオディーゼルの生産システムは、(1)グリセロールおよび
脂肪酸(C−C)アルキルエステルを生産するために、反応混合物を反応させるように構成される、少なくとも1つの反応装置であって、反応混合物は、固体の不均一系触媒、(C−C)アルコールおよびグリセリドを含有する原料を含む、少なくとも1つの反応装置、(2)反応装置に連結され、反応混合物から触媒を回収し、触媒を反応装置へ再利用させるように構成される、少なくとも1つの触媒回収ユニット、(3)反応装置に連結され、脂肪酸(C−C)アルキルエステルを含む第2相から、グリセロールを含む第1相を分離するように構成される、少なくとも1つのグリセロール分離器、(4)グリセロール分離器に連結され、第1相から(C−C)アルコールの第1の未反応部を回収するように構成される、第1のアルコールストリッパー、(5)グリセロール分離器に連結され、第2相から(C−C)アルコールの第2の未反応部分を回収するように構成される、第2のアルコールストリッパー、および(6)第2のアルコールストリッパーに連結され、第2相から脂肪酸(C−C)アルキルエステルを分離するように構成される、バイオディーゼル精製ユニットを含む。
【0008】
本発明の他の態様および実施形態もまた企図される。前述の要約および次の詳細な説明は、本発明をいかなる特定の実施形態に制限することを意図するものではなく、単に本発明のいくつかの実施形態を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明のいくつかの実施形態の特質および目的のより良い理解のためには、以下の添付の図と併せて次の詳細な説明を参照すべきである、
【0010】
【図1】本発明の実施形態に従って、バイオディーゼルを生産するためのシステムを示す図である。
【0011】
【図2】本発明の別の実施形態に従って、バイオディーゼルを生産するためのシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
次の定義は、本発明のいくつかの実施形態に対して説明されるいくつかの態様に適用する。これらの定義は、本明細書でさらに拡大され得る。
【0013】
本明細書で使用される、単数の用語「a」、「an」、および「the」は、文脈が明白に指示しない限り、複数の指示対象を含む。故に、例えば、1つの対象(an object)についての言及は、文脈が明白に指示しない限り、複数の対象を含み得る。
【0014】
本明細書で使用される、用語「一連の」は、1つ以上の対象の集まりについて言及する。故に、例えば、一連の対象は、1つの対象または複数の対象を含み得る。一連の対象はまた一連の組の成員としても言及され得る。一連の対象は、同じかまたは異なり得る。いくつかの事例において、一連の対象は、1つ以上の共通の特性を共有し得る。
【0015】
本明細書で使用される、用語「実質上」および「実質的」は、相当な度合または程度を指す。事象または状況と併せて使用される際に、用語は、事象または状況が精密に生じる事例、ならびに事象または状況が、例えば、本明細書で説明される実施形態の典型的な寛容度または可変性を考慮に入れた、非常に近い値で発生する事例を指し得る。
【0016】
本明細書で使用される、用語「任意の」および「任意に」は、後に説明される事象または状況が、生じ得るかまたは生じ得ないこと、および説明が事象または状況が生じる場合の事例および生じない場合の事例を含むということを意味する。
【0017】
本明細書で使用される、用語「大きさ」は、対象の特徴的な寸法について言及する。故に、例えば、球体の対象の大きさは、対象の直径を指し得る。対象が非球体の場合、対象の大きさは、対象の種々の直交の寸法の平均を指し得る。故に、例えば、回転楕円体の対象の大きさは、対象の主軸および短軸の平均を指さし得る。特定の大きさを有する一連の対象について言及する際に、対象は特定の大きさの周囲に大きさの分布を有し得るということが企図される。故に、本明細書で使用する際、対象の一連の大きさは、平均の大きさ、中間の大きさ、または最大の大きさ等の大きさの分布の典型的な大きさを指し得る。
【0018】
本明細書で使用される、用語「連結する」「連結される」および「連結」は、操作上の接続または結合を指す。連結された対象は、相互に直接接続されるか、別の一連の対象を介する等で、間接的に相互に接続され得る。
バイオディーゼルの生産のための不均一系触媒
【0019】
本発明のいくつかの実施形態は、バイオディーゼルの生産のための、固体の不均一系触媒の使用に関する。各種のカルシウムを含有する触媒等の様々な固体の不均一系触媒が使用され得る。カルシウムを含有する触媒の例は、微粒子または粉末状の触媒を含み、それは、カルシウムまたは酸化カルシウム(すなわちCaO)もしくは炭酸カルシウム(すなわちCaCO)等のカルシウムを含有する部分を含む。カルシウムまたはカルシウムを含有する部分は、好適な基質内に組み込まれるか、当該の基質なしで使用され得る。カルシウムを含有する触媒のさらなる例は、キルンダストおよび他のカルシウムを含有するダストを含む。キルンダストのいくつかの態様は、第US2009/0112007号として公開された「バイオディーゼルの生産のための固体触媒システム」と題する、Linらの米国特許出願に説明され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態が、固体の不均一系触媒に関して説明されるが、準不均一系または均一系触媒が、固体の不均一系触媒の代わりに、またはそれとの組み合わせで使用され得るということも企図される。
【0020】
有利には、カルシウムを含有する触媒は、湿式洗浄または中和反応なしに、反応混合物から容易に回収される、実質上不溶性の不均一系触媒であり得、それによってバイオディーゼル生産物およびグリセロール等の有益な副産物の分離を促進する。併せて、カルシウムを含有する触媒は、後続の触媒反応での使用のために容易に再利用される。また、カルシウムを含有する触媒は、触媒反応での反復使用の後でも、容易に活性化され、安定している。さらに、カルシウムを含有する触媒は、高活性であり、各種の原料からバイオディーゼル生産物を迅速に、均一系触媒と同様に温和な条件下で生産する。
