説明

バイオディーゼル燃料組成物

【課題】脂肪酸メチルエステルを含有するバイオディーゼル燃料の低温流動性の向上及び低温保管した時の沈殿の析出を抑制する。
【解決手段】一般式(1)で表される共重合体(X)、一般式(1)を除くカルボニル基を含有する1種又は2種以上の化合物〔(Y)成分〕及びバイオ燃料〔(Z)成分〕を含有するバイオディーゼル燃料組成物を提供する。
【化1】


(式中、R、R及びRは、それぞれ独立し、酸素原子を含んでもよい炭素数1〜40の炭化水素基又は水素原子を表し、p1は1〜50の整数、q1は1〜50の整数、及びr1は1〜5000の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪酸メチルエステル用低温流動性向上剤を含有するバイオディーゼル燃料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料油には、ガソリンや軽油、石油等の化石燃料が主に使用されているが、これらの燃料を消費すると大気中に二酸化炭素が放出され、地球温暖化等の環境問題を引き起こす主な要因になっていると考えられている。こうしたことから、二酸化炭素の環境への放出を少なくするために様々な方法が考えられている。
【0003】
その一つの方法に、バイオ燃料を使用することが提案されている。バイオ燃料とは、主に植物から得られる燃料油のことであり、植物を原料とするエタノールやメタノール、脂肪酸メチルエステル等を100%あるいは、化石燃料と混合して自動車等の燃料に使用するものである。バイオ燃料は大気中の二酸化炭素を消費する植物から作られるため、燃焼によってバイオ燃料が大気中に二酸化炭素として放出されても、バイオ燃料の元となる新たな植物がその二酸化炭素を消費するため、大気中の二酸化炭素は増加しない(二酸化炭素の循環)。こうしたバイオ燃料は、前記のように様々な形態で取り組みが始められているが、既存のエンジンシステムにそのまま対応でき、エンジンの改良等が必要ないため、現在では化石燃料の中に脂肪酸メチルエステル等のバイオ燃料を含有させたバイオディーゼル燃料の検討が最も進んでいる。
【0004】
例えば、特許文献1には、バイオディーゼル燃料に酸化防止剤を添加したバイオディーゼル燃料組成物であって、上記バイオディーゼル燃料は、オレイン酸メチルエステル及び/又はリノール酸メチルエステルを1%以上含み、主成分として、炭素数がC4〜C25の脂肪酸メチルエステルを1種類又は2種類以上含んで成り、上記酸化防止剤は、天然成分及び/又は合成成分から成り、該脂肪酸メチルエステル合計質量に対して0.001%〜5%の割合で添加されることを特徴とするバイオディーゼル燃料組成物;前記バイオディーゼル燃料組成物の使用方法であって、該バイオディーゼル燃料組成物を、軽油に対し0.1〜100%の容量比で混合することを特徴とするバイオディーゼル燃料組成物の使用方法が開示されている。
しかしながら、脂肪酸メチルエステルを含有するバイオディーゼル燃料は流動点が高く、脂肪酸メチルエステルを高濃度で配合した場合や、低濃度でも寒冷地で使用した場合には燃料の流動性が悪化するため、フィルターやポンプの目詰まりを引き起こす場合があり、バイオディーゼル燃料を普及させるためには、脂肪酸メチルエステルの低温流動性を改良する必要があった。
【0005】
一方、既存の脂肪酸メチルエステルには様々な低温流動性向上剤が知られている。例えば、特許文献2には、下記一般式(1)で示される化合物Aと、下記一般式(2)で示される化合物Bを、その質量比(化合物A):(化合物B)が1:99乃至50:50となるように含有する脂肪酸メチルエステル用低温流動性向上剤:
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、nは2以上の整数、X〜Xはそれぞれ独立して、水素、直鎖炭化水素又は分岐炭化水素基、もしくは炭素数3以上のシクロ炭化水素基を示す。)
【0008】
【化2】

【0009】
(式中、X、X10のうちいずれか一方は炭素数8乃至24の直鎖又は分岐の炭化水素基で、もう一方は水素を示し、X11はNR又はNHR、X12はH、HNHR又はHNである。また、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数8乃至24の炭化水素基を示す)
が開示されている。
【0010】
また、特許文献3には、(A)炭素数8〜28の直鎖状飽和脂肪酸及び炭素数8〜28の直鎖状不飽和脂肪酸から選ばれた脂肪酸、並びに(B)流動点降下剤及び低温流動性向上剤から選ばれた少なくとも1種の改質剤を含有し、硫黄含量が0.05質量%以下の低硫黄軽油用油性向上剤;流動点降下剤が塩素化パラフィンとナフタリンとの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、ポリアルキルメタクリレート、ポリブデン、ポリアルキルスチレン、ポリビニルアセテート及びポリアルキルアクリレートから選ばれた少なくとも1種である前記低硫黄軽油用油性向上剤;低温流動性向上剤がエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アルキルアクリレート及びアルケニルこはく酸アミドから選ばれた少なくとも1種である前記低硫黄軽油用油性向上剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−016089号公報
【特許文献2】特開2005−187581号公報
【特許文献3】特開平10−110175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、脂肪酸メチルエステルを含有するバイオディーゼル燃料に上述の特許文献2及び3に記載されているような低温流動性向上剤を使用しても十分な効果が得られず、より効果的な脂肪酸メチルエステル用低温流動性向上剤をバイオディーゼルに使用することが望まれている。従って、本発明の目的は、従来よりも低温において優れた特性を与えるバイオディーゼル燃料を提供することを目的とする。具体的には、脂肪酸メチルエステルを含むバイオディーゼル燃料の低温流動性を改善することができ、また、低温保管した時の沈殿の析出を抑制できるバイオディーゼル燃料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで本発明者等は鋭意検討し、特定の化合物の組合せが脂肪酸メチルエステルを含むバイオディーゼル燃料の低温流動性を大幅に改良することができ、かつ低温保管した時の沈殿の析出を抑制できることを見出した。つまり、特定の化合物の組み合わせを低温流動性向上剤として使用することで上記課題を解決でき、本発明に至った。
【0014】
即ち、本発明は、一般式(1)で表される共重合体(X)、一般式(1)を除くカルボニル基を含有する1種又は2種以上の化合物〔(Y)成分〕、及びバイオディーゼル燃料〔(Z)成分〕を含有することを特徴とするバイオディーゼル燃料組成物である。
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立し、酸素原子を含んでもよい炭素数1〜40の炭化水素基又は水素原子を表し、p1は1〜50の整数、q1は1〜50の整数、及びr1は1〜5000の整数を表す。)
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果は、一般式(1)で表される共重合体(X)および一般式(1)を除くカルボニル基を含有する1種又は2種以上の化合物〔(Y)成分〕を、脂肪酸メチルエステルを含むバイオディーゼル燃料に配合することで、バイオディーゼル燃料の低温流動性および低温保管時の沈殿析出を著しく抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、脂肪酸メチルエステルの低温流動性を効率よく改善させることのできる一般式(1)で表される共重合体(X)、一般式(1)を除くカルボニル基を含有する1種又は2種以上の化合物〔(Y)成分〕、及びバイオディーゼル燃料〔(Z)成分〕を含有することを特徴とするバイオディーゼル燃料組成物である。なお、本願で使用する語句「共重合体」は特に記載がない限り、ラジカル重合、イオン重合、共縮合等の各種重合方法により、得られたランダム共重合体、ブロック共重合体、ランダム/ブロック共重合体のいずれかを表す。
【0019】
【化4】

