説明

バイオマス精製燃料の低温触媒ガス化装置および方法

処理困難なバイオマスを熱電併合システムで燃焼可能な清浄ガス燃料に転換するためのガス化技術を提供する。このガス化技術は,従来のガス化技術とは異なり,1段流動床触媒ガス化,および2段のタールガス化およびタール中の窒素と可燃性ガス中のHCNをNHに転換する触媒改質反応を含む。また,全体ガス化工程の温度は灰分の溶融温度より低いため,粉末状灰分が発生して処理が容易である。また,工程温度が低くて放熱損失が少なく,よって高発熱量のガスを生成するように小型反応器を設計することができる。また,発生したタールは回収してほかの工程で再利用し,ガス燃料は少量のアンモニアを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,無機物灰分が少なく窒素成分を比較的多く含むバイオマスを大都市の地域暖房の清浄燃料として使用するためのガス化技術に関するものである。
【0002】
特に,本発明は,バイオマス有機廃棄物/重油/石炭を精製混合した物質(SOCA:Sludge-Oil-Coal Agglomerates)を清浄ガス化してガス燃料に製造する装置および製造方法に関するものである。
【0003】
ここで,清浄ガス化されたガス燃料とは,ガスエンジン,ガスタービン,蒸気タービン総合発電,燃料電池,ボイラーなどのガス発電装置または熱利用機器で利用可能な清浄ガス燃料を意味し,また,バイオマスとは,下水スラッジ,パルプスラッジなど,産業廃棄物または家庭ごみ,糞尿などの生活廃棄物,農産物の廃材,家畜類の糞尿または切断した木材類などの有機性固体物質を総称する。
【背景技術】
【0004】
ガス化技術は,初期には石炭塊から,無触媒状態で便利なガス燃料または合成ガスを製造する目的で始まり,近年は大部分の微粉炭に対する噴流床ガス化および触媒ガス化などの方向に発展している。
【0005】
以後,流動床燃焼技術を利用した流動触媒ガス化などは,重油改質などの目的に始まり,徐々に石炭およびバイオマスガス化への適用が試みられ,タール発生を最小化する高温ガス化と清浄化の方案に推進されて来た。
【0006】
固体燃料は,空気,酸素およびスチームのような反応性物質とのガス化によって,可燃性ガス,凝縮性液体/タールおよび固体残留物などに変換される。一般に,ガス化は固体燃料からガス燃料への転換を最大化するが,部分ガス化工程では制限的に応用されている。また,熱分解(pyrolysis)はガス化と違いがあるが,これは不活性雰囲気状態でなされる熱的分解(thermal decomposition)を言う。しかし,ガス化の初期段階では,先に脱揮発化する熱分解状態になる。このときは,燃料がチァー(char)と揮発成分に分解される。このような脱揮発化以後にチャーとガス成分との2次反応によってガス化の最終成分分布を有する製品が得られる。実際に,製品の分布図はガス化方法と操業条件によって大きく影響を受ける。
【0007】
高温ガス化においては,石炭またはスラッジに含有された無機物質の大部分が灰分またはスラグ(slag)として発生し,鉄分またはナトリウムのような無機物質は900℃以上で揮発して熱交換器の壁面などに溶着される。また,燃料に含有された窒素(Fuel−N)は,ガス化過程でNH3,HCN,N2などに変わるが,これはガス化反応器,燃料物性および運転条件などによって違う。
【0008】
石炭のガス化は一般に高温で行われるので,多くのエネルギーが必要であり,これにより,得られるガスの発熱量は低いながらも灰(ash)が溶融状態になるため,システムが肥大であるかまたは複雑であることが一般的である。しかし,触媒を使用することにより,ガスの組成と運転条件などを改善することができるが,比較的低温でも無触媒高温ガス化時のガス組成を得,Fuel−Nの転換にも役に立つことができる。一部の報告によると,触媒物質と反応温度によって,Fuel−NのNHおよびHCNへの変換は下記のように差があるが,前者の場合はFeおよびNi触媒が900℃以上で良好であり,後者はドロマイト(dolomite)触媒などが800℃以上で良好であることが報告された。
【0009】