【0021】
カルシウムを含有する触媒の触媒活性は、触媒に存在するカルシウムまたはカルシウムを含有する部分に少なくとも部分的に対応するか、少なくとも部分的に由来し得る。いくつかの実施形態において、カルシウムを含有する触媒は、約10重量%から約50重量%、約15重量%から約65重量%、約20重量%から約60重量%または約30重量%から約40重量%のカルシウム等の、約10重量パーセント(または重量%)から約80重量%のカルシウムを含み得る。カルシウムは、酸化カルシウム(またはCaO)、炭酸カルシウム(またはCaCO)、硫酸カルシウム(またはCaSO)、水酸化カルシウム(またはCa(OH))、またはその組み合わせの形状であり得る。いくつかの実施形態において、カルシウムを含有する触媒は、いずれの他の単一のアルカリ土類金属部分よりもCaOを多く含み得、少なくとも約30重量%、少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、または少なくとも約55重量%のCaO等の少なくとも約15重量%のCaOを含み得、約95重量%のCaOまで含み得る。カルシウムを含有する部分に加えて、カルシウムを含有する触媒は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、石英(またはSiO)またはその組み合わせを含み得る。
【0022】
カルシウムを含有する触媒は、微粒子であり、触媒反応の間に、原料との接触を増進するために大きな表面積を有することが望ましい。カルシウムを含有する触媒の表面積は、バイオディーゼルの生産のために選択されるカルシウムを含有する触媒の種類次第で、変化し得る。いくつかの実施形態において、カルシウムを含有する触媒の表面積は、約0.05m/gから約5m/g、約0.1m/gから約5m/g、約0.3m/gから約3m/g、または約0.1m/gから約2m/g等の、約0.05m/gから約10m/gの範囲内であり得る。加えて、カルシウムを含有する触媒は、5、10、15、17、20回またはそれ以上の回数等、複数回回収され、再使用され得る。約15から20反応サイクル後等の、その触媒活性の下落の後でも、カルシウムを含有する触媒は、好適な温度で焼成によって実質上完全な触媒活性へ再生され得る。
【0023】
例えば、カルシウムを含有するダストは、バイオディーゼルおよびグリセロールを生産するため、各種の原料のエステル交換において、高活性の、不均一系触媒としての役目を果たし得る。カルシウムを含有するダストは典型的に、アルカリ性であり、典型的に、約0.1マイクロメートル(またはμm)から約100μmの範囲の大きさおよび約2.6から約2.8の範囲の比重を有する粒子を含む、微粒子である。粒子は、部分的に、硫酸、ハロゲン化物、および他の揮発性物質を多く含む、焼成され且つ未処理の原料、クリンカーダスト、および燃料灰であり得る。カルシウムを含有するダストの1つの型は、典型的に、カルシウムの少なくとも約80パーセントがCCOの形態である、約38重量%のカルシウムを有する。別の型は、典型的に約31重量%のカルシウムを有し、そのカルシウムの少なくとも約80パーセントがCaCOの形態である。さらなる型は、典型的に約40重量%のカルシウムを有し、そのカルシウムの少なくとも約50パーセントがCaOの形態であり、残りのカルシウムは、実質上、方解石、カルシウムケイ酸塩の形態、またはその組み合わせである。
【0024】
カルシウムを含有するダストは、化学石灰、水和石灰、もしくは生石灰等の高カルシウム石灰またはドロマイト石灰が製造されるか次第で、化学的に変化し得る。結果として生じるカルシウムを含有するダストは、典型的にアルカリ性であり、典型的に、約100nmから約3ミリメートル(またはmm)等の、約50ナノメートル(またはnm)から約2センチメートル(またはcm)の範囲内の大きさを有する粒子を含む、微粒子である。
【0025】
他の種類の固体の不均一系触媒、例えば、カルシウムを含有するダストと同じような触媒活性および他の利点を提供し得る、多孔質シリカ金属酸化物の複合触媒等を使用し得る。複合触媒のいくつかの態様は、WO第2008/013551号として公開された「バイオディーゼルの生産のための新規複合体ベースの触媒」と題する、LinらのPCT特許出願に説明され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。複合触媒は、さらに増進した活性を有する触媒を産生するために、カルシウムを含有するダストとの組み合わせで使用され得る。
【0026】
複合触媒の触媒活性は、複合触媒に存在する、アルカリ土類金属またはアルカリ性土類金属を含有する部分に、少なくとも部分的に対応し得るか、少なくとも部分的に由来し得る。アルカリ土類金属は、シリコンおよび酸素原子の複合マトリックス中でシリコンとともに存在し、シリコン原子の一部は、アルカリ土類金属原子で置換される。いくつかの実施形態において、アルカリ性土類金属はカルシウムであり、他の実施形態において、アルカリ性土類金属は、バリウムまたはマグネシウムである。複合触媒は、様々な比率のオルトケイ酸塩等のシリコンを含有する試薬、ならびにCaO、BaO、MgO、Ca(OH)およびMg(OH)等のアルカリ土類金属を含有する試薬から生産され得る。結果として生じる複合触媒は、約1/1から約10/1または約1/1から約6/1等の、約1/10から約10/1の範囲の、シリコン対アルカリ土類金属のモル比を有し得る。
【0027】
複合触媒は、約1nmから約20nm等の、約1nmから約50nmの範囲の大きさ、およびそれらの多孔性により、広い表面積を有する多孔質の粒子の形状であることが望ましい。いくつかの実施形態において、複合触媒は、酸性およびアルカリ性部位の双方を含み、複合触媒の表面積は、約200m/gより大きいか、約400m/gより大きいか、または約800m/gより大きい等の、約50m/gより大きくなり得る。特に、複合触媒は、約250m/gから約900m/g、約250m/gから約300m/g、約400m/gから約500m/g、または約800m/gから約950m/g等の、約200m/gから約1,000m/gの範囲の表面積を有し得る。複合触媒の細孔は、約1nmから約10nm、約1nmから約2nm、約2nmから約3nm、または約8nmから約10nm等の、約1nmから約20nmまでの範囲内の大きさを有し得る。