【0020】
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立し、酸素原子を含んでもよい炭素数1〜40の炭化水素基又は水素原子を表し、p1は1〜50の整数、q1は1〜50の整数、及びr1は1〜5000の整数を表す。)
【0021】
一般式(1)で表される(X)において、R、R及びRは、それぞれ独立し、酸素原子を含んでもよい炭素数1〜40の炭化水素基又は水素原子である。酸素原子を含まない炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、及びアリール基等が挙げられる。
【0022】
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、ドデシル(ラウリル)基、トリデシル基、テトラデシル(ミリスチル)基、ペンタデシル基、ヘキサデシル(パルミチル)基、へプタデシル基、オクタデシル基(ステアリル)基、ノナデシル基、イコシル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、トリアコンチル基、ペンタトリアコンチル基、及びテトラトリアコンチル基等が挙げられる。
【0023】
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−メチルエテニル基、2−メチルエテニル基、プロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ペンタデセニル基、オクタデセニル基、イコセニル基、及びトリアコンテニル基等が挙げられる。
【0024】
シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、及びメチルシクロヘプテニル基等が挙げられる。
【0025】
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ビニルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−ターシャリブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−(2−エチルヘキシル)フェニル基、及び4−ドデシルフェニル基等が挙げられる。
【0026】
一般式(1)のR、R及びRは、酸素原子、−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−又は−OC(=O)O−で中断されている炭化水素基でもよく、こうした中断する基としては、例えば、ケトン基、エステル基、カーボネート基、エーテル基、ヒドロキシル基等を含んだ炭化水素基が挙げられ、これらは同一分子中に一つ又は二つ以上含んでも良い。R、R及びRとして酸素原子を含んだ炭化水素基の中でも好ましくは以下の一般式(8)〜(12)で表す基が挙げられ、中でもエステル基を持つ一般式(9)で表される基、及び/又は一般式(10)で表される基を使用することがより好ましい。
【0027】
【化5】

【0028】
(式中、mは0又は1を表し、R及びRは炭素数1〜39の炭化水素基を表し、一般式(8)の総炭素数の和は40以下である。)
【0029】
【化6】

【0030】
(式中、mは0又は1を表し、R及びRは炭素数1〜39の炭化水素基を表し、一般式(9)の総炭素数の和は40以下である。)
【0031】
【化7】

【0032】
(式中、mは0又は1を表し、R及びRは炭素数1〜39の炭化水素基を表し、一般式(10)の総炭素数の和は40以下である。)
【0033】
【化8】

【0034】
(式中、mは0又は1を表し、R及びRは炭素数1〜39の炭化水素基を表し、一般式(11)の総炭素数の和は40以下である。)
【0035】
−(R−O−R (12)
(式中、nは0又は1を表し、R及びRは炭素数1〜39の炭化水素基を表し、一般式(12)の総炭素数の和は40以下である。)
【0036】
これらの中でも酸素原子、−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−又は−OC(=O)O−で中断されていない炭化水素基が好ましい。炭化水素基の中でも高い低温流動性向上剤としての効果を得られるのでRはフェニル基又はアルキル基が好ましい。アルキル基の場合、Rの炭素数は1〜30が好ましく、1〜22がより好ましく、4〜16が更に好ましい。R及びRの組み合わせとしては両方アルキル基同士の組み合わせ、アルキル基と水素原子の組み合わせ、及び水素原子同士の組み合わせが好ましく、両方アルキル基同士の組み合わせ、及びアルキル基と水素原子の組み合わせがより好ましく、両方アルキル基同士の組み合わせが更に好ましい。両方アルキル基同士の組み合わせの場合、R及びRの炭素数は1〜30が好ましく、1〜22がより好ましく、4〜18が更に好ましい。アルキル基と水素原子の組み合わせの場合、アルキル基の炭素数は1〜30が好ましく、1〜22がより好ましく、4〜18が更に好ましい。なお、(X)は1種又は2種以上混合物であってもよい。p1とq1の比率は(X)の共重合比を表わし、上記請求範囲内の任意の比率で使用できるが、高い低温流動性向上剤としての効果を得るためには、p1とq1はp1/q1=1/9〜9/1が好ましく、1/9〜4/1がより好ましく、1/4〜4/1が更に好ましく、1/1〜1/4が最も好ましい。
【0037】
(X)の分子量に制限はないが、あまりに分子量が低いと低温流動性向上剤としての効果が低くなり、分子量が高すぎると取り扱いが困難になる場合や、脂肪酸メチルエステルに溶解しない場合が出るため、重量平均分子量が1000〜600000が好ましく、5000〜250000がより好ましい。同様の理由により、p1は1〜50、好ましくは1〜20の整数、q1は1〜50、好ましくは1〜20の整数、及びr1は1〜5000、好ましくは1〜2000の整数の範囲内である。
【0038】
(X)の中間体である(t)を得るには、モノマーであるオレフィン(h)と無水マレイン酸(i)とを公知の方法で重合反応すればよい。重合方法はランダム又はブロック重合でもよいが、製造が容易なためランダム重合が好ましい。例えば、オレフィンと無水マレイン酸を40〜250℃で2〜30時間加熱反応させることで、オレフィンと無水マレイン酸の共重合体(t)を得ることができる。溶剤は使用してもしなくてもよいが、モノマー、及びポリマーの溶解性がよいためメチルエチルケトンやテトラヒドロフランといったケトンやエーテルを使用することが好ましい。なお、触媒は使用してもしなくても良いが、反応収率が高いという観点からアゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイル等の重合開始剤を使用することが好ましい。また、ポリマーの分子量を調整する目的で、1−デカンチオールや四塩化炭素などの連鎖移動剤を使用することも可能である。中間体(t)から(X)を得るには、例えば、以下に示す方法を用いればよい。
【0039】
(i)得られた(t)にアルコール2〜10等量を仕込み、50〜200℃、1〜60時間攪拌し、R及びRに炭化水素基が置換した化合物を得ることが出来る。
(ii)得られた(t)にアルコール1等量を仕込み、20〜180℃、1〜30時間攪拌し、R及びRにそれぞれ、炭化水素基と水素原子が置換した化合物を得ることが出来る。
(iii)得られた(t)に蒸留水1〜10等量を仕込み、20〜100℃、1〜30時間攪拌し、R及びRに水素原子が置換した化合物を得ることが出来る。
【0040】
【化9】