ガス化ガスは発熱量が低いことが普通であるが,LNGの発熱量は約10,000kcal/Nm3であるのに対し,発熱量が6,850kcal/kgである石炭をガス化すれば,1,100〜1,450kcal/Nm3の低発熱量のガスを得ることになる。
【0010】
石炭の低温無触媒ガス化においては,転換率が低いため,実際には灰分の溶融温度以上で運転されている。しかし,灰分が少ないバイオマスのガス化においては,触媒ガス化することにより,アッシュスラギング(ash slagging)が発生しない低温でFuel−NのNO転換を減らしながらも高品位燃料を得ることができる。
【0011】
一方,この方法は,高発熱量の廃棄物または重油などのガス化または石炭と混合した燃料に対して試みられている。特に,塩素系イオンが含まれた廃棄物の場合は,これを除去する工程またはガス化の後に直接焼却する場合は,1200℃以上の温度で2秒以上滞留するように設計する。また,高品位高分子廃棄物の場合は,水素のような高品位燃料を生産する特殊ガス化工程もある。
【0012】
しかし,特殊ガス化装置は,原料中に灰分などの不純物が多く含まれているので,これを除去精製する設備が要求され,一般の無触媒時にガス化転換率を高めようと高温化することにより溶融した灰分が生成されるため,これを微細なスラグに生成させるクエンチング(quenching)システムの設置が要求される。また,高発熱量ガスを得るために純酸素または空気分離装置を使用するため,運転費または設置費が高くなる。発熱量が低い原料のガス化では,特に外部熱源による間接加熱と水蒸気のみを流入する熱分解を行うシステムを設置して,経済性を考慮しない特殊な目的で使用される。
【0013】
したがって,無触媒部分酸化工程の欠点は,高温ガス化反応を成すために高価の純酸素または濃縮酸素を使用しなければならず,高品位の生成ガス(主に,COとH2)を得るために,追加の燃料消費が大きく,高温反応に適した高価な耐熱素材を使用しなければならない。又,反応器の耐用年数も短くなるという点にある。また,固定床反応器を使用する高温部分燃焼によるガラス炭素の約2〜5%が沈積されて,反応効率は次第に減少し,これを除去するための追加費用が必要になるという点である。
【0014】
タールまたはチャーの生成が少ない比較的清浄な固体燃料に対しては循環型低温触媒ガス化反応器が適用できる。有機物質炭化水素と水蒸気が酸化物触媒(MO)上で生成ガスに転換され,この際,触媒も還元されて純粋金属(M)に転換される。触媒として活性の低下した金属(M)は燃焼反応炉で再び金属酸化物(MO)に再生される。触媒反応も400〜600℃程度の低温で進行し,液体生成物を極めて少なくすることができる特徴があるが,灰分が多いか触媒毒成分が含有された廃棄物に適用するには制限的なものとなる。
【0015】
このような循環反応改質触媒としては,NiとCo触媒が一般的であり,V,Cr,Fe,Cu,Mo,Ag,Cd,La,Ce,Perovskiteなども使用されるが,より効率良い触媒としては,Rh,Ruなどの貴金属触媒も使用され,これらをMg,Ca,Sr,Ba,Al,Ce,Si,Ti,Zrなどの酸化物が2種以上組み合わせられた支持体に担持することが一般的である。しかし,これら触媒は,低温で触媒毒による活性が低下するため,高温反応または再生して安定的に使用しようとする。この際,遊離された炭素粉が析出して触媒表面を塞ぐか,または担体と反応してほかの生成物を形成する。たとえば,Ni触媒がアルミナと高温反応してNiAl24などが形成されて活性が低下する欠点がある。これを防止するために,耐高温性ヘキサアルミナート(Hexaaluminate,MeO・6Al23)などを使用する場合もある。
【0016】
重金属などの固形不純物が多く含まれた液状廃棄物の場合,反応器に触媒を混入し,超臨界状態でガス化反応を試みることもある。使用される触媒としては,Ru,Pd,R,Pt,Au,Ir,Os,Fe,Ni,Ce,Mnなどを耐高温性チタニアまたはジルコニアに含浸させ,250〜600℃,5〜130MPa状態で運転した場合がある。この際に使用された触媒は高価な貴金属類であって,気−液分離器で回収して再使用するようにする。
【0017】
