説明

バイオマススラッジの分解用のガス化装置及び焼却炉

粒子サイズが1cm以下であり固体含有量が20%〜100%であるバイオマススラッジのガス化装置は、主チャンバと、ヒューム移送ベントと、主チャンバからのヒュームを受ける混合チャンバと、混合チャンバと流体連通されるアフターバーナーチャンバとを有する。補助バーナーは、アフターバーナーチャンバの垂直部分内に初期加熱火炎を発生する。熱伝達チャンバは、アフターバーナーチャンバと流体連通する。アフターバーナーチャンバからの加熱されたガスは、熱伝達チャンバを加熱する。主チャンバは、熱伝達チャンバ上に重ねて設けた熱伝導床を備え、主チャンバの伝導及び対流加熱が生じるようにされる。少なくとも一つの主オーガーは、第1の端部をスラッジ供給ホッパーと第2の端部を灰ホッパーとの間で主チャンバ内に交差して配置される。熱伝達チャンバは、灰オーガーの端部の近くで主オーガーの下方に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス廃棄物及び特に動物の排泄物又はその他の汚物スラッジ等のようなバイオマススラッジ及びスラッジ状物質を処理する焼却炉等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
種々のバイオマススラッジ、特に、解体処理する目的で恐らく数千頭もの動物を飼育している工場化畜産農場からの動物の排泄物は不活性で無菌の物質に還元するように適切に処理されるべきである必要がある。バイオマス及びその他の関連した揮発性固体のこれらの形態はしばしば、分解されなければならない伝染性或いは致命的なバクテリアやウイルスを含んでいる。動物の排泄物は相当な量の水分を含んでいるが、しかしまた大きな割合の水素、炭素及びまたとりわけ窒素、硫黄、鉄、塩素、マグネシウム、ナトリウム及びカリウムのような多くの微量元素を含んでいる。これらの全ての物質を加熱して有機物質を気体、好ましくは元素水素及び酸素のような無害な気体に変換し、水蒸気及び残留構成成分及び元素と共に残留二酸化炭素に酸化させることが望ましい。通常常温や周囲の環境温度で固体である残留物は最終的には不活性の無機物質とすべきである。
【0003】
かかるバイオマス廃棄物及び関連した揮発性固体を相対的に不活性の及び無機塩、合金或いはその他の化合物に還元するために、分子構造間の化学結合を壊すようにこれらの物質を十分に加熱する必要がある。水素・炭素結合のような種々の化学結合を壊すには強く加熱する必要がある。水素・炭素結合は通常、分解しなければならない有機物質において見られるので、本質的には全ての水素・炭素結合を壊す必要がある。このようにしてかかる物質を強く加熱することは熱分解として知られており、かかる熱分解は熱の作用による化学的分解として定義される。通常、このように熱分解は850℃〜1000℃程度の温度で行われる。理想的には灰物質が生成され、かかる灰物質は殆ど無機塩から成り、1000℃で加熱した場合にはオレンジ赤橙色を呈し、そして冷えると殆ど白色灰となる。有機物質の主成分、すなわち水素及び炭素はガス化されて、主として二酸化炭素と水とになる。
【0004】
最終生成物として望ましくなくしかも許容できないものは黒色灰である。このような黒色灰は、完全に還元されてなく、灰の中に他の物質として炭素及び炭化水素物質が含まれていることを表している。従って、灰は有機物質を含んでおり、このような有機物質はバクテリアやウイルスの形態でも存在し、或いは灰は、ダイオキシン、フラン及びその他の有機塩化物のような有毒物質を含むか化学成分であるかもしれない。
【0005】
基本的には、加熱より廃棄物自体を処理し、この処理には大抵、全ての物質を気化できるようにするために、水素・炭素結合のような種々の化学結合を熱分解により壊すことが含まれる。
【0006】
簡単に言えば、バイオマスの焼却は、ガス化段階と炭素段階との二つの段階から成っている。最初のガス化段階では、バイオマスが加熱される際にすなわち熱を吸収する際にバイオマスから気体が放出され、かかる気体には水、メタンなどのような炭化水素ガス及びその他の揮発性有機成分(VOC)が含まれている。ガス化段階が終端に近づくにつれて、残っているスラッジは、通常、特に炭素やその他の無機質を含む粉末状物質になる。焼却の炭素段階では、炭素は普通付加的な空気の流れを設けることによって酸化され、そして二酸化炭素が残っている灰から放出される。
【0007】
さらに、本発明によるバイオマススラッジの二段階焼却は以下に説明するようなホット炉床システムで端に起こり、また最初のガス化段階は通常、付加的な酸素を必要とせずに、第2の炭素段階より僅かに低い温度で生じることが認識されるべきである。また、普通付加的な酸素、通常空気は、炭素段階焼却の行われる焼却炉側に供給される。
【0008】
数千頭の牛が野等の牧草地に放牧されているのではなく互いに近接した牛舎で飼われており、そしてかいばおけから牛に給餌しているテキサス州の大規模な飼育場における牛の動きの研究によれば、毎日2000トンもの量の牛の排泄物が出てくることが示されている。かかる量の生物スラッジのようなものを埋め立てたり池に溜めておくことは短期間の解決であるに過ぎない。そして周辺区域へ流れ出たりその区域の環境汚染につながり得る。
【0009】
遺憾なことに、いわゆる“工場化畜産農場”からの流れ出しの周知の例として、2000年5月にカナダ国オンタリオ州ウォーカートン市で起きた、市営水道に流れ出た排泄物が混入した例がある。殆ど大腸菌のために七人が死亡し、2300人以上の人々が病気に罹った。この事態は全ては、解体処理の目的で肉牛を飼育している一つ以上の工場化畜産農場からの流れ出し、そして汚染された雨水が市営水道を汲み上げる帯水層或いはその他の地下水源に入り込んだ結果として起こった。市営水道系統は適切に管理、監督されてなかったが、しかしそのような流れ出しを防ぐ適切な制御がなされていれば、悲劇が生じていたかどうか分からない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願の発明者は、牛又はその他の動物の排泄物、或いは人間の排泄物のようなバイオマススラッジが、上述の熱分解によって、以下に説明する連続したプロセスで、しかも一度熱分解プロセスが確立されると付加的なエネルギの必要性が極めて僅かであるような仕方で、有効に燃焼でき或いは焼却できることを全く予期せずに発見した。バイオマススラッジは、有効に、熱分解或いはガス化によってそれ自体の分解を保証するように機能する単独の燃料である。
【0011】
本発明において、焼却され得るバイオマススラッジの性質は、好ましくは1cm未満、及びさらに一般的には1〜5mmの範囲の粒子サイズをもつ相対的に微細なコンシステンシーを持つようにされなければならない。さらに、スラッジは、微細に分割した固体の含有量を100%まで含み得るが、一般的には、動物の排泄物のようなバイオマススラッジは、固体の範囲が20%〜80%までであり、残りは水である。以下に説明するように、バイオマススラッジは、オーガーによって動かすことができるようでなければならない。