バイオディーゼルの生産
【0028】
次に、グリセリドを含有する植物性油およびグリセリドを含有する動物性油の形状等の各種の原料を、脂肪酸アルキルエステル等の、バイオディーゼルの生産物にエステル交換するためのシステムおよび過程について説明する。有利には、システムおよび過程は、多くの技術的課題に対処し、多くの利点を提供する。特に、固体の不均一系触媒を使用することで、触媒は、湿式洗浄または中和反応なしで、反応混合物から容易に回収され得、それによって、高度の純度を有するバイオディーゼル生産物およびグリセロール等の他の有益な副産物の分離を促進する。回収された触媒は、後続の触媒反応での使用のために容易に再利用され得、それによって、減少した費用および減少した環境的懸念で、エステル交換が実行されることを可能にする。また、エステル交換は、迅速に、温度および圧力の温和な条件の下で、2または3時間内に、少なくとも約98パーセント、少なくとも約98.5パーセントまたは少なくとも約99パーセントに達する原料の変換率で生じ得る。さらに、エステル交換は、向上した効率性および処理能力のため、実質上連続的に実行され得、それによって、それを商業的に実行可能なプラントでの実施のために好適な状態にする。しかしながら、エステル交換は、バッチ方式または準連続的方式で実行され得るということも企図される。
【0029】
バイオディーゼルの生産のための各種のシステムの1つが、図1に示され、本発明の実施形態に従って、下に説明される。特に、図1は、実質上、連続方式での稼働のために実施される、バイオディーゼルの生産システム100を図示する。
【0030】
図1のバイオディーゼルの生産システム100を参照すると、固体の不均一系触媒が、触媒ホッパー102または別の触媒貯蔵容器に取り込まれ、アルコールが、アルコール貯蔵容器106に取り込まれる。触媒は、カルシウムを含有する触媒、多孔質シリカ金属酸化物の複合触媒、その組み合わせ、またはいずれの他の固体の不均一系触媒をも含み得る。アルコールは、分子あたりに1から5個の炭素原子を含む、(C−C)アルコール、または(C−C)アルコールの組み合わせを含み得る。例は、メタノールおよびエタノール等の、分子あたりに1から2個の炭素原子を含む(C−C)アルコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノールおよびsec−ペンタノール等の、分子あたりに3から5個の炭素原子を含む直鎖または分岐(C−C)アルコール、およびその組み合わせを含む。示される実施形態において、アルコールはメタノールを含み、結果として生じるバイオディーゼルの生産物は、一連の脂肪酸メチルエステル(またはFAME)を含む。
【0031】
触媒の混合物は、ミキサー104で、触媒およびメタノール、または別の(C−C)アルコールを混合することで調製される。特に、触媒の反応度は、原料との触媒反応の前に、十分な時間、メタノールに接触させることで、増進され得る。アルコール活性化の
時間は、比較的短時間で、約1分から約1時間、約5分から約50分、約10分から約45分、約15分から約45分、または約30分等の約1時間より短い時間であり得るか、アルコール活性化の時間は、約1時間から約3時間等の数時間延長され得る。アルコール活性化の時間をさらに延長することは、触媒の反応度を減少させ得るメタノールへ触媒成分の浸出の可能性を与える可能性があり、時折望ましくない可能性がある。アルコール活性化は、室温か、室温より上の温度、例えば約25℃から約80℃、約35℃から約70℃、約50℃から約65℃等、またはメタノールもしくは別の(C−C)アルコールの還流温度までの温度で、実行され得る。
【0032】
触媒およびメタノールは、圧力、重力、真空、ポンプ、スクリューコンベヤー、ベルト、磁気装置、振動装置、その組み合わせ、または運搬用のいずれの他の機構の適用により、触媒ホッパー102およびアルコール貯蔵容器106からミキサー104へ、それぞれ運搬される。触媒およびメタノールの運搬は、原料との触媒反応に効果的な量を提供するように制御され得る。これは、機械式、電気式、空気式、水力式、電子式またはその組み合わせであり得る、いずれの好適な調整器を使用して、達成し得る。効果的な触媒の量は、原料の重量に対して、約0.5重量%から約30重量%、約1重量%から約20重量%、約1重量%から約10重量%または約1重量%から約6重量%等の、原料の重量に対して約0.1重量%から約50重量%の範囲であり得る。
【0033】
ミキサー104は、各種の方法で実施され得、一連の注入ポート、一連の排出ポートおよび触媒の混合物を調製するための攪拌またはかき混ぜを達成するための機構を有する、筺体またはチャンバを含み得る。ミキサー104での攪拌は、機械式、電気式、空気式、水力式、超音波式またはその組み合わせ等の、各種の機構によって達成され得る。触媒の混合物は、一連のセンサおよび好適な調整器とともに、加熱機構を使用して、ミキサー104内で所望の温度で加熱され維持され得る。
【0034】
図1に図示されるように、触媒の混合物は、反応装置108Aおよび108Bの片方もしくは双方または運搬用のいずれの他の機構へ投与する等して、ミキサー104から一連の反応装置108Aおよび108Bへ運搬される。過剰のメタノールまたは別の(C−C)アルコールは、触媒反応を完成へとさらに促すように、反応装置108Aおよび108Bの少なくとも1つへ任意に取り込まれ得る。過剰のメタノールは、別々か原料とともに、アルコール貯蔵容器106から反応装置108Aへ運搬することによって取り込まれ得る。
【0035】