固体−固体触媒反応は実際には生じ難いため,初期には,石炭にアルカリ触媒成分を含浸させるかまたは灰分が多量含まれたアルカリ金属を利用する石炭触媒ガス化が開発されたが,近年,石炭のチャーガス化反応は,粒子表面で微細な揮発が発生した後に生成されることが判明し,固体触媒を石炭と混合して反応させている。揮発物質が比較的多い亜瀝青炭の場合,炭酸カリウムを触媒として使用したが,この際,灰分に含まれた固形物質によってガス化特性が異なる。概して,カリウム触媒は,それと結合された陰イオンによって活性の差が大きく,鉄イオンは硫黄によって容易に活性が低下し,ニッケルイオンは,触媒被毒によって低い触媒活性を有するが,被毒物質が脱着する高温では高い触媒活性を回復する。
【0018】
このような触媒特性を利用して,より最適化した触媒構成として,K2SO4+FeSO4またはK2SO4+Ni(NO32またはK2SO4+CaCO3触媒を使用して,700〜850℃の比較的低温で高いガス化反応速度の運転が可能であった。しかし,転換率はあまり高くないため,残留灰分を溶融化するなどの複雑な設備が要求される。
【0019】
2段ガス化方法のうち,円筒状反応器の内部では空気ガス化が,外部では水蒸気ガス化が約850℃で行われるように構成して,中間程度の発熱量のガス生成物を得るため,触媒として石灰石を使用して石炭中の硫黄被毒が考慮されていた。この際の反応はつぎのように起こる。
2S+CaO→CaS+H2
【0020】
この際に発生した固体物質は,その密度差によって,CaS,CaOおよび石灰石などを反応器から分離することができ,反応器の下部でも灰分と石灰石を分離するものであるが,反応器と工程が複雑であるため,精密運転が要求される。
【0021】
図1は,従来のバイオマスの無触媒高温2段ガス化装置を示すもので,図示のように,従来のバイオマス2段熱分解設備は,バイオマス燃料は燃料ホッパー101から循環流動加熱炉102に移送され,サイクロン103およびチャー分離器104を経てガス改質炉105に移送されて2段熱分解される。その後,燃料化ガスは,予熱装置106,ガス急冷器107を経て,もう一度フライアッシュを集塵装置108で集塵し,精製装置109で精製ガスを精製する。
【0022】
本装置では,重金属の高温揮発などを考慮して,無触媒下で比較的高くない温度450〜850℃で1段熱分解を行うため,ガス化収率が低く,タール発生が多すぎる。したがって,ガス化収率を高めるためにタールの改質が必要であるが,これは無触媒下の1000〜1200℃で行う。普通バイオマス中に硫黄は比較的少なく含まれているにもかかわらず排煙脱黄を考慮した一方,相対的に多くの燐またはFuel−Nによる汚染または公害発生に対してはこれを考慮しないため,第2の公害を誘発するおそれがある。特に,この工程では,原料中に存在する塩素イオンによるダイオキシン転換反応抑制のためのガス急冷器107を備えている。
【0023】
図2は従来の高品位廃棄物の2段触媒ガス化装置を示す図である。不純物が少なくて発熱量が高い廃棄物であっても,少量の被毒物質のため,図2に示すように,流動床ガス化炉110内で,原料を約700〜800℃で無触媒流動床を使用して1段部分酸化および熱分解し,生成した可燃性ガスの温度を約300℃程度に低めた後,消石灰などを添加してClおよびSを固定し,これらをサイクロン103で集塵して除去した後,ガス混合器111および燃焼炉112で可燃性ガスの温度をさらに高め,ガス改質器113で2段のタール触媒改質反応を行う。NiO/MoO触媒の場合,400〜500℃でアルミナにNi,CrおよびFeなどを担持した触媒の場合は,800〜1000℃で反応することが知られていた。図面符号114はボイラー,115はガス貯蔵槽であり,図1と共通した装置は同一符号を付している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明は,前記問題点を解決するためになされたもので,より一層精製された燃料を使用して1段ガス化過程でも耐被毒性の触媒ガス化を行い,低温でガス化収率を高め,2段触媒改質反応ではタールをガス化し,Tar−Nと可燃性ガス中のHCNなどをNH3に転換することをその目的とする。
【0025】