【0041】
本発明では、上記の一般式(1)で表される共重合体(X)に加えて、低温流動性向上剤として一般式(1)を除くカルボニル基を含有する化合物〔(Y)成分〕を使用する。(Y)成分は一般式(1)を除くカルボニル基を含有する化合物であれば、特に限定されないが、本発明品の(X)成分と併用効果が高いため、下記の一般式(2)で表される共重合体(a)、一般式(3)で表される共重合体(b)、一般式(4)で表される重合体(c)、一般式(5)で表される重合体(d)、一般式(6)で表される共重合体(e)、及び一般式(7)で表される重合体(f)の群から選択される1種又は2種以上の化合物を併用することが好ましい。(Y)成分の中でも、バイオディーゼル燃料の低温流動性の改善効果が高いため(X)成分と(a)、(b)、(c)、(e)又は(f)を併用した場合が好ましい。
低温流動性向上剤はバイオ燃料の低温流動性を改善するだけでなく、低温保管時に沈殿が析出すると溶解させる操作が必要となるため、沈殿の析出を抑制できることが求められる。
バイオディーゼル燃料組成物中の脂肪酸メチルエステルの含有量にかかわらず低温保管時の沈殿の析出を抑制できるため、(メタ)アクリル基構造を有する(b)又は(c)が好ましく、(c)がより好ましい。
そのため、本発明品を使用する場合は低温流動性の改善効果と低温保管時のバランスを考慮して、(メタ)アクリル基構造を有する(b)又は(c)が好ましく、(c)がより好ましい。
【0042】
【化10】

【0043】
(式中、p2は1〜50の整数、q2は1〜50の整数、及びr2は1〜5000の整数を表す。)
【0044】
【化11】

【0045】
(式中、Phはフェニル基を表し、Rは炭素数1〜40までの炭化水素基を表し、Rはメチル基又は水素原子を表し、p3は1〜50の整数、q3は1〜50の整数、及びr3は1〜5000の整数を表す。)
【0046】
【化12】

【0047】
(式中、Rは炭素数1〜40までの炭化水素基を表し、Rはメチル基又は水素原子を表し、r4は2〜6000の整数を表す。)
【0048】
【化13】

【0049】
(式中、r5は2〜10000の整数を表す。)
【0050】
【化14】

【0051】
(式中、Rは炭素数1〜40の炭化水素基又は水素原子を表し、p6は1〜50の整数、q6は1〜50の整数、及びr6は1〜5000の整数を表す。)
【0052】
【化15】