図1に関して、原料は、反応装置108Aへ投与するか、運搬用のいずれの他の機構によって、原料貯蔵容器130から反応装置108Aへ運搬される。原料は、グリセリドを含有する植物性油、グリセリドを含有する動物性油、グリセリドを含有する藻油またはその組み合わせ等の、グリセリドを含有する油を含み得、この場合、グリセロールがエステル交換の副産物として生産される。グリセリドを含有する植物性油の例は、キャノーラ油、ココナツ油、コーン油、綿実油、ヤシ油、ピーナッツ油、菜種油、大豆油およびひまわり油を含み、グリセリドを含有する動物性油の例は、魚油、ラードおよび獣油を含む。原料は、典型的に、原料の重量に対して、約1重量%までの量で、家禽脂等の動物性脂肪に対応するか、由来する、比較的少量の遊離脂肪酸(またはFFA)を含む。
【0036】
原料に存在するグリセリドは、グリセロールのモノエステル(またはモノグリセリド)、グリセロールのジエステル(またはジグリセリド)、グリセロールのトリエステル(またはトリグリセリド)またはその組み合わせの形態であり得る。グリセリドの脂肪酸部分は、鎖あたり10から28個の炭素原子を含む炭化水素鎖である、C10−C28アルキル鎖を含み得る。C10−C28アルキル鎖は、飽和であり得るか、少なくとも1つの不飽和、エポキシ化または水酸化部位を有し得る。例えば、C10−C28アルキル鎖は、
不飽和、エポキシ化、水酸化またはその組み合わせの1から4個の部位を有し得る。C10−C28アルキル鎖は、直鎖または分岐性であり得、C16−C24、C10−C18、C10−C20、C12−C18、C12−C20、C10−C24またはC10−C26等の各種の中間の鎖の長さを有し得る。鎖あたり4から30個の炭素原子を含む、C−C30アルキル鎖等の、他の鎖の長さのアルキル鎖もされる。脂肪酸(C−C)アルキルエステルおよびグリセロールを生産するための、(C−C)アルコールでのグリセリドのエステル交換に対して、グリセリドのグリセロール部分は、(C−C)アルコールに対応するか、由来する部分に置換され、そのようにして、グリセリドからグリセロールを遊離させる。メタノールの場合、グリセリドのグリセロール部分は、メタノールに対応するか、由来するメチル部分により置換され、そのようにして、グリセリドからグリセロールを遊離し、一連のFAMEを生産する。
【0037】
原料は、水蒸気および不純物の除去、溶解、ろ過、加熱、パージ、またはその組み合わせ等で、エステル交換のために好適な状態になるように、反応装置108Aへの導入の前に、事前に調整されるか、事前に処理され得るということが企図される。例えば、原料は、分子篩、乾燥剤、または水ならびに他の所望しないガスおよび液体のための別の好適な吸収剤に接触され得る。分子篩の例は、開放的構造または細孔を有する、アルミノケイ酸塩鉱物、粘土、多孔質ガラス、細孔炭、ゼオライト、活性炭および合成化合物に対応するか、由来するものを含む。原料の事前の処理の別の例として、FFAは、蒸気または苛性ソーダを使用して、揮散され得る。
【0038】
図示される実施形態において、反応装置108Aおよび108Bは、第1段階の反応装置としての機能を果たす反応装置108A、および第2段階の反応装置としての機能を果たす反応装置108Bを有する、多段構造に編成される。多段構造における複数の反応装置の使用は、グリセロールまたは他の副産物をそれぞれの段階の後に除去することで、エステル交換を完成へと促し得る。また、グリセロールの除去は、グリセロールが触媒を非活性化させ得る触媒の周囲を覆うか包む事例を防止または減少させることで、より速い動力学を可能にする。加えて、複数の反応装置の使用は、バイオディーゼルの生産が、反応装置の一部が、動作不能か整備中であったとしても実行され得るように、システムの冗長性を確実にし得る。2つの反応装置および2段式が図1に図示されているが、付加的な反応装置および付加的な段階が、他の実施形態では含まれ得るということが企図される。例えば、他の実施形態は、3つの反応装置ならびに3段式および4つの反応装置および4段式、またはそれ以上を含み得る。
【0039】
反応装置108Aおよび108Bは、各種の方法で実施され得、それぞれ、一連の注入ポート、一連の排出ポート、および反応混合物の成分の実質上均一の調合を確実にするためおよび触媒の沈殿を防止または減少させるための攪拌またはかき混ぜを達成するための機構を有する筺体またはチャンバを含み得る。反応装置108Aおよび108Bは、同様に実施され得るか、異なる設計に従って実施され得る。反応装置108Aおよび108Bでの攪拌は、機械式、電気式、空気式、水力式、超音波式またはその組み合わせ等の各種の機構によって達成され得る。例えば、反応装置108Aおよび108Bの片方または双方は、連続撹拌槽または超音波式ミキサーとして実施され得る。別の例として、反応装置108Aおよび108Bの片方または双方は、原料、触媒およびメタノールの緊密な調合を確実にするために、一連の噴射ノズル、一連の羽根車、一連の内区画を有する加圧式反応装置として実施され得る。反応装置108Aおよび108Bのそれぞれは、制御され、実質上連続方式で反応混合物の再循環を達成するための機構も含み得る。
【0040】
有利には、エステル交換は、温度約40℃から約100℃、約50℃から約80℃、もしくは約60℃から約70℃の温度等、または約0.5気圧から約2気圧、約0.5気圧から約1.5気圧、もしくは約0.8気圧から約1.2気圧等の、大気圧に近い圧力の、
温度および圧力の温和な条件下で、反応装置108Aおよび108B内で実行され得る。反応条件次第で、エステル交換は、約2気圧より大きい圧力等で、他の温度および圧力で実行され得る。反応混合物は、一連のセンサおよび好適な調整器とともに、加熱および圧力制御機構を使用して、反応装置108Aおよび108B内で所望の温度および圧力で加熱され、維持され得る。
【0041】