また,本発明の他の目的は,全体工程の温度を低めて,反応維持のための系のエネルギー消費量を節減してガス中のCO2含有量を最小化することで生成ガスの単位発熱量を高め,発生灰分も溶融状態でない飛散灰分(fly ash)として発生させることにより,溶融灰分急冷システムなどの設置を不要にして反応器をコンパクトにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
前述した技術的課題を解決するため,本発明は,精製燃料を一時収容するもので,精製燃料を定量的に供給するために下部にスクリューフィーダを含む燃料ホッパーと,該燃料ホッパーの精製燃料供給方向後方に設けられ,中央部の装入口で前記スクリューフィーダに連通し,下部に設けられる熱空気管およびスチーム管を含む触媒循環流動床ガス化炉と,該触媒循環流動床ガス化炉の上部から,上側壁まで伸びる管を介して前記触媒循環流動床ガス化炉に連通し,フライアッシュを収集する集塵サイクロンと,該集塵サイクロンの上部から,下部に連通する管を介して前記集塵サイクロンに連通し,且つ,低層に固定床フィルター吸着剤層および上層に流動触媒層を含む触媒改質器と,該触媒改質器の上部中央から,前記触媒改質器の中央部に伸びる管を介して連通する熱交換器と,該熱交換器の精製燃料供給方向後方に位置し,本体,タール貯蔵槽およびタールを循環する循環ポンプを含むタールスクラバーと,該タールスクラバーの精製燃料供給方向後方に位置するガス貯蔵槽とを含むバイオマス精製燃料の低温触媒ガス化装置を提供する。
【0027】
また,本発明は,バイオマス有機廃棄物/石炭/重油を精製してなる混合物を,スクリューフィーダを利用して,ガス化炉の中央部に供給する燃料供給段階と,触媒存在下で,熱空気およびスチームを使用して,燃料を乾燥,揮発化,低温触媒ガス化,および部分燃焼反応させる触媒循環流動ガス化段階と,前記触媒循環流動ガス化段階で発生したガス中のフライアッシュを収集する集塵段階と,低層の固定吸着層を通じてガスを改質させ,上層の流動触媒層を通じてタール−窒素,芳香族−窒素,燐,および硫黄を改質させる触媒改質段階と,前記ガスを200℃以下に冷却させ,凝縮液は,タール貯蔵槽に送る熱交換段階と,転換されなかったタールまたは未凝縮液体を凝縮して回収し,凝縮液体をガスストリッピングするタールスクラビング段階と,ガスを圧縮して一時貯蔵するガス貯蔵段階とを含んでなるバイオマス精製燃料の低温触媒ガス化方法を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明で使用される燃料は,ガス化反応が,単一燃料物質より比較的低い温度で開始されるが,触媒を利用して一層低めることで温度維持に必要な酸素消耗を減少させるので,安価で生産が可能である。また,ガス化炉の作業温度が低く,放熱損失も少なく,スラギング(slagging)処理システムが不要で,装置の小型化を図ることができ,少ない空気の使用で従来の酸素使用のガス化生成ガスと同一熱量を維持することができるので,一層経済的である。
【0029】
本発明は,高品位に精製されたスラッジ/石炭混合物を低価の高熱量ガス燃料に転換する清浄エネルギー生産技術である。
【0030】
精製されたスラッジ/石炭/油混合物のガス化は単一成分のガス化よりも低い温度で開始され,たとえガス化反応開始温度が高い物質も低温で共に始まって短時間に済むことができるので,急速ガス化を達成することができる。少ない灰分量と低温によるフライアッシュなどの制御容易性によって装置の小型化が可能であるので,エネルギー節減および運転の効率化をなすことができる。重金属および塩分が極めて少ないので,燃焼後の処理システムが不要である。
【0031】
ガス化は,比較的低温運転が可能な流動床方式を選択し,低温でガス化反応が可能な安価な天然石灰石粉末または粒状体を使用して,850℃の運転で,従来の無触媒時の1100℃以上の運転効率を有する。
【0032】
従来のタール改質器での改質反応温度はガス化反応温度より高く,普通1200℃以上で運転するが,本装置では,650℃以下にして,改質器に付加される熱源供給が不要であり,改質触媒反応以前に,触媒毒成分の硫化水素と五酸化燐ガスなどを生石灰で反応固定させて除去し,以後に触媒によってタールの改質およびFuel−NのNH3への転換を増大させる。
【0033】