【0053】
(式中、Rは、炭素数2〜300の炭化水素基を表し、R10は、炭素数2〜500の炭化水素基又は酸素原子、窒素原子を含んでもよい炭素数2〜500の炭化水素基を表し、r7は1〜500の整数、r8は1〜1000の整数を表し、Aは、HO−又はHO−R10−O−のいずれかを表し、Bは、水素原子又は−CO−R9−COOHのいずれかを表す。)
【0054】
(a)は、エチレンおよび酢酸ビニルを用いて、常法により製造することができる。市販されているエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)を使用してもよい。
(a)の分子量に制限はないが、あまりに分子量が低いと低温流動性向上剤としての効果が低くなり、分子量が高すぎると取り扱いが困難になる場合や、脂肪酸メチルエステルに溶解しない場合が出るため、重量平均分子量が1000〜600000が好ましく、2000〜300000がより好ましく、3000〜100000が更に好ましい。同様の理由により、p2は1〜50、好ましくは1〜20の整数、q2は1〜50、好ましくは1〜20の整数、及びr2は1〜5000、好ましくは10〜1000の整数の範囲内である。
【0055】
p2とq2は(a)の共重合比を表わし、上記数値範囲内の任意の比率で使用できるが、高い低温流動性向上剤としての効果を得るためには、p2/q2=1/9〜20/1が好ましく、1/4〜15/1がより好ましく、1/2〜15/1が更に好ましく、4/5〜9/1が最も好ましい。(a)は市販品を使用するか公知の方法を用いて重合すればよく、重合方法はランダム又はブロック重合でもよいが、製造が容易なためランダム重合が好ましい。
【0056】
(b)は、スチレンおよび(メタ)アクリル酸エステルを、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用いてラジカル重合することにより得られる。
(b)のRは炭素数1〜40の炭化水素基であり、使用できる炭化水素基としては(X)のときに前述した炭素数1〜40の炭化水素基が挙げられる。これらの炭化水素基の中でも高い低温流動性向上剤としての効果を得られるので、アルキル基が好ましい。炭素数は1〜30が好ましく、1〜22がより好ましく、4〜18が更に好ましい。Rはメチル基又は水素原子を表す。分子量に制限はないが、あまりに分子量が低いと低温流動性向上剤としての効果が低くなり、分子量が高すぎると取り扱いが困難になる場合や、脂肪酸メチルエステルに溶解しない場合が出るため、重量平均分子量が1000〜600000が好ましく、2000〜300000がより好ましく、3000〜100000が更に好ましい。同様の理由により、p3は1〜50、好ましくは1〜20の整数、q3は1〜50、好ましくは1〜20の整数、及びr3は1〜5000、好ましくは3〜100の範囲内である。p3とq3は、(b)の共重合比を表わし、任意の比率で使用できるが、高い低温流動性向上剤としての効果を得るためには、p3/q3=1/9〜9/1が好ましく、1/4〜4/1がより好ましく、1/4〜2/1が更に好ましい。(b)は市販品を用いるか、公知の方法を用いて重合すれば良く、重合方法はランダム又はブロック重合でもよいが、製造が容易なためランダム重合が好ましい。
【0057】
(c)は、(メタ)アクリル酸エステルを、重合開始剤としてAIBNを用いてラジカル重合することにより得られる。
(c)のRは炭素数1〜40の炭化水素基であり、使用できる炭化水素基としては(X)のときに前述した炭素数1〜40の炭化水素基が挙げられる。これらの炭化水素基の中でも高い低温流動性向上剤としての効果を得られるのではアルキル基が好ましく、炭素数は1〜30が好ましく、1〜22がより好ましく、4〜18が更に好ましい。Rはメチル基又は水素原子を表す。分子量に制限はないが、あまりに分子量が低いと低温流動性向上剤としての効果が低くなり、分子量が高すぎると取り扱いが困難になる場合や、脂肪酸メチルエステルに溶解しない場合が出るため、重量平均分子量が1000〜600000が好ましく、2000〜400000がより好ましく、7000〜300000が更に好ましい。同様の理由により、r4は2〜6000、好ましくは10〜300の範囲内である。(c)は市販品を使用するか公知の方法を用いて重合すればよい。
【0058】
(d)は、酢酸ビニルを、重合開始剤としてAIBNを用いてラジカル重合することにより得られる。(d)の分子量に制限はないが、あまりに分子量が低いと低温流動性向上剤としての効果が低くなり、分子量が高すぎると取り扱いが困難になる場合や、脂肪酸メチルエステルに溶解しない場合が出るため、重量平均分子量が1000〜600000が好ましく、2000〜300000がより好ましく、3000〜150000が更に好ましい。同様の理由により、r5は2〜7000、好ましくは10〜500の範囲内である。(d)は市販品を使用するか公知の方法を用いて重合すればよい。
【0059】
(e)を得るためには、(X)の中間体である(t)を製造する方法と同様の方法で得ることができる。
(e)のRは炭素数1〜40の炭化水素基であり、使用できる炭化水素基としては(X)のときに前述した炭素数1〜40の炭化水素基が挙げられる。これらの炭化水素基の中でも高い低温流動性向上剤としての効果を得られるのでRはフェニル基又はアルキル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。アルキル基の場合の炭素数は1〜22が好ましく、4〜16がより好ましい。分子量に制限はないが、あまりに分子量が低いと低温流動性向上剤としての効果が低くなり、分子量が高すぎると取り扱いが困難になる場合や、脂肪酸メチルエステルに溶解しない場合が出るため、重量平均分子量が500〜500000が好ましく、500〜120000がより好ましく、5000〜120000が更に好ましく、10000〜90000が最も好ましい。同様の理由により、p6は1〜50、好ましくは1〜20の整数、q6は1〜50、好ましくは1〜20の整数、及びr6は1〜5000、好ましくは2〜300の範囲内である。p6とq6は(e)の共重合比を表わし、任意の比率で使用できるが、高い低温流動性向上剤としての効果を得るためにはp6/q6=1/9〜9/1が好ましく、1/9〜3/1がより好ましく、1/9〜3/2が更に好ましい。
【0060】
(f)のRは、炭素数2〜300の炭化水素基であるが、高い低温流動性向上剤としての効果を得られるので、炭素数2〜100が好ましく、2〜50がより好ましく、2〜20が更に好ましい。Rの炭素数が2未満あるいは300を超えると、低温流動性向上剤として十分な性能を得ることができない。また、R10の好ましい炭素数は、上記Rの好ましい炭素数と同じである。
【0061】
(f)は国際公開番号WO2010/004872号に記載されている、下記の一般式(13)及び/又は一般式(14)で表される化合物(P)と一般式(15)で表される多価アルコール(Q)とを縮合して得ることが出来る反応物であるポリエステルユニットを分子内に50質量%以上含有する重合体である。
【0062】
(f)の分子量に制限はないが、分子構造によってあまりに分子量が低いと低温流動性向上剤としての効果が低くなり、分子量が高すぎると取り扱いが困難になる場合や、脂肪酸メチルエステルに溶解しない場合が出るため、一般式(13)のjの値や一般式(14)のkの値が1の場合は、(f)の重量平均分子量が300〜100000が好ましく、500〜50000がより好ましく、1000〜30000が更に好ましい。r7は1を表し、r8は1〜5000、好ましくは1〜1000の整数である。
【0063】
また、一般式(13)のjの値や一般式(14)のkの値が2以上の場合は、(f)の重量平均分子量が500〜500000が好ましく、1000〜300000がより好ましく、3000〜100000が更に好ましい。一般式(13)のjの値や一般式(14)のkの値が2以上の場合は、同様の理由により、r7は1〜5000、好ましくは5〜500の整数を表し、r8は1〜5000、好ましくは1〜1000の整数である。
【0064】
【化16】