【0012】
本発明は、いわゆる“ホット炉床システム”を有し、焼却すべきバイオマススラッジの装填量は、以下に説明する仕方で下から加熱される非常にホットな炉床上に存在することを意味していることも強調される。
【0013】
さらに、以下に説明するように、本発明では、焼却炉の冷却及び加熱期間を必要とするバッチプロセスによるよりむしろバイオマススラッジを焼却するのに連続した動作を行う。明らかに、バイオマススラッジの焼却が連続したプロセスを用いて行われ、それにより焼却炉の冷却及び加熱を避けることができる場合には、結果としてエネルギの非常に節約することができる。
【0014】
以下例として添付図面を参照して本発明の複数の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の先行技術の焼却炉の側部断面図。
【図2】第2の先行技術の焼却炉の側部断面図。
【図3】第3の先行技術の焼却炉の側部断面図。
【図4】第3の先行技術の焼却炉の平面図。
【図5】本発明によるバイオマスガス化装置及び焼却炉の概略正面図。
【図6】本発明によるバイオマスガス化装置及び焼却炉の概略平面図。
【図7】本発明による別のバイオマスガス化装置及び焼却炉の概略正面図。
【図8】本発明による更に別のバイオマスガス化装置及び焼却炉の概略正面図。
【図9】本発明によるバイオマスガス化装置及び焼却炉の構造の細部を示す図3と同様な側部断面図。
【図10】本発明によるバイオマスガス化装置及び焼却炉の構造の細部を示す図4と同様な平面図。
【0016】
殆ど全てのバイオマス焼却は、焼却のためにバイオマス装填量の装填される主チャンバと、主チャンバに対して熱伝達関係にある補助すなわち熱伝達チャンバか又は焼却炉の出口煙道へ通じるアフターバーナーチャンバとの少なくとも二つのチャンバを有する焼却炉において行われる。
【0017】
主チャンバにおいて全てのバイオマス物質を揮発させるために、種々の分子間の結合、主として水素と炭素との結合を壊す必要がある。結合のこの破壊は本質的には化学反応、一般的には吸熱化学反応であり、種々の反応を起こさせるためにある量の外部熱エネルギを物質に導入することが必要である。酸化反応は発熱反応であり、これらの反応は反応物質から熱エネルギを放出させる。アフターバーナーチャンバにおけるこの放出された熱エネルギは、主チャンバ内の温度を上昇させ、従って、この温度上昇によりこれらの物質をそれらの揮発温度に強制する。
【0018】
バイオマス物質に導入した外部熱エネルギが非常に高い温度である、或いは特に濃縮領域において非常に急激に加えられる場合には、二つの事態が生じる傾向がある。第1に、生じるあらゆる反応はどちらかと言えば激しい傾向にあり、揮発するバイオマスのヒュームへの飛散灰を生成させる。第2には、突然の集中反応が大量の熱エネルギを発生し、この大量の熱エネルギによって、周囲の物質を急激に揮発させ、この揮発は幾分激しい。さらに、実質的な量の物質が上記で説明したように相対的に短い時間間隔の間に揮発すると、主チャンバの周囲温度は実質的に上昇し、従って残りのバイオマスを制御された速度ではなく比較的迅速に揮発させる。言い換えれば、反応は、少なくともある程度、制御されない。
【0019】
一般に制御可能でありしかも熱発生速度及び反応速度における急激な変化がなく、従って急激な物理的外乱の比較的ない連続した揮発反応を得るためには、バイオマス物質の揮発点へのバイオマス物質の温度の連続したゆっくりした上昇を行うように外部熱エネルギを加える必要がある。
【0020】
全ての先行技術の焼却炉及び焼却装置は、バイオマス物質を揮発するために、バイオマス物質を加熱することに関して、相対的に強力な技術を用いるように設計される。本質的に、全ての先行技術の焼却炉は、熱エネルギ入力が多くなればなるほど、化学反応及び揮発が多くなるという仮定に基いて、“ブルート(brute)力”を用いて要求された揮発を生じさせる。
【0021】
先行技術の図1に一例を示す典型的な焼却炉及び焼却装置は符号1で示され、二つ以上のバーナーを使用し、第1のバーナー2は、焼却炉1の主チャンバ3に設けられ、主チャンバ3には、焼却するバイオマス装填物或いはその他の物質が入れられ、また第2のバーナー5はヒュームベント6には位置されている。主チャンバ3における第1のバーナー2は、バイオマス4に向けられ、バイオマス4を最初に点火するようにされる。しかし、流出されるヒュームは、水素・炭素結合をもつ飛散灰、及びその他の焼却されない物質のような多量の物質を含んでいる。従って、第2のバーナー5は、ヒュームに含まれる物質をさらに燃焼させるアフターバーナーとして作用するように含まれる。しかし、飛散灰のような相対的に多くの物質は数100万又は数10億の分子を含み得、従って、ヒュームによって運ばれるかかる量の物質は、アフターバーナーチャンバ7を通過する時間内には十分には焼却されない。
【0022】
主チャンバ3における第1のバーナー2は、直接、バイオマス4又は焼却すべきその他の物質に向けられ、バイオマス4を直接燃焼させるようにしている。炎は、バイオマス廃物を燃やし、そしてまたバイオマス4を物理的に攪拌させる。その結果、望ましくないほど大量の飛散灰が燃焼バイオマス4からの煙に含まれる。煙及び飛散灰には、有機物質でありかつまたダイオキシン、フラン及び有機塩化物のような望ましくない危険な化合物を含み得る不燃焼物質が含まれている。
【0023】
さらに、この形式の先行技術の焼却炉1は、廃物物質の全てを適切に焼却するのには、全体的に十分な熱強度を得ることができない。バイオマス4の外側を焼却する主チャンバ3内の第1のバーナー2によって及びまたバイオマス4に接触するとすぐにバイオマス4を燃焼させるように十分に結果として昇熱する主チャンバ3の床8によって単に局部的な加熱されるだけである。燃焼する物質を完全にガス化するには熱強度が十分でなく、またバイオマスの中心の廃物物質を完全にガス化させるには熱強度が確かに十分でない。実際に、バイオマス装填物4の中心の廃物物質は全然燃焼しないことが分かった。生成される灰はなお黒色であり、このことは、灰に多くの炭素が含まれていることを示している。普通、ダイオキシン、フラン及び有機塩化物のような望ましくない物質
並びにその他の有機物質も存在していることが分かった。この黒色灰は、通常、原廃物物質の約10容量%〜15容量%(及び約15重量%〜25重量%)である。
【0024】