従来の工程では,タールが不要物質で,これを再循環または廃棄処理しているが,本工程では,これら未反応タールまたは触媒改質で発生したタール,およびガスの冷却貯蔵時に発生する液体生成物などを回収して他の用途に使用する特徴を持っている。すなわち,従来の石炭ガス化過程で発生したタールなどの液体成分は所望の生成物ではないので,これをガス化過程にさらに投入するかまたは液体燃料として使用するなどの付加設備または利用方案が必要である。しかし,本工程では,これを凝集物形成の凝集材として使用するので,問題とならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下,添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0035】
図3は,本発明のバイオマス精製燃料からエネルギー源をガス形態として回収することができる触媒ガス化装置の構成図である。
【0036】
バイオマス精製燃料は,油凝集法または浮選法によって,バイオマスと石炭中の有機固形物のみを選別的に油とともに分離して回収した可燃性物質であって,非可燃性無機物質(以下,灰分という)の含有量は,乾燥物質を基準として6%未満であり,発熱量は7,000kcal/kg以上の高品位固体燃料である。
【0037】
本発明の装置は,燃料を収容する燃料ホッパー10と,収容した燃料をつぎの装置に供給するスクリューフィーダ11と,燃料ホッパー10の後方に設けられる触媒循環流動床ガス化炉20とを含む。
【0038】
スクリューフィーダ11から供給される燃料の装入口は触媒循環流動床ガス化炉20の中央部に取り付けられる。
【0039】
触媒循環流動床ガス化炉20の円錐状下部には熱空気管21とスチーム管22が取り付けられる。この際,熱空気管21は円錐状下部と同一レベルに取り付けられ,スチーム管22は下部から15〜30cmの高さに端部が突出するように取り付けられる。
【0040】
触媒循環流動床ガス化炉20の上部には小型サイクロン23をさらに取り付けることができる。
【0041】
触媒循環流動床ガス化炉20の後方には集塵サイクロン30が取り付けられ,触媒循環流動床ガス化炉20の上部からの管が集塵サイクロン30の上部側壁に連通し,ガス中のフライアッシュなどは集塵サイクロン30の下部に集められる。集塵サイクロン30の後方には触媒改質器40が取り付けられ,集塵サイクロン30の上部からの管31が触媒改質器40の下部に連通する。
【0042】
触媒改質器40は,その内部の下側に固定床フィルター吸着剤層41が装着され,固定床フィルター吸着剤層の上部には流動触媒層42が形成される。
【0043】
前記固定床フィルター吸着剤層41は,カートリッジ形態であって,石綿材質フィルターと粒状アルカリ土金属酸化物系とアルカリ金属塩の粒状粉末が混合されたものである。
【0044】
サイクロン30の上部から引き出される管31の中間部に,バルブ32を介して,スチーム管33が連通し,前記触媒改質器40の固定床フィルター吸着剤層41の下部に位置するスチーム噴霧器43に連通することができる。
【0045】
サイクロン30から触媒改質器40に誘導されるガス管で凝縮液が発生しないように,前記スチーム管33を通じて加熱水蒸気を混入して,残留タールを,触媒改質器40で再びガス化改質させるために,ガスとともに噴出する。
【0046】
前記触媒改質器40の後方には通常の熱交換器50が取り付けられ,その後方にはタールスクラバー(tar scrubber)60が取り付けられ,タールスクラバー本体61と,その下側のタール貯蔵槽62とが設けられ,循環ポンプ63によってタールが循環される。また,タール貯蔵槽62は,触媒改質器40と熱交換器50で発生するタールを収集するために,それぞれの下部管と,タールバルブ64を介して連通されている。
【0047】
タールスクラバー60の後方にはガス貯蔵槽70が設けられ,その間には燃料ガス貯蔵ポンプ71が配置される。
【0048】
以下,本発明の装置を利用した清浄ガスの製造方法について説明する。
【0049】