【0065】
(式中、Rは炭素数2〜300の炭化水素基を表し、jは1〜1000の整数を表す。)
【0066】
【化17】

【0067】
(式中、Rは炭素数2〜300の炭化水素基を表し、kは1〜1000の整数を表す。)
【0068】
10−(OH) (15)
(式中、R10は酸素原子、窒素原子を含有してもよい炭素数2〜500の炭化水素基を表し、sは2以上の整数を表す。)
【0069】
一般式(13)で表されるジカルボン酸としては、例えば、jの値が1のときは、コハク酸、グルタミン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のアルカンジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のベンゼンジカルボン酸;マレイン酸等のアルケンジカルボン酸;無水マレイン酸にオレフィンやポリオレフィンを付加反応した後に加水分解して得られる化合物等が挙げられる。
jの値が2以上のときは、ポリ無水マレイン酸の加水分解物、ポリ無水マレイン酸とオレフィンやポリオレフィンとの重合反応物を加水分解して得られる化合物等が挙げられる。
【0070】
また、一般式(14)で表される酸無水物としては、例えば、kの値が1のときは、無水コハク酸、無水グルタミン酸、無水アジピン酸、無水ピメリン酸、無水スベリン酸、無水アゼライン酸、無水セバシン酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水マレイン酸のオレフィンやポリオレフィンの付加物等が挙げられる。
kの値が2以上のときは、ポリ無水マレイン酸、ポリ無水マレイン酸とオレフィンやポリオレフィンとの重合反応物が挙げられる。
【0071】
無水マレイン酸に反応させるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、スチレン、ビニルシクロヘキサン、1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、シクロヘキサジエン等が挙げられ、ポリオレフィンとしては、例えば、上記のオレフィン、好ましくは炭素数2〜8のオレフィンの1種または2種以上を公知の方法で反応すればよい。
【0072】
マレイン酸にオレフィンやポリオレフィンを付加反応させる方法としては、公知の方法を用いて反応させればよく、例えば、無水マレイン酸1モルに対してオレフィン又はポリオレフィン1モルを、180〜350℃で2〜30時間加熱反応させることにより、アルケニル無水コハク酸(一般式(14)のkの値が1)を得ることができ、得られたアルケニル無水コハク酸を公知の方法で加水分解することにより、ジカルボン酸であるアルケニルコハク酸(一般式(13)のjの値が1)を得ることができる。なお、ヒドロキノンやフェノール系化合物等の重合禁止剤を添加してもよい。
【0073】
マレイン酸にオレフィンやポリオレフィンを重合反応させる方法としては、公知の方法を用いて反応すればよく、例えば、無水マレイン酸1モルに対してオレフィン又はポリオレフィン1モル及び重合開始剤を混合し、180〜350℃で2〜30時間加熱反応させることにより、ポリアルケニル無水コハク酸を得ることができ、得られたポリアルケニル無水コハク酸を公知の方法で加水分解することにより、ポリカルボン酸であるポリアルケニルコハク酸を得ることができる。これらのポリマーの重合度は、一般式(13)及び(14)のjやkで表わされ、j及びkの値は2〜1000となるが、低温流動性向上剤として良好な性能を示すことから、j及びkの値は2〜500が好ましく、2〜300がより好ましく、2〜100が更に好ましい。なお、重合開始剤として、例えば、アゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイル等が挙げられる。
【0074】
また、j又はkの値が1の化合物(付加反応物)とj又はkの値が2以上の化合物(重合反応物)との低温流動性向上剤としての性能を比較すると、付加反応物の方が概ね性能は良好であるが、付加反応物と重合反応物が混合したものがより性能は良好となる。
【0075】
一般式(13)及び一般式(14)において、Rは、炭素数2〜300の炭化水素基であるが、低温流動性向上剤としての性能が良好なことから、炭素数2〜100が好ましく、2〜50がより好ましく、2〜20が更に好ましい。Rの炭素数が2未満あるいは300を超えると、低温流動性向上剤として十分な性能を得ることができない。また、Rを好ましい炭素数にすることが容易なことから、ジカルボン酸としては、無水マレイン酸にオレフィンやポリオレフィンを付加反応した後に加水分解して得られる化合物及び無水マレイン酸にオレフィンやポリオレフィンを重合反応した後に加水分解して得られる化合物が、また、酸無水物としては、無水マレイン酸のオレフィンやポリオレフィンの付加物及び無水マレイン酸とオレフィンやポリオレフィンとの重合物が好ましい。
【0076】
一般式(15)は炭素数2〜500の炭化水素基を持ち、sが2以上、すなわち、水酸基を2つ以上含有する有機化合物であればいずれの化合物でもよく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、ポリブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、イソプレングリコール(3−メチル−1,3−ブタンジオール)、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、オクタンジオール(2−エチル−1,3−ヘキサンジオール)、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,2−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール、1,12−オクタデカンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、ソルバイド、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン等の2価アルコール;グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、2,3,4−ヘキサントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、トリメチロールプロパン、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、ペンタメチルグリセリン(2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール)、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の3価アルコール;エリスリトール、ペンタエリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ソルビタン、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等の4価アルコール;アドニトール、アラビトール、キシリトール、トリグレセリン等の5価アルコール;ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、タロース、アロース等の6価アルコール等が挙げられる。
【0077】
また、上記の多価アルコールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加した化合物やポリテトラヒドロフラン等の環状エーテルを付加した化合物も使用することができる。
なお、sが1の場合、すなわち、1価のアルコールは(P)と反応させてもポリエステルにはならず、得られる化合物は低温流動性向上剤としての性能を有さない。
【0078】
本発明において、(P)と反応させる(Q)は2価以上のアルコールであるが、アルコールの価数が大きくなると得られるポリエステルの粘度が上がって取り扱いが困難になる場合や、脂肪酸メチルエステルへの溶解性が低下する場合があるため、2〜4価のアルコール(s=2〜4)が好ましく、2価(s=2)又は3価(s=3)のアルコールがより好ましく、2価のアルコールが更に好ましい。
【0079】
(X)と(Y)成分の比率は任意の割合で使用することが出来るが、十分な低温流動性向上剤としての効果を得るためには、質量比で、(X)/(Y)=10/90〜90/10が好ましく、(X)/(Y)=10/90〜70/30がより好ましく、(X)/(Y)=30/70〜70/30が更に好ましく、(X)/(Y)=45/55〜60/40が最も好ましい。
【0080】
本明細書に記載する用語「バイオディーゼル燃料」とは、100質量%の脂肪酸メチルエステル又は軽油と脂肪酸メチルエステルを含有した燃料であり、軽油としては、JIS K2204で規格化されている1号軽油や2号軽油、3号軽油等のディーゼルエンジンに使用できる一般的な軽油であればいずれも使用することができる。
【0081】