図2には、先行技術の焼却炉及び焼却装置に伴う問題点の幾つかを解決する改良型の焼却炉及び焼却装置を示している。この焼却炉は、本質的には、1986年8月5日に発行された本願の発明者の米国特許第4,603,644号に記載されているものである。この米国特許に記載され、符号10で示された焼却炉及び焼却装置は、主チャンバ13の後部壁12にベント11を備えており、このベント11は垂直に配置した火炎チャンバ14に通じている。火炎チャンバ14は、混合チャンバ15及びアフターバーナーチャンバ17を備え、混合チャンバ15においては、基本バーナー部材16からの火炎が主チャンバ13からのヒュームと混合し、またアフターバーナーチャンバ17では、混合チャンバ15からのヒュームは水素・炭素結合を壊すように反応され、そしてヒューム中の物質をガス化する。このプロセスは“分解(クラッキング)”として知られている。アフターバーナーチャンバ17は90°角部を備え、そこで“分解”の殆んどが行われる。アフターバーナーチャンバ17の相対的に短い水平に位置した部分は、ほぼ水平に配置した熱伝達チャンバ18に通じている。アフターバーナーチャンバ17における水素・炭素結合の“分解”からの熱は熱伝達チャンバ温度を約1000℃に上昇させる。熱伝達チャンバ内の熱は、主チャンバ13及び主チャンバ13内のバイオマス9を加熱するために、主チャンバの床でもある熱伝達チャンバのルーフ19を通って上昇する。このように、バイオマス9は熱伝達チャンバ18から伝導及び対流熱を受け、この伝導及び対流熱は主チャンバ13におけるバイオマス9の加熱を補助している。バーナー部材16は、主チャンバ13からのベント11の近傍の混合チャンバ15の頂部分に配置されている。従って、バーナー部材16からの火炎は、ベント11を通って主チャンバ13に直接輻射熱を供給する。この直接輻射熱は焼却すべきバイオマス9に達し、そしてバイオマス9の加熱(“直接輻射熱揮発”として知られている)に部分的に役立っている。直接輻射熱によるこの焼却は、早期点火を生じするようにバイオマス9の燃焼を生じさせ、この早期点火はプロセスの早期段階では不完全燃焼につながる。点火バーナー19は廃物体の燃焼を助けるように設けられている。このバーナーの点火は、主チャンバを不安定にさせ、飛散灰物質を放出させ得
る。飛散灰の幾分かはアフターバーナーチャンバ17内でガス化されるようになるが、しかし飛散灰の幾分かは完全にガス化されずにアフターバーナーチャンバ17を通過し得る可能性がある。このような不完全なガス化は一般的には、この物質が水素・炭素、ダイオキシン、フラン並びにバクテリアやウイルス及びその他のマイクロ有機物のようなその他の望ましくない有機物質を含んでいるので、受入れ難い。
【0025】
全ての先行技術の焼却炉及び焼却装置は、主チャンバ内の温度を安定化しようとするために、一つ以上、できれば幾つかの制御システムを使用している。このような多数の制御システムの使用は、主チャンバにおける温度が変動し、従って安定であると考えることのできない全体システムとなることが分かった。安定性のこのような欠如は、本質的に相互に対して作用する多数の制御システムによって生じられる。
【0026】
上述のような先行技術の焼却炉及び焼却装置は、固有の焼却特性が生じるために、許容できない最終生成物を生じる。生じられるヒュームは、比較的高いレベルの水素・炭素、ダイオキシン、フラン、その他の物質を含んでおり、そしてまた飛散灰も含み得、焼却炉に残る結果としての灰には、バクテリア、ウイルス及びその他のミクロ有機体のような望ましくない有機物質が含まれ得る。従って、バイオマス廃物及び関連した揮発性固体の焼却は、潜在的に伝染性の廃物を総体的に安全にできないので、一般的に許容できない。
【0027】
別の先行技術としては図3及び図4に示すものがあり、符号20で示すガス化装置が
示されている。このガス化装置20は、1997年3月18日に発行された本願の発明
者の米国特許第5,611,289号及び2000年9月12日に発行された米国特許
第6,116,168号に示されているものである。ガス化装置20は、ガス化すべき
廃物物質22を受けるように形成された主チャンバ30を備えている。主チャンバ30
は、主チャンバ30への選択的なアクセスを許す主扉部材32を備えている。主扉部材
32には、主チャンバ30内へ少量の空気又は酸素を流入させる低容積の空気入口34が設けられ得る。主チャンバ30の床36は、内部に装填される数千ポンドの物質の重さを支持するのに十分な強さとなるように適当な耐火材料で構成されている。床36はまた下方から主チャンバ30内へ熱を導入できるように熱伝導性である。
【0028】
主チャンバ30の後方で主チャンバ30の頂部近くにはヒューム転換ベント38が設けられている。ヒューム転換ベント38は主チャンバ30と流体連通して、廃物物質22がガス化されることになる際に、主チャンバ30からヒュームを逃させるようにしている。ヒューム転換ベント38からのヒュームには、気体並びにまた水素、炭素及び酸素分子が含まれており、構成成分の多くは、互いに結合した水素及び炭素、すなわち水素・炭素結合を含んでいる。
【0029】
垂直に配置した混合チャンバ40は、ヒューム転換ベント38と流体連通し、それにより主チャンバ30からのヒュームを受ける。アフターバーナーチャンバ42は混合チャンバ40と流体連通している。好ましい実施形態では、アフターバーナーチャンバ42の垂直に配置された第1の部分は、双方向矢印“A”で示すように、90°の角部で、水平に配置された第2の部分46に接続されている。90°の角部における“角部空角部まで”の幅は、以下に詳細に説明するように、アフターバーナーチャンバ42の効果を最大化するように、アフターバーナーチャンバ42の幅より大きい。それによりアフターバーナーチャンバ42は、主チャンバからのヒュームの構成成分の実質的に全てを加熱火炎で十分に酸化するような形状に形成されかつ寸法決めされる。
【0030】
補助熱入力バーナー48の形態のバーナー部材は、混合チャンバ40の頂部に設けられ、そして混合チャンバ40を通ってアフターバーナーチャンバ42の第1の垂直に配置された部分内へ下向きに加熱火炎を照射するように方向決めされている。補助熱入力バーナー48からの加熱火炎は、ヒュームの構成成分を付加的に酸化させて、これらの成分の主要部分を二酸化炭素と水蒸気とに完全に分解し、水蒸気は約100℃の温度で及びこの温度以上では気体である。
【0031】
混合チャンバは、主チャンバ30からのヒュームの構成成分と周囲空気及び酸素入口49からの酸素とを混合し、酸素入口49は補助熱入力バーナー48のと並置されて設けられている。
【0032】
補助熱入力バーナー48は、補助熱入力バーナー48へそれぞれ燃料及び酸素ガスを供給する燃料入口及び空気入口を備えている。補助熱入力バーナー48にはワイヤ57を介して制御手段が作動的に接続され、この制御手段は補助熱入力バーナー48への燃料の供給を制御するのに用いられる。一般的には、最初にアフターバーナーチャンバ42内へのびる実質的な加熱火炎を生成するように補助熱入力バーナー48への燃料の流れを調整する必要がある。アフターバーナーチャンバ42が一般的に温度を上昇するにつれて、補助熱入力バーナー48への燃料の流れは、ガス化プロセスが進行中であると、アフターバーナーチャンバ46をほぼ一定の温度に保持するのに殆んど入力を必要としないので、一般的には減少される。