燃料ホッパー10からスクリューフィーダ11を通じて投入される精製混合燃料を,触媒循環流動ガス化炉20から熱空気管21およびスチーム管22を介して供給される空気または酸素と水蒸気によって乾燥,揮発化,低温触媒ガス化,熱分解ガス化および部分燃焼反応させる。ガス化円錐状下部の端部では,未反応燃料が空気または酸素と接触して完全燃焼反応する。
【0050】
触媒循環流動床ガス化炉20に投入される空気または酸素の比率は,精製混合燃料の完全燃焼理論空気量に対して0.3〜0.7程度,水蒸気は空気に対する体積比で0.5〜10倍にする。触媒循環流動床ガス化炉20内のガス化工程の流動触媒剤は流動化が可能な粒状または粉末で,天然の石灰石,石灰マグネサイト,生石灰やカルシウム,マグネシウム,バリウムなどのアルカリ土金属およびその酸化物,カリウムなどのアルカリ金属とその酸化物およびアルミナまたはこれらの混合物などを含む。このような触媒を使用して,最高温度900℃以下で高速運転を行い,たとえばガス滞留時間を2〜4秒にする。
【0051】
望ましくは,850℃以下で部分酸化と低温触媒熱分解反応が同時に行われるようにし,システム熱源供給のための部分酸化の際,大部分のガス化工程は高温で酸素を使用するが,新工程では,高品位燃料と燃料酸化剤として機能する空気を比較的低温で反応させても,従来の工程の酸素使用時と同一熱量のガス生産が可能なものである。この際,空気はガス化炉の最下端部で噴射されるようにして,ガス化炉の最下部は酸素過剰状態で未反応可燃性物質の完全燃焼を図ることができる。
【0052】
触媒循環流動床ガス化炉20の上部に小型サイクロン23を設置することで,飛散した触媒または未反応原料と重タールのような燃料凝集物を効率よく集塵して触媒循環ガス化炉20へ再循環させてガス化反応を完結することもできる。
【0053】
集塵サイクロン30では,少量の飛散灰分が効率よく集塵されて除去される。
【0054】
触媒改質器40は2層で構成されるが,低層の固定床フィルター吸着剤層41はカートリッジ型であり,その上層は流動触媒層42である。
【0055】
固定床フィルター吸着剤層41では,先に石綿糸フィルターで微細フライアッシュを除塵し,硫黄と燐被毒を酸化カリウムと炭酸ナトリウム吸着剤で化学的に吸着して除去し,除毒フィルターは,一定期間使用後,再生または交換する。例として,ガス化過程で発生した硫化水素(H2S)はCaOと反応してCaSに転換され,反応吸着される。PH4−halogenなどの蒸気化合物はNa2CO3と反応してNaPO3塩になり,それぞれ選択的に化学的に吸着される。燐成分はPαβγHalogenδ(α=1−7,β=0−5,γ=0−7,δ=0−7)に転換されて,化学的に吸着される。ガス化過程で発生するP化合物は,同様に,それぞれの選択的化学吸着物質と反応するかまたはカルシウム塩と反応して化学吸着される。
【0056】
流動触媒層42の流動触媒は,タールをガス化によって分解し,かつ芳香族窒素,HCNなどをアルカン(Alkane)またはアルケン(Alkene)化合物とNH3に転換する役目をする。使用される改質触媒としては,Ni,Fe,Co,Mo,Mn,Zr,Ti,Ce,Ru,Rh,Ptなどの単一金属と酸化金属またはこれらの混合形態の触媒を使用することができ,使用温度は650℃以下が望ましい。
【0057】
改質反応を経たガスは熱交換器50で熱交換されてガスを200℃以下に冷却し,凝縮液はタール貯蔵槽62に送られる。熱交換冷却媒体は,ガス化工程に使用される空気または酸素と水を使用して高温空気と水蒸気に変換させる。この際,熱交換器50は高温用材質の金属熱交換器の使用によってエネルギー利用効率を向上させることができる。
【0058】
触媒改質器40で転換されなかったタールまたは未凝縮液体はタールスクラバー60で凝縮されてタール貯蔵槽62に回収される。この際,粉塵およびタールの回収効率を高めるために,150℃以下の凝縮液体をタール循環ポンプ63でタールスクラバー60の上部に再び送ってガスストリッピング(stripping)を行う。
【0059】
その後,生成された清浄ガス燃料は圧縮されてガス貯蔵槽70に一時貯蔵される。
【0060】
以下,実施例について詳細に説明する。
【0061】
実施例1:触媒ガス化によるガス発生効率向上効果