図1を参照すると、反応装置108Aおよび108Bは、それぞれ多段構造で、触媒回収ユニット110Aまたは110Bおよびグリセロール分離器112Aまたは112Bとともに編成される。特に、エステル交換は、反応装置108Aで始まり、反応混合物の前方流は、再循環蒸気から除去され、触媒回収ユニット110A内に含まれるろ過機構に供される。ろ過機構は、反応混合物の前方流に存在する触媒の回収を可能にし、回収された触媒はそれからさらなる触媒反応のために反応装置108Aへ再利用される。反応混合物の前方流は次に反応混合物の前方流からグリセロールを実質上除去するか分離する、グリセロール分離器112Aへ運搬される。いずれかの未反応メタノールおよびいずれかの他の未反応または触媒成分とともに、分離したグリセロールは、アルコールストリッパー122へ運搬され(下記にさらに説明される)、分離したグリセロールは、さらなる触媒反応へ再利用され得るか、他の使用のために回収され得る。グリセロール分離器112Aによる、グリセロールの分離後に、反応混合物の前方流の残部は、一連のFAMEの約70重量%から約90重量%、一連のFAMEの約75重量%から約85重量%、一連のFAMEの約80重量%から約90重量%、または一連のFAMEの少なくとも約85重量%等の、比較的高い割合のバイオディーゼルの生産物を含み得る。
【0042】
反応混合物の前方流は、次に、触媒回収ユニット110Aおよびグリセロール分離器112Aに説明されるものと同様に、触媒回収ユニット110Bおよびグリセロール分離器112Bによる操作とともに、エステル交換を実質上完成させるため、反応装置108Bへ運搬される。グリセロール分離器112Bによるグリセロールの分離の後で、結果として生じる反応混合物の前方流は、約90重量%から約100重量%の一連のFAME、約95重量%から約99.9重量%の一連のFAME、または少なくとも約98重量%もしくは少なくとも約99重量%の一連のFAME等の、さらに高割合のバイオディーゼルの生産物を含み得る。
【0043】
反応装置108Bでの反応条件は、反応装置108Aでのものに応じて、エステル交換を完成へと進める際の化学化合物での変化を考慮するために、調整されるか修正され得る。特に、反応装置108Aで相対的に高レベルに、反応装置108Bで相対的に低レベルになるように、メタノールまたは別の(C−C)アルコールの濃度が制御され得る。いくつかの実施形態において、反応装置108Bでのメタノールの濃度が、約2容量%から約8容量%または約4容量%から約6容量%等の、約2容量%から約10容量%の範囲で維持され得るのに対して、反応装置108Aでのメタノールの濃度は、約8容量%から約17容量%または約10容量%から約15容量%等の、約8容積百分率(または容量%)から約20容量%の範囲で維持され得る。メタノール濃度のこれらの範囲は、グリセロールを担持し、バイオディーゼル生産物の分離を複雑にし得る反応装置108B内の余分な量のメタノールを回避または減少させながら、エステル交換を完成に促すことを可能にする。
【0044】
触媒回収ユニット110Aおよび110Bは、各種の方法で実施され得、同様に実施され得るか、異なる設計に従って実施され得る。触媒回収ユニット110Aおよび110Bによるろ過は、一連の焼結された金属管、一連のキャンドルフィルター、一連の遠心分離機またはその組み合わせ等の、各種の機構によって達成され得る。グリセロール分離器112Aおよび112Bは、各種の方法で実施され得、同様に実施され得るか、異なる設計に従って実施され得る。グリセロール分離器112Aおよび112Bによるグリセロール
の分離は、一連のデカンタ、一連の垂直または水平沈殿容器、一連のコアレッサー、一連の遠心分離機またはその組み合わせ等の、各種の機構によって達成され得る。図1に図示されないが、実質上連続過程の場合、反応装置108Aおよび108Bの片方または双方からの再循環蒸気は、触媒を回収し再利用するように処理され得、反応混合物は、外部から加熱されて原料を一連のFAMEへ実質上変換する栓流反応装置へ運搬され得る。触媒は、何度も回収され、再利用され得る。
【0045】
図1を参照すると、反応混合物の前方流は、グリセロール分離器112Bからアルコールストリッパー114へ運搬され、その一方グリセロール分離器112Aおよび112Bの片方または双方からの分離したグリセロールがアルコールストリッパー122へ運搬される。アルコールストリッパー114は、いずれの未反応のメタノールまたは別の(C−C)アルコールをも、約0.5容量%より少ないか、約0.3容量%より少ないか、約0.2容量%未満等になるまで反応混合物の前方流から実質上除去するか回収する。アルコールストリッパー114は、バキュームストリッパーとして実施され得、メタノールの回収は、フラッシュ蒸発器、蒸留塔、またはその組み合わせ等の各種の機構によって達成され得る。いくつかの実施形態において、メタノールの回収は、約85℃より上回らないか、約82℃を下回る温度等の、約90℃より低い温度および約0.1気圧を上回らないかか約0.09気圧を上回らない等の、約0.2気圧より低い圧力で、メタノールを沸騰除去することで実行され得る。約90℃より高い等の、上昇した温度は、原料の変換率を減少させ得る反応の反転を引き起こす可能性があり、時折望ましくない場合がある。所望の温度および圧力は、一連のセンサおよび好適な調整器とともに、加熱および圧力制御機構を使用して、アルコールストリッパー114内で維持され得る。回収したメタノールは、さらなる触媒反応での使用のために、アルコール貯蔵容器106へと再利用される。有利には、このメタノールの再利用は、水を取り込み、メタノールの回収を複雑にし得る中和反応および湿式洗浄操作がいらず、容易に実行され得る。いくつかの実施形態において、回収したメタノールは、不純物の除去、溶解、ろ過、加熱、パージまたはその組み合わせ等の触媒反応に好適な状態にするように、アルコール貯蔵容器106に導入する前に、事前に調整されるか事前に処理され得る。
【0046】
アルコールストリッパー114による未反応のメタノールの回収の後、結果として生じる粗バイオディーゼルの生産物は、バイオディーゼル精製ユニット118を通してそれを運搬することによってさらに純化される。バイオディーゼル精製ユニット118は、いずれの未反応または触媒成分とともに、実質上いずれの残りの副産物をも除去するか分離する。副産物は、FFAの塩(または石けん)の形状であり得、副産物の除去は、各種の機構によって達成され得る。例えば、粗バイオディーゼルの生産物は、約21℃を下回る温度まで冷却され得、副産物は、沈殿または遠心分離によって分離され得る。別の例として、副産物は、蒸留およびワイプトフィルム蒸発のうちの一方または両方によって分離され得る。