【0033】
混合チャンバ40と主チャンバ30との間に及びまたアフターバーナーチャンバ42の垂直に配置された第1の部分44と主チャンバ30との間に仕切り壁50が設けられている。仕切り壁50は、補助熱入力バーナー48で発生した加熱火炎が主チャンバ30に入り込むのを妨げるようにかつまた加熱火炎からの輻射熱が直接主チャンバ30に入るのを妨げるように位置決めされかつ寸法きめされる。このようにして、加熱火炎は、主チャンバにおける廃物物質22を直接加熱せず、従って廃物物質の局部領域を急激に過熱しない。特に、仕切り壁50は、補助熱入力バーナー48からの加熱火炎による廃物物質22の物理的攪拌を妨げ、それにより廃物物質22が加熱されガス化されている際に、廃物物質22から飛散灰を生成させないようにしている。
【0034】
仕切り壁50は、ヒューム転換ベント38の横断面積を“細かく調整”できるようにするために仕切り壁50からレンガ51を外したり加えることによって高さを変えることができる。一般的には、ヒューム転換ベント38は、主チャンバ30からのヒュームを逃がすようにために妥当な限りできるだけ大きく保たれる。アフターバーナーチャンバ42において、種々の物質における結合の中で水素・炭素結合は壊されて正味の発熱反応を生じる酸化する。当該技術分野において“分解”として知られる水素・炭素結合の破壊は、アフターバーナーチャンバ42の垂直に配置された第1の部分44と水平に配置された第2の部分46との間の90°角部で殆んど行われる。この角部は“分解領域”と呼ばれる。
【0035】
ヒュームがアフターバーナーチャンバ42の水平に配置された第2の部分46から出ると、それらヒュームは熱伝達チャンバ52に入る。これらの発熱反応はからの熱は、熱伝達チャンバ52の熱を非常に高温に、最終的には約1000℃に上昇させる。この温度は、当然、補助熱入力バーナー48の制御手段56によって調整可能である。補助熱入力バーナー48からの残留熱に加えて、水素・炭素結合の“分解”からの熱が熱伝達チャンバ52内の温度を上昇するので、制御手段56は、補助熱入力バーナー48から発生される加熱火炎を減少するのに用いられ得る。この制御手段56は、熱伝達チャンバ52内の温度を検知する熱電対58とインターフェースされ得る。熱電対58は、ワイヤ59を解して制御手段56に電気的に接続され、制御手段へフィードバック信号を供給し、それにより補助熱入力バーナー48からの加熱火炎を自動調整できる。熱伝達チャンバ52は、熱伝達チャンバ52の有効長さを増すように二股に分けられ、熱伝達チャンバ52内の熱いガスが主チャンバ30の床36に晒される時間の長さを増大し、それにより熱伝達チャンバ52から主チャンバ30へより多くの熱を伝達させ得る。
【0036】
主チャンバ30は熱伝達チャンバ52上に重ねて設けられ、熱伝導床36はそれらの間に分離関係で配置され、それで熱伝達チャンバ52からの熱は熱伝導床36を通り、主チャンバ30を伝導及び対流加熱させ、それにより主チャンバ30の温度を上昇させる。
【0037】
熱伝達チャンバ52は、チャンバ30の後部に設けた垂直に配置された排気ベント54と流体連通している。排気ベント54は、酸化したヒュームを周囲へ安全に排出させる。
【0038】
主チャンバ内の温度は、二つの仕方で制御でき、第1の仕方では、補助熱入力バーナー48は、熱伝達チャンバ52内の熱電対58からのフィードバック信号を受ける制御手段56によって変調される。燃料入力及び従って補助熱入力バーナー48からの火炎の寸法は、熱電対58の受ける温度に従って選択される。第2の仕方では、主チャンバ30の主扉部材32における低容積の空気入口34を介して主チャンバ30に少量の空気が供給され得る。主チャンバ30内への非常に少量の空気を供給することによって、主チャンバ30内の温度を上昇させ得る。
【0039】
補助熱入力バーナー48が始動されると、補助熱入力バーナー48からの熱は熱伝達チャンバ52を昇温し、それにより、主チャンバ30の温度をゆっくりと堅実に上昇させる。主チャンバ30の温度が上昇するにつれて、低エンタルピー物質22は定義によって低結合エネルギを持っているので、廃物物質22の低エンタルピー部分の揮発が生じ始める。主チャンバ30及びアフターバーナーチャンバ42の“分解領域”において生じる低エンタルピー物質22の発熱反応は、補助熱入力バーナー48からの熱と結合して熱伝達チャンバ52を上昇し続け、主チャンバ30内の温度を安定して連続して上昇させる。主チャンバ30内の温度が上昇すればするほど、廃物物質22のエンタルピー部分の揮発が高くなり、従って、結果としての発熱反応により一層多くの熱エネル多くの熱エネルギが発生される。この増大した熱エネルギは、補助熱入力バーナー48からの熱エネルギと結合し続け、熱伝達チャンバ52へ熱を加え続け、そして従って主チャンバ30の温度を上昇する。それにより、廃物物質22の発熱反応によって取り出される熱エネルギの量を確実に増大させ続ける。ところで、主チャンバ30における熱電対58は、熱伝達チャンバ52の温度をモニタリングでき、そして熱伝達チャンバ52内の熱が過剰に上昇するのを防ぐように補助熱入力バーナー48自体を変調できる。本質的には、主チャンバ30内の温度の上昇は、物質22の連続した発熱反応による熱エネルギのゆっくりした上昇に基いている。
【0040】
本発明の一つの特徴によれば、粒子サイズが1cm以下であり固体含有量が20%〜100%であり、残りが液体であるスラッジの形態のバイオマス廃物をガス化するのに用いるガス化装置及び焼却炉が提供される。
【0041】
本発明のガス化装置及び焼却炉はバイオマススラッジをガス化し焼却するためにバイオマススラッジを受けるようにされた主チャンバを有する。
【0042】
主チャンバの頂部近くに配置されそして主チャンバと流体連通して主チャンバからヒュームを放出させるようにされたヒューム移送ベントが設けられる。
【0043】
ヒューム移送ベントと流体連通して主チャンバからのヒュームを受ける混合チャンバが設けられる。
【0044】
混合チャンバと流体連通されるアフターバーナーチャンバが設けられる。
【0045】
アフターバーナーチャンバの第1の垂直に配列された部分内に初期加熱火炎を発生するように一つのガス化装置に配置され、燃料及び酸素ガスをそれぞれ供給する燃料入口及び空気入口を備え、また燃料及び酸素ガスの供給を制御する制御手段を備えた補助バーナー部材が設けられる。
【0046】
混合チャンバと主チャンバとの間に配置され、ヒューム移送ベントの底部境界を決める仕切り壁が設けられる。