Fe23/CaO混合触媒下でSOCA(Sludge-Oil-Coal Agglomerates)のガス化のため,前記混合触媒とSOCAを,無触媒ガス化と類似の運転条件の下で,3.4:1で均一に混合してガス生成物を得た。生成物の状態は図4のとおりである。混合触媒の使用時,ガス化反応の開始温度は230℃で,無触媒時の560℃に比べて極めて低い温度で開始し,無触媒時に比べてCO転換は少なく,炭化水素が多く発生したが,大部分メタンであることが確認された。無触媒ガス化では,850℃以上で炭化水素が発生し,COの発生も1050℃以上で行われたが,混合触媒使用の際,COと炭化水素が500℃前後で旺盛に発生し,特にCOは850℃程度で再度最大に発生して短時間内にガス化反応が完結される。混合触媒を使用してガス化反応を行った後に測定した未反応チャーの発生量は約0.35%で非常に少なかったが,無触媒の条件で1050℃で2時間維持した後の残留チャー発生量約11.31%に比べては優れた結果を見せた。
【0062】
実施例2:2段触媒ガス化によるタール発生低減およびFuel−N公害物質発生低減の効果
第1段ガス化でアルカリ土金属の酸化物であるCaO触媒を使用し,2段触媒改質過程でNiO触媒を使用した結果,図5に示すように,第1段触媒CaOのみを使用した場合に比べて,COの発生は類似するが,炭化水素発生は少し増加し,短時間に反応が完了した。しかし,表1に示すように,酸化カルシウムを1段触媒として使用した後,2段触媒としてNiOとMnO2を使用した結果,1次触媒のみを使用した場合に比べて,タールの発生およびNH3とHCNの発生が著しく少なかったが,これは,殆どタールが改質反応され,かつFuel−Nが直ちにN2へ転換されたからであると判断される。一方,MnO2触媒は,NiO触媒に比べて,タール改質反応が劣等で,Fuel−NがHCNに転換されるだけで,アンモニアまで転換されないことから,NiO触媒が2段触媒としてFuel−Nの改質に一層優れていることを表す。
【0063】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】バイオマスの無触媒高温2段ガス化装置の概略図である。
【図2】高品位廃棄物の2段触媒ガス化装置の概略工程図である。
【図3】本発明のバイオマス精製燃料の2段触媒ガス化装置の図である。
【図4】下水スラッジ精製燃料の無触媒および触媒ガス化特性の比較図である。
【図5】下水スラッジ精製燃料の2段触媒ガス化特性の比較図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製燃料を一時収容し,該精製燃料を定量的に供給する下部にスクリューフィーダ(11)を有する燃料ホッパー(10)と,
該燃料ホッパー(10)の近傍に配置され,前記スクリューフィーダ(11)に連通する装入口を中央部に有し,下部に熱空気管(21)およびスチーム管(22)を設けて成る触媒循環流動床ガス化炉(20)と,
該触媒循環流動床ガス化炉(20)の上部と,管を介して連通し,上側壁からフライアッシュを収集する集塵サイクロン(30)と,
該集塵サイクロン(30)の上部と管を介して連通し,低層に固定床フィルター吸着剤層(41)と,上層に流動触媒層(42)を有する触媒改質器(40)と,
該触媒改質器(40)の上部と管を介して前記触媒改質器(40)に連通する熱交換器(50)と,
該熱交換器(50)の近傍に配置され,該熱交換器(50)に連通する本体(61),タール貯蔵槽(62)及びタールを循環する循環ポンプ(63)を含むタールスクラバー(60)と,
該タールスクラバー(60)の近傍に配置されたガス貯蔵槽(70)と,
を含むことを特徴とするバイオマス精製燃料の低温触媒ガス化装置。
【請求項2】
前記触媒循環流動床ガス化炉(20)は,その上部に小型サイクロン(23)をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のバイオマス精製燃料の低温触媒ガス化装置。
【請求項3】
前記触媒改質器(40)は,前記固定床フィルター吸着剤層(41)の下部に,スチーム噴霧器(43)をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のバイオマス精製燃料の低温触媒ガス化装置。
【請求項4】