また、脂肪酸メチルエステルとしては、植物から得られる天然油脂を原料にしたもの、動物から得られる天然油脂を原料にしたもの、これらの廃食油を原料にしたもの、及び合成脂肪酸を原料にしたものであればいずれも使用することができるが、バイオディーゼル燃料として使用する場合は天然油脂が好ましい。植物系の天然油脂としては、例えば、アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ脂、カポック油、白カラシ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、シアナット油、シナキリ油、大豆油、茶実油、ツバキ油、コーン油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ひまし油、ひまわり油、綿実油、ヤシ油、木ロウ、落花生油、ヤトロファ油、砂桃油、花椒油及びこれらの混合物等が挙げられ、動物系の天然油脂としては牛脂、豚脂等が挙げられる。脂肪酸メチルエステルの製造方法は公知の方法であればいずれの方法で製造してもよく、例えば、上記の天然油脂とメタノールとを、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ触媒下で加熱してエステル交換をし、不純物として出るグリセリンを除去して得る方法が挙げられる。
【0082】
本発明で使用するバイオディーゼル燃料は、軽油と脂肪酸メチルエステルとの混合物が好ましい。この場合、バイオディーゼル燃料(軽油と脂肪酸メチルエステルの合計)に対して脂肪酸メチルエステルが2〜50質量%になるように配合することが好ましく、2〜30質量%がより好ましく、5〜30質量%が更に好ましく、5〜20質量%が最も好ましい。脂肪酸メチルエステルが2質量%未満であると、化石燃料の使用量を削減して二酸化炭素排出量を低減するという、バイオディーゼル燃料本来の目的を達成させるには不十分な場合があり、バイオディーゼル燃料の意義が薄れてしまう場合がある。又、バイオディーゼル燃料に対して脂肪酸メチルエステルが50質量%を超える場合は、粘度が高くなりすぎるため、エンジン内の燃料噴霧に適さない場合がある。本発明では、上記の配合割合を有するバイオディーゼル燃料の低温保管時の沈殿の析出を抑制に特に効果的である。
【0083】
本発明のバイオディーゼル燃料組成物は、上記のバイオディーゼル燃料と、本発明の低温流動性向上剤とを含有してなるものである。バイオディーゼル燃料に対する本発明の低温流動性向上剤の配合量は特に限定されるものではないが、バイオディーゼル燃料全量に対して0.005〜5質量%配合することが好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.025〜1.5質量%が更に好ましい。配合量が0.0001質量%未満になると十分な効果が現れない場合があり、5質量%を超えると、配合量に見合った効果が得られない場合や、燃料の種類によっては不溶物が発生する場合がある。
【0084】
本発明のバイオディーゼル燃料組成物には、必要に応じてセタン価向上剤を配合することができる。セタン価向上剤としては、軽油のセタン価向上剤として知られる各種の化合物を任意に使用することができ、例えば、2−クロロエチルナイトレート、2−エトキシエチルナイトレート、イソプロピルナイトレート、ブチルナイトレート、第一アミルナイトレート、第二アミルナイトレート、イソアミルナイトレート、第一ヘキシルナイトレート、第二ヘキシルナイトレート、n−ヘプチルナイトレート、n−オクチルナイトレート、2−エチルヘキシルナイトレート、シクロヘキシルナイトレート、エチレングリコールジナイトレート等が挙げることができるが、特に、炭素数6〜8のアルキルナイトレートが好ましい。セタン価向上剤の含有量は、バイオディーゼル燃料組成物全量に対して500〜1400質量ppm、好ましくは600〜1250質量ppm、更に好ましくは700〜1100質量ppmの範囲内である。セタン価向上剤を配合する場合、その配合量が500質量ppm未満であると、十分なセタン価向上効果が得られず、ディーゼルエンジン排出ガス中の粒子状物質(PM)、アルデヒド類、さらにはNOxが十分に低減できないことがあるために好ましくない。また、セタン価向上剤の配合量が1400質量ppmを超えても、それに見合う効果が期待できず、経済的に不利になる場合がある。
【0085】
また、本発明のバイオディーゼル燃料組成物には、必要に応じて清浄剤を配合することができる。清浄剤としては、例えば、イミド系化合物;ポリブテニルコハク酸無水物とエチレンポリアミン類とから合成されるポリブテニルコハク酸イミドなどのアルケニルコハク酸イミド;ペンタエリスリトールなどの多価アルコールとポリブテニルコハク酸無水物から合成されるポリブテニルコハク酸エステルなどのコハク酸エステル;ジアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ビニルピロリドンなどとアルキルメタクリレートとのコポリマーなどの共重合系ポリマー、カルボン酸とアミンの反応生成物等の無灰清浄剤等が挙げられ、中でもアルケニルコハク酸イミド及びカルボン酸とアミンとの反応生成物が好ましい。これらの清浄剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。清浄剤の配合量は、特に限定されるものではないが、清浄剤を配合した効果、具体的には、燃料噴射ノズルの閉塞抑制効果を引き出すため、清浄剤の配合量は、バイオディーゼル燃料組成物全量に対して30〜300質量ppm、好ましくは60〜200質量ppmの範囲内である。清浄剤の配合量が30質量ppm未満の場合、上記の効果が現れない場合があり、また、300質量ppmを超えてもそれに見合う効果が期待できず、逆に、ディーゼルエンジン排出ガス中のNOx、PM、アルデヒド類等を増加させる場合がある。
【0086】
更に、本発明のバイオディーゼル燃料組成物には、性能を更に高める目的で、その他の公知の燃料油添加剤を単独で、または数種類組み合わせて添加することもできる。その他の添加剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、トリエタノールアミン、アルキルジエタノールアミン等のアミン類、ヘキサン、トルエン、トリメチルベンゼン、鉱油等の炭化水素溶剤、脂肪族エステル、多価アルコールエステル等のエステル類;フェノール系、アミン系、ビタミン系などの酸化防止剤;脂肪酸、グリセリンエステル、アルキルアミン、脂肪酸アミドなどの潤滑性向上剤;サリチリデン誘導体などの金属不活性化剤;ポリグリコールエーテルなどの氷結防止剤;脂肪族アミン、アルケニルコハク酸エステルなどの腐食防止剤;アニオン系、カチオン系、両性系界面活性剤などの帯電防止剤;アゾ染料などの着色剤;シリコン系などの消泡剤等、メタノール、2−プロパノールなどの水抜き剤が挙げられる。その他の添加剤の配合量は任意に決めることができるが、添加剤個々の配合量は、バイオディーゼル燃料組成物全量に対して、0.001〜0.5質量%、より好ましくは0.001〜0.2質量%の範囲内である。
【実施例】
【0087】
以下本発明を実施例により、具体的に説明する。尚、以下の実施例等において%及びppmは特に記載が無い限り質量基準である。Mwは重量平均分子量を表し、配合比は質量比とする。
【0088】
<重量平均分子量の測定方法>
重量平均分子量は、GPCにより算出した。測定に用いた機器及び測定条件は以下の通りである。
検出器:RI検出器 HLC−8120GPC[東ソー(株)]
カラム:TSKgel G4000Hxl、TSKgel G3000Hxl、TSKgel
G2000Hxl[いずれも東ソー(株)]を直列に接続。
展開溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
展開溶媒流速:1ml/分
サンプル濃度:0.5質量%
測定温度:40℃
【0089】
<流動点試験>
上記低温流動性向上剤を基油1(大豆油由来脂肪酸メチルエステル100%)、基油2(大豆油由来脂肪酸メチルエステルを5%含む軽油)、又は基油3(ナタネ油由来脂肪酸メチルエステル100%)を用いてバイオディーゼル燃料組成物を調整し、JIS K2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」に記載の方法で測定を行った。即ち、試験管に45mlの試料(バイオディーゼル燃料組成物)を入れて45℃に加温し、次いで、冷却浴を用い、試料を冷却する。試料の温度が2.5℃下がるごとに試験管を冷却浴から取り出して傾け、試料が5秒間、全く動かなくなった時の温度を読み取り、この値に2.5℃を加えた値を流動点とした。なお、実験に使用した軽油は、JIS K2204で規格化されている1号軽油に相当するものである。
試験に(X)として使用した一般式(1)の構造を下表に示した。なお、r1は示したMwとなるための重合度である。
【0090】
<低温保管試験>
上記低温流動性向上剤を基油A(大豆油由来脂肪酸メチルエステル100%)、基油B(大豆油由来脂肪酸メチルエステルを5%含む軽油)、基油C(大豆油由来脂肪酸メチルエステルを20%含む軽油)又は基油D(軽油100%)を用いてバイオディーゼル燃料組成物を調整し、所定の温度で保管し、その様子を目視で観測した。即ち、キャップ付きガラス瓶に45mlの試料(バイオディーゼル燃料組成物)を入れて、基油A、B及びCは−5℃、基油Dは−20℃の冷凍庫に静置する。1週間後、沈殿の有無を目視で観測した。沈殿の析出が有ったサンプルを○、沈殿の析出が無かったサンプルを×として、基油A〜Dを使用して試験を行った結果をそれぞれ順に結果4〜7として表12に示した。
【0091】
【表1】