【0047】
アフターバーナーチャンバと流体連通し、アフターバーナーチャンバからの加熱ガスの流れで加熱される熱伝達チャンバが設けられる。
【0048】
主チャンバは、熱伝導床を備え、熱伝達チャンバ上に重ねて配置され、熱伝導床は、主チャンバを伝導及び対流加熱させるように主チャンバと熱伝達チャンバとの間に分離関係で配置されている。
【0049】
熱伝達チャンバと流体連通され、ヒュームを周囲へ放出する排出ベントが設けられる。
【0050】
また、主チャンバ内に交差して配置され、第1の端部をスラッジ供給ホッパーと第2の端部を灰ホッパーと連通させた少なくとも一つの主オーガーが設けられる。
【0051】
スラッジ供給ホッパーから灰ホッパーへ熱伝導床を横切って主チャンバを通ってバイオマススラッジを駆動するように少なくとも一つの主オーガー回転させる駆動手段が設けられる。
【0052】
熱伝達チャンバは、少なくとも一つの主オーガーの第2の端部の近くで該主オーガーの下方に位置している。
【0053】
バイオマススラッジがスラッジ供給ホッパーから灰ホッパーへ主チャンバを横切る際のバイオマススラッジの滞留時間は、20分〜3時間の範囲内である。
【0054】
熱伝達チャンバ上に位置し、主チャンバの側部に付加的な空気又は酸素の供給部が設けられる。
【0055】
本発明のガス化装置及び焼却炉はさらに、主チャンバ上に位置しかつ主チャンバと熱伝達関係にある第1の流体抽出チャンバを有し得る。
【0056】
その場合、第1の流体抽出チャンバに横切って配置され、スラッジ供給ホッパーと少なくとも一つの主オーガーの第1の端部と連通する中間スラッジ供給ホッパーとの間にバイオマススラッジを駆動する駆動手段を備えた補助オーガーが設けられる。
【0057】
従って、ガス化し焼却すべきバイオマススラッジの液体含有量が高い場合には、液体の少なくとも幾分かは、第1の液体抽出チャンバにおいて主チャンバから第1の液体抽出チャンバに伝達される熱によって抽出される。
【0058】
さらに、本発明によるガス化装置及び焼却炉は、さらに、主チャンバに長さ方向に配置されしかも主チャンバの高さより低い高さの分割壁を有している。分割壁には、スラッジ供給ホッパーから灰ホッパーへバイオマススラッジを駆動するようにオーガーの通る開口が設けられる。
【0059】
一般に、混合チャンバは垂直に配置される。
【0060】
また、通常、バーナー部材は混合チャンバの頂部に配置される。
【0061】
仕切り壁の高さは可変である。
【0062】
本発明によるガス化装置及び焼却炉は、一般に、アフターバーナーチャンバが垂直に配置された第1の部分と水平に配置された第2の部分とを備えるように構成される。
【0063】
また、アフターバーナーチャンバの垂直に配置された第1の部分は、アフターバーナーチャンバの水平に配置された第2の部分に90°角部を介して流体連通して接続される。
【0064】
90°角部は、アフターバーナーチャンバの幅より大きい“角部から角部まで”の距離を備え、それにより該部位におけるアフターバーナーチャンバの横断面積を有効に増大させるようにしている。
【0065】
本発明は、また、粒子サイズが1cm以下であり固体含有量が20%〜100%であり、残りが液体であるスラッジの形態のバイオマス廃物を連続してガス化し焼却する方法を提供し、本方法は以下の段階を含む。
【0066】
最初に、スラッジ供給ホッパーにある量のバイオマススラッジが入れられ、そしてオーガーを用いてガス化装置及び焼却炉の主チャンバを横切ってバイオマススラッジを駆動することにより、主チャンバにバイオマススラッジの幾分かが導入される。
【0067】
ガス化装置内に配置したバーナー部材が始動されて、混合チャンバを通って向けられかつアフターバーナーチャンバ内にのみ垂直に位置した初期加熱火炎を発生するようにされる。
【0068】
熱伝達チャンバは初期に初期加熱火炎によって加熱され、それにより火炎からの輻射熱が主チャンバに直接入るのを防止される。
【0069】
バイオマススラッジは、オーガーによるのを除いてバイオマススラッジの物理的外乱を防止するように、単に熱伝達チャンバからの伝導及び対流加熱によって主チャンバにおいて加熱される。
【0070】
ヒュームは、バイオマススラッジから混合チャンバへ通される。
【0071】
単にヒュームの酸化による熱は熱伝達チャンバをさらに加熱するのに用いられる。
【0072】
ヒュームは、熱伝達チャンバから抽出される。
【0073】
比較的多くのバイオマススラッジはオーガーの第1の端部へ連続して供給され、また灰はオーガーの第2の端部に配置された灰ホッパーから連続して除去される。
【0074】
一般に、初期加熱火炎は通常垂直に配置された混合チャンバを通って指向される。
【0075】
さらに、バーナー部材は、ガス化装置及び焼却炉内の混合チャンバの頂部に配置される。
【0076】
さらにまた、初期加熱火炎は、垂直に配置された第1の部分及び水平に配置された第2の部分をもつアフターバーナーチャンバ内に指向される。
【発明を実施するための形態】
【0077】
構成、構造、使用及び動作方法に関して本発明の動作であると信じられる新規の特徴は、本発明の別の目的及び利点と共に、以下の説明からよく理解される。
【0078】
まず、図5及び図6を参照すると、本発明によるバイオマススラッジガス化装置及び焼却炉の簡略化した図が示されている。バイオマススラッジガス化装置及び焼却炉は番号100で表され、そして主チャンバ102と、補助チャンバすなわちアフターバーナーチャンバ104と少なくとも一つの主オーガー106とを有している。バイオマススラッジは、スラッジ供給ホッパー108からバイオマススラッジガス化装置及び焼却炉100へ供給され、少なくとも一つの主オーガー106によって主チャンバ102を横切って運ばれ、結果としての焼却灰は灰ホッパー110に集められる。
【0079】
本発明に従ってガス化し焼却するようにされるバイオマススラッジは、1cm以上の粒子サイズをもつ粒状物がないと仮定して、上記のように、動物の排泄物、汚物排出物及びその他のスラッジ状のバイオマスから成っている。バイオマススラッジは、20%から100%までの固体を含み得、残りは液体である。排泄物や汚物以外のバイオマススラッジもガス化され焼却され、そしてエネルギ含有量の高いバイオマス廃物も含み得る。例えば、脂肪含有量の比較的高い肉及び骨のような粉砕した動物の部位のエネル偽含有量は高い。このような高エネルギバイオマス廃物のガス化及び焼却は、鳥の流感が存在している又は疑われている農場から出た大量の廃物の廃棄用名ある状況下では非常に重要であり得る。同様に、牛はしばしば、解体処理され、狂牛病の存在が見つけられ或いは疑われている場合には粉砕され得る。このようなバイオマス廃物は、人間や動物に対してあらゆる食品チェーンにウイルス又はその他のたんぱく質が入り込む又はこれらの病気が入り込むのを防ぐために完全にガス化され焼却されることは重要である。