前記固定床フィルター吸着剤層(41)は,カートリッジ形態を有するもので,石綿材質フィルター,粒状アルカリ土金属酸化物,およびアルカリ金属塩を含むことを特徴とする請求項1記載のバイオマス精製燃料の低温触媒ガス化装置。
【請求項5】
前記タール貯蔵槽(62)は,発生したタールを収集するために,前記触媒改質器(40)と前記熱交換器(50)のそれぞれの下部管にタールバルブ(64)を介して連通していることを特徴とする請求項1記載のバイオマス精製燃料の低温触媒ガス化装置。
【請求項6】
バイオマス有機廃棄物/石炭/重油を精製してなる混合物を,スクリューフィーダを利用して,ガス化炉の中央部に供給する燃料供給段階と,
触媒存在下で,熱空気およびスチームを使用して,燃料を乾燥,揮発化,低温触媒ガス化,および部分燃焼反応させる触媒循環流動ガス化段階と,
前記触媒循環流動ガス化段階で発生したガス中のフライアッシュを収集する集塵段階と,
低層の固定吸着層を通じてガスを改質させ,上層の流動触媒層を通じてタール−窒素,芳香族−窒素,燐,および硫黄を改質させる触媒改質段階と,
ガスを200℃以下に冷却させ,凝縮液はタール貯蔵槽に送る熱交換段階と,
転換されなかったタールまたは未凝縮液体を凝縮して回収し,凝縮液体をガスストリッピングするタールスクラビング段階と,
ガスを圧縮して一時貯蔵するガス貯蔵段階と,
を含んでなることを特徴とするバイオマス精製燃料の低温触媒ガス化方法。
【請求項7】
前記触媒循環流動ガス化段階で使用される前記触媒は,流動化可能な粒状または粉末の天然石灰石と,石灰マグネサイトと,生石灰と,カルシウム,マグネシウム,バリウムなどのアルカリ土金属およびその酸化物と,カリウムなどのアルカリ金属およびその酸化物と,アルミナと,これらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項6記載のバイオマス精製燃料の低温触媒ガス化方法。
【請求項8】
前記触媒循環流動ガス化段階は,飛散する触媒または燃料凝集物を小型サイクロン(23)を通じて触媒循環流動床ガス化炉(20)に再循環させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項6記載のバイオマス精製燃料の低温触媒ガス化方法。
【請求項9】
前記触媒改質段階は,改質反応を促進し配管が詰まることを防止するため,前記固定床吸着層(41)の下部に水蒸気を噴霧して,改質温度を650℃以下にする段階をさらに含むことを特徴とする請求項6記載のバイオマス精製燃料の低温触媒ガス化方法。
【請求項10】
前記触媒改質段階は,前記固定床吸着剤層(41)に化学的に吸着されるように,硫化水素はCaSに,燐はPαβγHalogenδ(α=1−7,β=0−5,γ=0−7,δ=0−7)に転換させることを含むことを特徴とする請求項6記載のバイオマス精製燃料の低温触媒ガス化方法。
【請求項11】
前記触媒改質段階で使用される前記流動触媒層(42)の流動触媒は,タールをガス化によって分解させ,芳香族−窒素またはHCNをアルカン化合物(Alkane)またはアルケン(Alkene)化合物およびNH3に転換させる作用をする,Ni,Fe,Co,Mo,Mn,Zr,Ti,Ce,Ru,RhまたはPtなどの単一金属およびこれらの酸化物,またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項6記載のバイオマス精製燃料の低温触媒ガス化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−506856(P2007−506856A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535283(P2006−535283)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【国際出願番号】PCT/KR2005/001808
【国際公開番号】WO2006/031011
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(504169876)コリア インスティテュート オブ エナジー リサーチ (1)
【Fターム(参考)】