【0092】
以下に(Y)成分、及び(X)成分と(Y)成分以外の成分であるその他の成分の構造を下記に示した。
【0093】
【表2】

【0094】
Y−7:無水オクタデシリデンコハク酸1molとジエチレングリコール1molから得られるポリエステル(Mw=5200)[一般式(7)において、Rの炭素数=20、R10の炭素数=4、A=HO−及びHO−R−O−、B=水素原子及び−CO−R10−COOH、r7=1、r8の平均重合度=12.7]
【0095】
Y−8:オクタデセン1molと無水マレイン酸1molとの重合物[一般式(14)において、kの平均重合度=30、Rの炭素数=20]と、エチレングリコール0.5molから得られるポリエステル(重量平均分子量=220600)[一般式(7)において、Rの炭素数=20、R10の炭素数=2、A=HO−及びHO−R10−O−、B=水素原子及び−CO−R−COOH、r7の平均重合度=30、r8の平均重合度=18.5]
【0096】
その他の成分1:ポリプロピレン(Mw=174000)
その他の成分2:ポリスチレン(Mw=20000)
その他の成分3:ポリ(アクリル酸ナトリウム)(Mw=16000)
【0097】
<合成法>
X−1は下記の方法によって合成した。
窒素導入管、還流管、攪拌装置及び温度計を備えた窒素吹き込み管及びコンデンサーを備えた1000mlフラスコに、スチレン0.25mol(26g)と無水マレイン酸0.25mol(25g)、メチルエチルケトン350g、アゾビスイソブチロニトリル0.01mol(0.3g)仕込み、70℃、5時間加熱し、反応を終了した。得られた反応生成物から溶媒を減圧留去してスチレンと無水マレイン酸のランダムコポリマー51gを得た。続いて、得られたランダムコポリマー51gに1−ドデカノール0.50mol(93.2g)を仕込み、150℃、8時間攪拌し、反応を終了した。得られた反応生成物から溶媒を減圧留去して目的物を140g得た。
【0098】
X−2〜X−5、X−9〜X−11はX−1と同様の方法で反応させ、合成した。
X−4、X−5では、スチレンの代わりに1−オクタデセンを用いた。
【0099】
X−6は下記の方法によって合成した。
窒素導入管、還流管、攪拌装置及び温度計を備えた窒素吹き込み管及びコンデンサーを備えた1000mlフラスコに、スチレン0.25mol(26g)と無水マレイン酸0.25mol(25g)、メチルエチルケトン350g、アゾビスイソブチロニトリル0.01mol(0.3g)仕込み、70℃、5時間加熱し、反応を終了した。得られた反応生成物から溶媒を減圧留去してスチレンと無水マレイン酸のランダムコポリマー51gを得た。続いて、得られたランダムコポリマー51gにドデカノール0.25mol(46.6g)を仕込み、80℃、2時間攪拌した。得られた反応生成物から溶媒を減圧留去して目的物を98g得た。
【0100】
X−7はX−6と同様の方法で反応させ、合成した。
ここでは、スチレンの代わりに1−オクタデセンを用いた。
【0101】
X−8は下記の方法によって合成した。
窒素導入管、還流管、攪拌装置及び温度計を備えた窒素吹き込み管及びコンデンサーを備えた1000mlフラスコに、スチレン0.25mol(26g)と無水マレイン酸0.25mol(25g)、メチルエチルケトン350g、アゾビスイソブチロニトリル0.01mol(0.3g)仕込み、70℃、5時間攪拌し、反応を終了した。続いて、蒸留水0.25mol(4.5g)を仕込み、80℃、2時間攪拌し、反応を終了した。得られた反応生成物から溶媒を減圧留去して目的物を56g得た。
【0102】
Y−1は下記の方法によって合成した。
窒素導入管、還流管、攪拌装置及び温度計を備えた窒素吹き込み管及びコンデンサーを備えた1000mlフラスコにエチレン0.5mol(14g)、酢酸ビニル0.5mol(43g)、ヘキサン230gを加え、60℃ にて撹拌し溶解した。次いで、これを−20℃ にて4時間静置後、−20℃にて遠心分離(10000rpm×30分間)し、不溶分を単離した。得られた反応生成物から溶媒を減圧留去して目的物を57g得た。
【0103】
Y−2は窒素導入管、還流管、攪拌装置及び温度計を備えた窒素吹き込み管及びコンデンサーを備えた1000mlフラスコに、スチレン0.25mol(26g)とメタクリル酸ドデシル0.25mol(63.6g)、メチルエチルケトン350g、アゾビスイソブチロニトリル0.01mol(0.3g)仕込み、70℃、5時間攪拌し、反応を終了した。得られた反応生成物から溶媒を減圧留去して目的物を89g得た。
【0104】
Y−3は下記の方法によって合成した。
窒素導入管、還流管、攪拌装置及び温度計を備えた窒素吹き込み管及びコンデンサーを備えた1000mlフラスコに、アクリル酸ドデシル0.5mol(120g)、メチルエチルケトン350g、アゾビスイソブチロニトリル0.01mol(0.3g)仕込み、70℃、5時間攪拌し、反応を終了した。得られた反応生成物から溶媒を減圧留去して目的物を120g得た。
Y−4はメタクリル酸ドデシルを用いて、Y−3と同様の方法で反応させ、合成した。
Y−5はAldrich製、試薬コード:189480を使用した。
【0105】
Y−6は下記の方法によって合成した。
窒素導入管、還流管、攪拌装置及び温度計を備えた窒素吹き込み管及びコンデンサーを備えた1000mlフラスコに、スチレン0.25mol(26g)と無水マレイン酸0.25mol(25g)、メチルエチルケトン350g、アゾビスイソブチロニトリル0.01mol(0.3g)仕込み、70℃まで加熱し、同温で5時間反応を行ない、反応を終了した。得られた反応生成物から溶媒を減圧留去して目的物を88g得た。
【0106】
Y−7は下記の方法によって合成した。
窒素導入管、還流管、攪拌装置及び温度計を備えた窒素吹き込み管及びコンデンサーを備えた1000mlフラスコに、1−オクタデセン1mol(252g)と無水マレイン酸1mol(98g)を仕込み、210℃まで加熱し、同温で20時間反応を行なって、無水オクタデシリデンコハク酸を350g得た。続いて、80℃まで冷却し、エチレングリコール1mol(62g)を加えた後、1.3kPaに減圧し、160℃に昇温して2時間反応を行ない、目的物を376g得た。
【0107】
Y−8は、下記の方法によって合成した。
窒素導入管、還流管、攪拌装置及び温度計を備えた窒素吹き込み管及びコンデンサーを備えた1000mlフラスコに、1−オクタデセン1mol(252g)と無水マレイン酸1mol(98g)、触媒としてアゾビスイソブチロニトリル3.5gを仕込み、220℃まで加熱し、同温度20時間反応を行って、オクタデセンと無水マレイン酸のポリマーを得た(一般式(14)において、kの平均重合度=30、Rの炭素数=20)。続いて、80℃まで冷却してエチレングリコール0.5mol(31g)を加えた後、1.3kPaに減圧し、160℃に昇温して2時間反応を行ない、目的物を364g得た。
【0108】
その他の成分1はAldrich製、試薬コード:452149を使用した。
その他の成分2はFluka製、試薬コード:81407を使用した。
その他の成分3はFluka製、試薬コード:81123を使用した。
【0109】
以下に試験結果を示した基油1を使用して試験した結果1、基油2を使用して試験した結果2、及び基油3を使用して試験した結果3を表3〜12に記載した。
【0110】
【表3】