【0080】
いずれにしても、ガス化装置及び焼却炉100は通常の耐火材料を用いて構成され、かかる材料は850℃〜1000℃の範囲そしてある場合には1300℃程度までの温度に耐える構造材料である。一般に、オーガーは、構造上の保全性を失わずに晒される高温に耐えるようにステンレス鋼から成る。しかし、動作において、オーガーは鮮やかな赤熱色で現れ得ることが認められ得る。しかし、この現象は、熱がガス化され焼却されるバイオマススラッジへ伝達されるのを保証するので、望ましい現象である。
【0081】
ガス化装置及び焼却炉100の基本構造及び動作は、図3及び図4を参照して説明した先行技術の装置20の記載した構造及び動作と同じである。従って、戻り流れチャンバ112は煙突114と連通していることが分かり、また戻り流れチャンバ112におけるガスの流れは一般に、ガスが熱伝導炉床116へ熱を加えているので、補助チャンバ104に流れている温度より低い温度であることが理解される。
【0082】
補助バーナー118は補助空気ファン120と共に設けられ、補助バーナー118の目的は、本発明によるガス化装置及び焼却炉の連続した動作が開始される際に初期すなわち始動火炎を発生することにある。
【0083】
燃料は補助バーナー118に供給され、そして補助空気ファン120は作動され、122で示すようにアフターバーナー104の垂直部分に熱を発生するようにしている。かかる熱は当然、ガスを補助チャンバ104を通って戻り流れチャンバ112内へそして煙突114へ流れさせる。しかし、これらのガスが熱くなるにつれて、炉床116上に位置しオーガー106によって移動され駆動されるバイオマススラッジにより多くの熱が伝達される。適当に短い時間において、バイオマススラッジは十分に加熱されて、水分及びメタンなどのような揮発性有機成分を含有するガスを放出し始める。これらの揮発性有機成分の放出が多くなるにつれて、これらの有機成分は、ヒューム伝達ベント内へ、そして混合チャンバ内へ、或いは垂直アフターバーナー部分122を通ってアフターバーナーチャンバ104内へ流れる。結局、これらのガスは十分に熱く、それで補助バーナー118から付加的な熱を入力することを殆んど必要とせず、従って補助バーナー118は止められ得る。当然、上述のようにガス化及び焼却プロセスの炭素相が行われ得るために、補助チャンバ104における温度が、アフターバーナーチャンバ104に位置しているバイオマススラッジに十分な熱を伝達するのに十分に高いことを保証するのに十分なモニタリング及び制御手段が設けられる。付加的な熱が要求される場合には、補助バーナー118が必要に応じて始動される。
【0084】
当然、オーガー106を駆動するように駆動モータ又はその他の駆動手段124が設けられる。一般に、オーガーの回転速度は3又は4分毎に一回転の範囲で、5RPMまでである。
【0085】
当然、ガス化され焼却されるバイオマススラッジの性質に関連して、隣接したオーガー106は反対方向に駆動され得る。また、オーガーのサイズ及び間隔は、ガス化され焼却されるバイオマススラッジの性質に関連している。
【0086】
時折清掃する必要性に適応するために及び実際にガス化装置及び焼却炉100の内部にアクセスするために、アクセス扉126が設けられている。
【0087】
図7には、本発明によるガス化装置及び焼却炉の別の形態を示し、このガス化装置及び焼却炉は、主チャンバ102上に位置する液体抽出チャンバ128を追加して設けた点においてのみ異なっている。この場合には、スラッジ供給ホッパー108aはオーガー106aの第1の端部に設けられ、また中間ホッパー130は主オーガー106の第1の端部に設けられている。液体抽出チャンバ128の目的は、ガス化し焼却すべきバイオマススラッジから過剰の液体を抽出することにある。熱は、主チャンバ102から別の熱伝達炉床132を通って伝達されてバイオマススラッジから液体をガス化(気化)して取り出すようにしている。ガス化した液体はベント134を通って煙突114へ逃がしている。
【0088】
図8にはガス化装置及び焼却炉のさらに別の形態を示す。この場合には、主チャンバを二つのチャンバ102a、102bに分割するために、ガス化装置及び焼却炉には長手方向に分割壁136が設けられている。二つのチャンバ102a、102bはベント通路138を介して互いに気体連通しており、また分割壁136の高さはガス化し焼却すべきバイオマススラッジの性質に関連して変えることができるが、しかしいずれにしても二つの主チャンバ102a、102bの高さより低いことが理解される。
【0089】
さて本発明は、バイオマススラッジ用のガス化装置及び焼却炉による装置を提供するだけでなく、バイオマススラッジをガス化し焼却する方法も提供することが明らかに理解される。従って、本発明の方法は、先行技術装置を用いて従来利用できたバッチプロセスではなく連続ガス化及び焼却を行うことが理解される。
【0090】
スラッジ供給ホッパーにはある量のバイオマススラッジが入れられ、そしてバイオマススラッジの幾分かはガス化装置及び焼却炉の主チャンバに導入され、そしてオーガーによって主チャンバを横切って駆動される。上述のように、バーナー部材は初期加熱火炎を発生するように始動され、初期加熱火炎は混合チャンバを通って指向され、そしてアフターバーナーチャンバ内にのみ垂直に配置される。伝達チャンバは、最初、初期加熱火炎によって加熱され、そして火炎による輻射熱は主チャンバに直接入らないようにしている。
【0091】
主チャンバ内のバイオマススラッジは、主チャンバの下側に位置する熱伝導チャンバからの伝導及び対流加熱によって加熱され、またオーガーをゆっくりと動かすことによりバイオマススラッジの物理的外乱は防がれる。
【0092】
加熱したバイオマススラッジからのヒュームは混合チャンバへ通され、またこれらヒュームの酸化による熱は熱伝達チャンバをさらに加熱する。そしてヒュームは熱伝達チャンバから抽出され、大気へ放出される。
【0093】
そして、ガス化及び焼却するためにスラッジ供給ホッパーを通ってオーガーの第1の端部に、より多くのバイオマススラッジが供給され、そして灰は、灰ホッパーにおいてオーガーの第2の端部から除去される。
【0094】
さらに、図9及び図10を参照すると、本発明によるガス化装置及び焼却炉の幾分特殊なものが示されている。図9及び図10は図3及び図4と同様であり、同じ構造特徴を表すのに、殆んどの部分について同じ符号が用いられている。図9及び図10に示すガス化装置及び焼却炉の機能及び動作は、図3及び図4に示す先行技術の焼却炉に関して説明したものと同じである。
【0095】