【0047】
分離した副産物は、いずれの未反応または触媒成分とともに、さらなる触媒反応のために再利用され得、動物および養鶏飼料の栄養補助食品用に粗形状で販売されるか、各種の化粧品、産業、薬剤および食品使用のために純化され得る。図1を参照すると、副産物の少なくとも一部は、副産物をFFAへ変換するために一連の酸の添加によって処理される。副産物のFFAへの変換は、典型的に酸性化を伴い、酸性化ユニット132で実行される。結果として生じるFFAは、それから反応装置108Aおよび108B内でエステル変換を起こし得る、使用可能なグリセリドへの変換のために、グリセロール分解ユニット134へ運搬される。特に、本過程から生産される粗グリセロールは、再利用され、グリセロール分解を通じてグリセリドを生産するために好適な条件下で、FFAと混ぜられる。原料の重量に対して、約1重量%等の比較的多い量のFFAを含む原料はまたFFAをグリセリドへ変換するために、グリセロール分解ユニット134へと取り込まれ得る。酸
性化ユニット132およびグリセロール分解ユニット134は、一連の注入ポート、一連の排出ポート、および攪拌またはかき混ぜを達成するための機構を有する筺体またはチャンバ等を含む、各種の方法で実施され得る。
【0048】
更なる操作が、いずれのFFAをも回収するためか、当該のFFAを脂肪酸アルキルエステルへ変換するため、実行され得るということも企図される。例えば、FFAは、FFAのエステル化を触媒するように、固体の酸の触媒に接触され得、結果として生じる脂肪酸エステルは、反応装置108Aおよび108B内でエステル交換を起こし得る。固体の酸の触媒の例は、酸性メソ多孔性アルミニウムケイ酸塩混合酸化物、ゼオライト、スルホン官能化メソ多孔質結晶物質、およびスルホン官能化メソ多孔質ケイ酸塩である。
【0049】
バイオディーゼル精製ユニット118は、米国材料試験協会(またはASTM)の仕様に従う等、結果として生じる純化したバイオディーゼル生産物が、商業的に許容可能な、ディーゼル燃料の基準を満たすように、残りのいずれの不純物も実質上除去するか分離する。不純物の除去は、各種の機構によって達成され得る。例えば、粗バイオディーゼルの生産物は、所望しないガスおよび液体を取り除くため、好適な吸収剤を使用して乾燥洗浄に供され得、所望しない固体を除去するためのろ過が次に続く。別の例として、不純物は、蒸留およびワイプトフィルム蒸発のうちの一方または両方によって分離され得る。別の例として、イオン交換樹脂が、残留塩、石けんおよび金属を除去することで、粗バイオディーゼルを精製するために使用され得る。さらなる例として、湿式洗浄操作もまた使用され得る。
【0050】
いくつかの実施形態において、純化したバイオディーゼルの生産物は、エステル交換に使用される触媒に存在するカルシウムまたはカルシウムを含有する部分に対応するか、由来するカルシウムの残余量を含み得る。残余のカルシウムは、誘導結合プラズマ(またはICP)発光分光法またはICP質量分光分析等の、標準技術によって検出され得る。純化したバイオディーゼルの生産物は、例えば、約5ppmから約500ppmまたは約50ppmから約500ppm等の、約1百万分率(またはppm)から約1,000ppmのカルシウムを、純化したバイオディーゼルの生産物を分離するために使用される反応条件および技術に依存して、含み得る。残余のカルシウムは、カルシウム原子、カルシウムイオン、CaOもしくはCaCO等のカルシウムを含有する化合物またはその組み合わせの形状であり得る。他の実施形態において、純化したバイオディーゼルにおけるカルシウム残余量は、実質上検出不能であるような低いレベルのものであり得る。
【0051】
図1に図示されるように、アルコールストリッパー122は、約0.5容量%を超えないか、約0.3容量%を超えないか、または約0.2容量%未満等になるまで、グリセロールから、いずれの未反応メタノールまたは別の(C−C)アルコールをも実質上除去するか回収する。アルコールストリッパー122は、バキュームストリッパーとして実施され得、メタノールの回収は、フラッシュ蒸発器、蒸留塔、またはその組み合わせ等の各種の機構によって達成され得る。いくつかの実施形態において、メタノールの回収は、約125℃を超えないか、約121℃を下回る温度等の、約130℃を超えない温度および約0.1気圧を超えないか約0.09気圧超えない等の、約0.2気圧超えない圧力で、メタノールを沸騰除去することで実行され得る。約130℃より高い等の、上昇した温度はグリセロールの純度を減少させ得る副生成物形成を引き起こす可能性があり、時折望ましくない可能性がある。所望の温度および圧力は、一連のセンサおよび好適な調整器とともに、加熱および圧力制御機構を使用して、アルコールストリッパー122内で維持され得る。回収したメタノールは、さらなる触媒反応での使用のために、アルコール貯蔵容器106へと再利用される。有利には、有利には、このメタノールの再利用は、水を取り込み、メタノールの回収を複雑にし得る中和反応および湿式洗浄操作がいらず、容易に実行され得る。アルコールストリッパー122によるメタノールの回収の後、結果として生
じる粗グリセロールは、約90重量%から約100重量%、約95重量%から約99.9重量%または少なくとも約97重量%等の比較的高純度のものになり得る。粗グリセロールは、各種の化粧品、産業、薬剤、および食品使用のためにさらに純化され得る。上記に説明されるように、粗グリセロールはまた、さらなる触媒反応のためにグリセリドを生産するために、グリセロール分解ユニット134へ再利用され得る。
【0052】
バイオディーゼルの生産のための別の各種のシステムが図2に図示され、本発明の実施形態に従って以下説明される。特に、図2は、バッチ方式における操作のために実施され得るバイオディーゼルの生産システム200を図示する。バイオディーゼルの生産システム200のいくつかの態様は、バイオディーゼルの生産システム100において上に説明されるように、同じような方式で実施され得、これらの態様は、以下で繰り返し記載しない。例えば、バイオディーゼル生産システム100と同様に、バイオディーゼル生産システム200は、触媒ホッパー202、ミキサー204、アルコール貯蔵容器206、アルコールストリッパー214および222、バイオディーゼル精製ユニット218、原料貯蔵容器230、酸性化ユニット232、およびグリセロール分解ユニット234を含み、バッチ製法において操作されるか最適化されているが、図1の対応する構成要素と同様に実施され得る。