【0111】
【表4】

【0112】
【表5】

【0113】
【表6】

【0114】
【表7】

【0115】
【表8】

【0116】
【表9】

【0117】
【表10】

【0118】
【表11】

【0119】
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される共重合体(X)、一般式(1)を除くカルボニル基を含有する1種又は2種以上の化合物〔(Y)成分〕、及びバイオディーゼル燃料〔(Z)成分〕を含有することを特徴とするバイオディーゼル燃料組成物。
【化1】

(式中、R、R及びRは、それぞれ独立し、酸素原子を含んでもよい炭素数1〜40の炭化水素基又は水素原子を表し、p1は1〜50の整数、q1は1〜50の整数、及びr1は1〜5000の整数を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)のRがフェニル基、又はアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立し、炭素数1〜30のアルキル基である請求項1に記載のバイオディーゼル燃料組成物。
【請求項3】
前記バイオディーゼル燃料〔(Z)成分〕が、脂肪酸メチルエステルと軽油の混合物であり、脂肪酸メチルエステルと軽油の合計量に対して、脂肪酸メチルエステルが2〜50質量%である、請求項1又は2に記載のバイオディーゼル燃料組成物。
【請求項4】
前記(Y)成分が一般式(2)で表される共重合体(a)、一般式(3)で表される共重合体(b)、一般式(4)で表される重合体(c)、一般式(5)で表される重合体(d)、一般式(6)で表される共重合体(e)、及び一般式(7)で表される重合体(f)の群から選択される1種又は2種以上の化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のバイオディーゼル燃料組成物。
【化2】

(式中、p2は1〜50の整数、q2は1〜50の整数、及びr2は1〜5000の整数を表す。)
【化3】

(式中、Phはフェニル基を表し、Rは炭素数1〜40までの炭化水素基を表し、Rはメチル基又は水素原子を表し、p3は1〜50の整数、q3は1〜50の整数、及びr3は1〜5000の整数を表す。)
【化4】

(式中、Rは炭素数1〜40までの炭化水素基を表し、Rはメチル基又は水素原子を表し、r4は2〜6000の整数を表す。)
【化5】

(式中、r5は2〜10000の整数を表す。)
【化6】

(式中、Rは炭素数1〜40の炭化水素基又は水素原子を表し、p6は1〜50の整数、q6は1〜50の整数、及びr6は1〜5000の整数を表す。)
【化7】

(式中、Rは、炭素数2〜300の炭化水素基を表し、R10は、炭素数2〜500の炭化水素基又は酸素原子、窒素原子を含んでも良い炭素数2〜500の炭化水素基を表し、r7は1〜500の整数、r8は1〜1000の整数を表し、Aは、HO−又はHO−R10−O−のいずれかを表し、Bは、水素原子又は−CO−R9−COOHのいずれかを表す。)
【請求項5】
前記(X)と(Y)成分の質量比が、(X)/(Y)=10/90〜90/10である請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオディーゼル燃料組成物。
【請求項6】
更に、セタン価向上剤、清浄剤溶剤、酸化防止剤、潤滑性向上剤、金属不活性剤、氷結防止剤、腐食防止剤、帯電防止剤、着色剤、水抜き剤及び消泡剤からなる群から選択される1種または2種以上のその他の添加剤を配合してなる、1〜5のいずれか1項に記載のバイオディーゼル燃料組成物。

【公開番号】特開2011−202164(P2011−202164A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47536(P2011−47536)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】