しかし、図5〜図8において用いられているような幾つかの符号も使用されている。すなわち、図9及び図10に示すガス化装置及び焼却炉においてはオーガー106が示されている。矢印150で示すように、隣接したオーガーは逆回転してもしなくてもよい。また、アフターバーナーチャンバ52、104上に位置する主チャンバ102の部分と連通するように付加的な空気又は酸素入口34が位置決めされていることが理解される。バイオマススラッジ152は、上述したものと同じ仕方で、主チャンバを横切って駆動され、また、図9及び図10に示すガス化装置及び焼却炉の動作はバッチプロセスではなく連続して行われることが強調される。
【0096】
補助バーナー118が示されているが、上記の説明からその目的は初期加熱火炎を発生することにあることが理解される。補助バーナー118は、当業者に理解されるように、熱電対58及びその他の動作制御装置と連通するコントローラ56の動作に関連して機能したりしなくてもよい。一方、空気又は酸素はベント49を介して補助すなわちアフターバーナーチャンバに供給され、そして連続して流れる。
【0097】
重要な点は、本発明の構成及び動作が連続したガス化及び焼却プロセスを行うことにあるが、しかしガス化され焼却されることになるバイオマスはバイオマススラッジの形態であることが理解されなければならない。オーガー106の動作制限のために、本発明によるガス化装置及び焼却炉の有効な動作は、サイズ1cm以上の粒子がなくしかも固体含有量が20%〜100%の範囲にあるようなバイオマススラッジである場合に最もよく達成されることが分った。
【0098】
また、動作の性質上、そして特に連続した動作であるために、ガス化装置及び焼却炉が十分に機能すると、補助バーナーは止められ得る。言い換えれば、ガス化装置及び焼却炉の連続動作用の燃料は、ガス化され焼却される現実のバイオマススラッジである。従って、本発明によるガス化装置及び焼却炉の動作のための付加的なエネルギ入力要求は、一度動作すると、最少である。実際には、単なる付加的なエネルギ入力要求は、オーガー用のモータを駆動するように、設けられる電子制御装置及び動作しているファンである任意の他のモータを駆動するように電気的である。しかし、初期の始動火炎のために必要とされるものを越えて、付加的な燃料要求はなされず、それで、ディーゼル油又はその他のバーナー油、プロパン又は天然ガスなどのような多量の燃料を蓄積する要求又は必要性はない。
【0099】
実際に、牛を太らせる飼育場などのような場所での本発明によるガス化装置及び焼却炉の使用及び動作によって重要な長期利点がもたらされ得る。一例として毎日200トンの牛糞が出てくる飼育場では、かかる牛糞のガス化及び焼却により、毎日2メガワットものエネルギが電気又は蒸気の形態で作られ得る。このエネルギは、供給分配など用の加熱、動作パワー装置などを含む、畜舎で実施される多くの他の動作をサポートするのに用いられ得る。
【0100】
認められるように、本発明に従ってガス化し焼却すべきバイオマススラッジの典型的な滞留時間は20分から3時間までの範囲であり得る。バイオマススラッジが粉砕した動物の部位などのようなものである場合には、比較的乾燥しており、エネルギ含有量が高く、また滞留時間は、バイオマススラッジが高液体含有量及び低エネルギ含有量をもつ場合よりも短い。さらに、牛糞のようなバイオマススラッジは比較的容易に処理され、また豚の排泄物より液体含有量が低い。後者のバイオマススラッジは、図7に示すもののような第1の液体抽出チャンバを結合するガス化装置及び焼却炉における処理を必要とし得る。
【0101】
滞留時間はある程度経験的に決められ得る。しかし、経験は作業者によって得られるので、特に、ガス化し焼却すべきバイオマススラッジが本質的に常に同じである場合には、オーガーの駆動速度の制御は本発明によるガス化装置及び焼却炉の最も有効な動作のために確立され得る。
【0102】
また、るつぼのようなものにガス化し焼却すべきバイオマススラッジの少量を入れ、そして本発明によるガス化装置及び焼却炉の主チャンバで経験される非常に高い温度にバイオマススラッジを晒すことによって該バイオマススラッジを還元して灰にするのに要する時間を観察することで滞留時間を大まかに決めることも可能である。
【0103】
本発明に従ってガス化され焼却され得る他のバイオマススラッジ物質は、人間の汚物排液を含み得る。これは、多数の人々が一時的に集まる場所、例えば集会へ出向いたり有名な音楽グループによるコンサートなど用のポータブルトイレを設けるようなある状況においてある特定の利点があり得、或いは永久氷土層が見られる北極地方において見られる長期の当局又は軍事設営が設けられ得、また排泄物が問題となる状況において利点があり得る。
【0104】
本発明によるガス化装置及び焼却炉の動作において、焼却の炭素段階の生じる主チャンバの領域に火炎が存在し得ることがある。従って、バイオマススラッジが補助又はアフターバーナーチャンバ104上に位置する主チャンバ102の領域において還元されて灰になる際に、しばしば激しい火炎作用がある。非常に乾燥及び粉末状態となるバイオマススラッジの適切でない外乱を防ぐように、図8に示すような付加的な分割壁136を設けるのがしばしば望ましい。
【0105】
また、動作において、ガスが補助すなわちアフターバーナーチャンバ104を通ってチャンバ112へ流れる際のガスの温度間の典型的な温度差が約100℃である。さらに、煙突114を通って本発明によるガス化装置及び焼却炉を出て行くガスは非常に熱いが、ダイオキシンのような危険なガス又はガス化成分、或いは大気中に存在するのが望ましくない又は法で規制され得るその他の揮発性の有機成分は極めて微量であるか又は含まれていない。揮発性有機成分の通常の濃度は、一般に殆んどの司法権の下で許される10ppmより相当に低い。
【0106】
特許請求の範囲の範囲及び精神から逸脱することなしに、本発明の装置の設計及び製造において他の変更及び変形が用いられ得る。
【0107】
本明細書及び特許請求の範囲を通して、用語“有する、備える”及び“有し、備え”又は“有している、備えている”など変形は記載したもの又は段階、或いはそれらのグループを包含し、しかも任意の他の記載したもの又は段階、或いはそれらのグループを除外しないことを意味するものと理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子サイズが1cm以下であり固体含有量が20%〜100%であり、残りが液体であるスラッジの形態のバイオマス廃物をガス化するのに用いるガス化装置及び焼却炉において、
バイオマススラッジをガス化し焼却するためにバイオマススラッジを受けるようにされた主チャンバと、
主チャンバの頂部近くに配置されそして主チャンバと流体連通して主チャンバからヒュームを放出させるようにされたヒューム移送ベントと、
ヒューム移送ベントと流体連通して主チャンバからのヒュームを受ける混合チャンバと、
混合チャンバと流体連通されるアフターバーナーチャンバと、