【0053】
図2を参照すると、触媒の混合物は、ミキサー204内で、触媒およびメタノールまたは別の(C−C)アルコールを組み合わせることによって調製される。特定の新しいバッチにおいて、触媒は、原料との触媒反応の前に、十分な時間、メタノールに接触させることによって活性化される。触媒混合物は、次いで反応装置208へ投入するか、他のいずれかの運搬のための機構によって等で、ミキサー204から反応装置208へ運搬される。過剰のメタノール、または別の(C−C)アルコールが、触媒反応を完成へと促すように、任意に反応装置208へ取り込まれ得る。過剰のメタノールは、図1を参照して上に説明されるように、原料の重量に対して、触媒の効果的な量を維持するために、別々か、いずれかの触媒とともに取り込まれる。図2に図示されるように、原料は、反応装置208へ投入することによってか、または他のいずれかの運搬のための機構によって等、原料の貯蔵容器230から反応装置208へ運搬され、バッチ生産過程が、開始される。
【0054】
図示された実施形態において、反応装置208は、単段構造に編成されるが、複数の反応装置および複数の段階が、他の実施形態に含まれ得るということが企図される。反応装置208は、図1の反応装置108Aおよび108Bと同様に実施され得、一連の注入ポート、一連の排出ポート、および実質上均一の反応混合物の成分の混ぜあわせを確実にし、触媒の沈殿を防止または減少させるための攪拌またはかき混ぜを達成するための機構を有する、筺体またはチャンバを含み得る。エステル交換の開始を促進するため、本過程から生産される粗グリセロールは、反応混合物の総重量に対して、約1重量%から約10重量%、約1重量%から約5重量%、約5重量%から約10重量%等の、反応混合物の総重量に対して、約0.5重量%から約12重量%の範囲の量で、再利用され、反応装置208に取り込まれる。一連のFAMEへの変換率が、約95パーセントから約99.9パーセント、約98.5パーセントから約99.5パーセントまたは少なくとも約98.5パーセント等の、約90パーセントから約100パーセントの範囲になるまで、約1時間から約3時間、約1時間から約2時間、約2時間から約3時間等の、約45分から約4時間の範囲内の時間で、エステル交換が実行される。
【0055】
一度所望の変換率に到達すると、反応装置208での攪拌が休止され、約15分から約1時間、約15分から約45分または約45分から約1時間等の、約10分から約2時間の範囲の時間で、反応混合物は沈降させる。反応混合物の沈降した成分は、比較的少量の残余のグリセロールとともに、大部分の触媒を回収するために、それから反応装置208
から除去され、保持容器236に運搬される。保持容器236は、一連の垂直または水平沈殿容器等の各種の方法で実施され得る。保持容器236は、より一般的には、触媒回収ユニットとして実施され得、一連の焼結された金属管、一連のキャンドルフィルター、一連の遠心分離機、またはその組み合わせ等の、ろ過機構を任意に含み得るということも企図される。
【0056】
反応混合物の残部は、反応装置208から除去され、デカンタ238へ運搬され、FAMEおよびグリセロール相への分離を可能にする。デカンタ238は、より一般的には、グリセロール分離器として実施され得、FAMEおよびグリセロール相の分離は、一連の垂直および水平沈殿容器、一連のコアレッサー、一連の遠心分離機またはその組み合わせ等の、各種の他の機構によって達成され得るということも企図される。図2に図示されるように、FAME相は、デカンタ238から除去され、ろ過機構240を通して運搬され、いずれの残余の触媒回収をも可能にし、ろ過したFAME相を産生する。ろ過したFAME相は、次いで、アルコールストリッパー214およびバイオディーゼル精製ユニット218を通して、運搬されることでさらに処理され、それによって純化したバイオディーゼル生産物を産生する。グリセロール相は、デカンタ238から除去され、ろ過機構242を通して運搬され、残余の触媒の回収を可能にし、ろ過したグリセロール相を産生する。ろ過したグリセロール相は、次いでアルコールストリッパー222を通して運搬され、それによって各種の使用のためにさらに純化され得るか、さらなる触媒反応のためにグリセロール分解ユニット234へ再利用し得る粗グリセロールを産生する。
【0057】
さらに図2を参照すると、保持容器236から回収した触媒およびグリセロールは、進行中のバッチまたは新しいバッチのため、反応装置208へ再利用される。同様に、ろ過機構240おとび242から回収した触媒は、さらなる触媒反応のため、反応装置208へ再利用される。
【0058】
本発明がその特定の実施形態を参照して説明されてきたが、添付の請求項に定義される、本発明の精神および範囲を逸脱することなしに、様々は変更はなされ、同等物に置換され得るということを当業者は理解するだろう。加えて、多くの修正が、本発明の目的、精神および発明に対して、特定の状況、材料、物質の組成、方法、過程を適応させることができ得る。全ての当該の修正は、ここに添付された請求項の範囲内であることを意図する。特に、本明細書に開示される方法は、特定の順序で行われる、特定の操作にを参照して説明されているのが、同等の方法を形成するために、本発明の内容から逸脱することなしに、これらの操作は組み合わされ、細分され、並び替えられ得るということが理解されよう。従って、特に本明細書に示されない限り、操作の順序および分類は本発明の制限ではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオディーゼルを生産するための過程であって、
固体の不均一系触媒および(C−C)アルコールを含む触媒の混合物を調製することと、
前記触媒の混合物を、ためにグリセリドを含有する原料に混合して反応混合物を提供することと、