アフターバーナーチャンバの第1の垂直に配列された部分内に初期加熱火炎を発生するように一つのガス化装置に配置され、燃料及び酸素ガスをそれぞれ供給する燃料入口及び空気入口を備え、また燃料及び酸素ガスの供給を制御する制御手段を備えた補助バーナー部材と、
混合チャンバと主チャンバとの間に配置され、ヒューム移送ベントの底部境界を決める仕切り壁と、
アフターバーナーチャンバと流体連通し、アフターバーナーチャンバからの加熱ガスの流れで加熱される熱伝達チャンバと
を有し、
主チャンバが、熱伝導床を備え、熱伝達チャンバ上に重ねて配置され、熱伝導床が、主チャンバを伝導及び対流加熱させるように主チャンバと熱伝達チャンバとの間に分離関係で配置され、
また、熱伝達チャンバと流体連通され、ヒュームを周囲へ放出する排出ベントと、
主チャンバ内に交差して配置され、第1の端部をスラッジ供給ホッパーと第2の端部を灰ホッパーと連通させた少なくとも一つの主オーガーと、
スラッジ供給ホッパーから灰ホッパーへ熱伝導床を横切って主チャンバを通ってバイオマススラッジを駆動するように少なくとも一つの主オーガー回転させる駆動手段と
を有し、
熱伝達チャンバが、少なくとも一つの主オーガーの第2の端部の近くで該主オーガーの下方に位置していること
を特徴とするガス化装置及び焼却炉。
【請求項2】
バイオマススラッジがスラッジ供給ホッパーから灰ホッパーへ主チャンバを横切る際のバイオマススラッジの滞留時間が、20分〜3時間の範囲内であることを特徴とする請求項1記載ガス化装置及び焼却炉。
【請求項3】
熱伝達チャンバ上に位置し、主チャンバの側部に付加的な空気又は酸素の供給部が設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2記載ガス化装置及び焼却炉。
【請求項4】
さらに、主チャンバ上に位置しかつ主チャンバと熱伝達関係にある第1の流体抽出チャンバと、
第1の流体抽出チャンバに横切って配置され、スラッジ供給ホッパーと少なくとも一つの主オーガーの第1の端部と連通する中間スラッジ供給ホッパーとの間にバイオマススラッジを駆動する駆動手段を備えた補助オーガーと
を有し、
ガス化し焼却すべきバイオマススラッジの液体含有量が高い場合には、液体の少なくとも幾分かが、第1の液体抽出チャンバにおいて主チャンバから第1の液体抽出チャンバに伝達される熱によって抽出されること
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項記載ガス化装置及び焼却炉。
【請求項5】
さらに、主チャンバに長さ方向に配置されしかも主チャンバの高さより低い高さの分割壁を有し、分割壁には、スラッジ供給ホッパーから灰ホッパーへバイオマススラッジを駆動するようにオーガーの通る開口が設けられることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項記載ガス化装置及び焼却炉。
【請求項6】
混合チャンバが一般に垂直に配置されることを特徴とする請求項1記載ガス化装置及び焼却炉。
【請求項7】
バーナー部材は混合チャンバの頂部に配置されることを特徴とする請求項1記載ガス化装置及び焼却炉。
【請求項8】
仕切り壁の高さは可変であることを特徴とする請求項1記載ガス化装置及び焼却炉。
【請求項9】
アフターバーナーチャンバが垂直に配置された第1の部分と水平に配置された第2の部分とを備えるように構成されることを特徴とする請求項1記載ガス化装置及び焼却炉。
【請求項10】
アフターバーナーチャンバの垂直に配置された第1の部分が、アフターバーナーチャンバの水平に配置された第2の部分に90°角部を介して流体連通して接続されることを特徴とする請求項9記載ガス化装置及び焼却炉。
【請求項11】
90°角部が、アフターバーナーチャンバの幅より大きい“角部から角部まで”の距離を備え、それにより該部位におけるアフターバーナーチャンバの横断面積を有効に増大させるようにしていることを特徴とする請求項10記載ガス化装置及び焼却炉。
【請求項12】
粒子サイズが1cm以下であり固体含有量が20%〜100%であり、残りが液体であるスラッジの形態のバイオマス廃物を連続してガス化し焼却する方法において、
最初に、スラッジ供給ホッパーにある量のバイオマススラッジを入れ、そしてオーガーを用いてガス化装置及び焼却炉の主チャンバを横切ってバイオマススラッジを駆動することにより、主チャンバにバイオマススラッジの幾分かを導入する段階と、
ガス化装置内に配置したバーナー部材を始動して、混合チャンバを通って向けられかつアフターバーナーチャンバ内にのみ垂直に位置した初期加熱火炎を発生するようにする段階と、
熱伝達チャンバを初期に初期加熱火炎によって加熱し、それにより火炎からの輻射熱が主チャンバに直接入るのを防止する段階と、
オーガーによるのを除いてバイオマススラッジの物理的外乱を防止するように、単に熱伝達チャンバからの伝導及び対流加熱によって主チャンバにおいてバイオマススラッジを加熱する段階と、
ヒュームを、バイオマススラッジから混合チャンバへ通す段階と、
ヒュームの酸化による熱を用いて熱伝達チャンバをさらに加熱する段階と、
ヒュームを熱伝達チャンバから抽出する段階と、
比較的多くのバイオマススラッジをオーガーの第1の端部へ連続して供給し、また灰をオーガーの第2の端部に配置された灰ホッパーから連続して除去する段階と
を含むことを特徴とするバイオマススラッジのガス化及び焼却方法。
【請求項13】
初期加熱火炎が通常垂直に配置された混合チャンバを通って指向されることを特徴とする請求項12記載のバイオマススラッジのガス化及び焼却方法。
【請求項14】
バーナー部材が、ガス化装置及び焼却炉内の混合チャンバの頂部に配置されるようにガス化装置内に配置されることを特徴とする請求項12又は請求項13記載のバイオマススラッジのガス化及び焼却方法。
【請求項15】
初期加熱火炎が、垂直に配置された第1の部分及び水平に配置された第2の部分をもつアフターバーナーチャンバ内に指向されることを特徴とする請求項12〜請求項14のいずれか一項記載のバイオマススラッジのガス化及び焼却方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−504493(P2010−504493A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528564(P2009−528564)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【国際出願番号】PCT/CA2007/001701
【国際公開番号】WO2008/034263
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(509081399)
【Fターム(参考)】