前記反応混合物を反応させて、グリセロールおよび脂肪酸(C−C)アルキルエステルを生産することと、
前記反応混合物から前記触媒を回収することと、
前記反応混合物から前記(C−C)アルコールの未反応部を回収することと、
前記反応混合物から前記グリセロールを分離することと、
前記反応混合物から前記脂肪酸(C−C)アルキルエステルを分離することと、を含む、バイオディーゼルを生産するための過程。
【請求項2】
前記触媒は、カルシウムを含有する触媒を含み、前記(C−C)アルコールは、メタノールを含む、請求項1に記載の過程。
【請求項3】
前記カルシウムを含有する触媒は、10重量%から80重量%のカルシウムを含む、請求項2に記載の過程。
【請求項4】
前記触媒は、多孔質シリカ金属酸化物複合触媒を含み、前記(C−C)アルコールは、メタノールを含む、請求項1に記載の過程。
【請求項5】
前記触媒の混合物を調製することは、前記触媒を活性化するのに十分な持続時間で、前記触媒を前記(C−C)アルコールに接触させることを含む、請求項1に記載の過程。
【請求項6】
前記触媒を前記(C−C)アルコールに接触させることは、1分から1時間の範囲の持続時間および25℃から80℃の範囲の温度で実行される、請求項5に記載の過程。
【請求項7】
前記触媒の混合物を前記原料と混合することは、前記原料の重量に対して、前記触媒の量が0.5重量%から30重量%の範囲であるように実行される、請求項1に記載の過程。
【請求項8】
前記触媒の量は、前記原料の重量に対して、1重量%から10重量%の範囲である、請求項7に記載の過程。
【請求項9】
前記反応混合物を反応させることは、多段構造で複数の反応装置を使用して実行される、請求項1に記載の過程。
【請求項10】
前記反応混合物を反応させることは、40℃から100℃の範囲の温度および0.5気圧から2気圧の範囲の圧力で実行される、請求項1に記載の過程。
【請求項11】
前記触媒および前記(C−C)アルコールの未反応部を、後続の反応のために、再利用することをさらに含む、請求項1に記載の過程。
【請求項12】
前記グリセロールを、さらなるグリセリドを含有する原料を生産するために、遊離脂肪酸と反応させることをさらに含む、請求項1に記載の過程。
【請求項13】
前記脂肪酸(C−C)アルキルエステルを分離することは、前記反応混合物から脂肪酸塩を分離することを含む、請求項1に記載の過程。
【請求項14】
前記脂肪酸塩を、酸に反応させて遊離脂肪酸を生産することと、
前記グリセロールを前記遊離脂肪酸と反応させて、さらなるグリセリドを含有する原料を生産することとをさらに含む、請求項13に記載の過程。
【請求項15】
バイオディーゼル生産システムであって、
グリセロールおよび脂肪酸(C−C)アルキルエステルを生産するために、反応混合物を反応させるように構成される、少なくとも1つの反応装置であって、前記反応混合物は、固体の不均一系触媒、(C−C)アルコールおよびグリセリドを含有する原料を含む、少なくとも1つの反応装置と、
前記反応装置に連結され、前記反応混合物から前記触媒を回収し、前記触媒を前記反応装置へ再利用させるように構成される、少なくとも1つの触媒回収ユニットと、
前記反応装置に連結され、前記脂肪酸(C−C)アルキルエステルを含む第2相から、前記グリセロールを含む第1相を分離するように構成される、少なくとも1つのグリセロール分離器と、
前記グリセロール分離器に連結され、前記第1相から前記(C−C)アルコールの第1の未反応部を回収するように構成される、第1のアルコールストリッパーと、
前記グリセロール分離器に連結され、前記第2相から前記(C−C)アルコールの第2の未反応部を回収するように構成される、第2のアルコールストリッパーと、
前記第2のアルコールストリッパーに連結され、前記第2相から前記脂肪酸(C−C)アルキルエステルを分離するように構成される、バイオディーゼル精製ユニットと、を含む、バイオディーゼル生産システム。
【請求項16】
前記反応装置に連結され、触媒の混合物を生産し、前記触媒の混合物を前記反応装置へ運搬するために、前記触媒を前記(C−C)アルコールに混合するように構成される、ミキサーをさらに含む、請求項15に記載のバイオディーゼル生産システム。
【請求項17】
前記第1のアルコールストリッパーは、前記(C−C)アルコールの前記第1の未反応部が、前記反応装置へ再利用されるように前記ミキサーに連結される、請求項16に記載のバイオディーゼル生産システム。
【請求項18】
前記第2のアルコールストリッパーは、前記(C−C)アルコールの前記第2の未反応部が、前記反応装置へ再循環させるように前記ミキサーに連結される、請求項17に記載のバイオディーゼル生産システム。
【請求項19】
前記第1のアルコールストリッパーに連結され、さらなるグリセリドを含有する原料を生産するために、前記グリセロールを遊離脂肪酸に反応させるように構成される、グリセロール分解ユニットをさらに含む、請求項15に記載のバイオディーゼル生産システム。
【請求項20】
前記バイオディーゼル精製ユニットは、前記第2相から石けんを分離するように構成され、前記バイオディーゼル精製ユニットおよび前記グリセロール分解ユニットに連結される酸性化ユニットをさらに含み、前記遊離脂肪酸を生産するために、前記石けんを酸に反応させるように構成される、請求項19に記載のバイオディーゼル生産システム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−503920(P2013−503920A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527115(P2012−527115)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/047570
【国際公開番号】WO2011/028831
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(512042547)アルベマール・カテイリン・コーポレーシヨン (1)
【Fターム(参考)】